説明

生物発光方法及び発光物品

【課題】 非病原性で毒性がない安全な生物由来の発光蛋白物質で、発光反応が単純でカルシウムへの感度が高く身近なカルシウム(水道水、海水、コンクリート等)を発光反応に利用できる刺胞動物門ヒドロ虫目軟水母類であるオワンクラゲ由来の発光蛋白質エクオリンを、パーティーイベントでの水と光とが関与する光の演出材料、飲料水やミルク中カルシウムの微量定量法、カルシウムの生物の細胞内での働き等の小中高学生用科学教材として提供する。
【解決手段】 オワンクラゲ由来の発光蛋白質エクオリンをPH7.4の緩衝液に溶解させ、その溶解液を暗闇のなかでカルシウムを多く含んだ物質や水に注ぎ、強い発光反応をさせる方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】オワンクラゲに存在する発光蛋白質エクオリン(Aequorin)はアポ蛋白質(アポエクオリン)、発光基質(セレンテラジン)、分子状酸素の複合体として存在する。Caが結合するとエクオリンの構造変化がおこり、脱炭酸とともに青色に発光し、青色蛍光蛋白質(BFP:セレンテラミドとアポエクオリンの複合体)を生成する。また、カルシウムに対する感度が高く、毒性上の問題点がないことを利用して、我々の身近に存在するカルシウム(水道水、海水、コンクリート等)にエクオリンを暗闇で発光反応させ各種パーティー、イベント等での安全な光の演出材料として利用することができ、また、飲料水やミルク中カルシウムの微量定量法、カルシウムの生物の細胞内での働き等といった小中高学生を対象にした科学教材としても利用できることから本発明の利用範囲は広いと考える。
【0002】
【従来の技術】生物由来のL−L反応(ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応)を応用した光の演出材料は、発光反応が複雑で利用範囲が限られている。 また、化学発光物質(シュウ酸ジアルキルエステル+H2O2+蛍光性芳香族多環炭化水素)を使った光の演出材料は毒性上の問題点があり、化学発光物質の製造過程においても極めて深刻な環境汚染物質を作出し、商品は発光液に直接さわることが出来ないよう容器に密封して使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】非病原性で毒性上の問題点がない安全な生物由来の発光蛋白物質で、発光反応が単純であり、他の発光物質では類似の現象を体験することが不可能な水と光とが関与する光の演出材料の開発が重要課題となっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】非病原性で毒性上の問題点がなく直接手で触れても安全なオワンクラゲ由来の発光蛋白質エクオリン(Aequorin)1mgをPH7.4の緩衝液50mlに溶解させ、その溶解液を暗闇のなかで500ml洗浄瓶にて、カルシウムを含んだ床や壁に噴射したところ瞬時に床や壁にプラネタリウムのような光が広がった。発光蛋白質エクオリン1mg溶解させた溶解液50mlを直接200mlの水道水や海水に滴下して瞬時に青白い光雲を広がせることにも成功した。発光を強くするにはカルシウムの量を多くするが、発光が強いだけ発光時間は短い。逆にカルシウムの量を少なくすると発光は弱いが発光時間は長くなる。その結果、オワンクラゲ由来の発光蛋白質エクオリンをPH7.4の緩衝液に溶解させ、その溶解液を暗闇のなかでカルシウムを多く含んだ物質や水に注ぎ、強い発光反応をさせる方法が、従来の問題点の解決に極めて有効であることがわかった。その結果、本発明では、他の発光物質では類似の現象を体験することが不可能な、水と光とが関与する光の演出を可能にする発光物質は、オワンクラゲ由来の発光蛋白質エクオリン(Aequorin)が最適であることが明らかになった。
【0005】
【作用と実施例】次に、本発明の実施方法とその実験結果を例にあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0006】第1例本発明ではシグマ研究用試薬天然エクオリン(Aequorin)5mgを用いた。 試薬の調整としては、緩衝溶液は蒸留水50mlに炭酸水素ナトリウム(和光純薬・特級)を少しずつ加えながらpH7.4に調整した。調整した緩衝溶液に天然エクオリン1mgを溶解し光の演出材料とした。光の演出材料である溶液を蒸留水で洗浄した500ml洗浄瓶に注ぎ込み、その溶液を暗闇の中で少しづつ手のひら、洋服、壁そして床に噴射した。その結果、手のひら、洋服、壁床と全て青白く発光し、特にカルシウム含量が多い壁と床が約5秒間強く、青白く発光した。手のひらと洋服は壁や床よりも弱い発光であったが発光時間は10秒弱であった。
【0007】
【発明の効果】非病原性で毒性上の問題点がない安全な生物由来の発光蛋白物質で、発光反応が単純であり、カルシウムに対する感度が高いことを利用して、我々の身近に存在するカルシウム(水道水、海水、コンクリート等)にエクオリンを発光反応させ、各種パーティー、イベント等での安全な水と光とが関与する光の演出材料として利用でき、また、飲料水やミルク中カルシウムの微量定量法、カルシウムの生物の細胞内での働き等といった小中高学生を対象にした科学教材としても好適であるため利用範囲が広がると考える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 刺胞動物門ヒドロ虫目の軟水母類であるオワンクラゲ由来の発光蛋白質エクオリンをカルシウムに発光反応させることを目的とした科学教材光の演出材料等の製造方法。
【請求項2】 刺胞動物門ヒドロ虫目の軟水母類であるオワンクラゲ由来の発光蛋白質エクオリンをカルシウムに発光反応させることを目的とした科学教材光の演出材料等の発光方法。

【公開番号】特開2001−240855(P2001−240855A)
【公開日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−104094(P2000−104094)
【出願日】平成12年3月1日(2000.3.1)
【出願人】(595063433)
【Fターム(参考)】