生体外におけるヒトBリンパ球産生培養システム
本開示は、抗体産生B細胞を生体外にて生成するためのシステム、方法および組成物に関する。いくつかの実施形態は、血液生成の幹細胞/前駆細胞(HSPC)から抗体産生B細胞を生成する生体外システムに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、特許法合衆国法典第35巻(35U.S.C.)§119(e)の基、2008年11月21日に出願した米国出願第61/199,932号を主張し、本明細書に参考文献として明確に組み込むものとする。
【0002】
配列表の参照
本出願は、電子形式にて配列表と共に出願している。配列表は、2009年11月19日に作成され、サイズ4.0KbのSEQLISTING.TXTと称するファイルとして提供する。配列表の電子形式の情報を、本明細書に参考文献としてそれを完全に組み込むものとする。
【0003】
技術分野
本出願は、一般的に免疫および遺伝子導入の分野に関する。より詳細には、本出願は、プログラミングヒトB細胞が関連のある抗体を生成する生体外におけるヒトBリンパ球生成培養システムに関する。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
抗体は、感染症と戦い、病原因子を取り除くことにおいて重要な役割を果たす免疫系によって産生される自然発生のタンパク質である。抗体は、それらの機能を、タンパク質または非タンパク質抗原を結合し、防御反応を誘発することによって発揮する。
【0005】
B細胞は、抗体生成にて主要な役割を果たすリンパ球である。正常な血液生成時に、B細胞集団は、骨髄にて血液生成幹細胞から生成され、活性化されるようになる。活性化に応じて、B細胞は、抗体分泌形質芽球および形質細胞を含有する、より分化した細胞へと分化し始める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ヒトB系統発生を支持し、B細胞の分化を促進してあらゆる関連の抗体を産生する効率的な生体外培養システムを開発することが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本出願は、抗体産生B細胞を生体外において生成するためのシステム、方法および組成物を提供する。本明細書に記載のシステムおよび方法に従って生成される抗体産生B細胞は、治療、診断、産業、法医学的および環境への適用を含有する多岐に渡る実用性を有する。いくつかの非制限的例の実用性は、病原体に対する生命体の免疫反応への刺激;特定の疾病または疾患、例えば病原性感染症であり、HIV感染等または癌に対する免疫反応の提供;および特定の疾病、疾患の検出および/または特定の疾病、疾患の進行のモニタリングである。本明細書に記載のシステムおよび方法に従って産生された抗体を、例えば法医学的/環境のサンプルにおける生命体および/または抗原(例えば、ポリペプチド、炭水化物、脂質または核酸)の存在の同定、酵素の活性化状態の検出の同定ならびに精製されたタンパク質の産生の同定に、適用して使用することができる。
【0008】
本出願の一態様において、関連の抗体を血液生成幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団から生体外で産生されるB細胞を生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(a)血液生成の幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団と生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む工程と;(b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団とHSPCを、HSPCを共培養する工程と;(c)工程(b)で得られたCD19+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて共培養する工程とを含有する。他の実施形態において、方法はHSPCを1以上のB細胞刺激因子の存在下にて工程(b)の前に培養する工程を、さらに含有する。工程(b)を、例えばHSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで実施することができる。同様に、工程(c)を、例えばCD19+μ+細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで実施することができる。
【0009】
本出願の他の態様において、B細胞の集団を生体外にて生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(a)HSPCの集団を1以上のB細胞刺激因子の存在下にて培養する工程と、(b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団とHSPCを、HSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて、共培養する工程とを含有する。工程(c)を、例えばCD19+μ+細胞少なくとも20%が、活性化されたB細胞になるまで実施することができる。
【0010】
本出願の他の態様において、標的細胞集団から抗体産生B細胞を生体外にて生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(a)標的の集団と生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む工程と; (b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と標的細胞を、例えば標的細胞の少なくとも約20%がCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて、例えばCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程とを含有する。いくつかの実施形態において、標的細胞集団の約25%までが、プレB細胞および未成熟B細胞である。他の実施形態において、標的細胞集団の約20%までが、プレB細胞および未成熟B細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1Aは、生体外ヒトBリンパ球生成培養システムの実施形態を概略的に示す図である。レンチウイルスコンストラクトをHSPCへ導入して、B細胞プログラミングを達成した。第1段階の5日目に、IL−3(10ng/mL)、Flt3リガンド(Flt3−L;10ng/mL)、トロンボポエチン(TPO;10ng/mL)、SCF(5ng/mL)およびG−CSF(5ng/mL)を、B系統の関与で、HSPCを刺激した。6週目の第2段階は、間質支持(MS5)を使用し、プレBおよび未成熟B細胞の混合物をCD34+HSPCから発生した。表面マーカー、例えばCD34、CD19、CD10、CD20、CD38、CD27およびCD138をB細胞発生の異なる段階で示す。 図1Bは、b12−IgG1の分泌型をもたらす3つのレンチウイルスコンストラクト(FUW−b12、FMHW−b12およびFEEKW−b12)を概略的に示す図である。b12−IgG1の分泌型の発現を、FUW−b12におけるユビキチンCプロモーター、FMHW−b12におけるIg重鎖プロモーターおよびFEEKW−b12におけるIg軽鎖プロモーターによってそれぞれ促進した。MHプロモーター(SEQ ID NO:1)は、マトリックス会合領域(MAR)によって配置されるiEμエンハンサーに先行されるヒトμチェインプロモーター(VHp)を含有する。EEKプロモーター(SEQ ID NO:2)は、イントロンエンハンサー(iEκ)、MARおよび3’エンハンサー(3’Eκ)に先行される軽鎖プロモーター(VKp)を含有する。b12可変領域を有する分泌γ(γs)重鎖およびκ軽鎖遺伝子は、F2A配列で連結される。ベクターの、長い末端反復配列(LTR)、HIV−Iフラップ因子(F)およびウッドチャック肝炎ウイルス由来の転写後調節因子(WRE)を示した。3週目の第3段階は、B細胞の活性化、増殖ならびに抗体分泌形質芽球および形質細胞への分化を、低レベルのCD40L(MS40L−低細胞)を安定して発現するIL−2(10ng/mL)、IL−10(100ng/mL)、CpG(2μM)、および低レベルのCD40Lを安定して発現する(MS40L−低細胞)MS5細胞の存在下にて促進した。
【図2A】レンチウイルスベクターFUGW(すなわちU−GFP)によって達成される高い導入率を示すグラフである。HSPCを、IL−3(10ng/mL)、Flt3リガンド(10ng/mL)、トロンボポエチン(10ng/mL)、SCF(5ng/mL)およびG−CSF(5ng/mL)の存在下にて24時間インキュベートした。その後1,000の感染多重度でmockまたはFUGWウイルスとの2つの経時的な感染を、HSPCに与えた。同じサイトカインを、一日おきに感染中添加した。感染細胞を、感染後から3日目(インキュベーション計5日目)に収集し、フローサイトメトリーによって解析した。
【図2B】レンチウイルスコンストラクトU−b12またはMH−b12によってトランスフェクションされた3つの細胞株におけるIgG発現を示すグラフである。3つの細胞株の何れも内因性IgGを発現しないため、細胞内IgGの染色は、トランスジェニックb12−IgG1を示した。
【図2C】293T細胞においてb12の重鎖および軽鎖の発現および集合を、レンチウイルスベクターFUW−b12と、還元((+β−メルカプトエタノール;すなわちβ−ME)および非還元状態(−β−ME)下にてトランスフェクションした示す図である。細胞タンパク質を、SDS−PAGE、続いてIgG−Fc(γ重鎖/HC)およびκ軽鎖/LCのウェスタンブロット法を使用して抽出および分析した。
【図2D】レンチウイルスベクターFUW−b12とトランスフェクションした293T細胞によって産生したb12抗体の中和能力を、精製したb12のものと比較して示す。培養上清を、Biacore分析によって収集および測定し、gp120への結合の約6μg/mLの濃度を得た。精製したb12の濃度は、125μg/mLであった。培養上清および精製したb12を、偽型ウイルス中和分析の対象としたときに、最初の濃度1.2μg/mLおよび25μg/mLの5倍にそれぞれ希釈した。
【図3】図3Aは、前駆細胞マーカーCD34およびc−kitの発現を欠如したHSPCを、レンチウイルスコンストラクトU−GFPまたはMH−GFPと第2段階中の期間に渡って形成導入したグラフを示す。 図3Bは、CD13+骨髄細胞の出現を、第2段階の一週目にて示すグラフを示す。
【図4】図4Aは、GFPおよびCD19マーカーの発現を、U−GFP(上段パネル)またはMH−GFP(下段パネル)レンチウイルスコンストラクトのいずれかと形質導入した刺激のHSPCにて示したグラフを示す。レンチウイルスコンストラクトで刺激および形質導入されたHSPCを、MS5間質細胞上にて、示した一定期間培養した。GFP発現およびCD19+細胞の出現を、フローサイトメトリーを使用して観測した。 図4Bは、細胞表面上でCD19およびCD10の両方の発現によって観測されるような第2段階の3週目に出現し始めるプロB細胞のグラフを示す。ゲート(gate)を、プロB対非プロBへ適用し、GFP発現をこれらゲートにて分析したとき、MHプロモーターはプロB細胞特異的発現を示した一方、ユビキチンプロモーターは細胞間にて区別することができなかった。比較的薄い線は、非プロB細胞を示し;比較的濃い線は、プロB細胞を示す。 図4Cは、第2段階における3週目にMH−GFP形質導入された前駆細胞に由来するCD11c+樹枝細胞におけるGFP発現およびCD11c−細胞のものの間における比較のグラフを示す。 図4Dは、表面μ重鎖およびCD19の発現レベルを、第2段階の異なる時点(3週目(中央パネル)および4週目(右パネル)で示す図である。示したパーセンテージは、総生細胞のものである。 図4Eは、λおよびκ軽鎖、VプレB代替軽鎖ならびにμおよびδ重鎖の発現レベルを、CD19発現に対して、第2段階6週目で、第2段階の終盤でプレBおよび未成熟B細胞の混合物を示すプロットする。示したパーセンテージは、総生細胞のものである。 図4Fは、CD19+細胞は、第2段階の終盤(6週目)にて、Igαに対して陽性であるグラフを示す。IgαおよびIgβの双方を検査したとき、Igα+細胞およびIgβ+細胞のパーセンテージは、同程度であった。全ての分析にて、EEK−b12をもたらす細胞は、MH−b12と同様の表現型を示した。
【図5】図5Aは、非感染HSPCおよび多種のレンチウイルスコンストラクト(空ベクターFMHWおよびFEEKW;GFP含有ベクターMH−GFPおよびEEK−GFP;およびb12含有ベクターMH−b12およびEEK−b12)と形質導入されたHSPCに由来するB細胞集団のパーセンテージを示す棒グラフである。 図5Bは、第2段階の終わり(6週目)にMH−b12およびEEK−b12とトランスフェクションしたHSPCの培養物における、CD19+CD10+プレBおよびCD19+CD10−未成熟B細胞の存在を示すグラフである。
【図6A】FUW−CD40Lウイルス(MS40L−高およびMS40L−低の細胞株)によって形質導入した2つのMS5細胞株におけるCD40Lの発現レベルを示す図である。斜線部で示したピークは、MS5親細胞を示し、斜線のないピークは、形質導入された細胞を示す。
【図6B】可溶性CD40L(1μg/mL)および2つのMS40L安定株(MS40L−高およびMS40L−低)の性能を、B支持細胞において示す図である。第2段階由来細胞を、IL−2(10ng/mL)、IL−10(100ng/mL)およびCpG DNA(SEQ ID NO:3,2μM)の存在下にて18日間インキュベートした。可溶性CD40Lは、B細胞の生存率を支持せず、CD19+GFP+細胞の検出がほとんどされないものとして導いた。対照的に、MS40細胞株双方ともが、B細胞の生存および拡大を支持した。
【図6C】MS40L−高の血漿細胞分化の誘導における性能およびMS40L−低の性能の間における比較を、減少したCD19および表面IgM発現(上段パネル)、CD20−CD38+細胞(中央パネル)、および増加したCD27発現(下段パネル)によって示す図である。
【図6D】血漿細胞分化のフローサイトメトリー分析のグラフを示す。ヒト末梢血から分離されたナイーブB細胞を、MS40L−低および示された刺激剤(CpG、IL−2、IL−10および/またはIL−6[50ng/mL])の存在下、9日間培養し、血漿細胞分化のフローサイトメトリー分析で染色した(中央パネル、CD20−CD38+細胞;右パネル、CD19−CD27+およびCD19lowCD27+/high細胞)。
【図7A】CD19およびCD84の発現の比較を、第3段階の前(比較的薄い線)と後(比較的濃い線)示す図である。第2段階からの細胞をMS40L−低の単分子層上に移し、IL−2(10ng/mL)、IL−10(100ng/mL)およびCpG DNA(2μM)の存在下にて2〜3週間インキュベートした。
【図7B】異なるプロモーター(MHおよびEEK)および異なるトランス遺伝子(GFPおよびb12)を使用して、形質芽球(CD20−CD38+CD138−)および形質細胞(CD20−CD38+CD138+)の生成を示す図である。示したパーセンテージは、総生細胞である。
【図7C】クラススイッチB細胞(表面IgG+)およびメモリB細胞(CD19+CD27+)の生成のグラフを示す。示したパーセンテージは、CD19+細胞である。
【図7D】第3段階中のB細胞の増殖およびMS40L−低の単分子層の群の形成を、位相差および蛍光画像を示す図である。バーは25μmを示す。細胞の群を、GFPフィルターセットを備えたエピフロレッセンス顕微鏡によって視覚化した。
【図7E】第3段階の前(比較的濃いしるし)と後(比較的薄いしるし)のCD19+細胞の典型的な前方(FSC)および側方(SSC)の散布図である。第3段階後の細胞は、第3段階前のものよりサイズが比較的大きく、粒状であった。
【図7F】形質芽球および形質細胞の典型的なライト染色画像である。形質芽球および形質細胞を、矢印によって示す。バーは5μmを示す。
【図7G】ウイルス非存在またはGFPトランス遺伝子の細胞による第2段階および第3段階の終盤における、IgM、IgGおよびIgA産生の内因性レベルを示すグラフである。抗体の産生を、ELISAを使用して分析した。NDは、検出不可能を示す。
【図8A】第3段階中、MH−b12またはEEK−b12トランス遺伝子をもたらすB細胞にてGFP発現を示す図である。
【図8B】第3段階前から第3段階後からの細胞にて、CD19およびCD86の発現における変化を示す図である。
【図8C】形質芽球(CD20−CD38+CD138−/low)および形質細胞(CD20−CD38+CD138+)の生成を、第3段階中のトランス遺伝子GFPにかかわらずに示すグラフである。示したパーセンテージは、総生細胞である。
【図8D】クラススイッチB細胞(表面IgG+)およびメモリB細胞(CD19+CD27+)の生成を、第3段階中のトランス遺伝子GFPにかかわらずに示す図である。示したパーセンテージは、CD19−細胞である。
【図9】図9Aは、第3段階中の正常ヒト骨髄単核細胞(BMMC)からのCD138+増加細胞の集団のグラフを示す。 図9Bは、正常ヒト形質芽球および形質細胞の形体を示す図である。
【図10】ヒトB細胞発生にわたって、生体外にて維持するレンチウイルスの安定した組み込みを示す図である。第2段階の2〜4週目(それぞれ前駆およびプレB段階を示す)および第3段階の終わり(形質細胞段階に相当する)で細胞からのゲノムDNAを抽出し、ウイルスの組み込みを判定した。細胞あたりの平均プロウイルスのコピー数を、形質導入されていないCD34+細胞および異なったレンチウイルスコンストラクトによって最初から形質導入されたCD34+細胞にて示す。この結果を、同じトランス遺伝子(ベクターのみ、GFPまたはb12;U、MHまたはEEKプロモーターにかかわらず)で実験から得られた統合データからの平均+SEとして示す。5,3,6および6の生物学的複製が、それぞれウイルス非存在、ベクター、GFPおよびb12で存在する。形質細胞段階で細胞あたりのプロウイルスコピー数は、平均的に、それらの先祖(P=0.26)のものとスチューデントの両側t検定にて統計学的に異ならなかった。
【図11】図11Aは、第2段階中のB12タンパク質の産生レベルのグラフを示す。B12タンパク質レベルを、b12特異的なELISAを使用して測定し、週で示す。培養培地を週2回換えたため、データは抗体3〜4日間の蓄積に相当する。その結果は、3つの独立した培養物からの平均±SEである。*は週2からの有意差を示す(P<0.05)。 図11Bは、第3段階の終わりにおけるIg産生レベルのグラフを示す。第2段階から各々処理した総細胞50,000を、穴あたり500μLの第3段階へ移した。総IgM、IgGおよびIgAレベルの合計を測定し、その結果を3つの独立した培養物からの平均+SEとする。「ベクターまたはGFP」は、空ベクターの平均効果(FMHWおよびFEEKW)、およびGFPを含有するベクター(MH−GFPおよびEEK−GFP)を示す。 図11Cは、b12特異的なELISA分析(*P<.02;**P<.002)を使用して、第3段階の終わりにてb12−IgG1の産生レベルのグラフを示す。図6Bのように、「ベクターまたはGFP」は、空ベクター(FMHWおよびFEEKW)およびGFPを含有するベクター(MH−GFPおよびEEK−GFP)の平均効果を示す。 図11Dは、B12−IgG1の検出を、トランス遺伝子をもたらすB細胞の細胞質にて、それぞれ抗gp120エピトープおよびb12−IgG1のγ重鎖定常部と相互作用する蛍光色素標識されたgp120MNおよび抗IgGの細胞内共染色を使用するグラフを示す。MH−GFPまたはMH−b12の形質導入されたHSPCを、第2および第3段階を通して培養し、抗CD19抗体で表面染色し、抗IgG抗体および単量体gp120で細胞内染色した。データをフローサイトメトリーの使用によって分析し、CD19+細胞をプリゲート(pregated)した。gp120を認識する細胞内タンパク質を、α−gp120として同定された。 図11Eは、非感染、またはMH−b12もしくはEEK−b12ウイルスに感染した細胞における、細胞あたりのプロウイルスコピー数のグラフを示す。非感染、またはMH−b12もしくはEEK−b12ウイルスによって感染したCD34+細胞由来の前駆細胞(第2段階の週2)からのゲノムDNAを抽出し、ウイルス組み込みを測定した。細胞あたりのプロウイルス数を、3つの独立した培養物からの平均+SEとして示す。 図11Fは、U−GFP、MH−GFPまたはEEK−GFPレンチウイルスによって形質導入されたDakiki形質細胞腫細胞における相対的GFP強度を示す図である。フローサイトメトリーをインキュベーションから72時間後に実行し、GFP強度の倍率をU−GFP(1として規定する)の効果に渡って示した。MH−GFPおよびEEK−GFPの間の差は、スチューデントの両側t検定において著しかった(P<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本出願のいくつかの実施形態は、生体外における抗体産生B細胞の集団を生成するシステム、方法および組成物に関する。抗体産生B細胞の集団を、標的細胞の集団、好ましくは造血幹/前駆細胞(HSPC)の集団から生成することができる。いくつかの実施形態において、ヒトB系統発生を、HSPCから抗体産生B細胞までで、形質芽球および/または血漿細胞を含有して支持する生体外の培養システムを提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法を提供し、この方法は、(a)造血管/前駆細胞(HSPC)の集団と、生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触する工程と、(b)HSPCと、1以上のB系統成長因子を発現する第一の支持細胞の集団を共培養する工程と;(c)工程(b)にて得られたCD19+μ+細胞と、CD40Lの発現を有する第二支持細胞を、1以上B細胞活性剤の存在下にて共培養する工程とを含有する。工程(b)を、例えばHSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで、下記に詳細に説明するように、継続することができる。工程(c)を、例えばCD19+μ+細胞の少なくとも約20%が、関連の抗体を産生するB細胞になるまで、下記に詳細に説明するように、継続することができる。いくつかの実施形態において、HSPCは一次骨髄細胞である。他の実施形態において、HSPCは臍帯血からのCD34+細胞である。臍帯血からのCD34+細胞は、すでにリンパ系統に関与する可能性がある肝細胞および前駆細胞の双方を含有することができることを当業者は認識した。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記方法は(d)HSPCを1以上のB細胞の刺激因子の存在下にて、工程(b)の約1日前に少なくとも培養する工程を、さらに含有する。HSPCを、1以上のB細胞の刺激因子の存在下にて、様々な日数で培養することができる。例えば、HSPCを、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日で培養することが可能である。さらに他の実施形態において、HSPCを、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日で培養することが可能である。さらに他の実施形態において、HSPCを、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、約1から約10日、約2から約9日、約2から約8日、約2から約7日、約2から約6日、約2から約5日で培養することが可能である。
【0015】
いくつかの実施形態は、B細胞の集団を生体外にて生成する方法を提供し:(a)造血管/前駆細胞(HSPC)の集団を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて約2〜6日間培養する工程と、(b)HSPCと1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団を共培養する工程と;(c)工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の少なくとも約20%がB細胞になるまで共培養する工程とを含有する。工程(b)を、下記に詳細に記載するように、例えばHSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで、継続することができる。いくつかの実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+細胞を、CD40Lが発現する第二支持細胞と、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%がB細胞になるまで、共培養した。いくつかの実施形態において、工程(c)で得られたB細胞は、Ig分泌B細胞である。
【0016】
多種のB細胞刺激因子を、本明細書に記載の方法およびシステムで使用することができる。B細胞刺激因子の例は、インターロイキン3(IL−3)、Flt3リガンド、トロンボポエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf1)およびメカノ成長因子(MGF)を含有するが、これらに限定されない。実施形態において、HSPCを、IL−3、Flt3リガンド、TPO、SCFおよびG−CSFから選択される少なくとも1つのB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前に培養した。他の実施形態において、HSPCを、少なくとも1つのB細胞刺激因子IL−3、Flt3リガンド、TPO、SCFおよびG−CSFの存在下にて、工程(b)の前に培養した。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞刺激因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞刺激因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞刺激因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞刺激因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。
【0017】
いくつかの実施形態において、第一支持細胞は間質細胞である。様々な間質細胞を本明細書に記載のシステムおよび方法で使用することができる。間質細胞株の例は、米国特許第5879940号明細書に記載されたようなネズミMS5間質細胞株、ネズミ骨髄由来間質細胞株であり、S10、S17、OP9およびBMS2細胞株等を含有するが、これらに限定されない。
【0018】
いくつかの実施形態において、HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と共培養した。実施形態において、第一支持細胞は、IL−7を発現することができる。他の実施形態において、第一支持細胞は、IL−7、ならびにプレプロB細胞成長刺激因子(PPBSF)、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、インターロイキン3(IL−3)Flt3リガンド、トロンボポエチン、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン11(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf 1)およびメカノ成長因子(MGF)から選択される少なくとも1つのB系統成長因子を発現することができる。いくつかの実施形態において、1以上のB系統成長因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB系統成長因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、1以上のB系統成長因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB系統成長因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。
【0019】
多くの初期B系統マーカーが、従来技術にて知られている。例えば、プロB細胞を、CD19およびCD10の共発現(CD19+CD10+)、ならびに代替軽鎖の発現の欠如によって同定することができる。プロB細胞が分化するにつれて、それらはCD19+μ+VプレB+プレB細胞およびCD19+μ+VプレB+κ/λ+未成熟B細胞内に発生する。いくつかの実施形態において、HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、HSPCの、少なくとも約20%がCD19+μ+細胞になるまで共培養した。他の実施形態において、HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、HSPCの、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%がCD19+μ+になるまで共培養した。他の実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%は、CD19+μ+VプレB+プレB細胞およびCD19+μ+κ/λ+未成熟B細胞である。
【0020】
いくつかの実施形態において、B細胞刺激因子は、またB系統成長因子であることができる。いくつかの実施形態において、B系統成長因子は、またB細胞刺激因子であることができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、CD19+μ+細胞を、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞活性剤の存在下にて共培養した。実施形態において、第二支持細胞は、間質細胞である。様々なB細胞刺激因子を、本明細書に記載の方法およびシステムにて使用することができる。B細胞活性剤の例は、CpG DNA、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFN−αおよび抗CD40Lを含有するが、これらに限定されない。実施形態において、B細胞活性剤はCpG DNAである。他の実施形態において、B細胞成長因子は、CpG DNA、IL−2およびIL−10である。さらに他の実施形態において、B細胞成長因子は、CpG DNAおよびIL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFN−αおよび抗CD40Lから選択される少なくとも1つのB細胞活性剤である。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞活性剤は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞活性剤は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞活性剤は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞活性剤は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。
【0022】
いくつかの実施形態において、工程(b)で得られたCD19+細胞は、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程を含有する。他の実施形態において、工程(b)で得られたCD19+は、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+細胞の少なくとも約30%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程を含有する。さらなる他の実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+細胞を、第二支持細胞の集団と、CD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%が、関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する。実施形態において、関連の抗体を産生するB細胞は、抗体分泌の形質芽球および形質細胞である。
【0023】
他の実施形態において、標的細胞の集団から抗体産生B細胞を生体外にて生成する方法を提供し、この方法は:(a)標的細胞の集団を生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触し、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有する工程と;(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団を、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%が、CD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+VプレB+およびCD19+μ+κ/λ+細胞が、抗体産生B細胞になるまで共培養する工程を含有する。好ましい実施形態において、標的細胞は幹細胞を含む細胞の不均一集団を含有するが、これらに限定されない哺乳類幹細胞である。幹細胞は、例えば造血管細胞であることができる。他の実施形態において、標的細胞は第一骨髄細胞である。さらなる他の実施形態において、標的細胞はCD34+細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は臍帯血からのCD34+細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞集団の、多くても約75%、多くても約70%、多くても約65%、多くても約60%、多くても約55%、多くても約50%、多くても約45%、多くても約40%、多くても約35%、多くても約30%、多くても約25%、多くても約20%、多くても約15%、多くても約10%、多くても約5%は、プロB、プレBおよび/または未成熟B細胞である。他の実施形態において、その標的細胞集団は、プレB細胞および未熟B細胞である。
【0024】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外において生成する方法を提供し、この方法は、(a)標的細胞の集団と生体外にて、ポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有する工程と、(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団を、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%がCD19+μ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞を、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%が関連の抗体を生成するB細胞になるまで共培養する工程とを含有する。いくつかの実施形態において、前記方法は(d)標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日または少なくとも約7日で培養する工程をさらに含有する。いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。
【0025】
いくつかの実施形態において、標的細胞はプロB、プレBおよび/または未成熟B細胞であり、標的細胞を1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、標的細胞の少なくとも約20%がCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する。他の実施形態において、標的細胞はプロB、プレBおよび/または未成熟B細胞であることができ、標的細胞を1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%がCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養した。いくつかの実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+細胞を、CD40Lを発現する第二支持細胞と、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養した。
【0026】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)標的細胞の集団を生体外にて関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触させる工程を含有する。実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。さらに他の実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。また他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞はナイーブB細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は活性化B細胞、形質芽球細胞または形質細胞である。いくつかの実施形態において、工程(a)は、標的細胞の集団と、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するウイルス性または非ウイルス性のベクターをトランスフェクションさせる工程を含む。いくつかの実施形態において、ベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0027】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞を、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%がCD19+μ+になるまで共培養する工程を含有する。いくつかの実施形態において、標的細胞は関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触した細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は関連の抗体とコード化するポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターをトランスフェクションした細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は任意のポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触した細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。さらに他の実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。また他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞はナイーブB細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は活性化B細胞、形質芽球細胞および/または形質細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞を、第一支持細胞の集団と、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%がCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は活性化B細胞、形質芽球細胞および/または形質細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞を第一支持細胞の集団と、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%がCD19+μ+δ+になるまで共培養した。
【0028】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(c)標的細胞と、CD40Lを発現する第二支持細胞を、1以上のB細胞成長因子の存在下にて、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する。いくつかの実施形態において、標的細胞はCD19+μ+細胞、例えば工程(b)で得られたCD19+μ+である。他の実施形態において、標的細胞はCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+細胞、例えば工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+である。さらに他の実施形態において、標的細胞はCD19+μ+δ+細胞、例えば工程(b)で得られたCD19+μ+δ+である。いくつかの実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。さらなる他の実施形態において、標的細胞はナイーブB細胞である。
【0029】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(d)標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて工程(b)の前に培養する工程を含む。標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、様々な日数で培養することができる。例えば、標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日または少なくとも約10日に培養することができる。さらに他の実施形態において、標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日または約10日に培養することができる。また他の実施形態において、標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、約1から約10日、約2から約9日、約2から約8日、約2から約7日、約2から約6日または約2から約5日までで培養することができる。いくつかの実施形態において、標的細胞を、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触した細胞、例えば工程(a)にて産生された標的細胞である。他の実施形態において、標的細胞は関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドレトロウイルスベクターと形質導入された細胞、例えば工程(a)にて産生された形質導入された標的細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は任意のポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触していない細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。さらなる他の実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。また他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。
【0030】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を、生体外にて生成する方法は、前記工程(a)標的細胞の集団を生体外にて、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触させる工程を含有する。他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞を共培養する工程を含有しない。さらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(c)標的細胞と、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて共培養する工程を含有しない。また他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(d)標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下で培養する工程を含有しない。またさらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)、(b)および(c)を含有するが、工程(d)は含有しない。他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)、(b)および(c)を含有するが、工程(d)は含有しない。さらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)および(c)を含有するが、工程(b)および(d)は含有しない。さらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(b)および(c)を含有するが、工程(a)および(d)は含有しない。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記工程(a)標的細胞の集団を生体外にて関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドデリバリーシステムとの接触を、前記工程(d)の標的細胞を1以上のB細胞刺激因子の存在下にて培養した後および/または前記工程(b)標的細胞と1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と共培養した後に実行した。
【0032】
A.定義
特に規定しない限り、本明細書において使用した専門的且つ科学的な用語は、本発明が帰属する当業者に一般的に理解されるような同様の意味を有する。例えばSingleton et al., Dictionaiy of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 1994);Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Press (Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照とする。本明細書に記載のものと同様または同等のあらゆる方法、装置および成分を、本明細書に開示した実施形態の実施で使用することができる。
【0033】
本明細書において使用したように、「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマーとする。ポリペプチドは、様々な長さであることが可能である。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質を、ポリペプチドの規定の範囲内に含む。ポリペプチドは、N末端メチオニン残基の有無であることができる。ポリペプチドは、翻訳後の修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等を含有することができる。「ポリペプチド」の例は、自然発生および自然発生でない双方で、1以上のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸、非コードアミノ酸等)を含有するポリペプチド、置換された結合、融合タンパク質を有するポリペプチド、ならびに従来技術にて知られている他の修飾を有するポリペプチドを含有するが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において使用したように、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、同じ意味で用いられ、任意の核酸であり、リン酸ジエステル結合または修飾された結合、例えばリン酸トリエステル、アミド亜リン酸エステル、シロキサン、炭酸塩、カルボキシメチルエステル、アセトアミデート、カルバミン酸塩、チオエーテル、架橋アミド亜リン酸エステル、架橋メチレンホスホン酸塩、架橋アミド亜リン酸エステル、架橋アミド亜リン酸エステル、架橋メチレンホスホン酸塩、ホスホロチオエート、メチルホスホン酸塩、ジチオリン酸、架橋スホロチオエートまたはスルトン結合、および上記結合の組合せから構成されているものとする。また「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、とりわけ5つの生物学的に発生する塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシル)以外の塩基から構成される核酸を含有する。
【0035】
本明細書において使用したように、「抗原」とは抗原に特異的なポリペプチドに結合することが可能である任意の分子である。好ましい抗原は、免疫細胞にて発現する抗原に特異的なポリペプチドへの結合に応じて、免疫反応を開始することが可能である。いくつかの実施形態において、抗原は関連の疾病または疾患に関連する。抗原は、あらゆる方法において限定されず、好ましくは所望の免疫反応に基づいて選択される。抗原は、例えばポリペプチド、炭水化物、脂質または核酸であることができる。免疫反応を発生することができる抗原の例は、腫瘍抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、アレルゲンおよび自己抗原を含有するが、これらに限定されない。実施形態において、抗原はウイルス抗原、例えばHIV抗原である。他の実施形態において、抗原は腫瘍関連抗原(TAA)である。
【0036】
「抗体」(Ab)および「免疫グロブリン」(Ig)は、同様の構造特徴を有する糖タンパクである。抗体が特異的な抗原への結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは抗原特異性を欠如する抗体および他の抗体様分子の双方を含有する。後者の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系によって低レベル、および骨髄腫によって高レベルにて産生される。
【0037】
「天然抗体」および「天然免疫グロブリン」は、通常ヘテロ四量体グリコプロテインであり、2つの同一の軽鎖(L)および2つの同一の重鎖(H)から構成される。それぞれの軽鎖は、重鎖にジスルフィド結合によって結合する。ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンイソタイプの重鎖の間にて異なる。それぞれの重鎖は、多様な定常ドメインの数に従う可変ドメイン(VH)を有する。それぞれの軽鎖は、一端にて可変ドメイン(VL)、他端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一定常ドメインと整列して配置され、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列して配置される。
【0038】
本明細書の「抗体」という用語を、最も広い意味において使用して、具体的にはヒト、非ヒト(例えばネズミ科)、ヒト化モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片を、それらが所望の生物学的活性を示す限り特に対象とする。様々な抗体が、本明細書に開示のシステムおよび方法に発現することができる。いくつかの実施形態において、抗体はb12であり、HIVの種々の遺伝子サブタイプの、多くの一次分離株を中和するヒトモノクローナル中和抗体である。
【0039】
本明細書において使用した「標的細胞」という用語は、活性化B細胞、形質芽球および形質細胞を含有するが、これらに限定されない抗体産生B細胞へと分化することができるあらゆる細胞とする。標的細胞は、幹細胞、特に造血幹細胞およびリンパ前駆細胞を含有するが、これらに限定されない。
【0040】
「哺乳類」という用語は、哺乳類クラスに属する個体として規定すし、ヒト、家畜(domestic and farm animals)ならびに動物園、スポーツまたはペットの動物、例えばヒツジ、イヌ、ウマ、ネコまたはウシを含むがこれらに限定されない。好ましくは、本明細書の哺乳類はヒトである。
【0041】
本明細書において使用したように、「B細胞刺激因子」を、造血幹細胞および/またはリンパ前駆細胞へのB系統の発生の関与を、支持または促進することが可能な、あらゆる化合物とする。化合物は、小分子、ポリペプチド、タンパク質または核酸であることができる。様々なB細胞刺激因子を、本明細書に記載の方法およびシステムにて使用することができる。B細胞刺激因子の例は、インターロイキン3(IL−3)、Flt3リガンド、トロンボポエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン11(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf1)およびメカノ成長因子(MGF)を含有するが、これらに限定されない。当業者は、使用するB細胞刺激因子の量を、特定の状態に基づいて選択することができる。一般的にB細胞刺激因子の約1〜約1000ng/mLを、本明細書に記載の方法またはシステムで使用することができる;しかしながら、いくつかの状態において、B細胞刺激因子の約1〜約100ng/mLを使用することができる。しかしながら、いくつかの状態にて、多少の量のB細胞刺激因子を使用することができる。1以上のB細胞刺激因子を使用する状態において、それぞれのB細胞刺激因子の量は同一であることができるか、それぞれのB細胞刺激因子は互いに異なることができる。
【0042】
本明細書において使用したように、「B系統成長因子」という用語は、B系統発生の間、1以上のB細胞分化を促進することができる任意の化合物とする。B系統成長因子は、小分子、ポリペプチド、タンパク質または核酸であることができる。B系統発生における段階の非限定的な例は、前駆B細胞から初期のプロB細胞への段階、初期のプロB細胞から後期のプロB細胞への段階、後期のプロB細胞から大きいプレB細胞への段階、大きいプレB細胞から小さいプレB細胞への段階、小さいプレB細胞から未成熟B細胞への段階、および未成熟B細胞から成熟B細胞への段階を含む。B系統成長因子の例は、インターロイキン7(IL−7)、プレプロB細胞成長刺激因子(PPBSF)、インスリン様成長因子−1(IGF−I)、インターロイキン3(IL−3)、Flt3リガンド、トロンボポエチン幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン11(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf1)、およびメカノ成長因子(MGF)を含有するが、これらに限定されない。当業者は、B細胞刺激因子の量を、特定の状態に基づいて選択することが可能であるだろう。一般的に、B系統成長因子の約1〜約1000ng/mLを本明細書に記載の方法またはシステムにて使用することができる。しかしながら、典型的な状態において、サイトカインB細胞活性剤の約1〜約300ng/mL、約20〜約200ng/mL、約50〜約150ng/mL、約80〜約150ng/mLを使用することができる。しかしながら、いくつかの状態にて、多少の量のB系統成長因子を使用することができる。1以上のB系統成長因子を使用する状態において、それぞれのB系統成長因子の量は同じであることができるか、またはそれぞれのB細胞刺激因子は互いに異なることができる。
【0043】
本明細書にて使用したように、「B細胞活性剤」という用語は、ナイーブB細胞の活性、好ましくはナイーブB細胞の抗原の独立的な活性を促進することができる任意の化合物とする。B細胞活性剤は、小分子、ポリペプチド、タンパク質または核酸であることができる。従来の方法を、化合物がナイーブB細胞の抗原の独立的な活性を刺激することができる性能を有するかどうかを決定するため、使用することができる。例えば、化合物をヒト末梢血から分離されたナイーブB細胞の活性に対して検証することができる。B細胞活性剤の非限定的な例は、CpG DNA、サイトカイン、例えばIL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−10、IL−15、IFNα、抗CD40Lおよび乳酸を含む。当業者は、B細胞活性剤の量を、特定の状態に基づいて選択することが可能であるだろう。一般的にサイトカインのB細胞活性剤の約1〜約1000ng/mLを、本明細書に記載の方法またはシステムに使用することができる;しかしながら、典型的な状態においてB細胞活性剤の約1〜約150ng/mLまたは約1〜約100ng/mLを使用することができる。しかしながら、いくつかの状態において、多少の量を使用することができる。一般的に、約0.1〜約5μMのCpG DNAを使用することができる;しかしながら、典型的な状態において、約0.5〜4μM、約1〜約3.5μM、約1.5〜約3μMまたは約2〜約2.5μMのCpG DNAを使用することができる。1以上のB活性剤を使用する状態において、それぞれのB細胞活性剤の量は同じであることができるか、またはそれぞれのB細胞活性剤は互いに異なることができる。
【0044】
本明細書において使用したように、「支持細胞」という用語は、HSPCまたはB細胞の成長、増殖、分化または拡大に関する微環境を生成、促進または支持することが可能なあらゆる細胞とする。本明細書に開示のシステムおよび方法において使用することができる適切な支持細胞は、間質細胞および線維芽細胞を含有するが、これらに限定されない。
【0045】
「ベクター」は、他の核酸を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えばウイルス、プラスミド、コスミッドまたはファージであることができる。「発現ベクター」は、それが適切な環境に存在するとき、ベクターによって担持される1以上の遺伝子によってコード化されるタンパク質の発現を導くことができるベクターである。ベクターは、自己複製できることが好ましい。
【0046】
「調節要素」および「発現制御要素」を、代用して使用することができ、特定の宿主生命体にて影響を実施可能な状態で結合したコード配列の発現に影響を与えることができる核酸分子とする。これらの用語は幅広く使用することができ、プロモーター、RNAポリメラーゼおよび転写制御因子の基本的な相互作用に必要なコア要素、上流要素、エンハンサーおよび反応要素を含む転写を促進または調節する全ての要素に適応される(例えば、Lewin,“Genes V”(Oxford University Press, Oxford)pages847−873を参照とする)。原核生物における例示的な調節要素は、プロモーター、オペレーター配列およびリボソーム結合部位を含有する。真核生物の細胞にて使用する調節要素は、プロモーター、エンハンサー、スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナルを含有するが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において使用したように、「実施可能に結合」という用語を、調節要素と遺伝子もしくはそれのコード領域との間の関係を記載するために使用する。即ち、遺伝子発現を通常特定の調節要素、限定されないが例えば構成的または誘導可能なプロモーター、組織特異的な調節要素およびエンハンサーの制御下に配置する。遺伝子またはコード領域は、調節要素と「実施可能に結合」、「機能的に結合」または「実施可能に関連」であるといわれ、遺伝子またはコード領域を、調節要素によって制御または影響することを意味する。
【0048】
本明細書に使用したように、「B細胞特異的プロモーター」という用語は、特異的トランス遺伝子発現をB細胞にて導入可能な任意のプロモーター/エンハンサーの配列とする。例えば、B細胞特異的プロモーターは、トランス遺伝子発現を、形質芽球および/または形質細胞にて導入可能であることができる。好ましいB細胞特異的プロモーターの他の非限定的な例は、B細胞発生によって一次および二次リンパ臓器における血液生成細胞からトランス遺伝子発現を導くことができるプロモーターである。B細胞の特異的プロモーターは、トランス遺伝子発現をB細胞発生に影響を与えることなく促進可能であることが好ましい。本明細書に開示の方法またはシステムは、B細胞特異的プロモーターのソースで制限しないことを意味する。B細胞特異的プロモーターは、通常B細胞にて発現する遺伝子の発現を制御する、任意のB細胞特異的な遺伝子のプロモーター/エンハンサー、および/またはそれの変異体または改変部分であることができ、例えばCD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD40、CD72、Blimp−1、CD79b(別名B29またはIgβ)、mb−1(別名Igα)、チロシンキナーゼblk、VプレB、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリンκ軽鎖、免疫グロブリンλ軽鎖、免疫グロブリンJ鎖等含有するが、これらに限定されない。B細胞の特異的プロモーターの他の非制限の例は、合成プロモーター、例えばMHプロモーターおよびEEKプロモーターを含有する。下記の図1Bおよび実施例に詳細に記載するように、MHプロモーターは、マトリックス関連領域によって横に位置されるiEμであり、それに先行するμ重鎖プロモーター(VHp)を含有し、EEKプロモーターは、イントロンエンハンサー(iEκ)、MARおよび3’エンハンサー(3’Eκ)によって先行されるヒトκ軽鎖プロモーター(VKp)を含有する。
【0049】
「トランスフェクション」という用語は、核酸媒介遺伝子転移、例えば下記のようなポリヌクレオチドデリバリーシステムと細胞によって宿主細胞内への核酸の導入とする。
【0050】
本明細書に規定するように、「形質転換」は外因性DNAを標的細胞に入る工程を記載する。形質転換は、原核生物または真核生物宿主細胞に異種核酸配列の挿入するための任意の既知の方法に依存することができる。この方法は形質転換される宿主細胞のタイプに基づいて選択され、ウイルス感染、エレクトロポレーション、熱ショック、リポフェクション、および微粒子銃を含有するが、これらに限定されない。「形質転換」細胞は、挿入されたDNAが、自己複製プラスミドまたは宿主染色体の一部のいずれかとして複写することができる安定して形質転換された細胞を含有する。さらに含有されるものは、抗原特異的ポリペプチドを一過的に発現する細胞である。
【0051】
「トランス遺伝子」という用語は、標的細胞の1以上の染色体中にヒトの介入によって組み込む任意の核酸またはDNA配列とする。実施形態において、トランス遺伝子は、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む。抗体をコード化するポリヌクレオチドは、一般的に、関連遺伝子、例えば転写制御配列の、所望の発現を得るために実用的である他の配列に機能的に結合する。他の実施形態において、トランス遺伝子は、それが組み込まれる染色体を示すDNA配列をさらに含有する。
【0052】
「レトロウイルス」は、動物細胞の感染が可能であるエンベロープを有するRNAウイルスである。「レンチウイルス」は、分裂および非分裂の細胞を感染することが可能であるレトロウイルスの種類とする。レンチウイルスのいくつかの例は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIVタイプ1およびHIVタイプ2を含む)、ビスナ−マエディ、山羊関節炎脳炎ウイルス、馬伝染性貧血ウイルス、猫免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BPV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)を含む。
【0053】
「2A配列」または要素は、リンカーとして2つのタンパク質の間に導入される小ペプチドであり、ポリタンパク質の自立性リボソーマル内の自己処理を可能とする(例えば、de Felipe. Gnetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004) and deFelipe et al. Traffic 5:616-626(2004))。これら短いペプチドは、複数のタンパク質を、単一ベクターから共発現することを可能とする。多くの2A要素が、従来技術にて知られている。本明細書に開示の方法およびシステムにて使用することができる2A配列の例は、米国特許公開番号20070116690号明細書に記載されるような口蹄疫ウイルス(F2A)、ウマ鼻腔肺炎Aウイルス(E2A)、ゾーシーアシグナウイルス(T2A)および豚テシオウイルス1(P2A)を限定することなく、含有する。
【0054】
ポリヌクレオチドデリバリーシステム
本明細書に使用したように、「ポリヌクレオチドデリバリーシステム」は、ポリヌクレオチド、特に抗体をコード化するポリヌクレオチドを標的細胞内に導入することが可能であるあらゆるシステムである。ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、ウイルス性および非ウイルス性のデリバリーシステムの双方を含有する。当業者は、特定の抗体をコード化するポリヌクレオチドを標的細胞内に効果的に導入ために使用することができるポリヌクレオチドデリバリーシステムの種類を決定することが可能であるだろう。
【0055】
ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、ウイルス性であることができる。適切なウイルスベクターは、RNAウイルスに基づくベクター、例えばレトロウイルス由来ベクター(例えば、モローニマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクター)および比較的複雑なレトロウイルス由来ベクター(例えば、レンチウイルス由来ベクター);ならびにDNAウイルスに基づくベクター、例えばアデノウイルスに基づくベクターおよびアデノ関連ウイルス(AAV)ベクターを含有するが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、レトロウイルスベクター、より好ましくはレンチウイルスベクターを含有する。ウイルスベクターの非限定な例は、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)、HIV−2、猫免疫不全ウイルス(FIV)、馬伝染性貧血ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)およびマエディ/ビスナウイルス由来のレンチウイルスベクターを含有する。
【0056】
実施形態において、変異レトロウイルスを使用して、抗体がコード化されるポリヌクレオチドを、標的細胞に導入する。抗体をコード化するポリヌクレオチドおよび任意の関連遺伝子要素が、宿主細胞のゲノム中にプロウイルスとしてこのように組み込まれる。
【0057】
ウイルスベクターの生成は、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製、およびDNA塩基配列を含むが、これらに限定されない技術にて知られている任意の適切な遺伝子工学技術を使用して達成することができ、例えばSambrook et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, N. Y. (1989)), Coffin et al. (Retroviruses. Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y. (1997))および“RNA Viruses: A Practical Approach” (Alan J. Cann, Ed., Oxford University Press, (2000))に記載される。
【0058】
ウイルスベクターを、任意の既知の生命体のゲノムから配列を組み込むことができる。前記配列を、それらの本来の形態で組み込むことができるか、または任意の方法において修飾することができる。例えば、前記配列は、挿入、欠失または置換を含むことができる。好ましい実施形態において、ウイルスベクターは、完全なレトロウイルス5’LTRおよび自己不活性3’LTRを含有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、関連の抗体の、重鎖および軽鎖(例えば抗体の重鎖および軽鎖の可変領域)をコード化するポリヌクレオチドを、単一ポリヌクレオチドデリバリーシステムにおける単一ポリヌクレオチド、または1以上のポリヌクレオチドデリバリーシステムにおける独立したポリヌクレオチドのいずれかとして標的細胞内に導入することができる。好ましくは、単一ポリヌクレオチドデリバリーシステムを、抗体のそれぞれの鎖をコード化するポリヌクレオチドを含有するもので活用する。
【0060】
例えば、関連の抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチドを導入する場合、関連の抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを導入することがまた有利である。ポリヌクレオチドデリバリーシステムが、十分な性能を有する場合、重鎖および軽鎖を、例えば単一抗体をコード化するポリヌクレオチドとして共に導入することができる。従って、ポリヌクレオチドデリバリーシステムの実施形態は、抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチド、および抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを含む。好ましくは、前記鎖の一つは、それぞれのサブユニットと同等の発現を促進するため、下記のようにIRESまたは2A要素によって先行する。選択的に、重鎖および軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを、別々に標的細胞内に、それぞれ適切なポリヌクレオチドシステム、例えばそれぞれ別々のレトロウイルス粒子として導入することができる。
【0061】
ベクター
ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、1以上のベクターを含むことができる。ベクターは、抗体をコード化するポリヌクレオチド配列、コード化配列の発現を導く1以上の制御要素と任意に関連のあるものを含有することができる。真核生物細胞発現ベクターは、従来技術にて知られていて、数々の市販の資源から利用できる。抗体をコード化するポリヌクレオチド配列が実施可能な状態で結合するベクターおよび/または発現制御配列の選択は、従来技術にて良く知られているように、例えばタンパク質発現といった所望の機能的特徴および形質転換される標的細胞に直接依存する。本発明で予測される好ましいベクターは、標的細胞の染色体内に抗体をコード化するポリヌクレオチドの挿入、および抗体をコード化するポリヌクレオチドによってコード化される抗体の発現を導くことができる。
【0062】
配列をコード化する実施可能な状態で結合した抗原特異的ポリペプチドの発現を調整するために使用することができる発現制御要素が、従来技術にて知られていて、誘導性プロモーター、構成プロモーター、分泌シグナル、エンハンサーおよび他の調節要素を含有するが、これらに限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態において、抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するベクターは、原核生物レプリコン(即ち、自己複製、および組み換えDNA分子を染色体外にて維持を導く原核生物宿主細胞にて能力を有するDNA配列)、例えば細菌宿主細胞を、それと共に形成転換して含有することができる。前記レプリコンが、従来技術にて知られている。さらに原核生物レプリコンを含むベクターが、検出可能なマーカー、例えば薬剤耐性を与える発現の遺伝子をさらに含有することができる。典型的な細菌薬剤耐性遺伝子は、アンピシリンまたはテトラサイクリンに耐性を与えるものである。
【0064】
他の実施形態において、ポリヌクレオチドデリバリーシステムにて使用されるベクターは、真核生物細胞に効果的である選択的マーカー、例えば薬剤耐性選択マーカーに関する遺伝子を含有することができる。前記遺伝子は、選択的な培養培地において、形質転換宿主細胞の生存または成長のために必要な因子をコード化する。選択遺伝子を含有するベクターで形質転換されない宿主細胞は、培養培地にて生存しないだろう。典型的な選択遺伝子は、抗体または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンに耐性を与えるか、栄養要求性欠損を補足するか、または重培地から与えられない様な栄養分を供給してタンパク質をコード化する。選択可能なマーカーは、独立したプラスミドに任意に存在し、共トランスフェクションによって導入される。
【0065】
ポリヌクレオチドデリバリーシステムにて使用されるベクターは、標的細胞に認識され、抗原に特異的なポリヌクレオチドに機能的に結合するプロモーターを通常含む。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写が生じることを可能とするDNA配列によって形成される発現制御要素である。プロモーターは、構造遺伝子の開始コドンから上流(5’)に位置し(通常約100から1000bp)、それらが実施可能な状態で結合する抗原に特異的なポリヌクレオチド配列の転写および翻訳を制御する翻訳されていない配列である。プロモーターは誘導可能または構成的であることができる。誘導可能なプロモーターは、DNAからの転写の上昇したレベルを、それらの制御下で、培養条件をいくつかの変化、例えば温度変化に応じて開始する。
【0066】
当業者は、適切なプロモーターを特定の状況に基づいて選択することが可能である。多くの異なるプロモーターが従来技術に知られ、抗体をコード化するポリヌクレオチドへ実施可能な状態でプロモーターに結合する方法としてである。天然プロモーター配列および多くの異種プロモーターの双方を使用して、抗原に特異的なポリペプチドの発現を導くことができる。しかしながら、異種プロモーターが好ましく、それらが一般的に天然プロモーターと比較して所望のタンパク質の高い転写および高い収率を可能とするためである。プロモーターを、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス、ウシの乳頭腫ウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得ることができる。またプロモーターを、例えば異種哺乳類プロモーター、例を挙げると免疫グロブリンプロモーター、B細胞特異的プロモーター(例えば、MHプロモーターおよびEEKプロモーター)または通常天然配列と関連するプロモーターであることができ、前記プロモーターは標的細胞と互換性を有する場合である。
【0067】
ベクターは、発現が望ましい2以上の配列の場合、第一の他のそれぞれ付加的な配列は、好ましくは共発現を促進する要素、例えば内部リボソーマル侵入配列(IRES)要素(米国特許第4,937,190号明細書)または2A要素に結合する。例えば、IRESまたは2A要素を、単一ベクターが、マルチサブユニットタンパク質のそれぞれのサブユニットをコード化する配列を有するとき、好ましく使用する。関連のタンパク質の場合には、所望の特異性、例えば第一コード領域(免疫グロブリンの重鎖または軽鎖のいずれかをコード化する)がプロモーターから下流に位置する免疫グロブリンである。第二のコード領域(免疫グロブリンの存続した鎖をコード化)は、第一コード領域から位置し、IRESまたは2Aの要素は、コード化領域の間、好ましくは第二コード化領域のすぐ前に配置される。第一と第二の遺伝子配列(それぞれ重鎖および軽鎖をコード化)の間のIRESまたは2Aの要素の組み込みは、双方の鎖を、ほぼ同じレベルにて標的細胞内で同じプロモーターから発現することを可能とする。
【0068】
本明細書に提供した開示を使用して、当業者は、特定のデリバリーシステムの有効性を、レポータータンパク質をコード化する遺伝子を含むベクターと一次骨髄細胞を形質転換し、適切な技術、例えば緑色蛍光タンパク質の結合から蛍光の測定を使用して、発現を測定することによって試験することができることを、認識するであろう。適切なレポーター遺伝子が、従来技術にて知られている。
【0069】
適切な細胞と本出願のベクターとの形質転換は、よく知られた方法によって達成することができ、使用される方法はいかなる手段であれ限定されない。数々の非ウイルス性デリバリーシステムは従来技術にて知られていて、例えば、エレクトロポレーション;リポソームを含む脂質に基づくデリバリーシステム;「裸」DNAの導入;およびSchatzlein AG. 2001. Non-Viral Vectors in Cancer Gene Therapy: Principles and Progresses. Anticancer Drugs.に記載されているようなポリシクロデクストリン化合物を使用する導入を含む。陽イオン性脂質または塩の処理方法を通常使用して、例えばGraham et al., Virol., 1973, 52:456;Wigler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1979, 76:1373-1376を参照として典型的に利用する。リン酸カルシウム沈殿法が、好ましい。しかしながら、ベクターを細胞内に導入するための他の方法は、核顕微鏡下注射および細菌原形質体融合を含有するものをさらに使用することができる。
【0070】
ウイルスベクターを、本明細書に記載の方法またはシステムに使用することができる。ウイルスベクターから産生される組み換えウイルスを、ウイルスが細胞を感染することを可能とする任意の方法で、標的細胞へ導入することができる。ウイルスが細胞膜と、例えばウイルスが含まれる培地にて細胞をインキュベートによって接触することを可能とすることが好ましい。
【0071】
標的細胞
標的細胞は、生殖細胞系細胞および細胞株と体細胞およびその細胞株との双方を含有する。標的細胞は、いずれかの複製起点から由来する幹細胞であることができる。標的細胞が生殖細胞系細胞であるとき、標的細胞が単一細胞胚および胚性幹細胞(ES)からなる群から選択されることが好ましい。標的細胞が体細胞であるとき、細胞は例えばプレB、プロB、未成熟、ナイーブB細胞および活性化B細胞を含有するが、これらに限定されない未成熟または成熟したリンパ球を含む。
【0072】
標的細胞は、幹細胞を含む細胞の異質集団を含有するが、これらに限定されない幹細胞または幹細胞株であることができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。好ましくは、標的細胞は造血幹細胞である。実施形態において、標的細胞は第一骨髄細胞である。他の実施形態において、標的細胞は臍帯血からのCD34+細胞である。
【0074】
標的細胞は、ヒト、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコおよびモルモットを含有するが、これらに限定されないあらゆる哺乳類生物から由来するものであることができる。標的細胞は従来技術にて知られるあらゆる方法によって得られたものであることができる。
【0075】
標的細胞を、ポリヌクレオチドデリバリーシステムと、生体内または生体外のいずれかで接触することができる。好ましくは、標的細胞を培養物にて維持し、ポリヌクレオチドデリバリーシステムと生体外にて接触することである。細胞を培養する方法が、従来技術によく知られている。
【0076】
診断への適用
以下に記載するように、本明細書に開示したような抗体産生B細胞を生成する方法は、疾病または疾患の検出および/または疾病または疾患の進行の観測に実用的である関連の抗体を生成することができる。本明細書にて使用したように、「診断」という語句は、疾病または疾患の存在または性質を同定することとする。疾病または疾患と関連のある抗原(例えば、抗原タンパク質、抗原核酸配列、抗原ペプチド、抗原脂質、抗原炭水化物および抗原小分子)の検出は、疾病または疾患の診断の手段を提供する。前記検出法を、例えば状態の初期診断で使用して、対象が疾病または疾患を罹るかどうかを決定し、疾病または疾患の進行、治療プロトコルの進行を観測し、疾病または疾患の重症度を評価し、疾病または疾患の予後および/または回復の見込みを予測するか、または対象のための適切な治療を決定の補助することが可能である。検出は生体外または生体内にて発生することができる。
【0077】
本明細書に記載した実施形態における診断で考えられる疾病は、抗原、例えば疾病と関連のある抗原が特異的に関連の抗体と結合することができる任意の疾病を含む。例えば、抗原は腫瘍抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、アレルゲンおよび自己抗原であることができる。実施形態において、抗原はウイルス抗原、例えばHIV抗原である。他の実施形態において、抗原は腫瘍関連の抗原(TAA)である。
【0078】
いくつかの実施形態において、診断される疾病は、癌の種類、例えば白血病、癌、リンパ腫、星状細胞腫、肉腫、特にユーイングの肉腫、神経膠腫、網膜芽腫、黒色腫、ウィルム腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、肝細胞性癌、膵癌、前立腺癌、肺癌、肝癌、胃癌、子宮頸癌、精巣癌、腎細胞癌および脳腫瘍等である。
【0079】
他の実施形態において、診断される疾病は、細胞内寄生虫による感染と関連する。例えば、細胞内寄生虫は、ウイルス、例えばアデノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、単純疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、肝炎ウイルス、乳頭腫ウイルス、パーボウイルス、ポリオーマウイルス、はしかウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはヒトT細胞白血病ウイルス等であることができる。他の実施形態において、細胞内寄生虫は、バクテリア、原生動物、真菌またはプリオンであることができる。より詳細には、細胞内寄生虫は、例えばクラミジア属、リステリア属、サルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ菌、コクシエラ属、リケッチア属、マイコバクテリウム属、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、トキソプラズマ属およびプラスモジウム属であることができる。
【0080】
本明細書に記載した方法およびシステムによって生成される抗体産生B細胞から産生される抗体は、多様な有用性を有する。抗体での数々の他の使用が、治療的、診断的、法医学的、環境的および市販の応用を含有する従来技術にて知られている。例えば、生体外または生体内のいずれかにおける抗原は、関連の抗体と結合することができる。従って、本明細書に開示した方法を、有機体および/または抗原(例えばポリペプチド、炭水化物、脂質または核酸)の存在を、法医学/環境サンプルまたは組織/細胞で検出するために使用することができる。いくつかの実施形態において、前記方法を、活性化した状態の酵素の検出を可能とすることができる抗体の産生で使用することができる。他の実施形態において、前記方法を使用して、タンパク質を、例えば研究室規模または産業規模にての精製することができる
【実施例】
【0081】
さらなる実施形態を、より詳細に以下の実施例で開示し、いかなる方法であれ請求項の範囲を制限することを意図としない。
【0082】
実験方法
以下の実験方法を下記の実施例1〜4に使用した。
【0083】
プラスミドコンストラクション
抗HFV抗体b12の軽鎖および重鎖の可変配列を増幅し、ヒトκ鎖定常部および分泌IgG1定常部の上流にそれぞれ挿入した。2つの結果として生じる遺伝子は、自己切断F2Aペプチドによって結合し、バイシストロニックユニットを形成した。その後結合した遺伝子を、FUWレンチウイルスベクター内にサブクローンし、ユビキチンCプロモーター(U)を含有するレンチウイルスベクターFUW−b12(本明細書にて「U−b12」ともする)を作成した(図1B)。また、FMHWレンチウイルスベクターを、マトリックス会合領域(MAR)の側面に位置されるEμエンハンサーの前に、FUW内のユビキチンCプロモーターをヒトμ重鎖プロモーター(MHプロモーター)と置換することによって構成した。同様に、FEEKWベクターを、エンハンサーおよびMARの前に、FUW内のユビキチンCプロモーターを、ヒトκ軽鎖プロモーター(EEKプロモーター)を置換することによって構成した。その後b12のバイシストロニックユニットを、FMHWおよびFEEKW内にサブクローンし、レンチウイルスベクターFMHW−b12(本明細書において「MH−b12」ともする)およびFEEKW−b12(本明細書において「EEK−b12」ともする)をそれぞれ生成した(図1B)。さらに緑色蛍光タンパク質(GFP)を、FUW、FMHWおよびFEEKW内にサブクローンし、レンチウイルスベクターFUWG(本明細書において「U−GFP」ともする)、FMHWG(また本明細書において「MH−GFP」ともする)およびFEEKWG(本明細書において「EEK−GFP」ともする)を生成した。全てのコンストラクトを、Nalm−6(プレB)、Ramos(ナイーブB)、Dakiki(形質細胞腫)およびJurkat細胞株にて、ヒトHSPC内に導入する前に試験した。
【0084】
レンチウイルスの形質導入
レンチウイルスを、リン酸カルシウム沈殿物によるHEK293T細胞のトランスフェクションによって生成した。高滴定濃度ウイルスを調製するため、ウイルスの上清を超遠心分離によって90分間、5000×gで濃縮した。ヒト臍帯血CD34+HSPCを感染の前24時間未満で、10%ウシ胎仔血清およびサイトカインを含有するIscove’s modified Dulbecco medium(IMDM)にて保持した。サイトカインは、ヒト組み換え型インターロイキン−3(IL−3;10ng/mL)、Flt3リガンド(10ng/mL)、トロンボポエチン(10ng/mL)、幹細胞因子(SCF;5ng/mL)、および顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF;5ng/mL)を含み、感染中一日おきに与えた。濃縮レンチウイルス粒子による感染多重度で0.3〜0.4×106のHSPC/穴の1000の2つの一連の感染を、Retronectin50μg/mLでプレコートした48穴プレートにて実行した。HSPCを感染後3日目に収集し、フローサイトメトリーによって分析した。感染細胞は、それらの前駆表現型を維持した。
【0085】
酵素に結合した免疫吸着剤の分析
全ヒトIgM、IgGおよびIgAを、商業用酵素結合の免疫吸着剤分析(ELISA)のキットを使用して分析した。b12−IgG1を検出するためのELISAを、Selvarajah et al., J Virol., 2005, 79:12148-12163から修正した。分析にて、プレートを、一晩、4℃にて単量体gp120MN、2μg/mLで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)内で被覆した。穴を、0.05%のTween−20を含むPBS(PBS−T)で洗浄し、3%ウシ血清アルブミン(BSA)で、1時間、室温にて阻害した。BSAを吸引後、サンプルの希釈剤、および1%BSAを含むPBS−Tにおけるb12標準を添加し、37℃にて3時間インキュベートした。b12標準培地を、293T細胞とU−b12をトランスフェクションすることによって得て、その濃度をBiacore gp120結合分析によって測定した。穴を再度洗浄し、セイヨウワサビペルオキシダーゼと結合するヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2を1:1000で希釈して添加し、1時間37℃にてインキュベートした。プレートを3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン溶液の添加によって発現した。2MのH2SO4を添加することによって、反応を中止し、プレートを450nmでSpectroMax Reader上にて読み込んだ。
【0086】
ウイルスの組み込みの検出
プロウイルスのコピー数を、修飾されたAlu長い末端反復(LTR)ネステッド−ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプロトコルで測定した。PCRの最初のラウンドは、Alu配列(Alu-fw: 5'- TCCCAGCTACTGGGGAGGCTGAGG-3')およびウイルスが組み込まれた後の5’LTRのすぐ下流の配列(PBS-bw: 5'-GAGTCCTGCGTCGAGAGAG-3')の間で最長3kbまでの増幅を可能とした。第二ラウンドは、SYBR greenに基づく定量PCRを使用して、プロウイルスLTRの143bp配列を検出した(late-RT-fw: 5'-TGTGTGCCCGTCTGTTGTGT-3'およびlate-RT-bw: 5'- GAGTCCTGCGTCGAGAGAGC-3')。検量線を確立するため、組み込まれたgDNA標準を、6ヶ月間維持した組み込みFUWで安定なTHP−I細胞株からgDNAを抽出することによって生成し、標準gDNAにおけるプロウイルスのコピー数を、線状FUWプラスミドの連続希釈法をLTRコピーの既知の数で使用して決定した。無関係なベクトルで形質導入されたTHP−1株のゲノムDNAを、陰性対照として使用した。β−グロビンをローディングコントロールとして使用した。前記Alu−LTRネステッドPCRのプロトコルの検出範囲は、50ngのgDNAにつき500〜6×104コピーである。B細胞発生の異なる段階におけるゲノムDNAの量および細胞数の間の相互関係を、実験的に決定した。
【0087】
実施例1
第一段階:B系統関与のための刺激、およびHSPCのレンチウイルス形質導入によるヒトB細胞のプログラミング
この実施例において、CD34+臍帯血細胞を、前記工程(a)にてレンチウイルスコンストラクトとトランスフェクションし、前記工程(b)にて約5日間B系統発生で刺激して、B細胞刺激因子、例えばIL−3、Flt3リガンド、トロンボポエチン、SCFおよびG−CSFの存在下で関与した。
【0088】
GFPをコード化するレンチウイルスベクターであるFUGWを使用して、ウイルス性形質導入を試験した。CD34+臍帯血細胞を、ウイルスおよび細胞の間を結合するものとしてRetronectinと混合した。HSPCを、IL−3(10ng/mL)、Flt3リガンド(10ng/mL)、トロンボポエチン(10ng/mL)、SCF(5ng/mL)およびG−CSF(5ng/mL)を含むB細胞系統に、前駆細胞成長の促進および関与を支持する刺激混合物の因子の存在下にてインキュベートした。その後mockベクターまたはFUGWウイルスと感染多重度1,000で、2つの一連の感染を、HSPCに与えた。サイトカインの同じ混合物を、一日おきに感染時に添加した。感染細胞を、感染から3日後(インキュベーション合計5日)に収集し、フローサイトメトリーによって分析した。図2Aに示すように、CD34+細胞の80%を超える形質導入効率を、インキュベーション5日後、刺激混合物の因子にて達成した。同様の形質導入効率を、珍しく、特にヒト臍帯血におけるCD34+細胞の初期の亜細胞であるCD34+CD38細胞をゲート制御したとき観測した。
【0089】
レンチウイルスベクターのU−b12、MH−b12、EEK−b12を、HSPCを形質導入で用いられる前試験で、2つのヒトB細胞株(Nalm−6およびRamos)および1つのT細胞株(Jurkat)内にトランスフェクションした。3つの細胞株の何れも内因性IgGを発現しなかったため、細胞内IgGの染色は、トランスジェニックb12−IgG1を示す。b12−IgG1発現でのユビキチンプロモーター(U)の効果を、MHまたはEEKのB細胞特異的プロモーターのいずれかのものと比較した。図2Bに示すように、ユビキチンに誘導されるコンストラクトU−b12は、b12−IgG1を、双方のバンドT細胞株にて発現する一方、B細胞特異的プロモーターを含有するMH−b12は、B細胞でb12−IgG1の高発現を、T細胞ではほとんど発現しないことを導いた。b12−IgG1発現で同様の効果を、EEK−b12の場合にも観測した。
【0090】
F2Aを含むバイシストロニックレンチベクターから産生されるb12−IgG1の相関性を確認するため、b12の重鎖および軽鎖の発現および集合を、還元および非還元の状態にて測定した。293T細胞を、レンチウイルスベクターFUW−b12とトランスフェクションした。細胞タンパク質を還元(+β−メルカプトエタノール;すなわちβ−ME)および非還元の状態(−β−ME)下にて、SDS−PAGEを使用し、続いてIgG−Fc(γ重鎖/HC)とκ軽鎖/LCのウェスタンブロット法によって抽出および分析した。90%を超える重鎖(H)および軽鎖(L)が発現し、F2A部位にて切断され(非切断:H−2A−L)、ほとんどの重鎖はホモ二量体を(H2;100kD)、二硫化物結合によって形成し、それらは軽鎖(H2L2)を分泌前に、培地へ取り込んだ(図2C)。
【0091】
さらに、b12−IgG1のHIV中和性能を、偽型ウイルスを中和する分析を使用して確認した(図2D)。293T細胞を、レンチウイルスベクターFUW−b12とトランスフェクションした。培養上清を、Biacore分析によって収集および測定し、gp120への結合の約6μg/mLの濃度を得た。精製したb12の濃度は、125μg/mLであった。培養上清および精製したb12を、偽型ウイルス中和分析の対象としたとき、最初の濃度1.2μg/mLの5倍の25μg/mLまでそれぞれ希釈した。図2Dに示すように、b12を含有する培養培地は、偽型ウイルスのSF162菌を、精製したb12−IgG1と同程度強力に中和することができた。中和50%阻害濃度(IC50’s)は、培養培地および精製したb12で、それぞれ0.040μg/mLおよび0.026μg/mLであった。
【0092】
実施例2
第二段階:刺激したHSPCからMS5間質細胞でヒトB細胞の発生
この実施例において、B系統成長因子IL−7を発現するネズミの間質MS5細胞を使用して、工程(c)にて刺激したHSPCから、ヒトのプロB、プレBおよび未成熟B細胞の、一連の生成を支持した。刺激したCD34+HSPCを、3〜4週間MS5細胞で培養した後、HSPC23〜28%が、プロB細胞となった。またインキュベーションから更に2〜3週間後、CD19+細胞65〜69%は、プレBおよび未成熟B細胞の混合物を示した。
【0093】
MS5間質細胞を、3×104細胞/穴にて24穴プレートを一晩播種した。その後、ヒトHSPCをレンチウイルスベクター(U−GFPまたはMH−GFP)で形質導入し、非ウイルス性コントロール細胞をMS5単分子上に、5%ウシ胎仔血清を含むIscove modified Dulbecco medium中の穴につき6×104細胞/500μLでそれぞれ播種した。HSPCおよびMS5細胞の共培養を、週2回の供給によって5〜6週間、最初培地500μLを添加し、次に弱く撹拌した後、細胞80%を除去し、培地300μLを再度添加して、維持した。
【0094】
MS5へさらすことに応じて、HSPCはCD34およびc−kitの発現を、初期前駆細胞用のマーカーで欠失し、二重陰性細胞(CD34−c−kit−)のパーセンテージを時間と共に増加した(図3A)。mock感染されたCD34+細胞、およびb12発現したレンチウイルスと感染されたCD34+細胞の間における明確な差を全く観測しなかった。図3Bに示すように、脊髄系統に相当するCD13+細胞が、共培養の開始後早くても1週目に現れ始めた。しかしながら、B細胞系統刺激およびMS5間質支持の組み合わせは、CD19+初期B細胞の生成を、3から4週目の間に誘導した(図4A)。4週以降、B細胞は形成を継続し、優勢であった。
【0095】
第二段階中にB細胞発生でトランス遺伝子の効果を測定するため、非感染HSPC(ウイルス非存在)または異なるレンチウイルスコンストラクトと形質導入されたHSPCを、3〜4週間(プロB細胞の段階に相当)または6週間(プレBおよび未成熟B細胞の混合物が存在するときの時間に相当)MS5間質細胞で培養した。その結果は、B細胞の生成が、トランス遺伝子の発現によって影響しないことを示した(図5A)。またユビキチンプロモーターがGFP発現の同程度のレベルを、CD19−およびCD19+細胞の双方で4週にて促進するが、B細胞特異的なMHプロモーターは、CD19+細胞におけるGFP発現が比較的高かった(図4A右パネル)。
【0096】
第二段階の終わり(6週目)で、CD19+CD10+プレBおよびCD19+CD10未成熟B細胞の双方を生成し、それらの割合は導入されるレンチウイルスコンストラクト(MH−b12およびEEK−b12)に関わらず、同程度であった。これら特定の測定において、総CD19+細胞のパーセンテージは、MH−b12の場合、EEK−b12より比較的向上していた。図5Bを参照とする。しかしながら、図5Aに示すように、レンチウイルスコンストラクトの平均的な効果は、統計学的には同程度であった。
【0097】
第二段階が生体内で正常ヒト骨髄に存在するB細胞の部分母集団の代表種を支持するかどうかを測定するため、初期B系統マーカーの表面発現を評価した。プロB細胞は、CD19およびCD10の共発現によって同定し、3週間後に現れた(図4B左パネル)。これらの細胞は代替軽鎖の発現に対して陰性であり、それらが実際プロB細胞であったことを示した。また、B細胞特異的プロモーターによって促進されたトランス遺伝子発現を、プロB細胞のみで見出されたが、他の細胞にては見出されなかった(図4B右パネル)。対照的に、MH−GFP形質導入された前駆細胞由来のCD11c+樹枝細胞は、GFPに対して陰性(図4C)であり、免疫グロブリン転写の樹枝細胞における欠如と一貫していた。これはMHプロモーターが、B細胞系統にて主に活性化であることを示す。
【0098】
形質導入された細胞およびMS5間質細胞の共培養の4週後、総細胞の25%から30%はCD19+μ+であり、3週間で5%から8%であった。6週目にて、CD19+細胞集団は、VプレB+プレB細胞およびκ/λ+未成熟B細胞からなる(図4E下段の左および上パネル)。これら細胞は、μ+δ−であり、それらは成熟B細胞でないことを示す(図4E下段右パネル)。全CD19+細胞は、またIg(図4F)ならびにIgβに対して陽性であり、それらはそれらのB細胞受容体またはプレB細胞受容体を介してシグナルを発することが可能であることを示唆する。これらの結果は、プロB細胞が第2段階の週3から週4にて産生され、プレBおよび未成熟B細胞の混合物が、第2段階の終わりにて産生されたことを示した。
【0099】
ウイルス非存在のHSPC、コントロールベクター(mockまたはGFPベクター)と形質導入されたHSPC、またはb12コンストラクトと形質導入されたHSPCで開始した実験由来のB細胞のパーセンテージにおいて、有意差は全く観測しなかった(図5A)。また、MH−b12もEEK−b12のいずれも、CD19+CD10+プレBおよびCD19+CD10−未成熟B細胞の発生を、第2段階6週目で影響を及ぼさなかった(図5B)。全ての前記結果は、分泌IgG発現またはGFP発現が、骨髄での正常B細胞発生を妨げないことを示唆した。
【0100】
実施例3
第三段階:生体外における発生したヒトB細胞の活性化および血漿細胞分化
この実施例において、IL−2、IL−10およびCpG DNAを含むB細胞活性剤を、CD40Lを発現するMS5細胞と共に使用して、プロB、プレBおよび未成熟B細胞の活性化および最終分化を形質芽球および形質細胞に支持した。MS40L細胞との共培養2〜3週以内に、第2段階から得たB細胞約90%は、抗体分泌形質芽球(35〜37%)および形質細胞(16〜23%)を含有する活性化B細胞内に発生した。
【0101】
ヒトCD40Lクローンを、FUW内にサブクローンした。MS5間質細胞を、FUW−CD40Lウイルスによって形質導入し、MS40L単一クローンを、フローサイトメトリーによって選択し、ヒトCD40Lの低いまたは高いレベルを、細胞表面にて発現する安定なMS5細胞株を生成した。その後、第2段階中に生成したプロB、プレBおよび未成熟B細胞をカウントし、穴あたり5×104細胞/500μLで、MS40L−低またはMS40−高の細胞と、IL−2の10ng/mL、IL−10の100ng/mLおよびCpG DNA(SEQ ID NO:3)の2μMの存在下で、プレコートした48穴プレートで播種した。いくつかの実験において、IL−6(50ng/mL)、可溶性CD40L(1μg/mL)および架橋性エンハンサー(2μg/mL)を、さらに使用した。
【0102】
可溶性CD40Lは、生体外由来のB細胞の生存および分化の促進できなかった。一方で、MS40L−高またはMS40−低の細胞株によって提供される固定40Lは、可溶性CD40Lと比較して、生体外由来のB細胞の活性化および増殖に有力である。またMS40L−低細胞は、形質細胞になる第2段階由来のB細胞を誘導するMS40L−高より、有力である(図6B)。形質細胞は、第3段階の終わりにて最も明確であり、表面CD19およびIgMの減少したレベル(図6C上段パネル)、CD20−CD38+細胞の出現(図6C中央パネル)、およびCD27の上昇したレベル(図6C下段パネル)によって規定した。これらの結果は、固定されたCD40Lの適切なレベルが、形質細胞内の生体外由来B細胞の増殖および末端分化を誘導できることを示した。
【0103】
ナイーブB細胞の抗原に依存しない活性化を達成するため、CpG、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、インターフェロン−αおよび抗CD40Lから選択されるサイトカインを含有する種々の促進剤の組み合わせを、種々の刺激剤の組み合わせを有するヒト末梢血から分離されたナイーブB細胞の活性化に対して試験した。一組の実験において、IL−2/IL−10/CpGおよびIL−2/IL−10/CpG/IL−6の組み合わせを使用し、細胞へ3日に一度投与した。その組み合わせの双方とも抗体分泌CD20−CD38+およびCD19−/低CD27+細胞のパーセンテージが上昇した(図6D)。
【0104】
2から3週間、MS40L−低で、IL−2、IL−10およびCpGの存在下にて培養した第3段階の細胞の、詳細な表現型評価は、抗体分泌の形質芽球および形質細胞を生成することを明らかにした。第3段階細胞の分化中、CD19発現が減少した(図7A左パネル)一方、CD20−CD38+細胞(前駆体および完全な形質細胞)およびCD138+形質細胞は上昇した(図7B)。CD86発現を、第3段階の開始後まもなく評価した(図7A左パネル);しかしながら、向上したCD86レベルは、B細胞が増殖から形質細胞内への分化に切り替わるにつれて、減少した。表面IgG発現が現れる一方で、CD27+細胞のパーセンテージは上昇し(図7C)、内因性IgMから膜結合性IgGへのクラスの切り替えの発生およびメモリ細胞表現型の出現を示した。GFPをもたらすB細胞の血漿細胞分化(図8)またはb12レンチウイルスコンストラクトの間の相違を全く観測されず、形質細胞への表現型のMHおよびEEKプロモーターの効果は異ならず(図7A〜B)、分泌IgGトランス遺伝子の発現は血漿細胞分化を妨害しないことを示唆した。
【0105】
第3段階の終わりでB細胞は、第2段階から生成される細胞より大きく、顆粒状であり(図7E)、形質芽球または形質細胞の形態を示し(図7F;ヒト骨髄からの正常な形質芽球および形質細胞の組織学的な比較、図9参照)、内因性IgM、IgGおよびIgAの比較的多い量を産生した(図7G)。これらの結果は、第2段階由来のB細胞が、IL−2、IL−10、CpGおよびMS40L−低の組み合わせを使用する形質芽球および形質細胞の段階を達成するため、活性化することができ、これらの抗体分泌細胞が、トランス遺伝子b12−IgG1の存在に関わらず、表現型的且つ機能的に正常であることを示した。
【0106】
実施例4
抗HIV抗体b12−IgG1を産生するためのヒトB細胞のプログラミング
生体外培養システムの異なる時点でB細胞のゲノムDNAにおける、組み込まれたレンチウイルスの分析は、プロウイルスがB細胞発生を通して存在することを示した(図10)。明らかに生存し且つ発生した組み込み部位をもたらす細胞は、第3段階の終わりで細胞あたりのプロウイルスコピー数のように、平均的にはそれらの前駆細胞のものから統計学的に異ならなかった(P=0.26)。これは、抗HIV中和抗体をコード化するレンチウイルスの安定した組み込みを、HSPCから抗体分泌B細胞まで維持することができることを示唆した。
【0107】
b12特異的ELISAを使用して、b12分泌量を、第2段階および第3段階までの間に生成した細胞から測定した。第2段階中、少量のb12−IgG1を、b12トランス遺伝子を細胞に導入した場合、毎週収集した細胞培養上液に検出した(図11A)。ユビキチンプロモーターは、一定に低いレベルのb12発現を促進した。MHプロモーターへの応答によるb12の発現は、同様に低いが、おそらくプロB細胞が発現し始めた時間と一致した。第3段階の終わりで、高レベルの内因性IgM、IgGおよびIgAを検出し(図11B);100ng/mLを超えるb12を、細胞をMH−b12と最初に形質導入した場合に検出し、高レベルの約1.5μg/mLのb12をEEK−b12の場合に検出した。一貫して、EEKプロモーターは、骨髄腫細胞株におけるGFP発現の促進において、MHプロモーターより活性化であったが(図11F)、Nalm−6またはRamosのいずれかの細胞株ではないが、軽鎖プロモーターがb12の発現を、抗体分泌形質細胞にて好ましく促進できることを示唆した。
【0108】
ユビキチンプロモーターは、トランス遺伝子をB細胞にて促進することに関して相対的に弱く、従って2つのB細胞特異的プロモーターのいずれかと比較してb12−IgG1のレベルを誘導することができなかった。形質細胞の抗体分泌機構の性能は、分泌された抗体の総量を制限することができ、b12−IgG1がこれらの細胞から高く産生される場合(図11C)、EEK−b12をもたらす細胞からのIgM産生の減少を導く(図11B)。B12−IgG1は、またトランス遺伝子をもたらすB細胞の細胞質にて、抗gp120エピトープおよびb12−IgG1の重鎖定常部とそれぞれ相互作用する蛍光色素のラベルされたgp120MNおよび抗IgGの細胞内共染色を使用して、検出可能である(図11D)。EEK−b12によって達成した1.5μg/mLの濃度は、内因性IgG産物と同程度であり(約1μg/mL)、ヒト血清内に使用したとき、該濃度は生体外においてHIV−Iウイルスの90%を超える中和を達成するのに十分である。全体的に、これらの結果は、HSPCをMH−b12またはEEK−b12レンチウイルスコンストラクトと形質導入し、形質導入された細胞をB系統で分化し、ヒトB細胞をb12−IgG1中和抗体を産生するためプログラムすることができることを示した。
【0109】
実施例5
刺激されていないHSPCからのIg分泌ヒトB細胞の発生
ヒト臍帯血からのCD34+細胞を播種し、B系統成長因子IL−7を発現するMS5ネズミ間質細胞単分子層上にて培養した。細胞培養を週2回行い、新鮮な培地を添加したり、次に培養穴からの培地80%を吸引し、新鮮な培地を添加した。細胞培養を、CD19+細胞の出現に関して観察した。細胞集団の有意なパーセンテージが、CD34−CD19+になるとき、長期の培養細胞を収集し、MiniMacs細胞分離システムを使用して、CD19+細胞を増加させた。
【0110】
その後増加した19+細胞を、IL−2、IL−10およびCpGを含有するB細胞活性剤の存在下で、CD40L(例えばMS40L−低およびMS40L−高)を発現するMS5細胞と共に、実施例3に記載したように培養する。MS5細胞が、CD19+細胞の活性化および末端分化をIg分泌形質芽球または形質細胞に支持することが予期される。
【0111】
実施例6
プロB、プレBおよび/または未成熟B細胞から抗体産生ヒトB細胞への発生
プロB、プレBまたは未成熟B細胞を播種し、B系統成長因子IL−7を発現するMS5ネズミ間質細胞単分子層上で培養した。細胞培養を週に2回行い、新鮮な培地を添加したり、培養穴から培地80%を吸引し、新鮮な培地を添加した。細胞培養を、CD19+μ+δ+細胞の増加に関して観察した。細胞集団の有意なパーセンテージが、CD19+μ+δ+になるとき、細胞を収集し、MiniMacs細胞分離システムを使用して、CD19+μ+δ+細胞を増加した。
【0112】
その後関連の抗体をコード化する遺伝子を、増加したCD19+μ+δ+細胞内に、従来の遺伝子デリバリー技術、例えば関連の抗体がコード化する遺伝子を含有するレンチウイルスベクターと細胞をトランスフェクションすることによって導入した。関連の抗体をコード化する遺伝子を含有するCD19+μ+δ+細胞を、IL−2、IL−10およびCpG DNAを含有するB細胞活性剤の存在下で、CD40L(例えばMS40L−低およびMS40L−高)を発現するMS5細胞と共に、実施例3に記載したように、培養する。MS5細胞が、関連の抗体を産生する形質芽球または形質細胞に、CD19+μ+δ+細胞の活性化および末端分化を支持することが予期される。
【0113】
実施例7
ナイーブB細胞から抗体産生ヒトB細胞への発生
関連の抗体をコード化する遺伝子をもたらすナイーブB細胞を播種し、IL−2、IL−10およびCpG DNAを含有するB細胞活性剤の存在で、CD40L(例えば、MS40L−低およびMS40L−高)を発現するMS5細胞と共に、実施例3に記載したように培養した。関連の抗体をコード化する遺伝子を、ナイーブB細胞内に、従来の遺伝子デリバリー技術、例えば関連の抗体がコード化される遺伝子を含有するレンチウイルスベクターとナイーブB細胞をトランスフェクションすることによって導入した。MS5細胞は、関連の抗体を産生する形質芽球および形質細胞に、ナイーブB細胞の活性化および末端分化を支持すると予期した。
【0114】
上記発明を特定の実施形態に関して記載したが、他の実施形態は当業者に明らかである。したがって、他の組合せ、省略、交換および変更が、本明細書の開示を考慮して当業者に明らかある。従って、本出願は、好ましい実施形態の説明を制限する意図するものではないが、添付の特許請求の範囲を参照することによって規定されることを意図する。本明細書に引用される全ての引用文献を、それらを完全に参照することによって組み込む。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、特許法合衆国法典第35巻(35U.S.C.)§119(e)の基、2008年11月21日に出願した米国出願第61/199,932号を主張し、本明細書に参考文献として明確に組み込むものとする。
【0002】
配列表の参照
本出願は、電子形式にて配列表と共に出願している。配列表は、2009年11月19日に作成され、サイズ4.0KbのSEQLISTING.TXTと称するファイルとして提供する。配列表の電子形式の情報を、本明細書に参考文献としてそれを完全に組み込むものとする。
【0003】
技術分野
本出願は、一般的に免疫および遺伝子導入の分野に関する。より詳細には、本出願は、プログラミングヒトB細胞が関連のある抗体を生成する生体外におけるヒトBリンパ球生成培養システムに関する。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
抗体は、感染症と戦い、病原因子を取り除くことにおいて重要な役割を果たす免疫系によって産生される自然発生のタンパク質である。抗体は、それらの機能を、タンパク質または非タンパク質抗原を結合し、防御反応を誘発することによって発揮する。
【0005】
B細胞は、抗体生成にて主要な役割を果たすリンパ球である。正常な血液生成時に、B細胞集団は、骨髄にて血液生成幹細胞から生成され、活性化されるようになる。活性化に応じて、B細胞は、抗体分泌形質芽球および形質細胞を含有する、より分化した細胞へと分化し始める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ヒトB系統発生を支持し、B細胞の分化を促進してあらゆる関連の抗体を産生する効率的な生体外培養システムを開発することが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本出願は、抗体産生B細胞を生体外において生成するためのシステム、方法および組成物を提供する。本明細書に記載のシステムおよび方法に従って生成される抗体産生B細胞は、治療、診断、産業、法医学的および環境への適用を含有する多岐に渡る実用性を有する。いくつかの非制限的例の実用性は、病原体に対する生命体の免疫反応への刺激;特定の疾病または疾患、例えば病原性感染症であり、HIV感染等または癌に対する免疫反応の提供;および特定の疾病、疾患の検出および/または特定の疾病、疾患の進行のモニタリングである。本明細書に記載のシステムおよび方法に従って産生された抗体を、例えば法医学的/環境のサンプルにおける生命体および/または抗原(例えば、ポリペプチド、炭水化物、脂質または核酸)の存在の同定、酵素の活性化状態の検出の同定ならびに精製されたタンパク質の産生の同定に、適用して使用することができる。
【0008】
本出願の一態様において、関連の抗体を血液生成幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団から生体外で産生されるB細胞を生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(a)血液生成の幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団と生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む工程と;(b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団とHSPCを、HSPCを共培養する工程と;(c)工程(b)で得られたCD19+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて共培養する工程とを含有する。他の実施形態において、方法はHSPCを1以上のB細胞刺激因子の存在下にて工程(b)の前に培養する工程を、さらに含有する。工程(b)を、例えばHSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで実施することができる。同様に、工程(c)を、例えばCD19+μ+細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで実施することができる。
【0009】
本出願の他の態様において、B細胞の集団を生体外にて生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(a)HSPCの集団を1以上のB細胞刺激因子の存在下にて培養する工程と、(b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団とHSPCを、HSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて、共培養する工程とを含有する。工程(c)を、例えばCD19+μ+細胞少なくとも20%が、活性化されたB細胞になるまで実施することができる。
【0010】
本出願の他の態様において、標的細胞集団から抗体産生B細胞を生体外にて生成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(a)標的の集団と生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む工程と; (b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と標的細胞を、例えば標的細胞の少なくとも約20%がCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて、例えばCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程とを含有する。いくつかの実施形態において、標的細胞集団の約25%までが、プレB細胞および未成熟B細胞である。他の実施形態において、標的細胞集団の約20%までが、プレB細胞および未成熟B細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1Aは、生体外ヒトBリンパ球生成培養システムの実施形態を概略的に示す図である。レンチウイルスコンストラクトをHSPCへ導入して、B細胞プログラミングを達成した。第1段階の5日目に、IL−3(10ng/mL)、Flt3リガンド(Flt3−L;10ng/mL)、トロンボポエチン(TPO;10ng/mL)、SCF(5ng/mL)およびG−CSF(5ng/mL)を、B系統の関与で、HSPCを刺激した。6週目の第2段階は、間質支持(MS5)を使用し、プレBおよび未成熟B細胞の混合物をCD34+HSPCから発生した。表面マーカー、例えばCD34、CD19、CD10、CD20、CD38、CD27およびCD138をB細胞発生の異なる段階で示す。 図1Bは、b12−IgG1の分泌型をもたらす3つのレンチウイルスコンストラクト(FUW−b12、FMHW−b12およびFEEKW−b12)を概略的に示す図である。b12−IgG1の分泌型の発現を、FUW−b12におけるユビキチンCプロモーター、FMHW−b12におけるIg重鎖プロモーターおよびFEEKW−b12におけるIg軽鎖プロモーターによってそれぞれ促進した。MHプロモーター(SEQ ID NO:1)は、マトリックス会合領域(MAR)によって配置されるiEμエンハンサーに先行されるヒトμチェインプロモーター(VHp)を含有する。EEKプロモーター(SEQ ID NO:2)は、イントロンエンハンサー(iEκ)、MARおよび3’エンハンサー(3’Eκ)に先行される軽鎖プロモーター(VKp)を含有する。b12可変領域を有する分泌γ(γs)重鎖およびκ軽鎖遺伝子は、F2A配列で連結される。ベクターの、長い末端反復配列(LTR)、HIV−Iフラップ因子(F)およびウッドチャック肝炎ウイルス由来の転写後調節因子(WRE)を示した。3週目の第3段階は、B細胞の活性化、増殖ならびに抗体分泌形質芽球および形質細胞への分化を、低レベルのCD40L(MS40L−低細胞)を安定して発現するIL−2(10ng/mL)、IL−10(100ng/mL)、CpG(2μM)、および低レベルのCD40Lを安定して発現する(MS40L−低細胞)MS5細胞の存在下にて促進した。
【図2A】レンチウイルスベクターFUGW(すなわちU−GFP)によって達成される高い導入率を示すグラフである。HSPCを、IL−3(10ng/mL)、Flt3リガンド(10ng/mL)、トロンボポエチン(10ng/mL)、SCF(5ng/mL)およびG−CSF(5ng/mL)の存在下にて24時間インキュベートした。その後1,000の感染多重度でmockまたはFUGWウイルスとの2つの経時的な感染を、HSPCに与えた。同じサイトカインを、一日おきに感染中添加した。感染細胞を、感染後から3日目(インキュベーション計5日目)に収集し、フローサイトメトリーによって解析した。
【図2B】レンチウイルスコンストラクトU−b12またはMH−b12によってトランスフェクションされた3つの細胞株におけるIgG発現を示すグラフである。3つの細胞株の何れも内因性IgGを発現しないため、細胞内IgGの染色は、トランスジェニックb12−IgG1を示した。
【図2C】293T細胞においてb12の重鎖および軽鎖の発現および集合を、レンチウイルスベクターFUW−b12と、還元((+β−メルカプトエタノール;すなわちβ−ME)および非還元状態(−β−ME)下にてトランスフェクションした示す図である。細胞タンパク質を、SDS−PAGE、続いてIgG−Fc(γ重鎖/HC)およびκ軽鎖/LCのウェスタンブロット法を使用して抽出および分析した。
【図2D】レンチウイルスベクターFUW−b12とトランスフェクションした293T細胞によって産生したb12抗体の中和能力を、精製したb12のものと比較して示す。培養上清を、Biacore分析によって収集および測定し、gp120への結合の約6μg/mLの濃度を得た。精製したb12の濃度は、125μg/mLであった。培養上清および精製したb12を、偽型ウイルス中和分析の対象としたときに、最初の濃度1.2μg/mLおよび25μg/mLの5倍にそれぞれ希釈した。
【図3】図3Aは、前駆細胞マーカーCD34およびc−kitの発現を欠如したHSPCを、レンチウイルスコンストラクトU−GFPまたはMH−GFPと第2段階中の期間に渡って形成導入したグラフを示す。 図3Bは、CD13+骨髄細胞の出現を、第2段階の一週目にて示すグラフを示す。
【図4】図4Aは、GFPおよびCD19マーカーの発現を、U−GFP(上段パネル)またはMH−GFP(下段パネル)レンチウイルスコンストラクトのいずれかと形質導入した刺激のHSPCにて示したグラフを示す。レンチウイルスコンストラクトで刺激および形質導入されたHSPCを、MS5間質細胞上にて、示した一定期間培養した。GFP発現およびCD19+細胞の出現を、フローサイトメトリーを使用して観測した。 図4Bは、細胞表面上でCD19およびCD10の両方の発現によって観測されるような第2段階の3週目に出現し始めるプロB細胞のグラフを示す。ゲート(gate)を、プロB対非プロBへ適用し、GFP発現をこれらゲートにて分析したとき、MHプロモーターはプロB細胞特異的発現を示した一方、ユビキチンプロモーターは細胞間にて区別することができなかった。比較的薄い線は、非プロB細胞を示し;比較的濃い線は、プロB細胞を示す。 図4Cは、第2段階における3週目にMH−GFP形質導入された前駆細胞に由来するCD11c+樹枝細胞におけるGFP発現およびCD11c−細胞のものの間における比較のグラフを示す。 図4Dは、表面μ重鎖およびCD19の発現レベルを、第2段階の異なる時点(3週目(中央パネル)および4週目(右パネル)で示す図である。示したパーセンテージは、総生細胞のものである。 図4Eは、λおよびκ軽鎖、VプレB代替軽鎖ならびにμおよびδ重鎖の発現レベルを、CD19発現に対して、第2段階6週目で、第2段階の終盤でプレBおよび未成熟B細胞の混合物を示すプロットする。示したパーセンテージは、総生細胞のものである。 図4Fは、CD19+細胞は、第2段階の終盤(6週目)にて、Igαに対して陽性であるグラフを示す。IgαおよびIgβの双方を検査したとき、Igα+細胞およびIgβ+細胞のパーセンテージは、同程度であった。全ての分析にて、EEK−b12をもたらす細胞は、MH−b12と同様の表現型を示した。
【図5】図5Aは、非感染HSPCおよび多種のレンチウイルスコンストラクト(空ベクターFMHWおよびFEEKW;GFP含有ベクターMH−GFPおよびEEK−GFP;およびb12含有ベクターMH−b12およびEEK−b12)と形質導入されたHSPCに由来するB細胞集団のパーセンテージを示す棒グラフである。 図5Bは、第2段階の終わり(6週目)にMH−b12およびEEK−b12とトランスフェクションしたHSPCの培養物における、CD19+CD10+プレBおよびCD19+CD10−未成熟B細胞の存在を示すグラフである。
【図6A】FUW−CD40Lウイルス(MS40L−高およびMS40L−低の細胞株)によって形質導入した2つのMS5細胞株におけるCD40Lの発現レベルを示す図である。斜線部で示したピークは、MS5親細胞を示し、斜線のないピークは、形質導入された細胞を示す。
【図6B】可溶性CD40L(1μg/mL)および2つのMS40L安定株(MS40L−高およびMS40L−低)の性能を、B支持細胞において示す図である。第2段階由来細胞を、IL−2(10ng/mL)、IL−10(100ng/mL)およびCpG DNA(SEQ ID NO:3,2μM)の存在下にて18日間インキュベートした。可溶性CD40Lは、B細胞の生存率を支持せず、CD19+GFP+細胞の検出がほとんどされないものとして導いた。対照的に、MS40細胞株双方ともが、B細胞の生存および拡大を支持した。
【図6C】MS40L−高の血漿細胞分化の誘導における性能およびMS40L−低の性能の間における比較を、減少したCD19および表面IgM発現(上段パネル)、CD20−CD38+細胞(中央パネル)、および増加したCD27発現(下段パネル)によって示す図である。
【図6D】血漿細胞分化のフローサイトメトリー分析のグラフを示す。ヒト末梢血から分離されたナイーブB細胞を、MS40L−低および示された刺激剤(CpG、IL−2、IL−10および/またはIL−6[50ng/mL])の存在下、9日間培養し、血漿細胞分化のフローサイトメトリー分析で染色した(中央パネル、CD20−CD38+細胞;右パネル、CD19−CD27+およびCD19lowCD27+/high細胞)。
【図7A】CD19およびCD84の発現の比較を、第3段階の前(比較的薄い線)と後(比較的濃い線)示す図である。第2段階からの細胞をMS40L−低の単分子層上に移し、IL−2(10ng/mL)、IL−10(100ng/mL)およびCpG DNA(2μM)の存在下にて2〜3週間インキュベートした。
【図7B】異なるプロモーター(MHおよびEEK)および異なるトランス遺伝子(GFPおよびb12)を使用して、形質芽球(CD20−CD38+CD138−)および形質細胞(CD20−CD38+CD138+)の生成を示す図である。示したパーセンテージは、総生細胞である。
【図7C】クラススイッチB細胞(表面IgG+)およびメモリB細胞(CD19+CD27+)の生成のグラフを示す。示したパーセンテージは、CD19+細胞である。
【図7D】第3段階中のB細胞の増殖およびMS40L−低の単分子層の群の形成を、位相差および蛍光画像を示す図である。バーは25μmを示す。細胞の群を、GFPフィルターセットを備えたエピフロレッセンス顕微鏡によって視覚化した。
【図7E】第3段階の前(比較的濃いしるし)と後(比較的薄いしるし)のCD19+細胞の典型的な前方(FSC)および側方(SSC)の散布図である。第3段階後の細胞は、第3段階前のものよりサイズが比較的大きく、粒状であった。
【図7F】形質芽球および形質細胞の典型的なライト染色画像である。形質芽球および形質細胞を、矢印によって示す。バーは5μmを示す。
【図7G】ウイルス非存在またはGFPトランス遺伝子の細胞による第2段階および第3段階の終盤における、IgM、IgGおよびIgA産生の内因性レベルを示すグラフである。抗体の産生を、ELISAを使用して分析した。NDは、検出不可能を示す。
【図8A】第3段階中、MH−b12またはEEK−b12トランス遺伝子をもたらすB細胞にてGFP発現を示す図である。
【図8B】第3段階前から第3段階後からの細胞にて、CD19およびCD86の発現における変化を示す図である。
【図8C】形質芽球(CD20−CD38+CD138−/low)および形質細胞(CD20−CD38+CD138+)の生成を、第3段階中のトランス遺伝子GFPにかかわらずに示すグラフである。示したパーセンテージは、総生細胞である。
【図8D】クラススイッチB細胞(表面IgG+)およびメモリB細胞(CD19+CD27+)の生成を、第3段階中のトランス遺伝子GFPにかかわらずに示す図である。示したパーセンテージは、CD19−細胞である。
【図9】図9Aは、第3段階中の正常ヒト骨髄単核細胞(BMMC)からのCD138+増加細胞の集団のグラフを示す。 図9Bは、正常ヒト形質芽球および形質細胞の形体を示す図である。
【図10】ヒトB細胞発生にわたって、生体外にて維持するレンチウイルスの安定した組み込みを示す図である。第2段階の2〜4週目(それぞれ前駆およびプレB段階を示す)および第3段階の終わり(形質細胞段階に相当する)で細胞からのゲノムDNAを抽出し、ウイルスの組み込みを判定した。細胞あたりの平均プロウイルスのコピー数を、形質導入されていないCD34+細胞および異なったレンチウイルスコンストラクトによって最初から形質導入されたCD34+細胞にて示す。この結果を、同じトランス遺伝子(ベクターのみ、GFPまたはb12;U、MHまたはEEKプロモーターにかかわらず)で実験から得られた統合データからの平均+SEとして示す。5,3,6および6の生物学的複製が、それぞれウイルス非存在、ベクター、GFPおよびb12で存在する。形質細胞段階で細胞あたりのプロウイルスコピー数は、平均的に、それらの先祖(P=0.26)のものとスチューデントの両側t検定にて統計学的に異ならなかった。
【図11】図11Aは、第2段階中のB12タンパク質の産生レベルのグラフを示す。B12タンパク質レベルを、b12特異的なELISAを使用して測定し、週で示す。培養培地を週2回換えたため、データは抗体3〜4日間の蓄積に相当する。その結果は、3つの独立した培養物からの平均±SEである。*は週2からの有意差を示す(P<0.05)。 図11Bは、第3段階の終わりにおけるIg産生レベルのグラフを示す。第2段階から各々処理した総細胞50,000を、穴あたり500μLの第3段階へ移した。総IgM、IgGおよびIgAレベルの合計を測定し、その結果を3つの独立した培養物からの平均+SEとする。「ベクターまたはGFP」は、空ベクターの平均効果(FMHWおよびFEEKW)、およびGFPを含有するベクター(MH−GFPおよびEEK−GFP)を示す。 図11Cは、b12特異的なELISA分析(*P<.02;**P<.002)を使用して、第3段階の終わりにてb12−IgG1の産生レベルのグラフを示す。図6Bのように、「ベクターまたはGFP」は、空ベクター(FMHWおよびFEEKW)およびGFPを含有するベクター(MH−GFPおよびEEK−GFP)の平均効果を示す。 図11Dは、B12−IgG1の検出を、トランス遺伝子をもたらすB細胞の細胞質にて、それぞれ抗gp120エピトープおよびb12−IgG1のγ重鎖定常部と相互作用する蛍光色素標識されたgp120MNおよび抗IgGの細胞内共染色を使用するグラフを示す。MH−GFPまたはMH−b12の形質導入されたHSPCを、第2および第3段階を通して培養し、抗CD19抗体で表面染色し、抗IgG抗体および単量体gp120で細胞内染色した。データをフローサイトメトリーの使用によって分析し、CD19+細胞をプリゲート(pregated)した。gp120を認識する細胞内タンパク質を、α−gp120として同定された。 図11Eは、非感染、またはMH−b12もしくはEEK−b12ウイルスに感染した細胞における、細胞あたりのプロウイルスコピー数のグラフを示す。非感染、またはMH−b12もしくはEEK−b12ウイルスによって感染したCD34+細胞由来の前駆細胞(第2段階の週2)からのゲノムDNAを抽出し、ウイルス組み込みを測定した。細胞あたりのプロウイルス数を、3つの独立した培養物からの平均+SEとして示す。 図11Fは、U−GFP、MH−GFPまたはEEK−GFPレンチウイルスによって形質導入されたDakiki形質細胞腫細胞における相対的GFP強度を示す図である。フローサイトメトリーをインキュベーションから72時間後に実行し、GFP強度の倍率をU−GFP(1として規定する)の効果に渡って示した。MH−GFPおよびEEK−GFPの間の差は、スチューデントの両側t検定において著しかった(P<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本出願のいくつかの実施形態は、生体外における抗体産生B細胞の集団を生成するシステム、方法および組成物に関する。抗体産生B細胞の集団を、標的細胞の集団、好ましくは造血幹/前駆細胞(HSPC)の集団から生成することができる。いくつかの実施形態において、ヒトB系統発生を、HSPCから抗体産生B細胞までで、形質芽球および/または血漿細胞を含有して支持する生体外の培養システムを提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法を提供し、この方法は、(a)造血管/前駆細胞(HSPC)の集団と、生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触する工程と、(b)HSPCと、1以上のB系統成長因子を発現する第一の支持細胞の集団を共培養する工程と;(c)工程(b)にて得られたCD19+μ+細胞と、CD40Lの発現を有する第二支持細胞を、1以上B細胞活性剤の存在下にて共培養する工程とを含有する。工程(b)を、例えばHSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで、下記に詳細に説明するように、継続することができる。工程(c)を、例えばCD19+μ+細胞の少なくとも約20%が、関連の抗体を産生するB細胞になるまで、下記に詳細に説明するように、継続することができる。いくつかの実施形態において、HSPCは一次骨髄細胞である。他の実施形態において、HSPCは臍帯血からのCD34+細胞である。臍帯血からのCD34+細胞は、すでにリンパ系統に関与する可能性がある肝細胞および前駆細胞の双方を含有することができることを当業者は認識した。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記方法は(d)HSPCを1以上のB細胞の刺激因子の存在下にて、工程(b)の約1日前に少なくとも培養する工程を、さらに含有する。HSPCを、1以上のB細胞の刺激因子の存在下にて、様々な日数で培養することができる。例えば、HSPCを、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日で培養することが可能である。さらに他の実施形態において、HSPCを、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日で培養することが可能である。さらに他の実施形態において、HSPCを、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、約1から約10日、約2から約9日、約2から約8日、約2から約7日、約2から約6日、約2から約5日で培養することが可能である。
【0015】
いくつかの実施形態は、B細胞の集団を生体外にて生成する方法を提供し:(a)造血管/前駆細胞(HSPC)の集団を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて約2〜6日間培養する工程と、(b)HSPCと1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団を共培養する工程と;(c)工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の少なくとも約20%がB細胞になるまで共培養する工程とを含有する。工程(b)を、下記に詳細に記載するように、例えばHSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで、継続することができる。いくつかの実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+細胞を、CD40Lが発現する第二支持細胞と、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%がB細胞になるまで、共培養した。いくつかの実施形態において、工程(c)で得られたB細胞は、Ig分泌B細胞である。
【0016】
多種のB細胞刺激因子を、本明細書に記載の方法およびシステムで使用することができる。B細胞刺激因子の例は、インターロイキン3(IL−3)、Flt3リガンド、トロンボポエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf1)およびメカノ成長因子(MGF)を含有するが、これらに限定されない。実施形態において、HSPCを、IL−3、Flt3リガンド、TPO、SCFおよびG−CSFから選択される少なくとも1つのB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前に培養した。他の実施形態において、HSPCを、少なくとも1つのB細胞刺激因子IL−3、Flt3リガンド、TPO、SCFおよびG−CSFの存在下にて、工程(b)の前に培養した。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞刺激因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞刺激因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞刺激因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞刺激因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。
【0017】
いくつかの実施形態において、第一支持細胞は間質細胞である。様々な間質細胞を本明細書に記載のシステムおよび方法で使用することができる。間質細胞株の例は、米国特許第5879940号明細書に記載されたようなネズミMS5間質細胞株、ネズミ骨髄由来間質細胞株であり、S10、S17、OP9およびBMS2細胞株等を含有するが、これらに限定されない。
【0018】
いくつかの実施形態において、HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と共培養した。実施形態において、第一支持細胞は、IL−7を発現することができる。他の実施形態において、第一支持細胞は、IL−7、ならびにプレプロB細胞成長刺激因子(PPBSF)、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、インターロイキン3(IL−3)Flt3リガンド、トロンボポエチン、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン11(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf 1)およびメカノ成長因子(MGF)から選択される少なくとも1つのB系統成長因子を発現することができる。いくつかの実施形態において、1以上のB系統成長因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB系統成長因子は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、1以上のB系統成長因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB系統成長因子は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。
【0019】
多くの初期B系統マーカーが、従来技術にて知られている。例えば、プロB細胞を、CD19およびCD10の共発現(CD19+CD10+)、ならびに代替軽鎖の発現の欠如によって同定することができる。プロB細胞が分化するにつれて、それらはCD19+μ+VプレB+プレB細胞およびCD19+μ+VプレB+κ/λ+未成熟B細胞内に発生する。いくつかの実施形態において、HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、HSPCの、少なくとも約20%がCD19+μ+細胞になるまで共培養した。他の実施形態において、HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、HSPCの、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%がCD19+μ+になるまで共培養した。他の実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%は、CD19+μ+VプレB+プレB細胞およびCD19+μ+κ/λ+未成熟B細胞である。
【0020】
いくつかの実施形態において、B細胞刺激因子は、またB系統成長因子であることができる。いくつかの実施形態において、B系統成長因子は、またB細胞刺激因子であることができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、CD19+μ+細胞を、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞活性剤の存在下にて共培養した。実施形態において、第二支持細胞は、間質細胞である。様々なB細胞刺激因子を、本明細書に記載の方法およびシステムにて使用することができる。B細胞活性剤の例は、CpG DNA、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFN−αおよび抗CD40Lを含有するが、これらに限定されない。実施形態において、B細胞活性剤はCpG DNAである。他の実施形態において、B細胞成長因子は、CpG DNA、IL−2およびIL−10である。さらに他の実施形態において、B細胞成長因子は、CpG DNAおよびIL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFN−αおよび抗CD40Lから選択される少なくとも1つのB細胞活性剤である。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞活性剤は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞活性剤は、ヒト由来のものである。いくつかの実施形態において、1以上のB細胞活性剤は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。いくつかの実施形態において、全てのB細胞活性剤は、ヒト以外の哺乳類由来のものである。
【0022】
いくつかの実施形態において、工程(b)で得られたCD19+細胞は、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程を含有する。他の実施形態において、工程(b)で得られたCD19+は、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+細胞の少なくとも約30%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程を含有する。さらなる他の実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+細胞を、第二支持細胞の集団と、CD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%が、関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する。実施形態において、関連の抗体を産生するB細胞は、抗体分泌の形質芽球および形質細胞である。
【0023】
他の実施形態において、標的細胞の集団から抗体産生B細胞を生体外にて生成する方法を提供し、この方法は:(a)標的細胞の集団を生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触し、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有する工程と;(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団を、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%が、CD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+VプレB+およびCD19+μ+κ/λ+細胞が、抗体産生B細胞になるまで共培養する工程を含有する。好ましい実施形態において、標的細胞は幹細胞を含む細胞の不均一集団を含有するが、これらに限定されない哺乳類幹細胞である。幹細胞は、例えば造血管細胞であることができる。他の実施形態において、標的細胞は第一骨髄細胞である。さらなる他の実施形態において、標的細胞はCD34+細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は臍帯血からのCD34+細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞集団の、多くても約75%、多くても約70%、多くても約65%、多くても約60%、多くても約55%、多くても約50%、多くても約45%、多くても約40%、多くても約35%、多くても約30%、多くても約25%、多くても約20%、多くても約15%、多くても約10%、多くても約5%は、プロB、プレBおよび/または未成熟B細胞である。他の実施形態において、その標的細胞集団は、プレB細胞および未熟B細胞である。
【0024】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外において生成する方法を提供し、この方法は、(a)標的細胞の集団と生体外にて、ポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有する工程と、(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団を、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%がCD19+μ+になるまで共培養する工程と、(c)工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞を、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%が関連の抗体を生成するB細胞になるまで共培養する工程とを含有する。いくつかの実施形態において、前記方法は(d)標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日または少なくとも約7日で培養する工程をさらに含有する。いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。
【0025】
いくつかの実施形態において、標的細胞はプロB、プレBおよび/または未成熟B細胞であり、標的細胞を1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、標的細胞の少なくとも約20%がCD19+μ+VプレB+またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する。他の実施形態において、標的細胞はプロB、プレBおよび/または未成熟B細胞であることができ、標的細胞を1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%がCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養した。いくつかの実施形態において、工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+細胞を、CD40Lを発現する第二支持細胞と、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて、CD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養した。
【0026】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)標的細胞の集団を生体外にて関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触させる工程を含有する。実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。さらに他の実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。また他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞はナイーブB細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は活性化B細胞、形質芽球細胞または形質細胞である。いくつかの実施形態において、工程(a)は、標的細胞の集団と、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するウイルス性または非ウイルス性のベクターをトランスフェクションさせる工程を含む。いくつかの実施形態において、ベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0027】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞を、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%がCD19+μ+になるまで共培養する工程を含有する。いくつかの実施形態において、標的細胞は関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触した細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は関連の抗体とコード化するポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターをトランスフェクションした細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は任意のポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触した細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。さらに他の実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。また他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞はナイーブB細胞である。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は活性化B細胞、形質芽球細胞および/または形質細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞を、第一支持細胞の集団と、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%がCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+になるまで共培養する。またさらなる他の実施形態において、標的細胞は活性化B細胞、形質芽球細胞および/または形質細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞を第一支持細胞の集団と、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%がCD19+μ+δ+になるまで共培養した。
【0028】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(c)標的細胞と、CD40Lを発現する第二支持細胞を、1以上のB細胞成長因子の存在下にて、標的細胞の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する。いくつかの実施形態において、標的細胞はCD19+μ+細胞、例えば工程(b)で得られたCD19+μ+である。他の実施形態において、標的細胞はCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+細胞、例えば工程(b)で得られたCD19+μ+VプレB+および/またはCD19+μ+κ/λ+である。さらに他の実施形態において、標的細胞はCD19+μ+δ+細胞、例えば工程(b)で得られたCD19+μ+δ+である。いくつかの実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。さらなる他の実施形態において、標的細胞はナイーブB細胞である。
【0029】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(d)標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて工程(b)の前に培養する工程を含む。標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、様々な日数で培養することができる。例えば、標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日または少なくとも約10日に培養することができる。さらに他の実施形態において、標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日または約10日に培養することができる。また他の実施形態において、標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、工程(b)の前の、約1から約10日、約2から約9日、約2から約8日、約2から約7日、約2から約6日または約2から約5日までで培養することができる。いくつかの実施形態において、標的細胞を、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触した細胞、例えば工程(a)にて産生された標的細胞である。他の実施形態において、標的細胞は関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドレトロウイルスベクターと形質導入された細胞、例えば工程(a)にて産生された形質導入された標的細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は任意のポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触していない細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。他の実施形態において、標的細胞は造血幹細胞である。さらなる他の実施形態において、標的細胞はプロB細胞である。また他の実施形態において、標的細胞はプレBおよび/または未成熟B細胞である。
【0030】
いくつかの実施形態において、抗体産生B細胞の集団を、生体外にて生成する方法は、前記工程(a)標的細胞の集団を生体外にて、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドデリバリーシステムと接触させる工程を含有する。他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(b)標的細胞と、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞を共培養する工程を含有しない。さらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(c)標的細胞と、CD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞成長活性剤の存在下にて共培養する工程を含有しない。また他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、前記工程(d)標的細胞を、1以上のB細胞刺激因子の存在下で培養する工程を含有しない。またさらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)、(b)および(c)を含有するが、工程(d)は含有しない。他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)、(b)および(c)を含有するが、工程(d)は含有しない。さらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(a)および(c)を含有するが、工程(b)および(d)は含有しない。さらなる他の実施形態において、抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法は、工程(b)および(c)を含有するが、工程(a)および(d)は含有しない。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記工程(a)標的細胞の集団を生体外にて関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドデリバリーシステムとの接触を、前記工程(d)の標的細胞を1以上のB細胞刺激因子の存在下にて培養した後および/または前記工程(b)標的細胞と1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と共培養した後に実行した。
【0032】
A.定義
特に規定しない限り、本明細書において使用した専門的且つ科学的な用語は、本発明が帰属する当業者に一般的に理解されるような同様の意味を有する。例えばSingleton et al., Dictionaiy of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 1994);Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Press (Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照とする。本明細書に記載のものと同様または同等のあらゆる方法、装置および成分を、本明細書に開示した実施形態の実施で使用することができる。
【0033】
本明細書において使用したように、「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマーとする。ポリペプチドは、様々な長さであることが可能である。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質を、ポリペプチドの規定の範囲内に含む。ポリペプチドは、N末端メチオニン残基の有無であることができる。ポリペプチドは、翻訳後の修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等を含有することができる。「ポリペプチド」の例は、自然発生および自然発生でない双方で、1以上のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸、非コードアミノ酸等)を含有するポリペプチド、置換された結合、融合タンパク質を有するポリペプチド、ならびに従来技術にて知られている他の修飾を有するポリペプチドを含有するが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において使用したように、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、同じ意味で用いられ、任意の核酸であり、リン酸ジエステル結合または修飾された結合、例えばリン酸トリエステル、アミド亜リン酸エステル、シロキサン、炭酸塩、カルボキシメチルエステル、アセトアミデート、カルバミン酸塩、チオエーテル、架橋アミド亜リン酸エステル、架橋メチレンホスホン酸塩、架橋アミド亜リン酸エステル、架橋アミド亜リン酸エステル、架橋メチレンホスホン酸塩、ホスホロチオエート、メチルホスホン酸塩、ジチオリン酸、架橋スホロチオエートまたはスルトン結合、および上記結合の組合せから構成されているものとする。また「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は、とりわけ5つの生物学的に発生する塩基(アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシル)以外の塩基から構成される核酸を含有する。
【0035】
本明細書において使用したように、「抗原」とは抗原に特異的なポリペプチドに結合することが可能である任意の分子である。好ましい抗原は、免疫細胞にて発現する抗原に特異的なポリペプチドへの結合に応じて、免疫反応を開始することが可能である。いくつかの実施形態において、抗原は関連の疾病または疾患に関連する。抗原は、あらゆる方法において限定されず、好ましくは所望の免疫反応に基づいて選択される。抗原は、例えばポリペプチド、炭水化物、脂質または核酸であることができる。免疫反応を発生することができる抗原の例は、腫瘍抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、アレルゲンおよび自己抗原を含有するが、これらに限定されない。実施形態において、抗原はウイルス抗原、例えばHIV抗原である。他の実施形態において、抗原は腫瘍関連抗原(TAA)である。
【0036】
「抗体」(Ab)および「免疫グロブリン」(Ig)は、同様の構造特徴を有する糖タンパクである。抗体が特異的な抗原への結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは抗原特異性を欠如する抗体および他の抗体様分子の双方を含有する。後者の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系によって低レベル、および骨髄腫によって高レベルにて産生される。
【0037】
「天然抗体」および「天然免疫グロブリン」は、通常ヘテロ四量体グリコプロテインであり、2つの同一の軽鎖(L)および2つの同一の重鎖(H)から構成される。それぞれの軽鎖は、重鎖にジスルフィド結合によって結合する。ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンイソタイプの重鎖の間にて異なる。それぞれの重鎖は、多様な定常ドメインの数に従う可変ドメイン(VH)を有する。それぞれの軽鎖は、一端にて可変ドメイン(VL)、他端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一定常ドメインと整列して配置され、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列して配置される。
【0038】
本明細書の「抗体」という用語を、最も広い意味において使用して、具体的にはヒト、非ヒト(例えばネズミ科)、ヒト化モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片を、それらが所望の生物学的活性を示す限り特に対象とする。様々な抗体が、本明細書に開示のシステムおよび方法に発現することができる。いくつかの実施形態において、抗体はb12であり、HIVの種々の遺伝子サブタイプの、多くの一次分離株を中和するヒトモノクローナル中和抗体である。
【0039】
本明細書において使用した「標的細胞」という用語は、活性化B細胞、形質芽球および形質細胞を含有するが、これらに限定されない抗体産生B細胞へと分化することができるあらゆる細胞とする。標的細胞は、幹細胞、特に造血幹細胞およびリンパ前駆細胞を含有するが、これらに限定されない。
【0040】
「哺乳類」という用語は、哺乳類クラスに属する個体として規定すし、ヒト、家畜(domestic and farm animals)ならびに動物園、スポーツまたはペットの動物、例えばヒツジ、イヌ、ウマ、ネコまたはウシを含むがこれらに限定されない。好ましくは、本明細書の哺乳類はヒトである。
【0041】
本明細書において使用したように、「B細胞刺激因子」を、造血幹細胞および/またはリンパ前駆細胞へのB系統の発生の関与を、支持または促進することが可能な、あらゆる化合物とする。化合物は、小分子、ポリペプチド、タンパク質または核酸であることができる。様々なB細胞刺激因子を、本明細書に記載の方法およびシステムにて使用することができる。B細胞刺激因子の例は、インターロイキン3(IL−3)、Flt3リガンド、トロンボポエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン11(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf1)およびメカノ成長因子(MGF)を含有するが、これらに限定されない。当業者は、使用するB細胞刺激因子の量を、特定の状態に基づいて選択することができる。一般的にB細胞刺激因子の約1〜約1000ng/mLを、本明細書に記載の方法またはシステムで使用することができる;しかしながら、いくつかの状態において、B細胞刺激因子の約1〜約100ng/mLを使用することができる。しかしながら、いくつかの状態にて、多少の量のB細胞刺激因子を使用することができる。1以上のB細胞刺激因子を使用する状態において、それぞれのB細胞刺激因子の量は同一であることができるか、それぞれのB細胞刺激因子は互いに異なることができる。
【0042】
本明細書において使用したように、「B系統成長因子」という用語は、B系統発生の間、1以上のB細胞分化を促進することができる任意の化合物とする。B系統成長因子は、小分子、ポリペプチド、タンパク質または核酸であることができる。B系統発生における段階の非限定的な例は、前駆B細胞から初期のプロB細胞への段階、初期のプロB細胞から後期のプロB細胞への段階、後期のプロB細胞から大きいプレB細胞への段階、大きいプレB細胞から小さいプレB細胞への段階、小さいプレB細胞から未成熟B細胞への段階、および未成熟B細胞から成熟B細胞への段階を含む。B系統成長因子の例は、インターロイキン7(IL−7)、プレプロB細胞成長刺激因子(PPBSF)、インスリン様成長因子−1(IGF−I)、インターロイキン3(IL−3)、Flt3リガンド、トロンボポエチン幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン11(IL−11)、抗ホスファターゼ(Sbf1)、およびメカノ成長因子(MGF)を含有するが、これらに限定されない。当業者は、B細胞刺激因子の量を、特定の状態に基づいて選択することが可能であるだろう。一般的に、B系統成長因子の約1〜約1000ng/mLを本明細書に記載の方法またはシステムにて使用することができる。しかしながら、典型的な状態において、サイトカインB細胞活性剤の約1〜約300ng/mL、約20〜約200ng/mL、約50〜約150ng/mL、約80〜約150ng/mLを使用することができる。しかしながら、いくつかの状態にて、多少の量のB系統成長因子を使用することができる。1以上のB系統成長因子を使用する状態において、それぞれのB系統成長因子の量は同じであることができるか、またはそれぞれのB細胞刺激因子は互いに異なることができる。
【0043】
本明細書にて使用したように、「B細胞活性剤」という用語は、ナイーブB細胞の活性、好ましくはナイーブB細胞の抗原の独立的な活性を促進することができる任意の化合物とする。B細胞活性剤は、小分子、ポリペプチド、タンパク質または核酸であることができる。従来の方法を、化合物がナイーブB細胞の抗原の独立的な活性を刺激することができる性能を有するかどうかを決定するため、使用することができる。例えば、化合物をヒト末梢血から分離されたナイーブB細胞の活性に対して検証することができる。B細胞活性剤の非限定的な例は、CpG DNA、サイトカイン、例えばIL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−10、IL−15、IFNα、抗CD40Lおよび乳酸を含む。当業者は、B細胞活性剤の量を、特定の状態に基づいて選択することが可能であるだろう。一般的にサイトカインのB細胞活性剤の約1〜約1000ng/mLを、本明細書に記載の方法またはシステムに使用することができる;しかしながら、典型的な状態においてB細胞活性剤の約1〜約150ng/mLまたは約1〜約100ng/mLを使用することができる。しかしながら、いくつかの状態において、多少の量を使用することができる。一般的に、約0.1〜約5μMのCpG DNAを使用することができる;しかしながら、典型的な状態において、約0.5〜4μM、約1〜約3.5μM、約1.5〜約3μMまたは約2〜約2.5μMのCpG DNAを使用することができる。1以上のB活性剤を使用する状態において、それぞれのB細胞活性剤の量は同じであることができるか、またはそれぞれのB細胞活性剤は互いに異なることができる。
【0044】
本明細書において使用したように、「支持細胞」という用語は、HSPCまたはB細胞の成長、増殖、分化または拡大に関する微環境を生成、促進または支持することが可能なあらゆる細胞とする。本明細書に開示のシステムおよび方法において使用することができる適切な支持細胞は、間質細胞および線維芽細胞を含有するが、これらに限定されない。
【0045】
「ベクター」は、他の核酸を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えばウイルス、プラスミド、コスミッドまたはファージであることができる。「発現ベクター」は、それが適切な環境に存在するとき、ベクターによって担持される1以上の遺伝子によってコード化されるタンパク質の発現を導くことができるベクターである。ベクターは、自己複製できることが好ましい。
【0046】
「調節要素」および「発現制御要素」を、代用して使用することができ、特定の宿主生命体にて影響を実施可能な状態で結合したコード配列の発現に影響を与えることができる核酸分子とする。これらの用語は幅広く使用することができ、プロモーター、RNAポリメラーゼおよび転写制御因子の基本的な相互作用に必要なコア要素、上流要素、エンハンサーおよび反応要素を含む転写を促進または調節する全ての要素に適応される(例えば、Lewin,“Genes V”(Oxford University Press, Oxford)pages847−873を参照とする)。原核生物における例示的な調節要素は、プロモーター、オペレーター配列およびリボソーム結合部位を含有する。真核生物の細胞にて使用する調節要素は、プロモーター、エンハンサー、スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナルを含有するが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において使用したように、「実施可能に結合」という用語を、調節要素と遺伝子もしくはそれのコード領域との間の関係を記載するために使用する。即ち、遺伝子発現を通常特定の調節要素、限定されないが例えば構成的または誘導可能なプロモーター、組織特異的な調節要素およびエンハンサーの制御下に配置する。遺伝子またはコード領域は、調節要素と「実施可能に結合」、「機能的に結合」または「実施可能に関連」であるといわれ、遺伝子またはコード領域を、調節要素によって制御または影響することを意味する。
【0048】
本明細書に使用したように、「B細胞特異的プロモーター」という用語は、特異的トランス遺伝子発現をB細胞にて導入可能な任意のプロモーター/エンハンサーの配列とする。例えば、B細胞特異的プロモーターは、トランス遺伝子発現を、形質芽球および/または形質細胞にて導入可能であることができる。好ましいB細胞特異的プロモーターの他の非限定的な例は、B細胞発生によって一次および二次リンパ臓器における血液生成細胞からトランス遺伝子発現を導くことができるプロモーターである。B細胞の特異的プロモーターは、トランス遺伝子発現をB細胞発生に影響を与えることなく促進可能であることが好ましい。本明細書に開示の方法またはシステムは、B細胞特異的プロモーターのソースで制限しないことを意味する。B細胞特異的プロモーターは、通常B細胞にて発現する遺伝子の発現を制御する、任意のB細胞特異的な遺伝子のプロモーター/エンハンサー、および/またはそれの変異体または改変部分であることができ、例えばCD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD40、CD72、Blimp−1、CD79b(別名B29またはIgβ)、mb−1(別名Igα)、チロシンキナーゼblk、VプレB、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリンκ軽鎖、免疫グロブリンλ軽鎖、免疫グロブリンJ鎖等含有するが、これらに限定されない。B細胞の特異的プロモーターの他の非制限の例は、合成プロモーター、例えばMHプロモーターおよびEEKプロモーターを含有する。下記の図1Bおよび実施例に詳細に記載するように、MHプロモーターは、マトリックス関連領域によって横に位置されるiEμであり、それに先行するμ重鎖プロモーター(VHp)を含有し、EEKプロモーターは、イントロンエンハンサー(iEκ)、MARおよび3’エンハンサー(3’Eκ)によって先行されるヒトκ軽鎖プロモーター(VKp)を含有する。
【0049】
「トランスフェクション」という用語は、核酸媒介遺伝子転移、例えば下記のようなポリヌクレオチドデリバリーシステムと細胞によって宿主細胞内への核酸の導入とする。
【0050】
本明細書に規定するように、「形質転換」は外因性DNAを標的細胞に入る工程を記載する。形質転換は、原核生物または真核生物宿主細胞に異種核酸配列の挿入するための任意の既知の方法に依存することができる。この方法は形質転換される宿主細胞のタイプに基づいて選択され、ウイルス感染、エレクトロポレーション、熱ショック、リポフェクション、および微粒子銃を含有するが、これらに限定されない。「形質転換」細胞は、挿入されたDNAが、自己複製プラスミドまたは宿主染色体の一部のいずれかとして複写することができる安定して形質転換された細胞を含有する。さらに含有されるものは、抗原特異的ポリペプチドを一過的に発現する細胞である。
【0051】
「トランス遺伝子」という用語は、標的細胞の1以上の染色体中にヒトの介入によって組み込む任意の核酸またはDNA配列とする。実施形態において、トランス遺伝子は、関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む。抗体をコード化するポリヌクレオチドは、一般的に、関連遺伝子、例えば転写制御配列の、所望の発現を得るために実用的である他の配列に機能的に結合する。他の実施形態において、トランス遺伝子は、それが組み込まれる染色体を示すDNA配列をさらに含有する。
【0052】
「レトロウイルス」は、動物細胞の感染が可能であるエンベロープを有するRNAウイルスである。「レンチウイルス」は、分裂および非分裂の細胞を感染することが可能であるレトロウイルスの種類とする。レンチウイルスのいくつかの例は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIVタイプ1およびHIVタイプ2を含む)、ビスナ−マエディ、山羊関節炎脳炎ウイルス、馬伝染性貧血ウイルス、猫免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BPV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)を含む。
【0053】
「2A配列」または要素は、リンカーとして2つのタンパク質の間に導入される小ペプチドであり、ポリタンパク質の自立性リボソーマル内の自己処理を可能とする(例えば、de Felipe. Gnetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004) and deFelipe et al. Traffic 5:616-626(2004))。これら短いペプチドは、複数のタンパク質を、単一ベクターから共発現することを可能とする。多くの2A要素が、従来技術にて知られている。本明細書に開示の方法およびシステムにて使用することができる2A配列の例は、米国特許公開番号20070116690号明細書に記載されるような口蹄疫ウイルス(F2A)、ウマ鼻腔肺炎Aウイルス(E2A)、ゾーシーアシグナウイルス(T2A)および豚テシオウイルス1(P2A)を限定することなく、含有する。
【0054】
ポリヌクレオチドデリバリーシステム
本明細書に使用したように、「ポリヌクレオチドデリバリーシステム」は、ポリヌクレオチド、特に抗体をコード化するポリヌクレオチドを標的細胞内に導入することが可能であるあらゆるシステムである。ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、ウイルス性および非ウイルス性のデリバリーシステムの双方を含有する。当業者は、特定の抗体をコード化するポリヌクレオチドを標的細胞内に効果的に導入ために使用することができるポリヌクレオチドデリバリーシステムの種類を決定することが可能であるだろう。
【0055】
ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、ウイルス性であることができる。適切なウイルスベクターは、RNAウイルスに基づくベクター、例えばレトロウイルス由来ベクター(例えば、モローニマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクター)および比較的複雑なレトロウイルス由来ベクター(例えば、レンチウイルス由来ベクター);ならびにDNAウイルスに基づくベクター、例えばアデノウイルスに基づくベクターおよびアデノ関連ウイルス(AAV)ベクターを含有するが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、レトロウイルスベクター、より好ましくはレンチウイルスベクターを含有する。ウイルスベクターの非限定な例は、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)、HIV−2、猫免疫不全ウイルス(FIV)、馬伝染性貧血ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)およびマエディ/ビスナウイルス由来のレンチウイルスベクターを含有する。
【0056】
実施形態において、変異レトロウイルスを使用して、抗体がコード化されるポリヌクレオチドを、標的細胞に導入する。抗体をコード化するポリヌクレオチドおよび任意の関連遺伝子要素が、宿主細胞のゲノム中にプロウイルスとしてこのように組み込まれる。
【0057】
ウイルスベクターの生成は、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製、およびDNA塩基配列を含むが、これらに限定されない技術にて知られている任意の適切な遺伝子工学技術を使用して達成することができ、例えばSambrook et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, N. Y. (1989)), Coffin et al. (Retroviruses. Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y. (1997))および“RNA Viruses: A Practical Approach” (Alan J. Cann, Ed., Oxford University Press, (2000))に記載される。
【0058】
ウイルスベクターを、任意の既知の生命体のゲノムから配列を組み込むことができる。前記配列を、それらの本来の形態で組み込むことができるか、または任意の方法において修飾することができる。例えば、前記配列は、挿入、欠失または置換を含むことができる。好ましい実施形態において、ウイルスベクターは、完全なレトロウイルス5’LTRおよび自己不活性3’LTRを含有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、関連の抗体の、重鎖および軽鎖(例えば抗体の重鎖および軽鎖の可変領域)をコード化するポリヌクレオチドを、単一ポリヌクレオチドデリバリーシステムにおける単一ポリヌクレオチド、または1以上のポリヌクレオチドデリバリーシステムにおける独立したポリヌクレオチドのいずれかとして標的細胞内に導入することができる。好ましくは、単一ポリヌクレオチドデリバリーシステムを、抗体のそれぞれの鎖をコード化するポリヌクレオチドを含有するもので活用する。
【0060】
例えば、関連の抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチドを導入する場合、関連の抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを導入することがまた有利である。ポリヌクレオチドデリバリーシステムが、十分な性能を有する場合、重鎖および軽鎖を、例えば単一抗体をコード化するポリヌクレオチドとして共に導入することができる。従って、ポリヌクレオチドデリバリーシステムの実施形態は、抗体の重鎖をコード化するポリヌクレオチド、および抗体の軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを含む。好ましくは、前記鎖の一つは、それぞれのサブユニットと同等の発現を促進するため、下記のようにIRESまたは2A要素によって先行する。選択的に、重鎖および軽鎖をコード化するポリヌクレオチドを、別々に標的細胞内に、それぞれ適切なポリヌクレオチドシステム、例えばそれぞれ別々のレトロウイルス粒子として導入することができる。
【0061】
ベクター
ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、1以上のベクターを含むことができる。ベクターは、抗体をコード化するポリヌクレオチド配列、コード化配列の発現を導く1以上の制御要素と任意に関連のあるものを含有することができる。真核生物細胞発現ベクターは、従来技術にて知られていて、数々の市販の資源から利用できる。抗体をコード化するポリヌクレオチド配列が実施可能な状態で結合するベクターおよび/または発現制御配列の選択は、従来技術にて良く知られているように、例えばタンパク質発現といった所望の機能的特徴および形質転換される標的細胞に直接依存する。本発明で予測される好ましいベクターは、標的細胞の染色体内に抗体をコード化するポリヌクレオチドの挿入、および抗体をコード化するポリヌクレオチドによってコード化される抗体の発現を導くことができる。
【0062】
配列をコード化する実施可能な状態で結合した抗原特異的ポリペプチドの発現を調整するために使用することができる発現制御要素が、従来技術にて知られていて、誘導性プロモーター、構成プロモーター、分泌シグナル、エンハンサーおよび他の調節要素を含有するが、これらに限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態において、抗体をコード化するポリヌクレオチドを含有するベクターは、原核生物レプリコン(即ち、自己複製、および組み換えDNA分子を染色体外にて維持を導く原核生物宿主細胞にて能力を有するDNA配列)、例えば細菌宿主細胞を、それと共に形成転換して含有することができる。前記レプリコンが、従来技術にて知られている。さらに原核生物レプリコンを含むベクターが、検出可能なマーカー、例えば薬剤耐性を与える発現の遺伝子をさらに含有することができる。典型的な細菌薬剤耐性遺伝子は、アンピシリンまたはテトラサイクリンに耐性を与えるものである。
【0064】
他の実施形態において、ポリヌクレオチドデリバリーシステムにて使用されるベクターは、真核生物細胞に効果的である選択的マーカー、例えば薬剤耐性選択マーカーに関する遺伝子を含有することができる。前記遺伝子は、選択的な培養培地において、形質転換宿主細胞の生存または成長のために必要な因子をコード化する。選択遺伝子を含有するベクターで形質転換されない宿主細胞は、培養培地にて生存しないだろう。典型的な選択遺伝子は、抗体または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンに耐性を与えるか、栄養要求性欠損を補足するか、または重培地から与えられない様な栄養分を供給してタンパク質をコード化する。選択可能なマーカーは、独立したプラスミドに任意に存在し、共トランスフェクションによって導入される。
【0065】
ポリヌクレオチドデリバリーシステムにて使用されるベクターは、標的細胞に認識され、抗原に特異的なポリヌクレオチドに機能的に結合するプロモーターを通常含む。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写が生じることを可能とするDNA配列によって形成される発現制御要素である。プロモーターは、構造遺伝子の開始コドンから上流(5’)に位置し(通常約100から1000bp)、それらが実施可能な状態で結合する抗原に特異的なポリヌクレオチド配列の転写および翻訳を制御する翻訳されていない配列である。プロモーターは誘導可能または構成的であることができる。誘導可能なプロモーターは、DNAからの転写の上昇したレベルを、それらの制御下で、培養条件をいくつかの変化、例えば温度変化に応じて開始する。
【0066】
当業者は、適切なプロモーターを特定の状況に基づいて選択することが可能である。多くの異なるプロモーターが従来技術に知られ、抗体をコード化するポリヌクレオチドへ実施可能な状態でプロモーターに結合する方法としてである。天然プロモーター配列および多くの異種プロモーターの双方を使用して、抗原に特異的なポリペプチドの発現を導くことができる。しかしながら、異種プロモーターが好ましく、それらが一般的に天然プロモーターと比較して所望のタンパク質の高い転写および高い収率を可能とするためである。プロモーターを、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス、ウシの乳頭腫ウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得ることができる。またプロモーターを、例えば異種哺乳類プロモーター、例を挙げると免疫グロブリンプロモーター、B細胞特異的プロモーター(例えば、MHプロモーターおよびEEKプロモーター)または通常天然配列と関連するプロモーターであることができ、前記プロモーターは標的細胞と互換性を有する場合である。
【0067】
ベクターは、発現が望ましい2以上の配列の場合、第一の他のそれぞれ付加的な配列は、好ましくは共発現を促進する要素、例えば内部リボソーマル侵入配列(IRES)要素(米国特許第4,937,190号明細書)または2A要素に結合する。例えば、IRESまたは2A要素を、単一ベクターが、マルチサブユニットタンパク質のそれぞれのサブユニットをコード化する配列を有するとき、好ましく使用する。関連のタンパク質の場合には、所望の特異性、例えば第一コード領域(免疫グロブリンの重鎖または軽鎖のいずれかをコード化する)がプロモーターから下流に位置する免疫グロブリンである。第二のコード領域(免疫グロブリンの存続した鎖をコード化)は、第一コード領域から位置し、IRESまたは2Aの要素は、コード化領域の間、好ましくは第二コード化領域のすぐ前に配置される。第一と第二の遺伝子配列(それぞれ重鎖および軽鎖をコード化)の間のIRESまたは2Aの要素の組み込みは、双方の鎖を、ほぼ同じレベルにて標的細胞内で同じプロモーターから発現することを可能とする。
【0068】
本明細書に提供した開示を使用して、当業者は、特定のデリバリーシステムの有効性を、レポータータンパク質をコード化する遺伝子を含むベクターと一次骨髄細胞を形質転換し、適切な技術、例えば緑色蛍光タンパク質の結合から蛍光の測定を使用して、発現を測定することによって試験することができることを、認識するであろう。適切なレポーター遺伝子が、従来技術にて知られている。
【0069】
適切な細胞と本出願のベクターとの形質転換は、よく知られた方法によって達成することができ、使用される方法はいかなる手段であれ限定されない。数々の非ウイルス性デリバリーシステムは従来技術にて知られていて、例えば、エレクトロポレーション;リポソームを含む脂質に基づくデリバリーシステム;「裸」DNAの導入;およびSchatzlein AG. 2001. Non-Viral Vectors in Cancer Gene Therapy: Principles and Progresses. Anticancer Drugs.に記載されているようなポリシクロデクストリン化合物を使用する導入を含む。陽イオン性脂質または塩の処理方法を通常使用して、例えばGraham et al., Virol., 1973, 52:456;Wigler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1979, 76:1373-1376を参照として典型的に利用する。リン酸カルシウム沈殿法が、好ましい。しかしながら、ベクターを細胞内に導入するための他の方法は、核顕微鏡下注射および細菌原形質体融合を含有するものをさらに使用することができる。
【0070】
ウイルスベクターを、本明細書に記載の方法またはシステムに使用することができる。ウイルスベクターから産生される組み換えウイルスを、ウイルスが細胞を感染することを可能とする任意の方法で、標的細胞へ導入することができる。ウイルスが細胞膜と、例えばウイルスが含まれる培地にて細胞をインキュベートによって接触することを可能とすることが好ましい。
【0071】
標的細胞
標的細胞は、生殖細胞系細胞および細胞株と体細胞およびその細胞株との双方を含有する。標的細胞は、いずれかの複製起点から由来する幹細胞であることができる。標的細胞が生殖細胞系細胞であるとき、標的細胞が単一細胞胚および胚性幹細胞(ES)からなる群から選択されることが好ましい。標的細胞が体細胞であるとき、細胞は例えばプレB、プロB、未成熟、ナイーブB細胞および活性化B細胞を含有するが、これらに限定されない未成熟または成熟したリンパ球を含む。
【0072】
標的細胞は、幹細胞を含む細胞の異質集団を含有するが、これらに限定されない幹細胞または幹細胞株であることができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、標的細胞は造血幹/前駆細胞(HSPC)である。好ましくは、標的細胞は造血幹細胞である。実施形態において、標的細胞は第一骨髄細胞である。他の実施形態において、標的細胞は臍帯血からのCD34+細胞である。
【0074】
標的細胞は、ヒト、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコおよびモルモットを含有するが、これらに限定されないあらゆる哺乳類生物から由来するものであることができる。標的細胞は従来技術にて知られるあらゆる方法によって得られたものであることができる。
【0075】
標的細胞を、ポリヌクレオチドデリバリーシステムと、生体内または生体外のいずれかで接触することができる。好ましくは、標的細胞を培養物にて維持し、ポリヌクレオチドデリバリーシステムと生体外にて接触することである。細胞を培養する方法が、従来技術によく知られている。
【0076】
診断への適用
以下に記載するように、本明細書に開示したような抗体産生B細胞を生成する方法は、疾病または疾患の検出および/または疾病または疾患の進行の観測に実用的である関連の抗体を生成することができる。本明細書にて使用したように、「診断」という語句は、疾病または疾患の存在または性質を同定することとする。疾病または疾患と関連のある抗原(例えば、抗原タンパク質、抗原核酸配列、抗原ペプチド、抗原脂質、抗原炭水化物および抗原小分子)の検出は、疾病または疾患の診断の手段を提供する。前記検出法を、例えば状態の初期診断で使用して、対象が疾病または疾患を罹るかどうかを決定し、疾病または疾患の進行、治療プロトコルの進行を観測し、疾病または疾患の重症度を評価し、疾病または疾患の予後および/または回復の見込みを予測するか、または対象のための適切な治療を決定の補助することが可能である。検出は生体外または生体内にて発生することができる。
【0077】
本明細書に記載した実施形態における診断で考えられる疾病は、抗原、例えば疾病と関連のある抗原が特異的に関連の抗体と結合することができる任意の疾病を含む。例えば、抗原は腫瘍抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、アレルゲンおよび自己抗原であることができる。実施形態において、抗原はウイルス抗原、例えばHIV抗原である。他の実施形態において、抗原は腫瘍関連の抗原(TAA)である。
【0078】
いくつかの実施形態において、診断される疾病は、癌の種類、例えば白血病、癌、リンパ腫、星状細胞腫、肉腫、特にユーイングの肉腫、神経膠腫、網膜芽腫、黒色腫、ウィルム腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、肝細胞性癌、膵癌、前立腺癌、肺癌、肝癌、胃癌、子宮頸癌、精巣癌、腎細胞癌および脳腫瘍等である。
【0079】
他の実施形態において、診断される疾病は、細胞内寄生虫による感染と関連する。例えば、細胞内寄生虫は、ウイルス、例えばアデノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、単純疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、肝炎ウイルス、乳頭腫ウイルス、パーボウイルス、ポリオーマウイルス、はしかウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)またはヒトT細胞白血病ウイルス等であることができる。他の実施形態において、細胞内寄生虫は、バクテリア、原生動物、真菌またはプリオンであることができる。より詳細には、細胞内寄生虫は、例えばクラミジア属、リステリア属、サルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ菌、コクシエラ属、リケッチア属、マイコバクテリウム属、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、トキソプラズマ属およびプラスモジウム属であることができる。
【0080】
本明細書に記載した方法およびシステムによって生成される抗体産生B細胞から産生される抗体は、多様な有用性を有する。抗体での数々の他の使用が、治療的、診断的、法医学的、環境的および市販の応用を含有する従来技術にて知られている。例えば、生体外または生体内のいずれかにおける抗原は、関連の抗体と結合することができる。従って、本明細書に開示した方法を、有機体および/または抗原(例えばポリペプチド、炭水化物、脂質または核酸)の存在を、法医学/環境サンプルまたは組織/細胞で検出するために使用することができる。いくつかの実施形態において、前記方法を、活性化した状態の酵素の検出を可能とすることができる抗体の産生で使用することができる。他の実施形態において、前記方法を使用して、タンパク質を、例えば研究室規模または産業規模にての精製することができる
【実施例】
【0081】
さらなる実施形態を、より詳細に以下の実施例で開示し、いかなる方法であれ請求項の範囲を制限することを意図としない。
【0082】
実験方法
以下の実験方法を下記の実施例1〜4に使用した。
【0083】
プラスミドコンストラクション
抗HFV抗体b12の軽鎖および重鎖の可変配列を増幅し、ヒトκ鎖定常部および分泌IgG1定常部の上流にそれぞれ挿入した。2つの結果として生じる遺伝子は、自己切断F2Aペプチドによって結合し、バイシストロニックユニットを形成した。その後結合した遺伝子を、FUWレンチウイルスベクター内にサブクローンし、ユビキチンCプロモーター(U)を含有するレンチウイルスベクターFUW−b12(本明細書にて「U−b12」ともする)を作成した(図1B)。また、FMHWレンチウイルスベクターを、マトリックス会合領域(MAR)の側面に位置されるEμエンハンサーの前に、FUW内のユビキチンCプロモーターをヒトμ重鎖プロモーター(MHプロモーター)と置換することによって構成した。同様に、FEEKWベクターを、エンハンサーおよびMARの前に、FUW内のユビキチンCプロモーターを、ヒトκ軽鎖プロモーター(EEKプロモーター)を置換することによって構成した。その後b12のバイシストロニックユニットを、FMHWおよびFEEKW内にサブクローンし、レンチウイルスベクターFMHW−b12(本明細書において「MH−b12」ともする)およびFEEKW−b12(本明細書において「EEK−b12」ともする)をそれぞれ生成した(図1B)。さらに緑色蛍光タンパク質(GFP)を、FUW、FMHWおよびFEEKW内にサブクローンし、レンチウイルスベクターFUWG(本明細書において「U−GFP」ともする)、FMHWG(また本明細書において「MH−GFP」ともする)およびFEEKWG(本明細書において「EEK−GFP」ともする)を生成した。全てのコンストラクトを、Nalm−6(プレB)、Ramos(ナイーブB)、Dakiki(形質細胞腫)およびJurkat細胞株にて、ヒトHSPC内に導入する前に試験した。
【0084】
レンチウイルスの形質導入
レンチウイルスを、リン酸カルシウム沈殿物によるHEK293T細胞のトランスフェクションによって生成した。高滴定濃度ウイルスを調製するため、ウイルスの上清を超遠心分離によって90分間、5000×gで濃縮した。ヒト臍帯血CD34+HSPCを感染の前24時間未満で、10%ウシ胎仔血清およびサイトカインを含有するIscove’s modified Dulbecco medium(IMDM)にて保持した。サイトカインは、ヒト組み換え型インターロイキン−3(IL−3;10ng/mL)、Flt3リガンド(10ng/mL)、トロンボポエチン(10ng/mL)、幹細胞因子(SCF;5ng/mL)、および顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF;5ng/mL)を含み、感染中一日おきに与えた。濃縮レンチウイルス粒子による感染多重度で0.3〜0.4×106のHSPC/穴の1000の2つの一連の感染を、Retronectin50μg/mLでプレコートした48穴プレートにて実行した。HSPCを感染後3日目に収集し、フローサイトメトリーによって分析した。感染細胞は、それらの前駆表現型を維持した。
【0085】
酵素に結合した免疫吸着剤の分析
全ヒトIgM、IgGおよびIgAを、商業用酵素結合の免疫吸着剤分析(ELISA)のキットを使用して分析した。b12−IgG1を検出するためのELISAを、Selvarajah et al., J Virol., 2005, 79:12148-12163から修正した。分析にて、プレートを、一晩、4℃にて単量体gp120MN、2μg/mLで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)内で被覆した。穴を、0.05%のTween−20を含むPBS(PBS−T)で洗浄し、3%ウシ血清アルブミン(BSA)で、1時間、室温にて阻害した。BSAを吸引後、サンプルの希釈剤、および1%BSAを含むPBS−Tにおけるb12標準を添加し、37℃にて3時間インキュベートした。b12標準培地を、293T細胞とU−b12をトランスフェクションすることによって得て、その濃度をBiacore gp120結合分析によって測定した。穴を再度洗浄し、セイヨウワサビペルオキシダーゼと結合するヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2を1:1000で希釈して添加し、1時間37℃にてインキュベートした。プレートを3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン溶液の添加によって発現した。2MのH2SO4を添加することによって、反応を中止し、プレートを450nmでSpectroMax Reader上にて読み込んだ。
【0086】
ウイルスの組み込みの検出
プロウイルスのコピー数を、修飾されたAlu長い末端反復(LTR)ネステッド−ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプロトコルで測定した。PCRの最初のラウンドは、Alu配列(Alu-fw: 5'- TCCCAGCTACTGGGGAGGCTGAGG-3')およびウイルスが組み込まれた後の5’LTRのすぐ下流の配列(PBS-bw: 5'-GAGTCCTGCGTCGAGAGAG-3')の間で最長3kbまでの増幅を可能とした。第二ラウンドは、SYBR greenに基づく定量PCRを使用して、プロウイルスLTRの143bp配列を検出した(late-RT-fw: 5'-TGTGTGCCCGTCTGTTGTGT-3'およびlate-RT-bw: 5'- GAGTCCTGCGTCGAGAGAGC-3')。検量線を確立するため、組み込まれたgDNA標準を、6ヶ月間維持した組み込みFUWで安定なTHP−I細胞株からgDNAを抽出することによって生成し、標準gDNAにおけるプロウイルスのコピー数を、線状FUWプラスミドの連続希釈法をLTRコピーの既知の数で使用して決定した。無関係なベクトルで形質導入されたTHP−1株のゲノムDNAを、陰性対照として使用した。β−グロビンをローディングコントロールとして使用した。前記Alu−LTRネステッドPCRのプロトコルの検出範囲は、50ngのgDNAにつき500〜6×104コピーである。B細胞発生の異なる段階におけるゲノムDNAの量および細胞数の間の相互関係を、実験的に決定した。
【0087】
実施例1
第一段階:B系統関与のための刺激、およびHSPCのレンチウイルス形質導入によるヒトB細胞のプログラミング
この実施例において、CD34+臍帯血細胞を、前記工程(a)にてレンチウイルスコンストラクトとトランスフェクションし、前記工程(b)にて約5日間B系統発生で刺激して、B細胞刺激因子、例えばIL−3、Flt3リガンド、トロンボポエチン、SCFおよびG−CSFの存在下で関与した。
【0088】
GFPをコード化するレンチウイルスベクターであるFUGWを使用して、ウイルス性形質導入を試験した。CD34+臍帯血細胞を、ウイルスおよび細胞の間を結合するものとしてRetronectinと混合した。HSPCを、IL−3(10ng/mL)、Flt3リガンド(10ng/mL)、トロンボポエチン(10ng/mL)、SCF(5ng/mL)およびG−CSF(5ng/mL)を含むB細胞系統に、前駆細胞成長の促進および関与を支持する刺激混合物の因子の存在下にてインキュベートした。その後mockベクターまたはFUGWウイルスと感染多重度1,000で、2つの一連の感染を、HSPCに与えた。サイトカインの同じ混合物を、一日おきに感染時に添加した。感染細胞を、感染から3日後(インキュベーション合計5日)に収集し、フローサイトメトリーによって分析した。図2Aに示すように、CD34+細胞の80%を超える形質導入効率を、インキュベーション5日後、刺激混合物の因子にて達成した。同様の形質導入効率を、珍しく、特にヒト臍帯血におけるCD34+細胞の初期の亜細胞であるCD34+CD38細胞をゲート制御したとき観測した。
【0089】
レンチウイルスベクターのU−b12、MH−b12、EEK−b12を、HSPCを形質導入で用いられる前試験で、2つのヒトB細胞株(Nalm−6およびRamos)および1つのT細胞株(Jurkat)内にトランスフェクションした。3つの細胞株の何れも内因性IgGを発現しなかったため、細胞内IgGの染色は、トランスジェニックb12−IgG1を示す。b12−IgG1発現でのユビキチンプロモーター(U)の効果を、MHまたはEEKのB細胞特異的プロモーターのいずれかのものと比較した。図2Bに示すように、ユビキチンに誘導されるコンストラクトU−b12は、b12−IgG1を、双方のバンドT細胞株にて発現する一方、B細胞特異的プロモーターを含有するMH−b12は、B細胞でb12−IgG1の高発現を、T細胞ではほとんど発現しないことを導いた。b12−IgG1発現で同様の効果を、EEK−b12の場合にも観測した。
【0090】
F2Aを含むバイシストロニックレンチベクターから産生されるb12−IgG1の相関性を確認するため、b12の重鎖および軽鎖の発現および集合を、還元および非還元の状態にて測定した。293T細胞を、レンチウイルスベクターFUW−b12とトランスフェクションした。細胞タンパク質を還元(+β−メルカプトエタノール;すなわちβ−ME)および非還元の状態(−β−ME)下にて、SDS−PAGEを使用し、続いてIgG−Fc(γ重鎖/HC)とκ軽鎖/LCのウェスタンブロット法によって抽出および分析した。90%を超える重鎖(H)および軽鎖(L)が発現し、F2A部位にて切断され(非切断:H−2A−L)、ほとんどの重鎖はホモ二量体を(H2;100kD)、二硫化物結合によって形成し、それらは軽鎖(H2L2)を分泌前に、培地へ取り込んだ(図2C)。
【0091】
さらに、b12−IgG1のHIV中和性能を、偽型ウイルスを中和する分析を使用して確認した(図2D)。293T細胞を、レンチウイルスベクターFUW−b12とトランスフェクションした。培養上清を、Biacore分析によって収集および測定し、gp120への結合の約6μg/mLの濃度を得た。精製したb12の濃度は、125μg/mLであった。培養上清および精製したb12を、偽型ウイルス中和分析の対象としたとき、最初の濃度1.2μg/mLの5倍の25μg/mLまでそれぞれ希釈した。図2Dに示すように、b12を含有する培養培地は、偽型ウイルスのSF162菌を、精製したb12−IgG1と同程度強力に中和することができた。中和50%阻害濃度(IC50’s)は、培養培地および精製したb12で、それぞれ0.040μg/mLおよび0.026μg/mLであった。
【0092】
実施例2
第二段階:刺激したHSPCからMS5間質細胞でヒトB細胞の発生
この実施例において、B系統成長因子IL−7を発現するネズミの間質MS5細胞を使用して、工程(c)にて刺激したHSPCから、ヒトのプロB、プレBおよび未成熟B細胞の、一連の生成を支持した。刺激したCD34+HSPCを、3〜4週間MS5細胞で培養した後、HSPC23〜28%が、プロB細胞となった。またインキュベーションから更に2〜3週間後、CD19+細胞65〜69%は、プレBおよび未成熟B細胞の混合物を示した。
【0093】
MS5間質細胞を、3×104細胞/穴にて24穴プレートを一晩播種した。その後、ヒトHSPCをレンチウイルスベクター(U−GFPまたはMH−GFP)で形質導入し、非ウイルス性コントロール細胞をMS5単分子上に、5%ウシ胎仔血清を含むIscove modified Dulbecco medium中の穴につき6×104細胞/500μLでそれぞれ播種した。HSPCおよびMS5細胞の共培養を、週2回の供給によって5〜6週間、最初培地500μLを添加し、次に弱く撹拌した後、細胞80%を除去し、培地300μLを再度添加して、維持した。
【0094】
MS5へさらすことに応じて、HSPCはCD34およびc−kitの発現を、初期前駆細胞用のマーカーで欠失し、二重陰性細胞(CD34−c−kit−)のパーセンテージを時間と共に増加した(図3A)。mock感染されたCD34+細胞、およびb12発現したレンチウイルスと感染されたCD34+細胞の間における明確な差を全く観測しなかった。図3Bに示すように、脊髄系統に相当するCD13+細胞が、共培養の開始後早くても1週目に現れ始めた。しかしながら、B細胞系統刺激およびMS5間質支持の組み合わせは、CD19+初期B細胞の生成を、3から4週目の間に誘導した(図4A)。4週以降、B細胞は形成を継続し、優勢であった。
【0095】
第二段階中にB細胞発生でトランス遺伝子の効果を測定するため、非感染HSPC(ウイルス非存在)または異なるレンチウイルスコンストラクトと形質導入されたHSPCを、3〜4週間(プロB細胞の段階に相当)または6週間(プレBおよび未成熟B細胞の混合物が存在するときの時間に相当)MS5間質細胞で培養した。その結果は、B細胞の生成が、トランス遺伝子の発現によって影響しないことを示した(図5A)。またユビキチンプロモーターがGFP発現の同程度のレベルを、CD19−およびCD19+細胞の双方で4週にて促進するが、B細胞特異的なMHプロモーターは、CD19+細胞におけるGFP発現が比較的高かった(図4A右パネル)。
【0096】
第二段階の終わり(6週目)で、CD19+CD10+プレBおよびCD19+CD10未成熟B細胞の双方を生成し、それらの割合は導入されるレンチウイルスコンストラクト(MH−b12およびEEK−b12)に関わらず、同程度であった。これら特定の測定において、総CD19+細胞のパーセンテージは、MH−b12の場合、EEK−b12より比較的向上していた。図5Bを参照とする。しかしながら、図5Aに示すように、レンチウイルスコンストラクトの平均的な効果は、統計学的には同程度であった。
【0097】
第二段階が生体内で正常ヒト骨髄に存在するB細胞の部分母集団の代表種を支持するかどうかを測定するため、初期B系統マーカーの表面発現を評価した。プロB細胞は、CD19およびCD10の共発現によって同定し、3週間後に現れた(図4B左パネル)。これらの細胞は代替軽鎖の発現に対して陰性であり、それらが実際プロB細胞であったことを示した。また、B細胞特異的プロモーターによって促進されたトランス遺伝子発現を、プロB細胞のみで見出されたが、他の細胞にては見出されなかった(図4B右パネル)。対照的に、MH−GFP形質導入された前駆細胞由来のCD11c+樹枝細胞は、GFPに対して陰性(図4C)であり、免疫グロブリン転写の樹枝細胞における欠如と一貫していた。これはMHプロモーターが、B細胞系統にて主に活性化であることを示す。
【0098】
形質導入された細胞およびMS5間質細胞の共培養の4週後、総細胞の25%から30%はCD19+μ+であり、3週間で5%から8%であった。6週目にて、CD19+細胞集団は、VプレB+プレB細胞およびκ/λ+未成熟B細胞からなる(図4E下段の左および上パネル)。これら細胞は、μ+δ−であり、それらは成熟B細胞でないことを示す(図4E下段右パネル)。全CD19+細胞は、またIg(図4F)ならびにIgβに対して陽性であり、それらはそれらのB細胞受容体またはプレB細胞受容体を介してシグナルを発することが可能であることを示唆する。これらの結果は、プロB細胞が第2段階の週3から週4にて産生され、プレBおよび未成熟B細胞の混合物が、第2段階の終わりにて産生されたことを示した。
【0099】
ウイルス非存在のHSPC、コントロールベクター(mockまたはGFPベクター)と形質導入されたHSPC、またはb12コンストラクトと形質導入されたHSPCで開始した実験由来のB細胞のパーセンテージにおいて、有意差は全く観測しなかった(図5A)。また、MH−b12もEEK−b12のいずれも、CD19+CD10+プレBおよびCD19+CD10−未成熟B細胞の発生を、第2段階6週目で影響を及ぼさなかった(図5B)。全ての前記結果は、分泌IgG発現またはGFP発現が、骨髄での正常B細胞発生を妨げないことを示唆した。
【0100】
実施例3
第三段階:生体外における発生したヒトB細胞の活性化および血漿細胞分化
この実施例において、IL−2、IL−10およびCpG DNAを含むB細胞活性剤を、CD40Lを発現するMS5細胞と共に使用して、プロB、プレBおよび未成熟B細胞の活性化および最終分化を形質芽球および形質細胞に支持した。MS40L細胞との共培養2〜3週以内に、第2段階から得たB細胞約90%は、抗体分泌形質芽球(35〜37%)および形質細胞(16〜23%)を含有する活性化B細胞内に発生した。
【0101】
ヒトCD40Lクローンを、FUW内にサブクローンした。MS5間質細胞を、FUW−CD40Lウイルスによって形質導入し、MS40L単一クローンを、フローサイトメトリーによって選択し、ヒトCD40Lの低いまたは高いレベルを、細胞表面にて発現する安定なMS5細胞株を生成した。その後、第2段階中に生成したプロB、プレBおよび未成熟B細胞をカウントし、穴あたり5×104細胞/500μLで、MS40L−低またはMS40−高の細胞と、IL−2の10ng/mL、IL−10の100ng/mLおよびCpG DNA(SEQ ID NO:3)の2μMの存在下で、プレコートした48穴プレートで播種した。いくつかの実験において、IL−6(50ng/mL)、可溶性CD40L(1μg/mL)および架橋性エンハンサー(2μg/mL)を、さらに使用した。
【0102】
可溶性CD40Lは、生体外由来のB細胞の生存および分化の促進できなかった。一方で、MS40L−高またはMS40−低の細胞株によって提供される固定40Lは、可溶性CD40Lと比較して、生体外由来のB細胞の活性化および増殖に有力である。またMS40L−低細胞は、形質細胞になる第2段階由来のB細胞を誘導するMS40L−高より、有力である(図6B)。形質細胞は、第3段階の終わりにて最も明確であり、表面CD19およびIgMの減少したレベル(図6C上段パネル)、CD20−CD38+細胞の出現(図6C中央パネル)、およびCD27の上昇したレベル(図6C下段パネル)によって規定した。これらの結果は、固定されたCD40Lの適切なレベルが、形質細胞内の生体外由来B細胞の増殖および末端分化を誘導できることを示した。
【0103】
ナイーブB細胞の抗原に依存しない活性化を達成するため、CpG、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、インターフェロン−αおよび抗CD40Lから選択されるサイトカインを含有する種々の促進剤の組み合わせを、種々の刺激剤の組み合わせを有するヒト末梢血から分離されたナイーブB細胞の活性化に対して試験した。一組の実験において、IL−2/IL−10/CpGおよびIL−2/IL−10/CpG/IL−6の組み合わせを使用し、細胞へ3日に一度投与した。その組み合わせの双方とも抗体分泌CD20−CD38+およびCD19−/低CD27+細胞のパーセンテージが上昇した(図6D)。
【0104】
2から3週間、MS40L−低で、IL−2、IL−10およびCpGの存在下にて培養した第3段階の細胞の、詳細な表現型評価は、抗体分泌の形質芽球および形質細胞を生成することを明らかにした。第3段階細胞の分化中、CD19発現が減少した(図7A左パネル)一方、CD20−CD38+細胞(前駆体および完全な形質細胞)およびCD138+形質細胞は上昇した(図7B)。CD86発現を、第3段階の開始後まもなく評価した(図7A左パネル);しかしながら、向上したCD86レベルは、B細胞が増殖から形質細胞内への分化に切り替わるにつれて、減少した。表面IgG発現が現れる一方で、CD27+細胞のパーセンテージは上昇し(図7C)、内因性IgMから膜結合性IgGへのクラスの切り替えの発生およびメモリ細胞表現型の出現を示した。GFPをもたらすB細胞の血漿細胞分化(図8)またはb12レンチウイルスコンストラクトの間の相違を全く観測されず、形質細胞への表現型のMHおよびEEKプロモーターの効果は異ならず(図7A〜B)、分泌IgGトランス遺伝子の発現は血漿細胞分化を妨害しないことを示唆した。
【0105】
第3段階の終わりでB細胞は、第2段階から生成される細胞より大きく、顆粒状であり(図7E)、形質芽球または形質細胞の形態を示し(図7F;ヒト骨髄からの正常な形質芽球および形質細胞の組織学的な比較、図9参照)、内因性IgM、IgGおよびIgAの比較的多い量を産生した(図7G)。これらの結果は、第2段階由来のB細胞が、IL−2、IL−10、CpGおよびMS40L−低の組み合わせを使用する形質芽球および形質細胞の段階を達成するため、活性化することができ、これらの抗体分泌細胞が、トランス遺伝子b12−IgG1の存在に関わらず、表現型的且つ機能的に正常であることを示した。
【0106】
実施例4
抗HIV抗体b12−IgG1を産生するためのヒトB細胞のプログラミング
生体外培養システムの異なる時点でB細胞のゲノムDNAにおける、組み込まれたレンチウイルスの分析は、プロウイルスがB細胞発生を通して存在することを示した(図10)。明らかに生存し且つ発生した組み込み部位をもたらす細胞は、第3段階の終わりで細胞あたりのプロウイルスコピー数のように、平均的にはそれらの前駆細胞のものから統計学的に異ならなかった(P=0.26)。これは、抗HIV中和抗体をコード化するレンチウイルスの安定した組み込みを、HSPCから抗体分泌B細胞まで維持することができることを示唆した。
【0107】
b12特異的ELISAを使用して、b12分泌量を、第2段階および第3段階までの間に生成した細胞から測定した。第2段階中、少量のb12−IgG1を、b12トランス遺伝子を細胞に導入した場合、毎週収集した細胞培養上液に検出した(図11A)。ユビキチンプロモーターは、一定に低いレベルのb12発現を促進した。MHプロモーターへの応答によるb12の発現は、同様に低いが、おそらくプロB細胞が発現し始めた時間と一致した。第3段階の終わりで、高レベルの内因性IgM、IgGおよびIgAを検出し(図11B);100ng/mLを超えるb12を、細胞をMH−b12と最初に形質導入した場合に検出し、高レベルの約1.5μg/mLのb12をEEK−b12の場合に検出した。一貫して、EEKプロモーターは、骨髄腫細胞株におけるGFP発現の促進において、MHプロモーターより活性化であったが(図11F)、Nalm−6またはRamosのいずれかの細胞株ではないが、軽鎖プロモーターがb12の発現を、抗体分泌形質細胞にて好ましく促進できることを示唆した。
【0108】
ユビキチンプロモーターは、トランス遺伝子をB細胞にて促進することに関して相対的に弱く、従って2つのB細胞特異的プロモーターのいずれかと比較してb12−IgG1のレベルを誘導することができなかった。形質細胞の抗体分泌機構の性能は、分泌された抗体の総量を制限することができ、b12−IgG1がこれらの細胞から高く産生される場合(図11C)、EEK−b12をもたらす細胞からのIgM産生の減少を導く(図11B)。B12−IgG1は、またトランス遺伝子をもたらすB細胞の細胞質にて、抗gp120エピトープおよびb12−IgG1の重鎖定常部とそれぞれ相互作用する蛍光色素のラベルされたgp120MNおよび抗IgGの細胞内共染色を使用して、検出可能である(図11D)。EEK−b12によって達成した1.5μg/mLの濃度は、内因性IgG産物と同程度であり(約1μg/mL)、ヒト血清内に使用したとき、該濃度は生体外においてHIV−Iウイルスの90%を超える中和を達成するのに十分である。全体的に、これらの結果は、HSPCをMH−b12またはEEK−b12レンチウイルスコンストラクトと形質導入し、形質導入された細胞をB系統で分化し、ヒトB細胞をb12−IgG1中和抗体を産生するためプログラムすることができることを示した。
【0109】
実施例5
刺激されていないHSPCからのIg分泌ヒトB細胞の発生
ヒト臍帯血からのCD34+細胞を播種し、B系統成長因子IL−7を発現するMS5ネズミ間質細胞単分子層上にて培養した。細胞培養を週2回行い、新鮮な培地を添加したり、次に培養穴からの培地80%を吸引し、新鮮な培地を添加した。細胞培養を、CD19+細胞の出現に関して観察した。細胞集団の有意なパーセンテージが、CD34−CD19+になるとき、長期の培養細胞を収集し、MiniMacs細胞分離システムを使用して、CD19+細胞を増加させた。
【0110】
その後増加した19+細胞を、IL−2、IL−10およびCpGを含有するB細胞活性剤の存在下で、CD40L(例えばMS40L−低およびMS40L−高)を発現するMS5細胞と共に、実施例3に記載したように培養する。MS5細胞が、CD19+細胞の活性化および末端分化をIg分泌形質芽球または形質細胞に支持することが予期される。
【0111】
実施例6
プロB、プレBおよび/または未成熟B細胞から抗体産生ヒトB細胞への発生
プロB、プレBまたは未成熟B細胞を播種し、B系統成長因子IL−7を発現するMS5ネズミ間質細胞単分子層上で培養した。細胞培養を週に2回行い、新鮮な培地を添加したり、培養穴から培地80%を吸引し、新鮮な培地を添加した。細胞培養を、CD19+μ+δ+細胞の増加に関して観察した。細胞集団の有意なパーセンテージが、CD19+μ+δ+になるとき、細胞を収集し、MiniMacs細胞分離システムを使用して、CD19+μ+δ+細胞を増加した。
【0112】
その後関連の抗体をコード化する遺伝子を、増加したCD19+μ+δ+細胞内に、従来の遺伝子デリバリー技術、例えば関連の抗体がコード化する遺伝子を含有するレンチウイルスベクターと細胞をトランスフェクションすることによって導入した。関連の抗体をコード化する遺伝子を含有するCD19+μ+δ+細胞を、IL−2、IL−10およびCpG DNAを含有するB細胞活性剤の存在下で、CD40L(例えばMS40L−低およびMS40L−高)を発現するMS5細胞と共に、実施例3に記載したように、培養する。MS5細胞が、関連の抗体を産生する形質芽球または形質細胞に、CD19+μ+δ+細胞の活性化および末端分化を支持することが予期される。
【0113】
実施例7
ナイーブB細胞から抗体産生ヒトB細胞への発生
関連の抗体をコード化する遺伝子をもたらすナイーブB細胞を播種し、IL−2、IL−10およびCpG DNAを含有するB細胞活性剤の存在で、CD40L(例えば、MS40L−低およびMS40L−高)を発現するMS5細胞と共に、実施例3に記載したように培養した。関連の抗体をコード化する遺伝子を、ナイーブB細胞内に、従来の遺伝子デリバリー技術、例えば関連の抗体がコード化される遺伝子を含有するレンチウイルスベクターとナイーブB細胞をトランスフェクションすることによって導入した。MS5細胞は、関連の抗体を産生する形質芽球および形質細胞に、ナイーブB細胞の活性化および末端分化を支持すると予期した。
【0114】
上記発明を特定の実施形態に関して記載したが、他の実施形態は当業者に明らかである。したがって、他の組合せ、省略、交換および変更が、本明細書の開示を考慮して当業者に明らかある。従って、本出願は、好ましい実施形態の説明を制限する意図するものではないが、添付の特許請求の範囲を参照することによって規定されることを意図する。本明細書に引用される全ての引用文献を、それらを完全に参照することによって組み込む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法において、
(a)血液生成の幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団と生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む工程と;
(b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団とHSPCを、HSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで共培養する工程と;
(c)前記工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程と
を含有する方法。
【請求項2】
HSPCは、臍帯血からのCD34+細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HSPCは一次骨髄細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(d)HSPCを1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、前記工程(b)の前に培養することをさらに含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのB細胞刺激因子は、IL−3、Flt3リガンド、トロンボポイエチン、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(GM−CSF)、IL−7およびIL−11からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
HSPCを、B細胞刺激因子IL−3、Flt3リガンド、トロンボポイエチン、SCFおよびG−CSFの存在下にて培養する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、HSPC少なくとも約30%がCD19+μ+になるまで共培養する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
第一支持細胞は、間質細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第一支持細胞は、B系統成長因子IL−7を発現する間質細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのB細胞活性剤は、CpG DNA、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFNαおよび抗CD40Lからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
B細胞活性剤は、CpG DNA、IL−2およびIL−10である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
B細胞活性剤の1つは、CpG DNAである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)から得られたCD19+μ+細胞の少なくとも約40%は、CD19+μ+VプレB+プレB細胞またはCD19+μ+κ/λ+未成熟B細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
関連の抗体を産生するB細胞の少なくとも約40%は、抗体分泌形質芽球および形質細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、レトロウイルスベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
レトロウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
レンチウイルスベクターは、B細胞特異的プロモーターを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
B細胞特異的プロモーターは、EKKプロモーターである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
B細胞の集団を生体外にて生成する方法において、
(a)血液生成の幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団を、1以上のB刺激因子の存在下にて培養する工程と、
(b)HSPCと、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞を共培養する工程と、
(c)前記工程(b)から得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて共培養することと
を含有する方法。
【請求項20】
B細胞刺激因子は、IL−3、Flt3リガンド、トロンボポイエチン、SCFおよびG−CSFから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
HSPCを、前記工程(b)にて第一支持細胞の集団と、HSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで共培養する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
CD19+μ+細胞を、前記工程(c)にて第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の20%が活性化B細胞になるまで共培養する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
抗体産生B細胞を生成する方法において、
標的細胞の集団を生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムとトランスフェクションする工程であって、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドである工程と;
標的細胞とCD40Lを発現する支持細胞の集団を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、標的細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程と
を含有する方法。
【請求項24】
標的細胞は、プロB、プレB、未成熟BおよびナイーブB細胞から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのB細胞活性剤は、CpG DNA、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFNαおよび抗CD40Lからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
抗体産生B細胞の集団を生体外にて生成する方法において、
(a)血液生成の幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団と生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムを接触させ、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドを含む工程と;
(b)1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団とHSPCを、HSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで共培養する工程と;
(c)前記工程(b)で得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞の活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程と
を含有する方法。
【請求項2】
HSPCは、臍帯血からのCD34+細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HSPCは一次骨髄細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(d)HSPCを1以上のB細胞刺激因子の存在下にて、前記工程(b)の前に培養することをさらに含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのB細胞刺激因子は、IL−3、Flt3リガンド、トロンボポイエチン、幹細胞因子(SCF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒白血球コロニー刺激因子(GM−CSF)、IL−7およびIL−11からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
HSPCを、B細胞刺激因子IL−3、Flt3リガンド、トロンボポイエチン、SCFおよびG−CSFの存在下にて培養する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
HSPCを、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞の集団と、HSPC少なくとも約30%がCD19+μ+になるまで共培養する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
第一支持細胞は、間質細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第一支持細胞は、B系統成長因子IL−7を発現する間質細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのB細胞活性剤は、CpG DNA、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFNαおよび抗CD40Lからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
B細胞活性剤は、CpG DNA、IL−2およびIL−10である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
B細胞活性剤の1つは、CpG DNAである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)から得られたCD19+μ+細胞の少なくとも約40%は、CD19+μ+VプレB+プレB細胞またはCD19+μ+κ/λ+未成熟B細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
関連の抗体を産生するB細胞の少なくとも約40%は、抗体分泌形質芽球および形質細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ポリヌクレオチドデリバリーシステムは、レトロウイルスベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
レトロウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
レンチウイルスベクターは、B細胞特異的プロモーターを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
B細胞特異的プロモーターは、EKKプロモーターである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
B細胞の集団を生体外にて生成する方法において、
(a)血液生成の幹細胞/前駆細胞(HSPC)の集団を、1以上のB刺激因子の存在下にて培養する工程と、
(b)HSPCと、1以上のB系統成長因子を発現する第一支持細胞を共培養する工程と、
(c)前記工程(b)から得られたCD19+μ+細胞とCD40Lを発現する第二支持細胞の集団を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて共培養することと
を含有する方法。
【請求項20】
B細胞刺激因子は、IL−3、Flt3リガンド、トロンボポイエチン、SCFおよびG−CSFから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
HSPCを、前記工程(b)にて第一支持細胞の集団と、HSPCの少なくとも約20%がCD19+μ+になるまで共培養する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
CD19+μ+細胞を、前記工程(c)にて第二支持細胞の集団と、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、CD19+μ+細胞の20%が活性化B細胞になるまで共培養する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
抗体産生B細胞を生成する方法において、
標的細胞の集団を生体外にてポリヌクレオチドデリバリーシステムとトランスフェクションする工程であって、前記ポリヌクレオチドデリバリーシステムは関連の抗体をコード化するポリヌクレオチドである工程と;
標的細胞とCD40Lを発現する支持細胞の集団を、1以上のB細胞活性剤の存在下にて、標的細胞の少なくとも約20%が関連の抗体を産生するB細胞になるまで共培養する工程と
を含有する方法。
【請求項24】
標的細胞は、プロB、プレB、未成熟BおよびナイーブB細胞から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのB細胞活性剤は、CpG DNA、IL−2、IL−10、IL−15、IL−6、IFNαおよび抗CD40Lからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−509666(P2012−509666A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537633(P2011−537633)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065217
【国際公開番号】WO2010/059876
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(301059570)カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065217
【国際公開番号】WO2010/059876
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(301059570)カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー (14)
【Fターム(参考)】
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