説明

液体試料の分析システム

【課題】臨床化学分析や免疫分析等の具体的診断検査法において様々な分析を行うよう適合させた、液体試料の自動分析用の新規システムを提供する。
【解決手段】液体試料の自動分析用のシステム1は、試料と1つ以上の試薬との間で反応を行わせ、それによって反応生成物を得る1つ以上の処理ユニット3と、試料を1つ以上の処理ユニット3に供給する試料ユニットと、試料と混合する1つ以上の試薬を収容する複数の試薬容器8を装備する試薬ユニットと、少なくとも一部が試薬容器8と1つ以上の処理ユニット3に接続された複数の分配ライン13を配設され、1つ以上の試薬を含む流体を分配する分配ユニット6と、反応生成物に基づき試料を分析する少なくとも1個の分析ユニット2で、反応生成物を検出する少なくとも1個の検出器4を含む分析ユニット2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料の自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、主に臨床分析数が継続して増加していることから液体試料の自動分析の強い要望が見受けられる。試料分析は一般に、分析物特有の反応を生じる1つ以上の試薬を試料に混合し、続いて反応生成物を検出し、その中に含まれる1つ以上の分析物の有無または濃度を判定する。
【0003】
市販の分析器は一般に試料と試薬を混合する分注ロボットを利用しており、それは通常多くの可動部を有していて、それらは高速でかつほぼ連続的に可動するため、頻繁な保守と交換作業とを必要とすることがある。さもなくば、従来の分析器は分析方法の種類別に関し柔軟性が制限されており、分注作業のばらつきにより比較的低い精度でしか操作できない。さらに、試薬は周囲の空気に触れているため、貯蔵寿命が短い。
【0004】
低試料消費と高速分析時間と高試料処理量により、これらのマイクロ流体システムのうち、液体試料の自動分析用の集積化流体システムを開発する多くの努力がなされてきた。マイクロ流体システムは、当業者には周知であり、特許文献、たとえば米国特許出願公開第2008/0252905号明細書や米国特許出願公開第2008/02371151号や米国特許出願公開第2008/0206110号に詳細に記載されている。
【0005】
実際には、従来のマイクロ流体システムには多くの欠点があり、それはこれらのシステムが所定の工程手順と流体量とに限定されており、一般に特定の種類の分析法に関連付けられていたからである。これらのシステムは比較的試薬経路が少なく、それ故ユーザの要求に従って規模を拡大することができない。試薬は、分注作業または試薬経路への複合管を介して供給しなければならない。マイクロ流体システムは通常、1回使用を目的とし、それ故に比較的大きなコストの原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のことを考慮して、本発明の1つの目的は液体試料の自動分析用の改良されたシステムを提供することにある。この目的は、独立請求項によるシステムによって叶えられる。本発明の好適な実施形態は、従属請求項の特徴によって与えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、液体試料の自動分析用の新規システムが提案され、ここでは試料分析のため、液体試料と1つ以上の試薬を混合し、反応生成物を検出することができる。システムを、ユーザの具体的要求に従う様々な仕方で構成することができる。システムを、生体外診断法を含む(生)化学において用いることができ、臨床化学分析や免疫分析等の具体的診断検査法において様々な分析を行うよう適合させることができる。
【0008】
ここで使用するように、用語「マイクロ流体」は一般にミリメートルからミリメートル以下の寸法次元の断面寸法を指す。マイクロ流体の特徴から、たとえば100μL/s程度以下の流量においてたとえば100μL程度以下の流体量の操作が可能となる。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「オン/オフ弁」は、3個の別個の状態、すなわち液体やガス状流体が弁を通過できる第1の開弁状態と、ガス状流体が弁を通過でき、液体は弁を通過できない第2の開弁状態と、液体とガス状流体が共に弁の通過を阻止される閉弁状態のうちの1つへ選択的になることのできる弁を表わす。この種のオン/オフ弁は、当業者には周知で、特許文献、たとえば米国特許出願公開第2003/0094206号明細書や米国特許第6,311,713(B1)号明細書に記載された凍結/解凍弁として実装することができる。
【0010】
凍結/解凍弁を用いることにより、流路経路内に収容された液体流体を単純に凍結または融解することで流体流を制御することができる。より詳しく述べるならば、第1の開弁状態では液体とガス状流体が弁を通過することができる。第2の開弁状態では、ガス状流体は弁を通過することができるが、液状流体が存在する場合に弁を十分に冷却して凍結栓を生成し、第2の開弁状態を閉弁状態へ切り替えることができる。閉弁状態にあっては、凍結/解凍弁は、生じた凍結栓と経路壁との間に存在し、それによって流体流を拘束する剪断運動に対する抵抗に依存する。凍結/解凍弁等のオン/オフ弁と組み合わせることで、流動経路を弁と流体との中間にガス気泡を生ずることなく流体を所定の場所に一時的に保持(すなわち、登録(register))して供給するのに用いることができる。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「流体接続され」または「接続され」は、連通ラインや経路、またはオン/オフ弁や機械式アクチュエータ等を含む外部アクチュエータ等の流体流調節手段を含めることのできる他のシステム構成要素を指す。従って、流体接続されたシステム構成要素は、流体流を可能にすべく開き、または流体流を阻止すべく閉じることができる。
【0012】
本発明のシステムにより処理する液体試料は、場合によっては1つ以上の分析物が発見できる流体である。試料は化学物質であってよく、またシステムは1つ以上の化学的分析、たとえば薬剤相互作用選別や環境分析や有機物質同定等を実行するよう適合させることができる。試料は生物学的製剤であってもよく、またその処理に流体と1つ以上の試薬との混合を含む限り、血液や血清や尿や脳脊髄液や核酸含有流体や目的とする他の任意の流体を含むことができる。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「試薬」は試料および/または1つ以上の他の試薬と混合することのできる任意の液体を示すのに用いられる。より厳格な用語の意味では、試薬は試料と反応することのできる成分を含む。しかしながら、試薬は緩衝液や希釈流体等の非反応流体とすることもできる。
【0014】
本発明によれば、下記の説明において詳述するように、液体試料の自動分析システムは様々なユニットを含んでいる。本明細書で使用するとき、本発明のシステムの各ユニットは液体試料処理用の機能的実体である。用語「ユニット」のより厳格な意味において、システムのユニットは構造的態様において互いに異なる構造的実体として実装することもできる。
【0015】
本発明のシステムは、本発明のシステムの機能的かつ構造的実体である液体試料を処理する1つ以上の(マイクロ流体)処理ユニットを含む。各処理ユニットにおいて、液体試料は、得られる試料/試薬混合物の反応生成物を用いてその分析をするために、1つ以上の試薬と混合することができる。処理ユニットを、ユーザーの具体的要求に従って様々な仕方で構成することができる。その場合、処理ユニットはたとえば、得られる試料/試薬混合物の反応生成物を分析する分析機器へ移送することのできる試料/試薬混合物を調製する調製機器として実装することができる。さもなくば、本発明の処理ユニットを、得られる試料/試薬混合物の反応生成物に基づき試料を分析する分析ユニットに結合することもできる。本発明による処理ユニットは、生体外診断を含む(生)化学に用いることができ、試料と試薬の混合に加えこれらの反応結果の検出を含む様々な分析を実行するよう適合させることができる。それは、たとえば臨床化学分析や免疫測定等の診断分析に用いることができる。
【0016】
システムの1つ以上の処理ユニットは、ユーザーの具体的要求に従って試料の調製操作および/または分析操作を行うよう流体を輸送することのできる複数の相互接続された経路と室とを配設したものである。一実施形態では、各処理ユニットには試料を移送する1つ以上の試料経路と試薬を移送する1つ以上の試薬経路とが配設してあり、それらは共に試料と試薬との間で反応を引き起こすよう1つ以上の反応室と連通している。各試料経路および試薬経路には、経路内の流体流を選択的に可能にし、または阻止する凍結/解凍弁等のオン/オフ弁が配設してある。さらなる1つの実施形態では、各処理ユニットの試料経路と試薬経路は、正または負の圧力をその中に生成するポンプ等の1つ以上の圧力アクチュエータに接続してある。ポンプは、たとえばメンブレンポンプ型やシリンジポンプ型や回転変位ポンプ型やベローズポンプ型等の連続式または間欠式のポンプとして実装することができる。ベローズポンプ型のポンプは、たとえば米国特許第5,638,986号明細書に開示されている。
【0017】
本発明のシステムは、1つ以上の処理ユニットに試料を供給する「試料ユニット」として以下表記する別のシステム構成要素を含んでいる。試料ユニットには、本発明のシステムにより処理される試料を含む1つ以上の試料容器を配設することができる。それはさらに、試料容器から1つ以上の処理ユニットへ試料を移送する1つ以上の試料吸入管を含んでいる。本発明の一実施形態では、各試料吸入管は、試料容器内に浸漬してその中に収容された試料を吸引することのできる(たとえば、金属製の)ニードルとして実装される。試料ユニットはまた、試料を分配し、処理ユニットに試料を供給する1つ以上の試料ラインを含ませることができる。試料容器は、分配ラインにより処理ユニットへ直接にまたは間接に接続することができる。試料ユニットには、試料容器を各処理ユニットへ輸送するよう適合させた試料容器輸送機構も備えることができる。試料容器輸送機構は、全ての処理ユニットが共有するシステム構成要素とすることができる。
【0018】
本発明のシステムは、下記において「試薬ユニット」として表記するさらにもう1つのシステム構成要素を含んでおり、それは試料と混合する1つ以上の試薬を収容する1つ以上の試薬容器を備えている。試薬は、互いに同一とするかまたは異ならしめることができる。試薬ユニットは、たとえば本発明のシステムの構造的実体として実装することができる。
【0019】
本発明のシステムは、「分配ユニット」として以下表記するさらにもう1つのシステム構成要素を含んでおり、これが試薬を含み、随意選択的に試料を含むことのできる1つ以上の流体を分配する。分配ユニットは、本発明のシステムの構造的実体である。分配ユニットは、流体を分配し輸送する(流動)チャンネル等の複数の分配ラインを含む。少なくとも一部の分配ラインをたとえば流体相互接続により試料容器と処理ユニットとに流体接続し、これにより分配ラインを介して処理ユニットに試薬を供給できるようにしてある。その場合、個々の分配ラインは1つ以上の処理ユニットに流体的に接続することができる。これ故、各試薬容器は1つ以上の処理ユニットに流体的に接続される。一部の分配ラインを試料容器と処理ユニットに流体接続し、これにより分配ラインにより処理ユニットに試料が供給できるようにすることができる。
【0020】
本発明のシステムはさらに、試料を分析する少なくとも1個の分析ユニットを含む。分析ユニットは、個々の試料と1つ以上の試薬の反応生成物を検出する少なくとも1個の検出器を含む。一実施形態では、少なくとも1個の検出器は1つ以上の処理ユニット、すなわちその反応室に結合してあり、その中に収容された試料/試薬混合物の反応生成物を検出する。別の実施形態では、少なくとも1個の検出器が1つ以上の処理ユニットに流体接続してあり、その中で生成された試料/試薬の反応生成物を検出する。システムは特に、試料を分析する複数の分析ユニットを含んでおり、そのそれぞれが1つの所定の種類または異なる種類の分析方法に関連することのできる反応生成物を検出する少なくとも1個の検出器を含んでいる。検出器には、たとえば反応生成物を光学的に検出する光度計等の光検出器、たとえばイオン選択電極(ISE)に結合した機器結合流入計測セル、酵素−電気化学検出器等のバイオセンサー、電気−化学発光検出器(ECL)、光検出器等を含めることができる。
【0021】
分析ユニットにはさらに制御ユニットを含ませることができ、それはたとえば試料の自動分析に従って処理を行う命令を備えたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行するプログラム可能なロジックコントローラとして実装することができる。制御ユニットは、制御を必要とし、および/または情報を提供する構成要素に接続される。その場合、制御ユニットは、試料吸入と、試薬吸入と、得られた試料/試薬混合物の反応生成物を生じる反応と、得られた反応生成物に基づいた試料の分析とを制御するよう設定する。
【0022】
これ故、本発明では、分配ユニットにより、試薬と随意選択的ではあるが試料の分配を高度に集積化された仕方で効率的に行い、1つ以上の所定の種類の分析方法と関連することのできる1つ以上の処理ユニットを提供する。
【0023】
本発明のシステムの一実施形態によれば、分配ユニットは試薬と随意選択的ではあるが試料を含む流体を分配する複数の分配経路を備える固体基板として実装される。それは、たとえば実質平面形状を有する単一ブロックや平面体や盤として実装することができる。分配ユニットは、たとえばプラスチック材製であってよく、従来の成形技法を用いて製作することができる。分配ユニットは、特にモジュール式システム構成要素として実装することができる。モジュール式分配ユニットは、それぞれが1つ以上の処理ユニットに関連付けられる複数の(たとえば、モジュール式)サブユニットで構成することができる。
【0024】
固体分配ユニットは、有利には、多数の、たとえば互いに異なっていてもよい数百の試薬を1つ以上の所定の種類の分析方法に関連付けることのできる1個または複数個の処理ユニットへ分配できるようにすべく、分配経路の高度集積化配置を可能にする。それは、試料の分配を可能にすることもできる。
【0025】
本発明のシステムのさらなる1つの実施形態によれば、システムは、1つ以上の処理ユニットと固体基板として実装される分配ユニットの分配経路とを接続する「第1試薬供給ライン」として以下表記する試薬供給ラインを含む。その場合、第1試薬供給ラインと分配経路とを配置することが好ましく、すなわち固体分配ユニットは互いに異なる2つの(垂直方向の)高さに分配経路を含む。代替的には、第1試薬供給ラインは、たとえば分配経路が中間経路として実装される場合に分配ユニットの一部とすることができる。
【0026】
本発明のシステムの1つの代替実施形態によれば、固体基板として実装される分配ユニットには、1つ以上の、好ましくは複数の処理ユニットと分配経路とを接続する複数の接続ポートが配設される。好ましくは、接続ポートは、その場合にプラグ挿入可能な構成要素(たとえば、モジュール)である処理ユニットを受け入れるよう適合させた(雄または雌の)プラグポートとする。この種の実施形態により、分配ユニットへの処理ユニットの簡単で迅速な組み付けが可能となり、処理ユニットの交換や保守が容易になる。さらに、1つ以上の所定の種類の分析方法に関連することのできる処理ユニットが簡単に交換または追加できるため、分析柔軟性をそなえる。
【0027】
上記実施形態では、複数の処理ユニットを互いに連続して、たとえば分配経路の具体的配置と経路に応じて直線的にまたは円形に配置することが好ましい。
【0028】
上記実施形態では、それぞれがプラグ挿入可能なモジュールとして実装される1つ以上の処理ユニットを受けるよう適合させたプラグポートとして実装される複数の接続ポートを配設した複数のモジュール式サブユニットを分配ユニットに配設することもまた好ましい。1個のモジュール式サブユニットからなる処理ユニットを、1つの所定の種類の分析方法に関連付けることができる。さもなくば、複数のモジュール式サブユニットからなる処理ユニットを異なる種類の分析方法に関連付けることもできる。
【0029】
本発明のシステムのさらにもう1つの実施形態によれば、システムは試薬容器と分配ユニットの分配経路とを流体接続する「第2試薬供給ライン」と以下表記する試薬供給ラインを含む。その場合、好ましくは、第2試薬供給ラインと分配経路、すなわち分配経路を含む固体分配ユニットを互いに異なる2つの(垂直方向の)高さに配置する。代替的には、第2試薬供給ラインは、たとえば分配経路を中間経路として実装する場合に分配ユニットの一部とすることができる。本発明のシステムの1つの代替実施形態によれば、固体基板として実装される分配ユニットに試薬容器と分配経路とを接続する複数の接続ポートが配設される。好ましくは、接続ポートは、試薬容器を受けるよう適合させたプラグポートであり、その場合、試薬容器はプラグ挿入可能な構成要素となる。この種の実施形態により、分配ユニットと試薬容器との簡単かつ迅速な組立が可能となり、試薬容器の交換が容易になる。
【0030】
本発明のシステムのさらなる1つの実施形態によれば、各処理ユニットは、分配ユニットの分配経路に接続された経路を開/閉する1つ以上のオン/オフ弁、たとえば凍結−解凍弁を装備している。代替的にまたは追加的に、分配経路を開/閉するオン/オフ弁を分配ユニットの一部とすることができる。
【0031】
本発明のシステムのさらにもう1つの実施形態によれば、処理ユニットは、複数のサブセットからなり、そのそれぞれが少なくとも1個の処理ユニットを含んでおり、各サブセットが分配経路の個々のサブセットに接続されている。この実施形態では、所定の分配経路が1つ以上の所定の処理ユニットに接続されている。
【0032】
本発明の上記実施形態の代替例である本発明のさらにもう1つの実施形態によれば、各分配経路は各処理ユニットに流体接続される。
【0033】
本発明のシステムのさらにもう1つの実施形態によれば、試薬容器は複数の試薬容器のサブセットで構成されており、そのそれぞれが1つ以上の試薬容器を含んでいて、各サブセットは処理ユニットの個々のサブセットに接続される。この実施形態では、所定の分配経路が1つ以上の所定の処理ユニットに接続される。
【0034】
本発明の前記実施形態の代替例である本発明のシステムのさらなる1つの実施形態によれば、各試薬容器は処理ユニットのそれぞれに流体接続される。
【0035】
本発明のシステムのさらなる1つの実施形態によれば、システムのユニットは互いに異なる(垂直方向の)高さに配置するようにする。
【0036】
本発明のシステムは、ガス状の、随意選択的には液体のシステム流体に基づくものとすることができる。システムは液状およびガス状システム流体の組み合せに基づくことが好ましい。液体システム流体を供給する場合、液体システム流体と試料または試薬との間の混合は回避される。
【0037】
本発明の他のおよび更なる目的、特徴および利点は、以下の説明からより完全に明らかにされよう。明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであり、上記に記した概略の説明と下記に提供する詳細な説明と併せ、本発明原理の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のシステムの例示的構成の機能的実体を示す概略図である。
【図2】図1の構成の例示的実施形態を表わす概略図である。
【図3】図1の構成の別の例示実施形態を表わす概略図である。
【図4】図1の構成の変形例の例示実施形態を表わす概略図である。
【図5】図1の構成の別の変形例の例示実施形態を表わす概略図である。
【図6】本発明のシステムの分配ユニットの例示実施形態の概略上面図である。
【図7】本発明のシステムの例示実施形態の斜視図である。
【図8A】図7の分配ユニットの概略上面図である。
【図8B】図7の分配ユニットの概略断面図である。
【図9A】図7の分配ユニットの異なる実施形態を示す概略図である。
【図9B】図7の分配ユニットの異なる実施形態を示す概略図である。
【図10】図7の分配ユニットの別の実施形態を示す概略斜視図である。
【図11】図7の分配ユニットのさらに別の実施形態を示す概略斜視図である。
【図12】図7の分配ユニットのさらに別の実施形態を示す概略斜視図である。
【図13】本発明のシステムの処理ユニットの第1の例示的構成の機能的実体を示す概略図である。
【図14】本発明のシステムの処理ユニットの第2の例示的構成の機能的実体を示す概略図である。
【図15】図14の処理ユニットの例示的実施形態を表わす概略図である。
【図16A】図15の処理ユニットを用いて液体試料の処理をする代表的な方法を示す。
【図16B】図15の処理ユニットを用いて液体試料の処理をする代表的な方法を示す。
【図16C】図15の処理ユニットを用いて液体試料の処理をする代表的な方法を示す。
【図16D】図15の処理ユニットを用いて液体試料の処理をする代表的な方法を示す。
【図16E】図15の処理ユニットを用いて液体試料の処理をする代表的な方法を示す。
【図16F】図15の処理ユニットを用いて液体試料の処理をする代表的な方法を示す。
【図16G】図15の処理ユニットを用いて液体試料の処理をする代表的な方法を示す。
【図17】本発明のシステムの処理ユニットの第3の例示的構成の機能的実体を示す概略図である。
【図18】図17の処理ユニットの1つの例示的実施形態を表わす概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図を用いて、本発明を実施することのできる具体的な例示的実施形態を説明する。
【0040】
図1〜3を参照し、液体試料を分析する本発明のシステムの例示的な第1の構成ならびにその例示的実施形態を説明する。
【0041】
従って、液体試料の処理用のシステム1は、それぞれがシステム1の機能的かつ構造的実体である液体試料処理用に適合させた複数の(貫流)処理ユニット3を含んでいる。それはさらに、分析ユニット2を備えており、これがたとえば光度計として実装することのできる1個の光学式検出器4を含んでいる。処理ユニット3は、光検出器4を含む分析ユニット2と併せ、同一種の分析方法に専用とし、たとえばユーザの具体的要求に従って臨床化学や免疫性化学や核酸試験や血液学や検尿等に関連付けることができる。システム1はさらに、たとえば試料を混合する試薬を収容した冷却された区画室内に貯蔵される複数の試薬容器8を配設した試薬ユニット5を備える。試薬は、互いに同一かまたは異ならしめることができる。システム1はその上さらに、試料管9をシステム1内に装填し、試料管9を様々な処理ユニット3へ輸送する試料管装填機構10を装備する試料ユニット7を備える。システム1はその上さらに、試薬と随意選択的には試料を各処理ユニット3へ輸送する複数の分配(流動)経路を含む、1つ以上の試薬を分配する分配ユニット6を備える。
【0042】
特に図2を参照し、図1のシステム1の第1の構成の例示的実施形態を説明する。システム1は複数の処理ユニット3を備えており、そのそれぞれが分配ユニット6により提供される複数の分配経路13により複数の試薬容器8に接続してある。3個の処理ユニット3と9個の試薬容器8が例示目的にのみ合わせ図示してあるが、ユーザの具体的要求に従いそれぞれ他の任意の数の処理ユニット3および試薬容器8を構想できることは理解されたい。
【0043】
システム1では、各処理ユニット3は試薬ユニット5の試薬容器8の専用サブセットに接続してあり、ここで1個のサブセットの各試薬容器8は1つの分配経路13により1つの処理ユニット3に接続され、各試薬容器8と関連する処理ユニット3との間に1対1の接続がもたらされるようにしてある。従って、各分配経路13は、1個の試薬容器8と1個の処理ユニット3とを流体接続している。
【0044】
システム1では、処理ユニット3のそれぞれをさらに1個の試料ライン14により1本の試料吸入管15へ接続し、試料管9内に収容された試料を処理ユニット3内に吸引することができる。試料吸入管15は、たとえば金属製ニードルとして実装することができる。従って、各処理ユニット3は試料吸入管15を用い専用試料管9から試料を吸引することができる。試料吸入管15は、試料ユニット7の一部とすることができる。試料管9を処理ユニット3へ移送する試料管装填機構10は、たとえば試料管9を保持するカップ様ホルダー12を配設したモーター駆動ベルト11を含むベルト駆動装置として実装される。従って、試料管9は水平な矢印により示す如くベルト10を駆動することで試料管装填機構10を介して処理ユニット3へ輸送することができる。加えて、各ホルダー12を上方へ持ち上げ、その中に収容された試料管9を1個の試料吸入管15へ向け移動させ、垂直な矢印により示す如く試料吸入管15により試料管9内に収容された試料を吸引できるようにすることができる。
【0045】
システム1はさらに、たとえば各処理ユニット3内に収容された試料/試薬混合物の反応生成物を光学的に検出する光度計として実装される1個の光検出器4を含んでいる。光学式検出器4は、光学的に検出された反応生成物に基づき試料を分析する分析ユニット2の一部をなす。従って、光学式検出器4を処理ユニット3に収容された試料/試薬混合物の試薬生成物から放射される光を検出するよう適合させる。その場合、処理ユニット3は光学式検出器4を含む分析ユニット2と併せ所定の種類の分析法に専用となる。
【0046】
図2のシステム1の例示実施形態では、任意の所望数の処理ユニット3を並列に稼働させることができ、一方で各処理ユニット3は試薬ユニット5の試薬(すなわち、試薬容器8)の個々のサブセットへのアクセスを有する。各処理ユニット3は、個々の試料へのさらなるアクセスを有する。これ故、試料処理量はユーザの具体的要求に従って増加させることができる。さもなくば、処理ユニット3は同一種の分析方法に関連付けてあるため、たとえ1つ以上の処理ユニット3に欠陥がある場合でも、試料の分析を保証することができる。さらに、同一種の分析方法に関連する複数の処理ユニット3により、試料の並列分析を実行し、たとえばその平均値を算出することでさらに処理のできる複数のあり余る結果が入手できるようにしてある。
【0047】
試料管装填機構10と光学式検出器4は、全ての処理ユニット3が共有する共通システム構成要素である。共有システム構成要素により、システム1の製作費を著しく減らすことができる。
【0048】
特に図3を参照し、図1のシステム1の第1の構成の別の例示的実施形態を説明する。不要な反復を避けるため、図2の実施形態に対する差異だけを説明し、それ以外は図2に関連してなされた説明を参照されたい。
【0049】
図3のシステム1では、各処理ユニット3は試薬のサブセットだけでなく、試薬ユニット5の全ての試薬(すなわち、試薬容器8)にもアクセスを有する。その目的に合わせ、流体分配ユニット6の分配経路13は中間経路として実装してあり、その数は試薬ユニット5の試薬容器8の数に対応している。中間経路13を処理ユニット3へ接続するため、システム1はさらに処理ユニット3と分配経路13とを流体接続する第1試薬供給経路18を含んでおり、ここでは異なる第1試薬供給経路18が異なる分配経路13に接続してある。第1試薬供給経路18の数を処理ユニット3の数を乗じた分配経路13の数に対応させ、各分配経路13と処理ユニット3との間に1対多の接続を持たせるようにしてある。システム1はその上さらに、試薬容器8と分配経路13とを流体接続する第2試薬供給経路17を含んでおり、ここでは異なる第2試薬供給ライン17が異なる分配経路13に接続してある。第2試薬供給ライン17の数は分配経路13の数に対応させ、第2試薬供給ライン17と分配経路13との間に1対1の接続を持たせるようにしてある。
【0050】
これ故、図3のシステム1では、各処理ユニット3は第1試薬供給経路18により各中間経路16に接続される。さもなくば、各試薬容器8は第2試薬供給経路17により専用の中間経路16に接続し、各試薬容器8を各処理ユニット3に接続するようにしてある。
【0051】
図3のシステム1の第2例示実施形態では、任意の所望数の処理ユニット3を試薬ユニット5の全ての試薬(すなわち、試薬容器8)へのアクセスを有する各処理ユニット3と並列に稼働させることができる。これ故、試料の処理量は所望に応じて増大させることができ、全ての試薬を全ての処理ユニット3へ供給することができる。その結果、各処理ユニット3に試薬の個別サブセットを用意する場合に比し、コストを節約することができる。
【0052】
特に図4を参照し、図1の第1構成の変形例であるシステム1の第2の構成の例示実施形態を説明する。不要な反復を避けるため、図2の実施形態に対する差異だけを説明し、それ以外は図2に関連してなされた説明を参照されたい。
【0053】
図4の第2の構成では、システム1には2個の異なる検出器、すなわち光検出器4と貫流セル19に結合された機器とが配設されている分析ユニット2が含まれる。システム1はさらに2個の処理ユニット3を含んでおり、ここで1つの処理ユニット3にはたとえば1つ以上の反応室から放射された光を検出する光度計として実装される光検出器4が結合してあり、他の処理ユニット3は接続経路20により貫流セル19に流体接続してある。従って、対応する処理ユニット3の試料/試薬混合物を貫流セル19へ供給し、貫流セル19に結合された機器(図示せず)により試料/試薬混合物の反応生成物を検出することができる。貫流セル19は、たとえばイオン選択電極(ISE)や酵素−電気化学検出器等のバイオセンサーや電気−化学発光検出器(ECL)や光検出器等に結合することができる。従って、処理ユニット3は光検出器4および流入セル19と併せ互いに異なる第1および第2の分析法に関連付けられる。図4のシステム1では、1本の試料管9内に含まれる試料を多分岐試料管ライン14により両処理ユニット3に接続された1本の試料吸入管15により両処理ユニット3内へ吸い込むことができる。
【0054】
図4のシステム1では、各処理ユニット3は使用する分析法の種類別に特有の試薬容器8の個々のサブセットに流体接続してある。図4に示す如く、たとえば3個の試薬容器8を光検出器4の第1の分析方法と組み合わせて用い、2個の試薬容器8を流入セル19の第2の分析方法に用いる。各試薬容器8は流体分配ユニット6の1つの分配経路13で結合する処理ユニット3へ接続し、試薬容器8と処理ユニット3との間の1対1の接続を実現するようにしてある。
【0055】
異なる種類の分析方法に関連する2個の処理ユニット3を例示目的にのみ図示したが、個別の分析方法に関連付けることができ、さらに個々の検出器に結合することのできる任意の他の数の処理ユニット3をユーザの具体的要求に従って構想することができることを理解されたい。
【0056】
図4のシステム1の例示実施形態では、任意の所望数の処理ユニット3を並列に稼働させることができ、一方で各処理ユニット3は使用する分析方法の種類別に特有の試薬ユニット5の試薬の個別サブセットに対するアクセスを有する。各処理ユニット3に接続された1個の試料吸入管15を用いることで、1個の試料を2つ以上の異なる所定の種類の分析方法を用いて並列に分析することができる。
【0057】
特に図5を参照し、図1の第1構成の別の変形例であるシステム1の第3の構成の例示実施形態を説明する。不要な反復を避けるため、図4の実施形態に対する差異だけを説明し、それ以外は図4に関連してなされた説明を参照されたい。
【0058】
図5の実施形態では、システム1は、光検出器4に結合され、かくして第1の分析方法に関連する処理ユニット3の第1のサブセット(たとえば、2個)と、流入セル19に結合した機器に接続され、かくして第1の分析方法とは異なる第2の分析方法に関連する処理ユニットの第2のサブセット(たとえば、3個)とを含む。光検出器4は、たとえばそこに結合された処理ユニット3の第1のサブセットの反応室から放出される光を検出する光度計として実装することができる。流入セル19は、多分岐接続経路20によりサブセット処理ユニット3の第2のサブセットに流体接続され、サブセット処理ユニット3の第2のサブセットの反応室の試料/試薬混合物を流入セル19へ輸送してその検出を行うことができる。
【0059】
1本の試料管9の試料を、多分岐試料ライン14により全ての処理ユニット3へ接続された1個の試料吸入管15により第1および第2のサブセットの全ての処理ユニット3内へ同時に吸引することができる。第1の分析方法に関連する処理ユニット3の第1のサブセットの処理ユニット3は、第1の分析方法に特有の全ての試薬(すなわち、試薬容器8)を含む試薬ユニット5のサブセット試薬容器8の第1のサブセットに対するアクセスを有する。さもなくば、第2の分析方法に関連する処理ユニット3の第2のサブセットの処理ユニット3は、第2の分析方法に特有の全ての試薬(すなわち、試薬容器8)を含む試薬ユニット5のサブセット試薬容器8の第2のサブセットに対するアクセスを有する。その目的に合わせ、流体分配ユニット6の分配経路13はそれぞれ中間経路として実装する分配経路の第1のサブセットと分配経路の第2のサブセットとからなる。処理ユニット3の第1のサブセットと第2のサブセットのそれぞれの処理ユニット3を分配経路13の第1のサブセットと第2のサブセットのそれぞれへ流体接続すべく、システム1はさらに第1試薬供給経路18の第1のサブセットと第2のサブセットのそれぞれを含んでおり、そのそれぞれは1個の処理ユニット3と1個の分配経路13とを流体接続しており、ここで異なる第1試薬供給経路18が異なる分配経路13に接続される。試薬容器8の第1のサブセットと第2のサブセットのそれぞれの試薬容器8を分配経路13の第1のサブセットと第2のサブセットのそれぞれへ流体接続すべく、システム1はその上さらに第2試薬供給経路17の第1のサブセットと第2のサブセットのそれぞれを含んでおり、そのそれぞれは1個の試薬容器8と1個の分配経路13とを流体接続しており、ここでは異なる第2試薬供給経路17が異なる分配経路13に接続してある。
【0060】
図5では、サブセット処理ユニット3の第1のサブセットは光検出器4に結合された2個の処理ユニット3を含んでおり、一方でサブセット処理ユニット3の第2のサブセットは流入セル19に接続された3個の処理ユニット3を含んでいるが、ユーザの具体的要求に従って光検出器4と流入セル19に結合された他の任意の数の処理ユニット3をそれぞれ構想できることは理解されたい。
【0061】
図5に示したシステム1の例示実施形態では、特定の種類の分析方法に専用の任意の所望数の処理ユニット3を並列に稼働させることができ、その一方でその特定の種類の分析方法の各処理ユニット3はそれに特有の試薬ユニット5の全ての試薬に対するアクセスを有する。処理ユニット3に接続した1個の試料吸入管15を用い、1個の試料を並列にして異なる種類の分析方法を用いて分析することができ、ここでは各種の分析方法が複数の処理ユニット3に関連付けてある。図5のシステム1はかくして、異なる種類の分析方法を用いてきわめて高速の試料分析を可能にし、試料分析の作業所要時間を低減するようにしてある。個別の処理ユニット3の欠陥時でさえ、利用可能な分析方法に拘束されることなく、残りの流体処理ユニット3により試料の並列分析が可能となる。それは特に、異なる種類の分析方法を並列に用いて、1個の試料の所定のパラメータ集合の測定を可能にする。
【0062】
図6を参照し、図3と図5に示したシステム1の分配ユニット6の例示的実施形態を説明する。
【0063】
従って、分配ユニット6は固体基板、たとえば互いに並列に整列する複数の分配経路13を配設した平面盤として実装される。分配経路13は、たとえば箔で覆った基板面に加工した溝として実装することができ、または代替的に基板内に形成することができる。
【0064】
各処理ユニット3(たとえば、例示目的のためのみに5個の処理ユニットを図示する)は、第1試薬供給ライン18により各分配経路13へのアクセスを有する。各第1試薬供給ライン18は、1個の処理ユニット3と1個の分配経路13とを流体接続(1対1で接続)しており、ここで異なる第1試薬供給ライン18が異なる分配経路13に接続してある。各試薬容器8(たとえば、例示目的のためのみに3個の試薬容器8を図示する)は、第2試薬供給ライン17により個別の分配経路13へのアクセスを有する。各第2試薬供給ライン17は、1個の試薬容器8と1個の分配経路13に流体接続(1対1で接続)してあり、ここでは異なる第2試薬供給ライン17を異なる分配経路13に接続してある。第1試薬供給ライン18は、流体がその中を自由に通過できるようにする流体相互接続路16により分配経路13へ流体接続してある。同様に、第2試薬供給ライン17は流体がその中を自由に通過できるようにする流体相互接続路16により分配経路13へ流体接続してある。第1試薬供給ライン18と分配経路13は、異なる高さ(垂直方向高さ)に配置してある。図面には図示していないが、第1および/または第2試薬供給ライン17、18は代替的には分配ユニット6の一部とすることができる。
【0065】
図6に示すシステム1の分配ユニット6の例示実施形態では、分配ユニット6は分配経路13を配設した固体基板である。その変形例では、固体分配ユニット6にはさらに第1試薬供給ライン18および/または第2試薬供給ライン17が配設してある。その場合、処理ユニット3および/または試薬容器8は、たとえば処理ユニット3および/または試薬容器8を分配ユニット6の専用ポートにプラグ挿入することで、第1および/または第2試薬供給ラインへ流体接続することができる。
【0066】
本発明のシステム1の別の例示実施形態の斜視図である図7を参照する。
【0067】
従って、システム1では、試料ユニット7には試料管9をシステム1へ装填し、試料管9を様々な処理ユニット3のそれぞれへ輸送する試料管装填機構10が配設してある。試料管装填機構10は、試料管9を保持する複数の試料管ラック22を輸送するよう適合させたモーター駆動ベルト11を含むベルト駆動装置として実装してある。
【0068】
システム1では、試薬ユニット5には複数の試薬容器8が配設してある。システム1はさらに、平面形状を有する試料を処理する複数の処理ユニット3を含む。
【0069】
分析ユニット2には、試料と1つ以上の試薬の反応生成物から放射される光を検出する光度計として実装した1個の光検出器4が含まれる。分析ユニット2はさらに、機器に結合された1個の流入セル19を含んでおり、流入セル19へ移送された試料と1つ以上の試薬の反応生成物から放射される光を検出する。光検出器4は処理ユニット3の第1のサブセットに結合してあり、一方で流入セル19は多分岐接続経路20により処理ユニット3の第2のサブセットに流体接続してある。光検出器4と流入セル19は、異なる種類の分析方法に関連付けてある。
【0070】
システム1では、分配ユニット6はプレート様形状を有する平面体としてある。
【0071】
それには、流体を輸送する複数の分配経路(図示せず)が備わっている。分配経路は第2試薬供給ライン17により試薬容器8へ接続されていて、各試薬容器8を1個の分配経路へ接続している。各処理ユニット3は、たとえば金属製ニードルとして実装される個々の試料吸入管15に流体接続してある。各試料吸入管15は、たとえば試料管9を持ち上げてその中に収容された試料を吸引することで試料管9内へ浸すことができる。
【0072】
図7に示す如く、試薬ユニット5と分析ユニット2と試料ユニット7は異なる垂直高さ(高さ)に配置してあり、試薬ユニット5が分析ユニット2の上方にあり、試薬ユニット7が分析ユニット2の下方にある。従って、システム1内では、試薬容器8は簡単に交換することができる。システム1の各ユニットは、機能的かつ構造的実体であり、たとえばモジュール式ユニットとして実装される。
【0073】
図7のシステム1の分配ユニット6の例示実施形態の概略上面図である図8Aに示す如く、分配ユニット6には5箇所のプラグ位置23(たとえば、ソケット)が配設され、そのそれぞれが1個の処理ユニット3を受けるよう適合させてある。各プラグ位置23には、(たとえば、雌の)プラグイン式ポートとして実装した分配経路13の複数の出口ポート24が配設されている。従って、流体は出口ポート24を介して分配経路と処理ユニット3の間で簡単に移送することができる。
【0074】
図8Aの分配ユニット6の概略断面図である図8Bに示す如く、各処理ユニット3には複数の(たとえば、雄の)コネクター25が備わっており、それらは出口ポート24に接続(たとえば、プラグイン)し、処理ユニット3を配置し、処理ユニット3に複数の分配経路を流体接続できるようにしてある。各処理ユニット3は平面形状を有しており、平面分配ユニット6の上面にそれと並列に整列させて配置してある。
【0075】
図9Aには、図7のシステム1の分配ユニット6の別の実施形態が図示してある。従って、分配ユニット6には複数のモジュール式サブユニット26が備わっており、そのそれぞれに処理ユニット3の個々のサブセットを受ける1つ以上のプラグ位置23が設けられている。個々のサブユニット26に関連する各処理ユニット3は、たとえば1つの所定の種類の分析方法に関連付けることができる。代替的には、1つのサブセットの処理ユニット3を異なる種類の分析方法に関連付けることができる。図示の実施形態では、処理ユニット3および/またはサブユニット26を簡単に交換することができる。
【0076】
図9Bでは、図7の分配ユニット6の別の実施形態が図示してある。従って、分配ユニット6は処理ユニット3を受ける複数のプラグ位置23が配設された集積化モジュール式ユニットである。処理ユニット3は、1つの所定の種類の分析方法に関連付けることができる。代替的には、処理ユニット3を異なる所定の種類の分析方法に関連付けることができる。
【0077】
図7の分配ユニット6の別の実施形態の概略斜視図を示す図10を参照する。不要な反復を避けるため、図8Aと図8Bの実施形態についての差異だけを説明し、それ以外はそれらに関連してなされた説明を参照されたい。
【0078】
従って、平面分配ユニット6には互いに並列に整列する複数の分配経路13が配設されている。それぞれ平面形状を有する処理ユニット3は、それらの中間の小ピッチを有する平面分配ユニット6に対し直交整列させてある。この種の実施形態により、たとえば分配ユニット6のプラグ位置23へプラグ挿入することのできる非常にコンパクトな配置の処理ユニット3が可能になる。さらに、各処理ユニット3は分配ユニット6とのプラグ挿入のための小さな挿入部分を有する。その場合、処理ユニット3を、たとえば試料と試薬の反応生成物を検出する1つ以上の流入セル19に流体接続することができる。
【0079】
図7の分配ユニット6の別の実施形態の概略上面図を示す図11を参照する。不要な反復を避けるため、図8Aと図8Bの実施形態についての差異だけを説明し、それ以外はそれらに関連してなされた説明を参照されたい。
【0080】
従って、平面分配ユニット6には互いに同心配置された閉ループとして実装される複数の分配経路13が配設されている。平面形状を有する処理ユニット3は平面分配ユニット6に対し並列に整列させてあり、閉ループ分配経路13に沿って周辺に配置してある。この種の実施形態により、たとえば分配ユニット6のプラグ位置23へプラグ挿入される処理ユニット3の非常にコンパクトな配置が可能になる。各処理ユニット3は、試料を並列に処理ユニット3へ供給する中央試料吸入管15へ流体接続してある。処理ユニット3は、たとえば個別試料と1つ以上の試薬の反応生成物を光学的に検出する回転光度計等の光検出器4に結合することができる。
【0081】
図7の分配ユニット6の別の実施形態の概略上面図を示す図12を参照する。不要な反復を避けるため、図8Aと図8Bの実施形態についての差異だけを説明し、それ以外はそれらに関連してなされた説明を参照されたい。
【0082】
従って、平面分配ユニット6にはたとえば2個のプラグ位置23(ソケット)が配設されていて、そのそれぞれが処理ユニット3を受けるよう適合させてある。各プラグユニット23には、(たとえば、雌の)プラグイン式ポートとして実装される分配経路13の複数の出口ポート24が備わっている。分配ユニット6の分配経路13は、互いに異なる第1および第2の高さ(垂直方向の高さ)内に延在しており、第1の高さから第2の高さへ変更することができ、その逆も可能である。
【0083】
より具体的に述べるならば、図12に示す如く、分配経路13は上側の第1の高さ(太線)から下側の第2の高さ(細線)へ、または下側の第2の高さから上側の第1の高さへ変えることができ、隣接する分配経路13へ分岐させることができる。各出口ポート24は、下側の第2の高さに位置する分配経路13へ流体接続してある。処理ユニット3は、たとえば出口ポート24内へプラグ挿入される「スロットカード」として実装することができる。有利なことに、この種の実施形態は、封止等が必要となりうる出口ポート24間の中間距離を比較的大きくすることと組み合わせて分配経路13の高密度の配置が可能となる。
【0084】
液体試料の分析に用いる本発明のシステム1のマイクロ流体処理ユニット3の第1例示構成の機能的実体の概略図を示す図13を参照する。
【0085】
従って、試料容器102内に収容された液体試料を処理する処理ユニット3は、試料容器102内に収容された液体試料を処理ユニット3内へ吸引できるようにする試料容器102へ接続可能な「試料吸引103」と表記した機能的実体を含む様々な機能的実体を含んでいる。機能的実体の試料吸引103は、試料を希釈流体で希釈して試料を登録するのに用いる「試料登録/希釈105」として表記した別の機能的実体に接続してある。機能的実体試料登録/希釈105は、試料と第1から第3試薬群R1、R2とR3の1つ以上の試薬の投与に用いる「試料および試薬R1/2/3投与104」と表記した別の機能的実体に接続してある。機能的実体試料および試薬R1/2/3投与104は、試料に試薬を混合し、得られた試料/試薬混合物が反応を引き起こすようインキュベーションするのに用いる「混合およびインキュベーション107」として表記した別の機能的実体に接続してある。得られた試料/試薬混合物の反応生成物を検出する検出器を含む「分析ユニット108」として表記した別の機能的実体が、検出された反応生成物に基づき試料を分析するのに用いられる。
【0086】
本発明のシステム1のマイクロ流体処理ユニット3の第2例示構成の機能的配置の概略図を示す図14を参照する。不要な反復を避けるため、図13の第1例示構成に対する差異だけを説明し、それ以外は図13に関連してなされた説明を参照されたい。
【0087】
従って、処理ユニット3では、機能的実体混合およびインキュベーション107は、試料と第1試薬群R1の試薬との投与に用いる「試料および試薬R1投与106」と表記した別の機能的実体と、機能的実体試料および試薬R1投与106により予め定められた第1試薬群R1とは異なる第2および第3試薬群R2/3の試薬を投与するのに用いられる「試薬R2/3投与109」と表記したさらに別の機能的実体とに接続してある。検出器を含む分析ユニット108は、得られた試料/試薬混合物の反応結果を検出し、出された反応結果に基づき試料を分析するのに用いられる。
【0088】
特に図15を参照し、図14の処理ユニット3の第2構成の例示実施形態を説明する。
【0089】
従って、マイクロ流体処理ユニット3は液体試料の分析に関して、試料と試薬とを輸送することのできる複数の経路と室とを含んでいる。経路と室の断面寸法は、通常マイクロメーター程度であり、たとえば1μm〜500μmほどの小ささとすることができる。処理ユニット3は、ガス状システム流体、たとえば空気か、または代替的にはガス状および液体システム流体との組み合わせが収容してあり、試料および試薬と他の任意の目的の流体がその中に負または正(雰囲気)圧力を生成することで経路および室を介して輸送できるようにしてある。
【0090】
より具体的に述べるならば、マイクロ流体処理ユニット3には第1主経路110と第2主経路111とが含まれる。各主経路110、111の一端には、周囲の空気を処理ユニット3内へ通過させるベント113が配設されている。第2主経路111の他端は、第1主経路110に流体接続してある。第1主経路110の他端は、主ポンプ112に接続してある。主ポンプ112を使用することで、正または負(雰囲気)圧力を第1主経路110と第2主経路111の双方に生成することができる。
【0091】
マイクロ流体処理ユニット3では、液体試料Sを収容した試料容器102へ接続することのできる試料経路114を介して液体試料を第1主経路110へ輸送することができる。試料経路114の一端は第1主経路110へ流体接続してあるが、その他端は試料容器102から試料を吸引するのに用いることのできる試料吸入管146へ流体接続してある。試料経路114には第1凍結/解凍弁115が装備してあり、試料経路114から第1主経路110への試料流を可能にしまたは阻止できるようにしてある。第1凍結/解凍弁115は、試料経路114が第1主経路110に開口する箇所の試料経路114の開口に隣接配置してある。
【0092】
マイクロ流体処理ユニット3はさらに、第1試薬群R1を第1主経路110へ供給する複数の第1試薬経路118を備える。各第1試薬経路118は、液体試料と反応させる第1試薬群R1の試薬を収容した第1試薬容器(図示せず)に接続してある。第1試薬容器に収容された第1試薬群R1には、試料S内の1つ以上の分析物を分析するよう適合された所定の第1分析に専用の互いに異なる1種または複数種の試薬を含ませることができる。各第1試薬経路118は第1主経路110内に開口していて、第2凍結/解凍弁119を装備しており、第1試薬経路118から第1主経路110への試薬流を可能にしまたは阻止できるようにしてある。第2凍結/解凍弁119は、第1試薬経路118が第1主経路110内に開口する箇所の開口に隣接配置してある。
【0093】
マイクロ流体処理ユニット3はさらに、液体試料と試薬との反応を引き起こすための複数の反応室120を含んでいる。反応室120は、たとえば流入キュベットとして実装することができる。各反応室120は、反応室120を第1主経路110へ接続する第1反応室ポート121と反応室120を第2主経路111へ接続する第2反応室ポート122とを介し、第1主経路110と第2主経路111との間に相互接続してある。各ポート121、122には第3凍結/解凍弁123が装備してあり、反応室120と第1および第2主経路110、111それぞれとの間の流体流を可能にしまたは阻止するようにしてある。各反応室120はさらに、反応室120の内径を縮径する複数のカム様(反応室)突出部139を装備している。突出部139は、主ポンプ112が生成する正または負の圧力が引き起こす往復流体運動を行うときに反応室120内で流体を混合するよう適合させてある。
【0094】
処理ユニット3では、多数の互いに並列配置された、たとえば40個の反応室20を用いることができる。反応室120はその中に収容された試料/試薬混合物をインキュベーションするインキュベーション室として実装してあり、かくして1つ以上の時間期間中に試料/試薬混合物を1つ以上の所定温度に維持し、試料と1つ以上の試薬との間で反応が引き起こされるように適合させてある。
【0095】
図15から判るように、第1主経路110にはベント113と主ポンプ112との間に位置する第4凍結/解凍弁124が装備してある。第4凍結/融解弁124は、第1主経路110をそのベント側部分125とポンプ側部分126とに区画している。各第1試薬経路118は、第1主経路110のベント側部分125に連通している。試料経路114は第1主経路110のポンプ側部分126に連通しており、ここで試料経路114が第1主経路110内に開口する箇所の開口は第1主経路110の第4凍結/解凍弁124に隣接配置してあり、試料経路114の第1凍結/解凍弁115は第4凍結/解凍弁124に隣接配置してある。さらに第1反応室ポート121は、第1主経路110のポンプ側部分126に連通している。
【0096】
処理ユニット3はさらに、第2および第3試薬群R2/R3を第2主経路111へ供給する複数の第2試薬経路127を含んでいる。第2試薬経路127は、第2および第3試薬容器(図示せず)に接続してある。第2および第3試薬容器は、液体試料と反応させるための第2および第3試薬群R2/R3の試薬を収容しており、それらの液体試料は第1試薬容器内に収容された第1試薬群R1とは異なるものである。第2および第3試薬容器内に収容された第2および第3試薬群R2、R3には、試料S内の1つ以上の分析物を分析するよう適合された所定の第1分析または所定の第2分析に専用の互いに異なる1または複数の試薬を含ませることができる。
【0097】
各第2試薬経路127は第2主経路111に連通しており、第2試薬経路127から第2主経路111への試薬流を可能にし、または阻止するよう第5凍結/解凍弁128を装備している。第2試薬経路127の第5凍結/解凍弁128は、それぞれ第2試薬経路127が第2主経路111内に開口する箇所の開口に隣接配置してある。
【0098】
第2主経路111には、反応室120の数に従い、かつそのそれぞれに関連する複数の第6凍結/解凍弁129が装備されている。これらの第6凍結/解凍弁129は、関連する反応室120の第2反応室ポート122が第2主経路111内に開口する箇所の開口と主ポンプ112との中間に配置してある。これら第6凍結/解凍弁129は、それぞれ第2反応室ポート122の開口に隣接配置してある。さもなくば、第2反応室ポート122の第3凍結/解凍弁123をそれぞれ第2主経路111の第6凍結/解凍弁129に隣接配置する。
【0099】
処理ユニット3はさらに、試料経路114に接続されてその中に負または正の圧力を生成する補助ポンプ130を含んでいる。試料経路114は、第1および第2混合室ポート134、133を介して複数の混合室131に接続してある。処理ユニット3では、互いに並列に配置される多数の、たとえば5個の混合室131を構想することができる。混合室131は、試料経路114をその第1試料経路部分116と第2試料経路部分117とに区分している。混合室131の第1混合室ポート134は第1試料経路部分116に連通するが、第2混合室ポート133は第2試料経路部分117に連通している。混合室ポート133、134は、各混合室131と試料経路114との間の試料流を可能にし、または阻止するよう第7凍結/解凍弁135を装備している。さらに、各混合室131は、相互に向け突出し、混合室131の内径を縮径する複数のカム様(混合室)突出部132を装備している。突出部132は、補助ポンプ130が生成する正または負の圧力が引き起こす往復流体運動を行うときに混合室131内で流体を混合するよう適合させてある。
【0100】
処理ユニット3はさらに、液体試料を希釈する希釈流体を供給する希釈流体経路136を含んでいる。希釈流体経路136は、試料を希釈する水等の流体を収容する希釈流体容器(図示せず)に接続してある。希釈流体経路136は試料経路114に連通しており、希釈流体経路136が試料経路114内に開口する開口部に隣接配置された第8凍結/解凍弁137を装備している。さらに、試料経路114は希釈流体経路136が試料経路114内へ開口する箇所の開口と試料容器102との中間に位置する第9凍結/解凍弁138を装備している。試料経路114の第9凍結/解凍弁138は、希釈流体経路136の第8凍結/解凍弁137に隣接配置してある。従って、補助ポンプ30の使用により、試料を試料経路114内へ吸引でき、第1および第2主経路110、111と反応室120内での流体操作に影響を及ぼすことなく希釈流体を用いて希釈することができる。
【0101】
処理ユニット3では、第1および第2主経路110、111はさらにベント113近くに第10凍結/解凍弁141を装備しており、第1および第2主経路110、111のベント側端部を閉じることができるようにしてある。
【0102】
処理ユニット3はさらに、たとえば二方弁として実装することのできる第1洗浄ユニット弁142により第1および第2主経路110、111へ接続された主洗浄ユニット143を含んでいる。主洗浄ユニット143は、主経路110、111と反応室120を洗浄すべく第1および第2主経路110、111へ洗浄流体を供給するのに用いることができる。第1洗浄ユニット弁142は、主経路110、111に対し主洗浄ユニット143を接続または離脱させるのに用いることができる。
【0103】
処理ユニット3はさらに、たとえば二方弁として実装することのできる第2洗浄ユニット弁144により試料経路114に接続された補助洗浄ユニット145を含んでいる。補助洗浄ユニット145は、試料経路114と混合室131を洗浄すべく試料経路114へ洗浄流体を供給するのに用いることができる。第2洗浄ユニット弁144は、試料経路114に対し補助洗浄ユニット145を接続または離脱させるのに用いることができる。
【0104】
分析ユニット2は、反応室120内に収容された試料/試薬混合物の反応生成物を検出する1個の検出器140を含んでいる。従って、検出器140を用いて全ての反応室120内の反応生成物を検出する。検出器140は、たとえば反応室120内に収容された試料/試薬が放射する蛍光信号等の光信号を受光するよう適合させた走査光検出器として実装することができる。
【0105】
本発明の処理ユニット3では、各凍結/解凍弁はたとえば−30℃の温度を持たせ、凍結/解凍弁に到達する水溶性流体を素早く凍結させて凍結/解凍弁の位置で流体流を阻止する氷結栓を生成するよう、経路に接触する低温コンタクト(「低温フィンガー」)により恒久的に冷却してある。低温コンタクトは、たとえばペルティエ効果を利用するペルティエ素子等の熱電デバイスによって冷却することができる。当業者には周知の如く、ペルティエ素子を介して電流を通電する場合、印加電流の向きに応じて、それは熱を吸収し、それによってコンタクトを冷却するヒートシンクとして機能する。さもなくば、凍結/解凍弁の氷結栓は、たとえば凍結/解凍弁へ導かれるレーザービームによるか、または抵抗器を用いてオーム熱を生成することによる発熱手段を用いて熱エネルギーを局所的に導入することで溶解させることができる。
【0106】
図15には図示していないが、分析ユニット2はさらに、たとえば試料の自動分析に従って処理を行う命令を備えるコンピュータ読み取り可能プログラムを実行するプログラム可能なロジックコントローラとして実装することのできる制御ユニットを含んでいる。制御ユニットは、情報の制御および/または提供を必要とする構成要素に接続してある。より具体的に述べるならば、制御ユニットは処理ユニット3の異なる構成要素から情報を受け取り、対応する制御信号を生成して伝送する。その場合、制御ユニットは、凍結/解凍弁を冷却し、加熱手段を起動して凍結/解凍弁を開弁できるよう、主および補助ポンプ12、30と主および補助洗浄ユニット143、145と第1および第2洗浄ユニット弁142、144と各凍結/解凍弁とに電気的に接続してある。特に、制御ユニットは試料の取り込みと反応室120への試料の輸送を制御するよう設定してある。その上さらに、それは混合室131を用いて試料と希釈流体との混合および希釈を制御するよう設定される。その上さらに、それは試料の取り込みと反応室120への試薬の輸送を制御するよう設定される。その上さらに、それは試料と1つ以上の試薬との反応を制御して反応生成物を得るよう設定される。その上さらに、それは検出器140により得られる反応生成物に基づき試料の分析を制御するよう設定される。
【0107】
上記の処理ユニット3では、隣接する凍結/解凍弁を有する場合、連通する流体経路の厳密な交差箇所(すなわち、角部)に凍結/解凍弁を配置するようにする。これ故に、流体は中間にギャップを持たせることなく1個の流体経路内に配設することができ、かくしてたとえば試料と試薬を互いに結び付けることができる。しかしながら、隣接する凍結/解凍弁は好適な選択肢に過ぎない。代替的には、連通する流体経路の凍結/解凍弁を流体経路との交差箇所から引き離すこともできる。後者の場合、1個の流体経路内に供給した流体の中間に、ガス状または液体システムの流体充填ギャップを設けることができる。
【0108】
特に図16A〜16Gを参照し、図15の構造配置を用いた液体試料の例示的分析方法を説明する。図16A〜16G中、図面を簡略化すべく、試料経路114の第1主経路110側の端部だけが図示してある。しかしながら、試料経路114が図15に示した全ての構成要素を含むものと理解されたい。
【0109】
第1工程(「試料吸入」)において、所定の時間間隔中に主ポンプ112により負圧を生成することで所望体積の試料Sを試料容器102から試料経路114内へ吸引する。試料経路114の第1凍結/解凍弁115は、試料経路114の行き止まりで試料Sを停止させるのに用いられる。試料Sは、後程の使用に向け一時的にそこに保持(すなわち、登録)される。試料経路114の行き止まりに第1凍結/解凍弁115が配置してあることにより、試料を第1主経路110内へ吸引する場合の気泡の形成を回避することができる(図16A)。
【0110】
第2工程(「試薬R1投与」)において、第1試薬群R1から選抜された所定体積の1試薬を第1主経路110内へ吸引する。その目的に合わせ、試料Sを用いて行われる、対応する分析の第1試薬群R1の試薬を含む第1試薬経路118のうちの選択された1つの第2凍結/解凍弁119(例えば、最も左側に記されたもの)を開弁する。次に、第1試薬経路118に作用する主ポンプ112により第1主経路110内に負圧が生成され、一方で第2凍結/解凍弁119は開弁状態とし、それによって試薬を第1主経路110内へ吸引する。その場合、試薬のガス状システム流体に基づく(またはガス状と液体システム流体に基づくポンプ給送)は、主ポンプ112を用いて行われる。所望体積の試薬の投与に必要な所定の時間期間後に、第1主経路110内に所定体積の試薬を供給すべく、第2凍結/解凍弁119を十分に冷却して氷結栓を生成することで、第2凍結/解凍弁119を閉弁する。従って、第2凍結/解凍弁119の開閉弁により試薬の精密な投与が可能になる。第1主経路110では、第4凍結/解凍弁124を用い、試料ポートの直前、すなわち試料経路114の開口直前に気泡を生ずることなく試薬を停止する。第4凍結/解凍弁124は、かくして試薬を所定場所に精密に保持できるようにする(図16B)。
【0111】
第3工程(「試料投与」)において、所定体積の試料Sを第1主経路110内へ吸引する。その目的に合わせ、試料経路114の第1凍結/解凍弁115を開弁し、試料経路114に作用する主ポンプ112により第1主経路110内に負圧が生成され、一方で第1凍結/解凍弁115は開弁状態とし、それによって試料Sを第1主経路110内へ吸引する。その場合、ガス状システム流体に基づく(またはガス状および液体システムに基づく)試料Sのポンプ給送は、主ポンプ112を用いて行われる。所望体積の試料Sの投与に必要な所定の時間期間後に、第1主経路110内に所定体積の試料Sを供給すべく、第1凍結/解凍弁115を十分に冷却して氷結栓を生成することで試料経路114の第1凍結/解凍弁115を閉弁する。試料Sは、試料Sと凍結/解凍弁124との中間に気泡を生ずることなく、第1の主経路110の第4凍結/解凍弁124の試薬氷結栓の直前に配置される。これ故、試薬と試料Sは共に中間に気泡を生ずることなく第4凍結/解凍弁124により仕切られた第1主経路10内に配置することができる(図16C)。
【0112】
第4工程(「移動および混合」)において、試料Sと試薬は共に反応室120の1つ(たとえば、最も左側のもの)に吸引される。その目的に合わせ、第1主経路110の第4凍結/解凍弁124を開弁し、主ポンプ112により第1主経路110内に負圧を生成し、一方で反応室120の第3凍結/解凍弁123を開弁状態に保ち、試料Sと試薬が反応室120内へ吸引できるようにする。次に反応混合物は反応室120の中心へ移動させられ、続いて第3凍結/解凍弁123を十分に冷却して氷結栓を生成することで、反応室ポート121、122の第3凍結/解凍弁123を閉弁する。次に、突出部139を用い、主ポンプ112により反応室120内での混合が行われる(図16D)。
【0113】
図面中には図示していないが、第2主経路111に接続された別の(第2)ポンプを配設する場合、流体の混合を両ポンプの作動下で行うこともできる。代替的にまたは追加的に、試薬と試料Sは主ポンプ112により負または正の圧力を生成することで第1主経路110のポンプ側部分126において混合することもできる。
【0114】
第5工程(「試薬R2/3投与」)において、第1試薬群R1とは異なる第2および第3試薬群R2/R3の所定体積の試薬を第2主経路111内に吸引する。その目的に合わせ、得られた反応混合物を反応室120の第2主経路111側の端部へ移動させる。次に、試料Sとの対応分析を行わせる試薬を含む第2試薬経路127のうちの1つ(たとえば、最も左側のもの)の第5凍結/解凍弁128を開弁する。次に、主ポンプ112により第2主経路111内に負圧を生成し、これが選択された第2試薬経路127に作用して第5凍結/解凍弁128を開弁させ、それによって第2主経路111内に試薬R2を吸引する。所望体積の試薬の投与に必要な所定の期間の後に、第5凍結/解凍弁128を十分に冷却して氷結栓を生成することで、第5凍結/解凍弁128を閉弁し、そうして第2主経路111内に所定量の試薬を供給する。第2主経路111では、第6凍結/解凍弁129を用い、第2反応室ポート122の前に気泡を生ずることなく試薬の供給を止める。この手順は、第1および第2試薬群R2、R3の別の試薬について類似的に反復することができる(図16E)。
【0115】
第6工程(「試薬R2/3の添加と混合」)では、対応する反応室120内へ試薬を吸引する。その目的に合わせ、第2反応室ポート122の第3凍結/解凍弁123を開弁させる。次に、主ポンプ112により負圧が生成され、反応室120内へ試薬が吸引できるようになる。反応混合物を反応室120の中心へ移動させ、続いて反応室ポート121、122の第3凍結/解凍弁123を閉弁する。次に、突出部139を用い、主ポンプ112により反応室120内での混合が行われる(図16F)。
【0116】
図面には示されていないが、第2主経路111に接続された別の(第2)ポンプを配設する場合、流体の混合は両ポンプの作動下で行うことができる。
【0117】
第7工程(「洗浄と走査」)では、洗浄ユニット143の使用により、反応室120のうち1つの内容物を回収し、続いて洗浄流体を用いた専用洗浄手順による反応室の洗浄を行う。同様に、洗浄流体で全ての経路を洗浄することができる。洗浄手順では、たとえば洗浄流体と水と乾燥用圧力を連続して用いて、圧力駆動フィルム洗浄を行うことができる。
【0118】
さらに、その工程においては、得られた反応結果(図16G)に基づく試料Sの分析に関し、反応生成物を検出すべく、分析ユニットの検出器140により反応室120を連続的に走査する(図16G)。
【0119】
試料Sは、補助ポンプ130を用いて希釈流体経路136で希釈流体を供給することで希釈することができる。より具体的に述べるならば、上記方法では詳述していないが、補助ポンプ130を用いた試料Sの往復運動を発生させることで、突出部132を用いて混合室131内で試料Sに希釈流体を混合することもできる。従って、試料経路114内での試料Sの操作工程は主経路110、111と反応室120内の操作工程とからそれぞれ切り離される。
【0120】
上記の例示的な液体試料分析方法では、試料Sと第1試薬群R1の試薬は反応室120のうちの1つへ共通に吸引され、第2および第3試薬群R2/R3の別の試薬の添加が続く。隣接する凍結/解凍弁により、試料と第1試薬群R1の試薬との中間にギャップは存在しない。代替的には、試料と第1試薬群R1の試薬との中間にギャップを設けることもできる。さらに代替的には、試料Sと(複数の)試薬は反応室120へ独立して(別個に)輸送することもできる。その場合、第1選択肢では、第1試料Sが反応室120へ輸送され、これに反応室120への第1試薬群R1の試薬の輸送が続き、随意選択的ではあるが第2試薬群R2の試薬の輸送が続き、さらに随意選択的ではあるが反応室120への第3試薬群R3の試薬の輸送が続く。第2選択肢では、第1試薬群R1の第1試薬が反応室120へ輸送され、これに反応室120への試料Sの輸送が続き、随意選択的ではあるが第2試薬群R2の試薬の輸送が続き、さらに随意選択的ではあるが反応室120への第3試薬群R3の試薬の輸送が続く。第3選択肢では、第1試薬群R1の第1試薬が反応室120へ輸送され、これに随意選択的ではあるが第2試薬群R2の試薬の輸送が続き、さらに随意選択的ではあるが反応室120への第3試薬群R3の試薬の輸送が続き、反応室120への試料Sの輸送が続く。
【0121】
処理ユニット3の平面的/直線配置により、その簡単でかつ費用効果の高い製造が可能となる。試料の並列処理により、比較的高い処理量が可能になる。さらに、第1および第3試薬経路により、異なる試薬の持ち越しを排除することができる。試料調製と試料分析との分離は、たった2基の個別ポンプの使用により達成することができる。
【0122】
図17を参照し、本発明の処理ユニットの第3例示構成の機能的配置を示す概略図を説明する。
【0123】
従って、液体試料処理用の処理ユニット3が、流れ作業工程の分解と増大する処理量の達成に向けた機能的な区分化をもたらす。任意の流体(試料や試料/試薬混合物)を、1個の区分から次へ輸送する。機能的区分は互いに連続配置してあり、ここで各区分はその固有の精密な投与ポンプを有する。
【0124】
より具体的に述べるならば、処理ユニット3は、試料容器202内に収容された液体試料が処理ユニット3内へ吸引できるようにする試料容器202に接続可能な「試料−吸引203」として表記した機能的実体を含んでいる。機能的実体試料吸入203は、試料を希釈流体で希釈し、試料を登録するのに用いる「試料登録/予希釈204」として表記した別の機能的実体に接続してある。機能的実体試料登録/予希釈204は、試料と第1試薬群R1の試薬の投与に用いる「試料および試薬R1投与205」として表記した別の機能的実体に接続してある。機能的実体試料および試薬R1投与205は、試料に第1試薬群R1の試薬を混合し、反応室内に得られた試料/試薬混合物をインキュベーションして反応を引き起こさせる「混合およびインキュベーション206」として表記した別の機能的実体に接続してある。機能的実体混合およびインキュベーション206は、反応混合物を投与し、かつ第2群と第3試薬群R2、R3の試薬を投与する「反応混合および試薬R2/3投与207」として表記した別の機能的実体に接続してある。機能的実体反応混合および試薬R2/3投与207は、試料と第1試薬群R1の試薬の混合物に第2群と第3試薬群R2/R3の試薬とを混合し、得られた試料/試薬が反応を引き起こすようインキュベーションするのに用いる「混合およびインキュベーション206」として表記した別の機能的実体に接続してある。
【0125】
得られた試料/試薬混合物の反応生成物を検出する1個の検出器を含む「分析ユニット208」として表記した別の機能的実体は、検出された反応生成物に基づいて試料を分析するのに用いられる。
【0126】
処理ユニット3では、第1区分209が実体試料と試薬R1投与205と実体混合およびインキュベーション206とを含んでおり、第2区分210が実体反応混合および試薬R2/3投与207と実体混合およびインキュベーション206とを含んでおり、第3区分211が実体試料吸引203と実体試料登録/予希釈204とを含んでいる。
【0127】
特に図18を参照し、図17の処理ユニット3の第3例示構成の例示実施形態を説明するが、これは3個の区分209〜211を含んでいる。
【0128】
第1区分209は、第1主経路212と第2主経路213とを含んでいる。第2主経路213は、相互接続経路230を介して第1主経路212に接続する。第1主経路212にはベント226を配設し、ポンプ214に接続する。ポンプ214の使用により、正または負(雰囲気)圧力をそれぞれ第1および第2主経路212、213の両方でそれぞれ生成することができる。
【0129】
液体試料を、第1区分209に接続されて第1試薬投与室217内へ開口する試料経路215を介して第1主経路212へ輸送することができる。試料経路215には、試料経路215から第1試薬投与室217への試料の流れを可能にし、または阻止できるよう、第1凍結/解凍弁216が装備してある。試料経路215の第1凍結/解凍弁216は、第1試薬投与室217内への試料経路215の開口部に隣接配置してある。
【0130】
解凍弁第1区分209はさらに、第1試薬群R1の試薬を第1試薬投与室217へ供給する複数の第1試薬室218を備える。第1試薬経路218は、それぞれ液体試料と反応する第1試薬群R1の試薬を収容する第1試薬容器(図示せず)に接続してある。第1試薬容器内に収容する第1試薬群R1の試薬には、互いに異なり、かつ試料内の1つ以上の分析物の判定に専用の第1分析に関連付けることのできる1種または複数種の試薬を含めることができる。第1試薬経路218はそれぞれ第1試薬投与室217内に開口しており、第2凍結/解凍弁219を装備しており、そうして第1試薬経路218から第1試薬投与室217への試薬の流れを可能にし、または阻止することができる。第2凍結/解凍弁219は、第1試薬経路218が第1試薬投与室217内へ開口する開口部に隣接配置してある。
【0131】
第1区分209はさらに、液体試料と1つ以上の試薬とが起こす反応用の複数の反応室220を備えており、これらはたとえば流入キュベットとして実装することができる。各反応室220は、反応室220を第1主経路212へ接続する第1反応室ポート221と、反応室220を第2主経路213へ接続する第2反応室ポート222とを介し、第1主経路212と第2主経路213との間を相互接続している。各反応室ポート221、222は第3凍結/解凍弁223を装備しており、反応室220とそれぞれ第1および第2主経路212、213との間での流体の流れを可能にし、または阻止するようにする。各反応室220はさらに、反応室220の内径を減らし、ポンプ214により生成された正または負の圧力が引き起こす往復流体運動を行うときの流体の混合用に適合された複数のカム様突出部224を装備している。反応室220は、その中に収容された試料/試薬混合物をインキュベートするインキュベート室として実装してある。反応室220は、相互に並列な配置状態にある。
【0132】
第1主経路212はさらに、第1主経路210をベント側部分227とポンプ側部分228とに分割する第4凍結/解凍弁225を装備している。第1試薬経路218と試薬経路215は、第1主経路212のベント側227上にある第1試薬投与室217に連通している。
【0133】
第1区分209の第2主経路213は、試料経路215により第2区分210の第2試料投与室234へ接続してある。第2主経路213と相互接続経路230との間の交点において、これら各経路は第5凍結/解凍弁229を装備している。
【0134】
処理ユニット3はさらに、第1洗浄ユニット弁232により第1および第2主経路212、213に接続した洗浄ユニット231を含んでいる。洗浄ユニット231を用い、第1と第2主経路212、213へ洗浄流体を供給し、主経路212、213と反応室220とを洗浄することができる。第1洗浄ユニット弁232は、主経路212、213に対し主洗浄ユニット231を接続しまたは切り離すのに用いることができる。
【0135】
第1区分209中、第1主経路212にはベント226に近接させた第6凍結/解凍弁235を装備させ、第1主経路212のベント側端部を閉じることができるようにしてある。
【0136】
第2区分210は、第1区分209と大部分が類似の構成をなす。不要な反復を避けるため、第1区分209に対する差異だけを説明し、それ以外は第1区分209に関する説明を参照されたい。従って、第2区分210には第2群および第3試薬群R2/R3の試薬を第2試薬投与室234へ供給する複数の第2試薬経路233が配設されている。各第2試薬経路233は、液体試料と反応させる第2試薬群R2の試薬と第3試薬群R3の試薬を含む第2試薬容器(図示せず)に接続してある。第2試薬経路233はそれぞれ第2試薬投与室234内に開口し、第2凍結/解凍弁219を装備しており、第2試薬経路233から第2試薬投与室234への試薬の流れを可能にし、または阻止する。第2試薬経路233の第2凍結/解凍弁219は、第2試薬経路233が第2試薬投与室234内に開口する開口部に隣接配置してある。
【0137】
第1区分209の第2主経路213は、第2区分210の試料経路215に接続されている。これ故に、第1区分209の反応室220の各第2反応室ポート222は、第2区分210の試料経路215へ接続され、そうして試料および/または試料/試薬混合物は第1区分209の反応室220から第2区分210の反応室220へ輸送することができる。第2区分210は、個別ポンプ214を含む。
【0138】
処理ユニット3は、その上さらに反応室220内に収容された試料/試薬混合物の反応生成物を検出する分析ユニット(図示せず)の一部である検出器236を含んでいる。従って、1個の検出器236がそれぞれ第1および第2区分209、210の反応室220内の反応生成物の検出に用いられる。
【0139】
第3区分211は、第1試料経路部分238と第2試料経路部分239との間にそれぞれ第1および第2混合室ポート241、242を介して相互接続された複数の混合登録室237を含んでいる。各混合登録室238では、第1混合室ポート241が混合登録室238を第1試料経路部分238へ接続し、第2混合室ポート242が混合登録室237を第2試料経路部分239へ接続している。各混合室ポート241、242には、第7凍結/解凍弁243が配設してある。複数の混合登録室237は、互いに平行に配置してある。各混合登録室237には混合登録室237の内径を縮径する突出部252が配設してあり、第3区分211のポンプ214により生成される正または負の圧力により引き起こされる往復流体運動を行うときに、流体を混合するよう適合させてある。さもなくば、混合登録室237は流体の登録に役立たせることができる。
【0140】
第1試料経路部分238と第2試料経路部分239は相互接続経路240を介して接続されており、これには第2試料経路部分239と相互接続経路240との間の交差箇所に接近させて第8冷凍/解凍弁244を装備してある。
【0141】
第1試料経路部分238は、ベント248内に開口している。ベント248とポンプ214との中間で、第1試料経路部分238は、試料吸入管250を介して試料容器202へ接続された試料投与室247に接続してある。試料吸入管150には、試料吸入管250が試料投与室247内へ開口する箇所の開口に位置する第12冷凍/解凍弁251が装備してある。第3区分211の第2試料経路部分239は第1区分209の試料経路215に接続してあり、そうして混合登録室237の第2混合室ポート242は第1区分209の試料経路215へ接続される。第2試料経路部分239には第9冷凍/解凍弁245が配設されており、これを第2試料経路部分239が第1区分209の試料経路215内に開口する箇所の開口に隣接配置してある。
【0142】
試料投与室247は、試料投与室247内に収容された液体を希釈する希釈流体を供給する希釈流体経路(図示せず)へ接続されている。
【0143】
下記では、処理ユニット3を用いる例示的方法を説明する。従って、第3区分211のポンプ214の使用により、試料Sは試料吸入管250を介して試料投与室247内へ吸引される。次に、試料は、混合登録室237のうちの1つへ移送される。ポンプ214により生成される往復運動を行うことで試料に混合登録室237内の希釈流体を混合した後、次いで試料を、第2試料経路部分239を介して第1区分209の試料経路215へ移送する。次いで試料は、第1区分209のポンプ214を用いて第1区分209の第1試料投与室217内へ吸引される。その後、第1試薬群R1の試薬は、第1試薬経路218のうちの1つにより第1試薬投与室217内へ移送される。次に、得られた試料/試薬混合物は、第1主経路212を介して反応室224のうちの1つへ移送される。試料/試薬混合物は、ポンプ214が引き起こす往復運動を行う反応室224内で混合される。試料/試薬混合物は、次いで第2主経路213を介して第2の区分210の試料経路215へ移送される。試料/試薬混合物は次いで、第2区分210のポンプ214の使用により第2試薬投与室234内へ吸引される。その後、共に第1試薬群R1からのものとは異なる第2試薬群R2の随意選択的な試薬と第3試薬群R3の随意選択的な試薬が、第2試薬経路233の1つにより第2試薬投与室234内へ移送される。次に、得られた試料/試薬混合物を、第1主経路212を介して反応室224の1つへ移送する。試料/試薬混合物は次いで、第2区分210のポンプ214が引き起こす往復運動を行う反応室224内で混合される。混合物の反応生成物は次いで、検出器236を用いて測定される。検出された反応生成物に基づき、試料を分析ユニット(図示せず)を用いて分析する。
【0144】
本発明のシステムは、たとえば下記の利点を有しており、すなわち分注ロボットに基づく従来の分析器に比べ、可動部の数が減り、それが信頼性の向上とより低廉なコストとに帰着する。開放された空気/液体界面を排除できるが故に、試料と試薬の投与精度が増大する。システムは、多数のオンボード試薬を並列に使用して作動させることができ、その安定性(貯蔵寿命)は、試薬容器を密封封止することにより著しく増大する。システムは、高度に集積した分配ユニットにより小型にすることができかつ集約することができる。このシステムは、所望の試料処理量を達成すべく複数の処理ユニットを設けることで容易に規模拡大することができる。所定の種類の分析方法に関する複数の処理ユニットを使用する場合、冗長性が故に、システムの信頼性が向上する。本発明のシステムは、試料/試薬体積や反応工程手順(タイミングや順序)について一切制約をもたない。複数の試薬は並列に接続し、かくして異なる種類の分析方法を用いて多数の分析パラメータを判定できるようにすることができる。さらに、共有システム構成要素が、システム製作のコスト節減に役立つ。
【符号の説明】
【0145】
1 システム
2 分析ユニット
3 処理ユニット
4 光検出器
5 試薬ユニット
6 分配ユニット
7 試料ユニット
8 試薬容器
9 試料管
10 試料管装填機構
11 ベルト
12 ホルダー
13 分配経路
14 試料ライン
15 試料吸入管
16 相互接続路
17 第2試薬供給経路
18 第1試薬供給経路
19 流入セル
20 接続経路
21 試薬ライン
22 試料管ラック
23 プラグ位置
24 出口ポート
25 コネクター
26 サブユニット
102 試料容器
103 試料吸引
104 試料および試薬R1/2/3投与
105 試料登録/希釈
106 試料および試薬R1投与
107 混合およびインキュベーション
108 分析ユニット
109 試薬R2/3投与
110 第1主経路
111 第2主経路
112 主ポンプ
113 ベント
114 試料経路
115 第1凍結/解凍弁
116 第1試料経路部分
117 第2試料経路部分
118 第1試薬経路
119 第2凍結/解凍弁
120 反応室
121 第1反応室ポート
122 第2反応室ポート
123 第3凍結/解凍弁
124 第4凍結/解凍弁
125 ベント側部分
126 ポンプ側部分
127 第2試薬経路
128 第5凍結/解凍弁
129 第6凍結/解凍弁
130 補助ポンプ
131 混合室
132 混合室突出部
133 第2混合室ポート
134 第1混合室ポート
135 第7凍結/解凍弁
136 希釈流体経路
137 第8凍結/解凍弁
138 第9凍結/解凍弁
139 反応室突出部
140 検出器
141 第10凍結/解凍弁
142 第1洗浄ユニット弁
143 主洗浄ユニット
144 第2洗浄ユニット弁
145 補助洗浄ユニット
146 試料吸入路
202 試料容器
203 試料吸引
204 試料登録/予希釈
205 試料および試薬R1投与
206 混合とインキュベーション
207 反応混合物および試薬R2/3投与
208 分析ユニット
209 第1区分
210 第2区分
211 第3区分
212 第1主経路
213 第2主経路
214 ポンプ
215 試料経路
216 第1凍結/解凍弁
217 第1試薬投与室
218 第1試薬経路
219 第2凍結/解凍弁
220 反応室
221 第1反応室ポート
222 第2反応室ポート
223 第3凍結/解凍弁
224 突出部
225 第4凍結/解凍弁
226 ベント
227 ベント側部分
228 ポンプ側部分
229 第5凍結/解凍弁
230 相互接続経路
231 洗浄ユニット
232 第1洗浄ユニット弁
233 第2試薬経路
234 第2試薬投与室
235 第6凍結/解凍弁
236 検出器
237 混合登録室
238 第1試料経路部分
239 第2試料経路部分
240 相互接続経路
241 第1混合室ポート
242 第2混合室ポート
243 第7凍結/解凍弁
244 第8凍結/解凍弁
245 第9凍結/解凍弁
246 第10凍結/解凍弁
247 試料投与室
248 ベント
249 第11凍結/解凍弁
250 試料吸入管
251 第12凍結/解凍弁
252 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を自動分析するシステム(1)であって、
前記試料と1つ以上の試薬との間で反応を行わせ、それによって反応生成物を得る1つ以上の処理ユニット(3)と、
前記試料を前記1つ以上の処理ユニット(3)に供給する試料ユニット(7)と、
前記試料と混合する1つ以上の試薬を収容する複数の試薬容器(8)を装備する試薬ユニット(5)と、
少なくとも一部が前記試薬容器(8)と前記1つ以上の処理ユニット(3)に接続された複数の分配ライン(13)を配設される前記1つ以上の試薬を含む流体を分配する分配ユニット(6)と、
前記反応生成物に基づき前記試薬を分析する少なくとも1個の分析ユニット(2)で、前記反応生成物を検出する少なくとも1個の検出器(4、19)を含む分析ユニット(2)とを備えるシステム。
【請求項2】
前記分配ユニット(6)は、前記試薬容器(8)と前記1つ以上の処理ユニット(3)とに接続された複数の分配経路(13)を備える固体基板として実装した請求項1記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記分配ユニット(6)はモジュール式ユニットである請求項2記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記1つ以上の処理ユニット(3)に前記分配経路(13)を接続する第1試薬供給ライン(18)をさらに含む請求項2または3記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記第1試薬供給ライン(18)と前記分配経路(13)は互いに異なる2つの高さに配置した請求項4記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記分配ユニット(6)は、1つ以上の処理ユニット(3)と前記分配経路(13)とを接続する複数の接続ポート(24)を備える請求項2または3記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記接続ポート(24)は前記処理ユニット(3)を受けるよう適合させたプラグポートとして実装した請求項6記載のシステム(1)。
【請求項8】
複数の処理ユニット(3)は互いに連続して、たとえば直線状または円形状の構成にて配置した請求項7記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記分配ユニット(6)は複数のモジュラー式サブユニット(26)を具備し、そのそれぞれが1つ以上の前記処理ユニット(3)を受けるよう適合させたプラグポートとして実装される複数の接続ポート(24)を備える請求項3〜8のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記試薬容器(8)と前記分配経路(13)とを接続する第2試薬供給ライン(17)をさらに含む請求項2〜9のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記各処理ユニット(3)は1つ以上のオン/オフ弁、たとえば前記分配経路(13)を開/閉する凍結−解凍弁を備える請求項2〜10のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記処理ユニット(3)は複数のサブセットからなり、そのそれぞれが少なくとも1個の処理ユニット(3)を含んでおり、各サブセットを分配経路(13)の個々のサブセットに接続した請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記各分配経路(13)を前記各処理ユニット(3)に接続した請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記試薬容器(8)は複数の試薬容器のサブセットからなり、そのそれぞれが1つ以上の試薬容器を含んでおり、各サブセットを処理ユニット(3)の個々のサブセットに接続した請求項1〜13のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記各試薬容器を前記各処理ユニット(3)に接続した、請求項1〜13のいずれか1項に記載のシステム(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図16G】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−39050(P2011−39050A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−176298(P2010−176298)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】