説明

溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置

【課題】ブレード部をロールへ押し付ける押付力を、ロールの表面に付着した付着物を除去するための適正値に制御することが可能な、溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置を提供する。
【解決手段】めっき槽6内に保持しためっき浴2中に配置したシンクロール4の表面に接触するブレード部10と、ブレード部10をシンクロール4へ押し付けるブレード押圧部12と、ブレード部10をモータ28が発生する駆動力によりシンクロール4の幅方向へ移動させるブレード横動部14と、シンクロール4へ押し付けたブレード部10がシンクロール4の幅方向へ移動する際にモータ28で発生するモータ負荷電流を検出する負荷電流検出手段16と、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流に応じてブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を変化させる押付力制御手段18を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属めっき浴中に配置したロールに付着した付着物の除去装置に係わり、特に、連続溶融亜鉛めっき浴に使用され、その浴中に配置したロールの表面に付着する合金層を除去する表面付着物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、溶融金属(例えば、溶融亜鉛)めっき鋼板を連続的に製造する製造工程では、まず、図4中に示すように、溶融金属めっき液(以下、めっき浴2という)を保持しためっき槽6内へ、前工程にて焼鈍した鋼帯Sを連続的に供給する。そして、めっき浴2中に配置したシンクロール4により、鋼帯Sの進行方向を鉛直上方に変換して、めっきの付着した鋼帯Sを、めっき浴2の上方に引き上げる。なお、図4は、一般的な連続溶融金属めっき装置(ライン)の構成を示す図である。
【0003】
次に、めっきを付着させて、めっき浴2の上方に引き上げた鋼帯Sに対し、ガス噴射ノズル40が噴射するガスにより、めっきの付着量をワイピング(ガスワイピング)して調整して、溶融金属めっき鋼板を製造する。
なお、図4中には、ガスワイピング後の鋼帯Sを必要に応じて加熱する合金化炉42を示している。ガスワイピング後の鋼帯Sを合金化炉42で加熱すると、めっき層を合金化することが可能となるため、合金化溶融金属めっき鋼板を製造することが可能となる。
【0004】
また、図4中に示すように、めっき浴2中には、鉛直上方に向けて走行する鋼帯Sの走行ラインを安定させるための、一対のコレクトロール44a,44bを配置している。一対のコレクトロール44a,44bは、鋼帯Sの表裏両面を挟むことにより、鋼帯Sに生じた反りを抑制するロールである。
ところで、一般的に、図4中に示すようなめっき装置を用いて、鋼帯Sに対する連続溶融金属めっきを行うと、めっき浴2の一部が酸化して不純物(ドロス)が生成され、この生成された不純物がめっき浴2中に懸濁する。
【0005】
そして、めっき浴2中に懸濁する不純物が、シンクロール4やコレクトロール44、すなわち、めっき浴2中に配置したロールの表面に付着すると、この付着した不純物が、シンクロール4やコレクトロール44と接触する鋼帯Sに接触して転写される。これにより、製造した溶融金属めっき鋼板に押し疵等の欠陥が発生する。
このような欠陥の発生を防止するために、従来では、作業者が、シンクロール4やコレクトロール44の表面へ付着した不純物(以下、「付着物」と記載する)を、手作業により専用の治具(ブレード)で掻き取って、ロールの表面から除去していた。
【0006】
しかしながら、作業者による付着物の除去作業は、めっき浴2を保持しためっき槽6の直近で行う作業となるため、作業者の安全衛生に対して大きな影響を及ぼすという問題がある。
このような問題に対し、例えば、特許文献1に記載の表面付着物除去装置を用いて、付着物の除去作業を自動化することにより、作業者の安全性を向上させる解決策が提案されている。
【0007】
特許文献1に記載の表面付着物除去装置1は、図5中に示すように、ブレード部10と、ブレード押圧部12と、ブレード横動部14を備えている。なお、図5は、従来例の表面付着物除去装置1を示す図である。
ブレード部10は、その先端側が、めっき浴中に配置したシンクロール4の表面に接触しており、シンクロール4の回転やブレード部10の移動により、シンクロール4の表面に付着した付着物を除去する。また、ブレード部10の基端側は、ブレード押圧部12に支持されている。
【0008】
ブレード押圧部12は、ブレード部10をシンクロール4の径方向へ変位可能な駆動力を発生する押付用モータ(図示せず)を内蔵しており、この押付用モータには、押付用モータの回転トルクを検出するトルクセンサ(図示せず)を接続している。なお、図5中では、ブレード部10をシンクロール4の径方向へ変位させる方向(変位方向)を、上下方向への矢印で示している。
【0009】
そして、押付用モータを駆動することにより、ブレード部10の先端側とシンクロール4との距離を減少させて、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける。
ここで、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力は、以下の手順により制御する。
まず、トルクセンサが検出した回転トルクを、予めトルクセンサに設定(記憶)した回転トルク値と比較する。そして、検出した回転トルクが、トルクセンサに設定した回転トルク値に達している場合、押付用モータの駆動を停止させる。これにより、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を、シンクロール4の表面に付着した付着物を除去するために適正な値(適正値)に制御する。
【0010】
ブレード横動部14は、ねじ軸24と、ねじ軸24の回転によりシンクロール4の幅方向へ移動するナット26と、ねじ軸24を回転可能な駆動力を発生する移動用モータ28を備えており、移動用モータ28によりねじ軸24を回転させて、ナット26をシンクロール4の幅方向へ移動させる。これにより、ナット26に取り付けたブレード押圧部12及びブレード部10を、シンクロール4の幅方向へ移動させる。なお、図5中には、ナット26を移動可能に支持して、ナット26をシンクロール4の幅方向へ移動させる際に、ブレード押圧部12のガイドとなるガイドレール32を示している。また、図5中には、シンクロール4をめっき槽6に対して支持するロール支持部材8を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭61−133369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、特許文献1に記載の表面付着物除去装置では、押付用モータの回転トルク、すなわち、ロールの幅方向と直交する方向へ発生する力に応じて、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を適正値に制御する。
したがって、ロールの幅方向へ移動させたブレード部が、ロールの表面に付着した付着物に対してロールの幅方向で接触する場合には、ロールに対するブレード部の押圧力は変化しない。
【0013】
このため、ブレード部をロールへ押し付ける押付力が適正値に制御されず、ロールの表面に付着した付着物が除去されないという問題が生じるおそれがある。なお、ブレード部が、ロールの表面に付着した付着物に対してロールの幅方向で接触する場合とは、ロールの表面に付着した付着物の量が多く、ロールの表面からの付着物の突出量が大きい場合である。
【0014】
この問題は、ブレード押圧部が、エアシリンダ等の弾性力を有する構成を備えており、ブレード部がロールの径方向へ弾性変位可能な場合であっても、同様に発生するおそれがある。
すなわち、ロールの表面に付着した付着物に対してロールの幅方向で接触したブレード部が、ロールの径方向へ弾性変位して付着物を乗り越えてロールの幅方向へ移動した場合では、ロールに対するブレード部の押圧力が、ロールの径方向への弾性変位により変化している。このため、ブレード部をロールへ押し付ける押付力が適正値に制御されないおそれがある。
【0015】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を、ロールの表面に付着した付着物を除去するための適正値に制御することが可能な、溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、溶融金属めっき浴中に配置したロールの表面に接触するブレード部と、当該ブレード部を前記ロールへ押し付けるブレード押圧部と、前記ブレード部をモータが発生する駆動力により前記ロールの幅方向へ移動させるブレード横動部と、を備える溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置であって、
前記ロールへ押し付けた前記ブレード部がロールの幅方向へ移動する際に前記モータで発生するモータ負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、当該負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流に応じて前記ブレード部を前記ロールへ押し付ける押付力を変化させる押付力制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
本発明によると、ロールへ押し付けたブレード部がロールの幅方向へ移動する際にモータで発生するモータ負荷電流に応じて、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を変化させる。
ここで、モータ負荷電流は、モータが発生する駆動力によりロールの幅方向へ移動するブレード部と、ロールの表面に付着した付着物との接触状態により変化する電流値であり、付着物の量が多く、モータに加わる負荷が大きいほど、増加する電流値である。
【0018】
このため、ロールの幅方向へ移動させたブレード部が、ロールの表面に付着した付着物に接触すると、付着物の量に応じて変化するモータ負荷電流に応じて、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を変化させる。これにより、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を、ロールの表面に付着した付着物を除去するための適正値に制御することが可能となる。
【0019】
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記押付力制御手段は、前記負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超える場合、前記押付力を予め設定した押付力よりも増加させることを特徴とするものである。
本発明によると、負荷電流検出手段が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超える場合、押付力発生部が発生する押付力を予め設定した押付力よりも増加させる。
【0020】
ここで、予め設定した押付力とは、例えば、押付力制御手段がブレード部をロールへ押し付ける押付力を変化させていない状態における、ブレード部をロールへ押し付ける押付力の初期値である。
また、予め設定した負荷電流とは、例えば、ブレード部をロールへ押し付ける押付力が初期値である通常の作動状態において、ブレード部で除去することが可能な付着物に対し、ロールの幅方向へ移動させたブレード部が接触した際に発生する、モータ負荷電流の電流値である。
【0021】
このため、ロールの表面に付着した付着物の量が、通常の作動状態においてブレード部で除去することが可能な量である場合、モータ負荷電流が変化しても、押付力制御手段による押付力を変化させる制御を行わないため、押付力制御手段が行う制御を簡略化することが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した発明であって、前記押付力制御手段は、前記押付力を前記予め設定した押付力よりも増加させた時点から予め設定した周期が経過した後に前記負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下である場合、増加させた前記押付力を前記予め設定した押付力に戻すことを特徴とするものである。
【0022】
本発明によると、押付力を予め設定した押付力よりも増加させた時点から予め設定した周期が経過した後に、モータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下である場合、増加させた押付力を予め設定した押付力に戻す。
ここで、予め設定した周期とは、例えば、ロールの回転数や、ブレード部がロールの幅方向へ往復する回数等に応じて設定する周期である。
【0023】
このため、モータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下であり、ロールの表面に付着した付着物の量が減少している場合に、増加させた押付力を短時間で予め設定した押付力に戻すことが可能となり、増加させた押圧力によりロールの回転が阻害されることを抑制可能となる。
【0024】
次に、本発明のうち、請求項4に記載した発明は、請求項1から3のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記押付力制御手段は、前記負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流が大きいほど、前記押付力を増加させることを特徴とするものである。
【0025】
本発明によると、モータ負荷電流が大きいほど、押付力発生部が発生する押付力を増加させる。
このため、ロールの表面に付着した付着物の量が多いほど、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を増加させることが可能となり、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を、ロールの表面に付着した付着物を除去するための適正値に制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ロールへ押し付けたブレード部がロールの幅方向へ移動する際にモータで発生し、ロールの表面に付着した付着物の量に応じて変化するモータ負荷電流に応じて、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を変化させることが可能となる。このため、ブレード部をロールへ押し付ける押付力を、ロールの表面に付着した付着物を除去するための適正値に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施形態の表面付着物除去装置の構成を示す図である。
【図2】押付力制御手段の構成を示すブロック図である。
【図3】押付力制御手段が行う処理を示すフローチャートである。
【図4】一般的な連続溶融金属めっき装置(ライン)の構成を示す図である。
【図5】従来例の表面付着物除去装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1を用いて、本実施形態の表面付着物除去装置1の構成を説明する。
【0029】
図1は、本実施形態の表面付着物除去装置1の構成を示す図である。なお、図1中では、図4及び図5中に示したものと同様の構成について、同一符号を付して示している。
本実施形態の表面付着物除去装置1は、溶融金属めっき浴(以下、「めっき浴2」と記載する)中に配置したシンクロール4の表面に付着した付着物を除去する装置である。
めっき浴2は、溶融金属で形成されており、めっき槽6内に保持されている。なお、本実施形態では、溶融金属めっきを、溶融亜鉛めっきとした場合について説明する。したがって、本実施形態では、めっき浴2を、亜鉛めっき浴とする。
【0030】
シンクロール4は、斜め上方から下方へ向けてめっき浴2中へ供給された鋼帯(図示せず)の進行方向を鉛直上方に変換して、表面にめっきが付着した鋼帯を、めっき浴2の上方に引き上げるために用いるロールである(図4及び図5参照)。なお、本実施形態では、溶融金属めっきの対象とする鋼板を、冷延鋼板とした場合について説明する。
また、シンクロール4は、シンクロール4を回転自在に保持するロール支持部材8により、めっき槽6に対して支持され、めっき浴2中に配置されている。
【0031】
以下、表面付着物除去装置1の具体的な構成を説明する。
図1中に示すように、表面付着物除去装置1は、ブレード部10と、ブレード押圧部12と、ブレード横動部14と、負荷電流検出手段16と、押付力制御手段18を備えている。
ブレード部10は、一対のフレーム20a,20bと、接触部22を備えている。
【0032】
一対のフレーム20a,20bは、共に、軸を鉛直方向に向けた棒状部材であり、シンクロール4の幅方向に沿って、互いに離間して配置されている。
具体的には、図1中に示すように、一対のフレーム20a,20bは、シンクロール4の幅方向に沿って、互いに離間して配置されている。具体的には、後述するブレード押圧部12の中心を鉛直方向に通過する中心線とフレーム20aとの距離と、ブレード押圧部12の中心線とフレーム20bとの距離が同一となるように配置されている。
【0033】
また、フレーム20a,20bの先端側(下端側)には、接触部22が取り付けられており、フレーム20a,20bの基端側(上端側)は、ブレード押圧部12に取り付けられている。
接触部22は、シンクロール4の表面と接触した状態で、シンクロール4の回転やブレード部10の移動に伴い、シンクロール4の表面に付着した付着物を除去可能な形状に形成されている。
【0034】
また、接触部22は、フレーム20aの先端側とフレーム20bの先端側に対し、両フレーム20a,20bから受ける荷重が、均等な荷重となるように取り付けられている。
ブレード押圧部12は、ブレード部10をシンクロール4の径方向へ変位させるエアシリンダ(図示せず)を備えている。なお、図1中では、ブレード部10をシンクロール4の径方向へ変位させる方向(変位方向)を、上下方向への矢印で示している。
エアシリンダは、ブレード部10をシンクロール4から離間させる方向への弾性力を有するバネ部材を備えている。
また、エアシリンダは、例えば、図外の圧縮機(コンプレッサー)に連結されており、圧縮機から供給される圧縮空気を導入することにより、バネ部材の弾性力を低下させて、ブレード部10をシンクロール4側へ変位させる。これにより、ブレード部10の接触部22をシンクロール4へ押し付けて、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける。
【0035】
以上により、ブレード押圧部12は、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を発生する。
ブレード横動部14は、ねじ軸24と、ナット26と、モータ28と、モータ制御手段30と、ガイドレール32を備えており、ロール支持部材8上に載置されている。
ねじ軸24は、軸をシンクロール4の幅方向に延在させて配置した棒状部材であり、外周面に螺旋状のねじ軸側転動溝(図示せず)を有している。
【0036】
ナット26は、ねじ軸24の外周側に配置された筒状部材であり、内周面に、ねじ軸側転動溝と対向する螺旋状のナット軸側転動溝(図示せず)を有している。ねじ軸側転動溝とナット軸側転動溝との間に形成される転動体転動路には、鋼球等で形成された複数の転動体(図示せず)が転動自在に装填されている。
すなわち、ねじ軸24及びナット26は、公知のボールねじを形成している。
【0037】
また、ナット26の外周面には、ブレード押圧部12が取り付けられている。
モータ28は、その駆動軸が、ねじ軸24の一端に、プロペラシャフト34を介して接続されており、ねじ軸24を正方向及び逆方向へ回転可能な駆動力を発生する。
モータ28を駆動させて、ねじ軸24を回転させると、転動体転動路内における各転動体の転動を介して、ナット26がねじ軸24の軸方向(シンクロール4の幅方向)へ移動し、ナット26に取り付けられているブレード押圧部12が、シンクロール4の幅方向へ移動する。これにより、ブレード部10が、シンクロール4の幅方向へ移動する。
【0038】
したがって、モータ28は、ブレード部10をシンクロール4の幅方向へ移動させる駆動力を発生する。
モータ制御手段30は、シンクロール4の回転数等に応じて、モータ28の回転数及び回転方向を制御する。これは、例えば、シンクロール4の回転数と、シンクロール4の表面全体に対して、ブレード部10の接触部22を接触させる範囲との関係により設定する。具体的には、シンクロール4の回転数が少ない状態に対し、シンクロール4の表面全体に対してブレード部10の接触部22を接触させる場合は、シンクロール4の回転速度に対して、モータ28の回転数を早くする。
【0039】
ガイドレール32は、軸をシンクロール4の幅方向に延在させて配置した棒状部材であり、ブレード押圧部12を、シンクロール4の幅方向へ移動可能に支持するとともに、ブレード押圧部12に生じるねじ軸24の周方向への変位を規制している。
負荷電流検出手段16は、例えば、公知の電流検出用センサで形成されており、モータ28で発生するモータ負荷電流を検出する。そして、この検出したモータ負荷電流を含む情報信号を、押付力制御手段18へ出力する。
【0040】
ここで、モータ負荷電流は、シンクロール4へ押し付けた状態のブレード部10がシンクロール4の幅方向へ移動する際に、モータ28で発生する電流である。
また、モータ負荷電流は、モータ28が発生する駆動力によりシンクロール4の幅方向へ移動するブレード部10と、シンクロール4の表面に付着した付着物との接触状態により変化する。
【0041】
具体的には、モータ負荷電流は、シンクロール4の表面に付着した付着物の量が多く、シンクロール4の表面に付着した付着物に対して、シンクロール4の幅方向へ移動するブレード部10が接触した際に、モータ28に加わる負荷が大きいほど増加する。
押付力制御手段18は、負荷電流検出手段16が出力した情報信号に基づき、圧縮機からエアシリンダへ導入する圧縮空気の圧力(気圧)を調節する。
【0042】
具体的には、負荷電流検出手段16が出力した情報信号が含むモータ負荷電流に基づき、圧縮機からエアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を調節して、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を、シンクロール4の表面に付着した付着物を除去するために適正な値(適正値)に制御する。
以下、図1を参照しつつ、図2及び図3を用いて、押付力制御手段18の構成について説明する。なお、図2は、押付力制御手段18の構成を示すブロック図である。
【0043】
図2中に示すように、押付力制御手段18は、押付力決定部36と、押付力補正部38を備えている。
押付力決定部36は、予め設定した押圧力と、押付力補正部38が出力する指令信号に基づいて、圧縮機からエアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を決定し、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を制御する。
【0044】
ここで、予め設定した押付力とは、例えば、押付力制御手段18がブレード部をシンクロール4へ押し付ける押付力を変化させていない状態における、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力の初期値であり、押付力決定部36に、予め記憶させておく。
押付力補正部38は、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超える場合、ブレード押圧部12が発生する押付力を、予め設定した押付力よりも増加させる指令信号を演算し、この演算した指令信号を押付力決定部36へ出力する。
【0045】
具体的には、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流に対応する閾値電流以下である状態では、ブレード押圧部12が発生する押付力が、予め設定した押付力に維持されるように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算する。
なお、本実施形態では、一例として、通常の作動状態においてブレード押圧部12が発生する予め設定した押付力を、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を0.1[Mp]程度に調節した場合における、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力とする。
【0046】
一方、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流に対応する閾値電流を越える状態では、ブレード押圧部12が発生する押付力が、予め設定した押付力を超えるように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算する。
この場合、本実施形態では、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を0.1[Mp]を超える値(例えば、0.2[Mp]程度)として、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を増加させる。
【0047】
ここで、予め設定した負荷電流とは、通常の作動状態においてブレード押圧部12が発生する予め設定した押付力によりブレード部10で除去することが可能な付着物に対して、シンクロール4の幅方向へ移動させたブレード部10が接触した際に発生する、モータ負荷電流の電流値であり、押付力補正部38に、予め記憶させておく。
また、押付力補正部38は、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を、予め設定した押付力よりも増加させた時点から予め設定した周期が経過した後に、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下である場合は、増加させた押付力を、予め設定した押付力に戻す。
【0048】
具体的には、ブレード押圧部12が発生する押付力が減少して、予め設定した押付力となるように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算する。
ここで、予め設定した周期とは、例えば、シンクロール4の回転数や、ブレード部10がシンクロール4の幅方向へ往復する回数等に応じて設定する周期であり、押付力補正部38に、予め記憶させておく。本実施形態では、一例として、シンクロール4が一回転する状態を、予め設定した周期とした場合を説明する。
【0049】
さらに、押付力補正部38は、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が大きいほど、ブレード押圧部12が発生する押付力を増加させる。
具体的には、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流を超える電流値である場合、モータ負荷電流が大きいほど、ブレード押圧部12が発生する押付力が増加するように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算する。
【0050】
次に、図1及び図2を参照しつつ、図3を用いて、押付力制御手段18が行う処理を説明する。なお、図3は、押付力制御手段18が行う処理を示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、押付力決定部36が、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を0.1[Mp]程度に調節している状態、すなわち、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を、予め設定した押付力としている状態からスタートする(START)。
【0051】
ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を予め設定した押付力とした状態で、ブレード部10をシンクロール4の幅方向へ移動させると、押付力補正部38が、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超えているか否かを判定(図中に示す「モータ負荷電流>予め設定した負荷電流?」)する(ステップS10)。
【0052】
ステップS10において、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超えていない(図中に示す「No」)と判定すると、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS12へ移行する。
一方、ステップS10において、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超えている(図中に示す「Yes」)と判定すると、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS14へ移行する。
【0053】
ステップS12では、押付力補正部38が、ブレード押圧部12が発生する押付力が予め設定した押付力に維持(図中に示す「予め設定した押付力に維持」)されるように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算し、この演算した指令信号を押付力決定部36へ出力する。そして、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS12からステップS10へ移行する。
【0054】
一方、ステップS14では、押付力補正部38が、ブレード押圧部12が発生する押付力が予め設定した押付力を超える(図中に示す「予め設定した押付力よりも増加」)ように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算し、この演算した指令信号を押付力決定部36へ出力する。そして、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS14からステップS16へ移行する。
【0055】
ステップS16では、押付力補正部38が、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流の強さに比例して、ブレード押圧部12が発生する押付力が増加(図中に示す「モータ負荷電流の強さに比例して押付力を増加」)するように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算し、この演算した指令信号を押付力決定部36へ出力する。そして、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS16からステップS18へ移行する。
【0056】
ステップS18では、押付力補正部38が、ステップS14において、押付力を増加させた時点から予め設定した周期が経過した後に、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下であるか否かを判定(図中に示す「モータ負荷電流≦予め設定した負荷電流?」)する。
ステップS18において、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超えている(図中に示す「No」)と判定すると、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS20へ移行する。
【0057】
一方、ステップS18において、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下である(図中に示す「Yes」)と判定すると、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS22へ移行する。
ステップS20では、押付力補正部38が、ブレード押圧部12が発生する押付力が予め設定した押付力を超える状態に維持(図中に示す「増加させた押付力を維持」)されるように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算し、この演算した指令信号を押付力決定部36へ出力する。そして、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS20からステップS14へ移行する。
【0058】
一方、ステップS22では、押付力補正部38が、予め設定した押付力よりも増加させた、ブレード押圧部12が発生する押付力が予め設定した押付力へ戻る(図中に示す「予め設定した押付力へ戻す」)ように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算し、この演算した指令信号を押付力決定部36へ出力する。そして、押付力制御手段18が行う処理は、ステップS22からステップS10へ移行する。
【0059】
以上により、押付力制御手段18は、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流に応じて、ブレード押圧部12が発生する、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を変化させる。
なお、特に図示しないが、めっき浴2中に懸濁している不純物をめっき槽6の外部へ排出可能なポンプや、めっき浴2中に懸濁している不純物を捕捉可能なフィルター等を備える構成としてもよい。
【0060】
(表面付着物除去方法)
以下、図1から図5を参照し、本実施形態の表面付着物除去装置1を用いて、シンクロール4の表面に付着した付着物を除去する表面付着物除去方法を説明する。
表面付着物除去方法では、まず、めっき槽6内に保持しためっき浴2中に配置し、且つ連続的に供給される鋼帯Sにより回転するシンクロール4に対し、ブレード部10を押し付けた状態で、ブレード部10をシンクロール4の幅方向へ移動させる。
【0061】
具体的には、押付力制御手段18が、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を、初期値である0.1[Mp]程度に調節する。これに加え、ブレード横動部14が、ブレード部10をシンクロール4の幅方向へ移動させる。これにより、シンクロール4の回転や、ブレード部10のシンクロール4の幅方向への移動に伴い、シンクロール4の表面に付着している付着物を、ブレード部10により除去する。
【0062】
そして、シンクロール4に対するブレード部10の押し付けと、シンクロール4の幅方向へのブレード部10の移動を実施しながら、負荷電流検出手段16により、モータ28で発生するモータ負荷電流を検出する。
ここで、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流以下である場合、シンクロール4の表面に付着している付着物の量が多くないため、押付力制御手段18は、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を0.1[Mp]程度に調節した状態を維持する。
【0063】
一方、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流を超えている場合、シンクロール4の表面に付着している付着物の量が多いため、押付力制御手段18は、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を、0.1[Mp]程度から0.2[Mp]程度に増加させる。
押付力制御手段18が、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を増加させると、ブレード部10をシンクロール4から離間させる方向への弾性力が低下して、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力が増加する。
【0064】
これにより、シンクロール4の表面に付着している付着物の量が多い状態であっても、ブレード部10のシンクロール4の幅方向への移動に伴い、シンクロール4の表面に付着している付着物は、ブレード部10により除去される。
押付力制御手段18が、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を増加させた後、予め設定した周期が経過した後に負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流以下である場合、押付力制御手段18は、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を0.1[Mp]程度に減少させる。これは、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流を超えた状態から、予め設定した負荷電流以下となると、シンクロール4の表面に付着している付着物の量が減少しているためである。
【0065】
なお、押付力制御手段18による、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧の変化は、シンクロール4の表面に付着している付着物の量が多い位置を特定し、この特定した位置に対して行ってもよい。
具体的には、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流を超えている位置を特定し、この特定した部分のみに対して、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を増加させる。この場合、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が、予め設定した負荷電流を超えている位置の特定は、例えば、シンクロール4の回転速度と、モータ28の回転数に応じたナット26の移動速度に基づいて行う。
【0066】
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の表面付着物除去装置1では、負荷電流検出手段16が検出した、シンクロール4へ押し付けたブレード部10がシンクロール4の幅方向へ移動する際にモータ28で発生するモータ負荷電流に応じて、押付力制御手段18が、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を変化させる。
【0067】
このため、シンクロール4の幅方向へ移動させたブレード部10が、シンクロール4の表面に付着した付着物に接触すると、付着物の量に応じて変化するモータ負荷電流に応じて、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を変化させる。
その結果、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を、シンクロール4の表面に付着した付着物を除去するための適正値に制御することが可能となり、溶融金属めっき鋼板に、押し疵等の欠陥が発生することを抑制することが可能となる。
【0068】
(2)本実施形態の表面付着物除去装置1では、押付力制御手段18が、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超える場合、ブレード押圧部12が発生する押付力を、予め設定した押付力よりも増加させる。
このため、シンクロール4の表面に付着した付着物の量が、通常の作動状態においてブレード部10で除去することが可能な量である場合、モータ負荷電流が変化しても、押付力制御手段18による押付力を変化させる制御を行わない。
その結果、押付力制御手段18が行う制御を簡略化することが可能となるため、表面付着物除去装置1にかかる負荷を低減させることが可能となる。
【0069】
(3)本実施形態の表面付着物除去装置1では、押付力制御手段18が、ブレード押圧部12が発生する押付力を予め設定した押付力よりも増加させた時点から予め設定した周期が経過した後に、モータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下である場合、増加させた押付力を予め設定した押付力に戻す。
このため、モータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下であり、シンクロール4の表面に付着した付着物の量が減少している場合に、増加させた押付力を短時間で予め設定した押付力に戻すことが可能となる。
その結果、増加させた押圧力によりシンクロール4の回転が阻害されることを抑制可能となるため、溶融金属めっき鋼板の製造効率が低下することを抑制可能となる。
【0070】
(4)本実施形態の表面付着物除去装置1では、押付力制御手段18が、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が大きいほど、ブレード押圧部12が発生する押付力を増加させる。
このため、シンクロール4の表面に付着した付着物の量が多いほど、ブレード押圧部12が発生する押付力を増加させることが可能となる。
その結果、ブレード部10をシンクロール4へ押し付ける押付力を、シンクロール4の表面に付着した付着物を除去するための適正値に制御することが可能となるため、溶融金属めっき鋼板に、押し疵等の欠陥が発生することを抑制することが可能となる。
【0071】
(5)本実施形態の表面付着物除去装置1では、ブレード押圧部12が、ブレード部10をシンクロール4の径方向へ変位させるエアシリンダを備えている。これに加え、エアシリンダを、ブレード部10をシンクロール4から離間させる方向への弾性力を有するバネ部材を備え、圧縮機から供給される圧縮空気を導入することにより、バネ部材の弾性力を低下させる構成としている。
このため、シンクロール4の表面に付着した付着物の量が多く、シンクロール4の幅方向へ移動するブレード部10が、付着物との接触により損傷するおそれがある場合であっても、ブレード部10が、付着物から受ける反力及びバネ部材の弾性力により、シンクロール4から離れる方向へ変位する。
【0072】
その結果、ブレード押圧部12が、例えば、モータ等のアクチュエータを備え、ブレード部10の位置を固定する構成である場合と比較して、ブレード部10の損傷を抑制することが可能となる。
【0073】
(応用例)
以下、本実施形態の応用例を列挙する。
(1)本実施形態の表面付着物除去装置1では、溶融金属めっきを溶融亜鉛めっきとしたが、これに限定するものではなく、溶融金属めっきを、溶融錫めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融鉛めっき等としてもよい。また、溶融金属めっきを、例えば、溶融アルミニウムと溶融亜鉛との合金を用いた、アルミニウム−亜鉛合金めっきとしてもよい。
(2)本実施形態の表面付着物除去装置1では、表面に付着した付着物の除去対象とするロールを、シンクロール4としたが、これに限定するものではない。すなわち、表面に付着した付着物の除去対象とするロールを、図4中に示すコレクトロール等、シンクロール4以外の、めっき浴2中に配置したロールとしてもよい。
【0074】
(3)本実施形態の表面付着物除去装置1では、ブレード押圧部12を、エアシリンダを備える構成としたが、これに限定するものではなく、ブレード押圧部12を、例えば、モータ駆動によりブレード部10を変位させる機構としてもよい。
(4)本実施形態の表面付着物除去装置1では、ブレード横動部14をボールねじにより形成したが、これに限定するものではなく、ブレード横動部14を、例えば、リニアガイドにより形成してもよい。この場合、ブレード横動部14は、案内レールと、この案内レールと相対移動可能であり、ブレード部10を取り付けるスライダを備える構成とする。
【0075】
(5)本実施形態の表面付着物除去装置1では、溶融金属めっきの対象とする鋼板を、冷延鋼板としたが、これに限定するものではなく、溶融金属めっきの対象とする鋼板を、熱延鋼板としてもよい。
(6)本実施形態の表面付着物除去装置1では、押付力補正部38が、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超える電流値である場合、モータ負荷電流が大きいほど、ブレード押圧部12が発生する押付力が増加するように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算する。しかしながら、これに限定するものではない。すなわち、例えば、負荷電流検出手段16が検出したモータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下の電流値である場合でも、押付力補正部38が、モータ負荷電流が大きいほど、ブレード押圧部12が発生する押付力が増加するように、エアシリンダへ導入する圧縮空気の気圧を制御する指令信号を演算してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 表面付着物除去装置
2 めっき浴
4 シンクロール
6 めっき槽
8 ロール支持部材
10 ブレード部
12 ブレード押圧部
14 ブレード横動部
16 負荷電流検出手段
18 押付力制御手段
20 フレーム
22 接触部
24 ねじ軸
26 ナット
28 モータ
30 モータ制御手段
32 ガイドレール
34 プロペラシャフト
36 押付力決定部
38 押付力補正部
40 ガス噴射ノズル
42 合金化炉
44 コレクトロール
S 鋼帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属めっき浴中に配置したロールの表面に接触するブレード部と、当該ブレード部を前記ロールへ押し付けるブレード押圧部と、前記ブレード部をモータが発生する駆動力により前記ロールの幅方向へ移動させるブレード横動部と、を備える溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置であって、
前記ロールへ押し付けた前記ブレード部がロールの幅方向へ移動する際に前記モータで発生するモータ負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、当該負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流に応じて前記ブレード部を前記ロールへ押し付ける押付力を変化させる押付力制御手段と、を備えることを特徴とする溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置。
【請求項2】
前記押付力制御手段は、前記負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流が予め設定した負荷電流を超える場合、前記押付力を予め設定した押付力よりも増加させることを特徴とする請求項1に記載した溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置。
【請求項3】
前記押付力制御手段は、前記押付力を前記予め設定した押付力よりも増加させた時点から予め設定した周期が経過した後に前記負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流が予め設定した負荷電流以下である場合、増加させた前記押付力を前記予め設定した押付力に戻すことを特徴とする請求項2に記載した溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置。
【請求項4】
前記押付力制御手段は、前記負荷電流検出手段が検出した前記モータ負荷電流が大きいほど、前記押付力を増加させることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した溶融金属めっき浴中ロールの表面付着物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−179034(P2011−179034A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41880(P2010−41880)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】