説明

物品検査装置

【課題】通信環境の設定切換え操作を的確かつ容易に行なえるようにし、誤動作や情報流出を確実に防止しながら適宜外部への情報入出力を行なうことができ、リモートメンテナンス等を容易に実行できる物品検査装置を提供する。
【解決手段】所定の物品の要求される性質又は状態を検査する検査部11に所定通信方式の通信処理部13を装備した物品検査装置において、通信制限条件が異なる通信処理部13の複数の通信処理モードとして、少なくとも通信が許可される通信可能モードと通信が許可されない通信禁止モードとを設定する通信条件設定手段と、前記通信処理部の複数の通信処理モードを切換え操作するモード切換え手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の物品の要求される性質又は状態を検査する物品検査装置、特に外部への情報入出力機能を備えた物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線異物検出装置、金属検出装置、重量検査装置等のように物品の品質状態(外観上若しくは内容物に対して要求される品質や物理量等)を検査する物品検査装置が知られているが、この種の物品検査装置は、記憶装置に予め記憶格納した判定処理プログラムを内蔵CPUにより実行して、物品の品質状態の判定を行なうようにしたものが多い。
【0003】
また、この種の物品検査装置では、品種毎の検出条件や判定条件に関する設定データを被検査物品の品種毎に記憶保存しておき、品種を選択することでその品種に対応する設定パラメータ等を読み出して必要な検出条件及び判定条件に変更していた。
【0004】
ところが、この品種選択が手動操作によるだけでは、異種の物品を順不同に連続して検査するようなことはできないため、外部から個々の検査対象の物品についての設定条件に関係するデータを受信できるような通信機能を持たせることで、装置の検出条件及び判定条件を個々の物品毎動的に更新しながら、異種の物品を順不同に連続して検査できるようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
同様に、通信機能を持つものとしては、例えば内容物を自動計量し、所定分量の内容物を包装袋(若しくは包装容器)に収納した後、混入異物の有無を金属検出装置でチェックし、包装袋上の識別符号等をシールチェッカで検査して、箱詰めした最終的な製品を更に複数個ずつ段ボール箱に詰めて、その個数を検査するといった生産ラインにおいて、各工程で処理を行なう処理装置を通信回線を介して集中管理装置に接続し、集中管理装置側で生産ライン中の全ての処理装置の稼動状態をリアルタイムに把握し、生産ライン全体の処理速度と歩留まり率の監視を行なうことで、生産性向上を図るようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3355427号公報
【特許文献2】特開平9−301327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の物品検査装置にあっては、通信環境が的確に設定されていないと、誤動作や外部への情報の流出を招いてしまうおそれがあった。すなわち、シリアル通信においてはその通信相手は通常1つで特定の相手に限定されるが、イーサネット(登録商標)等のネットワーク通信の場合、的確な設定がなされていないと情報の入出力先である通信相手や通信内容は特に限定されず、外部への情報の漏洩等が問題となる。
【0007】
また、物品検査装置を外部から集中管理するネットワーク環境において、例えば不良品の発生時に警報が出されるような設定がなされている場合に、装置の設定や点検のために不良品サンプルを使用するなどして意図的に不良品を発生させた時にまで管理ホスト側に不要な警報が出されることがあり、また、例えば装置の運転や停止を遠隔操作するような設定がなされている場合に、人手により保守がなされている最中に不意に装置が運転開始するといった危険を招き得る。さらに、ウィルス感染等によりネットワーク負荷が高くなり通信状態が異常となったような場合に、装置をネットワーク上(感染源)から切り離しても動作するように設定変更する必要が生じて一時的にラインが停止し、生産を継続できなくなるという問題も生じ得る。このようなことから、物品検査装置のネットワークの利用範囲は比較的制限されていた。
【0008】
一方、物品検査装置をネットワーク接続すれば、リモートメンテナンス等の外部からの設定操作が可能になり、生産工程の集中管理や監視等も可能になるから、十分に利点があるが、その場合には、特に上記の通信環境の設定や切換えに的確さが要求されるため、物品検査装置を使用する作業者にとっては、通信環境の設定切換えは行ない難いし、設定された通信環境の把握自体も容易でなかった。
【0009】
また、既存の有線の構内通信網等を利用する場合、ネットワーク接続ポートに対しネットワークケーブルを抜き差しする等といった操作で通信を選択的に確実に遮断したりすることはできるが、特に食品や薬品の生産ラインに組み込まれて使用される物品検査装置においては、衛生管理の点から頻繁に水や洗浄液で洗浄される場合が多く、防水性を維持するためにケーブル等の接続箇所が防水カバーで覆われており、ケーブルを抜き差しするといった操作が行ない難いことが多いことからも、通信回線の信頼性の面からも、そのような遮断の操作は望ましくなく、したがって、作業者が必要に応じて適宜通信を可能にしたり通信を禁止したりするということは容易でなかった。
【0010】
また、メモリカード等の記憶媒体への情報入出力のためのデータ通信の場合にも、何らかの制限を加えたいときに記憶媒体を物品検査装置に対し抜き差しするといった操作が行ない難いことが多く、類似する問題が生じるとともに、やはり、そのデータ通信処理の的確な設定がなされていないと情報の入出力先である通信相手や通信内容が特に限定されず、外部への情報の漏洩等が問題となる。
【0011】
そこで、本発明は、物品検査装置を使用する作業者等が通信環境の設定切換え操作を的確かつ容易に行なうことができるようにして、誤動作や情報流出を確実に防止しながら適宜外部への情報入出力を行なうことができ、リモートメンテナンス等を容易に実行することのできる物品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的達成のため、(1)所定の物品の要求される性質又は状態を検査する検査部に所定通信方式の通信処理部を装備した物品検査装置において、前記通信処理部が、実行可能な所定の通信のうち少なくとも一部を制限する制限モードと前記所定の通信を非制限にする非制限モードとを選択設定可能な通信処理選択手段を備えたものである。
【0013】
この構成により、所定の通信を選択的に制限する切換えが容易に可能となる。したがって、通信回線ケーブルを手動で抜き差ししたりする必要がなく、検査装置に着脱可能に装填される記憶媒体へ情報入出力のための通信であれば、緊急時に記憶媒体を手動で抜き差ししたりする必要がなくなる。
【0014】
本発明の物品検査装置においては、(2)前記通信処理選択手段が、前記通信を制限する条件が異なる複数の通信処理モードとして、少なくとも通信が許可される通信可能モードと通信が許可されない通信禁止モードとを設定する通信条件設定手段と、前記通信処理部の複数の通信処理モードを切換え操作するモード切換え手段と、を有するのがよい。
【0015】
この構成により、少なくとも通信可能モードと通信禁止モードとの切換えを容易に行なうことが可能になる。
【0016】
本発明の物品検査装置は、好ましくは、(3)前記通信処理選択手段が、前記モード切換え手段によって前記通信可能モードが設定されたときに前記通信の範囲を制限する範囲制限手段を有するものである。なお、ここでの制限は、物理的な制限のみならず、IP(Internet Protocol)アドレス等に基づくフィルタリング、ユーザ認証等のようなソフトウェア的な制限であってもよい。この構成により、使用可能な通信網中で通信可能な範囲を異ならすことができ、例えば広域通信網による通信が許可される広域通信可能モードと、広域通信網による通信が禁止される広域通信禁止モードとを設定することができるし、あるいは、同一の構内通信網内に設定される第1の通信範囲(例えばIPネットワークにおける特定のブロードキャストドメインに相当)内に制限された通信が許可される第1の範囲制限処理モードと、第1の通信範囲とは異なる第2の通信範囲内に制限された通信が許可される第2の範囲制限処理モードとを設定することができる。
【0017】
本発明の物品検査装置は、(4)前記通信処理選択手段が、前記モード切換え手段によって前記通信可能モードが設定されたときに前記通信の内容を制限する内容制限手段を有するものでもよい。ここでの制限は、通信サービスの無効化、物品検査装置側のプロセスの起動制限、コンテンツの種類の制限等であり、例えば物品検査装置のメンテナンス作業中は運転制御に関わる外部からの通信を禁止したり、通信する情報の種類(例えば設定パラメータ、品種データ、運転・停止の指令情報、品種切換えの指令情報、製造元のウェブサイトからダウンロード可能なプログラムやデータ)の内容を予め定めたポリシーに則して適宜制限したりすることが可能となる。
【0018】
また、本発明の物品検査装置においては、(5)前記モード切換え手段が、前記通信可能モードが設定されたときの通信の範囲及び通信の内容を単一の操作部で切換え可能な切換え操作スイッチを有するのがよい。これにより、装置の使用環境に応じて予め切換え操作スイッチの切換え位置に対し所要の通信処理モードとなるように通信処理部の処理に関わる各部の設定パラメータを準備しておくことにより、簡単なスイッチ切換え操作のみで確実に通信環境の切換えを行なうことが可能となる。しかも、切換えたモードをスイッチの切換え位置から一目で把握することが可能となる。
【0019】
本発明の物品検査装置においては、(6)前記検査部が、前記通信条件設定手段により設定される前記通信を制限する条件の設定情報を前記通信処理部の通信処理モードのうち各通信処理モード毎に整列させた設定一覧情報を画面表示する一覧表示手段を有するのが好ましい。この構成により、通信処理部の複数の通信処理モードの設定内容を一覧で把握可能となり、個々の通信処理モードの設定内容をカスタマイズするのが容易化される。
【0020】
より好ましくは、本発明の物品検査装置においては、(7)前記モード切換え手段が、前記通信可能モードが設定されたときの通信の範囲及び通信の内容を単一の操作部で切換え可能な切換え操作スイッチを有し、前記切換え操作スイッチの切換え状態と該切換え状態に対応する前記設定一覧情報とを同時に画面表示するものである。この構成により、通信処理部の多様な通信処理モードを設定しながらも、そのモードの切換えを容易化でき、しかも、その切換え操作に対応する設定情報の切換えの内容を一覧で把握可能となり、通信環境の的確で容易な切換えが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、回線ケーブルを手動で外したりすることなく、通信に対する制限の有無を選択設定することができ、誤動作や情報流出を確実に防止しながら適宜外部への情報入出力を行なうことができ、リモートメンテナンス等を容易に実行することのできる物品検査装置を提供することができる。また、この発明を検査装置に着脱可能な記憶媒体へ情報入出力のための通信に適用すれば、緊急時に記憶媒体を手動で抜き差ししたりする必要をなくすことができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、少なくとも通信可能モードと通信禁止モードとの切換えを行なうモード切換え手段を設けることにより、簡単な切換えで誤動作や情報流出を確実に防止しながら適宜外部への情報入出力を行なうことができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、使用可能な通信網中で通信可能な範囲を異ならすことができるので、多様な通信処理モードの設定を可能にしながらも、そのモード切換えを容易化し、通信環境の的確で容易な切換えを行なうことができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、通信の内容を制限することができるので、例えば物品検査装置のメンテナンス作業中は運転制御に関わる外部からの通信を禁止したり、通信する情報の内容を予め定めたポリシーに則して適宜制限したりすることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、簡単なスイッチ切換え操作のみで確実に通信環境の切換えを行なうことができ、しかも、切換えたモードをスイッチの切換え位置から一目で把握することができる。
【0026】
請求項6の発明によれば、通信処理部の複数の通信処理モードの設定内容を一覧で把握可能となり、個々の通信処理モードの設定内容を容易にカスタマイズすることができる。
【0027】
請求項7の発明によれば、通信処理部の多様な通信処理モードを設定しながらも、そのモードの切換えをスイッチ操作として容易化でき、しかも、その切換え操作に対応する設定情報の切換え内容を一覧で把握できるので、通信環境の的確で容易な切換えを行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1〜図6は本発明の物品検査装置の第1の実施形態を示す図である。
【0029】
図1において、物品検査装置10は、例えばコンベア搬送中の物品にX線を照射し、その物品を透過したX線を検出することでその物品の品質状態を表す検出信号を出力する検査部11と、この検査部11の検出動作を制御する制御部12と、外部とのネットワーク接続が可能で、制御部12と協働して外部の通信端末との間で所定通信方式の通信を行なうことができる送受信部13(通信処理部)とを装備している。
【0030】
検査部11とその制御に関する制御部12の構成は公知のものと同様であり、これらは公知の金属検出装置、重量検査装置、計量装置、外観検査装置等の検出部とその制御部で構成されていてもよい。
【0031】
送受信部13は、所定のローカルエリアネットワーク(構内通信網;以下、LANという)に有線又は無線方式で接続される例えばイーサネット(登録商標)通信モジュールで構成され、同LANにネットワーク接続された社内PC40との間で例えばTCP/IP通信を行なうようになっている。送受信部13に設定されるIPアドレスはプライベートIPアドレスである。
【0032】
社内PC40は、前記LANと公知の広域通信網N1との間に介在する社内の管理用PCであり、少なくとも送受信部13と同一のネットワークアドレスを有する通信モジュールを有している。この社内PC40は、広域通信網N1からの通信に対するファイアウォール、社外PC50との間での仮想プライベートネットワーク(以下、VPNともいう)の構築及び社外PC50から物品検査装置10へのリモートアクセスを可能にするゲートウェイ機能とそのためのグローバルIPアドレスを有している(あるいはそのゲートウェイ機能を有する他の社内PCに接続されている)。なお、本実施形態にいう「PC」は、例えばPC/AT互換機のコンピュータであってネットワークインターフェースを有するものである。
【0033】
社外PC50は、例えば広域通信網N1を介して社内PC40(又はゲートウェイ機能を有する他の社内PC)との広域通信が可能なグローバルIPアドレスを有する社外の、例えば物品検査装置10の製造元あるいは管理者のPCであり、送受信部13及び社内PC40を含む公知の仮想プライベートネットワーク(以下、VPNともいう)により若しくはSSH(Secure Shell)等で暗号化された通信路により、又は他の独立回線によってデータ通信を行なったり、物品検査装置10に対するリモートメンテナンスを行なったりすることが可能なハードウェア資源である。
【0034】
物品検査装置10の制御部12は、詳細なハードウェア構成を図示していないが、例えば図2に示すように、CPU、ROM、RAM及びI/Oインターフェースを有するマイクロコンピュータ21と、所定の物品検査プログラム、設定プログラム、統計処理プログラム等を格納するとともに設定情報や検査結果、統計処理結果等を記憶するハードディスク等の記憶装置22と、物品の品質状態に関わる検出画像や検査結果の表示、設定画面表示、統計処理結果の表示等を行なう表示ユニット24と、操作パネルからなる設定操作部25とを含んで構成されており、所定の物品検査プログラムに従って検査部11における物品検査を制御する一方、送受信部13の通信処理モードを制御することができる。
【0035】
また、送受信部13は、例えばイーサネット(登録商標)上で固有の機器識別アドレスを有するネットワークインターフェース部31と、所定の通信処理プログラム(プロセス)を格納するとともに通信設定情報や通信ログ等を記憶する記憶装置32と、制御部12からの制御信号に従っていずれかの通信処理プログラムを起動して外部の通信端末である社内PC40との間あるいは更に社外PC50との間での所定の通信サービスを選択的に可能にする通信処理選択部33とを有しており、外部とのTCP(Transmission Control Protocol)/IP通信を実行することができる。
【0036】
また、通信処理選択部33は、制御部12の設定操作部25から設定入力に基づき、送受信部13における通信を制限する条件が異なる複数の通信処理モードとして、少なくとも通信が許可される通信可能モードと通信が許可されない通信禁止モードとを設定するプログラム及びその作業メモリを含む通信条件設定手段33aを具備しており、更に、前記複数の通信処理モードを切換え操作するプログラム及び作業メモリを含むモード切換え手段33bを具備している。
【0037】
さらに、この通信処理選択部33には、物理層レベルでの通信の制限のみならず、ソフトウェア的な制限によって通信(通信先)の範囲を制限したり通信の内容を制限したりすることができるようになっている。
【0038】
具体的には、通信処理選択部33は、通信条件設定手段33a及びモード切換え手段33bに加え、モード切換え手段33bによって前記通信可能モードが設定されたときにIPアドレス等に基づくフィルタリングや例えば公開鍵を用いたユーザ認証等によってその通信の範囲を制限するプログラムとそのための作業メモリ及び設定データテーブルとを有する範囲制限手段33cを具備しており、更に、モード切換え手段33bによって前記通信可能モードが設定されたときに通信サービスの無効化、プロセスの起動制限、コンテンツの種類の制限処理等によりその通信の内容を制限するプログラムとそのための作業メモリ及び設定データテーブルとを有する内容制限手段33dを具備している。
【0039】
範囲制限手段33cは、通信可能モードにおいて、例えば広域通信網による通信が許可される広域通信可能モードか、広域通信網による通信が禁止される広域通信禁止モードかを選択的に設定することができ、かつ、広域通信禁止モード下において、図3に示すように、同一の社内LAN内で例えば「172.16.1.1」〜「172.16.254.254」に相当する第1のドメインD1(第1の通信範囲)D1内に制限された通信が許可される第1の範囲制限処理モードか、第1のドメインD1とは範囲が異なる第2のドメインD2(第2の通信範囲)内に制限された通信が許可される第2の範囲制限処理モードかを設定することができる。ここで、第1のでドメインは例えば社内通信網の全範囲であり、第2のドメインD2は、第1のドメインD1より狭い範囲、例えば「172.16.1.1」〜「172.16.1.254」の範囲に設定される社内の1号館(特定の建物)内の通信網や「172.16.2.1」〜「172.16.2.254」の範囲に設置される社内の2号館内の通信網といったもの、あるいは、更に小さいドメインである「172.16.1.1」〜「172.16.1.4」までの製造ラインAの通信網といった範囲である。
【0040】
内容制限手段33dは、例えば物品検査装置10のメンテナンス作業中は運転制御に関わる外部からの通信を禁止したり、通信する情報の種類(例えば設定パラメータ、品種データ、運転・停止の指令情報、品種切換えの指令情報、製造元のウェブサイトからダウンロード可能なプログラムやデータ)の内容を予め定めたポリシーに則して適宜制限したりすることが可能である。
【0041】
範囲制限手段33c及び内容制限手段33dの複数の制限内容の組合せは、例えば図5に示すような共通の設定データテーブル33eの一部として、制限内容の異なる複数の通信選択モードの各モード毎に、通信処理選択部33に書き換え可能に記憶・保存されている。
【0042】
また、モード切換え手段33bは、例えば図4に示すような機械的な又は操作画面上の切換え操作スイッチ61を有しており、切換え操作スイッチ61の単一の操作部61aを回転操作することにより(又はそれに代わる切換え操作入力を画面上で行なうことにより)、予め所定のポリシーに従って設定され範囲制限手段33c及び内容制限手段33dの複数の制限内容の組合せのうちいずれかの組合せの通信制限条件、すなわち、設定データテーブル33e上の複数の通信選択モードのいずれかのモードを選択し、その通信処理モードに切換えるようになっている。
【0043】
図4に示す切換え操作スイッチ61は、回転式のモード切換えスイッチで、同図(a)に示す「標準」モードでは社内のLAN内に制限されたネットワーク通信であるが広域通信が禁止されるモードとなり、同図(b)に示す「設定・点検」モードでは社内LAN上のアクセスがなされず、社外からアクセスも禁止されるが、設定・点検のために使用したデータを通常収録データと区別するためのフラグ付のデータが出力可能なモードとなる。また、同図(c)に示す「リモートメンテナンス」モードでは、社内PC40等とのLAN内通信がなされ、物品検査装置10の製造元あるいは管理者の有する社外PC50との間での広域通信も許可されるモードとなる。これら「標準」、「設定・点検」、「リモートメンテナンス」の各モードでは、物理的なネットワーク接続状態の確認が可能であり、「標準」モードでは異常発生に対する社内PC40への警報メール送信が可能となる設定もなされる。一方、同図(d)に示す「緊急ロック」モードでは、社内PC40等とのLAN内通信がなされず、社外PC50との広域通信も禁止されるモードとなり、一切の通信が遮断される設定内容となる。このように通信処理選択部33の複数の通信処理選択モードのうち「リモートメンテナンス」は広域通信可能モードであるが、他の「標準」、「設定・点検」及び「緊急ロック」モードはそれぞれ広域通信禁止モードである。
【0044】
制御部12は、さらに、図5に示すように、通信処理選択部33の通信条件設定手段33aにより設定される通信制限条件の設定情報を、送受信部13の各通信処理モード毎に左右又は上下に整列させるとともに、前記複数の通信処理モードについての整列した設定情報を上下又は左右に並列させた設定一覧情報Lを生成し、一覧表示手段としての表示ユニット24に画面表示させるようになっている。また、これと併せて、制御部12は、切換え操作スイッチ61の切換え状態を設定一覧情報Lと共に、例えば表示ユニット24の画面上に同時に画面表示させるようになっており、これと同時に運転制御や管理PCへの情報出力の可否その他の制御部12での処理に関わる内部設定情報を更新するようになっている(後述する)。なお、図5では設定データテーブル33eを設定一覧情報Lと同一配列のテーブル情報として示したが、データ配列方向や順序が特に限定されないものであることはいうまでもない。
【0045】
次に、動作について説明する。
【0046】
上述のように構成された本実施形態の物品検査装置10では、予め前記社内LANへのネットワーク通信回線の接続がなされていれば、切換え操作スイッチ61への切換え操作入力だけで、少なくとも「標準」、「設定・点検」「リモートメンテナンス」等のような通信可能モードか、「緊急ロック」モードのような通信禁止モードへの切換えがなされ、それに対応する制御部12での内部設定情報の更新により運転条件が切り換えられる。
【0047】
ここで、例えば「標準」モードに切換え操作がなされたとすると、図6(a)に示すように、表示ユニット24には切換え操作スイッチ61が「標準」モードの回転位置に切り換えられたことを表示するスイッチ表示画像71aと共に、「標準」モードの通信処理の概要を説明するウィンドウ画像72aが表示され、予め所定のポリシーに従って設定された範囲制限手段33c及び内容制限手段33dの複数の制限内容の組合せのうち「標準」モードに対応する組合せの通信制限条件、すなわち、設定データテーブル33e上の標準モードの設定値情報が選択され、それらに従った通信環境設定が通信処理選択部33でなされる。
【0048】
この「標準」モードの選択状態においては、例えば社内PC40からの物品検査装置10の起動が可能であり、検査された物品の各個データの管理PCとしての社内PC40への出力がなされ、所要の管理データの収録と集中管理がなされる。また、一定時間ごとのネットワーク接続状態のチェックがなされる。さらに、物品検査装置10に何らかの異常が発生したときには社内PC40にそれを伝える警報メールが出される。
【0049】
次いで、例えば「設定・点検」モードに切換え操作がなされたとすると、図6(b)に示すように、表示ユニット24には切換え操作スイッチ61が「設定・点検」モードの回転位置に切り換えられたことを表示するスイッチ表示画像71bと共に、「設定・点検」モードの通信処理の概要を説明するウィンドウ画像72bが表示され、予め所定のポリシーに従って設定された範囲制限手段33c及び内容制限手段33dの複数の制限内容の組合せのうち「設定・点検」モードに対応する組合せの通信制限条件、すなわち、設定データテーブル33e上の設定・点検モードの設定値情報が選択され、それらに従った通信環境設定が通信処理選択部33でなされる。
【0050】
この「設定・点検」モードの選択状態においては、例えば社内PC40からの物品検査装置10の起動はできず、検査された物品の各個データには設定・点検時のものであることを示すフラグ付きの状態で社内PC40に送られ、かつ、一定時間ごとのネットワーク接続状態のチェックがなされる。しかし、作業者による設定・点検時であるから、このモードで物品検査装置10に何らかの異常が発生したとしても、社内PC40にそれを伝える警報メール送信はされない。
【0051】
次いで、例えば「リモートメンテナンス」モードに切換え操作がなされたとすると、図6(c)に示すように、表示ユニット24には切換え操作スイッチ61が「リモートメンテナンス」モードの回転位置に切り換えられたことを表示するスイッチ表示画像71cと共に、「リモートメンテナンス」モードの通信処理の概要を説明するウィンドウ画像72cが表示され、予め所定のポリシーに従って設定された範囲制限手段33c及び内容制限手段33dの複数の制限内容の組合せのうち「リモートメンテナンス」モードに対応する組合せの通信制限条件、すなわち、設定データテーブル33e上のリモートメンテナンスモードの設定値情報が選択され、それらに従った通信環境設定が通信処理選択部33でなされる。
【0052】
この「リモートメンテナンス」モードの選択状態においては、例えば社内PC40からの物品検査装置10の起動が可能となり、社外PC50からのリモートメンテナンスのためのアクセスも許可され、かつ、一定時間ごとのネットワーク接続状態のチェックがなされる。しかし、リモートメンテナンス中であるから検査された物品の各個データは社内PC40に出力されず、物品検査装置10に何らかの異常が発生したことを知らせる警報メール送信もなされない。
【0053】
次いで、例えば物品検査装置10の検査部11の異常の処理や急な清掃等のために「緊急ロック」モードに切換え操作がなされたとすると、図6(d)に示すように、表示ユニット24には切換え操作スイッチ61が「緊急ロック」モードの回転位置に切り換えられたことを表示するスイッチ表示画像71dと共に、「緊急ロック」モードの通信処理の概要を説明するウィンドウ画像72dが表示され、予め所定のポリシーに従って設定された範囲制限手段33c及び内容制限手段33dの複数の制限内容の組合せのうち「緊急ロック」モードに対応する組合せの通信制限条件、すなわち、設定データテーブル33e上の緊急ロックモードの設定値情報が選択され、それらに従った通信環境設定が通信処理選択部33でなされる。
【0054】
この「緊急ロック」モードの選択状態においては、例えば社内PC40からの物品検査装置10の起動はできず、社外PC50からのリモートメンテナンスのたのアクセスも禁止され、かつ、一定時間ごとのネットワーク接続状態のチェックも警報メール送信もなされない。すなわち、一切のネットワーク通信が遮断される。
【0055】
このような通信処理モード選択に際しては、切換え操作スイッチ61の切換え操作に対応してネットワーク通信の制限範囲を切り換えるために、例えば、物理層レベルでの通信の制限やそれより上層でのIPアドレス等に基づくフィルタリング、ユーザ認証等のようなソフトウェア的な制限の内容が変更され、あるいは、通信内容の制限範囲を変えるために、特定の通信サービスの無効化や有効化、通信処理選択部33内のプロセスの起動制限やその解除、制限されるコンテンツの種類(例えば設定パラメータ、品種データ、運転・停止の指令情報、品種切換えの指令情報、製造元のウェブサイトからダウンロード可能なプログラムやデータ)の変更等がなされる。
【0056】
本実施形態においては、少なくとも通信可能モードと通信禁止モードとの切換えを容易に行なうことができ、通信可能モードが設定されるときにもその通信の範囲や内容をモード選択可能に制限しているので、通信網中の通信可能な範囲を適宜変更することができ、通信処理部の多様な通信処理モードの設定を可能にしながらも、そのモード切換えを容易化し、通信環境の的確で容易な切換えを行ない得る物品検査装置10を提供することができる。すなわち、モード切換え手段33bによって広域通信可能モードと広域通信禁止モードとを切換えたり、同一LAN内での通信範囲を切り換えたりすることができるし、物品検査装置のメンテナンス作業中は運転制御に関わる外部からの通信を禁止したり、通信する情報を内容・種類により予め定めたポリシーに則して適宜制限したりすることができる。
【0057】
さらに、通信可能モードが設定されたときの通信の範囲及び通信の内容を切換え操作スイッチ61の単一の操作部61aで切換え可能にしているので、使用環境に応じて予め「標準」、「設定・点検」、「リモートメンテナンス」等の複数の切換え位置に対し所要の通信処理モードとなるように送受信部13の処理や制御部12の制御に関わる各部の設定パラメータを準備しておくことにより、簡単なスイッチ切換え操作のみで確実に通信環境及び選択操作に対応する運転制御への切換えを行なうことができる。
【0058】
また、複数の通信処理モードの設定一覧情報Lを表示ユニット24で画面表示するので、送受信部13の複数の通信処理モードの設定内容を一覧で把握することができ、個々の通信処理モードの設定内容を、設定一覧情報Lを見ながら容易にカスタマイズすることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態の物品検査装置10によれば、送受信部13の多様な通信処理モードを設定しながらもそのモードの切換え操作を容易化するとともに、その切換え操作に対応する設定情報の切換えの内容を設定一覧上情報Lで容易に把握できるようにしているので、ネットワークの専門家でなくとも切換え操作が容易で、通信環境の設定変更に対する不安感を取り除くことができ、各切換えモードでの通信範囲等も明確にできる。その結果、通信環境の誤設定により情報漏洩が生じたり誤動作が生じたりするのを確実に防止でき、かつ、適宜外部への情報入出力を行なうことができ、リモートメンテナンス等を容易に実行することのできる物品検査装置を提供することができるものである。また、設定・点検時に無駄な警報を出してしまうようなこともなく、LAN内のウィルス感染時等は「緊急ロック」モードにして完全に通信を遮断し、物品検査を継続実行させることができる。
【0060】
なお、上述の実施の形態においては、制御部12のマイクロコンピュータ21とは別に通信処理選択部33を設ける例で説明したが、この通信処理選択部33をマイクロコンピュータ21の一つの機能部としてもよく、その場合、記憶装置22,32を同一の記憶装置で構成することができるのは勿論である。
【0061】
また、データ収録や集中管理、リモートメンテナンスなどのために外部とのネットワーク通信の制限の仕方のみをモード選択方式で切り換えるようにしていたが、本発明においては、例えばメモリカード等の情報記憶媒体のリーダライタによる入出力のための通信の可否やそのメモリデータの外部への出力範囲の選択設定等を通信選択処理モードの設定項目とすることもできる。
【0062】
[第2の実施の形態]
図7は本発明の物品検査装置の第2の実施形態を示す図であり、本発明を外部接続されたメモリカードリーダライタによる情報入出力のための通信の可否とそのメモリデータの外部への出力範囲の設定等を通信選択処理モードの設定項目としたものである。なお、上述の実施形態と同一又は類似の構成要素には図1〜図6のそれらと同一符号を付し、主に上述との相違点について説明する。
【0063】
図7に示す物品検査装置110は、例えば検査部11及び制御部12に加えて、制御部12と協働してリーダライタ15との間でデータの書き込み/読み出し(プログラム情報等の入出力を含む)を行なうための情報通信処理を行なうことができるデータ入出力部113(通信処理部)を装備している。
【0064】
物品検査装置110の制御部12は、所定の物品検査プログラムに従って検査部11における物品検査を制御する一方、データ入出力部113でのデータ入出力(外部の記憶媒体との情報通信)の処理モードを制御することができる。
【0065】
データ入出力部113は、少なくとも1種類のメモリカード等の着脱可能な記憶媒体15m(リムーバブルメディア)に対し書き込み/読み出し可能なリーダライタ15と、制御部12からの制御信号に従っていずれか入出力モードでのデータ通信プログラムを起動し、リーダライタ15による入出力(書き替えできない記録媒体への書き込みを含む)のためにその記憶媒体15mにアクセス可能な所定通信方式のデータ通信処理を選択的に実行させ、或いはその実行自体又はその実行内容や範囲を選択的に制限する通信処理選択部133と、を有している。
【0066】
また、通信処理選択部133は、制御部12の設定操作部25から設定入力に基づき、データ入出力部113におけるデータ通信(情報入出力)を制限する条件が異なる複数の通信処理モードとして、少なくともその通信が許可される通信可能モードと通信が許可されない通信禁止モードとを設定するプログラム及びその作業メモリを含む通信条件設定手段133aを具備しており、更に、前記複数の通信処理モードを切換え操作するプログラム及び作業メモリを含むモード切換え手段133bを具備している。
【0067】
具体的には、通信処理選択部133は、通信条件設定手段133a及びモード切換え手段133bに加えて、アクセス可能な記憶媒体15mの範囲やユーザーの範囲等を制限するプログラム及び設定データテーブルを有する範囲制限手段133cと、入出力する情報内容を制限するプログラムとそのための作業メモリ及び設定データテーブルとを有する内容制限手段133dと、を具備している。
【0068】
範囲制限手段133cは、モード切換え手段133bによって前記通信禁止モードが設定されたときにリーダライタ15による入出力、すなわち使用可能な全種類の記憶媒体15mへの書き込み/読み出し処理を禁止する一方、モード切換え手段133bによって前記通信可能モードが設定されたときには、パスワードその他のユーザ認証あるいは暗号化等の手法で記憶媒体15mに対するアクセス(書き込み又は読み出し)が可能なユーザーの範囲あるいは記憶媒体15mの種類(例えばユーザーが選択した特定の種類の記憶媒体、対応OS等)を制限するようになっている。
【0069】
範囲制限手段133cは、モード切換え手段133bによって前記通信可能モードが設定されたときに、入出力通信サービスの無効化、特定の種類のカードに対応するリーダライタの特定のポートの無効化、プロセスの起動制限、コンテンツの種類の制限処理等によりその通信の内容を制限するようになっている。
【0070】
範囲制限手段133c及び内容制限手段133dの複数の制限内容の組合せは、例えば図5に示す共通の設定データテーブル33eと同様に、制限内容の異なる複数の通信選択モードの各モード毎に、通信処理選択部133に書き換え可能に記憶・保存されている。
【0071】
また、モード切換え手段133bは、切換えモードは異なるが、例えば図4に示したような機械的な又は操作画面上の切換え操作スイッチ61と同様な切換え操作スイッチ(以下、切換え操作スイッチ61という)を有しており、切換え操作スイッチ61の単一の操作部61aを回転操作することにより(又はそれに代わる切換え操作入力を画面上で行なうことにより)、予め所定のポリシーに従って設定され範囲制限手段133c及び内容制限手段133dの複数の制限内容の組合せのうちいずれかの組合せの通信制限条件、すなわち、上述の設定データテーブル(図示していない)上の複数の通信選択モードのうちいずれかのモードを選択し、その通信処理モードに切換えるようになっている。
【0072】
本実施形態では、切換え操作スイッチ61の操作に応じて、例えば生産管理データ(例えば、日付、生産ライン番号、品名、良品個数、不良品個数)の記憶媒体15mへの書き込みを行なう「生産管理データの記憶」モード、統計データに加えて不良品の発生時間、判定リミット値等の検査条件、不良品のX線透過画像等を記憶する「日報データの記憶」モード、記憶媒体15mへのデータの書き込みのみで記憶媒体15mからの読み込みを許可しない「データ書き出し」モード、プログラムの更新を許可する「プログラムの更新」モード、記憶媒体15mへのデータ入出力を禁止する「緊急ロック」といったようなモード切換えがなされる。
【0073】
このように構成された本実施形態の物品検査装置110では、切換え操作スイッチ61への切換え操作入力だけで、少なくとも「生産管理データの記憶」、「日報データの記憶」、「データ書き出し」、「プログラムの更新」のような通信可能モードか、「緊急ロック」モードのような通信禁止モードへの切換えがなされ、それに対応する制御部12での内部設定情報の更新により運転条件が切り換えられる。
【0074】
したがって、切換え操作スイッチ61への切換え操作入力によりモード切換え操作がなされると、図6に示したのとほぼ同様に、表示ユニット24には切換え操作スイッチ61がそのモードの回転位置に切り換えられたことを表示するスイッチ表示画像71aと共に、そのモード、例えば「生産管理データの記憶」モードの通信処理の概要を説明するウィンドウ画像が表示され、予め所定のポリシーに従って設定された範囲制限手段133c及び内容制限手段133dの複数の制限内容の組合せのうち「生産管理データの記憶」モードに対応する組合せの通信制限条件、すなわち、設定データテーブル上の「生産管理データの記憶」モードの設定値情報が選択され、それらに従った通信環境設定が通信処理選択部133でなされ、リーダライタ15に装填された記憶媒体15mへの所要の管理データ収録がなされる。
【0075】
また、「データ書き出し」モードに切換え操作がなされたとすると、記憶媒体15mへのデータの書き込みのみで記憶媒体15mからの読み込みが許可されなくなり、例えば記憶媒体15mの一種であるメモリカードから動作プログラムや検査条件を規定するパラメータ等のダウンロードが可能になっている場合に、カードが装填されると不意に検査条件が更新されてしまうといったことが確実に防止できる。
【0076】
ここで、範囲制限手段133c及び内容制限手段133dの複数の制限内容の組合せにより、例えばリーダライタ15が複数のカード装着ポートを有する場合に、ポート番号1を「プログラム更新」モード時の使用ポートに割り当て、ポート番号2を「日報」モード時の使用ポートに割り当てることができる。このようにすると、ポート番号1、2のポートに異なるタイプの記憶媒体15m(例えばUSB接続のフラッシュメモリ、SDメモリカード等)を対応させることで、プログラム更新用のメディアに管理データを保存して更新用のプログラムを消失させてしまったり、プログラム更新時に誤ってデータ保存用のメディアを装填したりすることがなく、管理上も都合が良い。
【0077】
上述の実施形態と同様に「設定・点検」モードを選択肢として、検査された物品の各個データが設定・点検時のものであることを示すフラグ付きの状態でデータ出力可能とすることもできる。
【0078】
「プログラム更新」モードでは、更新用のプログラムや検査条件パラメータが格納された記憶媒体15mがリーダライタ15に装填されたとき、プログラムの更新が許可される。このとき、当然ながら、検査データは出力されず、物品検査装置110に何らかの異常が発生したことを知らせる警報メール送信や警報音出力等もなされない。
【0079】
次いで、例えば物品検査装置110の検査部11の異常の処理や急な清掃等のために、あるいはウィルスチェックの結果、記憶媒体15mがウィルス感染していると判定され、「緊急ロック」モードに切換え操作がなされたとすると、通信禁止モードとなり、全種類の記憶媒体15mへの入出力、外部接続された他のリーダライタによる入出力が全て禁止される。すなわち、記憶媒体への一切のデータ入出力が遮断される。
【0080】
上述のような通信処理モード選択に際しては、切換え操作スイッチ61の切換え操作に対応して通信の制限範囲を切り換えるために、例えば、物理的な接続の制限やユーザ認証等のようなソフトウェア的な制限の内容が変更され、あるいは、通信内容の制限範囲を変えるために、特定の通信ポート若しくは通信サービスの無効化や有効化、通信処理選択部133内のプロセスの起動制限やその解除、制限されるコンテンツの種類の変更等がなされる。
【0081】
本実施形態においても、少なくとも通信可能モードと通信禁止モードとの切換えを容易に行なうことができ、通信可能モードが設定されるときにもその入出力の範囲や内容をモード選択可能に制限しているので、情報記憶媒体を介した外部への情報の入出力が可能な範囲を適宜変更することができ、通信処理部の多様な通信処理モードの設定を可能にしながらも、そのモード切換えを簡単なスイッチ切換え操作のみで容易にかつ確実に実行でき、通信環境の的確で容易な切換えを行ない得る物品検査装置110を提供できる。
【0082】
また、複数の通信処理モードの設定一覧情報Lを表示ユニット24で画面表示することで、データ入出力部113の複数の通信処理モードの設定内容を一覧で把握することができ、個々の通信処理モードの設定内容を、設定一覧情報Lを見ながら容易にカスタマイズすることができる。
【0083】
以上のように、本実施形態の物品検査装置110によれば、データ入出力部113の多様な通信処理モードを設定しながらもそのモードの切換え操作を容易化するとともに、その切換え操作に対応する設定情報の切換えの内容を設定一覧上情報Lで容易に把握できるようにしているので、専門家でなくとも切換え操作が容易で、入出力制限の設定変更に対する不安感を取り除くことができ、各切換えモードでのデータ入出力範囲等も明確にできる。その結果、誤設定により情報漏洩が生じたり誤動作が生じたりするのを確実に防止でき、かつ、検査結果データの取り扱いを容易化することができる物品検査装置を提供することができるものである。また、設定・点検時に無駄な警報を出してしまうようなこともなく、記憶媒体15mのウィルス感染時等は「緊急ロック」モードにして完全にその入出力を遮断し、物品検査を継続実行させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、情報入出力ラインの遮断のために回線ケーブルやメモリカードを手動で外したりすることなく、少なくとも通信可能モードと通信禁止モードとの切換えを容易に行なうことができ、誤動作や情報流出を確実に防止しながら適宜外部への情報入出力を行なうことができる物品検査装置を提供することができるという効果を奏するものであり、所定の物品の要求される性質又は状態を検査する物品検査装置、特に外部への情報入出力機能を備えた物品検査装置全般に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置を示すそのシステム構成と通信網接続状態の概要説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置の要部構成を示すそのブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置で通信範囲制限を行なう場合のその範囲を例示するブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置の切換え操作スイッチの切換え状態を説明する説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置における複数の通信処理選択モードの設定内容を示す設定テーブルデータ及び設定一覧情報の説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る物品検査装置における複数の通信処理選択モードにおけるそれぞれの画面表示内容の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る物品検査装置を示すその概略のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0086】
10,110 物品検査装置
11 検査部
12 制御部
13 送受信部(通信処理部)
21 マイクロコンピュータ
22,32 記憶装置
15 リーダライタ(入出力デバイス)
15m 記憶媒体
24 表示ユニット(一覧表示手段)
25 設定操作部
31 ネットワークインターフェース部
33,133 通信処理選択部
33a,133a 通信条件設定手段
33b,133b モード切換え手段
33c,133c 範囲制限手段
33d,133d 内容制限手段
33e 設定データテーブル
40 社内PC(LAN内通信端末)
50 社外PC(外部の通信端末)
61 切換え操作スイッチ
61a 操作部(単一の操作部)
71a,71b,71c,71d スイッチ表示画像
72a,72b,72c,72d ウィンドウ画像
113 データ入出力部(通信処理部)
N1 広域通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物品の要求される性質又は状態を検査する検査部(11)に所定通信方式の通信処理部(13;113)を装備した物品検査装置において、
前記通信処理部が、実行可能な所定の通信のうち少なくとも一部を制限する制限モードと前記所定の通信を非制限にする非制限モードとを選択設定可能な通信処理選択手段(33;133)を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記通信処理選択手段が、前記通信を制限する条件が異なる複数の通信処理モードとして、少なくとも通信が許可される通信可能モードと通信が許可されない通信禁止モードとを設定する通信条件設定手段(33a;133a)と、
前記通信処理部の複数の通信処理モードを切換え操作するモード切換え手段(33b;133b)と、を有することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記通信処理選択手段が、前記モード切換え手段によって前記通信可能モードが設定されたときに前記通信の範囲を制限する範囲制限手段(33c;133c)を有することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記通信処理選択手段が、前記モード切換え手段によって前記通信可能モードが設定されたときに前記通信の内容を制限する内容制限手段(33d;133d)を有することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記モード切換え手段が、前記通信可能モードが設定されたときの通信の範囲及び通信の内容を単一の操作部で切換え可能な切換え操作スイッチ(61)を有することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記検査部(11)が、前記通信条件設定手段により設定される前記通信を制限する条件の設定情報を前記通信処理部の通信処理モードのうち各通信処理モード毎に整列させた設定一覧情報(L)を画面表示する一覧表示手段(24)を有することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記モード切換え手段が、前記通信可能モードが設定されたときの通信の範囲及び通信の内容を単一の操作部で切換え可能な切換え操作スイッチ(61)を有し、
前記切換え操作スイッチの切換え状態と該切換え状態に対応する前記設定一覧情報とを同時に画面表示することを特徴とする請求項6に記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−256070(P2007−256070A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80623(P2006−80623)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】