液体用容器及び液体用容器の蓋
【課題】ストローによる穿孔が容易でありながら、開封時までは容器が破損して内容物が漏れたり腐敗したりすることのない液体用容器及び液体用容器の封止に用いることのできる蓋を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも基材層とバリアー層を備えた液体用容器であって、前記基材層は、前記容器をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器である。さらに、前記基材層の切断部は、前記基材層が除去されていないことが好ましい。また、前記液体用容器は開口部と、当該開口部を封止するための蓋を備え、前記基材層が備える切断部は、前記蓋に設けられていてもよい。
【解決手段】少なくとも基材層とバリアー層を備えた液体用容器であって、前記基材層は、前記容器をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器である。さらに、前記基材層の切断部は、前記基材層が除去されていないことが好ましい。また、前記液体用容器は開口部と、当該開口部を封止するための蓋を備え、前記基材層が備える切断部は、前記蓋に設けられていてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ストローを差し込んで飲用に供する容器において、突き刺し強度を部分的に弱く加工し、ストローを差し込み易くした容器に関するもの。
【背景技術】
【0002】
密封構造を持つ飲料用包装容器にあっては、飲用に供する際、容器に直接口をつけて飲む容器と(直飲み容器)、ストローで飲用する容器がある。
【0003】
直飲みが可能な容器は、例えばカップ状の容器本体と、その開口部を封止する蓋とを備えたものが挙げられ、当該蓋となっている部分を剥がし除去して、広く開いたカップ上部から内容物を飲むことのできる容器や、蓋の一部分又は容器の一部分に飲み口となる部分開口部を設け、この開口部を蓋(部分蓋)で封止し、この(部分)蓋を剥がして、部分開口部より内容物を飲むことのできる容器がある。
【0004】
上記の直飲み出来る容器にあっては、直飲みだけでなく、ストロー使用時においても、ストロー断面積に比較し十分大きな開口面積を形成できるので、ストローを抵抗なく容器内部に挿入できる。
【0005】
一方、直飲み口を開口することなく、容器本体、あるいは部分蓋も含む蓋部に、直接ストローを突き刺して内部の飲料を飲むことのできる容器もある。
このような容器は、大きな開口部を設けることがなく、ストローと蓋部、あるいはストローと容器との間の開口部が狭いので、容器を振ったり倒したりしても液体の漏れ出る恐れが少なく、持ち運びや、子ども向けの飲料を封入するのに向いている。また、ストローを刺した状態でも容器本体を押すことで、内容物を押し出すことができる。
ストローによって穿孔可能な容器としては、特に蓋部のみをストロー穿孔可能な構造とすると、容器の加工及び飲料の保存の観点から好ましいため、様々な工夫が施されてきた。
【0006】
蓋部に直接ストローを突き刺す容器では、蓋部全体を、ストローで穿孔できる強度で形成するため、蓋部の強度が低いものとなる。従って、開封される前に、突起物の接触により蓋部に穴が開き、内容物が漏れたり、腐敗するなどの問題があった。これを防ぐために蓋部自体の強度を上げれば、ストローでの穿孔が難しくなり、強度の高い特殊なストローが必要となってしまう。この問題は蓋部にさらに部分蓋を設け、部分蓋をストローで穿孔する構造とした場合も同じである(先行技術文献1参照)。
蓋部の強度を低く抑える場合には、強度の弱さを補う為、プラスチック製のキャップを被せる等の保護策が採られている。
【0007】
ストローを突き刺しやすくするための提案としては、プラスチックフィルム基材とイージーピール性樹脂層との積層シートからなる蓋材について、積層シートのプラスチックフィルム基材層のみに切り込みを入れるというものがある(先行技術文献2参照)。
また、積層されるフィルムの一部に孔を設ける方法も提案されている(先行技術文献3参照)
しかしながらこれらの方法では、プラスチック基材を一部切り取るために、強度の低いイージーピール性樹脂層が露出してしまうので、蓋部の破損の恐れは依然として残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第2594337号公報
【特許文献2】特開平7−61469号公報
【特許文献3】特開昭63−313570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、ストローによる穿孔が容易でありながら、開封時までは容器が破損して内容物が漏れたり腐敗したりすることのない液体用容器及び液体用容器の封止に用いることのできる蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、発明者らは以下のような構成の発明を成した。
第1の発明は、少なくとも基材層とバリアー層を備えた液体用容器であって、前記基材層は、前記容器をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器である。
さらに、前記基材層の切断部は、前記基材層が除去されていないことが好ましい。
また、前記液体用容器は開口部と、当該開口部を封止するための蓋を備え、前記基材層が備える切断部は、前記蓋に設けられていてもよい。
【0011】
第2の発明は、液体用容器の開口部を封止するための蓋であって、前記蓋は基材層とバリアー層と熱融着層を備え、前記基材層は、前記蓋をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器の蓋である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液体用容器あるいは蓋全体の強度を損なうことなく、ストローを容易に突き刺して、内容物を取り出せる液体用容器を提供することができる。
【0013】
本発明によれば、容器の一部について基材層が切断されていることで、ストローによって容易に穿孔が可能でありながら、基材層でバリアー層を保護できるので、開封前に突起物に触れて容器が破損するのを防ぐことができる。
さらに、ストロー穿孔可能な切断部を容器あるいは蓋の一部とすることで、開封口のサイズを任意に限定することができ、ストロー穿孔による開封時に開封口が広がって内容物がこぼれるのを防ぐことができる。
【0014】
さらには、切断部の基材層を除去しないことによって、バリアー層及び熱融着層が容器外部に露出しないので、バリアー層及び熱融着層の破損を防ぐことができる。さらに、液体用容器本体あるいは蓋の製造時には、バリアー層に熱可塑性のプラスチックフィルムを用いても、基材層と、バリアー層及び熱融着層とのラミネートの際に基材層の切断部にプラスチックが入り込まないので、良好なストロー穿孔性を備えた液体用容器あるいは蓋を製造することができる。
【0015】
本発明の液体用容器の内容物をストローを用いて摂取する場合には、容器本体あるいは蓋に直接、容易にストローを突き刺すことができる。従って、蓋を開封するという指先に力の必要な作業を不要とし、老人小児等の手指の力が弱い人でも、簡単に内容物を摂取することができる。また、蓋の開封時に内容物が飛び散ったり、蓋の開封後に容器が転倒して内容物が流出するなどの事故も避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液体用容器に用いられる蓋の一例を示す説明図である。
【図2】図1のA−B線による断面図である。
【図3】図2のC−D線による断面図である。
【図4】図1のA−B線による断面図の他の構造を示す図である。
【図5】本発明の液体用容器に用いられる蓋の他の例を示す説明図である。
【図6】図3のE−F線による断面図である。
【図7】本発明の液体用容器に用いられる蓋の他の例を示す説明図である。
【図8】本発明の液体用容器の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【図10】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【図11】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【図12】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の液体用容器は、少なくとも基材層とバリアー層を備えている。図2から図4及び図6に本発明の液体用容器の切断部を含む断面図を示す。
基材層6としては、液体を内部に保持し、輸送に耐えることのできる程度の剛性が求められる。さらには、内容物を消費後に小さくたたんで廃棄できるような可撓性も求められる。また、多くは開口部を蓋によって封止するが、その蓋の接着には熱融着性樹脂を用いるため、耐熱性も求められる。
【0018】
基材層の材料としてはプラスチックフィルムや紙を挙げることができる。プラスチックフィルムとしては2軸延伸ポリエステルフィルムや、ポリアミドフィルム等を挙げることができる。リサイクル性の観点から紙基材を用いることが好ましく、例えば紙坪量30g/m2以上200g/m2以下の紙を用いることができる。
基材層6は一種類の材料から構成されていても、複数の層を積層したものであってもよい。例えば、図2から図4、図6に示すように、樹脂基材と紙基材を積層したものを挙げることができる。基材層は切断部2の形成工程後にバリアー層を含む層とラミネートされるが、このとき、樹脂基材層6bに熱可塑性でない樹脂を用いると、図2に示すようにラミネート工程後に樹脂が切断部2aの内部に入り込まず、より深い切断部を形成する。また、樹脂基材層6bとして熱可塑性の樹脂を用いると、図4に示すように樹脂が接着層7やバリアー層8と一体となるので、より強く層同士が接着される。
【0019】
また、バリアー層としては、金属箔、プラスチックフィルム、無機質材料蒸着フィルム等を用いることができ、例えばアルミニウム箔や、エチレンビニルアルコール、又はポリビニルアルコール、又はポリ塩化ビニリデン層を有するフィルム、これらフィルムに酸化ケイ素などの無機質材料を蒸着したもの、あるいはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0020】
ストロー穿孔の容易さを考えるとフィルムとしては未延伸フィルムが好ましい。従来からある、バリアー層が露出するタイプのストロー穿孔口を備えた容器や、蓋そのものがストロー穿孔可能な程度の強度とした容器では、バリアー性能の低下と、強度不足から通常は2軸延伸フィルムを用いているが、本発明では基材層で保護されてバリアー層が露出しないか、露出しても非常にわずかであるため、デリケートな未延伸フィルムであっても使用することができる。
【0021】
特に、液体用容器の蓋に本発明を用いた場合、その構成として好ましくは、紙坪量30g/m2以上200g/m2以下の紙に、アルミニウム箔と、エチレンビニルアルコール、又はポリビニルアルコール、又はポリ塩化ビニリデンの未延伸フィルムに無機質材料を蒸着したフィルムとを組み合わせたものである。
【0022】
本発明の液体用容器には、必要に応じて接着層及び熱融着層を設けることができる。接着層及び熱融着層としては融点の低い樹脂を各種用いることができ、例えばポリオレフィン樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
特に、液体用容器の蓋に本発明を用いた場合、液体用容器の開口部を当該蓋によって封止するために、熱融着層は必須の構成となる。
【0023】
本発明の液体用容器には、当該容器をストロー穿孔可能とするために、基材層の一部が切断された切断部を備えている。
この切断部は、ストローの直径とほぼ同じであることが好ましい。ストロー穿孔可能な切断部を容器あるいは蓋の一部とすることで、開封口のサイズを任意に限定することができ、ストロー穿孔による開封時に開封口が広がって内容物がこぼれるのを防ぐことができる。
【0024】
本発明の液体用容器は、容器の一部について基材層が切断されていることで、ストローによって容易に穿孔が可能でありながら、基材層でバリアー層を保護できるので、意図的ではない突起物の接触によって開封前に容器が破損するのを防ぐことができる。
【0025】
ストロー穿孔を容易にするためには、切断部の基材層が除去されていてもよい。基材層の除去は最小限であることが好ましく、例えば、ストロー先端が接触する部分以外は基材層が除去されておらず、基材層側の切断部からはバリアー層が露出していない状態であると容器の破損を防ぐ上で好ましい。
また、切断部の基材層を幅を持たせて除去する場合は、除去する部分の幅が基材層の厚みよりも狭いほうが好ましい。バリアー層及び熱融着層の露出面積が少なく、露出部を基材層で保護できるので、容器の搬送時など、開封前に突起物に触れてバリアー層及び熱融着層が破損するのを防ぐことができるからである。
【0026】
最も好ましくは、切断部の基材層を除去しない構成である。切断部には基材層の切断だけを施し、基材層はそのまま残すことによって、バリアー層及び熱融着層が容器外部に露出しないので、バリアー層及び熱融着層の破損を防ぐことができる。
また、切断部の基材層を除去しないことによって、液体用容器本体あるいは蓋の製造時には、バリアー層に熱可塑性のプラスチックフィルムを用いても、基材層と、バリアー層及び熱融着層とのラミネートの際に基材層の切断部にプラスチックが入り込まないので、良好なストロー穿孔性を備えた液体用容器あるいは蓋を製造することができる。
【0027】
また、切断部では基材層を切り離さない形状に切断を施すことが好ましい。例えば円形の切断を施すと、ストローによる穿孔の際にバリアー層もろとも基材層が切り離されてしまい液体用容器内部に入りこんでしまう恐れがあるからである。さらに、液体用容器本体あるいは蓋の製造時に、バリアー層とのラミネートの前に基材層には基材切断処理を施すが、基材層が本体と切り離される形状に切断を施してしまうと切り離された基材層が抜け落ちる恐れがあり、バリアー層が大きく露出して本発明の効果を損なう可能性が高い。
【0028】
以上説明をした切断部は、液体用容器のいずれの場所にも設けることができるが、液体用容器の上面に設けることがより好ましく、液体用容器の蓋に設けることがより好ましい。この蓋は、液体用容器の開口部を封止するものである。
液体用容器の開口部を封止する蓋にさらに部分開口部を設け、当該部分開口部を部分蓋で封止する場合もある。この部分蓋も、液体用容器の開口部を封止するものであるから蓋に含める。
【0029】
次に本発明の液体用容器の製造方法について説明する。
本発明の液体用容器の一例を図12に示す。液体用容器14は、円筒形状の本体12と、開口部13(飲み口)を封止する蓋1とから構成されている。
液体用容器本体12は、側面を形成する円筒形の胴部14aと、底面を構成する底部14b、上面を構成し、開口部を備える天部14cとから構成されている。胴部14aは胴部材に、底部14bは底部材に、天部14cは天部材によって構成されている。
胴部材、底部材、天部材は少なくとも基材層6とバリアー層8を備えている。基材としては例えば紙を挙げる事ができる。バリアー層としては、必要とされる性能に応じ、無機物質を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム等を用いることができる。さらに、容器の最も内側となる層には、耐水性に加えて、部材の組み立てを熱融着で行うことから、熱融着性を兼ね備えたポリエチレン等の熱可塑性樹脂などからなる熱融着層9を備えている。
【0030】
胴部材、底部材及び天部材の最外層は、内容物と外気との温度差による結露や、液体用容器12を冷水へ浸漬して内容物を冷却するに際し、耐水性が求められる。また、各部の組み立て時に液体用容器12最内層の熱融着層9との熱融着性が必要とされることから、各部の最内層と同様、熱融着樹脂の層を設けることが好ましい。
特に天部材は、開口部13に後述する蓋1を熱融着にて張り合わせ、封止を行う。天部材の最外層となる熱融着性樹脂は、必要なときには容易に蓋をはがすことができるよう、易開封性も求められる。
【0031】
各部及び各部を構成する各部材の加工について説明する。
胴部材、底部材、天部材は、同じ基材を用いて製造することができる。まず、紙である基材層6aにラベルなどの印刷を施す。その後、胴部材、底部材については、容器内部側にバリアー層8を含むフィルムを、容器外部側には樹脂基材層6bを積層する。バリアー層8を含むフィルムは紙基材6a側に接着層7、容器内部側には熱融着層9を備えている。
【0032】
天部材については、印刷後に開口部13を設け、その後、容器内部側にバリアー層8を含むフィルムを、容器外部側には樹脂基材層6bを積層する。胴部材、底部材同様、バリアー層8を含むフィルムは紙基材6a側に接着層7、容器内部側には熱融着層9を備えている。天部材の場合は、バリアー層8を含むフィルムと樹脂基材層とで挟まれ、開口部13にもフィルムが形成されるため、開口部13の形状に沿って、かつ紙基材6aが露出しないようにフィルム部分を取り除く。
【0033】
このようにして積層が済んだ基材を必要な形状に打ち抜いて各部材を得る。胴部材については、概ね長方形方である。液体用容器として成形した際に筒状の側面のつなぎ目が内容物及び外部に直接触れる構造であるため、側面のつなぎ目から露出する基材層6を耐水性及びバリアー性のあるフィルムでおおって保護しておくのが好ましい。特に、基材層に紙を含む場合は保護が必要である。この基材端面の保護に用いるフィルムは、熱融着性を備えていることが好ましい。
【0034】
まず、胴部材を筒状に丸め、フィルムで保護された対向する端面を重ね合わせて熱融着にて接着する。
底部材及び開口部13を備えた天部材は、前述する胴部材で形成する筒よりもやや大きい円形に打ち抜かれる。その後、それぞれ容器の内側となる面を凸として、断面がコの字型になるようにふちを成形する。
先に成形された筒状の胴部材の一方の開口部(天端部)に、コの字型に成形された天部材を凸部を内側にして挿入する。天端部に熱を加えて容器内側に湾曲させ、天部材の折り曲げられたふちを包み込む。その後、前記天端部外側を金型でおおい、容器内側に湾曲させた天端部を内側から外側に押し付け圧着し、胴部材と天部材を熱融着して天部14cとする。
胴部材の他方の開口部(地端部)と底部材との接着も天部14cの形成と同様に行い、底部14bと胴部14aを備えた液体用容器本体12を得る。
【0035】
蓋1の加工について説明する。
一例として、ストロー挿し込みのための十字形状の切断部を設けた蓋について説明する。
紙基材6a又は樹脂基材層6b(たとえば延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム)の何れかに印刷を施し、当該紙基材6aと樹脂基材層6bを張り合わせて基材層6とする。
次いで、基材層6の一部を切断し、十字形状の切断部3を設ける。その後、紙基材6a側に接着層7を介してアルミ箔あるいは未延伸のバリアー性の高いフィルムなどのバリアー層8を張り合わせて蓋基材とする。これを開口部13の形状に合わせて切断し、蓋1を得る。
このようにして得られた蓋1の一部を、液体用容器本体12の開口部付近に熱融着する。このときはまだ開口部13の封止はしない。
【0036】
充填工程について説明する。
開口部13付近に蓋1を備えた液体用容器本体12を過酸化水素ガス等の、滅菌性能のあるガスに暴露して滅菌する。ガスの残留がないように処理を施した後、開口部13より飲料などの内容物を充填する。内容物は予め恒温短時間滅菌冷却処理が施されている。内容物の充填後、開口部13をおおうように蓋1を熱融着し、完全に封止を行う。
こうして、内容物が充填され、蓋1にはストロー穿孔可能な切断部を備えた液体用容器を得ることができる。
【実施例】
【0037】
以下、図を用いて本発明を具体的に説明する。
図1は本発明の液体用容器に用いられる蓋の一例を示す図である。蓋1の中央に切断部2が設けられている。ここで、切断部2は小さい円形の切断部2aと、円形の切断部2aを中心として四方に伸びる線状の切断部2bとで構成されている。
図2に、図1のA−B線での断面図を示す。小さい円形の切断部2aの直径wは基材層6の厚みdよりも小さい。図3に、図1のC−D線での断面図を示す。線状の切断部2bでは基材層6は除去されていないので、図3の上方である液体用容器の外側から観察した場合、バリアー層8は露出していない。
【0038】
図5及び図7は、本発明の液体用容器に用いられる蓋の他の例を示す図である。蓋1の中央に、図5では十字形状の切断部3が、図7では一部を欠いた円形の切断部4が、それぞれ設けられている。図6に、図5のE−F線での断面図を示す。切断部3では基材層6は除去されていないので、図6の上方である液体用容器の外側から観察した場合、バリアー層8は露出していない。この断面の構成は、図3に示す切断部4でも同様である。
【0039】
図1に示す例の蓋を用いた液体用容器は、ストロー穿孔の際には切断部2aにストローの尖った部分を突き刺し、ここを起点として切断部2bにそって孔部を押し広げればよいので、必要以上にストロー孔が広がることない。
図5及び図7に示す例の蓋を用いた液体用容器は、図5では十字の中央部に、図7では切断部4いずれかの位置にストローを突き刺し、ここを起点として切断部にそって孔部を押し広げればよいので、必要以上にストロー孔が広がることはない。
また、これらの例によれば基材層が予め切断されているので弱い力でも容易にストローで孔を開けることができる。
さらに、液体用容器外部からはバリアー層8が露出していないか、していても基材層に守られているので、液体用容器の搬送時など、開封前に意図しない外力によって容器(特に切断部付近)が破損するのを防ぐことができる。
【0040】
図8から図11は、本発明の液体用容器の例を示す図である。
図8は本発明の液体用容器14であり、飲み口となる開口部13を備えた液体用容器本体12と、開口部13を封止する蓋1とから構成されている。蓋1には、十字形状の切断部3が設けられている。
図9は本発明の液体用容器14であり、飲み口となる開口部(図示せず)を備えた液体用容器本体12と、開口部を封止する蓋1とから構成されている。液体用容器本体12には、一部を欠いた円形の切断部4が設けられている。
図10は本発明の液体用容器14であり、広く開放される開口部13を備えた液体用容器本体12と、開口部を封止する蓋1とから構成されている。蓋1には、切断部2が設けられている。
図11は本発明の液体用容器14であり、広く開放される開口部13を備えた液体用容器本体12と、開口部を封止する蓋1とから構成されている。蓋1は、さらに部分開口部13aが設けられ、部分開口部13aは部分蓋1aで封止されている。部分蓋1aには、十字形状の切断部3が設けられている。
【0041】
図8乃至図11に示す液体用容器では、ストローで内容物を取り出す場合には、蓋をはがして開口部を開放しなくても、切断部にストローの尖った部分を突き刺し、切断部にそって孔部を押し広げればよいので、必要以上にストロー孔が広がることない。
また、これらの例によれば基材層が予め切断されているので弱い力でも容易にストローで孔を開けることができる。
さらに、液体用容器外部からはバリアー層8が露出していないか、していても基材層に守られているので、液体用容器の搬送時など、開封前に意図しない外力によって容器(特に切断部付近)が破損するのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
飲料のみに限らず、液体、ゲル状物質の取り出しに広く応用が可能であり、例えば種々の流動性食品への展開や、液体洗剤の取り出し、またストロー差込口としての機能だけでなく、空気取り入れ口としての応用が考えられる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・蓋
1a・・部分蓋
2・・・切断部
2a・・円形の切断部
2b・・線状の切断部
3・・・十字形状の切断部
4・・・一部を欠いた円形の切断部
6・・・基材層
6a・・紙基材層
6b・・樹脂基材層
7・・・接着層
8・・・バリアー層
9・・・熱融着層
12・・液体用容器本体
13・・開口部
13a・部分開口部
14・・液体用容器
14a・胴部
14b・底部
14c・天部
【技術分野】
【0001】
ストローを差し込んで飲用に供する容器において、突き刺し強度を部分的に弱く加工し、ストローを差し込み易くした容器に関するもの。
【背景技術】
【0002】
密封構造を持つ飲料用包装容器にあっては、飲用に供する際、容器に直接口をつけて飲む容器と(直飲み容器)、ストローで飲用する容器がある。
【0003】
直飲みが可能な容器は、例えばカップ状の容器本体と、その開口部を封止する蓋とを備えたものが挙げられ、当該蓋となっている部分を剥がし除去して、広く開いたカップ上部から内容物を飲むことのできる容器や、蓋の一部分又は容器の一部分に飲み口となる部分開口部を設け、この開口部を蓋(部分蓋)で封止し、この(部分)蓋を剥がして、部分開口部より内容物を飲むことのできる容器がある。
【0004】
上記の直飲み出来る容器にあっては、直飲みだけでなく、ストロー使用時においても、ストロー断面積に比較し十分大きな開口面積を形成できるので、ストローを抵抗なく容器内部に挿入できる。
【0005】
一方、直飲み口を開口することなく、容器本体、あるいは部分蓋も含む蓋部に、直接ストローを突き刺して内部の飲料を飲むことのできる容器もある。
このような容器は、大きな開口部を設けることがなく、ストローと蓋部、あるいはストローと容器との間の開口部が狭いので、容器を振ったり倒したりしても液体の漏れ出る恐れが少なく、持ち運びや、子ども向けの飲料を封入するのに向いている。また、ストローを刺した状態でも容器本体を押すことで、内容物を押し出すことができる。
ストローによって穿孔可能な容器としては、特に蓋部のみをストロー穿孔可能な構造とすると、容器の加工及び飲料の保存の観点から好ましいため、様々な工夫が施されてきた。
【0006】
蓋部に直接ストローを突き刺す容器では、蓋部全体を、ストローで穿孔できる強度で形成するため、蓋部の強度が低いものとなる。従って、開封される前に、突起物の接触により蓋部に穴が開き、内容物が漏れたり、腐敗するなどの問題があった。これを防ぐために蓋部自体の強度を上げれば、ストローでの穿孔が難しくなり、強度の高い特殊なストローが必要となってしまう。この問題は蓋部にさらに部分蓋を設け、部分蓋をストローで穿孔する構造とした場合も同じである(先行技術文献1参照)。
蓋部の強度を低く抑える場合には、強度の弱さを補う為、プラスチック製のキャップを被せる等の保護策が採られている。
【0007】
ストローを突き刺しやすくするための提案としては、プラスチックフィルム基材とイージーピール性樹脂層との積層シートからなる蓋材について、積層シートのプラスチックフィルム基材層のみに切り込みを入れるというものがある(先行技術文献2参照)。
また、積層されるフィルムの一部に孔を設ける方法も提案されている(先行技術文献3参照)
しかしながらこれらの方法では、プラスチック基材を一部切り取るために、強度の低いイージーピール性樹脂層が露出してしまうので、蓋部の破損の恐れは依然として残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第2594337号公報
【特許文献2】特開平7−61469号公報
【特許文献3】特開昭63−313570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、ストローによる穿孔が容易でありながら、開封時までは容器が破損して内容物が漏れたり腐敗したりすることのない液体用容器及び液体用容器の封止に用いることのできる蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、発明者らは以下のような構成の発明を成した。
第1の発明は、少なくとも基材層とバリアー層を備えた液体用容器であって、前記基材層は、前記容器をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器である。
さらに、前記基材層の切断部は、前記基材層が除去されていないことが好ましい。
また、前記液体用容器は開口部と、当該開口部を封止するための蓋を備え、前記基材層が備える切断部は、前記蓋に設けられていてもよい。
【0011】
第2の発明は、液体用容器の開口部を封止するための蓋であって、前記蓋は基材層とバリアー層と熱融着層を備え、前記基材層は、前記蓋をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器の蓋である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液体用容器あるいは蓋全体の強度を損なうことなく、ストローを容易に突き刺して、内容物を取り出せる液体用容器を提供することができる。
【0013】
本発明によれば、容器の一部について基材層が切断されていることで、ストローによって容易に穿孔が可能でありながら、基材層でバリアー層を保護できるので、開封前に突起物に触れて容器が破損するのを防ぐことができる。
さらに、ストロー穿孔可能な切断部を容器あるいは蓋の一部とすることで、開封口のサイズを任意に限定することができ、ストロー穿孔による開封時に開封口が広がって内容物がこぼれるのを防ぐことができる。
【0014】
さらには、切断部の基材層を除去しないことによって、バリアー層及び熱融着層が容器外部に露出しないので、バリアー層及び熱融着層の破損を防ぐことができる。さらに、液体用容器本体あるいは蓋の製造時には、バリアー層に熱可塑性のプラスチックフィルムを用いても、基材層と、バリアー層及び熱融着層とのラミネートの際に基材層の切断部にプラスチックが入り込まないので、良好なストロー穿孔性を備えた液体用容器あるいは蓋を製造することができる。
【0015】
本発明の液体用容器の内容物をストローを用いて摂取する場合には、容器本体あるいは蓋に直接、容易にストローを突き刺すことができる。従って、蓋を開封するという指先に力の必要な作業を不要とし、老人小児等の手指の力が弱い人でも、簡単に内容物を摂取することができる。また、蓋の開封時に内容物が飛び散ったり、蓋の開封後に容器が転倒して内容物が流出するなどの事故も避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液体用容器に用いられる蓋の一例を示す説明図である。
【図2】図1のA−B線による断面図である。
【図3】図2のC−D線による断面図である。
【図4】図1のA−B線による断面図の他の構造を示す図である。
【図5】本発明の液体用容器に用いられる蓋の他の例を示す説明図である。
【図6】図3のE−F線による断面図である。
【図7】本発明の液体用容器に用いられる蓋の他の例を示す説明図である。
【図8】本発明の液体用容器の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【図10】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【図11】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【図12】本発明の液体用容器の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の液体用容器は、少なくとも基材層とバリアー層を備えている。図2から図4及び図6に本発明の液体用容器の切断部を含む断面図を示す。
基材層6としては、液体を内部に保持し、輸送に耐えることのできる程度の剛性が求められる。さらには、内容物を消費後に小さくたたんで廃棄できるような可撓性も求められる。また、多くは開口部を蓋によって封止するが、その蓋の接着には熱融着性樹脂を用いるため、耐熱性も求められる。
【0018】
基材層の材料としてはプラスチックフィルムや紙を挙げることができる。プラスチックフィルムとしては2軸延伸ポリエステルフィルムや、ポリアミドフィルム等を挙げることができる。リサイクル性の観点から紙基材を用いることが好ましく、例えば紙坪量30g/m2以上200g/m2以下の紙を用いることができる。
基材層6は一種類の材料から構成されていても、複数の層を積層したものであってもよい。例えば、図2から図4、図6に示すように、樹脂基材と紙基材を積層したものを挙げることができる。基材層は切断部2の形成工程後にバリアー層を含む層とラミネートされるが、このとき、樹脂基材層6bに熱可塑性でない樹脂を用いると、図2に示すようにラミネート工程後に樹脂が切断部2aの内部に入り込まず、より深い切断部を形成する。また、樹脂基材層6bとして熱可塑性の樹脂を用いると、図4に示すように樹脂が接着層7やバリアー層8と一体となるので、より強く層同士が接着される。
【0019】
また、バリアー層としては、金属箔、プラスチックフィルム、無機質材料蒸着フィルム等を用いることができ、例えばアルミニウム箔や、エチレンビニルアルコール、又はポリビニルアルコール、又はポリ塩化ビニリデン層を有するフィルム、これらフィルムに酸化ケイ素などの無機質材料を蒸着したもの、あるいはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0020】
ストロー穿孔の容易さを考えるとフィルムとしては未延伸フィルムが好ましい。従来からある、バリアー層が露出するタイプのストロー穿孔口を備えた容器や、蓋そのものがストロー穿孔可能な程度の強度とした容器では、バリアー性能の低下と、強度不足から通常は2軸延伸フィルムを用いているが、本発明では基材層で保護されてバリアー層が露出しないか、露出しても非常にわずかであるため、デリケートな未延伸フィルムであっても使用することができる。
【0021】
特に、液体用容器の蓋に本発明を用いた場合、その構成として好ましくは、紙坪量30g/m2以上200g/m2以下の紙に、アルミニウム箔と、エチレンビニルアルコール、又はポリビニルアルコール、又はポリ塩化ビニリデンの未延伸フィルムに無機質材料を蒸着したフィルムとを組み合わせたものである。
【0022】
本発明の液体用容器には、必要に応じて接着層及び熱融着層を設けることができる。接着層及び熱融着層としては融点の低い樹脂を各種用いることができ、例えばポリオレフィン樹脂やエチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
特に、液体用容器の蓋に本発明を用いた場合、液体用容器の開口部を当該蓋によって封止するために、熱融着層は必須の構成となる。
【0023】
本発明の液体用容器には、当該容器をストロー穿孔可能とするために、基材層の一部が切断された切断部を備えている。
この切断部は、ストローの直径とほぼ同じであることが好ましい。ストロー穿孔可能な切断部を容器あるいは蓋の一部とすることで、開封口のサイズを任意に限定することができ、ストロー穿孔による開封時に開封口が広がって内容物がこぼれるのを防ぐことができる。
【0024】
本発明の液体用容器は、容器の一部について基材層が切断されていることで、ストローによって容易に穿孔が可能でありながら、基材層でバリアー層を保護できるので、意図的ではない突起物の接触によって開封前に容器が破損するのを防ぐことができる。
【0025】
ストロー穿孔を容易にするためには、切断部の基材層が除去されていてもよい。基材層の除去は最小限であることが好ましく、例えば、ストロー先端が接触する部分以外は基材層が除去されておらず、基材層側の切断部からはバリアー層が露出していない状態であると容器の破損を防ぐ上で好ましい。
また、切断部の基材層を幅を持たせて除去する場合は、除去する部分の幅が基材層の厚みよりも狭いほうが好ましい。バリアー層及び熱融着層の露出面積が少なく、露出部を基材層で保護できるので、容器の搬送時など、開封前に突起物に触れてバリアー層及び熱融着層が破損するのを防ぐことができるからである。
【0026】
最も好ましくは、切断部の基材層を除去しない構成である。切断部には基材層の切断だけを施し、基材層はそのまま残すことによって、バリアー層及び熱融着層が容器外部に露出しないので、バリアー層及び熱融着層の破損を防ぐことができる。
また、切断部の基材層を除去しないことによって、液体用容器本体あるいは蓋の製造時には、バリアー層に熱可塑性のプラスチックフィルムを用いても、基材層と、バリアー層及び熱融着層とのラミネートの際に基材層の切断部にプラスチックが入り込まないので、良好なストロー穿孔性を備えた液体用容器あるいは蓋を製造することができる。
【0027】
また、切断部では基材層を切り離さない形状に切断を施すことが好ましい。例えば円形の切断を施すと、ストローによる穿孔の際にバリアー層もろとも基材層が切り離されてしまい液体用容器内部に入りこんでしまう恐れがあるからである。さらに、液体用容器本体あるいは蓋の製造時に、バリアー層とのラミネートの前に基材層には基材切断処理を施すが、基材層が本体と切り離される形状に切断を施してしまうと切り離された基材層が抜け落ちる恐れがあり、バリアー層が大きく露出して本発明の効果を損なう可能性が高い。
【0028】
以上説明をした切断部は、液体用容器のいずれの場所にも設けることができるが、液体用容器の上面に設けることがより好ましく、液体用容器の蓋に設けることがより好ましい。この蓋は、液体用容器の開口部を封止するものである。
液体用容器の開口部を封止する蓋にさらに部分開口部を設け、当該部分開口部を部分蓋で封止する場合もある。この部分蓋も、液体用容器の開口部を封止するものであるから蓋に含める。
【0029】
次に本発明の液体用容器の製造方法について説明する。
本発明の液体用容器の一例を図12に示す。液体用容器14は、円筒形状の本体12と、開口部13(飲み口)を封止する蓋1とから構成されている。
液体用容器本体12は、側面を形成する円筒形の胴部14aと、底面を構成する底部14b、上面を構成し、開口部を備える天部14cとから構成されている。胴部14aは胴部材に、底部14bは底部材に、天部14cは天部材によって構成されている。
胴部材、底部材、天部材は少なくとも基材層6とバリアー層8を備えている。基材としては例えば紙を挙げる事ができる。バリアー層としては、必要とされる性能に応じ、無機物質を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム等を用いることができる。さらに、容器の最も内側となる層には、耐水性に加えて、部材の組み立てを熱融着で行うことから、熱融着性を兼ね備えたポリエチレン等の熱可塑性樹脂などからなる熱融着層9を備えている。
【0030】
胴部材、底部材及び天部材の最外層は、内容物と外気との温度差による結露や、液体用容器12を冷水へ浸漬して内容物を冷却するに際し、耐水性が求められる。また、各部の組み立て時に液体用容器12最内層の熱融着層9との熱融着性が必要とされることから、各部の最内層と同様、熱融着樹脂の層を設けることが好ましい。
特に天部材は、開口部13に後述する蓋1を熱融着にて張り合わせ、封止を行う。天部材の最外層となる熱融着性樹脂は、必要なときには容易に蓋をはがすことができるよう、易開封性も求められる。
【0031】
各部及び各部を構成する各部材の加工について説明する。
胴部材、底部材、天部材は、同じ基材を用いて製造することができる。まず、紙である基材層6aにラベルなどの印刷を施す。その後、胴部材、底部材については、容器内部側にバリアー層8を含むフィルムを、容器外部側には樹脂基材層6bを積層する。バリアー層8を含むフィルムは紙基材6a側に接着層7、容器内部側には熱融着層9を備えている。
【0032】
天部材については、印刷後に開口部13を設け、その後、容器内部側にバリアー層8を含むフィルムを、容器外部側には樹脂基材層6bを積層する。胴部材、底部材同様、バリアー層8を含むフィルムは紙基材6a側に接着層7、容器内部側には熱融着層9を備えている。天部材の場合は、バリアー層8を含むフィルムと樹脂基材層とで挟まれ、開口部13にもフィルムが形成されるため、開口部13の形状に沿って、かつ紙基材6aが露出しないようにフィルム部分を取り除く。
【0033】
このようにして積層が済んだ基材を必要な形状に打ち抜いて各部材を得る。胴部材については、概ね長方形方である。液体用容器として成形した際に筒状の側面のつなぎ目が内容物及び外部に直接触れる構造であるため、側面のつなぎ目から露出する基材層6を耐水性及びバリアー性のあるフィルムでおおって保護しておくのが好ましい。特に、基材層に紙を含む場合は保護が必要である。この基材端面の保護に用いるフィルムは、熱融着性を備えていることが好ましい。
【0034】
まず、胴部材を筒状に丸め、フィルムで保護された対向する端面を重ね合わせて熱融着にて接着する。
底部材及び開口部13を備えた天部材は、前述する胴部材で形成する筒よりもやや大きい円形に打ち抜かれる。その後、それぞれ容器の内側となる面を凸として、断面がコの字型になるようにふちを成形する。
先に成形された筒状の胴部材の一方の開口部(天端部)に、コの字型に成形された天部材を凸部を内側にして挿入する。天端部に熱を加えて容器内側に湾曲させ、天部材の折り曲げられたふちを包み込む。その後、前記天端部外側を金型でおおい、容器内側に湾曲させた天端部を内側から外側に押し付け圧着し、胴部材と天部材を熱融着して天部14cとする。
胴部材の他方の開口部(地端部)と底部材との接着も天部14cの形成と同様に行い、底部14bと胴部14aを備えた液体用容器本体12を得る。
【0035】
蓋1の加工について説明する。
一例として、ストロー挿し込みのための十字形状の切断部を設けた蓋について説明する。
紙基材6a又は樹脂基材層6b(たとえば延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム)の何れかに印刷を施し、当該紙基材6aと樹脂基材層6bを張り合わせて基材層6とする。
次いで、基材層6の一部を切断し、十字形状の切断部3を設ける。その後、紙基材6a側に接着層7を介してアルミ箔あるいは未延伸のバリアー性の高いフィルムなどのバリアー層8を張り合わせて蓋基材とする。これを開口部13の形状に合わせて切断し、蓋1を得る。
このようにして得られた蓋1の一部を、液体用容器本体12の開口部付近に熱融着する。このときはまだ開口部13の封止はしない。
【0036】
充填工程について説明する。
開口部13付近に蓋1を備えた液体用容器本体12を過酸化水素ガス等の、滅菌性能のあるガスに暴露して滅菌する。ガスの残留がないように処理を施した後、開口部13より飲料などの内容物を充填する。内容物は予め恒温短時間滅菌冷却処理が施されている。内容物の充填後、開口部13をおおうように蓋1を熱融着し、完全に封止を行う。
こうして、内容物が充填され、蓋1にはストロー穿孔可能な切断部を備えた液体用容器を得ることができる。
【実施例】
【0037】
以下、図を用いて本発明を具体的に説明する。
図1は本発明の液体用容器に用いられる蓋の一例を示す図である。蓋1の中央に切断部2が設けられている。ここで、切断部2は小さい円形の切断部2aと、円形の切断部2aを中心として四方に伸びる線状の切断部2bとで構成されている。
図2に、図1のA−B線での断面図を示す。小さい円形の切断部2aの直径wは基材層6の厚みdよりも小さい。図3に、図1のC−D線での断面図を示す。線状の切断部2bでは基材層6は除去されていないので、図3の上方である液体用容器の外側から観察した場合、バリアー層8は露出していない。
【0038】
図5及び図7は、本発明の液体用容器に用いられる蓋の他の例を示す図である。蓋1の中央に、図5では十字形状の切断部3が、図7では一部を欠いた円形の切断部4が、それぞれ設けられている。図6に、図5のE−F線での断面図を示す。切断部3では基材層6は除去されていないので、図6の上方である液体用容器の外側から観察した場合、バリアー層8は露出していない。この断面の構成は、図3に示す切断部4でも同様である。
【0039】
図1に示す例の蓋を用いた液体用容器は、ストロー穿孔の際には切断部2aにストローの尖った部分を突き刺し、ここを起点として切断部2bにそって孔部を押し広げればよいので、必要以上にストロー孔が広がることない。
図5及び図7に示す例の蓋を用いた液体用容器は、図5では十字の中央部に、図7では切断部4いずれかの位置にストローを突き刺し、ここを起点として切断部にそって孔部を押し広げればよいので、必要以上にストロー孔が広がることはない。
また、これらの例によれば基材層が予め切断されているので弱い力でも容易にストローで孔を開けることができる。
さらに、液体用容器外部からはバリアー層8が露出していないか、していても基材層に守られているので、液体用容器の搬送時など、開封前に意図しない外力によって容器(特に切断部付近)が破損するのを防ぐことができる。
【0040】
図8から図11は、本発明の液体用容器の例を示す図である。
図8は本発明の液体用容器14であり、飲み口となる開口部13を備えた液体用容器本体12と、開口部13を封止する蓋1とから構成されている。蓋1には、十字形状の切断部3が設けられている。
図9は本発明の液体用容器14であり、飲み口となる開口部(図示せず)を備えた液体用容器本体12と、開口部を封止する蓋1とから構成されている。液体用容器本体12には、一部を欠いた円形の切断部4が設けられている。
図10は本発明の液体用容器14であり、広く開放される開口部13を備えた液体用容器本体12と、開口部を封止する蓋1とから構成されている。蓋1には、切断部2が設けられている。
図11は本発明の液体用容器14であり、広く開放される開口部13を備えた液体用容器本体12と、開口部を封止する蓋1とから構成されている。蓋1は、さらに部分開口部13aが設けられ、部分開口部13aは部分蓋1aで封止されている。部分蓋1aには、十字形状の切断部3が設けられている。
【0041】
図8乃至図11に示す液体用容器では、ストローで内容物を取り出す場合には、蓋をはがして開口部を開放しなくても、切断部にストローの尖った部分を突き刺し、切断部にそって孔部を押し広げればよいので、必要以上にストロー孔が広がることない。
また、これらの例によれば基材層が予め切断されているので弱い力でも容易にストローで孔を開けることができる。
さらに、液体用容器外部からはバリアー層8が露出していないか、していても基材層に守られているので、液体用容器の搬送時など、開封前に意図しない外力によって容器(特に切断部付近)が破損するのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
飲料のみに限らず、液体、ゲル状物質の取り出しに広く応用が可能であり、例えば種々の流動性食品への展開や、液体洗剤の取り出し、またストロー差込口としての機能だけでなく、空気取り入れ口としての応用が考えられる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・蓋
1a・・部分蓋
2・・・切断部
2a・・円形の切断部
2b・・線状の切断部
3・・・十字形状の切断部
4・・・一部を欠いた円形の切断部
6・・・基材層
6a・・紙基材層
6b・・樹脂基材層
7・・・接着層
8・・・バリアー層
9・・・熱融着層
12・・液体用容器本体
13・・開口部
13a・部分開口部
14・・液体用容器
14a・胴部
14b・底部
14c・天部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層とバリアー層を備えた液体用容器であって、
前記基材層は、前記容器をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器。
【請求項2】
前記基材層の切断部は、前記基材層が除去されていないことを特徴とする請求項1記載の液体用容器。
【請求項3】
前記液体用容器は開口部と、当該開口部を封止するための蓋を備え、
前記基材層が備える切断部は、前記蓋に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の液体用容器。
【請求項4】
前記液体用容器の内部に液体が充填されていることを特徴とする請求項1乃至3記載の液体用容器。
【請求項5】
液体用容器の開口部を封止するための蓋であって、
前記蓋は基材層とバリアー層と熱融着層を備え、
前記基材層は、前記蓋をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器の蓋。
【請求項6】
請求項5記載の蓋を備えた液体用容器。
【請求項1】
少なくとも基材層とバリアー層を備えた液体用容器であって、
前記基材層は、前記容器をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器。
【請求項2】
前記基材層の切断部は、前記基材層が除去されていないことを特徴とする請求項1記載の液体用容器。
【請求項3】
前記液体用容器は開口部と、当該開口部を封止するための蓋を備え、
前記基材層が備える切断部は、前記蓋に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の液体用容器。
【請求項4】
前記液体用容器の内部に液体が充填されていることを特徴とする請求項1乃至3記載の液体用容器。
【請求項5】
液体用容器の開口部を封止するための蓋であって、
前記蓋は基材層とバリアー層と熱融着層を備え、
前記基材層は、前記蓋をストロー穿孔可能とするために一部が切断された切断部を備えていることを特徴とする液体用容器の蓋。
【請求項6】
請求項5記載の蓋を備えた液体用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−30884(P2012−30884A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174249(P2010−174249)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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