説明

熱伝導性組成物

【課題】熱伝導性、電気比抵抗の均一性に優れる熱伝導性組成物を提供すること。
【解決手段】マトリクス成分、ピッチ系黒鉛化短繊維、黒鉛粒子を含む熱伝導性組成物であって、ピッチ系黒鉛化短繊維は、熱伝導率が150W/m・K以上であり、アスペクト比が6〜40であり、繊維長のRR均等数が1.65以下であり、黒鉛粒子は、熱伝導率が少なくとも1方向に150W/m・K以上であり、厚みと長軸方向に発生するアスペクト比が10〜50であり、平均粒子径が1〜20μmであり、ピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し黒鉛粒子を40〜600重量部含み、マトリクス成分100重量部に対し、ピッチ系黒鉛化短繊維及び黒鉛粒子の合計が50〜150重量部含まれていることを特徴とする熱伝導性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス成分、ピッチ系黒鉛化短繊維及び黒鉛粒子を含む熱伝導性組成物に関わるものである。さらに詳しくは、特定の熱伝導率及びアスペクト比を満たすピッチ系黒鉛化短繊維と特定の熱伝導率、アスペクト比及び平均粒子径を満たす黒鉛粒子とを特定の存在比で含有した熱伝導性組成物であり、LED照明に代表される電気機器の放熱部材や熱交換器に好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
高性能の炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維と、一連のピッチ類を原料とするピッチ系炭素繊維に分類できる。そして炭素繊維は強度・弾性率が通常の合成高分子に比較して著しく高いという特徴を利用し、航空・宇宙用途、建築・土木用途、産業用ロボット、スポーツ・レジャー用途など広く用いられている。また、PAN系炭素繊維は、主として、その強度を利用する分野に、そしてピッチ系炭素繊維は、弾性率を利用する分野に用いられることが多い。
【0003】
近年、省エネルギーに代表されるエネルギーの効率的使用方法が注目されている一方で、高速化されたCPUや電子回路のジュール熱による発熱が重篤な問題として認識されつつある。また、電子注入を発光原理とするエレクトロルミネッセンス素子においても同様に重篤な問題として顕在化している。一方、各種素子を形成するプロセスに目を向けると環境配慮型プロセスが求められており、その対策として鉛が添加されていない所謂鉛フリー半田への切り替えがなされている。鉛フリー半田は融点が通常の鉛含有半田に比較して高いため、プロセスの熱の効率的な使用が要求されている。そして、このような製品・プロセスが内包する熱に由来する問題を解決するためには、熱の効率的な処理(サーマルマネジメント)を達成する必要がある。
【0004】
一般に炭素繊維は、他の合成高分子に比較して熱伝導率が高いと言われているが、サーマルマネジメント用途に向けた、さらなる熱伝導の向上が検討されている。ところが、市販されているPAN系炭素繊維の熱伝導率は通常200W/(m・K)よりも小さい。これは、PAN系炭素繊維が所謂難黒鉛化炭素繊維であり、熱伝導を担う黒鉛性を高めることが非常に困難なことに由来している。これに対して、ピッチ系炭素繊維は易黒鉛化炭素繊維と呼ばれ、PAN系炭素繊維に比べて、黒鉛性を高くすることができるため、高熱伝導率を達成しやすいと認識されている。よって、効率的に熱伝導性を発現できる形状にまで配慮がなされた高熱伝導性フィラーにできる可能性がある。
【0005】
ただ、炭素繊維単体での熱伝導性部材への加工は困難であり、非常に特殊な手法を用いる必要がある。そこで、金属性フィラー等と同様に、何らかのマトリクスと炭素繊維を複合材化し、その組成物の熱伝導度を向上させることが求められる。
【0006】
次に、サーマルマネジメントに用いる成形体の特徴について考察する。一般的に炭素繊維を用いた成形体は、アスペクト比を有するために樹脂と混合する際に、粘度が高くなりやすく高充填するのが難しいことが多い。そのため、炭素繊維単独で使用するよりもアスペクト比の低い化合物と複合して成形体を得ることが多くある。しかし、無機化合物は一部を除いて熱伝導性が炭素繊維より低いものが多く、炭素繊維と比較して効率的に熱伝導性を高めるのが難しい。特許文献1、2には、炭素繊維と無機化合物を組み合わせた成形体が報告されているが、その組成が必ずしも適切とは言えず、十分にその性能を引き出しているとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−283456号公報
【特許文献2】特開2001−156227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、熱伝導性、電気比抵抗の均一性に優れる熱伝導性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、熱伝導性、電気比抵抗の均一性に優れる熱伝導性組成物を得ようと鋭意検討を重ねた結果、特定の熱伝導率、アスペクト比、繊維長分布を有するピッチ系黒鉛化短繊維及び特定の熱伝導率、アスペクト比、平均粒子径を有する黒鉛粒子を所定の割合で混合することで、目的とする組成物を得ることが可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
本発明は、マトリクス成分、ピッチ系黒鉛化短繊維、黒鉛粒子を含む熱伝導性組成物であって、熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維は、熱伝導率が150W/m・K以上であり、アスペクト比が6〜40であり、繊維長のRR均等数が1.65以下であり、黒鉛粒子は、熱伝導率が少なくとも1方向に150W/m・K以上であり、厚みと長軸方向に発生するアスペクト比が10〜50であり、平均粒子径が1〜20μmであり、ピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し黒鉛粒子を40〜600重量部含み、マトリクス成分100重量部に対し、ピッチ系黒鉛化短繊維及び黒鉛粒子の合計が50〜150重量部含まれていることを特徴とする熱伝導性組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱伝導性組成物は、特定の熱伝導率、アスペクト比、繊維長分布を有するピッチ系黒鉛化短繊維及び特定の熱伝導率、アスペクト比、平均粒子径を有する黒鉛粒子を所定の比率で使用し、熱伝導性フィラーの総添加量を所定の比率に制御することで、優れた熱伝導性、電気比抵抗の均一性を有する熱伝導性組成物を得ることを可能にせしめている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。
本発明の熱伝導性組成物は、マトリクス成分、ピッチ系黒鉛化短繊維、黒鉛粒子を含む熱伝導性組成物であって、熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維は、熱伝導率が150W/m・K以上であり、アスペクト比が6〜40であり、黒鉛粒子は、熱伝導率が少なくとも1方向に150W/m・K以上であり、厚みと長軸方向に発生するアスペクト比が10〜50であり、平均粒子径が1〜20μmであり、ピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し黒鉛粒子を40〜600重量部含み、マトリクス成分100重量部に対し、ピッチ系黒鉛化短繊維及び黒鉛粒子の合計が50〜150重量部含まれていることを特徴とする熱伝導性組成物である。
【0013】
一般的に熱伝導性組成物の熱伝導率を向上させるには、熱伝導性に優れるフィラーを高充填する必要がある。ピッチ系黒鉛化短繊維は一般的に高い熱伝導率を有しているが、黒鉛化時の温度によって熱伝導率は決まる。熱伝導性組成物に優れた熱伝導性を付与するには、150W/m・K以上有する必要がある。より好ましくは300W/m・K以上であり、更に好ましくは500W/m・Kである。ピッチ系黒鉛化短繊維の熱伝導率の測定方法に特に限定は無いが、具体的にはピッチ系黒鉛化短繊維の両端を導電ペーストで固定して電気抵抗を測定し、熱伝導率と電気抵抗は反比例することから計算して求める。
【0014】
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維のアスペクト比は6〜40である。ピッチ系黒鉛化短繊維を熱伝導性フィラーとして用いる場合、熱伝導性組成物に優れた熱伝導率を付与するには、アスペクト比が必要である。アスペクト比が6を下回る場合、熱伝導性組成物の熱伝導率が期待できない。逆にアスペクト比が40を超える場合、ピッチ系黒鉛化短繊維と黒鉛粒子を均一にブレンドする事が困難になり、均一な熱伝導性を有する熱伝導性組成物を得るのが困難になる。ピッチ系黒鉛化短繊維のアスペクト比の好ましい範囲は7〜30である。
【0015】
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の繊維長のRR均等数は1.65以下である。
RR均等数のRRとはRosin−Rammler分布を意味する。Rosin−Rammler分布は、粒度分布を表す式の一つで、下記式(1)で表され、分布の広がりを表すnがRR均等数に該当する。
R(X)=exp{‐(X/Xe)} ・・・(1)
(X:粒子径、R(X):粒子径Xより大きな粒子径の比率、Xe:分布の位置を表す代表粒子径(篩上積算の36.8%))
【0016】
本発明では、粒子径を繊維長に置き換える。すなわち、RR均等数は繊維長分布を意味し、繊維長分布が大きい程、RR均等数は小さくなる。RR均等数が1.65以下の場合、繊維長分布が広く、長い繊維長の隙間に短い繊維長のピッチ系黒鉛化短繊維が埋まって、ピッチ系黒鉛化短繊維がより均一な分散する様になり、均一な熱伝導率、電気比抵抗を得る様になる。逆にRR均等数が1.65を超える場合、熱伝導性組成物中の熱伝導率、電気比抵抗のばらつきが大きくなる。RR均等数を1.65以下にする手法として特に限定はないが、成形前のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長が長いほど好ましい。ピッチ系黒鉛化短繊維は樹脂との混練の際に破断する。平均繊維長が長い程、混練後の繊維長が長く残る傾向がある。すなわち短い繊維長の成分がある一方、長い繊維長の成分もある程度含まれている事になり、結果として繊維長分布が広くなる。具体的には、混練前のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は400μm超〜10000μmであるが好ましい。更に好ましくは、2000μm〜6000μmである。
【0017】
ピッチ系黒鉛化短繊維は、繊維状のため充填性に劣る傾向にあり、また樹脂との混練の際に繊維が破断し、熱伝導率が期待ほど発現しないことがある。この充填性を補うためのフィラーとしては、平板状、鱗片状などパッキング性を有する化合物が挙げられる。しかし、これら熱伝導性フィラーの熱伝導率が優れていないと、熱伝導率に優れる熱伝導性組成物が得られない。そこで、熱伝導性に優れる黒鉛粒子を使用する。黒鉛粒子の熱伝導率は少なくとも1方向において150W/m・K以上であることが求められる。黒鉛粒子の熱伝導率の測定方法に特に限定は無いが、具体的には熱伝導性フィラーを溶融等の手法を用いて成形片を作成し(具体的には10mm角の成形片など)、レーザーフラッシュ法を用いて求めることができる。
【0018】
黒鉛粒子の厚みと長軸方向に発生するアスペクト比がある程度ないと、熱伝導率に優れる熱伝導性組成物を得るのが困難になる。逆にアスペクト比が大きくなりすぎると、充填性が悪くなり、熱伝導性フィラーの併用効果が小さくなる。黒鉛粒子のアスペクト比は10〜50であり、より好ましくは10〜30以下である。
【0019】
黒鉛粒子の平均粒子径は1〜20μmである。平均粒子径が1μmを下回ると、マトリクスと分散した時の粘度が高くなり、黒鉛粒子をマトリクスに均一に分散するのが困難となり、熱伝導率や電気比抵抗の均一性に優れる熱伝導性組成物を得るのが困難になる。平均粒子径が20μmを超えると、黒鉛粒子がピッチ系黒鉛化短繊維同士の隙間に充填されにくくなって分散性が低下する事になり、熱伝導率や電気比抵抗のばらつきが大きくなる。好ましくは3〜15μmである。
【0020】
前述の熱伝導率、アスペクト比、平均粒子径を満足する黒鉛粒子として特に限定は無いが、好ましい具体例として天然黒鉛として鱗状黒鉛(塊状黒鉛、鱗片状黒鉛)および土状黒鉛、膨張黒鉛、人造黒鉛として熱分解黒鉛等が挙げられるが、好ましくは鱗片黒鉛が挙げられる。
【0021】
黒鉛粒子に含まれる硫黄元素の含有量が100ppm未満であることが望ましい。更に好ましくは50ppm未満である。LED照明などの電気機器は、特にLED照明は硫黄の不純物があると、LED素子の劣化による輝度低下の恐れがある。従って、硫黄は少ない方が好ましい。硫黄の不純物量を制御する方法として特に限定は無いが、洗浄による除去法、加熱による揮発除去法が挙げられる。中でも加熱除去法は、黒鉛粒子の内部まで不純物を除去し、更に黒鉛化度を均一にできる効果もあるため好ましい。
【0022】
黒鉛粒子に含まれる塩素元素の含有量が100ppm未満であることが望ましい。更に好ましくは50ppm未満である。LED照明などの電気機器は、特にLED照明は塩素の不純物があると、LED素子の劣化による輝度低下の恐れがある。従って塩素は少ない方が好ましい。塩素の不純物量を制御する方法として特に限定は無いが、洗浄による除去法、加熱による揮発除去法が挙げられる。中でも加熱除去法は、黒鉛粒子の内部まで不純物を除去し、更に黒鉛化度を均一にできる効果もあるため好ましい。
【0023】
本発明の熱伝導性組成物は、ピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し、黒鉛粒子を40〜600重量部含む。ピッチ系黒鉛化短繊維と黒鉛粒子の添加量がこの比にある時、黒鉛粒子、ピッチ系黒鉛化短繊維を単独で使用した時と比較して熱伝導率や電気比抵抗の均一性に優れた熱伝導性組成物が得られる。黒鉛粒子が40重量部以下の場合、ピッチ系黒鉛化短繊維の間に充填される黒鉛粒子が減少し、熱伝導率や電気比抵抗の均一性が低下する。黒鉛粒子が600重量部を超える場合、黒鉛粒子とピッチ系黒鉛化短繊維が分離する様になり、熱伝導率や電気比抵抗の均一性が低下する。より好ましくはピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し、黒鉛粒子を60〜550重量部含むことである。
【0024】
本発明の熱伝導性組成物は、マトリクス成分100重量部に対し、ピッチ系黒鉛化短繊維と黒鉛粒子の合計が50〜150重量部含まれる。ピッチ系黒鉛化短繊維と黒鉛粒子の合計が50重量部未満だと、熱伝導性が期待できない。逆にピッチ系黒鉛化短繊維と黒鉛粒子の合計が150重量部を超えると、熱伝導性組成物の流動性が低くなり、成形性が低下する傾向にある。より好ましくは50〜100重量部である。
【0025】
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、充填させたときの成形性や熱伝導性の発現等の観点から、特定の形状のピッチ系黒鉛化短繊維を用いることが好ましい。
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が2〜20μmであることが好ましい。D1が2μmを下回る場合、樹脂と複合する際に当該短繊維の本数が多くなるため、熱伝導性組成物の粘度が高くなり、熱伝導性フィラーの添加量が不十分になることがある。逆にD1が20μmを超えると、マトリクスと複合する際に短繊維の本数が少なくなるため、当該短繊維同士が接触しにくくなり、熱伝導性組成物とした時に効果的な熱伝導を発揮しにくくなることがある。D1の好ましい範囲は5〜15μmであり、より好ましくは7〜13μmである。
【0026】
ピッチ系黒鉛化短繊維は、一般的には平均繊維長1mm未満からなるミルドファイバーと平均繊維長1mm以上10mm未満からなるカットファイバーの2種類がある。ミルドファイバーの外観は粉状のため分散性に優れ、カットファイバーの外観は繊維状に近いため、繊維同士の接触が得られやすい特徴がある。
【0027】
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維はミルドファイバー、カットファイバー共に含み、その平均繊維長(L1)は、400超〜10000μmであることが好ましい。ここで、平均繊維長は個数平均繊維長とし、光学顕微鏡下で測長器を用い、複数の視野において所定本数を測定し、その平均値から求めることができる。L1が400μm以下の場合、繊維長のRR均等数が1.65を上回るようになり、均一な熱伝導率、電気比抵抗を有する熱伝導性組成物を得るのが期待しにくくなる。逆に10000μmより大きくなる場合、熱伝導性組成物を製造する際に、ピッチ系黒鉛化短繊維と黒鉛粒子を均一にブレンドする事が困難になり、均一な熱伝導性を有する熱伝導性組成物を得るのが困難になる。より好ましくは、400〜6000μmの範囲である。この様なピッチ系黒鉛化短繊維を得る手法として特に制限はないがミリングの条件、すなわちカッター等で粉砕する際の、カッターの回転速度、滞留時間、クラッシャーの衝突回数を調節すること等により平均繊維長を制御することができる。また、ミリング後のピッチ系炭素短繊維から、篩等の分級操作を行って、短い繊維長または、長い繊維長のピッチ系炭素短繊維を除去することにより調整することができる。なお、混練前のピッチ系黒鉛化短繊維の繊維長分布に特に限定は無いが、RR均等数が1.40以上である事が好ましい。
【0028】
本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維は、黒鉛結晶からなり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが30nm以上であることが好ましい。結晶子サイズは六角網面の成長方向のいずれも、黒鉛化度に対応するものであり、熱物性を発現するためには、一定サイズ以上が必要である。六角網面の成長方向の結晶子サイズは、X線回折法で求めることができる。測定手法は集中法とし、解析手法としては学振法が好適に用いられる。六角網面の成長方向の結晶子サイズは、(110)面からの回折線を用いて求めることができる。
【0029】
ピッチ系黒鉛化短繊維に含まれる硫黄元素の含有量が100ppm未満であることが望ましい。更に好ましくは50ppm未満である。LED照明などの電気機器は、特にLED照明は硫黄の不純物があると、LED素子の劣化による輝度低下の恐れがある。従って、硫黄は少ない方が好ましい。硫黄の不純物量を制御する方法として特に限定は無いが、洗浄による除去法、加熱による揮発除去法が挙げられる。中でも加熱除去法は、黒鉛粒子の内部まで不純物を除去し、更に黒鉛化度を均一にできる効果もあるため好ましい。
【0030】
ピッチ系黒鉛化短繊維に含まれる塩素元素の含有量が100ppm未満であることが望ましい。更に好ましくは50ppm未満である。LED照明などの電気機器は、特にLED照明は塩素の不純物があると、LED素子の劣化による輝度低下の恐れがある。従って塩素は少ない方が好ましい。塩素の不純物量を制御する方法として特に限定は無いが、洗浄による除去法、加熱による揮発除去法が挙げられる。中でも加熱除去法は、黒鉛粒子の内部まで不純物を除去し、更に黒鉛化度を均一にできる効果もあるため好ましい。
【0031】
以下本発明の組成物を構成するピッチ系炭素短繊維の好ましい製造法について述べる。
本発明で用いられるピッチ系炭素短繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でも、特にメソフェーズピッチが好ましい。メソフェーズピッチのメソフェーズ率としては少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上である。なお、メソフェーズピッチのメソフェーズ率は、溶融状態にあるピッチを偏光顕微鏡で観察することで確認出来る。
【0032】
更に、原料ピッチの軟化点としては、230℃以上340℃以下が好ましい。不融化処理は、軟化点よりも低温で処理する必要がある。このため、軟化点が230℃より低いと、少なくとも軟化点未満の低い温度で不融化処理する必要があり、結果として不融化に長時間を要するため好ましくない。一方、軟化点が340℃を超えると、紡糸に340℃を超える高温が必要となり、ピッチの熱分解を引き起こし、発生したガスで糸に気泡が発生するなどの問題を生じるため好ましくない。軟化点のより好ましい範囲は250℃以上320℃以下、更に好ましくは260℃以上310℃以下である。なお、原料ピッチの軟化点はメトラー法により求めることが出来る。原料ピッチは、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。組み合わせる原料ピッチのメソフェーズ率は少なくとも90%以上であり、軟化点が230℃以上340℃以下であることが好ましい。
【0033】
メソフェーズピッチは溶融法により紡糸され、その後不融化、炭化、粉砕、黒鉛化によってピッチ系黒鉛化短繊維となる。場合によっては、粉砕の後、分級工程を入れることもある。
【0034】
以下各工程の好ましい態様について説明する。
紡糸方法には、特に制限はないが、所謂溶融紡糸法を適応することができる。具体的には、口金から吐出したメソフェーズピッチをワインダーで引き取る通常の紡糸延伸法、熱風をアトマイジング源として用いるメルトブロー法、遠心力を利用してメソフェーズピッチを引き取る遠心紡糸法などが挙げられる。中でもピッチ系炭素繊維前駆体の形態の制御、生産性の高さなどの理由からメルトブロー法を用いることが望ましい。このため以下本発明におけるピッチ系黒鉛化短繊維の製造方法に関してはメルトブロー法について記載する。
【0035】
ピッチ系炭素繊維前駆体を形成する紡糸ノズルの形状はどのようなものであっても良い。通常真円状のものが使用されるが、適時楕円などの異型形状のノズルを用いても何ら問題ない。ノズル孔の長さ(LN)と孔径(DN)の比(LN/DN)としては、2〜20の範囲が好ましい。LN/DNが20を超えると、ノズルを通過するメソフェーズピッチに強いせん断力が付与され、繊維断面にラジアル構造が発現する。ラジアル構造の発現は、黒鉛化の過程で繊維断面に割れを生じさせることがあり、機械特性の低下を引き起こすことがあるため好ましくない。一方、LN/DNが2未満では、原料ピッチにせん断を付与することが出来ず、結果として黒鉛の配向が低いピッチ系炭素繊維前駆体となる。このため、黒鉛化しても黒鉛化度を十分に上げることが出来ず、熱伝導性を向上させ難く好ましくない。機械強度と熱伝導性の両立を達成するには、メソフェーズピッチに適度のせん断を付与する必要がある。このため、ノズル孔の長さ(LN)と孔径(DN)の比(LN/DN)は2〜20の範囲が好ましく、更には3〜12の範囲が特に好ましい。
【0036】
紡糸時のノズルの温度、メソフェーズピッチがノズルを通過する際のせん断速度、ノズルからブローされる風量、風の温度等についても特に制約はなく、安定した紡糸状態が維持できる条件、即ち、メソフェーズピッチのノズル孔での溶融粘度が1〜100Pa・sの範囲にあれば良い。
【0037】
ノズルを通過するメソフェーズピッチの溶融粘度が1Pa・s未満の場合、溶融粘度が低すぎて糸形状を維持することが出来ず好ましくない。一方、メソフェーズピッチの溶融粘度が100Pa・sを超える場合、メソフェーズピッチに強いせん断力が付与され、繊維断面にラジアル構造を形成するため好ましくない。メソフェーズピッチに付与するせん断力を適切な範囲にせしめ、かつ繊維形状を維持するためには、ノズルを通過するメソフェーズピッチの溶融粘度を制御する必要がある。このため、メソフェーズピッチの溶融粘度を1〜100Pa・sの範囲にするのが好ましく、更には3〜30Pa・sの範囲にすることが好ましく、5〜25Pa・sの範囲にすることが更に好ましい。
【0038】
本発明のピッチ系黒鉛化短繊維は、平均繊維径(D1)が2〜20μm以下であることを特徴とするが、ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径の制御は、ノズルの孔径を変更する、あるいはノズルからの原料ピッチの吐出量を変更する、あるいはドラフト比を変更することで調整可能である。ドラフト比の変更は、100〜400℃に加温された毎分100〜20000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって達成することができる。吹き付けるガスに特に制限は無いが、コストパフォーマンスと安全性の面から空気が望ましい。
【0039】
ピッチ系炭素繊維前駆体は、金網等のベルトに捕集されピッチ系炭素繊維前駆体ウェブとなる。その際、ベルト搬送速度により任意の目付量に調整できるが、必要に応じ、クロスラップ等の方法により積層させてもよい。ピッチ系炭素繊維前駆体ウェブの目付量は生産性及び工程安定性を考慮して、150〜1000g/mが好ましい。
【0040】
このようにして得られたピッチ系炭素繊維前駆体ウェブは、公知の方法で不融化処理し、ピッチ系不融化繊維ウェブにする。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いた酸化性雰囲気下で実施できるが、安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが望ましい。また、バッチ処理、連続処理のどちらでも処理可能であるが、生産性を考慮すると連続処理が望ましい。不融化処理は150〜350℃の温度で、一定時間の熱処理を付与することで達成される。より好ましい温度範囲は、160〜340℃である。昇温速度は1〜10℃/分が好適に用いられ、連続処理の場合は任意の温度に設定した複数の反応室を順次通過させることで、上記昇温速度を達成できる。昇温速度のより好ましい範囲は、生産性及び工程安定性を考慮して、3〜9℃/分である。
【0041】
ピッチ系不融化繊維ウェブは、600〜2000℃の温度で、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスを用いた非酸化性雰囲気中で炭化処理され、ピッチ系炭素繊維ウェブになる。炭化処理は、コスト面を考慮して、常圧かつ窒素雰囲気下での処理が望ましい。また、バッチ処理、連続処理のどちらでも処理可能であるが、生産性を考慮すれば連続処理が望ましい。
【0042】
炭化処理されたピッチ系炭素繊維ウェブは、所望の繊維長にするために、切断、破砕・粉砕等の処理が実施される。また、場合によっては、分級処理が実施される。処理方式は所望の繊維長に応じて選定されるが、切断にはギロチン式、1軸、2軸及び多軸回転式等のカッターが好適に使用され、破砕、粉砕には衝撃作用を利用したハンマ式、ピン式、ボール式、ビーズ式及びロッド式、粒子同士の衝突を利用した高速回転式、圧縮・引裂き作用を利用したロール式、コーン式及びスクリュー式等の破砕機・粉砕機等が好適に使用される。所望の繊維長を得るために、切断と破砕・粉砕を多種複数機で構成してもよい。処理雰囲気は湿式、乾式のどちらでもよい。分級処理には、振動篩い式、遠心分離式、慣性力式、濾過式等の分級装置等が好適に使用される。所望の繊維長は、機種選定のみならず、ロータ・回転刃等の回転数、供給量、刃間クリアランス、系内滞留時間等を制御することによっても得ることができる。また、分級処理を用いる場合には、所望の繊維長は篩い網孔径等を調整することによっても得ることができる。
【0043】
上記の切断、破砕・粉砕処理、場合によっては分級処理を併用して作成したピッチ系炭素短繊維は、2000〜3500℃に加熱し黒鉛化して最終的なピッチ系黒鉛化短繊維とする。黒鉛化は、アチソン炉、電気炉等にて実施され、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスを用いた非酸化性雰囲気下等で実施される。
【0044】
本発明においてピッチ系黒鉛化短繊維は、マトリクス成分との親和性をより高め、ハンドリング性の向上を目的として、表面処理やサイジング処理をしても良い。また、必要に応じて表面処理した後にサイジング処理をしても良い。表面処理の方法として特に限定は無いが、具体的には、電着処理、めっき処理、オゾン処理、プラズマ処理、酸処理などが挙げられる。サイジング処理に用いるサイジング剤に特に限定は無いが、具体的にはエポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、酢酸ビニル、アルコール、グリコールを単独又はこれらの混合物で用いることができる。サイジング剤はフィラーに対し0.01〜10重量%、付着させても良い。しかし、サイジング剤付着ピッチ系炭素繊維フィラーは活性点を持つ可能性もあることから、サイジング処理は極力少ないことが好ましい。好ましい付着量は0.1〜2.5重量%である。
【0045】
本発明の熱伝導性組成物は、ピッチ系黒鉛化短繊維とマトリクスとを混合して作製するが、混合の際には、ニーダー、各種ミキサー、ブレンダー、ロール、押出機、ミリング機、自公転式の撹拌機などの混合装置又は混練装置が好適に用いられる。
【0046】
本発明の熱伝導性組成物の熱伝導率をより高めるために、上記ピッチ系黒鉛化短繊維および黒鉛粒子のフィラー以外の化合物を必要に応じてこれらを機能に応じて適宜添加してもよい。具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、などの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、窒化ホウ素などの金属窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、炭化珪素などの金属炭化物、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属もしくは金属合金、などが挙げられる。また熱伝導率やアスペクト比が上記の範囲以外である天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ダイヤモンドなどの炭素材料も必要に応じて適宜添加してもよい。また、2種類以上併用することも可能である。ただ、上記化合物は、密度がピッチ系黒鉛化短繊維より大きなものが多く、軽量化を目的とするときには、添加量や添加比率に気を配る必要がある。
【0047】
また、必要に応じて他の添加剤を複数、組成物に添加しても構わない。他の添加剤としては離型剤、難燃剤、乳化剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等を挙げることができる。赤外線吸収剤は波長750nm〜50000nm、特に好ましくは3000〜30000nmの赤外光に対して、光吸収率の高いものが好ましく用いられる。また更には可視域の光吸収剤として公知の顔料、染料等を挙げる事ができる。中でも、難燃剤はLED照明など高温を発生する電気機器の安全性を維持するためにも、使用されるのが好ましい。
【0048】
マトリクス成分は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、アラミド樹脂、およびゴムからなる群から選択される少なくとも1種である。複合成形体に所望の物性を発現させるために熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を適宜混合して用いることもできる。
【0049】
マトリクス成分に用いることができる熱可塑性樹脂としてポリオレフィン類及びその共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体など)、ポリメタクリル酸類及びその共重合体(ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステルなど)、ポリアクリル酸類及びその共重合体、ポリアセタール類及びその共重合体、フッ素樹脂類及びその共重合体(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエステル類及びその共重合体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、液晶性ポリマーなど)、ポリスチレン類及びその共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂など)、ポリアクリロニトリル類及びその共重合体、ポリフェニレンエーテル(PPE)類及びその共重合体(変性PPE樹脂なども含む)、脂肪族ポリアミド類及びその共重合体、ポリカーボネート類及びその共重合体、ポリフェニレンスルフィド類及びその共重合体、ポリサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルニトリル類及びその共重合体、ポリエーテルケトン類及びその共重合体、ポリエーテルエーテルケトン類及びその共重合体、ポリケトン類及びその共重合体、エラストマー、液晶性ポリマー、ポリイミド類及びその共重合体等が挙げられる。これらから一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0050】
熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度は、120℃以上が望ましい。LED照明など高温を発生する電気機器において、高温発生時に電気機器が変形するのを防ぐことができる。好ましくは130℃以上である。この物性を満足する熱可塑性樹脂として特に限定は無いが、具体的にはポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリアミド、ポリエーテルサルホン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0051】
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド類、熱硬化型変性PPE類、および熱硬化型PPE類などが挙げられ、これらから一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0052】
アラミド樹脂としてはテレフタル酸および/またはイソフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸成分と、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも一種の芳香族ジアミン成分に由来する全芳香族ポリアミド、および芳香族ポリアミドイミド類及びその共重合体が例示される。
【0053】
ゴムとしては特に限定は無いが天然ゴム(NR)、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBRゴム)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム及びその共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴムなどがある。
【0054】
本発明の熱伝導組成物の用途は、電気機器の放熱部材等がある。例えば、本発明の熱伝導性組成物は、LED照明等の発熱性電気機器からの熱を放出する、放熱筐体や放熱フィン等の放熱部品に使用される。これによって、発熱性電気機器からの熱の拡散が良好となり、長期的に発熱性電気機器の長寿命化に貢献できる。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
【0056】
(1)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は、JIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
【0057】
(2)ピッチ系黒鉛化短繊維の個数平均繊維長は、セイシン企業製PITA1を用いて繊維長1μm以上のもの3000本測定し、その平均値から求めた。
【0058】
(3)ピッチ系黒鉛化短繊維の結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
【0059】
(4)ピッチ系黒鉛化短繊維の端面は、透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大し、グラフェンシートを確認した。
【0060】
(5)ピッチ系黒鉛化短繊維の表面は走査型電子顕微鏡で1000倍の倍率で観察し、凹凸を確認した。
【0061】
(6)ピッチ系黒鉛化短繊維の熱伝導率は、電気比抵抗を粉砕工程以外を同じ条件で作成した、ピッチ系黒鉛化短繊維の両端の距離が1cmになるように銀ペーストを用いて固定し、両端の電気抵抗をテスターで20本測定し、ピッチ系黒鉛化短繊維の半径を用いて、計算して求め、熱伝導率と電気比抵抗の下記関係式(特許3648865号参考)から計算により求めた。
K=1272.4/ER−49.4
(Kはピッチ系黒鉛化短繊維の熱伝導率W/(m・K)、ERは炭素繊維の電気比抵抗μΩm)
【0062】
(7)黒鉛粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡で2000倍の倍率で観察し、厚みと長軸の長さを測定し、長軸の長さ/厚みから算出した。
【0063】
(8)黒鉛粒子の平均粒子径は、シスメックス製マスターサイザー2000を用いて、レーザー回折法から求めた。
【0064】
(9)黒鉛粒子、ピッチ系黒鉛化短繊維の硫黄、塩素の含有量は、黒鉛粒子、ピッチ系黒鉛化短繊維を900℃で燃焼分解させた後、発生したガスを吸収液に吸収させて、ダイオネクス製ICS−1500を用いて、イオンクロマトグラフ法から求めた。
【0065】
(10)マトリクスの荷重たわみ温度は、JIS K7191−2に準じ、東洋精機製作所製HDTテスターA−3M(0.45MPa)を用いて求めた。
【0066】
(11)熱伝導性組成物の熱伝導率及びばらつき(平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値))は、NETZSCH製LFA−447を用いて、レーザーフラッシュ法より面内方向の熱伝導率を10点測定し、算出した。
【0067】
(12)熱伝導性組成物の電気比抵抗及びばらつき(平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値))は、三菱化学アナリテック製ロレスタEPを用いて、30点測定し算出した。
【0068】
(13)熱伝導性組成物中の平均繊維長、アスペクト比、繊維長のRR均等数は、熱伝導性組成物を空気気流下で550℃、3時間保持してマトリクス成分を除去した後に、セイシン企業製PITA1を用いて繊維長1μm以上のもの3000本測定し求めた。RR均等数は下記式(1)のRosin−Rammler分布の式から、粒子径を繊維長に置き換えて、算出した。
R(X)=exp{‐(X/Xe)}・・・(1)
(X:粒子径、R(X):粒子径Xより大きな粒子径の比率、Xe:分布の位置を表す代表粒子径(篩上積算の36.8%))
【0069】
[参考例1]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。この時の紡糸温度は328℃であり、溶融粘度は13.5Pa・S(135poise)であった。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付400g/mのピッチ系炭素繊維前駆体からなるピッチ系炭素繊維前駆体ウェブとした。
このピッチ系炭素繊維前駆体ウェブを空気中で170℃から320℃まで平均昇温速度5℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。このピッチ系炭素繊維ウェブをカッター(ターボ工業製)を用いて400rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)は9%であった。個数平均繊維長は500μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nm、熱伝導率は600W/m・Kであった。
また、硫黄、塩素の含有量はそれぞれ硫黄10ppm、塩素5ppmであった。
【0070】
[参考例2]
カッターの回転数を300rpmにした以外は、参考例1と同様にピッチ系黒鉛化短繊維を製造した。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)は9%であった。個数平均繊維長は800μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nm、熱伝導率は600W/m・Kであった。
また、硫黄、塩素の含有量はそれぞれ硫黄10ppm、塩素5ppmであった。
【0071】
[参考例3]
カッターの回転数を850rpmにした以外は、参考例1と同様にピッチ系黒鉛化短繊維を製造した。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)は9%であった。個数平均繊維長は90μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nm、熱伝導率は600W/m・Kであった。
また、硫黄、塩素の含有量はそれぞれ硫黄10ppm、塩素5ppmであった。
【0072】
[実施例1]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)75重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は14.7W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は9%であった。電気比抵抗は2.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0073】
[実施例2]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)100重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維20重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は21.0W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は13%であった。電気比抵抗は5.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は25%であった。
【0074】
[実施例3]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)60重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維20重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は15.2W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は12%であった。電気比抵抗は2.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0075】
[実施例4]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(西村黒鉛製:PC−7、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比30、平均粒子径10μm、硫黄80ppm、塩素5ppm)75重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は13.9W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は12%であった。電気比抵抗は3.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0076】
[実施例5]
鱗片黒鉛(西村黒鉛製:PS−99、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比30、平均粒子径10μm、硫黄800ppm、塩素20ppm)を2500℃で処理し、硫黄30ppm、塩素10ppmの鱗片黒鉛を得た。
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と上記の加熱除去を施した鱗片黒鉛75重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は13.7W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は12%であった。電気比抵抗は3.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0077】
[実施例6]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は12.5W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は10%であった。電気比抵抗は8.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は30%であった。
【0078】
[実施例7]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)40重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維20重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は10.8W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は13%であった。電気比抵抗は9.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は25%であった。
【0079】
[実施例8]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)20重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維40重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は16.2W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は9%であった。電気比抵抗は6.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は25%であった。
【0080】
[実施例9]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)70重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は19.5W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は13%であった。電気比抵抗は4.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は30%であった。
【0081】
[実施例10]
ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス製:300FP、荷重たわみ温度150℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)15重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維75重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は14.5W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は15%であった。電気比抵抗は2.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0082】
[実施例11]
ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス製:300FP、荷重たわみ温度150℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は13.9W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は12%であった。電気比抵抗は8.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は25%であった。
【0083】
[実施例12]
6,6−ナイロン(旭化成ケミカルズ製:1300S、荷重たわみ温度230℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)15重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維75重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は13.9W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は10%であった。電気比抵抗は3.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0084】
[実施例13]
6,6−ナイロン(旭化成ケミカルズ製:1300S、荷重たわみ温度250℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は14.7W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は15%であった。電気比抵抗は7.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は30%であった。
【0085】
[実施例14]
ポリフェニレンサルファイド(ポリプラスチックス製:0202C7、荷重たわみ温度
150℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)15重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維75重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は14.0W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は14%であった。電気比抵抗は3.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0086】
[実施例15]
ポリフェニレンサルファイド(ポリプラスチックス製:0202C7、荷重たわみ温度150℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は16.8W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は10%であった。電気比抵抗は2.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は30%であった。
【0087】
[実施例16]
鱗片黒鉛(西村黒鉛製:PS−99、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比30、平均粒子径10μm、硫黄800ppm、塩素20ppm)を2500℃で処理し、硫黄30ppm、塩素10ppmの鱗片黒鉛を得た。
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と上記の加熱除去を施した鱗片黒鉛30重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は12.4W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は10%であった。電気比抵抗は8.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は30%であった。
【0088】
[実施例17]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:MN3600H、荷重たわみ温度125℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は12.9W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は13%であった。電気比抵抗は7.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は30%であった。
【0089】
[実施例18]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)75重量部と参考例2で作成したピッチ系黒鉛化短繊維15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は115μmであり、アスペクト比は11.7であり、RR均等数は1.57であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は14.8W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は10%であった。電気比抵抗は2.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0090】
[実施例19]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部と参考例2で作成したピッチ系黒鉛化短繊維30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は115μmであり、アスペクト比は11.7であり、RR均等数は1.57であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は12.7W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は14%であった。電気比抵抗は7.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は25%であった。
【0091】
[実施例20]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)75重量部とピッチ系黒鉛化短繊維(日本グラファイトファイバー製:XN−100−03M、平均繊維径10μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)3%、平均繊維長3000μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズ50nm、熱伝導率500W/m・K、硫黄10ppm、塩素5ppm)15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は120μmであり、アスペクト比は12.0であり、RR均等数は1.58であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は12.5W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は13%であった。電気比抵抗は5.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0092】
[実施例21]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部とピッチ系黒鉛化短繊維(日本グラファイトファイバー製:XN−100−03M、平均繊維径10μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)3%、平均繊維長3000μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズ50nm、熱伝導率500W/m・K、硫黄10ppm、塩素5ppm)30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は120μmであり、アスペクト比は12.0であり、RR均等数は1.58であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は11.2W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は14%であった。電気比抵抗は2.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0093】
[実施例22]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)75重量部とピッチ系黒鉛化短繊維(日本グラファイトファイバー製:XN−100−06M、平均繊維径10μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)3%、平均繊維長6000μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズ50nm、熱伝導率500W/m・K、硫黄10ppm、塩素5ppm)15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は120μmであり、アスペクト比は12.0であり、RR均等数は1.56であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は12.5W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は13%であった。電気比抵抗は5.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0094】
[実施例23]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部とピッチ系黒鉛化短繊維(日本グラファイトファイバー製:XN−100−06M、平均繊維径10μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)3%、平均繊維長6000μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズ50nm、熱伝導率500W/m・K、硫黄10ppm、塩素5ppm)30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は120μmであり、アスペクト比は12.0であり、RR均等数は1.56であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は11.3W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は11%であった。電気比抵抗は1.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は25%であった。
【0095】
[実施例24]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)75重量部とピッチ系黒鉛化短繊維(三菱樹脂製:K223QG、平均繊維径10μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)3%、平均繊維長6000μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズ30nm、熱伝導率200W/m・K、硫黄10ppm、塩素5ppm)15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は120μmであり、アスペクト比は12.0であり、RR均等数は1.56であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は11.0W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は17%であった。電気比抵抗は9.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は20%であった。
【0096】
[実施例25]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)30重量部とピッチ系黒鉛化短繊維(三菱樹脂製:K223QG、平均繊維径10μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)3%、平均繊維長6000μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズ30nm、熱伝導率200W/m・K、硫黄10ppm、塩素5ppm)30重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は120μmであり、アスペクト比は12.0であり、RR均等数は1.56であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は10.5W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は12%であった。電気比抵抗は4.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は30%であった。
【0097】
[比較例1]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度:140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)90重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は8.8W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は25%であった。電気比抵抗は4.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は60%であった。
【0098】
[比較例2]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度:140℃)100重量部と参考例1で作成したピッチ系黒鉛化短繊維90重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は110μmであり、アスペクト比は11.2であり、RR均等数は1.60であった。熱伝導性組成物の粘度は、250Pa・sであった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は13.8W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は20%であった。電気比抵抗は2.0×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は50%であった。
【0099】
[比較例3]
難燃グレードのポリカーボネート(帝人化成製:LN2520、荷重たわみ温度140℃)100重量部と鱗片黒鉛(TIMCAL製:KS−15、熱伝導率200W/m・K、アスペクト比27、平均粒子径8μm、硫黄25ppm、塩素1ppm)75重量部と参考例3で作成したピッチ系黒鉛化短繊維15重量部とを二軸混練機(栗本鐵工所製)を用いて混合し熱伝導性組成物を得た。
熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は80μmであり、アスペクト比は8.0であり、RR均等数は1.90であった。
熱伝導性組成物を射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み2mmの熱伝導性成形体を得た。
熱伝導率は14.4W/m・Kであり、平均熱伝導率に対する熱伝導率分散の比(CV値)は25%であった。電気比抵抗は3.5×10Ω/□であり、平均電気比抵抗に対する電気比抵抗分散の比(CV値)は80%であった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の熱伝導性組成物は、熱伝導性、電気比抵抗の均一性に優れ、LED照明等の発熱性電気機器からの熱を拡散する放熱筐体や放熱フィン等の高い放熱特性が要求される場所に用いることが可能であり、サーマルマネージメントを確実なものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス成分、ピッチ系黒鉛化短繊維、黒鉛粒子を含む熱伝導性組成物であって、熱伝導性組成物中のピッチ系黒鉛化短繊維は、熱伝導率が150W/m・K以上であり、アスペクト比が6〜40であり、繊維長のRR均等数は1.65以下であり、黒鉛粒子は、熱伝導率が少なくとも1方向に150W/m・K以上であり、厚みと長軸方向に発生するアスペクト比が10〜50であり、平均粒子径が1〜20μmであり、ピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し黒鉛粒子を40〜600重量部含み、マトリクス成分100重量部に対し、ピッチ系黒鉛化短繊維及び黒鉛粒子の合計が50〜150重量部含まれていることを特徴とする熱伝導性組成物。
【請求項2】
黒鉛粒子が、膨張黒鉛および鱗片黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の熱伝導性組成物。
【請求項3】
該黒鉛粒子に含まれる硫黄元素の含有量が100ppm未満である請求項1〜2のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
【請求項4】
該黒鉛粒子に含まれる塩素元素の含有量が100ppm未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
【請求項5】
該ピッチ系黒鉛化短繊維に含まれる硫黄元素の含有量が100ppm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
【請求項6】
該ピッチ系黒鉛化短繊維に含まれる塩素元素の含有量が100ppm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
【請求項7】
マトリクス成分が熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、アラミド樹脂、およびゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
【請求項8】
該熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、脂肪族ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項7に記載の熱伝導性組成物。
【請求項9】
該熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度が120℃以上であることを特徴とする請求項8に記載の熱伝導性組成物。
【請求項10】
該熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型変性PPE樹脂、熱硬化型PPE類、ポリイミド樹脂及びその共重合体、芳香族ポリアミドイミド樹脂及びその共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項7に記載の熱伝導性組成物。
【請求項11】
該ゴムが、天然ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、およびブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項7に記載の熱伝導性組成物。
【請求項12】
メソフェーズピッチを原料とし、平均繊維径が2〜20μmであり、個数平均繊維長が400超〜10000μmであり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが30nm以上であるピッチ系黒鉛化短繊維を用いる請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物を、成形してなる熱伝導性成形体。

【公開番号】特開2012−188488(P2012−188488A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51352(P2011−51352)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】