説明

液処理装置

【課題】処理予定の液中に気体を効率良く溶解させることができる溶解効率の良い液処理装置を提供する。
【解決手段】密閉タンク12内に液案内筒体13を設置し、液案内筒体13の液吸込口部15に対して処理予定の液17を供給する給液手段18を設け、液案内筒体13の内部にスクリュー形の揚液手段27を設ける。密閉タンク12の上部内に、揚液手段27により液噴出口部16から噴出された液17aを拡大させる液噴出空間部33を形成する。液噴出空間部33には、溶解予定の圧縮空気を加圧供給する給気手段34と、炭酸ガスを加圧供給する給気手段35とを接続する。密閉タンク12の内周面部と液案内筒体13の外周面部との間に、液噴出空間部33から液案内筒体13の下部に液を循環させる還流通路部36を形成する。密閉タンク12の下部から外部の液槽21に処理済み液を取り出す処理済み液取出配管37を引き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下液処理場、浴場などで用いられる液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
活性汚泥水などの液を曝気処理する際に、ブロワまたは酸素供給源から曝気槽内の液中に空気または酸素を供給する液処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−86183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような液処理装置は、大気に開放された曝気槽から放散される空気または酸素量が多く、曝気槽内の液中に酸素を効率良く溶解させることができない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、処理予定の液中に気体を効率良く溶解させることができる溶解効率の良い液処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、密閉タンクと、上記密閉タンク内に上下方向に設置され下端に液吸込口部を開口するととも上端に液噴出口部を開口した液案内筒体と、上記液案内筒体の上記液吸込口部に対して処理予定の液を供給する給液手段と、上記液案内筒体の内部に設けられて上記液吸込口部から液を吸い込むとともに上記液噴出口部から液を噴出させる揚液手段と、上記揚液手段により上記液案内筒体の上記液噴出口部から噴出された液を上記密閉タンクの上部内に拡大させる液噴出空間部と、上記液噴出空間部に溶解予定の気体を加圧供給する給気手段と、上記液噴出空間部から上記密閉タンクと上記液案内筒体との間を経て上記液案内筒体の下部に液を循環させる還流通路部と、上記密閉タンクの下部から外部に処理済み液を取り出す処理済み液取出配管とを具備した液処理装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の液処理装置における上記処理済み液取出配管が、上記密閉タンク内の下部にて開口された液取出口部を備え、上記密閉タンクは、上記液案内筒体の上記液吸込口部と上記処理済み液取出配管の上記液取出口部との間に形成された気液分離槽部を内部に備えたものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の液処理装置における上記給気手段が、複数種の気体を供給する複数の気体供給源に接続された複数の給気配管と、上記複数の給気配管中にそれぞれ開閉自在に設けられた上記複数種の気体用の給気弁とを具備したものである。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項3記載の液処理装置において、上記密閉タンク内の液面レベルを検出する液面センサと、上記液面センサにより検出した液面レベルが設定値より高いときは上記給気弁を開くとともに上記液面レベルが設定値より低いときは上記給気弁を閉じる制御手段と、上記密閉タンク内に処理予定の液を供給する給液ポンプと、上記密閉タンク内の圧力を検出する圧力センサと、上記圧力センサで検出された上記密閉タンク内の圧力が一定に制御されるように上記給液ポンプから吐出される流量を可変制御するポンプ制御器とを具備したものである。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の液処理装置における上記給気手段が、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源に接続された圧縮空気用の給気配管と、上記圧縮空気用の給気配管中に開閉自在に設けられた圧縮空気用の給気弁と、炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給源に接続された炭酸ガス用の給気配管と、上記炭酸ガス用の給気配管中に開閉自在に設けられた炭酸ガス用の給気弁とを具備したものである。
【0011】
請求項6に記載された発明は、請求項5記載の液処理装置において、上記密閉タンクの下部内から外部の液槽に処理済み液を取り出す上記処理済み液取出配管中に設けられた開閉自在の処理済み液取出弁と、上記密閉タンクの上部に設けられて上記密閉タンク内の内圧を抜くことが可能な圧抜き弁と、上記給液ポンプおよび上記揚液手段を停止するとともに上記処理済み液取出弁を閉じた状態で上記圧抜き弁を開いて上記密閉タンク内の内圧を抜き、その後に上記処理済み液取出弁を開いて上記密閉タンク内の炭酸ガス溶解液を上記外部の液槽に取り出す機能を備えた制御手段とを具備したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、給液手段から密閉タンク内に設置された液案内筒体の液吸込口部に供給された処理予定の液を液案内筒体および揚液手段により上昇させて液案内筒体の液噴出口部から液噴出空間部に噴出させ、その際に液噴出空間部内で膨張しつつ噴流した液に、給気手段により加圧供給された気体を混合攪拌させ、この液噴出空間部内および密閉タンクと液案内筒体との間の還流通路部で液中に加圧状態の気体を溶解させ、処理済み液取出配管により密閉タンクの下部から外部に気体が溶解した処理済み液を取り出すようにしたので、密閉タンク内で処理予定の液中に気体を効率良く溶解させることができ、無駄のない溶解効率の良い液処理装置を提供できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、密閉タンク内における液案内筒体の液吸込口部と処理済み液取出配管の液取出口部との間に気液分離槽部が形成されたので、液中に溶解することなく気泡状態で混在する気体を気液分離槽部で分離して、再度、加圧状態の密閉タンク内で溶解させることが可能となり、液中に気体を効率良く溶解させた処理済み液のみを処理済み液取出配管の液取出口部から外部に取り出すことができるとともに、密閉タンクの外部に気液分離槽を設置する必要がなく、液処理装置全体をコンパクトに形成できる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、複数の給気配管中にそれぞれ開閉自在に設けられた複数種の気体用の給気弁により、密閉タンク内の液噴出空間部に溶解予定の気体を加圧供給するので、1つの密閉タンクを共用して、処理予定の液中に複数の気体を選択的にまたは同時に効率良く溶解させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、液面センサと制御手段とにより給気弁を開閉制御することで密閉タンク内の液面レベルを制御しつつ、ポンプ制御器によって圧力センサで検出された密閉タンク内の圧力が一定に制御されるように給液ポンプからの吐出流量を可変制御するので、密閉タンク内に溶解予定の気体と処理予定の液とをバランス良く供給でき、処理予定の液中に気体を効率良く溶解させることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、給気手段により密閉タンク内の液噴出空間部に加圧供給される溶解予定の気体として、圧縮空気用の給気配管中に設けられた圧縮空気用の給気弁と、炭酸ガス用の給気配管中に設けられた炭酸ガス用の給気弁とにより、空気または炭酸ガスを選択して、処理予定の液中に空気または炭酸ガスを効率良く溶解させることができ、微細気泡による泡風呂や、炭酸泉を提供できる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、制御手段が、給液ポンプおよび揚液手段を停止するとともに処理済み液取出弁を閉じた静かな環境下で圧抜き弁により密閉タンク内の内圧を抜いてから、処理済み液取出弁を開いて密閉タンク内の炭酸ガス溶解液を外部の液槽に取り出すようにしたので、炭酸ガス溶解液を液槽に取出す際の著しい圧力差の発生を抑制でき、急激な圧力変化により炭酸ガス溶解液から炭酸ガスが急激に抜ける現象を抑制でき、炭酸ガス溶解濃度の高い炭酸ガス溶解液を外部の液槽へ供給でき、高濃度の炭酸泉を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る液処理装置の一実施の形態を示す要部断面図および配管図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、図1乃至図2に示された一実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0020】
図1は、液処理装置11の全体を示し、球面状のタンク下底部12aおよびタンク天蓋部12bを有する円筒状の密閉タンク12を中心に構成されている。
【0021】
上記密閉タンク12内に上下端開口状の液案内筒体13が上下方向に設置され、図2に示されるように水平断面で十字形に配置された支持板14により固定支持されている。この液案内筒体13の下端にラッパ状に拡大された液吸込口部15が開口され、上端に液噴出口部16が開口されている。
【0022】
上記液案内筒体13の上記液吸込口部15に対して処理予定の液17を供給する給液手段18が設けられている。この給液手段18は、液17を貯留した外部の液槽21の底部から引き出された配管22が渦流ポンプなどの給液ポンプ23のポンプ吸込口部23aに接続され、この給液ポンプ23のポンプ吐出口部23bに逆止弁24を経た給液配管25が接続され、この給液配管25中に電気的に開閉制御される電磁式の給液弁26が設けられ、上記給液配管25の液供給口部25aは、上記液案内筒体13の液吸込口部15の下側にて開口されている。
【0023】
上記液案内筒体13の内部に、上記液吸込口部15から液17を吸い込むとともに上記液噴出口部16から液17aを噴出させるスクリュー形の揚液手段27が設けられ、このスクリュー形の揚液手段27の回転軸28は、上記密閉タンク12のタンク下底部12aに設けられた液密機能を備えた軸受29により回転自在に保持され、カップリング31を介して、外部に固定配置された電動モータ32の回転軸に連結されている。
【0024】
上記密閉タンク12のタンク天蓋部12bと上記液案内筒体13の液噴出口部16との間には、上記揚液手段27により上記液案内筒体13の上記液噴出口部16から噴出された液17aを上記密閉タンク12の上部内に拡大させる液噴出空間部33が形成されている。
【0025】
上記液噴出空間部33には、溶解予定の気体としての圧縮空気を加圧供給する給気手段34と、溶解予定の気体としての炭酸ガスを加圧供給する給気手段35とが接続されている。
【0026】
気体としては、水素ガス、酸素ガス、オゾンガスなどでも適用可能であるが、ここでは、圧縮空気および炭酸ガスの場合で説明する。
【0027】
上記密閉タンク12の内周面部と上記液案内筒体13の外周面部との間には、噴出された液17aを上記液噴出空間部33から上記密閉タンク12と上記液案内筒体13との間を経て上記液案内筒体13の下部に循環させる還流通路部36が形成されている。
【0028】
上記密閉タンク12の下部から外部の液槽21に処理済み液を取り出す処理済み液取出配管37が引き出され、この処理済み液取出配管37中には、電気的に開閉制御される電磁式の処理済み液取出弁38と、流量調整器(絞り抵抗可変オリフィス)39とが設けられ、この処理済み液取出配管37の取出先端は、下液処理場、浴場などの液槽21に接続されている。
【0029】
上記給液手段18は、上記液案内筒体13の上記液吸込口部15の直下にて開口された液供給口部25aを備え、上記処理済み液取出配管37は、上記密閉タンク12内の下部にて開口された液取出口部37aを備え、上記密閉タンク12は、内部に、上記液案内筒体13の上記液吸込口部15と上記処理済み液取出配管37の上記液取出口部37aとの間に形成された気液分離槽部41を備えている。
【0030】
上記密閉タンク12内は、タンク天蓋部12bとタンク内液面42との間に第1溶解槽部43が形成され、タンク内液面42と上記気液分離槽部41との間に第2溶解槽部44が形成されている。
【0031】
上記第1溶解槽部43では、噴流されてタンク天蓋部12bなどに衝突した液17a中への加圧給気により液17a中への気体の溶解が促進され、上記第2溶解槽部44では、タンク内液面42に衝突した液流中への加圧給気により液17a中への気体の溶解が促進され、そして、上記気液分離槽部41では、上記第1溶解槽部43および上記第2溶解槽部44で液中へ溶解されなかった気体が分離され、この分離された気体は、上記液案内筒体13に液とともに吸い込まれ、再度、第1溶解槽部43および第2溶解槽部44で溶解処理される。
【0032】
上記圧縮空気の給気手段34は、圧縮空気を供給する気体供給源としてのエアコンプレッサなどの圧縮空気供給源45に接続された圧縮空気用の給気配管46中に、エアフィルタ47、減圧弁48、流量調整器(絞り抵抗可変オリフィス)49、流量計50、逆止弁51、電気的に開閉制御される圧縮空気用の電磁式の給気弁52がそれぞれ設けられ、上記給気配管46の給気先端部46aが、上記密閉タンク12の上記液噴出空間部33に挿入されている。
【0033】
上記炭酸ガスの給気手段35は、炭酸ガスを供給する気体供給源としての炭酸ガス圧縮ボンベなどの炭酸ガス供給源53に接続された炭酸ガス用の給気配管54中に、減圧弁55、流量調整器(絞り抵抗可変オリフィス)56、流量計57、逆止弁58、電気的に開閉制御される炭酸ガス用の電磁式の給気弁59がそれぞれ設けられ、上記給気配管54の給気先端部54aが、上記密閉タンク12の上記液噴出空間部33に挿入されている。
【0034】
上記渦流ポンプなどの給液ポンプ23のポンプ吸込口部23aに接続された配管22には吸気配管61が接続され、この吸気配管61中には、流量調整器(絞り抵抗可変オリフィス)62、流量計63、電気的に開閉制御される電磁式の吸気弁64が設けられ、給液ポンプ23に吸い込まれる液17中に大気中の空気を混入させる場合は、上記電磁式の吸気弁64を開くように制御する。
【0035】
上記密閉タンク12内のタンク内液面42の液面レベルを検出する液面センサ71が密閉タンク12の側面に設置され、この液面センサ71により検出したタンク内液面42の液面レベルが設定値より高いときは上記圧縮空気用の電磁式の給気弁52または上記炭酸ガス用の電磁式の給気弁59を開くとともに上記タンク内液面42の液面レベルが設定値より低いときは上記圧縮空気用の電磁式の給気弁52または上記炭酸ガス用の電磁式の給気弁59を閉じるコントローラなどの制御手段72が設けられている。
【0036】
上記密閉タンク12内に処理予定の液17を供給する上記渦流ポンプなどの給液ポンプ23を制御するために、上記密閉タンク12のタンク天蓋部12bに上記密閉タンク12内の圧力を検出する圧力センサ73が設けられ、この圧力センサ73で検出された密閉タンク12内の圧力が一定に制御されるように給液ポンプ23から吐出される流量を可変制御するポンプ制御器74が設けられている。このポンプ制御器74は、給液ポンプ23を駆動する電動モータの回転速度を制御するインバータである。
【0037】
上記密閉タンク12のタンク天蓋部12bには、上記密閉タンク12内の内圧を抜くことが可能な電気的に開閉制御される電磁式の圧抜き弁75が設置されている。
【0038】
上記制御手段72は、上記電磁式の給液弁26、上記電磁式の処理済み液取出弁38、上記圧縮空気用の電磁式の給気弁52、上記炭酸ガス用の電磁式の給気弁59、上記電磁式の吸気弁64、上記電磁式の圧抜き弁75を開閉制御するとともに、上記給液ポンプ23の駆動用電動モータおよび上記揚液手段27の電動モータ32の始動・停止を制御することも可能である。
【0039】
特に、上記密閉タンク12内から炭酸ガス溶解液を取り出す場合は、上記制御手段72は、上記給液ポンプ23の駆動用電動モータおよび上記揚液手段27の電動モータ32を停止することで上記密閉タンク12内に静かな環境をつくるとともに、上記処理済み液取出配管37中に設けられた上記電磁式の処理済み液取出弁38を閉じた状態で上記電磁式の圧抜き弁75を開いて上記密閉タンク12内の内圧を抜き、その後に上記電磁式の処理済み液取出弁38を開いて上記密閉タンク12内の炭酸ガス溶解液を上記外部の液槽21に取り出す機能を備えている。
【0040】
次に図示された実施の形態の作用を説明する。
【0041】
先ず、液槽21が無数の微細気泡を発泡させる泡風呂の浴槽である場合は、圧縮空気の給気手段34を選択して、圧縮空気供給源45を稼働するとともに圧縮空気用の給気配管46中に設けられた電磁式の給気弁52を開き、密閉タンク12内の液噴出空間部33に圧縮空気を加圧供給し、また、液槽21が炭酸泉の浴槽である場合は、炭酸ガスの給気手段35を選択して、炭酸ガス供給源53に接続された炭酸ガス用の給気配管54中に設けられた電磁式の給気弁59を開き、密閉タンク12内の液噴出空間部33に炭酸ガスを加圧供給する。
【0042】
その際、圧縮空気や炭酸ガスの供給圧は、減圧弁48,55により調整する。
【0043】
制御手段72は、液面センサ71により検出したタンク内液面42の液面レベルに基づいて電磁式の給気弁52または59を開閉制御することで、密閉タンク12内のタンク内液面42の液面レベルをほぼ一定に制御しつつ、圧力センサ73で検出された密閉タンク12内の圧力が指令圧に制御されるようにポンプ制御器74によって給液ポンプ23の駆動モータ回転速度を制御することで給液ポンプ23からの吐出流量を可変制御する。
【0044】
例えば、液面センサ71により検出されたタンク内液面42の液面レベルが設定値より高い場合は、気体不足の状態であるので、給気配管46または54中にそれぞれ開閉自在に設けられた給気弁52または59を開き、密閉タンク12内の液噴出空間部33に溶解予定の圧縮空気または炭酸ガスを加圧供給することで、液面レベルを設定値まで下降させる。
【0045】
また例えば、圧力センサ73で検出された密閉タンク12内の圧力が指令圧より高い場合は、ポンプ制御器74によって給液ポンプ23の回転速度を下げ給液ポンプ23からの吐出流量を減少させることで、密閉タンク12内の圧力を低下させる。
【0046】
密閉タンク12内では、給液手段18から密閉タンク12内に設置された液案内筒体13の液吸込口部15に供給された処理予定の液17を液案内筒体13および揚液手段27により上昇させて液案内筒体13の液噴出口部16から液噴出空間部33に噴出させ、その際に液噴出空間部33内で拡大膨張され密閉タンク12のタンク天蓋部12bに衝突された噴流液17aに、給気手段34により加圧供給された圧縮空気または給気手段35により加圧供給された炭酸ガスが混合攪拌されて効率良く溶解されるとともに、タンク天蓋部12bから跳ね返ってタンク内液面42に衝突する際にも、給気手段34により加圧供給された圧縮空気または給気手段35により加圧供給された炭酸ガスが混合攪拌されて液中に効率良く溶解される。
【0047】
すなわち、液噴出空間部33で形成された第1溶解槽部43、および密閉タンク12と液案内筒体13との間の還流通路部36で形成された第2溶解槽部44において、加圧状態の圧縮空気または炭酸ガスが液中に混合攪拌されて効率良く溶解され、液中への気体溶解濃度が高くなる。
【0048】
さらに、密閉タンク12内における液案内筒体13の液吸込口部15と処理済み液取出配管37の液取出口部37aとの間に気液分離槽部41が形成されたので、液17a中に溶解することなく気泡状態で混在する気体は、この気液分離槽部41で分離して、再度、加圧状態の密閉タンク12内で溶解させ、液中に空気中の酸素または炭酸ガスを効率良く溶解させた処理済み液のみを、処理済み液取出配管37の液取出口部37aから外部に取り出すことが可能となる。
【0049】
流量調整器(絞り抵抗可変オリフィス)39は、給液ポンプ23を設定回転速度で駆動したときに上記密閉タンク12の内圧が設定圧力(例えば0.2MPa)となるように可変調整し、この調整後の絞り抵抗値は変更しない。
【0050】
そして、圧縮空気の場合は、流量調整器39で発泡させるために、上記密閉タンク12の内圧が上記設定圧力となるように給液ポンプ23を連続運転するが、炭酸ガスの場合は、流量調整器39での発泡を極力避けて炭酸泉を発泡させずに液槽21に供給するために、上記密閉タンク12の内圧が上記設定圧力より低圧となる指令圧により給液ポンプ23を連続運転して炭酸泉を製造する炭酸泉運転方式その1と、上記密閉タンク12の内圧が上記設定圧力となるような指令圧により給液ポンプ23を運転して高濃度の炭酸泉を製造する炭酸泉運転方式その2とがある。
【0051】
先ず、泡風呂を提供する場合は、制御手段72により、圧縮空気用の給気弁52を開いて密閉タンク12内に圧縮空気を供給するとともに電動モータ32により揚液手段27を駆動しつつ、密閉タンク12の内圧が上記設定圧力となるように給液ポンプ23を運転し、密閉タンク12内の上記設定圧力を利用して密閉タンク12内の空気溶解液を処理済み液取出配管37から外部の液槽21に勢いよく噴出させる。その際の流量調整器39の前後での急激な圧力変化を利用して、液槽21内に無数の微細気泡(すなわちマイクロバブル)を発泡生成させ、乳白色の泡風呂(ホワイトイオンバス:登録商標)を提供する。
【0052】
この微細気泡による泡風呂は、微細気泡の破裂時に放出されるマイナスイオンにより心身をリラックスさせるとともに、微細気泡の破裂時に発生する超音波により全身をマッサージし、血液の循環を高め身体を温めるとともに、微細な気泡が毛穴に入って毛穴の奥から汚れを洗い流す効果がある。
【0053】
(炭酸泉運転方式その1)
炭酸泉を提供する場合は、制御手段72により、炭酸ガス用の給気弁59を開いて密閉タンク12内に炭酸ガスを供給するとともに電動モータ32により揚液手段27を駆動しつつ、密閉タンク12の内圧が圧縮空気の上記設定圧力より低くなるような指令圧により給液ポンプ23を運転し、密閉タンク12内の炭酸ガス溶解液を処理済み液取出配管37から外部の液槽21に取り出すことで、液槽に取出す際の流量調整器39の前後での圧力差の発生を極力抑え、急激な圧力変化により炭酸ガス溶解液から炭酸ガスが急激に抜ける現象を抑制して、液槽21内に炭酸ガスが十分に溶解された液を供給し、一般的に美容と健康に効果があるとされている炭酸泉を提供する。
【0054】
(炭酸泉運転方式その2)
高濃度の炭酸泉を製造する場合は、制御手段72により、電磁式の処理済み液取出弁38および圧抜き弁75を閉じた密閉状態で、炭酸ガス用の給気弁59を開いて密閉タンク12内に炭酸ガスを供給するとともに電動モータ32により揚液手段27を駆動しつつ、密閉タンク12の内圧が圧縮空気の場合と等しい上記設定圧力となるような指令圧により給液ポンプ23を運転し、炭酸ガス溶解量が飽和状態となるまで給液ポンプ23および揚液手段27の運転を継続し、飽和状態に達するとタンク内圧が下がらなくなるので、この飽和状態を圧力センサ73で検出した制御手段72は、給液ポンプ23および揚液手段27を停止するとともに電磁式の処理済み液取出弁38を閉じた静かな環境下で、電磁式の圧抜き弁75を開いて密閉タンク12内の内圧を抜いてから、電磁式の処理済み液取出弁38を開いて、密閉タンク12内の炭酸ガス溶解液を密閉タンク12・液槽21間の落差のみにより外部の液槽21に静かに取り出すことで、液槽に取出す際の流量調整器(絞り抵抗可変オリフィス)39の前後での圧力差の発生を極力抑え、急激な圧力変化により炭酸ガス溶解液から炭酸ガスが急激に抜ける現象を抑制しつつ、液槽21内に高濃度の炭酸ガス溶解液を供給する。
【0055】
次に図示された実施の形態の効果を説明する。
【0056】
給液手段18から密閉タンク12内に設置された液案内筒体13の液吸込口部15に供給された処理予定の液17を液案内筒体13および揚液手段27により上昇させて液案内筒体13の液噴出口部16から液噴出空間部33に噴出させ、その際に液噴出空間部33内で膨張しつつ噴流した液17aに、給気手段34,35により加圧供給された気体を混合攪拌させ、この液噴出空間部33内および密閉タンク12と液案内筒体13との間の還流通路部36で液17a中に加圧状態の気体を溶解させ、処理済み液取出配管37により密閉タンク12の下部から外部に気体が溶解した処理済み液を取り出すようにしたので、密閉タンク12内で処理予定の液中に気体を効率良く溶解させることができ、無駄のない溶解効率の良い液処理装置11を提供できる。
【0057】
密閉タンク12内における液案内筒体13の液吸込口部15と処理済み液取出配管37の液取出口部37aとの間に気液分離槽部41が形成されたので、液中に溶解することなく気泡状態で混在する気体を気液分離槽部41で分離して、再度、加圧状態の密閉タンク12内で溶解させることが可能となり、液中に気体を効率良く溶解させた処理済み液のみを、処理済み液取出配管37の液取出口部37aから外部の液槽21に取り出すことができるとともに、密閉タンク12の外部に気液分離槽を設置する必要がなく、液処理装置全体をコンパクトに形成できる。
【0058】
複数の給気配管46,54中にそれぞれ開閉自在に設けられた複数種の気体用の電磁式の給気弁52,59により、密閉タンク12内の液噴出空間部33に溶解予定の気体を加圧供給するので、1つの密閉タンク12を共用して、処理予定の液17中に複数の気体を選択的にまたは同時に効率良く溶解させることができる。
【0059】
液面センサ71と制御手段72とにより電磁式の給気弁52,59を開閉制御することでタンク内液面42の液面レベルを制御しつつ、ポンプ制御器74によって圧力センサ73で検出された密閉タンク12内の圧力が指令圧に制御されるように給液ポンプ23からの吐出流量を可変制御するので、密閉タンク12内に溶解予定の気体と処理予定の液17とをバランス良く供給でき、処理予定の液17中に気体を効率良く溶解させることができる。
【0060】
給気手段34,35により密閉タンク12内の液噴出空間部33に加圧供給される溶解予定の気体として、圧縮空気用の給気配管46中に設けられた圧縮空気用の電磁式の給気弁52と、炭酸ガス用の給気配管54中に設けられた炭酸ガス用の電磁式の給気弁59とにより、空気または炭酸ガスを選択して、処理予定の液17中に空気または炭酸ガスを効率良く溶解させることができ、微細気泡による泡風呂や、炭酸泉を提供できる。
【0061】
制御手段72が、給液ポンプ23および揚液手段27を停止するとともに電磁式の処理済み液取出弁38を閉じた静かな環境下で電磁式の圧抜き弁75により密閉タンク12内の内圧を抜いてから、電磁式の処理済み液取出弁38を開いて密閉タンク12内の炭酸ガス溶解液を外部の液槽21に取り出すようにしたので、炭酸ガス溶解液を液槽21に取出す際の流量調整器39の前後での著しい圧力差の発生を抑制でき、急激な圧力変化により炭酸ガス溶解液から炭酸ガスが急激に抜ける現象を抑制でき、炭酸ガス溶解濃度の高い炭酸ガス溶解液を外部の液槽21へ供給でき、高濃度の炭酸泉を実現できる。
【0062】
なお、上記実施の形態では、液中に溶解される気体として、圧縮空気および炭酸ガスを例示したが、本発明は、水素ガスを液中に溶解される気体として水素水を製造したり、酸素ガスを液中に溶解される気体として酸素水を製造したり、オゾンガスを液中に溶解される気体としてオゾン水を製造する場合にも適用される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、上記液処理装置11を製造する製造業、販売する販売業などにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
11 液処理装置
12 密閉タンク
13 液案内筒体
15 液吸込口部
16 液噴出口部
17 処理予定の液
17a 噴出された液
18 給液手段
21 液槽
23 給液ポンプ
25a 液供給口部
27 揚液手段
33 液噴出空間部
34 圧縮空気の給気手段
35 炭酸ガスの給気手段
36 還流通路部
37 処理済み液取出配管
37a 液取出口部
38 処理済み液取出弁
41 気液分離槽部
45 気体供給源としての圧縮空気供給源
46 圧縮空気用の給気配管
52 圧縮空気用の給気弁
53 気体供給源としての炭酸ガス供給源
54 炭酸ガス用の給気配管
59 炭酸ガス用の給気弁
71 液面センサ
72 制御手段
73 圧力センサ
74 ポンプ制御器
75 圧抜き弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉タンクと、
上記密閉タンク内に上下方向に設置され下端に液吸込口部を開口するととも上端に液噴出口部を開口した液案内筒体と、
上記液案内筒体の上記液吸込口部に対して処理予定の液を供給する給液手段と、
上記液案内筒体の内部に設けられて上記液吸込口部から液を吸い込むとともに上記液噴出口部から液を噴出させる揚液手段と、
上記揚液手段により上記液案内筒体の上記液噴出口部から噴出された液を上記密閉タンクの上部内に拡大させる液噴出空間部と、
上記液噴出空間部に溶解予定の気体を加圧供給する給気手段と、
上記液噴出空間部から上記密閉タンクと上記液案内筒体との間を経て上記液案内筒体の下部に液を循環させる還流通路部と、
上記密閉タンクの下部から外部に処理済み液を取り出す処理済み液取出配管と
を具備したことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
上記処理済み液取出配管は、上記密閉タンク内の下部にて開口された液取出口部を備え、
上記密閉タンクは、上記液案内筒体の上記液吸込口部と上記処理済み液取出配管の上記液取出口部との間に形成された気液分離槽部を内部に備えた
ことを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
上記給気手段は、
複数種の気体を供給する複数の気体供給源に接続された複数の給気配管と、
上記複数の給気配管中にそれぞれ開閉自在に設けられた上記複数種の気体用の給気弁と
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の液処理装置。
【請求項4】
上記密閉タンク内の液面レベルを検出する液面センサと、
上記液面センサにより検出した液面レベルが設定値より高いときは上記給気弁を開くとともに上記液面レベルが設定値より低いときは上記給気弁を閉じる制御手段と、
上記密閉タンク内に処理予定の液を供給する給液ポンプと、
上記密閉タンク内の圧力を検出する圧力センサと、
上記圧力センサで検出された上記密閉タンク内の圧力が一定に制御されるように上記給液ポンプから吐出される流量を可変制御するポンプ制御器と
を具備したことを特徴とする請求項3記載の液処理装置。
【請求項5】
上記給気手段は、
圧縮空気を供給する圧縮空気供給源に接続された圧縮空気用の給気配管と、
上記圧縮空気用の給気配管中に開閉自在に設けられた圧縮空気用の給気弁と、
炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給源に接続された炭酸ガス用の給気配管と、
上記炭酸ガス用の給気配管中に開閉自在に設けられた炭酸ガス用の給気弁と
を具備したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の液処理装置。
【請求項6】
上記密閉タンクの下部内から外部の液槽に処理済み液を取り出す上記処理済み液取出配管中に設けられた開閉自在の処理済み液取出弁と、
上記密閉タンクの上部に設けられて上記密閉タンク内の内圧を抜くことが可能な圧抜き弁と、
上記給液ポンプおよび上記揚液手段を停止するとともに上記処理済み液取出弁を閉じた状態で上記圧抜き弁を開いて上記密閉タンク内の内圧を抜き、その後に上記処理済み液取出弁を開いて上記密閉タンク内の炭酸ガス溶解液を上記外部の液槽に取り出す機能を備えた制御手段と
を具備したことを特徴とする請求項5記載の液処理装置。

【図1】
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【図2】
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