説明

温室シートバタつき防止部材

【課題】簡単な構成でシート巻取り軸の温室に対する固定度が高く、しかも操作性の良好な温室シートバタつき防止部材を提供すること。
【解決手段】緊締具により温室の棟方向部材に取付けられる下端開放の取付部と、該取付部の一方の開口端縁より延在するシート巻取り軸収容部とから構成される温室シートバタつき防止部材において、前記シート巻取り軸収容部は、外面に沿って巻戻されているシート巻取り軸を室外方向かつ下方向に案内するとともに、再度巻取られたシートの緊張力によりその内面に前記シート巻取り軸を抱え込むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビニールハウス等の屋根面、妻面または側壁面等の簡易温室の表面に張装されたシートやシートを巻き取る巻取り軸が風等によってバタつくことを防止するための温室シートバタつき防止部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にビニールハウスでは、ハウス内の温度、湿度を調整して植物の適正な育成に対応させるためにビニールハウスの側壁面、屋根面等に換気装置を設けているのが普通である。
【0003】
ビニールハウスの側壁面における換気装置としては、例えば図4に示すように、ビニールハウス100の上部から垂設した透明シートの下端をシート巻取り軸103に巻き付け、地上近辺から上方に向けてシートを巻き上げることによりビニールハウスの側壁面に形成した換気用開口部を開放させるものである。
【0004】
シート巻取り軸は、例えばビニールハウスの隅部に起立するガイドロッド101に上下移動自在に取り付けた手動又は電動の回転駆動装置102を介して回転駆動し、シートをシート巻取り軸103に巻き取ることにより換気用開口部104を開き、巻き戻すことにより開口部104を閉じるものである。
【0005】
このシート巻取り軸あるいはシート自体は強風にさらされた際、シートがバタつきあるいはシート巻取り軸が大きく動揺することを避けられない。
このため従来から、バンド105でシートやシート巻取り軸103を押さえ込むことによって、シートのバタつきやシート巻取り軸の動揺を防止していた。
しかしながら、近年ビニールハウスが徐々に大型化してきたことに伴い、シート巻取り軸が長尺化して重量が増大してきたため、上述したバンド105のみの拘束力ではシートのバタつきやシート巻取り軸の動揺を効果的に防止することが困難となってきた。
【0006】
これを改善するため、図5に要部が示されるようなシート巻取り軸ホルダが提案されたが、このホルダはヒンジを介してシート巻取り軸103を着脱自在とする構造であるため、強風に対応する大きな負荷による応力がヒンジに集中して破損の虞が高まってきた(特許文献1参照)。
【0007】
また、シート巻取り軸103を固定するためには、多数にのぼる個々のホルダの回動片106の全てを回動して開口部を開いた状態でシート巻取り軸を収容し、その後全ての回動片106を回動して閉鎖する作業が煩わしく、操作性が著しく低い。
【0008】
そこで、図6に示されるような温室の縦部材に固着された支持環107に挿通された長尺のフック取付け軸108に線材又は板材を折曲して形成した多数のフック106が取付けられたシート巻取り軸ホルダが提案されたが、このホルダは、シートを一旦は弛ませておいて、フック106をシート巻取り軸103にかぶさるように回動し、シート巻取り軸103を回動してシートを巻取りシートに張力が加わるようにしてフック106に当接させるものであり、必ずしも操作性が良いとはいえない(特許文献2参照)。
【0009】
また、多数のフック106が取付けられた長尺のフック取付け軸108は、温室の縦部材に固着された支持環107に挿通された状態にあって、直接温室の部材に固定されておらず浮動状態にあるので、フック106の温室に対する固定度は然程強くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭63−095458号公報
【特許文献2】実開平05−043842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこれら問題点を解決すること目的としてなされたものであって、簡単な構成でシート巻取り軸の温室に対する固定度が高く、しかも操作性の良好な温室シートバタつき防止部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、緊締具により温室の棟方向部材に取付けられる下端開放の取付部と、該取付部の一方の開口端縁より延在するシート巻取り軸収容部とから構成される温室シートバタつき防止部材において、前記シート巻取り軸収容部は、外面に沿って巻戻されているシート巻取り軸を室外方向かつ下方向に案内するとともに、再度巻取られたシートの緊張力によりその内面に前記シート巻取り軸を抱え込むことを特徴としている。
請求項2に係る発明の棟方向部材は、温室裾部に張装された裾シートの上端を温室に定着する、温室縦方向部材の外面に取付けられたシート定着具であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、温室シートバタつき防止部材を極めて簡単な構成でありながら、温室の棟方向部材に対して固定してその固定度を高くして、しかもシート巻取り軸の巻き戻し方向の回転を継続するだけで、シート巻取り軸を温室シートバタつき防止部材に抱きかかえることが可能な操作性の良好なバタつき防止部材を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、温室開口部下端に正確に温室シートバタつき防止部材を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の温室シートバタつき防止部材を温室側面に適用した実施例の概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の温室シートバタつき防止部材の拡大斜視図である。
【図3】図3は、シート巻取り軸を本発明の温室シートバタつき防止部材に固定する工程を説明する縦断面図である。
【図4】図4は、第1の従来技術の概要を示す斜視図である。
【図5】図5は、第2の従来技術の概要を示す正面図である。
【図6】図6は、第3の従来技術の概要を示す正面図である。
【実施例】
【0015】
本発明の一実施例を示す図1乃至図3を参照して、本発明の温室シートバタつき防止部材について詳細に説明する。
1は、管状部材を組み立てた骨組み2の屋根面、妻面、側面裾部にそれぞれ個別に温室シートで張装された簡易温室である。
そして、温室の屋根面を張装する屋根シート3と側面裾部を張装する裾部シート4の間には換気用の開口部5が形成されており、この開口部5は、その下端部がシート巻取り軸6に固定された側面シート7により開閉自在とされている。
【0016】
本発明の温室シートバタつき防止部材8の拡大斜視図を図2に示す。
この温室シートバタつき防止部材8は、蝶ネジ等の緊締具9により温室の棟方向部材、この実施例では上記した裾部シート4の上端部を定着する、断面鳩尾状シート定着具10に取付けられる下端開放の取付部11と、該取付部11の一方の開口端縁より温室内方に折り曲げられ、さらに温室外方に略直線状に延びて曲線状に下方に延びてシート巻取り軸を収容するシート巻取り軸収容部12とから構成されている。
【0017】
このシート巻取り軸収容部12は、図3を紙面垂直視して、巻取り軸6を右回転して温室骨組み2に沿って巻戻されているシート巻取り軸6を、その外面にて室外方向かつ下方向に案内する。
シート巻取り軸6の右回転を継続して完全にシートを巻き戻し、さらに軸6を右回転すると逆にシートは軸6に巻き取られ、図3に示す状態となって側面のシート7の緊張力によりシート巻取り軸収容部12の内面にシート巻取り軸6が抱え込まれる。
【0018】
このようにシート巻取り軸6を巻き戻し方向への回転を継続するのみで、シート巻取り軸6はシート巻取り軸収容部12内に自動的に抱え込まれることとなるから、簡単な操作により短時間に温室に固定することが可能である。
シート巻取り軸6がシート巻取り軸収容部12に収容されることによって、開口部5は緊張した側面シート7をもって完全に閉鎖される。
【0019】
なお、シート巻取り軸6は、上記した回転駆動装置内の逆回転防止機構によってその高さ位置が維持され、下方への移動を防止されるものであるが、裾部シート4下端部近傍と屋根シート3下端部の棟方向部材に所定間隔で設けられたバンド取付け具を介して伸縮自在のバンドを鋸歯状にかけてシート巻取り軸6の更なる安定を図るようにしてもよい。
【0020】
また、上記した断面鳩尾状シート定着具10は温室骨組み2の縦部材に固定具によって固定されているので、温室シートバタつき防止部材8は温室棟方向所定間隔で温室骨組み2の縦部材の近傍に固定して、容易に棟方向で一定の高さに維持することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 簡易温室
2 温室骨組み
3 屋根シート
4 裾部シート
5 開口部
6 シート巻取り軸
7 側面シート
8 温室シートバタつき防止部材
9 緊締具
10 断面鳩尾状シート定着具
11 取付部
12 シート巻取り軸収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊締具により温室の棟方向部材に取付けられる下端開放の取付部と、該取付部の一方の開口端縁より延在するシート巻取り軸収容部とから構成される温室シートバタつき防止部材において、
前記シート巻取り軸収容部は、外面に沿って巻戻されているシート巻取り軸を室外方向かつ下方向に案内するとともに、再度巻取られたシートの緊張力によりその内面に前記シート巻取り軸を抱え込むことを特徴とする温室シートバタつき防止部材。
【請求項2】
前記棟方向部材は、温室裾部に張装された裾シートの上端を温室に定着する、温室縦方向部材の外面に取付けられたシート定着具であることを特徴とする請求項1に記載された温室シートバタつき防止部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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