説明

液体噴射装置

【課題】本体ハウジングの外部に設けられた液体収容部から本体ハウジング内に設けられた液体噴射ヘッドへの液体の流通を可能としつつ、本体ハウジングと開閉部材との間を閉塞することができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクが収容されたインクタンク47から送られるインクを記録ヘッドへと導き、キャリッジ37aの移動に伴って追従変形する変形可動部48aを有するインク供給チューブ48と、本体ハウジング14の開口部13を開閉する方向に変位可能なイメージスキャナ12とを備え、本体ハウジング14においてイメージスキャナ12に対向する部位には、イメージスキャナ12が開口部13を閉塞した状態で当該開口部13にインク供給チューブ48を挿通させる凹溝46が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットに液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、液体噴射ヘッドから用紙等の媒体に対してインクを噴射することにより印刷を行うインクジェット式のプリンターが知られている。このようなプリンターにおいては、比較的大量の印刷を行う場合に液体噴射ヘッドへ連続的に安定してインクを供給するために、インクの収容容量が比較的大きなインクタンクからインク供給チューブを通じてインクカートリッジにインクを供給する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のプリンターでは、本体ハウジング内で用紙に対する主走査方向への往復移動可能に設けられたキャリッジに液体噴射ヘッドが搭載されている。そして、このプリンターでは、本体ハウジングの外側に設けられたインクタンクから延びるインク供給チューブが、本体ハウジングの上側の開口部を通じてキャリッジの移動領域に挿入され、キャリッジに搭載されたインクカートリッジに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新案登録公告CN2825289Y号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のプリンターでは、本体ハウジングには、その開口部を開閉する方向に変位可能なカバーが設けられると共に、その開口部を閉塞する方向に変位したカバーと本体ハウジングとの間に挟まれた状態となることにより、そのカバーと開口部の周縁部位との間にインク供給チューブを挿通させる隙間を形成するためのスペーサーが設けられている。そのため、スペーサーの介在によって本体ハウジングの開口部とカバーとの間を閉塞することができず、その隙間を通じて本体ハウジングの外部からキャリッジの移動領域に粉塵等が進入してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、本体ハウジングの外部に設けられた液体収容タンクから本体ハウジング内に設けられた液体噴射ヘッドへの液体の流通を可能としつつ、本体ハウジングと開閉部材との間を閉塞することができる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドが搭載されたキャリッジの移動領域を内部に有すると共に、その移動領域上部を露呈させる開口部が設けられた本体ハウジングと、前記本体ハウジングの外部に設けられた液体収容部から送られる前記液体を前記液体噴射ヘッドへと導き、キャリッジの移動に伴って追従変形する変形可動部を有する液体供給チューブと、前記本体ハウジングの前記開口部を開閉する方向に変位可能な開閉部材とを備え、前記本体ハウジング及び前記開閉部材の少なくとも一方側には、他方側に対向する部位に、前記開閉部材が前記開口部を閉塞した状態で前記液体供給チューブを挿通させる挿通部が設けられる。
【0008】
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、本体ハウジング及び開閉部材の少なくとも一方側に設けられた挿通部を通じて本体ハウジングの開口部に液体供給チューブを挿入し、本体ハウジングの内部に設けられた液体収容体に液体供給チューブを接続することができる。そのため、本体ハウジングの外部に設けられた液体収容部から本体ハウジング内に設けられた液体噴射ヘッドへの液体の流通を可能としつつ、本体ハウジングと開閉部材との間を閉塞することができる。
【0009】
また、本発明の液体噴射装置において、前記本体ハウジング及び前記開閉部材の一方側には凸部が設けられると共に、その他方側には前記開閉部材が前記開口部を閉塞する閉塞位置に配置された場合に前記凸部に対向する位置に配置される凹部が設けられ、前記液体供給チューブは、前記凸部と前記凹部との間に挿通される。
【0010】
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、液体供給チューブを凸部と凹部との間に挿通させることにより、本体ハウジングの内部に設けられた液体収容体に液体供給チューブを接続することができる。
【0011】
また、本発明の液体噴射装置において、前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方側に前記挿通部が設けられる。
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、凸部及び該凸部に対応して設けられた凹部の少なくとも一方側に設けられた挿通部を通じて本体ハウジングの開口部に液体供給チューブを挿入し、本体ハウジングの内部に設けられた液体収容体に液体供給チューブを接続することができる。
【0012】
また、本発明の液体噴射装置において、前記本体ハウジングには段差が設けられ、前記開閉部材には、前記段差に対応する凸部が設けられている。
上記構成によれば、本体ハウジングに設けられた段差、及びこの段差に対応して開閉部材に設けられた凸部の少なくとも一方側に設けられた挿通部を通じて、本体ハウジングの開口部に液体供給チューブを挿入し、本体ハウジングの内部に設けられた液体収容体に液体供給チューブを接続することができる。
【0013】
また、本発明の液体噴射装置において、前記開閉部材には、画像を読み取るためのセンサーと、前記センサーを支持しつつ移動するキャリッジと、前記キャリッジと前記液体噴射装置の制御部との間に配線される可撓性ケーブルとが設けられ、前記凸部は、前記可撓性ケーブルの収容空間を内部に有するように前記開閉部材に対して凸状に形成されたケーブル収容部によって構成される。
【0014】
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、可撓性ケーブルの収容空間を構成するケーブル収容部の外面及び該ケーブル収容部に対応して本体ハウジングに設けられた凹部の内面の少なくとも一方側に設けられた挿通部を通じて本体ハウジングの開口部に液体供給チューブを挿入し、本体ハウジングの内部に設けられた液体収容体に液体供給チューブを接続することができる。
【0015】
また、本発明の液体噴射装置において、前記開閉部材には、画像を読み取るためのセンサーと、前記センサーを支持しつつ移動するキャリッジと、前記キャリッジに搭載されるモーターとが設けられ、前記凸部は、前記モーターの移動領域を内部に有するように前記開閉部材に対して凸状に形成されたモーター収容部によって構成される。
【0016】
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、モーターの移動領域を構成するモーター収容部の外面及び該モーター収容部に対応して本体ハウジングに設けられた凹部の内面の少なくとも一方側に設けられた挿通部を通じて本体ハウジングの開口部に液体供給チューブを挿入し、本体ハウジングの内部に設けられた液体収容体に液体供給チューブを接続することができる。
【0017】
また、本発明の液体噴射装置において、前記本体ハウジングには、前記液体噴射装置を操作するために用いられる操作パネルが設けられ、前記開閉部材には、該開閉部材が前記開口部を閉塞する閉塞位置に配置された場合に、前記操作パネルに対して前記開閉部材の開閉方向において対向する部位に前記挿通部が設けられる。
【0018】
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、開閉部材の開閉方向において操作パネルに対向する部位に設けられた挿通部を通じて本体ハウジングの開口部に液体供給チューブを挿入し、本体ハウジングの内部に設けられた液体収容体に液体供給チューブを接続することができる。
【0019】
また、本発明の液体噴射装置において、前記挿通部は凹溝である。
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、液体供給チューブが凹溝を通じて本体ハウジングの開口部に挿入可能とされる構成を容易に実現することができる。
【0020】
また、本発明の液体噴射装置において、前記凹溝は、前記本体ハウジングに設けられた凹部に連通するように前記本体ハウジングの上面に切り欠き形成されている。
上記構成によれば、液体供給チューブを挿通させるための凹溝を容易に形成することができる。
【0021】
また、本発明の液体噴射装置において、前記挿通部は貫通孔である。
上記構成によれば、開閉部材が本体ハウジングの開口部を閉塞した状態であっても、液体供給チューブが貫通孔を通じて本体ハウジングの開口部に挿入可能とされる構成を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る実施形態の複合機の斜視図。
【図2】同実施形態の複合機におけるイメージスキャナの内部構成を示す部分破断斜視図。
【図3】同実施形態の複合機の内部構成を模式的に示す断面図。
【図4】同実施形態の複合機において、イメージスキャナが開放位置にある状態を示す斜視図。
【図5】同実施形態の複合機の側面図。
【図6】本発明に係る別の実施形態の複合機の斜視図。
【図7】同実施形態の複合機の側面図。
【図8】本発明に係る別の実施形態の複合機の斜視図。
【図9】本発明に係る別の実施形態の複合機の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面に従って説明する。
図1に示すように、液体噴射装置としての複合機10は、インクジェット式のプリンター11と、プリンター11上に設けられた開閉部材としてのイメージスキャナ12とを備え、全体として略直方体状をなしている。
【0024】
プリンター11は、開口部13(図4参照)が上面に形成された略矩形箱状の本体ハウジング14を備えている。また、イメージスキャナ12は、筐体の一部を構成する有底箱状のスキャナフレーム15を備え、このスキャナフレーム15の基端は、本体ハウジング14の開口部13を開閉するように本体ハウジング14の背面側に回動自在に取り付けられている。なお、本体ハウジング14においてスキャナフレーム15の先端が上方から覆う部位には、プリンター11やイメージスキャナ12を操作する際に用いられる操作パネル16が設けられている。
【0025】
また、本体ハウジング14の背面側には、ターゲットとしての用紙P(図3参照)を導入するための導入口17(図3参照)が設けられると共に、本体ハウジング14の前面側には、用紙Pを本体ハウジング14内から排出するための排出口18が設けられている。なお、スキャナフレーム15の基端には、導入口17を開閉する導入口カバー19が回動自在に取り付けられている。
【0026】
図2に示すように、スキャナフレーム15の上側には、四角板状の透明ガラスからなる原稿台20が配置されている。また、スキャナフレーム15の基端には、原稿台20の上面を上方から覆う原稿カバー21(図1参照)が回動自在に取り付けられている。なお、図2においては、原稿台20等を明示するために原稿カバー21の図示を省略している。そして、スキャナフレーム15内において原稿台20の下方には、原稿台20の上面に載置された原稿Sに記録された文字や図形等の画像を読み取るためのスキャナユニット22が収容されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、スキャナユニット22は、画像を読み取るためのセンサーとしての読取センサー23と、読取センサー23を支持して主走査方向Xに移動するキャリッジとしての読取用キャリッジ24と、読取用キャリッジ24を移動させるために読取用キャリッジ24に搭載されるモーター25とを備えている。
【0028】
読取用キャリッジ24には、本体ハウジング14の背面側から延設される可撓性ケーブル26(フラットフレキシブルケーブル)が接続されている。可撓性ケーブル26は、本体ハウジング14内に設けられた制御部(図示略)からモーター25や読取センサー23に制御信号を送ったり、読取センサー23の読取データを制御部に送ったりするための複数の電線等が平板状に束ねられたものである。そして、可撓性ケーブル26は、読取用キャリッジ24における用紙Pの搬送方向Yの上流側寄りとなる位置に設けられた接続部27に接続されている。
【0029】
モーター25は、読取用キャリッジ24における用紙Pの搬送方向Yの下流側寄りとなる位置に設けられた支持部28に支持されている。この支持部28には、読取用キャリッジ24の出力軸に接続されたウォームギア(図示略)と、このウォームギアと噛合してモーター25の駆動に伴って回転するピニオン29とが支持されている。また、スキャナフレーム15において用紙Pの搬送方向Yの下流側寄りとなる位置には、ピニオン29に噛合して読取用キャリッジ24の移動をガイドするラック部30が主走査方向Xに延設されている。また、スキャナフレーム15の底部には、読取用キャリッジ24の支持部28に設けられたスライダー31と係合して読取用キャリッジ24を下方から支持する凸状のガイドレール32が突設されている。このガイドレール32は、主走査方向Xに延設されており、読取用キャリッジ24の主走査方向Xに沿う移動をガイドする。
【0030】
なお、スキャナフレーム15の底部には、用紙Pの搬送方向Yにおいて接続部27と対応する位置に、可撓性ケーブル26の収容空間を下方に拡張するためのケーブル収容部としてのケーブル用凸部33が主走査方向Xに沿って形成されている。そして、本体ハウジング14の上面においてケーブル用凸部33の下方となる位置には、ケーブル用凸部33との干渉を避けるために凹部34が形成されている。
【0031】
また、スキャナフレーム15の底部には、用紙Pの搬送方向Yにおいて支持部28と対応する位置に、モーター25の移動空間を下方に拡張するためのモーター収容部としてのモーター用凸部35が主走査方向Xに沿って形成されている。そして、本体ハウジング14の上面においてモーター用凸部35の下方となる位置には、モーター用凸部35との干渉を避けるために凹部36が形成されている。
【0032】
そのため、イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞する閉塞位置に配置された場合には、ケーブル用凸部33が隙間A1を介在させた状態で凹部34に対向する位置に配置されると共に、モーター用凸部35が隙間A2を介在させた状態で凹部36に対向する位置に配置される。
【0033】
次に、プリンター11の構成について説明する。
図3に示すように、本体ハウジング14の側壁には、主走査方向Xに延びるガイドレール37が架設されており、このガイドレール37には主走査方向Xに沿って移動可能な状態で記録用キャリッジ37aが支持されている。記録用キャリッジ37aは、図示しないキャリッジモーターの駆動に伴って往復移動する。また、本体ハウジング14内における記録用キャリッジ37aの下方には支持部材38が設けられている。すなわち、本体ハウジング14内における支持部材38の上方の空間域は、記録用キャリッジ37aが往復移動する移動領域となっており、この移動領域上部が本体ハウジング14の開口部13によって本体ハウジング14の外側に露呈されている。
【0034】
記録用キャリッジ37aは、記録用キャリッジ37aの下面に一体に組み込まれた液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド40と、記録用キャリッジ37aに着脱自在に収納された複数(本実施形態では4つ)の中継アダプター39とを備えて構成されている。中継アダプター39は、本体ハウジング14の外部に設けられる液体収容部としてのインクタンク47と記録ヘッド40とを中継するアダプターであり、記録ヘッド40から噴射される液体としての各色のインク(本実施形態では、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、黒インク)を収容可能となっている。
【0035】
また、プリンター11は、導入口17から導入された用紙Pを、本体ハウジング14内において背面側となる搬送方向Yの上流側から記録ヘッド40により印刷が行われることになる下流側に向けて搬送する搬送機構41を有している。この搬送機構41は、用紙Pを案内するための搬送経路形成部材42と、用紙Pの幅方向に延びる回転軸(図示略)を中心に回転する給送ローラー43と、給送ローラー43とそれぞれ対をなす従動ローラー44と、記録ヘッド40により印刷が行われた用紙Pを排紙するための排紙ローラー対45を有している。
【0036】
そして、プリンター11は、搬送機構41によって搬送されて支持部材38に支持された用紙Pの上面側に記録ヘッド40のノズルからインクを噴射することで用紙Pに対して印刷を行うと共に、印刷が行われた用紙Pを排紙ローラー対45によって排出口18から本体ハウジング14の外側に排紙する。
【0037】
次に、上記のように構成された複合機10の作用について説明する。
さて、図4及び図5に示すように、本実施形態の複合機10では、本体ハウジング14の上面には、ケーブル用凸部33に対応して段差として設けられた凹部34に連通するように凹溝46が切り欠き形成されている。この凹溝46は、本体ハウジング14においてイメージスキャナ12の開閉方向においてイメージスキャナ12に対して対向する部位に形成されている。
【0038】
その結果、イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞する閉塞位置に配置された状態であっても、凹部34の内側の空間域は凹溝46を通じて複合機10の外部に連通する。そのため、複合機10の外部に設けられたインクタンク47に一端側が接続された液体供給チューブとしてのインク供給チューブ48の他端側は、凹溝46を通じて本体ハウジング14における凹部34の内側の空間域に挿入可能となる。この点で、本実施形態では、凹溝46は、イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態で、本体ハウジング14とイメージスキャナ12との間の空間域にインク供給チューブ48を挿通させる挿通部として機能する。そして、このインク供給チューブ48の他端側は、ケーブル用凸部33と凹部34との間の隙間A1を通じて本体ハウジング14の開口部13に挿入され、本体ハウジング14の内部に設けられた中継アダプター39に接続される。その結果、インク供給チューブ48の長さ方向において本体ハウジング14の開口部13に挿入される部分は、記録用キャリッジ37aの移動に伴って追随変形する変形可動部48aとして機能する。
【0039】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態であっても、本体ハウジング14に設けられた凹溝46を通じて本体ハウジング14に設けられた開口部13にインク供給チューブ48を挿入し、本体ハウジング14の内部に設けられた中継アダプター39にインク供給チューブ48を接続することができる。そのため、本体ハウジング14の外部に設けられたインクタンク47から本体ハウジング14内に設けられた記録ヘッド40へのインクの流通を可能としつつ、本体ハウジング14とイメージスキャナ12との間を閉塞することができる。
【0040】
(2)イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態であっても、インク供給チューブ48をケーブル用凸部33と凹部34との間に挿通させることにより、本体ハウジング14の内部に設けられた中継アダプター39にインク供給チューブ48を接続することができる。
【0041】
(3)イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態であっても、ケーブル用凸部33に対応して設けられた凹部34の内面に開口した凹溝46を通じて、インク供給チューブ48を本体ハウジング14の内部に挿入することができる。
【0042】
(4)本体ハウジング14に段差として設けられた凹部34に形成された凹溝46を通じて、本体ハウジング14の開口部13にインク供給チューブ48を挿入し、本体ハウジング14の内部に設けられた中継アダプター39にインク供給チューブ48を接続することができる。
【0043】
(5)イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態であっても、可撓性ケーブル26の収容空間を構成するケーブル用凸部33に対応して本体ハウジング14に設けられた凹部34の内面に開口した凹溝46を通じて、本体ハウジング14の内部にインク供給チューブ48を挿入することができる。
【0044】
(6)本体ハウジング14に凹溝46を設けることにより、イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態であっても、インク供給チューブ48が凹溝46を通じて本体ハウジング14の内部に挿入可能とされる構成を容易に実現することができる。
【0045】
(7)本体ハウジング14に設けられた凹部34の上端面に凹溝46を切り欠き形成することにより、インク供給チューブ48を挿通させるための凹溝46を容易に形成することができる。
【0046】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、凹溝46に代えて貫通孔を設ける構成としてもよい。
・上記実施形態において、ケーブル用凸部33の外面に凹溝46を設け、この凹溝46を通じて本体ハウジング14の開口部13にインク供給チューブ48を挿入する構成としてもよい。なお、凹溝46に代えて貫通孔を設ける構成としてもよい。
【0047】
・上記実施形態において、図6及び図7に示すように、モーター用凸部35における長手方向の両端部から延設されたリブ49の外面に凹溝50を設ける構成としてもよい。
この構成によれば、イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態であっても、モーター用凸部35の外面に設けられた凹溝50を通じて本体ハウジング14の開口部13にインク供給チューブ48を挿入し、本体ハウジング14の内部に設けられた中継アダプター39にインク供給チューブ48を接続することができる。
【0048】
また、モーター用凸部35に対応して本体ハウジング14に段差として設けられた凹部36の内面に凹溝50を設け、この凹溝50を通じて本体ハウジング14の開口部13にインク供給チューブ48を挿入する構成としてもよい。
【0049】
なお、凹溝50に代えて貫通孔を設ける構成としてもよい。
・上記実施形態において、図8に示すように、イメージスキャナ12が開口部13を閉塞する閉塞位置に配置された場合に、スキャナフレーム15において操作パネル16に対してイメージスキャナ12の開閉方向に対向する端面に凹溝51を設ける構成としてもよい。
【0050】
この構成によれば、イメージスキャナ12が本体ハウジング14の開口部13を閉塞した状態であっても、スキャナフレーム15に設けられた凹溝51を通じて本体ハウジング14の開口部13にインク供給チューブ48を挿入し、本体ハウジング14の内部に設けられた中継アダプター39にインク供給チューブ48を接続することができる。
【0051】
なお、凹溝51に代えて貫通孔を設ける構成としてもよい。
・上記実施形態において、記録用キャリッジ37aに中継アダプター39を搭載しない構成としてもよい。すなわち、本体ハウジング14の外部に設けられたインクタンク47からインク供給チューブ48を通じて供給されるインクを、中継アダプター39を介さずに記録ヘッド40へと供給するようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態において、ターゲットの材質は紙に限定されず、布や樹脂フィルム、樹脂シート、金属シートなどを採用してもよい。
・上記実施形態において、図9に示すように、イメージスキャナ12に操作パネル16が設けられた複合機10に本発明を具体化してもよい。
【0053】
・上記実施形態において、液体噴射ヘッドを固定したままでも用紙最大幅範囲の印字が可能なラインヘッド式のプリンターであってもよい。
・上記実施形態において、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター11を備えた複合機10に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10…液体噴射装置としての複合機、12…開閉部材としてのイメージスキャナ、13…開口部、14…本体ハウジング、16…操作パネル、23…センサーとしての読取センサー、24…キャリッジとしての読取用キャリッジ、25…モーター、26…可撓性ケーブル、33…凸部及びケーブル収容部としてのケーブル用凸部、34…段差としての凹部、35…凸部及びモーター収容部としてのモーター用凸部、36…段差としての凹部、40…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、46…挿通部としての凹溝、47…液体収容タンクとしてのインクタンク、48…液体供給チューブとしてのインク供給チューブ、48a…変形可動部、50,51…挿通部としての凹溝、P…ターゲットとしての用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドが搭載されたキャリッジの移動領域を内部に有すると共に、その移動領域上部を露呈させる開口部が設けられた本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの外部に設けられた液体収容部から送られる前記液体を前記液体噴射ヘッドへと導き、キャリッジの移動に伴って追従変形する変形可動部を有する液体供給チューブと
前記本体ハウジングの前記開口部を開閉する方向に変位可能な開閉部材と
を備え、
前記本体ハウジング及び前記開閉部材の少なくとも一方側には、他方側に対向する部位に、前記開閉部材が前記開口部を閉塞した状態で前記液体供給チューブを挿通させる挿通部が設けられることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記本体ハウジング及び前記開閉部材の一方側には凸部が設けられると共に、その他方側には前記開閉部材が前記開口部を閉塞する閉塞位置に配置された場合に前記凸部に対向する位置に配置される凹部が設けられ、
前記液体供給チューブは、前記凸部と前記凹部との間に挿通されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方側に前記挿通部が設けられることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記本体ハウジングには段差が設けられ、
前記開閉部材には、前記段差に対応する凸部が設けられていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記開閉部材には、
画像を読み取るためのセンサーと、
前記センサーを支持しつつ移動するキャリッジと、
前記キャリッジと前記液体噴射装置の制御部との間に配線される可撓性ケーブルと
が設けられ、
前記凸部は、前記可撓性ケーブルの収容空間を内部に有するように前記開閉部材に対して凸状に形成されたケーブル収容部によって構成されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記開閉部材には、
画像を読み取るためのセンサーと、
前記センサーを支持しつつ移動するキャリッジと、
前記キャリッジと前記液体噴射装置の制御部との間に配線される可撓性ケーブルと
が設けられ、
前記凸部は、前記可撓性ケーブルの収容空間を内部に有するように前記開閉部材に対して凸状に形成されたケーブル収容部によって構成されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記開閉部材には、
画像を読み取るためのセンサーと、
前記センサーを支持しつつ移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載されるモーターと
が設けられ、
前記凸部は、前記モーターの移動領域を内部に有するように前記開閉部材に対して凸状に形成されたモーター収容部によって構成されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記開閉部材には、
画像を読み取るためのセンサーと、
前記センサーを支持しつつ移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載されるモーターと
が設けられ、
前記凸部は、前記モーターの移動領域を内部に有するように前記開閉部材に対して凸状に形成されたモーター収容部によって構成されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項9】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記本体ハウジングには、前記液体噴射装置を操作するために用いられる操作パネルが設けられ、
前記開閉部材には、該開閉部材が前記開口部を閉塞する閉塞位置に配置された場合に、前記操作パネルに対して前記開閉部材の開閉方向において対向する部位に前記挿通部が設けられることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項10】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項8、及び請求項9のうち何れか一項に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は凹溝であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項11】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は凹溝であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項12】
請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は凹溝であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項13】
請求項7に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は凹溝であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項14】
請求項10に記載の液体噴射装置において、
前記凹溝は、前記本体ハウジングに設けられた凹部に連通するように前記本体ハウジングの上面に切り欠き形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項15】
請求項11〜請求項13のうち何れか一項に記載の液体噴射装置において、
前記凹溝は、前記本体ハウジングに設けられた凹部に連通するように前記本体ハウジングの上面に切り欠き形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項16】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項6、請求項8、及び請求項9のうち何れか一項に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は貫通孔であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項17】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は貫通孔であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項18】
請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は貫通孔であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項19】
請求項7に記載の液体噴射装置において、
前記挿通部は貫通孔であることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60000(P2013−60000A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−40766(P2012−40766)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】