説明

熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材

【課題】表面の滑性、表面感触、擦傷性、耐摩耗性及び耐薬品性、要すれば均一な艶消し効果にも優れるトップコート層を有する熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材であることに加え、二酸化炭素を炭素原料にすることができる、温暖化ガス削減の観点から優れた環境対応製品である熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材を提供すること。
【解決手段】熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、又は、上記シート上に形成されたプライマー層を介して形成されたトップコート層のいずれかを有し、且つ、トップコート層が、下記一般式(1)で表される5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなる熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の内装材や家電部品などに使用される熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材に関し、特に、滑性、表面感触、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性に優れ、また、均一な艶消し皮膜の形成が可能な熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内装材(インストルメントパネル、ドアトリムなど)や家電部品は、近年のゴミ問題および環境問題に鑑み、使用後の廃材をできるだけ低減するため、これら部材のリサイクル化が強く望まれている。この観点から、近年、熱可塑性ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等が、車両内装材や家電部品の表皮材などとして使用されている。しかしながら、これらの熱可塑性ポリオレフィンは、表面の接着性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性が、従来使用されていた塩化ビニル樹脂などに比べ劣るため、これらの性能向上を目的として塗装を施す必要がある。また、高級感を与えるために意匠性を持たせたり、特に自動車内装材の場合には、意匠性だけでなく、運転者への防眩性の配慮などを考える必要もある。このため、熱可塑性ポリオレフィン基材に種々の塗装を施してトップコート層を形成することで、より良好な表皮材とするための機能付与が行われている。
【0003】
この場合に使用される塗料には、下記のものなどが用いられ、種々の検討がなされている。例えば、PP樹脂、TPO樹脂などのポリオレフィン系樹脂に対して接着性の良い、塩素化ポリプロピレン変性アクリル樹脂をバインダー樹脂として用い、これに無機系体質顔料(シリカ、タルク)、アクリル樹脂粒子などの艶消し剤を配合した塗料を用いることや、塩素化ポリプロピレン系プライマーを塗布し、その上にポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を有する塗料を塗布する方法が提案されてきた。
【0004】
近年、リサイクル化とは別の環境問題として、増加の一途をたどる二酸化炭素の排出に起因すると考えられる地球の温暖化が世界的な問題となっており、二酸化炭素の排出量低減は、全世界的に重要な課題であり、二酸化炭素を製造原料とできる技術は待望されている。さらに、枯渇性石化資源(石油)問題の観点からも、バイオマス、メタンなどの再生可能資源への転換が世界的潮流となっている。
【0005】
このような状況下、最近では、前記した熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材の分野でも、環境対策に積極的に取り組むメーカーが多くなり、環境保全性に優れた材料を用いて製品を構成する動きがある。例えば、前記塗料に使用する有機溶剤から特定の溶剤(トルエンなど)を選択しない検討や、有機溶剤の代わりに水系樹脂を使用してVOC(揮発性有機化合物)排出量をできるだけ抑制する検討も盛んに行われているが、現在の地球規模での環境保全を実現するといった面からは、まだ不十分である(特許文献1〜3)。
【0006】
ここで、非特許文献1、2に見られるように、二酸化炭素を製造原料とするポリヒドロキシポリウレタン樹脂については以前から知られているが、その応用展開は進んでいないのが実情である。それは、従来から知られている上記の樹脂は、その特性面で、従来の石化系の高分子化合物(石化プラスチック)のポリウレタン系樹脂に比べて明らかに劣るからである(特許文献4、5参照)。
【0007】
近年における、二酸化炭素の排出量低減が世界的な課題となっている背景下、再び、このポリヒドロキシポリウレタン樹脂が見直されている。すなわち、この樹脂を構成する5員環環状カーボネート化合物の原料である二酸化炭素は、容易に入手可能で且つ持続可能な炭素資源であり、石油資源に代替した二酸化炭素を炭素原料とできるプラスチックは、上記した地球温暖化、資源枯渇などの問題を解決する有効な手段となり得るからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−307015公報
【特許文献2】特開2004−51901公報
【特許文献3】特開2006−176615公報
【特許文献4】米国特許第3,072,613号明細書
【特許文献5】特開2000−319504号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】N.Kihara,T.Endo,J.Org.Chem.,1993,58,6198
【非特許文献2】N.Kihara,T.Endo,J.Polymer Sci.,PartA Polmer Chem.,1993,31(11),2765
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況下、前記した車両内装材や家電部品に使用される熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材に関しても、より一層の表面の耐擦傷性、耐摩耗性および耐薬品性、更には、必要とあれば均一な艶消し効果にも優れると共に、地球規模での環境保全性を持った環境対応製品の開発が要望されている。
したがって、本発明の目的は、上記した優れた特性を有する熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材であることに加え、二酸化炭素を炭素原料にして得ることができる、優れた環境対応製品である熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、又は、上記シート上に形成されたプライマー層を介して形成されたトップコート層のいずれかを有し、且つ、トップコート層が、下記一般式(1)で表される5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなることを特徴とする熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材を提供する。

式中のR1は炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
【発明の効果】
【0012】
上記した本発明によれば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材を構成するトップコート層の形成材料に特定のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いることにより、滑性、表面感触、耐擦傷性、耐摩耗性および耐薬品性、要すれば均一な艶消し効果に優れると共に、二酸化炭素を樹脂中に取り入れ固定した材料を形成材料に利用できることから、温暖化ガスとして世界的に問題視されている二酸化炭素削減にも寄与することが可能な、環境対応製品でもある熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エポキシ変性ポリシロキサンの赤外吸収スペクトル。
【図2】5員環環状カーボネートポリシロキサンの赤外吸収スペクトル。
【図3】5員環環状カーボネートポリシロキサンのGPC溶出曲線(移動相:THF、カラム:TSK−Gel GMHXL+G2000HXL+G3000HXL、検出器:IR)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材は、該樹脂シート上に直接塗布形成されたトップコート層を有するか、或いは、該樹脂シート上に塗布されたプライマー層と、該プライマー層上に塗布形成されたトップコート層とを有するものである。そして、上記トップコート層を構成する高分子化合物として、前記の一般式(1)で表される5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂(以下、単に「本発明で使用する樹脂」或いは「本発明の樹脂」とも呼ぶ)を用いることを特徴とする。
【0015】
本発明で使用される樹脂を形成するための上記一般式(1)で表される5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、例えば、下記[式−A]で示されるように、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて製造することができる。更に詳しくは、エポキシ変性ポリシロキサン化合物を、有機溶媒の存在下又は不存在下及び触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で常圧又は僅かに高められた圧力下、10〜20時間、二酸化炭素と反応させることによって得ることができる。
【0016】

【0017】
本発明で使用するエポキシ変性ポリシロキサン化合物としては、例えば、次のような化合物が例示できる。
【0018】

【0019】
ここで列記したエポキシ変性ポリシロキサン化合物は、本発明において使用する好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
【0020】
本発明に用いる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、上記のようなエポキシ変性ポリシロキサン化合物と、二酸化炭素との反応によって得ることができる。この反応に使用できる触媒として、塩基触媒及びルイス酸触媒が挙げられる。上記塩基触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの第三級アミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピリジンなどの環状アミン類、リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄などの金属酢酸塩類、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩類が挙げられる。
【0021】
また、ルイス酸触媒としては、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オクトエートなどの錫化合物が挙げられる。
【0022】
これらの触媒の使用量は、エポキシ変性ポリシロキサン化合物50質量部当たり、0.1〜100質量部、好ましくは0.3〜20質量部とすればよい。上記の使用量が0.1質量部未満では、触媒としての効果が小さく、多過ぎると最終樹脂の諸性能を低下させるおそれがあるので好ましくない。従って、残留触媒が重大な性能低下を引き起こすような場合は、純水で洗浄して残留触媒を除去してもよい。
【0023】
エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素の反応において使用できる有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、これら有機溶剤と他の貧溶剤、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノンなどの混合系で使用してもよい。
【0024】
本発明で使用する樹脂は、下記[式−B]で示されるように、例えば、上記反応で得た5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物と、アミン化合物とを、有機溶媒の存在下、20℃〜150℃の温度下で反応させることで得ることができる。
【0025】

【0026】
上記反応に使用するアミン化合物としては、例えば、ジアミンが好ましく、従来ポリウレタン樹脂の製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4’−ジアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン;モノエタノールジアミン、エチルアミノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンなどのアルカノールジアミンが挙げられる。更にその他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
【0027】
本発明で使用する、上記のようにして得ることができるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、樹脂中におけるポリシロキサンセグメントの占める割合が、樹脂分子に対する該セグメントの含有量で、1〜75質量%となるものであることが好ましい。すなわち、1質量%未満ではポリシロキサンセグメントに基づく表面エネルギーに伴う機能の発現が不十分となるので好ましくない。また、75質量%を超えると、ポリヒドロキシウレタン樹脂の機械強度、耐摩耗性などの性能が不十分となるので好ましくない。より好ましくは、2〜60質量%であり、さらには5〜30質量%であることがより好ましい。
【0028】
また、本発明で用いる上記樹脂は、その数平均分子量(GPCで測定した、標準ポリスチレン換算値)が、2,000〜100,000程度であることが好ましく、より好ましくは5,000〜70,000程度である。
【0029】
本発明においては、上記のようなポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いてトップコート層を形成する際に、使用する樹脂組成物中に、用途に応じては、防眩性などを配慮して艶消剤を配合してもよい。また、艶消剤としては、有機系微粉末或いは無機系微粉末から選ばれる一種又は二種以上の組み合わせからなる物質を使用することができる。この際に用いる有機系微粉末としては、特に制限されるものではないが、例えば、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、アクリル−ポリウレタン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子などを使用することができる。これらの粉末は、粒子の平均粒径が0.1〜10μmの範囲のものが好ましい。また、その形状は、形成される塗膜の艶消性が特に優れることから、球状又は略球状のものが実用上好ましい。
【0030】
また、無機系微粉末としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデン、水酸化マグネシウム、ベントナイト、黒鉛などが挙げられる。これらの粉末としては、粒子の平均粒径が10μm以下の粒子のものが本発明の目的に則するが、できるだけ小さいほうが好ましい。
【0031】
上記に挙げたような艶消剤の使用量としては、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜150質量部、好ましくは3〜100質量部の範囲で用いるとよい。1質量部未満では艶消効果が十分でなく、また、150質量部を超えると塗膜の機械物性が大きく低下するため好ましくない。
【0032】
本発明で用いるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、前記した一般式(1)で表される5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物と、アミン化合物との反応から誘導され、この反応の際に水酸基が生成する。この生成した水酸基は、上記樹脂を用いて形成してなるトップコート層を有する本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材に対して更なる性能の向上をもたらす。すなわち、水酸基は親水性を有しているため、該水酸基により、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートに対してのトップコート層の接着性を向上させるとともに、従来品では達成できなかった帯電防止効果も得ることができる。また、該樹脂の構造中の水酸基と、該樹脂に添加した架橋剤などとの反応を利用すれば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材製品において、更なる、表面の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性などの向上を図ることができる。
【0033】
本発明で用いるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基価は、20〜300mgKOH/gであることが好ましい。水酸基含有量が上記範囲未満であると、二酸化炭素削減効果が不足であり、一方、上記範囲を超えると、高分子化合物としての諸物性不足となる。
【0034】
本発明においては、ポリシロキサン変性ヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする組成物、用途によっては艶消剤を含有する組成物(以下、これらを「樹脂組成物」と略記する)をそのままで使用して熱可塑性ポリオレフィン樹脂シート上に被膜を形成し、トップコート層を設けることができる。さらには、樹脂組成物中に架橋剤を含有させることで、架橋皮膜を形成させるようにすることもできる。この際に使用可能な架橋剤としては、樹脂構造中の水酸基と反応するような架橋剤であればすべて使用できる。例えば、アルキルチタネート化合物やポリイソシアネート化合物などが挙げられるが、従来、ポリウレタン樹脂の架橋に使用されている公知の架橋剤であれば特に限定されない。例えば、下記のような構造式のポリイソシアネートと他の化合物との付加体などが挙げられる。
【0035】

【0036】
また、本発明で用いる樹脂組成物は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂に対するスプレー適性およびコーティング適性、成膜性の向上のために、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて、該樹脂と異なる他の樹脂を含むものであってもよい。他の樹脂としては、従来公知の各種バインダー樹脂を混合して使用することができる。また、バインダー樹脂は上記のポリイソシアネート付加物などの架橋剤と化学的に反応し得るものが好ましいが、反応性を有していないものでも本発明では使用することができる。
【0037】
これらのバインダー樹脂としては、熱可塑性ポリオレフィン樹脂の表皮用に従来から用いられているバインダー樹脂が使用でき、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、アルキッド樹脂、変性セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などを使用することができる。また、これらのバインター樹脂を併用する樹脂組成物を用いる場合、その使用量は、本発明を特徴づけるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して5〜90質量部、より好ましくは、10〜60質量部程度の範囲で用いるとよい。
【0038】
また、本発明で用いる樹脂組成物には、その他、必要に応じて、塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、分散剤、沈降防止剤などの各種塗料用添加剤を配合してもよい。
【0039】
また、本発明の表皮材を構成する熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートは、特に限定されないが、例えば、下記に挙げる材料からなるものを使用できる。例えば、低密度〜高密度ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPEなど)、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン、およびエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム(EBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EDPM)などの熱可塑性ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなるものが使用できる。中でも、優れた機械的強度と共に良好な柔軟性および弾性を有するために、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからなるものが好ましい。
【0040】
上記シートを構成する熱可塑性ポリオレフィン樹脂は表面が不活性なため、その表面への塗装物との接着性に劣ることが多い。このため、コロナ放電処理などにより表面を物理的に、或いは化学的に活性化した後、上述した樹脂組成物を直接塗布してトップコート層を形成することが好ましい。また、塩素化ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂とポリイソシアネート化合物、或いは、ポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物を塗布してプライマー層を形成した後、上述した樹脂組成物を塗布して、プライマー層を介してトップコート層を形成することが好ましい。
【0041】
上述した樹脂組成物は、刷毛塗り、スプレー、ロールコート、グラビア、浸漬などの公知塗布方法で、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートに直接又は上記プライマー層の上に、乾燥後の厚みが3〜20μm程度になるように塗布し、乾燥後50〜120℃程度の温度で加熱処理することによって皮膜を形成できる。以上のようにして形成されシート状の本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材は、真空成形によって所定の形状に加工されて、例えば、車両内装材や家電部品とされる。
【0042】
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材は、そのトップコート層の形成材料に、本発明のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いることで、その表面が、滑性、表面感触、耐擦傷性、耐摩耗性および耐薬品性、更には均一な艶消し効果に優れるものとなる。これと共に、トップコート層の形成に用いたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基が、基材シートと界面で強く相互作用することにより、基材に対する優れた接着性や可とう性、および帯電防止効果が付与されるという優れた性能を得ることができ、熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材の性能向上が図られる。また、本発明で使用する樹脂の合成に用いられる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、二酸化炭素を製造原料とすることで、樹脂中に二酸化炭素を取り入れ固定することができるため、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の削減の観点からも有用な、従来品では到達できなかった環境対応材料製品としての熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材の提供が可能になる。
【実施例】
【0043】
次に、具体的な製造例、重合例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の各例における「部」および「%」は特に断りのない限り質量基準である。
【0044】
<製造例1>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式Aで表される2価エポキシ変性ポリシロキサンを100部、N−メチルピロリドン100部、ヨウ化ナトリウム1.2部を加え均一に溶解させた後、炭酸ガスを0.5リッター/分の速度でバブリングしながら80℃で30時間加熱攪拌させた。上記で使用した2価エポキシ変性ポリシロキサンは、信越化学工業(株)製のX−22−163(エポキシ当量198g/mol)であり、図1にその赤外吸収スペクトルを示した。
【0045】

【0046】
反応終了後、得られた溶液に100部のn−ヘキサンを加えて希釈した後、分液ロートにて80部の純水で3回洗浄し、N−メチルピロリドンおよびヨウ化ナトリウムを除去した。その後、n−ヘキサン液を硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮し、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−A)92部(収率89.7%)を得た。
【0047】
得られた生成物(1−A)の赤外吸収スペクトル(堀場製作所 FT−720)では、図2に示したように、1,800cm-1付近に原料には存在しない環状カーボネート基のカルボニル基の吸収が確認された。また、生成物の数平均分子量は、図3に示したように、2,450(ポリスチレン換算、東ソー;GPC−8220)であった。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−A)中には、18.1%の二酸化炭素が固定化されていた。
【0048】
<製造例2>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
本製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Bで表される2価エポキシ変性ポリシロキサンB(信越化学工業(株)製、KF−105;エポキシ当量485g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させて、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)99部(収率91%)を得た。生成物(1−B)を、製造例1の場合と同様に、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)中には、8.3%の二酸化炭素が固定化されていた。
【0049】

【0050】
<製造例3>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
本製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Cで表される2価エポキシ変性ポリシロキサンC(信越化学工業(株)製、X−22−169AS;エポキシ当量533g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させて、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−C)71部(収率68%)を得た。生成物は、製造例1と同様に、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−C)中には、7.6%の二酸化炭素が固定化されていた。
【0051】

【0052】
<比較製造例1>(5員環環状カーボネート化合物の製造)
本比較製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Dで表される2価エポキシ化合物D(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828;エポキシ当量187g/mol)を使用した。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させ、白色粉末の5員環環状カーボネート化合物(1−D)118部(収率95%)を得た。生成物は、製造例1と同様に、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネート化合物(1−D)中には、19%の二酸化炭素が固定化されていた。
【0053】

【0054】
<重合例1〜3>(ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
製造例1〜3で得られた、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物をそれぞれ用いて、下記のような手順で、実施例で用いるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を合成した。攪拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに製造例1〜3で得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物を加え、更に固形分が35%になるようにジメチルホルムアミドを加え均一に溶解した。次に、表1に記載のアミン化合物を所定当量加え、90℃の温度で10時間攪拌し、アミン化合物が確認できなくなるまで反応させた。得られた3種類のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の性状は、表1に記載の通りであった。
【0055】
<比較重合例1>(ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
下記のようにして、比較例で用いるポリヒドロキシポリウレタン樹脂を合成した。攪拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに比較製造例1で得られた5員環環状カーボネート化合物を加え、更に固形分が35%になるようにジメチルホルムアミドを加え均一に溶解した。次に、ヘキサメチレンジアミンを所定当量加え、90℃の温度で10時間攪拌し、アミン化合物が確認できなくなるまで反応させた。得られたポリヒドロキシポリウレタン樹脂の性状は表1に記載の通りであった。
【0056】

【0057】
<比較重合例2>(ポリエステルウレタン樹脂の製造)
下記のようにして、比較重合例2として、比較例で用いるポリエステルとジオールとジアミンとから従来のポリウレタン樹脂を合成した。攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と、1,4−ブタンジオール15部とを、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解した。その後、60℃でよく攪拌しながら、62部の水添加MDIを、171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させた。
この溶液は固形分35%で3.2MPa・s(25℃)の粘度を有していた。この溶液から得られたフィルムは破断強度45MPaで破断伸度480%を有し、熱軟化温度は110℃であった。
【0058】
<比較重合例3>(ポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂の製造)
下記のようにして、比較例で用いるポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂を、ジオールとジアミンとから合成した。下記式(E)で表され、且つ平均分子量が約3,200であるポリジメチルシロキサンジオール150部及び1,4−ブタンジオール10部を、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶媒を加え、また、40部の水添加MDIを120部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させた。この溶液は、固形分35%で1.6MPa・s(25℃)の粘度を有し、この溶液から得られたフィルムは、破断強度21MPaで破断伸度250%を有し、熱軟化温度は135℃であった。
【0059】

【0060】
<実施例1〜6、比較例1〜6>
[熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材の製造]
重合例1〜3、比較重合例1〜3の樹脂を使用し、表2および3に記載した配合の表皮用塗料(樹脂組成物)をそれぞれに作製し、これを用いて下記のようにして熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材を作製し、これらを下記の方法で評価した。
【0061】
コロナ放電処理をし、濡れ指数45dyn/cmに表面を活性化した熱可塑性ポリオレフィンの基材シートに、塩素化ポリプロピレン(スーパークロン;日本製紙(株)製)を120メッシュのグラビアロールにて乾燥後の厚みが3μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥してプライマー層を形成した。この塗膜の上に、表2、表3に記載の配合で作製したそれぞれの表皮用塗料を、120メッシュのグラビアロールにて、乾燥後の厚みが5μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥し、80℃で24時間熟成して各表皮材(シート)を得た。次いで、表面温度160℃の凸引型真空成形機で成型して、各表皮材からなる成型品を得た。
【0062】
[評価]
上記で得た各表皮材からなる成型品について、成形性、グロス性(光沢性)、摩擦係数、接着性、耐擦傷性、耐油性、耐薬品性、耐表面摩耗性、環境対応性をそれぞれ下記の方法及び基準で評価した。特に、各シートからなる成型品の表面(トップコート層)について評価した。結果を表2、表3に示した。
【0063】
(成形性)
真空成形後のシート表面を目視で観察し評価した。
○;良好(成型割れや白化現象なし)
×;不良(成型割れ又は白化現象のどちらかが認められる)
【0064】
(グロス値)
各真空成形後のシート表面の光沢を、JIS K5600に準じたグロスメーターにて測定し、グロス値が1.2以下(業界の求める基準値)を合格とする。
【0065】
(摩擦係数)
各真空成形後のシート表面の摩擦係数を、表面性試験機(新東科学製)で測定し、評価した。摩擦係数が低い程、車内装材の表面同士の擦れによる異音(きしみ音)が少なくなるので、0.2以下が望ましいとした。
【0066】
(接着性)
各真空成形後のシートの表面の碁盤目セロハンテープによる剥離試験を行って、下記の基準で評価した。
○;良好(塗布面に剥離部分がない)
×;不良(塗布面に剥離部位がある)
【0067】
(耐擦傷性)
各真空成形後のシートの表面を爪でこすり、傷跡や白化が生じないかを目視判定で、下記の基準で評価した。
○;良好(塗布面の爪傷・白化を判別し難い)
×;不良(塗布面の爪傷・白化跡が明瞭に判別できる)
【0068】
(耐油性)
各真空成形後のシートの表面に牛油(ナカライテク(株))を2cm半径に塗布し、80℃雰囲気で5日間放置した後に牛油を除去し、牛油の塗布面の碁盤目セロハンテープによる剥離試験を行って評価した。
【0069】
(耐薬品性)
各真空成形後のシートの表面にエタノールをそれぞれ滴下し、常に濡れている状態を保つため溶剤を追加滴下し、1時間後に拭き取った。拭き取った部分を目視で観察して、下記の基準で評価した。
○;塗布面に滴下痕が全く見られない
△;僅かに滴下痕が認められるが目立たない
×;滴下痕が明らかに認められる
【0070】
(耐表面摩耗性)
各真空成形後のシートの表面を、平面摩耗試験機を用い、6号帆布を荷重1kgfで擦り傷が発生するまでの回数を測定し、下記の基準で評価した。
○;5000回以上
△;2000回以下〜5000回未満
×;2000回未満
【0071】
(環境対応性)
使用した樹脂中における二酸化炭素の固定化の有無によって、○×判断した。
【0072】

【0073】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートのトップコート層に、特定のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を含む組成物を用いることで、該シートから得られる成型品は、樹脂中のポリシロキサンセグメントが表面に配向し、滑性、表面感触、耐擦傷性、耐摩耗性および耐薬品性に優れ、更には、均一な艶消し効果に優れたものとなる。これと共に、トップコート層を形成しているポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の有する水酸基が、基材シートと界面で強く相互作用することによって、優れた接着性や可とう性を示すと共に、帯電防止効果が付与されるという優れた性能を得ることができる。また、本発明で使用するポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、二酸化炭素を樹脂中に取り入れ、固定化できるので、地球温暖化ガス削減の観点からも優れたものであり、該樹脂を用いて得られる表皮材も、従来品では到達できなかった環境保全に対応したものとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、又は、上記シート上に形成されたプライマー層を介して形成されたトップコート層のいずれかを有し、且つ、トップコート層が、下記一般式(1)で表される5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなることを特徴とする熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。

式中のR1は炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
【請求項2】
前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を構成する前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られたものである請求項1に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。
【請求項3】
前記トップコート層を形成するポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有するものである請求項2に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。
【請求項4】
前記トップコート層を形成するポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が、1〜75質量%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。
【請求項5】
前記トップコート層が、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して、艶消剤として、有機系微粉末或いは無機系微粉末から選ばれる一種又は二種以上の組み合わせからなる物質を1〜150質量部の割合で配合した組成物によって形成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。
【請求項6】
前記トップコート層が、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて、該樹脂と異なる他の樹脂を含む組成物によって形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。
【請求項7】
前記トップコート層が、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に存在する水酸基と、該水酸基と反応する架橋剤との反応によって架橋された皮膜である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−131588(P2011−131588A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262360(P2010−262360)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(000238256)浮間合成株式会社 (99)
【Fターム(参考)】