説明

状態を処置するための方法および組成物

【課題】動物および植物の両方において疼痛、炎症、体温調節と関連する種々の生理学的状態、および他のミトコンドリア関連状態を処置および/または予防するための新規な組成物および方法を提供する。
【解決手段】本発明は、本発明のポリペプチド、またはそのホモログ、アナログ、模倣物、塩、プロドラッグ、代謝産物もしくは断片を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる組成物を含む。本発明は、配列番号1〜244、248〜249、ならびに任意のそのホモログ、アナログおよび断片を含む組成物に関する。かかる組成物は、植物および動物などの種々の有機体における疼痛、炎症および代謝過程を処置、予防および調節するために使用され得る。かかる組成物は、ヒトまたは植物への投与に許容され得る医薬用賦形剤とともに製剤化され得る。該組成物は、局所に、または全身性使用のために投与され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2004年11月24日に出願された米国特許仮出願第60/630,880号、2005年2月10日に出願された同第60/652,287号、および2005年3月4日に出願された同第60/658,859号(あらゆる目的のために、引用により本明細書に組み込まれる)の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
疼痛は、誰にでも、その一生のある時点で起こる状態である。疼痛のシグナル伝達経路は、内因性および合成オピオイドペプチドならびに小分子によって調節され得る。疼痛は、多くの型の刺激、例えば温度および組織損傷などによって誘導され、このような経路は、少なくとも1つの共通の成分を有することが示されている。現在、急性および慢性の激しい疼痛のマネージメントにおける治療選択肢は、原形質膜部位におけるものであり、ここでは、オピオイドペプチドが、種々のオピオイドレセプターのアゴニストとして作用する。
【0003】
世界的に、平均寿命および人口規模が増大しているため、動物および植物の両方において疼痛、炎症、体温調節と関連する種々の生理学的状態、および他のミトコンドリア関連状態を処置および/または予防するための新規な組成物および方法を同定するための大きな必要性が存在する。
【0004】
引用による本明細書への援用
本明細書で挙げたすべての刊行物および特許出願は、引用により、個々の各刊行物または特許出願が引用により援用され、具体的かつ個々に示されているのと同程度に本明細書に援用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本明細書に記載する本発明は、本発明のポリペプチド、またはそのホモログ、アナログ、模倣物、塩、プロドラッグ、代謝産物もしくは断片を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる組成物を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1〜244、248〜249または配列番号1〜244、248〜249の逆配列の1つ以上のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。例えば、一部の実施形態において、組成物は、配列番号1〜14もしくは50〜244、248〜249、または配列番号1もしくは2、または配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態において、組成物は、配列番号1の逆であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。本明細書に記載する本発明はまた、上記のポリペプチドのホモログ、アナログ、模倣物、塩、プロドラッグ、代謝産物および断片、ならびにそれを含む組成物も想定する。
【0006】
本明細書に記載の組成物は、有機体(植物または動物)における疼痛、炎症、感染(例えば、細菌真菌、ウイルスなど)、および代謝過程または代謝病を調節、予防または処置するために使用され得る。代謝病の例としては、限定されないが、疼痛、創傷治癒、炎症、熱生成、発熱、恒温性(homeothermy)、トリグリセリドの分解、解糖作用、クレブスサイクル、発酵、光合成、代謝速度、生物的および非生物的ストレス、分泌物、酸化的ストレス、ストレス、腫瘍性成長、皮膚病、心臓血管症状、神経疾患および神経変性疾患、精神障害および行動障害が挙げられる。かかる過程または状態は、細胞、細胞群、または有機体全体において起こり得る。
【0007】
本明細書に記載の組成物は、有機体における状態(1つまたは複数)を調節、予防、処置するために使用され得る。かかる有機体は動物および/または植物であり得る。
【0008】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物(例えば、配列番号1〜244、248〜249、またはより好ましくは配列番号1のポリペプチドを含む組成物)は、例えば、侵害受容(非慢性)疼痛、神経因性(慢性)疼痛、特発性疼痛、頭痛、腰痛、癌性疼痛、関節炎性疼痛、捻挫、骨折、熱傷に起因する疼痛、衝突と関連する疼痛、打撲と関連する疼痛、炎症性疼痛(例えば、感染または関節の障害に起因するもの)、閉塞由来の疼痛、顔面筋疼痛、神経損傷由来の疼痛(例えば、ジストロフィ/カウザルギー)、幻想肢痛、エントラップメントニューロパシー(例えば、手根管症候群)、および末梢神経障害などの疼痛を調節または処置するために使用される。
【0009】
好ましくは、疼痛を処置するために、配列番号1を含む組成物またはその塩、代謝産物もしくはプロドラッグが、動物に投与される。かかる疼痛は、非慢性疼痛、神経因性疼痛または特発性疼痛であり得る。本明細書に記載のポリペプチド(例えば、配列番号1)を含む組成物を、1つ以上の他の鎮痛用薬物と共投与することがさらに想定される。例えば、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、配列番号1など)は、小分子(例えば、非麻酔性および麻酔性の鎮痛薬)ならびにペプチドオピオイドからなる群より選択される鎮痛剤と、同時に投与され得るか、同時製剤化(co−formulate)され得るか、または同じ治療において投与され得る。
【0010】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物(例えば、配列番号1〜244、248〜249、またはより好ましくは配列番号1を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドを含む組成物)は、疼痛をもたらすもの、またはもたらさないものであり得る炎症状態を調節または処置するために使用される。かかる状態は、以下の症状:赤み、発熱、圧痛および腫脹の1つ以上を示すものであり得る。かかる状態の例としては、限定されないが、慢性炎症性疾患、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、ならびにI型およびII型糖尿病、喘息などや、中枢神経系の炎症性疾患、例えば、多発性硬化症、膿瘍、髄膜炎、脳炎および脈管炎などが挙げられる。
【0011】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物(例えば、配列番号1〜244、248〜249、またはより好ましくは配列番号1を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドを含む組成物)は、心臓血管症状を調節または処置するために使用される。疼痛および/または炎症と関連する心臓血管症状の例としては、限定されないが、アンギナ、不整脈、高血圧症、脳卒中、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化、末梢動脈疾患、高いコレステロールレベル、および心臓発作が挙げられる。
【0012】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物(例えば、配列番号1〜244、248〜249、またはより好ましくは配列番号1を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドを含む組成物)は、神経疾患もしくは神経変性疾患または精神障害もしくは行動障害調節または処置するために使用される。疼痛および/または炎症と関連する神経疾患の例としては、限定されないが、アルツハイマー病、健忘、エカルディ症候群、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、無脳症、不安、失語症、クモ膜炎、アルノルト‐キアーリ奇形、注意欠陥症候群、自閉症、バッテン病、ベル麻痺、双極性症候群、腕神経叢損傷、脳損傷、脳腫瘍、小児期鬱病、シャルコー‐マリー‐ツース病、鬱病、ジストニー、失読症、脳炎、癲癇、本態性振せん、ギヤン‐バレー症候群、水頭症、多汗症、クラッベ病、学習障害、白質萎縮症、髄膜炎、メビウス症候群、多発性硬化症、筋ジストロフィ、パーキンソン病、末梢神経障害、強迫性障害、体位性起立頻脈症候群、進行性核上性麻痺、相貌失認、精神分裂病、帯状疱疹、シャイ‐ドレーガー症候群、痙性斜頚、二分脊椎、脊髄性筋萎縮症、スティッフマン症候群、共感覚、脊髄空洞症、胸郭出口症候群、ツレット症候群、トキソプラスマ症、および三叉神経痛(neurolagia)が挙げられる。
【0013】
精神障害および行動障害の例としては、限定されないが、不安障害、恐慌性障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、対人恐怖(または社会不安障害)、恐怖症、および全般性不安障害が挙げられる。任意の上記の状態はまた、他の状態、例えば、鬱病、薬物乱用、またはアルコール中毒症などにも付随または顕現され得る。
【0014】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、炎症および感染性疾患などの多くの種々の状態に伴って起こる発熱を処置するために使用される。
【0015】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、腫瘍性成長を調節または処置するために使用される。腫瘍性成長の例としては、限定されないが、乳癌、皮膚癌、骨の癌、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、脳の癌、咽頭、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、頭部および頚部、結腸、胃、気管支、腎臓の癌、基底細胞癌、潰瘍形成性および乳頭状の両方の型の扁平上皮癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、骨髄腫、巨細胞肉腫、小細胞肺腫瘍、胆石、ランゲルハンス島細胞腫瘍、原発脳腫瘍、急性および慢性リンパ性および顆粒球性腫瘍、ヘアリーセル白血病、腺腫、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、粘膜神経腫(mucosal neuronm)、腸の神経節細胞腫、増殖性角膜(hyperplastic corneal)神経腫瘍、マルファン症候群様(marfanoid habitus)腫瘍、ウイルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋部(leiomyomater)腫瘍、子宮頚部形成異常および上皮内癌、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、軟組織肉腫、悪性カルチノイド、局所皮膚病変、菌状息肉腫、横紋筋肉腫、カポージ肉腫、骨原性および他の肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞癌、真性赤血球増加症、アデノ癌腫、多形性グリア芽細胞腫、白血病、リンパ腫、悪性黒色腫、類表皮癌、ならびに他の癌腫および肉腫が挙げられる。
【0016】
したがって、一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物(例えば、配列番号1)は、抗腫瘍剤と、同時に投与され得るか、同時製剤化され得るか、または同じ治療において投与され得る。
【0017】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、睡眠中の非急速眼球運動(NREM)、排卵時のヒト精子の受精部位(isthmic−ampullary junction)に対する走熱性、および閉経後女性における体のほてりと関連する異常体温の調節および処置するために使用される。
【0018】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、植物/作物の収穫量低下を処理または抑制するために使用される。本明細書に記載の組成物で処理され得る植物の例としては、主要作物(トウモロコシ、大豆、干し草、小麦、綿花、サトウモロコシ、米など)が挙げられる。作物収穫低下をもたらす状態の例は、細菌、ウイルスおよび真菌
によって引き起こされる病気である。本明細書に記載の組成物によって抑制可能または縮小され得る、作物収穫低下をもたらし得る状態の他の例としては、ストレス状態、例えば、干ばつ、凍結、酸化的ストレス、不利な温度または温度の低下、病原体による感染および他の不利な環境状態が挙げられる。
【0019】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、植物のミトコンドリア活性を調節(例えば、増大、減少または制御)するために使用される。本明細書に記載の組成物で処理され得る植物の例としては、観賞用作物:花の球根(例えば、チューリップ、ラッパスイセン、ヒヤシンス、クロッカス、ダッチアイリス、アリウムなど)、切り花(例えば、バラ、カーネーション、ユリ、グラジオラス、極楽鳥花など);野菜作物(例えば、トマト、キュウリ、セロリ、ナス、カボチャ、ニンジン、レタス、ズッキーニなど);果物作物(例えば、リンゴ、柑橘類、モモ、洋ナシ、プラム、バナナ、パイナップル、オリーブ、アボカド、パパイヤ、マンゴー、ナッツ類、ベリー類、および他の型の農作物、例えば、穀類(例えば、トウモロコシ、大豆、干し草、小麦、大麦、トウモロコシ、綿花、サトウモロコシ、および米)ならびに製材に使用される樹木(例えば、ベイマツ、シダー、カエデ、オーク、ポプラ)が挙げられる。
【0020】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、植物の温度によって調節される種子の生成を調節(例えば、増大、減少または制御)するために使用される。本明細書に記載の組成物で処理され得る植物の例としては、観賞用作物、野菜作物、果物および木の実作物の種子、他の型の農作物、または本明細書に開示した他の植物の種子が挙げられる。
【0021】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、温度の変化と関連する植物または動物の分泌産物を調節(例えば、増大、減少または制御)するために使用される。かかる分泌産物としては、限定されないが、小分子揮発性物質および非揮発性化合物、例えば、テルペン類、脂肪酸酸化生成物およびアミンなど、ならびに高分子量分子、例えば、ポリペプチドおよび多糖類などが挙げられる。かかる分泌物は、例えば、細胞間、細胞内の伝達および/または疾患に関与するものであり得る。
【0022】
本明細書に記載する本発明はまた、本明細書に記載の組成物をコードする核酸、および本明細書に記載の組成物をコードする核酸に相補的な核酸を提供する。本明細書に記載の組成物をコードする核酸は、ベクター内に挿入され、本明細書に記載のポリペプチドが組換えにより発現され得る。本明細書に記載のポリペプチドに相補的な核酸は、診断薬または研究用ツールとして、または特定のポリペプチドの発現を調節するために使用され得る。
【0023】
本明細書に記載の組成物は、有機体(例えば、動物または植物など)への送達用の1種類以上の担体または賦形剤とともに製剤化され得る。かかる担体は、例えば、医薬用担体、獣医学用担体、および農業用担体であり得る。動物への送達では、本明細書に記載の組成物は、ある状態を軽減、抑制、排除、改善または予防するための治療有効用量で投与され得る。同様に、植物(例えば、作物植物)への送達では、本明細書に記載の組成物は、ある状態を軽減、抑制、排除、改善または予防するための有効用量で送達され得る。
【0024】
本発明はまた、本明細書に記載のポリペプチドに特異的な抗体または抗体断片を提供する。かかる抗体または抗体断片は、治療的、予防的または研究目的のために使用され得る。かかる抗体または抗体断片は、好ましくは、ヒト化されたものおよび/またはモノクローナルである。
【0025】
本明細書に記載する本発明はまた、結合性ポリペプチド(レセプター)および本明細書に記載の組成物調節する薬剤、または該レセプターに結合するそのアナログ(リガンド)をスクリーニングするための方法を提供する。結合親和性は、種々の濃度の本発明の組成物の存在下で、レセプターとともにインキュベートする標識された薬剤(例えば、ビオチン化された、または蛍光性)を用いて、競合アッセイによって測定される。親和性結合定数Kは、約10〜10−1以上、好ましくは約10−1以上、より好ましくは約10−1以上、さらにより好ましくは約1010−1以上でなければならない。ある特定の実施形態では、結合性ポリペプチドのペプチドの結合親和性定数は、1011〜1012−1を超えることがあり得る。本発明によるリガンドポリペプチドに対する結合の親和性は、慣用的な手法、例えば、Scatchardら(1949 Ann.N.Y.Acad.Sci.57:660)に記載のもの、または科学文献に記載された他の種々の手法を用いて容易に測定され得る。
【0026】
本明細書に記載する本発明はまた、本明細書に記載のポリペプチドのペプチド模倣物を調製するための方法を提供する。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
配列番号1〜14、50〜244、248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドならびにそのアナログ、ホモログおよび塩と、医薬用、化粧品用、農業用または獣医学用賦形剤とを含む組成物。
(項目2)
上記ポリペプチドが、100個までのアミノ酸残基または15000ダルトン未満を有する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸と、医薬用、化粧品用、農業用または獣医学用賦形剤とを含む組成物。
(項目4)
配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
(項目5)
配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離された核酸配列。
(項目6)
配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列のエピトープに特異的に結合する抗体または抗体断片。
(項目7)
配列番号1、2または15からなる群より選択されるアミノ酸配列から本質的になる単離されたポリペプチド。
(項目8)
上記植物または上記種子の少なくとも一部分に、(i)配列番号1〜256からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはそのアナログもしくはホモログ;および(ii)上記ポリペプチドをコードする核酸からなる群より選択される組成物を適用することを含む、植物または種子が疾患になる可能性を処置または低減する方法。
(項目9)
上記疾患が、細菌感染、真菌感染、病原体感染、ウイルス感染、および作物の害虫からなる群より選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記組成物が上記植物または種子に、噴霧、上記植物または種子の少なくとも一部分を上記組成物中に浸漬すること、トランスフェクション、上記植物または種子に上記組成物を少なくとも部分的にコーティングすることによって適用される、項目8に記載の方法。
(項目11)
上記植物が、イモ、トウモロコシ、大豆、小麦、米、大麦、砂糖、トマト、リンゴ、オレンジ、グレープフルーツ、バナナ、ラン、バラ、チューリップ、カーネーション、ベリーである、項目8に記載の方法。
(項目12)
上記植物または動物に、
(i)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのアナログ、ホモログ、模倣物もしくは塩;ならびに
(ii)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列
からなる群より選択される組成物
の有効量を投与することを含む、植物または動物における熱生成を調節するための方法。
(項目13)
上記植物または動物に、
(i)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのアナログ、ホモログ、模倣物もしくは塩;ならびに(ii)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列
からなる群より選択される組成物の有効量を投与することを含む、植物または動物においてミトコンドリア病を処置する方法。
(項目14)
上記動物に、
(i)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのアナログ、ホモログ、模倣物もしくは塩;ならびに(ii)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列
からなる群より選択される組成物の有効量を投与することを含む、動物において炎症を抑制する方法。
(項目15)
上記動物に、
(i)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのアナログ、ホモログ、模倣物もしくは塩;ならびに(ii)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列
からなる群より選択される組成物の有効量を投与することを含む、動物において腫瘍性状態を処置する方法。
(項目16)
上記動物に、
(i)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのアナログ、ホモログ、模倣物もしくは塩;ならびに(ii)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列
からなる群より選択される組成物の有効量を投与することを含む、動物において疼痛を処置する方法。
(項目17)
上記動物に、
(i)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのアナログ、ホモログ、模倣物もしくは塩;ならびに
(ii)配列番号1〜14、50〜244および248〜249からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも一部分をコードする核酸配列
からなる群より選択される組成物の有効量を投与することを含む、動物においてアルツハイマー病の発症または症状を処置または低減する方法。
(項目18)
動物に、配列番号1もしくは配列番号2のアミノ酸配列のアミノ酸を含む医薬組成物またはそのアナログ、ホモログ、断片もしくは塩の有効量を投与することを含む、アルツハイマー病の発症または症状を処置または低減する方法。
(項目19)
上記組成物が低速放出に適合されている、項目12〜18に記載の方法。
(項目20)
上記ポリペプチドが少なくとも10%のD−アミノ酸残基を含む、項目12〜18に記載の方法。
(項目21)
上記投与が、静脈内、皮下、または局所である、項目12〜18に記載の方法。
(項目22)
試験薬剤を発熱植物に投与すること、上記発熱植物の温度を測定すること、および上記試験薬剤が上記植物の温度を調節するか否かを判定することを含む、ミトコンドリア活性調節する薬剤の同定方法。
(項目23)
上記発熱植物が、からなる群より選択される:
、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記試験薬剤がポリペプチドまたは小分子である、項目22に記載の方法。
(項目25)
記試験薬剤の投与の熱生成を、Aβ1−42の投与の熱生成と比較することをさらに含む、項目22に記載の方法。


【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、外科処置の3日後のラットでの疼痛軽減における配列番号1の有効性を示す。
【図2】図2は、外科処置の3時間後のラットでの疼痛軽減における配列番号1の有効性を示す。
【図3】図3は、外科処置後のラットでの疼痛軽減における配列番号1の有効性を示す。
【図4】図4は、アスピリン(ASA)ならびに種々のオピオイドペプチドおよび神経毒ペプチドβ−アミロイドペプチド(Aβ1−42)で処理したSauromatum guttatumの付属器官による熱生成を示す。
【図5】図5は、ヒトオピオイドペプチド(β−エンドルフィンおよび神経ペプチドAF)の存在下でサリチル酸(SA)、およびβ−アミロイドペプチド(Aβ1−42)、ならびに植物ビルレント細菌病原体(Pst DC3000)で処理したSauromatum guttatumの付属器官による熱生成を示す。
【図6】図6は、β−アミロイドペプチド(Aβ1−42)の存在下で2,6−ジヒドロキシ安息香酸(2,6−DHBA)、配列番号2および配列番号1で処理したSauromatum guttatumの付属器官による熱生成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明
本発明は、ミトコンドリアを調節するため、およびミトコンドリアが関連する、または代謝が関連する状態を調節するための組成物および方法に関する。
【0029】
一態様において、本明細書に記載の組成物は、配列番号1〜256からなる群より選択される、より好ましくは、配列番号1〜24、50〜244および248〜249からなる群より選択される、またはより好ましくは配列番号1〜2からなる群より選択される、またはより好ましくは配列番号1であるポリペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドを含む。
【0030】
一態様において、組成物は、上記のもの1つ以上をコードする核酸配列を含む。
【0031】
一態様において、組成物は、上記のもの1つ以上ポリペプチドを含むエピトープに特異的に結合する抗体を含む。
【0032】
一態様において、本発明は、ミトコンドリアを調節する新規な組成物(例えば、ポリペプチド、ペプチド核酸、核酸および小分子)を同定する方法に関する。かかる方法は、試験薬剤を発熱植物に投与すること、前記発熱植物の温度を測定すること、および前記試験薬剤が前記植物の温度を調節するか否かを調べることを含む。
【0033】
一態様において、本明細書に記載の組成物は、先天性免疫応答活性化ならびに寄生虫および病原体に対処する能力、疼痛、炎症、温度調節、腫瘍性成長(例えば、癌)、皮膚および皮膚科学的状態、ならびに神経疾患および神経変性疾患からなる群より選択されるミトコンドリアの状態または代謝病を処置するために使用される。
【0034】
定義
用語「アゴニスト」は、本明細書で用いる場合、生物学的活性を刺激する化合物、分子または因子をいう。アゴニスト分子の例としては、限定されないが、レセプターを刺激するアゴニスト、例えば、オピオイド(opiate)μレセプターのモルヒネアンタゴニストが挙げられる。
【0035】
用語「アミノ酸」または「アミノ酸残基」は、好ましくはL−異性体形態であるアミノ酸をいう。アミノ酸残基がポリペプチド鎖の一部である場合、所望の機能的特性が保持される限り、そのアミノ酸のD−異性体形態がL−アミノ酸残基と置き換わっていてもよい。NHは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基をいう。COOHは、ポリペプチドのカルボキシル末端に存在する遊離カルボキシル基をいう。本明細書に記載するアミノ酸は、その標準的な1文字コードまたは3文字コードで表され得る。「X」または「Xxx」で表されるアミノ酸残基は、当該技術分野で知られた天然に存在する、もしくは天然に存在しないアミノ酸残基の任意の1つ、または近くの残基の修飾を示す。J.Biol.Chem.,1969,247:3552−59に記載された標準的なタンパク質命名法に準じ、37 C.F.R.§§1.821〜2461.822を採択して、本明細書において式で表されるすべてのアミノ酸残基配列は、アミノ末端からカルボキシル末端への慣用的な方向の左から右への向きを有する。また、「アミノ酸残基」という語句は、修飾アミノ酸および異常アミノ酸、例えば、37 C.F.R.§§1.821−1.822に示されたもの(引用により本明細書に組み込まれる)を含むように広く規定される。ペプチドまたはポリペプチドにおいて、アミノ酸の適当な保存的置換は当業者に知られており、得られる分子の生物学的活性を改変することなく、一般的に作製され得る。Watsonらの書籍(1987,Molecular Biology of the Gene,第4版,The Benjamin Cummings Pub.Co.,p.224)を、引用により本明細書に組み込む。アミノ酸置換は、典型的には、単一残基のものであり、かかる置換は、好ましくは、表Iに示したものでなされたものであるが、密集または分散いずれかの状態で多数の残基のものであってもよい。アミノ酸は、天然に存在するか、または非通常(non−conventional)の異なるアミノ酸残基で置き換えられたものであってもよい。かかる置換は「保存的」に分類され得、この場合、ポリペプチド内に含有されるアミノ酸残基は、極性、側鎖の官能基または大きさのいずれかに関して性質が類似した天然に存在する別のアミノ酸で置き換えられている。付加は、天然に存在するか非通常の1つ以上のアミノ酸残基の付加を包含する。欠失は、1つ以上のアミノ酸残基の欠失を包含する。
【0036】
表I.保存的アミノ酸置換
【0037】
【表1】

本発明に包含される置換はまた「非保存的」であり得、これは、ペプチド内に存在するアミノ酸残基が異なる性質を有するアミノ酸(例えば、異なる群に由来する天然に存在するアミノ酸など)で置換されている(例えば、電荷を有するアミノ酸または疎水性アミノ酸がアラニンで置換されている)か、あるいはまた、天然に存在するアミノ酸が非通常のアミノ酸で置換されている場合である。
【0038】
用語「アナログ(1つまたは複数)」は、本明細書で用いる場合、本明細書に記載のポリペプチドまたは核酸と同じ構造または機能(例えば、レセプターに対する結合)を保持している組成物、例えば、異なる有機体由来の同じ遺伝子をいう。アナログの例としては、模倣物またはペプチド模倣物、ペプチド、核酸、低分子および高分子の有機系または無機系化合物、ならびに本明細書に記載のポリペプチドまたは核酸の誘導体およびバリアントが挙げられる。かかる誘導体およびバリアントは、天然に存在するポリペプチドおよび核酸と、1つ以上のアミノ酸または核酸の欠失、付加、置換または側鎖修飾により異なるペプチドおよび核酸をいう。一部の実施形態において、ペプチドアナログは、アミノ酸の1つ以上が側鎖修飾を受けたペプチドである。側鎖修飾の例本発明で想定されるとしては、アミノ基の修飾、例えば、アルデヒドとの反応後、NaBH4による還元による還元的アルキル化;メチルアセチミデート(methylacetimidate)によるアミジン化;無水酢酸によるアシル化;シアン酸塩によるアミノ基のカルバモイル化;2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化;無水コハク酸および無水テトラヒドロフタル酸によるアミノ基のアシル化;ならびにピリドキサル−5−ホスフェートによるリシンのピリドキシル化後、NaBHによる還元によるものなどが挙げられる。一部の実施形態において、ペプチドアナログは、アルギニン残基(1つまたは複数)のグアニジン基が、2,3−ブタンジオン、フェニルグリオキサールおよびグリオキサールなどの試薬との複素環縮合生成物の形成によって修飾されたもの;カルボキシル基(1つまたは複数)が、O−アシルイソウレア形成によるカルボジイミド活性化後に続いて、例えば、対応するアミドへの誘導体化(derivitisation)によって修飾されたものであり、スルフヒドリル(sulphydryl)基(1つまたは複数)は、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化;システイン酸への過ギ酸の酸化;他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸もしくは他の置換されたマレイミドとの反応;4−クロロ水銀安息香酸塩、4−クロロ水銀フェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノールおよび他の水銀剤を用いた水銀誘導体の形成;アルカリ性pHでのシアン酸塩によるカルバモイル化などの方法によって修飾され得る。本明細書に記載の任意のアナログにおいて、システイン残基の任意の修飾は、好ましくは、ペプチドが必要なジスルフィド結合を形成する能力に影響しない。一部の実施形態において、ペプチドアナログは、例えば、N−ブロモスクシンイミドによる酸化もしくは2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルブロミドもしくはハロゲン化スルフェニルによるインドール環のアルキル化によって修飾されているトリプトファン残基(1つまたは複数);テトラニトロメタンによるニトロ化によって改変され、3−ニトロチロシン誘導体を形成しているチロシン残基;ヨード酢酸誘導体によるアルキル化ジエチルピロカーボネートによるもしくはN−カルベトキシ化(carbethoxylation)を伴うヒスチジン残基修飾のイミダゾール環(1つまたは複数);例えば、4位のヒドロキシル化によって修飾されたプロリン残基(1つまたは複数);完全非グリコシル化分子から修飾グリコシル化分子へのグリコシル化バリアント;ならびに種々の宿主細胞での組換え分子の発現の結果としての改変されたグリコシル化パターンを含む。
【0039】
用語「アンタゴニスト」は、本明細書で用いる場合、生物学的活性を阻害する化合物、分子または因子をいう。アンタゴニスト分子の例としては、限定されないが、ペプチド、小分子、抗体、アンチセンス核酸、siRNA核酸、および他の結合性因子が挙げられる。
【0040】
用語「抗体」は、最も広い意味で用い、具体的には、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAbs)(アゴニスト、アンタゴニストおよび中和抗体を含む)、キメラ抗体、モノおよびポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、単鎖抗体、可溶性もしくは結合された形態の標識され得る抗体に対する抗イデオタイプ(抗Id)抗体、免疫グロブリンの多量体およびコンジュゲート、ならびにその断片、領域もしくは誘導体(例えば、個々の重鎖、軽鎖、Fab、F(ab’)2、FabcおよびFv)が包含される。抗体断片は、例えば、ペプシンまたはパパインなどの酵素による抗体酵素的切断によって調製され得る。抗体の凝集体、多量体およびコンジュゲートは、多様な方法、例えば、熱処理、グルタルアルデヒドなどの物質との反応、免疫グロブリン結合分子との反応、抗体のビオチン化とその後のストレプトアビジンまたはアビジンとの反応によって作製され得る。用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で用いる場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、該集団を構成する個々の抗体が微量で存在し得る天然で起こり得る変異を除いて同一であるものをいう。
【0041】
用語「抗原」には、一価および多価の抗原が含まれる。多価抗原は、1種類より多くの免疫グロブリンの同時結合が可能である分子または分子複合体であるのに対し、一価抗原は、各特定の時点で1つの抗体のみに結合するものであり得る。ハプテンは、通常、それ自体は免疫原性でないが、通常、免疫処置目的のための担体に結合されている分子に与えられる呼称である。
【0042】
用語「有効量」は、本明細書で用いる場合、組成物に言及するとき、所望の効果を誘導するのに必要とされる該組成物の量または投薬量を意味する。一部の実施形態において、有効用量は、局所鎮痛性、抗発熱性(anti−pyrogenic)、開花、殺虫性、抗痴呆性および/または抗炎症性効果を誘導するために必要とされる量をいう。
【0043】
用語「断片」は、本明細書で用いる場合、組成物の一部分をいう。例えば、ポリペプチドに言及するとき、ポリペプチドの断片は、該ポリペプチドを構成するアミノ酸ポリマーの一部であるが、全体ではない。ポリペプチド断片は、親ポリペプチドの配列の99まで、95、90、85、80、75、70、65または60%を有し得る。一部の実施形態において、断片は、親配列の3〜40、3〜30、4〜20または4〜10個のアミノ酸を有する。
【0044】
用語「遺伝子(gene)治療」および「遺伝子(genetic)治療」は、かかる治療が求められる障害または状態を有する哺乳動物(特に、ヒト)のある特定の細胞(標的細胞)への異種核酸の導入をいう。該核酸は、選択された標的細胞内に、異種DNAが発現され、それにより、コードされた治療用産物が産生されるような様式で導入される。あるいはまた、異種核酸は、なんらかの様式で治療用産物をコードする核酸の発現を媒介するものであり得る、すなわち、なんらかの様式で、治療用産物の発現を直接または間接的に媒介するペプチドまたはRNAなどの産物をコードするものであり得る。遺伝子治療はまた、欠陥遺伝子を遺伝子産物をコードする核酸で置き換えるため、または導入された哺乳動物または細胞によって産生される遺伝子産物を補完するために使用され得る。
【0045】
用語「ホモログ」は、高分子(例えば、ペプチドまたは核酸)に言及するとき、少なくとも約50配列同一性、より好ましくは少なくとも55%配列同一性、より好ましくは少なくとも60%配列同一性、より好ましくは少なくとも65%配列同一性、より好ましくは少なくとも70%配列同一性、より好ましくは少なくとも55%配列同一性、より好ましくは、少なくとも80%配列同一性、または好ましくは少なくとも約81%配列同一性、より好ましくは少なくとも約82%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約83%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約84%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約85%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約86%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約87%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約88%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約89%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約90%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約91%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約92%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約93%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約94%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約95%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約96%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約97%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約98%配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約99%配列同一性、ならびに好ましくは同じ機能を有する第2の高分子をいう。例えば、本明細書に記載の任意のポリペプチド(例えば、配列番号1〜256)に相同なポリペプチドは、好ましくは、少なくとも80%配列同一性と、ミトコンドリア活性を調節する同様の機能を有するもの、あるいはより好ましくは、配列番号5に対してアゴニストもしくはアンタゴニストとして、または2,6−DHBAの熱生成に対するアゴニストとして作用するものである。
【0046】
用語「単離され」ているとは、その天然状態から改変されていること;すなわち、これが自然界に存在するものである場合、その元の環境と変化しているか、取り出されているか、またはその両方であることを意味する。例えば、天然に存在するポリヌクレオチド、またはその天然状態で生体動物内に生来存在するポリペプチドは「単離され」たものでないが、その天然状態の共存物質から分離された同ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書で用いる用語である「単離され」たものである。例えば、ポリヌクレオチドに関して、単離されたという用語は、これが天然に存在する核酸および細胞から分離されていることを意味する。
【0047】
用語「タンパク質」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」または「ポリペプチド」は、本明細書で用いる場合、ペプチド結合によって互いに連結された2個以上のアミノ酸を含む任意の組成物をいう。ポリペプチドは、多くの場合、一般に20個の天然アミノ酸と呼ばれる20個のアミノ酸以外のアミノ酸を含有すること、および多くのアミノ酸(末端アミノ酸を含む)は所与のポリペプチドにおいて、自然過程(グリコシル化および他の翻訳後修飾など)または当該技術分野でよく知られた化学的修飾手法のいずれかによって修飾されたものであり得ることは認識されよう。とりわけ(among)、本発明のポリペプチド内に存在し得る公知の修飾としては、限定されないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラボノイドまたはヘム部分の共有結合、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリケーション、グリコシル化、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)膜アンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解性プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、ポリペプチドへのアミノ酸の転移RNA媒介性付加、例えば、アルギニン化およびユビキチン化が挙げられる。また、用語「タンパク質」は「人工タンパク質」も包含し、これは、ペプチド(例えば、配列番号1〜256)とスペーサーの交互反復体からなる線状または非線状ポリペプチドをいう。該ペプチドとスペーサーの交互反復体をコードするDNA構築物は、当該技術分野で知られた方法を用いて合成され得る。(Roetzschkeら,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:14642〜14647)。上記の方法により、該ペプチドの抗原性の増幅および高レベルでの発現ベクター内への挿入が可能になる。
【0048】
用語「オピオイド」は、本明細書で用いる場合、オピオイドレセプター、例えば、ミュー(μ)、カッパ(κ)およびデルタ(δ)オピオイドレセプターnならびにそのサブタイプのあらゆるアゴニストおよびアンタゴニストを意味する。オピオイドレセプターおよびサブタイプの論考については、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 第9版.J.G.HarmanおよびL.E.Limird編,McGraw−Hill New York,1996,pp.521−555(あらゆる目的のために、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。オピオイドは、既知または開発対象の任意のオピオイドレセプターアゴニストまたはアンタゴニストであり得る。好ましいオピオイドは、μ−オピオイドレセプターまたはκ−およびδ−オピオイドレセプターと相互作用するものである。好ましくは、オピオイドはオピオイドレセプターアゴニストである。
【0049】
用語「有機体」は、本明細書で用いる場合、例えば、微生物(例えば、ウイルスもしくは細菌)、植物(例えば、大豆、小麦、大麦、米、トウモロコシ、砂糖などの作物植物)、または動物であり得る。動物には、哺乳動物(例えば、家畜、ロバ、ヤギ、ニワトリ、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、畜牛、ヒツジ、ウマ、または霊長類)と、非哺乳動物、例えば(例えば、昆虫および鳥類)の両方が含まれる。好ましくは、動物は、哺乳動物、またはより好ましくはヒトである。
【0050】
用語「精製され」ているとは、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは他の組成物を記載するために本明細書で用いる場合、自然状態では通常会合している1つ以上の化合物から分離されているかかるポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは他の組成物をいう。かかる他の組成物は、例えば、他のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、炭水化物、脂質などであり得る。また、用語「精製され」ているとは、ホモ−またはヘテロ二量体、三量体などなどのオリゴマー形態からの本発明の単量体のポリペプチドの分離を明記する(specify)ためにも使用され得る。また、用語「精製され」ているとは、共有結合により閉鎖された(すなわち、環状の)ポリヌクレオチドの線状ポリヌクレオチドからの分離を明記するためにも使用され得る。実質的に純粋なポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、典型的にはポリペプチドまたはポリヌクレオチド試料の少なくとも約50%、60%、70%、80%または90%(重量/重量基準)、より好ましくはポリペプチドまたはポリヌクレオチド試料少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%または99.5%(重量/重量基準)を構成する。
好ましい実施形態として、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、それぞれ、異種ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに対して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、96%、98%、99%または100%純粋である。
組成物
本明細書に記載の組成物は、一類型の系統発生学的に関連する植物性レダクターゼ:ピノレシノール−ラリシレシノールレダクターゼ、イソフラボンレダクターゼ、および
配列番号245〜247の配列を有するフェニルクマランベンジル(benzylic)エーテルレダクターゼ(Gangら,J.Biol.Chem.,1999,274:7516−7527)、配列番号250の配列を有するヒトβ−ネオエンドルフィン−ジノルフィン前駆体(プロエンケファリンB);配列番号253の配列を有するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(E71436)由来タンパク質、Epsin 1、配列番号254の配列を有するヒト由来EPS−15相互作用性タンパク質1、配列番号255の配列を有するヒト由来ホスファチジルイノシトールポリホスフェート5−ホスファターゼアイソフォーム、および配列番号256の配列を有するssRNAプラス鎖ウイルス由来RNA2ポリタンパク質(P2)を主体とするものである。
【0051】
配列番号245 シロイヌナズナフェニルクマランベンジルエーテルレダクターゼホモログTp1 [Thuj plicata(ACCESSION AAF64183)、以下の配列を有する
【0052】
【化1】

配列番号246は、シロイヌナズナ由来のピノレシノール−ラリシレシノールレダクターゼ(ACCESSION NM_102944)であり、以下の配列を有する。
【0053】
【化2】

配列番号247は、イソフラボノイドレダクターゼのホモログのシロイヌナズナmRNA(ACCESSION Z49777)であり、以下の配列を有する。
【0054】
【化3】

配列番号250は、ヒトβ−ネオエンドルフィン−ジノルフィン前駆体(プロエンケファリンB)(プレプロジノルフィン)(ACCESSION P01213)であり、以下の配列を有する。
【0055】
【化4】

配列番号253は、シロイヌナズナ(E71436)由来タンパク質であり、以下の配列を有する:
【0056】
【化5】

配列番号254は、ヒト由来Epsin 1、EPS−15相互作用性タンパク質1(受託番号088339)であり、以下の配列を有する:
【0057】
【化6】

配列番号255は、ヒト由来ホスファチジルイノシトールポリホスフェート5−ホスファターゼアイソフォーム(受託番号NP_000267)であり、以下の配列を有する:
【0058】
【化7】

配列番号256は、ssRNAプラス鎖ウイルスComoviridae由来RNA2ポリタンパク質(P2)(受託番号Q9YK98)であり、以下の配列を有する:
【0059】
【化8】


配列番号245〜247由来のペプチドオピオイドとしては、配列番号1〜24および50〜152のものが挙げられる。配列番号250由来の既知のペプチドオピオイドは、β−ネオエンドルフィン(配列番号16);ジノルフィンA(配列番号19);ロイモルフィン(配列番号249);リモルフィン(配列番号248);ロイエンケファリン(配列番号15)である。また、配列番号1も、配列番号250、および253〜256に由来する。これらのペプチドを、上記の配列においてボールド体で示す。
【0060】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、上記の遺伝子配列由来にするか、またはその断片である合成ペプチドである。かかるペプチド断片としては、配列番号1〜14、50〜152および248〜249(そのホモログおよびアナログを含む)から本質的になるか、またはこれらからなるアミノ酸配列を有するものが挙げられる。本発明のポリペプチドが上記ペプチド配列のいずれかを含む場合、そのC末端またはN末端にさらなるアミノ酸残基が、上記の任意の遺伝子配列、または上記の遺伝子配列のホモログであるか、該配列に相同な任意の配列から誘導され得る。例えば、配列番号1は、配列番号250ならびに配列番号246から誘導される。したがって、一部の実施形態において、本発明では、配列番号250から誘導される5量体(例えば、KFLPSもしくはFLPSIなど)、または配列番号246から誘導される5量体(例えば、RFLPSもしくはFLPSEなど)が想定される。本明細書に記載の任意の実施形態において、ポリペプチドは、3量体、4量体、5量体、6量体、7量体、8量体、9量体、10量体、11量体、12量体、13量体、14量体、15量体、またはより大きいポリペプチドであり得るが、好ましくは、40まで、30、20または10アミノ酸長である。
【0061】
いったん細胞内部に入ったときの分解に対する脆弱性(vulnerability)を排除するため、本明細書に記載の任意のポリペプチド、特に、配列番号1〜152および245−256を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドの逆配列が使用され得る(D−アミノ酸とともに、またはなしで)。かかる逆配列としては、配列番号153〜244のものが挙げられる。逆ポリペプチドは、本質的に同じ機能(例えば、疼痛軽減)を保持したものであり得るが、分解に対して抵抗性である。
【0062】
好ましい実施形態では、該組成物は、配列番号1〜14、50〜152、248〜249、もしくはより好ましくは配列番号1、2および15またはそのホモログ、アナログ、もしくは断片からなるポリペプチドを含む。配列番号1および2の配列は、ヒトおよび植物の両方に見られる。一部の実施形態において、本発明は、配列番号3および配列番号3の種々の断片(例えば、配列番号2〜14)に関する。
【0063】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、上記の任意のアミノ酸配列の逆アミノ酸配列(例えば、配列番号153〜244など)を有するペプチドを含む。
【0064】
一態様において、本発明では、ピノレシノール−ラリシレシノールレダクターゼ、イソフラボンレダクターゼ、およびフェニルクマランベンジルエーテルレダクターゼ由来の上記の合成ペプチドならびにあらゆる他のペプチド断片および誘導体が想定される。一実施形態において、本発明は、ピノレシノール−ラリシレシノールレダクターゼ由来のペプチド断片に関し、これは、3〜50、3〜40、3〜30、3〜20、または3〜10アミノ酸長である。別の実施形態では、本発明は、イソフラボンレダクターゼ由来のペプチド断片に関し、これは、3〜50、3〜40、3〜30、3〜20、または3〜10アミノ酸長である。別の実施形態では、本発明は、フェニルクマランベンジルエーテルレダクターゼ由来のペプチド断片に関し、3〜50、3〜40、3〜30、3〜20、または3〜10アミノ酸長である。好ましくは、かかるペプチドは、少なくとも1個のフェニルアラニンまたは少なくとも2個のフェニルアラニンを有する。一部の実施形態において、かかるペプチドは、配列Phe−Leu−Pro−Serを含む。本明細書に記載のいずれのペプチドも、そのフォワード配列およびリバース配列の両方が想定される。配列番号152〜244は、配列番号1〜14および50〜151の逆配列である。
【0065】
別の態様において、本発明は、上記ペプチドのいずれかをコードする核酸、および上記ペプチドのいずれかに特異的に結合する抗体に関する。
【0066】
一部の実施形態において、上記の組成物(例えば、ペプチド)は、アルツハイマーペプチドAβ1−42である配列番号49の効果を調節するために使用され得る。
【0067】
一部の実施形態において、上記の組成物(例えば、ペプチド)は、既知のオピオイドペプチドである配列番号15〜48、248〜249の効果を調節または増強するために使用され得る。
【0068】
一部の実施形態において、上記の組成物(例えば、ペプチド)は、ミトコンドリア活性を調節する化合物および組成物の機能性を解析するためのライブラリーを創製するために使用され得る。
【0069】
一部の実施形態において、上記の組成物(例えば、ペプチド)は、種々のミトコンドリア活性のアンタゴニスト、アゴニストおよびモジュレーターのスクリーニングに使用され得る。
【0070】
1.ポリペプチド
本発明は、配列番号1〜244、248〜249の群から選択されるアミノ酸配列および上記のものの逆である配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる1種類以上のポリペプチドおよび任意のホモログ、アナログ、塩、プロドラッグ、断片、代謝産物、およびその組合せを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるの組成物に関する。好ましくは、本明細書に記載の組成物は、配列番号1〜14もしくは50〜244、248〜249を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むか、または配列番号1〜14もしくは50〜244、248〜249を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドから本質的になるか、または配列番号1〜14もしくは50〜244、248〜249を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドからなるか、または配列番号1〜2を含むか、または配列番号1〜2から本質的になるか、または配列番号1〜2からなるか、または配列番号1を含むか、または配列番号1から本質的になるか、または配列番号1からなる。
【0071】
一部の実施形態において、組成物は、上記のポリペプチドの1、2、3、4および5種類より多くを含む。
【0072】
本明細書に記載のポリペプチドは、当該技術分野で知られた任意の手段によって合成により創製(合成によるか、またはDNA組換え技術を用いて合成)され得る。一部の実施形態において、該ポリペプチドは、さらなるメチオニンをN末端に含む(例えば、配列番号105,MFAGYFAG)か、またはN末端メチオニンがこれに含まれたものであり得る。
【0073】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、約100個まで、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、もしくはより好ましくは4個のアミノ酸残基;または少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45もしくは50個のアミノ酸残基;または約2〜50、2〜40、2〜30または2〜10個のアミノ酸残基を有する。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、500,000まで、100,000、75,000、50,000、15,000、14,000、13,000、12,000、11,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300または200ダルトンを有する。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、200〜200,000、300〜100,000、400〜50,000または500〜1000ダルトンを有する。
【0074】
本明細書に記載のポリペプチドは、好ましくは、通常インビボでは会合している他の化合物または分子がないように単離されたものである。例えば、本発明の単離されたペプチドは、これを含有する試料の少なくとも約50%、より好ましくは約55%、より好ましくは約60%、より好ましくは約65%、より好ましくは約70%、より好ましくは約75%、より好ましくは約80%、より好ましくは約85%、より好ましくは約90%、より好ましくは約95%またはより好ましくは約99%(w/w)を構成し得る。一部の実施形態において、本発明のポリペプチドは精製されたものである。
【0075】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、低速放出のために修飾または適合される。かかる修飾には、L−アミノ酸残基からD−アミノ酸残基まで、アミノ酸残基の1個以上、2個以上、3こ以上または4個以上の置換が含まれ得る。一部の実施形態では、ポリペプチド内の残基の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%がD−アミノ酸である。
【0076】
一部の実施形態において、本発明のポリペプチドは、1つ以上の翻訳後修飾、例えば、N−結合またはO−結合炭水化物鎖、N末端またはC末端のプロセッシング、アミノ酸主鎖への化学的部分の結合、N−結合またはO−結合炭水化物鎖の化学的修飾、および原核生物宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または欠失を含む。ポリペプチドはまた、該ポリペプチドの検出および単離を可能にする検出可能な標識、例えば、酵素系、蛍光性、同位体系または親和性標識で修飾されたものであり得る。
【0077】
また、本発明により、本発明のポリペプチドの化学的に修飾された誘導体が提供され、これは、さらなる利点(例えば、該ポリペプチドの可溶性、安定性および循環時間の増加、または免疫原性の低下など)を提供し得る。米国特許第4,179,337号を参照のこと。誘導体化のための化学的部分が選択され得る。米国特許第4,179,337号(引用により、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。誘導体化のための化学的部分は、ポリエチレングリコール(PEG)、コポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーから選択され得る。かかる誘導体化は、該分子内のランダムな位置または該分子内の所定の位置で起こり得、結合された化学的部分が1、2、3個またはそれ以上含まれ得る。
【0078】
例えば、一部の実施形態では、誘導体化に用いられる化学的部分は、任意の分子量のポリマーであり得、分枝鎖または非分枝鎖であり得る。PEGが誘導体化に用いられる場合、好ましい分子量は、取扱いおよび製造における容易性のため、約1 kDa〜約100
kDaである(用語「約」は、PEGの調製において、一部の分子は、記載した分子量より大きい重量であり、一部は小さい重量であることを示す)。所望の治療プロフィール(例えば、所望される徐放性の持続期間、もしあれば生物学的活性に対するその効果、取扱いにおける容易性、治療用ポリペプチドまたはアナログに対するPEGの抗原性および他の既知効果の程度または欠如)に応じて他の大きさが使用され得る。
【0079】
PEG分子(または他の化学的部分)は該ポリペプチドに、該ポリペプチドの機能性または抗原性ドメインに対する効果を考慮して結合しなければならない。いくつかの結合方法が当業者に利用可能であり、例えば、EP 0 401 384(顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)へのPEGのカップリング)、Malikら,(1992),Exp.Hematol.20:1028−1035がある。この論文には、塩化トレシルを用いた顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のペグ化に関する報告がなされている(その開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、PEGはアミノ酸残基の至る箇所に(through)、反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基など)によって共有結合され得る。反応性基は、活性化されたPEG分子が結合され得るものである。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基としては、リシン残基およびN−末端アミノ酸残基が挙げられ得、遊離カルボキシル基を有するものとしては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC−末端アミノ酸残基が挙げられ得る。また、スルフヒドリル基も、PEG分子結合のための反応性基として使用され得る。治療目的に好ましいのは、アミノ基での結合(例えば、N末端またはリシン基での結合)である。
【0080】
本明細書に記載のポリペプチドは、N末端が化学的に修飾されたものであり得る。本発明の組成物の実例としてのPEGの使用では、多種多様なPEG分子(分子量、分枝などにより)、反応ミックス中でのポリペプチド(ポリペプチド)分子に対するPEG分子の割合、実施するペグ化反応の種類、選択されるN末端ペグ化ポリペプチドを得る方法が選択され得る。N末端ペグ化調製物を得る(すなわち、必要であれば、この部分を他のモノペグ化部分から分離する)方法は、ペグ化ポリペプチド分子集団からのN末端ペグ化物質の精製によるものであり得る。ポリペプチドのN末端を化学的に修飾する選択的な修飾は、還元的アルキル化によってなされ得、これは、ある特定のポリペプチド内で誘導体化に利用可能な第1級アミノ基の種類が異なるため(リシン対N末端)、反応性が異なることを利用している。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーを用いて、ポリペプチドのN末端で実質的に選択的な誘導体化が達成される。
【0081】
本明細書に記載の任意の実施形態において、本発明のポリペプチドは、そのN−末端が修飾されたものであり得る。N末端修飾の例としては、N末端メチオニン、N末端シグナルペプチド、またはプロ配列が挙げられる。N末端メチオニンは、組換えによるポリペプチドの発現に使用され得る。「シグナル配列」または「プレ配列」は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列、または任意のそのホモログもしくはアナログ)のN末端部分に結合されたアミノ酸の任意の配列をいい、これはポリペプチドの分泌に関与し得る。用語「プロ配列」は、本明細書で用いる場合、成熟形態の本明細書に記載のポリペプチド(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列、または任意のそのホモログもしくはアナログ)に結合されたアミノ酸の配列をいい、これは、除去されると、該ポリペプチド(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列、または任意のそのホモログもしくはアナログ)の「成熟」形態の出現をもたらす。好ましくは、プロ配列は、自己切断/天然に存在する酵素(これは、成熟ポリペプチドが活性である必要がある領域で見られる)により切断される。
【0082】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、1つ以上の保存的置換を含む。かかる置換は、表Iから選択される。また、他の既知の保存的置換は当業者に知られたものであり得る。
【0083】
一部の実施形態において、本発明のポリペプチドは、タンパク質分解に対して、より抵抗性となるように修飾される。例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(もしくはこれらにコードされる)ポリペプチド(任意の上記のものはN末端にメチオニンを有する)、または任意のそのホモログ、アナログその断片は、1つ以上のペプチド結合を含み得、ここで、該ペプチド結合−CONH−は、非切断性結合、例えば、還元結合(CHNH)、レトロインベルソ(retro inverso)結合(NHCO)、メチレンオキシ結合(CH−O)、チオメチレン結合(CH−S)、カルバ結合(CHCH)、セトメチレン結合(CO−CH)、ヒドロキシエチレン結合(CHOH−CH)、(N−N)結合(bound)、E−アルケン結合、また−CH−CH二重結合によって修飾および置換されている。
【0084】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド配列は、分解を抑制するためにその逆配列で構築される。逆配列の例としては、配列番号配列番号153〜244のものが挙げられる。
【0085】
2.核酸
本発明はまた、本明細書に記載の任意のポリペプチドをコードする核酸を提供する。例えば、一部の実施形態において、本発明は、配列番号1〜256の群から選択されるか、または配列番号1〜244、248〜249の群から選択されるか、または配列番号配列番号1〜14もしくは50〜244、248〜249の群から選択されるか、または配列番号1、2および15の群から選択されるか、またはより好ましくは配列番号1のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなるポリペプチド(任意の上記のものはN末端にメチオニンを有する)またはその断片、ホモログ、もしくはアナログをコードする核酸配列に関する。
【0086】
例えば、本発明は、以下の配列:[配列番号251:ttt ctg ccc tca];配列番号252:ttt ctg ccc tca gaa ttt gga gta gac gta gac aga] を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリヌクレオチド配列、または本発明のペプチドをコードする他の核酸配列(コードされたポリペプチドのアミノ酸配列に影響することなくヌクレオチド配列のバリエーションを許容する遺伝暗号の相違(divergence)であるコドン縮重下で許容されるあらゆる核酸配列を含む)を提供する。したがって、本発明は、本明細書に示されたアミノ酸配列の全部または実質的な部分をコードする任意の核酸配列に関する。
【0087】
好ましくは、本明細書に記載の任意のヌクレオチド配列は、好ましくは、単離されおよび/または精製されている。
【0088】
本発明はまた、本明細書に記載されたヌクレオチド配列の1つ以上を含む組換え構築物を包含する。かかる構築物には、プラスミドまたはウイルス系ベクターなどのベクターが包含され、これには、本発明の核酸配列が、順方向または逆方向に挿入されている。この実施形態の好ましい態様では、構築物は、調節配列(例えば、該配列に作動可能に連結されるプロモーターが挙げられる)をさらに含む。多数の適当なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており、市販されている。また、原核生物および真核生物の宿主での使用に適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Sambrookら(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press)に記載されている。
【0089】
かかる発現ベクターの例としては、染色体DNA配列、非染色体DNA配列および合成DNA配列(例えば、例えば、シミアンウイルス40(SV40)のもの、または誘導体);細菌系プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;プラスミドとファージDNA、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルスおよび仮性狂犬病など)の組合せから誘導されるベクターが挙げられる。しかしながら、宿主内で複製可能であり生存可能であれば、任意の他のベクターが使用され得る。適切な核酸配列がベクター内に、多種多様な手順によって挿入され得る。一般に、本明細書に記載のポリペプチドの1つをコードする核酸配列が、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(1つまたは複数)内に、当該技術分野で知られた手順によって挿入される。かかる手順および関連するサブクローニング手順は、当業者の技量範囲内とみなされる。
【0090】
発現ベクター内の核酸配列は、好ましくは、mRNA合成を指令する適切な転写制御配列(プロモーター)に作動可能に連結されている。かかるプロモーターの例としては、レトロウイルス長末端(LTR)またはSV40 プロモーター、大腸菌lacまたはtrpプロモーター、ファージλPLプロモーター、および原核生物もしくは真核生物細胞またはそのウイルス内で遺伝子発現を制御することが知られている他のプロモーターが挙げられる。また、発現ベクターは翻訳開始のためのリボソーム結合部位、および転写ターミネーターを含む。該ベクターはまた、発現を増幅するための適切な配列を含むものであり得る。また、発現ベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型形質、例えば、真核生物細胞培養物ではジヒドロ葉酸レダクターゼもしくはネオマイシン耐性など、または大腸菌では、テトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性などを提供する1つ以上の選択可能マーカー遺伝子を含有する。
【0091】
上記の適切な核酸配列を含有するベクターならびに適切なプロモーターまたは制御配列は、宿主が本明細書に記載のペプチド(例えば、配列番号1〜256より好ましくは、配列番号1〜24、50〜244および248〜249、またはより好ましくは配列番号1〜2、またはより好ましくは配列番号1)を発現するのが可能となるように、適切な宿主を形質転換するために使用され得る。かかるベクターは、遺伝子治療において使用され得る。
【0092】
適切な発現宿主の例としては、細菌細胞(例えば、大腸菌、ストレプトマイセス属、Salmonella typhimuriumなど);真菌細胞(例えば、酵母など);昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエおよびSpodoptera frugiperda(Sf9)など);動物細胞(例えば、CHO、COS、HEK 293またはBowes黒色腫など);アデノウイルス;植物細胞などが挙げられる。適切な宿主の選択は、本明細書に記載の教示から当業者の技量範囲内とみなされる。本発明は、用いる宿主細胞によって制限されない。
【0093】
したがって、一部の実施形態において、本発明は、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(もしくはこれらにコードされる)ペプチド、またはN末端にメチオニンを有する上記の任意のもの、または任意のその鎮痛性断片、または任意のそのホモログもしくはアナログをコードするヌクレオチド配列発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることにより、鎮痛性ペプチドを作製するための方法に関する。次いで、かかる宿主細胞を、かかるペプチドの発現を可能にする適当な条件下で培養する。
【0094】
本発明では、さらに、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、配列番号1〜256より好ましくは、配列番号1〜24、50〜244および248〜249、もしくはより好ましくは配列番号1〜2、もしくはより好ましくは配列番号1)またはそのアナログもしくはホモログの1つ以上をコードする核酸を用いる遺伝子治療が想定される。好ましくは、かかる遺伝子治療は標的化型である。標的化型遺伝子治療は、全身投与後、特定の器官または組織に標的化されるベクター(器官−および腫瘍−ホーミングペプチド)の使用を伴う。該ベクターは、アビジンとレセプターに対するモノクローナル抗体との共有結合コンジュゲートからなるものであった。例えば、脳への送達には、キメラペプチドをモノビオチン化して薬物輸送ベクターにした。該ベクターは、アビジンとトランスフェリンレセプターに対するOX26モノクローナル抗体との共有結合コンジュゲートからなるものであった。脳毛細血管においてトランスフェリンレセプターが高濃度であることにより、OX26は脳に標的化され、血液脳関門を通ってレセプター媒介性トランスサイトーシスを行なう(Bickelら,1993,Proc.Nat.Acad.Sci.90:2618−2622)。別の例は、脳へのオピオイドペプチドのベクター媒介性送達である(NIDA Res Monogr.1995,154:28−46)。
【0095】
一部の実施形態において、かかる核酸は、本発明のポリヌクレオチドのためにトランスジェニック(transgenic)とし、本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物または動物を創製するために使用される。本明細書に記載のペプチドの1つ以上をコードする核酸を植物細胞内に導入するため、導入は、慣用的な遺伝子操作手法、例えば、アグロバクテリウム感染、内へのエレクトロポレーションプロトプラスト、パーティクルガン法などにより行なわれ得る。一部の実施形態において、上記の核酸は、第2の核酸配列または遺伝子とともに導入される。一部の実施形態において、第2の核酸配列は、プロモーターなどとしての機能を果たし得る。
【0096】
好ましくは、植物細胞内に導入される核酸は、選択マーカー遺伝子を有するベクター内に一体化される。例えば、配列番号1〜256より好ましくは、配列番号1〜24、50〜244および248〜249、もしくはより好ましくは配列番号1〜2、もしくはより好ましくは配列番号1をコードする核酸、またはそのホモログもしくはアナログは、かかるベクターの1つ(例えば、pGEM−TおよびpBINバイナリーベクター)に一体化され得る。次いで、ベクターを相同組換えによって植物細胞の染色体内に導入する(Fraleyら,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80;4803)。該核酸を発現する植物細胞は、次いで選択され得る。あるいはまた、該核酸は植物細胞内に、プロモーターおよび任意選択でターミネーター(これらはともに、植物細胞内で機能を果たし得る)に作動可能に連結されたベクターにて導入され得る。
【0097】
植物細胞内で機能を果たし得るプロモーターの非限定的な例としては、T−DNA由来の構成的プロモーター、例えばノパリンシンターゼ遺伝子プロモーター、オクトパインシンターゼ遺伝子プロモーターなど、植物ウイルス由来のプロモーター、例えば19Sおよび35S、カリフラワーモザイクウイルス由来のプロモーターなど、誘導性プロモーター、例えばフェニルアラニンアンモニアリアーゼ遺伝子プロモーター、カルコンシンターゼ遺伝子プロモーター、病原体関連ポリペプチド遺伝子プロモーターなどが挙げられる。
【0098】
植物細胞内で機能を果たし得るターミネーターの非限定的な例としては、T−DNA由来のターミネーター、例えばノパリンシンターゼターミネーター、植物ウイルス由来のターミネーター、例えばニンニクウイルスGVl、GV2由来のターミネーターなどが挙げられる。
【0099】
内部にかかる核酸が導入される植物細胞としては、植物組織、完全体の植物、培養細胞、種子などが挙げられる。内部に遺伝子が導入される植物種の例としては、双子葉植物綱、例えば、タバコ、綿花、菜種、甜菜、シロイヌナズナ、キャノーラ、亜麻、ヒマワリ、イモ、アルファルファ、レタス、バナナ、大豆、エンドウ、豆果(legume)、マツ、ポプラ、リンゴ、ブドウ、柑橘類 果実類、ナッツ類など;ならびに単子葉植物綱(monocotyledones)、例えば、トウモロコシ、米、小麦、大麦、ライムギ、オートムギ、サトウモロコシ、サトウキビ、芝生などが挙げられる。また、第2の遺伝子がかかる植物細胞内に導入されてもよい。
【0100】
本明細書に記載のポリペプチドまたはそのホモログの1つ以上を発現する形質転換体植物細胞は、内部に遺伝子が導入される細胞を、該遺伝子の遺伝子座に接合された選択マーカーに対応する選択培養培地(例えば、細胞成長抑制因子を含有する培養培地など)中で培養し、該培養培地中での成長能を有するクローンを単離することにより得られ得る。さらに、選択培養培地はまた、形質転換体植物細胞に改変された形態の酵素活性もまた存在する場合、第2の遺伝子の遺伝子座に接合された選択マーカーに対応するものであるのがよい。あるいはまた、上記の形質転換体植物細胞は、内部に遺伝子が導入される植物細胞を、その耐性が付与される雑草防除化合物を含有する培養培地中で培養し、該培養培地中での成長能を有するクローンを単離することにより選択され得る。
【0101】
所望のペプチドを発現する植物は、このようにして慣用的な植物細胞培養方法(例えば、Plant Gene Manipulation Manual,Method for Producing Transgenic Plants,1996,UCHIMIYA,Kodansha Scientificに記載されたもの)に従って完全体の植物を再生させることにより得られる形質転換体細胞から得られ得る。かくして、植物組織、完全体の植物、培養細胞、種子などの形質転換された植物が得られ得る。
【0102】
例えば、(i)抗発熱性、(ii)抗炎症性、(iii)抗腫瘍活性、または(iv)病原体に対する抵抗性の発現、または(v)花の数の増加などの発育上の変化の発現を有するという特性を有する所望のペプチド(例えば、配列番号1〜256より好ましくは、配列番号1〜24、50〜244および248〜249、またはより好ましくは配列番号1〜2、またはより好ましくは配列番号1、またはそのホモログもしくはアナログ)をコードする遺伝子を発現する米およびシロイヌナズナが、Experimental Protocol of Model Plants,Rice and マウス−Ear Cress Edition,第4章(1996,Supervisors:ShimamotoおよびOkada,Shujun−sha)に記載された方法に従って得られ得る。さらに、該方法に従って、所望のペプチドをコードする遺伝子を発現する大豆が、大豆不定胚(adventitious embryo)内に遺伝子をパーティクルガンによって導入することにより得られ得る。同様に、Frommら,1990,Bio/Technol.,8:838に記載された方法に従って、該遺伝子を発現するトウモロコシが、パーティクルガンによって不定胚内に遺伝子を導入することにより得られ得る。該遺伝子を発現する小麦は、Takumi,1995,J.Breeding Soc.,44:Extra,1:57に記載された慣用的な方法に従って、滅菌培養した小麦の未成熟胚盤内に該遺伝子をパーティクルガンによって導入することにより得られ得る。同様に、Hagioら,1995,J.Breeding Soc.,44;Extra,1:67に記載された方法に従って、上記のポリペプチドをコードする遺伝子を発現する大麦が、滅菌培養した大麦の未成熟胚盤に該遺伝子をパーティクルガンによって導入することにより得られ得る。
【0103】
別の実施形態は、対応する核酸配列の断片またはその相補配列に関し、これらは、例えば、ハイブリダイゼーションプローブまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドとしての用途が見出され得る。かかる核酸断片は、通常、少なくとも約10ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも約40ヌクレオチド長、なおより好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド長、かなおそれ以上であり、ここで、本文脈において、用語「約」は、記載したヌクレオチド配列長±記載した長さの10%を意味する。
【0104】
一部の実施形態において、本発明は、種々の有機体に由来する本発明のペプチド(配列番号1〜256、より好ましくは配列番号1〜24、50〜244および248〜249、もしくはより好ましくは配列番号1〜2、もしくはより好ましくは配列番号1、またはそのホモログもしくはアナログ)ならびにそのホモログまたはアナログをコードする遺伝子または遺伝子断片を単離するための方法に関する。かかる遺伝子または遺伝子断片は、(i)抗発熱性、(ii)抗炎症性、(iii)抗腫瘍活性、または(iv)病原体に対する抵抗性の発現、または(v)花の数の増加などの発育上の変化の発現を有するものであり得る。かかる遺伝子または遺伝子断片は、鋳型としての所望の遺伝子と、該ポリペプチドのN−およびC−末端周囲のものに対応するヌクレオチド配列に基づいて作製されたプライマーとを有する有機体のゲノムDNAまたはcDNAを用いたPCRを行ない、所望の遺伝子を増幅させることにより同定され得る。さらに、ペプチドをコードする遺伝子は、異なる有機体(例えば、クローン、植物、動物など)から得られ得る。例えば、mRNAを有機体から得、該mRNAを鋳型として用いて逆転写酵素によりcDNA合成し、該cDNAをファージベクター(例えば、ZAP IIなど)またはプラスミドベクター(例えば、pUCなど)に組み込むことによって、まずcDNAライブラリーを構築する。このcDNAライブラリーを大腸菌内に導入した後、相補性試験に供し、所望の有機体由来の所望の遺伝子を含有するクローンが選択され得る。さらに、所望の遺伝子の少なくとも一部分を含有するDNA断片を増幅するには、構築した上記のcDNAライブラリーを鋳型として、および該ペプチドのヌクレオチド配列に基づいて設計および合成されたプライマーを用いることによりPCRを行ない得る。cDNAライブラリーのスクリーニングは、このようにして得られるDNA断片をプローブとして用い、陽性クローンを選択することにより行なわれ得る。所望の遺伝子、すなわち(i)〜(v)の少なくとも1つの特徴を実質的に有するペプチドをコードする遺伝子が、選択したクローンのヌクレオチド配列の決定により確認され得る。
【0105】
3.抗体
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の任意のポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。例えば、本発明では、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列、もしくはより好ましくは配列番号1〜14および50〜244、もしくはより好ましくは、配列番号1〜2、もしくはより好ましくは配列番号1を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるアミノ酸配列を有するペプチド、またはN末端にメチオニンを有する上記の任意のもの、または任意のその断片、ホモログまたはアナログに特異的に結合する抗体が想定される。用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、その断片、例えば、F(ab’)およびFab断片、ならびに組換えにより作製された任意の結合パートナーを含むことが意図される。
【0106】
抗体は慣用的な方法によって、例えば、ヒトまたは動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどの免疫処置(Messerschmid、1996、BlOforum、11:500−502もまた参照のこと)の後、抗血清の単離によって、またはハイブリドーマ細胞を確立した後、分泌された抗体の精製によって、または該抗原および/またはハプテンに対する天然抗体の結合を担うアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはその修飾型のクローニングおよび発現によって調製され得る。本発明の抗体は、特に、配列番号1〜256からなる群より選択される、より好ましくは配列番号1〜24、50〜244および248〜29からなる群より選択される、より好ましくは配列番号1〜24、50〜163、248〜249からなる群より選択される、より好ましくは配列番号1〜2からなる群より選択される、またはより好ましくは配列番号1であるアミノ酸を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドに結合する抗体である。一部の実施形態において、かかるポリペプチドは、100アミノ酸残基未満、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5または4個のアミノ酸残基を有する。一部の実施形態において、かかるポリペプチドは、4〜100、4〜50、4〜40、4〜30または4〜20個のアミノ酸残基を有する。好ましくは、かかる抗体はアミノ酸配列Phe−Leu−Pro−Ser−Glu−Phe−Gly−Val−Asn−Val−Asn−Arg(配列番号2)、またはより好ましくはアミノ酸配列Phe−Leu−Pro−Ser(配列番号1)に選択的に結合する。
【0107】
本明細書に記載の抗体は、好ましくは、約10−1以上、好ましくは約10−1、より好ましくは約10−1、さらにより好ましくは約10−1のKで特異的に結合する。結合パートナーまたは抗体の親和性は、慣用的な技術、例えば、Scatchardら,1949(Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660)に記載のものを用いて、またはWolffら,1993(Cancer Res.53 :2560;BIAcore/Biosensor,Piscataway,NJ)(これらは、あらゆる目的のために、引用により本明細書に組み込まれる)に記載された表面プラズモン共鳴によって容易に測定され得る。
【0108】
ポリクローナル抗体は、多種多様な供給源、例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウスまたはラットから、当該技術分野でよく知られた手順を用いて容易に作製され得る。一般に、単離されたポリ本発明のペプチド(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(またはこれらにコードされる)ポリペプチドまたはN末端メチオニンを有する上記の任意のもの)は、適切にコンジュゲートされたものが宿主動物に、典型的には非経口注射により投与される。該ポリペプチドの免疫原性は、アジュバント(例えば、フロイト完全または不完全アジュバント)の使用により増強され得る。ブースター免疫処置後、少量の血清試料を回収し、該ポリペプチドに対する反応性について試験する。かかる測定に有用な種々のアッセイの例としては、Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(編),Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988に記載のもの;ならびに対向免疫電気泳動法(CIEP)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、放射性免疫沈降法、酵素免疫測定法(ELISA)、ドットブロットアッセイ、およびサンドイッチアッセイ(例えば、米国特許第4,376,110号および同第4,486,530号を参照のこと)などの手順、または当該技術分野で知られた他の同様のアッセイが挙げられる。
【0109】
所望のポリペプチド抗原(例えば、本明細書に記載されたペプチド)に特異的なモノクローナル抗体は、よく知られた手順(例えば、Current Protocols in Immunolog(Wiley & Sons,NY,Coliganら編,1994;米国特許第32,011号(再発行)、第4,902,614号、第4,543,439号および第4,411,993号;Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,1980,Plenum Press,Kennettら編に記載された手順を参照のこと)を用いて容易に調製され得る。簡単には、マウスなどの宿主動物に、少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回、約3週間隔で、単離および精製した本明細書に記載のポリペプチド(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(もしくはこれらにコードされる)ポリペプチド、または本明細書に記載のコンジュゲートポリペプチドを、任意選択でアジュバントの存在下で腹腔内に注射する。次いで、マウス血清を慣用的なドットブロット手法または抗体捕捉(ABC)によってアッセイし、どの動物が、骨髄腫パートナー細胞株との融合のための脾細胞の供給源として最も適当であるかを調べる。およそ2〜3週間後、マウスに該ポリペプチドの静脈内追加免疫処置を行なう。その後、マウスを致死させ、脾臓細胞を、確立されたプロトコルに従って市販の骨髄腫細胞(例えばAg8.653(ATCC)など)と融合させる。簡単には、骨髄腫細胞を数回、倍地中で洗浄し、マウス脾臓細胞と、1個の骨髄腫細胞に対して約3個脾臓細胞の比で融合させる。融合剤は、当該技術分野で使用されている任意の適当な薬剤、例えばPEGであり得る。融合細胞を含有する細胞懸濁液を、融合細胞の選択的な成長を可能にする培地の入ったプレート内にプレーティングする。次いで、融合細胞を、およそ8日間成長させ得る。得られたハイブリドーマ由来の上清みを回収し、最初にヤギ抗マウスIgでコートしたプレートに添加する。洗浄後、125Iなどの標識コンジュゲートポリペプチド(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(もしくはこれらにコードされる)ポリペプチドまたはN末端メチオニンを有する上記の任意のもの)を、各ウェルに添加した後、インキュベーションする。続いて、陽性ウェルをオートラジオグラフィーによって検出し得る。陽性クローンは塊状の培養物で成長し得、続いて、上清みをポリペプチドAカラム(Pharmacia)上で精製する。
【0110】
本発明のモノクローナル抗体は、別の手法、例えばAlting−Meesら,1990(Monoclonal Antibody Expression Libraries:A Rapid Alternative to Hybridomas,Strategies,Mol.Biol.3:1−2469)に記載のものを用いて作製され得る。同様に、結合パートナーは、特異的結合抗体をコードする遺伝子の可変領域を組み込む組換えDNA手法を用いて構築され得る。Larrickらは、かかる手法を、Biotechnol,7:394,1989に記載されている。
【0111】
他の型の抗体は、当該技術分野の水準技術知識と組み合わせて、本明細書に提供された情報を用いて作製され得る。例えば、任意の該ペプチドまたは、本明細書に記載のペプチド配列を含有するポリペプチドに特異的に結合できるヒト抗体の要素を含むように操作された抗体もまた、本発明に包含される。ポリペプチド、ペプチドまたはその断片に特異的に結合する抗体を選択するためのさらなる方法は、ファージディスプレイによるもの、例えば、Winterら,1994,Annu.Rev.Immunol.12:433;Burtonら,1994,Adv.Immunol.57:191である。ヒトまたはマウス免疫グロブリン可変領域遺伝子のコンビナトリアルライブラリーはファージベクターにおいて創製され得、これをスクリーニングして、ポリペプチド、ペプチドまたはその断片に特異的に結合するIg断片(Fab、Fv、sFvまたはその多量体)が選択され得る。例えば、米国特許第5,223,409号;Huseら,1989,Science:1275;Kangら,1991 Proc.Natl.Acad.Sci.USA
88:4363;Hoogenboomら,1992,J.Molec.Biol.227:381;Schlebuschら,1997,Hybridoma 16:47,およびそこに挙げられた参考文献を参照のこと。例えば、Ig可変領域断片をコードする複数のポリヌクレオチド配列を含有するライブラリーを、繊維状バクテリオファージ(例えば、M13またはそのバリアント)のゲノム内に、ファージコートポリペプチドをコードする配列(例えばM13の遺伝子IIIまたは遺伝子VIII)とインフレームで挿入し、M13融合ポリペプチドを創製し得る。融合ポリペプチドは、コートポリペプチドと軽鎖可変領域ドメインおよび/または重鎖可変領域ドメインとの融合体であり得る。いったん単離および精製されたら、該抗体は、確立されたアッセイプロトコルを用いて、試料中の本発明のポリペプチドまたはペプチドの存在を検出するために使用され得る。さらに、本発明の抗体は、本発明のペプチドに結合させてそのインビボ活性を改変するために、治療的に使用され得る。
【0112】
製剤
本明細書に記載の任意の組成物は、有機体への投与のための医薬用、獣医学用、化粧品用および/または農業用製剤に製剤化され得る。
【0113】
典型的には、かかる製剤は、1種類以上の許容され得る担体、賦形剤または希釈剤を含む。治療的使用のための薬学的に許容され得る担体は、製薬技術分野においてよく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Gennaro,AR編,第20版,2000:Williams and Wilkins PA,USA(これは、あらゆる目的のために、引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。植物の治療的または予防的処置のための農業用に許容され得る担体もまた当該技術分野で知られている。化粧用および獣医学用賦形剤もまた当該技術分野で知られている。
【0114】
例えば、本明細書に記載の組成物は、その植物内への適用を助長するため、1種類以上の天然または合成の有機系または無機系材料と組合せ得る。かかる担体は、一般的に、不活性で農業に許容され得るものである。かかる担体は、固形(例えば、クレイ、天然もしくは合成のシリケート、シリカ、レジン、ワックス、または固形肥料)、あるいは液状(例えば、水、アルコール、ケトン、石油留分、芳香族もしくはパラフィン系炭化水素、塩素化炭化水素、または液化ガス)であり得る。
【0115】
医薬用または農業用製剤はまた、任意の種類の他の適合性成分、例えば、保護コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロピー剤、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤、肥料、不凍剤、忌避剤、着色添加剤、腐蝕防止剤、撥水剤、UV安定化剤、顔料、染料またはポリマーなどを含有し得る。
【0116】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、多くの酸(限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられる)と形成される塩として製剤化され得る。塩は、水性または他のプロトン系溶媒中で、対応する遊離塩基形態よりも可溶性である傾向がある。他の場合では、好ましい調製物は凍結乾燥された粉末であり得、これは、4.5〜5.5のpH範囲で使用前にバッファーと合わされる以下のもの:1〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のスクロースおよび2〜7%のマンニトールのいずれかまたはすべてを含有するものであり得る。医薬的および生理学的に許容され得る組成物が調製されした後、これを、適切な容器内に入れ、適応症状の処置のためにラベル表示し得る。
【0117】
任意の適当な公知の担体が、本発明の医薬製剤に使用され得るが、担体の型は、投与様式および徐放性が所望されるか否かに応じて異なる。送達経路としては、経口、吸入、口腔内、鼻腔内および経皮経路、ならびに新規な送達系、例えば、ペプチドの経口送達のための保護的リポソームなどが挙げられ得る。
【0118】
農業用使用のためには、製剤は、好ましくは、液剤またはスプレー剤または任意の他の乾燥製剤である。
【0119】
皮下注射などの非経口投与のためには、担体は、好ましくは、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックスまたはバッファーを含む。
【0120】
経口投与のためには、担体は、好ましくは、炭水化物またはポリペプチド充填剤、例えば、糖類(ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールが挙げられる);トウモロコシ、小麦、米、イモ、または他の植物由来のデンプン;セルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなど;アラビアおよびトラガカントなどのガム;またはポリペプチド、例えば、ゼラチンおよびコラーゲンを含むものである。所望により、崩壊剤または可溶化剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などを添加してもよい。所望により、該薬物を、プロテアーゼによるタンパク質分解に対して防御し得るナノカプセルにて送達し得る。かかる担体は、本明細書に記載の組成物が、患者による摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化されされるのを可能にする。経口使用のための医薬用調製物は、活性化合物と固形賦形剤との組合せにより得られ得、適当な混合物は、任意選択で磨砕され、所望により適当な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工処理して錠剤または糖衣錠コアを得る。組成物がペプチドであり得る場合、かかるペプチドは、好ましくは、分解を回避するため、リポソーム製剤内に内包させる。
【0121】
好ましくは、本明細書に記載の医薬製剤は、静脈内注射または局所適用(例えば、局所または皮下)によって投与される。
【0122】
局所投与のための製剤には、溶液、エマルジョン、および軟膏またはゲル基剤である担体が使用され得る。例えば、基剤は、以下のもの:ワセリン、ラノリン、PEG、蜜ろう、鉱油、希釈剤(例えば、水およびアルコールなど)、ならびに乳化剤および安定化剤の1種類以上を含み得る。局所投与の医薬組成物には、増粘剤を存在させ得る。経皮投与が意図される場合、該組成物としては、経皮パッチまたはイオントフォレーゼデバイスが挙げられ得る。
【0123】
また、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ガラクチド)が、本発明の医薬組成物のための担体として使用され得る。好適な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号および同第5,075,109号に開示されている。これに関して、ミクロスフェアは、およそ25μmより大きいことが好ましい。
【0124】
医薬用組成物はまた、希釈剤(例えば、バッファーなど)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸など)、低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、炭水化物(グルコース、スクロースまたはデキストリンが挙げられる)、キレート化剤、例えば、EDTA、グルタチオンおよび他の安定化剤ならびに賦形剤を含有するものであり得る。非特異的血清アルブミンと混合された中性緩衝生理食塩水または生理食塩水は、例示的な適切な希釈剤である。好ましくは、生成物は、適切な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を希釈剤として用い、凍結乾燥物として製剤化される。
【0125】
薬学的に許容され得る製剤は、活性成分(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(またはこれらにコードされる)ポリペプチド、または任意のそのアナログもしくはホモログ)が、意図される目的を達成するのに有効な用量で含有された組成物を含む。有効量または投薬量の決定は、充分当業者の能力の範囲内である。典型的には、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(またはこれらにコードされる)ポリペプチド、または任意のそのアナログもしくはホモログ)の全身投与のための有効用量は、約0.001μg〜約100g、またはより好ましくは約0.01μg〜約50g、またはより好ましくは約0.1μg〜約1g、またはより好ましくは約1mg〜約500mg/用量である。局所投与のためには、本明細書に記載の組成物は、該組成物の約99まで、95、90、80、70、60、50、40または30%w/wの投薬量で送達され得る。
【0126】
一部の実施形態において、配列番号1〜256の治療的有効投薬量は、活性成分が1〜1000mg/L、5〜500mg/L、または10〜100mg/L、または10〜20mg/Lの(or)の範囲内の血清濃度である。
【0127】
本明細書に記載の任意の組成物が、第2の治療剤と同時製剤化または共投与され得る。治療剤の例としては、限定されないが、鎮痛薬、解熱剤(antipyretic medicament/fever reducer)、麻酔薬、抗リウマチ剤、抗炎症剤、抗鬱剤、抗腫瘍剤、抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、および抗真菌剤)、殺虫剤、除草剤、血管新生剤、抗血管新生剤、神経伝達物質阻害剤または神経伝達物質、神経変性疾患および創傷治癒を処置することが知られた任意の薬剤、ならびにその組合せが挙げられる。
【0128】
本発明の組成物中の活性成分の濃度は、植物に適用される場合、好ましくは0.01〜30.0重量%、特に0.1〜30%重量%の範囲内である。一次(primary)組成物では、活性成分の量は、広く異なり得、例えば、組成物の5〜95重量%であり得る。
【0129】
本明細書に記載の任意の組成物について、治療有効用量は、最初に、細胞培養アッセイ(例えば、腫瘍性細胞の)、または動物モデル(通常、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタ)のいずれかにおいて概算され得る。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するためにも使用され得る。次いで、かかる情報を用い、ヒトにおける投与に有用な用量および経路が決定され得る。当業者は、1つのモデル(インビトロまたはインビボモデル)から充分外挿する能力がある。治療有効用量は、症状または状態を改善する活性成分、例えば、配列番号1〜244および248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる(またはこれらにコードされる)ポリペプチド、または任意のその断片、アナログもしくはホモログの量をいう。治療の有効性および毒性は、標準的な製薬上の手順によって、細胞培養物または実験動物において、例えば、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に対して致死性である用量)で測定され得る。治療効果と毒性効果の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比で示され得る。大きな治療指数を示す医薬的および生理学的に許容され得る組成物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒト使用のための投薬量範囲の策定に使用する。かかる組成物に含有される投薬量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く伴わないED50を含む循環濃度の範囲内である。投薬量は、用いる投与形態、患者の感受性および投与経路に応じて、この範囲内で異なる。医師は、処置が必要とされる被験体に関する要素に鑑み、正確な投薬量を決定する。投薬量および投与は、充分なレベルの活性部分が提供されるように、または所望の効果が維持されるように調整される。考慮され得る要素としては、疾患の状態の重篤度、被験体の一般健康状態、被験体の年齢、体重、および性別、食生活、投与の期間および頻度、併用薬(1種類または複数)、反応感度、および治療に対する耐容性/応答性が挙げられる。長期作用性の医薬的および生理学的に許容され得る組成物は、その具体的な製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて3〜4日間毎、毎週、または2週間に1回投与され得る。
【0130】
通常の投薬量は、投与経路に応じて、合計用量約1gまでで0.001μg〜100gで異なり得る。送達の具体的な投薬量および方法に関する手引きは、文献に提供されており、一般的に当業者に利用可能である。当業者は、ポリペプチドまたはそのインヒビターではなく(than)ヌクレオチドのために異なる製剤を用いる。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は、処置対象の特定の細胞、細胞型、有機体、状態、位置などに特異的である。
【0131】
例えば、疼痛の予防または処置のための、抗痛薬の適切な投薬量は、上記に規定のような処置対象の状態の型、疾患の重篤度および経過、薬剤が予防目的または治療目的または他の薬物との併用薬としてのいずれで投与されるのか、既往治療、患者の病歴および薬剤に対する応答性、ならびに担当医師の判断に依存する。該薬剤は患者に対し、一度に、または一連の処置で適切に投与される。
【0132】
動物実験は、ヒト治療に有効な用量の決定のための信頼性のある手引きを提供する。有効用量の種間スケーリングは、Mordenti,J.およびChappell,W.,Toxicokinetics and New Drug Development,Yacobiら編,Pergamon Press,New York 1989,pp.42−96の「The use of interspecies scaling
in toxicokinetics」に規定された原理に従って行なわれ得る。例えば、疾患の型および重篤度に応じて、約0.001μg/kg〜1000mg/kgの治療剤が、例えば、1つ以上の個別の投与または連続輸液のいずれかによる患者への投与のための最初の候補投薬量とされ、典型的な日投薬量は、上記の要素に応じて、約1 g/kg〜100 g/kg以上の範囲であり得る。局所投与または局所投与のためには、より低投薬量が必要とされ得る。数日間以上にわたる反復投与のためには、状態に応じて、処置は疾患症状の所望の抑制がもたらされるまで持続させる。しかしながら、他の投与レジメンも使用され得る。この治療の進行は、慣用的な技術およびアッセイによって容易にモニターされる。送達の具体的な投薬量および方法に関する手引きは、文献に提供されている。例えば、米国特許第4,657,760号;同第5,206,344号;または米国特許第5,225,212号を参照のこと。異なる処置化合物および異なる障害には異なる製剤が有効であること、および例えばある1つの器官または組織を標的化する投与では、別の器官または組織のものとは異なる様式の送達が必要とされ得ることが予測される。
【0133】
該組成物は、固形、液状ゲルまたは気体(エーロゾル)の形態で投与され得る。医薬組成物は、内包されている活性成分が該組成物が患者に投与されると、生物学的利用可能となるように製剤化される。患者に投与される組成物は、1つ以上の投薬単位の形態をとり、この場合、例えば、錠剤は単回投薬単位であり得、1種類以上の本発明の化合物を含むエーロゾル形態の容器は複数の投薬単位を保持するものであり得る。
【0134】
経口投与のためには、賦形剤および/または結合剤を存在させ得る。例は、スクロース、カオリン、グリセリン、デンプン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびエチルセルロースである。着色剤および/またはフレーバー剤を存在させてもよい。コーティング殻を採用してもよい。
【0135】
該組成物は、液状物、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤または懸濁剤の形態であり得る。液状物は、2つの例として、経口投与用または注射による送達であり得る。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、本明細書に記載の組成物に加えて、甘味剤、保存剤、染料/着色剤およびフレーバー増強剤の1種類以上を含有する。注射による投与が意図される組成物には、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定化剤および等張剤の1種類以上を含め得る。
【0136】
本明細書に記載の組成物の注射用製剤は、好ましくは滅菌されている。滅菌を行なうための手段は、当該技術分野でよく知られている。
【0137】
真皮および/または上皮への送達のためには、能動または受動経皮送達担体を用いた皮膚用のパッチおよび送達系が、よく知られた方法および材料(例えば、多孔質膜、シリコーン(silicon)ポリマーおよび拡散マトリックスが挙げられる)を用いて(suing)調製され得る。かかる材料および方法は、例えば、in:Remington’s Pharmaceutical Sciences(前出)に記載されている。
【0138】
植物における使用のためには、本発明の組成物は、一般的に、種子、植物またはその生息環境に適用される。したがって、本明細書に記載の組成物は、土壌中の活性化合物の存在によって種子を攻撃し得る病原体の成長が抑制されるように、条播き(drilling)前、条播き時または条播き後に土壌に直接適用され得る。土壌を本明細書に記載の組成物で直接処理する場合、これは、土壌と充分混合されることが可能になる任意の様式で、例えば、噴霧によって、粒状物の固形形態の散布によって、または活性成分を種子と同じ条播き機内に挿入することにより条播きと同時に適用することによって適用され得る。適当な適用割合は、0.005〜1000g/ヘクタール、より好ましくは0.10〜500g/ヘクタールの範囲内である。
【0139】
あるいはまた、活性化合物は植物に、例えば、病原体が植物上に出現し始めたとき、または病原体の出現前に保護手段としてのいずれかで、噴霧または散布によって直接適用され得る。かかる場合の両方において、好ましい適用様式は、葉面噴霧によるものである。一般的に、植物成長の初期段階で病原体の良好な防除を得ることが重要である。それは、この時期が植物が最も重篤に損傷され得る時期であるためである。
【0140】
該噴霧剤または散布剤は、必要と思われる場合は、出芽前または出芽後除草剤をさらを含有させ得る。場合によっては、植物の根、球根、塊根または他の植物珠芽を植える前、または植える際に、例えば、根を適当な液状または固形組成物中に浸漬することによって処理することが実用的であり得る。活性化合物を植物に直接適用する場合、適当な適用割合は、0.002〜5kg/ヘクタール、好ましくは0.005〜1kg/ヘクタール、またはより好ましくは0.01〜0.05kg/ヘクタールである。
【0141】
動物および植物に影響を与える条件
一部の態様において、本発明は、有機体の状態(1つまたは複数)を調節、予防または処置するための、本明細書に開示されたペプチド(表V)などの組成物の使用に関する。かかる有機体は動物および/または植物であり得る。動物は、好ましくは飼育動物またはヒトである。植物は、好ましくは、小麦、大麦、米、トウモロコシ、サトウまたは大豆などの作物;野菜または果物、例えば、リンゴ、洋ナシ、柑橘類 果実類、ベリー類などやナッツ類;および/または開花植物、例えば、バラ、クチナシ、ラン、カーネーション、極楽鳥花などである。しかしながら、他の植物または植物の一部分もまた、本明細書において想定される(例えば、製材用の木材、例えば、モミ、セコイア、マツなど)。
【0142】
本明細書に記載の組成物によって調節、予防または処置される状態は、代謝病またはミトコンドリア病に大別され得る。より詳しくは、かかる状態は、例えば、高温発生または発熱性状態である。かかる状態は、例えば、疼痛、温度調節、炎症、腫瘍性成長(例えば、癌)、先天性免疫応答活性化ならびに寄生虫および病原体に対処する能力、皮膚および皮膚科学的状態、糖尿病関連障害、創傷治癒、望ましくない薬物副作用、ならびに神経疾患および神経変性疾患と関連するものであり得る。
【0143】
かかる状態は、本明細書に記載の処置対象の細胞、細胞群、または有機体全体に存在し得る。
【0144】
1.疼痛
一態様において、本発明は疼痛の処置に関する。本発明で想定される疼痛状態の例としては、限定されないが、頭痛(例えば、三叉神経痛、副鼻腔炎、群発性頭痛、片頭痛など)、腰痛、癌性疼痛、関節炎性疼痛、有痛性筋攣縮、骨痛、熱傷に起因する疼痛、衝突と関連する疼痛、打撲と関連する疼痛、炎症性疼痛(感染または関節の障害に起因するもの)、閉塞由来の疼痛、顔面筋疼痛、神経損傷由来の疼痛(ジストロフィ/カウザルギー)、幻想肢痛、エントラップメントニューロパシー(例えば、手根管症候群)、末梢神経障害、および創傷由来の疼痛、例えば、外科的、事故による(accidential)、または自傷的創傷が挙げられる。
【0145】
疼痛の病態生理学は、3つのカテゴリー:(i)侵害受容疼痛、(ii)神経因性疼痛、および(iii)特発性疼痛に大別され得る(Willis,W.D.,1985,The Pain System.The Neural Basis of Nociceptive Transmission in the Mammalian Nervous System.Pain and Headache,第8巻,Gildenberg PL(編)Karger Publishers,New York)。
【0146】
侵害受容疼痛は、組織損傷によるレセプター刺激の結果である。これは、有害刺激による侵害受容系の通常の活性化を伴う。侵害受容疼痛の例としては、捻挫、骨折、熱傷、衝突、打撲、炎症(感染または関節の障害に起因するもの)、閉塞、顔面筋疼痛(これは、異常筋肉緊張を示し得る)頭痛、腰痛、癌性疼痛、および関節炎性疼痛が挙げられる。一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、侵害受容疼痛を予防または処置するために使用される。好ましくは、かかる組成物は、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列である(またはこれらにコードされる)。一部の実施形態において、第2の治療剤、例えば、NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)および/またはオピオイドなどが、侵害受容疼痛を処置するために本明細書に記載の組成物と組合せて使用され得る。
【0147】
したがって、一態様において、本発明は、侵害受容疼痛を処置するのための、本明細書に記載の化合物の使用に関する。かかる方法は、本明細書に記載の組成物の1種類以上を、侵害受容疼痛に苦しんでいるか、該苦しみを受けやすい被験体に投与することを伴う。かかる組成物は、好ましくは、配列番号1〜244、248〜249の群から、または配列番号1〜14、50〜152および248〜249の群から、または配列番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドである。一実施形態において、かかる組成物は、配列番号1〜244、248〜249の群から、または配列番号1〜14、50〜152および248〜249の群または配列番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一実施形態において、かかる組成物は、列配列番号1〜244、248〜249の群から、または配列番号1〜14、50〜152および248〜249の群、または配列番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む。
【0148】
第2のカテゴリーの疼痛である神経因性疼痛は、末梢または中枢神経系における損傷または機能不全の結果である。神経因性疼痛の例としては、帯状疱疹後(または帯状ヘルペス後)疼痛、反射性交感神経性ジストロフィ/カウザルギー(神経損傷)、癌性疼痛の成因、幻想肢痛、エントラップメントニューロパシー(例えば、手根管症候群)、および末梢神経障害が挙げられ、最も一般的には、糖尿病または慢性アルコール飲酒によって引き起こされる。
【0149】
神経因性疼痛は、多くの場合、損傷によって誘発されるが、この損傷は、神経系に対する実際に損傷を伴うものであってもそうでなくてもよい。例えば、神経は、腫瘍によって浸潤もしくは圧迫されるか、瘢痕組織によって圧迫されるか、または、感染によって炎症が起こされ得、これにより、神経因性疼痛が引き起こされ得る。神経因性疼痛は、任意の損傷組織の見かけ上の治癒を過ぎて(beyond)数ヶ月または数年持続し得る。したがって、神経因性疼痛は高い頻度で慢性であり、完全に可逆的ではなく、オピオイドので処置に対してあまりロバストでない応答性を有する傾向にあるが、抗痙攣剤(カルバマゼピンおよびバルプロ酸、ならびにガバペンチン)ならびに神経修飾薬(アミトリプチリン、イミプラミン、およびデシプラミンなどの三環系抗うつ薬が挙げられる)などの薬物には応答し得る。
【0150】
本発明では、神経因性疼痛の処置のための本明細書に記載の組成物の使用が想定される。特に、本発明は、本明細書に記載の組成物の1種類以上を被験体に、神経因性疼痛を処置または予防するための治療有効量で投与することにより、被験体の神経因性疼痛を処置するための方法を含む。好ましい実施形態では、神経因性疼痛を処置するために使用される本明細書に記載の組成物は、好ましくは、配列番号1〜2の群から、または配列番号1〜14および50〜244の群、もしくは配列番号1〜2もしくは配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドを含むか、またはこれらから本質的になるか、またはこれらからなる。一実施形態において、かかる組成物は、配列番号1〜244、248〜249の群、または配列番号1〜14および50〜244の群、または配列番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一実施形態において、かかる組成物は、配列番号1〜244、248〜249の群、または配列番号1〜14および50〜244の群、または配列番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む。
【0151】
第3のカテゴリーの疼痛である特発性疼痛は、身体的原因がなく、特別な精神障害もないため、患者が6ヶ月より長く疼痛に苦しんでいる場合が排除(exclusion)される診断である。特発性疼痛の例としては、限定されないが、関節炎、線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、間質性膀胱炎、心因性外陰部疼痛症(vulvadynia)、手根管症候群などが挙げられる。
【0152】
一態様において、本発明は、特発性疼痛を処置するのための、本明細書に記載の化合物の使用に関する。かかる方法は、本明細書に記載の組成物の1種類以上を、特発性疼痛に苦しんでいるか、該苦しみを受けやすい被験体に投与することを伴う。かかる組成物好ましくは、配列番号1〜244、248〜249の群、または配列番号1〜14および50〜244の群、または配列番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドを含む。一実施形態において、かかる組成物は、配列番号1〜244、248〜249の群、または配列番号1〜14および50〜244の群、または配列番号1〜2、または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一実施形態において、かかる組成物は、配列番号1〜244、248〜249の群、または配列番号1〜14および50〜244の群、または配列番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む。
【0153】
本明細書に記載の任意の組成物は、単独または第2の治療剤(例えば、鎮痛薬鎮痛剤または抗炎症剤など)との組合せいずれかで投与され得る。一部の実施形態において、第2の治療剤は、本明細書に記載の組成物の1種類以上とともに同時製剤化される。
【0154】
米医薬品コード(National Drug Classification)(NDC)によれば、鎮痛薬は、以下の群:一般鎮痛薬、麻酔性鎮痛薬、非麻酔性鎮痛薬、抗関節炎薬、抗片頭痛/頭痛、中枢性疼痛症候群、NSAID、解熱薬、および抗月経痛製品に分類され得る。これらの分類は、麻酔性鎮痛薬、非麻酔性鎮痛薬、およびNSAIDで示されるより大きな鎮痛薬カテゴリーに統合され得る。
【0155】
本発明は、本明細書に記載のポリペプチドと、一般鎮痛薬、麻酔性鎮痛薬、非麻酔性鎮痛薬、抗関節炎薬、抗片頭痛/頭痛、中枢性疼痛症候群、NSAID、解熱薬および抗月経痛製品からなる群より選択される1種類以上の鎮痛剤との組合せを含む医薬製剤に関する。本発明はまた、本明細書に記載のポリペプチドと、麻酔性鎮痛薬、非麻酔性鎮痛薬およびNSAIDからなる群より選択される1種類以上の鎮痛薬との組合せを含む医薬製剤に関する。本発明はまた、被験体に、1種類以上の本明細書に記載の組成物および1種類以上の本明細書に記載された鎮痛薬(別々に、または同時製剤として、もしくは2種類の別々の製剤にて組合せてのいずれかで)を投与することを含む、疼痛(例えば、侵害受容疼痛、神経因性疼痛および特発性疼痛)に苦しんでいる被験体を処置する方法に関する。好ましくは、該ポリペプチドは、配列番号1〜14および50〜244の群、または配列
番号1〜2または配列番号1から選択されるアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。
【0156】
麻酔性鎮痛薬の例としては、限定されないが、アルフェンタニル;アリルプロジン;アルファプロジン;アミフェナゾール、アニレリジン、ベンゾイルヒドラゾン、ベンジルモルヒネ、ベンジトリアミド(Benzitramide)、ノル−ビナルトルフィミン、ブレマゾシン;ブプレモルヒネ(Bupremorphine);ブトルファノール(Stadol);クロニタゼン;コデイン;CTOP;シクラゾシン;DAMGO;デソモルヒネ;デキストロモルアミド;デゾシン;ジアンプロミド;ジヒドロコデイン;ジヒドロコデインエノールアセテート;ジヒドロモルヒネ;ジメノキサドール;ジメフェプタノール;ジメチルチアンブテン;ジオキサフェチルブチレート;ジピパノン;ジプレノツフィン;DPDPE;エプタゾシン;エトヘプタジン;エチルケトシクラゾシン;エチルメチルチアンブテン;エトニタゼン;エトルフィン;フェンタニル(Sublimaze、Duragesic);ヒドロコドン;ヒドロモルホン(Dilaudid);ヒドロキシペチジン;イソメタドン;ケトベミドン;レボルファノール;レバロルファン;ロフェンタニル;ロペルアミド;メペリジン(デメロール);メプタジノール;メタゾカイン;メタドン(Dolophine);メトポン;モルフィン(Roxanol);ミロフィン;ナルブフィン;ナルメフェン;ナロルフィン;ナロキソン;ナルトリンドール;ナルトレキソン;ナルセイン;ニコモルヒネ、ノルレボルファノール;ノルメタドン;ノルモルヒネ;ノルピパノン;オピウム;オキシコドン(OxyContin);オキシモルホン;パパベレタム;パパベリン;ペンタゾシン;フェナドキソン;フェナゾシン;フェノペリジン;ピミノジン;ピルトラミド(Pirtramide);プロプタジン;プロメドール;プロピラム;プロポキシフェン(Darvon);レミフェンタミル;スピラドリン;スフェンタニル;チリジン;U50,488;およびU69,593が挙げられる。一部の製品は、複合薬;コデイン/アセトアミノフェン(APAP;チレノール#3);ヒドロコドン/アセトアミノフェン(Vicodin);オキシコドン/ASA(Percodan);オキシコドン/APAP(Percocet);プロポキシフェン/ASA(Darvon Compound);プロポキシフェン/ナプシレート(Darvocet−N);ヒドロコドン/イブプロフェン(Vicoprofen);ペンタゾシン/ナロキソン(Talwin−Nx)である。
【0157】
非麻酔性鎮痛薬の例としては、限定されないが、アセトアミノフェン(パラセタノール;チレノール);アスピリン(アセチルサリチル酸;Anacin、Ascriptin、バイエル、バファリン、エコトリン、エキセドリン);アミノ安息香酸;カプサイシン(ZostrixおよびZostrix−HP);カルボアスピリンカルシウム;コリンおよびマグネシウムサリチル酸塩(CMT、Tricosal、Trilisate);コリンサリチル酸塩(Arthropan);エタネルセプト;フルプレドニゾロン;金チオマレイン酸ナトリウム;金チオ硫酸ナトリウム;ヒアルロン酸;サリチル酸ホモメチル;レフルノミド;サリチル酸マグネシウム(Arthritab、Bayer Select、Doan’s Pills、Magan、Mobidin、Mobogesic);メントール;トレキサート;オクチルサリチル酸塩;オキシフェンブタゾン;フェニルサリチル酸塩;フェニルブタゾン;プレドニゾロン;サリチルアミド;サルサレート(Amigesic、Anaflex 750、Disalcid、Marthritic;Mono−Gesic、Salflex、Salsitab);ヒアルロン酸ナトリウム;サリチル酸ナトリウム;o−アセチルサリシロイルクロライド;チオサリチル酸ナトリウム(Thiocyl);トラマドール;トライアムシナロン(Triamcinilone);トリエタノールアミンサリチル酸塩(Tiolamine);ゾメピラクが挙げられる。一部の製品、例えばエキセドリンは複合薬である(エキセドリンは、アセトアミノフェン、ASAおよびカフェインである)。他の非麻酔薬は、ガバペンチン(Neurontin);ラモトリジンならびに抗痙攣薬および三環系抗鬱薬、例えば、カルバマゼピン、プレガバリンおよびデュロキセチンなどである。
【0158】
NSAIDSの例としては、限定されないが、ブロムフェナクナトリウム;セレコキシブ(Celebrex);ジクロフェナクカリウム(Cataflam);ジクロフェナクナトリウム(Voltaren、Voltaren XR);ジクロフェナクナトリウムとミソプロストール(Arthrotec);ジフルニサール(Dolobid);エトドラク(Lodine、Lodine XL);エトドラク(Etadolac);フェノプロフェンカルシウム(Nalfon);フルルビプロフェン(Ansaid);イブプロフェン(Motrin、Advil、Nuprin);インドメタシン(Indocin、Indocin SR);ケトプロフェン(Actron、Orudis、Orudis KT、Oruvail);メクロフェナメートナトリウム(Meclomen);メフェナミン酸(Ponstel);メロキシカム(Mobic);ナブメトン(Relafen);ナプロキセン(Naprosyn、Naprelan、Alleve、Anaprox);オキサプロジン(Daypro);ピロキシカム(Feldene);ピロキシカム(Feldene);ロフェコキシブ(Vioxx);スリンダク(Clinoril);スプロフェン;トルメチンナトリウム(Tolectin);バルデコキシブ(Bextra)が挙げられる。
【0159】
さらにまた、疼痛を処置するために使用され得る種々の天然に存在するオピオイドおよび合成オピオイドが存在する。以下の表IIを参照のこと。
表II.オピオイドペプチドのリスト
【0160】
【表2−1】

【0161】
【表2−2】

上記のオピオイドのうち、β−エンドルフィン、エンケファリン、およびジノルフィンは、3つのヒト内因性オピオイドである。β−エンドルフィンは、主に、視床下部の弓状核および下垂体に見られ、これは、この群がエンケファリン(これは、該領域に存在しない)と識別される特徴である。エンケファリンは、メチオニン(methionoine)エンケファリン(met−エンケファリン)と、ロイシンエンケファリン(leu−エンケファリン)の2つの型に分類され得、それらの比は、それぞれ4:1である。これは、β−エンドルフィンよりも、脳内により広く分布しており、視床下部核、辺縁構造、新線条体、脳幹、後角(dorsal horn)の数層、末梢神経、および副腎髄質などのいくつかの領域に存在する。オピオイドのうちで最も強力なジノルフィンは、中枢および末梢神経系全体に見られる。いくつかの研究により、これが、脊髄レベルで疼痛を調節し、視床下部レベルで摂食行動に影響を及ぼし、他の内因性オピオイドとともに心臓血管系を調節する機能を果たすという理論が支持されている。また、ジノルフィンは、身体が痛みを知覚したときに起こる現象である腸運動の抑制に関与し得る。下垂体前葉内でのこのオピオイドに対する大きな前駆体の存在は、多くの周辺標的を有することを示す。ネオエンドルフィンと呼ばれる別のオピオイドもまた、ジノルフィン群に分類される。
【0162】
内因性オピオイド系は、神経増強(neuroaugmentation)と呼ばれる手法により慢性疼痛を処置するために使用されており、該手法は、内因性オピオイドの質および反応性を増大させるための脳の特定領域の電気刺激を伴う。部分的または完全な鎮痛が、神経増強により処置された患者において認められたが、重症の癌患者で観察された有効性のレベルはより低かった。脊髄刺激は、悪性腫瘍と関連しない慢性疼痛処置において成功裏であることがわかった。
【0163】
一部の実施形態において、本発明では、熱生成、先天性免疫機構、あるいは本明細書により詳細に記載された植物および/または動物におけるミトコンドリア活性を調節するための本明細書に記載の任意のオピオイド(天然に存在するもの、またはしないもののいずれか)の使用が想定される。
【0164】
2.温度調節
一態様において、本明細書に記載の組成物はまた、身体からの熱の流出および流入を調節することにより、動物または植物の体温を調節するために使用され得る。コア体温の上昇である発熱は最も一般的な体温調節変化であり、多くの場合、炎症および/または感染を伴う。植物および動物の両方における主な熱源の1つは、ミトコンドリアである。動物における別の主な熱源は、筋肉の収縮である。しかしながら、植物では、多くの場合、その主部/付属器官の温度を測定することは、生成される熱の量が相対的に少なく、環境への放熱の量が多いため、困難である。
【0165】
ヒトでは、疼痛を軽減するために使用されているオピオイドが、ヒトの体温調節とある程度関連している。特に、神経系と体温調節との関連性を示す証拠(Thermoregulation,Tenth International Symposium on
the Pharmacology of Thermoregulation.Blatteis CM,編,Annal.NY Acad.Sci.第813巻,1997)、より詳しくは、オピオイドペプチドと体温調節との関連性を示す証拠(Adler MWら,1988,Opioid System and Temperature Regulation,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.,第28巻:429−450)がいくつかある。
【0166】
一態様において、本発明は、ヒトにおける疼痛の処置に有用な鎮痛薬(例えば、オピオイドなど)はまた、植物における熱生成の調節するためにも使用され得るという驚くべき知見に関する。したがって、本発明は、植物(例えば、作物または開花植物)において熱生成を調節するための、例えば、(i)配列番号1〜244、248〜249、または配列番号1〜14および50〜244、または配列番号1〜2または配列番号1のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチド;(ii)任意の上記のポリペプチドをコードする核酸;ならびに(iii)任意の上記のポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む本明細書に記載の任意の組成物の使用に関する。
【0167】
かかる熱生成の調節は、例えば、種子および植物に対する凍霜害を予防するために使用され得る。また、植物の先天性免疫応答を増大させることができる(以下により詳細に論考する)。上記の使用は、植物または種子に任意の上記の組成物を農業用賦形剤とともに、噴霧、細流灌漑または他の灌漑、前記植物または種子の少なくとも一部分を前記組成物中に浸漬すること、前記植物または種子に前記組成物を少なくとも部分的にコーティングすることなどによって投与することによりなされ得る。別の実施形態では、任意の上記の組成物をコードする核酸配列が、その熱生成が調節されるように植物をトランスフェクトするために使用され得る。
【0168】
別の態様において、本発明は、植物および動物においてミトコンドリア活性を調節するために上記の組成物を使用する方法に関する。ミトコンドリア活性の調節は、植物および動物のミトコンドリア病を予防、処置または改善するために使用され得る。
【0169】
ミトコンドリア病の例としては、限定されないが、アルパーズ病(進行性乳児ポリオジストロフィ);ポリオジストロフィ(心筋症−好中球減少症候群);致死性乳児心筋症(LIC);β−酸化異常症;カルニチン欠損症および障害;慢性進行性外眼筋麻痺症症候群(CPEO);キーンズ・セイアー症候群(KSS);乳酸アシドーシス;レーバー遺伝性視神経障害(LHON);リー病(亜急性壊死性脳脊髄障害);長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(LCAD);ルフト病;中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD);ミトコンドリア細胞症;ミトコンドリア筋症、脳症、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作(MELAS);ミトコンドリア脳症(encephalopathy);ミトコンドリアミオパシー;マルチプルアシルCoA脱水素酵素欠損症(MAD);グルタル酸尿症II型;ミトコンドリアtRNA異常(MERRF);神経胃腸性ミトコンドリア脳筋症(myoneurogastointestinal disorder and encephalopathy)(MNGIE);運動支配障害(neuropathy ataxia and retinitis pigmentosa)(NARP);ピアソン症候群;ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症;ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症(PHD);ならびに短鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(SCAD)が挙げられる。
【0170】
ミトコンドリア病の他の例としては、呼吸鎖障害、例えば、複合体I:NADH デヒドロゲナーゼ(NADH−CoQレダクターゼ)欠損症;複合体II:コハク酸デヒドロゲナーゼ欠損症;複合体III:ユビキノン−シトクロムcオキシドレダクターゼ欠損症;複合体IV:シトクロムcオキシダーゼ(COX)欠損症;および複合体V:ATP シンターゼ欠損症などが挙げられる。
【0171】
一実施形態において、植物または動物などの有機体はミトコンドリア病の存在について、該有機体の遺伝子スクリーニングを行なうことにより診断され得る。一部の実施形態において、有機体の遺伝子DNAまたはミトコンドリアDNAが解析され得る。一部の実施形態において、有機体のRNA、mRNA、siRNAまたはcRNAが解析される。
【0172】
ミトコンドリア病を有するか、またはをミトコンドリア病を有し易い有機体には、次いで、該病気を調節、処置または予防するために、本明細書に開示された組成物の1種類以上が投与され得る。かかる組成物としては、限定されないが、(i)配列番号1〜14および50〜244からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそのアナログ、ホモログ、模倣物もしくは塩;(ii)配列番号1〜14および50〜244からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドの少なくとも一部分をコードする核酸配列;ならびに(iii)配列番号1〜14および50〜244からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体または抗体断片が挙げられる。
【0173】
3.炎症
急性および慢性の疼痛は、高頻度で、組織破壊、以上免疫反応性または神経損傷の結果としての炎症と関連する。
【0174】
一態様において、本明細書に記載の組成物はまた、有機体における炎症を処置、調節または予防するために使用され得る。炎症は、多種多様な外的または内的傷害、例えば、感染因子、身体損傷、低酸素状態、または身体内のほぼ任意の器官または組織における疾患過程などによるものであり得、以下の症状:赤み、発熱、圧痛/疼痛および腫脹の1つ以上を伴う。他の例は、本明細書に記載の組成物が、処置のために使用され得る炎症性疾患であり、関節リウマチ、炎症性腸疾患、強皮症、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、1型およびII型糖尿病、喘息、多発性硬化症、膿瘍、創傷、髄膜炎、脳炎、脈管炎、ならびに心臓血管疾患などが挙げられる。
【0175】
一世紀以上前にサリチル酸(SA)が抗炎症性化合物であることが見出され、後にアスピリン(ASA)が合成されて以来、いくつかの類型の構造的に多様な化合物が、ヒト炎症性障害の処置に利用可能となった。このような化合物は、集合的にNSAIDとして知られており、ASAと共通の抗炎症作用奏功機序を共有している。炎症は、今では、免疫系成分を損傷または感染の部位に指向させる免疫応答の一類型と認識されており、多くの疾患に対する主な誘因である。炎症は、創傷または損傷の部位に局在し得、全身性であり得る。最近の研究で、心臓血管疾患と炎症との関連性の可能性が示されている(例えば、炎症の分子マーカーであるC−反応性ポリペプチドのレベルが、将来的な冠状動脈性心臓病のインジケーターとしてのコレステロールレベルに匹敵(rank)する)。
【0176】
一態様において、本発明は、炎症状態の処置ための、例えば、(i)配列番号1〜151、またはより好ましくは配列番号1〜14、50〜244、248〜249、またはより好ましくは配列番号1〜2、またはより好ましくは配列番号1のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチド;(ii) 任意の上記のポリペプチドをコードする核酸;ならびに(iii)任意の上記のポリペプチドに特
異的に結合する抗体を含む本明細書に記載の組成物の使用に関する。
【0177】
一部の実施形態において、上記の組成物は、炎症を緩和する1種類以上の他の抗炎症剤との組合せで使用され得る。
【0178】
4.腫瘍性成長
細胞分裂および成長は、器官および組織の発達および修復に不可欠である。しかしながら、過剰または無制御な成長は、癌などの疾患の重要な原因である。内因性オピオイドペプチドは、免疫性および腫瘍成長の調節にある役割を果たしている。疼痛の処置における使用に加え、オピオイドは、正常組織および腫瘍性組織の成長の調節に重要であると思われる(Rasmussenら,2002,NEL.23:193−198)。例えば、内因性オピオイドの放出は、ラットにおいて1乳癌の成長を刺激することがわかっており、オピオイドレセプターアンタゴニストにより、この腫瘍の成長が縮小された(Balslevら,1989,Am.J.Path.,134:473−479)。別の例では、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)およびその酵素活性により生じるプロスタグランジンもまた、細胞成長およびヒト新生組織形成の進展の調節にある役割を果たすことが示された。証拠としては、ヒトおよび動物モデルにおけるCOX−2発現と癌発生の直接的な関係、COX−2の遺伝子操作後の腫瘍形成の増加、および動物モデルおよびヒトの一部の癌におけるNSAIDの有意な抗腫瘍性が挙げられる。またさらに、最近のデータにより、COX−2および誘導されるプロスタグランジンは、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR;TrifanおよびHla,2003,J.Cell.Mol.Med.7:207−222;Martinsgreenら,1994,Cancer Res.54:4334−4341)と称する一群の核レセプターを介する細胞の成長、アポトーシス、およびシグナルの制御に関与することが示された。
【0179】
したがって、本明細書に記載の任意の組成物はまた、異常細胞成長、特に癌の処置、予防または調節に使用され得る。
【0180】
本明細書に記載の組成物によって調節、処置または予防され得る癌の非限定的な例としては、限定されないが、乳癌、皮膚癌、骨の癌、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、脳の癌、咽頭の癌、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、頭部および頚部、結腸、胃、気管支、腎臓、基底細胞癌、潰瘍形成性および乳頭状の両方の型の扁平上皮癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、骨髄腫、巨細胞肉腫、小細胞肺腫瘍、胆石、ランゲルハンス島細胞腫瘍、原発脳腫瘍、急性および慢性リンパ性および顆粒球性腫瘍、ヘアリーセル白血病、腺腫、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、粘膜神経腫、腸の神経節細胞腫、増殖性角膜神経腫瘍、マルファン症候群様腫瘍、ウイルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋部腫瘍、子宮頚部形成異常および上皮内癌、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、軟組織肉腫、悪性カルチノイド、局所皮膚病変、菌状息肉腫、横紋筋肉腫、カポージ肉腫、骨原性および他の肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞癌、真性赤血球増加症、アデノ癌腫、多形性グリア芽細胞腫、白血病、リンパ腫、悪性黒色腫、類表皮癌、ならびに他の癌腫および肉腫が挙げられる。
【0181】
最も大きな類型の腫瘍は、外胚葉/内胚葉類型に分類される。この類型には、ヒト死亡の主要原因のもの(気管支原性癌、結腸腺癌、乳癌および前立腺癌)ならびに最も高頻度に起こる(が、通常、非致死性である)ヒト腫瘍(皮膚の扁平上皮癌および皮膚の基底細胞癌)が含まれる。他の腫瘍群は、中胚葉系統の腫瘍(あらゆる肉腫を含む)および神経外胚葉系統の腫瘍である。
【0182】
したがって、一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物(例えば、配列番号1)は、該病気を処置、調節または予防するために、癌を有しやすいか、癌を有する被験体に投与され得る。かかる組成物としては、炎症状態の処置のための、例えば、(i)配列番号1〜244、248〜249、またはより好ましくは配列番号1〜14および50〜244、またはより好ましくは配列番号1〜2、またはより好ましくは配列番号1のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチド;(ii)任意の上記のポリペプチドをコードする核酸;ならびに(iii)任意の上記のポリペプチドに特異的に結合する抗体が挙げられる。
【0183】
かかる組成物は、治療効果を増大させるため、1種類以上の抗腫瘍剤とともに投与され得るか、または1種類以上の抗腫瘍剤と同時製剤化され得る。
【0184】
抗腫瘍剤は、以下の一般的なカテゴリー:アルキル化剤、代謝拮抗物質、分裂抑制剤、抗腫瘍性抗生物質、ホルモン剤、およびその他に分類され得る。アルキル化剤の例は、ヒトにおいてホジキン病を処置するために使用される塩酸メクロレタミンである。代謝拮抗物質の例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼのインヒビターであるメトトレキサートである。分裂抑制剤の例は、パクリタキセルおよびドセタキセルである。抗腫瘍性抗生物質の例は、ミトキサントロン(アントラサイクリン系抗生物質と関連するアントラセンジオン)、ドキソルビシンおよびブレオマイシンである。ホルモン剤の例は、グルココルチコイドである。
【0185】
抗腫瘍剤のさらなる例としては、限定されないが、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(Amboマイシン);アメタントロン酢酸塩;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーセ;アスペリン;アザシチジン;アゼテパ(Azetepa);アゾトマイシン(Azotoマイシン);バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;ブレオマイシン硫酸塩;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カーベタイマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン(Carubicin)塩酸塩;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムバシル;シロレマイシン(Ciroleマイシン);シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;デカルバジン;デカチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;クエン酸塩ドロロキシフェン;プロピオン酸塩ドロモスタノロン;ドゥアゾマイシン(Duazoマイシン);エダトレキサート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン(Elsamitrucin);エンロプラチン;エンプロメート(Enpromate);エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール(Erbulozole);エソルビシン(Esorubicin)塩酸塩;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エチオダイズド油 I 131;エトポシド;エトポシドリン酸;エトプリン;ファドロゾール塩酸塩;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;Gold Au 198;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イモホシン;インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−nl;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン;イリノテカン塩酸塩;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;トリプロリド(Leuprolide)酢酸塩リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;メクロレタミン塩酸塩;メゲストロール酢酸塩;メレンゲストロール酢酸塩;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;マイトジリン;マイトマルシン(Mitomalcin);マイトマイシン;マイトスペル(Mitosper);マイトタン;ミトキサントロン塩酸塩;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシンマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;ペプロマイシン硫酸塩;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン塩酸塩;ピカマイシン;プロメスタン;ポルフィメルナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;プロマイシン;プロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセート(Sparfosate)ナトリウム;スパルソマイシンl、スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプロニグリン;ストレプロゾシン;塩化ストロンチウムSr 89;スロフェヌル(Sulofenur);タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフル;テロキサントロン塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾルリン;チラパザミン;トポテカン塩酸塩;クエン酸トレミフェン;トレストロン酢酸塩;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ツブロゾール塩酸塩;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;ビンブラスチン硫酸塩;ビンクリスチン硫酸塩;ビンデシン;ビンデシン硫酸塩;ビネピジン硫酸塩;ビングリシネート(Vinglycinate)硫酸塩;ビンレウロシン(Vinleurosine)硫酸塩;酒石酸ビノレルビン;ビンロシジン硫酸塩;ビンゾリジン硫酸塩;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;およびゾルビシン塩酸塩が挙げられる。
【0186】
5. 先天性免疫系
有機体は、自身を病原体の侵入から防御する生まれつき防御機構または先天性免疫系を有する。本明細書に記載の組成物はまた、ヒトおよび植物において病原体侵入(細菌、ウイルス、および真菌、作物の害虫など)を調節、予防および/または処置するために使用され得る。
【0187】
ヒトでは、皮膚、粘液、睫毛およびpHの障壁を越えて微生物はほとんどなく、通常、先天性免疫系によって排除される(これは、病原体が侵入すると直ちに開始される)。ファゴサイトーシスによって病原体が速やかに排除され得ない場合、炎症が誘導され、サイトカインおよび急性期ポリペプチドが合成される。この初期誘導応答は、抗原特異的ではない。炎症過程が病原体の排除において非成功裏である場合のみ、適応的免疫系が活性化される。
【0188】
植物もまた、病原体および他の非生物的ストレスに対する自己防御機構を有する(Cohenら,(2001)Curr.Opin.Immunol.13:55−62)。サリチル酸は、広域の広範な種々の病原体、例えば、真菌、細菌またはウイルスなど(例えば、細菌Pseudomonas syringaeおよびタバコモザイクウイルス(TMV)など)に対する抵抗性の誘導に重要な役割を果たす。従来の殺虫剤は、病原体を標的化するものであるが、ほとんどの非従来(nonconventional)の害虫駆除化学物質(殺生剤)は、遺伝物質または微生物いずれかの添加のいずれかによる病原体に対処する植物の能力を増大させる小分子の産生に基づくものである。
【0189】
したがって、一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、病原体(例えば、細菌、ウイルス、真菌、作物の害虫)に対する種子、植物(例えば、作物)または切断した植物の先天性免疫応答を増大させるために使用される。これにより、作物収穫低下の抑制が補助され得る。本明細書に記載の組成物によって抑制または低減され得る作物収穫低下がもたらされ得る状態の他の例としては、ストレス状態、例えば、干ばつ、凍結または温度の低下、および他の不利な環境状態(上記の温度調節の論考を参照のこと)などが挙げられる。
【0190】
本明細書に記載の組成物で処理され得る植物の例としては、栽培作物(plan)、例えば、小麦、大麦、ライムギ、オートムギ、米、サトウモロコシなど;アカザ科など、例えば、甜菜および飼料用ビート;ナシ状果および石果およびベリー類、例えば、リンゴ、洋ナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリーおよびブラックベリー;マメ科植物、例えば、豆、レンズ豆、エンドウ、大豆 豆;アブラナ科、例えば、セイヨウアブラナ、カラシナ、キャベツおよびカブウリ科、例えば、カボチャ、小キュウリ、メロン、キュウリ、スカッシュ;繊維性植物、例えば、綿花、亜麻、麻、黄麻;柑橘類 果実類、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン;野菜、例えば、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、粉砕ナッツ類;ニンジン、タマネギ、トマト、イモ、唐辛子および甘唐辛子;月桂樹様植物、例えば、アボカド、シナモン、クスノキ;あるいは、メイズ、タバコ、ナッツ類、コーヒー、サトウキビ、茶、つる草、ホップ、バナナ、ゴム植物、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、トウゴマ、ココアならびに観賞用植物、例えば、花、潅木、落葉樹および常緑樹、例えば、針葉樹などの植物が挙げられる。このリストは、本発明の例示の目的で示し、これに限定されない。
【0191】
したがって、一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、病原体侵入を予防または処置するために、植物または動物に投与され得る。かかる組成物としては、炎症状態の処置のための、例えば、(i)配列番号1〜244、248〜249、またはより好ましくは配列番号1〜14および50〜244、またはより好ましくは配列番号1〜2、またはより好ましくは配列番号1のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるポリペプチド;(ii)任意の上記のポリペプチドをコードする核酸;ならびに(iii)任意の上記のポリペプチドに特異的に結合する抗体が挙げられる。かかる組成物は、獣医学用賦形剤、医薬用賦形剤または農業用賦形剤をさらに含み得る。
【0192】
5.神経疾患
本明細書に記載の組成物によって調節、処置または予防され得る神経疾患および神経変性疾患の例としては、限定されないが、不安障害、恐慌性障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、対人恐怖(または社会不安障害)、恐怖症(specific phobia)、および全般性不安障害が挙げられる。また、任意の上記の状態は、他の状態、例えば、鬱病、薬物乱用、アルコール中毒症、エカルディ症候群、アルツハイマー病、健忘、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、無脳症、失語症、クモ膜炎、アルノルト‐キアーリ奇形、バッテン病、ベル麻痺、腕神経叢損傷、脳損傷、脳腫瘍、シャルコー‐マリー‐ツース病、ジストニー、脳炎、癲癇、本態性振せん、ギヤン‐バレー症候群、水頭症、多汗症、クラッベ病、白質萎縮症、髄膜炎、メビウス症候群、多発性硬化症、筋ジストロフィ、パーキンソン病、末梢神経障害、体位性起立頻脈症候群、進行性核上性麻痺、相貌失認、帯状疱疹、シャイ‐ドレーガー症候群、痙性斜頚、二分脊椎、脊髄性筋萎縮症、スティッフマン症候群、共感覚、脊髄空洞症、胸郭出口症候群、ツレット症候群、トキソプラスマ症、および三叉神経痛などに伴うか、またはこれらによって現れる。
【0193】
V.スクリーニングアッセイ
本明細書で用いる場合、用語「スクリーニングすること」は、本明細書に記載の組成物(例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる(またはこれらにコードされる)ポリペプチド、またはN末端にメチオニンを有する上記の任意のもの)の1種類以上を改変(例えば、統計学的に様式で増加または減少)させる薬剤が同定されるように設計されたアッセイの使用をいう。簡単には、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物を既知のポリペプチドと、候補薬剤の非存在下および存在下ならびに該ポリペプチドへの結合が起こるのに充分な条件および充分な時間接触させたときの、該ポリペプチドと本明細書に記載の組成物間の結合相互作用に対する該薬剤の効果を調べる。候補薬剤は、本明細書に記載された任意のパラメータを直接(例えば、リガンド結合部位での該ポリペプチドとの物理的接触によって)、または間接的に(例えば、該ポリペプチド内の1つ以上の近位または遠位部位との相互作用によって)改変し得、非限定的な理論に従って、記載されたパラメータは、リガンド結合部位以外、例えば電子移動またはUV吸光度との相互作用によって、または該ポリペプチドのコンホメーションが変化することによって改変され得る。一部の実施形態において、候補薬剤は、ペプチド、ポリペプチド、ポリペプチドまたは小分子であり得、ある特定の好ましい実施形態において、候補薬剤は、本明細書に記載の組成物の1種類以上の構造的模倣物であり得る。典型的には、およびハイスループットスクリーニング用などのより好ましい実施形態において、候補薬剤は、「ライブラリー」すなわち化合物、組成物もしくは分子の集合体として提供される。かかる分子は、典型的には、当該技術分野において「小分子」として知られ、10ダルトン未満、好ましくは10ダルトン未満の分子量を有する化合物を含む。例えば、試験化合物のライブラリーの構成員を、各々が本明細書に記載のポリペプチドの少なくとも1種類のホモログおよび本明細書に示した既知ポリペプチドを含有する複数の試料に投与し、次いで、上記のパラメータの少なくとも1つを改変するこれらの能力についてアッセイし得る。
【0194】
本発明は、(i)本明細書に記載の組成物による生物学的効果を改変する薬剤の同定、ならびに(ii)本明細書に記載の組成物と同様の機能を果たすペプチドおよびペプチド模倣物の同定における使用のための組成物、方法およびキットを提供する。
【0195】
上記ペプチドの1種類以上が、配列番号245〜247、250、253〜256と相互作用する小分子および他の化合物(例えば、抗体、ペプチド、ペプチド核酸および核酸)をスクリーニングするために使用され得る。かかる化合物のライブラリーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9,10、15、20、30、40、50、60または70個の本明細書に記載のポリペプチドを含み得る。
【0196】
候補薬剤は、さらに、コンビナトリアルライブラリーの構成員として提供され得、コンビナトリアルライブラリーは、好ましくは、複数の反応容器で行なわれる複数の所定の化学反応に従って調製された合成薬剤を含む。例えば、種々の出発化合物が、所与の構成成分が複数の順列および/または反応条件の組合せに追跡可能に供されるのを可能にする1種類以上の固相合成、記録ランダム(recorded random)混合方法論および記録反応スリット(split)手法を用いて調製され得る。得られる生成物は、ライブラリー(例えば、ペプチドの合成コンビナトリアルライブラリーなど)を構成し、これは、スクリーニングした後、選択および合成手順が反復され得る。当業者には、多様な種類のかかるライブラリーが、確立された手順に従って調製され、既知ポリペプチドを標的として用いて試験され得ることが認識されよう。
【0197】
ポリペプチドとそのコグネートリガンド間の結合相互作用を検出するための多種多様なアッセイ形式が当業者に知られている。例えば、HarlowおよびLane,1988
In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratoryを参照のこと。一実施形態において、ポリペプチドまたはポリペプチドを、リガンドと接触させる前に、固相支持体上に固定化させる。次いで、結合が、例えば、既知のリガンド相互作用部位もしくは該部分であると思われる部位で該ポリペプチドに特異的に結合する検出試薬(例えば、抗体もしくはその断片)を用いて、または該ポリペプチドの検出可能な部分(例えば、UV吸収部分の直接検出、もしくはアクセプター分子への電子移動の検出)を用いて検出され得る。
【0198】
固相支持体は、当業者に知られた任意の物質であり得る。例えば、固相支持体は、マイクロタイタープレート内の試験ウェルまたはニトロセルロースもしくは他の適当な膜であり得る。あるいはまた、支持体は、ビーズまたはディスク、例えば、ガラス、ガラス繊維、ラテックスまたはプラスチック材料(例えば、ポリスチレンもポリ塩化ビニル)などであり得る。ポリペプチドは固相支持体上に、当業者に知られた多種多様な手法(これらは、特許および科学文献に詳細に記載されている)を用いて固定化させ得る。本発明の文脈において、用語「固定化」は、非共有結合性の会合(例えば、吸着など)および共有結合(これは、薬剤と支持体上の官能基間の直接的な連結であってもよく、架橋剤を介した連結であってもよい)の両方をいう。マイクロタイタープレート内のウェルまたは膜への吸着による固定化が好ましい。かかる場合では、吸着は、適当なバッファー中で、結合性因子を固相支持体と適当な期間、接触させることによりなされ得る。
【0199】
結合は、一般的に溶液条件下で、結合リガンドが検出されるのに充分な期間行なわせる。適切な期間は、一般的に、ある期間で起こった結合のレベルをアッセイすることにより決定され得る。本発明のポリペプチドと候補レセプター剤との相互作用を可能にするのに充分な条件下で充分な時間インキュベートした後、リガンドレセプター結合のレベルを検出し、本発明のポリペプチドの存在下および非存在下で結合のレベルと比較する。
【0200】
例えば、競合的リガンド結合に適当な時間後、未結合リガンドを除去し、結合リガンドを、連結されたレポーター基またはレポーター基を含む独立した検出可能なマーカーを用いて検出する。結合の検出に用いる方法は、用いるレポーター基の性状に依存する。電子移動が検出される場合、蛍光もしくは比色または他の手法が使用され得る。放射計によるリガンド結合(または、例えば、配列番号1〜244、248〜249のアミノ酸配列を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる(またはこれらにコードされる)ポリペプチド、またはN末端にメチオニンを有する上記の任意のもの、または放射性基を含む検出可能に標識されたリガンドの結合部位の候補薬剤による競合的阻害)の定量には、シンチレーションカウンティングまたはオートラジオグラフィー法が一般的に好適である。分光法を用いて、色素、発光基および蛍光基を検出してよい。ビオチンは、異なるレポーター基(通常、放射性基または蛍光基または酵素)にカップリングさせたアビジンを用いて検出され得る。酵素レポーター基は、一般的に、基質の添加(一般的に、ある一定期間)後、反応生成物の分光または他の解析によって検出され得る。
【0201】
本発明のポリペプチドおよび/または本発明のポリペプチドを含むポリペプチド複合体に結合する薬剤は、その天然レセプターに対する該ポリペプチドの結合において、検出可能な減少または増加をもたらし得る。かかる改変されたリガンド−レセプター結合レベルは、レセプターへの結合の統計学的に有意な増加または減少によって検出され得る。リガンド−レセプター結合を妨げるかかる薬剤は、本明細書に記載の組成物のインヒビターとして使用され得る。
【0202】
上記ペプチドの1種類以上が、配列番号245〜247、250、253〜256と相互作用する小分子および他の化合物(例えば、抗体、ペプチド、ペプチド核酸および核酸)をスクリーニングするために使用され得る。かかる化合物のライブラリーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60または70個の本明細書に記載のポリペプチドを含み得る。
【0203】
本発明は、ファージディスプレイペプチドライブラリーにおける使用のための組成物、方法およびキットを提供し、ここで、配列番号1〜244、248〜249のペプチドのバリアントのライブラリーがファージビリオンの外側で発現され、各バリアントをコードするDNAはウイルス内部に存在する。これにより、各バリアントタンパク質配列とこれをコードするDNA間の物理的関連性がもたらされ、パンニング(Whaleyら,2000,Nature 405:665−668)と呼ばれるインビトロ選択プロセスによって、所与の標的分子(抗体、酵素、細胞表面レセプターなど)に対する結合親和性に基づく迅速な群分離(partitioning)が可能になる。
【0204】
本発明はまた、ミトコンドリア病および代謝病、例えば、疼痛、炎症、発熱、アルツハイマー病および任意の他の本明細書に記載した疾患の処置のためのリード化合物を同定するための方法を提供する。かかる方法は、候補薬剤による体温調節活性の試験のために発熱植物の使用を伴う。発熱植物の例としては、例えば、Sauromatum guttatum、サトイモ科の構成員、Amorphophallus konjac、Arum italicum、A.dioscoridis、Dracunculus vulgaris;ハス(Nelumbonaceae)、月下美人(Aristolochiaceae)、ヤシ(Arecaceae and Cyclanthaceae)、カスタードアップル(Annonaceae)、モクレン(Magnoliaceae)、Illicium(Illiciaceae)、Rafflesia(Rafflesiaceae)、winter’s bark(Winteraceae)およびソテツ(Cycadaceae)が挙げられる。
【0205】
一例では、Sauromatum guttatumを実験モジュールとして用いると、開花の日に、Sauromatumの付属器官(20〜40cm長、細長い器官)は昇温し、温度32℃に達する(Skubatzら,1991,Plant Physiol.95:1084−1088)。付属器官で生成された熱は、ミトコンドリアによって生成されたものである。このミトコンドリア活性は、フェノール系化合物(限定されないが、サリチル酸、アスピリンおよび2,6−ジヒドロキシ安息香酸などが挙げられる)の添加によって誘発され得る。試験薬剤は、植物に適用され得、植物の温度はインビボでモニターされ得る。
【0206】
植物が生成する熱を調節(module)モジュール(増加、減少、維持または縮小)し得る試験薬剤(例えば、ポリペプチド、例えば、本明細書に開示されたものなど)は、代謝病を処置/調節するその能力を試験するための動物モデルにおいて、リード化合物として使用され得る。一部の実施形態において、試験化合物の小分子または模倣物を植物に適用する。次いで、試験薬剤(例えば、ポリペプチドなど)と同じ効果を有する小分子または模倣物が、動物モデルにおいて代謝病を処置/調節するその能力について試験され得る。一部の実施形態において、かかる試験化合物は、アゴニスト、アンタゴニストおよび/またはミトコンドリア活性の他のモジュレーターである。
【0207】
投与
本明細書に記載の組成物(製剤を含む)は、当該技術分野で知られた任意の手段によって、植物または動物に対して全身または局所に投与され得る。例えば、ヒトなどの動物には、本明細書に記載の組成物は、非経口(これには、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、海綿内(intracavernously)、髄腔内(intrathecally)、および子宮内が含まれる)、頭蓋内、眼窩内、関節包内、脊椎内、槽内(intracistemally)、肺内(吸入によって)、経口、静脈内、動脈内、骨髄内、髄腔内、脳室内、外耳内(intrameatally)、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸的、膣内、舌下または経直腸で投与され得る。好ましくは、本明細書に記載の組成物は動物に、局所、皮下または静脈内に投与される。一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物/製剤は、挿入物(1つまたは複数)、ビーズ(1つまたは複数)、徐放製剤(1つまたは複数)、パッチ(1つまたは複数)または高速放出製剤(1つまたは複数)を用いて投与される。
【0208】
植物では、本明細書に記載の組成物は、任意の当該技術分野で知られた方法、例えば、限定されないが、噴霧、細流灌漑または他の灌漑、前記植物または種子の少なくとも一部分を前記組成物中に浸漬すること、前記植物または種子に前記組成物を少なくとも部分的にコーティングすることなどによって投与され得る。別の実施形態では、任意の上記の組成物をコードする核酸配列が、その熱生成が調節されるように植物をトランスフェクトするために使用され得る。
【0209】
本明細書に記載の組成物/製剤は、好ましくは、有効用量で投与される。当業者には、投与の回数、頻度および持続期間が宿主の応答性に依存性であることは明白にわかる。
【0210】
治療用送達では、約0.01μg/kg〜約1000mg/kg体重の濃度の薬剤が、典型的には皮内、皮下、筋肉内もしくは静脈内経路、または他の経路によって投与され得る。好ましい投薬量は、約1μg/kg〜約1000mg/kg、または約5μg/kg〜約500mg/kg、または約10μg/kg〜約100mg/kgである。
【0211】
農業用送達では、薬剤は、農業的治療的に有効である濃度、例えば、約50〜3000グラム/ヘクタール、好ましくは約50〜1500グラム/ヘクタール、より好ましくは約150〜300グラム/ヘクタールで投与され得る。組成物が100%活性成分で構成されていると仮定すると、一般に、主題の組成物の使用量は、種子の重量約0.005%〜約25%、より好ましくは種子の重量の約0.01%〜約10%の範囲である。また別の実施形態では、主題の組成物の使用量は、種子の重量に対して活性成分が0.01%〜約1%または0.05%〜約0.5%の範囲内である。
【実施例】
【0212】
実施例1
合計40匹の雄Sprague Dawleyラット(Harlan Sprague
Dawley Inc.,Indianapolis,Indiana,USA)を、該試験に用いた。ラットは、特定病原体を有さず、到着時はおよそ250グラムのものである。ラットを、飼育器の透明なポリカーボネートプラスチックケージ(48×27×20 cm)内に、2匹ラット/ケージで外科処置の数日前まで収容し、この時点から、残りの試験手順では、これらを個々に収容した。寝わら材料は、放射線照射したトウモロコシの穂軸の寝わらとし(Bed−O−Cob,The Andersons,Maumee,Ohio,USA)、これは、毎週交換した。ラットは、実験手順の開始前に2週間馴化させた。試験全体を通してラットを収容した部屋にはHEPA濾過空気を、1時間あたろ10〜15回の空気交換の割合で供給した。温度は18〜26℃に維持し、相対湿度30〜70%とした。照明は、床面から1m上方におよそ300ルーメン/mで12時間明/暗サイクルとする。ラットは、認定された楕円型齧歯類用飼料ペレットPicolab Rodent Diet 20(PMI Feeds Inc.,Richmond,Indiana,USA)および脱イオン水に随意に接近可能とした。
【0213】
すべてのラットに吸入麻酔剤(イソフルラン)で麻酔した。無菌的外科処置のために、足の足底面を清拭し、プレプ処理した。動物を、腹を横にして(ventral recumbancy)置いた。1〜246cmの縦切開を、#11ブレードにより足の足底面の皮膚および筋膜に、踵の近位端から0.5cmからつま先に向かって行なった。足底筋を上げ、縦方向に切開した。この筋肉の起源および挿入はインタクトなままとした。所望により、止血のため、軽く圧力を負荷した。縫合材料で皮膚を閉鎖し、創傷部位を抗生物質軟膏で3回(triple)被覆した。ラットをケージ内で、充分な可動性が戻るまで回復させた。
【0214】
外科処置後第1日および際3日に、動物に適切な試験化合物または対照化合物(表III)を投与した。
表III.ラットにおける術後疼痛に対する配列番号1の鎮痛特性の第1試験の処置群
【0215】
【表3−1】

【0216】
【表3−2】

外科処置後第1日および際3日に、ラットを機械的異痛に関するVon Frey試験に供した。触覚感度(すなわち、機械的異痛)は、患部四肢の足底表面に接触させた較正フィラメント(calibrated filament)を用いて測定した。
【0217】
手順としては、ラットを、ワイヤメッシュ底を有するプラスチックケージ内に入れ、5〜10分間馴化させた。いったん動物が安定したら、右後ろ足の足底表面を2.0gのvon Freyフィラメントと接触させた。最初に選択したフィラメントに対する足の引っ込め応答がない場合、より強い刺激を提示し、足を引っ込めた場合は、次に弱い刺激を選択した。このようにして得られた陽性応答および陰性応答のパターンを用い、足の引っ込め閾値を調べた。
【0218】
図1。データは、ワンウェイ(one−way)ANOVAの後、Newman−Keulsの多重比較を用いて解析した。統計学的有意性はp<0.05とした。配列番号1は、疼痛を有意に低減できたことを示す。略号:TA,試験物質(これは配列番号1である);sderm,皮下注射;top,局所適用;veh,ビヒクル;surg,外科処置;morph,モルヒネ。ラットは、リラックスしており、不安が少ないようであった。
【0219】
実施例2
第2の独立した試験では、ラットに配列番号1を、異なる3通りの濃度:1、15および50mg/kgで与えた場合で、ラットの後ろ足の引っ込め感度を外科処置の3時間および3日後に再度評価した。投与経路は、創傷部位近傍に皮下注射とした。ラットには、外科処置の3時間後および外科処置後第3日に1回投与し、第3群には、表IVに記載のとおりに再度投与した。疼痛の測定は薬物適用の15〜20分後に行なった。ベースライン疼痛挙動を、以下のようにして測定した。機械的刺激に対する引っ込め応答を、プラスチックメッシュ床内の開口部(12X12 mm)を介してケージの下方から、対象切開部近傍の領域に適用したvon Freyフィラメントを用いて測定した。各von Freyフィラメント(0.008g〜300gの目標力)は、0.008gフィラメントで開始して1回適用し、引っ込め応答が起こるか、または300gの力に達するまで継続した。応答をもたらすメジアン力(3回の試験で測定し、10分間の期間で得た)を引っ込め閾値とした。
【0220】
図2は、引っ込め結果が、配列番号1が外科処置3時間後に鎮痛作用を有することを示すことを示す。生理食塩水で処置した動物(対照)では、外科処置3時間後は25.1、4.4および12.7gであり、これは、外科処置直後の有意な疼痛過敏応答と、これが第3日までに消退することを示す。50および15mg/kg用量の配列番号1で皮下に処置された動物では、投与前応答、外科処置前応答は30.2および28.1gであり、これは、生理食塩水処置群と同等であり、3つのすべての群における疼痛応答の一様性を示す。第1日に50mg/kgの配列番号1を投与したものでの引っ込め応答は9.9gであったのに対し、生理食塩水群では同じ時点で4.4gであり、125%効果を示す。平均±SEで示したデータを、ANOVAの後、Tukey−HSD多重比較検定を用いて解析した。統計学的有意性はp<0.05とした。
【0221】
図3の引っ込め結果は、配列番号1が外科処置後第3日に鎮痛特性を有することを示す。さらなる投与をなんら受けなかったこの群は、それぞれの時点の生理食塩水群と比べて、第3日の時点で応答の31%増大を示した。外科処置後第1日に1mg/kgのNPL/PA2を投与した動物の群では、外科処置3時間後の測定値は疼痛閾値の39%増加を示した。第3日目、これらの動物に15.25mg/kgの配列番号1を皮下に投与した場合、引っ込め応答は21.3gであったのに対し、生理食塩水群の引っ込め応答が12.7gのときであり、68%増加を構成した。平均±SEで示したデータを、ANOVAの後、Tukey−HSD多重比較検定を用いて解析した。統計学的有意性はp<0.05とした。
【0222】
表IV.ラットにおける術後疼痛に対する配列番号1の鎮痛特性の第1試験の処置群
【0223】
【表4】

実施例3
両脚の脛骨および腓骨の両方に対する多発性骨折および重度の外傷性軟組織損傷の結果として慢性疼痛苦しんでいる男性成人被験体に、配列番号1のポリペプチドを含有する組成物を、疼痛を感じる領域(ほとんどの場合、膝および足首)に局所投与した。投与した医薬製剤は、0.01% Silwet L−77中5μMの配列番号1で構成されるものであった。軽減は、約5μg/10cm2の単回用量の配列番号1の投与後15以内に認められた。軽減は、1週間より長く持続した。1〜10の等級スコアを用いて処置の有効性を評価し、ここで、スコア10は、激しい疼痛不快症状および完全な補講不能を有する患者を表した。等級スコア1は、疼痛を感じず、自由に歩行できるか、または脚を動かすことができる患者を表した。処置前、患者は、慢性疼痛および長距離歩行の困難を表すスコア8〜9を有した。処置後、患者は、疼痛の有意な低減を表すスコア2〜3を有した。処置有効性は約10日間持続した。
【0224】
実施例4
図4は、種々のオピオイドペプチドおよびアルツハイマーペプチドAβ1−42の存在下、Sauromatum guttatumの付属器官においてアスピリン(ASA)によって生成された熱の調節を示す。熱生成の1日前、該付属器官の切片を、ASAをオピオイドペプチドとともにまたは無しで含有する異なる水性液中に入れた。[Leu]−エンケファリン、配列番号15;ヒトβ−エンドルフィン;配列番号19;ジノルフィンA、配列番号21;エンドモルフィン2、配列番号24;神経ペプチドAF、配列番号44;β−ヒト−カソモルフィン、配列番号47;アルツハイマーペプチド、配列番号49。該付属器官の切片を蒸留水中に入れ、熱を生成しなかったものを対照(9)とする。温度を、該切片に取り付けた熱電対により5分毎に記録した。Y軸は、周囲より高い付属器官の温度であり、x軸は日数を示す。この図は、オピオイドペプチドおよび神経毒性アルツハイマーペプチドAβ1−42が、植物および動物において熱生成(thermogenicity)を調節し得、ミトコンドリアのモジュレーターとして作用し得ることを示す。
【0225】
実施例5
図5は、ヒトオピオイドペプチド(β−エンドルフィン、配列番号19および神経ペプチドAF、配列番号44)ならびにアルツハイマーペプチドAβ1−42、配列番号49、ならびに植物ビルレント細菌病原体(Pst DC3000)の存在下、サリチル酸(SA)によって生成された熱の調節を示す。熱生成の1日前、該付属器官の切片を、サリチル酸(SA)をペプチドとともにもしくは無しで、または細菌植物病原体Pseudomonas syringae pv.Tomato,DC3000とともに含有する異なる水性液中に入れた。該付属器官の切片を蒸留水中に入れ、熱を生成しなかったものを対照(水)とする。温度を、該切片に取り付けた熱電対により5分毎に記録した。Y軸は、周囲より高い付属器官の温度であり、x軸は日数を示す。この図は、これらのペプチドが、植物および動物において熱生成を調節し、ミトコンドリアのモジュレーターとして作用することを示す。
【0226】
実施例6
図6は、アルツハイマーペプチドAβ1−42配列番号49およびSauromatum guttatutnの付属器官の配列由来の植物遺伝子の存在下、2,6−ジヒドロキシ安息香酸によって生成された熱の調節を示す。熱生成の1日前、該付属器官の切片を、2,6−ジヒドロキシ安息香酸(2,6−DHBA)を配列番号2(FLPSEFGNDVDR)および配列番号51とともにまたは無しで含有する異なる溶液中に入れた。熱生成を、該切片に取り付けた熱電対によりモニターした。切片を蒸留水中に入れ、熱を生成しなかったものを対照(水)とする。Y軸は、周囲より高い付属器官の温度であり、x軸は日数を示す。温度を5分毎に記録した。またさらに、第2の実験において、50μMまでの配列番号2の適用では熱は生成されなかった(データ示さず)。この図は、これらのペプチドが、植物および動物において熱生成を調節し、ミトコンドリアのモジュレーターとして作用することを示す。
【0227】
実施例7
植物シロイヌナズナへの0.01% Silwet L−77中10μmの配列番号1の投与により、早期の開花および豊富な花とつぼみが誘導される。
【0228】
実施例8
Arabidopsis ecotype Columbia(Col−0)の種子を鉢植えの土に植えた。植物を、10時間昼(200μmol m−2−1、22℃)および14時間夜(18℃)サイクルならびに80%RHの成長室内で育成させた。1週間に1回、植物に水および改良ホーグランド栄養液1/2倍:2mM KNO 5 mM Ca(NOおよび微量元素(pH7)を与えた。
【0229】
ビルレントな植物病原体Pst Pseudomonas syringae pv Tomato,DC3000を、28℃にて、40mg/Lのテトラサイクリンを含有するキング培地B上で成長させた。播種の5週間後、植物に1×10cfu/mlの該病原体(0.01% Silwet L77(v/v)(界面活性剤)および蒸留水中)をイノキュレートし、次いで、細菌懸濁液または対照溶液(水中0.01% Silwet
L77)を植物に1回噴霧した。
【0230】
Arabidopsisの疾患状態は水溶性であり、病変は蔓延しており、場合によっては、退縁(chlorotic margin)によって囲まれており、これは最終的に、収量低下および植物の死をもたらす。
【0231】
配列番号15の有効性を試験するため、一部の健全植物一部の疾患植物にはサリチル酸(0.01%.Silwet L77中)を噴霧し、一部の健全植物一部の疾患植物には配列番号15(0.01%.Silwet L77中)を噴霧し、一部の健全植物一部の疾患植物には、サリチル酸と配列番号15との組合せ(0.01%.Silwet L77中)を噴霧した。対照群の一部の健全植物一部の疾患植物には、水(0.01%.Silwet L77中)を噴霧した。
【0232】
植物の症状を、感染した葉の割合および感染の重篤度によって分類した。
【0233】
1mMの濃度の20μlのサリチル酸および20μlの配列番号15の葉への適用が、該ビルレント細菌濃度に対する全体抵抗性を誘発するのに充分であることがわかった。
表V.配列表
【0234】
【表5−1】

【0235】
【表5−2】

【0236】
【表5−3】

【0237】
【表5−4】

【0238】
【表5−5】

【0239】
【表5−6】

【0240】
【表5−7】

【0241】
【表5−8】


(配列表)
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【数9】

【数10】

【数11】

【数12】

【数13】

【数14】

【数15】

【数16】

【数17】

【数18】

【数19】

【数20】

【数21】

【数22】

【数23】

【数24】

【数25】

【数26】

【数27】

【数28】

【数29】

【数30】

【数31】

【数32】

【数33】

【数34】

【数35】

【数36】

【数37】

【数38】

【数39】

【数40】

【数41】

【数42】

【数43】

【数44】

【数45】

【数46】

【数47】

【数48】

【数49】

【数50】

【数51】

【数52】

【数53】

【数54】

【数55】

【数56】

【数57】

【数58】

【数59】

【数60】

【数61】

【数62】

【数63】

【数64】

【数65】

【数66】

【数67】

【数68】

【数69】

【数70】

【数71】

【数72】

【数73】

【数74】

【数75】

【数76】

【数77】

【数78】

【数79】

【数80】

【数81】

【数82】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−252027(P2011−252027A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−201113(P2011−201113)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【分割の表示】特願2007−543505(P2007−543505)の分割
【原出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(507249111)ネオプロ ラブス, エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】