説明

液体用紙容器

【課題】紙容器の美粧性を維持し、内容物の残量を問わず視認できる窓部を有する液体用紙容器を提供することにある。
【解決手段】紙を基材層とし、熱融着性を有する外層/基材層/接着層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層体で、頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線を介して形成される四角筒状の液体用紙容器であって、前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の部位に、前記外層から前記接着層の表面まで達する二本のミシン目線で相対向して連結された楕円状の窓部形成部が、該窓部形成部の前記基材層と前記接着層との間に、該窓部形成部より一回り大きく剥離層が形成され、前記窓部形成部を、前記ミシン目線に沿って引き剥がし、前記剥離層と前記接着層間で剥離し、窓部が形成されることを特徴とする液体用紙容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清酒、焼酎などを収容する液体紙容器に関するものであり、特に内容物の残量が的確に視認できる残量確認用の窓部を有するガスバリアタイプの液体用紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、清酒、焼酎、ワインなどを収容するガスバリアタイプの液体用紙容器としては、胴部が四角筒状で頂部が屋根型のゲーブルトップ型の紙容器、または頂部が平面状のフラットトップ型の紙容器が使用されている。
【0003】
これらの紙容器は、成型のし易さ、保形性、光遮断性などの点から紙を使用し、また、ガスバリア性を考慮してアルミニウム箔を使用した、例えば紙容器の外側からポリエチレン/紙/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンのような多層構成の積層体からなるものであった。
【0004】
このため、前記構成の紙容器においては、収容されている内容物を紙容器の外側から視認することは不可能で、特に残量が視認できない問題があった。
【0005】
これらの問題を解決するために、以下のような提案がある。図11に示すブランク70には、胴部22を形成する側面板24を有し、該側面板の下部に窓部44が形成されている。また窓部には、接液側から窓貼りフィルム71が窓部44を全面覆うように貼着されている。該ブランク70を組み立て成型し、収容されている内容物を外から視認できるようにした図12に示す紙容器80が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また特許文献1と同じように紙容器の側面板24の下部に窓部44を設け、かつ内容物の残量を見易くした提案がある(特許文献2)。
【0007】
しかし特許文献1、2ともに紙容器の側面板の下部に窓部を形成しているために、残量が少なくなったときの視認はできるが、残量を問わず視認できない問題がある。また側面板の下部に設けているために、紙容器の美粧性を損なうなど問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−227752号公報
【特許文献2】特開2005−96777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景技術を鑑みて、紙容器の美粧性を維持し、内容物の残量を問わず視認できる窓部を有する液体用紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、紙を基材層とし、熱融着性を有する外層/基材層/接着層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層体で、
頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線を介して
形成される四角筒状の液体用紙容器であって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の部位に、
前記外層から前記接着層の表面まで達する二本のミシン目線で相対向して連結された楕円状の窓部形成部が、前記側面稜罫線を囲むように形成され、
該窓部形成部の前記基材層と前記接着層との間に、該窓部形成部より一回り大きく剥離層が形成され、
前記窓部形成部を、前記ミシン目線に沿って引き剥がし、前記剥離層と前記接着層間で剥離し、窓部が形成されることを特徴とする液体用紙容器である。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、前記窓部形成部が、該窓部形成部の一部に凹部が形成され、該凹部の深さが前記外層から基材層まで形成されていることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器である。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、前記ミシン目線の形状が、高さが前記側面稜罫線と同等で、両端が曲率半径R=30mmからなり、相対向して連結された楕円状の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする請求項1または2記載の液体用紙容器である。
【0014】
本発明の請求項4に係る発明は、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液体用紙容器は、通常の紙容器と同じように店頭陳列される。外観でも変わらない。使用時に窓部形成部の基材層を分離することで窓部が出現する特徴を持っている。また側面稜罫線の部位に内容物の残量を視認できる窓部を備えているために、残量を問わず視認できる。従来の窓部を有する紙容器とは異なり、紙容器の美粧性、保形性を損なわず、販促効果を有する紙容器である。
【0016】
本発明の請求項1によれば、紙を基材層とし、熱融着性を有する外層/基材層/接着層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層体で、
頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線を介して形成される四角筒状の液体用紙容器であって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の部位に、
前記外層から前記接着層の表面まで達する二本のミシン目線で相対向して連結された楕円状の窓部形成部が、前記側面稜罫線を囲むように形成され、
該窓部形成部の前記基材層と前記接着層との間に、該窓部形成部より一回り大きく剥離層が形成され、
前記窓部形成部を、前記ミシン目線に沿って引き剥がし、前記剥離層と前記接着層間で剥離し、窓部が形成されることを特徴とする。側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線が形成される部位に、外層から前記接着層まで達する二本のミシン目線で相対向して連結された楕円状の窓部形成部を形成する。この紙容器は、外観からは、通常の紙容器と変わらない。通常の紙容器と同じように流通、店頭陳列、販売される。また紙容器への印刷による美粧性も変わらない。
【0017】
窓部形成部の積層体には、基材層と接着層との間に、該窓部形成部より一回り大きく剥離層が形成される。二本のミシン目線を引き剥がし、窓部形成部の剥離層と接着層との間で剥離する。剥離層と接着層を安定して剥離することで、外層と基材層を分離して窓部を出現させることができる。
【0018】
即ち、使用時に二本のミシン目線に沿って楕円状の窓部形成部を引き剥がしながら、剥離層層と接着層との間で剥離して窓部を出現させるのである。側面稜罫線の部位に楕円状の窓部が形成されるために内容物の残量を問わず視認できる。
【0019】
本発明の請求項2によれば、前記窓部形成部が、該窓部形成部の一部に凹部が形成され、該凹部の深さが前記外層から基材層まで形成されていることを特徴とする。この凹部は、指爪を入れて剥がすきっかけを作り易くしたものである。二本のミシン目線を安定して引き剥がすためのものである。この凹部は外層から基材層まで形成されている。凹部の形状、大きさとしては、指爪が入り、剥がすきっかけとなればよく、美粧性を低下させないようにする。
【0020】
本発明の請求項3によれば、前記ミシン目線の形状が、高さが前記側面稜罫線と同等で、両端が曲率半径R=30mmからなり、相対向して連結された楕円状の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする。窓部は、二本のミシン目線で連結された楕円状の窓部形成部に設けられる。横幅が角寸の20%以上では、紙容器の保形性の低下に繋がる。また20%以下では、二本のミシン目線の連結がし難くなる。二本のミシン目線の両端が曲率半径R=30mmであるため、楕円状の横幅が角寸の20%であればミシン目線の加工がし易い。
【0021】
本発明の請求項4によれば、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。清酒、焼酎、ワインなどガスバリア性が要求される内容物には、紙容器にガスバリア性が必要になる。また窓部には、ガスバリア性と内容物の残量を視認するために透明性が必要になる。よって無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる。無機酸化物としては、酸化アルミニウムまたは酸化珪素が透明性、ガスバリア性に優れ使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の紙容器のブランク(外面を示す)の一例を示す説明図である。
【図2】図1のブランクを組み立て成型したゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図3】窓部形成部の一例を示す説明図である。
【図4】図2の窓部形成部に窓部を形成したゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の積層体の構成の一例を示す断面説明図である。
【図6】本発明の窓部形成部の積層体の一例を示す、図2に示すA−A´断面説明図である。
【図7】本発明の窓部の積層体の一例を示す、図4に示すB−B´断面説明図である。
【図8】本発明の紙容器のブランク(外面を示す)の一例を示す説明図である。
【図9】図8のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図10】本発明のフラットトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図11】従来の紙容器のブランク(窓部を窓貼りフィルムで貼着した)の一例を示す説明図である。
【図12】図11のブランクを組み立て成型したゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。一例としてゲーブルトップ型紙容器を作成するため実施形態につき説明する。
【0024】
図1は、本発明の紙容器のブランク(外面を示す)の一例を示す説明図である。ブランク20は、四枚の側面板24と、この側面板の一枚に連接する糊代片25が形成された胴部22と、この胴部の一方の開口端部に折り込み片26が形成された頂部21と、胴部22の他方の開口端部に底片27が形成された底部23と、から成る。特に胴部22は、四枚の側面板24がそれぞれ側面稜罫線29を介して連接されている。側面稜罫線29の中、一本の側面稜罫線の部位に、二本のミシン目線30により側面稜罫線を囲むように窓部形成部40が形成されている。この窓部形成部40は、糊代片25と接する側面稜罫線の部位を避けて設ける方が好ましい。他の三本の側面稜罫線のいずれの部位に設けてもよい。
【0025】
図2は、図1のブランクを組み立て成型したゲーブルトップ型液体用紙容器の一例を示す説明図である。図1のブランクの糊代片25と連接する側面板24とを熱融着しスリーブ(図には示していない)を形成し、その後、底部23を折り畳んで熱融着し、その後口栓取り付け孔28に口栓46を熱融着して、内容物を充填後、頂部21を折り畳んでゲーブルトップ型液体用紙容器50に形成したものである。窓部形成部40は、側面稜罫線の部位にあり、紙容器の保形性も維持され、印刷による美粧性を損なうこともない。
【0026】
窓部形成部40の一例を示す説明図である。窓部形成部40は、二本のミシン目線30の形状が、高さ42が側面稜罫線29と同等で、両端が曲率半径R=30mmから形成され、相対向して連結された楕円状である。また紙容器の角寸45は、側面板の横幅と同等である。窓部形成部40の横幅41が容器の角寸45の20%であると窓部として観やすい。
【0027】
図4は、窓部形成部40を形成する二本のミシン目線30を引き剥がすことにより、剥離層と接着層との間で剥離し、基材層を分離し窓部44を形成する。窓部44は、内容物の残量を問わず視認できるように縦長の楕円状に形成される。
【0028】
図5は、本発明の積層体の構成の一例を示す断面説明図である。積層体1の表面から順に熱融着性を有する外層2/基材層3/接着層4/ガスバリア性を有する中間層5/ポリエチレン層7/シーラント層8から構成される。特に清酒、焼酎、ワインなどのガスバリア性が必要な内容物では、紙容器としてガスバリア性と、窓部の透明性から、中間層として、無機酸化物6を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する。
【0029】
図6は、本発明の窓部形成部の積層体の一例を示す、図2に示すA−A´断面説明図である。窓部形成部40の積層体には、基材層3と接着層4の間に、窓部形成部40より一回り大きく剥離層9が形成されている。この窓部形成部40は、外層2から接着層4の表面まで達する二本のミシン目線30で相対向して連結された楕円状に形成されている。剥離層9は、接着層4から界面剥離することが好ましい。
【0030】
図7は、本発明の窓部44の積層体の一例を示す、図3に示すB−B´断面説明図である。窓部形成部40の剥離層9と接着層4との間で剥離し、外層2および基材層3を分離し、窓部44が形成される。窓部44は、外側から接着層4/ガスバリア性を有する中間層5/ポリエチレン層7/シーラント層8で構成された状態になる。窓部44には透明性のあるフィルムが出現し、内容物の残量に問わず視認できる。
【0031】
図8は、本発明の紙容器のブランク(凹部を有する)(外面を示す)の一例を示す説明図である。窓部形成部40に凹部43が形成され、該凹部43の深さが外層2から基材層3まで形成されている。この凹部43は、二本のミシン目線30を引き剥がすときのきっかけとなる。
【0032】
図9は、図8のブランクを組み立て成型したゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。窓部形成部40に凹部43を形成している。該凹部43は、紙容器の印刷美粧性を損なわない程度に形成すればよい。該凹部43に指爪を入れて二本のミシン目線30を引き剥がすことで安定して窓部を出現させることができる。
【0033】
図10は、本発明のフラットトップ型紙容器の一例を示す説明図である。側面稜罫線の部位に窓部形成部40を有するフラットトップ型紙容器60である。ブランク20の頂部21をフラットに折り畳んで成型すれば、該紙容器60が形成される。
【0034】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0035】
ブランク20を構成する積層体1は、基材層3として紙の坪量が200〜500g/m、密度0.6〜1.1g/cmのものを使用できる。
【0036】
熱融着性を有する外層2として15〜30μmのポリエチレンフィルムを基材層3に貼り合わせる。貼り合わせは、ポリエチレン樹脂を押出し機にて押出しラミネートすることで可能である。
【0037】
次に基材層3の裏面の窓部形成部を形成する所定の部位に、該窓部形成部より一回り大きく剥離層9を形成する。剥離層は、剥離剤を溶解した塗布液を塗布することに形成することできる。
【0038】
次に窓部形成部を形成する所定の部位に、二本のミシン目線で加工し、楕円状の窓部形成部を形成する。この剥離層の形成とミシン目線の加工は、順序を問わない。どちらでもよい。
【0039】
基材層の剥離層9が形成されている面に、接着層4としてポリエチレン層を介してガスバリア性を有する中間層5を貼り合わせる。中間層には、無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用できる。
【0040】
次に無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムのフィルム面にポリエチレン層7を介してシーラント層8を積層する。シーラント層8のポリエチレンフィルムは、30〜100μmの厚さのフィルムを使用することができる。
【0041】
積層体1は、外面から順にポリエチレン層2/基材層3/ポリエチレン層4/無機化合物蒸着層ポリエチレンテレフタレートフィルム5/ポリエチレン層7/シーラント層8である。
【0042】
また窓部形成部の積層体1は、外面から順にポリエチレン層2/基材層3/剥離層9/ポリエチレン層4/無機化合物蒸着層ポリエチレンテレフタレートフィルム5/ポリエチレン層7/シーラント層8である。この積層体1を、ロール状またはシート状にする。
【0043】
この積層体1を、一例としてゲーブルトップ型紙容器の形状に合わせ、ブランク20を作成する。罫線、外形抜きなどは一般的な公知の方法で加工することができる。例えばトムソン刃による方法が可能である。
【0044】
このブランク20を、側面稜罫線29、折り込み片26、底片27を罫線に沿って折り曲げ、糊代片25と連接する側面板24を熱融着し、四角筒状のスリーブを作成する。
【0045】
作成された四角筒状のスリーブを、充填機において、底部23を成形し閉塞し、次に口
栓46を口栓取り付け孔28に熱融着し、内容物充填、頂部21を成形し閉塞して紙容器を形成する。例えば頂部21を俗に言う切り妻屋根形に成形すれば、ゲーベルトップ型紙容器50ができる。
【0046】
積層体1のポリエチレン層2の表面には、絵柄や文字が印刷表現される。印刷方式としては、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷など通常の方式を用いることができる。表面にはコロナ処理などして印刷インキとの密着性を向上させることができる。
【0047】
また凹部43を形成する方法として、外層2を基材層3に貼り合わせものを、凹部を形成する所定の部位に打抜き加工にて孔を形成する。この時に二本のミシン目線30も加工し、孔を有する窓部形成部40を形成する。その後、基材層3の裏面全面に接着層4を介して中間層5、ポリエチレン層7、シーラント層8を積層し、凹部43が形成された積層体を作成する。この積層体を、一例としてゲーブルトップ型紙容器の形状に合わせ、ブランク20を作成する。罫線、外形抜きなどは一般的な公知の方法で加工することができる。
【0048】
更に本発明を詳しく説明する。
【0049】
剥離層を構成する材料は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子、塩化ゴム、環化ゴムなどの天然ゴム誘導体、天然ワックス、合成ワックスなどのワックス類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどの繊維素誘導体、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリアセタール系、塩素化ポリオレフィン系、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系、オレフィン系などのオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、メラニン系、ポリウレタン系、シリコン系などの熱硬化性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂の単独または組み合わせてもよく、接着層との剥離性から適宜決めればよい。これの樹脂を溶剤中に融解、または分散させ、塗布液を作成する。該塗布液を基材層の裏面の所定の窓部形成部の部位に、該窓部形成部より一回り大きく塗布して剥離層を形成する。
【0050】
剥離層を形成する方法としては、基材層の裏面にグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、インクジェット印刷などの公知の方法で可能である。剥離層の厚みとしては、接着層に用いるポリエチレンフィルムとの剥離性により適宜決めればよい。
【0051】
接着層4には、ポリエチレン層が可能である。低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂層が使用できる。厚みは10〜50μmの範囲であればよい。
【0052】
中間層5は、透明性を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどの基材に、無機酸化物を蒸着したものが使用できる。無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが使用できる。基材の厚みは6〜25μm、無機酸化物蒸着層の厚みは5〜100nmの範囲がよい。なお蒸着面の向きは、基材層側、シーラント層側どちらでもよい。使用後の無機酸化物を蒸着した中間層を用いることにより透明性を有することができる。
【0053】
シーラント層8は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが
使用可能で単層もしくは多層でもよい。好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)がよい。厚みは30〜100μmの範囲がよい。
【0054】
中間層のガスバリア性フィルム5とシーラント層8の貼り合せは、ポリエチレン層7の他に、接着剤を介してドライラミネートでも可能である。接着剤として二液反応型の接着剤、例えばポリウレタン系接着剤などが一般的に使用できる。
【0055】
基材層の裏面(剥離層を有する)に接着層4としてポリエチレンフィルムやエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などを介して中間層を貼り合わせる。この場合、予め中間層とシーラント層とが貼り合わられたものを用いて貼り合わせすることもできる。
【0056】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0057】
坪量350g/mの板紙の表面に、ポリエチレン樹脂を20μm押出しラミネートした。
【0058】
次にガスバリア性を有する中間層として、酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。酸化珪素の蒸着層の厚みは30nm、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは12μmを用いた。該ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面とシーラント層である直鎖状低密度ポリエチレン60μmを、二液反応型ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法にて貼り合わせ、積層フィルムを形成した。シーラント層は、予め押出し法により製膜した。
【0059】
次に上記板紙の裏面の窓部形成部を形成する部位に、該窓部形成部より一回り大きく、剥離層を塗布した。剥離層は、シリコン樹脂にて塗布液を作成し、グラビア印刷にて塗布し、シリコン樹脂層を形成した。
【0060】
次にこの板紙の窓部形成部を形成する所定の部位に、二本のミシン目線により楕円状の窓部形成部を形成した。ミシン目線の加工はトムソン刃を用いた。
【0061】
次に板紙のシリコン樹脂層を有する面と、上記の積層フィルムの酸化珪素蒸着面とを、接着層としてエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂を用いて厚さ30μmにてサンドポリ加工してラミネートし積層体を作成した。
【0062】
作成した積層板を1L用、70角のゲーブルトップ型紙容器を形成するためのブランクを形成するために、罫線、外形抜きを行った。ブランクは、側面稜罫線の部位に、二本のミシン目線の横幅が角寸の20%、高さ側面稜罫線と同等の楕円状に形成した。尚二本のミシン目線の両端は、曲率半径R=30mmの線とした。
【実施例2】
【0063】
実施例1のシリコン樹脂層を有した板紙の窓部形成部を形成する所定の部位に、二本のミシン目線により楕円状の窓部形成部を形成した。この時に該窓部形成部内に指爪を入れる孔を、抜き加工にて形成した。この孔は凹部を形成するためのものである。
【0064】
次に板紙のシリコン樹脂層を有する面に、実施例1の如く接着層、中間層、シーラント層を積層し積層体を作成した。この積層体を実施例1の如くブランクを形成した。
【0065】
<比較例1>
実施例1の剥離層を省いた以外は、実施例1と同様に行いブランクを形成した。
【0066】
<比較例2>
実施例2の剥離層を省いた以外は、実施例2と同様に行いブランクを形成した。
【0067】
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2で形成したブランクを用いてスリーブを形成し、充填機にてミネラルウウォーターを充填して内容量1L、70角のゲーブルトップ型紙容器を作成した。
【0068】
<評価結果>
それぞれの紙容器を用いて、窓部形成部の剥離のきっかけ性、内容物の残量の視認性を評価した。きっかけ性の評価は、◎:問題ない、○:多少しづらいが実用上問題ない。内容物の視認性評価は、◎:問題ない、×:問題あり。表1に示す。
【0069】
【表1】

窓部形成部に剥離層を有することで基材層を安定して分離できる。分離した後の窓部は、透明性を有しているために内容物の残量を問わず視認性は良好であった。しかし、剥離層がないものは、剥離時に一部に紙層間で剥離してしまった。残量の視認性に問題があった。また凹部を形成することで、きっかけ性がよい。きっかけを有することで更に安定して剥離ができる。
【0070】
本発明の液体用紙容器は、外観上窓部が形成されていないために、印刷の美粧性を損なうことはない。紙容器の保形性、取り扱い性に優れた液体用紙容器である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の液体用紙容器は、ジュース、スープ、乳製飲料(豆乳、コーヒー牛乳など)、乳製品(ホイップクリームなど)、酒類(清酒、焼酎、梅酒、ワインなど)、コーヒーなどの飲料、食品に使用できる。また非食品としてパーマ液、洗剤、柔軟剤、建材用ワックスなどに使用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 積層体
2 外層(ポリエチレン層)
3 基材層
4 接着層(ポリエチレン層)
5 ガスバリア性を有する中間層(無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)
6 無機酸化物
7 ポリエチレン層
8 シーラント層
9 剥離層
20 ブランク
21 頂部
22 胴部
23 底部
24 側面板
25 糊代片
26 折り込み片
27 底片
28 口栓取り付け孔
29 側面稜罫線
30 ミシン目線
31 ミシン目線の高さ
32 曲線(曲率半径)
40 窓部形成部
41 窓部形成部の横幅
42 窓部形成部の高さ
43 凹部
44 窓部
45 角寸
46 口栓
50 本発明の液体用紙容器(ゲーブルトップ型)
60 本発明の液体用紙容器(フラットトップ型)
70 従来の窓部を有するブランク
71 窓貼りフィルム
80 従来の窓部を有する液体用紙容器(ゲーブルトップ型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を基材層とし、熱融着性を有する外層/基材層/接着層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層からなる積層体で、
頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線を介して形成される四角筒状の液体用紙容器であって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線の部位に、
前記外層から前記接着層の表面まで達する二本のミシン目線で相対向して連結された楕円状の窓部形成部が、前記側面稜罫線を囲むように形成され、
該窓部形成部の前記基材層と前記接着層との間に、該窓部形成部より一回り大きく剥離層が形成され、
前記窓部形成部を、前記ミシン目線に沿って引き剥がし、前記剥離層と前記接着層間で剥離し、窓部が形成されることを特徴とする液体用紙容器。
【請求項2】
前記窓部形成部が、該窓部形成部の一部に凹部が形成され、該凹部の深さが前記外層から基材層まで形成されていることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器。
【請求項3】
前記ミシン目線の形状が、高さが前記側面稜罫線と同等で、両端が曲率半径R=30mmからなり、相対向して連結された楕円状の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする請求項1または2記載の液体用紙容器。
【請求項4】
前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−79099(P2013−79099A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219864(P2011−219864)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】