説明

溶接ラインにおける骨材仮付設備

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船こくブロックや橋梁ブロックなどを製造する溶接ラインにおいて、スキン材上の所定位置に条材や補強リブ等の骨材を配置して仮溶接する骨材仮付設備に関する。
【0002】
【従来の技術】船こくブロックや橋梁ブロックなどを製造する溶接ラインにおいて、従来から使用されている骨材仮付用ロボットは、たとえば図2に示すように、溶接ライン21の両側に敷設された1対の搬送レール22上を走行自在な門型台車23を設け、門型台車23の横フレーム23aに設置された横行レール24に案内されて移動自在な横行台車25に、昇降アーム26を介して支持ビーム27を旋回自在に取り付け、この支持ビーム27に仮溶接機28付の搬送ロボットハンド29を接近離間自在に設けたものである。これにより、溶接ライン21に配置した骨材パレット30上の骨材31を把持して溶接ライン21上に配置されたスキンプレート32上の所定位置に搬送し、位置決めして溶接機28により仮溶接を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の溶接部材取付ロボットは、(1)骨材パレット30を溶接ライン21上に配置する必要があるため、溶接ライン21の流れに支障が生じて設計上大きな制約を受ける。(2)溶接ライン21内に骨材パレット30を介して骨材31を配置するため、溶接ライン21を広く占有し、ロボットの搬送動作にも無駄が生じる。(3)骨材31が長い条材の場合、中央部を搬送ロボットハンド29で把持させると、骨材31が自重により撓み、スキンプレート32上で正確な位置に位置決めしにくいという問題があった。
【0004】本発明は、上記問題点を解決して、溶接ラインの流れにも制約を受けることなく、動作にも無駄がなくなるとともに、長い骨材であっても正確に位置決めして仮溶接ができる溶接ラインにおける骨材仮付設備を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために本発明の溶接ラインにおける溶接部材取付設備は、溶接ラインに沿って敷設された走行レール上に走行自在な2台の骨材仮付装置を具備し、これら骨材仮付装置を、前記走行レール上を走行自在な門型台車と、前記門型台車に配置されて溶接ラインと直交する方向に移動自在な横行台車と、この横行台車に垂直軸心周りに旋回自在に設けられた旋回アームと、この旋回アームの先端部に昇降自在に垂下された昇降支柱を介して垂直軸心周り回動自在に設けられて骨材を把持可能な把持装置と、この把持装置に設けられた溶接装置とで構成したものである。
【0006】
【作用】上記構成によれば、横行台車を門型台車の端部側に移動させて旋回アームほ溶接ラインの外側に旋回させることにより、溶接ライン外側に配置した骨材を把持することができる。したがって、従来のように溶接ライン内に骨材パレットを配置する必要がなくなり、骨材パレットにより溶接ラインを広く占有することがないので、溶接ラインの流れが制約を受けることがなく、能率のよく溶接作業を行うことができ、しかも溶接ラインの両側に骨材パレットを配置することにより、門型台車の無駄な動作も少なくなる。さらに、長い骨材はその両端側を2台の仮付装置の把持装置でそれぞれ保持して共同作業を行うことにより、骨材に撓みも少なく持して、正確に位置決めすることができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明に係る骨材仮付設備の一実施例を図1に基づいて説明する。スキン材1をローラーコンベヤ装置(図示せず)により搬送する溶接ライン2には、その両側に沿って一対の走行レール3が敷設され、この走行レール3に移動自在な2台の骨材仮付装置4が配置されている。
【0008】この骨材仮付装置4は、左右の走行レール3にわたって配置された門型台車5を備え、門型台車5の脚部5a下端部には門型台車5を溶接ライン2方向に走行させる駆動台車部5bが設けられている。門型台車5の横梁5c上には横梁5cに沿って溶接ライン2と直交する方向に移動自在な横行台車6が配置され、この横行台車6上には、水平方向に突出する旋回アーム7が旋回台7aを介して垂直軸心周りに旋回自在に配設されている。前記旋回アーム7の先端部には昇降支柱8が垂直方向に昇降自在に取り付けられ、昇降支柱8の下端部には、垂直軸心周りに回動自在な回動台11に骨材たとえばガータ9などを把持可能な一対のフィンガー10aを設けた把持装置10が設けられている。さらにこの回動台11にはガータ9をスキン材1に仮付けするための溶接装置12が多関節アームを介して設けられている。
【0009】上記構成による骨材の仮付作業を説明する。長さの短い骨材については、各骨材仮付装置4をそれぞれ駆動して行う。すなわち、横行台車6を門型台車5の端部側に移動させ、旋回アーム7を溶接ライン2の外側に旋回移動させて昇降支柱8を下降させ、走行レール3の外側に配置された骨材パレット13上から骨材14を把持して持ち上げてスキン材1の所定位置に搬送し、位置決め後溶接装置12により仮付けする。
【0010】長さの長いガータ9などについては、仮想線で示すように、2台の各骨材仮付装置4を協調駆動して行う。すなわち、各横行台車6をそれぞれ門型台車5の端部側に移動させ、旋回アーム7を溶接ライン2の外側に旋回移動させて昇降支柱8を下降させ、骨材パレット13上のガータ91の両端側をそれぞれ把持する。そして、門型台車5,横行台車6,旋回アーム7,昇降支柱8および回動台11を制御装置によりそれぞれ協調駆動してガータ9を持ち上げ、スキン材1上の所定位置に搬送し、位置決め後溶接装置12により仮付けする。これにより、長く撓みやすい骨材であっても正確に位置決めすることができる。
【0011】
【発明の効果】以上に述べたごとく本発明によれば、横行台車を門型台車の端部側に移動させて旋回アームほ溶接ラインの外側に旋回させることにより、溶接ライン外側に配置した骨材を把持することができる。したがって、従来のように溶接ライン内に骨材パレットを配置する必要がなくなり、骨材パレットにより溶接ラインを広く占有することがないので、溶接ラインの流れが制約を受けることがなく能率のよく溶接作業を行うことができ、しかも溶接ラインの両側に骨材パレットを配置することにより、門型台車の無駄な動作も少なくなる。さらに、長い骨材はその両端側を2台の仮付装置の把持装置でそれぞれ保持して共同作業を行うことにより、骨材に撓みも少なく保持して、正確に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る骨材仮付設備の一実施例を示す斜視図である。
【図2】従来の骨材仮付装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 スキン材
2 溶接ライン
3 走行レール
4 骨材仮付装置
5 門型台車
6 横行台車
7 旋回アーム
8 昇降支柱
9 ガータ
10 把持装置
11 回動台
12 溶接装置
13 骨材パレット
14 骨材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 溶接ラインに沿って敷設された走行レール上に走行自在な2台の骨材仮付装置を具備し、これら骨材仮付装置を、前記走行レール上を走行自在な門型台車と、前記門型台車に配置されて溶接ラインと直交する方向に移動自在な横行台車と、この横行台車に垂直軸心周りに旋回自在に設けられた旋回アームと、この旋回アームの先端部に昇降自在に垂下された昇降支柱を介して垂直軸心周り回動自在に設けられて骨材を把持可能な把持装置と、この把持装置に設けられた溶接装置とで構成したことを特徴とする溶接ラインにおける骨材仮付設備。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2564064号
【登録日】平成8年(1996)9月19日
【発行日】平成8年(1996)12月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−311131
【出願日】平成3年(1991)11月27日
【公開番号】特開平5−146979
【公開日】平成5年(1993)6月15日
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【参考文献】
【文献】実開 平3−55182(JP,U)