説明

液晶及びそれを含有する皮膚外用剤

【課題】皮膚に塗布した後に、水分や揮発性油性成分が揮散して皮膚外用剤が液晶に転移することで、液晶特有の優れた保湿効果、エモリエント効果、配合された生理活性成分の経皮浸透促進作用が発揮される皮膚外用剤の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される両親媒性化合物と水を必須成分とする液晶は、温度安定性に優れた液晶を形成し、皮膚に適用した後に、ベタツキ感や油性感が低減され、水分や揮発性の油性成分が揮散することで液晶構造に転移し、スキンケア効果および含有する生理活性成分の経皮浸透促進作用を発揮する皮膚外用剤。


(式中、X及びYはそれぞれ水素原子を表すか又は一緒になって酸素原子を表し、nは0〜2の整数、mは1又は2の整数を表し、またRは、グリセロールや糖類のポリオール化合物の1つから1つの水酸基が除かれた親水性基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(1)で表される両親媒性化合物と水を必須成分とする液晶及びそれを含有する皮膚外用剤に関する。更に詳しくは、皮膚外用剤を皮膚に適用した後に、水分や揮発性油性成分が揮散して皮膚外用剤が液晶に転移することで、液晶特有の優れた保湿効果やエモリエント効果、配合された生理活性成分の経皮浸透促進作用が発揮される皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リン脂質、脂肪酸、ステロール類、セラミドなどの生体脂質や界面活性剤は、1つの分子構造の中に親水性の部分(親水基)と親油性の部分(親油基)を併せ持った両親媒性の化合物である。このような物質は溶液中において自発的に集合し、ミセルや液晶あるいはゲルなどの規則的な構造を持った分子集合体(自己組織体)を形成する。
【0003】
近年、皮膚外用剤の分野において、前述した自己組織体の中で、特に液晶構造(ヘキサゴナル液晶、逆ヘキサゴナル液晶、ラメラ液晶、キュービック液晶など)を、乳化などに応用する研究がなされ液晶乳化などとして実用化されてきた(特許文献1)。
【0004】
更に、これらの液晶は、その構造中に親水性部分と親油性部分の両方を持ち、多量の結合水や油性成分を保持できるため、皮膚保湿作用、エモリエント効果、荒れ肌改善効果および生理活性成分の経皮浸透促進などを目的として皮膚外用剤に使用されている(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、これらの液晶構造を用いた皮膚外用剤には、依然として問題が残っている。即ち、これらの皮膚外用剤の液晶形成に用いられる両親媒性化合物は、親油基として長鎖の脂肪酸残基や高級アルコール残基あるいはステロールなどのトリテルペノイド構造を含んでいることからクラフト点が高く、低温では安定な液晶を形成できない。従って、これらの液晶形成剤を用いると皮膚外用剤の低温安定性を著しく損なう場合が多い。この問題を解決するために、オレイン酸残基やリノール酸残基などの不飽和結合を持つ親油基、ヘキサデカン酸残基やイソステアリン酸残基などの分岐構造を持つ親油基を用いる方法、あるいはポリプロピレン骨格を導入する方法により両親媒性化合物の融点を下げる試みがされており、両親媒性化合物として、オレイン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、2−デシルテトラデカン酸ジグリセリドが開示されているほか(特許文献3〜6)、イソプレノイド構造をもつ両親媒性化合物として、フィタントリオールや本発明者らが開発したクラフト点の低いイソプレノイド化合物が報告されている。(特許文献7〜9)
【0006】
オレイン酸モノグリセリドは、親油基に不飽和結合を持つため低温安定性に優れたキュービック液晶が得られると開示されている。しかしながら、親油基がシス体であるため空間占有面積が大きく、分子集合体において規則性のある幾何学形状を取り難い。そのため、液晶構造の安定性は、皮膚外用剤として要求されるには十分ではない。また、ヘキサデカン酸やイソステアリン酸などの大きな分岐構造を持った両親媒性化合物は、分子間同士の反撥により、分子集合体において規則性のある幾何学形状を取り難く液晶形成能に劣る。フィタントリオールは、それ自体が非常に硬い固体で水と混和するのに手間がかかるため取り扱いに不都合を生じる。本発明者らが開発したクラフト点の低いイソプレノイド化合物であっても取り扱い易さの点で十分満足できるものではない。また、フィタントリオールについては、親水性基と親油性基のバランスが悪いため、水を安定に保持できず、また、液晶領域が狭いため、液晶構造を有する皮膚外用剤をもつとしてもその機能は十分ではない。
【0007】
また、近年、液晶構造中に生理活性成分を内包させて、経皮浸透性を向上させる技術が開示されている。例えば、ラメラ液晶から作られるリポソーム内水相や脂質二重膜に生理活性成分を内包させた薬物送達システムが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、リポソームは内水相の体積が小さく、また水溶性又は油溶性生理活性成分を十分に内包できない。
【0008】
さらには、従来の液晶構造を有する皮膚外用剤は、液晶形成成分として多量の両親媒性化合物を含有するので皮膚塗布感触に劣り、べた付きや強い油性感を与え、使用感に問題がある。
【0009】
なお、本発明者らは、一般式(1)で表される両親媒性化合物が注射剤の基剤として有用な液晶化合物であることは見出しているが、本発明の液晶を含有する皮膚外用剤について、また、該皮膚外用剤を皮膚に適用した後に皮膚外用剤が液晶に転移することについては報告していない(特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−115162号公報
【特許文献2】特開平06−345633号公報
【特許文献3】特開2007−045762号公報
【特許文献4】特開2007−153824号公報
【特許文献5】特開2002−53429号公報
【特許文献6】特開2005−132797号公報
【特許文献7】特開平08−040823号公報
【特許文献8】国際公開第2006/043705号パンフレット
【特許文献9】特開平19−291023号公報
【特許文献10】特願2009−295658号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Tibtech,vol.16,307−321(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上の背景より、本発明は、一般式(1)で表される両親媒性化合物(以下、(A)成分とする)と水(以下、(B)成分とする)を必須成分とする液晶及びそれを含有する皮膚外用剤の提供を課題とする。詳細には、皮膚に皮膚外用剤を塗布する際には、ベタツキ感や油性感が少ない感触であり、皮膚外用剤を皮膚に適用した後に、水分や揮発性油性成分が揮散して皮膚外用剤が液晶に転移することで、液晶特有の優れた保湿効果やエモリエント効果、スキンケア効果、配合された生理活性成分の経皮浸透促進作用が発揮される皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、本課題に対し、新規な液晶製剤を見出すために鋭意研究を行った結果、(A)成分と(B)成分の混合系が、温度安定性に優れた液晶を形成すること、及びそれを含む皮膚外用剤が、従来の液晶構造をもつ皮膚外用剤特有のベタツキ感や油性感が低減され、皮膚外用剤を皮膚に適用した後に水分や揮発性の油性成分が揮散することで皮膚外用剤は液晶構造に転移し、スキンケア効果および含有する生理活性成分の経皮浸透促進作用を発揮することを見出し、本発明を完成した。更に、驚くべきことに、(A)成分と(B)成分を必須成分としてなる液晶は逆ヘキサゴナル液晶の形成領域が広く、従来のキュービック液晶に比べ、液晶領域が広いため処方展開がしやすいことを見出した。逆ヘキサゴナル液晶はその構造上、キュービック液晶よりも軟らかいため取り扱いやすく、精製が必要とされるキュービック液晶に比べてコスト面でも優れている。また、本発明の液晶を含有する液晶/水(L/W)型の形態の皮膚外用剤では、経皮吸収促進作用が特に優れ、本発明の液晶を含有する油中水型乳化物の形態の皮膚外用剤では、保湿性や閉塞性だけでなく、高内相比にすることで使用感にも優れることを見出した。
【0014】
即ち、本発明は、
〔1〕次の(A)、(B)を必須成分としてなる液晶を提供するものである。
(A)下記一般式(1)で表される両親媒性化合物


(式中、X及びYはそれぞれ水素原子を表すか又は一緒になって酸素原子を表し、nは0〜2の整数を表し、mは1又は2の整数を表し、またRは、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、キシロース、ソルビトール、アスコルビン酸、グルコース、ガラクトース、マンノース、ジペンタエリスリトール、及びマルトースからなる群から選択されるいずれか1つから1つの水酸基が除かれた親水性基を表す。)
(B)水
【0015】
なお、本発明の液晶は、フッ素油、シリコーン、エステル油、炭化水素油、高級アルコールおよびロウ類からなる群から選ばれた1種又は2種以上の油分を含むことが好ましい。また、本発明の液晶には、生理活性成分を含むことが好ましく、本発明の液晶は、キュービック液晶、逆ヘキサゴナル液晶からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、
〔2〕前記液晶を含有する次の皮膚外用剤を提供するものである。
【0017】
なお、本発明の皮膚外用剤において、前記液晶が、水相に分散してなる液晶/水(L/W)型の形態であることを特徴とする皮膚外用剤であるか、前記液晶を含有する好ましくは揮発性油分を含有する油相に、水相が分散してなる油中水型乳化物の形態であることを特徴とする皮膚外用剤であることが好ましく、さらには、この水相の比率が乳化物中において、80質量%以上の高内相比油中水型乳化物の形態であることが好ましい。本発明の皮膚外用剤を皮膚に塗布した後に、水溶性及び/又は揮発性成分が揮発することによって、皮膚上において皮膚外用剤が液晶に転移することを特徴とする皮膚外用剤であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る(A)成分はクラフト点及び融点が低く常温で液状あるいはペーストであるため取り扱いやすく、(A)成分と(B)成分とを必須成分とする液晶は、それ故に温度安定性に優れる。本発明の液晶は、キュービック液晶よりも軟らかいため取り扱いやすい逆ヘキサゴナル液晶の形成領域が広いため、皮膚外用剤などへの幅広い処方展開が可能である。また、逆ヘキサゴナル液晶は、精製が必要とされるキュービック液晶に比べてコスト面でも優れている。
【0019】
本発明の液晶を含有する皮膚外用剤は、皮膚に塗布する際には、従来の液晶構造をもつ皮膚外用剤特有のベタツキ感や油性感が低減され感触が良好であり、皮膚外用剤を皮膚に適用した後に水分や揮発性の油性成分が揮散することで皮膚外用剤は液晶構造に転移し、液晶特有の優れた保湿効果やエモリエント効果、スキンケア効果が発揮される。また、配合された生理活性成分の経皮浸透促進作用を発揮する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般式(1)で表される両親媒性化合物(以下、(A)成分とする)は、親油基をイソプレノイド鎖とする多価アルコールとのエステルであり、クラフト点及び融点が低く、皮膚外用剤の実用範囲で液状あるいはペーストである。従って、(A)成分と水(以下、(B)成分とする)とを必須成分とする本発明の液晶は低温安定性に優れる。また、ヘキサデカン酸やイソステアリン酸など大きな分岐構造の親油基と異なり、分子集合体における分子間反撥が小さく規則性のある幾何学構造の取り易いので、低濃度で液晶を形成する。そのため、より水相比率の高い乳化物の調製が可能となり、従来の液晶構造を持つ皮膚外用剤に見られたベタツキ感や油性感などの不快な感触が軽減される。
【0021】
イソプレノイド鎖を持つ両親媒性化合物を皮膚外用剤に使用した技術は、特開平19−291023号公報に開示されている。この開示された両親媒性化合物は、親油基であるイソプレノイド鎖が飽和構造であるが、本発明に係る(A)成分は2重結合を1つ含む。この2重結合により本発明品は、特開平19−291023号公報に開示した両親媒性化合物よりもクラフト点が低く、液晶の低温安定性がより改善される。また、本発明品に係る一般式(1)で表される両親媒性化合物は融点が低く、室温で液状あるいはペーストであるので、皮膚外用剤を調製する際に水及び/又は油性基剤と混和し易く作業性に優れる。なお、特開平19−291023号公報に開示した両親媒性化合物の製造には、フィタン酸あるいは5,9,13,17−テトラメチルオクタデカン酸などの高価な原料が必要であるが、一方、本発明品に係る(A)成分は、特願2009−295658号公報に記載しているように、工業的に広く流通しているイソフィトールから安価かつ容易に製造できる。
【0022】
本発明に係る(A)成分の上記式中のX及びYは、それぞれ水素原子を表すか又は一緒になって酸素原子を表すが、製造のしやすさやキュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶の液晶形成能を考慮すると、X及びYはそれぞれ一緒になって酸素原子を表すものであることが好ましい。
【0023】
(A)成分の上記式中のnは0〜2の整数を表し、mは1又は2の整数を表すが、製造のしやすさやキュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶の液晶形成能を考慮すると、好ましくは、nは1〜2の整数、mは1又は2の整数、更に好ましくは、nは2の整数、mは2の整数である。
【0024】
(A)成分の上記式中のRは、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ソルビトール、キシロース、アスコルビン酸、グルコース、ガラクトース、マンノース、ジペンタエリスリトール、及びマルトースからなる群から選択されるいずれか1つから1つの水酸基が除かれた親水性基を表すが、キュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶の液晶形成能を考慮すると、ジグリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリグリセロール、ソルビトールからなる群から選択されるいずれか1つから1つの水酸基が除かれた親水性基が好ましく、更に好ましくは、ジグリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトールからなる群から選択されるいずれか1つから1つの水酸基が除かれた親水性基である。
【0025】
好適な(A)成分を具体的に示すと、
〔1〕モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4−エノイル)グリセロール(以下、MGPAとする)
〔2〕モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4−エノイル)エリスリトール(以下、ETPAとする)
〔3〕モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4−エノイル)ペンタエリスリトール(以下、PETPAとする)
〔4〕モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4−エノイル)ジグリセロール(以下、DGPAとする)
〔5〕モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4−エノイル)トリグリセロール(以下、TGPAとする)
〔6〕モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4−エノイル)ソルビトール(以下、STPAとする)
である。これらの(A)成分と(B)成分を利用すれば、簡便に温度安定性に優れたキュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶を得ることができる。得られた液晶には、油分や生理活性成分を含有させても安定に保たれるほか、得られた液晶を水相に分散させることで水相に分散してなる液晶/水(L/W)型の形態の皮膚外用剤を製造することができる。
【0026】
(A)成分は、(B)成分の共存下において液晶を形成するが、形成した液晶はキュービック液晶、逆ヘキサゴナル液晶あるいはラメラ液晶の単独あるいはそれらの混合物であり、いずれの場合も疎水性を示すことを特徴とする。(A)成分に対する(B)成分の比率により、キュービック液晶、逆ヘキサゴナル液晶あるいはラメラ液晶あるいはそれらの混合物からなる相、あるいはそれらが(B)に分散した相、あるいは逆ミセル相のいずれかが出現する。これらのうち、生理活性成分の内包性、皮膚との親和性、経皮吸収性、保湿性などを考慮すると、キュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶からなる液晶であることが望ましい。
【0027】
本発明の液晶は、偏光顕微鏡やX線で液晶の存在と液晶構造を確認することができる。例えば、偏光顕微鏡ではペネトレイション法により、キュービック液晶I型かII型を簡便に判別できる。また、X線小角散乱(SAXS)法により散乱ピークの比から、Pn3m型キュービック液晶、Ia3d型キュービック液晶、Im3m型キュービック液晶、逆ヘキサゴナル型液晶を簡便に判別でき、さらにその逆数の比を求めれば容易に空間群と格子定数を決めることができる。
【0028】
本発明に係る(B)成分は、特に限定するものではないが、滅菌水、精製水、蒸留水、イオン交換水、超純水などの他、生理食塩水、塩化ナトリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、硫酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液などの電解質水溶液、リン酸緩衝溶液やクエン酸緩衝溶液、トリス塩酸緩衝溶液などの緩衝溶液、グリセリン、エチレングリコール、エタノールなどの水溶性有機物を含有する水溶液、グルコース、スクロース、マルトースなどの糖分子を含む水溶液、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を含む水溶液、オクチルグルコシド、ドデシルマルトシド、プルロニック(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコール共重合体)などの界面活性剤を含む水溶液などが挙げられる。
【0029】
本発明の液晶において、(A)成分と(B)成分の比率は、(A)成分の種類により多少異なるものであるが、(A)成分の比率が高すぎると逆ミセルになり、少なすぎると液晶が(B)成分に分散している状態になることから、(A)成分と(B)成分の比率(質量比)が、(A)成分(B)成分=60/40〜90/10が好ましく、より好ましくは、70/30〜85/15である。
【0030】
本発明の液晶は、油分を含むことができる。油分は特に限定されるものではなく一般に化粧品に使用される油性原料なら好適に使用できるが、本発明に係る(A)成分と油はお互いに相溶することが液晶形成の面から好ましい。具体的には、スクワラン、流動パラフィンなどの炭化水素類、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油などの植物油、牛脂などの動物油、トリイソオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸イソオクチルなどのエステル類、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、シクロメチコンなどのシリコーン類、パーフルオロポリエーテルやパーフルオロアルキルなどのフッ素油などが挙げられる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。よりよい感触の皮膚外用剤を得ることを考慮すると、パーフルオロポリエーテルフッ素油などが好適である。
【0031】
液晶中に含まれる油分は、(A)成分の種類により多少異なるものであるが、油分の配合量が多すぎると逆ミセルが形成されることから、(A)成分と油分の比率(質量比)が、(A)成分/油分=100/0.01〜85/15が好ましく、より好ましくは、100/0.01〜90/10である。
【0032】
本発明の液晶には、生理活性成分を配合することができる。本発明の液晶は、その構造中に油性及び/又は水性の生理活性成分を保持・安定化することができ、それらの経皮浸透性を促進する。生理活性成分は、通常の皮膚外用剤に使用される油性薬剤およびまたは水性薬剤が好適に使用できる。前述した通り、生理活性成分の内包性の観点から、液晶はキュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶からなる液晶であることが望ましい。また、皮膚との親和性や経皮浸透性の観点からもこれらの液晶が好ましい。これは、キュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶は疎水性を示すので、これらの液晶は皮膚との親和性が高く、更に、皮膚の低部にはキュービック構造の液晶構造が存在し、分化に伴いキュービック構造の液晶構造が層状の液晶構造であるラメラ液晶構造に変化することが知られていることからも明らかであるが、キュービック液晶及び/又は逆ヘキサゴナル液晶は層状の液晶構造であるラメラ液晶構造に取り込まれやすいので、皮膚との親和性や経皮浸透性の観点からもこれらの液晶が好ましい。
【0033】
具体的に油性の生理活性成分としては、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、3−O−セチルアスコルビン酸、ルシノールなどの美白剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミドなどの肌荒れ防止剤、レチノール、ビタミンA酸、アルキルグリセリルエーテル、ε−アミノカプロン酸誘導体などの抗老化剤や抗炎症剤、各種ビタミン類やその誘導体、各種植物エキスなど。
【0034】
また、具体的に水性の生理活性成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、トラネキサム酸などの美白剤、アミノ酸などのNMF成分、グリチルリチン酸の塩、ビタミンB6類、水溶性コラーゲン、エラスチン、亜鉛グリシン錯体、ニコチン酸アミド、ε−アミノカプロン酸などの抗老化剤や抗炎症剤、各種ビタミン類やその誘導体、各種植物エキスなど。
【0035】
本発明の液晶には、液晶の形成を損なわない範囲において、一般に化粧品に使用される界面活性剤、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸、油性原料、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、色素、香料などを配合することができる。
【0036】
本発明の液晶の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、予め、油分や油性の生理活性成分などを含む油性成分と(A)成分からなる油相と、水性の生理活性成分などと(B)成分からなる水相を各々予め常温もしくは80℃に加温して均一に混合しておき、油相を攪拌しながら少量ずつ水相に添加して、ボルテックスミキサー等を用いて混合することで液晶を調製することができる。
【0037】
以下に、本発明の液晶を含有する皮膚外用剤について詳述する。
【0038】
本発明にかかる皮膚外用剤の使用用途は特に限定されるものではないが、例えば、ローション、乳液、クリーム、ファンデーション、口紅、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、シャンプー、ヘアリンス、リップクリーム、ヘアスプレー、ムース、日焼け止めまたは日焼け用クリーム、アイライナー、マスカラ、毛髪または爪の手入れ、マッサージクリーム、ボディーメーキャップ製剤等、または、軟膏などの皮膚治療薬などの種々の製品に応用することが可能である。
【0039】
本発明の皮膚外用剤の一つの形態として、本発明の液晶が、水相に分散してなる液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤を挙げることができる。
【0040】
本発明の液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤に係る水は、上述した(B)成分に記載したものであってもかまわない。
【0041】
水相に分散してなる液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤における水には、本発明の液晶の形成を損なわない範囲において、一般に化粧品に使用される界面活性剤、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、色素、香料などの水性成分を配合することができる。
【0042】
本発明の液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤は、液晶を安定に水に分散させるために、分散剤を利用することが好ましい。分散剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、高分子増粘剤等が挙げられるが、液晶の形成に悪影響を与えにくい、非イオン性界面活性剤又は高分子増粘剤が好ましい。例えば、LUTROL F127(BASF社製)などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体や、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(Pemulen TR−1,−2:ルーブリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社製)、疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロース(サンジェロース90L:大同化学工業社製)などが好適である。
【0043】
液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤において、液晶と水の比率は、利用する液晶により多少異なるものであるが、液晶が多すぎると皮膚外用剤としては皮膚に塗布しにくいことから、液晶と水の比率(質量比)が、液晶/水=1/99〜40/60が好ましく、より好ましくは、5/95〜25/75である。
【0044】
本発明の液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤を調製する際には、パドルミキサー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザーなどの攪拌装置が使用できる。調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、水性成分と水からなる水相を予め常温もしくは50℃に加温して均一に混合しておき、液晶に少量ずつ水相を攪拌しながら添加し、更に高圧ホモジナイザー等で処理することで液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤を調製することができる。
【0045】
本発明の液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤において、皮膚外用剤中で液晶が保持されているかどうか、また、皮膚上において液晶が保持されているかどうかは、上述の方法にて判別することができる。
【0046】
本発明の液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤は、従来の液晶構造をもつ皮膚外用剤特有のベタツキ感や強い油性感が少ない好ましい感触を呈する。液晶/水(L/W)型の形態である皮膚外用剤を塗付した後に、水分が蒸散することにより皮膚上に液晶性の皮膜が形成されるので、保湿作用やエモリエント効果などのスキンケア効果を発揮する。更に、液晶中に内包した油性及び/又は水性の生理活性成分を効率よく経皮吸収させることができる。
【0047】
本発明の皮膚外用剤の更に別の形態として、本発明の液晶を含有する油相に、水相が分散してなる油中水型乳化物の形態であるである皮膚外用剤を挙げることができる。
【0048】
本発明の油中水型乳化物における、液晶を含有する油相を構成する液晶以外の油分については、上述した油分に記載したものであってかまわないが、皮膚に適用した後に、皮膚上において皮膚外用剤が液晶に転移する皮膚外用剤を製造する場合は、油分として、揮発性油分を利用することがより好ましい。揮発性油分は特に限定されるものではなく一般に化粧品に使用される揮発性油性原料なら好適に使用できるが、本発明に係るの(A)成分と油はお互いに相溶することが液晶形成の面から好ましい。具体的には、C8〜C16イソアルカン、イソドデカン、イソデカンなどのなどの軽質イソパラフィン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン、オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、低粘度メチルポリシロキサンなどの鎖状シリコーンなどの揮発性シリコーン、ノナフルオロエトキシブタン、ノナフルオロメエトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサンおよびドデカフルオロペンタン、分子量が1000以下のパーフルオロポリエーテルなどの揮発性フッ素油を例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。よりよい感触の皮膚外用剤を得ることを考慮すると、例えば、ソルベイソレクイス社のFomblin HC/01やGALDENシリーズなどの揮発性のパーフルオロポリエーテルなどが好適である。
【0049】
また、本発明の油中水型乳化物における水相を構成する成分としては、上述した(B)成分を含む水及び水溶性成分を指し、水溶性成分としては、本発明の液晶の形成を損なわない範囲において、通常化粧品に使用される水溶性成分であれば使用することができる。具体的には、エタノール等の低級アルコール類および、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等のポリオール類、寒天、カラギーナン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒアルロン酸等の水溶性高分子類などが挙げられる。
【0050】
さらに、本発明の油中水型乳化物の形態である皮膚外用剤には、前記本発明の効果を損なわない範囲において、一般に化粧品に使用される界面活性剤、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸、油性原料、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、色素、香料などを併用することができる。
【0051】
本発明の油中水型乳化物の形態である皮膚外用剤の調製時に利用する、液晶を含有する油相における、液晶と液晶以外の油分の比率は、利用する液晶により多少異なるものであるが、皮膚外用剤の安定性を考慮すると、液晶と液晶以外の油分の比率(質量比)が、液晶/液晶以外の油分=3/97〜50/50が好ましく、より好ましくは、5/95〜30/70であり、更に好ましくは、10/90〜20/80である。また、液晶を含有する油相と水相との比率(質量比)が、油相/水相=3/97〜50/50が好ましく、より好ましくは、5/95〜30/70であり、更に好ましくは、10/90〜20/80の高内相比油中水型乳化物である。これは、使用感の点から油中水型乳化物の油性感を低減させるためには乳化物中の水相の配合比率を上げることが好ましく、内相比率が80%以上となると乳化物の皮膚への塗布感触は飛躍的に向上する。しかしながら、油中水型乳化物で内相比率を上げることは、乳化物の安定性を著しく悪化させるため、実現させることは大変難しい。本発明品を用いることで、その液晶形成能により、より安定な高内相比油中水型乳化物を得ることができる。
【0052】
本発明の油中水型乳化物の形態である皮膚外用剤を調製する際には、パドルミキサー、ディスパーミキサー、ホモミキサー等の通常の乳化装置が使用できる。調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、予め、液晶に液晶以外の油分を添加して油相(油ゲル)を調製しておき、この油相に水相に添加して、室温にてホモミキサー等で攪拌することで油中水型乳化物の形態である皮膚外用剤を調製することができる。
【0053】
本発明の油中水型乳化物の形態である皮膚外用剤を皮膚に適用した後に、皮膚上において皮膚外用剤が液晶に転移したかどうかは、上述の方法にて判別することができる。
【0054】
本発明の油中水型乳化物の形態である皮膚外用剤は、一般の油中水型製剤特有のベタツキ感や強い油性感が少ない好ましい感触を呈する。本発明の油中水型乳化物の形態である皮膚外用剤を塗付した後に、水分及び揮発性油分が揮散することにより皮膚上に液晶性の皮膜が形成されるので、保湿作用やエモリエント効果などのスキンケア効果を発揮する。更に、液晶中に内包した油性及び/又は水性の生理活性成分を効率よく経皮吸収させることができる。
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は「質量%」を意味する。
【実施例1】
【0056】
本発明の両親媒性脂質と水からなる液晶の調製
(1)液晶の調製
下記表1に示す(A)成分と(B)成分である水からなる液晶を調製した。すなわち、規定量の(A)および(B)成分の規定量をガラス製アンプルビンに採取し、恒温水槽で75〜80℃に加温しながら融解した。融解後、さらにボルテックスミキサーを用いて均一混合した。それらを、25℃の恒温水槽に24時間放置することで平衡状態とし、液晶構造を確認するための試料とした。
(2)液晶構造の確認
液晶構造の確認は、小角X線回折法(SAXS)により行った。ソーダキャピラリに封入した試料を、Anton Paar製SAXSess小角X線散乱装置にセットし、25℃で10分間露光を行うことで散乱曲線を得た。散乱曲線上の各ピークについて、散乱ベクトル長(q/nm−1)の比を測定し、それぞれの液晶構造を同定した。次に、各ピークの散乱ベクトル長(q/nm−1)の比と液晶構造の関係を示した。
(a)Pn3m構造のキュービック液晶(Q2)
各ピークの散乱ベクトル長(q/nm−1)の比=1:√2:√3:√4
(b)逆ヘキサゴナル液晶(H2)
各ピークの散乱ベクトル長(q/nm−1)の比=1:√3:√4
その結果、表1示す通り、表1に示す(A)成分と(B)成分である水からなる混合物はいずれも、キュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶を形成した。

【表1】

【実施例2】
【0057】
本発明の両親媒性脂質と水および油分からなる液晶の調製及び保湿効果の確認
(1)液晶の調製
実施例1で用いた(A)成分と(B)成分の水、及び油分からなる液晶を調製した。調製方法は、実施例1に準じた。なお、実施例の(A)成分に替えて比較例を用いて調製した液晶を対照試料とした。
(2)液晶構造の確認
液晶構造の確認は、実施例1に準じ行った。
その結果、表2示す通り、表1に示す実施例1で用いた(A)成分と(B)成分の水、及び油分からなる混合物はいずれも、キュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶を形成した。
(3)保湿効果
保湿効果は、実施例1で用いた(A)成分と(B)成分の水、及び油分としてジメチルポリシロキサン(1mm/s)からなる液晶0.1gを塗布したメンブランフィルター(細孔径25nm、Millipore社)塗布し、32℃、相対湿度50%で8時間放置した後の水分蒸散率を測定して、閉塞性を測定することで評価した。比較例として、モノイソステアリン酸ジグリセリルとジメチルポリシロキサン(1mm/s)と水からなる逆ミセル、ジメチルポリシロキサン(1mm/s)調製して対照試料とした。
その結果、表3示す通り、表1に示す実施例1で用いた(A)成分と(B)成分の水、及び油分からなる液晶は、対照試料である逆ミセルなどと比較して閉塞性に優れることが示された。従って、本発明の(A)成分を用いた液晶は保湿効果及びエモリエント効果に優れることが明らかとなった。

【表2】

【表3】

【実施例3】
【0058】
生理活性成分を含む液晶の調製
(1)液晶の調製
実施例1の(A)成分、(B)成分の水及び生理活性成分からなる液晶、実施例1の(A)成分、(B)成分の水、油分及び生理活性成分を加えた液晶を調製した。水溶性の生理活性成分については、(B)成分の水との混合物として配合し、実施例1に準じて調製した。なお、実施例の(A)成分に替えて比較例を用いて調製した液晶を対照試料とした。
(2)液晶構造の確認
液晶構造の確認は、実施例1に準じ行った。
その結果、表4〜6示す通り、表1に示す実施例1で用いた(A)成分と(B)成分の水、油分及び生理活性成分からなる混合物はいずれも、比較例の(A)成分を用いたときよりも安定なキュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶を形成した。

【表4】


【表5】


【表6】

【実施例4】
【0059】
液晶/水(L/W)型の製剤の調製
(1)製剤の調製
表6の(I)相に示す各成分の規定量を温度調節器の付いたステンレス製2.0リッター撹拌機に採取し、75〜85℃で30分間撹拌(100rpm)した。さらに撹拌しながら25℃まで冷却することでゲル状の混合物を得た。別に、表6の(II)相の各成分の規定量を1.0リッターガラスビーカーに採取し、ガラス棒を用いて、25℃で手撹拌することで均一な水溶液を調製した。そこに、既に調製したゲル状混合物の規定量を添加し、ホモミキサーを用いて、50〜60℃で10分間撹拌を行い(5000rpm)、予備分散液とした。さらに、この予備分散液を、高圧ホモジナイザーを用い、700気圧で3回分散処理を行うことで、乳白色エマルション様の液晶/水(L/W)型製剤を得た。得られた液晶/水(L/W)型製剤は、パドル攪拌をしながら25℃まで放冷し、液晶構造の確認に供した。
(2)液晶構造の確認
液晶構造の確認は、実施例1に準じ行った。
その結果、表7示す通り、(A)成分と(B)成分の水からなるゲル状混合物である(I)相(液晶)を、(II)相である水相に分散させることで、液晶/水(L/W)型の形態であり、かつ液晶がキュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶である皮膚外用剤が調製できた。

【表7】

【実施例5】
【0060】
油中水型乳化物の調製
(1)油中水型乳化物の調製
表7の(I)相に示す各成分の規定量を、100mLガラスビーカーに採取し、ガラス棒を用いて75〜85℃で手撹拌することで混合し、さらに撹拌しながら25℃に放冷することでゲル状組成物を得た。これとは別に、表7の(II)相の各成分の規定量を温度調節器の付いたステンレス製2.0Lディスパーミキサーに採取し、そこに、既に調製したゲル状組成物の規定量を添加し、25℃で30分間撹拌(300rpm)することでゲル状生成物の油中分散液を得た。後、その油中分散液中に、25℃で撹拌(5000rpm)しながら、表6の(III)相を15分間で添加し、さらに同条件で15分間撹拌混合することで油中水型乳化物を調製した。
(2)液晶の回復状態の確認
本発明の油中水型乳化物または比較例の油中水型乳化物のそれぞれ一定量(50mg/cm)をポリウレタン製人工皮革に塗布し、32℃(相対湿度50%)の恒温槽中に8時間放置することで、油中水型乳化物に含まれる水分と油分を蒸散させた。後、人工皮革上の油中水型乳化物の残分を採取し、実施例1の方法で液晶構造の有無を確認した。
その結果、表8示す通り、(A)成分と(B)成分の水からなるゲル状混合物である(I)相(液晶)と(II)相からなる油中分散液に、(III)相である水相を添加して得た油中水型乳化物は、人工皮革上に塗布して油中水型乳化物に含まれる水分と油分が蒸散すると、油中水型乳化物がキュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶に転移することを確認した。

【表8】

【実施例6】
【0061】
液晶/水(L/W)型製剤の経皮吸収試験
表8に示した本発明の液晶/水(L/W)型製剤または比較品の各々40.0mgを塗布した3次元培養皮膚モデル(3D培養皮膚モデルLSE−High 003、東洋紡)を縦型フランツセルにセットし、32℃の恒温条件で24時間経皮吸収試験を行った。薬剤には、油性成分としてテトラ2−ヘキシルデカン酸L−アスコルビル、水溶性の成分としてL−アスコルビン酸リン酸エステルMgを用い、24時間後のそれぞれの薬剤の3次元培養皮膚モデル中への蓄積量(μg/3D培養皮膚モデル1枚)を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量することで薬剤の経皮吸収性の評価とした。
その結果、表9示す通り、本発明の液晶/水(L/W)型の形態の製剤は、比較品の製剤とよりも油溶性薬剤及び水溶性薬剤の経皮吸収性すなわち、経皮浸透促進作用に優れることを確認した。

【表9】

【実施例7】
【0062】
油中水型乳化物の閉塞性試験
10.0gの水を開口部が3.8cm2のガラス容器に採取した。その開口部に、予め表9に示した本発明の油中水型乳化物または比較品の各々0.1gを塗布したミルポア製メンブランフィルター(細孔サイズ25nm)をセットし、32℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に8時間放置した後のガラス容器中の水分蒸散量を測定した。水分蒸散量から下記式で水分蒸散率を算出し、試料の閉塞性の評価とした。結果を、表9に示した。
水分蒸散率(%)=(W1−W2)/W1×100
W1:試験前のガラス容器中の水量(g) W2:試験後のガラス容器中の水量(g)
その結果、表10示す通り、本発明の液晶/水(L/W)型の形態の製剤は、比較品の製剤とよりも閉塞性に優れることを確認した。

【表10】

【実施例8】
【0063】
ローション1
(I)相
MGPA 3.0(%)
水 2.5
亜鉛グリシン錯体 0.2
天然ビタミンE 0.05
クエン酸 0.06
クエン酸ナトリウム 0.2
(II)相
Poloxamer 407 1.0
グリセリン 2.0
ジプロピレングリコール 3.0
エタノール 3.0
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
実施例4に記載の方法で調製した。
【実施例9】
【0064】
ローション2
(I)相
MGPA 0.7(%)
ETPA 1.0
TGPA 0.3
水 0.5
アスコルビン酸 0.5
フィトステロール 0.05
マカデミアナッツ油 0.1
パーフルオロポリエーエル(ガルデンHT110)
0.2
C8〜C16イソアルカン 0.2
(II)相
疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロース
0.3
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
実施例4に記載の方法で調製した。
【実施例10】
【0065】
乳液1
(I)相
PETPA 9.0(%)
水 1.0
シソの水/エタノール抽出物 0.2
ツボクサのエタノール抽出物 0.2
リソホスファチジン酸 0.1
2−エチルヘキサン酸セチル 0.4
テトラデカフルオロヘキサン 1.0
ジメチコン(1mm/s) 1.0
(II)相
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
0.2
プロピレングリコール 7.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
実施例4に記載の方法で調製した。
【実施例11】
【0066】
乳液2
(I)相
PETPA 15.0(%)
DGPA 10.0
STPA 5.0
水 4.0
グリチルリチン酸カリウム 0.2
シラカバの水/エタノール抽出物 0.2
スクワラン 0.2
ミリスチン酸イソセチル 0.2
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
0.2
(II)相
疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロース
0.1
キサンタンガム 0.1
グリセリン 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
エタノール 5.0
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
実施例4に記載の方法で調製した。
【実施例12】
【0067】
乳液3
(I)相
DGPA 15.0(%)
水 5.0
エルゴチオネイン水溶液 0.1
L−ヒドロキシプロリン 0.2
カモミラのエタノール抽出物 0.1
スクワラン 0.1
ドデカフルオロペンタン 0.5
テトラデカメチルヘキサシロキサン 1.0
(II)相
Poloxamer 407 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.02
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
EDTA−2Na 0.2
エチルアルコール 5.0
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
実施例4に記載の方法で調製した。
【実施例13】
【0068】
ローション3
(I)相
DGPA 15.0(%)
水 4.0
L−アスコルビン酸リン酸エステルMg 1.0
グルタミン酸Na 0.1
テトラ2−ヘキシルデカン酸L−アスコルビル
2.0
セラミド2 0.01
ベヘニルアルコール 0.1
ステアリン酸 0.1
イソドデカン 1.0
オリーブスクワラン 0.2
エチルヘキサン酸セチル 1.0
パーフルオロポリエーテル(Fomblin HC/01)
1.0
(II)相
Poloxamer 407 1.0
ソルビトール多糖発酵水溶液 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
EDTA−2Na 0.2
エチルアルコール 5.0
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
実施例4に記載の方法で調製した。
(結果)
実施例8〜13の液晶/水(L/W)型の形態のローション又は乳液は、実施例4の液晶の確認方法を用いて測定したところキュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶を形成していることが確認され、実施例6の試験を行うことによって油溶性薬剤及び水溶性薬剤の経皮吸収性すなわち、経皮浸透促進作用に優れることを確認した。また、実施例3の閉塞性試験より、実施例8〜13の液晶/水(L/W)型の形態のローション又は乳液は、実施例3に記載の液晶と同程度の保湿効果が確認された。
【実施例14】
【0069】
乳液4
(I)相
PETPA 1.0(%)
DGTA 0.5
d−δ−トコフェロール 0.1
油溶性トマトエキス(リコピン1%含有)0.01
塩酸グルコサミン、海藻エキス、酵母エキス
および尿素の混合物 0.3
(II)相
Poloxamer 407 2.0
プロピレングリコール 1.0
防腐剤 適量
精製水 4.0
(III)相
スクワラン 5.0
2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
ジメチルポリシロキサン 0.5
パルミチン酸セチル 0.5
ベヘニルアルコール 1.5
ステアリン酸 0.5
キミルアルコール 0.1
親油型モノステアリン酸グリセリル
1.0
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン
1.0
テトラオレイン酸POE(40)ソルビタン
1.5
プロピレングリコール 7.0
キサンタンガム 0.1
クインスシード 0.1
L−アルギニン 1.0
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
予め調製した(III)相の乳液に、(I)相及び(II)相を用いて実施例4に記載の方法で調製した液晶/水(L/W)型の形態の組成物を添加する。
【実施例15】
【0070】
モイストクリーム
(I)相
PEPA 0.5(%)
STPA 0.4
水 0.1
グリセロールホスホイノシトールNa 0.05
(II)相
疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロース
0.01
グリセリン 1.0
防腐剤 適量
精製水 4.0
(III)相
モノラウリン酸デカグリセリル 2.0
水素添加大豆レシチン 0.7
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
5.0
スクワラン 4.0
トリエチルヘキサノイン 3.0
セチルアルコール 6.0
シクロペンタシロキサン 4.0
ジメチコン(6mm/s) 2.0
カーボポール980(2%水溶液) 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
EDTA−2Na 0.05
防腐剤 適量
精製水 残部
アルギニン 0.2
(調製方法)
予め調製した(III)相のクリームに、(I)相及び(II)相を用いて実施例4に記載の方法で調製した液晶/水(L/W)型の形態の組成物を添加する。
【実施例16】
【0071】
モイスチャー美白クリーム
(I)相
ETPA 3.0(%)
DGPA 3.0
水 2.0
L−アスコルビン酸リン酸エステルMg 0.5
(II)相
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
0.02
エタノール 3.0
防腐剤 適量
精製水 7.0
(III)相
フィトステロール 1.0
モノミリスチン酸ヘキサグリセリル 2.0
水素添加大豆レシチン 0.5
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
3.0
スクワラン 3.0
トリエチルヘキサノイン 1.0
エチルヘキサン酸セチル 1.0
セチルアルコール 3.0
ベヘニルアルコール 3.5
マイクロクリスタリンワックス 0.3
シクロペンタシロキサン 3.0
ジメチコン(6mm/s) 1.0
カーボポール980(2%水溶液) 12.0
キサンタンガム(2%水溶液) 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 1.0
PEG−30 0.3
EDTA−2Na 0.05
アルギニン 0.2
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
予め調製した(III)相のクリームに、(I)相及び(II)相を用いて実施例4に記載の方法で調製した液晶/水(L/W)型の形態の組成物を添加する。
(結果)
実施例14〜16の液晶を配合した乳液やクリームは、実施例4の液晶の確認方法を用いて測定したところキュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶を形成していることが確認され、また実施例6の試験を行うことによって油溶性薬剤及び水溶性薬剤の経皮吸収性すなわち、経皮浸透促進作用に優れることを確認した。
更に、ボランティア男女12名を用いて官能評価を行った。評価方法は、本発明の実施例14〜16の液晶を配合した乳液やクリーム又は比較例の乳液やクリームを適量とり、塗布したときの感触を5段階で評価した。比較例として、実施例14〜16それぞれについて、(I)相及び(II)相を用いて調製した液晶を配合しない(III)相のみの乳液やクリームを対照試料とした。
5:非常に好ましい、4:好ましい、3:どちらともいえない、2:好ましくない、1:非常に好ましくない
その結果、本発明の実施例は比較例に比べ、しっとり感やエモリエント感に優れることが確認された。
【表11】

【実施例17】
【0072】
スキンローション(油中水型タイプ)
(I)相
DGPA 10.0(%)
水 3.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
グルカンオリゴサッカリド 0.2
トウモロコシエキスの水抽出物 0.15
(II)相
ジステアルジモニウムヘクトライト 0.5
テトラデカメチルヘキサシロキサン 10.0
パーフルオロポリエーテル(Fomblin HC/01)
20.0
防腐剤 適量
(III)相
1,3−ブチレングリコール 10.0
クエン酸ナトリウム 0.15
EDTA−3Na 0.02
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
【実施例18】
【0073】
クリーム(油中水型エモリエントタイプ)
(I)相
PETPA 20.0(%)
水 8.0
L−アスコルビン酸リン酸エステルMg 2.0
(II)相
ジメチコンコポリオール 0.2
デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0
C8〜C16イソアルカン 5.0
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
0.3
ミツロウ 2.0
防腐剤 適量
(III)相
グリセリン 4.5
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
【実施例19】
【0074】
保湿クリーム(油中水型タイプ)
(I)相
TGPA 5.0(%)
MGPA 1.0
水 2.0
ε−アミノカプロン酸 0.1
(II)相
α−トコフェロール 0.1
オリーブスクワラン 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
パーフルオロポリエーテル(ガルデンHT90)
10.0
防腐剤 適量
(III)相
アルギン酸ナトリウム 0.1
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
硫酸マグネシウム 0.1
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
【実施例20】
【0075】
サンスクリーンローション(油中水型タイプ)
(I)相
TGPA 5.0(%)
STPA 5.0
水 1.0
エルゴチオネイン 0.1
ヒドロキシプロリン 0.3
(II)相
ジステアルジモニウムヘクトライト 8.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 9.0
C8〜C16イソアルカン 15.0
メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 1.0
サリチル酸2−エチルヘキシル 0.25
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 0.25
(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー
1.5
オクチルドデカノール 0.5
ホホバ油 0.5
酢酸dl−α−トコフェロール 0.1
BHT 0.02
微粒子酸化亜鉛(ステアリン酸アルミニウム処理品)
8.0
微粒子酸化チタン(ステアリンア酸ミニウム処理品)
7.0
シリカ 3.0
防腐剤 適量
(III)相
アルギン酸ナトリウム 0.1
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
硫酸マグネシウム 0.1
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
【実施例21】
【0076】
サンスクリーンクリーム
(I)相
MGPA 10.0(%)
PETPA 10.0
水 2.0
クワ樹皮の水抽出液 0.5
(II)相
テトラ2−ヘキシルデカン酸L−アスコルビル
2.0
流動パラフィン 0.2
デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
パーフルオロポリエーテル(ガルデンHT90)
4.0
セチルアルコール 0.5
酸化チタン 3.0
防腐剤 適量
(III)相
セチル硫酸Na 0.1
ステアロイルメチルタウリンNa 0.1
1,3−ブチレングリコール 5.0
キサンタンガム 0.3
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
【実施例22】
【0077】
W/O乳化ファンデーション
(I)相
ETPA 10.0(%)
水 2.0
アルブチン 0.5
(II)相
セリサイト 5.4
カオリン 4.0
二酸化チタン 9.3
ベンガラ 0.4
黄酸化鉄 0.8
黒酸化鉄 0.2
流動パラフィン 5.0
パーフルオロポリエーテル(Fomblin HC/01)
12.0
PEG−10ジメチコン 4.0
(III)相
1,3−ブチレングリコール 5.0
Poloxamer 407 0.1
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
(結果)
実施例17〜22の油中水型のローション、クリーム、サンスクリーン、ファンデーション又は液晶を配合した乳液やクリームは、実施例5の液晶の回復状態試験にて、キュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶に転移することを確認した。また実施例7の試験を行うことによって閉塞性に優れることを確認した。
【実施例23】
【0078】
外用剤(軟膏製剤)
ETPA 40.0(%)
TGPA 20.0
インドメタシン 1.0
水 8.0
モノステアリン酸グリセリル 5.0
流動パラフィン 10.0
白色ワセリン 3.0
セタノール 3.0
(調製方法)
実施例2に記載の方法で調製した。
【実施例24】
【0079】
外用剤(乳剤)
(I)相
PETPA 15.0(%)
サリチル酸メチル 1.0
水 4.0
白色ワセリン 1.0
マイクロクリスタリンワックス 3.0
フィトステロール 0.2
ラノリン 2.0
パーフルオロポリエーテル(Fomblin HC/01)
3.0
(II)相
Poloxamer 407 1.0
グリセリン 5.0
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
【実施例25】
【0080】
保湿クリーム(高内相比油中水型タイプ)
(I)相
TGPA 3.0(%)
MGPA 0.8
水 2.0
ε−アミノカプロン酸 0.1
(II)相
α−トコフェロール 0.1
オリーブスクワラン 7.0
メチルフェニルポリシロキサン 4.0
パーフルオロポリエーテル(ガルデンHT90)
3.0
防腐剤 適量
(III)相(内水相) 内水相比率:80%
アルギン酸ナトリウム 0.1
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
硫酸マグネシウム 0.1
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
【実施例26】
【0081】
サンスクリーンクリーム(高内相比油中水型タイプ)
(I)相
MGPA 2.0(%)
PETPA 1.0
水 1.0
クワ樹皮の水抽出液 0.5
(II)相
テトラ2−ヘキシルデカン酸L−アスコルビル
1.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
セチルアルコール 0.5
酸化チタン 3.0
防腐剤 適量
(III)相(内水相)内水相比率:90%
ステアロイルメチルタウリンNa 0.1
1,3−ブチレングリコール 5.0
キサンタンガム 0.3
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)
実施例5に記載の方法で調製した。
(結果)
実施例23〜26の皮膚外用剤は、実施例4の液晶の確認方法を用いて測定したところ逆ヘキサゴナル液晶を形成していることが確認された。また、皮膚に適用し、角質水分蒸散量(TEWL)の測定試験を行ったところ、塗布部位のTEWLが優位に減少した。さらに、実施例25、26では、油中水型乳化物特有のべたつき等はなく、使用感にも優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)、(B)を必須成分としてなる液晶。
(A)下記一般式(1)で表される両親媒性化合物

(式中、X及びYはそれぞれ水素原子を表すか又は一緒になって酸素原子を表し、nは0〜2の整数を表し、mは1又は2の整数を表し、またRは、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ソルビトール、キシロース、アスコルビン酸、グルコース、ガラクトース、マンノース、ジペンタエリスリトール、及びマルトースからなる群から選択されるいずれか1つから1つの水酸基が除かれた親水性基を表す。)
(B)水
【請求項2】
フッ素油、シリコーン、エステル油、炭化水素油、高級アルコールおよびロウ類からなる群から選ばれた1種又は2種以上の油分を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶。
【請求項3】
更に、生理活性成分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶。
【請求項4】
前記液晶が、キュービック液晶、逆ヘキサゴナル液晶からなる群から選択される1種又は2種以上である液晶。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶を含有する皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項5に記載の皮膚外用剤において、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶が、水相に分散してなる液晶/水(L/W)型の形態であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項5に記載の皮膚外用剤において、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶を含有する油相に、水相が分散してなる油中水型乳化物の形態であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項8】
請求項7に記載の皮膚外用剤において、油中水型乳化物中における水相の比率が80質量%以上の高内相比油中水型乳化物の形態であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の皮膚外用剤において、油相が揮発性油分を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の皮膚外用剤において、該皮膚外用剤を皮膚に適用した後に、水及び/又は揮発性成分が揮発することによって、皮膚上において皮膚外用剤が液晶に転移することを特徴とする皮膚外用剤。

【公開番号】特開2012−17318(P2012−17318A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120120(P2011−120120)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【出願人】(301068114)株式会社コスモステクニカルセンター (57)
【出願人】(505380692)株式会社サイトパスファインダー (11)
【出願人】(501377461)株式会社ケムジェネシス (3)
【Fターム(参考)】