説明

液体噴霧装置

【課題】ノズル流路を流通する液体を噴孔から噴霧する際に、噴孔から十分に微粒化されたミストを勢い良く噴霧することができる液体噴霧装置を提供する。
【解決手段】ノズル流路1を流通する液体Wを噴孔2から噴霧する液体噴霧装置100において、ノズル流路1の流路断面方向に延出する作動部10と、作動部10を噴孔2における噴霧方向Xに対する周方向Yに回転させる回転駆動部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル流路を流通する液体を噴孔から噴霧する液体噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような噴孔から液体のミストを噴霧する液体噴霧装置として、浴室に温水のミストを噴霧することで、浴室をミストサウナとして利用するミストサウナ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、このような液体噴霧装置では、噴孔から噴霧されるミストの粒径を、使用者の嗜好やその利用用途等に合わせて、できるかぎり微細化することが望まれる場合がある。
そこで、液体噴霧装置において、噴孔から噴霧されるミストを微粒化する方法として、ノズル流路内に、液体の流れを噴孔における噴霧方向周りの螺旋方向に延出する螺旋溝を形成し、ノズル流路において液体を螺旋溝に流通させることで、その液体の旋回速度を増加させる方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−276170号公報
【特許文献2】特開2004−92952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に記載の液体噴霧装置では、ノズル流路に形成された螺旋溝に液体を流通させても、液体の旋回速度を十分に増加させることができず、噴孔から十分に微細化されたミストを噴霧することができない場合がある。
また、特に、液体として水道水を噴霧する場合には、その水道水の供給圧力が比較的低いことから、液体の旋回速度が増加することにより、液体の噴霧方向における速度が低下して、噴孔から噴霧されるミストの勢いが低下してしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズル流路を流通する液体を噴孔から噴霧する際に、噴孔から十分に微粒化されたミストを勢い良く噴霧することができる液体噴霧装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る液体噴霧装置は、ノズル流路を流通する液体を噴孔から噴霧する液体噴霧装置であって、その第1特徴構成は、前記ノズル流路の流路断面方向に延出する作動部と、
前記作動部を前記噴孔における噴霧方向に対する周方向に回転させる回転駆動部とを備えた点にある。
【0008】
上記第1特徴構成によれば、上記ノズル流路の流路断面方向に延出する作動部を設けると共に、上記回転駆動部により、その作動部を周方向に回転させることで、その回転力によりノズル流路における液体の旋回速度を十分に増加させることができる。よって、噴孔に導かれる液体の噴霧方向における速度を十分に確保して、噴孔において勢いよくミストを噴霧しながら、噴孔に導かれる液体の旋回速度を増加させて、そのミストを十分に微粒化することができる。
【0009】
本発明に係る液体噴霧装置の第2特徴構成は、前記作動部が、内部に前記ノズル流路を形成するノズル本体側に固定され、
前記回転駆動部が、前記ノズル本体を前記周方向に回転させるように構成されている点にある。
【0010】
上記第2特徴構成によれば、上記作動部が上記ノズル本体に固定されている場合には、上記回転駆動部により、そのノズル本体を回転させることで、上記作動部を周方向に回転させ、その回転力によりノズル流路における液体の旋回速度を十分に増加させることができる。
【0011】
本発明に係る液体噴霧装置の第3特徴構成は、前記噴霧方向に変位して前記ノズル流路の先端側内壁との間の流路断面積を調整可能な調整部材と、
前記調整部材を前記噴霧方向に変位させて前記ノズル流路における前記液体の流量を調整可能な流量調整手段とを備えた点にある。
【0012】
上記第3特徴構成によれば、上記ノズル流路に上記調整部材を設け、上記流量調整手段により、その調整部材を変位させて、ノズル流路の噴孔が形成された先端側内壁とその調整部材との間の流路断面積を調整することで、ノズル流路において液体に付加される圧力損失を変化させて、液体の流量を調整することができる。そして、このようにノズル流路における液体流量を調整すれば、噴孔から噴霧されるミストの噴霧量を調整することができ、更には、液体の流速が変化することにより、噴孔から噴霧されるミストの粒径も調整することができる。
【0013】
本発明に係る液体噴霧装置の第4特徴構成は、前記作動部が、前記ノズル流路内に前記周方向に回転自在に設けられた軸部側に固定され、
前記回転駆動部が、前記軸部を前記周方向に回転させるように構成されている点にある。
【0014】
上記第4特徴構成によれば、上記作動部が上記ノズル流路の中心に設けられた軸部に固定されている場合には、上記回転駆動部により、その軸部を回転させることで、上記作動部を周方向に回転させ、その回転力によりノズル流路における液体の旋回速度を十分に増加させることができる。
【0015】
本発明に係る液体噴霧装置の第5特徴構成は、前記軸部に、前記噴霧方向に変位して前記ノズル流路の先端側内壁との間の流路断面積を調整可能な調整部材を備え、
前記軸部を前記噴霧方向に変位させて前記ノズル流路における前記液体の流量を調整可能な流量調整手段を備えた点にある。
【0016】
上記第5特徴構成によれば、上記軸部を上記調整部材として構成し、上記流量調整手段により、その調整部材を変位させて、ノズル流路の噴孔が形成された先端側内壁とその調整部材との間の流路断面積を調整することで、ノズル流路において液体に付加される圧力損失を変化させて、液体の流量を調整することができる。そして、このようにノズル流路における液体流量を調整すれば、噴孔から噴霧されるミストの噴霧量を調整することができ、更には、液体の流速が変化することにより、噴孔から噴霧されるミストの粒径も調整することができる。
【0017】
本発明に係る液体噴霧装置の第6特徴構成は、前記回転駆動部が、前記作動部の回転速度を調整可能に構成されている点にある。
【0018】
上記第6特徴構成によれば、上記回転駆動部により作動部の回転速度を調整可能とすることで、噴孔に導かれる液体の旋回速度を調整することができ、結果、噴孔から噴霧されるミストの噴霧量を殆ど変化させることなく、噴孔から噴霧されるミストの粒径を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す液体噴霧装置100,200は、筒状のノズル本体3内に形成されたノズル流路1を流通する水W(液体の一例)を噴孔2から噴霧するものであり、更に、ノズル流路1の流路断面方向に延出する作動部10と、その作動部10を噴孔2における噴霧方向Xに対する周方向Yに回転させる回転駆動部20とを備えることで、その作動部10の回転力をノズル流路1における水Wの旋回速度を十分に増加させて、噴孔2に導かれる水Wの旋回方向の速度を増加させて、噴孔2から噴霧されるミストMを微粒化するように構成されている。
また、ノズル流路1を流通する水Wの噴霧方向Xにおける速度は十分に確保されているから、噴孔2からミストMが勢い良く噴霧される。
【0020】
詳しくは、液体噴霧装置100,200には、水Wを円形の流路断面を有するノズル流路3に流入させて、そのノズル流路3の後端側に形成された噴孔2から噴霧するように構成されている。
そして、上記ノズル流路3に配置された作動部10が周方向Yに回転することにより、噴孔2に導かれる水Wの旋回速度を十分に増加させて、その旋回力により噴孔2から噴出されるミストMの微粒化が促進される。
【0021】
尚、ノズル流路1の流路断面方向に延出する作動部10としては、周方向Yに面する板状や、ノズル流路1を螺旋状に旋回する螺旋状の板状体で構成することができ、例えば、作動部10を上記回転駆動部20による作動部10の回転方向に沿った螺旋状の板状体で構成することで、ノズル流路1において水Wがその螺旋状の作動部10に沿って流通することで、水Wの旋回速度を一層増加させることができる。
また、上記作動部10が回転することによりノズル流路1にキャビテーションを発生させると、そのキャビテーションによる水Wの乱流により噴孔2にから噴出されるミストMの一層微粒化を図ることができる。
【0022】
更に、液体噴霧装置100,200には、噴霧方向Xに変位してノズル流路1の先端側内壁4との間の流路断面積を調整可能な調整部材11と、その調整部材11を噴霧方向Xに変位させてノズル流路1における水Wの流量を調整可能な流量調整手段30とを備え、この流量調整手段30によりノズル流路1における水Wの流量を調整することで、噴孔2から噴霧されるミストMの噴霧量を調整し、更には、噴孔2から噴霧されるミストMの粒径も調整するように構成されている。
【0023】
詳しくは、上記調整部材11は、先端側ほど縮径するノズル流路1の先端側内壁4に沿って、先端側ほど縮径する錘状に形成されている。更に、ノズル流路1の中心に配置された軸部材12(軸部)と、この軸部材12がノズル本体2に対して噴霧方向Xに沿って変位可能に支持する支持部5とを備え、この軸部材12に上記調整部材11が固定されている。
尚、この支持部5は、上記軸部材12をノズル本体3の壁面を貫通させる形態で支持するように構成されており、更に、内部のノズル流路1を流通する水Wの漏洩を防止するようシール構造とされている。
【0024】
上記調整部材11は、軸部材12と共に噴霧方向Xに沿って変位可能となり、この調整部材11が噴霧方向Xに沿って変位することで、調整部材11の先端側外面11aとノズル流路1の先端側内壁4との間の流路断面積が変化することになる。
【0025】
また、上記流量調整手段30は、上記軸部材12の基端側に連結されたラック31とそのラック31を噴霧方向Xに摺動させるためのピニオン32と、そのピニオン32を回転操作するためのツマミ部33とで構成されており、利用者がそのツマミ部33を回転操作することで、ピニオン32の回転動作をラック31の摺動動作に変換して、そのラック31の摺動動作に伴って軸部材12を噴霧方向Xに変位させることができる。
【0026】
更に、詳細については後述するが、回転駆動部20は、作動部10の回転速度を調整可能に構成されており、このように作動部10の回転速度を調整可能とすることで、噴孔2から噴霧されるミストMの噴霧量を殆ど変化させることなく、噴孔2に導かれる水Wの旋回速度を調整して、噴孔2から噴霧されるミストMの粒径を調整するように構成されている。
【0027】
以下に、上記作動部10及び上記回転駆動部20の具体的構成として、図1に示される第1実施形態の液体噴霧装置100、及び、図2に示される第2実施形態の液体噴霧装置200の夫々の構成について、説明を加える。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1に示す液体噴霧装置100は、作動部10が、ノズル流路1内に周方向に回転自在に設けられた軸部材12側に固定されており、回転駆動部20が、その軸部材12を周方向に回転させるように構成されている。
【0029】
即ち、作動部10が、軸部材12に固定された調整部材11の外面から放射状に延出する形態で形成されており、更に、回転駆動部20が、その軸部材12の基端側に連結されたモータ21により軸部材12を回転駆動するように構成されている。
【0030】
また、このモータ21は、コントローラ25により回転速度を調整可能に構成されており、このようにモータ25の回転速度を調整することにより、作動部10の回転速度及び噴孔2に導かれる水Wの旋回速度を調整して、噴孔2から噴霧されるミストMの粒径が調整される。
【0031】
更に、モータ21は、上記軸部材12と共に噴霧方向Xに沿って変位可能に支持されており、更に、流量調整手段30を構成するラック31が、上記モータ21の後端側に連結されている。
よって、流量調整手段30により水Wの流量を調整する際には、ラック31の摺動に伴って軸部材12に連結されたモータ21自身が噴霧方向Xに沿って変位することになる。
【0032】
〔第2実施形態〕
図2に示す液体噴霧装置200は、上記第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、作動部10が、ノズル本体3側に固定され、回転駆動部20が、ノズル本体3自身を周方向に回転させるように構成されている。
【0033】
即ち、作動部10が、そのノズル本体3の内壁から中心に向けて延出する形態で形成されている。
【0034】
更に、先端側の噴孔2が形成された略円柱状のノズル本体3が、その基端側の支持本体3aに対して、回転支持部6により周方向Yに回転自在に支持されており、更に、回転駆動部20が、モータ21によりノズル本体3を、回転ベルト24を介して回転駆動するように構成されている。
尚、モータ21の回転軸と、ノズル本体3の外周とには、上記回転ベルト24が嵌合されるプーリー部22,23が設けられており、この夫々のプーリー部22,23の相対的な直径を適宜設定することにより、ノズル本体3の回転速度を適切なものとすることができる。
また、上記回転支持部6は、内部のノズル流路1を流通する水Wの漏洩を防止するようシール構造とされている。
【0035】
また、このモータ21は、コントローラ25により回転速度を調整可能に構成されており、このようにモータ25の回転速度を調整することにより、作動部10の回転速度及び噴孔2に導かれる水Wの旋回速度を調整して、噴孔2から噴霧されるミストMの粒径が調整される。
【0036】
〔ミストサウナ装置〕
また、これまで説明してきた第1実施形態及び第2実施形態の液体噴霧装置100,200は、図3に示すように、温水WのミストMを浴室41に噴霧して、浴室41をミストサウナとして利用することができるミストサウナ装置として構成することができ、そのミストサウナ装置について説明を加える。
【0037】
液体噴霧装置100,200は、給湯暖房機42から供給された温水Wを噴孔2から浴室41内に噴霧するように、浴室41の壁面に設けられている。
【0038】
このミストサウナ装置の運転を制御する制御装置45は、その液体噴霧装置100,200に温水Wを供給する給湯暖房機42の作動を制御することで、液体噴霧装置100,200への温水Wの供給の開始及び停止、温水Wの温度や供給量の設定等を行うことができる。
また、浴室41の側壁には、制御装置45に運転指示を与えるリモコン46が設けられている。
このリモコン46には、図示は省略するが、使用者が認識可能な状態で情報を表示する表示部や、使用者が操作するためのボタン等が配置された操作部等が設けられている。
【0039】
また、この液体噴霧装置100,200には、これまで説明してきた第1及び第2実施形態と同様に、ノズル流路1の流路断面方向に延出する作動部10と、その作動部10を噴孔2における噴霧方向Xに対する周方向Yに回転させる回転駆動部20とが設けられている。
そして、制御装置45は、液体噴霧装置100,200を作動させて温水Wを噴霧する際に、上記回転駆動部20を作動させて、噴孔2から微粒化されたミストMを噴霧するように構成されており、更には、回転駆動部20による作動部10の回転速度を調整することで、そのミストMの粒径を利用者の嗜好にあった適切なものに調整することができる。
【0040】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、軸部材12に設けられた調整部材11を噴霧方向に沿って変位させて水Wの流量を調整するための流量調整手段30を設けたが、この流量調整手段30は適宜省略しても構わない。
【0041】
(2)上記実施の形態では、浴室41に温水Wを噴霧するミストサウナ装置として構成される液体噴霧装置100,200について説明したが、別に、温水以外の別の液体を噴霧するように構成したり、浴室41以外の別の場所に液体を噴霧するように構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る液体噴霧装置は、ノズル流路を流通する液体を噴孔から噴霧する際に、噴孔から十分に微粒化されたミストを勢い良く噴霧することができる液体噴霧装置として好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る液体噴霧装置の第1実施形態の概略構成図
【図2】本発明に係る液体噴霧装置の第2実施形態の概略構成図
【図3】液体噴霧装置をミストサウナ装置に適用した形態を示す概略構成図
【符号の説明】
【0044】
1:ノズル流路
3:ノズル本体
4:先端側内壁
10:作動部
11:調整部材
20:回転駆動部
30:流量調整手段
100,200:液体噴霧装置
W:水(液体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル流路を流通する液体を噴孔から噴霧する液体噴霧装置であって、
前記ノズル流路の流路断面方向に延出する作動部と、
前記作動部を前記噴孔における噴霧方向に対する周方向に回転させる回転駆動部とを備えた液体噴霧装置。
【請求項2】
前記作動部が、内部に前記ノズル流路を形成するノズル本体側に固定され、
前記回転駆動部が、前記ノズル本体を前記周方向に回転させるように構成されている請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記噴霧方向に変位して前記ノズル流路の先端側内壁との間の流路断面積を調整可能な調整部材と、
前記調整部材を前記噴霧方向に変位させて前記ノズル流路における前記液体の流量を調整可能な流量調整手段とを備えた請求項1又は2に記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記作動部が、前記ノズル流路内に前記周方向に回転自在に設けられた軸部側に固定され、
前記回転駆動部が、前記軸部を前記周方向に回転させるように構成されている請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記軸部に、前記噴霧方向に変位して前記ノズル流路の先端側内壁との間の流路断面積を調整可能な調整部材を備え、
前記軸部を前記噴霧方向に変位させて前記ノズル流路における前記液体の流量を調整可能な流量調整手段を備えた請求項4に記載の液体噴霧装置。
【請求項6】
前記回転駆動部が、前記作動部の回転速度を調整可能に構成されている請求項1から5の何れか一項に記載の液体噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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