説明

生体成分濃度測定装置

【課題】より高精度に生体情報の測定を行うことができる生体成分濃度測定装置を提供する。
【解決手段】耳孔内の鼓膜からの赤外光を検出する赤外線検出器と、鼓膜内血管を怒張させ、血量を増加させる血管怒張手段と、前記血管怒張手段により血管を怒張した状態での前記赤外線検出器の出力から生体成分濃度を算出する。また、耳孔内の鼓膜に赤外線を照射する赤外光源とビームスプリッタを備え、同様に血管を怒張した状態で、鼓膜からの赤外反射光を検出し、より精度の高い生体成分濃度測定装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳孔からの赤外光を用いて生体情報を非侵襲的に測定する生体成分濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生体成分濃度測定装置として、耳孔内に測定プローブを挿入し、特に鼓膜からの赤外放射光や、鼓膜に赤外光を照射し、鼓膜からの赤外反射光を用いて生体情報を検出測定する例が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、鼓膜から自然に発せられる人体組織に特徴的な赤外放射光を赤外光検出器により測定し、生体情報としての血糖値を非侵襲的に求める装置が開示されている。また、特許文献3には、鼓膜から自然に発せられる人体組織に特徴的な赤外放射光を赤外光検出器により測定し、生体情報としての体温を測定する装置が開示されている。
【特許文献1】特表2001−503999号公報
【特許文献2】特表2001−506164号公報
【特許文献3】特表平5−506171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鼓膜中の血管は細く、血液量が少ないことから、血液成分に特徴的な赤外放射光や赤外反射光の信号量が少なく、特許文献1または2記載の装置では、血液からの生体情報を精度よく測定することが困難であった。この問題に対し、特許文献3に記載の装置では、加熱赤外線により、鼓膜と耳道内を充分に高温にし、鼓膜内の血管を開いたままにし、吸収される波長の測定値が温度変化で変動しないようにすることで測定の信頼性を強化する例が開示されている。しかしながら、加熱赤外線の波長については記載がなく、測定成分に吸収される波長を含むことによって測定精度が悪化するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、生体情報を測定する際に、鼓膜内の血管を怒張させる血管怒張手段により、血液成分に特徴的な赤外放射光や赤外反射光の信号量を増加させ、測定精度の良い生体成分測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の生体成分濃度測定装置は、耳孔内の鼓膜からの赤外光を検出する赤外線検出器と、鼓膜内血管を怒張させ、血量を増加させる血管怒張手段と、前記血管怒張手段により血管を怒張した状態での前記赤外線検出器の出力から生体成分濃度を算出する生体情報演算部を備える。
【0007】
また、耳孔内の鼓膜に赤外線を照射する赤外光源と、鼓膜からの赤外反射光を検出する赤外線検出器と、鼓膜内血管を怒張させ、血液量を増加させる血管拡張手段と、前記血管怒張手段により血管を怒張した状態での前記赤外線検出器の出力から生体成分濃度を算出する生体情報演算部を備える構成を有する。
【0008】
血管怒張手段として、外耳道内の気圧の減圧及び加圧を複数回行う気圧変更手段を用いる。
【0009】
さらに、鼓膜に光を照射する光源を血管怒張手段として用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生体成分濃度測定装置によれば、より精度よく生体成分濃度の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の生体情報測定装置は、鼓膜内の血管を怒張する血管怒張手段を備えているという特徴を有する。
本発明の生体成分濃度測定装置は、耳孔内に向けて照射される赤外光を出射する赤外光源、前記耳孔内からの赤外反射光を赤外光検出器に導く導光管、鼓膜中の血管を怒張する血管怒張手段、前記導光管により導かれた赤外反射光を検出する赤外光検出器、前記耳孔内において反射された前記赤外反射光のうち、前記鼓膜において反射された反射光に起因する前記赤外光検出器の出力を用いて生体情報を算出する生体情報演算部を備える。
【0012】
本発明において、赤外光源としては、公知のものを特に限定することなく適用することができる。例えば、シリコンカーバイド光源、セラミック光源、赤外LED、赤外レーザー、量子カスケードレーザー等を用いることができる。赤外光源は、連続光源であってもよく、パルス光源であってもよい。
【0013】
導光管としては、赤外光を導くことのできるものであればよく、例えば、中空管や、赤外光を伝送する光ファイバ等を用いることができる。中空管を用いる場合、中空管の内表面に金の層を有することが好ましい。この金の層は、中空管の内面に金メッキを施したり、金を蒸着したりすることにより形成することができる。
【0014】
本発明において、赤外光検出器としては、赤外領域の波長の光を検出できるものであればよく、例えば、焦電センサ、サーモパイル、ボロメータ、HgCdTe(MCT)検出器、ゴーレイセル等を用いることができる。
【0015】
生体情報演算部としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
【0016】
本発明の生体情報測定装置において、導光管が耳孔内に挿入されるように構成されていることが好ましい。また、導光管が、耳孔内において反射した赤外光を導く機能をさらに有していてもよい。
【0017】
また、本発明の生体情報測定装置が、鼓膜から反射された赤外光を分光する分光素子をさらに備え、赤外光検出器が、分光素子により分光された赤外光を検出するように構成されていてもよい。
【0018】
本発明の生体情報測定装置は、赤外線検出器の出力信号と生体情報との相関を示す相関データを格納する記憶部、生体情報演算部により換算された生体情報を表示する表示部、及び生体情報測定装置が動作するための電力を供給する電源をさらに備えていてもよい。
生体情報演算部は、記憶部から上記相関データを読み出し、これを参照することにより、赤外線検出器の出力信号を生体情報に変換してもよい。
【0019】
赤外線検出器の出力信号と生体情報との相関を示す相関データは、例えば、既知の生体情報(例えば、血糖値)を有する患者について赤外線検出器の出力信号を測定し、得られた赤外光検出器の出力信号と生体情報との相関を解析することにより取得することができる。
【0020】
本発明において、記憶部としては、例えば、RAM、ROM等のメモリを用いることが
できる。
【0021】
表示部としては、例えば、液晶等のディスプレイを用いることができる。
【0022】
電源としては、例えば、電池等を用いることができる。
【0023】
本発明における測定対象である生体情報としては、グルコース濃度(血糖値)、ヘモグロビン濃度、コレステロール濃度、中性脂肪濃度、タンパク質濃度等が挙げられる。ここでは、生体からの赤外放射光により血糖値を測定する方法について以下に説明する。
生体からの熱放射により放射される赤外放射光の放射エネルギーWは(数1)(数2)で表される。
【0024】
【数1】

【0025】
【数2】

【0026】
但し、
W:生体からの熱放射により放射される赤外放射光の放射エネルギー、
ε(λ):波長λにおける生体の放射率、
0(λ、T):波長λ、温度Tにおける熱放射の黒体放射強度密度、
h:プランク定数(h=6.625×10-34(W・S2))、
c:光速(c=2.998×1010(cm/s))、
λ1、λ2:生体からの熱放射により放射される赤外放射光の波長(μm)、
T:生体の温度(K)、
S:検出面積(cm2
k:ボルツマン定数、
(数1)からわかるように、検出面積Sが一定の場合、生体からの熱放射により放射される赤外放射光の放射エネルギーWは波長λにおける生体の放射率ε(λ)に依存する。放射におけるキルヒホッ
フの法則から、同じ温度、波長における放射率と吸収率は(数3)に示すように等しくなる。
【0027】
【数3】

【0028】
但し、
α(λ):波長λにおける生体の吸収率、
したがって、放射率を考える際には、吸収率を考えればよいことがわかる。エネルギー保存則から、吸収率、透過率および反射率には、(数4)(数5)の関係が成り立つ。
【0029】
【数4】

【0030】
【数5】

【0031】
但し、
r(λ):波長λにおける生体の反射率
t(λ):波長λにおける生体の透過率
透過率は、入射光量と測定対象物体を透過してきたときの透過光量の比で表される。入射光量と測定対象物体を透過してきたときの透過光量は、ランベルト−ベールの法則である(数6)で示され、透過率は(数7)で表される。
【0032】
【数6】

【0033】
但し、
t:透過光量、
0:入射光量、
d:生体の厚み、
k(λ):波長λにおける生体の消衰係数(生体による光の吸収を示す係数)
【0034】
【数7】

【0035】
次に反射率について説明する。反射率は、全方向に対する平均反射率を算出する必要があるが、ここでは、簡単のため、垂直入射に対する反射率で考える。垂直入射に対する反射率は、空気の屈折率を1として(数8)で表され、放射率は(数9)で表される。
【0036】
【数8】

【0037】
但し、
n(λ):波長λにおける生体の屈折率、
【0038】
【数9】

【0039】
生体中の成分の濃度が変化すると、生体の屈折率および消衰係数が変化する。反射率は、通常、赤外領域において約0.03程度と小さく、かつ(数8)からわかるように、屈折率および消衰係数にはあまり依存しない。したがって、生体中の成分の濃度の変化により、屈折率および消衰係数が変化しても反射率の変化は小さい。
【0040】
一方、透過率は、(数7)からわかるように、消衰係数に大きく依存する。したがって、生体中の成分の濃度の変化により生体の消衰係数、すなわち生体による光の吸収の度合いが変化すると透過率が変化する。
【0041】
以上のことから、生体からの熱放射により放射される赤外放射光の放射エネルギーは、生体中の成分の濃度に依存することがわかる。したがって、生体からの熱放射により放射される赤外放射光の放射エネルギー強度から生体中の成分の濃度を求めることができる。
【0042】
また、(数7)からわかるように、透過率は生体の厚みに依存する。生体の厚みが薄いほど、生体の消衰係数の変化に対する透過率の変化の度合いが大きくなるため、生体中の成分の濃度変化を検出しやすくなる。鼓膜は、厚みが約60μm〜100μmと薄いため、赤外放射光を用いた生体中の成分の濃度測定に適している。
【0043】
また、本実施の形態で検出する鼓膜202からの反射光の強度は、数8で示される反射率と鼓膜202へ照射された赤外光強度の積で表される。数8で示したとおり、生体中の成分の濃度が変化すると、生体の屈折率及び消衰係数が変化する。反射率は、通常、赤外領域において約0.03程度と小さく、かつ(数8)からわかるように、屈折率及び消衰係数にはあまり依存せず、生体中の成分の濃度の変化による反射率の変化は小さいが、赤外光源301が放射する赤外線の強度を強くすることで検出することができる。
【0044】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1における外観図を示す斜視図、図2は、本発明の第1の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図、図3は同生体成分濃度測定装置のブロック図、図4は同生体成分濃度測定装置の光学測定部に設けられた光学フィルタホイールの構成を示す図である。
【0045】
生体情報測定装置100は、本体117と、本体117の側面に設けられた挿入部106を備えている。本体117には、生体成分の濃度の測定結果を表示するための液晶などを用いたディスプレイ118、生体情報測定装置100の電源をON/OFFするための電源スイッチ152、及び測定を開始するための測定開始スイッチ153が設けられている。挿入部106には、耳孔内から放射された赤外光を生体情報測定装置100内に導入し、導光する導光管107と、外耳道を挿入部106で密閉するための弾性体112と、外耳道に存在する空気の出入りを行う空気管111とが設けられている。
【0046】
図2に示すように、本発明の生体成分濃度測定装置は、赤外線検出器110を含む光学測定部101と気圧変更手段102および制御装置部103とにより構成されている。ここで気圧変更手段102は、本発明の血管怒張手段に相当する。
【0047】
生体成分濃度測定装置の光学測定部101の構成について説明する。図2に示すように、耳孔200に挿入された挿入部106は内部に導光管107を有する円管であり、その先端が鼓膜202に向けて開口している。また、挿入部106は、外耳道を挿入部106で密閉するための弾性体112と、外耳道104内と外部との空気の出入りを行うための空気管111とをさらに備えている。光学測定部101は、導光管107により本体117内に導かれた赤外光をチョッピングして、赤外光を高周波数の赤外線信号に変換する機能を有するチョッパー108、分光部となる光学フィルタホイール109、赤外光検出器110を備えている。鼓膜202から放射された赤外光を導光管107を通してチョッパー108に導き、チョッパー108で赤外光をチョッピングすることにより赤外光を高周波数の赤外線信号に変換する。チョッパー108でチョッピングされた赤外光は光学フィルタホイール109を経由して赤外光検出器110に到達して検出される。
【0048】
次に、図3を用いて、気圧変更手段102、光学測定部101、制御装置部103について説明する。図3は、生体成分濃度測定装置のブロック図である。
【0049】
本実施の形態における生体成分濃度測定装置の気圧変更手段102には、光学測定部の挿入部106と耳孔の隙間を埋め、空気の出入りを遮断する弾性体112と、挿入部106に外部との空気の出入りを行う空気管111と、空気管111を通して耳孔内の気圧を変更するために接続されたポンプ131とを備え、外耳道内の気圧の変化を検知し、ポンプ131を稼働させて耳孔内の気圧を変化させる。このとき、圧力センサ132により、外耳道内の気圧を測定し、外耳道内の気圧が大気圧に比べて−200daPa〜+200daPaの範囲で変化するようにポンプ131を制御する信号をマイクロコンピュータ124に送る圧力センサ132を備えている。
【0050】
本実施の形態における生体成分濃度測定装置の光学測定部101には、チョッパー108、光学フィルタホイール109、赤外光検出器110、前置増幅器113、帯域フィルタ114、チョッパー制御器115を備えている。
【0051】
一方、制御装置部103には、同期復調器121、ローパスフィルタ122、アナログ/デジタルコンバータ(以下、A/Dコンバータと略称する)123、マイクロコンピュータ124、メモリ125、ディスプレイ118、電源127、タイマー128、ブザー129を備えている。ここで、マイクロコンピュータ124は本発明における生体情報演算部に相当する。電源127は、マイクロコンピュータ124にACまたはDC電力を供給する。チョッパー108の動作は、マイクロコンピュータ124からの制御信号に基づき制御され、チョッパー108によりチョッピングされた赤外光は、光学フィルタホイール109に到達する。光学フィルタホイール109は、図4に示すように、第1の光学フィルタ141および第2の光学フィルタ142がリング143にはめ込まれている。図4に示す例では、ともに半円状である第1の光学フィルタ141および第2の光学フィルタ142がリング143にはめ込まれることにより円盤状の部材が構成されており、その円盤状の部材の中央部にシャフト144が設けられている。このシャフト144を図4の矢印のように回転させることにより、チョッパー108によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを、第1の光学フィルタ141と第2の光学フィルタ142との間で切り替えることができる。
【0052】
シャフト144の回転は、マイクロコンピュータ124からの制御信号により制御される。シャフト144の回転を、チョッパー108の回転と同期させ、チョッパー108が閉じている間にシャフト144を180度回転させるように制御することが好ましい。このようにすると、次にチョッパー108が開いたときに、チョッパー108によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを別の光学フィルタに切り替えることができる。光学フィルタホイール109は分光素子に相当する。
【0053】
第1の光学フィルタ141または第2の光学フィルタ142を透過した赤外光は、検出領域116を備える赤外光検出器110に到達する。赤外光検出器110に到達した赤外光は、検出領域116に入射し、入射した赤外光の強度に対応した電気信号に変換される。
【0054】
ここで、第1の光学フィルタ141は、例えば、測定対象である生体成分によって吸収される波長を含む波長帯域(以下、測定用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。一方、第2の光学フィルタ142は、第1の光学フィルタ141とは異なるスペクトル特性を有する。第2の光学フィルタ142は、例えば、測定対象である生体成分による吸収がなく、かつ対象成分の測定を妨害するような他の生体成分による吸収のある波長を含む波長帯域(以下、参照用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。ここで、このような他の生体成分としては、測定対象である生体成分以外で、生体中における成分量の多いものを選択すればよい。
【0055】
例えば、グルコースは、9.6μm付近に吸収ピークを有する赤外吸収スペクトルを示す。そこで、測定対象である生体成分がグルコースの場合は、第1の光学フィルタ141が、9.6μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。一方、生体中に多く含まれるタンパク質は8.5マイクロメートル付近の赤外光を吸収し、グルコースは8.5μm付近の赤外光は吸収しない。そこで、第2の光学フィルタ142が、8.5μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。
【0056】
赤外光検出器110から出力された電気信号は、前置増幅器113によって増幅される。増幅された電気信号は、帯域フィルタ114によってチョッピング周波数を中心周波数とする周波数帯域以外の信号が取り除かれる。これにより、熱雑音などの統計的揺らぎに起因するノイズを最小化することができる。帯域フィルタ114によって濾過された電気信号は、制御装置部103の同期復調器121によってチョッパー108のチョッピング周波数と帯域フィルタ114によって濾過された電気信号を同期させて積分することによりDC信号に復調される。
【0057】
同期復調器121によって復調された電気信号は、ローパスフィルタ122によって低周波数帯域の信号が取り除かれる。これにより、さらにノイズを取り除くことができる。
【0058】
ローパスフィルタ122によって濾過された電気信号は、A/Dコンバータ123によってデジタル信号に変換された後、マイクロコンピュータ124に入力される。ここで、各光学フィルタに対応する赤外光検出器110からの電気信号は、シャフト144の制御信号をトリガーとして用いることで、どの光学フィルタを透過した赤外光に対応する電気信号であるのかを識別することができる。シャフト144の制御信号をマイクロコンピュータ124が出力してから、次のシャフト制御信号を出力するまでの間が、同じ光学フィルタに対応する電気信号となる。各光学フィルタに対応する電気信号を、それぞれメモリ125上で積算した後平均値を算出することにより、さらにノイズは低減されるため、測定の積算を行うことが好ましい。
【0059】
メモリ125には、第1の光学フィルタ141を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関、および第2の光学フィルタ142を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関をそれぞれ示す相関データが格納されている。マイクロコンピュータ124は、メモリ125からこの相関データを読み出し、この相関データを参照して、メモリ125に蓄積されたデジタル信号から算出された単位時間当たりのデジタル信号を生体成分の濃度に換算する。メモリ125は、本発明の記憶部に相当する。マイクロコンピュータ124において換算された生体成分の濃度は、ディスプレイ118に出力されて表示される。
【0060】
メモリ125に格納されている、第1の光学フィルタ141を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データ、および第2の光学フィルタ142を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データは、例えば、以下の手順によって取得することができる。
【0061】
まず、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する患者について、鼓膜202から放射される赤外光と、赤外光を測定しているときの外耳道内の圧力を測定する。このとき、第1の光学フィルタ141が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ142が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号を求める。この測定を、異なる生体成分濃度を有する複数の患者について行うことにより、第1の光学フィルタ141が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号および第2の光学フィルタ142が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。
【0062】
次に、このようにして取得したデータの組を解析して相関データを求める。例えば、第1の光学フィルタ141が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ142が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とについて、PLS(Partial Least Squares Regression)法などの重回帰分析法やニューラルネットワーク法などを用いて多変量解析を行う。すなわち、第1の光学フィルタ141が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号、および第2の光学フィルタ142が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度との相関を示す関数を求めることができる。
【0063】
また、第1の光学フィルタ141が測定用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有し、第2の光学フィルタ142が参照用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する場合には、次のようにする。すなわち、第1の光学フィルタ141が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ142が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号との差を求め、その差とそれに対応する生体成分濃度との相関を示す相関データを求めてもよい。例えば、最小二乗法等の直線回帰分析を行うことにより求めることができる。
【0064】
次に、これらの図面を参照しながら本実施の形態における生体成分濃度測定装置の動作について説明する。
【0065】
まず、使用者が生体成分濃度測定装置の本体117の電源スイッチ152を押すと、光学測定部101、気圧変更手段102、および制御装置部103内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置は測定準備状態となる。図2の挿入部106を耳孔200内に挿入する。このとき、導光管107の先端が鼓膜202の方向を向くように挿入する。挿入部106は、挿入部106の先端部分から光学測定部101との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入部106の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入部106が挿入されない構造になっている。
【0066】
次に、挿入部106を外耳道104内に挿入固定した状態で、本体117に設けた測定開始スイッチ154を押す。測定スイッチ154を押すことにより、ポンプ131を動作し、耳孔内の圧力を変化させる。
【0067】
この時、圧力センサ132の出力により、外耳道内の気圧が大気圧に比べて−200daPa〜+200daPaの範囲で、減圧と加圧の繰り返しを複数回行うようにポンプ131を制御する。
【0068】
マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、外耳道の気圧変化から一定時間経過したと判断すると、ポンプ131の動作を停止させる。同時に赤外光検出器110による測定を開始する。測定が開始されると、マイクロコンピュータ124がチョッパー108の動作を開始させることにより、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、光学フィルタホイール109に到達する赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ124はディスプレイ118やブザー129を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ118に表示したり、ブザー129を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入部106を耳孔200の外に取り出す。
【0069】
マイクロコンピュータ124は、メモリ125から、第1の光学フィルタ141を透過した第1の赤外光の強度に対応する電気信号、第2の光学フィルタ142を透過した第2の赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出す。この相関データを参照して、A/Dコンバータ123から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ118に表示される。
【0070】
このように、耳孔内の気圧を連続的に変化させる血管を拡張させることにより、鼓膜からの放射光がより多く検出できるため、より精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0071】
なお、本発明の実施の形態では導光管107として中空間を用いているが、導光路としては、赤外光を導くことのできるものであればよく、例えば赤外光を伝送する光ファイバなどであってもよい。
【0072】
気圧変更手段102としては、大気圧に対して−200daPa〜+200daPaの範囲で連続的に変更できるものであれば良く、例えば、ダイアフラム型ポンプ、シリンジポンプなどを用いることができる。
【0073】
本発明の実施の形態では、耳孔内と気圧変更手段とを接続する空気管を設けた構成を示しているが、導光管と空気管を一体化し、光学測定部全体の気圧を変更することもできる。
【0074】
また、外耳道104に挿入する挿入部106の表面は、弾性物質により一部または全部が覆われており、外耳道104との隙間を埋めるとともに、測定時に発生するポンプ131の振動や、手の震え等による振動の影響を緩和する効果がある。
【0075】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態について、図5〜図6を用いて説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図、図6は同生体成分濃度測定装置のブロック図である。
【0076】
図5に示すように、本発明の生体成分濃度測定装置は、赤外光源301とビームスプリッタ302と赤外線検出器110を含む光学測定部101と、気圧変更手段102および制御装置部103とにより構成されている。
【0077】
生体成分濃度測定装置の光学測定部101の構成について説明する。図5に示すように、耳孔200に挿入された挿入部106は内部に導光管107を有する円管であり、その先端が鼓膜202に向けて開口している。さらに、光学測定部101には、赤外光源301と赤外光源301からの赤外光をチョッピングするチョッパー108、赤外光源301からの光線方向を制御するビームスプリッタ302と分光部となる光学フィルタホイール109、赤外光検出器110が設けられている。赤外光源301から出射された赤外光は、チョッパー108によりチョッピングされた後、ビームスプリッタ302によって、導光管107に導かれ、鼓膜202に照射される。鼓膜202において反射した赤外光は、導光管107を通して、光学フィルタホイール109を経由して赤外光検出器110に到達して検出される。
【0078】
気圧変更手段102について説明する。挿入部106の導光管107と光学測定部101の筐体内部の空気の出入りを遮断する。耳孔内の気圧を変更するためのポンプ131を筐体にあけた孔に接続する。ポンプ131を稼働させて耳孔内の気圧を連続的に変化させる。このとき、圧力センサ132により、外耳道内の気圧を測定し、圧力センサ132の出力により、外耳道内の気圧が大気圧に比べて−200daPa〜+200daPaの範囲で変化するようにポンプ131を制御する
次に、これらの図面を参照しながら本実施の形態2における生体成分濃度測定装置の動作について説明する。
【0079】
まず、使用者が生体成分濃度測定装置の本体117の電源スイッチ152を押すと、光学測定部101、気圧変更手段102および制御装置部103内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置は測定準備状態となる。図5の挿入部106を耳孔200内に挿入する。
【0080】
挿入部106を外耳道104に挿入する。このとき、導光管107の先端が鼓膜202の方向を向くように挿入する。挿入部106は、挿入部106の先端部分から光学測定部101との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入部106の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入部106が挿入されない構造になっている。
次に、挿入部106を外耳道104内に挿入固定した状態で本体117に設けた測定開始スイッチ154を押す。測定スイッチ154を押すことにより、ポンプ131を動作し、耳孔内の圧力を変化させる。この時、圧力センサ132の出力により、外耳道内の気圧が大気圧に比べて−200daPa〜+200daPaの範囲で、減圧と加圧の繰り返しを複数回行うようにポンプ131を制御する。
【0081】
マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、外耳道の気圧変化から一定時間経過したと判断すると、ポンプ131の動作を停止させる。同時に、赤外光源301による鼓膜への赤外光の照射することにより、測定を開始する。
【0082】
測定が開始されると、マイクロコンピュータ124がチョッパー108の動作を開始させることにより、鼓膜202で反射した赤外光の測定が開始される。マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、赤外光源301から照射される赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ124はディスプレイ118やブザー129を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ118に表示したり、ブザー129を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入部106を耳孔200の外に取り出す。
【0083】
マイクロコンピュータ124は、メモリ125から、第1の光学フィルタ141を透過した第1の赤外光の強度に対応する電気信号、第2の光学フィルタ142を透過した第2の赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出す。この相関データを参照して、A/Dコンバータ123から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ118に表示される。
【0084】
このように、耳孔内の気圧を連続的に変化させる血管を拡張させることにより、血液成分の情報を多く含んだ鼓膜からの反射光がより多く検出できるため、より精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0085】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態について、鼓膜からの反射光を用いた場合について説明する。本発明における第3の実施の形態の構成については、第2の実施の形態と同様であるため省略する。
【0086】
次にこれらの図面を参照しながら本実施の形態3における生体成分濃度測定装置の動作について説明する。
【0087】
まず、使用者が生体成分濃度測定装置の本体117の電源スイッチ152を押すと、光学測定部101、気圧変更手段102および制御装置部103内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置は測定準備状態となる。図5の挿入部106を耳孔200内に挿入する。
【0088】
挿入部106を外耳道104に挿入する。このとき、導光管107の先端が鼓膜202の方向を向くように挿入する。挿入部106は、挿入部106の先端部分から光学測定部101との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入部106の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入部106が挿入されない構造になっている。
【0089】
次に、挿入部106を外耳道104内に挿入固定した状態で本体117に設けた測定開始スイッチ154を押す。測定スイッチ154を押すことにより、ポンプ131を動作し、耳孔内の圧力を変化させる。この時、圧力センサ132の出力により、外耳道内の気圧が大気圧に比べて−200daPa〜+200daPaの範囲で、減圧と加圧の繰り返しを複数回行うようにポンプ131を制御する。
【0090】
マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、外耳道の気圧変化から一定時間経過したと判断すると、赤外光源による鼓膜への赤外光の照射することにより、測定を開始する。このとき、耳孔内の鼓膜と外耳どうとの方向きが、常圧時に比べて正対する向きになったとき、鼓膜からの反射光がより多く赤外線検出器に入射するため、赤外線検出器110の出力が最大となる。
【0091】
測定が開始されると、マイクロコンピュータ124がチョッパー108の動作を開始させることにより、鼓膜202で反射した赤外光の測定が開始される。気圧の変化に伴って現れる赤外線検出器の出力の最大値を測定に用いる。マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、光学フィルタホイール109に到達する赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ124はディスプレイ118やブザー129を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ118に表示したり、ブザー129を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入部106を耳孔200の外に取り出す。
【0092】
マイクロコンピュータ124は、メモリ125から、第1の光学フィルタ141を透過した第1の赤外光の強度に対応する電気信号、第2の光学フィルタ142を透過した第2の赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出す。この相関データを参照して、A/Dコンバータ123から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ118に表示される。
【0093】
このように、耳孔内の気圧を連続的に変化させ、血管を怒張させ、さらに耳孔内の気圧変化させた場合の赤外線検出器の最大出力を用いて測定することにより、血液成分の情報を多く含んだ鼓膜からの反射光がより多く検出できるため、より精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0094】
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態について、鼓膜からの反射光を用いた場合について説明する。本発明における第4の実施の形態の構成については、第2の実施の形態と同様であるため省略する。
【0095】
次にこれらの図面を参照しながら本実施の形態4における生体成分濃度測定装置の動作について説明する。
【0096】
まず、使用者が生体成分濃度測定装置の本体117の電源スイッチ152を押すと、光学測定部101、気圧変更手段102および制御装置部103内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置は測定準備状態となる。図5の挿入部106を耳孔200内に挿入する。
【0097】
挿入部106を外耳道104に挿入する。このとき、導光管107の先端が鼓膜202の方向を向くように挿入する。挿入部106は、挿入部106の先端部分から光学測定部101との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入部106の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入部106が挿入されない構造になっている。
【0098】
次に、挿入部106を外耳道104内に挿入固定した状態で本体117に設けた測定開始スイッチ154を押す。測定スイッチ154を押すことにより、ポンプ131を動作し、耳孔内の圧力を変化させる。この時、圧力センサ132の出力により、外耳道内の気圧が大気圧に比べて−200daPa〜+200daPaの範囲で、減圧と加圧の繰り返しを一定の速度で複数回行うようにポンプ131を制御する。
【0099】
マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、外耳道の気圧変化から一定時間経過したと判断すると、耳孔内を大気圧に対し−200daPa減圧するように、圧力センサ132の出力を用いてポンプ131を制御する。外耳道内の圧力が大気圧に対し、−200daPaになると外耳道内の圧力を測定していた圧力センサ132は信号を発する。この信号をマイクロコンピュータ124が受けることにより、赤外光源301による鼓膜への赤外光の照射することにより、測定を開始する。
【0100】
測定が開始されると、マイクロコンピュータ124がチョッパー108の動作を開始させることにより、鼓膜202で反射した赤外光の測定が開始される。マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、赤外光源301から照射される赤外光を遮断する。光学フィルタホイール109に到達する赤外光を遮断する。この状態で、再びポンプ131を制御し、外耳道の圧力が大気圧になるように制御する。外耳道の圧力が大気圧になると、外耳道内の圧力を測定している圧力センサ132は信号を発する。この信号をマイクロコンピュータ124が受け取ることにより、再びチョッパー108の動作を開始させることにより赤外反射光の測定が開始される。マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して赤外光源301から照射される赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ124はディスプレイ118やブザー129を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ118に表示したり、ブザー129を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入部106を耳孔200の外に取り出す。
【0101】
以上の測定で得られた減圧時と常圧時の赤外線検出器の出力差を用いて、生体成分濃度を演算する。
【0102】
マイクロコンピュータ124は、メモリ125から、第1の光学フィルタ141を透過した第1の赤外光の強度に対応する電気信号の減圧時と常圧時の差と、第2の光学フィルタ142を透過した第2の赤外光の強度に対応する電気信号の減圧時と常圧時の差と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出す。この相関データを参照して、A/Dコンバータ123から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ118に表示される。
【0103】
本実施の形態のように、耳孔内の気圧を連続的に変化させ、血管を怒張させ、常圧時の赤外線検出器の出力と、減圧時の赤外線検出器の出力の差を用いて生体成分濃度を算出すると、常圧時は外耳道に圧力が印加されていないため、鼓膜、外耳道とも圧力により変化しない。一方、減圧時には、鼓膜は外耳道が陰圧になることにより、鼓膜の内外気圧差による鼓膜の傾きの変化するが、外耳道は、−200daPa程度の圧力では形状が変化しないため、常圧時の赤外線検出器の出力と、減圧時の赤外線検出器の出力の差は、鼓膜の傾きが変化したことによる赤外線検出器の出力差となる。したがって、常圧時の赤外線検出器の出力と、減圧時の赤外線検出器の出力の差を生体成分濃度算出に利用することにより、鼓膜からのみの反射光による効果を生体成分濃度算出に利用できるため、外耳道の妨害要因による反射光の影響を減ずることが可能であり、より精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0104】
本実施の形態では、反射光の場合について説明したが、鼓膜からの放射光を測定する場合にも同様に効果が認められる。
【0105】
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態について、鼓膜からの反射光を用いた場合について説明する。本発明における第5の実施の形態の構成については、第2の実施の形態と同様であるため省略する。
【0106】
次に、これらの図面を参照しながら本発明の第5の実施の形態における生体成分濃度測定装置の動作について説明する。
【0107】
まず、使用者が生体成分濃度測定装置の本体117の電源スイッチ152を押すと、光学測定部101、気圧変更手段102および制御装置部103内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置は測定準備状態となる。図5の挿入部106を耳孔200内に挿入する。
【0108】
次に、挿入部106を外耳道104内に挿入固定した状態で、本体117に設けた測定開始スイッチ154を押す。測定スイッチ154を押すことにより、ポンプ131を動作し、耳孔内の圧力を変化させる。この時、圧力センサ132の出力により、外耳道内の気圧が大気圧に比べて−200daPa〜+200daPaの範囲で、減圧と加圧の繰り返しを一定の速度で複数回行うようにポンプ131を制御する。
【0109】
マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、外耳道の気圧変化から一定時間経過したと判断すると、ポンプ131が動作し、外耳道内を大気圧に対し+200daPaとなるようにポンプ131を制御する。外耳道内の圧力が大気圧に対し+200daPaになると、外耳道内の圧力を測定していた圧力センサ132は信号を発出する。この信号をマイクロコンピュータ124が受けることにより、チョッパー108の動作を開始させ、赤外光源から赤外光が鼓膜に照射されることにより、鼓膜202で反射した赤外光の測定が開始される。
【0110】
マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、赤外光源から照射される赤外光を遮断する。
【0111】
この状態で、この状態で、再びポンプ131を制御し、外耳道内の圧力が大気圧に対し−200daPaになるように制御する。外耳道内の圧力が大気圧に対し+200daPaになると、外耳道内の圧力を測定していた圧力センサ132は信号を発出する。この信号をマイクロコンピュータ124が受けることにより、再びチョッパー108の動作を開始させ、赤外光源から赤外光が鼓膜に照射されることにより、鼓膜202で反射した赤外光の測定が開始される。
【0112】
マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、赤外光源から照射される赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ124はディスプレイ118やブザー129を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ118に表示したり、ブザー129を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入部106を耳孔200の外に取り出す。
【0113】
以上の測定で得られた加圧時と減圧時の赤外線検出器の出力の差を用いて、生体成分濃度を演算する。
【0114】
マイクロコンピュータ124は、メモリ125から、第1の光学フィルタ141を透過した第1の赤外光の強度に対応する電気信号の加圧時と減圧時の差と、第2の光学フィルタ142を透過した第2の赤外光の強度に対応する電気信号の加圧時と減圧時の差と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出す。この相関データを参照して、A/Dコンバータ123から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ118に表示される。
【0115】
本実施の形態のように、耳孔内の気圧を連続的に変化させ、血管を怒張させ、加圧時の赤外線検出器の出力と、減圧時の赤外線検出器の出力の差を用いて生体成分濃度を算出すると、加圧時、減圧時には、鼓膜は外耳道が陰圧になることにより、鼓膜の内外気圧差による鼓膜の傾きの変化するが、外耳道は、−200〜+200daPa程度の圧力では形状が変化しないため、加圧時の赤外線検出器の出力と、減圧時の赤外線検出器の出力の差は、鼓膜の傾きが変化したことによる赤外線検出器の出力差となる。したがって、加圧時の赤外線検出器の出力と、減圧時の赤外線検出器の出力の差を生体成分濃度算出に利用することにより、鼓膜からのみの反射光による効果を生体成分濃度算出に利用できるため、外耳道の妨害要因による反射光の影響を減ずることが可能であり、より精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0116】
なお、本実施の形態では、反射光の場合について説明したが、鼓膜からの放射光を測定する場合にも同様に効果が認められる。
【0117】
また、本実施の形態では、外耳道内の圧力を−200daPaに減圧した状態に保った場合と+200daPaに加圧した状態に保った場合での赤外線検出器の出力を生体成分濃度の算出に利用したが、外耳道内の圧力を−200〜+200daPaの範囲で連続的に外耳道内の圧力を変化させた状態での赤外線検出器の出力の最大値、最小値の差を利用して生体成分濃度を算出してもよい。このようにすることにより、最適な圧力状態での測定が可能となるため好ましい。
【0118】
(実施の形態6)
本発明の第6の実施例について、図7〜図9を用いて説明する。図7は、本発明の実施例1における外観図を示す斜視図、図8は、本発明の第6の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図、図9は同生体成分濃度測定装置のブロック図である。
【0119】
実施の形態6に係る生体情報測定装置700は、血管怒張手段として、気圧変更手段に変えて、光源801を用いている点で実施の形態1と異なる。血管怒張手段、空気管、弾性体以外の構成は実施の形態1の生体成分濃度測定装置100と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0120】
図8に示すように、本発明の生体成分濃度測定装置は、赤外線検出器110と光源801とビームスプリッタ802を含む光学測定部101と制御装置部103とにより構成されている。
【0121】
光源801の波長は、水に吸収される波長であり、生体成分濃度を算出するための波長を含まないことが好ましい。
【0122】
光学測定部101は、光源801から発生した光をビームスプリッタ802より反射し、導光管107により鼓膜202に導く。
【0123】
光学フィルタホイール120は、図10に示すように、第1の光学フィルタ141および第2の光学フィルタ142、開口145がリング143にはめ込まれている。図10に示す例では、ともに扇状である第1の光学フィルタ141および第2の光学フィルタ142、開口145がリング143にはめ込まれることにより円盤状の部材が構成されており、その円盤状の部材の中央部にシャフト144が設けられている。このシャフト144を図4の矢印のように回転させることにより、チョッパー108によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを、第1の光学フィルタ141と第2の光学フィルタ142開口145との間で切り替えることができる。
【0124】
シャフト144の回転は、マイクロコンピュータ124からの制御信号により制御される。シャフト144の回転を、チョッパー108の回転と同期させ、チョッパー108が閉じている間にシャフト144を180度回転させるように制御することが好ましい。このようにすると、次にチョッパー108が開いたときに、チョッパー108によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを別の光学フィルタに切り替えることができる。光学フィルタホイール109は分光素子に相当する。
【0125】
第1の光学フィルタ141または第2の光学フィルタ142、開口145を透過した赤外光は、検出領域116を備える赤外光検出器110に到達する。赤外光検出器110に到達した赤外光は、検出領域116に入射し、入射した赤外光の強度に対応した電気信号に変換される。
【0126】
次に、これらの図面を参照しながら本実施の形態における生体成分濃度測定装置の動作について説明する。
【0127】
まず、使用者が生体成分濃度測定装置の本体117の電源スイッチ152を押すと、光学測定部101、制御装置部103内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置は測定準備状態となる。図8の挿入部106を耳孔200内に挿入する。このとき、導光管107の先端が鼓膜202の方向を向くように挿入する。挿入部106は、挿入部106の先端部分から光学測定部101との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入部106の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入部106が挿入されない構造になっている。
【0128】
次に、挿入部106を外耳道104内に挿入固定した状態で、本体117に設けた測定開始スイッチ154を押す。測定スイッチ154を押すことにより、光源801から光が照射される。
【0129】
この時、光学フィルタホイール120の開口145を赤外光が通過するようにマイクロコンピュータ124が光学フィルタホイール120を制御し、赤外光検出器110の出力から温度を測定し、鼓膜の温度が予め設定した温度になるまで光源801からの光照射を行う。マイクロコンピュータ124は、赤外光検出器110からの温度信号により、鼓膜の温度が予め設定した温度になったと判断すると、光源801の強度を調節し、鼓膜温度が一定になるようにする。同時に赤外光検出器110による測定を開始する。測定が開始されると、マイクロコンピュータ124がチョッパー108の動作を開始させることにより、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、光学フィルタホイール109に到達する赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ124はディスプレイ118やブザー129を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ118に表示したり、ブザー129を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入部106を耳孔200の外に取り出す。
【0130】
マイクロコンピュータ124は、メモリ125から、第1の光学フィルタ141を透過した第1の赤外光の強度に対応する電気信号、第2の光学フィルタ142を透過した第2の赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出す。この相関データを参照して、A/Dコンバータ123から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ118に表示される。
【0131】
このように、鼓膜に光を照射することにより、血管を拡張させ、鼓膜からの放射光がより多く検出できるため、より精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0132】
(実施の形態7)
本発明の第7の実施の形態について、図11〜図12を用いて説明する。図11は、本発明の第7の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図、図6は同生体成分濃度測定装置のブロック図である。
【0133】
図11に示すように、本発明の生体成分濃度測定装置は、赤外光源301と第一のビームスプリッタ803、第二のビームスプリッタ804、光源801、赤外線検出器110を含む光学測定部101と、制御装置部103とにより構成されている。
【0134】
ここで、光源801の波長は、水に吸収される波長であり、生体成分濃度を算出するための波長を含まないことが好ましい。
【0135】
生体成分濃度測定装置の光学測定部101の構成について説明する。図11に示すように、耳孔200に挿入された挿入部106は内部に導光管107を有する円管であり、その先端が鼓膜202に向けて開口している。さらに、光学測定部101には、赤外光源301と赤外光源からの赤外光をチョッピングするチョッパー108、光源801からの光線方向を制御する第一のビームスプリッタ803、赤外光源からの光線方向を制御する第二のビームスプリッタ804と分光部となる光学フィルタホイール109、赤外光検出器110が設けられている。赤外光源301から出射された赤外光は、チョッパー108によりチョッピングされた後、第二のビームスプリッタ804によって、導光管107に導かれ、鼓膜202に照射される。鼓膜202において反射した赤外光は、導光管107を通して、光学フィルタホイール109を経由して赤外光検出器110に到達して検出される。光源801から出射された光は、第一のビームスプリッタ803によって、導光管107に導かれ、鼓膜202に照射される。
【0136】
次に、これらの図面を参照しながら本実施の形態7における生体成分濃度測定装置の動作について説明する。
【0137】
まず、使用者が生体成分濃度測定装置の本体117の電源スイッチ152を押すと、光学測定部101、気圧変更手段102および制御装置部103内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置は測定準備状態となる。図10の挿入部106を耳孔200内に挿入する。
【0138】
挿入部106を外耳道104に挿入する。このとき、導光管107の先端が鼓膜202の方向を向くように挿入する。挿入部106は、挿入部106の先端部分から光学測定部101との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入部106の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入部106が挿入されない構造になっている。
【0139】
次に、挿入部106を外耳道104内に挿入固定した状態で本体117に設けた測定開始スイッチ154を押す。測定スイッチ154を押すことにより、光源801から光が照射される。
【0140】
この時、光学フィルタホイール120の開口145を赤外光が通過するようにマイクロコンピュータ124が光学フィルタホイール120を制御し、赤外線検出器の出力から温度を測定し、鼓膜の温度が予め設定した温度になるまで光源801からの光照射を行う。マイクロコンピュータ124は、赤外線検出器からの温度信号により、鼓膜の温度が予め設定した温度になったと判断すると、光源801の強度を調節し、鼓膜温度が一定になるようにする。同時に赤外検出器による測定を開始する。測定が開始されると、マイクロコンピュータ124がチョッパー108の動作を開始させることにより、鼓膜202で反射した赤外光の測定が開始される。マイクロコンピュータ124は、タイマー128からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー108を制御して、赤外光源から照射される赤外光を遮断する。
【0141】
これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ124はディスプレイ118やブザー129を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ118に表示したり、ブザー129を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入部106を耳孔200の外に取り出す。
【0142】
マイクロコンピュータ124は、メモリ125から、第1の光学フィルタ141を透過した第1の赤外光の強度に対応する電気信号、第2の光学フィルタ142を透過した第2の赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出す。この相関データを参照して、A/Dコンバータ123から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ118に表示される。
【0143】
このように、光源から光を照射し、血管を拡張させることにより、血液成分の情報を多く含んだ鼓膜からの反射光がより多く検出できるため、より精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明に係る生体情報測定方法および生体情報装置は、耳孔内から非侵襲的に生体情報、特に血糖値を測定する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1の実施の形態における生体成分濃度測定装置の外観を示す斜視図
【図2】同生体成分濃度測定装置の構成を示す図
【図3】同生体成分濃度測定装置のブロック図
【図4】同生体成分濃度測定装置の光学測定部に設けられた光学フィルタホイールの構成を示す図
【図5】本発明の第2の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図
【図6】同生体成分濃度測定装置のブロック図
【図7】本発明の第6の実施の形態における生体成分濃度測定装置の外観を示す斜視図
【図8】同生体成分濃度測定装置の構成を示す図
【図9】同生体成分濃度測定装置のブロック図
【図10】同生体成分濃度測定装置の光学測定部に設けられた光学フィルタホイールの構成を示す図
【図11】本発明の第7の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図
【図12】同生体成分濃度測定装置のブロック図
【符号の説明】
【0146】
100,700 生体成分濃度測定装置
101 光学測定部
102 気圧変更手段
103 制御装置部
104 外耳道
106 挿入部
107 導光管
108 チョッパー
109,120 光学フィルタホイール
110 赤外光検出器
111 空気管
112 弾性体
113 前置増幅器
114 帯域フィルタ
115 チョッパー制御器
116 検出領域
117 本体
118 ディスプレイ
121 同期復調器
122 ローパスフィルタ
123 A/Dコンバータ
124 マイクロコンピュータ
125 メモリ
127 電源
128 タイマー
129 ブザー
131 ポンプ
132 圧力センサ
141 第1の光学フィルタ
142 第2の光学フィルタ
143 リング
144 シャフト
145 開口
152 電源スイッチ
153 測定開始スイッチ
200 耳孔
202 鼓膜
301 赤外光源
302,802 ビームスプリッタ
801 光源
803 第1のビームスプリッタ
804 第2のビームスプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳孔内の鼓膜からの赤外光を検出する赤外線検出器と、鼓膜内血管を怒張させ、血量を増加させる血管怒張手段と、前記血管怒張手段により血管を怒張した状態での前記赤外線検出器の出力から生体成分濃度を算出する生体情報演算部を備える生体成分濃度測定装置。
【請求項2】
耳孔内の鼓膜に赤外線を照射する赤外光源と、鼓膜からの赤外反射光を検出する赤外線検出器と、鼓膜内血管を怒張させ、血液量を増加させる血管拡張手段と、前記血管怒張手段により血管を怒張した状態での前記赤外線検出器の出力から生体成分濃度を算出する生体情報演算部を備える生体成分濃度測定装置。
【請求項3】
血管怒張手段が、外耳道内の気圧の減圧及び加圧を複数回行う気圧変更手段であることを特徴とする、請求項1または2記載の生体成分濃度測定装置。
【請求項4】
前記外耳道内の気圧を測定する気圧測定手段と、前記気圧測定手段により測定された気圧が予め設定された気圧範囲で気圧を変更するように気圧変更手段を制御する気圧制御手段をさらに備える請求項3に記載の生体成分濃度測定装置。
【請求項5】
血管怒張手段が、鼓膜に光を照射する光源であることを特徴とする、請求項1または2記載の生体成分濃度測定装置。
【請求項6】
前記鼓膜の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出した温度が予め設定された温度範囲をこえたことを示す信号手段を備えていることを特徴とする請求項5記載の生体成分濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−201852(P2009−201852A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49077(P2008−49077)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】