説明

濾過槽構成部材及びこれを用いる濾過槽

【課題】被処理水中の汚濁物質の除去と放射性物質の除染を効果的に然も簡易に行い得る濾過槽を提供する。
【解決手段】有底で上端開放部が閉蓋可能となされた外筒体10内に、上端が開放された濾過筒体13を立設状態で納設する。濾過筒体13と外筒体10との間に設けられた流入空間15に、外筒体10の側壁部に設けた流入口27から被処理水が流入する。流入口27よりも低い位置に流出口30が設けられており、濾過筒体13の下部側には取水部17を有する。濾過筒体13内に配設した板状支持部材20の上下に第2の濾材層25と第1の濾材層22を設ける。流入口27から流入した被処理水は、取水部17から濾過筒体13内に導入されて上昇し、第1の濾材層22により汚濁物質が除去され、第2の濾材層25で放射性物質が吸着される。処理水は流出口30を通して排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過槽構成部材に関するものであり、又、該濾過槽構成部材を用いる濾過槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路排水に含有されている汚濁物質を除去処理して下水処理の負担を軽減する目的で、実用新案登録第3148921号公報(特許文献1)が開示する雨水濾過器が提案されている。
【0003】
該雨水濾過器は、図22に示すように、外筒aの上端外周面に連結された流入管bから流入した路面排水を、外筒aと内筒cとの間を流下させて連通部dから該内筒c内に流入させる如くなされている。そして、該内筒cには、下部フィルタ板eと、上部フィルタ板fとの間で区画された空間内に濾材gが収容され、該内筒c内に流入した排水が該濾材gを下方から上方へ通過する間に汚濁物質が該濾材gで濾過され、前記内筒cの上部に外筒aを貫通して設けた流出管hから外部へ排出させるように構成されていた。又、前記流入管bから、降雨開始から時間が経過して汚濁物質が少ない雨水が、処理能力を超えて流入した場合は、該流入雨水が前記濾材gを通ることなく直接流出管hより排出されるようになされていた。
【0004】
前記濾材gとしては、親油性物質を吸着する能力の高い発泡ポリプロピレン製のものが好適に用いられ、該濾材gは、前記外筒aの上端を閉蓋する蓋体jや前記上部フィルタ板fを取り外すことにより、該外筒aの上端kを通して該濾材gを交換可能となされていた。そして、前記上部フィルタ板fは前記流出管hの下端mと略同高さにある。従って前記濾材gの上端nは、該下端mよりも稍低い位置に位置していた。
【0005】
ところで、例えば原子力発電所で放射性物質漏れ事故が発生したとき、放出された放射性物質や放射性物質を含んだ塵が、風に運ばれて或いは降雨に含有されて田畑や道路、建物の屋根等に広範囲に亘って降下した場合、被曝を防止するために該放射性物質の除染を効果的に行うことは極めて重要である。
【0006】
例えば建物の屋根に降下した放射性物質は、降雨水と共に集められて雨樋を通して側溝等に流れ込むため一旦は屋根から除去された状態となっても、田畑や道路等に積もっている放射性物質が風で舞い上がって飛ばされることによって再び屋根に降下しやすい。このように、放射性物質が一時的に屋根から除去されたとしても屋根の汚染は長期間に亘って続くことになる。
【0007】
かかることから、側溝等への放射性物質の流入が長期間に亘って継続することになる。そして、このように側溝等に流れ込んだ放射性物質は、側溝等に堆積している汚泥に吸着され易いために、濃縮された放射性物質で建物の周辺が汚染された状態になりやすい。このような汚染を極力防止するためには、雨樋を流下した雨水中の放射性物質を除染することを要する。特に保育園や幼稚園、小学校にあっては、濃縮された放射性物質で建物周辺が汚染されることは幼児や児童に対する放射線の影響がより大きいことに鑑みれば除染の必要性がより高いと言える。
【0008】
そして、放射性物質の除染の必要性は、建物の屋根に限らず、建物の壁面や道路等の色々な場所において必要であり、然もその除染は、コスト上昇を抑えて簡易に然も効率的に行えることが望まれる。
【0009】
そこで前記特許文献1記載の雨水濾過器の利用が考えられるが、この雨水濾過器はあくまでも、路面排水に含有されている汚濁物質の除去処理を目的としたものであり、放射性物質を効率的に除染することまでは考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3148921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、被処理水を効率的に濾過し得る濾過槽を構成するための濾過槽構成部材の提供を課題とするものであり、又、放射性物質等を含有する被処理水の濾過を効率的に達成し得る濾過槽の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る濾過槽構成部材は、被処理水を濾過する濾過槽を構成する濾過槽構成部材であって、濾過筒体と、該濾過筒体内の所要高さ位置に配設され且つ引き上げて該濾過筒体から取り外し可能の板状支持部材とを具え、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられると共に、該板状支持部材の上面部には、濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されるものとなされている。又、前記濾過筒体の下部側には、前記被処理水を該濾過筒体内に導入させる取水部を有すると共に該濾過筒体の上部側には、濾過された処理水を該濾過筒体の外部に排出させる流出口が設けられている。又、前記板状支持部材の前記上面部は、前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、該上面部の上側であって且つ該下端の下側に水溜まり用空所が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
又、本発明に係る濾過槽は、下部側に取水部を有し且つ上部側に流出口を有する濾過筒体内の所要高さ位置に板状支持部材が配設され、該板状支持部材は、引き上げて該濾過筒体から取り外し可能となされ、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられており、該板状支持部材の上面部は、前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、該上面部の上側であって且つ該下端の下側に水溜まり用空所が形成され、該板状支持部材の少なくとも上面部には濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されている。又、前記取水部から前記濾過筒体内に導入されて上昇した被処理水が前記水溜まり用空所に溜まることによって水溜まり部が形成される如くなされており、該被処理水は、該水溜まり部に設置されている前記濾材層で濾過され、濾過された処理水が前記流出口を通して前記濾過筒体の外部に排出されるようになされていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る濾過槽のより具体的な態様は、下部側に取水部を有し且つ上部側に流出口を有する濾過筒体内の所要高さ位置に板状支持部材が配設され、該板状支持部材は、引き上げて該濾過筒体から取り外し可能となされ、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられており、該板状支持部材の上面部は、前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、該上面部の上側であって且つ該下端の下側に水溜まり用空所が形成され、該板状支持部材の少なくとも上面部には濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されている。又、該上面部に設置されている前記濾材層は、該流出口の下端の下側に存する下の濾材層と、該下端の上側に存する上の濾材層とからなり、前記取水部から前記濾過筒体内に導入されて上昇した被処理水が前記水溜まり用空所に溜まることによって水溜まり部が形成される如くなされており、該被処理水は、該水溜まり部に設置されている前記濾材層で濾過され、濾過された処理水が前記流出口を通して前記濾過筒体の外部に排出されるようになされていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る濾過槽のより具体的な他の態様は、有底で且つ上端解放部が蓋板で閉蓋可能となされた外筒体と、該外筒体内に立設状態で納設され且つ上端が開放された濾過筒体との間に流入空間が設けられており、該外筒体の側壁部には、被処理水を流入させる流入口が設けられると共に、前記濾過筒体の側壁部には、該濾過筒体内で濾過された処理水を前記外筒体の外部に排出させる流出口が設けられている。又、前記濾過筒体の下部側には、前記流入口から前記流入空間に流入した前記被処理水を該濾過筒体内に導入させる取水部が設けられており、前記濾過筒体内の所要高さ位置に板状支持部材が配設され、該板状支持部材は、引き上げて該濾過筒体から取り外し可能となされ、又、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられると共に、該板状支持部材の少なくとも上面部には濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されている。又、該板状支持部材の上面部は前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、前記取水部から前記濾過筒体内に導入されて上昇した被処理水が前記水溜まり用空所に溜まることによって水溜まり部が形成される如くなされており、該被処理水は、該水溜まり部に設置されている前記濾材層で濾過され、濾過された処理水が前記流出口を通して前記外筒体の外部に排出されるようになされていることを特徴とするものである。
【0016】
外筒体を具える前記濾過槽において、前記濾過筒体に、前記流出口よりも高い位置にオーバーフロー口を設けると共に、前記板状支持部材の上面部に設置されている前記濾材層は、前記流出口の下端の下側に存する下の濾材層と、該下端の上側に存する上の濾材層とからなるものとし、前記流入空間で水位が上昇したときに前記被処理水が該オーバーフロー口から前記濾過筒体内に流入し、該流入した被処理水が前記上の濾材層でも濾過されるようになすのがよい。
【0017】
前記濾材層が上の濾材層を有する場合、該上の濾材層の上面部が前記流出口の上端よりも低い位置に存するようになすのがよい。
【0018】
前記の各濾過槽において、前記濾過筒体は円筒状を呈する如くなすと共に前記板状支持部材は円板状を呈する如くなし、該板状支持部材の外周縁部の対向側で、該板状支持部材の上方に延びる縦棒材を突設すると共に該両縦棒材の上端部相互を、着脱可能の把手部材で連結可能とするのがよい。
【0019】
前記の各濾過槽において、前記被処理水が放射性物質を含有する場合、前記板状支持部材の下面部と上面部に濾材層を設け、前記下面部に設けられた第1の濾材層は、発泡ポリプロピレンの細片をメッシュ状袋に収容してなる濾材袋として構成し、該濾材袋を前記板状支持部材の下面部に着脱可能に取り付け、前記板状支持部材を持ち上げて外部に取り出したときに該第1の濾材層が同時に持ち上げられるようになし、又、前記上面部に設けられた第2の濾材層は、粒状のゼオライトをメッシュ状袋に収容してなる濾材袋として構成し、該濾材袋を前記板状支持部材の上面部に、該上面部と分離された状態で設置し、該濾材袋を持ち上げて外部に取り出し可能に構成するのがよい。
【0020】
前記の各濾過槽において、前記被処理水は、建物の屋根に降下した放射性物質が降雨水と共に集められてなる、放射性物質を含有するものである場合、前記外筒体は地面に設置するのがよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る濾過槽構成部材は、濾過筒体と、該濾過筒体内の所要高さ位置に配設され且つ引き上げて該濾過筒体から取り外し可能の板状支持部材とを具え、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられると共に、該板状支持部材の上面部には、濾材層がその自重によって設置されるものとなされており、又、前記濾過筒体の下部側には、前記被処理水を該濾過筒体内に導入させる取水部を有すると共に該濾過筒体の上部側には、濾過された処理水を前記濾過筒体の外部に排出させる流出口が設けられている。又、前記板状支持部材の前記上面部は、前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、該上面部の上側であって且つ該下端の下側に水溜まり用空所が形成されている。そして本発明に係る濾過槽は、該濾過槽構成部材を用い、前記板状支持部材の少なくとも上面部に濾材層を設置して構成されている。
【0022】
従って本発明によるときは、被処理水に含有されている放射性物質等の濾過を、前記水溜まり用空所の前記水溜まり部において行うことができる。該水溜まり部においては、被処理水と濾材層との接触時間をより長く確保できるため、放射性物質等の濾過を効率的に行い得ることとなる。
【0023】
もしも、該板状支持部材の上面部を流出口の下端と同高さに設定したとすれば、該板状支持部材の通水孔を通して上昇した水が、その上面部に設置されている濾材層の底部分を前記流出口に向けて素通りしやすいために、前記被処理水と前記濾材層との接触が不十分となって放射性物質等の濾過効率が悪くなるが、前記水溜まり部を形成する本発明によるときは、前記のように濾過を効率的に行い得るのである。
【0024】
(2) 前記濾過槽を、外筒体内に濾過筒体を立設状態で納設して構成する場合は、被処理水の流入口と処理水の流出口との間の水位落差を容易に形成できることとなり、該被処理水を自然流下によって前記流出口に排出させ得る。
【0025】
(3) 前記被処理水が放射性物質を含有する場合において、前記板状支持部材の下面部と上面部に、前記第1の濾材層と前記第2の濾材層を設けるときは、前記被処理水中の汚濁物質を第1の濾材層によって効果的に除去した後に、前記第2の濾材層によって放射性物質を効果的に除染できることとなる。そして、放射性物質を吸着する前記第2の濾材層を、前記板状支持部材の上面部と分離された状態で該上面部に設置する場合は、長期間に亘って交換する必要のない前記第1の濾材層はそのまま残しながら、交換頻度の高い前記第2の濾材層だけを容易に引き上げて交換できる利点がある。
【0026】
(4) 特に、前記濾過筒体に、前記流出口よりも高い位置にオーバーフロー口を設ける場合は、前記流入空間への被処理水の単位時間当たりの流入量が多い場合、該流入空間における水位が設定水位を超えた後は、該オーバーフロー口から濾過筒体内に被処理水をオーバーフローさせることができ、これにより、流入空間における水位の異常上昇に伴う被処理水の逆流現象を防止できる。そしてこの場合、前記板状支持部材の上面部に設置されている前記濾材層が、前記流出口の下端の上側に存する上の濾材層を有する如く構成するときは、オーバーフローによって濾過筒体内に流入した被処理水中含まれている放射性物質等を該上の濾材層でも濾過できることとなる。
【0027】
このとき、該上の濾材層の上面部を、前記流出口の上端よりも低い位置に設定することにより、該流出口の開放された上部分で、処理水を含め、オーバーフローした水の流出が円滑に行われることとなる。
【0028】
(5) 前記オーバーフロー口を設けない場合において、前記濾材層が、前記流出口の下端の上側に存する上の濾材層を有する如く構成するときにおいても、被処理水と濾材層との接触時間をより長く確保できることから、放射性物質等をより効率的に濾過できることとなる。
【0029】
(6) 又、前記板状支持部材を円板状に形成すると共にその外周縁部の対向側で、該板状支持部材の上方に延びる縦棒材を突設し、該両縦棒材の上端部相互を、着脱可能の把手部材で連結可能とするときは、該把手部材を取り外すことにより、該板状支持部材の上方に広い空間部を形成できることになる。従って、該広い空間部を通して前記第2の濾材層の交換作業を容易且つ能率的に行い得ることとなる。
【0030】
(7) 特に、前記被処理水が、建物の屋根に降下した放射性物質が降雨水と共に集められてなる、放射性物質を含む場合において、前記外筒体を地面に設置するときは、該放射性物質を除染する濾過槽を、特別な土木施工を要さずに建物に近接して簡易に設置でき、又、配管も容易となる。更に該濾過槽は、地上に設置されることから移設も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る濾過槽の使用状態を示す説明図である。
【図2】その濾過槽の構成を示す断面図である。
【図3】外筒体を示す分解斜視図である。
【図4】濾過槽を示す分解斜視図である。
【図5】濾過槽における流入管の取り付け状態を示す斜視図である。
【図6】濾過槽における流出管の取り付け状態を示す斜視図である。
【図7】濾過筒体に設けられているL字状係合溝と該L字状係合溝に対する把手具の係合要領を示す斜視図である。
【図8】板状支持部材とそれに設けられる引き上げ用の把手具と、第1の濾材層を示す斜視図である。
【図9】板状支持部材に立設された両縦棒材の上端部相互を把手部材で連結した状態を示す正面図と、該把手部材を取り外した状態を示す正面図である。
【図10】濾過筒体内に収容した板状支持部材の下面部に第1の濾材層を設けると共にその上面部に第2の濾材層を設置した状態を示す断面図である。
【図11】第2の濾材層を取り外した状態を示す断面図である。
【図12】第1の濾材層を取り外した状態を示す斜視図である。
【図13】濾過槽の他の実施例を示す断面図である。
【図14】濾過筒体内への第1の濾材層の他の収容状態を示す断面図である。
【図15】濾過筒体の下部側に設けた取水部の他の態様を示す斜視図である。
【図16】濾過筒体の下部側に設ける取水部の他の態様を示す断面図である。
【図17】流入口と流出口の他の態様を示す断面図である。
【図18】板状支持部材で立設された縦棒材の上端部に設けた把手部の他の態様を示す斜視図である。
【図19】L字状係合溝の他の態様を示す斜視図である。
【図20】板状支持部材に立設した縦棒材の上端部相互を把手部材で連結した他の態様を示す斜視図である。
【図21】板状支持部材の浮き上がりを防止する他の態様を示す断面図である。
【図22】従来の雨水濾過器の構成とその作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0032】
図1〜2において本発明に係る濾過槽1は、建物2の屋根3に降下した放射性物質が降雨水と共に集められてなる被処理水5中の該放射性物質を除染ために応用されており、該建物2に近接させて地面6に設置されている。
【0033】
該濾過槽1の概略構成を説明すれば、本実施例においては図2に示すように、有底で上端開放部7が蓋板9で閉蓋可能となされた外筒体10と、該外筒体10内に立設状態で納設され且つ上下端11,12が開放された濾過筒体13とを具え、該外筒体10と該濾過筒体13との間に流入空間15が設けられ、該濾過筒体13の下部側16には取水部17が設けられている。
【0034】
又、該濾過筒体13内の所要部位に、上下方向に通水孔19が設けられた板状支持部材20が配設され、該板状支持部材20の下面部21には、前記被処理水5中の汚濁物質を除去する第1の濾材層22が設けられると共に、該板状支持部材20の上面部23には、該被処理水5中の放射性物質を吸着する、除染用の濾材層18としての第2の濾材層25が設けられている。又、該外筒体10の側壁部26には、前記被処理水5を流入させるための流入口27が設けられると共に、前記濾過筒体13の側壁部29には、該流入口27よりも低い位置に、濾過処理された処理水を前記外筒体10の外部に排出させる流出口30が設けられており、該流入口27と該流出口30は、本実施例においては左右対向側31,32に設けられている。
【0035】
そして本実施例においては、濾過槽1を、外筒体10と濾過筒体13との組み合わせで構成することによって、前記のように流入空間15を構成することとし、且つ、前記流出口30を前記流入口27よりも低い位置に設けているため、該流入口27の下端28(図2)と該流出口30の下端85との間に水位落差を形成できる。かかることから、前記流入空間15に流入した被処理水5を自然流下により前記流出口30に排出させ得る。即ち、前記流入口27から前記流入空間15に流入した被処理水5は、前記取水部17から前記濾過筒体13内に導入されて上昇し、前記第1の濾材層22を上方向に通過して後、前記板状支持部材20に設けられている前記通水孔19を通して更に上昇し前記第2の濾材層25に流入し、その後、前記流出口30を通して流出管33に流入し、前記外筒体10の外部の排水設備(例えば側溝35a)35に排出される。
【0036】
以下、濾過槽1の構成をより具体的に説明する。前記外筒体10は、本実施例においては図2〜4に示すように、上下端部36,37(図3)が開放された塩化ビニル製の円筒状部材39を用いて構成されており、該円筒状部材39の該下端37は、塩化ビニル製の皿状底板部材41で閉蓋されて底部42(図2)が構成されている。該皿状底板部材41は、図3に示すように、円板状を呈する底面部43の外周縁で立壁片45が立設された、上端が開放した皿状を呈しており、該立壁片45の外周面46が前記円筒状部材39の内周面の下端部分47に当接され且つ溶着されることによって、前記外筒体10の該底部42が構成されている。
【0037】
そして、前記円筒状部材39の上端部には、図2〜4に示すように、円板状を呈する前記蓋板9を嵌め入れるための嵌入凹部49を有するリング状蓋受部材50が取り付けられている。該蓋板9は、例えば縞鋼板を用いて円板状に形成されており、その上面51の中央部分にコ字状把手52が設けられている。該リング状蓋受部材50は、その下端外周部分に設けられた円環状溝部53に前記円筒状部材39の上端部分54を嵌入し且つ接着することによって、該上端部分54に取り付けられている。これによって外筒体10が構成され、該リング状蓋受部材50の前記嵌入凹部49に前記蓋板9を嵌め入れることによって、図2、図5に示すように、該外筒体10が該蓋板9で閉蓋可能となされている。
【0038】
又前記流入口27は、本実施例においては図2に示すように、前記円筒状部材39の側壁部(外筒体10の側壁部)26を円形に開口して形成した流入口形成孔55(図3)に円管状の流入管56の下流端部分57を挿入して形成された、該流入管56の下流端開口59を以て形成されている。該流入管56は、本実施例においては図5、図2に示すように、前記外筒体10の側壁部26の外面60に当接され且つ該外面60に接着される湾曲固定板61を介して、該外筒体10に固定されている。
【0039】
かかる構成を有する外筒体10は、本実施例においては図1に示すように、建物2に近接した状態で地面6に立設状態に設置される。そして、該流入管56の上流端部分62は、図1、図5に示すように、建物2の屋根3の降雨水を排水するための雨樋63の下端部65に連通されている。ここに建物とは、住家、店舗、工場、倉庫の他、人が住んだり物を納めたりするために作られた建築物や建造物の全般を指す概念である。本実施例においては濾過槽1を地面6に設置するため、該濾過槽を、特別な土木施工を要さずに建物に近接して簡易に設置でき、又、配管も容易であり、更に、濾過槽1の移設も容易である。
【0040】
かかる構成を有する外筒体10の主要部の寸法を例示すれば、該外筒体10の高さは約900mmに設定されると共にその外径は約420mm、その内径は約400mmに設定されている。又、前記流入口27の径は約100mmに設定されており、該流入口27の上端65は、本実施例においては前記外筒体10の上端66から約160mm下方位置に設定されている。又、前記側壁部26の、前記流入口27が設けられている側と反対側には、図2、図4に示すように、前記流出口30を形成する後述の流出口形成孔73と対向する状態で、流出管33の挿入孔69が設けられている。
【0041】
前記濾過筒体13は、本実施例においては図4に示すように、上下端部70,71が開放された円筒状を呈しており、例えば塩化ビニル製である。又、前記濾過筒体13の下端側16には、前記流入口27から前記流入空間15に流入した前記被処理水5を該濾過筒体13内に導入させる前記取水部17が設けられている。該取水部17は、本実施例においては図2、図4に示すように、該濾過筒体13の側壁部29の下端部分72を逆U字状に欠切して設けられており、例えば、該濾過筒体13の周方向に120度の角度ピッチで3個設けられている。
【0042】
又前記流出口30は本実施例においては、前記濾過筒体13の側壁部29を円形に開口して形成した流出口形成孔73に円管状の流出管33の上流端部分76を挿入して形成された、該流出管33の上流端開口77を以て形成されており、その内径は約100mmに設定されている。かかる構成を有する濾過筒体13は、前記外筒体10内に、軸線を稍ずらして立設状態に納設されている。本実施例においては、前記流出口形成孔73が前記挿入孔69に近接した状態となるように設定されている。該流出口形成孔73と該挿入孔69とを近接させるのは、該挿入孔69を挿通した流出管33の上流端部分76を該流出口形成孔73に挿入させ易くするためである。該流出管33は、図5〜6に示すように、前記外筒体10の側壁部26の外面60に当接され且つ該外面60に接着される湾曲固定板80を介して、該外筒体10に固定されている。そして該流出管33は、図1に示すように、その垂下管部分33aの下流開口端81が排水設備(排水路や雨水枡等)35に開放されている。
【0043】
かかる構成を有する前記濾過筒体13は、その下面24の、前記取水部17,17間の部分82,82,82が前記外筒体10の底部上面83に溶接されて立設状態とされている。該濾過筒体13の主要部の寸法を例示すれば、該濾過筒体13の上下高さは約820mmに設定されると共にその外径は約315mm、その内径は約300mmに設定され、前記流出口30の径は約100mmに設定され、該流出口30の下端85の前記底部上面83からの高さは約480mmに設定されている。
【0044】
本実施例においては、前記流入空間15に流入した被処理水5の逆流を防止するために、図2、図4に示すように、前記濾過筒体13の上端側には、前記側壁部29を開口することによって、前記流出口30よりも高い位置にオーバーフロー口86が設けられている。該オーバーフロー口86は本実施例においては、下縁87が水平を呈する矩形状開口として形成されている。
【0045】
又、前記濾過筒体13の上端縁部分89の対向側90,90には、図4に示すように、後述する把手91の係合突出部92を係合させるためのL字状係合溝93が設けられている。該L字状係合溝93は、図7に示すように、該係合突出部92を下方向に案内する縦係合溝95と、該縦係合溝95の下端96で前記濾過筒体13の円周方向に延び且つ該係合突出部92を案内する横係合溝97とから形成されている。そして本実施例においては、該横係合溝97の先端部分は、該横係合溝97の溝幅よりも大なる直径を有する、例えば円形孔部からなる、上下方向に拡がる幅広係合部99とされている。
【0046】
又、前記濾過筒体13内には、図2に示すように、前記第1の濾材層22と前記第2の濾材層25を設けるための前記板状支持部材20が、引き上げにより、前記外筒体10の前記上端開放部7を通して外部に取り出し可能に配設されている。該板状支持部材20は本実施例においては図4、図8に示すように、前記濾過筒体13の内径よりも稍小径であり、例えば塩化ビニル製の円板状を呈している。該板状支持部材20は、その直径が約300mmでその厚さが約30mmに設定されており、上下方向に貫通する多数の前記通水孔19が均等な分散状態で設けられている。該通水孔19は本実施例においては図2、図8に示すように、周方向に細長いスリット状貫通孔として形成されており、該板状支持部材20の、中心回りの直径が異なる多数の同心円上で、多数設けられている。
【0047】
そして該板状支持部材20には、引き上げ用の把手具100が設けられている。該把手具100は、例えば塩化ビニル製であり、図8に示すように、板状支持部材20の外周縁部101の対向側で、上方に延びる円形軸状の縦棒材102,102が突設されると共に、該両縦棒材102,102の上端部103,103にはT字状連結部材105が連結されている。該T字状連結部材105は、図8に示すように、該板状支持部材20の半径方向に稍長い円形筒状を呈する横筒部106の長さ方向の中央部位の下面部分に、下方向に突出し且つ下端が開放した円形筒状を呈する縦筒部109が突設されており、全体としてT字状を呈している。該縦筒部109に、前記縦棒材102の上端部103が挿入され且つ接着固定されており、前記横筒部106の内の、前記半径方向で見て外方に突出する外筒部分が、前記L字状係合溝93と係合し得る係合突出部92とされている。又、前記半径方向で見て内方に突出する内筒部分はその下半分が欠切されて、上に突の半割り筒部110として形成されている。そして図2、図4、図9(A)に示すように、向き合う両半割り筒部110,110相互は把手部材111で連結可能となされている。
【0048】
該把手部材111は、例えば直線状円筒部材を以て形成されており、図9(A)に示すように、その両端部分112,112を前記両半割り筒部110,110の係合凹部113,113に嵌め入れることによって、両半割り筒部110,110相互を該把手部材111で連結できる。この連結状態で、該把手部材111を握って前記板状支持部材20を上げ下げできる。又、図9(B)に示すように、該両端部分112,112を該係合凹部113,113から取り外すことによって、対向する半割り筒部110,110間を大きく開放させることができる。
【0049】
そして、前記板状支持部材20の下面部21には、図2、図4に示すように、前記被処理水5中の汚濁物質を除去する前記第1の濾材層22が設けられる。該第1の濾材層22は例えば図8に示すように、水より比重が小さい発泡ポリプロピレンの細片をポリエステル等のメッシュ状袋115に収容してなる濾材袋22aとして構成されている。該メッシュ状袋115の目の大きさは、粒径が例えば1〜3mmである発泡ポリプロピレンの細片がこぼれないように設定されている。
【0050】
該濾材袋22aは、その上下方向の厚さが例えば100mmに設定され、本実施例においては図4、図8に示すように、前記濾過筒体13の内径以上の外径を有する円柱状を呈した前記上部分116と、下方に向かって先細り状を呈する下部分117とを有している。そして、該濾材袋22aの上面部119の対向側には、前記通水孔19を挿通し得るバンド状や紐状等を呈する2本の結着材120,120の一端部分121,121が、接着や縫着等によって取り付けられている。前記結着材120,120を前記板状支持部材20の所要の通水孔19,19に通して後、該結着材120,120の他端部分122,122相互を、例えば面状ファスナ等の係止具を用いて一体化することにより、図4に示すように、前記濾材袋22aを前記板状支持部材20に着脱可能に取り付けることができる。
【0051】
このようにして濾材袋22aが下面部21に設けられてなる板状支持部材20を、図2に示すように前記濾過筒体13内に収容する際は、前記両縦棒材102,102の上端部相互を前記把手部材111で連結した状態で、該把手部材111を片手で握って該板状支持部材20を前記濾過筒体13内で下ろす。このとき、前記左右の係合突出部92,92を、図7(A)に矢印F1で示すように、これが前記濾過筒体13の前記縦係合溝95,95と位置合わせされるように下ろす。該係合突出部92,92を該縦係合溝95,95の下端まで嵌め入れて後、図7(B)に矢印F2で示すように、前記把手部材111を前記濾過筒体13の周方向で正回転させる。これによって、該係合突出部92,92を前記横係合溝97,97に入り込ませることができ、最後は、該係合突出部92,92を前記幅広係合部99,99に嵌め入れる。
【0052】
この状態で、前記板状支持部材20及び前記濾材袋22aに浮力が作用しても、前記係合突出部92,92が前記横係合溝97,97に位置しているために、該係合突出部92,92が該横係合溝97の上縁部98で受け止められ、該板状支持部材20の浮き上がりが阻止される。特に本実施例においては、該横係合溝97,97に連設されている幅広係合部99,99に該係合突出部92,92を嵌め入れることとしているため、該係合突出部92,92の外れ防止がより確実に図られることとなり、該板状支持部材20がより安定的に定置されることとなる。従って前記濾材袋22aは、所要位置に安定的に配設された状態を維持できる。その後、前記把手部材111を取り外し、これを前記外筒体10の外部に取り出す。
【0053】
そして、濾材袋22a(第1の濾材層22)がこのように設けられた状態で、図2、図10に示すように、前記板状支持部材20の上面部23は前記流出口30の下端85よりも低い位置に位置するようになされている。本実施例においては約50mm、低い位置に位置するようになされている。このように該上面部23が該下端85よりも低い位置に位置することから、該上面部23の上側であって且つ該下端85の下側に水溜まり用空所94が形成される。そして該水溜まり用空所94に、前記第2の濾材層25が設けられる。
【0054】
前記濾材袋22aは、このようにして前記濾過筒体13内に収容されるのであるが、その下部分117が先細り状に形成されているため、前記濾過筒体13に対する濾材袋22aの収容を容易に行うことができる。そして、該濾材袋22aの上部分116の外径が前記濾過筒体13の内径よりも若干大きくても該濾材袋22aは変形可能であるため、該濾材袋22aの一部が内側に変形することによって該濾材袋22aを濾過筒体13内に密接状態で収容できる。この収容状態で、該濾材袋22a(該第1の濾材層22)の外周部123と濾過筒体13の内周面125との間には隙間が生じないので、被処理水が該隙間をすり抜けることがなく該第1の濾材層22で汚濁物質が効果的に除去されることになる。
【0055】
又、放射性物質を吸着する前記第2の濾材層25は、本実施例においては図2、図10に示すように、5〜10mm径の粒状のゼオライトを、例えばポリエステルのメッシュ状袋126に収容してなる、円柱状を呈する濾材袋25aとして構成されている。メッシュ状袋126の目の大きさは、前記ゼオライトがこぼれない程度に設定されており、該濾材袋25aの上下方向の厚さは約100mm程度に設定されている。かかる構成を有する第2の濾材層25を、前記濾過筒体13内に設置された前記板状支持部材20の上面部23に、本実施例においては、該上面部23と分離された状態で設置する。第2の濾材層25は、本実施例においては粒状のゼオライトを用いて構成されているため、その自重によって、前記上面部23に安定的に設置され、浮力で浮き上がる恐れがない。従って、該第2の濾材層25の上面部127を押え板で下方向に押さえる必要がない。
【0056】
本発明において、該第2の濾材層25を、前記板状支持部材20の上面部23に、該上面部23と分離された状態で設置することとしているのは、長期間(例えば3年)交換する必要のない第1の濾材層22はそのまま残しながら、放射性物質を除染する第2の濾材層25だけを頻繁に交換できるようにするためである。
【0057】
前記板状支持部材20を濾過筒体13内に設置した後に、図9(B)に示すように前記把手部材111が取り外されることから、該板状支持部材20の上方部を大きく開放させることができる。従って、前記設置作業を無理なく行うことができる。
【0058】
このように設置された第2の濾材層25は、本実施例においては図10に示すように、前記流出口30の下端85の下側に存する下の濾材層(約50mm厚さ)130と、該下端85の上側に存する上の濾材層(約50mm厚さ)131の二層からなる。そして本実施例においては図10に示すように、該上の濾材層131の上面部127が、前記流出口30の上端133よりも低い位置に存するようになされている。例えば、該流出口30の上下高さの略1/2の高さに位置するようになされている。
【0059】
処理水の流出抵抗をより小さくするためには、常識的には、例えば特許文献1にも記載されているように、濾材層を流出口30の下端85よりも上にまで配置することは行わないと考えられる。換言すれば、排出口30を、その全体は元よりその一部分であっても、濾材層で塞ぐということは行わないと考えられる。
【0060】
そのため、特許文献1におけるように、オーバーフローによって濾過筒体内に流入した被処理水は、濾過処理されることなく該流出口を素通りすることになる。
【0061】
このように素通りしても、道路排水の濾過処理における場合等、被処理水に含まれている汚濁物質を単に除去するだけであるならば特に問題はない。それまでの降雨水で、道路排水中の汚濁物質がほとんど存在していないからである。
【0062】
しかしながら本実施例においては、オーバーフローした被処理水が危険な放射性物質を含有する関係上、流出抵抗を多少犠牲にしてでも、含有されている放射性物質の除去を優先するために、流出口30の下端85よりも上側に上の濾材層131を設けることとしているのである。
【0063】
かかる構成を有する濾過槽1によるときは、建物2の屋根3に降下した放射性物質が降雨水と共に集められてなる被処理水5が雨樋63を流下し、前記流入管56を介して、前記流入口27から前記流入空間15に流入する。該流入空間15に流入した被処理水5は、前記取水部17から前記濾過筒体13内に導入されて上昇し、前記第1の濾材層22を上方向に通過して後、前記板状支持部材20に設けられている通水孔19を通して更に上昇し、前記第2の濾材層25内に流入する。その後、前記流出口30を通して前記流出管33に流入して、前記外筒体10の外部に排出される。本実施例においては前記排水設備35に排出される。
【0064】
被処理水5が前記第1の濾材層22を通過することにより、該被処理水5に含まれている汚濁物質が濾過や吸着により効果的に除去される。そして、前記通水孔19を通して上昇した被処理水5中の前記放射性物質は、前記第2の濾材層25に流入することによって、吸着により効果的に除染される。なお、100%除染されるとは限らない。本実施例においては前記通水孔19が前記板状支持部材20に均等に分散した状態で設けられているため、該板状支持部材20の上面部23で上昇する被処理水5が前記第2の濾材層25の各部に良好に接触することとなり、放射性物質の除染がより効率的に行われることになる。
【0065】
この除染は、前記板状支持部材20の上面部23が前記流出口30の下端85よりも低位置に位置されて、前記水溜まり用空所94が形成されているため、該上面部23の上側に水溜まり部136が形成されることとなる。該水溜まり部136に第2の濾材層25が設置されているため、被処理水と濾材層との接触時間をより長く確保できる。かかることから、該水溜まり部136において、放射性物質の吸着促進が図られることとなる。該第2の濾材層25に流入して除染された処理水137は前記流出口30に向けて移動し、前記排水管33に流入する。本実施例においては、前記第2の濾材層25の上面部127の上側で、前記流出口30の略上半分が開放状態にあるため、前記流出口30の開放された上部分(本実施例においては上半分30a)では、処理水が円滑に流入されることになる。
【0066】
集中豪雨時等において、前記流入管56に流入する単位時間当たりの流入量が多量であって、該流入空間15内の水位が異常に上昇したときは、前記オーバーフロー口86を通して前記濾過筒体13内に被処理水5が流入する。本実施例においては、該オーバーフロー口86の下縁87が水平な直線状を呈するため、該流入空間15内の水位が該下縁87を超えたとき、該下縁87で、濾過筒体13内に円滑にオーバーフローさせることができる。該オーバーフロー口86から濾過筒体13内に流入した被処理水5は、前記第2の濾材層25での放射性物質の除染が効果的に行われて、前記流出口30を通して前記流出管33に流入し、外筒体10の外部に排出される。本実施例においては、前記流出口30の下端85よりも上側に上の濾材層131を設けているため、オーバーフロー口86から流入した被処理水中の放射性物質を、該上の濾材層131によって効果的に吸着できることになる。そして本実施例においては、上の濾材層131の上面部127が前記流出口30の上端133よりも低い位置に存するため、前記流出口30の開放された上部分(本実施例においては上半分30a)では、処理水を含め、オーバーフローした水の流出が円滑に行われることとなる。
【0067】
かかる濾過処理が継続して一定期間を経過すると(例えば半年程度経過すると)、該第2の濾材層25の吸着効率が低下したり、吸着により濃縮された放射性物質が汚染源になる恐れがあるため、該第2の濾材層25を、頻繁に(例えば半年に1回程度)交換する必要がある。この交換作業は、図6に示すように、前記蓋板9を開いて後、該第2の濾材層25を引き上げて前記外筒体10の前記上端開放部7を通して外部に取り出す。図11は、前記板状支持部材20の上面部23から第2の濾材層25を取り外した状態を示している。その後、新たな第2の濾材層25を前記上面部23に設置する。該第2の濾材層25は、本実施例においては、前記上面部23と分離された状態で設置されるため、該第2の濾材層25を単独で持ち上げてこれを新品と交換できるのである。そして、該第2の濾材層25の取り出しや再設置を行う際(即ち、第2の濾材層25を交換する際)、本実施例においては、前記のように把手部材111が取り外されているために前記板状支持部材20の上側を広く開放させることができる(図9(B))。従って、第2の濾材層25の交換を作業性よく行うことができ、頻繁に行われるメンテナンスの容易化を達成できる。
【0068】
又、3年程度を経過して前記第1の濾材層22の汚濁物質の除去効率が悪くなった場合は、図12に示すように、前記のように取り付けられた把手部材111を握って、前記板状支持部材20を前記濾材袋22aと共に引き上げて、前記上端開放部7を通して外部に取り出す。このとき、前記第2の濾材層25は予め引き上げておくのがよい。
【0069】
このように板状支持部材20を引き上げる際は、図7(B)に示すように、該板状支持部材20を、前記係合突片部92を前記幅広係合部99から外して前記横係合溝97に位置させて後、水平面内で前記と逆方向F3に回転させて、前記係合突出部92を前記縦係合溝95に位置させる。この状態で前記把手部材111を持ち上げると、前記第1の濾材層22を引き上げて、前記上端開放部7を通してこれを外部に取り出すことができる。このように取り出した状態で、前記第1の濾材層22の前記結着材120,120の結着状態を解除して該第1の濾材層22を新品と交換し、前記と同様にして結着材120,120を再び結着する。その後、該第1の濾材層22を該板状支持部材20と共に前記濾過筒体13内の所要位置に設置する。なお、該第1の濾材層22を交換する際に前記第2の濾材層25も交換するのがよい。このように第1、第2の濾材層22,25を交換すれば、第1の濾材層22による汚濁物質の除去や第2の濾材層25による放射性物質の除染を効果的に継続できることになる。このようにして、建物の屋根に降下した放射性物質を順次除染できることになる。
【実施例2】
【0070】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0071】
(1) 図13は、本発明に係る濾過槽1の他の実施例を示すものであり、前記外筒体10を省略して構成されている。該濾過槽1は、有底の濾過筒体13を用いて構成されており、該濾過筒体13の下部側151に取水部17を有し且つ上部側152に流出口30を有しており、該濾過筒体13内の所要高さ位置に、前記と同様構成の板状支持部材20が配設されると共に、該板状支持部材20の上面部23は、前記流出口30の下端85よりも低い位置に位置されている。そして、該上面部23の上側であって且つ前記下端85の下側に水溜まり用空所94が形成されており該水溜まり用空所94に、例えば、放射性物質を吸着する除染用の濾材層18が、その自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設けられている。該濾材層18は、本実施例においては、前記流出口30の下端85の下側に存する下の濾材層130と、該下端85の上側に存する上の濾材層131とからなる。本実施例においてこのように上の濾材層131を設けているのは、被処理水5と濾材層18との接触時間をより長くして濾過効率を向上させるためである。
【0072】
そして、前記取水部17から前記濾過筒体13内に導入されて上昇した前記被処理水5が、前記水溜まり用空所94に留まることによって水溜まり部136が形成される如くなされている。該被処理水5は、水位落差によって濾過筒体13内に導入されたり、ポンプで送給されて濾過筒体13内に導入される。
【0073】
該水溜まり部136において、前記除染用の濾材層18で放射性物質が吸着により除染され、その後、該除染された処理水が前記流出口30を通して前記濾過筒体13の外部に排出される。前記第1の濾材層22は、前記実施例におけると同様にして設けることができる。この場合、前記実施例におけると同様にして、該板状支持部材20の外周縁部の対向側で突設した両縦棒材102,102の上端部103,103相互を把手部材111で着脱可能に連結可能とすることにより、該把手部材111を取り外すことにより、該板状支持部材20の上方に広い空間部を形成できることになる。従って、該広い空間部を通して前記除染用の濾材層18の交換作業を容易且つ能率的に行い得ることとなる。
【0074】
(2) 前記濾材層18は、被処理水に含有されている前記汚濁物質や前記放射性物質の他、被処理水中に含有されている各種の物質(例えば、塩分や鉄分、多環芳香族炭化水素等の有機系汚染物質、窒素やリン等の富栄養化塩類等、カドミウム等の重金属類等)を濾過し得る所要の濾材を用いて構成できる。
【0075】
(3) 又、前記濾材層18は、前記板状支持部材20の上面部23にのみ設置されることの他、前記板状支持部材20の上面部23と下面部21の双方に設けられる場合がある。濾材層18を上下に設ける場合は、同種の濾材を用いる場合でも、濾過の目的に応じて、夫々の濾材層を構成する濾材の粒径を変えることがある。例えば、下側に存する濾材層の粒径を比較的大きく設定すると共に、上側に存する濾材層の粒径を比較的小さく設定する場合は、下側の濾材層で、比較的大きな汚濁物質を濾過して後、上側の濾材層で、比較的小さな汚濁物質を濾過することができる。かかる濾材層18は、何れも、これが前記水溜まり部に設置されることにより、被処理水5と濾材層18との接触時間をより長く確保できるため、濾過を効率的に行い得ることとなる。
【0076】
(4) 前記第1の濾材層22は、被処理水中の汚濁物質を除去するためのものであり、前記した発泡ポリプロピレンの細片の他、活性炭、その他の公知の濾材等を用いることができる。又、前記第2の濾材層25は、放射性物質を吸着できるものであれば、前記したゼオライトの他、活性炭、イオン交換樹脂等の吸着材を用いることもできる。なお、本発明に係る濾過槽1で濾過する被処理水が放射性物質を含有する場合、前記第1の濾材層22が省略されることもある。
【0077】
(5) 前記板状支持部材20の上面部23に前記除染用の濾材層18を設け、特に、該濾材層18が前記上の濾材層131を構成する如くなす場合、オーバーフローによって濾過筒体13内に流入した被処理水の除染をより効果的に行うためには、前記上の濾材層131が前記流出口30の全体を覆った状態となってもよい。しかし、前記流出口30からの流出をより円滑化するためには、前記上の濾材層131の上面部23を前記流出口30の上端133よりも低い位置に存するようになすのが好ましい。低くする程度は、前記上の濾材層131による前記除染効果がより効果的に行われ且つ、前記流出口30からの流出時の抵抗をそれ程大きくしない範囲で、所要に設定されるものである。
なお、前記被処理水が放射性物質を含有しない場合であっても、前記のように上の濾材層131を設けるのがよい。
【0078】
(6) 前記第1の濾材層22や第2の濾材層25は、メッシュ状袋に濾材を収容してなる濾材袋22a,25aとして構成されることの他、通水性を有する各種の収容体に濾材を収容して構成されてもよく、或いは、かかる袋や収容体に収容されないで、単なる濾材の集合体として構成されることもある。
【0079】
(7) 本発明において、板状支持部材の上面部に濾材層をその自重によって設置するとは、該濾材層を構成する濾材が浮遊性を有する場合であっても、該濾材を収容する収容体の自重により該濾材層をその自重によって設置する場合を含むものである。
【0080】
(8) 前記第2の濾材層25の上面部127は、前記流出口30の下端85と略面一状態に設定されることの他、該上面部127が該下端85よりも低い位置に設定されることもある。
【0081】
(9) 前記実施例においては、前記第1の濾材層22を結着材120,120を用いて前記板状支持部材20に固定し、該板状支持部材20を持ち上げることによって該第1の濾材層22を同時に持ち上げ可能としているが、例えば発泡ポリプロピレンの細片をメッシュ状袋22aに収容して構成した第1の濾材層22を前記濾過筒体13に固定された、例えば網状を呈する濾材支持部139で支持し、該第1の濾材層22の浮き上がりを板状支持部材20で阻止して該第1の濾材層22を定位置に固定する場合もある。このように構成する場合は、板状支持部材20を持ち上げた後に前記第1の濾材層22を引き上げることにより該第1の濾材層22を交換できる。
【0082】
(10)第1の濾材層22を前記板状支持部材20に固定する手段は、前記のように結着材120を用いて固定することの他、各種の公知手段を採用できる。
【0083】
(11)例えば図15に示すように、前記濾過筒体13の側壁部29の下端部分に開口部141を設け、該開口部141を以て前記取水部17とすることもある。このように構成する場合、濾過筒体13の下端が閉蓋されることもある。
図16は、濾過筒体13の下部側16に取水部17を設ける他の態様を示すものであり、前記外筒体10の底面部43に間隔を置いて固定された台座片142,142,142上に前記濾過筒体13の下面24を載置することによって、隣り合う台座片142,142間に前記取水部17が形成されている。
【0084】
(12)例えば図17に示すように、前記した流入口形成孔55や流出口形成孔73が前記流入口27や流出口30を構成することもある。
【0085】
(13)前記流入口27には、枡や側溝に連結された流入管の下流端部分が連設されることもある。
【0086】
(14)前記流入口27と前記流出口30は、左右対向側31,32に設けられるものには特定されない。
【0087】
(15)前記引き上げ用の把手具100を構成する前記縦棒材102,102や前記把手部材111は、支障のない範囲で屈曲したものであってもよい。
【0088】
(16)図18は、前記板状支持部材20の外周縁部の対向側で上方に向けて突設された縦棒材102,102の上端部103,103に、内方への突出量(両縦棒材102,102の向き合う方向への突出量)が小さい把手部146,146を設けた場合を示しており、該把手部146,146の外方端には、前記と同様にしてL字状係合溝93,93と係合し得る係合突出部92,92が設けられている。このように構成する場合も、対向する把手部146,146間に比較的大きな空間部を形成できるため、該空間部を通して、前記第2の濾材層25の交換作業を容易に行い得ることとなる。
【0089】
(17)図19は、前記L字状係合溝93の他の態様を示すものであり、濾過筒体13の上端から斜め下方向に延びる縦係合溝95と、該縦係合溝95の下端から前記濾過筒体の周方向に延びる横係合溝97とから構成されている。
【0090】
(18)図20は、前記両縦棒材102,102の上端部103,103相互を、着脱できない状態で把手部材148で連結した場合を示している。この場合は、前記第2の濾材層25を交換する際に、該把手部材111を避けるように前記第2の濾材層25を左右に二分割する等して、該第2の濾材層25の交換作業を極力容易化するのがよい。
【0091】
(19)前記板状支持部材20を所定位置に設置し、且つ、該板状支持部材20を引き上げ可能とする構成は、前記したものには特定されず、例えば図21に示すように、前記と同様に構成をした両縦棒材102,102の上端部103,103を、前記濾過筒体13の内周面147に例えばボルト(図示せず)で着脱可能に固定した押え部材150で上から押さえることによって、該板状支持部材20の浮き上がりを防止するように構成することもできる。そして、該押え部材150を取り外すことによって該板状支持部材20を引き上げることができる。
【0092】
(20)前記板状支持部材20に設ける上下方向の通水孔19は、前記上面部23に設置される第2の濾材層25による放射性物質等の濾過をそれほど妨げない限り、該上面部23に均等な分散状態で設けられることは必ずしも必要ではない。
又該通水孔19は、該板状支持部材20を貫通して設けられることの他、該板状支持部材20の周縁部分で切欠形成した上下端開放の切欠溝部と前記濾過筒体13の内周面との間で形成されることもある。
【0093】
(21)板状支持部材20は、例えば塩化ビニル製の円板体を以て構成される。その材料は、塩化ビニル以外の樹脂であってもよく、他の材料であってもよい。
【0094】
(22)前記外筒体10内に前記濾過筒体13を立設状態に納設する際、該外筒体10と該濾過筒体13の軸線を前記のように位置ずれさせることの他、該軸線を略合致させることとしてもよい。
【0095】
(23)本発明を構成する前記外筒体10や前記濾過筒体13は、円筒状には限定されず、例えば横断面楕円形状を呈するもの等であってもよい。又、角形等に形成されてもよい。
【0096】
(24)前記外筒体10や前記濾過筒体13は、塩化ビニル製等の樹脂製とされることの他、コンクリート等の所要素材を用いて構成することもできる。又、これらの夫々を、複数の部材を所要段数に積重して構成することもできる。
【0097】
(25)本発明に係る濾過槽1は、前記のように地面に設置されることの他、地下埋設されるものであってもよい。
【0098】
(26)前記実施例においては、オーバーフロー口86を前記濾過筒体13の側壁部26を開口して設けているが、該濾過筒体13の上端開放部をオーバーフロー口とすることもできる。
【0099】
(27)前記オーバーフロー口86から濾過筒体13内に流入する被処理水中の汚濁物質を除去するための濾材層を設けることもある。
【0100】
(28)放射性物質を含む被処理水としては、建物の屋根に降下した放射性物質が降雨水と共に集められてなるものの他、例えば、建物の壁面の洗浄水、降雨による路面排水、その他の放射性物質を含む被処理水であってもよい。
【0101】
(29)前記両棒状部材102,102の上端部相互を、着脱可能の把手部材111で連結可能とする構成は、係合手段によって着脱が可能な手段等、公知の各種着脱手段を採用できる。
【符号の説明】
【0102】
1 濾過槽
2 建物
3 屋根
5 被処理水
6 地面
7 上端開放部
9 蓋板
10 外筒体
11 上端
12 下端
13 濾過筒体
15 流入空間
16 下部側
17 取水部
18 濾材層
19 通水孔
20 板状支持部材
21 下面部
22 第1の濾材層
23 上面部
25 第2の濾材層
27 流入口
30 流出口
33 流出管
42 底部
55 流入口形成孔
56 流入管
73 流出口形成孔
86 オーバーフロー口
92 係合突出部
93 L字状係合溝
95 縦係合溝
97 横係合溝
99 幅広係合部
100 把手具
102 縦棒材
110 半割筒部
111 把手部材
120 結着材
130 下の濾材層
131 上の濾材層
135 雨樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を濾過する濾過槽を構成する濾過槽構成部材であって、
濾過筒体と、該濾過筒体内の所要高さ位置に配設され且つ引き上げて該濾過筒体から取り外し可能の板状支持部材とを具え、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられると共に、該板状支持部材の上面部には、濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されるものとなされており、
又、前記濾過筒体の下部側には、前記被処理水を該濾過筒体内に導入させる取水部を有すると共に該濾過筒体の上部側には、濾過された処理水を該濾過筒体の外部に排出させる流出口が設けられており、
又、前記板状支持部材の前記上面部は、前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、該上面部の上側であって且つ該下端の下側に水溜まり用空所が形成されていることを特徴とする濾過槽構成部材。
【請求項2】
下部側に取水部を有し且つ上部側に流出口を有する濾過筒体内の所要高さ位置に板状支持部材が配設され、該板状支持部材は、引き上げて該濾過筒体から取り外し可能となされ、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられており、
又、該板状支持部材の上面部は、前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、該上面部の上側であって且つ該下端の下側に水溜まり用空所が形成され、該板状支持部材の少なくとも上面部には濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されており、
前記取水部から前記濾過筒体内に導入されて上昇した被処理水が前記水溜まり用空所に溜まることによって水溜まり部が形成される如くなされており、該被処理水は、該水溜まり部に設置されている前記濾材層で濾過され、濾過された処理水が前記流出口を通して前記濾過筒体の外部に排出されるようになされていることを特徴とする濾過槽。
【請求項3】
下部側に取水部を有し且つ上部側に流出口を有する濾過筒体内の所要高さ位置に板状支持部材が配設され、該板状支持部材は、引き上げて該濾過筒体から取り外し可能となされ、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられており、
又、該板状支持部材の上面部は、前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、該上面部の上側であって且つ該下端の下側に水溜まり用空所が形成され、該板状支持部材の少なくとも上面部には濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されており、
該上面部に設置されている前記濾材層は、該流出口の下端の下側に存する下の濾材層と、該下端の上側に存する上の濾材層とからなり、
前記取水部から前記濾過筒体内に導入されて上昇した被処理水が前記水溜まり用空所に溜まることによって水溜まり部が形成される如くなされており、該被処理水は、該水溜まり部に設置されている前記濾材層で濾過され、濾過された処理水が前記流出口を通して前記濾過筒体の外部に排出されるようになされていることを特徴とする濾過槽。
【請求項4】
有底で且つ上端解放部が蓋板で閉蓋可能となされた外筒体と、該外筒体内に立設状態で納設され且つ上端が開放された濾過筒体との間に流入空間が設けられており、
該外筒体の側壁部には、被処理水を流入させる流入口が設けられると共に、前記濾過筒体の側壁部には、該濾過筒体内で濾過された処理水を前記外筒体の外部に排出させる流出口が設けられており、
又、前記濾過筒体の下部側には、前記流入口から前記流入空間に流入した前記被処理水を該濾過筒体内に導入させる取水部が設けられており、
又、前記濾過筒体内の所要高さ位置に板状支持部材が配設され、該板状支持部材は、引き上げて該濾過筒体から取り外し可能となされ、又、該板状支持部材には、上下方向に通水孔が設けられると共に、該板状支持部材の少なくとも上面部には濾材層がその自重によって、且つ該上面部と分離された状態で設置されており、
又、該板状支持部材の上面部は前記流出口の下端よりも低い位置に位置されており、前記取水部から前記濾過筒体内に導入されて上昇した被処理水が前記水溜まり用空所に溜まることによって水溜まり部が形成される如くなされており、該被処理水は、該水溜まり部に設置されている前記濾材層で濾過され、濾過された処理水が前記流出口を通して前記外筒体の外部に排出されるようになされていることを特徴とする濾過槽。
【請求項5】
前記濾過筒体には、前記流出口よりも高い位置にオーバーフロー口が設けられると共に、前記板状支持部材の上面部に設置されている前記濾材層は、前記流出口の下端の下側に存する下の濾材層と、該下端の上側に存する上の濾材層とからなり、前記流入空間で水位が上昇したときに前記被処理水が該オーバーフロー口から前記濾過筒体内に流入し、該流入した被処理水が前記上の濾材層でも濾過されることを特徴とする請求項4記載の濾過槽。
【請求項6】
前記上の濾材層の上面部が前記流出口の上端よりも低い位置に存することを特徴とする請求項3又は5記載の濾過槽。
【請求項7】
前記濾過筒体は円筒状を呈すると共に前記板状支持部材は円板状を呈しており、該板状支持部材の外周縁部の対向側で、該板状支持部材の上方に延びる縦棒材が突設されると共に該両縦棒材の上端部相互が、着脱可能の把手部材で連結可能となされていることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の濾過槽。
【請求項8】
前記被処理水は放射性物質を含有しており、前記板状支持部材の下面部と上面部に濾材層が設けられており、
前記下面部に設けられた第1の濾材層は、発泡ポリプロピレンの細片をメッシュ状袋に収容してなる濾材袋として構成されて、該濾材袋が前記板状支持部材の下面部に着脱可能に取り付けられており、前記板状支持部材を持ち上げて外部に取り出したときに該第1の濾材層が同時に持ち上げられるようになされており、又、前記上面部に設けられた第2の濾材層は、粒状のゼオライトをメッシュ状袋に収容してなる濾材袋として構成され、該濾材袋が前記板状支持部材の上面部に、該上面部と分離された状態で設置されており、該濾材袋を持ち上げて外部に取り出し可能となされていることを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載の濾過槽。
【請求項9】
前記被処理水は、建物の屋根に降下した放射性物質が降雨水と共に集められてなる、放射性物質を含むものであり、又、前記外筒体は地面に設置されることを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載の濾過槽。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−112943(P2013−112943A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257841(P2011−257841)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】