説明

炎症及び免疫に関連する用途に用いる化合物

【課題】炎症性疾患アレルギー性疾患及び自己免疫疾患の治療又は予防に使用されている薬物の、1つ以上の欠点を克服する、新薬の提供。特に現在治療できない若しくはほとんど治療できない疾患又は障害に対して有効で、新しい作用機序で、経口的に使用可能で、及び/若しくは副作用が少ない新薬の提供。
【解決手段】式(XVI)で表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、若しくは包接化合物。式中のX、X、Z、L、L、R、R、R、R21、n、q及びtは本願明細書で定義される。これらの化合物は免疫抑制剤として、並びに炎症性疾患、アレルギー性疾患及び免疫疾患の治療及び予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は2005年1月25日に出願の米国特許仮出願第60/646772号の優先権を主張し、その全開示内容は本願明細書に参照により援用される。
【0002】
本発明は生物学的な活性を有する化合物、すなわち免疫抑制、又は炎症性症状、アレルギー性疾患及び免疫不全の治療若しくは予防に使用できるチオフェニル誘導体に関する。
【背景技術】
【0003】
炎症とは病原体の侵入から哺乳動物を保護する機構である。一過性の炎症は哺乳動物を感染から守るために必要であるものの、制御されざる炎症は組織の損傷を生じさせ、多くの疾病の潜在的な要因ともなりうる。炎症反応は一般に抗原がT細胞の抗原受容体に結合することによって開始される。T細胞と抗原との結合により、例えばCa2+放出活性化型Ca2+チャネル(CRAC)などの、カルシウムイオンチャネル介した細胞へのカルシウム流入が誘導される。カルシウムイオンの流入は次にこれらT細胞の活性化に繋がるシグナル伝達カスケードを開始させ、またサイトカイン産生を特徴とする炎症応答を引き起こす。
【0004】
インターロイキン2(IL−2)はT細胞内へのカルシウムイオン流入に応答してT細胞から分泌されるサイトカインである。IL−2は免疫系における多くの細胞の免疫効果を調節する。例えば強力なT細胞マイトジェンは、T細胞の増殖に必要とされ、細胞周期のG1期からS期への進行を促進し、NK細胞の増殖を刺激し、また成長因子としてB細胞に作用し、抗体の合成を刺激する。
【0005】
IL−2は免疫応答にて有用であるが、様々な問題を発生させ得る。IL−2は血液脳関門及び脳血管の内皮細胞を損傷する。これらは例えば疲労、見当識障害及びうつ病の療法に影響を与える。IL−2はまたニューロンの電気生理学的挙動を変化させ得る。
【0006】
IL−2はそのT細胞及びB細胞の両方に対する効果ゆえに、免疫応答における中心的な調節因子といえる。IL−2は炎症反応腫瘍の監視及び造血に関与する。更には他のサイトカインの産生、IL−1の誘導、TNF−α及びTNF−βの分泌に影響を与え、並びに末梢血白血球におけるインターフェロンγの合成も刺激する。
【0007】
IL−2を産生できないT細胞は不活性(アネルギー)となる。これは、後で受容することとなるいずれの抗原の刺激に対してT細胞を潜在的に不活性にするものである。したがって、IL−2産生を抑制する薬剤は、免疫抑制又は炎症及び免疫疾患の治療若しくは予防に使用できる。このアプローチは、シクロスポリンFK506及びRS61443などの免疫抑制剤により臨床的に有効であることが証明されている。概念的には立証されているにも関わらず、IL−2産生を抑制する薬剤は理想的なものとは言い難い。とりわけ有効性の限界、及び望ましくない副作用(用量依存性の腎毒性及び高血圧を含む)がそれら薬剤の使用を妨げている。
【0008】
IL−2以外の炎症性サイトカインの過剰産生もまた、多数の自己免疫疾患に関与する。例えば喘息の場合、好酸球の産生を増大させるサイトカインであるインターロイキン5(IL−5)が増加する。
【0009】
IL−5の過剰産生は喘息を発症した気管支粘膜における好酸球の蓄積に関与し、これはアレルギー性炎症における顕著な特徴となっている。したがって好酸球の蓄積を伴う喘息及び他の炎症性障害の患者は、IL−5の産生を阻害する新薬の開発により恩恵を受けると考えられる。
【0010】
インターロイキン4(IL−4)及びインターロイキン13(IL−13)は、炎症性腸疾患及び喘息時に見られる平滑筋の過収縮の調節物質であることが明らかとされている。したがって喘息及び炎症性腸疾患に罹患する患者はIL−4及びIL−13の産生を抑制する新しい薬物の開発により恩恵を受けると考えられる。
【0011】
顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は顆粒球及びマクロファージ系の成熟の制御因子であり、炎症疾患及び自己免疫疾患における重要な因子として関与する。抗GM−CSF抗体の遮断によって自己免疫疾患が改善することが明らかとされている。したがって、炎症疾患又は自己免疫疾患を罹患する患者はGM−CSF産生を抑制する新しい薬物の開発により恩恵を受けると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上より、現在炎症性疾患アレルギー性疾患及び自己免疫疾患の治療又は予防に使用されている薬物の、1つ以上の欠点を克服する、新薬に対するニーズが存在する。新薬の望ましい特性としては、現在治療できない若しくはほとんど治療できない疾患又は障害に対して有効であること、新しい作用機序であること、経口的に使用可能で、及び/若しくは副作用が少ないこと、が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、CRACのイオンチャネル活性を抑制する、並びにIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α及びIFNγの産生を抑制する、特定のビフェニル誘導体及びフェニルピリジル誘導体を提供することにより、上記の課題を解決するものである。これらの化合物は免疫抑制、及び/又は炎症疾患や免疫疾患の治療若しくは予防に特に有用である。
【0014】
本発明の一実施態様は、式(I)の化合物
【化1】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは−NRC(O)−、−C(O)−NR−、−NRC(S)−、−C(S)−NR−、−NRC(NR)−又は−C(NR)−NR−からなる群から選択されるリンカーであり、
はCH、CR又はNであり、
はCH、CR又はNであり、
Zは低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、シアノ、ニトロ又は低級ハロアルコキシ基からなる群から各々独立に選択され、
Rは−H、アルキル、−C(O)R又は−C(O)ORから各々独立に選択され、
、R及びRは各々独立に任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
は=O、=S又は=NRであり、
は=O又は=Sであり、
は−O−又は−S−であり、
は各々独立に水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル基であり、
及びRは各々独立に水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル若しくは任意に置換されてもよいヘテロアラルキル基であるか、
又はR及びRはそれらが結合する窒素と共に結合した、任意に置換されてもよいヘテロシクリル若しくは任意に置換されてもよいヘテロアリール基であり、
は各々独立に水素原子、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR又はC(O)NRであり、
nは0又は1から2までの整数であり、
pは各々独立に1又は2であり、
qは0又は1から3までの整数であり、
tは0又は1から4までの整数である。
【0015】
別の実施態様では、本発明は式(VII)の化合物
【化2】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、XはCH又はNであり、
は任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
、X、X、X、R、R、R、R、R、L、Z、n、p及びtは式(I)における定義と同じである。
【0016】
別の実施態様では、本発明は式(IX)の化合物、
【化3】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、mは0又は1から3までの整数であり、
、R、R、R、L、Z、t及びnは式(I)における定義と同じである。
【0017】
別の実施態様では、本発明は式(XIII)の化合物、
【化4】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、XはCH又はNであり、
11及びR12は各々独立にハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、1から3個の低級アルキル基で任意に置換されてもよい5員環を有するヘテロアリール、−C(O)OR13、−C(O)NR1415又はシアノ基であり、
13、R14及びR15は各々独立に水素原子、低級アルキル又はアルコキシ基で置換された低級アルキル基であり、
、R、R、L、Z、n及びqは式(I)における定義と同じである。
【0018】
別の実施態様では、本発明は式(XVI)の化合物、
【化5】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは−NRC(O)−、−C(O)−NR−、−NRC(S)−、−C(S)−NR−、−CHNR−、−NRCH−、−C(O)−、−C(S)−、−NRC(NR)−又は−C(NR)−NR−からなる群から選択されるリンカーであり、
21は水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
、X、X、X、R、R、R、R、R、Z、p、t及びnは式(I)における定義と同じである。
【0019】
別の実施態様では、本発明は式(XIX)の化合物、
【化6】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、R22は任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルキル又は任意に置換されてもよいヘテロシクロアルキル基であり、
23及びR24は各々独立に置換基であり、
Z及びnは式(I)における定義と同じであり、
は式(XIII)における定義と同じであり、
は式(XVI)における定義と同じである。
【0020】
別の実施態様では、本発明は式(XX)の化合物、
【化7】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは−NRC(O)−、−C(O)−NR−、−NRC(S)−、−C(S)−NR−、−CHNR−、−NRCH−、−C(S)−、−NRC(NR)−又は−C(NR)−NR−からなる群から選択されるリンカーであり、
25は任意に置換されてもよいアルキル又は任意に置換されてもよいシクロアルキル基であり、
R、Z及びnは式(I)における定義と同じであり、
23及びR24は式(XIX)における定義と同じである。
【0021】
本発明及び薬理学的に許容できる塩類の化合物、溶媒和化合物、包接化合物及びそのプロドラッグは、特に免疫細胞(例えばT細胞及び/又はB細胞)の活性化(例えば抗原に応答する活性化)の阻害に有用である。より詳細には、本発明の化合物又はその薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグは免疫細胞の活性化を調節する特定のサイトカインの産生を抑制することができる。例えば本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグはIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、IFN−γ又はそれらの組み合わせの産生を阻害できる。更に本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグは免疫細胞の活性化に関連する1つ以上のイオンチャネル(例えばCRACイオンチャネル)の活性を制御できる。
【0022】
一実施態様では、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグは、特にマスト細胞での脱顆粒の阻害に有用である。マスト細胞での脱顆粒はアレルギー反応に関係する。
【0023】
本発明の化合物、又はその薬剤的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグは免疫抑制、又は炎症疾患、アレルギー性疾患及び免疫疾患の治療若しくは予防に特に有用である。
【0024】
本発明はまた、1つ以上の本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩類溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、並びに薬理学的に許容できる担体又は賦形剤を含んでなる医薬品組成物に関する。
【0025】
これらの組成物は更なる薬剤を含有してもよい。これらの組成物は免疫抑制、並びに炎症、アレルギー性疾患及び免疫疾患の治療又は予防に有用である。
【0026】
本発明は更に、炎症アレルギー性疾患及び免疫疾患の治療又は予防方法であって、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、あるいは、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。これらの方法にはまた更に、他の薬剤を本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグとは別に、又はそれらと組み合わせた組成物として患者に投与することも含まれる。
【0027】
本発明は更に、患者の免疫系の抑制方法であって、有効量の本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、あるいは、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。これらの方法には更に、他の薬剤を本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグとは別に、又はそれらと組み合わせた組成物として患者に投与することも含まれる。
【0028】
本発明には更に、in vivo又はin vitroにて免疫細胞の活性化を抑制する方法が含まれ、同方法には、有効量の本発明の化合物、又はその薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、あるいは、有効量の本発明の化合物、又はその薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを含有する医薬組成物を使用して、T細胞及び/又はB細胞の増殖を抑制することが含まれる。
【0029】
本発明には更に、サイトカイン産生(例えばIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α及び/又はINF−γ産生)の阻害方法であって、in vivo又はin vitroにて有効量の本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、あるいは、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物を使用する方法が含まれる。
【0030】
本発明には更に、有効量の本発明の化合物又はその薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、あるいは、本発明の化合物又はその薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを含有する医薬組成物を使用した、in vivo又はin vitroにおけるイオンチャネル(例CRAC)活性化の調節方法が含まれる。
【0031】
本発明は更に、マスト細胞の脱顆粒の抑制方法であって、in vivo又はin vitroにて有効量の本発明の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、あるいは、本発明の化合物又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物を、細胞に投与することを含む方法に関する。
【0032】
本発明の全ての方法は、本発明の化合物単独で、又は他の薬剤(例えば他の免疫抑制剤、抗炎症剤、アレルギー性疾患の治療のための薬剤、又は免疫疾患の治療のための薬剤等)と組み合わせて実施できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<定義>
特に明記しない限り、本願明細書で使用する以下の用語は以下のように定義される。本発明の「芳香環」又は「アリール」という用語は炭素及び水素原子を有する、単環又は多環の芳香族環又は環基を意味する。適切なアリール基の例としてはフェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ナフチル基、並びに5,6,7,8−テトラヒドロナフチル基などのベンゼン環の融合した炭素環部分が挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は非置換であるか、又は1つ以上の置換基(アルキル(好ましくは低級アルキル又は1つ以上のハロ基で置換されたアルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは低級アルコキシ)、アルキルチオ、シアノ、ハロ、アミノ及びニトロ基が含まれるがこれらに限定されない)で置換してもよい。特定の実施形態ではアリール基は6個の炭素原子からなる単環式の環である。
【0034】
本願明細書の用語「アルキル」は通常、1〜10個の炭素原子を有する飽和の直鎖状又は分岐鎖状の非環式炭化水素を意味する。代表的な飽和の直鎖アルキル基にはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル及びn−デシル基が含まれる。一方、飽和分枝アルキルとしてはイソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチル−2−エチルペンチル、2−メチル−3−エチルペンチル、2−メチル−4−エチルペンチル、2−メチル−2−エチルヘキシル、2−メチル−3−エチルヘキシル、2−メチル−4−エチルヘキシル、2,2−ジエチルペンチル、3,3−ジエチルヘキシル、2,2−ジエチルヘキシル、3,3−ジエチルヘキシル基等が挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキル基は1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。置換基の例としては、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルスルファニル、オキソ、ハロ、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールスルファニル、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルチオなどを含むが、これに限定されるものではない。更にアルキル部分の任意の炭素原子は酸素(=O)、硫黄(=S)又は窒素(=NR16(R16は水素原子、アルキル、アセチル又はアラルキル基))で置換されてもよい。本発明の化合物にとり、一般に低級アルキル基が好ましい。
【0035】
「アルキレン」の用語は、2つの部分に2点で結合するアルキル基(例えば{−CH−}、−{CHCH−}、
【化8】

など。括弧は結合の位置を示す。)を指す。アルキレン基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0036】
アラルキル基とは、アルキレンリンカーを介して他の一部分と結合したアリール基を意味する。アラルキル基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0037】
本発明における「アルコキシ」の用語は、酸素原子を介して他の部分と結合したアルキル基を意味する。アルコキシ基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0038】
本発明における「アルキルスルファニル」の用語は二価の硫黄原子で他の部分と結合したアルキル基をいう。アルキルスルファニル基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0039】
本発明における「アリールスルファニル」の用語は、二価の硫黄原子で他の部分と結合したアルキル基を意味する。アリールスルファニル基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0040】
本発明における「アルキルアミノ」の用語は、窒素に結合する1つの水素原子がアルキル基で置換されたアミノ基を意味する。本発明における「ジアルキルアミノ」の用語は、窒素と結合する2個の水素原子がアルキル基で置換されたアミノ基を指し、そのアルキル基は同じでも異なっていてもよい。アルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基は、1つ以上の置換基によって置換されていても、未置換でもよい。
【0041】
本発明における「アルケニル」の用語は典型的には2個〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素を意味する。代表的な直鎖及び分枝アルケニル基としてはビニル、アリル、1−ブチル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、3−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、3−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、3−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、3−デシニル基等が挙げられる。アルケニル基は1つ以上の置換基によって置換されていても、未置換でもよい。
【0042】
本発明における「アルキニル」の用語は、典型的には2個〜10個の炭素原子を有して、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素を意味する。代表的な直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基としては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、4−ペンチニル−1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、9−デシニル基等が挙げられる。アルキニル基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0043】
本発明において「シクロアルキル」の用語は、典型的には3個〜14個の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。代表的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル基などが挙げられる。シクロアルキル基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0044】
本発明において用語「シクロアルケニル」とは環系内に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、通常5〜14個の炭素原子を有する環状の非芳香族のアルケニル基を意味する。代表的なシクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロへキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、シクロノネニル、シクロノナジエニル、シクロデセニル、シクロデカジエニル基などが挙げられる。シクロアルケニル基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0045】
本発明における「複素環」又は「ヘテロシクリル」の用語は、単環又は多環式の複素環(典型的には3員環〜14員環を有する)であって、飽和又は不飽和の非芳香族環を意味する。3員環の複素環は3個までのヘテロ原子を有してもよく、4員環〜14員環の複素環は1個〜約8個までのヘテロ原子を有してもよい。各ヘテロ原子は、窒素(第四級でもよい)、酸素、及びスルホキシド及びスルホンを含む硫黄から独立に選択される。複素環は任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合されていてもよい。代表的なヘテロ環としては、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル基などが挙げられる。ヘテロ原子は当業者に周知の保護基で置換してもよく、例えば窒素原子上の水素はtert−ブトキシカルボニル基で置換される。更に、ヘテロシクリルは1つ以上の置換基(限定されるものではないがハロ、アルキル、ハロアルキル又はアリールを含む)によって、任意に置換されてもよい。この定義のうちには、これらの置換された複素環式基の安定な異性体のみが含まれる。
【0046】
本発明における「ヘテロシクロアルキル」の用語は、飽和している単環式又は多環式の複素環(通常3〜14員環)を意味する。3員環の複素環は3個までのヘテロ原子を有してもよく、4員環〜14員環の複素環は1個〜約8個までのヘテロ原子を有してもよい。各ヘテロ原子は、窒素(第四級でもよい)、酸素、及びスルホキシド及びスルホンを含む硫黄から独立に選択される。複素環は任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して結合されていてもよい。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、モルフォリニル、チオモルフォリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル基などが挙げられる。ヘテロ原子は当業者に周知の保護基で置換してもよく、例えば窒素原子上の水素はtert−ブトキシカルボニル基で置換される。更に、ヘテロシクロアルキル基は、1つ以上の置換基(限定されるものではないがハロ、アルキル、ハロアルキル又はアリールを含む)によって任意に置換されてもよい。この定義のうちにはこれらの置換された複素環式基の安定な異性体のみが含まれる。
【0047】
本願明細書における「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」の用語は、炭素原子環員及び1個以上の異種原子環員(例えば酸素、硫黄又は窒素原子)からなる、単環式又は多環式のヘテロ芳香環(又はその環基)を意味する。典型的には、芳香族複素環は、少なくとも1個の環員が酸素硫黄及び窒素から選択されるヘテロ原子である、5〜約14環員を有する。
別の実施態様では、芳香族複素環は5又は6員環であって、1個から約4個のヘテロ原子を含んでもよい。
別の実施態様では、複素芳香族環構造は7〜14環員を有し、1個から約7個のヘテロ原子を含んでもよい。代表的なヘテロアリール基としては、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、ピリジニル、チアジアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キノキサリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル又はベンゾ(b)チエニル基などが挙げられる。ヘテロアラルキル基は1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。
ヘテロアリール基とはアルキレンリンカーを介して他の部分と結合したヘテロアリール基をいう。ヘテロアラルキル基は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、未置換でもよい。
【0048】
本発明における「ハロゲン」又は「ハロ」の用語は、−F、−Cl、−Br又は−Iを意味する。本発明における「ハロアルキル」の用語は、1つ以上の水素原子がハロ基で置換されたアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例としては−CF、−CHF、−CCl、−CHCHBr、−CHCH(CHCHBr)CH、−CHICHなどが挙げられる。
【0049】
本発明における用語「ハロアルコキシ」は1個以上の水素原子がハロ基で置換されたアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシ基の例としては−OCF及び−OCHFが挙げられる。
【0050】
「生物等配体」及び「生物等配体による置換」の用語とは、通常当業者によって認識されているものと同様の意味を有する。生物等配体とは、電子外殻が実質的に同一であるとみなすことができる原子、イオン又は分子を指す。生物等配体という用語は通常、分子全体というよりは分子全体の一部を指すときに用いる。生物等配体による置換としては、当初の生物等配体の生物学的活性を維持するか又はわずかな変化に留めることを期待しつつ、1個の生物等配体を使用して他の生物等配体と置換することが挙げられる。したがって、生物等配体はこの場合、同程度の大きさ、形状及び電子密度を有する原子又は原子団である。エステル、アミド又はカルボン酸の好適な生物等配体は2つの水素結合部位を有する化合物である。実施例において、エステル、アミド又はカルボン酸の生物等配体は、5員環を有する単環式ヘテロアリール環(例えば任意に置換されてもよい1H−イミダゾリル、任意に置換されてもよいオキサゾリル、1H−テトラゾリル、[1,2,4]トリアゾリル又は任意に置換されてもよい[1,2,4]オキサゾリル基)である。
【0051】
本明細書で使用する用語「被験者」、「患者」及び「動物」は相互に交換して用いてもよく、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、七面鳥、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びヒトが含まれるがこれらに限定されない。好ましい被験者、患者又は動物はヒトである。
【0052】
本発明における「低級」の用語は、4個までの炭素原子を含む基を意味する。例えば「低級アルキル」は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を意味し、「低級アルケニル」又は「低級アルキニル」は各々2〜4個の炭素原子を含むアルケニル又はアルキニル基を意味する。低級アルコキシ又は低級アルキルスルファニルとは、1から4個の炭素原子を有するアルコキシ又はアルキルスルファニル基を指す。低級置換基が通常好ましい。
【0053】
個々の置換基(例えばアルキル置換基)が一定の構造又は部分において複数個存在する場合、それらの置換基の同一性は個々の場合独立したものであり、前記一定の構造又は部分内のそれらの置換基が他の置換基と同一の場合もあり、また相違する場合もある。更に特定の実施形態の、本発明の例示的化合物の個々の置換基はたとえ個々の置換基が好ましいと明白に記載されていなくとも、又は他の置換基と明白に組み合わせて示されていなくとも、本発明の化合物中の他のこれらの置換基と組み合わせることが好ましい。
【0054】
本発明の化合物は本明細書にて、化学構造式及び/又は化合物名により定義される。化合物が化学構造式と化合物名の双方で言及され、その構造式と化合物名とが一致しない場合はその化合物は構造式によって特定されるものとする。
【0055】
アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリールアルキル基のための適切な置換基としては安定な本発明の化合物を形成すると想定される任意の置換基が挙げられる。アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアラルキル基の置換基の例としては、アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−C(O)NR1718、−NR19C(O)R20、ハロ、−OR19、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、−C(O)R19、−NR1718、−SR19、−C(O)OR19、−OC(O)R19、−NR19C(O)NR1718、−OC(O)NR1718、−NR19C(O)OR20、−S(O)19又は−S(O)NR1718(式中、R17及びR18は各々独立に水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキル基であるか、又はR17及びR18はそれらが結合する窒素と共にヘテロシクリル又はヘテロアリール基を形成し、各発生のためのR19及びR20は独立に、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキル基である)が挙げられる。更にアルキル、シクロアルキル、アルキレン、ヘテロシクリル、並びにアルケニル、シクロアルケニル、アルキニルアラルキル及びヘテロアラルキル基のいかなる飽和部分も=O、=S、=N−R16で置換してもよい。
【0056】
ヘテロシクリル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキル基が窒素原子を含む場合、その窒素は置換型又は非置換型のいずれであってもよい。ヘテロアリール基の芳香環内の窒素原子が置換基を有する場合、その窒素は第四級窒素であってもよい。
【0057】
本発明にて想定される置換基及び変数の選択及び組み合わせは安定化合物を形成する態様に限定される。本発明における「安定な」という用語は(化合物が)製造工程に耐える程の安定性を有し、十分な期間にわたり本明細書において詳述される目的(例えば患者に対する治療又は予防のための投与)に使用できる程の化合物の完全性を維持できることを意味する。一般にそのような化合物は過湿でない限り40℃以下の温度で少なくとも一週間安定である。かかる選択及び組み合わせは当業者に明らかであり、過度な実験を行うことなく決定できる。
【0058】
明記されない限り、反応性の官能基(例えば限定されないがカルボキシ、ヒドロキシ及びアミノ部分)を含む本発明の化合物にはそれらの保護誘導体も含まれる。「保護誘導体」とは1つ以上の反応部位が1つ以上の保護基でブロックされている化合物を意味する。カルボキシ部分の適切な保護基としてはベンジル、tert−ブチル基などが挙げられる。アミノ及びアミド基の適切な保護基としてはアセチル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。ヒドロキシ基のための適切な保護基としては、ベンジル、トリメチルシリル(TMS)基などが挙げられる。他の適切な保護基はT.W.Greene,Protecting Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons,Inc.1981などが当業者に公知であり、その全ての開示内容は本願明細書に参照により援用される。
【0059】
本発明における「本発明の化合物」及びそれと同様の用語は、式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ、更にはそれらの被保護誘導体を意味する。
【0060】
本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は特に明記しない限り、生物学的な条件下(in vitro又はin vivo)で加水分解、酸化又はその他の反応により本発明の化合物を提供し得る、誘導体化合物を意味する。プロドラッグは生物学的条件下での上記のような反応によってのみ活性化され得るが、その未反応形態で活性を有する場合もある。本発明において考察されるプロドラッグの例としては限定されないが、生分解性部分(例えば生分解性アミド、生分解性エステル、生分解性カルバメート、生分解性カーボネート、生分解性ウレイド及び生分解性ホスフェートの類似体)を含んでなる、式(I)から(XX)若しくは表1記載のいずれか1個の化合物の類似体又は誘導体が挙げられる。その他のプロドラッグの例としては−NO、−NO、−ONO又は−ONO部分を含む、式(I)から(XX)又は表1記載のいずれか1つの化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは典型的には「1 BURGER’S MEDIClNAL CHEMISTRY AND DRUG DISCOVERY」(1995)172−178,949−982(Manfred E.Wolff編、第5版)に記載の方法(その全開示内容が本明細書に援用される)など、公知の方法で調製できる。
【0061】
本発明において特に明記しない限り、「生分解性アミド」、「生分解性エステル」、「生分解性カルバメート」、「生分解性カーボネート」、「生分解性ウレイド」及び「生分解性ホスフェートの類似体」は各々、アミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド又はホスフェートの類似体であって、1)化合物の生物学的活性を損なわずに、化合物に有利な取り込み作用、持続時間又は活性化などのin vivo特性を付与するものであるか、2)それ自体は生物学的に不活性であるが、in vivoで生物学的に活性な化合物に変換されるものを意味する。生分解性アミドの例としては限定されないが低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられる。生分解性エステルの例としては限定されないが低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル及びコリンエステルが挙げられる。生分解性カルバメートの例としては限定されないが低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式及びヘテロ芳香族アミン及びポリエーテルアミンが挙げられる。
【0062】
本発明における「薬理学的に許容できる塩」の用語は式(I)から(XX)又は表1記載のいずれか1個の化合物に含まれる一種の酸性基及び塩基性基から形成される塩を意味する。例示的な塩類としては限定されないが硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトアート))塩が挙げられる。「薬理学的に許容できる塩」の用語はまた、酸性官能基(例えばカルボン酸官能基)を有する式(I)から(XX)又は表1記載のいずれか1つの化合物と、薬理学的に許容できる無機塩基又は有機塩基とから調製される塩を指す。好適な塩基としては、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム及びリチウム)の水酸化物、アルカリ土類金属(例えばカルシウム及びマグネシウム)の水酸化物、他の金属(例えばアルミニウム及び亜鉛)の水酸化物、アンモニア及び有機アミン(例えば非置換であるかヒドロキシ置換されたモノ、ジ又はトリアルキルアミン)、ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N−メチル,N−エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ビス−又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)(例えばモノ−、ビス−又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミン)、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン(例えばN,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アミン又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン)、Nメチル−D−グルカミン、並びにアミノ酸(例えばアルギニン、リジン、など)が挙げられるが、これらに限定されない。「薬理学的に許容できる塩」の用語はまた、塩基性官能基(例えばアミノ官能基)を有する式(I)から(XX)又は表1記載のいずれか1つの化合物と、薬理学的に許容できる無機酸又は有機酸とから調製される塩を指す。好適な酸としては、限定されないが硫酸、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、糖酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタン硫酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0063】
本発明における「薬理学的に許容できる溶媒和化合物」の用語は1個以上の溶媒分子が式(I)から(XX)の又は表1記載のいずれか1個の化合物の1個以上の分子に結合して形成される溶媒和化合物を意味する。溶媒和化合物という用語には水和物(例えば半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)が含まれる。
【0064】
本発明における「包接化合物」の用語は結晶格子の形を有する本発明の化合物又はその塩であって、自身が有する空間(例えばチャネル)に外部分子(例えば溶媒又は水)をトラップしているものを意味する。
【0065】
本明細書で使用する用語「喘息」は可逆的な気道閉塞、気道炎症及び様々な刺激に対する気道応答性の増大を特徴とする、肺の疾病、疾患又は症状を指す。
【0066】
「免疫抑制」とは免疫系のいずれかの構成要素を妨害することであって、免疫機能の低下に繋がるものを指す。この妨害はリンパ球機能の全血アッセイ、リンパ球増殖の検出及びT細胞表面抗原の発現の評価等、従来の任意の手段を用いて測定できる。抗ヒツジ赤血球(SRBC)の初期(IgM)抗体応答アッセイ(通常プラークアッセイと称される)が1つの具体的な方法である。この方法及び他の方法はLuster,M.I.,Portier,C,Pait,D.G.,White,K.L.,Jr.,Gennings,C,Munson,A.E.,and Rosenthal,GJ.(1992)、「Risk Assessment in Immunotoxicology I:Sensitivity and Predictability of Immune Tests.」Fundam.Appl.Toxicol.,18,200−210.に記載されている。T細胞依存性免疫原に応答する免疫反応の測定は、他の特に有用なアッセイ(Dean,J.H.,House,R.V.,and Luster,M.I.(2001).Immunotoxicology:Effects of, and Responses to, Drugs and Chemicals. In Principles and Methods of Toxicology:Fourth Edition(A.W.Hayes,Ed.),pp.1415−1450,Taylor&Francis,Philadelphia,Pennsylvania)により行う。
【0067】
本発明の化合物は免疫疾患に罹患する被験者の治療に使用できる。本明細書で使用する用語「免疫疾患」及びそれに類似する用語は、自己免疫疾患などの、動物の免疫系に起因して発症する疾病、疾患又は症状を意味する。免疫疾患には、免疫構成要素に係る疾病、疾患又は症状と、実質的に免疫系全体に係る疾病、疾患又は症状とが含まれる。自己免疫疾患とは、動物の免疫系が誤って自身の細胞、組織、臓器を標的として攻撃してしまう疾患である。例えば自己免疫反応は多発性硬化症では神経が標的とされ、クローン病では消化管が標的とされる。全身性エリトマトーデス(狼瘡)などの他の自己免疫疾患では、同一の疾病でも罹患する組織及び臓器は個人間で異なる。狼瘡を有する人の中には皮膚及び関節が冒される人や、皮膚、腎臓及び肺が冒される人などが存在し得る。結果的には1型真性糖尿病における膵臓のインスリン生産細胞の破壊と同様、免疫系による組織の損傷は恒久的なものであり得る。本発明の方法及び化合物を使用して改善できる特定の自己免疫疾患としては限定されないが、神経系における自己免疫疾患(例えば多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性神経障害(例えばギラン−バレー症候群)及び自己免疫性ブドウ膜炎)、血液における自己免疫疾患(例えば自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血及び自己免疫性血小板減少症)、血管における自己免疫疾患(例えば側頭動脈炎、抗リン脂質症候群、脈管炎(例えばウェゲナー肉芽腫症)及びベーチェット病)、皮膚における自己免疫疾患(例えば乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡及び白斑)、胃腸系における自己免疫疾患(例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変症及び自己免疫肝炎)、内分泌腺における自己免疫疾患(例えば1型又は免疫性糖尿病、バセドウ病、橋本病、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性睾丸炎、副腎自己免疫不全)、複数組織の自己免疫疾患(結合組織及び筋骨格系の疾患(例えば関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎などの脊椎関節症及びシェーグレン症候群))が挙げられる。更に他の免疫系により媒介される疾病、例えば移植片対宿主病及びアレルギー性疾患も、本明細書の免疫疾患の定義に含まれる。炎症を原因として多くの免疫疾患が生じるため、免疫疾患として考えられる疾患と、炎症性疾患として考えられる疾患には重複するものも存在する。本発明の目的において、かかる重複疾患の場合、その疾患は免疫疾患又は炎症性疾患のいずれかとして考慮してもよい。本明細書の「免疫疾患の治療」とは、自己免疫疾患、該疾患の症状又は該疾患の素因を治癒、改善、変化、作用又は予防を目的として、免疫疾患、該疾患の症状又は素因を有する被験者に対して本発明の化合物又は組成物を投与することを指す。
【0068】
本明細書で使用する用語「アレルギー性疾患」は通常無害の物質に対するアレルギー応答を伴う疾病、疾患又は症状を意味する。これらの物質は環境に存在(例えば屋内空気汚染物質及び空気中アレルゲン)する場合もあり、又は環境中に存在しない(皮膚アレルギー又は食物アレルギーの誘導物質)場合もある。アレルゲンは吸引、消化、皮膚接触又は注入(虫刺されを含む)などの多数の経路を介して体内に入り込みうる。多くのアレルギー性疾患はアレルギー抗体IgEを生成する素因であるアトピーと関連する。IgEは体中のマスト細胞を感作できるため、アトピーの個体は一箇所以上の組織で疾病を発現させることが多い。本発明の目的に鑑み、アレルギー性疾患とは感作アレルゲンに対して再度曝露されると発症し、続いて炎症性メディエータの放出を引き起こす、全ての過敏症を意味する。アレルギー性疾患には限定されないが、アレルギー性鼻炎(例えば花粉症)、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、慢性又は再発性中耳炎、薬物反応、昆虫刺傷反応、ラテックス反応、結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシーとアナフィラキシー様反応、アトピー性皮膚炎、喘息及び食物アレルギーが含まれる。
【0069】
本発明の化合物は炎症性疾患の予防、又は炎症性疾患に罹患した被験者の治療に使用できる。本明細書の「炎症性疾患」とは身体組織の炎症により、又は炎症要素を有することにより特徴付けられる疾病、疾患又は症状を意味する。これらには局所的な炎症反応及び全身性の炎症反応が含まれる。かかる炎症性疾患の例としては、以下のものが挙げられる。皮膚移植拒否を含む移植拒否、関節の慢性炎症性障害(例えば増加した骨吸収を伴う関節炎、慢性関節リウマチ、骨関節炎及び骨疾患)炎症性腸疾患(例えば回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群及びクローン病)、炎症性肺疾患(例えば喘息、成人呼吸窮迫症候群及び慢性閉塞性気道疾患)、目の炎症性障害(例えば角膜ジストロフィー、トラコーマ、オンコセルカ症、ブドウ膜炎、交感眼炎及び眼内炎)、口腔の慢性炎症性障害(例えば歯肉炎及び歯周炎)結核、ハンセン病、尿毒症合併症、糸球体腎炎及びネフローゼなどの腎臓の炎症性疾患、硬化性皮膚炎、乾癬及び湿疹などの炎症性皮膚疾患、神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、AIDS関連の神経変性、アルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及びウイルス性又は自己免疫性脳炎などの炎症性中枢神経疾患、自己免疫疾患、免疫複合体血管炎、全身性狼瘡及び紅斑症、全身性エリトマトーデス(SLE)、心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症などの炎症性心疾患、並びに子癇前症、慢性肝不全、脳及び脊髄外傷、癌などの重大な炎症性の構成要素を有する他の様々な疾患が挙げられる。あるいはグラム陽性又はグラム陰性細菌ショック、出血性若しくはアナフィラキシーショック、又は前炎症性サイトカインに応答する癌化学療法によって誘発されたショック(例えば前炎症性サイトカイン関連ショック)などの全身性の炎症も挙げられる。かかるショックは例えば癌化学療法に用いられる化学療法剤によって誘発されうる。本明細書にて「炎症性疾患の治療」とは炎症性疾患、炎症性疾患の徴候又は炎症性疾患の素因を有する被験者に対して、炎症性疾患、炎症性疾患の症状又は炎症性疾患の素因を治癒、緩和、変化、作用又は予防することを目的として、本発明の化合物又は組成物を投与することを意味する。
【0070】
「有効量」とは被験者に投与した際に有益な効果を生じさせるだけの化合物量、あるいはin vivo又はin vitroにおける所望の活性を有する化合物量を意味する。炎症性疾患及び免疫疾患における有益な臨床効果には治療しない場合と比較した、その疾病又は疾患に関連した症状の程度又は重症度の軽減、及び/又は被験者の寿命の延長、及び/又は生活の質の向上などが含まれる。被験者に投与される化合物の正確な量は疾病若しくは症状の種類及び重症度、並びに全身の健康状態、年齢、性別、体重及び薬物耐性に依存する。また炎症性疾患、自己免疫疾患若しくはアレルギー性疾患の程度、重症度及び種類、又は必要とする免疫抑制の程度にも依存する。当業者はこれら及び他の要素に応じて適切な用量を決定できる。本明細書に開示されている化合物の有効量は通常1日当たり約1mg/mm〜約10g/mm、好ましくは1日当たり10mg/mm〜約1g/mmである。
【0071】
本発明の化合物は1個以上のキラル中心及び/又は二重結合を含んでもよく、それにより立体異性体、例えば二重結合による異性体(すなわち幾何異性体)、エナンチオマー又はジアステレオマーとして存在してもよい。本発明で表される化学構造には本発明の化合物も当然含まれるが、その化合物の全ての対応するエナンチオマー及び立体異性体(すなわち立体異性的に純粋な形態(例えば幾何学的に純粋、鏡像異性的に純粋、ジアステレオ的に純粋)、並びに鏡像異性体、ジアステレオマー及び幾何異性体の混合物)も含まれる。場合によっては1つのエナンチオマー、ジアステレオマー又は幾何異性体は他と比較して優れた活性、又は改善された毒性若しくは動的プロファイルを有する。その場合にはかかる本発明の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何異性体が好ましい。
【0072】
「IL−2産生阻害」などの用語はIL−2合成の阻害(例えば転写(mRNA発現)又は翻訳(タンパク質発現)の阻害による)、及び/又はIL−2を産生及び/又分泌する細胞(例えばTリンパ球)からのIL−2分泌の阻害を意味する。同様に「IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α又はINF−γの産生抑制」の用語はそれらの合成阻害(例えば転写又は翻訳の阻害による)、及び/又はこれらのサイトカインを産生及び/又分泌する細胞からのそれらの分泌阻害を意味する。
【0073】
本明細書で使用する化合物を「実質的に」含有する組成物とは該化合物を約80重量%超、より好ましくは約90重量%超、更に好ましくは約95重量%超、最も好ましくは約97重量%超で含有する組成物を意味する。
【0074】
本明細書で使用する化合物を「実質的に含まない」組成物とは該化合物を約20重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、更に好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは約3重量%未満で含有する組成物を意味する。
【0075】
本明細書で使用する反応「実質的に完了する」とは反応物中に約80重量%超、より好ましくは約90重量%超、更に好ましくは約95重量%超、最も好ましくは約97重量%超の所望の生成物が含まれることを意味する。
【0076】
本明細書で使用するラセミ混合物とは分子の全キラル中心に関して、1つのエナンチオマー約50%に対して、対応するエナンチオマーが約50%含まれることを意味する。本発明には式(I)から(XX)又は表1記載のいずれか1つの化合物に係る全ての鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的に富化された、ジアステレオ的に純粋な、ジアステレオ的に富化された、及びラセミ化された混合物が含まれる。
【0077】
エナンチオマー及びジアステレオマー混合物は例えばキラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、化合物のキラル塩複合体としての結晶化、化合物のキラル溶媒中での結晶化等の周知の方法で処理し、その構成要素であるエナンチオマー又は立体異性体に分割できる。周知の不斉合成法によって、ジアステレオ的又はエナンチオ的に純粋な中間体、試薬及び触媒からエナンチオマー及びジアステレオマーを得ることができる。
【0078】
本発明の化合物は例えばヒトでない動物に獣医学的な目的若しくは家畜類の疾病の改善目的で、又はヒトに対する診療目的で、患者に投与する場合、典型的には単離された形態又は医薬組成物中に単離された形態で投与する。本明細書の「単離された」の用語は本発明の化合物が(a)植物又は細胞などの天然源好ましくは細胞培養物、又は(b)合成有機化合物の反応混合物、のいずれかの他成分から分離されている状態を意味する。本発明の化合物は従来の技術を使用して精製するのが好ましい。本明細書の「精製された」の用語は単離された際その単離物が、本発明の1つの化合物をその単離物中に少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%含んでなる状態を意味する。
【0079】
安定な構造が形成される置換基の選択及び組み合わせのみが想定される。かかる選択及び組み合わせは当業者に明らかであり、過度な実験を行うことなく決定できる。
【0080】
本発明は以下の詳細な説明及び例示的な実施例の参照により更に完全に理解できるが、それらは本発明の実施形態の非限定的な例示を目的とするものである。
【0081】
<具体的実施態様>
本発明は免疫抑制、又は炎症疾患、免疫疾患及びアレルギー性疾患の治療若しくは予防に特に有用である化合物及び医薬組成物に関する。
【0082】
本発明の一実施態様は、式(I)の化合物
【化9】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは−NRC(O)−、−C(O)−NR−、−NRC(S)−、−C(S)−NR−、−NRC(NR)−又は−C(NR)−NR−からなる群から選択されるリンカーであり、
はCH、CR又はNであり、
はCH、CR又はNであり、
Zは低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、シアノ、ニトロ又は低級ハロアルコキシ基からなる群から各々独立に選択され、
Rは−H、アルキル、−C(O)R又は−C(O)ORから各々独立に選択され、
、R及びRは各々独立に任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
は=O、=S又は=NRであり、
は=O又は=Sであり、
は−O−又は−S−であり、
は各々独立に水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル基であり、
及びRは各々独立に水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル若しくは任意に置換されてもよいヘテロアラルキル基であるか、
又はR及びRはそれらが結合する窒素と共に結合した、任意に置換されてもよいヘテロシクリル若しくは任意に置換されてもよいヘテロアリール基であり、
は各々独立に水素原子、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR又はC(O)NRであり、nは0又は1から2までの整数であり、
pは各々独立に1又は2であり、
qは0又は1から3までの整数であり、
tは0又は1から4までの整数である。
【0083】
別の実施態様では、本発明は式(II)の化合物
【化10】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは−NHC(O)−又は−C(O)−NH−であり、
、X、R、R、R、Z、n、q及びtは式(I)における定義と同じである。
【0084】
別の実施態様では、本発明は式(III)の化合物
【化11】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、XはCH又はNであり、
及びR10は各々独立にハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ又は低級ハロアルコキシ基であり、
、R、Z、n及びtは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じである。
【0085】
別の実施態様では、本発明は式(IV)の化合物
【化12】


又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、XはCH又はNであり、
は式(II)における定義と同じであり、
、R及びR10は式(III)における定義と同じであり、
11及びR12は式(XIII)における定義と同じである。
【0086】
別の実施態様では、本発明は式(V)の化合物
【化13】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、X、R、Z、n及びtは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じであり、
は式(III)における定義と同じである。
【0087】
別の実施態様では、本発明は式(VI)の化合物
【化14】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。式中、Lは式(II)における定義と同じであり、
は式(III)における定義と同じであり、
は式(IV)における定義と同じであり、
11及びR12は式(XIII)における定義と同じである。
【0088】
別の実施態様では、本発明は式(VII)の化合物
【化15】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Rは任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
、X、X、X、R、R、R、R、R、L、Z、n、p及びtは式(I)における定義と同じであり、
は式(III)における定義と同じである。
【0089】
別の実施態様では、本発明は式(VIII)の化合物、
【化16】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、X、R、R、Z、n及びtは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じであり、
は式(III)における定義と同じであり、
は式(VII)における定義と同じである。
【0090】
別の実施態様では、本発明は式(IX)の化合物、
【化17】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、mは0又は1から3までの整数であり、
、R、R、R、L、Z、t及びnは式(I)における定義と同じである。
【0091】
別の実施態様では、本発明は式(X)の化合物
【化18】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、X、R、R、R、Z、t及びnは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じであり、
mは式(IX)における定義と同じである。
【0092】
別の実施態様では、本発明は式(XI)の化合物
【化19】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、R、R、Z及びnは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じであり、
は式(IV)における定義と同じであり、
11及びR12は式(XIII)における定義と同じであり、
mは式(IX)における定義と同じである。
【0093】
別の実施態様では、本発明は式(XII)の化合物、
【化20】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは式(II)における定義と同じであり、
及びR10は式(III)における定義と同じであり、
は式(IV)における定義と同じであり、
11及びR12は式(XIII)における定義と同じである。
【0094】
別の実施態様では、本発明は式(XIII)の化合物、
【化21】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、R11及びR12は各々独立にハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、任意に1から3個の低級アルキル基で置換されてもよい5員環を有するヘテロアリール、−C(O)OR13、−C(O)NR1415、又はシアノ基であり、
13、R14及びR15は各々独立に水素原子、低級アルキル又はアルコキシ基によって置換された低級アルキル基であり、
、R、R、L、Z、n及びqは式(I)における定義と同じであり、
は式(IV)における定義と同じである。
【0095】
別の実施態様では、本発明は式(XIV)の化合物、
【化22】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、X、R、R、Z、n及びqは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じであり、
は式(IV)における定義と同じであり、
11及びR12は式(XIII)における定義と同じである。
【0096】
別の実施態様では、本発明は式(XV)の化合物、
【化23】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Z及びnは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じであり、
、R及びR10は式(III)における定義と同じであり、
は式(IV)における定義と同じであり、
11及びR12は式(XIII)における定義と同じである。
【0097】
別の実施態様では、本発明は式(XVI)の化合物、
【化24】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは−NRC(O)−、−C(O)−NR−、−NRC(S)−、−C(S)−NR−、−CHNR−、−NRCH−、−C(O)−、−C(S)−、−NRC(NR)−又は−C(NR)−NR−からなる群から選択されるリンカーであり、
21は水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
、X、X、X、R、R、R、R、R、Z、p、t及びnは式(I)における定義と同じである。
【0098】
別の実施態様では、本発明は式(XVII)の化合物、
【化25】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、X、R、Z、t及びnは式(I)における定義と同じであり、
は式(II)における定義と同じであり、
21は式(XVI)における定義と同じである。
【0099】
別の実施態様では、本発明は式(XVIII)の化合物、
【化26】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
は式(II)における定義と同じであり、
は式(IV)における定義と同じであり、
11及びR12は式(XIII)における定義と同じであり、
21は式(XVI)における定義と同じである。
【0100】
別の実施態様では、本発明は式(XIX)の化合物、
【化27】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、R22は任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルキル又は任意に置換されてもよいヘテロシクロアルキル基であり、
23及びR24は各々独立に置換基であり、
Z及びnは式(I)における定義と同じであり、
は式(XIII)における定義と同じであり、
は式(XVI)における定義と同じである。
【0101】
別の実施態様では、本発明は式(XX)の化合物、
【化28】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
式中、Lは−NRC(O)−、−C(O)−NR−、−NRC(S)−、−C(S)−NR−、−CHNR−、−NRCH−、−C(S)−、−NRC(NR)−又は−C(NR)−NR−からなる群から選択されるリンカーであり、
25は任意に置換されてもよいアルキル又は任意に置換されてもよいシクロアルキル基であり、
R、Z及びnは式(I)における定義と同じであり、
23及びR24は式(XIX)における定義と同じである。
【0102】
別の実施態様では、式(I)、(VII)、(IX)、(XIII)、(XVI)、(XIX)又は(XX)では、L、L又はLは−NRC(O)−又は−C(O)−NRである。好ましくは、本実施態様では、RはHである。
【0103】
別の実施態様では、式(I)、(VII)、(IX)、(XIII)、(XVI)(XIX)又は(XX)では、L、L又はLは−NRC(S)−又は−C(S)−NRである。好ましくは、本実施態様では、RはHである。
【0104】
他の実施態様では、式(XVI)、(XIX)又は(XX)ではL又はLは−NR−CH−又は−CH−NRである。好ましくは、本実施態様では、RはHである。
【0105】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(IX)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XIX)又は(XX)では、nは0である。
【0106】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(IX)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XIX)又は(XX)では、nは1である。
【0107】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(IX)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XIX)又は(XX)では、nは2である。
【0108】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XVI)又は(XVII)では、XはCHである。
【0109】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XVI)又は(XVII)では、XはCRである。
【0110】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XVI)又は(XVII)では、XはNである。
【0111】
別の実施態様では、式(I)又は(II)では、XはCHであり、XはCHである。
【0112】
別の実施態様では、式(I)又は(II)では、XはCHであり、XはNである。
【0113】
別の実施態様では、式(I)又は(II)では、XはNであり、XはCHである。
【0114】
別の実施態様では、式(I)又は(II)では、XはNであり、XはNである。
【0115】
別の実施態様では、式(III)、(VII)、(VIII)では、XはCHであり、XはCHである。
【0116】
別の実施態様では、式(III)、(VII)、(VIII)では、XはCHであり、XはNである。
【0117】
別の実施態様では、式(III)、(VII)、(VIII)では、XはNであり、XはCHである。
【0118】
別の実施態様では、式(III)、(VII)、(VIII)では、XはNであり、XはNである。
【0119】
別の実施態様では、式(IV)、(VI)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVIII)又は(XIX)ではXはCHである。
【0120】
別の実施態様では、式(IV)、(VI)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVIII)又は(XIX)では、XはNである。
【0121】
別の実施態様では、式(XIII)、(XIV)、(XV)では、XはCHであり、XはCHである。
【0122】
別の実施態様では、式(XIII)、(XIV)又は(XV)では、XはCHであり、XはNである。
【0123】
別の実施態様では、式(XIII)又は(XIV)では、XはNであり、XはCHである。
【0124】
別の実施態様では、式(XIII)又は(XIV)では、XはNであり、XはNである。
【0125】
別の実施態様では、式(IV)又は(XV)では、XはCHであり、XはCHである。
【0126】
別の実施態様では、式(IV)又は(XV)では、XはCHであり、XはNである。
【0127】
別の実施態様では、式(IV)又は(XV)では、XはNであり、XはCHである。
【0128】
別の実施態様では、式(IV)又は(XV)では、XはNであり、XはNである。
【0129】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XIII)又は(XIV)では、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基である。
【0130】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)では、(XI)、(XIII)又は(XIV)では、Rはハロ又は低級アルキル基である。
【0131】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XIII)又は(XIV)では、Rはハロ(例えばフルオロ)基である。
【0132】
別の実施態様では、式(VII)又は(VIII)では、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基である。好ましくは、本実施態様では、Rはハロ又は低級アルキル基である。より好ましくは、Rはハロ(例えばフルオロ)基である。この実施態様の更なる態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。この実施態様の別の態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。この実施態様の好ましい態様では、XはCHであり、XはCHである。あるいは、この実施態様の別の好ましい態様では、XはCHであり、XはNである。あるいは、この実施態様の別の好ましい態様では、XはNであり、XはCHである。あるいは、この実施態様の他の好ましい態様では、XはNであり、XはNである。
【0133】
別の実施態様では、式(VII)又は(VIII)では、Rはハロ又は低級アルキル基であり、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はハロアルコキシ基である。好ましくは、本実施態様では、Rはハロ又は低級アルキル基である。より好ましくは、Rはハロ(例えばフルオロ)基である。この実施態様の更なる態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。この実施態様の別の態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。この実施態様の好ましい態様では、XはCHであり、XはCHである。あるいは、この実施態様の別の好ましい態様では、XはCHであり、XはNである。あるいは、この実施態様の別の好ましい態様では、XはNであり、XはCHである。あるいは、この実施態様の他の好ましい態様では、XはNであり、XはNである。
【0134】
別の実施態様では、式(VII)又は(VIII)では、Rはハロ(例えばフルオロ)基であり、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はハロアルコキシ基である。好ましくは、本実施態様では、Rはハロ又は低級アルキル基である。より好ましくは、Rはハロ(例えばフルオロ)基である。この実施態様の更なる態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。この実施態様の別の態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。この実施態様の好ましい態様ではXはCHであり、XはCHである。あるいは、この実施態様の別の好ましい態様では、XはCHであり、XはNである。この実施態様の別の好ましい態様では、XはNであり、XはCHである。あるいは、この実施態様の他の好ましい態様では、XはNであり、XはNである。
【0135】
別の実施態様では、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(XII)又は(XV)では、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基である。
【0136】
別の実施態様では、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(XII)又は(XV)では、Rはハロ又は低級アルキル基である。
【0137】
別の実施態様では、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(XII)又は(XV)では、Rはハロ(例えばフルオロ)基である。
【0138】
別の実施態様では、式(III)、(IV)、(XII)又は(XV)では、R及びR10は各々独立にハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基である。
【0139】
別の実施態様では、式(III)、(IV)、(XII)又は(XV)では、R及びR10は各々独立にハロ又は低級アルキル基である。
【0140】
別の実施態様では、式(III)、(IV)、(XII)又は(XV)では、R及びR10は各々独立にハロ基である。この実施態様の一態様では、R及びR10は各々フルオロ基である。
【0141】
別の実施態様では、式(V)では、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはCHである。あるいは式(V)では、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはNである。
【0142】
別の実施態様では、式(V)では、Rはハロ又は低級アルキル基であり、XはCHである。あるいは式(V)では、Rはハロ又は低級アルキル基であり、XはNである。
【0143】
別の実施態様では、式(V)では、Rはハロ(例えばフルオロ)基であり、XはCHである。あるいは式(V)では、Rはハロ(例えばフルオロ)基であり、XはNである。
【0144】
別の実施態様では、式(VI)では、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはCHである。あるいは式(VI)では、Rはハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはNである。
【0145】
別の実施態様では、式(VI)では、Rはハロ又は低級アルキル基であり、XはCHである。あるいは式(VI)では、Rはハロ又は低級アルキル基であり、XはNである。
【0146】
別の実施態様では、式(VI)では、Rはハロ(例えばフルオロ)基であり、XはCHである。あるいは式(VI)では、Rはハロ(例えばフルオロ)基であり、XはNである。
【0147】
別の実施態様では、式(III)では、R及びR10が各々独立にハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはCHである。あるいは式(III)では、R及びR10が各々独立にハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはNである。この実施態様の更なる態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。
【0148】
別の実施態様では、式(III)では、R及びR10は各々独立にハロ又は低級アルキル基であり、XはCHである。あるいは式(III)では、R及びR10は各々独立にハロ又は低級アルキル基であり、XはNである。この実施態様の更なる態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。
【0149】
別の実施態様では、式(III)では、R及びR10は各々独立にハロ(例えばフルオロ)基であり、XはCHである。あるいは、式(III)では、R及びR10は各々独立にハロ(例えばフルオロ)基であり、XはNである。この実施態様の更なる態様では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、XはNである。
【0150】
別の実施態様では、式(IV)、(XII)又は(XV)では、R及びR10が各々独立にハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはCHである。
【0151】
あるいは式(III)では、R及びR10は各々独立にハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシ基であり、XはNである。この実施態様の更なる態様では、式(IV)又は(XV)では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、式(IV)又は(XV)では、XはNである。
【0152】
別の実施態様では、式(IV)、(XII)又は(XV)では、R及びR10は各々独立にハロ又は低級アルキル基であり、XはCHである。あるいは式(III)では、R及びR10は各々独立にハロ又は低級アルキル基であり、XはNである。この実施態様の更なる態様では、式(IV)又は(XV)では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、式(IV)又は(XV)では、XはNである。
【0153】
別の実施態様では、式(IV)、(XII)又は(XV)では、R及びR10は各々独立にハロ(例えばフルオロ)基であり、XはCHである。あるいは式(III)では、R及びR10は各々独立にハロ(例えばフルオロ)基であり、XはNである。この実施態様の更なる態様では、式(IV)又は(XV)では、XはCHである。あるいは、この実施態様の更なる態様では、式(IV)又は(XV)では、XはNである。
【0154】
別の実施態様では、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIII)、(X)、(XI)、(XII)、(XIV)、(XV)、(XVII)又は(XVIII)では、Lは−NRC(O)−である。好ましくは、この実施態様では、RはHである。
【0155】
別の実施態様では、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIII)、(X)、(XI)、(XII)、(XIV)、(XV)、(XVII)又は(XVIII)では、Lは−C(O)−NRである。好ましくは、この実施態様では、RはHである。
【0156】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XVI)、(XVII)では、tは0である。この実施態様の一態様では、XはCHである。あるいはこの実施態様の別の態様では、XはNである。
【0157】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XVI)又は(XVII)では、tは1である。この実施態様の一態様では、XはCHである。あるいはこの実施態様の別の態様では、XはNである。
【0158】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XVI)又は(XVII)では、tは2である。この実施態様の一態様では、XはCHである。あるいはこの実施態様の別の態様では、XはNである。
【0159】
別の実施態様では、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XVI)又は(XVII)では、tは3である。この実施態様の一態様では、XはCHである。あるいはこの実施態様の別の態様では、XはNである。
【0160】
別の実施態様では、式(IV)(VI)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)又は(XVIII)では、R11及びR12は各々独立に−Cl、−Br、−CN、メチル、メトキシ、エチル、−CF、−C(O)OCH、−C(O)OCHCH、−C(O)OCHCHCH、−C(O)OCHCHOCH、−C(O)NH、フラン−2−イル又はフラン−3−イル基である。この実施態様の一態様では、XはCHである。この実施態様の別の態様では、XはNである。
【0161】
別の実施態様では、式(IV)、(VI)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)又は(XVIII)では、R12はフラニル、チオ・フェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル又はチアジアゾリル基であり、各々ハロ又は低級アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。この実施態様の一態様では、R11はハロ又は低級アルキルである。この実施態様の別の態様では、XはCHである。この実施態様の別の態様では、XはNである。
【0162】
別の実施態様では、式(XVI)、(XVII)又は(XVIII)では、R21は水素原子又は低級アルキル基である。好ましくはR21は水素原子又はメチル基である。この実施態様の一態様では、R12はフラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル又はチアジアゾリル基であり、各々ハロ又は低級アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。この実施態様の別の態様では、R11はハロ又は低級アルキルである。この実施態様の別の態様では、XはCHである。この実施態様の別の態様では、XはNである。
【0163】
別の実施態様では、式(XIX)では、R22は低級アルキル、単環式シクロアルキル又は単環式ヘテロシクロアルキルは各々、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、メルカプト、低級アルキルスルファニル、カルボキシル又は低級アルキルエステルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。
【0164】
別の実施態様では、式(XX)では、R25は低級アルキル基又は単環式シクロアルキル基であり、各々、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、メルカプト、低級アルキルスルファニル、カルボキシル又は低級アルキルエステルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。
【0165】
別の実施態様では、式(XIX)又は(XX)では、R23及びR24は任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rからなる群から選択され、Xは=O、=S又は=NRであり、Xは=O又は=Sであり、Xは−O−又は−S−である。
【0166】
別の実施態様では、式(XIX)では、R24はフラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル又はチアジアゾリル基であり、各々ハロ又は低級アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。この実施態様の一態様では、R23はハロ又は低級アルキル基である。この実施態様の別の態様では、XはCHである。この実施態様の別の態様では、XはNである。この実施態様の別の態様では、R22は低級アルキル、単環式シクロアルキル又は単環式ヘテロシクロアルキル基であり、各々、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、メルカプト、低級アルキルスルファニル、カルボキシル又は低級アルキルエステルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。
【0167】
別の実施態様では、式(XX)では、R24はフラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル又はチアジアゾリル基であり、各々ハロ又は低級アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。この実施態様の一態様では、R23はハロ又は低級アルキル基である。この実施態様の別の態様では、R25が低級アルキル又は単環式シクロアルキルであり、各々、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、メルカプト、低級アルキルスルファニル、カルボキシル又は低級アルキルエステルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。
【0168】
別の実施態様では、本発明は以下からなる群から選択される化合物、5−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸メチルエステル、4−メチル−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル、3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸プロピルエステル、3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、4−クロロ−3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル、4−クロロ−3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸エチルエステル、4−クロロ−3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸プロピルエステル、4−クロロ−3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、5−(5−フラン−2−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(5−フラン−3−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(5−クロロ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(5−ブロモ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(2−エチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(5−カルバモイル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、5−(5−カルバモイル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド、4−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−安息香酸メチルエステル、4−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−安息香酸エチルエステル、4−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−安息香酸プロピルエステル、4−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、3−クロロ−4−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル、3−クロロ−4−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸エチルエステル、4−クロロ−3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸プロピルエステル、3−クロロ−4−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、5−(5−フラン−2−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−フラン−3−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−クロロ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−ブロモ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(2−エチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−カルバモイル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−シアノ−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸メチルエステル、3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸エチルエステル、3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸プロピルエステル、3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、4−クロロ−3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル、4−クロロ−3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸エチルエステル、4−クロロ−3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸プロピルエステル、4−クロロ−3−[5−(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、5−(5−フラン−2−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−フラン−3−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−クロロ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−ブロモ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(2−エチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−カルバモイル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−シアノ−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3,5−ジフルオロ−ピリジン−4−イル)−アミド、4−メチル−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル、4−メチル−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸エチルエステル、4−メチル−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸プロピルエステル、4−メチル−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、4−クロロ−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル、4−クロロ−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸エチルエステル、4−クロロ−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸プロピルエステル、4−クロロ−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸2−メトキシ−エチルエステル、5−(5−フラン−2−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−フラン−3−イル−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−クロロ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−ブロモ−2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(2−エチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(2−メチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−カルバモイル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、5−(5−シアノ−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド、3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸エチルエステル、[5−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−イルメチル]−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミン、3−フルオロ−N−[5−(5−イソキサゾール−5−イル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、N−[5−(5−イソキサゾール−5−イル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−イソニコチンアミド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(5−イソキサゾール−5−イル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−フルオロ−N−[5−(5−イソチアゾール−5−イル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、N−[5−(5−イソチアゾール−5−イル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−イソニコチンアミド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(5−イソチアゾール−5−イル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−イソキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−フルオロ−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−イソキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−イソキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3,5−ジフルオロ−イソニコチンアミド、3−フルオロ−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−メチル−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−フルオロ−N−[5−(2−メチル−5−チアゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−メチル−N−[5−(2−メチル−5−チアゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミ
ド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−チアゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−フルオロイソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3,5−ジフルオロ−イソニコチンアミド、3−フルオロ−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−メチル−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−フルオロ−N−[5−(2−メチル−5−チアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−メチル−N−[5−(2−メチル−5−チアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−チアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−フルオロ−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3,5−ジフルオロ−イソニコチンアミド、3−フルオロ−N−[5−(2−メチル−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−メチル−N−[5−(2−メチル−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−フルオロ−N−[5−(2−メチル−5−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3−メチル−N−[5−(2−メチル−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、3,5−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−フルオロ−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3−メチル−イソニコチンアミド、N−[5−(2−クロロ−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−3,5−ジフルオロ−イソニコチンアミド2,6−ジフルオロ−N−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−ベンズアミド、3−[5−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸メチルエステル、2,6−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−ベンズアミド、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
【0169】
別の実施態様では、本発明は以下からなる群から選択される化合物4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−クロロ−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(5−イソキサゾール−5−イル−2−メチルフェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(5−イソチアゾール−5−イル−2−メチル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−クロロ−5−イソキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−メチル−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−メチル−5−チアジアゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−メチル−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−メチル−5−チアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−クロロ−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−メチル−5−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸[5−(2−メチル−5−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−アミド、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグに関する。
【0170】
本明細書では、開示される全ての特徴、特定の実施態様及び特定の置換基はいかなる態様で組み合わせてもよい。本明細書では開示される各特徴、実施態様又は置換基は同一、均等若しくは類似の目的にかなう他の特徴、実施態様若しくは置換基で交換してもよい。化合物の場合、本明細書では開示されるいかなる化学式の変数(例えば本明細書では開示される例示的な化合物に示される値)の特定の値を任意の組み合わせで組み込んで、結果として安定な構造としてもよい。更に1種類の化学構造中の置換基の特定の値(好ましい場合もそうでない場合も)は、他の同じ又は異なるタイプの化学構造中の置換基の値(好ましい場合もそうでない場合も)と組み合わせてもよい。すなわち、特に明記されない限り、開示される各特徴、実施態様又は置換基は単に一般的な一連の均等又は類似の特徴、実施例又は置換基における一例に過ぎない。
【0171】
別の実施態様では、本発明は式(I)から(XX)の化合物若しくは表1に示される化合物のいずれか1つ、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはそのプロドラッグを有効成分として含み、並びに薬理学的に許容できる担体若しくは賦形剤を含む、医薬組成物に関する。該組成物は免疫抑制又は炎症アレルギー性疾患及び免疫疾患の治療若しくは予防に有用である。
【0172】
別の実施態様では、本発明は有効量の式(I)から(XX)若しくは表1によって表されるいずれか1つの化合物又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはそのプロドラッグを、それを必要とする患者に投与することを含む、免疫抑制方法又は炎症、免疫疾患若しくはアレルギー性疾患の治療若しくは予防方法に関する。
【0173】
別の実施態様では、本発明は有効量の式(I)から(XX)若しくは表1によって表されるいずれか1つの化合物又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはそのプロドラッグを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、免疫抑制方法又は炎症、免疫疾患若しくはアレルギー性疾患の治療若しくは予防方法に関する。
【0174】
別の実施態様では、式(I)から(XX)若しくは表1によって表されるいずれか1つの化合物又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはそのプロドラッグは特に免疫細胞(例えばT細胞、B細胞及び/又はマスト細胞)の活性化(例えば抗原への応答活性化)の阻害、及び/又はT細胞及び/又はB細胞の増殖阻害に有効である。
【0175】
免疫細胞活性化の指標としてはT細胞によるIL−2の分泌、T細胞及び/又はB細胞の増殖等が存在する。一実施例では、哺乳類(例えばヒト)に、式(I)から(XX)又は表1のいずれか1つ又はその薬理学的に許容できる塩の化合物、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することによって、哺乳類(例えばヒト)において免疫性細胞活性化及び/又はT細胞及び/又はB細胞増殖が阻害される。
【0176】
別の実施態様では、式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物、又はその薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはそのプロドラッグは免疫細胞活性化を調節する特定のサイトカインの産生を阻害できる。例えば式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物又はそれらの薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはそのプロドラッグはIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、IFN−γ、TNF−α及びそれらの組み合わせの産生を阻害できる。一実施態様では、哺乳類(例えばヒト)に式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1つ、又はその薬理学的に許容できる塩の化合物、溶媒和化合物、包接化合物そのプロドラッグを投与することによって、哺乳類(例えばヒト)においてサイトカイン産生が阻害される。
【0177】
別の実施態様では、式(I)から式(XX)若しくは表1のいずれか1つの化合物、又はその薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグは免疫細胞の活性化に関係する1つ以上のイオンチャネル(例えばCRACイオンチャンネル)の活性化を調節できる。一実施形態では式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物はCRACイオンチャネル活性の阻害によって、免疫細胞(例えばT細胞、B細胞及び/又はマスト細胞)へのカルシウムイオンの流入を阻害できる。一般に化合物の細胞への接触によるICRAC電流の減少は化合物によるCRACイオンチャネル阻害の1つの指標となる。ICRAC電流は例えば以下に詳細に説明するパッチクランプ法を用いて測定できる。一実施態様では、式(I)から(XX)又は表1のいずれか1つの化合物は哺乳類(例えばヒト)のイオンチャネルを調節する。一実施態様では、哺乳類(例えばヒト)に式(I)から(XX)又は表1のいずれか1つ、又はその薬理学的に許容できる塩の化合物、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することによって、哺乳類(例えばヒト)における1つ以上のイオンチャネルの活動は阻害される。
【0178】
別の実施態様では、式(I)から(XX)、又は表1のいずれか1つの化合物又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを用いて、マスト細胞の顆粒減少を阻害できる。マスト細胞の脱顆粒抑制は、本願明細書の実験において記載の方法、又はいかなる周知の方法によっても測定できる。実施例では、哺乳類(例えばヒト)に式(I)から(XX)又は表1のいずれか1つの化合物、又はその薬理学的に許容できる塩の化合物、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを投与することによって、哺乳類(例えばヒト)におけるマスト細胞の脱顆粒が阻害される。
【0179】
<本発明の例示的な化合物>
本発明の例示的な化合物を下記の表1〜24に表す。
【0180】
【表1】


【0181】
【表2】


【0182】
【表3】


【0183】
【表4】


【0184】
【表5】


【0185】
【表6】


【0186】
【表7】

【0187】
【表8】


【0188】
【表9】

【0189】
【表10】

【0190】
【表11】

【0191】
【表12】

【0192】
【表13】

【0193】
【表14】

【0194】
【表15】

【0195】
【表16】

【0196】
【表17】

【0197】
【表18】

【0198】
【表19】

【0199】
【表20】

【0200】
【表21】

【0201】
【表22】

【0202】
【表23】

【0203】
【表24】

【0204】
<作用機構>
抗原に応答したTリンパ球の活性化はカルシウムイオンの変動に依存する。Tリンパ球中のカルシウム変動はT細胞上の抗原受容体に対する刺激をきっかけとして生じ、ストア作動性CRAC(Ca2+−release−activated−Ca2+)チャネルを通ってカルシウムイオンが流入する。添加では、マスト細胞の抗原によって誘発された顆粒減少は流動のカルシウム・イオンによって始められることも示した。CRACイオンチャネルの分子構造は未だ同定されていないが、その詳細な電気生理学的プロファイルについては公知である。すなわち、ICRAC電流の抑制の測定によりCRACイオンチャネルの抑制を定量できる。T細胞中のカルシウムイオン変動はT細胞活性化に必要である幾つかの転写因子(例えばNFAT、Oct/Oap及びNFκB)の活性化に関与すると言われている(「LewisBiochemical Society Transactions(2003)31:925−929」、その全内容が参照により本明細書に援用される)。いかなる理論であれ、本発明の化合物によりCRACイオンチャネルの活動が阻害され、それにより免疫細胞の活性化が阻害されると考えられる。
【0205】
<治療及び予防方法>
本発明では式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1つの化合物又は薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグ又は式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1つの化合物又は薬剤的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを含む医薬品組成物を、免疫抑制を必要とする患者又は炎症症状、免疫不全若しくはアレルギー性疾患の治療若しくは予防を必要とする患者に有効量投与する。該患者は治療を未だ受けていない者又は従来の治療を一部受けたか若しくはそれに反応を示さなかった者であってもよい。
【0206】
患者における特定の炎症症状、免疫不全又はアレルギー性疾患の反応は例えば本発明の化合物投与後の炎症性サイトカイン(例えばIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α、IFN−γなど)の血中濃度の測定などにより直接測定してもよく又は疾患病因及び進行の解析に基づいて推定してもよい。ヒトへの使用前に、所望の治療又は予防効果を得るため、式(I)から式(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物又はそれらの薬剤的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物及びプロドラッグを用い、in vitro又はin vivoで試験してもよい。例えば、炎症疾患、免疫疾患又はアレルギー障害を示す周知のモデル動物を用いて、本発明の化合物の安全性及び効果を実証できる。
【0207】
<本発明の化合物の合成>
Lが−C(O)−NH−である本発明の化合物は、2つの処理工程によって調製できる。第1工程で、5−ジヒドロキシボリル−2−チオフェンカルボン酸(XX)はPdCl(PPh及び塩基の存在下でハロベンゼン(XIX)と反応して中間体(XXI)、(反応式Iを参照)を形成する。通常、反応混合物を加熱して行う。
【0208】
反応式I
【化29】

中間体(XXI)をアミン誘導体(XXII)と結合させることにより本発明の化合物が形成され、例えば中間体(XXI)を塩化オキサリルで処理し、次いでアミン誘導体(XXII)と反応させる(反応式IIを参照)。あるいは、カップリング反応はアミン誘導体(XXII)の存在下でカルボン酸中間体(XXI)をEDCで処理することによって実施してもよい。
【0209】
反応式II
【化30】

26はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、各々任意に置換されてもよい。
【0210】
Lが−NHC(O)−である本発明の化合物は、2−ヨードチオフェン(XXIV)をアミド誘導体(XXV)と、非プロトン性極地の溶媒(例えばエーテル)中でCuI、エチレンジアミン及び塩基の存在下で反応させて調製され、中間体(XXVI)が形成される。中間体(XXVI)を尿素過酸化水素(UHP)、無水酢酸及び酢酸の存在下でヨウ素で処理し、ヨウ素誘導体(XXVII)が形成される。次いでヨウ素誘導体(XXVII)を、任意に置換されてもよいジヒドロキシボリルベンゼン又はジヒドロキシボリルピリジン(XXVIII)と反応させ、本発明(XXIX)(反応式IIIを参照)の化合物を形成させる。
【0211】
反応式III
【化31】

Lが−NHC(S)−又は−C(S)NH−である本発明の化合物は、アミドリンカーを有する化合物をLawesson試薬で処理することによって調製できる。
【0212】
−CH−NH−又は−NH−CH−リンカーを有する本発明の化合物は、−NHC(S)−又は−C(S)NH−リンカーを有する化合物とレーニーNiを接触させることで調製できる。あるいは、−CH−NH−又は−NH−CH−リンカーを有する本発明の化合物は、例えばそれぞれ−C(O)−NH−又は−NHC(O)−リンカーを有する化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元することによって調製できる(2004年7月22日に出願の米国特許出願番号第10/897681号(全開示内容が本願明細書に援用される)を参照)。
【0213】
次いで、−C(O)−リンカーを有する本発明の化合物は、AlClの存在下でチオフェン(XXX)を酸性塩化物(XXXI)とフリーデルクラフトアシル化反応によって反応させて中間体(XXXII)を調製し、次いでパラジウム触媒及び塩基の存在下で[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル−ベンゼン(XXXIII)と反応させ、カルボニルリンカー(XXXIV)を有する本発明の化合物を形成させる(反応式IVを参照)。
【0214】
反応式IV
【化32】

−C(S)−を有する本発明の化合物はカルボニルリンカーを有する化合物をピリジン中でLawesson試薬又はPで処理して調製できる。
【0215】
<医薬組成物及び剤形>
本発明の医薬組成物及び剤形は医薬組成物又は剤形が炎症疾患、免疫疾患及びアレルギー性疾患の治療又は予防に使用し得る態様で、1つ以上の活性成分を相対量含み、かつ調製される。
【0216】
好ましい医薬組成物及び剤形は式(I)〜式(XII)若しくは表1のいずれか1つの化合物又はその薬剤的に許容できるプロドラッグ、塩、溶媒和化合物又は包接化合物を、1つ以上の付加的な活性薬剤との組み合わせで含有する。
【0217】
本発明における単回投与型の剤形は患者への経口、経粘膜(例えば経鼻、舌下、経膣、経頬、経直腸)、非経口的(例えば皮下、静脈内、ボーラス注射、粘膜内若しくは動脈内)又は経皮投与に適する。剤形の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。錠剤、カプレット、カプセル(例えば柔らかい弾力性があるゼラチンカプセル)、カシェ剤、トローチ、ロゼンジ、分散液、坐薬、軟膏、湿布(湿布薬)、ペースト、粉、ドレッシング、クリーム、絆創膏、溶液、パッチ、エアゾール(例えば点鼻薬又は吸入器)、ゲル類、懸濁液(例えば水性又は非水溶液体懸濁液、水中油型エマルジョン類又は油中水型エマルション)、溶液及びエリキシルなどの、患者への経口的又は粘膜投与に適する液体剤形、患者への非経口投与に適する液体剤形、患者への非経口投与に適する液体剤形を再調製できる滅菌済の固体(例えば結晶又は非結晶の固体)。
【0218】
一般に本発明の剤形の組成、形状及び種類はその用途に依存して変化する。例えば経粘膜投与に適した製剤は同じ適応症の治療に用いる経口投与向けの製剤と比較して有効成分の量が少ないと考えられる。当業者であれば本発明のかかる一態様を容易に理解できる。Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing,Easton PAを参照。
【0219】
典型的な医薬組成物及び剤形は1つ以上の賦形剤を含有する。適切な賦形剤は薬学分野の当業者に周知であり、その非限定的な例は本明細書に記載されている。特定の賦形剤が医薬組成物又は剤形への組み込みに適するか否かは患者への剤形の投与方法等、当業者に周知の様々な要因に依存する。例えば錠剤等の経口用剤形は非経口用剤形での使用に適さない賦形剤を含有し得る。
【0220】
特定の賦形剤が適切か否かは剤形中に含まれる特定の活性成分に依存し得る。例えば幾つかの活性成分の分解は乳糖などの幾つかの賦形剤又は水への曝露によって促進されうる。第一級又は第二級アミン(例えばN−デスメチルベンラファキシン及びN,N−ジデスメチルベンラファキシン)を含む有効成分は特に、かかる分解促進の影響を受けやすい。したがって、本発明は存在するとしても極微量でしか乳糖を含まない医薬組成物及び剤形に関する。本発明における「乳糖を含まない」という用語は含まれる乳糖の量が、有効成分の分解速度を顕著に増大させるのには不十分であることを意味する。本発明の乳糖を含まない医薬組成物には当業者に公知の、また例えば米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に列挙された添加物が含めてもよい。一般に、乳糖が存在しない組成物は活性成分、結合剤/充填剤及び滑沢剤を、薬理学的に適合し、かつ薬理学的に許容できる量で含有する。乳糖を含まない好ましい剤形は活性成分、微結晶セルロース、ゼラチン化前の澱粉及びステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0221】
幾つかの化合物では水により分解が促進される場合があるため、本発明には更に、活性成分を含有する無水物としての医薬組成物及び剤形も含まれる。例えば、水の添加(例えば5%)は製剤の寿命又は経時的な安定性などの特徴を解析するための、長期保存性に関する模擬実験法として、製薬業界の当業者により一般に行われている。例えば、Jens T.Carstensen(1995) Drug Stability:Principles&Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,379−80.を参照。実際、幾つかの化合物は水及び熱で分解が促進される。したがって、製剤では通常その製造、取扱い、包装、保管、輸送及び使用中に水分及び/又は湿気と接触することから、製剤に与える水の影響は非常に重要な事項となりうる。
【0222】
本発明の医薬組成物及び剤形の無水物は無水物の又は少量の水分を含む成分を用いて、低水分又は低湿度の条件下で製造できる。乳糖、及び第一級又は第二級アミンからなる少なくとも一種の活性成分を含有する医薬組成物及び剤形はその製造、包装及び/又は保管中に水分及び/又は湿気と相当な頻度で接触することが考えられる場合、無水物であることが好ましい。
【0223】
医薬組成物の無水物はその無水物の性質が維持されるよう製造及び保管される必要がある。したがって無水の医薬組成物は医薬組成物を公知の包材を用いて適切にキット化した状態で包装し、水に対する曝露を防ぐのが好ましい。適する包装の例としては限定されないが密封ホイル、プラスチック、投薬単位ごとの容器(例えばバイアル)、ブリスターパック及びストリップパックが挙げられる。
【0224】
本発明には更に、活性成分の分解速度を遅延させる1つ以上の化合物を含有する医薬組成物及び剤形が含まれる。本明細書で「安定剤」と称されるその化合物には例えばアスコルビン酸等の酸化防止剤、pH緩衝剤又は緩衝塩が含まれるがこれらに限定されない。
【0225】
剤形中に含まれる賦形剤の量及び種類と同様に、活性成分の量及び特定の種類は限定されないが、患者への投与経路等の要因に依存しうる。しかしながら本発明の製剤は典型的には式(I)から式(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを、約1mg〜約1000mg、好ましくは約50mg〜約500mg、最も好ましくは約75mg〜約350mg含有する。典型的な1日当たりの投与量は式(I)から式(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、包接化合物若しくはプロドラッグを、約1mg〜約1000mg、好ましくは約50mg〜約500mg、最も好ましくは約75mg〜約350mgである。所定の患者に対する適切な投与量及び剤形の決定は当分野の医師の技量の範囲内である。
【0226】
<経口用剤形>
本発明の医薬組成物は限定されないが錠剤(例えばチュアブル錠)、カプレット、カプセル及び液体剤形(フレーバー入りシロップ)など適切な剤形で供給できる。これらの剤形は予め決められた量の活性成分を含有し、当業者に周知の製剤法により製造できる。「Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990) 18th ed.Mack PublishingEaston PA.」を参照されたい。
【0227】
本発明の典型的な経口用製剤は従来の製剤法にしたがって、有効成分を少なくとも1つの賦形剤と組み合わせて混合して調製する。賦形剤は所望の投与剤形に応じて、様々な形態をとり得る。例えば経口的な液体剤形又はエアロゾル剤形への使用に適した賦形剤には水、グリコール、油脂、アルコール、風味剤、保存料及び着色料が含まれるが、これらに限定されない。固形の経口用製剤(例えば散剤、錠剤、カプセル及びカプレット)に適する賦形剤には限定されないがデンプン、砂糖、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤が含まれる。
【0228】
錠剤とカプセルは投与が容易なため、最も好適な経口投与単位形態であり、この場合固体の賦形剤が使用される。必要に応じ、標準的な水性コーティング又は非水性コーティング技術により錠剤をコーティングしてもよい。かかる剤形は任意の製剤法により製造できる。一般的には医薬組成物及び剤形は活性成分を液体の担体、微細に分割された固体の担体又はその双方と共に均一かつ完全に混合した後、必要に応じて所望の形態に成型することにより製造する。
【0229】
例えば、錠剤は圧縮又は成型により製造できる。圧縮錠剤は粉末又は顆粒等の自由流動形態の活性成分を、任意に賦形剤と混合し、適切な機械内で圧縮することにより製造できる。成型錠剤は不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物を、適切な機械内で成型することにより製造できる。
【0230】
本発明の経口用剤形に使用できる賦形剤の例としては結合剤、充填剤、錠剤、崩壊剤及び滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び製剤への使用に適する結合剤としては限定されないが、コーンスターチ、バレイショデンプン又はその他のデンプン、ゼラチン、アカシアなどの天然及び合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸又はその他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアガム、セルロース及びその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばNo.2208、2906、2910)、微晶質セルロース並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0231】
微結晶セルロースの適切な形態としてはAVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103、AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105として市販されている材料(「FMC CorporationAmerican Viscose DivisionAvicel SalesMarcus HookPA」から入手可能)及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤の具体的な一例としてはAVICEL RC−581として市販されている、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースの混合物が挙げられる。適切な無水又は低水分の賦形剤又は添加剤としてはAVICEL−PH−103J及びStarch1500LMが挙げられる。
【0232】
本発明で開示する医薬組成物及び製剤への使用に適する充填材の例としては限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビット、澱粉、ゼラチン化前澱粉及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書の医薬組成物では通常、結合剤又は充填剤は医薬組成物又は剤形の約50〜約99重量%を占める。
【0233】
本発明の組成物中に崩壊剤を使用することにより、水性環境に晒された際に崩壊する錠剤が提供される。錠剤中の崩壊剤の量が多すぎると保管中に錠剤が崩壊する場合があり、一方崩壊剤の量が少なすぎると所望の速度又は所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、本発明の固体経口用剤形を形成する際には活性成分の放出を不都合に変化させない程度に、過不足のない量で、崩壊剤を使用する必要がある。使用する崩壊剤の量は製剤の種類に基づいて変動し、当業者であれば容易に認識できる。典型的な医薬組成物では約0.5重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約5重量%の崩壊剤を含有する。
【0234】
本発明の医薬組成物及び剤形に使用可能な崩壊剤としては寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、馬鈴薯若しくはタピオカ澱粉、他の澱粉、非ゼラチン化澱粉、他の澱粉、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム及びそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0235】
本発明の医薬組成物及び剤形に使用できる潤滑剤にはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素添加した植物油(例えばピーナッツオイル、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。添加潤滑油の例としては、syloidシリカゲル(AEROSIL 200、W.Rグレイス社製、ボルチモア、MD)、合成二酸化ケイ素(デグッサ社製、Plano、TX)の凝固エアゾール、CAB−O−SIL(カボート社製の発熱性二酸化ケイ素生成物、ボストン、MA)及びそれらの混合物などが挙げられる。一般に、潤滑剤を使用する場合、それを添加した医薬組成物又は剤形の約1重量%未満で使用する。
【0236】
<制御放出型剤形>
本発明の活性成分は制御放出手段又は当業者に周知の輸送手段により投与してもよい。例えば限定されないが、米国特許第3845770号、3916899号、3536809号、3598123号、4008719号、5674533号、5059595号、5591767号、5120548号、5073543号、5639476号、5354556号及び5733566号(各々本願明細書に援用される)に記載のものが挙げられる。これらの剤形では例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ジェル、浸透性薄膜、浸透システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、微小球又はこれらの組み合わせを用いて1つ以上の活性成分を遅延放出又は制御放出することによって、様々な速度における所望の放出プロファイルが提供される。当業者に周知の適切な制御放出型製剤は本明細書に記載されているものも含めて容易に選択でき、本発明の活性成分と共に使用できる。したがって本発明には制御放出に適合する錠剤、カプセル、ジェルカップ及びカプレットなどの、経口投与用の適切な単位投与形態が含まれる。
【0237】
制御放出型の医薬品は非制御型のそれにより達成される薬物治療効果を向上させるという共通の目的を有している。理想的には医学的治療における制御放出型製剤の最適な使用は最小量の薬物により最小時間で症状を治癒又は制御することを特徴とする。制御放出型製剤の利点としては薬物活性の長期化、投与頻度の減少、患者のコンプライアンス向上が挙げられる。更に、徐放性医薬組成物の使用により、作用の開始時期又は薬剤の血中濃度などの他の特徴に対して影響を及ぼし、それにより副作用(有害作用)の出現率に影響を及ぼすこともできる。
【0238】
殆どの制御放出型製剤は所望の治療的効果を急速に達成する量の薬物(活性成分)を最初に放出し、徐々にかつ継続的に他の量の薬物を放出し、長期間に亘ってこの治療又は予防効果のレベルを維持できるように調合されている。体内でこの薬物の一定のレベルを維持するために、薬物が代謝されて身体から排出される量を補う速度で、剤形から放出される必要がある。活性成分の放出制御は限定されないが、pH、温度、酵素、水又は他の生理的条件・物質などの様々な条件によって影響を受けうる。
【0239】
本発明の具体的な持続性の徐放性製剤は治療又は予防にとり有効量の、式(I)から(XX)若しくは表1の化合物又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、水和物、包接化合物若しくはそのプロドラッグを、スフェロイドの形で含み、更に微結晶性セルロース、及び任意にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、またエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物でコーティングされている。この種の持続性の徐放性製剤は米国特許第6,274,171号に従って調製でき、それの全ての教示は本願明細書に援用される。
【0240】
本発明の具体的な徐放性製剤は式(I)から(XX)若しくは表1のいずれか1個の化合物を約6重量%〜約40重量%、約50重量%〜約94重量%の微結晶性セルロース(NF)、任意に約0.25重量%〜約1重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(USP)を含み、該スフェロイドはエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースからなるフィルムコーティングで被覆されている。
【0241】
<非経口用剤形>
非経口用剤形は経皮、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋内及び動脈内など、様々な経路を介して患者に投与できるが、これらに限定されない。それらの投与法は通常、異物に対する患者の自然防御機能を回避するものであるため、非経口投与用製剤は滅菌されているか又は患者への投与前に滅菌できるものが好ましい。非経口投与用製剤の例としては限定されないが、注射液、医薬的に許容可能な注射用賦形剤中に溶解又は懸濁可能な乾燥品、注射用懸濁液及びエマルジョンが含まれる。
【0242】
本発明の非経口投与用製剤の調製に使用できる適合した賦形剤は、当業者に公知である。その例としては、限定されないが:注射用蒸留水(USP)、限定されないが、塩化ナトリウム注、リンガー液、デキストロース注、デキストロースと塩化ナトリウム注、及び乳酸リンガー液などの、水性賦形剤、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性賦形剤、限定されないが、コーン油、綿実油、ピーナッツオイル、ゴマ油、オレイン酸エチル、イソプロピルミリステート、及びベンジル安息香酸などの非水溶性賦形剤が含まれる。
【0243】
本明細書で開示する1つ以上の活性成分の溶解度を増加させる化合物を、本発明の非経口用剤形中に添加してもよい。
【0244】
<経皮、局所及び粘膜投与用剤形>
本発明の経皮、局所及び粘膜投与用剤形には点眼剤、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ジェル、溶液、乳剤、懸濁液又は当業者に周知の他の形態が含まれるが、これらに限定されない。Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980&1990)16版・18版Mack Publishing,Easton PA及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms(1985)4版Lea&FebigerPhiladelphiaを参照のこと。口腔内の粘膜組織の治療に適した剤形として、口内洗浄剤又は経口ジェルを調製してもよい。更に経皮投与用の製剤には「リザーバー型」又は「マトリックス型」パッチなどの、適切な量の有効成分を浸透させるのに必要な一定時間、皮膚に適用できるものが含まれる。
【0245】
本発明に含まれる経皮、局所及び経粘膜投与用製剤の調製に使用可能な最適な賦形剤(例えば担体剤及び希釈剤)及び他の物質は医薬分野の当業者に公知であり、またその医薬組成物又は剤形を処方する個々の組織にも依存する。この点を考慮すると、無毒性で医薬的に許容可能なローション、チンキ、クリーム、乳剤、ゲル又は軟膏の形状を調製するための望ましい添加物としては限定されないが、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油及びそれらの混合物が挙げられる。必要に応じて医薬組成物及び剤形に保湿剤又は湿潤剤を添加してもよい。かかる添加剤は当業者に公知である。Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980&1990)16版と18版Mack Publishing,Easton PAを参照のこと。
【0246】
治療を行う個々の組織に応じ、本発明の有効成分を用いた治療の前後に、他の医薬組成物を併用してもよい。例えば、組織への有効成分の送達を助長する透過促進剤を用いてもよい。適切な透過促進剤は、以下を含むが、これらに限定されない。エタノール、オレイルアルコール及びテトラヒドロフリルアルコールなどのアルコール類、アルキルスルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ポリエチレングリコール、ピロリドン(例えばポリビニルピロリドン)、コリドングレード(ポビドン、ポリビドン)、尿素、並びにTween80(ポリソルベート80)及びSpan60(モノステアリン酸ソルビタン)などの水溶性又は不溶性の糖エステル類。
【0247】
医薬組成物又は剤形のpH又は医薬組成物又は剤形が適用される組織のpHを調整して、1つ以上の活性成分の輸送を改善してもよい。同様に、溶媒担体の極性、イオン強度又は毒性を調節して薬物輸送を改善してもよい。医薬組成物又は剤形にステアレート等の化合物を添加し、1つ以上の活性成分の親水性又は親油性を好適に変更してもよい。その意味ではステアレートは脂質性の製剤用賦形剤として、乳化剤若しくは界面活性剤として、並びに輸送促進剤若しくは浸透促進剤として機能しうる。活性成分を含む様々な塩、水和物又は溶媒和化合物を使用することで、得られる組成物の性質を更に調整できる。
【0248】
<併用療法>
免疫抑制又は炎症疾患及び免疫疾患の治療若しくは予防が必要な患者における、免疫抑制又は炎症疾患及び免疫疾患を治療若しくは予防する方法では更に、本発明の化合物を投与されている患者に、有効量の1つ以上の他の活性薬剤の投与を含めてもよい。かかる活性薬剤は従来から免疫抑制又は炎症疾患若しくは免疫疾患に使用されている薬剤であってもよい。またかかる他の活性薬剤は本発明の化合物と組み合わせて投与された場合に他の効果を与える薬剤であってもよい。例えばかかる他の治療薬としてはステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、免疫抑制剤及びこれらの適当な混合物が挙げられるが、これらに限定されない。かかる併用療法では本発明の化合物と他の薬剤を共に、従来法により被験者(例えばヒト男性又は女性)に投与できる。薬剤を単一剤形又は別個の剤形で投与してもよい。他の治療薬及び剤形の有効量は当業者に周知である。かかる他の治療薬の最適な有効量の範囲を決定することは当業者の技量の範囲内である。
【0249】
被験者に他の治療薬を投与する本発明の一実施形態では本発明の化合物の有効量は他の治療薬が投与されない場合の有効量と比較して少ない。他の一実施形態では従来の薬剤の有効量は本発明の化合物が投与されない場合の有効量と比較して少ない。この方法によれば、高用量による望ましくない副作用を最小限に抑えることができる。他の潜在的な利点(限定されないが投与計画の改善及び/又は薬剤コストの減少など)は当業者に周知である。
【0250】
自己免疫疾患及び炎症性疾患に関連した1つの実施態様において、他の治療薬として、ステロイド又は非ステロイド系抗炎症剤が使用可能である。特に有用な非ステロイド性抗炎症剤としては、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミック酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、コリントリサリチル酸マグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン及びオルサラジンを含むサリチル酸誘導体、アセトアミノフェン及びフェナセチンを含むパラアミノフェノール誘導体、インドメタシン、スリンダク、及びエトドラクを含むインドール及びインデン酢酸類、トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラクを含むヘテロアリール酢酸、メフェナム酸及びメクロフェナム酸を含むアントラニル酸(フェナム酸類)、オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)を含むエノール酸、及びナブメトンを含むアルカノン類及び医薬的に許容可能なそれらの塩及びそれらの混合物が挙げられる。NSAIDの詳細に関しては、Paul A.Insel、Analgesic−Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout,in Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 617−57(Perry B.Molinhoff及びRaymond W.Ruddon、第9版、1996)、及びGlen R.Hanson、Analgesic,Antipyretic and Anti−Inflammatory Drugs in Remington:The Science and Practice of Pharmacy第2巻、1196−1221(A.R.Gennaro、第19版、1995)を(全開示内容が本明細書に援用される)を参照。
【0251】
アレルギー性疾患との具体的な関連では他の治療薬は抗ヒスタミン剤であってもよい。有用な抗ヒスタミン剤としてはロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスロラタジン、ジフェンヒドラミン、クロロフェニラミン、クロロシクリジン(chlorcyclizine)、ピリラミン、プロメタジン、ターフェナジン、ドキセピン、カルビノキサミン、クレマスチン、トリペレナミン、ブロモフェニラミン、ヒドロキシジン、シクリジン、メクリジン、シプロヘプタジン、フェニンダミン、アクリバスチン、アゼラスチン、レボカバスチン及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。抗ヒスタミン剤のより詳細な説明については「Goodman&GilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics(2001)651−5710th ed)」を参照されたい。
【0252】
免疫抑制剤としてはグルココルチコイド、コルチコステロイド(例:プレドニゾン又はソルメドロール)、T細胞遮断薬(例:シクロスポリンA及びFK506)、プリンアナログ(例:アザチオプリン(イムラン))、ピリミジンアナログ(例:シトシンアラビノシド)、アルキル化剤(例:ナイトロジェンマスタード、フェニルアラニンマスタード、ブスルファン及びシクロホスファミド)、葉酸アンタゴニスト(例:アミノプテリン及びメトトレキセート)、抗生物質(例:ラパマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ピューロマイシン及びクロラムフェニコール)、ヒトIgG抗リンパ球グロブリン(ALG)及び抗体(抗CD3(OKT3)、抗CD4(OKT4)、抗CD5、抗CD7、抗IL−2受容体、抗α/β TCR、抗ICAM−1、抗CD20(リツキサン)、抗IL−12及び免疫毒素類に対する抗体)が挙げられる。
【0253】
前述の及び他の有利な併用療法は当業者であれば想起及び評価できる。かかる併用療法の潜在的な利点としては異なる有効性プロファイル、用いる個々の活性成分の量を減少させ毒性や副作用を最小限にできること、有効性の相乗的な改善、投与又は使用の簡便性の向上、及び/又は化合物調剤又は製剤の総費用の減少が挙げられる。
【0254】
<他の実施形態>
本発明の化合物は例えば他の潜在的CRACインヒビター又はIL−2、IL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α及び/又はINF−γのインヒビターの解析に使用する陽性コントロールなどの、リサーチツールとしても使用できる。本発明の化合物及び組成物のこれらの及び他の用途及び態様は当業者には明らかであろう。
【0255】
本発明は本発明の化合物の詳細な調製法を記載している以下の実施例を参照することで、更に明確となる。材料及び方法に関し、本発明の目的及び課題から逸脱することなく様々な変更を加えることは当業者にとり自明であると考えられる。以下の実施例は本発明の理解の補助のみを目的として記載され、本明細書の記載及び特許請求の範囲を特に限定するものと解釈すべきでない。現在公知の技術又は今後開発されるいかなる均等物との置換を含む本発明の各種のバリエーションは当業者の創意工夫の範囲内であり、また製剤又は試験計画における軽微な変更は本明細書に記載の本発明の範囲内と考えられる。
【実施例】
【0256】
(実験の妥当性)
理論的な点についてはともあれ、本発明の化合物がCRACイオンチャネルを阻害し、それによりIL−2産生、及び炎症反応や免疫反応と関係するその他の主要なサイトカインを阻害すると考えられる。以下の実施例はこれらの特性を示すものである。
【0257】
(材料及び方法)
以下で使用する試薬及び溶媒には、市販のもの(例えばAldrich Chemical社(Milwaukee,Wisconsin,USA)が使用できる。H−NMR及び13C−NMRスペクトルは、Varian 300MHz NMR spectrometerを用いて記録した。顕著なピークを、以下の順に表す:δ(ppm):化学シフト、多重性(s:一重項、d:二重項、t:三重項、q:四重項、m:多重線、brs:広い一重項,カップリング定数(ヘルツ(Hz))及び陽子数。
【0258】
パッチクランプ試験は、21〜25℃にて密封した全細胞計測構成にて行った。高感度での電流の記録は、コンピュータを用いたpatch−clamp amplifierシステム(EPC−9、HEKA社、Lambrecht、ドイツ)を用いて行った。パッチピペットは、標準細胞内液の充填の後、2〜4MΩの抵抗値であった。ホールセルを構成した直後、−100〜+100mVの電圧で、50〜200msの時間の電圧ランプを、300〜400秒間にわたり、0.5Hzの周期で供給した。細胞内の陰イオンとしてグルタミン酸塩を使用するとき、全ての電圧を、外部及び内部溶液との間の液間電位差が10mVになるように較正した。電流を2.9kHzでフィルタリングし、10μs間隔でデジタル化した。容量性電流及び連続抵抗を測定し、EPC−9の自動キャパシタンス補償を使用して各電圧ランプの前に較正した。膜電流の低分解における一時的な生成を、個々のランプ電流記録から−80mV又は+80mVで電流の振幅を抽出することにより解析した。
【0259】
[実施例1]
<本発明の代表的な化合物の合成>
一般に本発明の化合物は米国特許出願第10/897681号及び米国特許仮出願第60/611913号(これらの特許出願の全開示内容は本願明細書に援用される。)に記載されている方法に類似した方法を使用して合成できる。
【0260】
化合物1:5−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−フェニル)−アミド
【化33】

工程1:
1−クロロ−2−ヨード−4−トリフルオロメチル−ベンゼン(a、6mmol)、5−(ジヒドロキシボリル)−2−チオフェンカルボン酸(b、6mmol)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)触媒(0.30mmol)、炭酸カリウム(1g)の無水1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)(6mL)中混合物を120℃で4時間加熱した。あるいは0.30mmolのPd(BnCl)、(PPhを二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)の代わりに使用してもよい。混合液を酢酸エチル(EtOAc)(100mL)で抽出し、水(2×100mL)によって洗浄し、NaSOを通して乾燥させた。濃縮して得られた油状物をシリカゲルに通し、EtOAc/ヘキサンにより結晶化させ、白色固体(0.98g)としてcを得た。
【0261】
工程2:
0.45gのcを室温で1時間、無水CHCl(0.5mL)中で過剰の塩化オキサリルで処理した。真空下で溶媒除去に、褐色がかった固体を得た。固体を無水CHCl(5mL)中で2,6−ジフルオロアニリン(1.8mmol)、ピリジン(0.5mL)と共に室温で2時間撹拌した。混合液EtOAc(100mL)で抽出し、1N HCl(100mL)で洗浄した。濃縮して得られた油状物をEtOAc/ヘキサンにより結晶化し、白色固体(0.27g)として化合物1を得た。
H−NMR(CDCl)δ(ppm)7.8(m,1H)7.7(d,1H,J=4)7.6(m,2H)7.4(d,1H,J=4)7.34(br,1H)7.3(m,1H)7.0(t,2H,J=8);C18ClFNOSのESMS計算値:417.0;実測値:417.9(M+H)。
【0262】
化合物2:5−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸(3−メチル−ピリジン−4−イル)−アミド 工程2で3−メチル−4アミノピリジンを2,6−ジフルオロアニリンの代わりに用いたことを除いて、化合物1で記載された方法と類似の方法で化合物2を合成した。
【0263】
H−NMR(CDCl)δ8.5(d,1H,J=5)8.43(s,1H)8.2(d,1H,J=5)7.81(br,1H)7.6−7.8(m,4H)7.4(d,1H,J=4)2.37(s,3H)ppm;C1812ClFOSのESMS計算値:396.0;実測値:397.0(M+H)。
【0264】
化合物3:3−[5−(2,6−ジフルオロ−フェニルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸メチルエステル
工程1で1−クロロ−2−ヨード−4−トリフルオロメチル−ベンゼンの代わりに3−ヨード−4−メチル−安息香酸メチルエステルを用いたことを除いて、化合物1で記載された方法と類似の方法で化合物3を合成した。
H−NMR(CDCl)δ8.1(m,1H)8.0(m,1H)7.7(d,1H,J=4)7.4(d,1H,J=5)7.3(m,2H)7.1(d,1H,J=4)7.0(t,2H,J=8)3.92(s,3H)2.50(s,3H)ppm;C2015NOSのESMS計算値:387.1;実測値:388.1(M+H)。
【0265】
化合物4:4−メチル−3−[5−(3−メチル−ピリジン−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル
工程1で3−ヨード−4−メチル−安息香酸メチルエステルを1−クロロ−2−ヨード−4−トリフルオロメチル−ベンゼンの代わりに用いたこと、及び工程2で3−メチル−4−アミノピリジンを2,6−ジフルオリアニリンの代わりに用いたことを除いて、化合物1で記載された方法と類似の方法で化合物4を合成した。
H−NMR(CDCl)δ8.5(d,1H,J=5)8.42(s,1H)8.3(d,1H,J=5)8.10(s,1H)8.0(m,1H)7.7(m,2H)7.4(d,1H,J=5)7.1(d,1H,J=4)3.93(s,3H)2.51(s,3H)2.36(S,3H)ppm;C2018SのESMS計算値:366.1;実測値:367.1(M+H)。
【0266】
化合物117:2,6−ジフルオロ−N−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−ベンズアミド
【化34】

【0267】
2,6−ジフルオロベンズアミド(e、10mmol)、ヨウ化銅(I)(1.0mmol)、エチレンジアミン(1.0mmol)、リン酸カリウム(20mmol)のジオキサン(20mL)中の撹拌混合液を24時間、100℃で加熱した。混合液をEtOAc(100mL)で希釈されて、セライトを通してろ過し、水で洗浄し、カラムクロマトグラフィで精製し、白色固体(1.0g)としてfを得た。
【0268】
上記のアミド(c、2.1mmol)、ヨウ素(1.0mmol)、UHP(1.0mmol)の無水酢酸(3mL)、酢酸(1.5mL)中混合液を、16時間室温で撹拌した。混合液をEtOAcで希釈し、水及びNaSO溶液で洗浄し、乾燥させた。溶媒の除去及び得られた油状物の精製により、灰色がかった固体(0.42g)として中間体gを得た。
【0269】
上記の中間体g(60mg)、3−トリフルオロメチルベンゼンボロン酸(100mg)、Pd(PPh(0.05mmol)、KCO(1mmol)のジオキサン(2mL)中混合液を30分間の120℃で封止した試験管で加熱した。混合液をEtOAc(100mL)で抽出し、水(2×100mL)で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。濃縮して得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィによって精製し、白色固体(15mg)として化合物117を得た。
H−NMR(CDCl)δ8.5(br,1H)7.7(m,2H)7.5(m,3H)7.2(m,1H)7.0(t,2H,J=8)6.8(m,1H)ppm;C1810NOSのESMS計算値:383.0;実測値:384.0(M+H)。
【0270】
化合物118:3−[5−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイルアミノ)−チオフェン−2−イル]−4−メチル−安息香酸メチルエステル5−メトキシカルボニル−2−メチルベンゼンボロン酸を最終工程の3−トリフルオロメチルベンゼンボロン酸の代わりに用いたことを除いて、化合物117で記載された方法と類似の方法で化合物118を合成した。
H−NMR(CDCl)δ8.7(br,1H)8.09(s,1H)7.9(d,1H,J=8)7.4(m,1H)7.4(d,1H,J=8)7.0(t,2H,J=8)6.9(d,1H,J=4)6.8(d,1H,J=4)3.88(s,3H)2.50(s,3H)ppm;C2015NOSのESMS計算値:387.1;実測値:388.0(M+H)。
【0271】
化合物119:2,6−ジフルオロ−N−[5−(2−メチル−5−オキサゾール−2−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−ベンズアミド5−(オキサゾール−2−イル)−2−メチルベンゼンボロン酸を最終工程の3−トリフルオロメチルベンゼンボロン酸の代わりに用いたことを除いて、化合物117で記載された方法と類似の方法で化合物119を合成した。
H−NMR(CDCl)δ8.6(br,1H)8.13(s,1H)7.9(d,1H,J=8)7.71(s,1H)7.0−7.5(m,6H)6.9(d,1H,J=4)2.54(s,3H)ppm;C2114SのESMS計算値:396.1;実測値:397.1(M+H)。
【0272】
化合物120:3−[5−(2,6−ジフルオロ−ベンゾイル・アミノ)−3−メチル−チオフェン−2−イル]−安息香酸メチルエステル
3−メトキシカルボニル−ベンゼンボロン酸を最終工程の3−トリフルオロメチルベンゼンボロン酸の代わりに用いたことを除いて、化合物117で記載された方法と類似の方法で化合物120を合成した。
H−NMR(CDCl)δ8.6(br,1H)8.14(s,1H)8.0(d,1H,J=5)7.6(d,1H,J=5)7.5(m,2H)7.0(t,2H,J=8)6.65(s,1H)3.92(s,3H)2.28(s,3H)ppm;C2015NOSのESMS計算値:387.1;実測値:388.3(M+H)。
【0273】
化合物121:2,6−ジフルオロ−N−[5−(3−オキサゾール−5−イル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−ベンズアミド
最終工程の3−トリフルオロメチルベンゼンボロン酸の代わりに3−(オキサゾール−5−イル)−ベンゼンボロン酸を用いたことを除いて、化合物117で記載された方法と類似の方法で化合物121を合成した。
H−NMR(CDCl)δ8.14(s,1H)7.9(m,1H)7.6(m,3H)7.5(m,3H)7.2(d,1H,J=5)7.0(t,2H,J=8)6.8(d,1H,J=5)ppm;C2012SのESMS計算値:382.1;実測値:383.1(M+H)。
【0274】
[実施例2]
<IL−2産生阻害>
Jurkat細胞を96穴プレート(1% FBS培地中、1ウェル当たり50万の細胞)に撒布し、本発明の試験化合物を異なる濃度で添加した。10分後に細胞をPHA(最終濃度2.5μg/mL)によって活性化し、CO条件下で37℃にて20時間インキュベートした。最終体積を200μLとした。インキュベート後、細胞を遠心分離し、回収し、その上清を、IL−2産生の解析前に−70℃で保存した。市販のELISAキット(IL−2 Eli−pair、Diaclone Research社、ベサンコン、フランス)用い、添加量による効果曲線を作成し、それを用いてIL−2の産生を検出した。非刺激のコントロールに対する、刺激後の最大IL−2産生の50%が阻害される濃度をIC50値とし、算出した。
【0275】
【表25】

他のサイトカイン(例えばIL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、TNF−α及びINF−γ)の抑制は、サイトカインごとに市販のELISAキットを使用して、同様の方法で試験できる。
【0276】
[実施例3]
<RBL細胞、Jurkat細胞及び初期T細胞におけるIcrac電流の阻害によるパッチクランプ試験>
一般に、全細胞パッチクランプ方法を用い、Icracを伝達するチャネルに対する本発明の化合物の効果を検討した。上記試験においては、パッチした細胞ごとにベースライン測定を行った。次いで試験化合物を外液中の細胞に注ぎ(又は吹き付け)、Icracに対する化合物の効果を測定した。Icrac(例えば阻害)を調整する化合物は、本発明に係る、CRACイオンチャネル活性の調整に有用な化合物である。
【0277】
1)RBL細胞
<細胞>
ラットの好塩基球性白血病細胞(RBL−2H3)を、95%空気/5%COの雰囲気下、10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM培地で増殖させた。細胞を、使用の1〜3日前にガラス製のシャーレに播種した。
【0278】
<記録条件>
各細胞の膜電流を、EPC10(HEKA Electronik、ランブレヒト、ドイツ)を使用し、パッチクランプ法のホールセルの構成にて記録した。ホウケイ酸ガラス製の毛細管(Sutter Instruments社、Novato、Ca)で電極(2〜5MΩ耐久)を構成した。室温にて記録を行った。
【0279】
<細胞内のピペット溶液>
細胞内のピペット溶液の組成を以下の通りとした。
Cs−グルタミン酸塩 120mM
塩化セシウム 20mMCs
BAPTA 10mM
CsHEPES 10mM
NaCl 8mM
MgCl 1mM
IP 0.02mM
CsOHによりpHを7.4に調整した。実験前に溶液を氷上で保管し、遮光した。
【0280】
<細胞外溶液>
細胞外溶液の組成を以下の通りとした。
NaCl 138mM
NaHEPES 10mM
CsCl 10mM
CaCl 10mM
グルコース 5.5mM
KCl 5.4mM
KHPO 0.4mM
NaHPO・HO 0.3mM
NaOHによりpHを7.4に調整した。
【0281】
<化合物処理>
DMSOを用い、各化合物を10mMのストックから希釈系列を作成した。最終的なDMSO濃度を0.1%に維持した。
【0282】
<実験手順>
crac電流を、50ミリ秒のプロトコルを使用して2秒毎にモニターし、電圧勾配を−100mVから+100mVとした。膜電位を、試験ランプ間にて0mVに保持した。通常の実験では、ピークの内の電流は、50〜100秒以内に生じる。一旦Icrac電流が安定した後、細胞に化合物を含む細胞外溶液を注いだ。試験終了後、残りのIcrac電流に更にコントロール化合物(SKF96365、10μM)を添加し、電流がなおも阻害されうることを確認した。
【0283】
<データ分析>
MATLABを使用したオフライン分析における電圧ランプの−80mVにおける内部電流の振幅を計測することにより、ICRAC電流レベルを測定した。各濃度におけるICRAC電流抑制は、同じ細胞における実験当初のピーク振幅より算出した。各化合物のIC50値及びヒル係数を、全ての個々のデータポイントを単一のヒル方程式に代入することによって推定した。
【0284】
結果
下表は、RBL細胞中のICRAC電流の50%を阻害する本発明の化合物の濃度を示す。表のデータが示すように、本発明の代表的な化合物は60nM以下の濃縮でICRAC電流を阻害した。
【0285】
【表26】

【0286】
2)Jurkat細胞
Jurkat細胞
T細胞をガラスシャーレ中で増殖させ、記録チャンバーに移し、以下の組成物の標準の変更リンガー液:
NaCl 145mM、
KCl 2.8mM、
CsCl 10mM、
CaCl 10mM、
MgCl 2mM、
グルコース 10mM、
HEPES−NaOH 10mM(pH7.2)中に保持した。
【0287】
<細胞外溶液>
外液には、10mMのCaNaR、11.5mMのグルコース及び後述の濃度の試験化合物が含まれる。
【0288】
<細胞内のピペット溶液>
標準の細胞内ピペット溶液は、以下の組成である:
グルタミン酸Cs 145mM、
NaCl 8mM、
MgCl 1mM、
ATP 0.5mM、
GTP 0.3mM、
CsOHによりpHを7.2に調整。
溶液に、[Ca2+]iの最終濃度が100〜150nMになるように緩衝させた10mM Cs−BAPTA及び4.3〜5.3mM CaClの混合溶液を添加した。
【0289】
<パッチクランプ記録>
パッチクランプ試験を、21〜25℃で密封したホールセル計測用の構成にて行った。高感度での電流の記録は、コンピュータを用いたpatch−clamp amplifierシステム(EPC−9HEKA社Lambrechtドイツ)を用いて行った。Sylgard(登録商標)−コーティングしたパッチピペットは、標準の細胞内液の充填後、2〜4MΩの抵抗を有した。全細胞計測を構成した直後に、50msでの−100mVから+100mVの電圧範囲の電圧ランプを、300〜400秒間にわたり、0.5Hzの周期で、0mVの保持電位から与えた。全ての電圧を、外部及び内部の溶液間の10mVの液間電位差で較正した。電流を2.3kHzでフィルタリングし、100μs間隔でデジタル化した。容量性電流及び連続抵抗を測定し、EPC−9の自動キャパシタンス補償を使用して各電圧ランプの前に較正した。
【0290】
データ分析
cracの活性化の前の最初のランプ(通常1〜3)を2kHzでフィルタリングしてデジタル化し、プールし、続く全ての電流記録のリークの減算に使用した。リーク修正した個々のランプ電流記録から−80mV又は任意の電圧で電流の振幅を測定することにより、低解像度における内部電流の一時的な発生を導出した。
【0291】
<本発明の化合物はJurkat細胞のICRAC電流を阻害すると考えられる>
【0292】
3)初期T細胞初期T細胞の調製
2mLの全血に100μLのRosetteSep(登録商標)ヒトT細胞富化カクテルを添加して、ヒト全血試料から初期T細胞を得た。混合液を室温で20分間インキュベートし、次いで2%のFBSを含む同じ体積のPBSで希釈した。混合液をRosetteSep(登録商標)DML濃厚培地の上に積層し、次いで室温で1200×gで20分間遠心分離した。濃縮されたT細胞を血漿/濃厚培地の界面から回収し、次いで2%のFBSを含むPBSで2回洗浄し、RBL細胞で記載した処理の後、パッチクランプ試験に使用した。
【0293】
本発明の化合物はヒト初期T細胞のICRAC電流を阻害すると考えられる。
【0294】
[実施例4]
末梢血単核細胞(PBMCs)は、本発明の化合物又はシクロスポリンA(CsA)、(周知のサイトカイン産生阻害剤)の様々な濃度下で、フィトヘマグルチニン(PHA)によって活性化される。市販のヒトELISA分析キット(Cell Science,Inc社)を使用し、製造業者の指示に従い、サイトカイン産生を測定した。
【0295】
本発明の化合物はIL−2の強力な抑制剤であって、ヒト初期PBM細胞のIL−4、IL−5、IL−13、GM−CSF、INF−γ及びTNF−αの強力な抑制剤であると考えられる。さらに本発明の化合物は抗炎症性サイトカイン(IL−10)を阻害するとは考えられない。
【0296】
[実施例5]
<本発明の化合物はRBL細胞中の脱顆粒の強力な阻害剤である>
【0297】
手順:
解析を実施する前日に、RBL細胞(96ウエルプレート中でコンフルエンスとなるまで増殖)を少なくとも37℃で2時間インキュベートした。各ウェルの培地を抗DNP IgE抗体を2μLg/mL含む100μLの新鮮な培地に交換した。
【0298】
翌日、細胞をPRS(2.6mMのブドウ糖及び0.1%のBSA)で一度洗浄し、160μLのPRSを各ウェルに添加した。試験化合物を目的の10倍の濃縮溶液として20μLずつウェルに添加し、37℃で20〜40分間インキュベートした。20μLの10×マウス抗IgE抗体(10μL/mL)を添加した。SKF96365を陽性コントロールとして使用した。抗IgE抗体の添加後、15〜40分で最大の脱顆粒が生じた。
【0299】
結果
本発明の化合物はRBL細胞の顆粒減少を阻害すると考えられる。
【0300】
[実施例6]
<本発明の化合物はT細胞の化学走性の強力な阻害剤である>
【0301】
ヘパリンで凝血防止した全血(ブタ2、ヒト1)の20mLアリコートをフィコールHypaqueによる密度勾配遠心に供した。末梢血単核細胞(PBMCs)がリンパ球及び単球を含むことを表しているバッフィーコート層を一度洗浄し、12mLの不完全RPMI1640培地で再懸濁し、次いで37℃で1時間ゼラチンコートのT75培養フラスコに静置した。単球の減少した末梢血リンパ球(PBLs)を意味する非付着細を完全RPMI培地で再懸濁し、加温した培地で平衡化し、ゆるく圧縮させた活性ナイロンウールカラムに静置した。37℃で1時間静置した後、更に培地により非付着性のT細胞集団をカラム中で洗浄し、溶出した。T細胞調製物を遠心分離し、5mlの不完全RPMI培地中で再懸濁し、血球計数盤を用いて計数した。
【0302】
<細胞の走化性アッセイ>
各T細胞調製物のアリコートをCalcien AM(TefLabs)で標識し、1.83mMのCaCl及び0.8mMのMgCl(pH7.4(HHBSS))を含むHEPESで緩衝したハンクス液で、2.4×10/mlの濃度となるように懸濁させた。0、20nM、200nM若しくは2000nMの化合物1を含む又はEDTAを20nM含むHHBSSを等容添加し、次いで細胞を37℃で30分間インキュベートした。細胞懸濁液(60,000細胞)の50μlアリコートを、HHBSS中に10ng/mlのMIP−1αを含むウェル上に置いたNeuroprobe ChemoTx 96ウェルケモタキシス測定装置の膜上(細孔寸法5μm)に静置した。T細胞を37℃で2時間移動させ、次いで膜の表層側に残留する細胞をきれいに除去した。ケモタキシス測定装置を次いでCytoFlour 4000(PerSeptive BioSystems)に置き、各ウエルの蛍光を測定した(各々450及び530nmの励起及び放出波長)。各ウエルの移動細胞数を、膜の設置前にケモタキシス測定装置の下部ウェルに添加した標識細胞の連続二倍の希釈系列における蛍光を測定して作成した標準曲線から算出した。
【0303】
結果
本発明の化合物はブタT細胞及びヒトT細胞の走化性を抑制すると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(XVI)で表される化合物
【化1】

又はその薬理学的に許容できる塩、溶媒和化合物、若しくは包接化合物。
(式中、Lは−NRC(O)−又は−C(O)−NR−であり、
はCH、CR又はNであり、
各Zは低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、低級アルキルスルファニル、シアノ、ニトロ又は低級ハロアルコキシ基からなる群から独立に選択され、
Rは各々独立に水素原子、アルキル、−C(O)R又は−C(O)ORから選択され、
は各々独立に任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル、任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
21は水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル、ニトロ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−OR、−SR、−NR、−C(X)R、−C(X)OR、−OC(X)R、−NRC(X)OR、−C(X)NR、−NRC(X)R、−NRC(X)NR、−OC(X)NR、−C(X)SR、−SC(X)R、−S(O)、−OS(O)、−S(O)OR、−NRS(O)、−S(O)NR、−P(X)(R、−P(X)(X)(R)、−P(X)(X、−XP(X)(X、−XP(X)(R)(X)又は−XP(X)(Rであり、
は=O、=S又は=NRであり、
は=O又は=Sであり、
は−O−又は−S−であり、
は各々独立に水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル又は任意に置換されてもよいヘテロアラルキル基であり、
及びRは各々独立に水素原子、任意に置換されてもよいアルキル、任意に置換されてもよいアルケニル、任意に置換されてもよいアルキニル、任意に置換されてもよいシクロアルキル、任意に置換されてもよいシクロアルケニル、任意に置換されてもよいヘテロシクリル、任意に置換されてもよいアリール、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよいアラルキル若しくは任意に置換されてもよいヘテロアラルキル基であるか、又はR及びRはそれらが結合する窒素と共に結合した、任意に置換されてもよいヘテロシクリル若しくは任意に置換されてもよいヘテロアリール基であり、
は各々独立に水素原子、ハロ、アルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)OR又はC(O)NRであり、
nは0又は1から2までの整数であり、
pは各々独立に1又は2であり、
tは0又は1から4までの整数である。)

【公開番号】特開2013−64019(P2013−64019A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−3649(P2013−3649)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2007−552413(P2007−552413)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】