説明

現像剤担持体及び画像形成方法

【課題】 画像濃度低下・ゴースト・飛び散り・白スジ・ブロッチ・ベタ白かぶりといった画質不良の発生しない高品質の画像を、長期に亘って得ることができる現像剤担持体を提供することにある。
【解決手段】 現像容器9内に収容されたトナー10を現像剤担持体14上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材8によりトナーの薄層を形成しながら、潜像担持体7と対向する現像領域Dへと搬送し、該潜像担持体上の潜像をトナーにより現像し、可視像化する現像装置に用いられる現像剤担持体において、該現像剤担持体は、基体12及び該基体上に設けられた被覆層13を有し、該被覆層は少なくとも、荷電制御材と導電性硼素化合物とを含有する樹脂組成物により形成されたものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術】本発明は、電子写真感光体、或いは静電記録誘導体等の像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化する為の現像装置に用いられる現像剤担持体、及び該現像剤担持体を用いる画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば像担持体としての感光ドラム表面に形成した静電潜像を一成分系の現像剤のトナーによって現像化する現像装置には、トナー粒子相互の摩擦、現像剤担持体としての現像スリーブとトナー粒子との摩擦、及び現像スリーブ上のトナー塗布量を規制する部材とトナー粒子との摩擦により、トナー粒子に正或いは負の電荷を与え、このトナーを現像スリーブ上に極めて薄く塗布して感光ドラムと現像スリーブとが対向した現像領域に搬送し、現像領域においてトナーを感光ドラム表面の静電潜像に飛翔・付着して現像し、静電潜像をトナー像として顕像化するものが知られている。
【0003】上述の方式の現像に用いられる現像剤担持体としては、例えば金属、その合金又はその化合物を円筒状に成型し、その表面を電解・ブラスト・ヤスリ等で所定の表面粗度になるように処理したものが用いられる。しかしこの場合、規制部材によって現像剤担持体表面に形成される現像剤層中の現像剤担持体表面近傍に存在する現像剤は非常に高い電荷を有することとなり、担持体表面に鏡映力により強烈に引きつけられてしまい、これによりトナーと担持体との摩擦機会が持てなくなるため、現像剤は好適な電荷を持てなくなる。このような状況下では、十分な現像及び転写は行われず、画像濃度ムラや文字飛び散り等の多い画像となってしまう。
【0004】また、近年では省エネのための現像剤の低温定着化及び高精細画像形成のための小粒径化が望まれているため、このような機種においては上記方法では不十分である。例えば現像剤の低温定着化のため、現像剤のTgをより低目に設定したり、ワックスなどの低融点物質を多目に添加したりする傾向にあるため、本体の昇温等に影響され、現像剤が現像剤担持体上に融着しやすくなり、その結果画像濃度低下・白筋・ブロッチ等が発生する。また、特開平1−112253号公報や特開平2−284158号公報等には、高画質化・高精細化のために粒径の小さいトナーを用いることが提案されている。このような粒径の小さいトナーでは単位質量当りの表面積が大きくなるため、表面電荷が大きくなりやすく、所謂チャージアップ現象によりトナーが現像剤担持体に固着し、その結果新たに現像剤担持体上に供給された現像剤が帯電されにくくなり、現像剤の帯電量が不均一となりやすく、画像上にスリーブゴーストが発生しやすくベタやハーフトーンなどの画像がスジ状画像、モヤ状画像など不均一になりやすい。
【0005】このような過剰な電荷を有する現像剤の発生や現像剤の強固な付着を防止するため、樹脂中にカーボン、グラファイトの如き導電性物質や固体潤滑剤を分散させた被膜を上記現像剤担持体上に形成する方法が特開平1−277256号公報や特開平3−36570号公報等に提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、現像装置中のトナーの過剰帯電を防止し、かつトナーを帯電安定に保持させ、また現像剤担持体上への融着が発生しにくく、それらの結果から生じる画像濃度低下・白筋・ブロッチ・飛び散り等が起こりにくい現像剤担持体及びそれを用いた画像形成方法を提供することである。
【0007】本発明の目的は、高温高湿下・常温低湿下においても良好な画像が得られる現像剤担持体及びそれを用いた画像形成方法を提供することである。
【0008】本発明の目的は、長期耐久においても安定な画像が得られる現像剤担持体及びそれを用いた画像形成方法を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、スリーブゴーストをなくすことのできる現像剤担持体及びそれを用いた画像形成方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の手段により達成される。
【0011】即ち、本発明は、現像容器内に収容されたトナーを現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材によりトナーの薄層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像をトナーにより現像し、可視像化する現像装置に用いられる現像剤担持体において、該現像剤担持体は、基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は少なくとも、荷電制御材と有機硼素化合物とを含有する樹脂組成物により形成されたものであることを特徴とする現像剤担持体に関する。
【0012】また、本発明は、現像容器内に収容されたトナーを現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材によりトナーの薄層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像をトナーにより現像し、トナー画像を形成する現像工程;該静電潜像保持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を用いて、または用いずに記録材に転写する転写工程;及び、該記録材に転写されたトナー画像を加熱定着手段により該記録材に加熱定着する定着工程;を有する画像形成方法において、該現像剤担持体として、上記構成の現像剤担持体を用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の一例を図1に示しながら基本構成と作用を説明する。被膜層1は、荷電制御材を含有する結着樹脂3、導電性硼素化合物4(具体的図示は不可能)を少なくとも含有し、場合によっては導電性微粒子2、或いは固体潤滑材5を含有し、円筒状基体6上に被覆されている。
【0014】本発明に用いられる導電性硼素化合物は、電子伝導性を示すことから、トナーへの過剰帯電を防ぎ、常温低湿はもとより、高温高湿下でも安定した画質を提供することができる。また潤滑性も持っているので、トナーの、現像剤担持体上での滑り性が良くなり、トナーの現像剤担持体表面への融着を防ぐことができる。更には該被覆層に含有する荷電制御材と併用することで、トナーへの帯電付与の微調整が可能となるので、常温低湿下・高温高湿下においても良好な画像を提供することが可能となる。
【0015】このような電子伝導性を示す導電性硼素化合物について、本発明者らが検討を行なった結果、含窒素電荷移動錯体型ポリ硼素化合物が、本発明の画像形成装置に用いる現像剤担持体を製造するにあたって好ましいことが分かった。
【0016】「含窒素電荷移動錯体型ポリ硼素化合物」とは、下記一般式(4)で示される原子団を含むポリ硼素化合物と、塩基性窒素を含む化合物との電荷移動錯体であり、その導電機構は、構造式(1)に示すように、半極性結合をなす硼素と塩基性窒素とが結合することによってイオン対が形成され、生じた水素イオンが硼素と窒素の双方に結合を残す形で移動するために共鳴構造を呈し、高分子鎖全体の中で複数の電子の動きをもたらすという、電子導電によるものと考えられる。つまり、該化合物は、大気中の水分を吸着して導電性を発現する従来の界面活性剤型帯電防止剤等とは導電機構が異なるため、使用環境によらず安定した抵抗値を示すものである。
【0017】
【化9】


【0018】
【化10】


【0019】なお、塩基性窒素を含む化合物としては、特に限定されるものではないが、アミン、特に3級アミンとした場合、電荷移動錯体の安定性が増して好ましい。
【0020】半極性結合を持つポリ硼素化合物は多数考えられるが、特に好ましい例としては、下記一般式(1)に示す原子団を有するポリ硼素化合物が挙げられる。
【0021】
【化11】


(式中、R1,R2,R3及びR4は、同一あるいは異なって、水素、アルキル基、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、nは0または1である。)
【0022】該化合物においては、硼素原子の周りに存在する4つの酸素原子が、硼素原子をより安定化させている。その結果、上記共鳴機構に基づく導電性がより向上するという効果を有している。
【0023】また、更に好ましい例としては、下記一般式(2)で示される半極性有機硼素高分子化合物の少なくとも1種と、ヒドロキシル基を少なくとも1個有する3級アミンの少なくとも1種との、硼素原子1個に対して塩基性窒素原子1個の割合の反応生成物が挙げられる。
【0024】
【化12】


[式中、qは0または1で、q=1のとき、Wは−(X)l−(Y)m−(Z)n−{ただし、X及びZは1個の末端エーテル残基をもつ含酸素炭化水素基、
【化13】


(R及びR’は炭化水素基)であり、l、m及びnは0または1である。}であり、R1,R2及びR3は炭化水素基で、R1,R2及びR3のうち少なくとも1つはヒドロキシル基置換炭化水素基であり、pは10〜1000である。]
【0025】該化合物においては、硼素原子の周りに存在する4つの酸素原子が硼素原子をより安定化させているのに加えて、3級アミンに含まれるヒドロキシル基が、電荷移動錯体間を水素結合によってつなぐことが可能となるために、導電性が更に向上するという効果を有している。また、q=1の場合には、エーテル基及びカルボキシル基が存在することにより、ゴム、エラストマー、樹脂との相溶性がいっそう向上して好ましい。
【0026】一方、ここで用いられている該基体表面を被覆する被膜層は、トナーを良好に帯電させるため、荷電制御材を結着樹脂中に分散させた構成をとっている。
【0027】具体的に言うと、結着樹脂としては、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如きの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱あるいは光硬化性樹脂;といった一般的な結着樹脂を使用することができる。
【0028】一方、該被覆層に含有される荷電制御材としては一般に負荷電制御材としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。このうち、下記一般式(3)で示される未置換又は置換基を有するベンジル酸の金属化合物が、負荷電性制御材の中では、好適に用いられる。
【0029】
【化14】


(式中、R1とR2は同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖または分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。)
【0030】正荷電制御材としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のシオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のシオルガノスズボレート類;、或いは含窒素複素環化合物類、例えばイミダゾール、イミダリン、イミダゾロン、ピラゾリン、ピラゾール、ピラゾロン、オキサゾリン、オキサゾール、オキサゾロン、チアゾリン、チアゾール、チアゾロン、セレナゾリン、セレナゾール、セレナゾロン、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾセレナゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、オキサジン、チアジン、テトラジン、ポリアザイン、ピリダジン、ピリミジン、ピラゾン、インドール、イソインドール、インダゾール、カルバゾール、キノリン、ピリジン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キナキサリン、フタラジン、プリン、ピロール、トリアゾール、フェナジンの如き含窒素複素環基を有する化合物が挙げられる。このうちイミダゾール化合物が、特に好適に用いられる。
【0031】特に、イミダゾール化合物の中でも、下記一般式(5)又は(6)
【0032】
【化15】


〔式中、R1及びR2は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表わし、R1及びR2は同一であっても異なっていても良い。R3及びR4は、炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表わし、R3及びR4は同一であっても異なっていても良い。〕
【0033】
【化16】


〔式中、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表わし、R5及びR6は同一であっても良い。R7は、炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表わす。〕
で示されるイミダゾール化合物が、これら正荷電性制御材の中では、トナーの迅速かつ均一な帯電性及び被覆層の強度の点でより好ましい。
【0034】以上の荷電制御材と本発明の導電性硼素化合物の併用により、現像剤の帯電量の微調整が可能となり、高温高湿下・常温低湿下でも安定した画質を提供することができる。その上本発明の導電性硼素化合物は、導電性及び潤滑性を有していることから、この添加によって現像剤のチャージアップによるゴースト発生及び現像剤担持体上への固着は緩和される。
【0035】また、本発明においては、被覆層の結着樹脂100質量部当たり導電性硼素化合物を1〜100質量部、荷電制御材を1〜80質量部含有させることが好ましい。また、導電性硼素化合物と荷電制御材とは、1/10〜10/1の質量割合で併用することが好ましい。
【0036】該被膜層は、チャージアップによる現像剤の現像剤担持体上への固着や、それに伴う現像剤担持体表面から現像剤への帯電付与不良を防ぐため、導電性であることが望ましいが、その体積抵抗値としては104Ω・cm以下、より好ましくは103Ω・cm以下が好ましい。104Ω・cmを超えると現像剤への帯電付与不良が発生しやすく、その結果ブロッチが発生し易いからである。そのため本発明においては、導電性硼素化合物に加え、さらに導電性微粒子を添加してもよい。なお、導電性微粒子のみの添加でも確かに該被覆層は103Ω・cm以下にできるが、これだと現像剤の帯電量が下がりすぎ、画像濃度低下を起こしやすいので、好ましくない。
【0037】本発明でさらに添加することのできる導電性微粒子としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属粉体、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト等の炭素物が挙げられる。このうちカーボンブラック、とりわけ導電性のアモルファスカーボンは特に電気伝導性に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与したり、添加量のコントロールである程度任意の導電度を得ることが出来る為に好適に用いられる。なお、本発明に使用できる導電性物質の添加量は結着樹脂100質量部に対し1〜100質量部が好ましい。
【0038】また現像剤担持体表面への現像剤の付着をより軽減化するために、被膜中に固体潤滑材を混合することもできる。固体潤滑材としては、例えば二硫化モリブデン・窒化硼素・グラファイト・フッ化グラファイト・銀−セレンニオブ・塩化カルシウム−グラファイト・滑石が挙げられる。なお、本発明に使用できる固体潤滑材の添加量は結着樹脂100質量部に対し1〜100質量部が好ましい。
【0039】被膜層の表面粗さはJIS中心線平均粗さ(Ra)で0.1〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。Raが0.1μm未満ではトナー担持体上の帯電量が高くなり、現像性が不充分となるし、現像領域への現像剤の搬送性が劣るため十分な画像濃度が得られにくい。Raが3.5μmを超えると、トナー担持体上のトナーコート層にむらが生じ、画像上で濃度むらとなる。
【0040】次に本発明の現像剤担持体が組み込まれる現像装置について説明・例示する。
【0041】図2において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する像担持体、例えば電子写真感光ドラム7は、矢印B方向に回転される。基体12上に被覆層13を有する現像剤担持体としての現像スリーブ14は、ホッパー9によって供給された一成分磁性現像剤としての磁性トナー10を担持して、矢印A方向に回転することにより、現像スリーブ14と感光ドラム7とが対向した現像部Dにトナー10を搬送する。現像スリーブ14内には、磁性トナー10を現像スリーブ14上に磁気的に吸引・保持するために磁石11が配置されている。トナー10は現像スリーブ14との摩擦により、感光ドラム7上の静電潜像を現像可能にする摩擦帯電電荷を得る。
【0042】現像部Dに搬送される磁性トナー10の層厚を規制するために、強磁性金属からなる規制ブレード8が、現像スリーブ14の表面から約200〜300μmのギャップ幅をもって現像スリーブ14に臨むように、ホッパー9から垂下されている。磁石11の磁極N1からの磁力線がブレード8に集中することにより、現像スリーブ14上に磁性トナー10の薄層が形成される。ブレード8としては非磁性ブレードを使用することもできる。
【0043】現像スリーブ14上に形成される磁性トナー10の薄層の厚みは、現像部Dにおける現像スリーブ14と感光ドラム7との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。このようなトナー薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち非接触型現像装置に、本発明は特に有効である。しかし、現像部においてトナー層の厚みが現像スリーブ14と感光ドラム7との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち接触型現像装置にも、本発明は適用することができる。
【0044】説明の煩雑さを避けるため、以下の説明では非接触型現像装置を例にとって行う。
【0045】上記現像スリーブ14には、これに担持された一成分磁性現像剤である磁性トナー10を飛翔させるために、電源15により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(トナー10が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧が、現像スリーブ14に印加されることが好ましい。一方、現像画像の濃度を高め或いは階調性を向上するために、現像スリーブ14に交番バイアス電圧を印加して、現像部Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ14に印加することが好ましい。
【0046】また高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する所調正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用し、一方、静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する所謂反転現像では、トナーは静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。尚、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、トナー10は現像スリーブ14との摩擦により静電潜像を現像するための極性に帯電する。トナー10に外添したシリカの如き外添剤も現像スリーブ14との摩擦により帯電する。
【0047】上記の現像工程で感光体7上に形成されたトナー画像は、中間転写体を用いて、または用いずに記録材に転写し、さらに該記録材に転写されたトナー画像を加熱定着手段により該記録材に加熱定着して所望の記録物を得る。
【0048】なお、本発明においては、トナーとしては公知のものが特に制限なく用いることができる。
【0049】
【実施例】各実施例において使用した所定の導電性硼素化合物は下記に記載のものを用いた。
【0050】
【化17】


【0051】
【化18】


【0052】
【化19】


【0053】
【化20】


【0054】
【化21】


【0055】
<実施例N−1>・カーボン 20質量部・グラファイト 80質量部・フェノール樹脂(固形分50%) 500質量部・上記一般式(5)に示すイミダゾール系荷電制御材(5) 60質量部(R1=CH3,R2=CH3,R3=n−C1123,R4=n−C1123
・導電性硼素化合物(1) 30質量部・IPA(イソプロピルアルコール) 190質量部
【0056】上記材料をφ2mmのジルコニア粒子にて3時間サンドミルを行い、その後ジルコニア粒子を篩いで分離し、IPAで固形分を30%に調整し塗料N−1〔C(カーボン)/GF(グラファイト)/B(フェノール樹脂)/CA(イミダゾール系荷電制御材)/BO(導電性硼素化合物)=0.2/0.8/2.5/0.6/0.3〕を得た。この塗料をスプレー法にてφ20mmのAl円筒体上に10μmの被膜を形成させ、次いで熱風乾燥器により150℃/30分間加熱・硬化させ現像剤担持体を作製した。この現像剤担持体上の導電性被覆層表面のRaをサーフコーダーSE−3300(小坂研究所製)で測定したところ、Ra=0.82μmであった。
【0057】(画像濃度の評価)このスリーブをGP215(キヤノン製複写機)に組み込み現像剤(トナー)としては次の様な組成のものを用い、その平均粒径は8.5μmであった。
【0058】
・ポリエステル系樹脂 100質量部・マグネタイト 85質量部・負電荷制御剤(サリチル酸系金属塩) 2質量部・低分子量ポリプロピレン 3質量部
【0059】上記現像剤を用いて、24℃/5%RHの常温低湿(N/L)の環境にて画出しを行った。10枚、1000枚、10万枚画出し後における、画像比率5.5%のテストチャート上のφ5黒丸の画像濃度を、反射濃度RD918(マクベス社製)で測定して、画像濃度の耐久について調べた。結果を図3(N−1)に示す。良好な結果であった。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0060】(トリボ測定)現像剤担持体上の吸引法トリボ値の測定については、円筒濾紙を有する測定容器を用い、現像剤担持体表面の形状に沿った金属製の吸引口を取付け、画像形成直後(5分以内が好ましい)の現像剤担持体表面上の現像剤層を過不足無く一様に吸引出来るように吸引圧を調整し現像剤を吸引する。この時吸引された現像剤の電荷Qを、616ディジタルエレクトロメーター(KEITHLEY製)で測定し、質量をMとして、Q/M(mC/kg)により計算した。その結果、表2に示した様に、良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0061】(ゴースト評価)また、ゴーストについては、上記24℃/10%RHの常温低湿(N/L)の環境にて画出し試験によって得られたゴーストチャートのハーフトーン画像を目視にて、以下の基準で評価した。その結果、表2に示した様に、良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
◎:優秀○:良好△:実用可
【0062】(飛び散り評価)約2mm角の「電」の文字を複写し、光学顕微鏡観察により「電」の文字周辺のトナー飛散等の文字のシャープ性のレベルを評価した。その結果、表2に示した様に、良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
◎:文字周辺のトナー飛散がほとんどない。
○:トナー飛散が若干ある。
△:トナー飛散がやや多い(実用レベル)。
×:トナー飛散が多い(実用不可)。
【0063】(ブロッチ評価)画出し試験によって得られたベタ黒及びハーフトーン画像を目視にて観察し、10枚後、1000枚後及び10万枚後の画像についてブロッチを以下の基準で評価した。その結果、表2に示した様に、良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
◎:優秀○:良好△:実用可×:実用不可
【0064】<実施例N−2〜7>実施例N−1において、導電性硼素化合物(1)を、表1に示すようにそれぞれ(2)〜(7)に代えたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図3(N−2〜6)と図4(N−7)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0065】<実施例N−8、9>実施例N−1において、フェノール樹脂を、表1に示すようにそれぞれウレタン樹脂、ポリアミド樹脂に代えたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図4(N−8〜9)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0066】<実施例N−10、11>実施例N−1において、グラファイトを表1に示すようにそれぞれ窒化硼素、二硫化モリブデンに代えたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図4(N−10〜11)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0067】<実施例N−12、13、14>実施例N−1において、表1に示すように、イミダゾール系荷電制御材(5)をコピーブルーに、導電性硼素化合物をそれぞれ(1)、(2)、(3)に代えたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図4(N−12)と図5(N−13〜14)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0068】<実施例N−15、16>実施例N−1において、表1に示すように、カーボン及びグラファイトを添加せず、導電性硼素化合物をそれぞれ(4)、(5)に代えたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図5(N−15〜16)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0069】<実施例N−17、18>実施例N−1において、表1に示すように、カーボン及びグラファイトを添加せず、イミダゾール系荷電制御材(5)をコピーブルーに、導電性硼素化合物をそれぞれ(6)、(7)に代えたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図5(N−17〜18)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0070】<比較例N−1>実施例N−1において、表1に示すように、導電性硼素化合物を除いたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図6(N−1)に示す。常温低湿下でトナーチャージアップによるものと思われる画像濃度低下、さらに、画出し初期におけるゴースト、飛び散り及びブロッチの悪化がみられた。
【0071】<比較例N−2、3>実施例N−1において、表1に示すように、導電性硼素化合物を除き、フェノール樹脂をそれぞれウレタン樹脂、ポリアミド樹脂に代えたこと以外は実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表2及び図6(N−2〜3)に示す。常温低湿下でトナーチャージアップによるものと思われる画像濃度低下、さらに、画出し初期におけるゴースト、飛び散り及びブロッチの悪化がみられた。
【0072】
【表1】


【0073】
【表2】


【0074】
<実施例P−1>・カーボン 20質量部・グラファイト 80質量部・フェノール樹脂(固形分50%) 600質量部・下記一般式(7)に示す・ベンジル酸アルミ系荷電制御材(7) 80質量部・導電性硼素化合物(8) 40質量部・IPA 220質量部
【化22】


(式中、R1とR2は同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖または分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。本実施例ではR1とR2は同一でC(CH33、m及びnは0。また、Xは1価のカチオン、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアルキルアンモニムを表す。本実施例ではNa+。)
上記材料をφ2mmのジルコニア粒子にて3時間サンドミルを行い、その後ジルコニア粒子を篩いで分離した。この塗料をP■とする。
【0075】
・P■(固形分50%) 1040質量部・球状炭素粒子(体積平均粒径5μm) 80質量部・IPA 880質量部
【0076】上記材料をφ2mmのガラスビーズにて30分間サンドミルを行い、その後ガラスビーズを篩いで分離し、塗料P−1〔C(カーボン)/GF(グラファイト)/B(フェノール樹脂)/CA(ベンジル酸金属系荷電制御材)/BO(導電性硼素化合物/R(球状炭素粒子)=0.2/0.8/3.0/0.8/0.4/0.4/0.8〕を得た。この塗料を実施例N−1と同様にして現像剤担持体を作製したところ、Ra=1.05μmであった。
【0077】このスリーブをNP6035(キヤノン製複写機)に組み込み、現像剤としては次のような処方で・スチレン−アクリル系樹脂(Tg56℃) 100質量部・マグネタイト 80質量部・正電荷制御剤 2質量部・低分子量ポリプロピレン 4質量部重量平均粒径として6μmの正帯電現像剤を得、さらに正帯電性外添剤としてトリメトキシシル−γ−プロピルベンジルアミンでカップリング処理したコロイダルシリカを0.9%外添したものを用いた。
【0078】上記現像剤を用いて、実施例N−1と同様にして画像濃度、トリボ測定、飛び散り、ブロッチ評価を行った。結果を図7(P−1)及び表4に示す。良好な結果であった。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0079】(白スジ評価)また、白スジについては、上記画出し試験によって得られたハーフトーン画像を目視にて、以下の基準で評価した。その結果、表4に示した様に、良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
◎:優秀○:良好△:実用可×:実用不可
【0080】<実施例P−2〜7>実施例P−1において、導電性硼素化合物(8)を、表3に示すようにそれぞれ(9)〜(14)に代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図7(P−2〜6)と図8(P−7)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0081】<実施例P−8、9>実施例P−1において、フェノール樹脂を、表3に示すようにそれぞれウレタン樹脂、ポリアミド樹脂に代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図8(P−8〜9)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0082】<実施例P−10、11>実施例P−1において、グラファイトを、表3に示すようにそれぞれ窒化硼素、二硫化モリブデンに代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図8(P−10〜11)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0083】<実施例P−12、13、14>実施例P−1において、表3に示すように、ベンジル酸アルミ系化合物(7)を下記一般式(8)に示すベンジル酸亜鉛系化合物(8)に、有機硼素化合物をそれぞれ(8)、(9)、(10)に代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図8(P−12)と図9(P−13〜14)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0084】
【化23】


(式中、R1とR2は同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖または分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。本実施例ではR1とR2はH、m及びnは0。また、Xは1価のカチオン、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアルキルアンモニムを表す。本実施例ではLi+。)
【0085】<実施例P−15、16>実施例P−1において、表3に示すようにカーボン及びグラファイトを添加せず、導電性硼素化合物をそれぞれ(11)、(12)に代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図9(P−15〜16)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0086】<実施例P−17、18>実施例P−1において、表3に示すようにカーボン及びグラファイトを添加せず、ベンジル酸アルミ系化合物(7)をベンジル酸亜鉛系化合物(8)に、導電性硼素化合物をそれぞれ(13)、(14)に代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図9(P−17〜18)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0087】<実施例P−19、20>実施例P−1において、表3に示すようにカーボン、グラファイト及び球状炭素粒子を添加せず、ベンジル酸アルミ系化合物(7)をベンジル酸亜鉛系化合物(8)に、導電性硼素化合物をそれぞれ(13)、(14)に代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図10(P−19〜20)に示す。いずれも良好な結果が得られた。また、L/LでもH/Hでも同様な効果が得られた。
【0088】<比較例P−1>実施例P−1において、表3に示すように導電性硼素化合物を除いたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図10(P−1)に示す。常温低湿下でトナーチャージアップによるものと思われる画像濃度低下、初期のブロッチ発生、さらに、画出し1000枚以降における白スジ及び飛び散りの悪化がみられた。
【0089】<比較例P−2、3>実施例P−1において、表3に示すように導電性硼素化合物を除き、フェノール樹脂をそれぞれウレタン樹脂、ポリアミド樹脂に代えたこと以外は実施例P−1と同様にして現像剤担持体を作製・画出し評価を行った。結果を表4及び図10(P−2〜3)に示す。常温低湿下でトナーチャージアップによるものと思われる画像濃度低下、初期のブロッチ発生、さらに、画出し1000枚以降における白スジ及び飛び散りの悪化がみられた。
【0090】
【表3】


【0091】
【表4】


【0092】
【発明の効果】本発明に用いられる有機硼素化合物は、高分子電荷移動型結合体であり電子伝導性を示すことから、現像剤担持体上に形成された被覆層に添加することで、トナーへの過剰帯電を防ぎ、常温低湿はもとより、低温低湿・高温高湿下でも安定した画質を提供することができる。また本発明に用いられる有機硼素化合物は潤滑性があるので、トナーの、現像剤担持体上での滑り性が良くなり、トナーの現像剤担持体表面への融着を防ぐことができる。更には該被覆層に含有する荷電制御材と併用することで、トナーへの帯電付与の微調整が可能となるので、低温低湿下・高温高湿下においても良好な画像を提供することが可能となる。さらに本発明に用いられる有機硼素化合物は、結着樹脂との相溶性があるため、一般に用いられているカーボンの如き導電性フィラーと異なり、さらなる導電性を得るため添加量を増加しても、被覆層の機械的強度の低下は小さい。
【0093】そのため、本発明に用いられる有機硼素化合物を現像剤用現像剤担持体表面の被覆層に添加することで、現像剤への帯電付与性が安定となり、かつ該被覆層の耐磨耗性が向上するので、常温常湿は勿論、常温低湿・低温低湿・高温高湿でも画像濃度低下・ゴースト・飛び散り・白スジ・ブロッチ・ベタ白かぶりといった画質不良の発生しない高品位の画像を、長期に亘って得ることができる。即ち安定した高品位の画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤担持体の一部分の断面の概略図を示す。
【図2】本発明の現像剤担持体が組み込まれる現像装置の一例を示す。
【図3】実施例N−1〜6のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【図4】実施例N−7〜12のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【図5】実施例N−13〜18のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【図6】比較例N−1〜3のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【図7】実施例P−1〜6のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【図8】実施例P−7〜12のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【図9】実施例P−13〜18のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【図10】実施例P−19〜20及び比較例P−1〜3のN/L耐久画像濃度推移を示す。
【符号の説明】
1 …被膜層
2 …導電性微粒子
3 …荷電制御材を含有した結着樹脂
4 …導電性硼素化合物
5 …固体潤滑剤
6 …円筒状基体
7 …感光ドラム
8 …規制ブレード
9 …ホッパー
10 …トナー
11 …磁石
12 …円筒状基体
13 …被膜層
14 …現像スリーブ
15 …電源
16 …撹拌器
A …現像スリーブの回転方向
B …感光ドラムの回転方向
D …現像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 現像容器内に収容されたトナーを現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材によりトナーの薄層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像をトナーにより現像し、可視像化する現像装置に用いられる現像剤担持体において、該現像剤担持体は、基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は少なくとも、荷電制御材と導電性硼素化合物とを含有する樹脂組成物により形成されたものであることを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】 前記導電性硼素化合物は、下記一般式(1)で示される原子団を有する有機硼素化合物であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持体。
【化1】


(式中、R1,R2,R3及びR4は、同一あるいは異なって、水素、アルキル基、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、nは0または1である。)
【請求項3】 前記導電性硼素化合物が、下記一般式(2)で示される半極性有機硼素高分子化合物の少なくとも1種と、ヒドロキシル基を少なくとも1個有する3級アミンの少なくとも1種との、硼素原子1個に対して塩基性窒素原子1個の割合の反応生成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤担持体。
【化2】


[式中、qは0または1で、q=1のとき、Wは−(X)l−(Y)m−(Z)n−{ただし、X及びZは1個の末端エーテル残基をもつ含酸素炭化水素基、
【化3】


(R及びR’は炭化水素基)であり、l、m及びnは0または1である。}であり、R1,R2及びR3は炭化水素基で、R1,R2及びR3のうち少なくとも1つはヒドロキシル基置換炭化水素基であり、pは10〜1000である。]
【請求項4】 該現像剤担持体被覆層に含有される荷電制御材が、含窒素化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項5】 該現像剤担持体被覆層に含有される荷電制御材が、イミダゾール系化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項6】 該現像剤担持体被覆層に含有される荷電制御材が、下記一般式(3)で示される未置換又は置換基を有するベンジル酸の金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像剤担持体。
【化4】


(式中、R1とR2は同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖または分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。)
【請求項7】 該被覆層は、導電性微粒子をさらに含有する樹脂組成物により形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項8】 現像容器内に収容されたトナーを現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材によりトナーの薄層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像をトナーにより現像し、トナー画像を形成する現像工程;該静電潜像保持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を用いて、または用いずに記録材に転写する転写工程;及び、該記録材に転写されたトナー画像を加熱定着手段により該記録材に加熱定着する定着工程;を有する画像形成方法において、該現像剤担持体は、基体及び該基体上に設けられた被覆層を有し、該被覆層は少なくとも、荷電制御剤と導電性硼素化合物とを含有する樹脂組成物により形成されたものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】 前記導電性硼素化合物は、下記一般式(1)で示される原子団を有する有機硼素化合物であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【化5】


(式中、R1,R2,R3及びR4は、同一あるいは異なって、水素、アルキル基、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、nは0または1である。)
【請求項10】 前記導電性硼素化合物が、下記一般式(2)で示される半極性有機硼素高分子化合物の少なくとも1種と、ヒドロキシル基を少なくとも1個有する3級アミンの少なくとも1種との、硼素原子1個に対して塩基性窒素原子1個の割合の反応生成物であることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【化6】


[式中、qは0または1で、q=1のとき、Wは−(X)l−(Y)m−(Z)n−{ただし、X及びZは1個の末端エーテル残基をもつ含酸素炭化水素基、
【化7】


(R及びR’は炭化水素基)であり、l、m及びnは0または1である。}であり、R1,R2及びR3は炭化水素基で、R1,R2及びR3のうち少なくとも1つはヒドロキシル基置換炭化水素基であり、pは10〜1000である。]
【請求項11】 該現像剤担持体被覆層に含有される荷電制御材が、含窒素化合物であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項12】 該現像剤担持体被覆層に含有される荷電制御材が、イミダゾール系化合物であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項13】 該現像剤担持体被覆層に含有される荷電制御材が、上記一般式(3)で示される未置換又は置換基を有するベンジル酸の金属化合物であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
【化8】


(式中、R1とR2は同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖または分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。)
【請求項14】 該被覆層は、導電性微粒子をさらに含有する樹脂組成物により形成されたものであることを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2002−72667(P2002−72667A)
【公開日】平成14年3月12日(2002.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−253361(P2000−253361)
【出願日】平成12年8月24日(2000.8.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】