説明

生物農薬および化学農薬を含有する農薬

【課題】化学農薬の使用量を減らしても十分な農薬効力を示し且つ安全性の高い、生物農薬および化学農薬を含有する農薬を提供する。
【解決手段】シュードモナス ロデシア(Pseudomonas rhodesiae)が好ましく、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912、シュードモナス ロデシア FERM P−21748、またはこれらの変異株からなる微生物と、イミノクタジンアルベシル酸塩、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、オキソリニック酸、アセタミプリド、ジノテフラン、エマメクチンベンゾエートなどの農薬活性を有する化合物とを含有する農薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬に関する。より詳細に、本発明は、化学農薬の使用量を減らしても十分な農薬効力を示し且つ安全性の高い、生物農薬および化学農薬を含有する農薬に関する。
【背景技術】
【0002】
農薬としては、化学農薬、生物農薬などが知られている。化学農薬は、天然または人工的に合成された化合物を含有する農薬である。化学農薬は農園芸作物に寄生する種々の病原菌、害虫等に対して優れた防除効果を示すものが多く、農園芸用殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤等として広く使用され、農作物の増産に大きく寄与してきた。しかしながら、化学農薬を使用しすぎると、環境に対して影響を与えるおそれがある。また耐性菌や抵抗性害虫が出現し易く、化学農薬の大量使用には制限がある。
【0003】
一方、生物農薬は、微生物を含有する農薬である。生物農薬は、環境汚染が極めて少なく、生態系に調和し、かつ防除効果の優れたものが多い。例えば、トリコデルマ属、シュードモナス属、バチルス属等に属する微生物を用いた生物農薬が挙げられる。しかし、生物農薬は、効力を示す病害の範囲が狭い。また殺菌用生物農薬は予防活性に優れていても治療活性に乏しい。
【0004】
化学農薬と生物農薬のそれぞれの長所と短所とを補うために、生物農薬と化学農薬とを併用することが試みられている。生物農薬に化学農薬を混用した例としては、植物病害防除効果を有するゲオトリクム属糸状菌に、殺菌剤チオファネートメチル、プロシミドン、フルジオキソニル等を併用した例(特許文献1)や、除草効果を有するドレックスレラ属糸状菌に除草剤ハロスルフロンメチルを併用した例(特許文献2)などがある。
【0005】
しかし、生物農薬は、微生物が生存している状態において、活性を発揮するものが大半である。そのため、生物農薬に、化学農薬、特に殺菌剤や有機溶剤を多量に含有する化学農薬製剤を混用または同時併用すると、生物農薬中の微生物が死滅したり、増殖が抑制されたりして、生物農薬の効力が減殺されることが多い。例えば、細菌を用いた微生物農薬には、オキソリニック酸などの殺菌剤は併用できないことが知られている。具体的には、非病原性エルビニア カロトボラを含有する「バイオキーパー水和剤」(登録商標)は、オキソリニック酸、ストレプトマイシン、トリアジン、フルアジナム、銅剤、乳剤タイプの殺虫剤などと混用できない(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−292377
【特許文献2】特開2001−10911
【特許文献3】WO2008/56653号パンフレット
【特許文献4】特開2010−229052
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】アリスタライフサイエンス株式会社ホームページ、[online]、[平成23年6月22日検索]、インターネット<URL:http://www.agrofrontier.com/staff/biokeeper.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、化学農薬の使用量を減らしても十分な農薬効力を示し且つ安全性の高い、生物農薬および化学農薬を含有する農薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
シュードモナス属に属する微生物で農園芸用殺菌剤として用いられる菌株として、例えば、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912(特許文献3)、シュードモナス ロデシア FERM P−21748(特許文献4)等が知られている。シュードモナス ロデシア FERM BP−10912は、ザントモナス属、エルビニア属、シュードモナス属などによる細菌病を中心とする植物病害に効果を示す。シュードモナス ロデシア FERM P−21748は、灰色かび病、うどんこ病、ピシウム病など糸状菌による植物病害に効果を示す。
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、農薬活性を有する化合物と、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物とを併用すると、化学農薬の使用量が少なくても十分な病害防除などの農薬効力を示し且つ安全性が増すことを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のものを含む。
〔1〕 シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物と農薬活性を有する化合物とを含有する農薬。
〔2〕 シュードモナス属に属する微生物が植物病害に対する防除能を有する微生物である前記〔1〕に記載の農薬。
〔3〕 シュードモナス属に属する微生物がシュードモナス ロデシア(Pseudomonas rhodesiae)である、前記〔1〕に記載の農薬。
〔4〕 シュードモナス属に属する微生物が、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912またはシュードモナス ロデシア FERM BP−10912の変異株である、前記〔1〕に記載の農薬。
【0012】
〔5〕 農薬活性を有する化合物が、ストロビルリン系殺菌剤、カーバメート系殺菌剤、ジカルボキシイミド系殺菌剤、アゾール系殺菌剤、アニライド系殺菌剤、クロロタロニル、メパニピリム、イミノクタジン、シフルフェナミド、ポリオキシン、キノメチオナート、シモキサニル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、マンジプロパミド、アミスルブロム、ファモキサドン、フルオピコリド、オキソリニック酸、 マクロライド系殺虫殺ダニ剤、ニコチノイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、クロルフェナピル、ビフェナゼート、チアメトキサム、ピメトロジン、カルタップ、エトキサゾール、フルベンジアミド、およびフロニカミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の農薬。
【0013】
〔6〕 農薬活性を有する化合物が、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、チオファネートメチル、プロシミドン、クロロタロニル、トリフルミゾール、メプロニル、メパニピリム、イミノクタジンアルベシル酸塩、シフルフェナミド、ベノミル、ポリオキシン、キノメチオナート、シアゾファミド、ピリベンカルブ、シモキサニル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、マンジプロパミド、アミスルブロム、ファモキサドン、フルオピコリド、プロパモカルブ塩酸塩、ベンチアバリカルブ、オキソリニック酸、 エマメクチンベンゾエート、イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、クロルフェナピル、スピノサド、ビフェナゼート、アセフェート、チアメトキサム、ピメトロジン、カルタップ、エトキサゾール、トラロメトリン、フルベンジアミド、およびフロニカミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の農薬。
【0014】
〔7〕 農薬活性を有する化合物が、イミノクタジンアルベシル酸塩、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、オキソリニック酸、アセタミプリド、ジノテフラン、およびエマメクチンベンゾエートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の農薬。
【0015】
〔8〕 シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物と農薬活性を有する化合物とを農園芸作物に施用することを含む農園芸作物の病害防除方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の農薬は、化学農薬の使用量が少なくても十分な農薬効力を示し且つ安全性が高い。本発明の農薬を用いることによって、各種農園芸作物の栽培における農薬施用作業の安全性を向上させ労力を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の農薬は、シュードモナス属に属する微生物(以下、微生物Pと表記することがある。)と農薬活性を有する化合物(以下、化合物Aと表記することがある。)とを含有するものである。本発明の農薬は、微生物Pと化合物Aとが単に混ぜ合わさっただけのもの(例えば、微生物Pの粒剤と化合物Aの粒剤との混合物)であってもよいし、渾然一体となったもの(例えば、微生物Pと化合物Aとが一緒に溶媒に溶解されたものなど)であってもよい。
【0018】
(シュードモナス属に属する微生物)
本発明の農薬に用いられる有効成分の一つは、シュードモナス属に属する微生物である。このうち、植物病害、節足動物、線虫、軟体動物等の有害動物、雑草等に対する防除能;もしくは植物に対する成長促進・保護能を有する微生物が好ましい。具体的な菌株としては、シュードモナス ロデシア(Pseudomonas rhodesiae)、シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス オーレオファシエンス(Pseudomonas aureofaciens)、シュードモナス アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、シュードモナス シリンゲ(Pseudomonas syringae)、Pseudomonas sp. CAB−02菌株、Pseudomonas sp. HR1000菌株、Pseudomonas CNCM I−804菌株、Pseudomonas sp. CGF878菌株、Pseudomonas sp. CGF7菌株または上記各菌の変異株等が挙げられる。
【0019】
前記シュードモナス属に属する微生物のうち、植物病害に対する防除能を有する微生物が好ましい。そのうちで、シュードモナス ロデシア(Pseudomonas rhodesiae)が好ましく、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912、シュードモナス ロデシア FERM P−21748、またはこれらの変異株がより好ましく、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912またはそれの変異株がさらに好ましい。
【0020】
(農薬活性を有する化合物)
本発明の農薬に用いられる有効成分のもう一つは、農薬活性を有する化合物である。農薬活性を有する化合物は、特に限定されないが、例えば、殺菌、殺虫、殺ダニ、除草、植物成長調整などの活性を有する化合物が挙げられる。
【0021】
なかでも、より優れた活性が得られることから、
ストロビルリン系殺菌剤、カーバメート系殺菌剤、ジカルボキシイミド系殺菌剤、アゾール系殺菌剤、アニライド系殺菌剤、クロロタロニル、メパニピリム、イミノクタジン、シフルフェナミド、ポリオキシン、キノメチオナート、シモキサニル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、マンジプロパミド、アミスルブロム、ファモキサドン、フルオピコリド、オキソリニック酸、 マクロライド系殺虫殺ダニ剤、ニコチノイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、クロルフェナピル、ビフェナゼート、チアメトキサム、ピメトロジン、カルタップ、エトキサゾール、フルベンジアミド、およびフロニカミド からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
【0022】
アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、チオファネートメチル、プロシミドン、クロロタロニル、トリフルミゾール、メプロニル、メパニピリム、イミノクタジンアルベシル酸塩、シフルフェナミド、ベノミル、ポリオキシン、キノメチオナート、シアゾファミド、ピリベンカルブ、シモキサニル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、マンジプロパミド、アミスルブロム、ファモキサドン、フルオピコリド、プロパモカルブ塩酸塩、ベンチアバリカルブ、オキソリニック酸、 エマメクチンベンゾエート、イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、クロルフェナピル、スピノサド、ビフェナゼート、アセフェート、チアメトキサム、ピメトロジン、カルタップ、エトキサゾール、トラロメトリン、フルベンジアミド、およびフロニカミドからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
【0023】
イミノクタジンアルベシル酸塩、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、オキソリニック酸、アセタミプリド、ジノテフラン、およびエマメクチンベンゾエートからなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
【0024】
本発明の農薬において、シュードモナス属に属する微生物と、農薬活性を有する化合物との配合割合は、特に限定されないが、微生物P:化合物Aの質量比で、通常、1:1000〜1000:1、好ましくは1:100〜100:1、より好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:5〜5:1である。
【0025】
本発明に係る農薬の製造方法としては、例えば、(a)微生物Pと、化合物Aとを、それぞれ別々に製剤化し、これら製剤を混合することを含む方法、(b)化合物Aを製剤化し、該製剤に微生物P菌体を混合することを含む方法、(c)微生物Pを製剤化し、該製剤に化合物Aを混合することを含む方法、(d)微生物Pと化合物Aとを混合して、該混合物を製剤化することを含む方法などがある。これらのうち、微生物Pへの悪影響が少ないという観点で、方法(a)または方法(b)が好ましい。
【0026】
本発明の農薬には、本発明の効果に影響を与えない範囲において、肥料、固体担体、増粘剤、界面活性剤、展着剤、溶剤などが含まれていてもよい。
【0027】
肥料としては、堆肥、油粕、魚粉、牛糞、鶏糞等あるいはこれらを加工してなる有機資材;硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸石灰、尿素等の窒素肥料;過リン酸石灰、リン酸第一アンモニウム、熔成リン肥等のリン酸肥料;塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等のカリ肥料;苦土石灰等の苦土肥料;消石灰等の石灰肥料;ケイ酸カリウム等のケイ酸肥料;ホウ酸塩等のホウ素肥料;各種無機肥料を含有してなる化成肥料;等が挙げられる。
固体担体としては、大豆粒、小麦粉などの植物性粉末;二酸化ケイ素、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレー、目土などの鉱物性微粉末等が挙げられる。
【0028】
添加剤としては、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝などの有機および無機化合物など;ナタネ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、マツ(pine)油、綿実油、並びにこれらの油の誘導体や、これらの油濃縮物などが挙げられる。
溶剤としては、ケロシン、キシレン;ソルベントナフサなどの石油留分;シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水などが挙げられる。
【0029】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。
【0030】
微生物P、化合物Aまたはそれら混合物の製剤化によって得られる剤形は、特に制限されず、通常の農園芸用農薬のとり得る形態、例えば、粉剤、水和剤、水溶剤、乳剤、フロアブル剤、顆粒剤、粒剤等の形態を採用することができる。
化合物Aの剤形は、粉剤、水和剤、水溶剤、フロアブル剤または顆粒剤が好ましい。また、化合物Aの剤形が乳剤、液剤等である場合には、これを水で所定濃度に希釈したのちに、微生物P菌体または微生物Pを含有する製剤と混合することが好ましい。
【0031】
製剤化された本発明の農薬に含まれる農薬活性を有する化合物の濃度は、前述した製剤の形態により種々の濃度を採りうる。例えば、水和剤においては、好ましくは0.1〜80重量%、より好ましくは1〜60質量%の濃度で、 乳剤においては、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%の濃度で、 粒剤においては、好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは、0.1〜60質量%の濃度で、 フロアブル剤においては、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは1〜50重量%の濃度で用いられる。
【0032】
製剤化された農薬は、そのまま、若しくは水で所定の濃度に希釈して、溶解液、懸濁液あるいは乳濁液として、植物に散布したり、土壌に潅注、混和または散布したりすることによって使用される。本発明の農薬を圃場に適用するに当たっては、通常、1ヘクタール当たり有効成分(微生物Pと化合物Aとの合計量で)10〜1000gの量が施用される。
【0033】
本発明の農薬は、多くの農園芸植物の病害に対して著効を有する。本発明の農薬が効果を示す農園芸植物の病害としては、例えば、
「テンサイ」の、褐斑病(Cercospora beticola)、黒根病(Aphanomyces cochlioides)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris);
「ラッカセイ」の、褐斑病(Mycosphaerella arachidis、黒渋病(Mycosphaerella berkeleyi);
「キュウリ」の、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、炭そ病(Colletotrichum orbiculare)、黒星病(Cladosporium cucumerinum)、褐斑病(Corynespora cassicola)、苗立枯病(Pythium debaryanam、Rhizoctonia solani Kuhn)、斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. Lachrymans);
【0034】
「トマト」の、灰色かび病(Botrytis cinerea)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)、青枯病(Ralstonia solanacearum)、かいよう病(Clavibacter michiganensis subsp. michigaensis)、茎えそ細菌病(Pseudomonas corrugata);
「ナス」の、灰色かび病(Botrytis cinerea)、黒枯病(Corynespora melongenae)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、すすかび病(Mycovellosiella nattrassii)、褐斑細菌病(Pseudomonas cichorii);
「イチゴ」の、灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Sohaerotheca humuli)、炭そ病(Colletotrichum acutatum、Colletotrichum fragariae)、疫病(Phytophthora cactorum);
【0035】
「タマネギ」の、灰色腐敗病(Botrytis allii)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、白斑葉枯病(Botrytis squamosa)、べと病(Peronospora destructor);
「キャベツ」の、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、軟腐病(Erwinia carotovora)、べと病(Peronospora parasitica)、黒腐病(Xanthomonas campestris pv. campestris);
「ダイコン」の、根腐病(Rhizoctonia solani)、白さび病(Albugo macrospora)、黒斑細菌病(Pseudomonas syringae pv. Maculicola);
「インゲン」の、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、かさ枯病(Pseudomonas syringae pv. Phaseolicola);
【0036】
「りんご」の、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、黒星病(Venturia inaequalis)、モニリア病(Monilinia mali)、黒点病(Mycosphaerella pomi)、腐らん病(Valsa mali)、斑点落葉病(Alternaria mali)、赤星病(Gymnosporangium yamadae)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、炭そ病(Glomerella cingulata、Colletotrichum acutatum)、褐斑病(Diplocarpon mali)、すす点病(Zygophiala jamaicensis)、すす斑病(Gloeodes pomigena);
「カキ」の、うどんこ病(Phyllactinia kakicola)、炭そ病(Gloeosporium kaki)、角斑落葉病(Cercospora kaki);
【0037】
「モモ」の、灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、ホモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)、穿孔細菌病(Xanthomonas campestris pv. pruni);
「オウトウ」の、灰星病(Monilinia fructicola)
「ブドウ」の、灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Uncinula necator)、晩腐病(Glomerella cingulata、Colletotrichum acutatum)、べと病(Plasmopara viticola)、黒とう病(Elsinoe ampelina)、褐斑病(Pseudocercospora vitis)、黒腐病(Guignardia bidwellII);
「ナシ」の、黒星病(Venturia nashicola)、赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、黒斑病(Alternaria kikuchiana)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、うどんこ病(Phyllactinia mali);
【0038】
「チャ」の、輪斑病(Pestalotia theae)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis);
「カンキツ」の、そうか病(Elsinoe fawcetti)、青かび病(Penicillium italicum)、緑かび病(Penicillium digitatum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、黒点病(Diaporthe citri)、かいよう病(Xanthomonas campestris pv. Citri);
「コムギ」の、うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.tritici)、赤かび病(Gibberella zeae)、赤さび病(Puccinia recondita)、褐色雪腐病(Pythium iwayamai)、紅色雪腐病(Monographella nivalis)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、雪腐小粒菌核病(Typhula incarnata)、雪腐大粒菌核病(Myriosclerotinia borealis)、立枯病(Gaeumanomyces graminis);
【0039】
「オオムギ」の、斑葉病(Pyrenophora graminea)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici、U.nuda);
「イネ」の、いもち病(Pyricularia oryzae)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、苗立枯病(Pythium graminicola)、白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、褐条病(Acidovorax avenae)、もみ枯細菌病(Burkholderia glumae);
「タバコ」の、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
「チューリップ」の、灰色かび病(Botrytis cinerea);
【0040】
「ベントグラス」の、雪腐大粒菌核病(Sclerotinia borealis)、赤焼病(Pythium aphanidermatum)、かさ枯病(Pseudomonas syringae pv. atropurpurea)、ベントグラス褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae);
「オーチャードグラス」の、うどんこ病(Erysiphe graminis);
「ダイズ」の、紫斑病(Cercospora kikuchii)、べと病(Peronospora Manshurica)、茎疫病(Phytophthora sojae);
「ジャガイモ」の、疫病(Phytophthore infestans);
などが挙げられる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(生存率試験)
表1に記載した各農薬活性化合物を活性成分とする市販の化学農薬製剤を、表1に記載した各最終濃度となるように滅菌水で希釈した。該希釈液に、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912菌体を含有する水和剤を、希釈倍率1000倍となるように添加し混ぜ合わせた。各混合液を25℃で1時間静置した。次いで滅菌水で適宜希釈し、標準寒天培地(日水製薬社製)に塗抹し、25℃で一昼夜培養した。生育したコロニー数を計測し、無添加におけるコロニー数に対して、各農薬製剤を添加した場合のコロニー数の比率を、生存率として表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】

【0045】
上記の市販農薬製剤は、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912の生存に対してほとんど影響を与えず、混用および同時併用が可能であることが示された。
このことから、本発明の農薬においては、生物農薬の併用によって化学農薬の使用量を減らすことができるので、十分な農薬効力を示しつつ、安全性が増すことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物と農薬活性を有する化合物とを含有する農薬。
【請求項2】
シュードモナス属に属する微生物が植物病害に対する防除能を有する微生物である請求項1に記載の農薬。
【請求項3】
シュードモナス属に属する微生物がシュードモナス ロデシア(Pseudomonas rhodesiae)である、請求項1に記載の農薬。
【請求項4】
シュードモナス属に属する微生物が、シュードモナス ロデシア FERM BP−10912またはシュードモナス ロデシア FERM BP−10912の変異株である、請求項1に記載の農薬。
【請求項5】
農薬活性を有する化合物が、ストロビルリン系殺菌剤、カーバメート系殺菌剤、ジカルボキシイミド系殺菌剤、アゾール系殺菌剤、アニライド系殺菌剤、クロロタロニル、メパニピリム、イミノクタジン、シフルフェナミド、ポリオキシン、キノメチオナート、シモキサニル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、マンジプロパミド、アミスルブロム、ファモキサドン、フルオピコリド、オキソリニック酸、 マクロライド系殺虫殺ダニ剤、ニコチノイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、クロルフェナピル、ビフェナゼート、チアメトキサム、ピメトロジン、カルタップ、エトキサゾール、フルベンジアミド、およびフロニカミド からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかひとつに記載の農薬。
【請求項6】
農薬活性を有する化合物が、 アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、チオファネートメチル、プロシミドン、クロロタロニル、トリフルミゾール、メプロニル、メパニピリム、イミノクタジンアルベシル酸塩、シフルフェナミド、ベノミル、ポリオキシン、キノメチオナート、シアゾファミド、ピリベンカルブ、シモキサニル、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、マンジプロパミド、アミスルブロム、ファモキサドン、フルオピコリド、プロパモカルブ塩酸塩、ベンチアバリカルブ、オキソリニック酸、 エマメクチンベンゾエート、イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、クロルフェナピル、スピノサド、ビフェナゼート、アセフェート、チアメトキサム、ピメトロジン、カルタップ、エトキサゾール、トラロメトリン、フルベンジアミド、およびフロニカミド からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかひとつに記載の農薬。
【請求項7】
農薬活性を有する化合物が、イミノクタジンアルベシル酸塩、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、オキソリニック酸、アセタミプリド、ジノテフラン、およびエマメクチンベンゾエートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかひとつに記載の農薬。
【請求項8】
シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物と農薬活性を有する化合物とを農園芸作物に施用することを含む農園芸作物の病害防除方法。

【公開番号】特開2013−60401(P2013−60401A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201170(P2011−201170)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】