説明

液処理装置

【課題】ポンプ停止時でもダーティ液槽からクリーン液槽へダーティ液中のスラッジが直接流入するおそれを防止できる液処理装置を提供する。
【解決手段】ダーティ液を受け入れて液中のスラッジを沈降させるダーティ液槽13の底部から汲上ポンプ18により汲み上げられたダーティ液を固液分離装置20により固液分離する。固液分離装置20から送出されたクリーン液を受け入れるクリーン液槽32から供給ポンプ37によりクリーン液を必要箇所に供給する。ダーティ液槽13とクリーン液槽32との間に設けた可動仕切体41は、ダーティ液槽13の液位がクリーン液槽32の液位より低い場合は開き、ダーティ液槽13の液位がクリーン液槽32の液位より高い場合は閉じるとともに、ダーティ液槽13の液位が上限を超える場合はダーティ液槽13からクリーン液槽32にダーティ液の上澄液をオーバフローさせる機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダーティ液槽、固液分離装置およびクリーン液槽を用いた液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工装置から排出されスラッジ等が混入したクーラント液を渦流にて浄化し、再び加工装置に送り込むことにより当該クーラント液を循環利用するための渦流循環型クーラント液浄化装置として、断面が略円形状であり、前記加工装置から導かれたクーラント液を渦流状態で収容するとともに、中央底面から吐出させる吐出口を有する第1クーラント液槽と、該第1クーラント液槽の少なくとも側方及び下方を囲む略円筒形状から成り、当該第1クーラント液槽の外側でクーラント液を渦流状態で収容するとともに、下方で第1クーラント液槽の前記吐出口に連通した第2クーラント液槽と、前記吐出口から吐出されたクーラント液を導くとともに、そのクーラント液を前記第2クーラント液槽に導入する流通路と、前記第2クーラント液槽の内壁近傍における清浄度の高いクリーン液を前記加工装置に送り込む循環路と、前記流通路を流通するクーラント液を渦流を生じさせつつ導入し、上方のクリーン液を前記第2クーラント液槽に導く一方、下方から吐出した清浄度の低いダーティ液を前記第1クーラント液槽に導くトルネード式浄化装置とを備えた渦流循環型クーラント液浄化装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3897587号公報(第4-6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、ダーティ液槽として機能する第1クーラント液槽の下部と、クリーン液槽として機能する第2クーラント液槽とが直接連通しているため、第1クーラント液槽の下部からダーティ液を汲み上げてトルネード式浄化装置に供給するためのポンプが、故障または停電などにより予期せずに停止すると、第1クーラント液槽の下部から第2クーラント液槽へダーティ液中のスラッジが直接流入してしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ポンプ停止時でもダーティ液槽からクリーン液槽へダーティ液中のスラッジが直接流入するおそれを防止できる液処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、清浄度の低いダーティ液を受け入れて液中のスラッジを沈降させるダーティ液槽と、上記ダーティ液槽の底部からダーティ液を汲み上げる汲上ポンプと、上記汲上ポンプにより汲み上げられたダーティ液を固液分離して得られた清浄度の高いクリーン液を送出する固液分離装置と、上記固液分離装置から送出されたクリーン液を貯留するとともにそのクリーン液の一部を上記ダーティ液槽に排出可能なクリーン液槽と、上記クリーン液槽からクリーン液を必要箇所に供給する供給ポンプと、上記ダーティ液槽と上記クリーン液槽との間に設けられた可動仕切体とを具備し、上記可動仕切体は、上記ダーティ液槽の液位が上記クリーン液槽の液位より低い場合は開いて上記クリーン液槽から上記ダーティ液槽へのクリーン液の補給を可能とし、上記ダーティ液槽の液位が上記クリーン液槽の液位より高い場合は閉じて上記ダーティ液槽から上記クリーン液槽へのダーティ液の流入を防止するとともに、上記ダーティ液槽の液位が上限を超える場合は上記ダーティ液槽から上記クリーン液槽にダーティ液の上澄液をオーバフローさせる機能を備えた液処理装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の液処理装置における上記ダーティ液槽が、底部に向かって横断面積を縮小する方向に傾斜する斜面部が設けられたホッパ形状に形成されており、その底部にダーティ液を上記汲上ポンプに送出する送出口が設けられたものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の液処理装置における上記クリーン液槽が、円筒形状に形成され、上記固液分離装置から送出されたクリーン液を内周壁面に沿って旋回させ、上記クリーン液槽の中央部にある液を吸い込んで上記クリーン液槽の旋回流を助長する方向に循環させる循環ポンプを備えたものである。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項3記載の液処理装置において、上記円筒形状のクリーン液槽の中央部に底面部から間隙を介して平行に設けられた円板を備え、上記循環ポンプは、上記円板と上記クリーン液槽の底面部との間にある液を吸い込んで、上記クリーン液槽の旋回流を助長する方向に循環させるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、上記ダーティ液槽の液位が上記クリーン液槽の液位より低い場合は上記可動仕切体が開いて、上記クリーン液槽のクリーン液が上記ダーティ液槽へ補給されるので、上記ダーティ液槽での液不足の発生を防止して、汲上ポンプや固液分離装置での円滑な作動を継続でき、一方、上記ダーティ液槽の液位が上記クリーン液槽の液位より高い場合は上記可動仕切体が閉じて、上記ダーティ液槽から上記クリーン液槽へのダーティ液の流入を防止するとともに、上記ダーティ液槽の液位が上記可動仕切体の上限を超える場合は、ダーティ液中のスラッジを沈降させる上記ダーティ液槽から上記クリーン液槽にダーティ液の上澄液がオーバフローするので、上記ダーティ液槽から上記固液分離装置にダーティ液を汲み上げる汲上ポンプが故障などにより停止し上記ダーティ液槽の液位が上昇した場合でも上記ダーティ液槽内の液中のスラッジが上記クリーン液槽へ流入するおそれを上記可動仕切体により防止でき、上記クリーン液槽内の清浄度の高いクリーン液を上記供給ポンプにより必要箇所に供給できる。
【0011】
請求項2に記載された発明によれば、上記効果に加えて、上記ダーティ液槽は、底部に向かって横断面積を縮小する方向に傾斜する斜面部が設けられたホッパ形状に形成されており、その底部にダーティ液を上記汲上ポンプに送出する送出口が設けられたので、上記ホッパ形状のダーティ液槽の底部にダーティ液中のスラッジを効率よく集めて上記汲上ポンプにより上記固液分離装置に確実に送出できる。
【0012】
請求項3に記載された発明によれば、上記効果に加えて、上記円筒形状に形成されたクリーン液槽の内周壁面に沿って、上記固液分離装置から送出されたクリーン液を旋回させるだけでなく、さらに、上記循環ポンプは、上記クリーン液槽の中央部にある液を吸い込んで上記クリーン液槽の旋回流を助長する方向に循環させるので、上記クリーン液槽内の内周壁面に近い部分ほど高速に流れる旋回流の流勢により液中のスラッジが堆積するおそれを抑制できるとともに、上記クリーン液槽内の中央部に近い部分ほど上記循環ポンプの吸引力が強く作用するので、上記クリーン液槽内の中央部に液中のスラッジが堆積するおそれを抑制でき、上記クリーン液槽内のスラッジ堆積に対するメンテナンス性を向上できる。
【0013】
請求項4に記載された発明によれば、上記循環ポンプは、上記円筒形状のクリーン液槽の中央部に底面部から間隙を介して平行に設けられた円板と、上記クリーン液槽の底面部との間にある液を吸い込んで、上記クリーン液槽の旋回流を助長する方向に循環させるので、上記クリーン液槽の中央部からある程度離れた場所に堆積しようとする液中のスラッジも効率よく吸引して堆積することを抑制でき、上記クリーン液槽内の全域にわたって液中のスラッジが堆積するおそれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る液処理装置の一実施の形態を示す配管図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】同上液処理装置の可動仕切体を拡大した断面図である。
【図4】同上液処理装置の可動仕切体の他の実施の形態を示す断面図であり、(a)は可動仕切体の閉じ状態を示し、(b)は可動仕切体の開き状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、図1乃至図3に示された一実施の形態、図4に示された他の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、液処理装置10の全体を示し、工作機械11から砥粒や切粉等のスラッジを含む清浄度の低いクーラント液のようなダーティ液L1を排出する配管12の先端に、このダーティ液L1を受け入れて液中のスラッジ(砥粒や切粉)を沈降させるダーティ液槽13が配置されている。
【0017】
上記ダーティ液槽13は、底部14に向かって横断面積を縮小する方向に傾斜する斜面部15が設けられたホッパ形状に形成されており、その底部14にはダーティ液L1を送出する送出口16が設けられ、この送出口16に配管17を介して、上記ダーティ液槽13の底部14からダーティ液L1を汲み上げる汲上ポンプ18の吸込口が接続されている。
【0018】
上記汲上ポンプ18の吐出口には、配管19を介して、上記汲上ポンプ18により汲み上げられたダーティ液L1を固液分離して得られた砥粒や切粉等のスラッジを除去された清浄度の高いクリーン液L2を送出する固液分離装置20の流入口21が接続されている。
【0019】
この固液分離装置20は、トルネード式またはサイクロン式の液浄化装置であり、ダーティ液L1を流入口21から外筒22内に導入する際に接線方向から旋回させることで液中のスラッジを外筒22内で遠心分離し、クリーン液L2は外筒22の中心部に配置された内筒23の上端に設けられた流出口24から配管25により取り出すとともに、スラッジは外筒22の内周壁面に沿って旋回させながら円錐部へ沈降させ、外筒22の円錐部下端に接続されたスラッジポット26に溜め、スラッジポット26が満杯になったときにこのスラッジポット26の下端に接続された弁27を開いて外部へスラッジを排出するものである。
【0020】
上記汲上ポンプ18、上記サイクロン式の固液分離装置20、上記スラッジポット26、上記弁27およびこれらを接続する配管19などは、図示しないフレームにより一体に組付けられて液浄化ユニット28を構成している。
【0021】
上記固液分離装置20から配管25により送出されたクリーン液L2を配管25に接続された外部の配管31を経て貯留するとともにそのクリーン液L2の一部を上記ダーティ液槽13に排出可能なクリーン液槽32が、図1および図2に示されるように上記ダーティ液槽13と一体的に設けられている。
【0022】
上記クリーン液槽32は、円筒形状に形成され、その側壁部の一部に開口部33が設けられ、この開口部33の周囲を囲むように上記ダーティ液槽13の接続部34が連結されている。上記ホッパ形状のダーティ液槽13は、上記円筒形状のクリーン液槽32に比べて小さく形成されている。
【0023】
上記固液分離装置20からの配管31の先端には、図2に示されるように固液分離装置20から送出されたクリーン液L2を上記クリーン液槽32の内周壁面に沿って旋回させる吐出口35が、上記クリーン液槽32の内周壁面に内接する接線方向に向けて開口されている。
【0024】
図1に示されるように、上記クリーン液槽32の中央部には戻し配管36が挿入され、この戻し配管36中には、上記クリーン液槽32内のクリーン液L2を工作機械11のクーラント液として必要箇所に供給する供給ポンプ37が設けられている。
【0025】
図1に示されるように、上記ダーティ液槽13と上記クリーン液槽32との間には板状の可動仕切体41が設けられている。
【0026】
上記可動仕切体41は、図3に示されるように上記クリーン液槽32の開口部33と対向する上記ダーティ液槽13の入口部42において、板部材の上端部が、上記ダーティ液槽13の上端縁よりも低い高さ位置で上記ダーティ液槽13内に架け渡された支軸43により回動自在に取り付けられ、上記可動仕切体41の下部は、上記ダーティ液槽13の一部が弁座として機能する弁座面部44に対して接離自在に設けられている。
【0027】
上記可動仕切体41は、図3に2点鎖線で示されるように上記ダーティ液槽13内のダーティ液L1の液位L1aが、上記クリーン液槽32内のクリーン液L2の液位L2aより低い場合は、その液位差に基づき上記可動仕切体41の両面に右方向の圧力差が作用することで、上記弁座面部44から開いて上記クリーン液槽32から上記ダーティ液槽13へのクリーン液L2の補充を可能とし、また、図3に実線で示されるように上記ダーティ液槽13内のダーティ液L1の液位が、上記クリーン液槽32内のクリーン液L2の液位より高い場合は、その液位差に基づき上記可動仕切体41の両面に左方向の圧力差が作用することで、上記弁座面部44に閉じて上記ダーティ液槽13から上記クリーン液槽32へのダーティ液L1の流入を防止するとともに、図3に1点鎖線で示されるように上記ダーティ液槽13内のダーティ液L1の液位L1bが上記可動仕切体41の上限を超える場合は上記ダーティ液槽13から上記クリーン液槽32にダーティ液L1の上澄液をオーバフローさせる機能を備えている。
【0028】
図1に示されるように、上記クリーン液槽32の中央部から上記クリーン液槽32の内周壁面の近傍にわたって配管51が設けられ、この配管51中に、上記クリーン液槽32の中央部にある液を吸い込んで上記クリーン液槽32の旋回流を助長する方向に循環させる循環ポンプ52が設けられている。
【0029】
上記円筒形状のクリーン液槽32の中央部には底面部53から間隙54を介して円板55が平行に設けられ、上記循環ポンプ52は、上記クリーン液槽32の底面部53の中央部に穿設された吸込穴56から、上記円板55と上記クリーン液槽32の底面部53との間にある液を吸い込んで、上記クリーン液槽32の旋回流を助長する内周壁面の接線方向に向けて開口された吐出口57より、上記クリーン液槽32内にクリーン液L2を吐出させる。
【0030】
次に、上記図1乃至図3に示された一実施の形態の作用効果を説明する。
【0031】
工作機械11から排出された砥粒や切粉等の混ざったクーラント液のようなダーティ液L1は、ダーティ液槽13に投入され、このダーティ液槽13の底部14の送出口16から汲上ポンプ18によりサイクロン式の固液分離装置20に汲み上げられる。このとき、ダーティ液槽13をホッパ形状とすることで、また、ダーティ液槽13の液位がクリーン液槽32の液位より低い場合は可動仕切体41が開いて、クリーン液槽32の液がダーティ液槽13へ補給されることで、砥粒や切粉等のスラッジは、十分な液とともに汲上ポンプ18によってサイクロン式の固液分離装置20まで確実に送られる。
【0032】
そして、この固液分離装置20で液から遠心分離されたスラッジは、スラッジポット26に沈降されるので、クリーン液L2のみが、配管25,31を経て円筒形状をしたクリーン液槽32内の吐出口35よりクリーン液槽32の内周壁面に内接する接線方向へ吐出され、クリーン液槽32の内周壁面に沿ってクリーン液槽32内に旋回流が形成される。これにより、クリーン液槽32内の内周壁面側ほど旋回流の流勢によりスラッジの堆積が効果的に抑制される。
【0033】
ただし、クリーン液槽32の旋回流の中央部は、外周部に比べて旋回流の流勢が弱いため、スラッジが堆積しやすい環境となるので、この環境を解消するために、クリーン液槽32の中央部下側(または場合によっては中央部上側)から循環ポンプ52により中央部付近の液を吸い込み、クリーン液槽32内の内周壁面に内接する接線方向に吐出することで、クリーン液槽32の中央部付近でのスラッジの堆積を抑制する。
【0034】
さらに、上記円筒形状のクリーン液槽32の中央部に円板55を底面部53と平行に所定の間隙54を開けて設けることで、円板55の周縁部に沿って位置するところの、上記クリーン液槽32の中央部からある程度離れた場所に堆積しようとする液中のスラッジも効率よく吸引して、堆積することを抑制する。これらの堆積抑制作用により、クリーン液槽32内の全体としてのスラッジの堆積を効果的に抑制する。
【0035】
また、円筒形状をしたクリーン液槽32の外周部にホッパ形状をしたダーティ液槽13を設け、両液槽間は液位差によって開閉する可動仕切体41によって仕切られているので、ダーティ液槽13の液位がクリーン液槽32の液位より低くなると可動仕切体41が開き、クリーン液槽32からダーティ液槽13へクリーン液L2が流れて、ダーティ液槽13内での液不足の発生を防止し、また、ダーティ液槽13の液位がクリーン液槽32の液位より高くなると可動仕切体41が閉まり、オーバフローによってダーティ液槽13からクリーン液槽32へダーティ液L1の上澄液が流れることはあっても、ダーティ液L1中で沈降する砥粒や切粉等のスラッジがダーティ液槽13からクリーン液槽32へ流れることは上記可動仕切体41により阻止される。
【0036】
したがって、特許文献1に示された従来技術のように、第1クーラント液槽の下部からダーティ液を汲み上げてトルネード式浄化装置に供給するためのポンプが故障または停電などにより予期せずに停止すると、第1クーラント液槽の下部から第2クーラント液槽へダーティ液中のスラッジが直接流入してしまうというような問題は発生しない。
【0037】
このように、上記ダーティ液槽13の液位が上記クリーン液槽32の液位より低い場合は上記可動仕切体41が開いて、上記クリーン液槽32のクリーン液が上記ダーティ液槽13へ補給されるので、上記ダーティ液槽13での液不足の発生を防止して、汲上ポンプ18や固液分離装置20での円滑な作動を継続できる。
【0038】
一方、上記ダーティ液槽13の液位が上記クリーン液槽32の液位より高い場合は上記可動仕切体41が閉じて、上記ダーティ液槽13から上記クリーン液槽32へのダーティ液L1の流入を防止するとともに、上記ダーティ液槽13の液位が上記可動仕切体41の上限を超える場合は、ダーティ液L1中のスラッジを沈降させる上記ダーティ液槽13から上記クリーン液槽32にダーティ液L1の上澄液がオーバフローするので、上記ダーティ液槽13から上記固液分離装置20にダーティ液L1を汲み上げる汲上ポンプ18が故障などにより停止し上記ダーティ液槽13の液位が上昇した場合でも上記ダーティ液槽13内の液中のスラッジが上記クリーン液槽32へ流入するおそれを上記可動仕切体41により防止でき、上記クリーン液槽32内の清浄度の高いクリーン液L2を上記供給ポンプ37により必要箇所に供給できる。
【0039】
上記効果に加えて、上記ダーティ液槽13は、底部14に向かって横断面積を縮小する方向に傾斜する斜面部15が設けられたホッパ形状に形成されており、その底部14にダーティ液L1を上記汲上ポンプ18に送出する送出口16が設けられたので、上記ホッパ形状のダーティ液槽13の底部14にダーティ液L1中のスラッジを効率よく集めて上記汲上ポンプ18により上記固液分離装置20に確実に送出できる。
【0040】
上記効果に加えて、上記円筒形状に形成されたクリーン液槽32の内周壁面に沿って、上記固液分離装置20から送出されたクリーン液L2を旋回させるだけでなく、さらに、上記循環ポンプ52は、上記クリーン液槽32の中央部にある液を吸い込んで上記クリーン液槽32の旋回流を助長する方向に循環させるので、上記クリーン液槽32内の内周壁面に近い部分ほど高速に流れる旋回流の流勢により液中のスラッジが堆積するおそれを抑制できるとともに、上記クリーン液槽32内の中央部に近い部分ほど上記循環ポンプ52の吸引力が強く作用するので、上記クリーン液槽32内の中央部に液中のスラッジが堆積するおそれを抑制でき、上記クリーン液槽32内のスラッジ堆積に対するメンテナンス性を向上できる。
【0041】
上記循環ポンプ52は、上記円筒形状のクリーン液槽32の中央部に底面部53から間隙54を介して平行に設けられた円板55と、上記クリーン液槽32の底面部53との間にある液を吸い込んで、上記クリーン液槽32の旋回流を助長する方向に循環させるので、上記クリーン液槽32の中央部からある程度離れた場所に堆積しようとする液中のスラッジも効率よく吸引して堆積することを抑制でき、上記クリーン液槽32内の全域にわたって液中のスラッジが堆積するおそれを抑制できる。
【0042】
次に、図4に示された他の実施の形態を説明する。
【0043】
図4に示されるように、上記ダーティ液槽13と上記クリーン液槽32との間には板状の可動仕切体61が設けられている。上記可動仕切体61は、上記クリーン液槽32の開口部33と対向する上記ダーティ液槽13の入口部42において幅方向の左右内壁面および底面の3方に弁座として機能する弁座凸条部62が形成され、これらの弁座凸条部62に対し均等間隔の凹部63を介して、幅方向の左右内壁面および底面の3方に係止凸条部64が形成され、そして、凹部63内に板状の可動仕切体61が、幅方向および前後方向の遊び間隙65を介して遊嵌されている。
【0044】
上記可動仕切体61の上記クリーン液槽32側の面は、図4(a)に示されるように上記弁座凸条部62に密着可能に設けられ、また、上記可動仕切体61の上記ダーティ液槽13側の面には4隅部にスペーサ66が取り付けられているので、図4(b)に示されるように上記4隅部のスペーサ66が上記係止凸条部64により係止された状態では、上記クリーン液槽32内の液は、上記凹部63内の遊び間隙65を通して上記ダーティ液槽13内に流出可能となっている。
【0045】
そして、上記可動仕切体61は、上記クリーン液槽32内の液位が上記ダーティ液槽13内の液位より高い場合は、図4(b)に示されるように上記可動仕切体61のスペーサ66が上記係止凸条部64に押し付けられた開き状態となり、上記クリーン液槽32内から上記ダーティ液槽13内へのクリーン液L2の流入を可能とし、また、上記ダーティ液槽13内の液位が上記クリーン液槽32内の液位より高い場合は、図4(a)に示されるように上記可動仕切体61が上記弁座凸条部62に押し付けられて密着された閉じ状態となり、上記ダーティ液槽13内から上記クリーン液槽32内へのダーティ液L1の流入を防止するとともに、上記ダーティ液槽13内の液位が上記可動仕切体61の上限を超える場合は上記ダーティ液槽13内から上記クリーン液槽32内にダーティ液L1の上澄液をオーバフローさせる機能を備えている。
【0046】
この図4に示された実施の形態の他の作用効果は、図1乃至図3に示された実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、液処理装置の製造業または販売業に携わるものにとって利用可能性がある。
【符号の説明】
【0048】
L1 ダーティ液
L2 クリーン液
10 液処理装置
13 ダーティ液槽
14 底部
15 斜面部
16 送出口
18 汲上ポンプ
20 固液分離装置
32 クリーン液槽
37 供給ポンプ
41 可動仕切体
52 循環ポンプ
53 底面部
54 間隙
55 円板
61 可動仕切体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄度の低いダーティ液を受け入れて液中のスラッジを沈降させるダーティ液槽と、
上記ダーティ液槽の底部からダーティ液を汲み上げる汲上ポンプと、
上記汲上ポンプにより汲み上げられたダーティ液を固液分離して得られた清浄度の高いクリーン液を送出する固液分離装置と、
上記固液分離装置から送出されたクリーン液を貯留するとともにそのクリーン液の一部を上記ダーティ液槽に排出可能なクリーン液槽と、
上記クリーン液槽からクリーン液を必要箇所に供給する供給ポンプと、
上記ダーティ液槽と上記クリーン液槽との間に設けられた可動仕切体とを具備し、
上記可動仕切体は、上記ダーティ液槽の液位が上記クリーン液槽の液位より低い場合は開いて上記クリーン液槽から上記ダーティ液槽へのクリーン液の補給を可能とし、上記ダーティ液槽の液位が上記クリーン液槽の液位より高い場合は閉じて上記ダーティ液槽から上記クリーン液槽へのダーティ液の流入を防止するとともに、上記ダーティ液槽の液位が上限を超える場合は上記ダーティ液槽から上記クリーン液槽にダーティ液の上澄液をオーバフローさせる機能を備えた
ことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
上記ダーティ液槽は、
底部に向かって横断面積を縮小する方向に傾斜する斜面部が設けられたホッパ形状に形成されており、その底部にダーティ液を上記汲上ポンプに送出する送出口が設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
上記クリーン液槽は、円筒形状に形成され、上記固液分離装置から送出されたクリーン液を内周壁面に沿って旋回させ、
上記クリーン液槽の中央部にある液を吸い込んで上記クリーン液槽の旋回流を助長する方向に循環させる循環ポンプを備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の液処理装置。
【請求項4】
上記円筒形状のクリーン液槽の中央部に底面部から間隙を介して平行に設けられた円板を備え、
上記循環ポンプは、上記円板と上記クリーン液槽の底面部との間にある液を吸い込んで、上記クリーン液槽の旋回流を助長する方向に循環させる
ことを特徴とする請求項3記載の液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−45678(P2012−45678A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191017(P2010−191017)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000226002)株式会社ニクニ (25)
【Fターム(参考)】