説明

熱により硬化可能な発泡体

本発明は、少なくとも1種の気体10から80体積%と、熱により硬化され得る化合物Zとを有し、式(I)の少なくとも1種のポリウレタンポリマーと、高温により活性化され得る少なくとも1種の硬化剤Bとを含む、熱により硬化され得る発泡体に関する。前記方法により硬化され得る発泡体は、接着剤、密封化合物としての、またはコーティングの生成のための、特に、構造用接着剤のため、および車両製作における裏張りのための、熱により硬化される接着剤として適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、密封剤として、またはコーティングを生成するために用いられる熱硬化性発泡体の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート基を末端とするポリウレタンポリマーと、耐衝撃性改良剤としてのモノヒドロキシエポキシドとの反応生成物を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物が知られており、例えばWO2004/0055092A1およびWO2005/007720A1に記載されている。このような熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、機械的特性の点から非常に困難な要求を有する用途のための構造用接着剤として特に適切である。
【0003】
材料消費の低減、および関連するコストの節約のため、ならびに/または重量の低減のためとともに、組成物の特性を変化させるため、または防音もしくは強化のために中空空間を満たすために、長い間、大抵は接着剤または密封剤として用いられる組成物を発泡化してきた。同じ理由のために、上述のように熱硬化性エポキシ樹脂組成物を発泡化することに利点があり得る。
【0004】
このような熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、高粘度であり、従来は適用後、熱の作用下における組成物の硬化の前または間に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の作用を発達させる化学発泡剤または物理発泡剤を用いて発泡化されてきた。これらの発泡化工程の欠点は、発泡体を正確に適用するのが事実上不可能なことである。発泡体が、適用後に化学発泡剤または物理発泡剤により生成される場合、熱硬化性組成物の体積増加と発泡体が膨張する方向とは、あまり正確に予想することができない。膨張する発泡体は、例えば、互いに接着結合されるべき基材を押しやるか、密封されるべき接合部から張り出すことがあるので、不十分な最終製品が形成される。化学発泡剤または物理発泡剤による組成物の膨張には、温度の上昇を要するので、熱硬化性発泡体の硬化が発泡化と同時に起こり、これはこの工程のさらなる欠点である。このことは第1に、例えば、発泡体が接合部のための密封剤として用いられるべきであり、接合部が不十分な発泡化のために完全に満たされていない場合には、熱硬化性エポキシ樹脂組成物が完全に発泡化される前に硬化することにつながることがあり、これは問題となり得る。第2に、例えば、2つの基材を接着結合する場合には、エポキシ樹脂組成物の硬化が発泡化工程の間に開始しているので、すでに接合されている基材を移動する等の補正は、発泡化後はもはや不可能である。同じ理由のために、例えば「ストリッピング」、すなわち、密封された接合部の発泡化後における平滑化は、不可能であるか、少なくともより困難である。
【0005】
このような発泡体のさらなる欠点は、発泡化の程度が設定することはできるが非常に困難であり、適用前に確認できないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2004/0055092A1
【特許文献2】WO2005/007720A1
【特許文献3】EP1152019A1
【特許文献4】US5707439
【特許文献5】US6197849
【特許文献6】US6322890
【特許文献7】WO02/083776A1
【特許文献8】WO2004/081076
【特許文献9】DE102005042380A1
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Progress in Organic Coatings 36(1999)、148〜172
【非特許文献2】Progress in Organic Coatings 41(2001)、1〜83
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点を克服し、正確に適用することができる熱硬化性発泡体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、これは、請求項1の特徴により達成される。驚くべきことに、適用前に発泡化された形である熱硬化性発泡体が、接着剤、密封剤としての、またはコーティングを生成するための使用に特に適していることを見出した。
【0010】
本発明の利点は、特に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の適用の分野を拡大し、そのうえ、これらを安価で重量も抑えて広い面積に用いることもできることである。さらなる非常に重要な利点は、熱硬化性発泡体を非常に正確に適用することができ、熱硬化性発泡体が硬化の工程の間にその形状および構造を実質的に保持することである。結果として、エポキシ樹脂組成物を含む熱硬化性発泡体を用いる、非常に正確な接着結合または密封接合部を生成することが可能である。本発明のさらなる利点は、熱硬化性発泡体の発泡化の程度を非常に正確に設定することができ、非常に高い気体比率を有する発泡体を製造することもできることである。発泡化の程度を正確に設定することにより、異なる特性を有し、同一の熱硬化性組成物とは異なる目的のために用いられ得る発泡体を製造することが可能になる。
【0011】
熱硬化性発泡体を製造し、すぐに続けて適用するのに適切な方法により、適用中に発泡体中の気体含有率を変更することさえ可能になる。特に、適用ロボットによる機械的適用において複数の設備を用いる必要がなく、適用を、1つの試験片において、すなわち適用器具を下げずに行えるので、このことは特に利点となる。
【0012】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0013】
本発明の例証的な実施形態を、図面の助けを借りて以下に説明する。同一であるか、同じ効果を有する要素には、様々な図において同じ参照番号を与える。当然のことながら、本発明は、示され説明された例証的な実施形態に限定されない。
【0014】
図中には、本発明を直接理解するのに必須の要素のみを示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る熱硬化性発泡体を、製造、塗布、硬化する方法を概略的に示す。
【図2】図1における線A-Aに沿って、熱硬化性発泡体3の滴を通る断面を概略的に示す。
【図3】鋼鉄シート5と、接着結合前に下に位置する鋼鉄枠5'とからなる、自動車のボンネットを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施方法
第1に、本発明により、少なくとも1種の気体10から80体積%と、式(I)の少なくとも1種のポリウレタンポリマー、および高温により活性化される少なくとも1種の硬化剤Bも含有する熱硬化性組成物Zとを含む熱硬化性発泡体が提供される。
【0017】
【化1】

【0018】
本文書において、「発泡体」という用語は、液体、半流動体、高粘度または固体の気泡壁を境界とする、気体で満たされた、球または多面体の気泡から構成される構造を指す。
【0019】
「ポリ」で始まる物質の名称、例えばポリオールまたはポリイソシアネートは、本文書においては、分子当たり2個以上の示された官能基を形式的に含有する物質を指す。
【0020】
本文書において、「ポリマー」という用語には、第1に、化学的に均一だが、重合度、モル質量および鎖長の点で異なる、ポリ反応(重合、付加重合、縮合重合)により生成されたマクロ分子の集合体が含まれる。この用語には、ポリ反応からのマクロ分子のこのような集合体の誘導体、すなわち、反応、例えば所定のマクロ分子上の官能基の付加または置換により得られた化合物も含まれ、化学的に均一、または化学的に不均一であり得る。この用語には、プレポリマー、すなわち、その官能基がマクロ分子の形成に関与する反応性オリゴマープレ付加体も含まれる。
【0021】
「ポリウレタンポリマー」という用語には、ジイソシアネート付加重合工程により製造されるすべてのポリマーが含まれる。これには、事実上または完全にウレタン基を含まないポリマーも含まれる。ポリウレタンポリマーの例には、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリ尿素、ポリ尿素、ポリエステルポリ尿素、ポリイソシアヌレートおよびポリカルボジイミドである。
【0022】
式(I)のポリウレタンポリマーにおいて、R1は、すべての末端イソシアネート基を除去した後にn1+n2+n3個のイソシアネート基を末端とした、直鎖のまたは分岐したポリウレタンポリマーPU1である。
【0023】
1個または複数の基R2は、それぞれ、互いに独立して、100℃を超える温度で脱離するか、式(II)の基であるブロック基である。
【0024】
【化2】

【0025】
1個または複数の基R3は、それぞれ、互いに独立して、100℃を超える温度で脱離するか、式(II')の基であるブロック基である。
【0026】
【化3】

【0027】
ここで、R4およびR4'の基は、それぞれ、ヘテロ原子を含有し得る、脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族の、(p+1)価または(f+1)価の炭化水素基である。
【0028】
pおよびfは、それぞれ、互いに独立して、1、2または3である。
【0029】
n1、n2およびn3は、それぞれ、互いに独立して、2≦(n1+n2+n3)≦8という条件で、0から7の範囲内である。
【0030】
原則として、非常に幅広く様々な、可能なブロック基R2およびR3があり、当業者により、例えばProgress in Organic Coatings 36(1999)、148〜172およびProgress in Organic Coatings 41(2001)、1〜83における、Douglas A.Wickによる論文から、多数のこのようなブロック基が知られている。
【0031】
R2および/またはR3の基は、特に、
【0032】
【化4】

【0033】
からなる群から選択される基である。
【0034】
ここで、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ、互いに独立して、アルキル基またはシクロアルキル基またはアリール基またはアリールアルキル基またはアルキルアリール基である。R5はR6と一緒になって、またはR7はR8と一緒になって、置換されていてよい4員環から7員環の部分を形成することが同様に可能である。
【0035】
R9、R9'およびR10は、それぞれ、互いに独立して、アルキル基もしくはアリール基もしくはアリールアルキル基もしくはアルキルアリール基またはアルコキシ基もしくはアリールオキシ基もしくはアリールアルキルオキシ基であり、R11は、アルキル基である。
【0036】
さらに、R12、R13およびR14は、それぞれ、互いに独立して、二重結合を有するか置換されていてよい、2から5個の炭素原子を有するアルキレン基、またはフェニレン基もしくは水素化フェニレン基である。
【0037】
R15、R16およびR17は、それぞれ、互いに独立して、H、またはアルキル基もしくはアリール基もしくはアリールアルキル基であり、R18は、芳香族ヒドロキシル基をもっていてよい、アリールアルキル基、または単環式もしくは多環式の置換もしくは非置換の芳香族基である。
【0038】
上述のすべての置換基は、式(I)のポリウレタンポリマーが、遊離イソシアネート基を有する場合、すなわち、式(I)のポリウレタンポリマーにおいてn3≠0である場合において、いかなるヒドロキシル基、1価もしくは2価のアミノ基、メルカプト基、尿素基、または活性水素を有する他の基を含有してはならないことは、当業者には当然のことながら明らかである。
【0039】
硬化剤Bは、高温により活性化される。それは、好ましくは、ジシアンジアミド、グアナミン、グアニジン、アミノグアニジン、およびそれらの誘導体からなる群から選択される硬化剤である。さらに、促進作用を有する硬化剤、例えば、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素(クロロトルロン)、またはフェニルジメチル尿素、特にp-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モヌロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)もしくは3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン)等の置換尿素が可能である。さらに、イミダゾールおよびアミン錯体の種類の化合物を用いることができる。
【0040】
硬化剤Bは、好ましくは、ジシアンジアミド、グアナミン、グアニジン、アミノグアニジン、およびそれらの誘導体と、置換尿素、特に3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素(クロロトルロン)、またはフェニルジメチル尿素、特にp-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(モヌロン)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(フェヌロン)、3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(ジウロン)と、イミダゾールおよびアミン錯体とからなる群から選択される。
【0041】
特に好ましい硬化剤Bは、ジシアンジアミドである。式(I)のポリウレタンポリマーが、エポキシ基およびイソシアネート基の両方を有する場合、硬化剤Bは、好ましくはイミドアミン、最も好ましくはポリアルキレンポリアミンのイミド、特にポリアルキレンポリアミンのモノイミドである。
【0042】
式(I)のポリウレタンにおいて、n3≧2、したがって2≦n3≦8である場合には、硬化剤Bは、イソシアネートのための硬化剤である。このような硬化剤Bのブロックは、本質的に、化学的または物理的であることができる。適切な化学的にブロックされた硬化剤の例は、錯結合により金属に結合されているポリアミン、特にメチレンジアニリン(MDA)と塩化ナトリウムとの錯体である。このような錯体は、通常、総体的な式(MDA)3・NaClにより記載される。適切な種類を、米国、Chemtura Corp.からCaytur(登録商標)21の商品名で、ジエチルヘキシルフタレート中の分散体として入手することができる。この錯体は、80から160℃に加熱すると、温度の上昇とともに増加する速度で分解し、活性な硬化剤としてメチレンジアニリンを遊離させる。物理的にブロックされた硬化剤の例は、マイクロカプセル封入された硬化剤である。マイクロカプセル封入された形での硬化剤としての使用に特に適した物質は、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、脂肪アルコール二量体、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、糖アルコール、上述の2価および多価のアルコールの低分子量アルコキシル化生成物と、テレフタル酸のビスグリコールエステル等の短鎖ポリエステルポリオールと、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族、脂環式および芳香族のアミノアルコールと、ジカルボン酸のヒドラジドと、エチレンジアミン、1,2-および1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンならびにそれらの混合物、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、脂肪酸ジアミン二量体等の脂肪族ポリアミンと、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノ-シクロヘキサン等の脂環式ポリアミンならびにそれらの混合物、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(日本国、三井化学製NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-および1,4-キシレンジアミンと、エーテル基を含有する脂肪族ポリアミン、例えばビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサデカン-1,12-ジアミン、およびそれらのより高級なオリゴマー、例えばJeffamine(登録商標)(米国Huntsman International, LLC製)の名称で入手できる2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンと、メチレンジアニリン、ビス(アミノフェニル)エーテル、ビス(アミノフェニル)スルホン、異性体のフェニレンジアミン、アミノジフェニルアミン等の芳香族ポリアミンである。好ましくは、記載した脂肪族、脂環式および芳香族のポリアミンである。これらの硬化剤のマイクロカプセル封入を、通例の方法の一つにより、例えば、噴霧乾燥、界面重合、コアセルベーション、浸漬もしくは遠心分離の工程、流動層工程、真空カプセル封入、または静電マイクロカプセル封入により行うことができる。この方法で得られたマイクロカプセルは、特に、0.1から100μm、好ましくは0.3から50μmの粒径を有する。マイクロカプセルの大きさは、第1に、マイクロカプセルが加熱により効果的に開き、第2に、発泡体の最適な均一性、したがって凝集強さが硬化後に得られるようにすべきである。さらに、マイクロカプセルは、発泡体の接着特性に、任意の逆効果を有してはならない。カプセル殻に可能な材料は、カプセル封入される硬化剤に不溶であり、40から200℃の融点を有するポリマーである。適切なポリマーの例は、炭化水素ワックス、ポリエチレンワックス、ワックスエステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、または複数のこのようなポリマーの混合物である。
【0043】
硬化剤Bの比率は、発泡体の全重量に基づいて、好ましくは、0.05から8重量%、特に、0.1から6重量%、より好ましくは、0.2から5重量%である。
【0044】
本文書において、「硬化剤」という用語には、触媒、および触媒的に活性な化合物が含まれる。この場合において、触媒、または触媒的に活性な化合物を、硬化剤Bとして使用する場合に、全発泡体中における硬化剤Bの比率は、示した範囲より狭い領域内であることは、当業者には明らかである。したがって、硬化剤Bが、式(I)のポリウレタンポリマーの反応性基に対する化学量論比で消費される硬化剤である場合には、この比率は、その範囲の上の部分内、すなわち、一般的には0.5から8重量%、特に1から6重量%、好ましくは2.5から5重量%である一方で、触媒の場合には、その比率はより低く、すなわち、一般的には0.05から2重量%、特に0.1から1重量%、好ましくは0.2から0.75重量%であり、それぞれの場合において、発泡体の全重量に基づいている。
【0045】
R1をベースとしたポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のポリイソシアネート、ならびに末端にアミノ基、チオール基もしくはヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリマーQPM、および/または場合によって置換されたポリフェノールQPPから調製され得る。
【0046】
適切なポリイソシアネートは、特に、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートである。
【0047】
適切なジイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族のジイソシアネート、特に、メチレンジ(フェニルイソシアネート)(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,5-または2,6-ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネート(H12MDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等、およびそれらの二量体等の商品である。好ましくは、HDI、IPDI、MIDIまたはTDIである。
【0048】
適切なトリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族のジイソシアネートの、トリマー、アロファン酸塩またはビウレット、特に、前段落に記載のジイソシアネートのイソシアヌレートおよびビウレットである。
【0049】
当然のことながら、ジイソシアネートまたはトリイソシアネートの混合物を用いることも可能である。
【0050】
末端にアミノ基、チオール基またはヒドロキシル基を有する特に適切なポリマーQPMは、末端に2個または3個のアミノ基、チオール基またはヒドロキシル基を有するポリマーQPMである。
【0051】
ポリマーQPMは、NCO-反応性基のg/当量で、300から6000、特に600から4000、好ましくは700から2000の当量重量を有するのが有利である。
【0052】
適切なポリマーQPMは、ポリオール、例えば、以下の市販のポリオール、またはそれらの任意の混合物であり、すなわち、
-2個または3個の活性H原子を有する出発分子、例えば水または2個もしくは3個のOH基を有する化合物を利用して適切に重合された場合の、ポリエーテルポリオールとも呼ばれ、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合物の重合生成物であるポリオキシアルキレンポリオール。ポリオキシアルキレンジオールは、異なる不飽和度を有し得る(ASTM D-2849-69に従って測定され、ポリオールのグラム当たりの不飽和をミリ当量で報告される(meq/g))。低い不飽和度を有するものは、例えば、二核金属シアニド触媒(DMC触媒)を利用して調製され、より高い不飽和度を有するものは、例えば、NaOH、KOH、CsOHまたはアルカリ金属アルコキシド等のアニオン触媒を利用して調製される。特に適切なポリオキシアルキレンポリオールは、0.02meq/g未満の不飽和度、および1000から30000g/molの範囲内の分子量を有するポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、ならびに400から8000g/molの分子量を有するポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールである。本文書において、「分子量」は、常に、数平均分子量Mnである。同様に特に適切なポリオキシアルキレンポリオールは、エチレンオキシドを末端とする(「EO-末端封止」された、エチレンオキシド末端封止された)ポリオキシプロピレンポリオールである。後者は、具体的には、例えば純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンのジオールおよびトリオールを、ポリプロポキシル化反応の終了後に、エチレンオキシドによりさらにアルコキシル化する工程により得られ、結果として第1級ヒドロキシル基を有するポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールである。
-スチレン-アクリロニトリルまたはアクリロニトリル-メチルメタクリレートでグラフト化したポリエーテルポリオール。
-オリゴエステロールとも呼ばれ、例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン等の2価から3価のアルコール、または上述のアルコールの混合物から、有機ジカルボン酸、またはその無水物もしくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびヘキサヒドロフタル酸、または上述の酸の混合物との反応により調製されるポリエステルポリオールの他に、ε-カプロラクトン等のラクトンに由来するポリエステルポリオール。
-例えば、ポリエステルポリオールを形成するために用いられる上述のアルコールを、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートまたはホスゲンと反応させることにより得ることができるポリカーボネートポリオール。
-ポリアクリレートポリオールおよびポリメタクリレートポリオール。
-オリゴヒドロカルボノールとも呼ばれるポリヒドロカーボンポリオール、例えば、例えばKraton Polymersにより製造されるようなポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレンもしくはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー、または1,3-ブタジエンもしくはジエン混合物等のジエン、およびスチレン、アクリロニトリルもしくはイソブチレン等のビニルモノマーに由来するポリヒドロキシ官能性コポリマー、またはポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール、例えば1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの共重合により調製され、水素化されることもあるもの。
-例えば、エポキシドまたはアミノアルコールと、(米国、Emerald Performance Materials, LLCからHycar(登録商標)CTBNの名称で市販されている)カルボキシル末端アクリロニトリル-ブタジエンコポリマーとから調製され得るようなポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー。
【0053】
ポリマーQPMは、300から6000g/OH当量、特に600から4000g/OH当量、好ましくは700から2200g/OH当量のOH当量重量を有する、2官能価またはより高い官能価のポリオールであるのが有利である。さらに、ポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリブチレングリコール、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、ヒドロキシル末端ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、ヒドロキシル末端の合成ゴム、それらの水素化生成物、およびこれらのポリオールの混合物からなる群から選択されるのが有利である。
【0054】
さらに、2官能価、またはより高い官能価の、アミノ末端のポリエチレンエーテル、例えば米国、Huntsman International, LLCからJeffamine(登録商標)の名称で市販されているようなポリプロピレンエーテル、ポリブチレンエーテル、ポリブタジエン、例えば米国、Emerald Performance Materials, LLCからHycar(登録商標)ATBNの名称で市販されているようなブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、およびさらに、アミノ末端合成ゴム、またはポリマーQPMとして記載した成分の混合物を用いることも可能である。
【0055】
ポリアミン、ポリオールおよびポリイソシアネート、特に、ジアミン、ジオールおよびジイソシアネートの反応による、当業者に既知の方法で行うことができるように、ポリマーQPMを鎖延長することも可能である。
【0056】
鎖延長により、より多い官能価の化合物が式(I)のポリマーに変換され、または組成物の適用がより困難になることがあるので、特に、より多い官能価の化合物を鎖延長のために用いる場合は、一般にポリウレタンポリマーPU1、および鎖延長されたポリウレタンポリマーは、特に、過度に高い粘度を有さないことを確実にするのが有利である。
【0057】
ポリマーQPMとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックポリマー、ポリブチレングリコール、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、ヒドロキシル末端ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、600から6000g/molの範囲内の分子量を有するポリオールが好ましい。
【0058】
特に好ましいポリマーQPMは、C2〜C6-アルキレン基または雑多なC2〜C6-アルキレン基を有し、アミノ基、チオール基、または好ましくはヒドロキシル基を末端とするα,ω-ジヒドロキシポリアルキレングリコールである。ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールが、特に好ましい。ヒドロキシル末端ポリオキシブチレンが、非常に特に好ましい。
【0059】
適切なポリフェノールQPPは、特に、ビスフェノール、トリスフェノールおよびテトラフェノールである。純粋なフェノールだけでなく、適切であれば置換フェノールもここに含まれる。置換基の種類は、広範に異なり得る。特に、置換基は、フェノール性OH基が結合した芳香環上に直接ある。さらに、フェノールという用語は、芳香環または複素環に直接フェノール性OH基を有する、単環式芳香族化合物だけでなく、多環式のまたは縮合した芳香族化合物または複素環式芳香族化合物も指す。このような置換基の種類および位置は、特に、ポリウレタンポリマーPU1の形成に必要である、イソシアネートとの反応に影響を与える。
【0060】
ビスフェノールおよびトリスフェノールが、特に適切である。適切なビスフェノールまたはトリスフェノールは、例えば、1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシトルエン、3,5-ジ-ヒドロキシベンゾエート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(=ビスフェノールS)、ナフトレゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェノール、3,3-ビス(p-ヒドロキシフェニル)フタリド、5,5-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、フェノールフタレイン、フルオレセイン、4,4'-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールM)、4,4'-[ビス(ヒドロキシフェニル)]-1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールP)、2,2'-ジアリルビスフェノールA、2.0から3.5のOH官能価を有するジイソプロピリデンベンゼン、フロログルシン、没食子酸エステル、フェノールノボラックまたはクレゾールノボラックと、フェノールまたはクレゾールを反応させることにより調製されるジフェノールおよびジクレゾール、ならびに上述の化合物のすべての異性体である。
【0061】
フェノールまたはクレゾールをジイソプロピリデンベンゼンと反応させることにより調製される、好ましいジフェノールおよびジクレゾールは、例としてクレゾールについて以下に示す化学構造式を有する。
【0062】
【化5】

【0063】
比較的不揮発性のビスフェノールが、特に好ましい。ビスフェノールA、ビスフェノールM、ビスフェノールSおよび2,2'-ジアリルビスフェノールAが、最も好ましい。
【0064】
QPPは、好ましくは、2個または3個のフェノール性基を有する。
【0065】
第1の実施形態において、ポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、末端にアミノ基、チオール基またはヒドロキシル基を有するポリマーQPMとから調製される。ポリウレタンポリマーPU1は、ポリウレタンの当業者には既知の方法で、特に、ポリマーQPMのアミノ基、チオール基またはヒドロキシル基に対して、化学量論的に過剰のジイソシアネートまたはトリイソシアネートを用いることにより調製される。
【0066】
第2の実施形態において、ポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、場合によって置換されているポリフェノールQPPとから調製される。ポリウレタンポリマーPU1は、ポリウレタンの当業者には既知の方法で、特に、ポリフェノールQPPのフェノール性基に対して、化学量論的に過剰のジイソシアネートまたはトリイソシアネートを用いることにより調製される。
【0067】
第3の実施形態において、ポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、末端にアミノ基、チオール基またはヒドロキシル基を有するポリマーQPMと、場合によって置換されているポリフェノールQPPとから調製される。少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネート、ならびに末端にアミノ基、チオール基またはヒドロキシル基を有するポリマーQPM、および/または場合によって置換されているポリフェノールQPPからポリウレタンポリマーPU1を調製するために、様々な可能性が利用可能である。
【0068】
ここで「ワンポット工程」と呼ぶ第1の方法においては、少なくとも1種のポリフェノールQPPと少なくとも1種のポリマーQPMとの混合物を、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートと、イソシアネート過剰で反応させる。
【0069】
ここで「2ステップ工程I」と呼ぶ第2の方法においては、少なくとも1種のポリフェノールQPPを、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートとイソシアネート過剰で反応させ、次いで少なくとも1種のポリマーQPMと化学量論量で反応させる。
【0070】
最後に、ここで「2ステップ工程II」と呼ぶ第3の方法においては、少なくとも1種のポリマーQPMを、少なくとも1種のジイソシアネートまたはトリイソシアネートとイソシアネート過剰で反応させ、次いで少なくとも1種のポリフェノールQPPと化学量論量で反応させる。
【0071】
この3つの方法により、同じ組成を有するが、それらの構成要素の配列が異なり得るイソシアネート末端ポリウレタンポリマーPU1が生成される。3つのすべての方法が適切であるが、「2ステップ工程II」が好ましい。
【0072】
記載のイソシアネート末端ポリウレタンポリマーPU1が、2官能価成分に由来する場合は、ポリマーQPM/ポリフェノールQPPの当量比が、1.5を超えることが好ましく、ポリイソシアネート/(ポリフェノールQPP+ポリマーQPM)の当量比が、1.2を超えることが好ましいことを見出した。
【0073】
用いられる成分の平均官能価が2を超える場合には、分子量が、純粋に2官能価の場合より迅速に増加する。可能な当量比の限界は、選択したポリマーQPM、ポリフェノールQPP、ポリイソシアネート、または複数の記載した成分のいずれかが、>2の官能価を有するかどうかに大きく依存することは、当業者には明らかである。したがって、異なる当量比が設定されることがあり、その限界を、生成するポリマーの粘度により決定し、場合により実験的に決定しなければならない。
【0074】
ポリウレタンポリマーPU1は、好ましくは、弾性的性質を有し、≦0℃のガラス転移温度Tgを示す。
【0075】
式(I)のポリウレタンポリマーを、式(III)を有するポリウレタンポリマーPU1と、適切であればNCO-反応性化合物R2-Hおよび/またはR3-Hとから調製することができる。
【0076】
【化6】

【0077】
R2基は、好ましくは、式(II)の基であり、R3基は、好ましくは、式(II')の基である。このような式(I)の好ましいポリウレタンポリマーは、式(III)のポリウレタンポリマーPU1を、式(IV)または式(IV')のモノヒドロキシルエポキシド化合物と反応させることにより調製され得る。
【0078】
【化7】

【0079】
式(IV)または式(IV')のモノヒドロキシルエポキシド化合物は、1個、2個または3個のエポキシド基を有する。式(IV)または式(IV')のこのモノヒドロキシルエポキシド化合物のヒドロキシル基は、第1級または第2級のヒドロキシル基であり得る。
【0080】
このようなモノヒドロキシルエポキシド化合物を、例えば、ポリオールをエピクロロヒドリンと反応させることにより製造することができる。反応条件に応じて、多官能価アルコールのエピクロロヒドリンとの反応により、対応するモノヒドロキシルエポキシド化合物も副生成物として様々な濃度で形成される。これらを、従来の分離操作により単離することができる。一般に、ポリオールのグリシジル化反応において得られ、完全および部分的にグリシジルエーテルに変換されたポリオールを含む生成混合物を用いることで十分である。このようなモノヒドロキシルエポキシド化合物の例は、(ブタンジオールジグリシジルエーテル中に存在する)ブタンジオールモノグリシジルエーテル、(ヘキサンジオールジグリシジルエーテル中に存在する)ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル中に混合物として存在する)トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、(グリセロールトリグリシジルエーテル中に混合物として存在する)グリセロールジグリシジルエーテル、(ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル中に混合物として存在する)ペンタエリトリトールトリグリシジルエーテルである。従来的に調製されたトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル中に比較的高い比率で存在するトリメチロールプロパンジグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
【0081】
しかし、他の同様なモノヒドロキシルエポキシド化合物、特に、グリシドール、3-グリシジルオキシベンジルアルコールまたはヒドロキシメチルシクロヘキセンオキシドを用いることも可能である。ビスフェノールA(R=CH3)とエピクロロヒドリンとから調製される市販の液体エポキシ樹脂中に、約15%の量で存在する式(V)のβ-ヒドロキシエーテル、およびビスフェノールF(R=H)、またはビスフェノールAとビスフェノールFとの混合物の、エピクロロヒドリンとの反応において形成される、式(V)の対応するβ-ヒドロキシエーテルも好ましい。
【0082】
【化8】

【0083】
非常に純粋な蒸留液体エポキシ樹脂の調製において得られる蒸留残分も好ましい。このような蒸留残分は、市販の未蒸留液体エポキシ樹脂より、1から3倍、高濃度のヒドロキシル含有エポキシドを有する。さらに、(ポリ)エポキシドの、カルボン酸、フェノール、チオールまたは第2級アミン等の化学量論量の1官能価の求核剤との反応により調製される、β-ヒドロキシエーテル基を有する様々なエポキシドを用いることもできる。
【0084】
式(IV)または(IV')のモノヒドロキシルエポキシド化合物の、遊離した第1級または第2級のOH官能基により、不相応に過剰なエポキシド成分を用いなくてもよく、ポリマーの末端イソシアネート基との効率的な反応が可能になる。
【0085】
式(III)のポリウレタンポリマーPU1の、n3=0、R2≠R3である式(I)のポリウレタンポリマーへの変換において、R2HおよびR3Hを一緒または逐次的に用いることが可能である。逐次反応は、反応をより容易に制御できるので、対称的な付加物の形成が低減される利点を有する。すべてのNCO基を反応させるために、逐次反応における第2のステップで用いられる化合物を、化学量論的に過剰に用いるのが有利である。
【0086】
式(I)のポリウレタンポリマーの比率は、発泡体の全重量に基づいて、好ましくは5から50重量%、特に10から40重量%、好ましくは15から35重量%である。
【0087】
熱硬化性組成物Zは、分子当たり平均で1個を超えるエポキシド基を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂Aをさらに含むことができる。
【0088】
エポキシ樹脂Aは、好ましくは、液体エポキシ樹脂または固体エポキシ樹脂である。「固体エポキシ樹脂」という用語は、エポキシドの当業者には最も周知であり、「液体エポキシ樹脂」と対照をなして用いられる。固体樹脂のガラス転移温度Tgは、室温超(23±1℃)であり、すなわち、固体樹脂を室温で微粉砕して、流し込み可能な粉末を得ることができる。
【0089】
好ましい固体エポキシ樹脂は、式(VI)を有する。
【0090】
【化9】

【0091】
ここで、置換基R'およびR''は、それぞれ、互いに独立して、HまたはCH3のいずれかである。さらに、指標sは≧1.5であり、特に2から12である。
【0092】
このような固体エポキシ樹脂は、例えば、米国、Dow Chemical Companyから、米国、Huntsman International, LLCから、または米国、Hexion Specialty Chemicals Inc.,から市販されている。
【0093】
1から1.5の範囲内の指標sを有する式(IV)の化合物は、当業者により半固体エポキシ樹脂と呼ばれる。本発明の目的のためには、それらは、同様に固体樹脂であるとみなされる。しかし、狭義の、すなわち、指標sが≧1.5である固体エポキシ樹脂が好ましい。
【0094】
好ましい液体エポキシ樹脂は、式(VII)を有する。
【0095】
【化10】

【0096】
ここで、置換基R'''およびR''''は、それぞれ、互いに独立して、HまたはCH3のいずれかである。さらに、指標rは、0から1である。好ましい液体エポキシ樹脂は、r≦0.2の値を有する。
【0097】
このように、この化合物は、好ましくは、ビスフェノールAの(DGEBA)、ビスフェノールFの、またはビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテルである。「A/F」の呼称は、アセトンと、調製時に出発材料として用いられるホルムアルデヒドとの混合物を指す。このような液体樹脂は、例えば、米国、Huntsman International, LLCからのAraldite(登録商標)GY250、Araldite(登録商標)PY304、Araldite(登録商標)GY282の商品名で、または米国、Dow Chemical CompanyからのD.E.R(登録商標)331もしくはD.E.R(登録商標)330、または米国、Hexion Specialty Chemicals Inc.,からのEpikote(登録商標)828もしくはEpikote(登録商標)862の商品名で市販されている。
【0098】
エポキシ樹脂Aは、好ましくは、式(VII)の液体エポキシ樹脂である。なおより好ましい実施形態において、熱硬化性発泡体は、式(VII)の少なくとも1種の液体エポキシ樹脂と、式(VI)の少なくとも1種の固体エポキシ樹脂との両方を含有する。
【0099】
エポキシ樹脂Aの比率は、発泡体の全重量に基づいて、好ましくは2から80重量%、特に5から70重量%、好ましくは5.1から70重量%、より好ましくは7から60重量%である。
【0100】
第1の好ましい実施形態において、上述のような熱硬化性発泡体の組成物Zは、n3=0であり、R2基が式(II)の基であり、R3基が式(II')の基である、式(I)のポリウレタンポリマーを有する。さらに、熱硬化性発泡体は、この第1の実施形態において、少なくとも1種のエポキシ樹脂Aを有する。
【0101】
第2の実施形態において、熱硬化性発泡体の組成物Zは、n1、n2、n3≠0である、式(I)のポリウレタンポリマーを有する。さらに、熱硬化性発泡体は、この第2の実施形態において、少なくとも1種のエポキシ樹脂Aを有する。
【0102】
組成物Zの中に存在するイソシアネート基は、エポキシ樹脂Aの中に存在する任意のヒドロキシル基と反応し得ることは、当業者には明らかである。この反応は、特別な場合において有利であり、柔軟にし、熱硬化性発泡体の衝撃靭性を増大させる。
【0103】
熱硬化性発泡体中に存在する気体は、窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(N2O)、希ガス、およびこれらの気体の任意の混合物、ならびに空気等の気体混合物からなる群から選択される。窒素または空気は、特に適切である。空気が好ましい。この気体は、乾燥されていても、乾燥されていなくてもよい。この気体は、好ましくは乾燥されている。
【0104】
この気体は、熱硬化性発泡体中の気泡の中に封入されており、この気泡は、発泡体中に均一に分散している。
【0105】
組成物Zは、化学発泡剤または物理発泡剤を、さらに含有してもしなくてもよい。この目的のために、化学発泡剤は、熱、電磁照射または化学物質の作用下で、気体物質を形成または除去する物質である。このような物質は、特に、アゾジカルボキサミド、スルホヒドラジド、炭化水素塩または炭酸塩である。物理発泡剤として、例えば、温度、圧力または体積の変化の結果として、特に、温度が上昇し、または圧力が低下するときに、気体状態に変換され、したがって、体積膨張により発泡体構造を形成する化合物を用いることが可能である。このような物理発泡剤は、特に、加圧下で組成物中に、液体もしくは超臨界の状態で注入もしくは混合される気体、または高温で蒸発する液体である。さらに、マイクロカプセル封入された形で組成物中に導入される気体または低沸点液体を、物理発泡剤として用いることができる。
【0106】
発泡剤の比率は、発泡体の全重量に基づいて、0.1から3重量%であるのが有利である。
【0107】
加熱時によりその作用を発現する発泡剤を、熱硬化性発泡体を製造するために用いた場合、発泡温度が、熱硬化性発泡体の硬化温度を確実に下回るように注意しなければならないのは、そうしなければ、発泡体が、発泡工程中に硬化するからである。
【0108】
発泡剤は、特に、硬化工程中に熱硬化性発泡体を後発泡させるために、組成物Z中または熱硬化性発泡体中で用いられる。組成物Zおよび熱硬化性発泡体は、好ましくは、化学発泡剤を含まない。
【0109】
熱硬化性発泡体は、尿素誘導体をベースとしたチクソトロープCを含有することもできる。この尿素誘導体は、特に、芳香族モノマージイソシアネートの、脂肪族アミン化合物との反応生成物である。複数の異なるモノマージイソシアネートを1種もしくは複数の脂肪族アミン化合物と反応させる、またはモノマージイソシアネートを複数の脂肪族アミン化合物と反応させることも可能である。メチレンジ(フェニルイソシアネート)(MDI)のブチルアミンとの反応生成物は、特に有利であることが見出された。
【0110】
尿素誘導体は、好ましくは担体材料中に存在する。担体材料は、可塑剤、特にフタレートまたはアジペート、好ましくはジイソデシルフタレート(DIDP)またはジオクチルアジペート(DOA)であることができる。担体は、非拡散担体であることもできる。これは、硬化後の、反応した成分のマイグレーションを確実に非常に少なくするために好ましい。ブロックされたポリウレタンポリマーが、非拡散担体として好ましい。
【0111】
このような好ましい尿素誘導体および担体材料の調製は、特許出願EP1152019A1に詳細に記載されている。担体材料は、ブロックされたポリウレタンポリマーPU2、特に、3官能価のポリエーテルポリオールをIPDIと反応させ、次いでε-カプロラクタムにより末端イソシアネート基をブロックすることにより得られるものであるのが有利である。
【0112】
チクソトロープCの全比率は、発泡体の全重量に基づいて、0から40重量%、好ましくは5から25重量%であるのが有利である。場合によって存在する担体に対する尿素誘導体の全重量比は、好ましくは、0.02:1から1:1、特に0.05:1から0.3:1の範囲内である。
【0113】
熱硬化性発泡体は、好ましくはカルボキシル末端またはエポキシド末端のポリマーである液体ゴムDをも好ましくは含有する。
【0114】
さらなる実施形態において、この液体ゴムDは、カルボキシル末端またはエポキシド末端のアクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、またはその誘導体である。このような液体ゴムは、例えば、米国、Emerald Performance Materials, LLCからHycar(登録商標)CTBNおよびCTBNXおよびETBNの商品名で市販されている。適切な誘導体は、ドイツ国、Schill+Seilacher GruppeからPolydis(登録商標)の製品種目、好ましくはPolydis(登録商標)36の製品種目で、またはドイツ国、Hanse Chemie AGからAlbipox(登録商標)の製品種目で市販されているような、特に、エポキシド基を有する可塑剤改質ポリマーである。
【0115】
さらなる実施形態において、この液体ゴムDは、液体エポキシ樹脂と完全に混和でき、エポキシ樹脂マトリックスが硬化する間だけ分離して微小滴を形成する液体ポリアクリレートゴムである。このような液体アクリレートゴムを、例えば米国、Rohm and Haas Co.から20208-XPAの呼称で入手できる。
【0116】
液体ゴムの混合物、特にカルボキシル末端もしくはエポキシド末端のアクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、またはそれらの誘導体の、エポキシド末端ポリウレタンポリマーとの混合物を用いることも当然のことながら可能であることは、当業者には明らかである。
【0117】
液体ゴムDを、発泡体の全重量に基づいて、1から35重量%、特に1から25重量%の量で用いるのが有利である。
【0118】
熱硬化性発泡体は、好ましくは、固体靭性改良剤Eをさらに含有する。ここおよび以下において、「靭性改良剤」という用語は、発泡体の全重量に基づいて、0.1から15重量%、特に0.5から8重量%の少ない添加量でさえ、靭性を顕著に増大させ、したがってマトリックスの引裂または破壊の前に、より強い曲げ、引っ張り、衝撃または打撃の応力を吸収できる、エポキシ樹脂マトリックスへの添加剤を指す。
【0119】
固体靭性改良剤Eは、第1の実施形態において、有機イオン交換層状鉱物E1である。
【0120】
イオン交換層状鉱物E1は、陽イオン交換層状鉱物E1cまたは陰イオン交換層状鉱物E1aのいずれかであり得る。
【0121】
陽イオン交換層状鉱物E1cは、陽イオンの少なくとも一部を有機陽イオンにより置き換えた層状鉱物E1'から得られる。このような陽イオン交換層状鉱物E1cの例は、特に、US5707439またはUS6197849において記載されているものである。これらの陽イオン交換層状鉱物E1cを製造する方法は、同様にそこに記載されている。層状鉱物E1'は、好ましくは層状ケイ酸塩である。層状鉱物E1'は、特に好ましくはUS6197849、第2段落38行目から第3段落5行目に記載されているようなフィロケイ酸塩、特にベントナイトである。カオリナイトまたはモンモリロナイトまたはヘクトライトまたはイライト等の層状鉱物E1'が特に適切であることを見出した。
【0122】
層状鉱物E1'の陽イオンの少なくとも一部は、有機陽イオンにより置き換えられる。このような陽イオンの例は、n-オクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、ジメチルドデシルアンモニウムもしくはビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアンモニウム、または天然の脂肪または油から得ることができるアミンの同様な誘導体、あるいはグアニジウム陽イオンまたはアミジニウム陽イオン、あるいはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンのN-置換誘導体の陽イオン、あるいは1,4-ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)および1-アゾ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはピリジン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、フェナジンおよび2,2'-ビピリジンのN-置換誘導体の陽イオンである。環状アミジニウム陽イオン、特にUS6197849の第3段落6行目から第4段落67行目に開示されているものも適している。環状アンモニウム化合物は、直鎖アンモニウム化合物に比べて、増大された熱安定性を有する。
【0123】
好ましい陽イオン交換層状鉱物E1cは、有機粘土またはナノ粘土という用語で当業者に知られており、例えば、Tixogel(登録商標)もしくはNanofil(登録商標)(ドイツ国、Sudchemie AG)、Cloisite(登録商標)(米国、Southern Clay product, Inc.)またはNanomer(登録商標)(米国、Nanocor, Inc.)のグループ名で市販されている。
【0124】
陰イオン交換層状鉱物E1aは、陰イオンの少なくとも一部を有機陰イオンにより置き換えた層状鉱物E1''から得られる。このような陰イオン交換層状鉱物E1aの例は、中間層の炭酸陰イオンの少なくとも一部を有機陰イオンにより置き換えたヒドロタルサイトE1''である。さらなる例は、例えばUS6322890に記載されているような官能化アルミノキサンである。
【0125】
陽イオン交換層状鉱物E1cおよび陰イオン交換層状鉱物E1aは、組成物中に同時に存在することも可能である。
【0126】
固体靭性改良剤は、第2の実施形態において、ブロックコポリマーE2である。ブロックコポリマーE2は、メタクリル酸エステルの、オレフィン二重結合を有する少なくとも1種のさらなるモノマーとの、アニオン性の、または制御されたラジカル重合から得られる。オレフィン二重結合を有するモノマーとしては、二重結合がヘテロ原子または少なくとも1個のさらなる二重結合と直接に共役しているものが特に好ましい。適切なモノマーは、特に、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリルおよびビニルアセテートからなる群から選択されるモノマーである。例えば米国、GE Plastics Co.からGELOY(登録商標)1020の名称で入手できる、アクリレート-スチレン-アクリル酸(ASA)コポリマーが好ましい。
【0127】
特に好ましいブロックコポリマーE2は、メチルメタクリレート、スチレンおよびブタジエンから構成されるブロックコポリマーである。このようなブロックコポリマーを、例えば米国、Arkema, Inc.からSBMのグループ呼称でトリブロックコポリマーとして入手できる。
【0128】
固体靭性改良剤Eは、第3の実施形態において、コア-シェルポリマーE3である。コア-シェルポリマーは、弾性コアポリマー(コア)および剛性シェルポリマー(シェル)からなる。特に適切なコア-シェルポリマーには、剛性熱可塑性ポリマーの剛性シェルにより囲まれた弾性のアクリレートまたはブタジエンのポリマーから構成されるコアが含まれる。このコア-シェル構造は、ブロックコポリマーの分離により同時に形成されるか、グラフト化が次にくるラテックス重合もしくは懸濁重合のような重合から生じるかのいずれかである。好ましいコア-シェルポリマーは、米国、Arkema, Inc.からのClearstrength(登録商標)、米国、Rohm and Haas Co.からのParaloid(登録商標)、または米国、Zeon Chemicals L.P.からのF-351(商標)の商品名で市販されているMBSポリマーである。
【0129】
乾燥ポリマーラテックスとして存在するコア-シェルポリマー粒子が特に好ましい。例は、ポリシロキサンのコアとアクリレートのシェルとを有するドイツ国、Wacker Chemie AGからのGENIOPERL(登録商標)M23A、米国、Eliokem, Inc.により製造されているNEPシリーズの照射架橋ゴム粒子、またはドイツ国、Lanxess AGからのNanopren(登録商標)、または米国、Rohm and Haas Co.からのParaloid(登録商標)EXLである。
【0130】
さらに、コア-シェルポリマーの同等の例が、ドイツ国、Nanoresins AGからのAlbidur(登録商標)の商品名で提供されている。
【0131】
固体靭性改良剤Eは、第4の実施形態において、カルボキシル化固体ニトリルゴムの、過剰のエポキシ樹脂との固体反応生成物E4である。
【0132】
第5の実施形態において、固体靭性改良剤Eは、例えばWO02/083776A1およびWO2004/081076に記載されているような非晶質二酸化ケイ素であり、その開示を、これにより参照により組み込む。このような製品は、ドイツ国、Nanoresins AGからのAlbipox(登録商標)の商品名で市販されている。
【0133】
コア-シェルポリマーは、固体靭性改良剤Eとして好ましい。
【0134】
固体コア-シェルポリマーE3は、発泡体の全重量に基づいて、特に、0.1から15重量%、好ましくは1から8重量%の量で熱硬化性発泡体中に存在することができる。
【0135】
さらなる好ましい実施形態において、この組成物は、少なくとも1種のフィラーFをさらに含有する。これは、好ましくは、雲母、滑石、カオリン、ウォラストナイト、長石、閃長岩、緑泥石、ベントナイト、モンモリロナイト、(沈殿または磨砕された)炭酸カルシウム、ドロマイト、石英、(熱分解または沈殿された)シリカ、クリストバライト、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空セラミック球、中空ガラス球、中空有機球、ガラス球、着色顔料である。フィラーFという用語は、当業者に知られている、有機的にコーティングされた、およびコーティングされていない市販の形の両方を指すために用いられる。
【0136】
フィラーFの比率は、発泡体の全重量に基づいて、3から50重量%、好ましくは3から35重量%、特に5から25重量%であるのが有利である。
【0137】
さらなる好ましい実施形態において、組成物は、エポキシド基を有する少なくとも1種の反応性希釈剤Gをさらに含有する。特に好ましい反応性希釈剤Gは、
-1官能価の、飽和または不飽和の、分岐したまたは分岐していない、環状または開鎖のC4〜C30-アルコールのグリシジルエーテル、例えば、ブタノールグリシジルエーテル、ヘキサノールグリシジルエーテル、2-エチルヘキサノールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、テトラヒドロフルフリルグリシジルエーテルおよびフルフリルグリシジルエーテル、トリメトキシシリルグリシジルエーテル等
-2官能価の、飽和または不飽和の、分岐したまたは分岐していない、環状または開鎖のC2〜C30-アルコールのグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、オクタンジオールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等
-3官能価または多官能価の、飽和または不飽和の、分岐したまたは分岐していない、環状または開鎖のアルコールのグリシジルエーテル、例えば、エポキシ化したヒマシ油、エポキシ化トリメチロールプロパン、エポキシ化ペンタエリトリトール、またはソルビトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル等
-フェノール化合物およびアニリン化合物のグリシジルエーテル、例えば、フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、3-n-ペンタデセニルグリシジルエーテル(カシューナッツ殻油から)、N,N-ジグリシジルアニリン等
-N,N-ジグリシジルシクロヘキシルアミン等のエポキシ化アミン等
-エポキシ化された、モノカルボン酸またはジカルボン酸、例えば、グリシジルネオデカノエート、グリシジルメタクリレート、グリシジルベンゾエート、ジグリシジルフタレート、テトラヒドロフタレートおよびヘキサヒドロフタレート、脂肪酸二量体のジグリシジルエステル等、
-エポキシ化された2官能価または3官能価の、低分子量から高分子量のポリエーテルポリオール、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等
である。
【0138】
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、およびポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0139】
エポキシド基を有する反応性希釈剤Gの比率は、発泡体の全重量に基づいて、0.5から20重量%、好ましくは1から8重量%であるのが有利である。
【0140】
この組成物は、さらなる成分、特に、触媒、熱安定化剤および/または光安定化剤、チクソトロープ、可塑剤、溶媒、鉱物または有機のフィラー、発泡剤、色素および顔料を含むことができる。
【0141】
本発明は、熱硬化性発泡体を製造する方法をさらに含む。
【0142】
まず、熱硬化性発泡体の好ましい製造方法は、20から80℃、特に20から60℃の温度、および大気圧において、熱硬化性組成物Zに気体を導入し、混合器具により気体を混合させ気体を組成物中に分散させることを含む。気体の導入を、この方法において、例えば、超大気圧ラインを経て気体を組成物に吹き込む、または混合器具中の減圧により気体を組成物中に吸引することにより行うことができる。
【0143】
このような好ましい方法は、例えばDE102005042380A1に記載されている。
【0144】
熱硬化性発泡体を製造する第2の方法は、液体または超臨界の状態で存在する気体を、加圧下の熱硬化性組成物Zに注入するステップと、気体を混合するステップと、混合器具により気体を組成物中に分散させるステップとを含む。次いで、組成物を大気圧に減圧すると、気体が膨張し、発泡体が形成される。
【0145】
熱硬化性発泡体を製造する両方の方法における重要な点は、組成物Zが、適用前に発泡化されること、すなわち、発泡化工程が、まさに適用する時点には大部分が終了していることである。この方法においてのみ、組成物を正確に適用できることと、熱硬化性発泡体を接着剤として用いる場合、熱の作用で硬化させる間における発泡化工程の結果として、接着結合されるべき基材の移動が起きないこととを確実にすることができる。
【0146】
発泡化されるべき組成物は、熱硬化性組成物Zであるので、発泡化を行う工程にかかわらず、発泡化が、組成物の硬化温度未満である温度で確実に行われなければならない。発泡化温度は、好ましくは≦100℃、特に20から80℃、より好ましくは20から60℃である。
【0147】
熱硬化性組成物Zと、そこから得ることができる熱硬化性発泡体との両方が、≦100℃の温度、特に室温での保存に安定している、すなわち、それらの使用に適切な程度で、それらの使用特性、またはそれらの硬化後の特性を、化学反応の結果として変化させることなく、適切な包装または処置、例えばドラム缶、バッグまたはカートリッジの中で、数ヶ月から1年以上の期間の間、それらを保存できることが好ましい。
【0148】
さらに、本発明には、接着剤、密封剤として、またはコーティングを生成するため、および発泡体で中空構造を満たすための、上述のような熱硬化性発泡体の使用が含まれる。ここで、熱硬化性発泡体を、広範な種類の可能な用途のために、単成分系または多成分系として用いることができる。
【0149】
特に、本発明の熱硬化性発泡体は、構造用接着剤のため、または車両製作における接続のための熱硬化性接着剤として適している。
【0150】
このような接着剤は、接着接合、および熱安定性材料の接続に必要である。
【0151】
本発明の目的のために、熱安定性材料は、100から220℃、好ましくは120から200℃の硬化温度における少なくとも硬化時間の間は寸法的に安定な材料である。特に、それらは、金属、およびABS(=アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル等のプラスチック、SMC(=シート成型化合物)、不飽和ポリエステル、GRP(=ガラス強化プラスチック)、エポキシドまたはアクリレートの複合体等の複合材料である。少なくとも1種の材料が金属である使用が好ましい。特に好ましい使用は、特に自動車工業での車体製作における、同一または異なる金属の接着結合である。好ましい金属は、何よりもまず鋼鉄、特に、電解亜鉛めっき鋼、熱亜鉛めっき鋼、油加工鋼、Bonazincコーティング鋼およびリン酸塩処理後の鋼、ならびに特に自動車製作において一般に存在する改良型におけるアルミニウムである。
【0152】
特に折りたたみの接合部および継ぎ目を密封するための、熱硬化性密封剤としての熱硬化性発泡体の使用が同様に好ましい。
【0153】
本発明に係る組成物Zをベースとした熱硬化性発泡体により、耐衝突性構造用接着剤の技術を接続および密封に利用可能とし、したがって、ここで最適な接着の成果を達成することも可能になる。
【0154】
さらに、様々な発泡の度合いにより、生成する熱硬化済み発泡体の強度を変えることが可能である。このようにして、同じであるが様々な気体比率を有する熱硬化性組成物Zから作製した熱硬化性発泡体を、様々な目的に用いることができる。適切な発泡体と熱硬化性発泡体のための適用設備の直前に用いられる適切な混合設備とを用いることにより適用中に非常に迅速に発泡化の度合いを変えることも可能である。
【0155】
本発明に係る熱硬化性発泡体をベースとした接着剤、密封剤またはコーティングにより、著しくより少ない材料使用量で、所望の組み合わせの高い強度を達成することが可能になる。
【0156】
さらに、本発明には、
c1)上述のように、熱硬化性発泡体を基材S1に適用するステップ、
c2)適用された組成物を第2の基材S2と接触させるステップ、
または
d1)上述のように、熱硬化性発泡体を基材S1およびS2に適用するステップ、
d2)2つの基材S1およびS2を、適用された発泡体と接合するステップ
を含む、基材S1およびS2を接着結合する方法が含まれる。
【0157】
基材S1は、基材S2と同一または異なる熱安定性材料からなる。
【0158】
本発明には、
e1)上述のように、熱硬化性発泡体を、基材S1および/または基材S2に適用するステップ、または
f1)上述のように、基材S1およびS2の表面の間に熱硬化性発泡体を適用するステップ
を含む、基材S1および/またはS2を密封する方法も含まれる。
【0159】
基材S1は、基材S2と同一または異なる熱安定性材料からなる。
【0160】
本発明には、
g1)熱硬化性発泡体を、既存の中空構造に注入するステップ
を含む、中空構造に発泡体を満たす方法がさらに含まれる。
【0161】
ここで、熱硬化済み発泡体を、密封剤として、および/または防音のため、および/または中空構造例えば構造部品の構造強化のために用いることができる。
【0162】
本発明には、
h1)上述のように、熱硬化性発泡体を基材S1に適用するステップ
を含む、コーティングを生成するため、または基材S1を密封する方法が同様に含まれる。
【0163】
接着結合のステップc2)およびd2)と、密封のステップe1)およびf1)、中空構造を発泡体で満たすステップg1)、ならびにコーティングのステップh1)に、100から220℃の温度における、特に120から200℃の温度における1つまたは複数の硬化ステップを続ける。
【0164】
本発明のさらなる態様は、組成物Zの発泡の度合いと、したがって、本発明の熱硬化性発泡体の気体含有率とを、上述の方法により発泡体を適用する間に変えられることである。適切な発泡化および適用の設備を、発泡化の度合いを設定するために、適切なソフトウエアによりコンピュータ制御することができる。適用の間に発泡化の度合いを変える利点は、様々な特性を有する発泡体を、好ましくは下げることなく、同じ適用設備から塗布できることである。
【0165】
図1に、本発明に係る熱硬化性発泡体を製造、塗布および硬化する方法を概略的に示す。このような方法は、例えば、製造ラインで2つの基材を接着結合するために用いられる。組成物Z1は、気体容器2からの気体と一緒に、組成物Z1と気体とを互いと混合する混合設備Mに運搬される。生成する熱硬化性発泡体3を、適用設備により、または手により混合設備Mから基材4に直接適用する。次いで、基材4を、熱硬化性発泡体により第2の基材4'に接合する。次いで、接合部を熱硬化性発泡体の硬化温度に加熱して、熱硬化性発泡体3を硬化させて熱硬化済み発泡体3'を得る。
【0166】
発泡体の製造および適用のステップが直接連続して行われるこのような方法の利点は、熱硬化性発泡体の気体含有率を非常に迅速に変えられることである。したがって、熱硬化性発泡体のガス含有率が異なることにより異なる特性を有する熱硬化性発泡体を、同じ組成物Zから製造することが可能である。これらの熱硬化性発泡体の適用を、このような方法により、1つの試験片について適用装置を下げることなく行うことができる。
【0167】
図2に、基材4上の熱硬化性発泡体3の滴を概略的に示し、(円内に)断面を拡大して示す。気体は、組成物Z中に均一に分散している気泡すなわち空孔6の中に位置する。
【0168】
図3に、外部金属シート5と、接着結合前の、硬化させるために前者の下に位置する肋骨様内部金属シート5'とを含む、自動車のボンネットを概略的に示す。熱硬化性発泡体を、接着剤として、適用設備から鋼鉄枠5'に、適用設備を下げることなく適用する。接着結合の位置に応じて、様々な気体含有率を有する発泡体を適用する。特に高い強度を要し、大きな機械的応力に耐えなければならないそれらの場所では、低い気体含有率、すなわち10から50体積%の気体含有率を有する熱硬化性発泡体3aを適用するのが好ましい。熱硬化性発泡体が限定された構造特性しか有さなくてよい場所、例えば、熱硬化性発泡体を純粋に接続の接着剤として適用するボンネットの内部領域内では、高いガス含有率、すなわち30から80体積%の気体含有率を有する熱硬化性発泡体3bを用いる。製造中の、組成物Zおよび気体の混合比率と、適用方法とを変えることにより、低いガス含有率を有する熱硬化性発泡体3aと、高い気体含有率3bを有する発泡体とを、試験片について同じ製造器具から下げることなく適用することが可能になる。
【0169】
さらに、本発明には、上述のような熱硬化性発泡体を硬化させるステップにより得られる熱硬化済み発泡体が含まれる。
【0170】
熱硬化済み発泡体中の気体は、好ましくは、≦1mm、特に≦0.5mm、好ましくは≦0.1mmの直径を有し、組成物中に均一に分散された空孔内に封入されている。
【0171】
さらに、本発明には、接着結合、密封またはコーティングのためのこのような工程から生成した物品が含まれる。このような物品は、好ましくは、車両、または車両の付属部品、特に自動車である。
【0172】
さらに、本発明の熱硬化性発泡体は、自動車製作だけでなく他分野の使用にも適している。特に、船、貨物車両、バスもしくは鉄道車両等の輸送手段の製作、または洗濯機等の消費財の製作における関連用途を挙げることができる。
【実施例】
【0173】
熱硬化性発泡体の製造
ドイツ国、Sika Automotive GmbHから市販されている接着剤Sikapower(登録商標)419E1を300g、分当たり2500回転の撹拌速度と8cmのディスク直径とを有する高速撹拌器の中で、7分間、缶を上下動させつつ撹拌される金属缶の中に秤量して入れた。同時に、圧縮空気を、圧力ラインを経て3barの圧力で接着剤中に吹き込んだ。質量は一定のままだったが、密度は、1.28kg/m3から1.14kg/m3に減少し、体積増加は約12%に相当した。このように、12体積%の空気含有率を有する熱硬化性発泡体を製造した。
【0174】
実験
上述のように製造された熱硬化性発泡体を、自動車製作において通例用いられるような亜鉛めっき鋼シートにスパチュラにより手作業で適用した。参照の実施例として、非発泡接着剤を、一緒に、同じ方法で直接に適用した。次いで、試験片を、35分間、175℃のオーブン中で硬化させた。
【0175】
接着結合した複合体を、2つの亜鉛めっき鋼シートと、接合後にオーブン中において175℃で35分間硬化させた記載の熱硬化性発泡体または非発泡接着剤とから同様に製造した。
【0176】
結果
本発明に係る発泡体は、基材への非常に良好な接着を示した。さらに、熱硬化済み発泡体を切開することにより、発泡体の、空気に満たされた空孔が、発泡体中に非常に均一に分散していることが明らかになった。
【0177】
製造された2つの接着結合された複合体は、くさび試験において非常に良好な接着を示した。
【符号の説明】
【0178】
1 組成物Z
2 気体容器
3 熱硬化性発泡体
3a 低い気体含有率を有する熱硬化性発泡体
3b 高い気体含有率を有する熱硬化性発泡体
3' 熱硬化済み発泡体
4 接合されるべき部分/基材S1
4' 接合されるべき部分/基材S2
5 ボンネット/外部金属シート
5' ボンネット/内部金属シート
6 気泡/空孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の気体10から80体積%と、
b)
b1)式(I)
【化1】

の少なくとも1種のポリウレタンポリマー
[式中、
R1は、n1+n2+n3個のイソシアネート基を末端とした、直鎖のまたは分岐したポリウレタンポリマーPU1からすべての末端イソシアネート基を除去したものであり、
R2基は、それぞれ、互いに独立して、100℃を超える温度で脱離するブロック基、または式(II)
【化2】

の基であり、
R3基は、それぞれ、互いに独立して、100℃を超える温度で脱離するブロック基、または式(II')
【化3】

の基であり、
R4およびR4'が、それぞれ、ヘテロ原子を含有し得る、脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール脂肪族の、(p+1)価または(f+1)価の炭化水素基であり、
p=1、2または3、およびf=1、2または3であり、
n1、n2およびn3は、それぞれ、
2≦(n1+n2+n3)≦8
という条件で、0から7の範囲内である]、
b2)昇温により活性化される少なくとも1種の硬化剤B
を含有する熱硬化性組成物Zと
を含む熱硬化性発泡体。
【請求項2】
前記熱硬化性組成物Zが、化学発泡剤を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項3】
前記熱硬化性組成物Zが、1分子当たり平均で1個を超えるエポキシド基を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂Aをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項4】
前記気体が、前記発泡体中に均一に分散しているセル(6)の中に封入されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項5】
式(I)のブロックされたポリウレタンポリマー中のR2および/またはR3が、
【化4】

[式中、
R5、R6、R7およびR8は、それぞれ、互いに独立して、アルキル基もしくはシクロアルキル基もしくはアリール基もしくはアリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、またはR5はR6と一緒になって、もしくはR7はR8と一緒になって、置換されていてよい4員環から7員環の部分を形成し、
R9、R9'およびR10は、それぞれ、互いに独立して、アルキル基もしくはアリール基もしくはアリールアルキル基もしくはアルキルアリール基またはアルコキシ基もしくはアリールオキシ基もしくはアリールアルキルオキシ基であり、R11は、アルキル基であり、
R12、R13およびR14は、それぞれ、互いに独立して、二重結合を有するか置換されていてよい、2から5個の炭素原子を有するアルキレン基、またはフェニレン基もしくは水素化フェニレン基であり、
R15、R16およびR17は、それぞれ、互いに独立して、H、またはアルキル基もしくはアリール基もしくはアリールアルキル基であり、
R18は、芳香族ヒドロキシル基をもっていてよい、アリールアルキル基、または単環式もしくは多環式の置換もしくは非置換の芳香族基である]
からなる群から選択される基であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項6】
前記ポリウレタンポリマーPU1が、少なくとも1種のポリイソシアネート、ならびに末端にアミノ基、チオール基もしくはヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリマーQ、および/または置換もしくは非置換のフェノールから調製されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項7】
R2が、式(II)の基であり、
R3が、式(II')の基である
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂Aの比率が、前記発泡体の全重量に基づいて、2から80重量%、特に5から70重量%、好ましくは7から60重量%であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項9】
式(I)の前記ポリウレタンポリマーの比率が、前記発泡体の全重量に基づいて、5から50重量%、特に10から40重量%、好ましくは15から35重量%であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項10】
前記硬化剤Bの比率が、前記発泡体の全重量に基づいて、0.5から8重量%、特に、1から6重量%、好ましくは、2.5から5重量%であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項11】
前記硬化剤Bが触媒であり、その比率が、前記発泡体の全重量に基づいて、0.05から2重量%、特に0.1から1重量%、好ましくは0.2から0.75重量%であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項12】
前記気体が、窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(N2O)、希ガス、およびこれらの気体の任意の混合物、ならびに空気等の気体混合物からなる群から選択され、特に窒素または空気、好ましくは空気であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の熱硬化性発泡体。
【請求項13】
前記発泡体が、前記発泡体の全重量に基づいて、特に1から50重量%、特に5から40重量%、好ましくは10から35重量%の量の少なくとも1種のフィラーをさらに含有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体。
【請求項14】
-前記気体が、20から80℃、特に20から60℃の温度、および大気圧において、熱硬化性組成物Zに導入され、混合器具により組成物中に混合、分散されること、または
-液体または超臨界の状態で存在する前記気体が、超大気圧下の前記熱硬化性組成物Zに注入され、混合器具により前記組成物Z中に混合、分散され、次いで、前記組成物を減圧することにより膨張させ、前記発泡体を形成すること
を特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の熱硬化性発泡体を製造する方法。
【請求項15】
発泡体により、コーティングを生成させるため、または中孔構造を満たすための、接着剤、密封剤としての、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体の使用。
【請求項16】
特に、構造用接着剤のため、または車両製作における接着のための熱硬化性接着剤としての、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
特に折りたたみの接合部および継ぎ目を密封するための、熱硬化性密封剤としての請求項16に記載の使用。
【請求項18】
c1)請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体を基材S1に適用するステップ、
c2)適用された前記熱硬化性発泡体を、第2の基材S2と接触させるステップ、
または
d1)請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体を基材S1およびS2に適用するステップ、
d2)2つの基材S1およびS2を、適用された前記発泡体と接合させるステップ
を含み、前記基材S1が、前記基材S2と同一または異なる熱安定性材料からなり、ステップc2)またはステップd2)に、100から220℃の温度における、特に120から200℃の温度における1つまたは複数の硬化ステップを続ける、前記基材S1とS2とを接着結合させる方法。
【請求項19】
e1)請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体を、基材S1および/または基材S2に適用するステップ、
または
f1)前記基材S1およびS2の表面の間に、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体を適用するステップ
を含み、前記基材S1が、前記基材S2と同一または異なる熱安定性材料からなり、ステップe1)またはステップf1)に、100から220℃の温度における、特に120から200℃の温度における1つまたは複数の硬化ステップを続ける、前記基材S1および/またはS2を密封する方法。
【請求項20】
g1)請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体を、既存の中空構造に注入するステップ
を含み、ステップg1)に、100から220℃の温度における、特に120から200℃の温度における1つまたは複数の硬化ステップを続ける、中空構造を発泡体で満たす方法。
【請求項21】
h1)請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体を基材S1に適用するステップ
を含み、ステップh1)に、100から220℃の温度における、特に120から200℃の温度における1つまたは複数の硬化ステップを続ける、コーティングを生成する、または基材S1を密封する方法。
【請求項22】
前記組成物Zの発泡の度合いと、したがって、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性発泡体の気体含有率とを、前記発泡体を適用する間に変えられることを特徴とする、請求項18から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
請求項1から13のいずれかに記載の熱硬化性発泡体から得られることを特徴とする熱硬化済み発泡体。
【請求項24】
前記気体が、≦1mm、特に≦0.5mm、好ましくは≦0.1mmの直径を有し、前記組成物中に均一に分散された空孔内に封入されていることを特徴とする、請求項23に記載の熱硬化済み発泡体。
【請求項25】
請求項18から21のいずれか一項に記載の方法により、接着結合、密封、発泡体で充填、またはコーティングされた物品。
【請求項26】
車両、輸送手段または消費財、特に、自動車、船、貨物車両、バス、鉄道車両、好ましくは自動車であることを特徴とする、請求項25に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−533757(P2010−533757A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516498(P2010−516498)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059288
【国際公開番号】WO2009/010526
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】