説明

物品を搬送するおよび/または集積するための装置

【課題】物品を搬送するおよび/または集積するための簡略化された装置。
【解決手段】搬送要素のための駆動源として構成されたモータ103を示している。モータ103は、搬送要素に駆動力を伝えるベルト104に対して接続される。各搬送要素ごとにクラッチ105が設けられ、このクラッチは、互いに独立にベルト104に接続されるようになっており、あるいは、ベルト104から再び分離されるようになっている。ベルト104が動いているときには、搬送要素、特に駆動ローラとして構成された一方の偏向プーリ102を、クラッチ105を介して駆動させあるいは停止させることがそれぞれできる。それにより、ベルト101上に配置される搬送されるべき物品を移動させる(搬送する)あるいは停止させる(集積する)こともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品、特にパックを搬送セクションに沿って搬送するおよび/または集積するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に飲料産業では、しばしば、いわゆるアキュムレーションコンベヤが使用され、このコンベヤは複数の搬送要素を搬送セクションに沿って備える。これらの搬送要素のそれぞれは、通常、それ自体の駆動源を備える。そのような別個の駆動源に起因して、それぞれの個々の搬送要素を他の搬送要素とは独立に駆動させることができる。それにより、搬送要素上に配置される搬送されるべき物品を移動させる(搬送する)または停止させる(集積する)ことができる。
【0003】
コンベヤをローラコンベヤとして構成することができる。ローラコンベヤでは、個々のローラまたはローラの一部をそれらの自由度の範囲内において任意の所望の態様で駆動させ且つ減速させることができる。しかしながら、非常に様々な形状および重量の物品が高速で搬送される場合、および/または、静かな輸送の場合には、ベルトコンベヤ技術の使用がローラコンベヤ技術よりも好ましい。
【0004】
しかしながら、既知のベルトコンベヤは、搬送および/または集積に関して、多数の駆動源、複雑な電気接続、時間のかかる始動、および、制御工学に関する多大な労力を必要とするという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、物品を搬送するおよび/または集積するための簡略化された装置を提供することである。この目的は請求項1に係る装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
物品、特にパックを搬送セクションに沿って搬送するおよび/または集積するための本発明に係る装置は、無端コンベヤとして、特にベルトコンベヤとして構成された少なくとも2つの搬送要素と、少なくとも2つの搬送要素を特に互いに独立に駆動させることができる駆動源とを備える。
【0007】
各搬送要素はそれ自体の駆動源を有していないが、少なくとも2つの搬送要素が1つの駆動源によって駆動できるため、前記装置は、既知の装置と比べて簡略化された構成を成す。
【0008】
そのため、物品を所定の期間にわたって一時的に停止させることが必要な場合がある。ここでは、物品を「集積する」ことについて述べる。それ以外においては、物品を搬送セクションに沿って移動させることができる。ここでは、物品を「搬送する」ことについて述べる。
【0009】
搬送されあるいは集積されるべき物品は飲料品または食料品であってもよい。物品がパックに相当してもよい。パックとは、包装された品物と包装体とから成る実体物のことであってもよい。より具体的に言うと、飲料品のパックは、飲料と関連する包装体とに対応してもよい。また、パックは、複数の個々のパックを備える大型パックであってもよい。例えば、パックは、飲料で満たされたボトルを伴う飲料1ケースであってもよい。また、パックは、カートンまたは収縮パックであってもよい。パックは、1つ以上の飲料品および/または食品、市販製品のパック、および/または、容器、および/または一般にパケットであってもよい。
【0010】
搬送セクションは、とりわけ、それに沿って物品、特にパックが搬送されるようになっているセクションであってもよい。搬送セクションは少なくとも2つの搬送要素を備えてもよく、搬送要素は、具体的には、物品、すなわち、搬送されるべき品物を搬送要素により搬送セクションに沿って移動させることができるように配置されおよび/または構成される。すなわち、搬送セクションが搬送要素または搬送セグメントに分割されてもよい。
【0011】
搬送要素が列を成して配置されてもよく、その場合、各搬送要素は同じ搬送方向を有する。特に、搬送要素または搬送セグメントを直接に前後に配置することができる。
【0012】
搬送要素または搬送セグメントがベルトコンベヤとして構成されてもよい。ベルトコンベヤにおいては、無端バンドまたはベルトが少なくとも2つの偏向プーリを介して駆動される。ベルトの代わりに、その動作形態がベルトと同様なチェーン−リンクマットまたは他の無端コンベヤバンドを使用することも可能である。
【0013】
駆動源は、モータ、特に電動機であってもよい。駆動源は、少なくとも2つの搬送要素を同時に駆動させるのに十分な駆動力を与えるように構成されてもよい。
【0014】
駆動源は、駆動力を駆動源から搬送要素へ伝達するための伝動要素を更に含んでもよい。伝動要素は、特に、ベルト、チェーン、および/または、シャフトを備えてもよい。ベルトは、構造が簡単であるため特に有利である。また、伝動要素は、複数のベルト、チェーン、および/または、シャフトを備えてもよい。
【0015】
少なくとも2つの搬送要素のそれぞれがクラッチを介して伝動要素に接続されてもよい。すなわち、各搬送要素ごとに、装置がクラッチを備えることができ、このクラッチを介して搬送要素を伝動要素に接続できる。駆動源の駆動力を伝動要素およびクラッチを介して搬送要素に伝えることができ、したがって、搬送要素を動作させることができる。また、クラッチは、搬送要素を伝動要素から分離するために使用することもできる。この場合には、搬送要素が駆動されない。これにより、搬送要素上に配置される搬送されるべき物品の集積(停止)が可能となる。
【0016】
本装置は、特に、少なくとも2つの搬送要素のそれぞれをクラッチを介して伝動要素に接続できあるいは伝動要素から分離できるように構成することができ、分離の場合には少なくとも2つの搬送要素が静止したままである。そのため、搬送要素を伝動要素に接続するためにあるいは搬送要素を伝動要素から分離するために搬送要素の相対的な位置を変える必要がない。その結果、装置をコンパクトにすることができ、すなわち、スペースを取らないようにすることができる。
【0017】
搬送要素のクラッチを搬送要素の偏向プーリのうちの1つに対して接続することができる。それにより、偏向プーリを駆動ローラとして構成できる。
【0018】
クラッチは、特に、磁性粒子クラッチまたは電磁クラッチであってもよい。
【0019】
クラッチは、クラッチとブレーキの組合体として制動機能が組み込まれ得る。制動機能は、搬送および/または集積中に搬送されるべき物品の位置決めを制御することができ、そのような位置決めは可能な限り正確である。
【0020】
本装置は、搬送要素の結合および/または分離を制御するための制御要素を更に備えることができる。
【0021】
より具体的には、搬送セクションの搬送要素の全てが駆動源によって特に互いに独立に駆動される。すなわち、駆動源は、個々の搬送要素を伝動要素を介して駆動させることができるようにする中心駆動源であってもよい。個々の搬送要素のそれぞれを、クラッチを介して伝動要素に接続でき、したがって、中心駆動源に切り換えることができ、あるいは、再び駆動源から分離できる。
【0022】
また、本装置は少なくとも4つの搬送要素を備え、駆動源が第1の駆動源であり、装置が第2の駆動源を更に備えてもよく、その場合、少なくとも2つの搬送要素を第1の駆動源によって特に互いに独立に駆動させることができ、少なくとも2つの搬送要素を第2の駆動源によって特に互いに独立に駆動させることができる。特に長いユニットを用いると、例えば4つ以上の搬送要素を有する装置を用いると、伝動要素、例えばベルトにとって荷重が大きすぎる場合がある。2つの駆動源を設けることにより荷重を半分にすることができる。
【0023】
例えば、搬送要素を第1または第2の駆動源に対して選択的にあるいは交互に割り当てることができる。
【0024】
以下、典型的な図を参照して、更なる特徴および利点について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】物品を搬送するおよび/または集積するための典型的な装置の例図である。
【図2】物品を搬送するおよび/または集積するための第2の典型的な装置の例図である。
【図3】物品を搬送するおよび/または集積するための第3の典型的な装置の例図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、列を成して配置される4つの搬送要素を示している。かかる4つの典型的な搬送要素は搬送セクションの一部を形成する。各搬送要素は、ベルトタイプの集積コンベヤとして構成される。すなわち、各搬送要素は、偏向プーリ102によって駆動され得る無端ベルト101を備える。
【0027】
また、図1は、搬送要素のための駆動源として構成されたモータ103を示している。特に、モータ103は、搬送要素に駆動力を伝えるベルト104に対して接続される。各搬送要素ごとにクラッチ105が設けられ、このクラッチは、互いに独立にベルト104に接続されるようになっており、あるいは、ベルト104から再び分離されるようになっている。ベルト104が動いているときには、搬送要素、特に駆動ローラとして構成された一方の偏向プーリ102を、クラッチ105を介して駆動させあるいは停止させることがそれぞれできる。それにより、ベルト101上に配置される搬送されるべき物品を移動させる(搬送する)あるいは停止させる(集積する)こともできる。
【0028】
上位の制御要素で実施される制御論理は、搬送要素の結合および分離を制御できる。複数の搬送要素または一群の搬送要素または搬送システムを中心的に制御する制御要素だけでなく、個々の搬送要素を隣接する搬送要素の状態に基づいてシステムの観点から分散的に制御する制御ユニットもまた、上位の制御要素と見なすことができる。
【0029】
モータ103が設けられるため、各搬送要素がそれ自体のモータを有する既知のシステムと比べて、材料および制御工学に関する労力を減らすことができる。これは、そのようなシステムのコストおよび環境適合性に対してプラスの影響を与えることができる。
【0030】
図2は、物品を搬送するおよび/または集積するための装置の他の例を示している。図1で与えられた例と同様に、図2に示される装置は互いに独立に駆動できる4つの搬送要素を備え、各搬送要素はベルト201と2つの偏向プーリ202とを備えている。また、図2は、伝動要素に接続されたモータ203を示している。図1の伝動要素とは異なり、図2の伝動要素は4つのベルト2041、2042、204および204を備えている。2つのベルト204および204はクラッチ205を介して搬送要素に接続させることができる。ベルト204および204はベルト204および204にそれぞれ接続される。そのような構造は、より短いベルトを用いてシャフトにより動力伝達を行なうことができるため、有益となり得る。
【0031】
図3は、物品を搬送するおよび/または集積するための更なる典型的な装置を示している。この装置は4つの搬送要素を備えており、各搬送要素はベルト301と偏向プーリ302とを備える。偏向プーリ302の一方は、駆動ローラとしての機能を果たすとともに、クラッチ305を介して伝動要素304および304にそれぞれ接続可能である。先に示してきた例とは異なり、図3に示される例は2つのモータ303および303を示しており、各モータは、搬送要素のうちの2つをそれぞれのベルト304および304を介して互いに独立にそれぞれ駆動させることができるとともに、クラッチ305を介して2つの搬送要素を互いに独立に駆動させることができる。搬送要素は、特に、第1のベルト304または第2のベルト304のいずれかに対して交互に接続される。2つの駆動源を設けることにより、2つのベルトおよび/または2つのモータにわたって荷重を分配することができる。
【0032】
言うまでもなく、先に説明した実施形態で述べられた特徴は、これらの特別な組み合わせに限定されず、任意の他の組み合わせにおいても可能である。特に、装置は、飲料産業においてパックを搬送するおよび/または集積するために、あるいはまた、パッケージングされた一般消費者が買う商品の輸送のために、または、通信販売会社の配送センターにおいて使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
101、104、201、204、204、204、204、304、304…ベルト、102、202、302…偏向プーリ、103、203、303、303…モータ、105、205、305…クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品、特にパックを搬送セクションに沿って搬送および/または集積するための装置であって、
無端コンベヤとして、特にベルトコンベヤとして構成された少なくとも2つの搬送要素と、
前記少なくとも2つの搬送要素を、特に互いに独立に、駆動させることができる駆動源(103;203;303)と
を備える、装置。
【請求項2】
駆動力を前記駆動源から前記搬送要素へ伝達するための伝動要素を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記伝動要素が、ベルト(104;204;304)、チェーン、および/または、シャフトを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの搬送要素のそれぞれをクラッチ(105;205;305)を介して前記伝動要素に接続できる、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記搬送要素の結合および/または分離を制御するための制御要素を更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記クラッチ(105;205;305)が磁性粒子式クラッチまたは電磁クラッチである、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記クラッチ(105;205;305)が、クラッチとブレーキの組合体として、
制動機能が組み込まれている、請求項4〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記搬送セクションの前記搬送要素の全てを前記駆動源(103;203;303)によって、特に互いに独立に、駆動させることができる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
当該装置は、少なくとも4つの搬送要素を備え、前記駆動源が第1の駆動源(303)であり、
当該装置は、第2の駆動源(303)を更に備え、少なくとも2つの搬送要素を前記第1の駆動源(303)によって、特に互いに独立に、駆動させることができ、少なくとも2つの搬送要素を前記第2の駆動源(303)によって、特に互いに独立に、駆動させることができる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−173729(P2011−173729A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−20029(P2011−20029)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】