説明

燃料電池システム及び給湯システム

【課題】水素タンクの加熱・冷却を簡素に行える燃料電池システム及びこれを用いた給湯システムを提供する。
【解決手段】燃料電池水素タンク一体型ユニット110は、燃料電池モジュール150と、水素タンク140とを備える。燃料電池モジュール150の発電の際に燃料電池モジュール150から発生した熱は、第一の熱媒体層183、第一の空気層192、第二の熱媒体層185を介して水素タンク140に伝達される。水素タンク140は水素貯蔵材を備え、燃料電池モジュール150から伝達された熱によって水素を放出し、放出された水素を利用して燃料電池モジュール150が発電を行う。第一の中空部材174には第一の空気層192に含まれる空気の量を調節する第一の真空度調節装置196が取り付けられ、真空度の調節によって空気層192の熱伝導率が調節できる。これによって燃料電池モジュール150から水素タンク140への熱の伝達を調節できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム及び給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は水素と酸素との化学反応により発電を行う。発電の際に発生する水と熱とを利用した燃料電池給湯コジェネレーションシステムが一般家庭等で使用されている。
【0003】
特許文献1には、水素貯蔵材料を備えた水素タンクから水素を放出させ、燃料電池に供給することによって発電を行う燃料電池システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−97045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池の発電量を制御するためには、水素の供給量を制御する必要がある。水素貯蔵材料を備えた水素タンクの場合、水素タンクの加熱・冷却によって水素の放出量を制御することができる。
【0006】
燃料電池給湯コジェネレーションシステムは、燃料電池の発電の際の熱のみならず、その他の付随装置から放出される熱も回収利用する。水素タンクの加熱・冷却のために新たに装置を設ける等、装置が複雑化すれば、熱の回収効率が低下する。
【0007】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、水素タンクの加熱・冷却を簡素に行える燃料電池システム及びこれを用いた給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の観点に係る燃料電池システムは、
燃料電池と、
第一の空気層を備える第一の中空部材と、
前記燃料電池と前記第一の中空部材との間にあって前記燃料電池および前記第一の中空部材と熱の交換を行う第一の熱媒体層と、
第二の空気層を備える第二の中空部材と、
水素貯蔵材を備える水素タンクと、
前記水素タンクを取り囲み前記第一の中空部材と前記第二の中空部材との間にあって前記第一の中空部材、前記第二の中空部材および前記水素タンクと熱の交換を行う第二の熱媒体層と、
前記第一の空気層の真空度を調節する第一の真空度調節装置と、
前記第二の空気層の真空度を調節する第二の真空度調節装置と、を備え、
前記第一の真空度調節装置が前記第一の空気層の真空度を調節して前記第一の熱媒体層から前記第二の熱媒体層への熱の供給量を調節するとともに、前記第二の真空度調節装置が前記第二の空気層の真空度を調節して前記第二の熱媒体層からの熱の散逸量を調節することにより、前記水素貯蔵材が放出する水素量を調節し、
放出された水素を用いて前記燃料電池が発電を行う、
ことを特徴とする。
【0009】
また、前記燃料電池が前記第一の熱媒体層に取り囲まれ、
前記第一の熱媒体層が前記第一の中空部材に取り囲まれ、
前記第一の中空部材が前記第二の熱媒体層に取り囲まれ、
前記第二の熱媒体層が前記第二の中空部材に取り囲まれていてもよい。
【0010】
また、前記第一の熱媒体層は、前記燃料電池から放出された水または水蒸気を含んでもよい。
【0011】
また、前記第二の熱媒体層は、金属を含んでもよい。
【0012】
また、前記水素タンクへの水素の供給と前記水素タンクからの水素の回収を行うサブ水素タンクを備えてもよい。
【0013】
また、前記燃料電池は固体酸化物型燃料電池であってもよい。
【0014】
また、前記水素貯蔵材は水素化マグネシウムを含んでもよい。
【0015】
また、前記水素貯蔵材は酸化ニオブを含んでもよい。
【0016】
本発明の第二の観点に係る給湯システムは、
燃料電池システムと、
前記燃料電池システムから水または水蒸気が供給される第一の水槽と、
前記第一の水槽に水を供給する第一の水供給源と、
前記第一の水槽から水が供給される第二の水槽と、を備え、
前記燃料電池システムは、
燃料電池と、
第一の空気層を備える第一の中空部材と、
前記燃料電池と前記第一の中空部材との間にあって前記燃料電池および前記第一の中空部材と熱の交換を行う第一の熱媒体層と、
第二の空気層を備える第二の中空部材と、
水素貯蔵材を備える水素タンクと、
前記水素タンクを取り囲み前記第一の中空部材と前記第二の中空部材との間にあって前記第一の中空部材、前記第二の中空部材および前記水素タンクと熱の交換を行う第二の熱媒体層と、
前記第一の空気層の真空度を調節する第一の真空度調節装置と、
前記第二の空気層の真空度を調節する第二の真空度調節装置と、を備え、
前記第一の真空度調節装置が前記第一の空気層の真空度を調節して前記第一の熱媒体層から前記第二の熱媒体層への熱の供給量を調節するとともに、前記第二の真空度調節装置が前記第二の空気層の真空度を調節して前記第二の熱媒体層からの熱の散逸量を調節することにより、前記水素貯蔵材が放出する水素量を調節し、
放出された水素を用いて前記燃料電池が発電を行うとともに前記第一の水槽に水または水蒸気を供給する、
ことを特徴とする。
【0017】
また、前記第二の中空部材に接触する水層を備え、
前記第二の水槽から前記水層に水が供給され、
前記水層から前記第一の水槽に水が供給され、
前記第一の真空度調節装置は、前記第二の空気層の真空度を調節することによって前記第二の熱媒体層から前記水層への熱の供給量を調節してもよい。
【0018】
また、前記第二の水槽に水を供給する第二の水供給源を備えてもよい。
【0019】
また、前記水層に水を供給する第三の水供給源を備えてもよい。
【0020】
また、前記水層を覆う断熱層を備えてもよい。
【0021】
また、前記第一の水供給源から前記第一の水槽への供給水量を調節する第一の水量調節装置を備えてもよい。
【0022】
また、前記第二の水供給源から前記第二の水槽への供給水量を調節する第二の水量調節装置と、
前記第一の水槽から前記第二の水槽への供給水量を調節する第三の水量調節装置と、
を備えてもよい。
【0023】
また、前記第三の水供給源から前記水層への供給水量を調節する第四の水量調節装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の燃料電池システムによれば、水素タンクの加熱・冷却を簡素に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る燃料電池システムの構成を示す概略図である。
【図2】本実施の形態に係る燃料電池水素タンク一体型ユニットの概略を示す縦断面図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】水素タンクの概略を示す断面図である。
【図5】燃料電池モジュールの概略を示す断面図である。
【図6】水素補填部の概略を示す図である。
【図7】実施形態2に係る給湯システムを表す概略図である。
【図8】実施形態3に係る給湯システムを表す概略図である。
【図9】外部断熱部材を備える燃料電池水素タンク一体型ユニットの概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態に係る燃料電池システムについて説明する。
【0027】
(実施形態1)
燃料電池システム1は、図1に示すように、燃料電池水素タンク一体型ユニット110と、酸素供給部120と、蓄電部130とを備える。燃料電池水素タンク一体型ユニット110は、後述するように水素貯蔵材141を備える水素タンク140と燃料電池155を有する燃料電池モジュール150とを備え、水素貯蔵材141が放出した水素と酸素供給部120から輸送された酸素とが燃料電池155に供給されて発電が行われる。発生した電力は蓄電部130に蓄えられる。
【0028】
図2に示すように、燃料電池水素タンク一体型ユニット110は、ユニット容器に収納された水素タンク140と燃料電池モジュール150とを備える。
【0029】
ユニット容器は、例えば、ステンレス等の金属で形成され、円筒形の外側円筒部材171(第二の中空部材)と、外側円筒部材171の開口部2箇所をそれぞれ閉じる底部材177と蓋部材180とを備える。ユニット容器はまた、外側円筒部材171よりも径の小さい円筒形の内側円筒部材174(第一の中空部材)を内部に備える。外側円筒部材171と内側円筒部材174とは、それぞれの長手軸が同一方向を向いて同じ長さに設定され、内側円筒部材174の開口部2箇所もまた底部材177と蓋部材180とによって閉じられる。
【0030】
ユニット容器の内部は内側円筒部材174によって外部空間と内部空間とに隔てられている。内部空間は、内側円筒部材174、底部材177及び蓋部材180で取り囲まれた空間であり、内部空間には燃料電池モジュール150が設置される。また、外部空間は、外側円筒部材171、内側円筒部材174、底部材177及び蓋部材180で取り囲まれた空間であり、外部空間には水素タンク140が設置される。
【0031】
図3の断面図に示すように、水素タンク140は例えば円筒形のタンクであり、外側円筒部材171と内側円筒部材174との間の外部空間に、内側円筒部材174を取り囲むように複数本設置されている。本実施形態では図3に示されているように、16本の円筒形の水素タンク140が内側円筒部材174を取り囲んで設置されている。
【0032】
また、水素タンク140には、図4に示すように、水素が貯蔵される水素貯蔵材141が充填されている。
【0033】
水素貯蔵材141は、有機または無機水素貯蔵材料、あるいは水素吸蔵合金として知られているものを用いてもよい。本実施形態では、酸化ニオブ添加水素化マグネシウムを用いる場合について説明する。酸化ニオブ添加水素化マグネシウム(MgH−Nb)は、水素化マグネシウムに酸化ニオブを例えば99:1のモル比で添加したものを使用する。酸化ニオブ添加水素化マグネシウムを用いれば、水素吸蔵時に水素タンク140内の水素圧を室温で1気圧以下に抑えながら最大7.5質量%程度の水素を貯蔵することが可能である。
【0034】
酸化ニオブ添加水素化マグネシウムを水素タンク140に充填する際には、水素を吸蔵した際の体積増加を考慮し、タンク容量に対して例えば50〜60%程度充填するのがよい。
【0035】
外部空間の水素タンクを設置した際に生じた隙間には、充填材185(第二の熱媒体層)が充填されている。充填材185は水素タンク140と外側円筒部材171と内側円筒部材174と接触している。
【0036】
充填材185は熱伝導度の高い素材から形成されることが望ましく、例えばステンレス等で形成されてもよい。充填材185は、外側円筒部材171の内壁173および/あるいは内側円筒部材174の外壁178と一体的に形成されてもよい。
【0037】
水素タンク140と燃料電池モジュール150とは、水素供給管186によって接続されている。蓋部材180の外部空間に接する部分には孔187が、内部空間に接する部分には孔188が設けられている。水素供給管186は孔187および孔188を介することによってユニット容器の外部を経由して水素タンク140と燃料電池モジュール150とを接続している。水素供給管186には弁189が設けられており、弁189の開閉によって水素タンク140から燃料電池モジュール150への水素の供給量を調節できる。
【0038】
外側円筒部材171は、外壁172および内壁173を備え、外壁172と内壁173との間に空気層190(第二の空気層)を有する中空二重構造である。内側円筒部材174も同様に外壁178および内壁179を備え、外壁178と内壁179との間に空気層192(第一の空気層)を有する中空二重構造である。
【0039】
底部材177は外壁208と内壁207とを備え、外壁208と内壁207との間に真空断熱層191を有する二重構造である。同様に蓋部材180は、外壁209と内壁210とを備え、外壁209と内壁210との間に真空断熱層211を有する二重構造である。
【0040】
内側円筒部材174には、空気層192の空気の量を調節する第一の真空度調節装置196が取り付けられている。第一の真空度調節装置196は真空ポンプ198と、真空ポンプ198と内側円筒部材174とを接続する真空度調節管197と、真空度調節管197の内側円筒部材174側に取り付けられた2方弁202と、真空度調節管197の真空ポンプ198側に取り付けられた3方弁203と、3方弁203に取り付けられて大気中に開放された開放管205とを備える。
【0041】
また、外側円筒部材171にも、同様に、空気層190の空気の量を調節する第二の真空度調節装置193が取り付けられている。第二の真空度調節装置193は真空ポンプ199と、真空ポンプ199と外側円筒部材171とを接続する真空度調節管194と、真空度調節管194の外側円筒部材171側に取り付けられた2方弁200と、真空度調節管194の真空ポンプ199側に取り付けられた3方弁201と、3方弁201に取り付けられて大気中に開放された開放管204とを備える。
【0042】
第一の真空度調節装置196は以下のように作動する。内側円筒部材174の空気層192の空気を抜いて真空状態にするには、真空度調節管197の2方弁202を開き、3方弁203の開放管205側を閉じ、真空ポンプ198と内側円筒部材174とが開通するように3方弁203を調節する。次に真空ポンプ198を作動させて、真空度調節管197を経由して空気層192から空気を抜く。一方、空気層192に空気を入れるには、3方弁203の真空ポンプ198側を閉じて開放管205と内側円筒部材174とが開通するように3方弁203を調節し、空気を空気層192に注入する。空気層192の空気量をそのままの状態に保つときには、2方弁202を閉じる。
【0043】
また、第二の真空度調節装置193も対応するそれぞれの弁200、201と真空ポンプ199とを作動させることによって第一の真空度調節装置196と同様に作動する。
【0044】
酸素供給部120はユニット容器の外部に設置され、酸素供給管121を介して燃料電池モジュール150と接続している。酸素供給部120は、空気圧縮機(不図示)あるいは酸素タンク(不図示)を備え、燃料電池モジュール150に空気あるいは酸素を供給する。酸素供給管121には弁122が設けられており、酸素供給部120から燃料電池モジュール150への空気あるいは酸素の供給量を調節できる。酸素供給管121が貫通する蓋部材180の部分には孔123が設けられている。
【0045】
燃料電池モジュール150は、図5に示すように、燃料極152と空気極153と電解質層154とを備える燃料電池155、燃料電池155を覆うカバー156、排出管157、ヒーター158、温度計159、触媒燃焼器160を備える。カバー156には孔161および孔162が設けられている。水素タンク140から水素を供給する水素供給管186は孔161を介して燃料極152に接続し、酸素供給部120から酸素を供給する酸素供給管121は孔162を介して空気極153に接続している。電解質層154では水素と酸素との化学反応によって水(HO)が合成され、水は液体あるいは気体の状態で排出管157から排気口151を介して燃料電池モジュール外へ排出される。この化学反応に伴って燃料極152と空気極153との間に電位差が生じ、燃料極152と空気極153とにそれぞれ取り付けられた導線163および導線164を介して蓄電部130に電力が供給される。
【0046】
燃料電池には固体高分子型(PEFC)をはじめとしてさまざまな種類が知られている。本実施の形態においては、固体酸化物型(SOFC)燃料電池を用いた例について説明するが、燃料電池は他の種類のものに置き換えてもよい。
【0047】
また、燃料電池モジュール150には排気口151が設けられており、発電の際に生じた排気は燃料電池モジュール150から排気口151を介してユニット容器の内部空間内に放出される。蓋部材180の内部空間に接する部分にはダクト206が設けられており、排気は内部空間内からダクト206を介してユニット容器の外部に放出される。
【0048】
排出管157には触媒燃焼器160が取り付けられ、触媒燃焼器160は未燃焼の水素が排出管157に混入している場合、未燃焼の水素を完全に燃焼する。また、燃料電池155には温度計159が取り付けられている。また、燃料電池155にはヒーター158が取り付けられ、発電開始前に燃料電池155の温度が所定の温度よりも低い場合に燃料電池155を加熱することができる。燃料電池モジュール150はまた燃料電池155を取り囲むカバー156を備え、水素供給管186、酸素供給管121、導線163、導線164、排出管157はそれぞれ燃料電池155からカバー156を貫通して外部に接続している。
【0049】
カバー156は、セラミック等の素材から形成されてよく、たとえば円筒形の形状であってよい。カバー156は密閉性が高く、排気口151から排出される排気は燃料電池モジュール150内に入らない。カバー156はまた、燃料電池モジュール150からの熱の散逸を低減する。
【0050】
燃料電池モジュール150から供給された電力は、燃料電池水素タンク一体型ユニット110の蓋部材180を貫通する導線163および導線164を介して蓄電部130に供給される。蓄電部130は例えば外部の蓄電池(不図示)とインバーター(不図示)とを備える。燃料電池モジュール150から供給された電力は蓄電池に蓄積しておいて、インバーターを介して交流電流に変換した後に外部の電化製品(不図示)に供給してもよい。
【0051】
続いて、燃料電池システム1の発電の動作について説明する。燃料電池システム1を用いて発電を行うには、まず燃料電池モジュール150のヒーター158を作動させて燃料電池155を所定の稼働温度まで加熱する。燃料電池155に固体酸化物型燃料電池を用いる本実施形態では、発電開始前に燃料電池155を800℃まで加熱する。次に、水素供給管186に設けられた弁189を開くと、水素タンク140側が1〜5気圧で燃料電池モジュール150側が1気圧であるために、水素タンク140から燃料電池モジュール150の燃料極152に水素が流れる。また、酸素供給管121に設けられた弁122を開くと、燃料電池モジュール150の空気極153に空気または酸素が供給され、発電が開始する。
【0052】
発電中は燃料極152と空気極153とに電位差が生じ、燃料極152と空気極153とにそれぞれ取り付けられた導線を介して蓄電部130に電力が供給される。
【0053】
発電が始まると、燃料電池155の燃料極152付近で水が発生する。また、空気極153に空気を供給した場合、酸素が消費され酸素濃度の低下した空気が空気極153から排出される。水及び酸素濃度の低下した空気は、排出管157を経由して排気口151から排出される。
【0054】
燃料電池155として固体酸化物型燃料電池を用いる本実施形態では、燃料電池の稼働温度が約800℃〜約1000℃であるため、発生した水は気体、すなわち水蒸気である。
【0055】
燃料電池155が発電を行っているときには、燃料電池155の燃料極152、空気極153及び電解質層154から熱が発生する。発生した熱は、発電に際して発生した水(HO)に吸収され、水は排出管157を経由して燃料電池モジュール150の外に排気として排出される。燃料電池155の酸素源として空気を用いた場合には、酸素が消費されて低酸素濃度となった空気もまた燃料電池155の熱で温められ、排気として排出管157から排出される。排気はユニット容器の内部空間に放出され、内部空間の燃料電池モジュール150および配管部分以外の空間は排気(第一の熱媒体層)によって満たされる。
【0056】
空気層192に空気があり、空気層190が真空状態になるようにすれば、水素貯蔵材141が水素の放出を続け、発電が続く。
【0057】
より具体的に説明すると、第一の真空度調節装置196を作動させ、内側円筒部材174の空気層192に空気を注入すると、空気層192の熱伝導率が増すので、燃料電池155から内部空間に排出された熱が、空気層192を介して充填材185や水素タンク140に伝達される。また、第二の真空度調節装置193を作動させ、空気層190の空気を抜くと、空気層190の熱伝導率が減少するので、充填材185や水素タンク140に伝わった熱が、燃料電池水素タンク一体型ユニット110の外部に散逸することを抑制できる。
【0058】
このように空気層190、192を調節することで、燃料電池モジュール150の熱が効率的に充填材185や水素タンク140に伝達される。水素タンク140に伝達された熱は水素貯蔵材141に伝達され、水素貯蔵材141の温度が上昇する。水素貯蔵材141の温度上昇に伴い、水素貯蔵材141から水素が放出される。そして、水素貯蔵材141からの水素の解離に伴うエンタルピー変化により熱が消費される。このように、熱が燃料電池モジュール150から供給されている間は、水素貯蔵材141が高温を維持し、水素の解離が進行し、水素貯蔵材141が水素の放出を続ける。
【0059】
一方、発電を停止させるには、即ち、水素貯蔵材141からの水素の放出を止めるには、空気層192の空気を抜いて空気層192を真空状態とすればよい。
【0060】
より具体的に説明すると、第一の真空度調節装置196を作動させ、空気層192の空気を抜くことで、空気層192の熱伝導率が減少するので、燃料電池155から内部空間に排出された熱が内部空間に留まる。また、第二の真空度調節装置193を作動させ、外側円筒部材171の空気層190に空気を注入すれば、空気層190の熱伝導率が増すので、充填材185や水素タンク140から、燃料電池水素タンク一体型ユニット110の外部に熱が散逸する。
【0061】
このように、燃料電池モジュール150から水素タンク140への熱の供給が停止して、水素貯蔵材141の温度が低下し、水素の放出が止まる。更に、上記の如く空気層190に空気を入れて空気層190の熱伝導率を増加させて、水素タンク140から燃料電池水素タンク一体型ユニット110の外部への熱の散逸を補助すれば、水素の放出停止が速やかに起こる。
【0062】
また、図6に示すように、燃料電池システム1はさらに、水素タンク140に水素を供給する水素補填部220を備えてもよい。水素補填部220はサブ水素タンク221および/あるいは水素供給源222を備えてもよい。サブ水素タンク221は水素貯蔵材を備えるタンクであってもよく、サブ水素タンク221の水素貯蔵材は水素タンク140の水素貯蔵材と同一のものであってもよいし、チタン−鉄合金等のその他の水素貯蔵材であってもよい。
【0063】
水素補填部220から燃料電池155に水素を供給してもよい。この場合、図6に示すように、水素タンク140と燃料電池モジュール150との間に設けられた2方弁189を3方弁230に置き換える。3方弁230は、水素タンク140と燃料電池モジュール150と水素補填部220とを接続する。水素補填部220がサブ水素タンク221および水素供給源222の双方を備える場合、3方弁230は3方弁231に接続され、3方弁231はさらにサブ水素タンク221および水素供給源222に接続される。
【0064】
水素供給源222は例えば、水素が充填された高圧水素タンクであってよい。水素供給源222はまた、水の電気分解を行う装置であってもよい。この場合、水の電気分解によって発生させた水素は、サブ水素タンク221または水素タンク140に貯蔵することが可能である。
【0065】
燃料電池モジュール150への水素の供給は、それぞれの3方弁230、231を調節することによって、水素タンク140、サブ水素タンク221、水素供給源222のいずれから行うこともできる。
【0066】
なお、発電開始時には水素補填部220から水素を供給するのがよい。発電開始時に水素タンク140からの水素供給が必要な場合は、水素タンク140内部または外部空間に備えたヒーター142(図3)を用いて水素タンク140を急速加熱し、水素タンク140から水素を供給してもよい。
【0067】
実施形態1の燃料電池システム1の構成によれば、システム起動時に水素タンク140を温める特別なしくみを必要としない。水素タンク140の水素貯蔵材141からの水素の放出は燃料電池155からの熱を用いて行われるためである。
【0068】
(実施形態2)
実施の形態2に係る給湯システム2は、上述した燃料電池システム1の燃料電池水素タンク一体型ユニット110から排出される水および熱を利用する。図7に示すように、給湯システム2は、燃料電池システム1に加えて、第一の水槽300、第二の水槽301、第一の水槽300に水を供給する第一の水供給源302、第二の水槽301に水を供給する第二の水供給源303を備える。
【0069】
燃料電池システム1のダクト206から排出された排気は、供給管307を経由して第一の水槽300に輸送される。ダクト206の排気には水蒸気および/あるいは空気が含まれる。また、第一の水槽300には、供給管304を経由して第一の水供給源302から水が供給される。供給管304には弁305(第一の水量調節装置)が設けられ、第一の水供給源302からの水の供給量を調節できる。
【0070】
第一の水槽300は、供給管309を介して第二の水槽301と接続しており、第一の水槽から第二の水槽に水および/あるいは空気を供給する。供給管309には弁311(第三の水量調節装置)が設けられており、水および/あるいは空気の供給量を調節する。
【0071】
第二の水供給源303からは供給管310を介して第二の水槽301に水が供給される。供給管310には弁312(第二の水量調節装置)が設けられ、水の供給量を調節する。
【0072】
供給管307から供給される水が液体である場合には、水は第一の水槽300に流入させることができる。供給管307から供給される水が気体(水蒸気)である場合には、第一の水槽300に例えば第一の水供給源302から供給された水を溜めておき、溜まった水に水蒸気が接触するように気体を流してもよい。水と接触した水蒸気は水に熱を与えて液体の水となり、第一の水槽300内に溜まる。供給管307から供給されるその他の気体も、第一の水槽300内に溜まった水に熱を与える。
【0073】
燃料電池モジュール150から排出される排気は約800℃となる。また、第一の水供給源302および第二の水供給源303から供給される水の温度は約10℃〜約30℃である。よって、弁305を調節することによって、第一の水槽300の温度は約40℃〜約80℃に、弁311および弁312を調節することによって第二の水槽301の温度は約30℃〜約65℃に設定することができる。
【0074】
実施形態2の給湯システム2によれば、燃料電池システム1からの熱を利用して広い温度範囲の水を利用することができる。燃料電池システム1から800℃の熱が利用できるため、低温の水と混合した際に利用できる水の温度範囲が広い。
【0075】
第二の水槽301からさらに供給管(不図示)等を介して外部の各種給湯設備(不図示)に約30℃〜約65℃の水を供給できる。給湯システム2の利用者は、各種給湯設備で約30℃〜約65℃の水を利用できる。
【0076】
第一の水槽300および第二の水槽301は、それぞれ空気を抜くためのダクト(不図示)を備えてもよい。
【0077】
(実施形態3)
給湯システム2は、燃料電池給湯コジェネレーションシステムとして銭湯などの給湯システムの一部としても利用できる。図8に示すように、給湯システム2を用いた給湯システム3は、給湯システム2を構成する燃料電池システム1、第一の水槽300、第二の水槽301、供給管307に加えて、貯湯槽400、洗い場401、廃湯槽402、集毛器403、ポンプ404、ろ過器405、消毒器406、浴室407、水供給源408を備える。
【0078】
本実施形態では、燃料電池水素タンク一体型ユニット110から排出された熱をさらに利用するため、図9に示すように、燃料電池水素タンク一体型ユニット110はさらにユニット容器を取り囲む外部断熱部材240を備える。なお、図2と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。外部断熱部材240は所定の間隔を保ってユニット容器と離間し、ユニット容器全体を取り囲むように設置される。外部断熱部材240とユニット容器との間には水層241が形成される。外部断熱部材240は外壁242と内壁243とを備え、外壁242と内壁243との間に真空断熱層244(断熱層)を有する二重構造となっている。
【0079】
外部断熱部材240には、流入口245と流出口246とが設けられている。流入口245は、燃料電池水素タンク一体型ユニット110外部から水層241に水を流入させる。また、流出口246は、水層241から燃料電池水素タンク一体型ユニット110外部に水を流出させる。流入口245は例えば底部材177付近の下部、流出口246は例えば蓋部材180付近の上部に設けてよい。流出口246から流出した水は供給管257を介して第一の水槽300に供給される。
【0080】
水層241には、水素タンク140および充填材から熱が供給される。第二の真空度調節装置193を調節して空気層190に空気を送り込めば、空気層190の熱伝導率が増すために多くの熱が水素タンク140および充填材185から水層241に供給される。また、空気層190を真空状態とすれば、水素タンク140および充填材185から水層241への熱の供給量が減る。
【0081】
燃料電池155で発電を行っている際に、第二の真空度調節装置193と第一の真空度調節装置196とを調節して、空気層190と空気層192に空気を送り込み、燃料電池155からの熱を水層241に伝達させることができる。熱の伝達は、排気、空気層192、充填材185、水素タンク140、空気層190を介して行われる。
【0082】
また、水素タンク140に水素を充填している際に水素タンク140から放出される熱を水層241に伝達させてもよい。空気層190に空気を送り込み、水素タンク140から水層241への熱の伝達を促進させることができる。水素タンク140から水層241への熱の伝達は充填材185を介して行われる。
【0083】
燃料電池155および/あるいは水素タンク140から水層241へ伝達した熱は、水層241が外部断熱部材240に取り囲まれているために、燃料電池水素タンク一体型ユニット110の外部に散逸しない。
【0084】
また、時間の経過に伴って第一の水槽300および第二の水槽301の温度が低下すると考えられる。この場合も、本実施の形態では固体酸化物型(SOFC)燃料電池を用いていることから、第一の水槽300に約65℃〜約90℃と高温の水を供給できるため、温度の回復が可能である。同様に、水供給量を調節することによって第二の水槽301の温度の回復も容易である。
【0085】
第一の水槽300と貯湯槽400とは配管421を介して接続され、第一の水槽300から貯湯槽400へ水が供給される。貯湯槽400と第二の水槽301とは配管422を介して接続され、貯湯槽400から第二の水槽301へ水が供給される。配管422には弁423が設けられ、供給水量を調節できる。第二の水槽301はポンプ404に配管424を介して接続されている。配管424には集毛器403が設けられている。ポンプ404は配管425を介して消毒器406に接続されている。配管425にはろ過器405が設けられている。消毒器406は配管426を介して燃料電池水素タンク一体型ユニット110に接続されている。
【0086】
貯湯槽400と洗い場401とは、配管427を介して接続されている。貯湯槽400から洗い場に配管427を介して水が供給される。洗い場401と廃湯槽402とは配管428を介して接続されている。廃湯槽402には排水管429が設けられ、排水管429に設けられた弁437を調節して廃湯槽402から水の排水を行う。
【0087】
水供給源408は給湯システム3への水の供給を行う。水供給源408は配管430を介して第一の水槽300、第二の水槽301、燃料電池水素タンク一体型ユニット110に水の供給を行う。水供給源408および配管430は、第一の水槽300、第二の水槽301、燃料電池水素タンク一体型ユニット110のそれぞれについて別々に設けてもよいが、一つの水供給源からの分岐した配管を介してそれぞれに接続させてもよい。図8に示した実施例では、水供給源408から3本に分岐した配管431、配管432、配管433を用いて、第一の水槽300、配管426、配管422にそれぞれ接続させている。配管431、配管432、配管433にはそれぞれ弁434、弁435(第四の水量調節装置)、弁436が設けられ、水の流量を調節できる。
【0088】
燃料電池として固体酸化物型(SOFC)燃料電池を用いた本実施形態においては、排気は約800℃である。また、外部断熱部材240の流出口246から流出する水の温度は約35℃〜約65℃の範囲である。一方、水供給源408から第一の水槽300に供給される水の温度は約10℃〜約30℃である。よって、弁434を調節して水供給源408から供給される水の量を調節すれば、第一の水槽300の水温は約40℃〜約80℃に設定することが可能である。
【0089】
また、第一の水槽300は水温が約40℃〜約80℃であり、水供給源408から供給される水の温度が約10℃〜約30℃であることから、それぞれからの水の供給量を調節すれば第二の水槽301の温度は約30℃〜約65℃に設定可能である。
【0090】
第一の水槽300の水量が多くなったときは、貯湯槽400に水を供給して第一の水槽300の水量を調節できる。貯湯槽400の水温は第一の水槽300の水温と同程度に保持されている。
【0091】
第二の水槽301の水温は、37〜45℃程度(一般的な銭湯の温度)に保持することが可能である。第二の水槽301から供給管を介して浴槽407に水を供給することができる。給湯システム3の利用者は浴槽407で37〜45℃程度の水を利用可能である。
【0092】
集毛器403とろ過器405とは、共に不純物の除去を行う。集毛器403は大きいサイズの不純物を、ろ過器405は小さいサイズの不純物を除去する。集毛器403は例えば目の粗いフィルターを、ろ過器405は例えば目の細かいフィルターを備え、それぞれ水をろ過する。また、消毒器406では水に塩素等を加えて消毒を行う。
【0093】
貯湯槽400からは配管427を介して洗い場401に水が供給される。洗い場401は水供給源(不図示)を備え、貯湯槽400から供給された水の水温が60℃程度、水供給源から供給される水温が10℃程度であるため、これらを混合することで約10℃〜約60℃の水を利用者が利用できる。
【0094】
洗い場401から排出される水は配管428を介して廃湯槽402に供給される。廃湯槽402では洗い場401からの排水を一定量貯蔵した後、排水管429を介して外部排水設備(不図示)に排水する。廃湯槽402からの排水は、廃湯槽402の水温が所定の温度に低下した場合に行ってもよい。所定の温度は例えば25℃程度に設定してもよい。
【0095】
水供給源408から給湯システム3に水の供給を行う際に、配管430を迂回させて、廃湯槽402、蓄電部130、水素補填部220のサブ水素タンク221等からの廃熱を回収するような配管の配置にしてもよい。水供給源408から配管431、配管432、配管433に水を供給する配管430は、廃湯槽402に貯まった水をくぐるように配管してよい。廃湯槽402をくぐる配管430の部分の配管長を長く確保すれば、廃湯槽402からのより多くの熱が配管430内部の水に伝播し、廃熱が回収できる。
【0096】
また、水供給源408の配管430を迂回させ、水素補填部220のサブ水素タンク221や蓄電部130の周囲を通るように配管配置を行ってよい。配管430とサブ水素タンクや蓄電池との接触部分をできるだけ大きく確保すれば、サブ水素タンクや蓄電池からより多くの熱が配管430内部の水に伝播し、廃熱が回収できる。サブ水素タンク周囲に迂回させた水供給源408からの水は、供給管を介して第一の水槽300に直接供給してもよい。
【0097】
実施形態3の給湯システムによれば、燃料電池給湯コジェネレーションシステムとしての熱の回収効率が高い。燃料電池システムからの熱の他にサブ水素タンクや蓄電部からの廃熱も利用しているため、廃熱が外部に散逸することなく、給湯システムに利用されているためである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本実施の形態に係る燃料電池システムおよび給湯システムは、燃料電池給湯コジェネレーションシステムとして一般家庭や銭湯施設等に設置した際に燃料費の節約が期待できる。
【符号の説明】
【0099】
1 燃料電池システム
110 燃料電池水素タンク一体型ユニット
140 水素タンク
150 燃料電池モジュール
155 燃料電池
141 水素貯蔵材
171 外側円筒部材
174 内側円筒部材
185 充填材
190 空気層
192 空気層
193 第二の真空度調節装置
196 第一の真空度調節装置
221 サブ水素タンク
240 外部断熱部材
241 水層
244 真空断熱層
2 給湯システム
3 給湯システム
300 第一の水槽
301 第二の水槽
302 第一の水供給源
303 第二の水供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
第一の空気層を備える第一の中空部材と、
前記燃料電池と前記第一の中空部材との間にあって前記燃料電池および前記第一の中空部材と熱の交換を行う第一の熱媒体層と、
第二の空気層を備える第二の中空部材と、
水素貯蔵材を備える水素タンクと、
前記水素タンクを取り囲み前記第一の中空部材と前記第二の中空部材との間にあって前記第一の中空部材、前記第二の中空部材および前記水素タンクと熱の交換を行う第二の熱媒体層と、
前記第一の空気層の真空度を調節する第一の真空度調節装置と、
前記第二の空気層の真空度を調節する第二の真空度調節装置と、を備え、
前記第一の真空度調節装置が前記第一の空気層の真空度を調節して前記第一の熱媒体層から前記第二の熱媒体層への熱の供給量を調節するとともに、前記第二の真空度調節装置が前記第二の空気層の真空度を調節して前記第二の熱媒体層からの熱の散逸量を調節することにより、前記水素貯蔵材が放出する水素量を調節し、
放出された水素を用いて前記燃料電池が発電を行う、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池が前記第一の熱媒体層に取り囲まれ、
前記第一の熱媒体層が前記第一の中空部材に取り囲まれ、
前記第一の中空部材が前記第二の熱媒体層に取り囲まれ、
前記第二の熱媒体層が前記第二の中空部材に取り囲まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記第一の熱媒体層は、前記燃料電池から放出された水または水蒸気を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記第二の熱媒体層は、金属を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記水素タンクへの水素の供給と前記水素タンクからの水素の回収を行うサブ水素タンクを備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池は固体酸化物型燃料電池である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記水素貯蔵材は水素化マグネシウムを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記水素貯蔵材は酸化ニオブを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
燃料電池システムと、
前記燃料電池システムから水または水蒸気が供給される第一の水槽と、
前記第一の水槽に水を供給する第一の水供給源と、
前記第一の水槽から水が供給される第二の水槽と、を備え、
前記燃料電池システムは、
燃料電池と、
第一の空気層を備える第一の中空部材と、
前記燃料電池と前記第一の中空部材との間にあって前記燃料電池および前記第一の中空部材と熱の交換を行う第一の熱媒体層と、
第二の空気層を備える第二の中空部材と、
水素貯蔵材を備える水素タンクと、
前記水素タンクを取り囲み前記第一の中空部材と前記第二の中空部材との間にあって前記第一の中空部材、前記第二の中空部材および前記水素タンクと熱の交換を行う第二の熱媒体層と、
前記第一の空気層の真空度を調節する第一の真空度調節装置と、
前記第二の空気層の真空度を調節する第二の真空度調節装置と、を備え、
前記第一の真空度調節装置が前記第一の空気層の真空度を調節して前記第一の熱媒体層から前記第二の熱媒体層への熱の供給量を調節するとともに、前記第二の真空度調節装置が前記第二の空気層の真空度を調節して前記第二の熱媒体層からの熱の散逸量を調節することにより、前記水素貯蔵材が放出する水素量を調節し、
放出された水素を用いて前記燃料電池が発電を行うとともに前記第一の水槽に水または水蒸気を供給する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項10】
前記第二の中空部材に接触する水層を備え、
前記第二の水槽から前記水層に水が供給され、
前記水層から前記第一の水槽に水が供給され、
前記第一の真空度調節装置は、前記第二の空気層の真空度を調節することによって前記第二の熱媒体層から前記水層への熱の供給量を調節する、
ことを特徴とする請求項9に記載の給湯システム。
【請求項11】
前記第二の水槽に水を供給する第二の水供給源を備える、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の給湯システム。
【請求項12】
前記水層に水を供給する第三の水供給源を備える、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の給湯システム。
【請求項13】
前記水層を覆う断熱層を備える、
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項14】
前記第一の水供給源から前記第一の水槽への供給水量を調節する第一の水量調節装置を備える、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項15】
前記第二の水供給源から前記第二の水槽への供給水量を調節する第二の水量調節装置と、
前記第一の水槽から前記第二の水槽への供給水量を調節する第三の水量調節装置と、
を備える、
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項16】
前記第三の水供給源から前記水層への供給水量を調節する第四の水量調節装置を備える、
ことを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−227003(P2012−227003A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94032(P2011−94032)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「テクノ愛 2010」、テクノ愛実行委員会(共催者名:京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、近畿地方発明センター)、平成22年11月23日
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】