説明

温感洗浄剤

【課題】角栓除去効果などの洗浄効果、ならびに、塗布時の肌への密着感や洗浄後の肌感触などの使用感のいずれにも優れる温感洗浄剤を提供すること。
【解決手段】(A)オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、(B)オイルゲル化剤、(C)無機酸塩の無水物、及び(D)界面活性剤を含有してなる温感洗浄剤。好適には、(B)成分が、デキストリン脂肪酸エステル及び/又は12−ヒドロキシステアリン酸、(C)成分が、無水塩化カルシウム、無水塩化マグネシウム、無水硫酸カルシウム、及び無水硫酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上である温感洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温感洗浄剤に関する。さらに詳しくは、使用時にマッサージ効果を有しながら、洗い流すときに温感を付与し、効果的に角栓を除去することができる温感洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛穴に詰まった皮脂汚れを除去する試みの一つとして、水と混ざり合うことで温熱効果を付与してクレンジング効果を向上させる手段が用いられている。このような温熱効果を付与するものとしては、皮膚に対する安全性や発熱の穏やかさの観点から、主にアルコール類や多価アルコール類の水和熱が利用されている。
【0003】
例えば、アルコール及びソルビットエーテルを含有する非水系化粧料(特許文献1参照)、グリセリン又はジグリセリン、アニオン性高分子、トウガラシチンキ又はショウキョウチンキ、及び水を含有するゲル状温熱マッサージ料(特許文献2参照)、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール等の保湿剤と、球状ポリエチレン、球状ポリエステル、球状ナイロンまたは微細結晶セルロース等のスクラブ剤と、水溶性高分子化合物とを配合するマッサージ化粧料(特許文献3参照)が挙げられる。
【0004】
しかしながら、アルコール類や多価アルコール類の水和熱を用いた場合、温熱感の発現が穏やかであるとともに、水と容易に混合するために発熱時間が短く、望ましい温熱感が得られ難いといった問題がある。また、適度な温熱感を得るためには多量に配合しなければならず、ベタつき感などの使用感に劣るといった問題がある。加えて、塗布時の肌への密着感にも劣るといった問題もある。
【0005】
一方、アルコール類や多価アルコール類と比較して、水と混ざり合うことで瞬時に温熱効果を発揮する無機塩などを用いた試みもなされている。例えば、硫酸マグネシウムの無水塩、1水塩または4水塩を含有することを特徴とするクレンジングパック化粧料(特許文献4参照)、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、乾燥ミョウバン、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、活性化ゼオライト、炭酸カリウム等の発熱剤と、唐辛子末、唐辛子チンキ等の温感剤を含有する皮膚化粧料(特許文献5参照)、特定の油類、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機塩又は無機酸化物、ならびに非イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤を含有する非水系化粧料(特許文献6参照)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−80534号公報
【特許文献2】特開平11−12126号公報
【特許文献3】特開2000−247860号公報
【特許文献4】特開平7−173033号公報
【特許文献5】特開平11−60460号公報
【特許文献6】特開平11−228332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術を参酌して洗浄剤に無機塩を配合すると、優れた温熱効果により洗浄効果が向上するものの、性質上、剤型を非水系、所謂、油性剤型としなければならないため、ベタつき感などの使用感が劣るといった問題がある。また、油分が分離して、塗布時の肌への密着感に劣るといった問題もある。
【0008】
本発明の課題は、角栓除去効果などの洗浄効果、ならびに、塗布時の肌への密着感や洗浄後の肌感触などの使用感のいずれにも優れる温感洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決する為に検討を重ねた結果、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウムを、オイルゲル化剤、無機酸塩の無水物及び界面活性剤を含有する温感洗浄剤に配合することで、角栓除去効果などの洗浄効果、ならびに、塗布時の肌への密着感や洗浄後の肌感触などの使用感のいずれにも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、(A)オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、(B)オイルゲル化剤、(C)無機酸塩の無水物、及び(D)界面活性剤を含有してなる温感洗浄剤、に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の温感洗浄剤は、発熱効果が持続して角栓除去に優れ、また、塗布時の肌への密着感や洗浄後の肌感触などにも優れるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の温感洗浄剤は、(B)オイルゲル化剤、(C)無機酸塩の無水物、及び(D)界面活性剤に加えて、(A)オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウムを配合することに大きな特徴を有する。なお、本発明の温感洗浄剤は前記成分を含有する非水系組成物であり、水を実質的に含有させないことが望ましい。ここで、「水を実質的に含有させない」とは、「別途、水を配合させることはしない」という意味であり、各配合原料中に含まれる微量の水分までを排除するものではない。
【0013】
無機酸塩の無水物(以降、無機酸塩無水物と記載することもある)は、吸水・吸湿により水和反応を生じて発熱する性質を有する。よって、使用時まで無機酸塩無水物と水分との接触を防ぐことが重要であり、温感洗浄剤としては油性型(非水系ともいう)のものに配合される。しかしながら、油性型の温感洗浄剤に一般的に用いられるオイルゲル化剤や界面活性剤と、無機酸塩無水物とを組み合わせると、ベタつき感などがあって使用感が十分ではなかった。そこで、本発明者らが検討した結果、驚くべきことに、親油性の粉末である、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウムをさらに配合したところ、製剤安定性が向上し、無機酸塩無水物の発熱効果が持続して洗浄効果が向上するだけでなく、塗布時の肌への密着感にも優れ、さらには洗浄後の肌感触も良好になるという優れた効果を奏することが判明した。
【0014】
(A)オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウムは、トウモロコシデンプンにオクテニルコハク酸をエステル化し、アルミニウム塩を付加した架橋型のデンプン誘導体である。疎水性の白色粉末で、油分を吸収する性質を有する。また、平均粒径は特に限定はなく、例えば、市販品として、「DRY−FLO PC」(NATIONAL STARCH AND CHEMICAL社製)を好適に用いることができる。
【0015】
(A)成分の含有量は、温感洗浄剤中、3〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
【0016】
(B)オイルゲル化剤
本明細書において、オイルゲル化剤とは、オイルを増粘させ又は固化させることによりオイルが流れ落ちないようにする物質のことを言う。オイルゲル化剤としては、例えば、ヒドロキシ脂肪酸;デキストリン脂肪酸エステル;モンモリロナイト、ヘクトライト、スメクタイトなどの粘土鉱物を第4級アンモニウム処理した有機変性粘土鉱物;微粒子シリカなどを例示することができ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。なかでも、良好な角栓除去効果及び塗布時の密着感を与える観点から、ヒドロキシ脂肪酸、デキストリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0017】
デキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと好ましくは炭素数8〜22の高級脂肪酸とのエステルが挙げられ、具体的には、エチルヘキサン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン等が挙げられる。ヒドロキシ脂肪酸としては、12−ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。本発明では、前記デキストリン脂肪酸エステルと12−ヒドロキシステアリン酸のうち、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、なかでも、良好な肌への密着感が得られる観点から、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、12−ヒドロキシステアリン酸がより好ましい。好適な市販品としては、「レオパールKL2」、「レオパールKS2」、「レオパールTL2」、「レオパールTT2」(以上、千葉製粉社製)、「ヒドロキシステアリン酸」(川研ファインケミカル社製)が例示される。
【0018】
(B)成分としてデキストリン脂肪酸エステル類を用いる場合、その含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。また、12−ヒドロキシステアリン酸を用いる場合、その含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。なお、デキストリン脂肪酸エステル類を複数用いた場合、その含有量とはそれらの合計量を意味する。
【0019】
(B)成分の含有量は、温感洗浄剤中、0.1〜30質量%が好ましい。なお、(B)成分として複数の化合物を用いた場合、(B)成分の含有量とはそれらの合計量を意味する。
【0020】
(C)無機酸塩の無水物
本発明で用いられる無機酸塩の無水物としては、水と混合することで発熱し、適度な温熱感を奏するものであれば特に限定されない。例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの無機酸塩の無水物が例示される。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、水との混合後、素早く発熱し、適度な温熱感を奏する観点から、無水塩化カルシウム、無水塩化マグネシウム、無水硫酸カルシウム、無水硫酸マグネシウムが好ましい。好適な市販品としては、「無水硫酸マグネシウムA」(富田製薬社製)が例示される。
【0021】
(C)成分の含有量は、温感洗浄剤中、1〜50質量%が好ましく、3〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。なお、(C)成分として複数の化合物を用いた場合、(C)成分の含有量とはそれらの合計量を意味する。
【0022】
また、(A)成分と(C)成分の質量の比〔(A)成分/(C)成分〕は、製剤安定性と発熱効果との兼ね合いの観点から、0.1〜50が好ましく、0.3〜30がより好ましく、0.5〜20がさらに好ましい。
【0023】
(D)界面活性剤
本発明で用いられる界面活性剤としては、公知の界面活性剤であれば特に限定されないが、良好な洗い流し性を得る観点から、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、皮膚安全性の観点から、非イオン性界面活性剤であることがより好ましい。
【0024】
陰イオン性界面活性剤としては、優れた洗浄力を有していれば特に限定されないが、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アルギニン、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミンなどの炭素数12〜22の高級脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのα−オレフィンスルホン酸塩;N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムなどのN−アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリルニナトリウムなどのスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウムなどのスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ジエタノールアミンなどのモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなどのN−アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウムなどのN−アシル−N−メチル−β−アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミンなどのN−アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩;ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸カリウムなどのL−アシルアスパラギン酸塩などを例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な陰イオン性界面活性剤としては、洗浄力および起泡力の観点から、炭素数12〜22の高級脂肪酸塩を用いるのが好ましい。
【0025】
両性界面活性剤としては、優れた洗浄力を有していれば特に限定されないが、例えば、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン等のアミドプロピルベタイン型界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホン酸塩、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、N−脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等のスルフォベタイン型両性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウム型ベタイン型両性界面活性剤等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な両性界面活性剤としては、アミドプロピルベタイン型界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルフォベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウム型ベタイン型両性界面活性剤等のベタイン型両性界面活性剤を用いるのが好ましく、アミドプロピルベタイン型界面活性剤を用いるのがより好ましい。
【0026】
非イオン性界面活性剤としては、優れた洗浄力を有していれば特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ラウリン酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル;モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油;硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン還元ラノリン等を例示することができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。
【0027】
(D)成分の含有量は、温感洗浄剤中、0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。なお、(D)成分として複数の化合物を用いた場合、(D)成分の含有量とはそれらの合計量を意味する。
【0028】
本発明の温感洗浄剤は、前記(A)〜(D)成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧品に用いられる成分、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの多価アルコール;シリカ、球状ポリエチレン、結晶セルロースなどの粉体;カオリン、タルク、マイカなどの粘土鉱物、増粘性高分子などの増粘性成分;固形ロウ類、油脂、エステル、炭化水素、高級脂肪酸などの油性成分;陽イオン性界面活性剤などの界面活性剤;無機顔料、有機顔料、パール顔料などの粉体;酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、香料などを適宜含有することができる。
【0029】
本発明の温感洗浄剤は前記(A)〜(D)成分を含有するのであれば、特に限定なく、公知の方法に従って調製することができる。例えば、前記(A)〜(D)成分を混合し、ディスパーミルで攪拌することにより製造することができる。
【0030】
また、本発明の温感洗浄剤は、塗布時の良好な使用性を得る観点から、ペースト又はゲル状であるのが好ましく、ペースト状であるのがより好ましい。また、その形態としては、特に限定されないが、ジャー容器、チューブ容器などに充填した温感洗浄剤とすることができ、洗顔剤、マッサージ化粧料、シェービング剤、ボディーソープ、ハンドソープ等として好適に用いることができる。
【0031】
使用方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)該温感洗浄剤を乾いた肌に塗布後、水で濡らした指先で馴染ませる方法;(2)該温感洗浄剤を濡れた肌に塗布後、乾いた指先又は水で濡らした指先で馴染ませる方法;(3)該温感洗浄剤を乾いた指先に取り、該温感洗浄剤と指先に水を含ませた後、肌に塗布して馴染ませる方法;(4)該温感洗浄剤を水で濡らした指先に取り、肌に塗布して馴染ませる方法などを例示することができる。本発明の温感洗浄剤は、経時保存後にも優れた粘性を有するため、長期に亘っての使用が可能となる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0033】
実施例1〜12及び比較例1〜14
表1〜表4に示す組成の温感洗浄剤を、(B)及び(D)成分と油性成分類を加温して均一にした後、粉体類を投入し、ディスパーで攪拌して調製した。
【0034】
次に、得られた温感洗浄剤を洗顔洗浄剤としての態様で、洗浄時の発熱(温感)効果、発熱の持続性、角栓除去効果、塗布時の密着感(洗浄剤の肌への密着性)、洗い落ちの良さ、洗浄後の肌のなめらか感について、専門パネラー20名により良好であるか否かの判定(官能評価)を行い、以下の評価基準に従って評価した。結果を表1〜表4に示す。
【0035】
〔評価基準〕
◎:非常に良好(20名中16名以上が良好と回答)
○:良好(20名中11〜15名が良好と回答)
△:普通(20名中6〜10名が良好と回答)
×:不良(20名中5名以下が良好と回答)
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
以上の結果より、実施例の温感洗浄剤は、発熱効果が十分かつ持続するものであり、角栓除去効果などの洗浄効果、ならびに、塗布時の肌への密着感や洗浄後の肌感触などの使用感のいずれにも優れることが分かる。一方、比較例1〜6及び10は、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムの代わりに、種々の粉末やデンプンを配合しているが、発熱は十分にするものの、いずれも洗浄効果や使用感が十分ではない。また、本発明の温感洗浄剤と発熱剤のみ異なる比較例7及び8や、本発明の温感洗浄剤から(A)〜(D)成分のいずれかを含有しない比較例11〜14も、いずれも洗浄効果や使用感が十分ではない。このことから、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分が組み合わされることで初めて、温熱洗浄剤の洗浄効果と使用感の向上が得られることが示唆される。
【0041】
以下、本発明の温熱洗浄剤の処方例を示す。なお、含有量は質量%である。
【0042】
(処方例1)
オクタン酸セチル 40.7
セレシン 1.0
無水硫酸マグネシウム 25.0
(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン 4.0
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム 20.0
POE(9)ラウリルエーテル 8.0
l−メントール 0.5
球状ポリエチレン 0.5
黒酸化鉄 0.1
ビタミンE 0.2
合 計 100.0
【0043】
(処方例2)
オクチルドデカノール 1.0
パルミチン酸オクチル 30.0
無水硫酸マグネシウム 30.0
パルミチン酸デキストリン 3.0
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム 18.0
トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル 2.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O) 5.0
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
トリベヘン酸グリセリル 0.5
l−メントール 0.5
ビタミンE 0.2
香料 0.3
結晶セルロース 8.0
ポリエチレン 1.0
合 計 100.0
【0044】
(処方例3)
流動パラフィン 36.2
ワセリン 2.0
無水硫酸マグネシウム 25.0
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム 20.0
12−ヒドロキシステアリン酸 0.3
セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
POE(10)オレイルエーテル 8.0
l−メントール 0.5
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 4.0
球状ポリエチレン 2.0
合 計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の温熱洗浄剤は、発熱効果が持続して洗浄効果が向上するだけでなく、塗布時の肌への密着感にも優れ、さらには洗浄後の肌感触も良好になるという優れた効果を奏するため、洗顔剤、マッサージ化粧料、シェービング剤、ボディーソープ、ハンドソープなどに好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、(B)オイルゲル化剤、(C)無機酸塩の無水物、及び(D)界面活性剤を含有してなる温感洗浄剤。
【請求項2】
(B)成分が、デキストリン脂肪酸エステル及び/又は12−ヒドロキシステアリン酸である請求項1記載の温感洗浄剤。
【請求項3】
(C)成分が、無水塩化カルシウム、無水塩化マグネシウム、無水硫酸カルシウム、及び無水硫酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の温感洗浄剤。
【請求項4】
(D)成分が、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3いずれか記載の温感洗浄剤。
【請求項5】
(D)成分が非イオン性界面活性剤である請求項1〜4いずれか記載の温感洗浄剤。

【公開番号】特開2013−28551(P2013−28551A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164659(P2011−164659)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】