照明装置
【課題】 液晶表示装置の表示面の全体にわたって均一に照射することができ、かつ、額縁部が狭い直下型のバッライトとして用いたり、また、薄型化を可能にしたサイドライト型のバックライトとして用いることのできる照明装置を提供すること。
【解決手段】 均一な面光源を形成する照明装置の光源に、ブリッジ管4を介して連通された複数本の平行の各直管部1a、1bを具備した放電ランプ1、11を用いる。
【解決手段】 均一な面光源を形成する照明装置の光源に、ブリッジ管4を介して連通された複数本の平行の各直管部1a、1bを具備した放電ランプ1、11を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビなどのバックライトや、カーナビゲーションシステムの映像表示用などに好適な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビや液晶メータなどのバックライト用の照明装置は、通常、冷陰極放電ランプを光源とし、小型液晶テレビや液晶メータなどの液晶パネルの背面から平面的にほぼ均一な光を当てて、液晶面を表示するため多用されている。また、自動車の運転者に交通情報を提供するカーナビゲーションシステムにおいても、自動車の現在位置や進行方向を表示するテレビモニターなどの液晶表示装置のバックライトに、冷陰極放電ランプが使用されていることが多い。
【0003】
図10は、従来のバックライト用の照明装置の一例で、直下型の場合の基本的な構成を分解して斜視的に示した斜視図である。図10において、反射面が形成された反射形ケーシング21は前面が開口可能に形成された浅い皿形状で、内部に複数本の冷陰極低圧放電ランプ22が、給電端子側をゴムなどの弾性体から成るランプホルダ24に保持されて電気的に接続され、平面的に配置されている。また、反射形ケーシング21の反射面を形成した開口部には、着脱自在に合成樹脂系の拡散透過板25が装着されている。
【0004】
冷陰極低圧放電ランプ22は、例えば、複数本のU字形の冷陰極放電ランプ22、22を接続用端子部23で直列に接続し、両端を給電端子として形成されている。
【0005】
反射形反射形ケーシング21は、たとえばポリカーボネート樹脂,もしくはポリカーボネート樹脂混合系の耐候性樹脂などで形成されている。また、反射形ケーシング21の底壁面21aは、一定の方向に凹凸面化(ストライブ状な突起21bが形設)しており、この凹凸面が反射面として機能する一方、冷陰極低圧放電ランプ22を、その屈曲部22aなど係止片21cで係止して反射形ケーシング21の内部に平面的に配置・装着する。また、冷陰極低圧放電ランプ22は、反射形ケーシング21の側壁部21dに一体的に設置されている一対の支持部材26の支持溝26aによって、ランプホルダ24が挟着的に支持され、反射形ケーシング21の内部に固定・装着されている。
【0006】
これらの構成で、ランプホルダ24を介して支持部材26の支持溝26aに冷陰極低圧放電ランプ22の両端部を嵌着支持させるのは、点灯時に生じる熱膨脹に伴う微小なバルブの変形、および使用時の衝撃や振動による外力などをゴム系弾性材のホルダ23で吸収させ、冷陰極低圧放電ランプ22の破損を防止する一方、電気的絶縁も付与させている。(例えば特許文献1を参照)
また、従来のバックライト用照明装置で、サイドライト型の場合についての一例を図11に断面図で示すと、面状の光源装置(照明装置)は、透明性材料からなる導光板33と、この導光板33の側面端部である入光面に近接して配設された棒状(直管)の光源(放電ランプ)31と、この棒状の光源31の導光板33と相対する面以外の部分を覆う筒状の反射部材32と、導光板33の下面に相対する位置に近接して配設された平面状の反射部材34と、導光板33、光源31および両反射部材32、34を収納する保持部材35とから構成されている。この面状の光源装置の上に液晶表示素子37を載置することにより、液晶表示装置を得ることができる。(例えば特許文献2を参照)
図11で示した場合は、光源として2本の直管型の放電ランプ31、31を用いているが、U字管の放電光ランプを用いた場合について模式的に示すと、図12に示したような関係の配置、すなわち、厚さt1の導光板33の入射面33aに、U字管の放電ランプ22の直管部22c、22dが平行な関係で配置され、放電ランプ22の導光板33と対向しない側には反射板32aが配置される。
【0007】
また、U字管とは別に平行する2本の棒状(直管)の光源(放電蛍光ランプ)を有して一体化した光源としては、図13に示したように、片口金形蛍光ランプが存在する。この片口金形蛍光ランプは、各発光管である直管部22c、22dの非口金側端部(電極41a、41bとは逆側の端部)を繋ぐ各直管部22c、22dよりも細径のブリッジ管36を介して連通されている。(例えば特許文献3を参照)
ただし、図13に示したような片口金形蛍光ランプがバックライト用の照明装置に用いられたとの従来例は見当たらない。
【特許文献1】特開平10−39808号公報 (段落番号0003〜0005)
【特許文献2】特開2001−126523号公報 (図1)
【特許文献3】特開平8−255686号公報 (段落番号0006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バックライトユニットの照明光は、液晶表示ユニットの表示面全体にわたって面光源として均一に照射することが要求されている。もし、バックライトユニットの照明光に輝度むらが存在すると、液晶表示画面の輝度がムラになり、表示内容が見にくくなる。また、バックライト装置は、製品に搭載される場合に、製品のスリム化やデザイン等の関係から液晶表示ユニットの額縁部が狭くなるような狭額縁化も要求されている。
【0009】
すなわち、液晶表示画面の均一照明については、直下型の液晶表示ユニットの表示面全体にわたって均一に照射するためには、照明光源である直線状光源が高密度に配置されていることが望ましい。
【0010】
照明光の輝度むらの原因のひとつに、放電ランプの内壁面に塗布によりコーティングされている蛍光体層の不均一が挙げられている。特に、U字管等の屈曲管の場合は、屈曲管自体は直管を屈曲させて折り返ししているものであるので、2本の直管を平行に並べた場合に比べて全体の長さは、ほぼ2倍の長さになっている。その場合、塗布されている蛍光体層は塗布工程では長軸方向に塗布されるので、長い全長にわたって均一に塗布することは、技術的に極めて困難で、実際上の問題として塗布むらによる不均一な蛍光体層の発生を避けることはできない。
【0011】
また、放電ランプがU字管等の屈曲管の場合、図14に模式図を示すように、製造上の問題で対向する直管部22c、22dの距離P1の最小寸法には製造上からの限界があり、5mm以下に設定することは困難である。これは、図15に示したように、電極41a、41bが直管部22c、22dの内部に設けられた内部電極型の場合でも、図16に示したように、電極42a、42bが直管部22c、22dの外部に設けられた外部電極型の場合でも同様である。
【0012】
したがって、U字管等の屈曲管を光源に用いた場合は、直管部のピッチを小さくすることが出来ないので、発光部が非連続になり液晶表示ユニットの表示面全体にわたって均一に照射することは極めて困難である。
【0013】
また、狭額縁化については、U字管等の屈曲管の場合、図17に模式図を示すように、放電ランプ22の屈曲部22aは、形状的にも明るさの面でも均一照明に不適である。それを解消するために、放電ランプ22の屈曲部22aを額縁部26で隠す構造になる。その結果、額縁部26の面積が大きくなり、狭額縁化の実現が困難になっている。
【0014】
一方、サイドライト型のバックライト用照明装置で、U字管等の屈曲管を光源に用いた場合は、先に図12に模式図を示したように、導光板33の厚さ(t1)の方向に対して、U字管等の屈曲管の直管部22c、22dが平行に配置されている。したがって、製造上の最小寸法の規制が有る屈曲管の寸法が、バックライト装置の厚さ方向の最小値を決定する主要な要因となる。そのため、バックライト装置の薄型化が困難である。
【0015】
本発明はこれらの事情にもとづいてなされたもので、液晶表示ユニット等の表示面全体にわたって均一に照射することができ、かつ、額縁部が狭い直下型のバッライトとして用いたり、また、薄型化を可能にしたサイドライト型のバックライトとして用いることのできる照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路とを具えた照明光源を有することを特徴とする照明装置である。
【0017】
また本発明によれば、ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプとの対向面の一方に反射面を他方に開口部を具え、かつ、前記放電ランプを固定保持する反射型ケーシングと、
前記反射型ケーシングの前記開口部に装着された拡散透過板とを有することを特徴とする直下型バックライト用の照明装置である。
【0018】
また本発明によれば、前記放電ランプは、前記拡散透過板と対向して複数本が平面状に配列されて前記反射型ケーシングに固定保持されていることを特徴とする直下型バックライト用の照明装置である。
【0019】
また本発明によれば、ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプの長軸方向に平行に反射面が形成され、一方が開口したリフレクタと、
前記リフレクタの前記開口に端部が装着された透光性の導光板とを有することを特徴とするサイドライト型バックライト用の照明装置である。
【0020】
また本発明によれば、前記直管部を連通している前記ブリッジ管の外径は、前記直管部の外径よりも小さいことを特徴とする照明装置である。
【0021】
また本発明によれば、前記ブリッジ管を介して連通された複数本の平行な前記直管部を具備した前記放電ランプは、単一の昇圧点灯回路に接続されていることを特徴とする照明装置である。
【0022】
また本発明によれば、前記放電ランプの前記ブリッジ管を介して連通された前記直管部は、該直管部の外径が6mm以下であることを特徴とする照明装置である。
【0023】
また本発明によれば、前記放電ランプの前記ブリッジ管は前記拡散透過板の外側になるように配置していることを特徴とする照明装置である。
【0024】
また本発明によれば、前記放電ランプの前記直管部は、前記導光板への入射面に対して小径の前記直管部が該導光板に近くなるように傾斜して配置されて配置されていることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、液晶表示装置の表示面の全体にわたって均一に照射することができ、かつ、額縁部が狭い直下型のバッライトとして用いたり、また、薄型化を可能にしたサイドライト型のバックライトとして用いることのできる照明装置を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について順次、図面を参照して説明する。
【0027】
まず、本発明の照明装置に用いられている照明光源である放電ランプについて説明する。
【0028】
図1に外観形状を示すように、放電ランプ1は第1および第2の直管部1a、1bが、この各直管部1a、1bよりも細径のブリッジ管4で接合された一体構造の気密のガラス管(ガラスバルブ)である。また、ガラス管の両端部にはそれぞれ給電端子1c、1cとして外面電極あるいは内部電極が形成されている。また、放電ランプ1は、各直管部1a、1bとブリッジ管4の内壁面には蛍光体層1dがコーティングされて形成され、各直管部1a、1bの両端内にそれぞれ冷陰極である電極を封装されていると共に、内部に所要量の希ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンの少なくともひとつ以上)と水銀が封入されている。なお、ブリッジ管4の内壁面には蛍光体層1dがコーティングされていない場合もある。
【0029】
各直管部1a、1bの内壁面にコーティングされている蛍光体層1dは、水銀から放射された紫外線により励起されて可視光に変換するもので、この蛍光体層1dは、例えば、平均粒径4μm程度の希土類蛍光体粒子で構成されている。3波長発光形蛍光体としては、たとえば610nm付近にピーク波長を有する赤色蛍光体としてY2O3:Eu、540nm付近にピーク波長を有する緑色蛍光体としてLaPO4:Ce,Tb、450nm付近にピーク波長を有する青色蛍光体として(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Euが用いられている。また、結着成分としての酸化ホウ素などを添加してある。
【0030】
各直管部1a、1bの内壁面へのコーティングは、希土類蛍光体粒子と有機質バインダー及び水を組成分として調製した蛍光体スラリー(蛍光体粒子懸濁液)を流し塗りにより塗布し、その後に乾燥し、焼き付け処理をおこなって形成している。
【0031】
流し塗りによる塗布は、各直管部1a、1bをほぼ直立に支持・配置し、上端開口側を注入口として、蛍光体スラリーを各直管部1a、1bの内壁面に流し、自重流下させることにより各直管部1a、1bの長軸方向に塗布している。あるいは、蛍光体スラリーを各直管部1a、1bの一端開口から他端開口側に吸引(減圧)し、その後に自重流下させることにより各直管部1a、1bの長軸方向に塗布する。
【0032】
したがって、これらの塗布方法によれば、いずれの場合でも蛍光体スラリーは、各直管部1a、1bの長軸方向に沿って一方から他方に流れる。その結果、各直管部1a、1bの内壁面に形成された蛍光体層1dには、長軸方向に関しての塗布方向が存在する。
【0033】
つまり、これらの塗布方法により形成された直管部を用いた放電ランプは、図2(a)に示したように、ブリッジ管4で連通した2本の各直管部1a、1bの塗布方向が矢印F1およびF2で示すように同方向の場合と、図2(b)に示したように、ブリッジ管4で連通した2本の各直管部1a、1bの塗布方向が矢印F3およびF4で示すように反対方向の場合とが存在する。
【0034】
図3のグラフは、実際に照明装置に用いた場合の輝度分布を測定した例で、図2(a)に示した塗布方向が同方向の放電ランプを用いた後述する直下型のバックライトの照明装置と、図2(b)に示した塗布方向が反対方向の放電ランプを用いた直下型のバックライトの照明装置についての、放電ランプ1の長手方向(600mm)に関する照明装置の拡散透過板での輝度分布を実測して示したグラフである。縦軸が透過拡散板の板面輝度で、横軸が各直管部1a、1bの長軸方向である。
【0035】
点線Aは、塗布方向が同方向の放電ランプを用いた直下型のバックライトで、長手方向の輝度分布に勾配が見られ、長手方向での輝度の不均一が見られる。
【0036】
一方、実線Bは、塗布方向が反対方向の放電ランプで、輝度分布が長手方向でほぼ水平であり、輝度が長手方向の全域で均一に分布していることが分かる。
【0037】
いずれの輝度分布でも、使用目的に応じて用いることができるが、特に、液晶表示装置の直下型のバックライトとして、高品質な均一の輝度が要求されるものに対しては、塗布方向が反対方向の放電ランプを用いることが好適である。
【0038】
なお、放電ランプ1の各直管部1a、1bの蛍光体層1dの塗布方向により、輝度分布に差が出る原因は、各直管部1a、1bのガラス管の微小な曲がりが膜厚の不均一に影響すること、ガラス管の上端の100mm程度の部分の膜厚が特に薄くなること、更には、ガラス管の下端に近づくほど自重流下した蛍光体液の粘度が大きくなり膜厚の不均一が生じやすくなる等が考えられる。
【0039】
次に、本発明の照明装置について説明する。
【0040】
本発明の照明装置は大別すると、直下型のバックライトの形態と、サイドライト型のバックライトの形態の場合とが存在する。以下に順次、直下型のバックライトの形態とサイドライト型のバックライトの形態について説明する。
【0041】
図4は、直下型のバックライトである照明装置の基本的な構成を示す透視的な平面図、また、図5は図1のA−A線に沿った断面図である。
【0042】
直下型のバックライトである照明装置は、図4および図5に示したように、2つの各直管部1a、1bが同一平面で平行に形成され、各直管部1a、1bは各直管部1a、1bよりも細径のブリッジ管4で接合された一体構造の光源である冷陰極放電ランプ1(以下、単に放電ランプという)は、この放電ランプ1の給電端子1tがゴムなどの弾性体から成るランプホルダ2に保持され、前面が開口可能に形成された浅い皿形状を成す反射形ケーシング3の内部に収納されている。また、先に図10で分解斜視図で示した構造に準じて、放電ランプ1の給電端子1t側に装着・配置したランプホルダ2は、反射面を備えた反射形ケーシング3の側壁部3aに一体的に設置された支持部材6によって挟着的に支持され、放電ランプ1のブリッジ管4などを係止片7で係止し、平面的に配置して装着されている。さらに、反射形ケーシング3の開口部に合成樹脂系の拡散透過板5を着脱自在に装着し、均一な面光源として構成されている。
【0043】
反射形ケーシング3は、例えばポリカーボネート樹脂製であって、前面が開口された浅い皿形状に形成されている。底壁面3bは銀の蒸着によって成膜された鏡面反射層の反射面が形成されている。
【0044】
放電ランプ1は、上述のように、図1に外観形状を示したように、複数の各直管部1a、1bが、この各直管部1a、1bよりも細径のブリッジ管4で接合された一体構造のガラスのバルブである。また、バルブの両端部にはそれぞれ給電端子1c、1cとして外面電極あるいは内部電極が形成されている。また、放電ランプ1は、各直管部1a、1bとブリッジ管4の内壁面には蛍光体層1dが形成され、各直管部1a、1bの両端内にそれぞれ冷陰極である電極を封装されていると共に、内部に所要量の希ガスと水銀が封入されている。
【0045】
なお、各直管部1a、1bの蛍光体層1dの塗布の方向については、高精度のディスプレイ装置に用いる場合の照明装置には、対向する平行な各直管部1a、1bは、コーティングされている蛍光体層1dの長軸方向の塗布の方向が相互に異なっているものを用いるのが好適であるが、それほどの高精度を要さないものであるならば、対向する平行な各直管部1a、1bは、コーティングされている蛍光体層1dの長軸方向の塗布の方向が相互に同じものを用いることも出来る。
【0046】
各放電ランプ1は、反射形ケーシング3の底壁面3bに、拡散透過板5と対向して複数本が平面状に配列して配置され、先の図8で図示した場合と同様に、複数本が接続用端子部で直列に接続し、両端は給電部として形成され単一の昇圧点灯回路(不図示)に接続されている。
【0047】
各放電ランプ1の寸法について、好ましい一例を挙げれば、図6に示したように、各直管部1a、1bの外径をD1、D2、各直管部1a、1b間の対向距離をP、ブリッジ管4によるブリッジ部の溶着寸法をL、とすると、
D1、D2≦6mm
[(D1+D2)/2]≦2P
D1、D2>L
に設定されている。
【0048】
このような構成の照明装置を点灯し、その拡散透過板5を介して放射される配光特性を測定・評価したところ、後述するように、面光源としてほとんど輝度むらのない輝度分布が得られた。したがって、液晶表示装置のバックライトとして用いた場合は、拡散透過板5を介して放射される輝度分布は、全面的にほぼ一様な輝度(輝度むらのない)で、かつ視認性の良好な液晶表示面を照射することができる。
【0049】
また、図7(a)および(b)は、照明装置の均一な発光エリアの比較を示す説明図である。図7(a)は本発明の場合であり、図7(b)は従来技術の場合である。すなわち、放電ランプ21の折返し側の幅が、従来に技術では屈曲構造であるのに対して、本発明の照明装置に用いている放電ランプ1ではブリッジ管4の溶着構造である。
【0050】
図7(b)に示した従来例の屈曲構造では、屈曲部22aが直管部22b、22cに比べて輝度が低下しているので、均一な光源として発光エリアEでは用いることが出来ない。そのため、屈曲部21aは均一な面光源(発光エリアE)の外側に配置する必要がある。一方、図7(a)に示した本発明のブリッジ管4を用いた照明装置の構造でも、ブリッジ管4の部分を発光エリアE(均一な面光源)の外側に配置する必要がある。
【0051】
これらの配置を比較した場合、図7(a)および(b)において、ブリッジ管4の部分は、従来用いられていた屈曲部22aよりも、発光エリアEから外側に出る部分が小さく形成されている(F2>F1)。したがって、ブリッジ管4により接続された放電ランプ1は、液晶表示装置等の製品に搭載する場合に、屈曲構造の放電ランプ22よりもスリムな製品の構造に対応することが可能である。
【0052】
次に、サイドライト型のバックライトである照明装置について説明する。
【0053】
この実施の形態で用いられている放電ランプ11の基本構造そのものは、上述の直下型のバックライトである照明装置に用いられた放電ランプ1と同様であるが、図8に示したように、この場合は、直管部11a、11bの外径が異なるようにし、一方が大径の直管部11aであり、他方が小径の直管部11bにより形成され両直管部11a、11bはブリッジ管4で接続されている。
【0054】
図9は、本発明の実施の形態の一例を示すサイドライト型のバックライト用照明装置の側断面を示す説明図である。導光板12の一側面には断面がコ字状のリフレクタ13が設けられている。すなわち、リフレクタは、放電ランプの長軸方向に平行に反射面が形成され、一方が開口しており、この開口に透光性の導光板の端部が装着されている。
【0055】
リフレクタ13の内部には、放電ランプ11が平行する直管部11a、11bの中心を結ぶ線がほぼ45度の角度で傾斜して配設されている。放電ランプ11は、平行する直管部11a、11bが一方が大径で、他方が小径に形成されており、導光板12側が小径の直管部11bになるように配置されている。この配置により、大径の直管部11aから出射した光は、小径の直管部11bによって、一部が部分的には遮られるが、全面的に遮られことなく導光板12に入射することができるので明るさが阻害されることはない。しかも、背景技術の項で図12に示した放電ランプ21の配置に比べて、導光板12の厚さ方向の寸法t2を大幅に減縮(t2<t1)することができる。したがって、製品に搭載する場合に、スリムな製品の構造に対応することが可能であり、実用的な価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の照明装置に用いる放電ランプの外観図。
【図2】(a)および(b)は、本発明の照明装置に用いる放電ランプの直管部の塗布方向の説明図。
【図3】本発明の照明装置に用いる放電ランプの直管部の塗布方向の差による照明装置の拡散透過板での輝度分布を実測して示したグラフ。
【図4】本発明の照明装置の基本的な構成を示す透視的な平面図。
【図5】図1のA−A線に沿った断面図。
【図6】本発明の照明装置に用いる放電ランプの寸法説明図。
【図7】(a)および(b)は、照明装置の均一な発光エリアの比較を示す説明図で、(a)は本発明の場合、(b)は従来の場合。
【図8】サイドライト型のバックライト用照明装置にもちいる放電ランプの外観図。
【図9】サイドライト型のバックライト用照明装置の側断面を示す説明図。
【図10】従来のバックライト用の照明装置の分解斜視図。
【図11】従来のサイドライト型のバックライト用照明装置の断面図。
【図12】従来のサイドライト型のバックライト用照明装置の模式図。
【図13】片口金形蛍光ランプの模式図。
【図14】屈曲管の説明模式図。
【図15】屈曲管の説明模式図。
【図16】屈曲管の説明模式図。
【図17】屈曲間を用いた照明装置の説明図。
【符号の説明】
【0057】
1、11…放電ランプ、1a、1b…直管部、1t…給電端子、2…ランプホルダ、3…反射形ケーシング、4…ブリッジ管、5…拡散透過板、12…導光板、13…リフレクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビなどのバックライトや、カーナビゲーションシステムの映像表示用などに好適な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビや液晶メータなどのバックライト用の照明装置は、通常、冷陰極放電ランプを光源とし、小型液晶テレビや液晶メータなどの液晶パネルの背面から平面的にほぼ均一な光を当てて、液晶面を表示するため多用されている。また、自動車の運転者に交通情報を提供するカーナビゲーションシステムにおいても、自動車の現在位置や進行方向を表示するテレビモニターなどの液晶表示装置のバックライトに、冷陰極放電ランプが使用されていることが多い。
【0003】
図10は、従来のバックライト用の照明装置の一例で、直下型の場合の基本的な構成を分解して斜視的に示した斜視図である。図10において、反射面が形成された反射形ケーシング21は前面が開口可能に形成された浅い皿形状で、内部に複数本の冷陰極低圧放電ランプ22が、給電端子側をゴムなどの弾性体から成るランプホルダ24に保持されて電気的に接続され、平面的に配置されている。また、反射形ケーシング21の反射面を形成した開口部には、着脱自在に合成樹脂系の拡散透過板25が装着されている。
【0004】
冷陰極低圧放電ランプ22は、例えば、複数本のU字形の冷陰極放電ランプ22、22を接続用端子部23で直列に接続し、両端を給電端子として形成されている。
【0005】
反射形反射形ケーシング21は、たとえばポリカーボネート樹脂,もしくはポリカーボネート樹脂混合系の耐候性樹脂などで形成されている。また、反射形ケーシング21の底壁面21aは、一定の方向に凹凸面化(ストライブ状な突起21bが形設)しており、この凹凸面が反射面として機能する一方、冷陰極低圧放電ランプ22を、その屈曲部22aなど係止片21cで係止して反射形ケーシング21の内部に平面的に配置・装着する。また、冷陰極低圧放電ランプ22は、反射形ケーシング21の側壁部21dに一体的に設置されている一対の支持部材26の支持溝26aによって、ランプホルダ24が挟着的に支持され、反射形ケーシング21の内部に固定・装着されている。
【0006】
これらの構成で、ランプホルダ24を介して支持部材26の支持溝26aに冷陰極低圧放電ランプ22の両端部を嵌着支持させるのは、点灯時に生じる熱膨脹に伴う微小なバルブの変形、および使用時の衝撃や振動による外力などをゴム系弾性材のホルダ23で吸収させ、冷陰極低圧放電ランプ22の破損を防止する一方、電気的絶縁も付与させている。(例えば特許文献1を参照)
また、従来のバックライト用照明装置で、サイドライト型の場合についての一例を図11に断面図で示すと、面状の光源装置(照明装置)は、透明性材料からなる導光板33と、この導光板33の側面端部である入光面に近接して配設された棒状(直管)の光源(放電ランプ)31と、この棒状の光源31の導光板33と相対する面以外の部分を覆う筒状の反射部材32と、導光板33の下面に相対する位置に近接して配設された平面状の反射部材34と、導光板33、光源31および両反射部材32、34を収納する保持部材35とから構成されている。この面状の光源装置の上に液晶表示素子37を載置することにより、液晶表示装置を得ることができる。(例えば特許文献2を参照)
図11で示した場合は、光源として2本の直管型の放電ランプ31、31を用いているが、U字管の放電光ランプを用いた場合について模式的に示すと、図12に示したような関係の配置、すなわち、厚さt1の導光板33の入射面33aに、U字管の放電ランプ22の直管部22c、22dが平行な関係で配置され、放電ランプ22の導光板33と対向しない側には反射板32aが配置される。
【0007】
また、U字管とは別に平行する2本の棒状(直管)の光源(放電蛍光ランプ)を有して一体化した光源としては、図13に示したように、片口金形蛍光ランプが存在する。この片口金形蛍光ランプは、各発光管である直管部22c、22dの非口金側端部(電極41a、41bとは逆側の端部)を繋ぐ各直管部22c、22dよりも細径のブリッジ管36を介して連通されている。(例えば特許文献3を参照)
ただし、図13に示したような片口金形蛍光ランプがバックライト用の照明装置に用いられたとの従来例は見当たらない。
【特許文献1】特開平10−39808号公報 (段落番号0003〜0005)
【特許文献2】特開2001−126523号公報 (図1)
【特許文献3】特開平8−255686号公報 (段落番号0006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バックライトユニットの照明光は、液晶表示ユニットの表示面全体にわたって面光源として均一に照射することが要求されている。もし、バックライトユニットの照明光に輝度むらが存在すると、液晶表示画面の輝度がムラになり、表示内容が見にくくなる。また、バックライト装置は、製品に搭載される場合に、製品のスリム化やデザイン等の関係から液晶表示ユニットの額縁部が狭くなるような狭額縁化も要求されている。
【0009】
すなわち、液晶表示画面の均一照明については、直下型の液晶表示ユニットの表示面全体にわたって均一に照射するためには、照明光源である直線状光源が高密度に配置されていることが望ましい。
【0010】
照明光の輝度むらの原因のひとつに、放電ランプの内壁面に塗布によりコーティングされている蛍光体層の不均一が挙げられている。特に、U字管等の屈曲管の場合は、屈曲管自体は直管を屈曲させて折り返ししているものであるので、2本の直管を平行に並べた場合に比べて全体の長さは、ほぼ2倍の長さになっている。その場合、塗布されている蛍光体層は塗布工程では長軸方向に塗布されるので、長い全長にわたって均一に塗布することは、技術的に極めて困難で、実際上の問題として塗布むらによる不均一な蛍光体層の発生を避けることはできない。
【0011】
また、放電ランプがU字管等の屈曲管の場合、図14に模式図を示すように、製造上の問題で対向する直管部22c、22dの距離P1の最小寸法には製造上からの限界があり、5mm以下に設定することは困難である。これは、図15に示したように、電極41a、41bが直管部22c、22dの内部に設けられた内部電極型の場合でも、図16に示したように、電極42a、42bが直管部22c、22dの外部に設けられた外部電極型の場合でも同様である。
【0012】
したがって、U字管等の屈曲管を光源に用いた場合は、直管部のピッチを小さくすることが出来ないので、発光部が非連続になり液晶表示ユニットの表示面全体にわたって均一に照射することは極めて困難である。
【0013】
また、狭額縁化については、U字管等の屈曲管の場合、図17に模式図を示すように、放電ランプ22の屈曲部22aは、形状的にも明るさの面でも均一照明に不適である。それを解消するために、放電ランプ22の屈曲部22aを額縁部26で隠す構造になる。その結果、額縁部26の面積が大きくなり、狭額縁化の実現が困難になっている。
【0014】
一方、サイドライト型のバックライト用照明装置で、U字管等の屈曲管を光源に用いた場合は、先に図12に模式図を示したように、導光板33の厚さ(t1)の方向に対して、U字管等の屈曲管の直管部22c、22dが平行に配置されている。したがって、製造上の最小寸法の規制が有る屈曲管の寸法が、バックライト装置の厚さ方向の最小値を決定する主要な要因となる。そのため、バックライト装置の薄型化が困難である。
【0015】
本発明はこれらの事情にもとづいてなされたもので、液晶表示ユニット等の表示面全体にわたって均一に照射することができ、かつ、額縁部が狭い直下型のバッライトとして用いたり、また、薄型化を可能にしたサイドライト型のバックライトとして用いることのできる照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路とを具えた照明光源を有することを特徴とする照明装置である。
【0017】
また本発明によれば、ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプとの対向面の一方に反射面を他方に開口部を具え、かつ、前記放電ランプを固定保持する反射型ケーシングと、
前記反射型ケーシングの前記開口部に装着された拡散透過板とを有することを特徴とする直下型バックライト用の照明装置である。
【0018】
また本発明によれば、前記放電ランプは、前記拡散透過板と対向して複数本が平面状に配列されて前記反射型ケーシングに固定保持されていることを特徴とする直下型バックライト用の照明装置である。
【0019】
また本発明によれば、ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプの長軸方向に平行に反射面が形成され、一方が開口したリフレクタと、
前記リフレクタの前記開口に端部が装着された透光性の導光板とを有することを特徴とするサイドライト型バックライト用の照明装置である。
【0020】
また本発明によれば、前記直管部を連通している前記ブリッジ管の外径は、前記直管部の外径よりも小さいことを特徴とする照明装置である。
【0021】
また本発明によれば、前記ブリッジ管を介して連通された複数本の平行な前記直管部を具備した前記放電ランプは、単一の昇圧点灯回路に接続されていることを特徴とする照明装置である。
【0022】
また本発明によれば、前記放電ランプの前記ブリッジ管を介して連通された前記直管部は、該直管部の外径が6mm以下であることを特徴とする照明装置である。
【0023】
また本発明によれば、前記放電ランプの前記ブリッジ管は前記拡散透過板の外側になるように配置していることを特徴とする照明装置である。
【0024】
また本発明によれば、前記放電ランプの前記直管部は、前記導光板への入射面に対して小径の前記直管部が該導光板に近くなるように傾斜して配置されて配置されていることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、液晶表示装置の表示面の全体にわたって均一に照射することができ、かつ、額縁部が狭い直下型のバッライトとして用いたり、また、薄型化を可能にしたサイドライト型のバックライトとして用いることのできる照明装置を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について順次、図面を参照して説明する。
【0027】
まず、本発明の照明装置に用いられている照明光源である放電ランプについて説明する。
【0028】
図1に外観形状を示すように、放電ランプ1は第1および第2の直管部1a、1bが、この各直管部1a、1bよりも細径のブリッジ管4で接合された一体構造の気密のガラス管(ガラスバルブ)である。また、ガラス管の両端部にはそれぞれ給電端子1c、1cとして外面電極あるいは内部電極が形成されている。また、放電ランプ1は、各直管部1a、1bとブリッジ管4の内壁面には蛍光体層1dがコーティングされて形成され、各直管部1a、1bの両端内にそれぞれ冷陰極である電極を封装されていると共に、内部に所要量の希ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンの少なくともひとつ以上)と水銀が封入されている。なお、ブリッジ管4の内壁面には蛍光体層1dがコーティングされていない場合もある。
【0029】
各直管部1a、1bの内壁面にコーティングされている蛍光体層1dは、水銀から放射された紫外線により励起されて可視光に変換するもので、この蛍光体層1dは、例えば、平均粒径4μm程度の希土類蛍光体粒子で構成されている。3波長発光形蛍光体としては、たとえば610nm付近にピーク波長を有する赤色蛍光体としてY2O3:Eu、540nm付近にピーク波長を有する緑色蛍光体としてLaPO4:Ce,Tb、450nm付近にピーク波長を有する青色蛍光体として(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Euが用いられている。また、結着成分としての酸化ホウ素などを添加してある。
【0030】
各直管部1a、1bの内壁面へのコーティングは、希土類蛍光体粒子と有機質バインダー及び水を組成分として調製した蛍光体スラリー(蛍光体粒子懸濁液)を流し塗りにより塗布し、その後に乾燥し、焼き付け処理をおこなって形成している。
【0031】
流し塗りによる塗布は、各直管部1a、1bをほぼ直立に支持・配置し、上端開口側を注入口として、蛍光体スラリーを各直管部1a、1bの内壁面に流し、自重流下させることにより各直管部1a、1bの長軸方向に塗布している。あるいは、蛍光体スラリーを各直管部1a、1bの一端開口から他端開口側に吸引(減圧)し、その後に自重流下させることにより各直管部1a、1bの長軸方向に塗布する。
【0032】
したがって、これらの塗布方法によれば、いずれの場合でも蛍光体スラリーは、各直管部1a、1bの長軸方向に沿って一方から他方に流れる。その結果、各直管部1a、1bの内壁面に形成された蛍光体層1dには、長軸方向に関しての塗布方向が存在する。
【0033】
つまり、これらの塗布方法により形成された直管部を用いた放電ランプは、図2(a)に示したように、ブリッジ管4で連通した2本の各直管部1a、1bの塗布方向が矢印F1およびF2で示すように同方向の場合と、図2(b)に示したように、ブリッジ管4で連通した2本の各直管部1a、1bの塗布方向が矢印F3およびF4で示すように反対方向の場合とが存在する。
【0034】
図3のグラフは、実際に照明装置に用いた場合の輝度分布を測定した例で、図2(a)に示した塗布方向が同方向の放電ランプを用いた後述する直下型のバックライトの照明装置と、図2(b)に示した塗布方向が反対方向の放電ランプを用いた直下型のバックライトの照明装置についての、放電ランプ1の長手方向(600mm)に関する照明装置の拡散透過板での輝度分布を実測して示したグラフである。縦軸が透過拡散板の板面輝度で、横軸が各直管部1a、1bの長軸方向である。
【0035】
点線Aは、塗布方向が同方向の放電ランプを用いた直下型のバックライトで、長手方向の輝度分布に勾配が見られ、長手方向での輝度の不均一が見られる。
【0036】
一方、実線Bは、塗布方向が反対方向の放電ランプで、輝度分布が長手方向でほぼ水平であり、輝度が長手方向の全域で均一に分布していることが分かる。
【0037】
いずれの輝度分布でも、使用目的に応じて用いることができるが、特に、液晶表示装置の直下型のバックライトとして、高品質な均一の輝度が要求されるものに対しては、塗布方向が反対方向の放電ランプを用いることが好適である。
【0038】
なお、放電ランプ1の各直管部1a、1bの蛍光体層1dの塗布方向により、輝度分布に差が出る原因は、各直管部1a、1bのガラス管の微小な曲がりが膜厚の不均一に影響すること、ガラス管の上端の100mm程度の部分の膜厚が特に薄くなること、更には、ガラス管の下端に近づくほど自重流下した蛍光体液の粘度が大きくなり膜厚の不均一が生じやすくなる等が考えられる。
【0039】
次に、本発明の照明装置について説明する。
【0040】
本発明の照明装置は大別すると、直下型のバックライトの形態と、サイドライト型のバックライトの形態の場合とが存在する。以下に順次、直下型のバックライトの形態とサイドライト型のバックライトの形態について説明する。
【0041】
図4は、直下型のバックライトである照明装置の基本的な構成を示す透視的な平面図、また、図5は図1のA−A線に沿った断面図である。
【0042】
直下型のバックライトである照明装置は、図4および図5に示したように、2つの各直管部1a、1bが同一平面で平行に形成され、各直管部1a、1bは各直管部1a、1bよりも細径のブリッジ管4で接合された一体構造の光源である冷陰極放電ランプ1(以下、単に放電ランプという)は、この放電ランプ1の給電端子1tがゴムなどの弾性体から成るランプホルダ2に保持され、前面が開口可能に形成された浅い皿形状を成す反射形ケーシング3の内部に収納されている。また、先に図10で分解斜視図で示した構造に準じて、放電ランプ1の給電端子1t側に装着・配置したランプホルダ2は、反射面を備えた反射形ケーシング3の側壁部3aに一体的に設置された支持部材6によって挟着的に支持され、放電ランプ1のブリッジ管4などを係止片7で係止し、平面的に配置して装着されている。さらに、反射形ケーシング3の開口部に合成樹脂系の拡散透過板5を着脱自在に装着し、均一な面光源として構成されている。
【0043】
反射形ケーシング3は、例えばポリカーボネート樹脂製であって、前面が開口された浅い皿形状に形成されている。底壁面3bは銀の蒸着によって成膜された鏡面反射層の反射面が形成されている。
【0044】
放電ランプ1は、上述のように、図1に外観形状を示したように、複数の各直管部1a、1bが、この各直管部1a、1bよりも細径のブリッジ管4で接合された一体構造のガラスのバルブである。また、バルブの両端部にはそれぞれ給電端子1c、1cとして外面電極あるいは内部電極が形成されている。また、放電ランプ1は、各直管部1a、1bとブリッジ管4の内壁面には蛍光体層1dが形成され、各直管部1a、1bの両端内にそれぞれ冷陰極である電極を封装されていると共に、内部に所要量の希ガスと水銀が封入されている。
【0045】
なお、各直管部1a、1bの蛍光体層1dの塗布の方向については、高精度のディスプレイ装置に用いる場合の照明装置には、対向する平行な各直管部1a、1bは、コーティングされている蛍光体層1dの長軸方向の塗布の方向が相互に異なっているものを用いるのが好適であるが、それほどの高精度を要さないものであるならば、対向する平行な各直管部1a、1bは、コーティングされている蛍光体層1dの長軸方向の塗布の方向が相互に同じものを用いることも出来る。
【0046】
各放電ランプ1は、反射形ケーシング3の底壁面3bに、拡散透過板5と対向して複数本が平面状に配列して配置され、先の図8で図示した場合と同様に、複数本が接続用端子部で直列に接続し、両端は給電部として形成され単一の昇圧点灯回路(不図示)に接続されている。
【0047】
各放電ランプ1の寸法について、好ましい一例を挙げれば、図6に示したように、各直管部1a、1bの外径をD1、D2、各直管部1a、1b間の対向距離をP、ブリッジ管4によるブリッジ部の溶着寸法をL、とすると、
D1、D2≦6mm
[(D1+D2)/2]≦2P
D1、D2>L
に設定されている。
【0048】
このような構成の照明装置を点灯し、その拡散透過板5を介して放射される配光特性を測定・評価したところ、後述するように、面光源としてほとんど輝度むらのない輝度分布が得られた。したがって、液晶表示装置のバックライトとして用いた場合は、拡散透過板5を介して放射される輝度分布は、全面的にほぼ一様な輝度(輝度むらのない)で、かつ視認性の良好な液晶表示面を照射することができる。
【0049】
また、図7(a)および(b)は、照明装置の均一な発光エリアの比較を示す説明図である。図7(a)は本発明の場合であり、図7(b)は従来技術の場合である。すなわち、放電ランプ21の折返し側の幅が、従来に技術では屈曲構造であるのに対して、本発明の照明装置に用いている放電ランプ1ではブリッジ管4の溶着構造である。
【0050】
図7(b)に示した従来例の屈曲構造では、屈曲部22aが直管部22b、22cに比べて輝度が低下しているので、均一な光源として発光エリアEでは用いることが出来ない。そのため、屈曲部21aは均一な面光源(発光エリアE)の外側に配置する必要がある。一方、図7(a)に示した本発明のブリッジ管4を用いた照明装置の構造でも、ブリッジ管4の部分を発光エリアE(均一な面光源)の外側に配置する必要がある。
【0051】
これらの配置を比較した場合、図7(a)および(b)において、ブリッジ管4の部分は、従来用いられていた屈曲部22aよりも、発光エリアEから外側に出る部分が小さく形成されている(F2>F1)。したがって、ブリッジ管4により接続された放電ランプ1は、液晶表示装置等の製品に搭載する場合に、屈曲構造の放電ランプ22よりもスリムな製品の構造に対応することが可能である。
【0052】
次に、サイドライト型のバックライトである照明装置について説明する。
【0053】
この実施の形態で用いられている放電ランプ11の基本構造そのものは、上述の直下型のバックライトである照明装置に用いられた放電ランプ1と同様であるが、図8に示したように、この場合は、直管部11a、11bの外径が異なるようにし、一方が大径の直管部11aであり、他方が小径の直管部11bにより形成され両直管部11a、11bはブリッジ管4で接続されている。
【0054】
図9は、本発明の実施の形態の一例を示すサイドライト型のバックライト用照明装置の側断面を示す説明図である。導光板12の一側面には断面がコ字状のリフレクタ13が設けられている。すなわち、リフレクタは、放電ランプの長軸方向に平行に反射面が形成され、一方が開口しており、この開口に透光性の導光板の端部が装着されている。
【0055】
リフレクタ13の内部には、放電ランプ11が平行する直管部11a、11bの中心を結ぶ線がほぼ45度の角度で傾斜して配設されている。放電ランプ11は、平行する直管部11a、11bが一方が大径で、他方が小径に形成されており、導光板12側が小径の直管部11bになるように配置されている。この配置により、大径の直管部11aから出射した光は、小径の直管部11bによって、一部が部分的には遮られるが、全面的に遮られことなく導光板12に入射することができるので明るさが阻害されることはない。しかも、背景技術の項で図12に示した放電ランプ21の配置に比べて、導光板12の厚さ方向の寸法t2を大幅に減縮(t2<t1)することができる。したがって、製品に搭載する場合に、スリムな製品の構造に対応することが可能であり、実用的な価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の照明装置に用いる放電ランプの外観図。
【図2】(a)および(b)は、本発明の照明装置に用いる放電ランプの直管部の塗布方向の説明図。
【図3】本発明の照明装置に用いる放電ランプの直管部の塗布方向の差による照明装置の拡散透過板での輝度分布を実測して示したグラフ。
【図4】本発明の照明装置の基本的な構成を示す透視的な平面図。
【図5】図1のA−A線に沿った断面図。
【図6】本発明の照明装置に用いる放電ランプの寸法説明図。
【図7】(a)および(b)は、照明装置の均一な発光エリアの比較を示す説明図で、(a)は本発明の場合、(b)は従来の場合。
【図8】サイドライト型のバックライト用照明装置にもちいる放電ランプの外観図。
【図9】サイドライト型のバックライト用照明装置の側断面を示す説明図。
【図10】従来のバックライト用の照明装置の分解斜視図。
【図11】従来のサイドライト型のバックライト用照明装置の断面図。
【図12】従来のサイドライト型のバックライト用照明装置の模式図。
【図13】片口金形蛍光ランプの模式図。
【図14】屈曲管の説明模式図。
【図15】屈曲管の説明模式図。
【図16】屈曲管の説明模式図。
【図17】屈曲間を用いた照明装置の説明図。
【符号の説明】
【0057】
1、11…放電ランプ、1a、1b…直管部、1t…給電端子、2…ランプホルダ、3…反射形ケーシング、4…ブリッジ管、5…拡散透過板、12…導光板、13…リフレクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路とを具えた照明光源を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプとの対向面の一方に反射面を他方に開口部を具え、かつ、前記放電ランプを固定保持する反射型ケーシングと、
前記反射型ケーシングの前記開口部に装着された拡散透過板とを有することを特徴とする直下型バックライト用の照明装置。
【請求項3】
前記放電ランプは、前記拡散透過板と対向して複数本が平面状に配列されて前記反射型ケーシングに固定保持されていることを特徴とする請求項2記載の直下型バックライト用の照明装置。
【請求項4】
ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプの長軸方向に平行に反射面が形成され、一方が開口したリフレクタと、
前記リフレクタの前記開口に端部が装着された透光性の導光板とを有することを特徴とするサイドライト型バックライト用の照明装置。
【請求項5】
前記直管部を連通している前記ブリッジ管の外径は、前記直管部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ブリッジ管を介して連通された複数本の平行な前記直管部を具備した前記放電ランプは、単一の昇圧点灯回路に接続されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記放電ランプの前記ブリッジ管を介して連通された前記直管部は、該直管部の外径が6mm以下であることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記放電ランプの前記ブリッジ管は前記拡散透過板の外側になるように配置していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の照明装置。
【請求項9】
前記放電ランプの前記直管部は、前記導光板への入射面に対して小径の前記直管部が該導光板に近くなるように傾斜して配置されて配置されていることを特徴とする請求項4記載の照明装置。
【請求項1】
ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路とを具えた照明光源を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプとの対向面の一方に反射面を他方に開口部を具え、かつ、前記放電ランプを固定保持する反射型ケーシングと、
前記反射型ケーシングの前記開口部に装着された拡散透過板とを有することを特徴とする直下型バックライト用の照明装置。
【請求項3】
前記放電ランプは、前記拡散透過板と対向して複数本が平面状に配列されて前記反射型ケーシングに固定保持されていることを特徴とする請求項2記載の直下型バックライト用の照明装置。
【請求項4】
ガラス管の内部に希ガスと水銀とが封入されて内壁面に蛍光体層が長軸方向に関して相互に反対方向にコーティングされ、対向して配置されている第1および第2の直管部で、この各直管部の一端側には電極が配設され、かつ、封止された他端側の近傍がブリッジ管で相互に気密に連通されて一体に形成されている放電ランプと、
前記放電ランプに電圧を印加する昇圧点灯回路と、
前記放電ランプの長軸方向に平行に反射面が形成され、一方が開口したリフレクタと、
前記リフレクタの前記開口に端部が装着された透光性の導光板とを有することを特徴とするサイドライト型バックライト用の照明装置。
【請求項5】
前記直管部を連通している前記ブリッジ管の外径は、前記直管部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ブリッジ管を介して連通された複数本の平行な前記直管部を具備した前記放電ランプは、単一の昇圧点灯回路に接続されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記放電ランプの前記ブリッジ管を介して連通された前記直管部は、該直管部の外径が6mm以下であることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記放電ランプの前記ブリッジ管は前記拡散透過板の外側になるように配置していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の照明装置。
【請求項9】
前記放電ランプの前記直管部は、前記導光板への入射面に対して小径の前記直管部が該導光板に近くなるように傾斜して配置されて配置されていることを特徴とする請求項4記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−73306(P2006−73306A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254183(P2004−254183)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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