説明

生物活性剤の送達のための組成物及び方法

本発明は、生物活性剤の生物系への送達の方法及び組成物を提供する。本組成物には、活性剤とリオトロピック相が含まれ、活性剤の生物系への放出がリオトロピック相により修飾される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、生物活性剤の生物系への送達の分野に関する。この分野には、医薬活性剤のヒト又は動物への送達を含めても、あるいは、これには農薬や他の生物活性化学品の昆虫、植物、土壌基質、給水、等への送達を含めてもよい。
【0002】
背景技術
薬物や農薬のような生物活性剤(「活性剤」)は、典型的には、ヒト、動物、又は植物のような生物系へ投与されて、その系に対して有益な効果をもたらすか又は有害な効果を予防する。多くの例において、活性剤の生物系における放出の時機、活性剤の生物系における放出の場所、活性剤の生物系における放出の時間、及び/又は生物系において放出されるか又は放出に利用される活性剤の量を修飾することが望ましい。
【0003】
活性剤を生物系へ送達するための修飾放出組成物は、修飾のない活性剤の放出プロフィール(「即時放出」)とは異なる活性剤の放出プロフィール(「修飾プロフィール」)をもたらすものである。例えば、修飾放出送達系は、活性剤の生物系における放出を持続させることができる。あるいは、又はさらに、修飾放出系は、活性剤の生物系におけるバイオアベイラビリティを高める場合がある。
【0004】
多くの修飾放出送達系は、活性剤をポリマー内に被包化するか又は包含するコンセプトに基づくので、被包化された活性剤が生物系の中へ置かれるとき、薬剤のほとんどがすぐには放出されず、むしろ、放出は、ポリマーを通る薬剤の拡散によるか、又は活性剤を放出するポリマーの侵食のいずれかにより修飾される。
【0005】
修飾放出送達系は、医薬分野において医薬活性剤のヒト及び動物における放出を持続させるか、又はそのバイオアベイラビリティを高めるのに特に有用である。修飾放出送達系が医薬分野で重要であるのは、頻繁な投与に関連した問題がそれにより抑えられる傾向があるからである。修飾放出送達系はまた、活性剤の生物系への放出を持続させて、それにより活性剤の生物系におけるバイオアベイラビリティを潜在的に高めることによってその活性を維持することが可能であるので、生物系において短い半減期を有する活性剤に有利である。
【0006】
先の考察より、修飾放出送達系が医薬分野において特に有利であることが明らかであろう。しかしながら、その有用性は医薬応用だけに制限されない。殺虫剤、殺真菌剤、等のような農薬も、有効であるためには、しばしば標的と長期の接触状態にあることが必要である。しかしながら、例えば、溶液剤の形態の化学品を標的に噴霧するときにこの接触を維持することは、噴霧の時機とそれ以後の環境条件にきわめて依存する。農薬分野では、雨のような環境効果に抵抗して、この化学品の標的からのウォッシュアウトを防ぐ活性剤の提示が望まれている。
【0007】
本明細書を通して、本発明に対する背景を記載することや本発明の側面を記載することの目的で諸文献を参考にする場合がある。しかしながら、本明細書において引用する(特許又は特許文献が含まれる)どの参考文献も先行技術を構成することが承認されているわけではない。特に、他に述べなければ、本明細書におけるどの文献の参照も、これらの文献のいずれもオーストラリアや他のあらゆる国の当該技術分野において共通の一般知識の一部を形成することを承認するものではない。参考文献の考察はその著者が主張することを述べているのであって、出願人は、本明細書に引用する文献のいずれの正確性及び妥当性について異議を唱える権利を留保する。
【0008】
発明の要約
本発明を要約することへ進む前に、本発明に対する背景と本明細書に使用する用語法を提供することが必要である。
【0009】
本発明は、活性剤と界面活性分子より形成されるリオトロピック相を含有する組成物に関する。水系の界面活性混合物では、水が界面活性剤のヘッド基と会合し、それが混合物中に流動的な親水ドメインの形成をもたらす。界面活性剤の疎水性テールも、親水性ヘッド基により水から遮蔽されて、それにより疎水性ドメインを形成する。親水性ドメインの流動性により、界面活性分子の本来のジオメトリーが、親水性及び疎水性ドメインの間の界面での界面活性分子の配置の配向性と空間側面を確定することが可能になる。この配置がしばしば「曲率」と呼ばれるのは、界面が親水性又は疎水性のドメインへ湾曲する場合があるためである。親水性及び疎水性ドメインは、それぞれ水及び油ドメインと呼ばれることがある。界面活性剤へより多量の水を加えると、界面の平均曲率が改変して、平衡状態の界面活性剤−溶媒系により表示され得る多様な特有のトポロジーを潜在的にもたらす。平衡状態で、これらのトポロジーは、しばしば、「メソ相」、「リオトロピック相」、「液晶相」、又は単に「相」と呼ばれる。
【0010】
界面活性剤−溶媒系における界面の平均曲率が疎水性又は油ドメインに向かっているならば、メソ相は、通常、「水連続性」であり、「正常」型として同定される。この曲率が親水性又は水ドメインへ向かっているならば、それらは「油連続性」と呼ばれ、「逆」又は「反転」型であると言われる。平均曲率が2つの間で平衡しているならば、この系は、0に近い平均正味曲率を有し、生じる相は、2つの織り込まれた非交差性の親水性及び疎水性ドメインからなる、積重層型の構造、又は「共連続」としばしば呼ばれる構造であり得る。「中間相」と一般に呼ばれる、紐、メッシュ、及び非キュービックの共連続相のような他のトポロジーも存在する場合がある。
【0011】
界面活性剤−溶媒系において形成され得る特別なトポロジーの例には、中でも、ミセル(正常又は逆)、ヘキサゴナル(正常又は逆)、ラメラ、及びキュービック(正常、逆、又は共連続)が含まれる。
【0012】
ミセル相には、界面活性分子が自己組織化して水と会合するヘッド基による集合体を形成して、テールは他のテールと会合して疎水性の環境を形成するときに形成されるミセルが含まれる。正常なミセルは、水中へ伸び広がるヘッド基の殻により囲まれた疎水性テールのコアからなる。ほとんど水に溶けないオイルを添加すると、収容力の限界に達するまで、一部のオイルがミセルの疎水性内部コアへ取り込まれる(又は可溶化する)。さらなるオイルの添加は、ミセル溶液より排斥された分離した油相の形成をもたらし、この系は、相分離していると言われる。
【0013】
逆ミセルは、ミセルのコアがヘッド基と会合した水を含有して、テールが疎水性ドメイン中へ伸びること以外は、正常ミセルにきわめて類似している。オイルの添加により、ミセルは分離した実体として希釈され、水の添加は、水を可溶化するコアの収容力を超えるまで逆ミセルを「膨張」させて、相分離をもたらす。
【0014】
正常及び逆ミセルは、界面活性剤の分子ジオメトリーに依存して、球状、棒状、又は板の形状であり得るが、十分に低い濃度で、この系は本質的に等方性である。
正常ヘキサゴナル相は、水中での非常に高い濃度で、長い棒状のミセルからなり、ヘキサゴナルアレイへ詰め込まれる。それ自体、その系は、二次元で秩序を保有する。これにより、強められた粘性がその系に付与され、交差偏光フィルターを通して顕微鏡で視るときに、この非等方性により複屈折テクスチャーの可視化が可能になる。逆ヘキサゴナル相は、正常ヘキサゴナル相の油連続バージョンであり、水−コアミセルが密に詰め込まれたヘキサゴナルアレイ中にある。
【0015】
ラメラ相は、積重した二層配置からなり、ここでは向かい合うヘッド基の単層が、水ドメインにより分離されて親水層を形成する一方で、後層相互のテールは、密に接触して疎水層を形成する。ラメラ相が好まれるのは、界面活性剤の構造が、ヘッド基とテールが溶液中で実質的に同等の容量を占めるようなものである場合である。
【0016】
キュービック相は、共連続及びミセルという2つの主要な型からなる。ミセル型の正常及び逆キュービック相は、キュービックアレイにおいて密に詰め込まれた球状ミセルからなり、ここでは水及びヘッド基、又はテールのいずれかがそれぞれミセルの内部を形成する。これらの相は一般に高粘性であるが、それらが球状ミセルからなるので、これらの系は等方性であり、交差偏光を通して視るときに複屈折テクスチャーは観察されない。
【0017】
共連続キュービック相が形成されるのは、界面活性分子の分子ジオメトリーが、正味曲率が0であるように十分均衡しているときである。これによりいわゆる「無限周期性の格子構造」がもたらされ、ここでは疎水性及び親水性ドメインが織り込まれるが、交差はしない。共連続キュービック相は、二重層からなるものの、キュービック単位セルに基づいて長い範囲の秩序を有するので、交差偏光により視るときに、等方性であるとも見られる。本発明の目的では、共連続相を「リオトロピック相」、「逆リオトロピック相」、又は「逆液晶相」とみなしてよい。
【0018】
本発明は、ある種の界面活性剤より形成されるリオトロピック相に取り込まれたか、又は何らかのやり方でそれと会合している活性剤の放出がリオトロピック相の存在により修飾されることを示した諸研究より生まれた。
【0019】
本発明は、活性剤を生物系へ送達するための組成物を提供し、該組成物にはリオトロピック相と活性剤が含まれ、ここでリオトロピック相は、構造(I)〜(VII):
【0020】
【化1】

【0021】
[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は本明細書で定義される別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
【0022】
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、そして
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する界面活性剤より形成され、ここで活性剤の生物系における放出は、リオトロピック相によって修飾される。
【0023】
リオトロピック相は、組成物の生物系への導入に先立って形成しても、界面活性剤を生物系へ導入した後で in situ 形成してもよい。
本発明はまた、活性剤と、構造(I)〜(VII):
【0024】
【化2】

【0025】
[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は本明細書で定義される別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
【0026】
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、そして
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する界面活性剤が含まれる組成物を提供し、そしてここで界面活性剤はリオトロピック相を形成して、活性剤の生物系への放出は、リオトロピック相によって修飾される。
【0027】
本発明の組成物において、界面活性剤のテールは、好ましくは:
【0028】
【化3】

【0029】
[式中、nは、2〜6の整数であり、aは、1〜12の整数であり、bは、0〜10の整数であり、dは、0〜3の整数であり、eは、1〜12の整数であり、wは、2〜10の整数であり、yは、1〜10の整数であり、そしてzは、2〜10の整数である]より選択される。最も好ましくは、テールは、ヘキサヒドロファルネサン((3,7,11−トリメチル)ドデカン)、フィタン((3,7,11,15−テトラメチル)ヘキサデカン)、オレイル(オクタデク−9−エニル)、又はリノレイル(オクタデク−9,12−ジエニル)の鎖より選択される。
【0030】
医薬使用では、本組成物を経口又は注射可能な剤形のような好適な剤形へ取り込んでよい。この剤形は、関連技術分野の当業者に知られている他の添加剤又は賦形剤も含有してよい。非医薬使用では、本組成物は、生物系への導入に便利であるどんな形態であってもよく、限定されないが、溶液剤又は懸濁液剤が含まれる。
【0031】
本発明はまた、活性剤の生物系における放出を修飾するための方法を提供し、該方法には:
a)活性剤と、構造(I)〜(VII):
【0032】
【化4】

【0033】
[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は本明細書で定義される別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
【0034】
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、そして
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する界面活性剤より形成されるリオトロピック相を含有する組成物を提供する工程;及び
b)活性剤を生物系へ放出して、前記放出がリオトロピック相により修飾されるように前記組成物を生物系へ曝露する工程が含まれる。
【0035】
本方法には、組成物の生物系への導入に先立ってリオトロピック相を形成する工程を含めてよい。あるいは、界面活性剤を生物系へ導入した後でリオトロピック相を in situ 形成してもよい。
【0036】
本発明はまた、持続放出沈積物を生物系において in situ 形成する方法を提供し、該方法には、本発明の組成物のボーラスを生物系に導入する工程、又は本発明の組成物のボーラスを生物系に形成させる工程が含まれる。
【0037】
本発明はまた、生物活性剤の動物における放出を修飾するための方法を提供し、該方法には、界面活性剤より形成されるリオトロピック相と生物活性剤を含有する組成物を動物の胃腸管へ曝露する工程が含まれ、ここで界面活性剤は、グリセリルモノオレエートでもグリセリルモノリノリエートでもない。
【0038】
本発明の組成物及び方法は、以下の効果の1以上を提供することができる:活性剤の生物系における持続放出、活性剤の生物系における制御放出、活性剤の生物系における多相放出、生物系における分解からの活性剤の保護、生物系における有害効果からの活性剤の保護、活性剤が生物系において溶液状態にある時間の期間の延長、生物系における溶解からの活性剤の保護又は溶解プロセスの遅延、活性剤の生物系における局在化と局在性の維持、活性剤のバイオアベイラビリティの亢進、活性剤の生物系における溶解性の向上、活性剤の生物系における修飾吸収、動物の胃腸管における活性剤の持続放出、動物の胃腸管における活性剤の制御放出、動物の胃腸管における活性剤の修飾放出、動物の胃腸管における活性剤の修飾吸収、動物の胃腸管における分解からの活性剤の保護、動物の胃腸管における溶解からの活性剤の保護又は溶解プロセスの遅延、動物の胃腸管における活性剤の局在化と局在性の維持、動物の胃腸管における活性剤の溶解性の向上、活性剤が動物の胃腸管において溶液状態にある時間の期間の延長、保存の有害効果からの活性剤の保護、既知の製剤より低毒性の代替物、現行の療法に比べた、処理、取扱い、及び/又は投与における利益。本文書の目的では、「有毒」はその一般的な意味において意味されて、限定なしに、心毒性、免疫学的応答、アレルギー反応、遺伝子毒性、癌原性、腎毒性、アナフィラキシー、及び細胞毒性のような、賦形剤、薬物、又は材料に対する有害反応が含まれる。経口的に送達される多くの生物薬剤が高いピーク血漿レベルによる心毒性を引き起こすので、心毒性が特に注目され、その予防には、修飾放出系が特に有益であろう。
【0039】
加水分解、分解、又は不活性化のような望まれない化学的又は生化学的反応を受けやすい活性剤に対して、本発明は、活性剤に保護的な環境を提供して、それにより活性剤の血漿における治療レベルが達成されることを可能にすることができる。
【0040】
本発明の組成物及び方法は、医薬活性剤の適切な剤形での投与といった、医療応用の医薬組成物に使用し得るだけでなく、本発明の組成物及び方法は、農業及び環境上の応用における活性剤の送達といった、非医薬応用にも使用し得ることも理解されよう。
【0041】
発明の全般的な説明
本発明の全般的な説明を始める前に、本明細書を通して使用する様々な用語は当業者に十分理解される意味を有することに留意されたい。しかしながら、平易な参照のために、これらの用語のいくつかについて以下定義する。
【0042】
本明細書を通して使用する用語「活性剤」及び「生物活性剤」は、生物系のある状態の診断、治癒、軽減、治療、予防、又は修飾における使用に企図されるあらゆる物質を意味すると理解すべきである。例えば、活性剤は、ヒトや他の動物種における疾患状態を治療又は予防するために療法的に使用する薬物であり得る。あるいは、活性剤は、植物における疾患状態を治療又は予防するために使用する農薬であってよい。あるいは、活性剤は、耕地又は給水を処理するために使用する、殺虫剤、昆虫駆除剤、殺藻剤、又は肥料であってよい。
【0043】
本明細書を通して使用する用語「生物系」は、あらゆる細胞又は多細胞生物、又は細胞又は多細胞生物を含有するあらゆる系を意味すると理解すべきであり、単離細胞群〜生物全体が含まれる。例えば、生物系は、植物又は動物中の組織でも、療法や治療が所望される動物被検者全体でもよい。動物は、(限定されないが)ヒト、ウシ、イヌ、モルモット、ウサギ、ブタ、ウマが含まれる哺乳動物、又はニワトリであってよい。最も好ましくは、動物はヒトである。
【0044】
本明細書を通して使用する用語「組成物」は、組成物内に含まれる個別の物質が可溶性であるか又は互いに混和しているか、又は互いと反応することを意味するものではない。
本明細書を通して使用する用語「界面活性剤」は、2つの非混和相の間の界面張力を低下させることができるあらゆる分子を意味すると理解すべきである。このことについては、界面活性機能のある分子は、1以上の追加機能を達成する場合もあると理解されよう。ある分子が界面活性能力を有することの実証は、その分子が2つの非混和相の間の界面張力を低下させる能力を有するかどうかを試験するのに適した当該技術分野で知られる方法により達成することができる。
【0045】
活性剤に関連して本明細書を通して使用する用語「送達」は、組成物又はリオトロピック相から生物系の作用部位への活性剤の移動を意味すると理解すべきである。用語「送達」には、組成物又はリオトロピック相から作用部位への活性剤の直接移動、又は組成物又はリオトロピック相から作用部位への活性剤の間接移動が含まれると企図される。間接移動の例は、活性剤の血流における放出と活性剤の標的組織又は臓器への後続の移動である。
【0046】
本明細書を通して使用する用語「アルキル」は、分岐鎖又は直鎖、非環式、1価で飽和の炭化水素基を意味すると理解すべきである。
本明細書を通して使用する用語「アルキルオキシ」は、基「アルキル−O−」を意味すると理解すべきである。
【0047】
本明細書を通して使用する用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する、分岐鎖又は直鎖、非環式、1価で不飽和の炭化水素基を意味すると理解すべきである。
【0048】
本明細書を通して使用する用語「随意に置換される」は、参照される基が、ヒドロキシ、アルキルオキシ、ハロ、アミノ、等のような1以上の置換基を含有する場合があることを意味すると理解すべきである。
【0049】
本明細書を通して使用する用語「修飾放出」は、放出される活性剤の量、及び/又はその放出の時機が、単独で、溶液剤又は懸濁液剤で、又は別の剤形で提供される場合の活性剤の同様の条件下での放出の量及び/又は時機と異なることを意味すると理解すべきである。修飾放出送達系には、限定されないが、修飾放出送達系を介して活性剤を生物系へ導入するときに、修飾放出送達系の非存在下での活性剤の放出に比べて、活性剤の生物系におけるバイオアベイラビリティが増加する系が含まれる。
【0050】
本明細書を通して使用する用語「バイオアベイラビリティ」は、活性剤が生物系の作用部位において利用可能になる度合いを意味すると理解すべきである。例えば、スタチンの作用部位は肝臓であり、故に、バイオアベイラビリティは、スタチンが肝臓に利用可能になる度合いである。
【0051】
本明細書を通して使用する用語「改善されたバイオアベイラビリティ」は、本発明による活性剤の生物系への導入後に活性剤が作用部位で利用可能になる度合いが、単独で、溶液剤又は懸濁液剤で、又は別の剤形での活性剤のそれより大きいことを意味すると理解すべきである。
【0052】
リオトロピック相の形成に関連して本明細書を通して使用する用語「極性液体」は、限定されないが、水、グリセロール、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、メタノール、エタノール、グリコフロール、等とこれらの液体に基づく溶液、並びにこれらの混合物が含まれる極性の媒体を意味すると理解すべきである。例えば、極性液体は、血液や別の水性体液であってよい。
【0053】
本発明の組成物に使用する界面活性剤は、ヘッド基が荷電又は非荷電で親水性の極性領域を形成して、テールが疎水性の非極性領域を形成する、両性化合物である。
リオトロピック相を形成するのに特に適している、本発明の組成物及び方法に使用の界面活性剤は、構造(I)〜(VII):
【0054】
【化5】

【0055】
[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
【0056】
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する。
【0057】
好ましい界面活性剤のテールは、ヘキサヒドロファルネサン((3,7,11−トリメチル)ドデカン)、フィタン((3,7,11,15−テトラメチル)ヘキサデカン)、オレイル(オクタデク−9−エニル)、及びリノレイル(オクタデク−9,12−ジエニル)の鎖である。
【0058】
好ましい界面活性剤のヘッド基を表1に示す:
【0059】
【表1】

【0060】
好ましいテール及びヘッド基の組合せを合成して、利用可能なデータに基づいて、安定したリオトロピック相が過剰な水中で特異的に形成されることを実証したか、又は形成すると予測されている。本明細書に記載する界面活性剤の生成に適した方法は、国際特許出願WO2004/022530に見出すことができる。
【0061】
好ましくは、本発明の組成物は、逆ミセル相、共連続キュービック相、逆中間相、及び逆ヘキサゴナル相からなる群より選択されるリオトロピック相を含有する。本発明の組成物における使用に好ましい逆リオトロピック相は、共連続キュービック相又は逆ヘキサゴナル相である。最も好ましくは、逆リオトロピック相は、逆ヘキサゴナル相である。これらの相は、熱力学的に安定な相である(経時的に安定である、即ち相分離しない傾向があることを意味する)ので、活性剤の送達に特に有利であり得る。本明細書に記載する界面活性剤のいくつかを使用すると、リオトロピック相が40℃以下で形成され得ること、そしてそれらがこれらの温度で、そして過剰な水の存在下で安定であることを見出した。
【0062】
過剰な水溶液中の希釈に対するリオトロピック相の熱力学的安定性は、それらが分散してリオトロピック相の粒子を形成し得ることを意味する。このことは、本発明の組成物において、リオトロピック相がバルクリオトロピック相の形態であり得るか、又はキューボソーム(cubosomes)又はヘキソソーム(hexosomes)のようなリオトロピック相の粒子を含有するコロイド状の溶液又は懸濁液の形態であり得ることを意味する。多くの応用で、本組成物は、好適な液体担体に懸濁した、生物活性剤を含有するリオトロピック相のコロイド状の溶液又は懸濁液であることが有利である。最も好ましくは、液体担体は水である。あるいは、本組成物は、活性剤をロードした粒子が一部含まれる、凍結−乾燥、スプレー凍結−乾燥、凍結乾燥、又はスプレー乾燥した粉末であってよい。この乾燥粉末は、簡便な投与を促進するために、錠剤の剤形へ圧縮しても、カプセル剤へ充填してもよい。
【0063】
我々自身の研究は、本発明の組成物が多様な活性剤の持続放出に使用することができることを示した。この持続放出を in vitro とin vivo で実証した。実際、in vivo で、本発明の組成物は、既知の界面活性剤、グリセロールモノオレエート(商業的には、MyverolTMとして知られる)より形成される逆キュービック相を含有する対照剤形の時間−血漿濃度プロフィールに比べて持続的である、活性剤の時間−血漿濃度プロフィールをもたらすことが示された。さらに、グリセロールモノオレエート又はグリセロールモノリノリエートより形成されるリオトロピック相(例えば、国際特許出願公開公報WO93/06921、米国特許第5,531,925号、及び米国特許第5,151,272号を参照のこと)は、in vivo で速やかに分解して、それ故に、本発明のいくつかの組成物ができるのと同じ程度には、活性剤の放出を持続する、及び/又はそのバイオアベイラビリティを改善することができない場合があることが知られている。
【0064】
理論により束縛されることを企図しなければ、本発明の組成物の生物系への導入後のある時間の間、活性剤は、主に、濃度勾配及び/又は分割プロセスによる活性剤のリオトロピック相から外への分散により放出されると考えられる。しかしながら、組成物又はリオトロピック相は、酵素又は化学的な攻撃による経時的な分解を受ける場合もあり、これにより、活性剤の放出のさらなる機序が提供されるかもしれない。
【0065】
本発明の組成物がコロイド状粒子の形態であるとき、この粒子は、細網内皮系による血流からの除去のような他の生物学的プロセスを受ける場合もある。これらのプロセスは、活性剤の放出をさらに改変する可能性があり、活性剤のデポー剤又はレザバーとして作用する可能性があるので、肝臓及び腎臓のような特定臓器への医薬活性剤の放出を標的指向するのに役立つ場合がある。さらに、本組成物は、機械的な分解や、温度や他の環境効果への曝露を受ける場合がある。
【0066】
本発明の組成物は、いくつかの好適な方法によって形成することができる。典型的には、純正な界面活性剤、又は界面活性剤を含有する溶液剤のいずれかに活性剤を溶かし、生じる混合物を、極性液体を含有する媒体へ加える。極性液体を含有する媒体は、典型的には水溶液である。界面活性剤を極性液体へ添加するとすぐに、リオトロピック相が形成される。このことは、本組成物の生物系への導入に先立ってリオトロピック相を形成することができることを意味する。あるいは、生物系中の極性液体(これは、典型的には水である)と界面活性剤の接触時にリオトロピック相が in situ 形成されるように、界面活性剤と活性剤を生物系へ導入してよい。このようにして形成されるリオトロピック相は、通常、「バルク」相と呼ばれる。バルクリオトロピック相は、適切な媒体に懸濁した、リオトロピック相のコロイド状粒子へ分解される場合もある。
【0067】
本発明の組成物において、活性剤は、界面活性剤へ共有結合してはいないと理解されよう。むしろ、活性剤は、リオトロピック相の内部で溶解する、錯体又は塩の形態で複合化する、及び(少なくとも一部)含まれても、又はリオトロピック相が活性剤の放出プロフィールを修飾する、及び/又は活性剤を生物系において保護するように、リオトロピック相と会合してもよい。活性剤は、リオトロピック相の疎水性ドメイン、親水性ドメイン、又は界面領域に留まる場合がある。あるいは、活性剤は、設計によるか又は天然の分割プロセスの結果として様々なドメインの間に分配されてよい。活性剤が両性であれば、それは、これらドメインの1つ又は任意数に同時に留まる可能性がある。あるいは、活性剤は、界面活性剤そのものに溶ける場合もあり、それは、溶解エンハンサーや安定化剤のような他の添加物を含有してもしなくてもよい。
【0068】
本発明は、非常に異なる物理化学特性を有する様々な活性剤の単一剤形への取込みを可能にする。本発明の組成物は、親水性、疎水性、及び界面のドメインを含有するので、親水性、親油性、疎水性、及び両性の化合物の取込みは、いかなる組合せでも可能であり、これらの材料のすべての放出を修飾することができる。このことは、エマルジョン、リポソーム、及びポリマー被包化系のような他の形態の送達系に優る利点を提供する。
【0069】
本発明の組成物及び方法に使用し得る活性剤の例には、医薬用活性物質、治療用活性物質、化粧用活性物質、獣医学用活性物質、ニュートラシューティカルズ、成長調節因子、殺虫剤、昆虫駆除剤、殺藻剤、殺真菌剤、除草剤、雑草駆除剤、滅菌薬、フェロモン、殺線虫剤、忌避剤、栄養剤、肥料、タンパク様材料、遺伝子、染色体、DNAや他の生物材料が含まれる。
【0070】
本発明の組成物及び方法は、医薬活性剤のヒトにおける送達に特に適している場合がある。本発明の主題である界面活性剤のような、過剰の水において安定な逆リオトロピック相を形成することが可能である界面活性剤は、潜在的に、多様な極性のある広範囲の医薬活性剤の経口及び非経口の両方の表示物(presentations)を介した送達に有用性を提供する。
【0071】
非経口経路により送達されるには、通常、医薬活性剤を溶液剤として製剤化することが必要条件になる。注射により投与される水溶性の医薬活性剤の例には、ペプチド及びタンパク質が含まれる。ほとんど水に溶けない薬物の場合は、水溶性を高めるために塩型、プロドラッグ、又は錯体を通常利用して、非経口送達を促進する。例には、塩酸イリノテカン、塩酸ミダゾラム、リン酸フルダリビン、リン酸エトポシド、ホスフェニトイン、イトラコナゾール/ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、及び酢酸オクトレチドが含まれる。塩、プロドラッグ、又は錯体を容易に形成することができないか、又はそれ自身が十分に溶けない場合、共溶媒混和物、界面活性剤、及び他の共可溶化剤の使用を考慮する。そのように注射される薬物の例には、ブスルファン、シクロスポリン、ジアゼパム、ジクロフェナク、及びフェノルドパムが含まれる。医薬活性剤を溶液状態で製剤化し得ない場合、又はデポー剤や修飾放出の側面が要求される場合、分散型や完全に非水系の表示物を非経口投与に利用する。
【0072】
本明細書に記載のような界面活性剤より製剤化される注射可能な組成物は(バルクでも分散型でも)、潜在的に、あらゆる薬物クラスに由来する医薬活性剤を送達する手段を提供する。極性のある医薬活性剤の送達は、医薬活性剤を極性の水性ドメインへロードすることにより可能であり、非極性の医薬活性剤は、脂質ドメインへロードすることができて、両性の医薬活性剤(これは、脂質及び水性ドメインの界面に留まると予測される)も、この系で供与することができる。あるいは、逆リオトロピック相のあらゆる部分に医薬活性剤を懸濁させてもよい。
【0073】
経口の薬物送達の分野では、簡便にも、バイオ医薬分類システム(BCS)により、医薬活性剤が水溶性と透過性に基づいて4つの群へ分類されている。本明細書に記載のような界面活性剤より形成される経口薬物送達系は、
・界面活性剤又はリオトロピック相そのものにより仲介される透過性;及び/又は
・活性剤を吸収部位に維持すること(例えば、粘膜吸着、胃貯留、又は結腸における局在化)に対する副次的な増強効果を多様な極性(溶解性)の活性剤へ供与することができるので、これら4つの群のいずれの医薬活性剤にも改善された送達(例えば、持続放出又はバイオアベイラビリティ増加)を提供する可能性がある。
【0074】
BCS分類による医薬活性剤の例を表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
追加的に、胃腸管においてごく速やかに分解する薬物(例、ほとんどのペプチド及びタンパク質)又はきわめて有毒な効果のある薬物(例、多くの抗腫瘍薬)の場合、過剰の水において安定な逆リオトロピック相は、潜在的にある時間の間それらを分解から保護し得るか、又は薬物の封鎖や薬物の胃腸環境へのより遅い速度での放出を介して有毒効果を改善し得る環境を提供する。
【0077】
本発明の組成物及び方法は、ほとんど不溶性の活性剤、そして具体的には、ヒト及び獣医用医薬品用のほとんど不溶性の医薬活性剤の送達に適している可能性がある。
本発明の組成物に含まれる可能性があるほとんど不溶性の医薬活性剤の例には、免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウイルス及び抗真菌剤、抗新生物剤、鎮痛及び抗炎症剤、抗生物質、抗てんかん薬、麻酔薬、催眠薬、鎮静薬、抗精神病剤、神経弛緩剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗痙攣剤、アンタゴニスト、ニューロン遮断剤、抗コリン作用及びコリン模倣剤、抗ムスカリン及びムスカリン作用剤、抗アドレナリン作用剤及び不整脈治療剤、降圧剤、ホルモン、及び栄養剤が含まれる。上記や他の好適な薬剤の詳細な説明は、「レミントン製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版(1990年)、マックパブリッシング社(ペンシルヴェニア州フィラデルフィア)に見出すことができる。
【0078】
本発明の組成物は、ほとんど不溶性の医薬活性剤の送達に特に適している可能性があるが、本発明はその応用に限定されず、活性剤は、動物への投与が求められるどの医薬活性剤でもよい。標的生物系が非ヒト動物である場合、活性剤は、ヒトの治療に通常使用される多くの薬物が含まれる獣医学用の薬物でも、並びに、オルビフロキサシン、ジピロン、アザペロン、及びアタピマゾールのような薬物でもよい。
【0079】
本発明の組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、又は分散剤のようなアジュバントを含有してよい。微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、EDTA、等の包含により確実にすることができる。凍結保護剤、デンプン及びデキストランのようなスプレー乾燥アジュバント、緩衝剤、等張調整剤、及びpH調整材料も本発明の組成物に含めてよい。
【0080】
本発明の組成物は、特別の応用における使用に適したものとするために、さらなる処理法へ処してもよい。例えば、オートクレーブ、滅菌濾過、放射線技術の手段によるか、又は無菌水や他の無菌の注射可能媒体に使用直前に溶かすか又は分散させることができる無菌の固体組成物の形態で滅菌剤を取り込むことによって組成物を滅菌することができる。組成物は、満足できる粒径分布や表面特性を達成するように、均質化、音波処理、及び押出し成型のような様々な手段により加工処理してもよい。
【0081】
コロイド状粒子やそれらを含有する組成物は、安定化剤を使用してさらに安定化させることができる。多様な薬剤が他のコロイド系に通常使用されていて、本目的に適している場合がある。例えば、安定性を高めるために、ポロキサマー、リン脂質、アルギン酸塩、アミロペクチン、及びデキストランを使用してよい。安定化剤の添加は、好ましくは、粒子又は組成物の最終構造と物理特性に影響を及ぼさない。
【0082】
本発明の組成物は、適切な濃度のグリセロール、ショ糖、リン酸塩緩衝剤、デキストロース、ソルビトール、及び生理食塩水のような添加剤の水系媒体への添加によって、粒子の基本構造を変化させることなく修飾してもよい。
【0083】
本発明の組成物を含有する製剤は、標準剤形で提示することができる。製剤は、簡便には、単位用量又は多用量の容器、例えば密封アンプル及びバイアルで提示することができる。
【0084】
本発明の組成物、又は組成物を含有する製剤の動物使用への適格性は、関連技術分野において定型的に利用されていて、それ故に当業者によく知られている標準手順を使用して試験することができる。特別な組成物が動物使用に適しているかどうかを評価するために実施することができる前臨床試験の例には、毒性試験、耐薬性試験、溶血試験、等が含まれる。
【0085】
担当医は、投与される活性剤の特性、患者の年齢及び状態、並びに治療される状態の重症度に基づいて、彼/彼女の判断で、適正な投与量及び方式を決定すると考えられる。
本発明の組成物は、潜在的に、腫瘍のようなある組織タイプや細網内皮系の組織に活性剤を局在化させるために使用することができる。デポー剤の形態の組成物は、組織の状態を局所的に治療する活性剤のレザバーを提供するために使用し得るので、この目的に最も適しているかもしれない。
【0086】
本発明の組成物は、活性剤の多相放出をもたらす場合もある。より具体的に言えば、本組成物には、リオトロピック相に対して外側にあるドメインが含まれる場合がある。この外側ドメインは、リオトロピック相と同様に、活性剤を含有することができて、活性剤の外側ドメインからの放出の速度論は、活性剤のリオトロピック相からの放出とは異なるものである。活性剤は、外側ドメインに含まれても、それを形成してもよい。外側ドメインでは、活性剤の全部又は一部が、本明細書に記載の界面活性剤と混和しない固体又は液体において、固体結晶粒子、非結晶粒子、及び/又は溶液の形態であり得る。あるいは、又は加えて、活性剤は、ポリマー粒子に被包化されてよい。
【0087】
本発明の組成物には、活性剤の放出を修飾するための付加担体(adjunct vehicle)が含まれる場合もある。活性剤の付加担体からの放出プロフィールは、好ましくは、活性剤のリオトロピック相からの放出プロフィールと異なる。このように、活性剤の in vivo 放出は、活性剤のリオトロピック相及び付加担体からの異なる放出プロフィールを利用することによって調節又は調整することができる。付加担体は、当該技術分野で知られている、既知の修飾放出薬物送達系の1以上であってよく、(限定されないが)ポリマーコーティング剤、リポソーム、又は第二の界面活性剤より形成されるリオトロピック相が含まれる。このように、付加担体は、第二のリオトロピック相を形成する界面活性剤であってよい。この第二のリオトロピック相は、逆ミセル相、共連続キュービック相、逆中間相、又は逆ヘキサゴナル相であってよい。この種の組成物の例には、本明細書に記載のようなグリセリン酸オレイルの逆ヘキサゴナル相と、グリセロールモノオレエートより形成される共連続相が含まれる。我々の研究は、活性剤のグリセロールモノオレエートから(そしてより具体的には、MyverolTMより形成される共連続相から)の in vivo 放出が、本明細書に記載の界面活性剤のいくつかからよりも、より速い傾向にあることを示した。故に、それぞれのリオトロピック相の量を調整することによって、活性剤の組成物からの放出プロフィールを調整することが可能である。
【0088】
溶液形態で安定ではない活性剤について、本発明はまた、凍結−乾燥、凍結乾燥、又はスプレー乾燥というこれまでのアプローチに代わる製剤化戦略を提供する。これは、生物活性剤が本発明の組成物へのその取込みにより保存の有害効果より保護され得るからである。これは、より大きな保存安定性と、医薬品の場合、この送達系では復元工程を回避することができるので、医療提供者によるより容易な取扱いをもたらす。
【0089】
医薬使用では、本発明の組成物は、ヒトや他の動物へ経口、直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所的(散剤、軟膏剤、滴剤によるように)、経皮的、頬内、又は経口又は経鼻スプレー剤として投与することができる。頻回投与が求められる場合もある。
【0090】
本発明の組成物はまた、典型的には連続静脈内注入により投与される活性剤へ代わりの投与方式を提供する。これは、コロイド状分散粒子の形態であり、注射によるか又は経口で投与される、本発明の医薬組成物からの活性剤の放出が in vivo で持続され得るからである。持続放出の結果として、活性剤は、さほど頻繁に投与するに及ばないかもしれない。
【0091】
非経口注射用の本発明の医薬組成物は、医薬的に許容される無菌の水系又は非水系溶液剤、分散液剤、懸濁液剤、又は乳剤、並びに、無菌の注射可能な溶液剤又は分散液剤へ使用直前に復元するための無菌散剤を含む。好適な水系及び非水系の担体、希釈剤、溶媒、又は運搬体の例には、水、エタノールや同様の極性液体、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、等のような)、及びこれらの好適な混合物、植物油(オリーブ油のような)、及びオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、(分散液剤の場合)要求される粒径の維持により、そして界面活性剤の使用により維持することができる。
【0092】
疾患、寄生虫及び細菌の寄生、等の全身性又は局所性の治療をもたらす非経口投与経路には、限定なしに、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、硬膜下、硬膜外、肺内、局所、経皮、経鼻、頬内、眼内、膣、直腸、関節内、歯周が含まれる。
【0093】
本発明の組成物は、有機溶媒、界面活性剤、又は他の有毒な賦形剤のようなさほど望まれない賦形剤を含有するために現行では注射可能製剤としてのみ利用可能である活性剤の注射可能な医薬製剤を提供する可能性がある。
【0094】
本発明の組成物の静脈内投与は、活性剤を含有するリオトロピック相のコロイド状分散液剤の投与の形態であり得る。コロイド状粒子は、血液コンパートメント全体を自由に循環して、他の組織へ取り込まれても取り込まれなくてもよい。この粒子からの活性剤の遅い制御放出は、遅い注入剤と同様のやり方で活性剤を提供するが、コロイド状分散液剤の単回又は頻回注射により達成することができる。あるいは、コロイド状分散液剤は、体液との接触時にコロイド状粒子を形成する前駆体溶液剤の投与によって in vivo 形成してもよい。あるいは、活性剤を含有するバルク逆リオトロピック相のボーラス注射剤、又は体液との接触時にバルクリオトロピック相を形成する、活性剤を含有する前駆体溶液剤を使用して、組成物のデポー剤を体内に形成してよい。故に、活性剤のデポー剤からの放出は、注射可能なデポー剤による以外は通常の注入法に類似したやり方で活性剤の放出をもたらす。故に、本発明は、ミクロスフェア、ヒドロゲル、等のような現在利用可能な系に代わるデポータイプを提供する。本発明の組成物のコロイド状及びボーラス注射型は、リオトロピック相に混和しない、ポリマー粒子に被包化される、又は他のやり方でリオトロピック相の外側ドメインに含まれるか又はそれを形成する固体又は液体中の固体結晶粒子、非結晶粒子、溶液のように、リオトロピック相に溶けること以外の形態で活性剤を含有してもよい。本発明のこの形態は(特に、ボーラス注射剤の場合)、活性剤のきわめて遅い、おそらくは多相の放出をもたらすことができて、デポーの存続時間を高めることによって利益を提供する可能性がある。
【0095】
本発明の方法及び組成物は、活性剤の経口送達に特に適している可能性がある。従って、本発明は、動物の胃腸管における生物活性剤の放出を修飾する方法を提供する。この方法には、界面活性剤より形成されるリオトロピック相と生物活性剤を含有する組成物を動物の胃腸管へ曝露する工程が含まれる。これにより胃腸管の内部でほとんど消化され得ない組成物が提供され、活性剤を放出し得て、他のやり方で投与される活性剤に比べて異なる吸収をもたらし得る持続的な保護レザバーを提供する。このことはまた、他のやり方で投与される活性剤に比べて延長された時間の間にわたり、溶液状態の活性剤を胃腸管に維持することによって、活性剤のバイオアベイラビリティを改善することができる組成物を提供する。本明細書において詳細に記載した構造を有する界面活性剤は、胃腸管においてほとんど消化され得ないか、又は延長された時間の間、溶液状態の活性剤を胃腸管に維持することができるが、本明細書に提供した構造式の範囲に該当しない界面活性剤も、乏しい消化可能性とリオトロピック相を形成する能力を明示することができ、それにより本発明の方法における使用に適したものになることは有り得る。
【0096】
本明細書に記載の界面活性剤により形成される種類のリオトロピック相は、粘膜吸着特性を明示する場合があると考えられる。さらに、in vitro 試験は、本明細書に記載の界面活性剤の中に、MyverolTMのような典型的な製剤脂質に比較して、ほとんど消化されないものがあることを示した。結果として、本発明の組成物及び方法を使用することによって、活性剤の放出及び吸収が起こり得る消化条件下で持続的な可溶化レザバーを提供する持続放出組成物を形成することが可能である。
【0097】
経口摂取用の製剤は、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末化活性剤のアンプル剤、又は油系若しくは水系の懸濁液剤若しくは溶液剤の形態であり得る。錠剤や他の非液体経口組成物は、医薬組成物の製造について当該技術分野で知られた許容される賦形剤を含有してよく、(限定されないが)乳糖又は炭酸カルシウムのような希釈剤、ゼラチン又はデンプンのような結合剤;及び、味のよい調製物を提供する、甘味剤、芳香剤、着色又は保存剤からなる群より選択される1以上の薬剤が含まれる。さらに、経口調製物は、胃腸管における崩壊及び吸収をさらに遅延させるために、既知の技術によって外皮化してよい。
【0098】
極性液体中の懸濁液剤は、メチルセルロースのような懸濁剤;及びレシチン又は長鎖脂肪アルコールのような湿潤剤が含まれる、薬理学的に許容される賦形剤と混合して有効成分を含有してよい。極性液体中の懸濁液剤は、保存剤、着色剤、芳香剤、及び甘味剤を業界標準に従って含有してもよい。
【0099】
本明細書に記載の界面活性剤により形成されるリオトロピック相の水性ドメインに選好的に留まる、親水性の生物活性薬剤の場合、その環境は、外部の胃腸管環境の有害効果からの活性剤の保護を提供する可能性がある。即ち、単独で又は溶液状態で、あるいは別の剤形で投与されるときに活性剤が他のやり方では影響を受けやすい場合がある、胃腸管において起こり得る望まれない化学的又は生化学的な反応より、活性剤を物理的又は化学的に保護することができるのである。この保護により、活性剤のより多くがその活性型で吸収されることが可能になるので、必然的に、増加したバイオアベイラビリティをもたらす。そのような親水性の活性剤の例には、限定されないが、ペプチド及びタンパク質と、ワクチンのような他の薬剤が含まれよう。
【0100】
本発明の医薬組成物は、胃腸管からの乏しいか又は一貫性のない全身吸収、又は胃腸管における乏しい安定性のために、他のやり方ではヒト患者への経口経路により有効に投与することができない活性剤の修飾放出送達に特に適している可能性がある。これらの薬剤は、現行では、静脈内経路より投与されるので、医師や他の医療プロフェッショナルによる頻繁な介入が必要とされ、患者に対してかなりの不快感と潜在的な局所外傷を伴い、病院施設における投与が必要とされることさえある。対照的に、そのような活性剤の本発明の組成物における投与は、活性剤の持続放出がもたらす場合があり、このことは、この薬剤をさほど頻繁に投与する必要がないことを意味する場合がある。あるいは、又は加えて、そのような活性剤の本発明の組成物における投与は、活性剤のバイオアベイラビリティの増加をもたらす場合があり、このことも、この薬剤をさほど頻繁に投与する必要がないことを意味する場合がある。活性剤の持続放出は、経口経路により与えられるいくつかの活性剤、特に、in vivo での半減期が短いもの、又は高用量が有毒であり得るものにとって追加的な治療利益となる可能性がある。
【0101】
潜在的な経口剤形には、本発明の組成物をバルク型のリオトロピック相で含有するカプセル剤、リオトロピック相の分散液を含有するカプセル剤、本発明の組成物の粉末型を含有するカプセル剤、又はリオトロピック相を摂取時に形成する前駆体溶液剤を含有するカプセル剤が含まれる場合がある。カプセル剤は、他の材料を含有してもしなくてもよく、腸溶外皮化してもしなくてもよい。カプセル型に代わるのは、非被包化シロップ剤、又は飲用によるか又は患者へ胃内又は腸内に挿管することにより投与される他の液体型である。
【0102】
医薬分野における使用だけでなく、本発明の組成物は、農薬の送達にも使用することができる。使用時に、多くの農薬は、それが放出される環境において壊れるか又は分解されるので、この理由で、基質における化学品の有効レベルを維持するためにこの化学品を再適用する必要がある。環境条件も、標的と化学品の間の一貫した接触を維持することを困難にしている。例えば、液体型の農薬は、しばしば噴霧により収穫物へ投与される。本発明の組成物を使用すれば、化学品の標的への送達の効率が高まるので、より低用量の農薬を収穫物に噴霧すればよい。追加的に、本発明のある形態では、農薬の放出が持続されるので、さほど頻繁に投与する必要がないだろう。
【0103】
標的の生物学的実体が植物である場合、本発明の組成物を使用して送達される活性剤には、潜在的に、限定されないが、α−シペルメトリンのような合成ピレスロイド、ジフルベンズロンのようなベンジル尿素、有機リン化合物、例えばメビンホス、シアナジンのようなトリアジン類、MCPAのような植物ホルモンレギュレーターが含まれる可能性がある。使用し得る除草剤の例には、グリホサート、セトキシジム、イマザキン、及びアシフルロフェンが含まれる。
【0104】
標的の生物系が昆虫である場合、活性剤は、マラチオン、ホウ酸、ピレスリン、及びクロルピリホスのような昆虫駆除剤であり得る。
発明の好ましい態様の記載
本発明を、医薬品送達の分野に特に向けられた実施例を参照にして、以下記載する。しかしながら、先述の考察に照らせば、本発明は、この特別な分野に限定されないと理解される。
【0105】
実施例1−生物活性剤の界面活性剤における溶解性
界面活性剤が送達系の成分として有用であるためには、生物活性剤を界面活性剤又は水に溶かすことのできることが重要である。表3は、本発明を使用して潜在的に送達することができる3種の医薬化合物を溶かすのに界面活性剤が有用であることを例示する。溶解性は、飽和に達するまでの、40℃での界面活性剤の固体薬物での飽和により定量した。薬物レベルは、逆相HPLCによって定量した。示す数値は、他に示さなければ、3つの別々の試料の平均±標準偏差である。
【0106】
【表3】

【0107】
実施例2−パクリタキセル、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の組成物からのパクリタキセルの持続放出
生物活性剤の放出が修飾されたかどうかを決定するために、我々は、様々な活性剤のバルクリオトロピック相からの放出を試験した。これらの試験は、注射可能デポー剤又は経口マトリックス剤のいずれかとして投与されるときの、本発明の組成物の挙動についてのモデル系を提供する。バルク逆相の錠剤サイズ試料からの薬物放出の測定を可能にする簡単な方法を開発した。
【0108】
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルにより形成されるリオトロピック相からのパクリタキセルの持続放出の例を図1に示す。薬物を含有する逆ヘキサゴナル相の錠剤サイズ試料を以下のように調製した。300mgの純正な界面活性剤にパクリタキセルを表3に列挙する飽和溶解性の近似値で溶かした。この界面活性剤の溶液へ過剰の水(700μl)を激しい混合とともに加えることによって、2mLのネジふたガラスバイアル中で粘性リオトロピックバルク相を形成した。この試料を過剰な水の存在下に40℃インキュベーターにおいて3〜4日間平衡化し、遠心分離を使用して、リオトロピック相の粘性プラグを形成した。粘性相の試料を取り出し、水平円断面の直径が10mmであり高さが10mmである、丸いミクロビーカー(目的設計)へ入れた。これにより、試料表面の一定ジオメトリーの外部溶液への放出が可能になった。ミクロビーカーを大きな磁気撹拌子へ付けて、放出媒体を支持するために使用する被覆ガラス容器の底へそれを固定した。放出媒体は40℃に維持した500mLの脱イオン水であり、100±1rpmで回転する30mmの3ブレードのあるオーバーヘッド撹拌子により撹拌を行った。ガラス容器を密封して、放出媒体の蒸発を避けた。一定の間隔で試料を採取して、同一量の放出媒体で置き換えて、試料についてパクリタキセル含量を分析した。試料の持続放出性が実証された10日後に放出実験を止めた。この実験には、同様の系におけるこれまでの放出定量の解釈を複雑にしてきた膜が存在していないことに注目することが重要である。
【0109】
実施例3−塩酸イリノテカン、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の組成物からのイリノテカンHClの持続放出
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルにより形成されるリオトロピック相からの塩酸イリノテカンの持続放出の例を図2に示す。薬物を含有する逆ヘキサゴナル相の錠剤サイズ試料を以下のように調製した。300mgの純正な界面活性剤に塩酸イリノテカンを表3に列挙する飽和溶解性の近似値で溶かした。この界面活性剤の溶液へ過剰の水(700μl)を激しい混合とともに加えることによって、2mLのネジふた琥珀色ガラスバイアル中で粘性リオトロピックバルク相を形成した。この試料を過剰な水の存在下に40℃インキュベーターにおいて3〜4日間平衡化し、遠心分離を使用して、リオトロピック相の粘性プラグを形成した。粘性相の試料を取り出し、水平円断面の直径が10mmであり高さが10mmである、丸いミクロビーカー(目的設計)へ入れた。これにより、試料表面の一定ジオメトリーの外部溶液への放出が可能になった。ミクロビーカーを大きな磁気撹拌子へ付けて、放出媒体を支持するために使用する被覆ガラス容器の底へそれを固定した。放出媒体は40℃に維持した500mLの脱イオン水であり、100±1rpmで回転する30mmの3ブレードのあるオーバーヘッド撹拌子により撹拌を行った。ガラス容器を密封して、放出媒体の蒸発を避けて、ホイルでカバーをして、光により誘発される分解から薬物を保護した。一定の間隔で試料を採取して琥珀色ガラスバイアルに保存し、同一量の放出媒体で置き換えて、試料についてイリノテカン含量を分析した。試料の持続放出性が実証された15日後に放出実験を止めた。この実験には、同様の系におけるこれまでの放出定量の解釈を複雑にしてきた膜が存在していないことに注目することが重要である。
【0110】
実施例4−イリノテカン塩基、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の組成物からのイリノテカン塩基の持続放出
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルにより形成されるリオトロピック相からのイリノテカン塩基の持続放出の例を図3に示す。薬物を含有する逆ヘキサゴナル相の錠剤サイズ試料を以下のように調製した。300mgの純正な界面活性剤にイリノテカン塩基を表3に列挙する飽和溶解性の近似値で溶かした。この界面活性剤の溶液へ過剰の水(700μl)を激しい混合とともに加えることによって、2mLのネジふた琥珀色ガラスバイアル中で粘性リオトロピックバルク相を形成した。この試料を過剰な水の存在下に40℃インキュベーターにおいて3〜4日間平衡化し、遠心分離を使用して、リオトロピック相の粘性プラグを形成した。粘性相の試料を取り出し、水平円断面の直径が10mmであり高さが10mmである、丸いミクロビーカー(目的設計)へ入れた。これにより、試料表面の一定ジオメトリーの外部溶液への放出が可能になった。ミクロビーカーを大きな磁気撹拌子へ付けて、放出媒体を支持するために使用する被覆ガラス容器の底へそれを固定した。放出媒体は40℃に維持した500mLの脱イオン水であり、100±1rpmで回転する30mmの3ブレードのあるオーバーヘッド撹拌子により撹拌を行った。ガラス容器を密封して、放出媒体の蒸発を避けて、ホイルでカバーをして、光により誘発される分解から薬物を保護した。一定の間隔で試料を採取して琥珀色ガラスバイアルに保存し、同一量の放出媒体で置き換えて、試料についてイリノテカン含量を分析した。試料の持続放出性が実証された12日後に放出実験を止めた。この実験には、同様の系におけるこれまでの放出定量の解釈を複雑にしてきた膜が存在していないことに注目することが重要である。
【0111】
実施例5−イリノテカン塩基、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル及び水の組成物からのイリノテカン塩基の持続放出
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルにより形成されるリオトロピック相からのイリノテカン塩基の持続放出の例を図4に示す。薬物を含有する逆ヘキサゴナル相の錠剤サイズ試料を以下のように調製した。300mgの純正な界面活性剤にイリノテカン塩基を表3に列挙する飽和溶解性の近似値で溶かした。この界面活性剤の溶液へ過剰の水(700μl)を激しい混合とともに加えることによって、2mLのネジふた琥珀色ガラスバイアル中で粘性リオトロピックバルク相を形成した。この試料を過剰な水の存在下に40℃インキュベーターにおいて3〜4日間平衡化し、遠心分離を使用して、リオトロピック相の粘性プラグを形成した。粘性相の試料を取り出し、水平円断面の直径が10mmであり高さが10mmである、丸いミクロビーカー(目的設計)へ入れた。これにより、試料表面の一定ジオメトリーの外部溶液への放出が可能になった。ミクロビーカーを大きな磁気撹拌子へ付けて、放出媒体を支持するために使用する被覆ガラス容器の底へそれを固定した。放出媒体は40℃に維持した500mLの脱イオン水であり、100±1rpmで回転する30mmの3ブレードのあるオーバーヘッド撹拌子により撹拌を行った。ガラス容器を密封して、放出媒体の蒸発を避けて、ホイルでカバーをして、光により誘発される分解から薬物を保護した。一定の間隔で試料を採取して琥珀色ガラスバイアルに保存し、同一量の放出媒体で置き換えて、試料についてイリノテカン含量を分析した。試料の持続放出性が実証された12日後に放出実験を止めた。この実験には、同様の系におけるこれまでの放出定量の解釈を複雑にしてきた膜が存在していないことに注目することが重要である。
【0112】
実施例6−注射可能2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル中の親水性化合物の製剤
界面活性剤における溶解性が低い親水性薬剤の送達に有用であるために、親水性薬物が極性の内部相に溶けている、注射可能組成物(「前駆体(Precursor)」)を開発して、低粘性リオトロピック相が生成されるような割合で、これを界面活性剤と混合する。この前駆体は、注射時に体液のようなさらなる極性液体と接触状態になるまでは、高粘性のシリンジ注射不能な逆ヘキサゴナル又は逆キュービック相を形成するのに必要とされる閾値未満であるような組成で極性液体を含有する。そのような注射可能前駆体の1例を以下に記載する:
酢酸オクトレチド(15.1mg)を105μLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かし、この溶液の70μLをガラスバイアル中の37℃で融けた2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルへ加えた。37℃で1時間、チューブローラー上で回転後、透明な均質の低粘性液体を得た。18ゲージ皮下針及びシリンジを使用してこの前駆体を水へ注入すると、交差偏光フィルターを通して視るとき、過剰の水との接触と同時に、水中に高複屈折相が生成された。
【0113】
実施例7−注射可能ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル中の親水性化合物の製剤
このような注射可能前駆体の1例を以下に記載する:
酢酸オクトレチド(25mg)を175μLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かし、この溶液の70μLをガラスバイアル中でジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルへ加えた。37℃で1時間、チューブローラー上で回転後、透明な均質の低粘性液体を得た。18ゲージ皮下針及びシリンジを使用してこの前駆体を水へ注入すると、交差偏光フィルターを通して視るとき、過剰の水との接触直後に、水中に高複屈折相が生成された。
【0114】
実施例8−酢酸オクトレチド、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の組成物からの酢酸オクトレチドの持続放出
ペプチドの持続放出は、デポー剤注射後のペプチドの放出による長期療法にしばしば望ましい。本実施例は、本発明の界面活性剤の1つより形成される逆相からの代表的な治療用ペプチドの放出を実証する。
【0115】
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルにより形成されるリオトロピック相からの酢酸オクトレチドの持続放出についてのデータを図5に示す。酢酸オクトレチド(20mg)を500μLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かした。この溶液をガラスバイアル中で750mgの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルへ加え、これを37℃で48時間、チューブローラー上で回転した。このバイアルを遠心分離させて、過剰の水溶液を除去した。粘性相の0.8g試料を取り出し、5mlのpH4酢酸緩衝液を含有する小さな透析袋(Spectrapor1)へ入れて、密封し、さらに45mLのpH4酢酸緩衝液を含有する50mLポリプロピレン管に入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。外部の緩衝溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてオクトレチド含量をHPLCにより分析した。
【0116】
実施例9−酢酸オクトレチド、ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル及び水の組成物からの酢酸オクトレチドの持続放出
ペプチドの持続放出は、デポー剤注射後のペプチドの放出による長期療法にしばしば望ましい。本実施例は、本発明の界面活性剤の1つより形成される逆相からの代表的な治療用ペプチドの放出を実証する。
【0117】
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルにより形成されるリオトロピック相からの酢酸オクトレチドの持続放出についてのデータを図6に示す。酢酸オクトレチド(20mg)を500μLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かした。この溶液をガラスバイアル中で700mgの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルへ加え、これを37℃で48時間、チューブローラー上で回転した。このバイアルを遠心分離させて、過剰の水溶液を除去した。粘性相の0.8g試料を取り出し、5mlのpH4酢酸緩衝液を含有する小さな透析袋(Spectrapor1)へ入れて、密封し、さらに45mLのpH4酢酸緩衝液を含有する50mLポリプロピレン管に入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。外部の緩衝溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてオクトレチド含量をHPLCにより分析した。
【0118】
実施例10−酢酸オクトレチド、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の注射可能前駆体組成物からの酢酸オクトレチドの持続放出
ペプチドの持続放出は、デポー剤注射後のペプチドの放出による長期療法にしばしば望ましい。本実施例は、低粘性の注射可能液剤として製剤化されるときに本発明の界面活性剤の1つより形成される逆相からの代表的な治療用ペプチドの放出を実証する:
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに基づいた注射可能前駆体からの酢酸オクトレチドの持続放出のデータを図7に示す。酢酸オクトレチド(10mg)を70μLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かした。この溶液をガラスバイアル中で930mgの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルへ加え、これを37℃で1時間、チューブローラー上で回転した。この低粘性前駆体の試料全体を1mLの空気充填軟ゲルカプセルへ注射して、50mLのpH4酢酸緩衝液を含有する50mLポリプロピレン管に入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。この溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてオクトレチド含量をHPLCにより分析した。
【0119】
実施例11−酢酸オクトレチド、ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル及び水の注射可能前駆体組成物からの酢酸オクトレチドの持続放出
ペプチドの持続放出は、デポー剤注射後のペプチドの放出による長期療法にしばしば望ましい。本実施例は、低粘性の注射可能液剤として製剤化されるときに本発明の界面活性剤の1つより形成される逆相からの代表的な治療用ペプチドの放出を実証する:
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルに基づいた注射可能前駆体からの酢酸オクトレチドの持続放出のデータを図8に示す。酢酸オクトレチド(10mg)を70μLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かした。この溶液をガラスバイアル中で930mgの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルへ加え、これを37℃で1時間、チューブローラー上で回転した。この低粘性前駆体の試料全体を1mLの空気充填軟ゲルカプセルへ注射して、50mLのpH4酢酸緩衝液を含有する50mLポリプロピレン管に入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。この溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてオクトレチド含量をHPLCにより分析した。
【0120】
実施例12−ヒスチジン、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の組成物からのヒスチジンの持続放出
小さな親水性化合物の持続放出は、デポー剤注射後のペプチドの放出による長期療法にしばしば望ましい。本実施例は、本発明の界面活性剤の1つより形成される逆相からの代表的な親水性低分子、ヒスチジンの放出を実証する:
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルにより形成されるリオトロピック相からのヒスチジンの持続放出のデータを図9に示す。ヒスチジン(10mg)を1mLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かした。この溶液をガラスバイアル中で1078mgの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルへ加え、これを37℃で48時間、チューブローラー上で回転した。このバイアルを遠心分離させて、過剰の水溶液を除去した。粘性相の1g試料を取り出し、5mlのpH4酢酸緩衝液を含有する小さな透析袋(Spectrapor1)へ入れて、密封し、さらに45mLのpH4酢酸緩衝液を含有する50mLポリプロピレン管に入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。外部の緩衝溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてヒスチジン含量をHPLCにより分析した。
【0121】
実施例13−ヒスチジン、ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル及び水の組成物からのヒスチジンの持続放出
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルにより形成されるリオトロピック相からのヒスチジンの持続放出のデータを図10に示す。ヒスチジン(10mg)を1mLのpH4酢酸緩衝液(BP)に溶かした。この溶液をガラスバイアル中で1078mgの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルへ加え、これを37℃で48時間、チューブローラー上で回転した。このバイアルを遠心分離させて、過剰の水溶液を除去した。粘性相の1g試料を取り出し、5mlのpH4酢酸緩衝液を含有する小さな透析袋(Spectrapor1)へ入れて、密封し、さらに45mLのpH4酢酸緩衝液を含有する50mLポリプロピレン管に入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。外部の緩衝溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてヒスチジンをHPLCにより分析した。
【0122】
実施例14−リスペリドン、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の注射可能前駆体組成物からのリスペリドンの持続放出
多くの長期療法では、ミクロスフェア調製物に基づいた既存の製品があるが、これは、3ヶ月までの間の療法を提供する一方で、薬物放出が治療を提供するのに十分になる前に2週間までのラグタイムが経験される。この期間にわたり、経口療法が実施可能な選択肢ではない場合、当座の療法を提供するには、短時間作用性の注射が毎日又はより頻繁に必要とされる。本実施例は、そのような治療薬の1つである、抗精神病薬のリスペリドン、(3−[2−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]エニル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン)の本発明の組成物からの放出を実証する。
【0123】
2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルより形成されるリオトロピック相からのリスペリドンの持続放出のデータを図11に示す。リスペリドン(20mg)を37℃でガラスバイアル中に1gの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに溶かし、この溶液へ70μLのpH4酢酸緩衝液(BP)を加えた。このバイアルを37℃で1時間、チューブローラー上で回転した。この低粘性前駆体の試料全体を1mLの空気充填軟ゲルカプセルへ注射して、50mLのpH4酢酸緩衝液を含有する50mLポリプロピレン管に入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。この溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてリスペリドン含量をHPLCにより分析した。
【0124】
実施例15−FITC−デキストラン、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の注射可能前駆体組成物からのFITC−デキストランの持続放出
療法に使用するタンパク質のような多くの親水性高分子は、長期作用性のデポー注射剤で製剤化することが難しい。本実施例は、代表的な親水性高分子、FITC−デキストラン(分子量20,000)の、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに基づいた注射可能前駆体からの持続放出について記載して、このデータを図12に示す。FITC−デキストラン(分子量20,000)(15mg)を102μLのpH7.4リン酸緩衝液(BP)に溶かした。この溶液の70μLをガラスバイアル中に930mgの2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルへ加え、これを37℃で1時間、チューブローラー上で回転した。この低粘性前駆体の試料全体を1mLの空気充填軟ゲルカプセルへ注射して、50mLポリプロピレン管中50mLのpH4酢酸緩衝液へ入れた。これを密封して、37℃、80rpmで振とう水浴上に置いた。この溶液より一定間隔で試料を採取し、同一量の放出媒体で置き換えて、この試料についてデキストラン含量をサイズ排除クロマトグラフィーにより分析した。
【0125】
実施例16−グルコース、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデセニルエステル、3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル、及びグリセリルモノオレエート(Myverol 18−99)の組成物からのグルコースの放出の比較試験
グルコースの放出がグリセリルモノオレエート(MyverolTM18−99)より形成されるバルクリオトロピック相と本発明に記載の界面活性剤により形成されるバルクリオトロピック相で異なるかどうかを判定するために、3つの別個の放出試験をリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)中の同一条件下に実施した。簡潔に言えば、50mg/mlのグルコース溶液との37℃で5日間にわたる平衡化によって、グルコースをロードした3つの界面活性剤、即ち、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデセニルエステル、3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル、及びグリセリルモノオレエート(Myverol 18−99)のバルク相を調製した。いずれの場合も、そのように形成した粘性相の試料を取り出し、水平円断面の直径が10mmであり高さが10mmである、丸いミクロビーカー(目的設計)へ入れた。これにより、試料表面の一定ジオメトリーの外部溶液への放出が可能になった。ミクロビーカーを大きな磁気撹拌子へ付けて、放出媒体を支持するために使用する被覆ガラス容器の底へそれを固定した。放出媒体は、振とう水浴において40℃に維持した20mLのリン酸緩衝化生理食塩水であった。ミクロビーカー及び放出媒体を含有するガラス容器を密封して、放出媒体の蒸発を避けた。一定の間隔で500時間にわたり試料を採取して、同一量の放出媒体で置き換えて、試料について屈折率検出でHPLCを使用して、グルコース含量を分析した。放出(%)対時間のプロットを図13に示す。
【0126】
実施例17−MyverolTM18−99(グリセリルモノオレエート)と2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデセニルエステル及び3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルの消化速度を比較するための in vitro 消化試験
グリセリルモノオレエート(MyverolTM18−99)は、膵臓リパーゼの基質である。膵臓リパーゼ系においてグリセリルモノオレエートの消化可能性を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデセニルエステル及び3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルのそれと比較するために、これら3つの脂質のそれぞれの10%分散液を、1% Poloxamer 407(BASF)を安定化剤として含有して、上記の実施例16に記載のように調製した。容器を一定のpH7.5に維持して、0.2M NaOHと膵臓リパーゼでの消化により産生される放出酸を滴定するpH安定系を使用して、各分散液で同一の形式で in vitro 消化を実施した。簡潔に言えば、滴定を開始することに先立って、10mLの消化緩衝液(50mMマレイン酸TRIS,150mM NaCl,pH7.5)へ2.0gのブタ高活性パンクレアチン(シグマ)を加えることによって予め調製した7mlの消化媒体に2mlの脂質分散液(基質)を分散させた。消化を30分間進行させた後で、この反応を阻害剤溶液(メタノール中0.5M 4−ブロモフェニルボロン酸の9μL/mL)で止めた。得られた消化曲線は、図14に示され、3つの脂質がいずれもこの酵素の基質であるが、MyverolTM18−99分散液が速やかに、そして著しく消化される(試験の最後での消化媒体のHPLC分析により定量されるように、30分で>98%消化された)のに対して、他の2つの基質は、ずっと遅い消化速度を示す(消化媒体のHPLC分析により定量されるように、30分でほぼ28〜36%消化された)ことが明らかであることを示し、これにより、これら2つの脂質がグリセリルモノオレエートよりずっと遅い速度で in vivo 消化される可能性があることを示唆する。
【0127】
実施例18−2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルを含有する注射可能サブミクロン分散液の生成
多くの薬物はヒト血液にほとんど溶けないが、エマルジョンのような分散脂質媒体中の溶液剤として投与することはできる。そのような分散媒体を使用する静脈内療法では、粒径は、塞栓形成や血管閉塞を回避するために、1000nm未満である場合が好ましい。本実施例は、その粒径が1000nm未満である界面活性剤、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに基づいた分散液の形成について記載する。
【0128】
Pluronic F127(0.25g)を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル(2.5g)に70℃で溶かした。ガラス恒温器においてUltraturraxホモジェナイザーを用いて11,000rpmで混合しながら、この融けた溶液を注射水(22.25g)へ70℃で5秒にわたりシリンジより注入した。この一次均質化を注入が完了した後で60秒間続けた。生じる乳状の一次分散液を、65℃に恒温したAvestin C5ホモジェナイザーへ移して、10,000psiで5回のパスに処した。生じる細粒分散液をガラスビーカーへ移して、磁気撹拌しながら、ゆっくり25℃へ冷やした。製造からほぼ1時間後に、Malvern ZetasizerのPhoton Correlation Spetroscopyによって粒径を検討して、165.1±0.6nmであり、多分散指数が0.053±0.012であることを見出した。25℃で21日間の保存後、粒径は302.4±2.2nmで、多分散指数は0.461±0.020であった。
【0129】
実施例19−2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及びオレイン酸を含有する注射可能サブミクロン分散液の生成
塩基性薬物の脂質における溶解性は、酸性官能基を含有する脂質化合物を添加して薬物単独よりモル溶解度が高い親油性複合体を形成することによって、高めることができる。本実施例は、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルへのオレイン酸の添加がこの脂質混合物により形成されるリオトロピック相を改変せずに、安定したサブミクロン分散液を産生するために使用し得ることを例示する。
【0130】
オレイン酸を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに6%(v/v)で溶かし、過剰な水との接触時に、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル単独により形成されるのと同じテクスチャーの逆ヘキサゴナル相を形成することを交差偏光顕微鏡によって観察した。従って、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及びオレイン酸を含有する分散液を記載のように産生した。Pluronic F127(0.25g)及びオレイン酸(0.15g)を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル(2.35g)に70℃で溶かした。ガラス恒温器においてUltraturraxホモジェナイザーを用いて11,000rpmで混合しながら、この融けた溶液を注射水(22.25g)へ70℃で5秒にわたりシリンジより注入した。この一次均質化を注入が完了した後で60秒間続けた。生じる乳状の一次分散液を、65℃に恒温したAvestin C5ホモジェナイザーへ移して、10,000psiで5回のパスに処した。生じる細粒分散液をガラスビーカーへ移して、磁気撹拌しながら、ゆっくり25℃へ冷やした。製造からほぼ1時間後に、Malvern ZetasizerのPhoton Correlation Spetroscopyによって粒径を検討して、237.7±2.7nmであり、多分散指数が0.039±0.024であることを見出した。25℃で21日間の保存後、粒径は269.2±1.4nmで、多分散指数は0.158±0.014であった。
【0131】
実施例20−2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル、オレイン酸、及びイリノテカン塩基を含有する注射可能サブミクロン分散液の生成
実施例18のように2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及びオレイン酸により形成される分散液への塩基性薬物(イリノテカン、(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノ−ピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)ジオン)の封入について記載する。Pluronic F127(0.37g)、イリノテカン塩基(0.25g)、及びオレイン酸(0.30g)を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル(4.70g)に70℃で溶かした。ガラス恒温器においてUltraturraxホモジェナイザーを用いて11,000rpmで混合しながら、この融けた溶液を注射水(44.38g)中4.5%ソルビトール溶液へ70℃で5秒にわたりシリンジより注入した。この一次均質化を注入が完了した後で60秒間続けた。生じる乳状の一次分散液を、65℃に恒温したAvestin C5ホモジェナイザーへ移して、10,000psiで5回のパスに処した。生じる細粒分散液をガラスビーカーへ移して、磁気撹拌しながら、ゆっくり25℃へ冷やした。製造からほぼ1時間後に、Malvern ZetasizerのPhoton Correlation Spetroscopyによって粒径を検討して、188.6±0.9nmであり、多分散指数が0.044±0.011であることを見出した。25℃で28日間の保存後、粒径は257.2±0.8nmで、多分散指数は0.173±0.012であった。
【0132】
実施例21−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステルを含有する注射可能サブミクロン分散液の生成
Pluronic F127(0.12g)を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル(1.25g)に80℃で溶かした。ガラス恒温器においてUltraturraxホモジェナイザーを用いて11,000rpmで混合しながら、この融けた溶液を注射水(23.63g)へ80℃で5秒にわたりシリンジより注入した。この一次均質化を注入が完了した後で60秒間続けた。生じる乳状の一次分散液を、65℃に恒温したAvestin C5ホモジェナイザーへ移して、10,000psiで5回のパスに処した。生じる細粒分散液をガラスビーカーへ移して、磁気撹拌しながら、ゆっくり25℃へ冷やした。製造からほぼ1時間後に、Malvern ZetasizerのPhoton Correlation Spetroscopyによって粒径を検討して、199.4±1.0nmであり、多分散指数が0.099±0.008であることを見出した。
【0133】
実施例22−3,7,11−トリメチル−ドデシル尿素を含有する注射可能サブミクロン分散液の生成
Pluronic F127(0.12g)を3,7,11−トリメチル−ドデシル尿素(1.25g)に80℃で溶かした。ガラス恒温器においてUltraturraxホモジェナイザーを用いて11,000rpmで混合しながら、この融けた溶液を注射水(23.63g)へ80℃で5秒にわたりシリンジより注入した。この一次均質化を注入が完了した後で120秒間続けた。生じる乳状の一次分散液を、65℃に恒温したAvestin C5ホモジェナイザーへ移して、10,000psiで5回のパスに処した。生じる細粒分散液をガラスビーカーへ移して、磁気撹拌しながら、ゆっくり25℃へ冷やした。製造からほぼ1時間後に、Malvern ZetasizerのPhoton Correlation Spetroscopyによって粒径を検討して、429.6±13.2nmであり、多分散指数が0.384±0.013であることを見出した。
【0134】
実施例23−2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及びオレイン酸の注射可能分散液の低溶血ポテンシャル
静脈内の薬物送達に有用であるためには、注射可能分散液は、血流中への注射時に赤血球の実質的な溶血を引き起こしてはならない。本実施例は、本発明の組成物の低い溶血ポテンシャルを例示する。
【0135】
Pluronic F127(0.25g)を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル(2.35g)及びオレイン酸(0.15g)に70℃で溶かした。ガラス恒温器においてUltraturraxホモジェナイザーを用いて11,000rpmで混合しながら、この融けた溶液を4.5%ソルビトール溶液(22.25g)へ70℃で5秒にわたりシリンジより注入した。この一次均質化を注入が完了した後で60秒間続けた。生じる乳状の一次分散液を、65℃に恒温したAvestin C5ホモジェナイザーへ移して、10,000psiで5回のパスに処した。生じる細粒分散液をガラスビーカーへ移して、磁気撹拌しながら、ゆっくり25℃へ冷やした。
【0136】
この生成物について、ヒト赤血球懸濁液を使用して、吸光度を398nmで測定して、in vitro 溶血性を試験した。Librium注射に使用する希釈剤と同様であり、それ故に静脈内注射に受容される対照希釈剤に対してそれを試験した。対照希釈剤は、プロピレングリコール 20%、Tween80 4%、ベンジルアルコール 1.5%、マレイン酸 1.6%、及び水 100%までを含んだ。ヒト赤血球と37℃で2分間インキュベートするとき、遠心分離後の吸光度が生成物と対照でそれぞれ0.33と1.80であることを見出した。
【0137】
実施例24−2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及びオレイン酸の注射可能分散液の静脈内投与時の忍容性(tolerability)
急性の忍容性は、静脈内投与される分散液の重要な特徴である。溶媒を含有する注射可能生成物は、しばしば、静脈内投与時にあまり忍容されない。本実施例は、本発明の組成物の静脈内投与が十分に忍容されることを例示する。
【0138】
Pluronic F127(0.25g)を2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル(2.35g)及びオレイン酸(0.15g)に70℃で溶かした。ガラス恒温器においてUltraturraxホモジェナイザーを用いて11,000rpmで混合しながら、この融けた溶液を4.5%ソルビトール溶液(22.25g)へ70℃で5秒にわたりシリンジより注入した。この一次均質化を注入が完了した後で60秒間続けた。生じる乳状の一次分散液を、65℃に恒温したAvestin C5ホモジェナイザーへ移して、10,000psiで5回のパスに処した。生じる細粒分散液をガラスビーカーへ移して、磁気撹拌しながら、ゆっくり25℃へ冷やした。
【0139】
上記の生成物を5%デキストロース溶液で50%(v/v)希釈して、ラットへ投与した。頚静脈カニューレへ0.1mL/分の速度で2ml/kg(体重)の静脈内投与によって、全4匹のラットへこの生成物を投薬した。全24時間の間、ラットをモニタリングした。急性毒性又は非忍容性の指標となる、目に見える有害反応を明示したラットは1匹もなかった。
【0140】
実施例25−in vivo 試験:シンナリジン及び2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルの経口送達組成物からのシンナリジンの持続放出
親油性薬物モデル、シンナリジンの経口吸収を検討する、ラットでの in vivo 試験を実施した。
【0141】
実施例25.1−試験1
試験1は、3つの異なる剤形の3つの異なる処置群への経口投与を伴った。
処置1は、固体シンナリジン、0.4% Tween80、及び0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する水性懸濁液剤としてのシンナリジンであった。ほぼ10mgのシンナリジンを各ラット(雄性、スプリーグ−ドーリー、250〜300g)へ経口ガバージュにより投与した。
【0142】
処置2は、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに25mg/kgで溶かしたシンナリジンであった。ほぼ400mgの脂質用量を各ラット(雄性、スプリーグ−ドーリー、250〜300g)へ経口ガバージュにより投与した。
【0143】
処置3は、MyverolTM18−99K(グリセリルモノオレエート、極性液体との接触時に粘稠な逆キュービック相を形成する製剤脂質である)に25mg/kgで溶かしたシンナリジンであった。ほぼ400mgの脂質用量を各ラット(雄性、スプリーグ−ドーリー、250〜300g)へ経口ガバージュにより投与した。
【0144】
投薬の前日、左又は右の大動脈へカニューレを外科的に挿入して、連続した血液サンプリングを可能にした。ラットは、外科手術及び投薬の前は絶食させたが、水は自由に摂取させた。食餌は、投薬後8時間でのみ許可した。大動脈に挿入した留置カニューレより投薬後30時間までの間血液試料を入手して、遠心分離により血漿を分離した。フルナリジンを内部標準とする確認済みの抽出手順と蛍光検出を使用するHPLCによって、シンナリジンの血漿濃度を定量した。
【0145】
図15は、試験1からの組み合わせ結果を例示する。懸濁液剤とMyverolTM18−99Kの場合、(投薬後、特に10〜30時間の間での上昇薬物レベルを明瞭に示す)2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル投薬と比較して、24及び30時間で残留薬物濃度が低いことに注目されたい。
【0146】
実施例25.2−試験2
シンナリジンの高い血漿レベルが投薬後30時間でも明らかであることを実施例25.1からのデータが示した後で、試験2を開始した。試験2は、試験1と同じ2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルの製剤/投薬方式を伴ったが、血漿試料は、8時間と24時間の間でより規則的な間隔で入手して、120時間まで含めて採取した。結果をより確実にするために、この試験には、3匹ではなく4匹のラットを使用した。犠牲時に、腸構造への全体変化の指標についての組織病理学的検査のために十二指腸、空腸、回腸の切片を取り出した。
【0147】
図16は、試験した全4匹のラットの血漿プロフィールにおいて一貫して高い二次ピークが得られたことを例示する。初期ピークは、図15のものと同様である。このことは、本発明が、代表的な製剤脂質(MyverolTM)中の懸濁液剤(錠剤を代表する)又は製剤に比較して、薬物の経口投与後の吸収を修飾するのに有用であり得ることを示す。この結果はまた、本発明が親油性薬物の持続放出、又は親油性薬物の拍動性放出に有用であり得ることを示す。
【0148】
上記2つの試験より得た薬物動態データを表4に示す。AUC値は、線形台形法則を使用して導いた。
【0149】
【表4】

【0150】
上記の表はまた、本発明が、本発明の組成物において投与する時に、別の剤形における投与に比較して薬物のバイオアベイラビリティを改善するのに有用であり得ることを例示する。
【0151】
実施例26−組織病理学試験
経口送達系に有用であるために、本発明は、胃腸管への望まれない病理学的変化を投与後に引き起こしてはならない。本実施例は、実施例25.2に記載した2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルを摂った3匹のラットより採取した腸切片の順位付けの結果を、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルを摂らなかったが、処置群の投薬の時間後120時間の間、他の点では処置ラットと同じ食餌と同じ条件下で維持して、同じ外科的手技に処した2匹のラットと比較して、例示する。腸の切片をホルマリン緩衝液においてすぐに固定して、コード付けによって盲検化して、表5に収載する判断基準によって獣医病理学者によって等級付けた。
【0152】
【表5】

【0153】
ラット腸組織試料は、Swenson et al., Pharm. Res. 11 (1994) 1132 に従って、盲検形式で各判定基準の0〜3に順位付けた(0=影響なし、3=重大な影響)。
このラット腸組織の検査によれば、本発明への曝露に起因し得る組織病理学上の有害効果はなく、それにより、経口投与用の薬物送達系としてのその潜在的な使用を実証した。
【0154】
実施例27−in vivo 試験:パミドロン酸二ナトリウム及び2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルの経口送達組成物からのパミドロン酸二ナトリウムの持続放出
親水性で吸収不良の薬物、パミドロン酸二ナトリウム(パミドロネート)の経口吸収を検討する、ラットでの in vivo 試験を実施した。この試験は、2つの異なる製剤の2つの異なる処置群への経口投与を伴った。
【0155】
処置1(対照)は、水溶液剤として14C放射標識パミドロネートでスパイクしたパミドロネートであった。ほぼ3.85mg(22μCi)のパミドロネートをラット(雄性、スプリーグードーリー、350〜400g)へ経口ガバージュにより投与した。測定を3.15mgのパミドロネート及び18μCiの用量へ正規化して、吸収されたパミドロン酸二ナトリウムの量を計算した。
【0156】
処置2(試験)は、14C放射標識パミドロネートでスパイクした、脂質担体に6.6mg/kgで分散したパミドロン酸二ナトリウムであった。この脂質担体は、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び5.3%(w/w)水の混合物を含んだ。この脂質製剤を各ラット(雄性、スプリーグードーリー、350〜400g)に投与して、吸光度測定を472mgの製剤(3.15mgのパミドロン酸二ナトリウム及び18μCiに等しい)へ正規化した。
【0157】
用量投与前の16〜48時間以内に、頚静脈へカニューレを挿入して、連続した血液サンプリングを可能にした。ラットは、経口投薬の16時間前から2時間後まで絶食させたが、水は自由に摂取させた。投薬後72時間までの間血液試料を入手して、遠心分離により血漿を分離した。シンチレーションカウンティングによって血漿濃度を定量した。
【0158】
図17は、本脂質製剤で処置したラットの両方で、一貫してより高くてより持続したピークが得られたことを例示する。この11倍のAUC増加は、この脂質によるものであり、本発明が、親水性で吸収不良の薬物の経口投与後の吸収を増強及び修飾するのに使用し得ることを示す。
【0159】
最後に、本明細書に記載の調製物及び方法に対して他のバリエーション及び修飾があり得るが、それらも本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0160】
本発明の好ましい態様の側面を付帯の図に示す。しかしながら、この図と以下の記載は、本発明の一般性を限定するものではないと理解されたい。
【図1】図1は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル+水」逆ヘキサゴナル相送達系からのパクリタキセルの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図2】図2は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル+水」逆ヘキサゴナル相送達系からの塩酸イリノテカンの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図3】図3は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル+水」逆ヘキサゴナル相送達系からのイリノテカン塩基の放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図4】図4は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル+水」逆ヘキサゴナル相送達系からのイリノテカン塩基の放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図5】図5は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル+水」送達系からの酢酸オクトレチドの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図6】図6は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル+水」送達系からの酢酸オクトレチドの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図7】図7は、酢酸オクトレチド、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の注射可能組成物からの酢酸オクトレチドの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図8】図8は、酢酸オクトレチド、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル及び水の注射可能組成物からの酢酸オクトレチドの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図9】図9は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル+水」送達系からのヒスチジンの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図10】図10は、「2,3−ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル+水」送達系からのヒスチジンの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図11】図11は、リスペリドン、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の注射可能前駆体溶液剤からのリスペリドンの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図12】図12は、FITC−デキストラン、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水の注射可能前駆体組成物からのFITC−デキストランの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図13】図13は、(i)2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル及び水(■)、(ii)3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル及び水(▲)、及び(iii)MyverolTM18−99K(◆)からのグルコースの放出についての時間対放出(%)プロットである。
【図14】図14は、同一量の界面活性剤及び酵素活性での膵臓リパーゼによる(i)2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステル(■)、(ii)3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシルエステル(▲)、及び(iii)MyverolTM18−99K(◆)の分散液の消化可能性についての時間対滴定量のプロットである。
【図15】図15は、(i)水系懸濁液剤としてのシンナリジン(○)、(ii)2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに溶けたシンナリジン(●)、及び(iii)MyverolTM18−99Kに溶けたシンナリジン(▼)のほぼ10mgのラット経口投与後30時間にわたる血漿シンナリジン濃度を示す(n=3,平均±s.e.)。
【図16】図16は、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに溶けたシンナリジンのラット経口投与後120時間にわたる血漿シンナリジン濃度を示す(n=4,平均±s.e.)。
【図17】図17は、(i)水溶液剤としてのパミドロネート(△)、(ii)2,3−ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク−9−エニルエステルに溶けたパミドロネート(●及び◆)のラット経口投与後72時間にわたる血漿パミドロネート濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤を生物系へ送達するための組成物であり、リオトロピック(lyotropic)相と活性剤が含まれ、リオトロピック相は、構造(I)〜(VII):
【化1】

[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は本明細書で定義される別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、そして
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する界面活性剤より形成され、ここで活性剤の生物系における放出は、リオトロピック相によって修飾される、前記組成物。
【請求項2】
テールが:
【化2】

[式中、nは、2〜6の整数であり、aは、1〜12の整数であり、bは、0〜10の整数であり、dは、0〜3の整数であり、eは、1〜12の整数であり、wは、2〜10の整数であり、yは、1〜10の整数であり、そしてzは、2〜10の整数である]より選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
テールが、ヘキサヒドロファルネサン((3,7,11−トリメチル)ドデカン)、フィタン((3,7,11,15−テトラメチル)ヘキサデカン)、オレイル(オクタデク−9−エニル)、及びリノレイル(オクタデク−9,12−ジエニル)の鎖からなるリストより選択される、請求項2の組成物。
【請求項4】
ヘッド基が:
【化3】

である、請求項1の組成物。
【請求項5】
ヘッド基が:
【化4】

である、請求項1の組成物。
【請求項6】
ヘッド基が:
【化5】

である、請求項1の組成物。
【請求項7】
ヘッド基が:
【化6】

である、請求項1の組成物。
【請求項8】
リオトロピック相が逆ヘキサゴナル相である、請求項1の組成物。
【請求項9】
活性剤が医薬活性剤である、請求項1の組成物。
【請求項10】
注射可能な剤形へ取り込まれる、請求項9の組成物。
【請求項11】
経口剤形へ取り込まれる、請求項9の組成物。
【請求項12】
請求項1の組成物であって、活性剤の放出を修飾するための付加担体がさらに含まれ、ここで活性剤の付加担体からの放出プロフィールは、活性剤のリオトロピック相からの放出プロフィールと異なる、前記組成物。
【請求項13】
付加担体が、第二のリオトロピック相を形成する界面活性剤である、請求項12の組成物。
【請求項14】
活性剤と、構造(I)〜(VII):
【化7】

[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は本明細書で定義される別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、そして
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する界面活性剤が含まれ、ここで界面活性剤はリオトロピック相を形成して、活性剤の生物系への放出は、リオトロピック相によって修飾される、組成物。
【請求項15】
テールが:
【化8】

[式中、nは、2〜6の整数であり、aは、1〜12の整数であり、bは、0〜10の整数であり、dは、0〜3の整数であり、eは、1〜12の整数であり、wは、2〜10の整数であり、yは、1〜10の整数であり、そしてzは、2〜10の整数である]より選択される、請求項14の組成物。
【請求項16】
テールが、ヘキサヒドロファルネサン((3,7,11−トリメチル)ドデカン)、フィタン((3,7,11,15−テトラメチル)ヘキサデカン)、オレイル(オクタデク−9−エニル)、及びリノレイル(オクタデク−9,12−ジエニル)の鎖からなるリストより選択される、請求項15の組成物。
【請求項17】
ヘッド基が:
【化9】

である、請求項14の組成物。
【請求項18】
ヘッド基が:
【化10】

である、請求項14の組成物。
【請求項19】
ヘッド基が:
【化11】

である、請求項14の組成物。
【請求項20】
ヘッド基が:
【化12】

である、請求項14の組成物。
【請求項21】
リオトロピック相が逆ヘキサゴナル相である、請求項14の組成物。
【請求項22】
活性剤が医薬活性剤である、請求項14の組成物。
【請求項23】
注射可能な剤形へ取り込まれる、請求項22の組成物。
【請求項24】
経口剤形へ取り込まれる、請求項22の組成物。
【請求項25】
請求項14の組成物であって、活性剤の放出を修飾するための付加担体がさらに含まれ、ここで活性剤の付加担体からの放出プロフィールは、活性剤のリオトロピック相からの放出プロフィールと異なる、前記組成物。
【請求項26】
付加担体が、第二のリオトロピック相を形成する界面活性剤である、請求項25の修飾放出組成物。
【請求項27】
活性剤の生物系における放出を修飾するための方法であって:
a)活性剤と、構造(I)〜(VII):
【化13】

[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は本明細書で定義される別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、そして
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する界面活性剤より形成されるリオトロピック相を含有する組成物を提供する工程;及び
b)活性剤を生物系へ放出して、前記放出がリオトロピック相により修飾されるように前記組成物を生物系へ曝露する工程が含まれる、前記方法。
【請求項28】
リオトロピック相が逆ヘキサゴナル相である、請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項29】
前記の修飾放出が持続放出である、請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項30】
前記の修飾放出が多相放出である、請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項31】
前記の修飾放出が生物系において活性剤の改善されたバイオアベイラビリティをもたらす、請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項32】
請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法であって、組成物を生物系へ導入することに先立ってリオトロピック相を形成する工程が含まれる、前記方法。
【請求項33】
請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法であって、リオトロピック相が in situ 形成されるように、界面活性剤及び活性剤を含有する前駆体組成物を生物系へ導入する工程が含まれる、前記方法。
【請求項34】
請求項32又は請求項33のいずれかの活性剤の放出を修飾するための方法であって、組成物を注射可能な剤形へ取り込む工程と、該組成物を生物系へ注射する工程が含まれる、前記方法。
【請求項35】
請求項32又は請求項33のいずれかの活性剤の放出を修飾するための方法であって、組成物を経口剤形へ取り込む工程と、該組成物を生物系へ経口投与する工程が含まれる、前記方法。
【請求項36】
請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法であって、活性剤の放出を修飾するための付加担体を組成物へ導入する工程が含まれる、前記方法。
【請求項37】
請求項27の活性剤の放出を修飾するための方法であって、活性剤の放出を修飾するための第二のリオトロピック相を組成物へ導入する工程が含まれる、前記方法。
【請求項38】
持続放出沈積物を生物系において in situ 形成する方法であって、請求項1の組成物のボーラスを生物系に導入する工程、又は請求項1の組成物のボーラスを生物系に形成させる工程が含まれる、前記方法。
【請求項39】
生物活性剤の動物における放出を修飾するための方法であって、界面活性剤より形成されるリオトロピック相と生物活性剤を含有する組成物を動物の胃腸管へ曝露する工程が含まれ、ここで界面活性剤は、グリセリルモノオレエートでもグリセリルモノリノリエートでもない、前記方法。
【請求項40】
リオトロピック相が逆ヘキサゴナル相である、請求項39の生物活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項41】
リオトロピック相が、構造(I)〜(VII):
【化14】

[式中:
構造(I)において、Rは、−H、−CHCHOH、又は本明細書で定義される別のテール基であり、
とRは、−H、−C(O)NH、−CHCHOH、又は−CHCH(OH)CHOHの1以上より独立して選択される。
構造(II)において、Xは、O、S、又はNであり、
tとuは、独立して、0又は1であり、
は、−C(CHOH)アルキル、−CH(OH)CHOH、−CHCH(OH)CHOH(但し、テール基は、オレイルではない)、−CHCOOH、−C(OH)CHOH、−CH(CHOH)、−CH(CHOH)CHOH、又は−CHC(O)NHC(O)NHであり、
構造(III)において、Rは、−H又は−OHであり、
は、−CHOH又は−CHNHC(O)NHであり、そして
構造(IV)及び(VI)において、Rは、−H又は−アルキルであり、
は、−H又は−アルキルである]のいずれか1つからなる群より選択されるヘッド基と、随意に置換される分岐アルキル鎖、随意に置換される分岐アルキルオキシ鎖、又は随意に置換されるアルケニル鎖からなる群より選択されるテールを含有する界面活性剤より形成される、請求項39の生物活性剤の動物における放出を修飾するための方法。
【請求項42】
テールが:
【化15】

[式中、nは、2〜6の整数であり、aは、1〜12の整数であり、bは、0〜10の整数であり、dは、0〜3の整数であり、eは、1〜12の整数であり、wは、2〜10の整数であり、yは、1〜10の整数であり、そしてzは、2〜10の整数である]より選択される、請求項41の生物活性剤の動物における放出を修飾するための方法。
【請求項43】
テールが、ヘキサヒドロファルネサン((3,7,11−トリメチル)ドデカン)、フィタン((3,7,11,15−テトラメチル)ヘキサデカン)、オレイル(オクタデク−9−エニル)、及びリノレイル(オクタデク−9,12−ジエニル)の鎖からなるリストより選択される、請求項42の生物活性剤の動物における放出を修飾するための方法。
【請求項44】
リオトロピック相が逆ヘキサゴナル相である、請求項41の生物活性剤の動物における放出を修飾するための方法。
【請求項45】
前記の修飾放出が持続放出である、請求項39の活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項46】
前記の修飾放出が多相放出である、請求項39の活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項47】
前記の修飾放出が胃腸管において活性剤の改善されたバイオアベイラビリティをもたらす、請求項39の活性剤の放出を修飾するための方法。
【請求項48】
請求項39の活性剤の放出を修飾するための方法であって、組成物を胃腸管へ曝露することに先立ってリオトロピック相を形成する工程が含まれる、前記方法。
【請求項49】
請求項39の活性剤の放出を修飾するための方法であって、リオトロピック相が in situ 形成されるように、界面活性剤及び活性剤を含有する前駆体組成物を胃腸管へ導入する工程が含まれる、前記方法。
【請求項50】
請求項48の活性剤の放出を修飾するための方法であって、活性剤とリオトロピック相を経口剤形へ取り込む工程と、該組成物を動物へ経口投与する工程が含まれる、前記方法。
【請求項51】
請求項49の活性剤の放出を修飾するための方法であって、活性剤と界面活性剤を経口剤形へ取り込む工程と、該組成物を動物へ経口投与する工程が含まれる、前記方法。
【請求項52】
請求項39の活性剤の放出を修飾するための方法であって、活性剤の放出を修飾するための付加担体を組成物へ導入する工程が含まれる、前記方法。
【請求項53】
請求項39の活性剤の放出を修飾するための方法であって、活性剤の放出を修飾するための第二のリオトロピック相を組成物へ導入する工程が含まれる、前記方法。
【請求項54】
請求項1に記載されて、付帯の実施例に関連して実質的に上記のように記載される、修飾放出組成物。
【請求項55】
請求項14に記載されて、付帯の実施例に関連して実質的に上記のように記載される、組成物。
【請求項56】
請求項27に記載されて、付帯の実施例に関連して実質的に上記のように記載される、活性剤の生物系における放出を修飾するための方法。
【請求項57】
請求項39に記載されて、付帯の実施例に関連して実質的に上記のように記載される、生物活性剤の動物における放出を修飾するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−504256(P2007−504256A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525570(P2006−525570)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001181
【国際公開番号】WO2005/021046
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(500441895)メイン・ファ−マ・インタ−ナショナル・プロプライエタリ−・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】