液体混合方法及び液体混合装置
【課題】A液タンクに収容されたA液とB液タンクに収容されたB液を配管内で所望の比率で混合した混合液を得る液体混合装置の製造コストを低減する。
【解決手段】液体混合装置は、A液タンク1aに収容されたA液を送液するためのA液配管3aと、B液タンク1bに収容されたB液を送液するためのB液配管3bと、A液配管3aとB液配管3bを合流させるための継手5と、継手5に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管7と、A液タンク1aの高さ位置とB液タンク1bの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構15a,15bを備えている。
【解決手段】液体混合装置は、A液タンク1aに収容されたA液を送液するためのA液配管3aと、B液タンク1bに収容されたB液を送液するためのB液配管3bと、A液配管3aとB液配管3bを合流させるための継手5と、継手5に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管7と、A液タンク1aの高さ位置とB液タンク1bの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構15a,15bを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体混合方法及び液体混合装置に関し、特に、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法及びそれに用いる液体混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14〜図18は、従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
図14に示す液体混合装置は、A液タンク1aからのA液配管3aとB液タンク1bからのB液配管3bをティーズ5にて結合し、ティーズ5からの混合液配管7に設けられたミキサー9でA液とB液を混合させ、ユースポイントに送液する系である。この系では、重力落下にて、配管3a,3b,7内の流速を確保する。
【0003】
A液とB液の混合比率は、A液配管3aに設けられたA液流量可変バルブ31aとB液配管3bに設けられたB液流量可変バルブ31bにて、配管3a,3bの断面積を調整して、A液、B液の流量を可変にすることによって調整される。A液とB液の流量の調整には、流量可変バルブ31a,31bの下流に設けられたA液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0004】
図15に示す液体混合装置は、図14に示した構成に加え、混合液配管7に送液ポンプ13を備えた系である。この系では、送液ポンプ13にて、配管3a,3b,7内の流速を確保する。送液ポンプ13は、ミキサー9の下流側に挿入されている。
【0005】
この場合、A液とB液の混合比率は、流量可変バルブ31a,31bにて、配管3a,3bの断面積を調整して、A液、B液の流量を可変にすることによって調整される。A液とB液の流量の調整には、流量可変バルブ31a,31bの下流に設けられたA液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0006】
図16に示す液体混合装置は、図14に示した構成の流量可変バルブ31a,31bに替えて、A液配管3aにA液送液ポンプ33aを備え、B液配管3bにB液送液ポンプ33bを備えた系である。この系では、送液ポンプ33a,33bにて、配管3a,3b,7内の流速を確保する。
【0007】
この液体混合装置において、A液とB液の混合比率は、送液ポンプ33a,33bの稼働率を変えて、A液、B液のそれぞれの配管3a,3b内の流量を可変にすることによって調整される。A液とB液の流量の調整には、送液ポンプ33a,33bの下流に設けられたA液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0008】
図17に示す液体混合装置は、図16に示した構成のティーズ5に替えてバッファタンク35を備え、ミキサー9に替えてバッファタンク内ミキサー37を備えた系である。
送液ポンプ33a,33bにて、A液タンク1aとB液タンク1bからA液とB液をバッファタンク35に入れる。A液とB液の流量の調整には、A液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0009】
この系において、A液流量計23a、B液流量計23bは例えば積算流量計である。A液とB液がバッファタンク35内にとどまっている時間に、流量計23a,23bの積算値がバッファタンク35に収容されているので、A液とB液の混合比率は計算より求めることができる。
バッファタンク35に設置されているミキサー37によりA液とB液を混合し、混合が終了した後、混合液はユースポイントへと送液される。
【0010】
図18は、図17に示した構成の流量計23a,23bに替えて液面計39を備えた系である。
送液ポンプ33a,33bにて、A液タンク1aとB液タンク1bからA液とB液をバッファタンク35に入れる。バッファタンク35には、液面計39が設置されており、まずバッファタンク35が空の状態から、送液ポンプ33aを稼働させて、指定の液面になるまで、A液をバッファタンク35に入れる。次に送液ポンプ33bを稼働させ、指定の液面になるまで、B液バッファタンク35に入れる。バッファタンク35内の液面高さにより、バッファタンク35に入ったA液及びB液の容量が求められる。その容量値から、A液とB液の混合比率が計算より求められる。その後、バッファタンク35に設置してあるミキサー37によりA液とB液を混合し、混合が終了した後、混合液はユースポイントへと送液される。
【0011】
図14〜図18を参照して説明した従来の液体混合装置は、大きく分けて図14〜図16のグループと、図17,図18のグループの2つに分類できる。
前者は、バッファタンクなしで、流量計23a,23bによりA液とB液の液流量を随時測定し、その測定データより混合比率を計算して、指定混合値になるように制御した混合液をユースポイントに送液することができる。
後者の図17は流量計23a,23bを使用して、図18は液面計39を使用して、バッファタンク35内の液容量を求めて混合比率を算出している。
【0012】
後者グループの液体混合装置は、バッファタンク容量が可変なので、大容量の混合が可能で、液面計などのセンサは、バッファタンク容量を大きくすることにより調合精度を向上させることができ、より精密な混合には向いている。
しかし、後者グループは以下の問題を有する。(1)前者グループと比較して、バッチ処理による混合であり、迅速性に欠ける。(2)バッファタンク分の液が常に存在することになり、残液が発生して、液使用効率が低下する場合がある。(3)バッファタンク分がかさ高になり、装置自体が大きくなるのと、その分のコスト高の問題があった。
【0013】
また、図18の液体混合装置は、液面計39によりバッファタンク35内の液容量を測定しているが、バッファタンク35の重量測定より、バッファタンク35内のA液、B液の量を測定する場合もある。その場合の重量測定手段としては、重量センサを使用するが、概してその価格は高いという問題があった。
【0014】
前者グループである図14〜図16の液体混合装置は、流量可変バルブ31a,31bを使用するもの(図14、図15)と、そうでないもの(図16)に分類できる。
図14、図15の液体混合装置における流量可変バルブ31a,31bは、バルブの開度を調整して流量を調整するもので、一般的に使用されるが、液体の種類、温度、圧力、動作速度により、それに合ったものが選定される。流量可変バルブの種類によっては、高価であったり、複雑なため信頼性が低下したりする問題があった。
【0015】
図16の液体混合装置は、流量可変バルブの代わりに、送液ポンプ33a,33bの稼働率を調整することにより流量を変えるものである。送液ポンプの場合は、流量可変バルブと同じで、液体の種類、温度、圧力、動作速度により、それに合ったものが選定される。流量可変バルブと同じく、送液ポンプの種類によっては、高価であったり、複雑なため信頼性が低下したりする問題があった。
【0016】
図14から図18は従来の混合系を模式的に示したものであり、流量計、流量可変バルブ、ティーズ、ミキサー、送液ポンプ、バッファタンクは、形状や機構が変わっても、それぞれの機能が同じであれば、実際の液体混合装置は各部類に分けられる。
【0017】
【特許文献1】特開平10−320056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法及びそれに用いる液体混合装置において、装置の製造コストを低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にかかる液体混合方法は、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法であって、上記A液タンク内でのA液の液面高さ位置と上記B液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させることによって、混合液でのA液とB液の混合比率を変化させる。
【0020】
本発明にかかる液体混合装置は、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管と、A液配管とB液配管を合流させるための継手と、その継手に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管とを備えた液体混合装置であって、上記A液タンクの高さ位置と上記B液タンクの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構を備えたものである。
【0021】
本発明の液体混合方法及び液体混合装置は、タンクに収容された液の液面高さを変化させることにより、タンクからの配管内を流れる液の流速を変化させる。液面高さの変化に伴って液流量が変化することは知られている(例えば特許文献1を参照。)。
本発明の液体混合方法及び液体混合装置において、A液タンク内でのA液の液面高さ位置とB液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させると、混合液でのA液とB液の混合比率が変化するので、A液の液面高さ位置とB液の液面高さ位置を制御することにより、A液とB液を所望の比率で混合した混合液が得られる。
【0022】
本発明の液体混合装置において、上記タンク高さ位置調整機構の一例は、上記A液タンクを昇降させるためのA液タンク昇降機構と、上記B液タンクを昇降させるためのB液タンク昇降機構と、を備えている。
上記タンク高さ位置調整機構の他の例は、上記A液タンクを支持するA液タンク支持部と、上記B液タンクを支持するB液タンク支持部と、一端側に上記A液タンク支持部が接続され、他端側に上記B液タンク支持部が接続され、上記一端側と上記他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するレバーと、上記レバーを揺動させるレバー駆動機構と、を備えている。
ただし、タンク高さ位置調整機構の構成は、これらの構成に限定されるものではなく、A液タンクとB液タンクの高さ位置とを相対的に変化させることができる構成であればどのような構成であってもよい。
【0023】
本発明の液体混合装置において、混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するために上記混合液配管に設けられた測定部を備えているようにしてもよい。
この場合、上記測定部の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように上記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにしてもよい。
【0024】
本発明の液体混合装置において、上記A液配管に設けられたA液流量計と、上記B液配管に設けられたB液流量計を備えているようにしてもよい。
この場合、上記A液流量計及び上記B液流量計の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように上記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにしてもよい。
【0025】
本発明の液体混合装置において、上記A液タンク内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計と、上記B液タンク内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計とを備えているようにしてもよい。
【0026】
また、A液とB液を混合するために上記混合液配管に設けられた混合器を備えているようにしてもよい。
また、混合液を送液するために上記混合液配管に設けられた送液ポンプを備えているようにしてもよい。ただし、本発明の液体混合装置における送液は、重力落下を用いるものであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の液体混合方法では、A液タンク内でのA液の液面高さ位置とB液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させることによって混合液でのA液とB液の混合比率を変化させるようにし、本発明の液体混合装置は、A液タンクの高さ位置とB液タンクの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構を備えているようにしたので、図14、図15に示した流量可変バルブ31a,31bや、図16に示した送液ポンプ33a,33b、図17、図18に示したバッファタンク35を用いる必要がなく、装置コストの低減を図ることができる。さらに、図16に示した装置に比べ、装置の簡単化を図ることができる。さらに、図17、図18に示した装置に比べ、装置の小型化や、迅速な混合液の調合が可能となる。
【0028】
本発明の液体混合装置において、タンク高さ位置調整機構は、A液タンクを昇降させるためのA液タンク昇降機構と、B液タンクを昇降させるためのB液タンク昇降機構と、を備えているようにすれば、A液タンク高さ位置及びB液タンク高さ位置をそれぞれ独立して調整できる。
【0029】
また、タンク高さ位置調整機構は、A液タンクを支持するA液タンク支持部と、B液タンクを支持するB液タンク支持部と、一端側にA液タンク支持部が接続され、他端側にB液タンク支持部が接続され、一端側と他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するレバーと、レバーを揺動させるレバー駆動機構と、を備えているようにすれば、1つの駆動機構でA液タンク高さ位置及びB液タンク高さ位置とを相対的に変化させることができるので、タンク高さ位置調整機構の構成が簡単になる。
【0030】
また、混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するために混合液配管に設けられた測定部を備えているようにすれば、混合液でのA液とB液の混合比率を随時監視できる。
この場合、測定部の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるようにタンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにすれば、迅速かつ自動で所望の混合比率の混合液を得ることができる。
【0031】
本発明の液体混合装置において、A液配管に設けられたA液流量計と、B液配管に設けられたB液流量計を備えているようにすれば、混合液でのA液とB液の混合比率を随時監視できる。
この場合、A液流量計及びB液流量計の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるようにタンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにすれば、迅速かつ自動で所望の混合比率の混合液を得ることができる。
【0032】
本発明の液体混合装置において、A液タンク内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計と、B液タンク内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計とを備えているようにすれば、A液面高さ位置及びB液面高さ位置を随時監視できる。
【0033】
また、A液とB液を混合するために混合液配管に設けられた混合器を備えているようにすれば、混合液配管でA液とB液を確実に混合させることができる。
また、混合液を送液するために混合液配管に設けられた送液ポンプを備えているようにすれば、送液に重力落下を用いる場合に比べて流速制御の迅速性及び範囲が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、液体混合装置の一実施例を概略的に示す図である。
A液を収容するためのA液タンク1aと、B液を収容するためのB液タンク1bが設けられている。A液タンク1aに収容されたA液を送液するためのA液配管3aと、B液タンク1bに収容されたB液を送液するためのB液配管3bと、A液配管3aとB液配管3bを合流させるためのティーズ(継手)5と、ティーズ5に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管7が設けられている。
【0035】
混合液配管7に、上流側から順に、ミキサー(混合器)9、測定部11、送液ポンプ13が設けられている。ミキサー9はA液とB液を混合するためのものである。測定部11は混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するためのものである。送液ポンプ13は配管3a,3b,7内の液をユースポイントへ送液するためのものである。
【0036】
A液タンク1aを昇降させるためのA液タンク昇降機構15aと、B液タンク1bを昇降させるためのB液タンク昇降機構15bが設けられている。タンク昇降機構15a,15bは、本発明の液体混合装置のタンク高さ位置調整機構を構成する。
タンク昇降機構15a,15bの動作を制御するための制御部17が設けられている。制御部17は、測定部11の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるようにタンク昇降機構15a,15bにフィードバック制御をかける。
A液タンク1a内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計19aと、B液タンク1b内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計19bが設けられている。
【0037】
この実施例では、A液タンク1aの高さ位置とB液タンク1bの高さ位置を変化させることにより、A液タンク1a内のA液面高さ位置とB液タンク1b内のB液面高さ位置を変化させて、A液の流量、B液の流量を変化させる。液面高さ位置が上がれば、ヘッド圧が高くなり、流量が増加する。液面高さ位置が下がれば、ヘッド圧が低くなり、流量が減少する。
【0038】
A液とB液の混合比率は、A液タンク1aの高さ位置とB液タンク1bの高さ位置が変化されることによって決定される。タンク1a,1b内での液面高さは、それぞれのタンク1a,1bの横に設置されている液面計19a,19bで測定する。ミキサー9を通過した後の混合液のA液濃度もしくはB液濃度又はその両方を測定部11で測定する。測定部11の測定データに基づいて、制御部17により、所望の混合比の混合液が得られるようにタンク昇降機構15a,15bが制御される。A液タンク1aとB液タンク1bの高さ位置は、それぞれ独立のタンク昇降機構15a,15bで調整される。ユースポイントへの混合後流量は、送液ポンプ13の稼働率で可変にできる。また、混合後流量は、A液タンク1a及びB液タンク1bの両方を上げ下げすることによっても可変である。
【0039】
A液とB液の混合比率の制御方法は、測定部11の測定データから、現在流れている混合液の混合比率が、設定された値よりも高いか低いかを、制御部17で判断する。A液の比率が高い場合は、A液タンク1aの高さ位置を下げる。仮に、A液タンク1aの高さ位置が下限まできているならば、B液タンク1bの高さ位置を上げる。タンク1a,1bの上げ下げは、制御部17からタンク昇降機構15a,15bに電気信号が伝えられることによって行なわれる。例えば数秒後に、このアクションの結果が、測定部11の測定データに反映される。制御部17は、測定データに基づいて、設定された混合比率にまだ達していないと判断した場合は、さらにA液タンク1aの高さ位置を下げるアクション、又はB液タンク1bの高さ位置を上げるアクションを指示し、すでに設定された混合比率に達している場合は逆のアクションを指示するフィードバック制御を行なう。
【0040】
また、タンク1a,1bの液面高さ変化と流量変化の関係を予め取得したデータを制御部17に設けられたメモリ装置に格納しておくようにしてもよい。制御部17は、設定された混合比率と、測定部11からの測定データとを比較して、設定された混合比率にするために必要なA液、B液の流量変化分を求め、それに応じたA液タンク1a、B液タンク1bの高さ位置の変化量を算出する。そして、制御部17は、そのタンク高さ位置変化量をタンク昇降機構15a,15bに電気信号で伝える。本発明の液体混合装置は、このようなフィードフォワード制御を行なうこともできる。
【0041】
図2は、液体混合装置の他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図1に示した装置のタンク昇降機構15a,15bに替えて、タンク昇降機構(タンク高さ位置調整機構)21を備えている。タンク昇降機構21は、A液タンク支持部21aと、B液タンク支持部21bと、レバー21cと、レバー駆動機構21dを備え、天秤形状の機構を有する。A液タンク支持部21aはA液タンク1aを支持するためのものである。B液タンク支持部21bはB液タンク1bを支持するためのものである。レバー21cは、一端側にA液タンク支持部21aが接続され、他端側にB液タンク支持部21bが接続され、その一端側と他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するものである。レバー駆動機構21dはレバー21cを揺動させるためのものである。タンク昇降機構21は、1つの駆動部で、タンク1a,1bを互いに逆方向に上下移動させる。
【0042】
A液とB液の混合比率は、タンク1a,1b内のA液面高さとB液面高さの差を変化させて調整される。液面高さ差は、タンク1a,1bの横に設置されている液面計19a,19bで測定される。測定部11はミキサー9を通過した後の混合液を測定する。その測定データはタンク昇降機構21に用いられる。ユースポイントへの混合液流量は、送液ポンプ13の稼働率で可変にできる。制御方法は、図1を参照して説明した実施例とほぼ同じである。この実施例は、タンク昇降機構の駆動部がひとつになので、制御が容易になる長所がある。
【0043】
図3は、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図2に示した装置から送液ポンプ13を除いたものである。この実施例では、重力落下で送液が行なわれる。
この実施例は、ユースポイントへの混合液の流量制御はあまりできない短所があるが、送液ポンプを用いないことにより、装置構成の簡素化ができる。
【0044】
図4は、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図1に示した装置から送液ポンプ13を除いたものである。この実施例では、タンク1a,1bの両方を上昇又は下降させることにより、混合液の流量をある程度制御できる。
【0045】
図5、図6、図7、図8は、それぞれ、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
図5の実施例は図1の実施例に対して、図6の実施例は図2の実施例に対して、図7の実施例は図3の実施例に対して、図8の実施例は図4の実施例に対して、測定部11を除き、A液配管3aにA液流量計23aを、B液配管3bにB液流量計23bを備えたものである。
これらの実施例において、流量計23a,23bの指示値に基づき、混合液での混合比率は計算で求められることができるので、このような態様でも可能である。
【0046】
図9は、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図2に示した実施例の発展型である。A液主タンク25aとB液主タンク25bが設けられている。主タンク25a,25bの重量が大きく、容易には主タンク25a,25bを上下移動させることができない場合は、A液タンク1a、B液タンク1bの少量タンクを設ける。タンク1a,1bを上下させることにより、タンク1a,1b内の液面高さ位置を変化させ、混合比率を変えるしくみである。
【0047】
A液主タンク25aに、上下に伸縮の可能な蛇腹チューブ27aが取り付けられ、蛇腹チューブ27aの出口がタンク1aの内壁面にチューブ取付部29aにより取り付けられている。A液タンク1a内の液面高さ位置は、蛇腹チューブ29aの出口高さと常に同じになる。同様に、B液主タンク1bとB液タンク1bに蛇腹チューブ29b、チューブ取付部29bが取り付けられている。B液タンク1b内の液面高さ位置は、蛇腹チューブ29bの出口高さと常に同じになる。
【0048】
タンク1a,1bを上下移動させれば、それと同時にタンク1a,1b内の液面高さ位置も変化する。タンク1a,1b内の液が使用されて、液面が少し低下しても、すかさずA液主タンク25a、B液主タンク25bから液を補給することになり、液面の低下が起こらない。
このような構成は、図1、図3〜図8に示した実施例にも適用できる。
【0049】
次に、図1に示した配管系を用い、A液とB液の混合比率を変化させた結果を説明する。
A液タンク1a、B液タンク1bとして20L(リットル)タンクを用いた。B液タンク1bには、濃度が4.3wt%(重量パーセント)のIPA(イソプロピルアルコール)を入れた。A液タンク1aには純水を入れた。A液タンク1aからティーズ5までのA液配管3aの長さは3m(メートル)である。B液タンク1bからティーズ5までのB液配管の長さは3mである。ティーズ5からミキサー9までの混合液配管7の長さは1cm(センチメートル)である。ミキサー9から測定部11までの混合液配管7の長さは30cmである。測定部11からポンプ13までの混合液配管7の長さは50cmである。
【0050】
配管は、全て外径3mm、内径2mmのPFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)製チューブである。ミキサー9は、チューブ内に螺旋状の攪拌部があり、液がそこを通過する間にミキシングされるものである。測定部11は、液体の近赤外線スペクトル透過減衰率を測定するものである。送液ポンプ13はチューブしごきポンプであり、流量は、10cc/分である。
【0051】
図10、図11が結果である。
図10は、IPA濃度の経時変化を示す図である。横軸が時間軸で、縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。図10中で、区間aは、A液面高さ位置及びB液面高さ位置が基準位置(0mm(ミリメートル))で液面差(B液面高さ位置−A液面高さ位置)が0mmである。区間bは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さ位置が−50mm、液面差が−50mmである。区間cは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが50mm、液面差が50mmである。区間dは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが25mm、液面差が25mmである。区間eは、A液面高さ位置が25mm、B液面高さが0mm、液面差が−25mmである。区間fは、A液面高さ位置が100mm、B液面高さが0mm、液面差が−100mmである。区間gは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが100mm、液面差が100mmである。区間hは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが150mm、液面差が150mmである。区間iは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが200mm、液面差が200mmである。
図11は、IPA濃度と、液面差(B液面高さ位置−A液面高さ位置)の関係を示す図である。縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。横軸は液面差(mm)である。
これらの結果から、液面差にほぼ相関のある結果が得られているのがわかる。液面差を制御することにより、IPA濃度を制御できる。
【0052】
次に、図1に示した配管系を用い、他の条件でA液とB液の混合比率を変化させた結果を説明する。
A液タンク1a、B液タンク1bとして20Lタンクを用いた。A液タンク1aには、濃度が1wt%のIPAを入れた。B液タンク1bには純水を入れた。A液タンク1aからティーズ5までのA液配管3aの長さは0.8mである。B液タンク1bからティーズ5までのB液配管の長さは0.8mである。ティーズ5からミキサー9までの混合液配管7の長さは1cmである。ミキサー9から測定部11までの混合液配管7の長さは30cmである。測定部11からポンプ13までの混合液配管7の長さは50cmである。
【0053】
A液配管3aは、外径2mm、内径1mmのPFA製チューブである。B液配管3b及び混合液配管7は、外径3mm、内径2mmのPFA製チューブである。ミキサー9は、チューブ内に螺旋状の攪拌部があり、液がそこを通過する間にミキシングされるものである。測定部11は、液体の近赤外線スペクトル透過減衰率を測定するものである。送液ポンプ13はチューブしごきポンプであり、流量は、10cc/分である。
【0054】
図12、図13が結果である。
図12は、IPA濃度の経時変化を示す図である。横軸が時間軸で、縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。図91中で、区間aは、A液面高さ位置及びB液面高さ位置が基準位置(0mm)で液面差(A液面高さ位置−B液面高さ位置)が0mmである。区間bは、A液面高さ位置が50mm、B液面高さ位置が0mm、液面差が50mmである。区間cは、A液面高さ位置が100mm、B液面高さが0mm、液面差が100mmである。区間dは、A液面高さ位置が150mm、B液面高さが0mm、液面差が150mmである。区間eは、A液面高さ位置が200mm、B液面高さが0mm、液面差が200mmである。
図13は、IPA濃度と、液面差(A液面高さ位置−B液面高さ位置)の関係を示す図である。縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。横軸は液面差(mm)である。
これら結果から、液面差にほぼ相関のある結果が得られているのがわかる。液面差を制御することにより、IPA濃度を0.01wt%から0.035wt%付近まで制御できる。これは、希釈率として、30倍から100倍程度が可能な例である。
【0055】
以上、本発明の実施例を説明したが、材料、形状、配置、寸法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】液体混合装置の一実施例を概略的に示す図である。
【図2】液体混合装置の他の実施例を概略的に示す図である。
【図3】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図4】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図5】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図6】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図7】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図8】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図9】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図10】図1の液体混合装置で混合比率を制御した一例におけるIPA濃度の経時変化を示す図である。
【図11】図10の、IPA濃度と、液面差(B液面高さ位置−A液面高さ位置)の関係を示す図である。
【図12】図1の液体混合装置で混合比率を制御した他の例におけるIPA濃度の経時変化を示す図である。
【図13】図12の、IPA濃度と、液面差(A液面高さ位置−B液面高さ位置)の関係を示す図である。
【図14】従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図15】他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図16】さらに他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図17】さらに他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図18】さらに他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【符号の説明】
【0057】
1a A液タンク
1b B液タンク
3a A液配管
3b B液配管
5 ティーズ(継手)
7 混合液配管
9 ミキサー(混合器)
11 測定部
13 送液ポンプ
15a A液タンク昇降機構
15b B液タンク昇降機構
17 制御部
21 タンク昇降機構
21a A液タンク支持部
21b B液タンク支持部
21c レバー
21d レバー駆動機構
23a A液流量計
23b B液流量計
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体混合方法及び液体混合装置に関し、特に、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法及びそれに用いる液体混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14〜図18は、従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
図14に示す液体混合装置は、A液タンク1aからのA液配管3aとB液タンク1bからのB液配管3bをティーズ5にて結合し、ティーズ5からの混合液配管7に設けられたミキサー9でA液とB液を混合させ、ユースポイントに送液する系である。この系では、重力落下にて、配管3a,3b,7内の流速を確保する。
【0003】
A液とB液の混合比率は、A液配管3aに設けられたA液流量可変バルブ31aとB液配管3bに設けられたB液流量可変バルブ31bにて、配管3a,3bの断面積を調整して、A液、B液の流量を可変にすることによって調整される。A液とB液の流量の調整には、流量可変バルブ31a,31bの下流に設けられたA液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0004】
図15に示す液体混合装置は、図14に示した構成に加え、混合液配管7に送液ポンプ13を備えた系である。この系では、送液ポンプ13にて、配管3a,3b,7内の流速を確保する。送液ポンプ13は、ミキサー9の下流側に挿入されている。
【0005】
この場合、A液とB液の混合比率は、流量可変バルブ31a,31bにて、配管3a,3bの断面積を調整して、A液、B液の流量を可変にすることによって調整される。A液とB液の流量の調整には、流量可変バルブ31a,31bの下流に設けられたA液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0006】
図16に示す液体混合装置は、図14に示した構成の流量可変バルブ31a,31bに替えて、A液配管3aにA液送液ポンプ33aを備え、B液配管3bにB液送液ポンプ33bを備えた系である。この系では、送液ポンプ33a,33bにて、配管3a,3b,7内の流速を確保する。
【0007】
この液体混合装置において、A液とB液の混合比率は、送液ポンプ33a,33bの稼働率を変えて、A液、B液のそれぞれの配管3a,3b内の流量を可変にすることによって調整される。A液とB液の流量の調整には、送液ポンプ33a,33bの下流に設けられたA液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0008】
図17に示す液体混合装置は、図16に示した構成のティーズ5に替えてバッファタンク35を備え、ミキサー9に替えてバッファタンク内ミキサー37を備えた系である。
送液ポンプ33a,33bにて、A液タンク1aとB液タンク1bからA液とB液をバッファタンク35に入れる。A液とB液の流量の調整には、A液流量計23a、B液流量計23bの指示値が使用される。
【0009】
この系において、A液流量計23a、B液流量計23bは例えば積算流量計である。A液とB液がバッファタンク35内にとどまっている時間に、流量計23a,23bの積算値がバッファタンク35に収容されているので、A液とB液の混合比率は計算より求めることができる。
バッファタンク35に設置されているミキサー37によりA液とB液を混合し、混合が終了した後、混合液はユースポイントへと送液される。
【0010】
図18は、図17に示した構成の流量計23a,23bに替えて液面計39を備えた系である。
送液ポンプ33a,33bにて、A液タンク1aとB液タンク1bからA液とB液をバッファタンク35に入れる。バッファタンク35には、液面計39が設置されており、まずバッファタンク35が空の状態から、送液ポンプ33aを稼働させて、指定の液面になるまで、A液をバッファタンク35に入れる。次に送液ポンプ33bを稼働させ、指定の液面になるまで、B液バッファタンク35に入れる。バッファタンク35内の液面高さにより、バッファタンク35に入ったA液及びB液の容量が求められる。その容量値から、A液とB液の混合比率が計算より求められる。その後、バッファタンク35に設置してあるミキサー37によりA液とB液を混合し、混合が終了した後、混合液はユースポイントへと送液される。
【0011】
図14〜図18を参照して説明した従来の液体混合装置は、大きく分けて図14〜図16のグループと、図17,図18のグループの2つに分類できる。
前者は、バッファタンクなしで、流量計23a,23bによりA液とB液の液流量を随時測定し、その測定データより混合比率を計算して、指定混合値になるように制御した混合液をユースポイントに送液することができる。
後者の図17は流量計23a,23bを使用して、図18は液面計39を使用して、バッファタンク35内の液容量を求めて混合比率を算出している。
【0012】
後者グループの液体混合装置は、バッファタンク容量が可変なので、大容量の混合が可能で、液面計などのセンサは、バッファタンク容量を大きくすることにより調合精度を向上させることができ、より精密な混合には向いている。
しかし、後者グループは以下の問題を有する。(1)前者グループと比較して、バッチ処理による混合であり、迅速性に欠ける。(2)バッファタンク分の液が常に存在することになり、残液が発生して、液使用効率が低下する場合がある。(3)バッファタンク分がかさ高になり、装置自体が大きくなるのと、その分のコスト高の問題があった。
【0013】
また、図18の液体混合装置は、液面計39によりバッファタンク35内の液容量を測定しているが、バッファタンク35の重量測定より、バッファタンク35内のA液、B液の量を測定する場合もある。その場合の重量測定手段としては、重量センサを使用するが、概してその価格は高いという問題があった。
【0014】
前者グループである図14〜図16の液体混合装置は、流量可変バルブ31a,31bを使用するもの(図14、図15)と、そうでないもの(図16)に分類できる。
図14、図15の液体混合装置における流量可変バルブ31a,31bは、バルブの開度を調整して流量を調整するもので、一般的に使用されるが、液体の種類、温度、圧力、動作速度により、それに合ったものが選定される。流量可変バルブの種類によっては、高価であったり、複雑なため信頼性が低下したりする問題があった。
【0015】
図16の液体混合装置は、流量可変バルブの代わりに、送液ポンプ33a,33bの稼働率を調整することにより流量を変えるものである。送液ポンプの場合は、流量可変バルブと同じで、液体の種類、温度、圧力、動作速度により、それに合ったものが選定される。流量可変バルブと同じく、送液ポンプの種類によっては、高価であったり、複雑なため信頼性が低下したりする問題があった。
【0016】
図14から図18は従来の混合系を模式的に示したものであり、流量計、流量可変バルブ、ティーズ、ミキサー、送液ポンプ、バッファタンクは、形状や機構が変わっても、それぞれの機能が同じであれば、実際の液体混合装置は各部類に分けられる。
【0017】
【特許文献1】特開平10−320056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法及びそれに用いる液体混合装置において、装置の製造コストを低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にかかる液体混合方法は、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法であって、上記A液タンク内でのA液の液面高さ位置と上記B液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させることによって、混合液でのA液とB液の混合比率を変化させる。
【0020】
本発明にかかる液体混合装置は、A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管と、A液配管とB液配管を合流させるための継手と、その継手に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管とを備えた液体混合装置であって、上記A液タンクの高さ位置と上記B液タンクの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構を備えたものである。
【0021】
本発明の液体混合方法及び液体混合装置は、タンクに収容された液の液面高さを変化させることにより、タンクからの配管内を流れる液の流速を変化させる。液面高さの変化に伴って液流量が変化することは知られている(例えば特許文献1を参照。)。
本発明の液体混合方法及び液体混合装置において、A液タンク内でのA液の液面高さ位置とB液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させると、混合液でのA液とB液の混合比率が変化するので、A液の液面高さ位置とB液の液面高さ位置を制御することにより、A液とB液を所望の比率で混合した混合液が得られる。
【0022】
本発明の液体混合装置において、上記タンク高さ位置調整機構の一例は、上記A液タンクを昇降させるためのA液タンク昇降機構と、上記B液タンクを昇降させるためのB液タンク昇降機構と、を備えている。
上記タンク高さ位置調整機構の他の例は、上記A液タンクを支持するA液タンク支持部と、上記B液タンクを支持するB液タンク支持部と、一端側に上記A液タンク支持部が接続され、他端側に上記B液タンク支持部が接続され、上記一端側と上記他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するレバーと、上記レバーを揺動させるレバー駆動機構と、を備えている。
ただし、タンク高さ位置調整機構の構成は、これらの構成に限定されるものではなく、A液タンクとB液タンクの高さ位置とを相対的に変化させることができる構成であればどのような構成であってもよい。
【0023】
本発明の液体混合装置において、混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するために上記混合液配管に設けられた測定部を備えているようにしてもよい。
この場合、上記測定部の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように上記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにしてもよい。
【0024】
本発明の液体混合装置において、上記A液配管に設けられたA液流量計と、上記B液配管に設けられたB液流量計を備えているようにしてもよい。
この場合、上記A液流量計及び上記B液流量計の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように上記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにしてもよい。
【0025】
本発明の液体混合装置において、上記A液タンク内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計と、上記B液タンク内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計とを備えているようにしてもよい。
【0026】
また、A液とB液を混合するために上記混合液配管に設けられた混合器を備えているようにしてもよい。
また、混合液を送液するために上記混合液配管に設けられた送液ポンプを備えているようにしてもよい。ただし、本発明の液体混合装置における送液は、重力落下を用いるものであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の液体混合方法では、A液タンク内でのA液の液面高さ位置とB液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させることによって混合液でのA液とB液の混合比率を変化させるようにし、本発明の液体混合装置は、A液タンクの高さ位置とB液タンクの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構を備えているようにしたので、図14、図15に示した流量可変バルブ31a,31bや、図16に示した送液ポンプ33a,33b、図17、図18に示したバッファタンク35を用いる必要がなく、装置コストの低減を図ることができる。さらに、図16に示した装置に比べ、装置の簡単化を図ることができる。さらに、図17、図18に示した装置に比べ、装置の小型化や、迅速な混合液の調合が可能となる。
【0028】
本発明の液体混合装置において、タンク高さ位置調整機構は、A液タンクを昇降させるためのA液タンク昇降機構と、B液タンクを昇降させるためのB液タンク昇降機構と、を備えているようにすれば、A液タンク高さ位置及びB液タンク高さ位置をそれぞれ独立して調整できる。
【0029】
また、タンク高さ位置調整機構は、A液タンクを支持するA液タンク支持部と、B液タンクを支持するB液タンク支持部と、一端側にA液タンク支持部が接続され、他端側にB液タンク支持部が接続され、一端側と他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するレバーと、レバーを揺動させるレバー駆動機構と、を備えているようにすれば、1つの駆動機構でA液タンク高さ位置及びB液タンク高さ位置とを相対的に変化させることができるので、タンク高さ位置調整機構の構成が簡単になる。
【0030】
また、混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するために混合液配管に設けられた測定部を備えているようにすれば、混合液でのA液とB液の混合比率を随時監視できる。
この場合、測定部の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるようにタンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにすれば、迅速かつ自動で所望の混合比率の混合液を得ることができる。
【0031】
本発明の液体混合装置において、A液配管に設けられたA液流量計と、B液配管に設けられたB液流量計を備えているようにすれば、混合液でのA液とB液の混合比率を随時監視できる。
この場合、A液流量計及びB液流量計の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるようにタンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えているようにすれば、迅速かつ自動で所望の混合比率の混合液を得ることができる。
【0032】
本発明の液体混合装置において、A液タンク内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計と、B液タンク内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計とを備えているようにすれば、A液面高さ位置及びB液面高さ位置を随時監視できる。
【0033】
また、A液とB液を混合するために混合液配管に設けられた混合器を備えているようにすれば、混合液配管でA液とB液を確実に混合させることができる。
また、混合液を送液するために混合液配管に設けられた送液ポンプを備えているようにすれば、送液に重力落下を用いる場合に比べて流速制御の迅速性及び範囲が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、液体混合装置の一実施例を概略的に示す図である。
A液を収容するためのA液タンク1aと、B液を収容するためのB液タンク1bが設けられている。A液タンク1aに収容されたA液を送液するためのA液配管3aと、B液タンク1bに収容されたB液を送液するためのB液配管3bと、A液配管3aとB液配管3bを合流させるためのティーズ(継手)5と、ティーズ5に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管7が設けられている。
【0035】
混合液配管7に、上流側から順に、ミキサー(混合器)9、測定部11、送液ポンプ13が設けられている。ミキサー9はA液とB液を混合するためのものである。測定部11は混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するためのものである。送液ポンプ13は配管3a,3b,7内の液をユースポイントへ送液するためのものである。
【0036】
A液タンク1aを昇降させるためのA液タンク昇降機構15aと、B液タンク1bを昇降させるためのB液タンク昇降機構15bが設けられている。タンク昇降機構15a,15bは、本発明の液体混合装置のタンク高さ位置調整機構を構成する。
タンク昇降機構15a,15bの動作を制御するための制御部17が設けられている。制御部17は、測定部11の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるようにタンク昇降機構15a,15bにフィードバック制御をかける。
A液タンク1a内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計19aと、B液タンク1b内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計19bが設けられている。
【0037】
この実施例では、A液タンク1aの高さ位置とB液タンク1bの高さ位置を変化させることにより、A液タンク1a内のA液面高さ位置とB液タンク1b内のB液面高さ位置を変化させて、A液の流量、B液の流量を変化させる。液面高さ位置が上がれば、ヘッド圧が高くなり、流量が増加する。液面高さ位置が下がれば、ヘッド圧が低くなり、流量が減少する。
【0038】
A液とB液の混合比率は、A液タンク1aの高さ位置とB液タンク1bの高さ位置が変化されることによって決定される。タンク1a,1b内での液面高さは、それぞれのタンク1a,1bの横に設置されている液面計19a,19bで測定する。ミキサー9を通過した後の混合液のA液濃度もしくはB液濃度又はその両方を測定部11で測定する。測定部11の測定データに基づいて、制御部17により、所望の混合比の混合液が得られるようにタンク昇降機構15a,15bが制御される。A液タンク1aとB液タンク1bの高さ位置は、それぞれ独立のタンク昇降機構15a,15bで調整される。ユースポイントへの混合後流量は、送液ポンプ13の稼働率で可変にできる。また、混合後流量は、A液タンク1a及びB液タンク1bの両方を上げ下げすることによっても可変である。
【0039】
A液とB液の混合比率の制御方法は、測定部11の測定データから、現在流れている混合液の混合比率が、設定された値よりも高いか低いかを、制御部17で判断する。A液の比率が高い場合は、A液タンク1aの高さ位置を下げる。仮に、A液タンク1aの高さ位置が下限まできているならば、B液タンク1bの高さ位置を上げる。タンク1a,1bの上げ下げは、制御部17からタンク昇降機構15a,15bに電気信号が伝えられることによって行なわれる。例えば数秒後に、このアクションの結果が、測定部11の測定データに反映される。制御部17は、測定データに基づいて、設定された混合比率にまだ達していないと判断した場合は、さらにA液タンク1aの高さ位置を下げるアクション、又はB液タンク1bの高さ位置を上げるアクションを指示し、すでに設定された混合比率に達している場合は逆のアクションを指示するフィードバック制御を行なう。
【0040】
また、タンク1a,1bの液面高さ変化と流量変化の関係を予め取得したデータを制御部17に設けられたメモリ装置に格納しておくようにしてもよい。制御部17は、設定された混合比率と、測定部11からの測定データとを比較して、設定された混合比率にするために必要なA液、B液の流量変化分を求め、それに応じたA液タンク1a、B液タンク1bの高さ位置の変化量を算出する。そして、制御部17は、そのタンク高さ位置変化量をタンク昇降機構15a,15bに電気信号で伝える。本発明の液体混合装置は、このようなフィードフォワード制御を行なうこともできる。
【0041】
図2は、液体混合装置の他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図1に示した装置のタンク昇降機構15a,15bに替えて、タンク昇降機構(タンク高さ位置調整機構)21を備えている。タンク昇降機構21は、A液タンク支持部21aと、B液タンク支持部21bと、レバー21cと、レバー駆動機構21dを備え、天秤形状の機構を有する。A液タンク支持部21aはA液タンク1aを支持するためのものである。B液タンク支持部21bはB液タンク1bを支持するためのものである。レバー21cは、一端側にA液タンク支持部21aが接続され、他端側にB液タンク支持部21bが接続され、その一端側と他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するものである。レバー駆動機構21dはレバー21cを揺動させるためのものである。タンク昇降機構21は、1つの駆動部で、タンク1a,1bを互いに逆方向に上下移動させる。
【0042】
A液とB液の混合比率は、タンク1a,1b内のA液面高さとB液面高さの差を変化させて調整される。液面高さ差は、タンク1a,1bの横に設置されている液面計19a,19bで測定される。測定部11はミキサー9を通過した後の混合液を測定する。その測定データはタンク昇降機構21に用いられる。ユースポイントへの混合液流量は、送液ポンプ13の稼働率で可変にできる。制御方法は、図1を参照して説明した実施例とほぼ同じである。この実施例は、タンク昇降機構の駆動部がひとつになので、制御が容易になる長所がある。
【0043】
図3は、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図2に示した装置から送液ポンプ13を除いたものである。この実施例では、重力落下で送液が行なわれる。
この実施例は、ユースポイントへの混合液の流量制御はあまりできない短所があるが、送液ポンプを用いないことにより、装置構成の簡素化ができる。
【0044】
図4は、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図1に示した装置から送液ポンプ13を除いたものである。この実施例では、タンク1a,1bの両方を上昇又は下降させることにより、混合液の流量をある程度制御できる。
【0045】
図5、図6、図7、図8は、それぞれ、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
図5の実施例は図1の実施例に対して、図6の実施例は図2の実施例に対して、図7の実施例は図3の実施例に対して、図8の実施例は図4の実施例に対して、測定部11を除き、A液配管3aにA液流量計23aを、B液配管3bにB液流量計23bを備えたものである。
これらの実施例において、流量計23a,23bの指示値に基づき、混合液での混合比率は計算で求められることができるので、このような態様でも可能である。
【0046】
図9は、液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
この実施例は、図2に示した実施例の発展型である。A液主タンク25aとB液主タンク25bが設けられている。主タンク25a,25bの重量が大きく、容易には主タンク25a,25bを上下移動させることができない場合は、A液タンク1a、B液タンク1bの少量タンクを設ける。タンク1a,1bを上下させることにより、タンク1a,1b内の液面高さ位置を変化させ、混合比率を変えるしくみである。
【0047】
A液主タンク25aに、上下に伸縮の可能な蛇腹チューブ27aが取り付けられ、蛇腹チューブ27aの出口がタンク1aの内壁面にチューブ取付部29aにより取り付けられている。A液タンク1a内の液面高さ位置は、蛇腹チューブ29aの出口高さと常に同じになる。同様に、B液主タンク1bとB液タンク1bに蛇腹チューブ29b、チューブ取付部29bが取り付けられている。B液タンク1b内の液面高さ位置は、蛇腹チューブ29bの出口高さと常に同じになる。
【0048】
タンク1a,1bを上下移動させれば、それと同時にタンク1a,1b内の液面高さ位置も変化する。タンク1a,1b内の液が使用されて、液面が少し低下しても、すかさずA液主タンク25a、B液主タンク25bから液を補給することになり、液面の低下が起こらない。
このような構成は、図1、図3〜図8に示した実施例にも適用できる。
【0049】
次に、図1に示した配管系を用い、A液とB液の混合比率を変化させた結果を説明する。
A液タンク1a、B液タンク1bとして20L(リットル)タンクを用いた。B液タンク1bには、濃度が4.3wt%(重量パーセント)のIPA(イソプロピルアルコール)を入れた。A液タンク1aには純水を入れた。A液タンク1aからティーズ5までのA液配管3aの長さは3m(メートル)である。B液タンク1bからティーズ5までのB液配管の長さは3mである。ティーズ5からミキサー9までの混合液配管7の長さは1cm(センチメートル)である。ミキサー9から測定部11までの混合液配管7の長さは30cmである。測定部11からポンプ13までの混合液配管7の長さは50cmである。
【0050】
配管は、全て外径3mm、内径2mmのPFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)製チューブである。ミキサー9は、チューブ内に螺旋状の攪拌部があり、液がそこを通過する間にミキシングされるものである。測定部11は、液体の近赤外線スペクトル透過減衰率を測定するものである。送液ポンプ13はチューブしごきポンプであり、流量は、10cc/分である。
【0051】
図10、図11が結果である。
図10は、IPA濃度の経時変化を示す図である。横軸が時間軸で、縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。図10中で、区間aは、A液面高さ位置及びB液面高さ位置が基準位置(0mm(ミリメートル))で液面差(B液面高さ位置−A液面高さ位置)が0mmである。区間bは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さ位置が−50mm、液面差が−50mmである。区間cは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが50mm、液面差が50mmである。区間dは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが25mm、液面差が25mmである。区間eは、A液面高さ位置が25mm、B液面高さが0mm、液面差が−25mmである。区間fは、A液面高さ位置が100mm、B液面高さが0mm、液面差が−100mmである。区間gは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが100mm、液面差が100mmである。区間hは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが150mm、液面差が150mmである。区間iは、A液面高さ位置が0mm、B液面高さが200mm、液面差が200mmである。
図11は、IPA濃度と、液面差(B液面高さ位置−A液面高さ位置)の関係を示す図である。縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。横軸は液面差(mm)である。
これらの結果から、液面差にほぼ相関のある結果が得られているのがわかる。液面差を制御することにより、IPA濃度を制御できる。
【0052】
次に、図1に示した配管系を用い、他の条件でA液とB液の混合比率を変化させた結果を説明する。
A液タンク1a、B液タンク1bとして20Lタンクを用いた。A液タンク1aには、濃度が1wt%のIPAを入れた。B液タンク1bには純水を入れた。A液タンク1aからティーズ5までのA液配管3aの長さは0.8mである。B液タンク1bからティーズ5までのB液配管の長さは0.8mである。ティーズ5からミキサー9までの混合液配管7の長さは1cmである。ミキサー9から測定部11までの混合液配管7の長さは30cmである。測定部11からポンプ13までの混合液配管7の長さは50cmである。
【0053】
A液配管3aは、外径2mm、内径1mmのPFA製チューブである。B液配管3b及び混合液配管7は、外径3mm、内径2mmのPFA製チューブである。ミキサー9は、チューブ内に螺旋状の攪拌部があり、液がそこを通過する間にミキシングされるものである。測定部11は、液体の近赤外線スペクトル透過減衰率を測定するものである。送液ポンプ13はチューブしごきポンプであり、流量は、10cc/分である。
【0054】
図12、図13が結果である。
図12は、IPA濃度の経時変化を示す図である。横軸が時間軸で、縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。図91中で、区間aは、A液面高さ位置及びB液面高さ位置が基準位置(0mm)で液面差(A液面高さ位置−B液面高さ位置)が0mmである。区間bは、A液面高さ位置が50mm、B液面高さ位置が0mm、液面差が50mmである。区間cは、A液面高さ位置が100mm、B液面高さが0mm、液面差が100mmである。区間dは、A液面高さ位置が150mm、B液面高さが0mm、液面差が150mmである。区間eは、A液面高さ位置が200mm、B液面高さが0mm、液面差が200mmである。
図13は、IPA濃度と、液面差(A液面高さ位置−B液面高さ位置)の関係を示す図である。縦軸が測定部の出力値であるIPA濃度(wt%)である。横軸は液面差(mm)である。
これら結果から、液面差にほぼ相関のある結果が得られているのがわかる。液面差を制御することにより、IPA濃度を0.01wt%から0.035wt%付近まで制御できる。これは、希釈率として、30倍から100倍程度が可能な例である。
【0055】
以上、本発明の実施例を説明したが、材料、形状、配置、寸法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】液体混合装置の一実施例を概略的に示す図である。
【図2】液体混合装置の他の実施例を概略的に示す図である。
【図3】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図4】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図5】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図6】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図7】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図8】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図9】液体混合装置のさらに他の実施例を概略的に示す図である。
【図10】図1の液体混合装置で混合比率を制御した一例におけるIPA濃度の経時変化を示す図である。
【図11】図10の、IPA濃度と、液面差(B液面高さ位置−A液面高さ位置)の関係を示す図である。
【図12】図1の液体混合装置で混合比率を制御した他の例におけるIPA濃度の経時変化を示す図である。
【図13】図12の、IPA濃度と、液面差(A液面高さ位置−B液面高さ位置)の関係を示す図である。
【図14】従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図15】他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図16】さらに他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図17】さらに他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【図18】さらに他の従来の液体混合装置を説明するための概略的な構成図である。
【符号の説明】
【0057】
1a A液タンク
1b B液タンク
3a A液配管
3b B液配管
5 ティーズ(継手)
7 混合液配管
9 ミキサー(混合器)
11 測定部
13 送液ポンプ
15a A液タンク昇降機構
15b B液タンク昇降機構
17 制御部
21 タンク昇降機構
21a A液タンク支持部
21b B液タンク支持部
21c レバー
21d レバー駆動機構
23a A液流量計
23b B液流量計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法において、
前記A液タンク内でのA液の液面高さ位置と前記B液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させることによって、混合液でのA液とB液の混合比率を変化させることを特徴とする液体混合方法。
【請求項2】
A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管と、A液配管とB液配管を合流させるための継手と、その継手に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管とを備えた液体混合装置において、
前記A液タンクの高さ位置と前記B液タンクの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構を備えた液体混合装置。
【請求項3】
前記タンク高さ位置調整機構は、前記A液タンクを昇降させるためのA液タンク昇降機構と、前記B液タンクを昇降させるためのB液タンク昇降機構と、を備えている請求項2に記載の液体混合装置。
【請求項4】
前記タンク高さ位置調整機構は、前記A液タンクを支持するA液タンク支持部と、前記B液タンクを支持するB液タンク支持部と、一端側に前記A液タンク支持部が接続され、他端側に前記B液タンク支持部が接続され、前記一端側と前記他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するレバーと、前記レバーを揺動させるレバー駆動機構と、を備えている請求項2に記載の液体混合装置。
【請求項5】
混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するために前記混合液配管に設けられた測定部を備えている請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項6】
前記測定部の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように前記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えている請求項5に記載の液体混合装置。
【請求項7】
前記A液配管に設けられたA液流量計と、前記B液配管に設けられたB液流量計を備えている請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項8】
前記A液流量計及び前記B液流量計の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように前記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えている請求項7に記載の液体混合装置。
【請求項9】
前記A液タンク内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計と、前記B液タンク内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計とを備えている請求項2〜8のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項10】
A液とB液を混合するために前記混合液配管に設けられた混合器を備えている請求項2〜9のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項11】
混合液を送液するために前記混合液配管に設けられた送液ポンプを備えている請求項2〜10のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項1】
A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管とを合流させて混合液配管へ導き、混合液配管でA液とB液を所望の比率で混合した混合液を得る液体混合方法において、
前記A液タンク内でのA液の液面高さ位置と前記B液タンク内でのB液の液面高さ位置とを相対的に変化させることによって、混合液でのA液とB液の混合比率を変化させることを特徴とする液体混合方法。
【請求項2】
A液タンクに収容されたA液を送液するためのA液配管と、B液タンクに収容されたB液を送液するためのB液配管と、A液配管とB液配管を合流させるための継手と、その継手に接続され、A液とB液の混合液を送液するための混合液配管とを備えた液体混合装置において、
前記A液タンクの高さ位置と前記B液タンクの高さ位置とを相対的に変化させるためのタンク高さ位置調整機構を備えた液体混合装置。
【請求項3】
前記タンク高さ位置調整機構は、前記A液タンクを昇降させるためのA液タンク昇降機構と、前記B液タンクを昇降させるためのB液タンク昇降機構と、を備えている請求項2に記載の液体混合装置。
【請求項4】
前記タンク高さ位置調整機構は、前記A液タンクを支持するA液タンク支持部と、前記B液タンクを支持するB液タンク支持部と、一端側に前記A液タンク支持部が接続され、他端側に前記B液タンク支持部が接続され、前記一端側と前記他端側の間に設けられた支点を中心として揺動するレバーと、前記レバーを揺動させるレバー駆動機構と、を備えている請求項2に記載の液体混合装置。
【請求項5】
混合液中のA液濃度又はB液濃度の少なくとも一方を測定するために前記混合液配管に設けられた測定部を備えている請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項6】
前記測定部の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように前記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えている請求項5に記載の液体混合装置。
【請求項7】
前記A液配管に設けられたA液流量計と、前記B液配管に設けられたB液流量計を備えている請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項8】
前記A液流量計及び前記B液流量計の測定データに基づき、混合液が所望のA液とB液の混合比率になるように前記タンク高さ位置調整機構にフィードバック制御をかける制御部を備えている請求項7に記載の液体混合装置。
【請求項9】
前記A液タンク内でのA液の液面高さ位置を測定するためのA液面計と、前記B液タンク内でのB液の液面高さ位置を測定するためのB液面計とを備えている請求項2〜8のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項10】
A液とB液を混合するために前記混合液配管に設けられた混合器を備えている請求項2〜9のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【請求項11】
混合液を送液するために前記混合液配管に設けられた送液ポンプを備えている請求項2〜10のいずれか一項に記載の液体混合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−78939(P2011−78939A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234941(P2009−234941)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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