説明

画像取得装置

【課題】判別装置として使用するに当たり、被検査媒体が基準面から上下方向に外れて搬送された場合において、判別精度の低下を防止する。
【解決手段】水平な基準面に沿って搬送される被検査媒体21の画像を取得するための画像取得装置であって、基準面に想定した基準点29における法線31上に配置されている第1受光センサアレイ11と、法線に対して互いに反対側に配置されている第2受光センサアレイ13及び第3受光センサアレイ15とを具えている。そして、第1受光センサアレイ、第2受光センサアレイ、及び第3受光センサアレイは、それぞれ複数の受光センサが、基準面に沿って、被検査媒体の搬送方向に対して垂直方向にアレイ状に配列されて構成されており、かつこれら第1〜第3受光センサアレイを構成する各複数の受光センサの焦点の列が、直線状に一致して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受光センサを用いて被検査媒体からの光情報を得ることによって、この被検査媒体の画像を取得する画像取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来周知の通り、受光センサを用いて被検査媒体の画像を取得する画像取得装置は、例えば紙幣、証券、小切手等の紙葉類の真偽を判別する判別装置等として使用される。すなわち、画像取得装置は、光源から紙幣等の被検査媒体に対して光を出射する。そして、この光が被検査媒体から反射された反射光を受光センサで受光することによって被検査媒体の画像を取得し、この得られた画像と、予め用意しておいた基準画像とを比較することによって、当該被検査媒体の判別がなされる。
【0003】
このような画像取得装置において、被検査媒体は、水平に設定された基準面に沿って一定速度で搬送される。そして、被検査媒体は、この被検査媒体の搬送方向に垂直な方向に、かつ基準面に対して平行にアレイ状に受光センサが複数配列されて構成されている受光センサアレイの下側を通過する。また、受光センサアレイを構成する各受光センサの各受光面は上述した基準面と正対している。
【0004】
受光センサアレイは、この受光センサアレイの下側、すなわち各受光面と正対する領域に存在する被検査媒体からの反射光を受光する、すなわち走査を行う。そして、一定の速度で搬送される被検査媒体が受光センサアレイの下側を通過する際に、被検査媒体からの反射光を一定の時間毎に検出信号として受光する。これによって得られた各時間における検出信号から全体的な被検査媒体の画像が得られる。
【0005】
ところで、このような画像取得装置を、上述した判別装置等として使用するためには、基準面に沿って固定した状態で搬送することが重要である。
【0006】
例えば、受光センサアレイを構成する各受光センサの焦点を、基準面の面位置に設定した場合には、被検査媒体が基準面の面位置から上下方向、すなわち基準面に対して垂直な方向に外れて搬送されたとき、受光センサアレイが被検査媒体を走査する際に、被検査媒体が、受光センサの焦点から外れて走査される。従って、取得される画像には、ボケが生じる。
【0007】
そして、上述した基準画像として、被検査媒体が基準面に沿って搬送された場合の画像、すなわちボケが生じていない画像を用意していた場合、ボケが生じた取得画像と基準画像とを比較し、被検査媒体の例えば真偽等の判別を行う際に、正常な判別を行うことができない恐れがある。その結果、判別装置としての精度が低下するという問題に繋がる。
【0008】
そこで、このような精度低下を抑制するために、被写体部、すなわち被検査媒体を、撮像部、すなわち受光センサと密着させて、またはこれらの間の距離を近距離に設定して搬送することによって、被検査媒体の焦点からのずれを防止する技術が周知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−247263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、仮に被検査媒体が基準面から上下方向に外れて搬送された場合、すなわち取得される画像にボケが生じた場合においては、または、画像取得装置の構造上、被検査媒体と受光センサと密着させて、またはこれらの間の距離を近距離に設定して搬送することが困難である場合においては、判別装置としての精度低下の問題を解消することができない。
【0011】
そこで、この発明の目的は、判別装置として使用するに当たり、被検査媒体が基準面から上下方向に外れて搬送された場合においても、判別精度が低下しない、画像取得装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的の達成を図るため、この発明によれば、画像取得装置は以下の特徴を有している。
【0013】
すなわち、この発明による画像取得装置は、水平な基準面に沿って搬送される被検査媒体の画像を取得するための画像取得装置であって、基準面に想定した基準点における法線上に配置されている第1受光センサアレイと、法線に対して互いに反対側に配置されている第2受光センサアレイ及び第3受光センサアレイとを具えている。そして、第1受光センサアレイ、第2受光センサアレイ、及び第3受光センサアレイは、それぞれ複数の受光センサが、基準面に沿って、被検査媒体の搬送方向に対して垂直方向にアレイ状に配列されて構成されており、かつこれら第1〜第3受光センサアレイを構成する各複数の受光センサの焦点の列が、直線状に一致して配置されている。
【発明の効果】
【0014】
この発明による画像取得装置は、第1から第3までの3つの受光センサアレイを上述したような配置関係で、各受光センサアレイの焦点の列、すなわち焦点列を一致させて具えている。その結果、搬送される被検査媒体がこの焦点列を通過する場合には、この焦点列において、各受光センサアレイに同時に走査される。従って、この場合に取得される画像は、各受光センサアレイから得られる各画像が、1つに重なった画像として取得される。
【0015】
また、例えば第2受光センサアレイの側から搬送される被検査媒体が、この焦点列よりも上側を通過する場合には、被検査媒体は、まず第2受光センサアレイによって、次に第1受光センサアレイによって、そして、最後に第3受光センサアレイによって順次走査される。従って、この場合に、取得される画像は、第2受光センサアレイから得られる画像、第1受光センサアレイから得られる画像、及び第3受光センサアレイから得られる画像が、この順に互いにずれて重なった画像として取得される。
【0016】
また、例えば第2受光センサアレイの側から搬送される被検査媒体が、この焦点列よりも下側を通過する場合には、被検査媒体は、まず第3受光センサアレイによって、次に第1受光センサアレイによって、そして、最後に第2受光センサアレイによって順次走査される。従って、この場合に、取得される画像は、第3受光センサアレイから得られる画像、第1受光センサアレイから得られる画像、及び第2受光センサアレイから得られる画像が、この順に互いにずれて重なった画像として取得される。
【0017】
従って、この発明による画像取得装置では、取得した画像が、被検査媒体が焦点列において走査された場合、焦点列よりも上側で走査された場合、及び焦点列よりも下側で走査された場合の、いずれによって得られた画像であるのかを判別することができる。
【0018】
そのため、この発明による画像取得装置を用いて被検査媒体の例えば真偽判別を行う際には、予め、被検査媒体が焦点列において走査された場合、焦点列よりも上側で走査された場合、及び焦点列よりも下側で走査された場合の、それぞれに対応する基準画像を用意しておく。そして、取得された画像を、この画像を得た際の被検査媒体の搬送経路に対応した基準画像と比較することによって、精度を低下させることなく判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は、この発明の第1の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に示した斜視図であり、(B)は、第1の実施の形態による画像取得装置の電気的処理部を示すブロック図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した図であり、図1(A)に示すI−I線に沿って切り取った断面を矢印方向から見た端面図である。
【図3】(A)〜(C)は、この発明の第1の実施の形態による画像取得装置を用いて取得した画像を概略的に示す図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に示した端面図である。
【図5】(A)〜(C)は、この発明の第2の実施の形態による画像取得装置を用いて取得した画像を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る画像取得装置について説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。
【0021】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、第1受光センサアレイ、第2受光センサアレイ、及び第3受光センサアレイを具える画像取得装置について説明する。
【0022】
図1(A)は、この発明の第1の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に示した斜視図であり、図1(B)は、第1の実施の形態による画像取得装置の電気的処理部を示すブロック図である。また、図2は、この発明の第1の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に示した図であり、図1(A)に示すI−I線に沿って切り取った断面を切り口で示した端面図である。なお、図1(A)では、第1受光センサアレイ、第2受光センサアレイ、及び第3受光センサアレイの配置関係を明瞭に示すために、光源の図示を省略している。
【0023】
第1の実施の形態による画像取得装置は、第1受光センサアレイ11、第2受光センサアレイ13、第3受光センサアレイ15、及び光源17を具えている。
【0024】
この第1の実施の形態による画像取得装置は、水平に搬送される例えば紙幣、小切手、証券等の平板状の被検査媒体21の被検査面21aの画像を取得するために利用される。そこで、第1の実施の形態では、被検査媒体21を、水平な状態で搬送するために、例えば図示しない周知のローラ等の搬送手段を用い、このローラによって、被検査媒体21の一部を上下方向、すなわち被検査面21aに垂直な方向から挟み込んで搬送する。このとき、被検査媒体21が水平な状態で固定されて、搬送される搬送面を、基準面19とする。なお、被検査媒体21の搬送方向を図1(A)及び図2に搬送方向と付記して矢印で示す。
【0025】
第1受光センサアレイ11、第2受光センサアレイ13、第3受光センサアレイ15、は、基本的にはそれぞれ同一の構成とされており、光源17から出射され、被検査媒体21から反射された光を受光するために、それぞれ複数の受光センサから構成されている(図1(A)及び図2参照)。
【0026】
すなわち、第1受光センサアレイ11は、第1受光センサ23が直線状に複数配列して構成されている。また、第2受光センサアレイ13は、第2受光センサ25が直線状に
複数配列して構成されている。また、第3受光センサアレイ15は、第3受光センサ27が直線状に複数配列して構成されている。なお、図1(A)に示す構成例では、第1受光センサアレイ11、第2受光センサアレイ13、及び第3受光センサアレイ15は、それぞれ5つの第1受光センサ23、第2受光センサ25、及び第3受光センサ27から構成されている。
【0027】
そして、第1受光センサアレイ11、第2受光センサアレイ13、及び第3受光センサアレイ15をそれぞれ構成する第1受光センサ23、第2受光センサ25、及び第3受光センサ27は、それぞれ基準面19に沿って、被検査媒体21の搬送方向と直交する方向にアレイ状に配列されている。従って、第1の実施の形態による画像取得装置では、第1受光センサアレイ11、第2受光センサアレイ13、及び第3受光センサアレイ15は、それぞれ互いに平行に配置されて設けられている。
【0028】
また、第1受光センサアレイ11は、その受光面11a、すなわち各第1受光センサ23の各受光面23aが、基準面19と対向して設けられている。
【0029】
さらに、第1受光センサアレイ11は、その受光面11aが、基準面19上にある基準点29からの法線31上に位置決めされて設けられている。この基準点29は、基準面19に想定された点であり、この実施の形態による画像読取装置では、被検査媒体21は、搬送される過程において基準点29を通過する。
【0030】
従って、第1受光センサアレイ11及び基準面19を結ぶ光軸、すなわち各第1受光センサ23の各受光面23aの中心及び基準面19を結ぶ各第1光軸33は、基準面19に沿って、搬送方向に対して垂直方向に基準点29を通る、基準面19上の直線、すなわち基準線35において、基準面19と交わる。
【0031】
なお、この第1の実施の形態では、図1(A)に示すように、第1受光センサアレイ11を構成する第1受光センサ23のうち、中央に配置された第1受光センサ24の受光面24aの中心が、法線31上に配置されるように、基準点29の位置を設定するのが好ましい。従って、この第1の実施の形態では、第1受光センサ24及び基準面19間を結ぶ第1光軸36と法線31とが一致している。
【0032】
また、第2受光センサアレイ13及び第3受光センサアレイ15は、法線31に対して互いに反対側に、第1受光センサアレイ11を挟んで配置されている。
【0033】
そして、これら第1受光センサアレイ11、第2受光センサアレイ13、及び第3受光センサアレイ15は、これらを構成する各複数の第1受光センサ23、第2受光センサ25、及び第3受光センサ27の焦点の各列、すなわちそれぞれの焦点列が、同一直線上に一致するようにして、配置されている。
【0034】
第1受光センサアレイ11の各第1受光センサ23の光軸を第1光軸33とすると、各第1光軸33は、共通の第1光軸面33a上に配列されている。同様に、第2受光センサアレイ13及び基準面19を結ぶ光軸、すなわち各第2受光センサ25の各受光面25aの中心及び基準面19を結ぶ光軸を第2光軸37とすると、各第2光軸37は、共通の第2光軸面37a上に配列されている。同様に、第3受光センサアレイ15及び基準面19を結ぶ光軸、すなわち各第3受光センサ27の各受光面27aの中心及び基準面19を結ぶ光軸を第3光軸39とすると、各第3光軸39は、共通の第3光軸面39a上に配列されている。そして、これら第1〜第3光軸面33a、37a、及び39aは、互いに一直線上において交わるように、配置されている。既に説明したように、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15は、基準面19に沿って、搬送方向に対して垂直方向に配列されているため、当然のことながら、各第1光軸面33a、第2光軸面37a、及び第3光軸面39aが交わる直線41は、基準面19に沿った、搬送方向に対して垂直な直線となる。
【0035】
そして、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15を、これらの各焦点、すなわち各第1受光センサ23の各第1焦点43、各第2受光センサ25の各第2焦点45、及び各第3受光センサ27の各第3焦点47が、それぞれ直線41と一致するように設定する。その結果、第1焦点43から構成される焦点列、第2焦点45から構成される焦点列、及び第3焦点47から構成される焦点列は、直線41上において直線状に一致した焦点列49となる。
【0036】
なお、この実施の形態では、図1(A)に示すように焦点列49が配列している直線41を、上述した基準線35と一致させている。従って、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15の各焦点は、基準面19に設定されている。
【0037】
また、第1の実施の形態では、第2受光センサアレイ13及び基準面19間を結ぶ光軸、すなわち各第2光軸37と基準面19とがなす角50aと、第3受光センサアレイ15及び基準面19間を結ぶ光軸、すなわち各第3光軸39と基準面19とがなす角52aとが、90°以内の等しい角度θの狭角として設定してある。
【0038】
また、光源17は、例えば、LED、蛍光灯、その他の従来周知の発光素子であって、ビーム状の出射光を出射するように構成されている。そして、第1の実施の形態による画像取得装置では、例えば、光源17を第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15に沿ってアレイ状に配列させることによって、搬送される被検査媒体21の被検査面21aに対して光を照射する。
【0039】
なお、光源17は、光を被検査媒体21に対して出射でき、かつこの出射光が被検査媒体21によって、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15に受光可能な角度で反射される構成であれば、配設箇所及び配設個数は設計に応じて任意適切に決めることができる。そして、この第1の実施の形態では、図2に示すように、例えば、第1受光センサアレイ11と第2受光センサアレイ13との間、及び第1受光センサアレイ11と第3受光センサアレイ15との間に、それぞれ光源17a及び17bを、これら第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15に沿ってアレイ状に複数個配置するのが好ましい。なお、図2に示す構成例では、紙面の手前から奥の方向へ向かって、光源17a及び17bが複数個配列されている。
【0040】
そして、第1の実施の形態による画像取得装置では、一定速度で被検査媒体21を搬送し、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15によって、一定時間毎に被検査媒体21からの光情報、すなわち光源17から出射され、被検査媒体21から反射された光を受光する。
【0041】
より詳細には、第1受光センサアレイ11は、搬送される被検査媒体21の、各時点における受光面11aの正対領域からの光情報を取得する。すなわち、各時点において、被検査媒体21からの第1光軸面33aに沿った反射光を受光する。
【0042】
また、第2受光センサアレイ13は、搬送される被検査媒体21が第2光軸面37aを通過する際に、各時点における被検査媒体21からの、第2光軸面37aに沿った反射光を受光する。
【0043】
また、第3受光センサアレイ15は、搬送される被検査媒体21が第3光軸面39aを通過する際に、各時点における被検査媒体21からの、第3光軸面39aに沿った反射光を受光する。
【0044】
そして、第1の実施の形態による画像取得装置では、第1受光センサアレイ11から得られた光情報51、第2受光センサアレイ13から得られた光情報53、及び第3受光センサアレイ15から得られた光情報55を、例えば周知のA/Dコンバータ57によってデジタルデータに変換する。そして、このデジタル変換された光情報を、例えば周知のMPU(マイクロプロセッサユニット)59に入力し、画像処理することによって画像を取得する(図1(B))。
【0045】
また、第1の実施の形態による画像取得装置では、MPU59は、メモリ61と接続されている。
【0046】
この第1の実施の形態による画像取得装置を、上述した判別装置として使用する際には、このメモリ61に、予め用意しておいた基準画像を記憶させておく。MPU59は、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15からの光情報によって、被検査媒体21の画像を取得した後、メモリ61から基準画像を読み出し、取得した画像と基準画像とを比較する。そして、MPU59は、被検査媒体21の例えば真偽等の判別を行う。
【0047】
ここで、図3(A)〜(C)は、第1の実施の形態による画像取得装置を用いて、被検査媒体21から取得した画像を概略的に示す図である。なお、ここでは、被検査媒体21は、図1(A)及び図2に示すように、平面形状が四角形である平板状体であり、基準面19に沿って第2受光センサアレイ13の側から、第3受光センサアレイ15の側へ搬送されるものとする。
【0048】
まず、図3(A)は、被検査媒体21が基準面19に沿って搬送された場合、すなわち焦点列49を通過した場合に取得された画像を示している。
【0049】
被検査媒体21が焦点列49を通過して搬送される場合には、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15は、各時点における被検査媒体21を、焦点列49において同時に走査する。従って、第1受光センサアレイ11から取得される画像63(図中、実線で囲まれた領域で示す)、第2受光センサアレイ13から取得される画像65(図中、点線で囲まれた領域で示す)、及び第3受光センサアレイ15から取得される画像67(図中、一点破線で囲まれた領域で示す)は、1つに重なった画像として取得される。
【0050】
次に、図3(B)は、被検査媒体21が基準面19から、この基準面19に対して垂直な方向に沿って上側に外れて搬送された場合、すなわち焦点列49よりも上側を通過した場合に取得された画像を示している。
【0051】
被検査媒体21が焦点列49よりも上側を通過して搬送される場合には、被検査媒体21は、搬送されるに従って、まず第2光軸面37aと、次いで第1光軸面33aと、最後に第3光軸面39aと、それぞれ交わる。その結果、被検査媒体21は、まず第2受光センサアレイ13によって、次に第1受光センサアレイ11によって、そして、最後に第3受光センサアレイ15によって順次走査される。従って、第2受光センサアレイ13から取得される画像65、第1受光センサアレイ11から取得される画像63、及び第3受光センサアレイ15から取得される画像67は、この順に互いにずれて重なって取得される。
【0052】
次に、図3(C)は、被検査媒体21が基準面19から、この基準面19に対して垂直な方向に沿って下側に外れて搬送された場合、すなわち焦点列49よりも下側を通過した場合に取得された画像を示している。
【0053】
被検査媒体21が焦点列49よりも下側を通過して搬送される場合には、被検査媒体21は、搬送されるに従って、まず第3光軸面39aと、次いで第1光軸面33aと、最後に第2光軸面37aと、それぞれ交わる。その結果、被検査媒体21は、まず第3受光センサアレイ15によって、次に第1受光センサアレイ11によって、そして、最後に第2受光センサアレイ13によって順次走査される。従って、第3受光センサアレイ15から取得される画像67、第1受光センサアレイ11から取得される画像63、及び第2受光センサアレイ13から取得される画像65は、この順に互いにずれて重なって取得される。
【0054】
このように、第1の実施の形態による画像取得装置では、被検査媒体21が焦点列49を通過して搬送された場合、焦点列49よりも上側を通過して搬送された場合、または焦点列49よりも下側を通過して搬送された場合のそれぞれに対応して、異なる画像を取得することができる。
【0055】
そこで、第1の実施の形態による画像取得装置を用いて被検査媒体21の例えば真偽判別を行う場合には、予め被検査媒体21が焦点列49を通過して搬送された場合、焦点列49よりも上側を通過して搬送された場合、及び焦点列49よりも下側を通過して搬送された場合の、それぞれに対応する基準画像を用意し、上述したメモリ61に予め読み出し自在に記憶させておく。
【0056】
そして、MPU59によって、取得した画像から、被検査媒体21が焦点列49、焦点列49よりも上側、または焦点列49よりも下側のいずれを通過して搬送されたかを判別する。この判別結果に基づいて、MPU59によって、被検査媒体21の搬送経路に対応した基準画像を読み出し、取得した画像と基準画像と比較し、被検査媒体21の例えば真偽等の判別を行う。
【0057】
従って、第1の実施の形態による画像取得装置では、被検査媒体21が基準面19から上下方向に外れて搬送された場合においても、被検査媒体21の搬送経路に応じた基準画像と比較することができるため、精度を低下させることなく被検査媒体21の判別を行うことができる。
【0058】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、第1受光センサアレイ、第2受光センサアレイ、及び第3受光センサアレイを具えている画像取得装置について説明する。
【0059】
この第2の実施の形態による画像取得装置が、上述した第1の実施の形態による画像取得装置と相違するのは、第2光軸と基準面とがなす角と、第3光軸と基準面とがなす角とが異なる角度に設定されている点である。その他の構成要素及び作用効果は、上述した第1の実施の形態と同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0060】
図4は、この発明の第2の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した端面図である。なお、この図4は、図1(A)に示すI−I線に沿って切り取った切り口に対応する端面図である。
【0061】
第2の実施の形態による画像取得装置は、上述した第1の実施の形態と同様に、第1受光センサアレイ11、第2受光センサアレイ13、及び第3受光センサアレイ15を具えている。
【0062】
そして、第2の実施の形態では、第2受光センサアレイ13及び基準面19間を結ぶ光軸、すなわち各第2光軸37と基準面19とがなす角50bと、第3受光センサアレイ15及び基準面19間を結ぶ光軸、すなわち各第3光軸39と基準面19とがなす角52bとが、90°以内の異なる角度、すなわちθ1とθ2との狭角にそれぞれ設定されている。なお、図4に示す構成例では、各第2光軸37と基準面19とがなす角50bを、各第3光軸39と基準面19とがなす角52bよりも大きく設定してある。
【0063】
このように、各第2光軸37と基準面19とがなす角50bと、各第3光軸39と基準面19とがなす角52bとを異なる角度とすることによって、第2の実施の形態による画像取得装置では、第1光軸面33a及び第2光軸面37aの離間距離L1と、第1光軸面33a及び第3光軸面39aの離間距離L2との差が、焦点列49から離れるに従って大きくなる。図4に示す構成例では、角50bの角度θ1を角52bの角度θ2よりも大きく設定してあるため、第1光軸面33a及び第3光軸面39aの離間距離L2が、第1光軸面33a及び第2光軸面37aの離間距離L1よりも大きく、これら離間距離L2及び離間距離L1の差は、焦点列49から離れるに従って大きくなる。
【0064】
ここで、図5(A)〜(C)は、第2の実施の形態による画像取得装置を用いて、被検査媒体21から取得した画像を概略的に示す図である。なお、ここでは、上述した第1の実施の形態と同様に、被検査媒体21は、平面形状が四角形である平板状体であり、基準面19に沿って第2受光センサアレイ13の側から、第3受光センサアレイ15の側へ搬送されるものとする。また、各第2光軸37と基準面19とがなす角50b、及び各第3光軸39と基準面19とがなす角52bは、図4に示すように、角50bの角度θ1を角52bの角度θ2よりも大きく設定してある。
【0065】
まず、図5(A)は、被検査媒体21が基準面19に沿って搬送された場合、すなわち焦点列49を通過した場合に取得された画像を示している。
【0066】
被検査媒体21が焦点列49を通過して搬送される場合には、第1〜第3受光センサアレイ11、13、及び15は、各時点における被検査媒体21を、焦点列49において同時に走査する。従って、第1受光センサアレイ11から取得される画像69(図中、実線で囲まれた領域で示す)、第2受光センサアレイ13から取得される画像71(図中、点線で囲まれた領域で示す)、及び第3受光センサアレイ15から取得される画像73(図中、一点破線で囲まれた領域で示す)は、上述した第1の実施の形態と同様に、1つに重なった画像として取得される。
【0067】
次に、図5(B)は、被検査媒体21が基準面19から、この基準面19に対して垂直な方向に沿って上側に外れて搬送された場合、すなわち焦点列49よりも上側を通過した場合に取得された画像を示している。
【0068】
被検査媒体21が焦点列49よりも上側を通過して搬送される場合には、上述した第1の実施の形態と同様に、被検査媒体21は、搬送されるに従って、まず第2光軸面37aと、次いで第1光軸面33aと、最後に第3光軸面39aと、それぞれ交わる。その結果、被検査媒体21は、まず第2受光センサアレイ13によって、次に第1受光センサアレイ11によって、そして、最後に第3受光センサアレイ15によって順次走査される。従って、第2受光センサアレイ13から取得される画像71、第1受光センサアレイ11から取得される画像69、及び第3受光センサアレイ15から取得される画像73は、この順に互いにずれて重なって取得される。
【0069】
さらに、この第2の実施の形態では、既に説明したように、角度θ1を角度θ2よりも大きく設定してあるため、焦点列49よりも上側では、第1光軸面33a及び第2光軸面37aの離間距離L1aが、第1光軸面33a及び第3光軸面39aの離間距離L2aよりも小さくなっている。従って、被検査媒体21のある部分を、第2受光センサアレイ13が走査する時点と、第1受光センサアレイ11が走査する時点との時間差が、第1受光センサアレイ11が走査する時点と、第3受光センサアレイ15が走査する時点との時間差よりも小さくなる。その結果、第2受光センサアレイ13から取得される画像71と、第1受光センサアレイ11から取得される画像69とのずれ幅W1は、第1受光センサアレイ11から取得される画像69と、第3受光センサアレイ15から取得される画像73とのずれ幅W2よりも小さくなる。
【0070】
そして、既に説明したように、離間距離L1aと離間距離L2aとの差は、焦点列49から離れるに従って大きくなるため、被検査媒体21の搬送位置が基準面19から上側に外れるに従って、すなわち焦点列49よりも上側に外れるに従って、ずれ幅W1とW2との差が大きくなる。
【0071】
次に、図5(C)は、被検査媒体21が基準面19から、この基準面19に対して垂直な方向に沿って下側に外れて搬送された場合、すなわち焦点列49よりも下側を通過した場合に取得された画像を示している。
【0072】
被検査媒体21が焦点列49よりも下側を通過して搬送される場合には、上述した第1の実施の形態と同様に、被検査媒体21は、搬送されるに従って、まず第3光軸面39aと、次いで第1光軸面33aと、最後に第2光軸面37aと、それぞれ交わる。その結果、被検査媒体21は、まず第3受光センサアレイ15によって、次に第1受光センサアレイ11によって、そして、最後に第2受光センサアレイ13によって順次走査される。従って、第3受光センサアレイ15から取得される画像73、第1受光センサアレイ11から取得される画像69、及び第2受光センサアレイ13から取得される画像71は、この順に互いにずれて重なって取得される。
【0073】
さらに、この第2の実施の形態では、既に説明したように、角度θ1を角度θ2よりも大きく設定してあるため、焦点列49よりも下側では、第1光軸面33a及び第3光軸面39aの離間距離L2bが、第1光軸面33a及び第2光軸面37aの離間距離L1bよりも大きくなっている。従って、被検査媒体21のある部分を、第3受光センサアレイ15が走査する時点と、第1受光センサアレイ11が走査する時点との時間差が、第1受光センサアレイ11が走査する時点と、第2受光センサアレイ13が走査する時点との時間差よりも大きくなる。その結果、第3受光センサアレイ15から取得される画像73と、第1受光センサアレイ11から取得される画像69とのずれ幅W3は、第1受光センサアレイ11から取得される画像69と、第2受光センサアレイ13から取得される画像71とのずれ幅W4よりも大きくなる。
【0074】
そして、既に説明したように、離間距離L1bと離間距離L2bとの差は、焦点列49から離れるに従って大きくなるため、被検査媒体21の搬送位置が基準面19から下側に外れるに従って、すなわち焦点列49よりも下側に外れるに従って、ずれ幅W3とW4との差が大きくなる。
【0075】
このように、第2の実施の形態による画像取得装置では、上述した第1の実施の形態と同様に、被検査媒体21が焦点列49を通過して搬送された場合、焦点列49よりも上側を通過して搬送された場合、または焦点列49よりも下側を通過して搬送された場合のそれぞれに対応して、異なる画像を取得することができる。
【0076】
さらに、第2の実施の形態による画像取得装置では、第1受光センサアレイ11から取得される画像69と、第2受光センサアレイ13から取得される画像71、及び第3受光センサアレイ15から取得される画像73との、互いのずれ幅W1及びW2、またはW3及びW4の差の大きさから、被検査媒体21の搬送位置が、焦点列49からどの程度上側または下側に外れているかを特定することができる。
【0077】
そこで、第2の実施の形態による画像取得装置を用いて被検査媒体21の例えば真偽判別を行う場合には、予め被検査媒体21が焦点列49を通過して搬送された場合の基準画像、焦点列49よりも上側を通過して搬送された場合の基準画像を、被検査媒体21及び焦点列49間の距離を変化させて複数、また、焦点列49よりも下側を通過して搬送された場合の基準画像を、被検査媒体21及び焦点列49間の距離を変化させて複数、それぞれ用意し、上述したメモリ61(図1(B)参照)に記憶させておく。
【0078】
そして、MPU59(図1(B)参照)によって、取得した画像から、被検査媒体21が焦点列49、焦点列49よりも上側、または焦点列49よりも下側のいずれを通過して搬送されたかを判別する。さらに、同じくMPU59によって、ずれ幅W1及びW2、またはW3及びW4の差の大きさから、被検査媒体21の搬送位置が、焦点列49からどの程度上側または下側に外れているかを特定する。この結果に基づき、MPU59によって、被検査媒体21の搬送経路に対応した基準画像を読み出し、取得した画像と基準画像と比較し、被検査媒体21の例えば真偽等の判別を行う。
【0079】
従って、第2の実施の形態による画像取得装置では、被検査媒体21が基準面19から上下方向に外れて搬送された場合においても、被検査媒体21の搬送経路に応じて、第1の実施の形態と比して、より適当な基準画像と比較することができるため、さらに良好な精度で被検査媒体21の判別を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
11:第1受光センサアレイ
13:第2受光センサアレイ
15:第3受光センサアレイ
17:光源
19:基準面
21:被検査媒体
23、24:第1受光センサ
25:第2受光センサ
27:第3受光センサ
29:基準点
31:法線
33、36:第1光軸
35:基準線
37:第2光軸
39:第3光軸
43:第1焦点
45:第2焦点
47:第3焦点
49:焦点列
57:A/Dコンバータ
59:MPU
61:メモリ
63、65、67、69、71、73:画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な基準面に沿って搬送される被検査媒体の画像を取得するための画像取得装置であって、
前記基準面に想定した基準点における法線上に配置されている第1受光センサアレイと、
前記法線に対して互いに反対側に配置されている第2受光センサアレイ及び第3受光センサアレイと
を具え、
前記第1受光センサアレイ、前記第2受光センサアレイ、及び前記第3受光センサアレイは、それぞれ複数の受光センサが、前記基準面に沿って、かつ被検査媒体の搬送方向と直交する方向に、アレイ状に配列されて構成されており、かつ前記第1〜第3受光センサアレイを構成する各前記複数の受光センサの焦点の列が、直線状に一致して配置されている
ことを特徴とする画像取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像取得装置において、
前記第2受光センサアレイ及び前記基準面を結ぶ光軸と該基準面とがなす角と、前記第3受光センサアレイ及び前記基準面を結ぶ光軸と該基準面とがなす角とが、等しい角度である
ことを特徴とする画像取得装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像取得装置において、
前記第2受光センサアレイ及び前記基準面を結ぶ光軸と該基準面とがなす角と、前記第3受光センサアレイ及び前記基準面を結ぶ光軸と該基準面とがなす角とが、異なる角度である
ことを特徴とする画像取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−170466(P2010−170466A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14259(P2009−14259)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】