説明

溶湯中のガス含有量を測定するための装置

本発明は溶湯中のガス含有量を測定するための装置に関し、浸漬端が、ガス収集用胴部と、浸漬端内認可移行するガス供給ラインと、ガス収集用胴部を通してガスを送るためのガス放出ラインと、を含み、ガス収集用胴部が、溶湯と接触した場合に任意の液体反応生成物を形成しない材料から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶湯中のガス含有量を測定するための装置であって、ガス収集用胴部を有する浸漬端と、浸漬端に開口するガス供給ラインと、ガス収集用胴部を通してガスを送るためのガス放出ラインと、を含む装置及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
そうした装置はEP307430に記載される。当該特許に説明される装置はガス、特に、例えば溶湯中のガス含有量を測定するために好適なものであり、ガス収集用胴部(以下、単に胴部とも称する)は多孔質の石材製であるが、溶湯が異なると胴部の開口部が閉塞または胴部表面が溶湯と十分に接触しない等の理由で測定に支承が生じ得る。
US6,216,526号には他の装置が記載され、石英ガラス製チューブ内に溶湯を収集するようになっている。収集された溶湯は溶湯が浸透し得るストッパを通して浸漬プローブ内に侵入する。ストッパは溶湯中の不純物を保持するであろう酸化アルミニューム製のものである。
【0003】
DE3874423(EP295798)号には、溶湯中のガス濃度を判定するプローブが記載される。プローブはガス収集用胴部を含み、この胴部がガス供給ラインと、ガス収集用胴部を通してガスを送るためのガス放出ラインとを有している。ガス収集用胴部は酸化アルミニューム製である。DT2423783号には、固体電解質スピネル構造を用いて溶湯中の酸素含有量を測定するための浸漬センサが記載される。
【0004】
【特許文献1】EP307430号明細書
【特許文献2】US6216526号明細書
【特許文献3】DE3874423(EP295798)号明細書
【特許文献4】DT2423783号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現行装置の、特にガス収集用胴部の閉塞が防止される問題を改善した、溶湯中のガス含有量を測定するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題を解決する装置が提供される。本装置のガス収集用胴部は溶湯と接触しても液体反応生成物を形成しないのでガス収集用胴部の表面が異物に占有されず、かくして、溶湯とガス収集用胴部との接触が保証され、ガス交換が許容される。溶湯と接触しても液体反応生成物を形成しない材料部分が、ガス収集用胴部に関して少なくとも80重量パーセント、好ましくは少なくとも90重量パーセントに等しいことが特に有益である。更には、ガス収集用胴部が、好ましくは略50%に等しい多孔質のものであることが実用的である。
ガス収集用胴部は、酸化マグネシウム及び又は酸化アルミニューム及び又は酸化クロムを含むことが有益である。詳しくは、ガス収集用胴部は式AB24で表される物質を含み得る。ここでAはMg、Fe、Mn、から成る群に含まれる金属であり、Bは好ましくは、Al、Cr、Fe、V、からなる群に含まれる別の金属である。式AB24で表される物質はスピネル構造を有する。スピネル構造は未使用のガス収集用胴部内に既に存在し得、又は、溶鉄又は溶鋼へのガス収集用胴部の浸漬又はそれら溶鉄又は溶鋼の存在下に、ガス収集用胴部の材料から最初に形成され得る。AB24構造は、上述した金属を使用して形成するのが好ましい。
【0007】
本発明によれば、ガス収集用胴部の、溶湯と接触する表面層としての表面の少なくとも一部分、即ち、ガス収集用胴部の表面の少なくとも一部分が、液体反応生成物を形成しない材料で構成される。この表面層は厚さが約0.3〜5mmである。
本発明による装置は、酸素含有量が少なくとも100ppmであり、及び又は硫黄及び又はマグネシウム及び又はシリコンの含有量が少なくとも0.1重量パーセントである溶鋼中で使用され得る。本発明の装置は溶鋼中の水素、一酸化炭素及び又は二酸化炭素の各量を測定するために使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
溶湯中のガス含有量を測定するための装置の基本構造は、例えば前記EP307430号に説明されており、ガス収集用胴部を備える浸漬端を含む測定構造が、関連説明において参照されまたその図1に示される。本発明はこうした基本構造に対しても関連され得るものである。測定プロセスはやはり前記EP307430号に説明される。
浸漬端1は、キャリヤチューブと共に取付けノズル2に連結され、この取付けノズルを利用して浸漬プロセスを実行する。取付けノズルは幾つかのガス連結部3を有し、中央に配置したガス連結ノズル3’がガス供給ライン4を通してキャリヤガスを溶湯中に導入する。ガス供給ライン4は本来水晶管から構成され、その浸漬端位置で曲がり水晶管5内に開口する。曲がり水晶管5の開口はガス収集用胴部6の方向に配向される。ガス収集用胴部6は、ガス供給ライン4の周囲にベル形凹所7を有し、水晶管5の開口はこのベル形凹所7に向けられており、ガス流れはガス供給ライン4を出るとこのベル形凹所7に向かう。かくして溶湯から収集されたガスは浸漬端1の胴部によりキャリヤガスと共にガス連結部3に向けて案内され、ガス連結部を出たガスは引き続き、対応する測定装置に移行される。
【0009】
浸漬端1の、取付けノズル2とガス収集用胴部6との間には水晶管8が配置され、接着剤9又はセメント10により取付けノズル2及びガス収集用胴部6に固定されている。水晶管8には酸化アルミニューム11が充満される。酸化アルミニューム11は先ずガス供給ライン4を固定し、次いで、被測定ガスを伴うキャリヤガスの移行を可能とする。
ガス収集用胴部6はMgAl24及び有機性の結合材から作製され、約50%の多孔性を有し、かくして溶鋼からのガスが収集され得る。平均孔径は約40μmに等しい。ガス収集用胴部の構成は、各孔が閉塞される又は何かで被覆されることがなく、ガスが支障なく通過できる開放状態を保つことを保証する。
【0010】
別の実施例ではガス収集用胴部6は、Al23の鋼玉をプレス処理及び焼結処理し、次いで水性MgO懸濁液に浸漬及び含浸させて表面層を創出させることにより形成され、次いで形成したガス収集用胴部6が乾燥される。処理後の表面層の厚さは約0.3〜5mm、好ましくは1〜3mmに等しい。表面層は図示されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の装置の浸漬端の断面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 浸漬端
2 取付けノズル
3 ガス連結部
4 ガス供給ライン
5 曲がり水晶管
6 ガス収集用胴部
7 ベル形凹所
8 水晶管
9 接着剤
10 セメント
11 酸化アルミニューム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯中のガス含有量を測定するための装置であって、
ガス収集用胴部を有する浸漬端と、
該浸漬端位置に開口するガス供給ラインと、
ガス収集用胴部を通して送られるガスのためのガス放出ラインと、
を含み、
ガス収集用胴部が、溶湯と接触した場合に液体反応生成物を形成しない材料を含み、該材料が、ガス収集用胴部の、溶融金属と接触する表面層としての表面の少なくとも一部分を形成し、前記表面層の厚さが約0.3〜5mmである装置。
【請求項2】
ガス収集用胴部の、溶湯と接触した場合に液体反応生成物を形成しない材料部分が、ガス収集用胴部に関し少なくとも80重量パーセント、好ましくは少なくとも90重量パーセントに等しい請求項1の装置。
【請求項3】
ガス収集用胴部が多孔質のものである請求項1又は2の装置。
【請求項4】
ガス収集用胴部が、酸化マグネシウム及び又は酸化アルミニューム及び又は酸化クロムを含む請求項1〜3の何れかの装置。
【請求項5】
ガス収集用胴部が、式AB24で表される物質を含み、前記Aが、好ましくは、Mg、Fe、Mn、から成る群に含まれる金属であり、Bが、好ましくは、Al、Cr、Fe、V、からなる群に含まれる別の金属である請求項1〜3の何れかの装置。
【請求項6】
ガス収集用胴部が、装置を溶鉄又は溶鋼に浸漬するとAB24に変換する物質を含み、前記Aが、好ましくは、Mg、Fe、Mn、から成る群に含まれる金属であり、Bが、好ましくは、Al、Cr、Fe、V、からなる群に含まれる別の金属である請求項1〜3の何れかの装置。
【請求項7】
酸素含有量が少なくとも100ppmであり及び又は硫黄含有量及び又はマグネシウム及び又はシリコンの含有量が少なくとも0.1重量パーセントである溶鋼における測定のための、請求項1〜6の何れかに記載の装置の使用。
【請求項8】
溶鋼中の水素、窒素、一酸化炭素及び又は二酸化炭素を測定するための、請求項1〜6の何れかに記載の装置の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−533453(P2008−533453A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500083(P2008−500083)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001765
【国際公開番号】WO2006/094668
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(598083577)ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ (37)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B−3530 Houthalen,Belgium
【Fターム(参考)】