説明

無線通信システム、制御装置、無線通信方法、及びプログラム

【課題】高い品質の通信を実現可能なMIMOの無線通信システムを提供する。
【解決手段】受信装置1a、1bは、2以上のモードに対応したアンテナを介して、アンテナ3,4からそれぞれ送信されたリファレンス信号を用いてチャネル推定を行い、チャネル推定の結果を送信装置2にフィードバックする。送信装置2は、そのフィードバックを用いて、受信装置1a、1bの2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、送信装置2と受信装置1a、1bとの間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択し、その選択結果を示すモード信号を受信装置1a、1bに送信する。受信装置1a、1bは、モード信号の示すモードに対応したアンテナを用いて、MIMOによる通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを介して通信を行う無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のアンテナを介して空間多重により送信・受信を行う多入力多出力(MIMO:Multiple Input Multiple Output)方式の無線通信が行われている(例えば、特許文献1,2)。また、そのようなMIMO方式の無線通信におけるチャネル容量に関する研究も行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−338779号公報
【特許文献2】特開2005−328312号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A.Goldsmith、S.A.Jafar、N.Jindal、S.Vishwanath、「Capacity limits of MIMO channels」、Selected Areas in Communications,IEEE Journal on,vol.21,no.5,p.684−702,2003年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例のようなMIMOによる通信において、より品質の高いチャネルで通信を行いたいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記事情に応じてなされたものであり、MIMOによる通信において、より品質の高いチャネルでの通信を実現可能な無線通信システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による無線通信システムは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)により通信を行う、複数のアンテナを有する送信装置と、2以上の受信装置とを備えた無線通信システムであって、受信装置は、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットと、アンテナセットを介して、送信装置が送信した送信信号を受信する受信部と、送信装置が複数のアンテナからそれぞれ送信したリファレンス信号を受信部が受信した場合に、リファレンス信号を用い、送信装置の複数のアンテナのそれぞれと、2以上のモードのそれぞれとの組み合わせについてチャネル推定値を取得するチャネル推定部と、チャネル推定部が取得したチャネル推定値を、送信装置に送信するフィードバック部と、送信装置から送信されたアンテナのモードを示すモード信号を受信部が受信した場合に、モード信号の示すモードに対応したアンテナセットを用いて、MIMOによる通信が行われるように制御する受信制御部と、を備え、送信装置は、複数のアンテナを介して送信信号を送信する送信部と、2以上の受信装置から送信されたチャネル推定値を受信するフィードバック受信部と、フィードバック受信部が受信したチャネル推定値を用いて、2以上の受信装置の各アンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、送信装置と2以上の受信装置との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する選択部と、リファレンス信号を送信部に送信させ、選択部の選択結果であるモードを示すモード信号を送信部に送信させる送信制御部と、を備えた、ものである。
【0008】
このような構成により、MIMOによる通信における各受信装置が、適切なモードのアンテナを用いて通信を行うことができ、より品質の高い空間多重方式の通信を実現することができる。その結果、例えば、より高い品質のチャネルで通信を行うことができるようになり、また、より多くのチャネルを用いて通信を行うことができるようになる。
【0009】
また、本発明による無線通信システムでは、アンテナセットは、2以上のモードにそれぞれ対応した2以上の偏波方向を有するアンテナを有してもよい。
このような構成により、偏波方向に応じて、アンテナのモードを変更することができる。近年、受信装置の小型化に伴い、同じ受信装置が使用する2以上のアンテナの位置が近くなり、その2以上のアンテナに応じたチャネル特性が似てくるようになっている。一方、このように偏波方向に応じた2以上のモードとすることによって、アンテナセットを小型化することができると共に、モードごとのチャネル特性が異なるようにすることができるようになる。
【0010】
また、本発明による無線通信システムでは、アンテナセットは、2以上のモードにそれぞれ対応した異なる2以上のアンテナを有してもよい。
このような構成により、2以上の異なるアンテナのうち、チャネル特性のよいアンテナを用いた通信を実現することができるようになる。
【0011】
また、本発明による無線通信システムでは、選択部は、複数のチャネルマトリックスのうち、最小固有値を最大固有値で除算した値が大きいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択してもよい。
このような構成により、チャネル特性のよいチャネルマトリックスを選択することができる。
【0012】
また、本発明による制御装置は、MIMOにより通信を行う、複数のアンテナを有する送信系と、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットを2以上備えた受信系との間の無線通信を制御する制御装置であって、送信系から受信系に送信されたリファレンス信号を用いて受信系のアンテナセットごとに取得された、送信系の複数のアンテナのそれぞれと、2以上のモードのそれぞれとの組み合わせに対応したチャネル推定値を用いて、2以上のアンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、送信系と受信系との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する選択部と、選択部の選択結果であるモードの組み合わせにそれぞれ対応した2以上のアンテナセットを用いて受信系が通信を行うように制御する制御部と、を備えたものである。
【0013】
また、本発明による無線通信方法は、MIMOにより通信を行う、複数のアンテナを有する送信系と、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットを2以上備えた受信系とを用いて処理される無線通信方法であって、送信系が、複数のアンテナからリファレンス信号を送信するステップと、受信系が、アンテナセットごとに、2以上のモードのそれぞれでリファレンス信号を受信するステップと、受信系が、受信したリファレンス信号を用い、アンテナセットごとに、送信系の複数のアンテナのそれぞれと、2以上のモードのそれぞれとの組み合わせについてチャネル推定値を取得するステップと、受信系が、取得したチャネル推定値を、送信系に送信するステップと、送信系が、受信系から送信されたチャネル推定値を受信するステップと、送信系が、受信したチャネル推定値を用いて、2以上のアンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、送信系と受信系との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択するステップと、送信系が、選択結果であるモードを示すモード信号を受信系に送信するステップと、受信系が、モード信号を受信した場合に、モード信号の示すモードに対応したアンテナセットを用いて、MIMOによる通信を行うステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明による無線通信システム等によれば、最適なモードのアンテナを用いて通信を行うことにより、より品質の高い空間多重方式の通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1による無線通信システムの構成を示すブロック図
【図2】同実施の形態による受信装置の構成を示すブロック図
【図3】同実施の形態による送信装置の構成を示すブロック図
【図4】同実施の形態における受信部及び送信部の構成の一例を示すブロック図
【図5】同実施の形態による受信装置の動作を示すフローチャート
【図6】同実施の形態による送信装置の動作を示すフローチャート
【図7】同実施の形態における装置間の送受信について説明するための図
【図8】同実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
【図9】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による無線通信システムについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による無線通信システムについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による無線通信システムは、受信装置が通信で用いる適切なアンテナのモードを選択するものである。
【0018】
図1は、本実施の形態による無線通信システム100の構成を示すブロック図である。本実施の形態による無線通信システム100は、2以上のモードに対応したアンテナを有する2個の受信装置1a、1bと、複数のアンテナ3,4を介して通信を行う送信装置2とを備える。受信装置1a、1bと、送信装置2とは、MIMOによって通信を行う。なお、本実施の形態では、送信装置2が2個のアンテナ3,4を用いて通信を行い、受信側の装置が受信装置1a、1bの2個である場合について説明するが、そうでなくてもよいことは言うまでもない。送信装置2は、3個以上のアンテナを用いて通信を行ってもよく、受信側の装置が3個以上であってもよい。受信装置1a、1bは、例えば、移動局(UE:User Equipment)であってもよい。また、送信装置2は、例えば、基地局(BS:Base Station)であってもよい。本実施の形態では、受信装置1a、1bがUEであり、送信装置2がBSである場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。また、本実施の形態では、受信装置が複数存在するため、マルチユーザMIMOによる通信が行われることになる。また、本実施の形態では、送信装置2から受信装置1a、1bに対して、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)による通信が行われる場合について主に説明する。なお、図1で示されるように、送信装置2の側、すなわち送信側を送信系と呼び、受信装置1a、1bの側、すなわち受信側をまとめて受信系と呼ぶこともある。したがって、無線通信システム100は、送信系と受信系とが、それぞれ複数のアンテナを介してMIMOによる通信を行うものである、と言える。
【0019】
図2は、本実施の形態による受信装置1aの構成を示すブロック図である。図2において、本実施の形態による受信装置1aは、アンテナセット11と、スイッチSWと、受信部12と、チャネル推定部13と、フィードバック部14と、受信制御部15とを備える。
【0020】
アンテナセット11は、2以上のモードに対応したアンテナを有する。アンテナセット11は、例えば、2以上のモードにそれぞれ対応した2以上の偏波方向を有するアンテナを有していてもよく(この場合には、アンテナセット11は物理的に1個のアンテナのみを有していてもよい)、2以上のモードにそれぞれ対応した異なる2以上のアンテナを有していてもよく、あるいは、それらの組み合わせであってもよい。モードに応じたアンテナが異なる場合に、その異なるアンテナは、アンテナの種類(タイプ)が異なってもよく、アンテナの設置場所が異なってもよく、あるいは、その両方であってもよい。アンテナの種類が異なる場合には、例えば、一方のアンテナが等間隔リニアアレイアンテナであり、他方のアンテナが直交偏波アンテナであってもよい。なお、アンテナセット11のモードを変えて通信を行った場合に、そのモードごとにチャネル推定値が異なることが好適である。よりよいチャネル特性となるモードの組み合わせを選択することが目的だからである。本実施の形態では、説明の便宜上、アンテナセット11がアンテナ11aとアンテナ11bとを有する場合について説明する。アンテナ11aを用いて受信を行う場合をモード1と呼び、アンテナ11bを用いて受信を行う場合をモード2と呼ぶことにする。アンテナ11a、11bは、異なる2個のアンテナであると考えてもよく、あるいは、2個の偏波方向を有するアンテナの各偏波方向に応じたアンテナであると考えてもよい。偏波方向とは、例えば、水平偏波、垂直偏波、右旋偏波、左旋偏波等である。2個の偏波方向を有するアンテナは、例えば、2個の給電線路を有するパッチアンテナであり、その給電線路を切り替えることによって、偏波方向が切り替わるものであってもよい。なお、複数の偏波方向を有するMIMO用の小型アンテナについては、例えば、次の文献を参照されたい。
【0021】
文献:N.Honma,K.Nishimori,Y.Takatori,A.Ohta,K.Tsunekawa,「Proposal of compact three−port MIMO antenna employing modified inverted F antenna and notch antennas」、2006 IEEE Antennas and Propagation Society International Symposium,p.2613−1616,2006年7月
文献:N.Honma,R.Kudo,K.Nishimori,Y.Takatori,A.Ohta,S.Kubota,「Antenna Selection Method for Terminal Antennas Employing Orthogonal Polarizations and Patterns in Outdoor Multiuser MIMO System」、IEICE Trans.Commun.,vol E91−B,no.6,p.1752−1759,2008年6月
【0022】
スイッチSWは、アンテナ11a、11bを切り替えるスイッチである。スイッチSWは、モードに応じて、受信制御部15によって切り替えられる。
受信部12は、アンテナセット11を介して、送信装置2が送信した送信信号を受信する。受信部12は、例えば、後述するリファレンス信号を受信し、また、後述するモード信号を受信する。本実施の形態では、前述のように、受信部12は、OFDMの送信信号を受信するものとする。図4(a)は、受信部12の詳細な構成を示すブロック図である。図4(a)において、受信部12は、低雑音増幅部31と、局部発振部32と、周波数変換部33と、AD変換部34と、フーリエ変換部35と、等化器36と、復調部37と、P/S(パラレル/シリアル)変換部38とを備える。
【0023】
低雑音増幅部31は、アンテナセット11で受信された受信信号を受信し、その受信した受信信号を増幅する。局部発振部32は、周波数変換のための信号を生成する。周波数変換部33は、局部発振部32によって生成された信号を用いて、受信信号を周波数変換し、AD変換部34で変換できる等価ベースバンド帯域受信信号に変換する。AD変換部34は、等価ベースバンド帯域受信信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。なお、このデジタル信号は、複数のサブキャリアに応じた複数の並列した信号となる。フーリエ変換部35は、AD変換後のデジタル信号を受け付け、それらの複数の信号を並列して高速フーリエ変換することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。等化器36は、後述するチャネル推定部13が取得したチャネル推定値を用いて等化処理を行う。復調部37は、等化処理後の信号を復調する。P/S変換部38は、サブキャリアごとの並列配列の信号を直列配列に変換する。その結果、受信部12は、送信装置2が送信した信号そのものを得ることができる。
【0024】
なお、受信部12の構成は、これに限定されるものではなく、MIMOによる受信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換を用いてもよい。このように、受信部12の構成には任意性が存在する。また、受信部12は、モード信号やその他の信号をOFDM以外により受信してもよい。すなわち、受信部12は、OFDM以外による受信を行うことができる構成を有していてもよい。受信部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、受信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0025】
チャネル推定部13は、送信装置2が複数のアンテナ3,4からそれぞれ送信したリファレンス信号を受信部12が受信した場合に、そのリファレンス信号を用い、送信装置2の複数のアンテナ3,4のそれぞれと、アンテナセット11の2以上のモードのそれぞれとの組み合わせについてチャネル推定値を取得する。例えば、アンテナ3からリファレンス信号r,r,…が送信されたとする。なお、そのリファレンス信号は、あらかじめ決められている異なる周波数を介して送信される。例えば、OFDMの場合、そのOFDMのサブキャリア分のリファレンス信号が、各サブキャリアに応じた周波数で送信される。そして、そのリファレンス信号r,r,…がアンテナ11aを介して受信部12によって受信されたとする。その受信されたフーリエ変換後の受信信号(すなわち、フーリエ変換部35の出力)がy,y,…であったとする。なお、yは、rと同じ周波数の信号である(n=1,2,…)。また、リファレンス信号rの伝搬された周波数における伝搬特性をhとすると、y=r×hとなる。なお、リファレンス信号はあらかじめ決められている信号であるため、チャネル推定部13は、r,r,…を知ることができる。したがって、チャネル推定部13は、アンテナ3と、受信装置1aのアンテナ11aとの間のチャネル推定値h,h,…を算出することができる。なお、リファレンス信号r,r,…は、複数の周波数に応じた信号を有する一の信号として送信されてもよい。したがって、リファレンス信号r,r,…は、複数の別々の信号であってもよく、一つの信号であってもよい。また、送信装置2のアンテナ3,4ごとに、送信装置2からリファレンス信号が送信され、そのリファレンス信号が、受信装置1aのアンテナセット11のモードごとに受信される。その結果、チャネル推定部13は、送信側のアンテナと、受信側のアンテナのモードとの組み合わせごとに、すなわち、送信側と受信側との間のチャネルごとに、複数のチャネル推定値の集合を算出することになる。なお、このチャネル推定値の集合のことも単にチャネル推定値を呼ぶものとする。本実施の形態では、チャネル推定部13は、アンテナ3,4と、アンテナ11a、11bとの組み合わせ(すなわち、4個の組み合わせ)について、チャネル推定値を取得する。すなわち、チャネル推定部13は、アンテナ3,4と、2個のモードのそれぞれとの組み合わせについて、チャネル推定値を取得する。なお、送信装置2がアンテナ3を介して送信するリファレンス信号と、アンテナ4を介して送信するリファレンス信号とは、時分割多重方式により送信されてもよく、符号分割多重方式により送信されてもよく、あるいは、チャネル推定を行うことができるその他の方法によって送信されてもよい。なお、チャネル推定値の取得の処理はすでに公知であり、例えば、前述の特許文献1,2等を参照されたい。
【0026】
フィードバック部14は、チャネル推定部13が取得したチャネル推定値を、送信装置2に送信する。本実施の形態では、アンテナ3,4と、アンテナ11a、11bとの4個の組み合わせに対応したチャネル推定値がフィードバックされることになる。フィードバック部14が送信するチャネル推定値には、例えば、受信装置1aを識別する情報と、チャネル推定値を算出したときのモードを示す情報とが含まれていてもよい。この送信は、例えば、OFDMによって行われてもよく、あるいは、その他の方式によって行われてもよい。フィードバック部14が、OFDMによってチャネル推定値を送信装置2に送信する場合には、フィードバック部14は、後述する送信部21と同様の構成であってもよい。
【0027】
受信制御部15は、送信装置2から送信されたアンテナのモードを示すモード信号を受信部12が受信した場合に、そのモード信号の示すモードに対応したアンテナセット11を用いて、MIMOによる通信が行われるように制御する。例えば、モード1を示すモード信号が受信された場合には、受信制御部15は、スイッチSWにモード1に応じたアンテナ11aを選択させることにより、モード1に応じた受信がなされるようにする。また、例えば、モード2を示すモード信号が受信された場合には、受信制御部15は、スイッチSWにモード2に応じたアンテナ11bを選択させることにより、モード2に応じた受信がなされるようにする。また、受信制御部15は、チャネル推定を行う際に、チャネル推定を行うアンテナのモードとなるようにアンテナセット11のモードを切り替えるようにしてもよい。すなわち、モード1に関するチャネル推定を行う場合には、受信制御部15は、スイッチSWにモード1に応じたアンテナ11aを選択させてもよい。また、モード2に関するチャネル推定を行う場合には、受信制御部15は、スイッチSWにモード2に応じたアンテナ11bを選択させてもよい。なお、受信制御部15がスイッチSWを制御することにより、アンテナセット11のモードを切り替えることは一例であり、その他の方法によって、アンテナセット11のモードを切り替えてもよいことは言うまでもない。すなわち、結果として、受信制御部15が、モード信号に応じたアンテナセット11を用いてMIMOによる通信が行われるように制御できるのであれば、その方法は問わない。また、スイッチSWを用いないでモードの切り替えが行われる場合には、受信装置1aは、スイッチSWを備えていなくてもよい。
【0028】
なお、受信装置1bも、受信装置1aと同様の構成であるものとする。また、無線通信システム100が他の受信装置を備える場合にも、その受信装置は、受信装置1aと同様の構成であるものとする。
【0029】
図3は、本実施の形態による送信装置2の構成を示すブロック図である。図3において、本実施の形態による送信装置2は、送信部21と、フィードバック受信部22と、選択部23と、送信制御部24とを備える。
【0030】
送信部21は、複数のアンテナを介して送信信号を送信する。送信部21は、例えば、リファレンス信号を送信し、モード信号を送信する。また、送信部21は、MIMOによる通信のための送信信号をも送信する。本実施の形態では、前述のように、送信部21は、OFDMの送信信号を送信するものとする。図4(b)は、送信部21の詳細な構成を示すブロック図である。図4(b)において、送信部21は、S/P(シリアル/パラレル)変換部41と、変調部42と、逆フーリエ変換部43と、DA変換部44と、局部発振部45と、周波数変換部46と、電力増幅部47とを備える。S/P変換部41は、送信信号を、OFDMの複数のサブキャリアに対応する複数の並列配列の信号に変換する。変調部42は、並列配列の各信号をデジタル変調する。逆フーリエ変換部43は、デジタル変調後の並列配列の信号に対して、逆高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号にする。DA変換部44は、逆高速フーリエ変換後の直列配列のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号をアナログ信号に変換する。局部発振部45は、周波数変換のための信号を生成する。周波数変換部46は、局部発振部45が生成した周波数変換のための信号を用いて、DA変換部44で生成された等価ベースバンド帯域送信信号を、送信周波数帯に変換する。電力増幅部47は、周波数変換部46により周波数変換された送信信号を、所望の電力まで増幅する。その送信信号が、アンテナ3,4を介して送信される。
【0031】
なお、送信部21の構成は、これに限定されるものではなく、MIMOによる送信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、逆高速フーリエ変換に代えて、逆離散フーリエ変換を用いてもよい。このように、送信部21の構成には任意性が存在する。また、送信部21は、OFDM以外による送信を行うことができる構成を有していてもよい。例えば、モード信号等は、OFDM以外の方式によって送信されてもよい。また、送信部21は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、送信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
また、受信装置1a、1bや送信装置2において、送信時の周波数変換と、受信時の周波数変換で用いられる局部発振部は、送信の構成と、受信の構成とにおいて共用されてもよい。また、例えば、局部発振部32,45が生成する周波数が2.4GHzであり、周波数変換部46による周波数変換後の送信信号の周波数と、アンテナ11a、11bで受信された受信信号の周波数とが2.4GHzであり、等価ベースバンド帯域の送信信号、受信信号の周波数が0GHzであってもよい。なお、これらの周波数は一例であり、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0032】
フィードバック受信部22は、2以上の受信装置1a、1bから送信されたチャネル推定値を受信する。この受信は、例えば、OFDMによって行われてもよく,あるいは、その他の方式によって行われてもよい。フィードバック受信部22が、OFDMによってチャネル推定値を受信する場合には、フィードバック受信部22は、前述した受信部12と同様の構成であってもよい。また、フィードバック受信部22は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは受信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0033】
選択部23は、フィードバック受信部22が受信したチャネル推定値を用いて、2以上の受信装置1a、1bの各アンテナセット11に関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスを特定する。そして、選択部23は、その特定したチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する。ここで、チャネルマトリックスは、送信装置2と2以上の受信装置1a、1bとの間のチャネルに応じたマトリックスである。本実施の形態のように、2個の受信装置1a、1bが存在し、各受信装置に2個のモードが存在する場合には、2個のモードのすべての組み合わせに対応したチャネルマトリックスの個数は、2=4個となる。一般に、A個の受信装置があり、各受信装置にB個のモードがある場合には、そのすべてのモードの組み合わせに対応したチャネルマトリックスの個数は、B個となる。選択部23は、それらのチャネルマトリックスから、チャネル特性のよいものを特定する。チャネル特性がよいとは、2以上のアンテナから送信された干渉した送信信号を用いて、受信側において、送信信号を適切に復元することができることであり、チャネルマトリックスの逆行列を適切に求めることができることである。結果としてそのようなチャネルマトリックスを特定できるのであれば、選択部23による特定の手法は問わない。例えば、選択部23は、チャネルマトリックスの行列式の値を用いて、チャネル特性のよいチャネルマトリックスを特定してもよく、チャネルマトリックスの階数を用いて、チャネル特性のよいチャネルマトリックスを特定してもよく、その他の方法を用いてもよい。本実施の形態では、選択部23が、チャネルマトリックスの固有値を算出し、最小固有値を最大固有値で除算した値が大きいチャネルマトリックスを特定するものとする。「最小固有値を最大固有値で除算した値が大きい」とは、例えば、すべてのチャネルマトリックスについて算出された、最小固有値を最大固有値で除算した値が最も大きいことであってもよく、最小固有値を最大固有値で除算した値が、あらかじめ設定されているしきい値(例えば、0.3や0.5等であってもよい)よりも大きいことであってもよい。なお、前述した目的で選択を行うため、最小固有値を最大固有値で除算した値の大きさだけが重要である。したがって、その選択の際に、最小固有値を最大固有値で除算した値の絶対値を用いてもよい。ここで、しきい値を用いてチャネルマトリックスを特定する場合には、2以上のチャネルマトリックスが特定対象となる場合もありうる。一方、ここでの特定の目的は、モードの組み合わせを決定することであるため、一つのチャネルマトリックスを特定する必要がある。したがって、その場合には、選択部23は、最小固有値を最大固有値で除算した値がしきい値よりも大きいチャネルマトリックスから選択された一つのチャネルマトリックスを特定してもよい。その選択は、例えば、ルールに基づいて行ってもよく(例えば、最小固有値を最大固有値で除算した値がしきい値より大きい1個目のチャネルマトリックスを選択するなど)、ランダムに行ってもよい。また、選択部23は、そのようにして特定したチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを最終的に選択する。各チャネルマトリックスは、各装置のいずれかのモードに対応している。したがって、選択部23がチャネル特性のよいチャネルマトリックスを特定することは、結果として、そのチャネルマトリックスに対応したモードの組み合わせを特定したことにもなる。例えば、本実施の形態であれば、2個の受信装置1a、1bごとにモード1,2が存在するため、選択部23は、「受信装置1aはモード1、受信装置1bはモード2」というように選択してもよい。選択部23による選択は、例えば、選択結果を図示しない記録媒体に蓄積することによって行われてもよく、あるいは、選択結果に対応するモードにフラグを設定することなどによって行われてもよい。なお、この選択の処理の詳細については後述する。
【0034】
送信制御部24は、リファレンス信号を送信部21に送信させる。すなわち、受信装置1a、1bにおいてチャネル推定を行う際には、送信制御部24の制御によって、送信部21がリファレンス信号を送信することになる。また、送信制御部24は、選択部23の選択結果であるモードを示すモード信号を送信部21に送信させる。このモード信号は、結果として各受信装置1a、1bが、自らがMIMOの通信で用いるべきモードを知ることができるのであれば、どのような信号であってもよい。モード信号は、例えば、受信装置を識別する識別情報と、その識別情報で識別される受信装置で用いられるモードとをすべての受信装置について対応付けた情報を示すものであってもよい。この場合には、同じモード信号がすべての受信装置に送信され、受信装置では、そのモード信号を参照して、自らの装置に対応するモードを読み出し、そのモードを用いて通信を行うことになる。また、モード信号は、例えば、一の受信装置のモードのみを示す信号であってもよい。この場合には、受信装置ごとに異なるモード信号が送信され(すなわち、受信装置の個数分のモード信号が送信されることになる)、受信装置では、受信したモード信号の示すモードを用いて通信を行うことになる。前述のように、リファレンス信号は、例えば、OFDMで送信されるが、モード信号は、OFDMで送信されてもよく、あるいは、OFDMとは異なる方法によって送信されてもよい。また、送信部21によってモード信号が送信された後は、送信装置2と受信装置1a、1bとの間でMIMOによる通信が行われることになる。その場合に、送信装置2では、選択部23が選択したチャネルマトリックスを知っているため、プリコーディングによりMIMOの送信を行うことができる。
【0035】
ここで、選択部23による選択について、より詳細に説明する。受信系のアンテナセット11の個数をA個とし、各アンテナセット11のモードの個数をB個とし、送信系のアンテナの個数をC個とする。また、送信系のi番目のアンテナと、受信系のj番目のアンテナセット11のk番目のモードとの間のチャネル推定値をhijとする。但し、iは1からCまでの整数であり、jは1からAまでの整数であり、kは1からBまでの整数である。なお、通常、C≧Aである。ここで、H=(h1j … hCj)とすると、すべてのアンテナセット11のモードがkである場合のチャネルマトリックスHk…kは、次のようになる。
【数1】

【0036】
選択部23は、チャネル推定値のフィードバックにより、jが1〜A,kが1〜BのすべてのHを取得できる。したがって、選択部23は、それを用いることにより、k=1,…,Bのすべてについて、Hk…kを求めることができる。なお、A=Cの場合には、チャネルマトリックスが正方行列となるが、A<Cの場合には、チャネルマトリックスは正方行列にはならない。
また、Hを適宜、組み合わせることにより、選択部23は、次のようにすべてのモードの組み合わせについてチャネルマトリックスを求めることができる。但し、m(j=1,2,…,A)は、1からBまでの整数である。
【数2】

【0037】
したがって、選択部23は、m…mのすべての組み合わせ、すなわち、すべてのモードの組み合わせについてチャネルマトリックスを求める。その結果、前述のように、B個のチャネルマトリックスが求められる。求められた各チャネルマトリックスは、m…mの値に対応付けられて図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0038】
その後、選択部23は、各チャネルマトリックスの固有値を算出する。その方法は特に問わないが、選択部23は、例えば、チャネルマトリックスHを、H=UΣVのように特異値分解することによって、特異値を算出してもよい。なお、U,Vはユニタリ行列であり、VはVのエルミート共役である。この場合、Σの対角成分がチャネルマトリックスHの特異値となる。したがって、選択部23は、そのΣの対角成分を取得することによって、チャネルマトリックスHの特異値を取得することができる。選択部23は、その特異値を前述の固有値として用いてモードの選択を行うことができる。また、選択部23は、例えば、チャネルマトリックスHを、H=QRのようにQR分解することによって、固有値を算出してもよい。なお、Qは直交行列であり、Rは上三角行列である。この場合、Rの対角成分が固有値となる。したがって、選択部23は、そのRの対角成分を取得することによって、チャネルマトリックスHの固有値を取得することができる。
【0039】
選択部23は、m…mのすべての組み合わせに対応するB個のチャネルマトリックスに対応する固有値(特異値)をそれぞれ算出すると、各チャネルマトリックスについて、前述のように、最小固有値を最大固有値で除算した値の絶対値を算出する。そして、その値の大きいチャネルマトリックスを特定し、その特定したチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する。すなわち、特定されたチャネルマトリックスのm…mの組み合わせが選択されることになる。なお、mは1個目のアンテナセット11のモードを示し、mは2個目のアンテナセット11のモードを示し、mはA個目のアンテナセット11のモードを示している。
【0040】
ここで、便宜上、詳細な説明を省略していたが、前述のように、チャネル推定値は、複数の周波数(OFDMであれば、サブキャリアの複数の周波数)に対応したリファレンス信号に応じた複数のチャネル推定値の集合である。すなわち、その各周波数に対応したチャネル推定値が存在することになる。そのため、選択部23は、上述したモードの選択を、その周波数ごとに行うことになる。そのリファレンス信号の周波数ごとに行ったモードの組み合わせの選択結果がすべて同じであれば問題ないが、それらが異なっている場合には、選択部23は、最も多く選択されたモードの組み合わせの選択結果を、最終的にMIMOの通信で使用するモードの組み合わせとして選択してもよい。または、選択部23は、次のようにして選択を行ってもよい。前述したように、モードの組み合わせの選択は、チャネルマトリックスの逆行列を適切に算出することができるように行われる。したがって、逆に言えば、チャネルマトリックスの逆行列を適切に算出できないモードの組み合わせを除外できればよいことになる。そのため、選択部23は、リファレンス信号の周波数ごとに、最小固有値を最大固有値で除算した値があらかじめ決められたしきい値より小さいモードの組み合わせである除外組み合わせを特定する。そして、その特定結果をリファレンス信号のすべての周波数について集計し、リファレンス信号のすべての周波数について除外組み合わせのないモードの組み合わせ、あるいは、その除外組み合わせが最も少ないモードの組み合わせを選択してもよい。また、最小固有値を最大固有値で除算した値に応じて重み付けを行い、その重み付けも考慮して選択を行ってもよい。その重み付けは、最小固有値を最大固有値で除算した値が小さいほど、そのモードの組み合わせが選択されにくくなる重み付けとなることが好適である。
【0041】
なお、ここで説明したことは一例であり、選択部23は、結果として上述したような選択が行われるのであれば、上述したとおりの処理を行わなくてもよい。例えば、最小固有値を最大固有値で除算した値の大きいモードの組み合わせを選択することは、言い換えれば、最大固有値を最小固有値で除算した値の小さいモードの組み合わせを選択することとなる。したがって、選択部23は、そのようなモードの組み合わせの選択を行ってもよい。
【0042】
次に、受信装置1aの動作について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、受信装置1bの動作も同様である。
(ステップS101)受信制御部15は、モードの選択を行うかどうか判断する。そして、モードの選択を行う場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、モードの選択を行うと判断するまで、ステップS101の処理を繰り返す。なお、受信制御部15は、例えば、受信装置1aが送信装置2から、リファレンス信号の送信を開始する旨の信号を受信した場合に、モードの選択を行うと判断してもよく、リファレンス信号の送信が定期的に行われている場合には、そのリファレンス信号の送信タイミングとなったことを検知して、モードの選択を行うと判断してもよく、あるいは、その他のタイミングでモードの選択を行うと判断してもよい。
【0043】
(ステップS102)受信制御部15は、スイッチSWにアンテナ11aの方を選択させることにより、アンテナセット11をモード1に設定する。
【0044】
(ステップS103)受信部12は、リファレンス信号(RS)を受信したかどうか判断する。そして、リファレンス信号を受信した場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、受信するまでステップS103の処理を繰り返す。
【0045】
(ステップS104)チャネル推定部13は、リファレンス信号に応じたチャネル推定値を取得する。すなわち、チャネル推定部13は、アンテナ3とアンテナ11aとの間の複数の周波数に応じたチャネル推定値、及びアンテナ4とアンテナ11aとの間の複数の周波数に応じたチャネル推定値を取得する。その取得されたチャネル推定値は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。なお、2以上のリファレンス信号が送信される場合には、例えば、ステップS103とステップS104の処理がそのリファレンス信号の数だけ繰り返されてもよい。
【0046】
(ステップS105)フィードバック部14は、チャネル推定部13が取得したチャネル推定値を送信装置2に送信する。
【0047】
(ステップS106)受信制御部15は、スイッチSWにアンテナ11bの方を選択させることにより、アンテナセット11をモード2に設定する。
【0048】
(ステップS107)受信部12は、リファレンス信号を受信したかどうか判断する。そして、リファレンス信号を受信した場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、受信するまでステップS107の処理を繰り返す。
【0049】
(ステップS108)チャネル推定部13は、リファレンス信号に応じたチャネル推定値を取得する。すなわち、チャネル推定部13は、アンテナ3とアンテナ11bとの間の複数の周波数に応じたチャネル推定値、及びアンテナ4とアンテナ11bとの間の複数の周波数に応じたチャネル推定値を取得する。その取得されたチャネル推定値は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。なお、2以上のリファレンス信号が送信される場合には、例えば、ステップS107とステップS108の処理がそのリファレンス信号の数だけ繰り返されてもよい。
【0050】
(ステップS109)フィードバック部14は、チャネル推定部13が取得したチャネル推定値を送信装置2に送信する。
【0051】
(ステップS110)受信部12は、モード信号を受信したかどうか判断する。そして、モード信号を受信した場合には、ステップS111に進み、そうでない場合には、受信するまでステップS110の処理を繰り返す。
【0052】
(ステップS111)受信制御部15は、受信部12が受信したモード信号に応じたモードで受信が行われるように制御する。例えば、モード信号がモード1を示す場合には、スイッチSWにアンテナ11aの方を選択させることにより、アンテナセット11をモード1に設定し、モード信号がモード2を示す場合には、スイッチSWにアンテナ11bの方を選択させることにより、アンテナセット11をモード2に設定する。
【0053】
(ステップS112)受信部12は、MIMOによる受信を行う。そして、ステップS101に戻る。なお、定期的にモードの選択が繰り返される場合には、MIMOによる受信を行っている場合に、モードの選択のタイミングとなると、ステップS101に戻ってもよい。そうでない場合には、一連の受信が終了するまでステップS101に戻らなくてもよい。また、MIMOによる通信中に、使用中のモードにおけるチャネル推定を行ってもよい。そして、得られたチャネル推定値は、例えば、等化器36で用いられてもよく、また、プリコーディングの場合には送信装置2にフィードバックされてもよい。
【0054】
なお、図5のフローチャートでは、モードが2個である場合の処理について説明したが、モードが3個以上である場合には、ステップS102〜S105の処理がモードの個数分だけ繰り返されることになる。また、チャネル推定ごとにフィードバックの送信を行う場合について説明したが、そうでなくてもよい。すべてのモードについてのチャネル推定が終了した後に、まとめてフィードバックの送信を行うようにしてもよい。また、図5のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0055】
次に、送信装置2の動作について図6のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS201)送信制御部24は、選択の処理を行うかどうか判断する。そして、選択の処理を行う場合には、ステップS202に進み、そうでない場合には、選択の処理を行うまでステップS201の処理を繰り返す。なお、送信制御部24は、例えば、送信装置2と受信装置1a、1bとの間のMIMOによる通信を開始する際に選択の処理を行うと判断してもよく、定期的に選択を行う場合には、その選択のタイミングとなったことを検知して、選択を行うと判断してもよく、あるいは、その他のタイミングで選択を行うと判断してもよい。また、ステップS201からステップS202に進む際に、送信制御部24は、必要に応じて、送信部21から各受信装置1a、1bに、リファレンス信号の送信を開始する旨の信号が送信されるように制御してもよい。
【0056】
(ステップS202)送信制御部24は、リファレンス信号を送信するように送信部21を制御する。その結果、送信部21は、リファレンス信号を送信する。このリファレンス信号は、モード1におけるチャネル推定を行うためのものである。
【0057】
(ステップS203)フィードバック受信部22は、受信装置1a、1bのそれぞれからチャネル推定値を受信したかどうか判断する。そして、両方を受信した場合には、ステップS204に進み、そうでない場合には、両方を受信するまでステップS203の処理を繰り返す。その受信されたチャネル推定値は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0058】
(ステップS204)送信制御部24は、リファレンス信号を送信するように送信部21を制御する。その結果、送信部21は、リファレンス信号を送信する。このリファレンス信号は、モード2におけるチャネル推定を行うためのものである。
【0059】
(ステップS205)フィードバック受信部22は、受信装置1a、1bのそれぞれからチャネル推定値を受信したかどうか判断する。そして、両方を受信した場合には、ステップS206に進み、そうでない場合には、両方を受信するまでステップS205の処理を繰り返す。その受信されたチャネル推定値は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
【0060】
(ステップS206)選択部23は、モードの組み合わせに応じた複数のチャネルマトリックスを構成し、その複数のチャネルマトリックスからチャネル特性のよいものを特定し、その特定したチャネルマトリックスに対応する受信装置1aのモードと、受信装置1bのモードとを選択する。
【0061】
(ステップS207)送信制御部24は、選択部23が選択した受信装置1aのモードと、受信装置1bのモードとを示すモード信号を送信するように送信部21を制御する。その結果、送信部21は、そのモード信号を受信装置1a、1bに送信する。
【0062】
(ステップS208)送信部21は、選択部23が選択した受信装置1a、1bのモードに応じたMIMOの送信を行う。前述のように、この送信は、プリコーディングによって行ってもよい。そして、ステップS201に戻る。なお、定期的にモードの選択が繰り返される場合には、MIMOによる送信を行っている場合に、モードの選択のタイミングとなると、ステップS201に戻ってもよい。そうでない場合には、一連の送信が終了するまでステップS201に戻らなくてもよい。また、送信側でプリコーディングを行う場合には、送信装置2は、受信装置1a、1bから定期的にチャネル推定値のフィードバックを受信し、そのチャネル推定値を用いてプリコーディングを行ってもよい。
【0063】
なお、図6のフローチャートでは、モードが2個である場合の処理について説明したが、モードが3個以上である場合には、ステップS202,S203の処理がモードの個数分だけ繰り返されることになる。また、チャネル推定ごとにフィードバックの受信が行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。すべてのモードについてのチャネル推定が終了した後に、まとめてフィードバックの受信を行うようにしてもよい。また、図6のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0064】
次に、本実施の形態による無線通信システム100の動作の具体例について、図7を参照しながら説明する。まず、送信装置2と、受信装置1a、1bとの間において、MIMOによる通信を行うことになったとする。すると、送信装置2の送信制御部24は、選択の処理を行うと判断し(ステップS201)、リファレンス信号を送信する旨の送信信号を受信装置1a、1bに送信するように、送信部21を制御する。その結果、送信部21は、リファレンス信号を送信する旨の送信信号を送信する。すると、その送信信号は、受信装置1a、1bの受信部12によって受信され、受信制御部15に渡される。受信制御部15は、その送信信号の受信に応じて、モードの選択を開始すると判断し(ステップS101)、アンテナセット11のアンテナ11a側を選択するように、スイッチSWを制御する(ステップS102)。その結果、受信装置1a、1bにおいて、モード1に設定されたことになる。その後、送信制御部24は、送信部21を制御して、リファレンス信号を送信させる(ステップS202)。なお、送信されるリファレンス信号は、前述のように、OFDMのサブキャリアごとの複数の周波数に応じたリファレンス信号である。また、アンテナ3と、アンテナ4との両方を用いて、時分割で送信される。送信装置2から送信されたリファレンス信号は、受信装置1a、1bのアンテナ11aを介して受信部12で受信され、チャネル推定部13によってチャネル推定値の取得が行われる(ステップS103,S104)。受信装置1aのチャネル推定部13では、アンテナ3,4にそれぞれ対応して、H=(h1121)が取得される。また、受信装置1bのチャネル推定部13では、アンテナ3,4にそれぞれ対応して、H=(h1222)が取得される。前述のように、h11等はリファレンス信号の送信された複数の周波数に応じた複数のチャネル推定値である。それらのチャネル推定値は、フィードバック部14を介して送信装置2に送信され(ステップS105)、フィードバック受信部22によって受信される(ステップS203)。選択部23は、その受信されたチャネル推定値を図示しない記録媒体で記憶しておく。
【0065】
その後、受信装置1a、1bの受信制御部15は、アンテナセット11のアンテナ11b側を選択するように、スイッチSWを制御する(ステップS106)。その結果、受信装置1a、1bにおいて、モード2に設定されたことになる。その後、送信制御部24は、送信部21を制御して、複数の周波数に応じたリファレンス信号をアンテナ3,4ごとに時分割で送信させる(ステップS204)。送信装置2から送信されたリファレンス信号は、受信装置1a、1bのアンテナ11bを介して受信部12で受信され、チャネル推定部13によってチャネル推定値の取得が行われる(ステップS107,S108)。受信装置1aのチャネル推定部13では、アンテナ3,4にそれぞれ対応して、H=(h1121)が取得される。また、受信装置1bのチャネル推定部13では、アンテナ3,4にそれぞれ対応して、H=(h1222)が取得される。それらのチャネル推定値は、フィードバック部14を介して送信装置2に送信され(ステップS109)、フィードバック受信部22によって受信される(ステップS205)。選択部23は、その受信されたチャネル推定値を図示しない記録媒体に蓄積する。
【0066】
その後、選択部23は、H、H、H、Hを用いて、4個のチャネルマトリックスH11、H22、H12、H21を構成し、それらのチャネルマトリックスの固有値を算出する。なお、H11等は次の通りである。なお、厳密に言えば、H12とH21は別々のタイミングで推定されたチャネル推定値を用いて構成されたチャネルマトリックスである。しかしながら、モードの選択は時間に対してそれほど敏感ではないため、このように別々のタイミングで推定されたチャネル推定値によって構成されるチャネルマトリックスをモードの選択に用いたとしても問題ないと考えられる。
【数3】

【0067】
そして、最小固有値を最大固有値で除算した値が最も大きいチャネルマトリックスを選択する。なお、前述のように、選択部23は、この選択の処理を複数のリファレンス信号ごとに行い、最も多く選択されたチャネルマトリックスを最終的に選択する。この場合には、そのチャネルマトリックスは、H12であったとする(ステップS206)。したがって、受信装置1aではモード1となり、受信装置1bではモード2となるモードの組み合わせが、最もチャネル特性がよいことになる。送信制御部24は、チャネルマトリックスH12が選択されたことを検知すると、受信装置1aはモード1で、受信装置1bはモード2で通信する旨のモード信号を生成し、送信部21に送信させる(ステップS207)。それらのモード信号は、受信装置1a、1bの受信部12で受信され、受信制御部15に渡される(ステップS110)。そして、受信装置1aの受信制御部15は、そのモード信号に応じて、受信装置1aのアンテナセット11のモードをモード1に設定し、受信装置1bの受信制御部15は、そのモード信号に応じて、受信装置1bのアンテナセット11のモードをモード2に設定する(ステップS111)。その後、送信装置2と、受信装置1a、1bとの間で、MIMOによる送受信が行われることになる(ステップS112,S208)。なお、MIMOの通信が行われている際に、定期的に、あるいは、通信の品質が悪くなった際に、リファレンス信号の再送信と、モードの再選択とが行われ、その再選択されたモードを用いたMIMOの送受信が行われるようにしてもよい。また、そのMIMOで使用するモードにおけるチャネル推定は、定期的に行われてもよい。等化処理やプリコーディング等で用いるためである。また、モードの選択は、チャネル推定と同じ頻度で行われてもよく、あるいは、チャネル推定ほど頻繁に行われなくてもよい。
【0068】
なお、この具体例では、図7で示されるように、受信装置1a、1bにおいて、同じモードのチャネル推定が行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、受信装置1aにおいてモード1のチャネル推定を行っている場合に、受信装置1bにおいてモード2のチャネル推定を行ってもよい。また、例えば、受信装置1aにおいてモード2のチャネル推定を行っている場合に、受信装置1bにおいてモード1のチャネル推定を行ってもよい。
【0069】
以上のように、本実施の形態による無線通信システム100によれば、送信装置2と、受信装置1a、1bとの間において、チャネル特性のよいアンテナセット11のモードを選択し、そのモードを用いてMIMOの通信を行うことにより、より干渉の低いモードを用いた通信を行うことができ、より品質の高いチャネルでの通信を実現することができる。その結果、送信系と受信系との間のチャネル数を増やすことができ、また、スループットを向上させることができる。
【0070】
なお、MIMOは通常、OFDMにより行われるため、OFDMによる通信が行われる場合について主に説明したが、OFDMではないMIMOによる通信が行われてもよいことは言うまでもない。
【0071】
また、本実施の形態では、複数の受信装置1a、1bのそれぞれが単一のアンテナセット11を有する場合について説明したが、受信装置1a、1bは、複数のアンテナセットを有してもよい。その場合にも、前述の説明のように、アンテナセットごとにチャネル推定が行われることになる。例えば、受信装置1aが2個のアンテナセットを有する場合には、チャネル推定部13は、その2個のアンテナセットのそれぞれについてチャネル推定を行い、フィードバック受信部22は、その2個のアンテナセットのそれぞれに対するチャネル推定値のフィードバックを行い、受信制御部15は、その2個のアンテナセットのそれぞれについて、モード信号に応じたモードの設定を行うことになる。
【0072】
また、本実施の形態では、受信系が複数の受信装置1a、1bを備えたマルチユーザの場合について説明したが、受信系は、シングルユーザであってもよい。その場合には、1個の受信装置が、複数のアンテナセットを備え、その複数のアンテナセットを用いてMIMOの通信を行うことになる。また、上述のように、その複数のアンテナセットごとにチャネル推定等が行われることになる。また、シングルユーザの場合には、その1個の受信装置においてチャネルマトリックスを算出し、そのチャネルマトリックスを用いたモードの組み合わせの選択を行うことも可能である。その場合に、プリコーディングを行うのであれば、選択されたモードの組み合わせに応じたチャネルマトリックスを送信装置2に送信してもよい。一方、プリコーディングを行わないのであれば、受信装置において、チャネルマトリックスを用いて、送信装置2の各アンテナ3,4から送信された送信信号を再現するようにしてもよい。このように、モードの組み合わせを選択する装置は、送信装置2に限られるものではない。したがって、次のような制御装置によって、モードの組み合わせの選択を行ってもよい。すなわち、その制御装置は、MIMOにより通信を行う、複数のアンテナを有する送信系と、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットを2以上備えた受信系との間の無線通信を制御する制御装置であって、送信系から受信系に送信されたリファレンス信号を用いて受信系のアンテナセットごとに取得された、送信系の複数のアンテナのそれぞれと、2以上のモードのそれぞれとの組み合わせに対応したチャネル推定値を用いて、2以上のアンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、送信系と受信系との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する選択部と、選択部の選択結果であるモードの組み合わせにそれぞれ対応した2以上のアンテナセットを用いて受信系が通信を行うように制御する制御部と、を備えたものである。その制御装置は、本実施の形態で説明した送信装置2に含まれていると考えてもよく、シングルユーザの場合の受信装置に含まれていると考えてもよく、あるいは、モードの選択のみを行う、受信装置でもなく送信装置でもない装置であると考えてもよい。その制御部によって行われる制御は、例えば、モード信号を受信装置に送信することであってもよく、受信装置において各アンテナセットのモードを選択されたように設定することであってもよく、あるいは、結果として選択されたモードの組み合わせに応じて通信がなされるように設定を行うその他の制御であってもよい。
【0073】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0076】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0077】
また、上記実施の形態において、受信装置1a、1b、送信装置2または制御装置に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0078】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態における前述の制御装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、MIMOにより通信を行う、複数のアンテナを有する送信系と、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットを2以上備えた受信系との間の無線通信を制御する制御装置として機能させ、送信系から受信系に送信されたリファレンス信号を用いて受信系のアンテナセットごとに取得された、送信系の複数のアンテナのそれぞれと、2以上のモードのそれぞれとの組み合わせに対応したチャネル推定値を用いて、2以上のアンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、送信系と受信系との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する選択部、選択部の選択結果であるモードの組み合わせにそれぞれ対応した2以上のアンテナセットを用いて受信系が通信を行うように制御する制御部として機能させるためのプログラムである。
【0079】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。すなわち、ハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれないものとする。
【0080】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0081】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0082】
図8は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による受信装置1a,1b、送信装置2または制御装置を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0083】
図8において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0084】
図9は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図9において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、前述の送信や受信の処理を行うためのハードウェア、例えば、DA変換器やAD変換器、変調器や復調器等を含んでいてもよく、あるいは、それらのハードウェアに接続されていてもよい。また、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0085】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による受信装置1a,1b、送信装置2または制御装置の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0086】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による受信装置1a,1b、送信装置2または制御装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0087】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上より、本発明による無線通信システム等によれば、より品質の高いチャネルで通信を行うことができるという効果が得られ、MIMOによる通信を行うシステム等として有用である。
【符号の説明】
【0089】
1a、1b 受信装置
2 送信装置
3、4、11a、11b アンテナ
11 アンテナセット
12 受信部
13 チャネル推定部
14 フィードバック部
15 受信制御部
21 送信部
22 フィードバック受信部
23 選択部
24 送信制御部
31 低雑音増幅部
32、45 局部発振部
33、46 周波数変換部
34 AD変換部
35 フーリエ変換部
36 等化器
37 復調部
38 P/S変換部
41 S/P変換部
42 変調部
43 逆フーリエ変換部
44 DA変換部
47 電力増幅部
100 無線通信システム
SW スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MIMO(Multiple Input Multiple Output)により通信を行う、複数のアンテナを有する送信装置と、2以上の受信装置とを備えた無線通信システムであって、
前記受信装置は、
2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットと、
前記アンテナセットを介して、前記送信装置が送信した送信信号を受信する受信部と、
前記送信装置が複数のアンテナからそれぞれ送信したリファレンス信号を前記受信部が受信した場合に、当該リファレンス信号を用い、前記送信装置の複数のアンテナのそれぞれと、前記2以上のモードのそれぞれとの組み合わせについてチャネル推定値を取得するチャネル推定部と、
前記チャネル推定部が取得したチャネル推定値を、前記送信装置に送信するフィードバック部と、
前記送信装置から送信されたアンテナのモードを示すモード信号を前記受信部が受信した場合に、当該モード信号の示すモードに対応した前記アンテナセットを用いて、MIMOによる通信が行われるように制御する受信制御部と、を備え、
前記送信装置は、
前記複数のアンテナを介して送信信号を送信する送信部と、
前記2以上の受信装置から送信されたチャネル推定値を受信するフィードバック受信部と、
前記フィードバック受信部が受信したチャネル推定値を用いて、前記2以上の受信装置の各アンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、前記送信装置と前記2以上の受信装置との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する選択部と、
リファレンス信号を前記送信部に送信させ、前記選択部の選択結果であるモードを示すモード信号を前記送信部に送信させる送信制御部と、を備えた、無線通信システム。
【請求項2】
前記アンテナセットは、前記2以上のモードにそれぞれ対応した2以上の偏波方向を有するアンテナを有する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記アンテナセットは、前記2以上のモードにそれぞれ対応した異なる2以上のアンテナを有する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記選択部は、複数のチャネルマトリックスのうち、最小固有値を最大固有値で除算した値が大きいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する、請求項1から請求項3のいずれか記載の無線通信システム。
【請求項5】
MIMO(Multiple Input Multiple Output)により通信を行う、複数のアンテナを有する送信系と、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットを2以上備えた受信系との間の無線通信を制御する制御装置であって、
前記送信系から前記受信系に送信されたリファレンス信号を用いて前記受信系のアンテナセットごとに取得された、前記送信系の複数のアンテナのそれぞれと、前記2以上のモードのそれぞれとの組み合わせに対応したチャネル推定値を用いて、前記2以上のアンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、前記送信系と前記受信系との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する選択部と、
前記選択部の選択結果であるモードの組み合わせにそれぞれ対応した2以上のアンテナセットを用いて前記受信系が通信を行うように制御する制御部と、を備えた制御装置。
【請求項6】
MIMO(Multiple Input Multiple Output)により通信を行う、複数のアンテナを有する送信系と、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットを2以上備えた受信系とを用いて処理される無線通信方法であって、
前記送信系が、複数のアンテナからリファレンス信号を送信するステップと、
前記受信系が、前記アンテナセットごとに、2以上のモードのそれぞれでリファレンス信号を受信するステップと、
前記受信系が、受信したリファレンス信号を用い、前記アンテナセットごとに、前記送信系の複数のアンテナのそれぞれと、前記2以上のモードのそれぞれとの組み合わせについてチャネル推定値を取得するステップと、
前記受信系が、取得したチャネル推定値を、前記送信系に送信するステップと、
前記送信系が、前記受信系から送信されたチャネル推定値を受信するステップと、
前記送信系が、受信したチャネル推定値を用いて、前記2以上のアンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、前記送信系と前記受信系との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択するステップと、
前記送信系が、選択結果であるモードを示すモード信号を前記受信系に送信するステップと、
前記受信系が、前記モード信号を受信した場合に、当該モード信号の示すモードに対応した前記アンテナセットを用いて、MIMOによる通信を行うステップと、を備えた無線通信方法。
【請求項7】
コンピュータを、
MIMO(Multiple Input Multiple Output)により通信を行う、複数のアンテナを有する送信系と、2以上のモードに対応したアンテナを有するアンテナセットを2以上備えた受信系との間の無線通信を制御する制御装置として機能させ、
前記送信系から前記受信系に送信されたリファレンス信号を用いて前記受信系のアンテナセットごとに取得された、前記送信系の複数のアンテナのそれぞれと、前記2以上のモードのそれぞれとの組み合わせに対応したチャネル推定値を用いて、前記2以上のアンテナセットに関する2以上のモードのすべての組み合わせに対応した、前記送信系と前記受信系との間のチャネルに応じた複数のチャネルマトリックスのうち、チャネル特性のよいチャネルマトリックスに対応するモードの組み合わせを選択する選択部、
前記選択部の選択結果であるモードの組み合わせにそれぞれ対応した2以上のアンテナセットを用いて前記受信系が通信を行うように制御する制御部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−175476(P2012−175476A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36536(P2011−36536)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「非線形マルチユーザMIMO技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】