説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】 ユーザの認証を行って疑似PushScanやPullScanする場合、「ログイン」操作してから、MFPに原稿をセットする必要があるため手間がかかり使い勝手が悪かった。
【解決手段】 ネットワークを介して複数の情報処理装置と接続可能な画像処理装置とその制御方法であって、情報処理装置の識別情報と、ユーザを認証するための認証情報とを対応付けて登録し、情報処理装置からジョブを受信すると、そのジョブに含まれる情報処理装置の識別情報を取得し、その識別情報が登録されており、かつそのジョブがユーザを認証するための認証情報を含むかどうかを判定し、その識別情報が登録されており、かつ認証情報を含むと判定された場合、その認証情報を使用してユーザの認証を行い、その認証が成功すると、そのジョブを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して複数の情報処理装置と接続される画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ログイン状態にある画像処理装置(例えば複合機(MFP))で、ホストPCとドライバを使用するPullScan機能や疑似PushScan機能や印刷機能が使用されることが多くなっている。疑似PushScan機能とは、PullScanドライバがインストールされた「ホストPC」に対して、MFPから「自機に対してPullScanを実行せよ」と依頼を発行する。これによりホストPCが、MFPに対してスキャンを実行させる機能である。こうしてホストPCは、MFPから受け取ったスキャン画像を、PullScan時に指定された画像処理方法に基づいて処理し、所定の格納先に格納する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−303805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような場合、MFPで、ユーザの認証を行って疑似PushScanやPullScanする場合、「ログイン」操作してから、MFPに原稿をセットする必要がある。そのため、その手間がかかり、使い勝手が悪かった。またPullScan時は、更にMFPをリモートスキャンモードに変更するための操作を行った後、PCからPullScanを実施するため利便性に欠けていた。
【0005】
一方、これを回避するために、ユーザ情報が不明でもジョブの実行を許可するように設定できるが、この場合には、ユーザ毎のカウント情報の更新やユーザ毎のジョブ制限を行うことができないため不便であった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0007】
本発明の特徴は、情報処理装置からジョブを受信すると、その情報処理装置に対応付けて登録されているユーザ情報に基づいて画像形成装置にログインして、そのジョブを実行できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
ネットワークを介して複数の情報処理装置と接続可能な画像処理装置であって、
情報処理装置の識別情報と、ユーザを認証するための認証情報とを対応付けて登録する登録手段と、
情報処理装置からジョブを受信すると、当該ジョブに含まれる前記情報処理装置の識別情報を取得し、取得した前記識別情報が前記登録手段に登録されており、かつ当該ジョブがユーザを認証するための認証情報を含むかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記識別情報が登録されており、かつ認証情報を含むと判定された場合、前記認証情報を使用してユーザの認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証が成功すると前記ジョブを実行するように制御するジョブ実行手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、情報処理装置からジョブを受信すると、その情報処理装置に対応付けて登録されているユーザ情報に基づいて画像形成装置にログインして、そのジョブを実行できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る複合機(MFP)の構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態に係る複合機の機能構成を示す機能ブロック図。
【図3】自動ログイン処理の機能的構成を説明する図である。
【図4】本実施形態に係るログイン管理情報の一例を示す図。
【図5】本実施形態に係る複合機のログイン、ログアウトの画面例を説明する図。
【図6】実施形態に係るログイン管理情報登録部によるログイン管理情報を登録する際の画面の遷移を説明する図。
【図7】本実施形態に係る複合機における相手先PCの登録処理手順を示すフローチャート。
【図8】本実施形態に係る複合機の自動ログイン・ログアウト処理を行うジョブ実行処理手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置(例えばMFP:複合機)101の構成を示すブロック図である。この複合機101は画像形成装置の一例であり、ネットワークを介してPCと接続可能であり、以降、複合機101を用いて本実施形態を説明する。
【0013】
この複合機101は、原稿を読み取って、その原稿の画像データを生成するスキャナ機能、読み取った原稿の画像データを印刷する複写機能、ネットワークを介して接続されているPC等から印刷データに従って印刷する印刷機能等を備えている。
【0014】
リーダ部13は、原稿画像を光学的に読み取って画像データに変換する。リーダ部13は、原稿を読み取る機能を持つスキャナユニット11と、原稿を搬送する機能を持つ原稿給紙ユニット12とを具備している。プリンタ部(画像出力部)45は、記録紙を搬送し、その上に画像データを可視画像を印刷して装置外に排紙する。プリンタ部45は、複数種類の記録紙カセットを持つ給紙ユニット43と、画像データを記録紙に転写、定着させる機能を持つマーキングユニット41と、印刷済の記録紙をソート、ステイプルして機外へ排出する排紙ユニット42とを有している。制御部102は、リーダ部13、プリンタ部45と電気的に接続され、更にネットワーク(例えばLAN)105を介して、情報処理装置(例えばホストPC、以下、PCと呼ぶ)103と接続されている。
【0015】
制御部102は、リーダ部13を制御して、原稿の画像データを読込み、プリンタ部45を制御して画像データを用紙に印刷するコピー機能を提供する。また、リーダ部13から入力した画像データを、ネットワーク105を介してPC103等他の情報機器へ送信する機能を提供する。操作部150は、制御部102に接続され、表示部135や後述のハードキーを具備し、この複合機101を操作するためのユーザインターフェースを提供する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る複合機101の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0017】
スキャナインターフェース(以下、スキャナI/F部)10には、リーダ部13が接続される。スキャナI/F部10は、リーダ部13のアナログフロントエンド(AFE)を介してCCDやCISから読み取りデータを取り込むことができる。スキャナI/F部10は、リーダ部13の原稿給紙ユニット12から原稿検知センサの出力を複合機101に取り込むことができる。スキャナI/F部10のデータ処理については、後に詳細に説明する。
【0018】
スキャナ画像処理部20では、スキャナI/F部10を介してメインメモリ100に展開された画像データに対して、画像処理モード(カラーコピー、モノクロコピー、カラースキャン、モノクロスキャン等)に応じた画像処理を実行する。スキャナ画像処理部20の詳細については、後に説明する。バッファ調停部77は、スキャナI/F部10とスキャナ画像処理部20との間のデータの受け渡しをメインメモリ100のリングバッファ領域を介して行う場合、データの書き込みと読み出しを調停する。
【0019】
プリンタ画像処理部30は、入力する画像の領域編集や解像度変換等を行い、得られた画像データをプリンタ部45に出力する。プリンタインターフェース40は、接続するプリンタ部45に処理済の画像データを出力する。バッファ調停部78は、プリンタ画像処理部30とプリンタI/F40との間のデータの受け渡しを、メインメモリ100のリングバッファ領域を介して行う場合、データの書き込みと、読み出しを調停する。JPEG、JBIGモジュール50,60は、所定の規格に準拠した画像データの圧縮、伸張処理を実行する。
【0020】
メモリ制御部70は、画像処理系の第1バス83,第2バス84及びコンピュータ系の第3バス85にそれぞれ接続し、メインメモリ(SDRAM)100に対するデータの書き込み、読み出しのためのデータ転送制御を行う。
【0021】
DMAコントローラ(DMAC)90は、メモリ制御部70と協働して、ROMISA97を介してEPROM95と接続する。そして外部デバイスや種々のインターフェース部170と、メインメモリ100との間のデータ授受に関し、DMA制御するための所定のアドレス情報を生成、設定する。画処理DMAコントローラ(DMAC)91は、メモリ制御部70と協働して、各画像処理部20,30とメインメモリ100との間のデータ授受に関し、DMA制御するための所定のアドレス情報を生成、設定する。例えば、画像読み取りデバイスの種類に応じて、スキャナI/F部10で読み取り処理された画像データをメインメモリ100にDMA転送するためのアドレス情報をDMAのチャンネルごとに生成する。または、メインメモリ100に展開された画像データを読み出すためのアドレス情報をDMAのチャンネルに応じて生成する。こうしてスキャナ画像処理部20にDMA転送する等、メインメモリ100と、画像処理部20,30とメインメモリ100間におけるDMA制御を、メモリ制御部70と共に司るユニットとして機能する。
【0022】
EPROM95には、リーダ部13の画像読み取りデバイス(CCDやCIS)に応じて、適した制御パラメータや制御プログラムデータが格納されている。こうして制御パラメータ等を画像読み取りデバイスに応じて種々設定することができるので、CCD、CISの個別のデータ出力形式に応じた画像データの入力処理が可能となるため、専用のインターフェース回路を設ける必要がなくなる。モデム93は、デジタルデータと音声データ間の変換を行う。
【0023】
第1バス83は、メインメモリ100から読み出したデータを画像処理系の各処理部(10〜60)に送出する。第2バス84は、画像処理系の各処理部(10〜60)から読み出したデータをメインメモリ100に送出する。これら第1,2バス83,84は対になって画像処理ブロックとメインメモリ100間の画像データの授受を行う。第3バス85は、CPU180、通信及びユーザインターフェース制御部170、メカトロ系制御部125、制御レジスタ、及びDMAC90が接続するコンピュータ系のバスである。メカトロ系制御部125には、モータ制御部110と、モータの駆動タイミングや、画像処理系の処理の同調を制御するためのタイミング制御を司る割り込みタイマ制御部120が含まれる。LCD制御部(LCDC)130は、種々の設定、処理状況等を操作部150の表示部135に表示する表示制御を行う。また、操作部300から使用者が入力した情報をCPU180に伝える役割をする。HDD181は、OSやCPU180が実行するプログラムをインストールしており、プログラムの実行時には、その制御プログラムはメインメモリ100に展開されてCPU180の制御の下に実行される。
【0024】
周辺機器との接続を可能にするUSBインターフェース部140,150は、図2では、インクジェットプリンタ175が接続された状態を示している。ネットワークインタフェース部160は、接続する機器に対してデータをどのようなタイミングで送り出せばよいか(アクセス)等を制御する。LAN105を介して他の機器(PC103等)と通信する場合にもこのユニットを使用する。CPU180は、この複合機101の全体的な動作を制御する。
【0025】
スキャナI/F部10は、画像読み取りデバイスとして、CCD及びCISに対応可能であり、両画像読み取りデバイスの信号を入力処理する。ここで入力された画像データは、メモリ制御部70によりDMA転送されてメインメモリ100に展開される。
【0026】
スキャナ画像処理部20は、メインメモリ100上にある画像を画像変換し、再度、メインメモリ100に書き戻すときに使われる各種画像変換機能を有する。画像の解像度を変換(例えば600dpiから200dpi)したり、変倍したりする変倍機能(例えば25%から400%まで)を有する。変倍する前には32×32画素の画像を32ライン単位の画像に並び替える。多値入力された画像をマトリクス演算、及びルックアップテーブル(LUT)により、例えばメモリ上にあるYUV画像をLab画像に変換し、メモリ上に格納する色空間変換機能を有する。また、この色空間変換機能は3×8のマトリクス演算および、1次元LUTをもち、公知の下地とばしや裏写り防止を行うことができる。変換された画像は多値で出力される。1ビット2値画像を多値8ビット、256階調にする2値多値変換機能。逆にメモリ上にある8ビット、256階調の画像を誤差拡散処理などの手法により1ビット、2階調に変換し、メモリ上に格納する2値多値変換機能を有する。多値画像の画素を間引くことで、解像度変換を行う1/2,1/4,1/8の多値画像を出力可能な間引き機能を有する。変倍機能と合わせて使うことで、より広範囲な拡大、縮小を行うことができる。移動は入力された2値画像、多値画像に余白部分をつけたり、余白部分を削除したりして出力することができる。変倍機能、色空間変換機能、2値多値変換機能、間引き機能、多値2値変換機能はそれぞれ連結して動作することが可能である。
【0027】
図3は、本実施形態に係る複合機101の自動ログイン処理を説明する機能ブロック図である。
【0028】
自動ログイン・ログアウト部300は、CPU180が、後ほど詳細に説明する表示制御部310、ログイン・ログアウト部320、ログイン管理情報登録部330、相手先PC名・ログイン名変換部340を利用して、自動でログイン或いはログアウトを行う。ログイン管理情報更新部360は、CPU180が、ジョブ実行中にログインユーザのスキャン数(スキャンの回数)、印刷数(印刷の回数)をページ単位で計数する。ジョブ実行部350は、CPU180が、USBインターフェース部140或いはネットワークインターフェース部160を介して実行要求を受けたジョブに対して、自動ログイン・ログアウト部300を利用して、ログイン可能な場合はジョブを実行する。ジョブ実行中は、ログイン管理情報更新部360により、カウント情報を更新する。更に、スキャン制限数や印刷制限数を超えてジョブを実行しようとした場合はジョブを停止する。ジョブの実行後は、自動ログイン・ログアウト部300を利用してログアウトする。自動ログイン・ログアウト部300を利用してログインできなかった場合はジョブを実行しない。
【0029】
表示制御部310は、CPU180がLCDC130を利用して操作部150の表示部135への表示制御を司る。ログイン・ログアウト部320は、CPU180が、ユーザにより複合機101へ入力或いは転送されたログイン情報を認証すると複合機101を利用できるログイン状態にする。更に、CPU180が、ログアウト状態、即ちログイン情報を認証できない場合に、そのユーザが複合機101を利用できない状態にすることも可能である。ログイン管理情報登録部330は、後述するように、ログイン管理情報を登録する。相手先PC名・ログイン変換部340は、CPU180が、複合機101が実行要求を受けたジョブの相手先PC名を取得し、図4のログイン管理情報の相手先PC名と一致するものを検索する。一致するものがあった場合に、そのログイン名とパスワードを取得する。これらの情報は認証情報の一例である。
【0030】
図5は、複合機101のログイン、ログアウトの画面例を説明する図である。
【0031】
500はログアウト状態の画面例を示し、510はログイン状態の画面例を示す図である。ログアウト状態の画面500で、ユーザがログイン名、パスワードを入力してログインボタン501を押下すると、ユーザの認証が行われる。そして認証に成功するとログインされる。また、ログイン状態の画面510で、ログアウトボタン502が押下されると、ログアウトされる。
【0032】
図4は、ログイン管理情報の一例を示す図である。
【0033】
このログイン管理情報は、EPROM95に記憶されていて、CPU180により参照される。ログイン管理情報の項目として、ログイン名410、パスワード420、スキャン数430、スキャン制限数440、印刷数450、印刷制限数460と相手先PC名470を有している。これら項目が、ログイン管理したい単位で記憶されている。
【0034】
ログイン名410とパスワード420は、ユーザにより複合機101へ入力或いは投入されたジョブのログイン情報に対して、CPU180が認証するために参照され、一致すると複合機101を利用できるログイン状態にする。
【0035】
スキャン数430は、ログインしたユーザがスキャンを実行したページ数を記憶しており、CPU180は、1ページをスキャンする毎にカウントアップする。スキャン制限数440は、ログインしたユーザのスキャン制限数であり、CPU180は、そのユーザがその制限値を超えてスキャンをできないようにする。印刷数450は、ログインしたユーザが印刷を実行したページ数を記憶しており、CPU180は、1ページ印刷毎にカウントアップする。印刷制限数460は、ログインしたユーザの印刷制限数を記憶しており、CPU180は、そのユーザがその制限値を超えて印刷できないようにする。相手先PC名470は、CPU180によって、後述のログイン管理情報登録部330によりログイン名とパスワードと関連付けて記憶される。
【0036】
ログイン管理情報登録部330は、図6のような画面フローによって登録を行う。
【0037】
図6は、実施形態に係るログイン管理情報登録部330によるログイン管理情報を登録する際の画面の遷移を説明する図である。
【0038】
図6において、600はログイン管理情報の登録画面を示し、CPU180は、ユーザにより相手先PC登録601が選択されたことを認識すると、相手先PCの登録画面610を表示する。この相手先PCの登録画面610においてCPU180は、相手先PCの登録を自動で行う自動登録611と、相手先PCの登録を手動で行う手動登録612の選択肢を表示する。
【0039】
自動登録611が選択されると、CPU180は、相手先PC登録(自動)画面620を表示部135に表示する。この画面620では、「登録時確認しない」621と、「登録時確認する」622の選択肢を表示する。この画面620で、CPU180が、「登録時確認しない」621が選択されたことを認識すると、後述のフローで説明する自動で相手先PCを登録する際にユーザの確認を行わない設定としてEPROM95に記憶する。一方、CPU180が、「登録時確認する」622が選択されたことを認識すると、後述のフローで説明する自動で相手先PCを登録する際に、ユーザの確認を行う設定としてEPROM95に記憶する。
【0040】
相手先PC指定画面630は、CPU180が、相手先PC登録画面610で手動登録612が選択されたことを認識した場合に表示する。CPU180は、USBインターフェース部140或いはネットワークインターフェース部160に接続されているPC名を取得して選択肢として表示する。登録完了メッセージ画面640は、CPU180が、相手先PC指定画面630で、相手先PCが指定されたことを認識した場合に、指定された相手先PCをログイン管理情報の相手先PC名470に記憶したことを示す。この情報は、EPROM95に記憶される。即ち、図4に示すように、相手先PC指定画面630のPC名の一覧からログイン名が「BBB」であるユーザの相手先PCとして「PC2」が登録されている。
【0041】
<スキャン画像蓄積処理の説明>
スキャナI/F10を介して受け取ったスキャン画像を、一旦入力バッファに蓄積する。この時点では、画像データはモノクロの場合、1画素につき1バイト、カラーの場合は1画素につき3バイトの多値として扱われている。ここで、入力バッファは1ページ分まとめて確保しておく必要はなく、次のスキャナ画像処理部20で行う処理単位の大きさ分だけ確保できていればよい。スキャナ画像処理部20では、2値化処理や画像回転を行った後、モノクロの場合JBIG60で、カラーの場合JPEG50でエンコード処理を行ってメインメモリ100に格納される。
【0042】
本実施形態では、PullScan、疑似PushScanを行う場合は、ほとんどの画像処理をPC103に任せるため、スキャナ画像処理部20で画像回転や画像のエンコード処理を行わずスキャン画像をそのままメインメモリ100に格納する。尚、スキャン画像は、ハードウェア構成によっては画像をHDD181などに格納してもよい。
【0043】
次に画像データの送信機能について説明する。
【0044】
CPU180は、メインメモリ100に展開された、プロトコルや送信仕様を実現するための制御プログラムを実行する。具体的には、メインメモリ100に蓄積された画像データに対して符号化、パケットヘッダの付加などを行い、第3バス85、LANC160を介してネットワーク上の情報機器、例えばPC103へ画像データを送信する。尚、この制御プログラムは、HDD181にインストールされているプログラムをメインメモリ100に展開し、その制御プログラムをCPU180が実行するようにしてもよい。
【0045】
<相手先PCの登録手順>
図7は、本実施形態に係る複合機101における相手先PC登録処理手順を示すフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、実行時、HDD181からメインメモリ100に展開され、CPU180の制御の下に実行される。
【0046】
まずS701では、CPU180は、操作部150からユーザによるログイン操作が実施され、ログイン操作の結果から認証できたかどうかを判断する。認証できた時はS702に進むが、ユーザによるログイン操作が実施されていないか、或いはユーザによるログイン操作が実施されたが認証に成功しないときはS701の処理を行う。S702では、CPU180は、そのログインしたユーザが操作部150を操作して、相手先PC名の登録処理を選択したか否かを判断する。PCの登録処理が選択された場合は、表示制御部310により相手先PCの登録画面610を表示してS703の処理を行う。相手先PC名の登録処理が選択されなかった場合はS704に進む。図6の例で説明すると、ログイン管理情報の登録画面600において、相手先PC名登録601が選択された場合は、S703で、相手先PC登録画面610を表示する。
【0047】
S703でCPU180は、相手先PC登録画面610で、ユーザにより自動登録と手動登録のどちらが選択されたか判断する。自動登録が選択された場合は、表示制御部310は、相手先PC登録自動時の確認設定画面620を表示して、自動登録時に、登録内容の確認を行うか否かの選択肢621,622を表示する。ユーザによる選択を認識した場合、設定内容をEPROM95に保存してS704に進む。また相手先PC登録画面610で、ユーザにより手動登録が選択された場合はS708に進み、表示制御部310により、相手先PC指定画面630を表示する。
【0048】
図6で説明すると、相手先PC登録画面610において、自動登録611が選択された場合、相手先PC登録(自動)画面620を表示する。ここで「登録時確認しない」621か、「登録時確認する」622の選択肢を表示する。一方、相手先PC登録画面610において、手動登録612が選択された場合、相手先PC指定画面630を表示する。
【0049】
そしてS709に進み、CPU180は、S708で表示したPCの選択肢から、ユーザによりPCが選択されたか判断する。選択されたと認識した場合は、選択されたPC名を取得してS710に進み、その選択されたPC名と、ログインしたユーザ名とを関連付けて登録する。一方、S709で、ユーザにより選択がキャンセルされたと判断した場合はS711の処理を行う。
【0050】
一方、自動登録の場合であるS704でCPU180は、USBインターフェース部140或いはネットワークインターフェース部160を介して、PC103からジョブを受信したか否かを判断する。尚、疑似PushScanもPC103からジョブを受信した判断する。PC103からジョブを受信したと判断した場合はS705に進み、PCからジョブを受信していないと判断した場合はS711に進む。S705では、CPU180は、EPROM95を参照して、S703で設定した相手先PC登録が自動登録設定か手動登録設定かを判断する。自動登録設定の場合はS706に進み、PCから受信したジョブのPC名を取得するが、手動登録設定の場合はS711に進む。次にS706に進み、CPU180は、EPROM95を参照して、S703での設定が、「自動登録時に登録内容の確認を行う」の場合はS707に進み、「自動登録時に登録内容の確認を行わない」の場合はS710に進む。S707では、CPU180は、表示制御部310により、相手先PC登録内容(ログイン名とS705で取得したPC名)を表示して、登録するか否かの選択肢を表示する。ユーザにより登録するが選択されたと認識した場合はS710に進み、CPU180は、EPROM95に記憶しているログイン管理情報の現在ログインしているユーザのログイン名とパスワードと関連付けて、S706で取得したPC名を記憶する。そしてS711に進む。図4で説明すると、ログイン管理情報に、ログインしているユーザの相手先PC名470として記憶する。尚、S707で、登録しないが選択されたと認識した場合はS711に進む。
【0051】
S711では、CPU180は、ログアウトされたか否かを判断する。ログアウトされた場合はS701に進み、ログアウトされていない場合はS702に進む。
【0052】
このようにして、ログインしたユーザ名に対応付けて、そのユーザが手動により、或いは自動で、そのユーザ名に対応付けて相手先のPC名を、ログイン管理情報として登録することができる。
【0053】
図8は、本実施形態に係る複合機101の自動ログイン・ログアウト処理を行うジョブ実行処理手順を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、実行時、HDD181からメインメモリ100に展開され、CPU180の制御の下に実行される。
【0054】
まずS801でCPU180は、複合機101が、ログアウト状態か否かを判断する。ログアウト状態の場合はS802に進み、ログアウト状態でない(ログイン)場合はS801に進む。S802でCPU180は、USBインターフェース部140或いはネットワークインターフェース部160を介して、PC103からジョブを受信したか否かを判断する。例えば、このジョブは、例えばPullScanジョブや印刷ジョブであり、疑似PushScanもPCからのジョブと判断する。PCからジョブを受信したと判断した場合はS803に進み、PC103からジョブを受信していないと判断した場合はS801に進む。S803では、CPU180は、S802で受信したジョブが、ログイン名とパスワードを通知しているか否かを判断する。通知していると判断した場合は、本処理以外で並行して動作している処理プロセスで実施するためS801の処理に進む。
【0055】
S803で、ログイン名とパスワードを通知していないと判断した場合はS804に進む。ここでCPU180は、PC103から受信したジョブのPC名を取得して、相手先PC名・ログイン名変換部340により、図4のログイン管理情報から、対応するログイン名とパスワードの有無を判定する。ログイン管理情報に、対応するログイン名とパスワードが登録されている場合はS805に進むが、対応するログイン名とパスワードが登録されていない場合はS801の処理に進んでログイン処理を行わない。図4の例では、例えばPC名(PCの識別情報)が「PC2」であれば、それに対応してログイン名「BBB」、パスワード「5678」が登録されている。
【0056】
S805でCPU180は、相手先PC名・ログイン名変換部340により、S804で判定した対応するログイン名とパスワードを使用して、ログイン・ログアウト部320によりログイン認証を行う。このログイン認証後、表示制御部310により、受信ジョブの実行画面を表示してS806の処理を行う。S806では、CPU180は、ログイン管理情報から、ログインユーザのカウント数(スキャン数430や印刷数450)とカウンタ制限情報(スキャン制限数440や印刷制限数460)を取得する。そして受信ジョブを1ページ処理した場合、制限数を超えるか否かを判断する。制限数を超えない場合は1ページの処理が可能であるためS807に進むが、制限数を超える場合はS810に進み、ジョブを停止して自動ログアウトを実行する。
【0057】
S807では、CPU180は、受信ジョブを1ページ処理してS808に進む。S808では、CPU180は、S807で実行したジョブの1ページに対して、ログイン管理情報のログインユーザのスキャン数430及び/或いは印刷数450をカウントアップしてS809に進む。ここでは例えばコピージョブの場合は、スキャン数430及び印刷数450が共にカウントアップされ、印刷ジョブの場合は印刷数450のみがカウントアップされる。次にS809では、CPU180は、まだ実行すべきページがあるか否かを判断する。ある場合はS806の処理を行うが、実行すべきページがなくなるとジョブを終了してS810の処理を行う。S810では、CPU180は、ログイン・ログアウト部320により、複合機101をログアウト状態にしてS801に進む。
【0058】
以上説明したように、ログアウト状態でPCからジョブを受信した場合、その受信したジョブのPC名を取得して、ログイン管理情報に、そのPC名に対応するログイン名とパスワードが登録されているかどうかを判断する。そして対応するログイン名とパスワードが登録されていると、そのPCからのジョブを実行するユーザのログイン認証を行って、自動的にログイン処理を実行して、そのジョブを実行することができる。更に、その認証されたユーザに対して設定されているスキャン制限数、印刷制限数の範囲内で、そのユーザに対してジョブの実行を許可するように制御できる。
【0059】
尚、本実施形態ではネットワーク(TCP/IP)とUSBを通信手段として使用しているが、何れかの通信手段でも同様の処理が適用できることは言うまでもない。
【0060】
また本実施形態において、複合機101の表示部135に表示される図5、図6の画面内容はあくまでも一例であり、他の表現でも適用できることは言うまでも無い。
【0061】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の情報処理装置と接続可能な画像処理装置であって、
情報処理装置の識別情報と、ユーザを認証するための認証情報とを対応付けて登録する登録手段と、
情報処理装置からジョブを受信すると、当該ジョブに含まれる前記情報処理装置の識別情報を取得し、取得した前記識別情報が前記登録手段に登録されており、かつ当該ジョブがユーザを認証するための認証情報を含むかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記識別情報が登録されており、かつ認証情報を含むと判定された場合、前記認証情報を使用してユーザの認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証が成功すると前記ジョブを実行するように制御するジョブ実行手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記登録手段は、複数の情報処理装置の一覧を表示して、当該一覧からユーザが何れかの情報処理装置を選択して登録する登録方法、或いは情報処理装置からのジョブを受信したときに、当該ジョブに含まれる当該情報処理装置の識別情報をもとに自動的に登録する登録方法の何れかによって情報処理装置の識別方法を登録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置の識別情報と、ユーザを認証するための認証情報とを対応付けてログイン管理情報を生成する生成手段を更に有し、
前記登録手段は、前記生成手段によって生成されたログイン管理情報を登録し、
前記ログイン管理情報は、前記ユーザを認証するための認証情報に対応付けて、ジョブを実行する回数を制限する制限情報を含んでおり、前記ジョブ実行手段は、前記制限情報の範囲内で前記ジョブを実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ログイン管理情報は、前記ユーザの認証情報に対応付けて、ジョブを実行した回数を記憶しており、前記ジョブ実行手段は、ジョブを実行する際に前記ジョブを実行した回数を更新することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ジョブ実行手段が前記ジョブの実行を完了した後、前記相手先の情報処理装置を自動的にログアウトするログアウト手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して複数の情報処理装置と接続可能な画像処理装置でを制御する制御方法であって、
前記画像処理装置の登録手段が、情報処理装置の識別情報と、ユーザを認証するための認証情報とを対応付けて登録する登録工程と、
前記画像処理装置の判定手段が、情報処理装置からジョブを受信すると、当該ジョブに含まれる前記情報処理装置の識別情報を取得し、取得した前記識別情報が前記登録工程で登録されており、かつ当該ジョブがユーザを認証するための認証情報を含むかどうかを判定する判定工程と、
前記画像処理装置の認証手段が、前記判定工程で前記識別情報が登録されており、かつ認証情報を含むと判定された場合、前記認証情報を使用してユーザの認証を行う認証工程と、
前記画像処理装置のジョブ実行手段が、前記認証工程で認証が成功すると前記ジョブを実行するように制御するジョブ実行工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−8107(P2013−8107A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138891(P2011−138891)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】