説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】再RIPが必要な場合、RIPに要する待ち時間を少なくし、また、無駄なRIPをしないようにする。
【解決手段】ジョブの画像データーに基づいて画像形成を行う画像形成部と、ジョブに関するデーターを保存する記憶部と、ジョブを管理し、画像形成を制御する制御部と、を備え、記制御部は、ラスタイズによって生成した画像データーを再ラスタライズする必要がある場合、印刷中および印刷待ちの予約ジョブの状態に基づいて、再ラスタライズの開始時期を決定するものとし、例えば、印刷中および予約ジョブの印刷要時間が前記再ラスタライズ要時間以下である場合、再ラスタライズするジョブの印刷指示前に再ラスタライズを開始し、印刷中および予約ジョブの印刷要時間が再ラスタライズ要時間より長い場合、再ラスタライズするジョブの印刷指示以降に再ラスタライズを開始する決定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像に関するコマンドデーターをラスタライズした画像データーに基づいて画像形成を行うことができる画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置では、画像データーに基づいて画像形成部で画像を形成し、これを用紙に転写しており、前記画像形成部では、ラスタイメージデーターからなる画像データーが用いられて画像の書き込みがなされる。また、画像データーには、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)などのコマンドによって定義された印刷データーがある。このような印刷データーは、RIP処理(ラスタライズ処理:Raster Image Processing)を施して、ラスタイメージデーターを生成することで、画像形成部での書き込みが可能になる。
ラスタライズ処理は、画像形成装置に内蔵されたプリントコントローラーや、画像形成装置外にあって画像形成装置などとともに画像形成システムを構成しているプリントコントローラーなどによって行われる。なお、プリントコントローラーでは、通常、ラスタライズ処理をしてラスタイメージデーターを生成した際にも、印刷が完了するまでは基となるコマンドデーターを記憶しておく。
【0003】
通常の印刷出力手順では、画像形成装置や画像形成システムに印刷ジョブが投入されると、RIP(Raster Image Processor)の処理によりラスタイメージデーターからなる画像データーが生成される。この画像データーを基に画像形成部は、用紙へ印刷を行なう。このような印刷出力手順では、印刷ジョブの投入から出力までの間、ユーザーは、出力結果のイメージを確認することができない。
そこで、画像形成装置は、画像形成装置に蓄積されたラスタライズ済み画像データーに関わるジョブのプリントを行う場合、チケット編集、すなわち印刷変更をユーザーが行うことが可能になっている。このような印刷変更では、画像形成側で行う処理のみで対応可能なものの他、紙種変更や色味を変更するというように画像形成側で行う処理では対応ができず、再RIPによる画像データーの生成のし直しが必要となる場合がある。
再RIPの際には、例えば画像形成装置でプリントジョブに割り当てられたジョブNo.をプリントコントローラーに通知することで、プリントコントローラーで該当ジョブの再RIPが可能になる。
【0004】
なお、画像形成装置によっては、ジョブは実行可能なものがプリントキューに登録されるため、再RIPを行うジョブでは、再RIP後にはプリントキューの末尾に登録され、出力が後回しにされるという問題がある。このため、出力指示を受けた印刷ジョブは再RIPの要否に係らずプリントキューの末尾に登録する。プリントキューの先頭ジョブが再RIP中の場合は、当該ジョブの再RIPに要する時間と、次ジョブの印刷に要する予測時間とを比較し、予測時間<再RIP時間の場合に次ジョブを先に実行することで、再RIPを要するジョブについても出力指示を出した時点の出力順位を確保することができる画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、プリントデーターの処理においてPDLデーターとイメージデーターが混在した場合、処理に時間のかかるイメージデーターは記憶部に一時的に記憶しておき、RIP処理など、比較的軽い処理で済むPDLデーター等を優先してプリンタ部から出力し、その後に、イメージデーターの処理を行う画像形成装置が提案されている(特許文献2参照)。
上記特許文献1、2では、RIP処理をされた画像データーに関わるジョブを効率よく印刷することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−46864号公報
【特許文献2】特開2000−246977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、再RIPを行う場合、その実行タイミングは以下の2つが考えられる。
・チケット編集完了時
・そのジョブのプリント指示時
チケット編集完了時は、その後で更にチケット編集される場合が想定されるので、そのタイミングで再RIPを開始しても、それが無駄な処理になる可能性がある。また、コントローラーはいつ新しいジョブが入力されるか分からないので、無駄なRIP処理は極力しない方がよい。
プリント指示時にRIPを開始した場合は、RIPに時間がかかった時に、プリント指示後すぐにプリントを開始できないという問題がある。
このため、画像形成装置の稼働状況によっては再RIPを効率よく行うことができないという問題がある。前記した特許文献1、2では、再RIPの開始時期を考慮しておらず、このような課題を解決することはできない。
【0008】
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、再RIPの開始時期を適切にすることで効率的な処理を可能にする画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の画像形成装置のうち、第1の本発明は、
ジョブの画像データーに基づいて画像形成を行う画像形成部と、
前記ジョブに関するデーターを保存する記憶部と、
前記ジョブを管理し、前記画像形成を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ラスタイズによって生成した画像データーを再ラスタライズする必要がある場合、印刷中および印刷待ちの予約ジョブの状態に基づいて、前記再ラスタライズの開始時期を決定することを特徴とする。
【0010】
上記本発明によれば、印刷中および印刷待ちの予約ジョブの状態に基づいて適切に決定することができる。印刷待ちの予約ジョブが他にない場合には、印刷中のジョブの状態に基づいて決定される。
再RIPに関わるジョブの印刷指示後、遅延なくプリント動作を開始するには、プリント開始時に再RIPが完了していればよい。一方、再RIP時は一度RIPしたジョブであるために、RIPに必要な時間が予想できる。
よって、
・画像形成装置に蓄積される時(初回のRIP時)に要したRIP時間(a)
・プリント中のジョブや、その後に予約されているジョブのプリント総所要時間(b)をもって、(a)>(b)であればプリント開始指示より前、すなわちチケット編集完了時に再RIP処理を指示することができる。(a)≦(b)であれば既に実行中・予約済みのジョブがプリントされている間に再RIPを完了することができる可能性があるので、プリント開始指示時またはそれよりも後に再RIPを指示するようにできる。
【0011】
第2の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、画像に関するコマンドデーターをラスタライズして画像データーを生成するラスタライズ処理部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
上記本発明によれば、ラスタライズがラスタライズ処理部で実行される。なお、ラスタライズ処理部は、ソフトプロセッサーやハードプロセッサーによって構成することができ、これらの組み合わせによるものであってもよい。また、ラスタライズ処理部は、画像形成装置外にあるものであってもよく、また、画像形成装置に含まれるものであってもよい。画像形成装置にラスタライズ処理部を含む場合、該ラスタライズ処理部は、制御部とは別に備えるものであってもよく、また、制御部の一部がラスタライズ処理部として機能するものであってもよい。
【0013】
第3の本発明の画像形成装置は、前記第2の本発明において、前記記憶部は、前記コマンドデーターを保存可能であることを特徴とする。
【0014】
上記本発明によれば、記憶部に保存されたコマンドデーターを再RIPに使用することができる。
【0015】
第4の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、画像に関するコマンドデーターをラスタライズして画像データーを生成する外部のラスタライズ処理部と通信可能な通信部を備え、
前記制御部は、前記通信部を通して前記ラスタライズ処理部からラスタライズした画像データーを受信可能であり、さらに前記通信部を通して前記ラスタライズ処理部に再ラスタライズに関する指示を送信可能であることを特徴とする。
【0016】
上記本発明によれば、画像形成装置に接続されたネットワークなどを介して外部のラスタライズ処理部との間でラスタライズした画像データーの受信や再ラスタライズの指示送信などを行うことができる。
【0017】
第5の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第4のいずれかの本発明において、前記制御部は、ラスタライズした前記画像データーに関する印刷設定の変更がされた場合、前記再ラスタライズが必要か否かを判定することを特徴とする。
【0018】
上記本発明によれば、変更された印刷設定項目にしたがって再ラスタライズの要否を判定することができる。再ラスタライズが必要な印刷設定項目は予め記憶部に記憶しておき、印刷設定が変更された際に、記憶部に記憶された印刷設定項目を参照して該当する印刷設定項目かによって上記判定を行うことができる。
【0019】
第6の本発明の画像形成装置は、前記第2または第4の本発明において、前記制御部は、前記ラスタライス処理部に対し、前記再ラスタライズの開始時期に応じた前記再ラスタライズの実行指示を行うことを特徴とする。
【0020】
上記本発明によれば、再ラスタライズの開始時期を決定すると、決定時期に応じて制御部から再ラスタライズ処理部への実行指示がなされる。なお、実行指示の時期は、決定された時期の後でなければいずれの時期であってもよく、決定された時期の前、または決定された時期に合わせて実行指示を行うことができる。
【0021】
第7の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第6のいずれかの本発明において、前記制御部は、前記印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間が前記再ラスタライズに要する時間未満であると判断した場合、再ラスタライズする画像データーに関するジョブの印刷指示前に前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする。
【0022】
上記本発明によれば、印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間<再ラスタライズに要する時間であると、再ラスタライズする画像データーに関するジョブの印刷指示前に再ラスタライズを開始することで、再ラスタライズした画像データーに関わるジョブをできるだけ早く用意することができ、ジョブのプリント実行時の待ち時間を小さくすることができる。
【0023】
第8の本発明の画像形成装置は、前記第7の本発明において、前記制御部は、前記再ラスタライズが必要と判断すると、直ちに前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする。
【0024】
上記本発明によれば、再ラスタライズしたジョブの実行待ちの時間をできるだけ短くすることができる。
【0025】
第9の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第8のいずれかの本発明において、前記制御部は、前記印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間が前記再ラスタライズに要する時間以上であると判断した場合、再ラスタライズする画像データーに関するジョブの印刷指示時または該印刷指示後に前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする。
【0026】
上記本発明によれば、印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間≧再ラスタライズに要する時間であると、再ラスタライズする画像データーに関するジョブの印刷指示後に再ラスタライズを開始することで、印刷中および予約ジョブの印刷中に再ラスタライズを完了することが可能になる。
【0027】
第10の本発明の画像形成装置は、前記第9の本発明において、前記制御部は、前記再ラスタライズに要する時間を予測し、再ラスタライズが印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間までに完了するように前記再ラスタライズの開始時期を決定することを特徴とする
【0028】
上記本発明によれば、再ラスタライズを上記印刷を終了するまでに完了することができ、待ち時間を有することなくジョブの印刷実行を行うことができる。
【0029】
第11の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第10のいずれかの本発明において、前記制御部は、印刷中および予約ジョブがない場合、前記再ラスタライズが必要と判断された時点で前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする。
【0030】
上記本発明によれば、先に印刷するジョブがない場合、再ラスタライズを必要と判断した時点で直ちに再ラスタライズを開始して待ち時間をできるだけ短くすることができる。
【0031】
第12の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第11のいずれかの本発明において、表示および操作が可能な表示操作部を有し、前記制御部は、前記表示操作部を通してジョブにおける印刷設定および印刷設定の変更が可能であることを特徴とする。
【0032】
上記本発明によれば、表示操作部によってジョブの印刷設定の入力操作を行うことができる。
【0033】
第13の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第12のいずれかの本発明において、前記制御部は、コマンドデーターに基づく各ジョブのラスタライズに要し、かつ記憶された処理時間に基づいて、前記コマンドデーターに対する再ラスタライズに要する時間を予測することを特徴とする。
【0034】
上記本発明によれば、ラスタライズした画像データーに関するラスタライズ処理時間を用いて再ラスタライズに要する時間を容易に予測することができる。処理時間は、ラスタライズ処理部に格納されるものであってもよく、また、ジョブに関するデーターを保存する記憶部に格納するものであってもよく、制御部によって参照可能であれば格納場所は特に限定されるものではない。
【0035】
第14の本発明の画像形成方法は、画像に関するコマンドデーターをラスタライズして画像データーを生成するステップと、
ラスタイズした前記画像データーに関する前記コマンドデーターを再ラスタライズする必要があるかを判定するステップと、
前記ステップで前記再ラスタライズが必要であると判定した場合、印刷中および印刷待ちの予約ジョブの状態に基づいて、前記再ラスタライズの開始時期を決定するステップと、を有することを特徴とする。
【0036】
上記本発明によれば、再ラスタライズの開始時期を再ラスタライズする前記画像データーに関するジョブよりも印刷中および印刷待ちの予約ジョブの状態に基づいて適切に決定することができる。
【発明の効果】
【0037】
上記本発明によれば、プリント開始までに再RIPが終了しないと予測された場合は、再RIPが必要と判断された時点で再RIPを指示することで、プリント開始待ち時間を減らすことができ、プリント開始までに再RIPが終了すると予測された場合は、印刷開始指示で再RIPを指示することで、プリント開始までにできるだけRIPが終了しているようにするとともに、無駄なRIP処理を極力減らしてRIP負荷を減らすことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態および他の実施形態の画像形成装置の概略を示す図である。
【図2】同じく、再RIPの開始タイミングを説明する図である。
【図3】同じく、再RIPを行う手順を示すフローチャートである。
【図4】同じく、再RIPを行うタイミングを決定する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明の実施形態を図1に基づいて説明する。
図1(a)に示す実施形態では、画像形成装置1とプリントコントローラー2とが専用線15によって接続されており、プリントコントローラー2には、LAN30が接続されている。LAN30には端末(PC)3などが接続されている。プリントコントローラー2は本発明のラスタライズ処理部に相当する。
画像形成装置1は、画像形成装置1全体を制御する制御部10を有している。該制御部10は、CPUやこれを動作させるプログラムなどによって構成されている。
【0040】
制御部10には、ラスタイメージデーターである画像データーに基づいて画像を用紙上に形成する画像形成部11が制御可能に接続されている。
画像形成部11は、図示しない感光体および各感光体の周線部に配置された帯電器、LDなどからなる書き込み部、現像ユニットを有し、さらに転写部、定着部を有している。帯電器によって帯電した感光体表面は、画像データーに基づいて書き込み部により像露光が行われ、感光体表面には潜像が形成される。該潜像は現像ユニットによって現像がなされてトナー像となる。トナー像は、転写部によって搬送される用紙に転写される。転写された用紙は定着部によって加熱定着される。感光体は、画像の転写後、残留トナーがクリーニング部で除去されて、次の画像の書き込みに備えられる。
【0041】
また、制御部10には、記憶部12が制御可能に接続されている。記憶部12には画像データーやジョブNo.を含めてジョブに関するデーターの記憶が可能である。その他に、画像形成装置1の初期印刷設定情報や、プロセス制御パラメータ等の機械設定情報、ユーザー設定値などが格納されている。
【0042】
さらに制御部10には、表示操作部13が制御可能に接続されている。表示操作部13は、各種情報の表示や操作入力を行うことができる。すなわち、表示操作部13では、制御部10の制御を受けて、画像形成装置1における印刷設定や動作制御条件などの機械設定入力、出力などに関する設定や、各給紙トレイの用紙情報の設定(サイズ、紙種)や、出力モード設定(例えば通常コピーモード、確認コピーモード)の設定などが可能になっている。さらには、表示操作部13は、設定内容の表示、予約JOBや待機JOBのリストなどの所望の情報等の表示が可能になっている。予約JOBや待機JOBのリスト表示では、表示中のJOBを選択して、チケット編集、削除などの指示操作を行うことができる。
本発明としては操作のみを行う操作部と表示が行われる表示部とが別体で構成されて操作表示部が構成されているものでもよく、表示部で一部の操作が可能になっているものであってもよい。表示部としては、CRT、液晶、ELなどのパネル形状のものが挙げられる。操作部としては、表示パネルの釦位置などに対応した座標位置の検出を行うタッチパネル、マウスやタッチペン、タブレットなどが挙げられる。
【0043】
また、制御部10には、通信部14が制御可能に接続されている。通信部14は、プリントコントローラー2に専用線15で接続され、制御部10とプリントコントローラー2との間で通信を可能にする。
【0044】
プリントコントローラー2は、さらにLAN30を通して外部の機器との接続が可能になっており、LAN30に接続された端末(PC)3などと通信可能になっている。
プリントコントローラー2は、LAN30を通して受信したページ記述言語(PDL:Page Description Language)などのコマンドによって定義された印刷データーを受信可能であり、該印刷データーは、プリントコントローラー2に備える記憶部20に格納することができる。印刷データーは、例えば画像形成装置1で出力が完了することによって削除することができる。
【0045】
プリントコントローラー2では、コマンドによって定義された印刷データーにRIP処理(ラスタライズ処理)を施して、ラスタイメージデーターを生成することができる。RIP処理は、コマンドによって定義された印刷データーを受信することで直ちに実行してもよく、また、受信を画像形成装置1の制御部10に通知し、制御部10の指示に従ってRIP処理を開始するものであってもよい。生成されたラスタイメージデーターは、記憶部20に一旦格納した後、専用線15を通して画像形成装置1に送信し、制御部10の制御を受けて印刷設定などを含むジョブデーターとして記憶部12に格納され管理される。既にジョブが格納されている場合、予約ジョブとしてジョブリストに追加されて管理される。なお、この際にRIPに要した時間は、記憶部20に格納しておくことができ、またラスタイメージデーターとともに画像形成装置1に通知して、記憶部12に格納するようにしてもよい。
【0046】
なお、表示操作部13では、前記したようにユーザーによる印刷設定を行うことが可能であり、RIP処理された画像データーに対するチケット編集を行うことができる。
該チケット編集では、色味の変更など、再RIPが必要な場合がある。このような場合には、制御部10では、通信部14、専用線15を通してプリントコントローラー2に対し、適宜のタイミングで再RIPの指示を行うことができる。なお、再RIPが必要か否かは予めチケット編集の内容に応じて決定しておき、記憶部12に読み出し可能に格納しておくことで、チケット編集があった際に再RIPが必要かを判定することができる。
【0047】
再RIPの指示に際しては、制御部10は、ジョブNo.など、ジョブを特定できる情報を合わせてプリントコントローラー2に送信する。ジョブを特定する情報を受けたプリントコントローラー2では、該当するジョブについて、記憶部20に格納されている、コマンドによって定義された印刷データーを読み出して再RIPを行い、一旦記憶部20に格納した後、上記と同様に生成されたラスタイメージデーターを画像形成装置1に送信する。画像形成装置1では、ラスタイメージデーターを受信して、印刷設定などを含むジョブデーターとして記憶部12に再度格納されて管理される。該ジョブに関しては、印刷指示がなされると予約ジョブのリストに追加される。
【0048】
なお、上記実施形態では、ラスタライズ処理部に相当するプリントコントローラー2が画像形成装置1外にあって画像形成装置1に通信可能に接続されているものについて説明したが、プリントコントローラーが画像形成装置の構成に含まれているものであってもよい。該画像形成装置1aを図1(b)に基づいて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を簡略にする。
【0049】
画像形成装置1aでは、上記画像形成装置1と同様に、画像形成装置1a全体を制御する制御部10を有している。
制御部10には、画像形成部11、記憶部12、表示操作部13が制御可能に接続されている。画像形成部11、記憶部12、表示操作部13の構成および機能は前述したとおりである。
なお、この実施形態では、制御部10に内部パス16によってプリントコントローラー17が制御可能に接続されており、プリントコントローラー17には、コマンドによって定義された印刷データーを格納する記憶部18を有している。さらにプリントコントローラー17は、通信部19を有しており、該通信部19にLAN30が接続されている。LAN30には、前記実施形態と同様に端末(PC)3などの外部機器が接続されている。
プリントコントローラー17は、コマンドによって定義された印刷データーにRIP処理(ラスタライズ処理)を施して、ラスタイメージデーターを生成することができ、本発明のラスタライズ処理部に相当する。
【0050】
プリントコントローラー17では、LAN30および通信部19を通してコマンドによって定義された印刷データーを受信すると、受信を画像形成装置1aの制御部10に通知し、制御部10の指示に従ってRIP処理を開始することができる。生成されたラスタイメージデーターは、記憶部18に一旦格納した後、内部パス16を通して制御部10に送信され、制御部10の制御を受けて印刷設定などを含むジョブデーターとして記憶部12に格納され、待機ジョブとして管理される。待機ジョブは、ユーザーによる印刷指示を受けることで予約ジョブとして管理される。なお、RIPに要した時間は、記憶部18に格納しておくことができ、またラスタイメージデーターとともに制御部10に通知して、記憶部12に格納するようにしてもよい。なお、コマンドによって定義された印刷データーの取得手段は上記LAN30に限定されるものではない。
【0051】
この実施形態でも、表示操作部13では、ユーザーによる印刷設定を行うことが可能であり、RIP処理された画像データーに対するチケット編集を行うことができる。
制御部10では、該チケット編集の結果、再RIPが必要な場合、内部パス16を通してプリントコントローラー17に対し、適宜のタイミングで再RIPの指示を行う。なお、再RIPが必要か否かは予めチケット編集の内容に応じて決定しておき、記憶部12に読み出し可能の格納しておくことで、チケット編集があった際に再RIPが必要かを判定することができる。
【0052】
再RIPの指示に際しては、制御部10は、ジョブNo.など、ジョブを特定できる情報を合わせてプリントコントローラー17に送信する。ジョブを特定する情報を受けたプリントコントローラー17では、該当するジョブについて、記憶部18に格納されている、コマンドによって定義された印刷データーを読み出して再RIPを行い、一旦記憶部18に格納した後、上記と同様に生成されたラスタイメージデーターを制御部10に送信する。制御部10では、ラスタイメージデーターを受信して、印刷設定などを含むジョブデーターとして記憶部12に再度格納して管理する。
なお、この実施形態では、コマンドで定義した印刷データーをプリントコントローラー17に備える記憶部18に格納するものとしたが、ジョブデーターなどを格納する記憶部12に格納する構成とすることも可能である。
【0053】
次に、上記各実施形態で、再RIPを行う際のタイミングを図2(a)(b)(c)に基づいて説明する。
再RIPが必要なジョブがAとして、印刷中のジョブと予約ジョブがあるものとする。ジョブAの再RIPに要する時間がaで、印刷中のジョブおよび予約ジョブの印刷に要する時間をbとする。
図2(a)のように、a>bであると、再RIPに要する時間が長いため、ジョブAのプリント開始タイミングでもRIPが完了しておらず、ジョブAのプリント開始指示のときにRIPを開始しても、ジョブAのプリント開始前に待ちが発生する。このため、このような条件(a>b)では、ジョブAのプリント開始指示よりも前、好適にはチケット編集完了時に再RIPの指示を行う。
【0054】
また、図2(b)のように、a≦bであると、再RIPに要する時間が短いため、ジョブAのプリント開始タイミングまでにRIPが完了させることが可能になる。このため、ジョブAのプリント開始指示のときにRIPを開始しても、ジョブAのプリント開始前に待ちが発生しない可能性が大きい。このため、このような条件(a≦b)では、ジョブAのプリント開始指示時に再RIPの指示を行うことができる。
【0055】
また、a≦bの場合、ジョブAのプリント開始指示後でも、条件によってはジョブAのプリント開始前に待ちが発生しない。
すなわち、そのジョブがプリントされると予想される時間からRIPに必要と予想される時間を引いた時間までに再RIPを開始すれば待ち時間が発生しない。
図2(c)では、ジョブAのプリントボタンが押下されたが、その時点ではRIPを開始せず、実行中・予約済みジョブのプリント予想時間(b)から、ジョブAの再RIPに必要な時間(a)を引いた時間から、ジョブAの再RIPをコントローラーに依頼する状態を示すものである。
【0056】
次に、再RIPの指示タイミングを決定する手順を図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の手順は制御部10の制御によって実行される。
RIP処理された画像データーに関するジョブのチケット編集の完了によって手順を開始する。
チケット編集後、ユーザーによる保存釦の押下げを受け(ステップs1)、チケット編集の内容によって再RIPが必要かを判定する(ステップs2)。記憶部12に再RIPが必要なチケット編集の内容を記憶しておき、これを参照することで上記判定を行うことができる。
上記判定において再RIPが不要と判定される場合(ステップs2、不要)、ユーザーによるプリント釦の押下げを受け(ステップs10)、JOB実行順になったらプリント出力を開始し(ステップs8)、処理を終了する。
【0057】
一方、再RIPが必要と判定される場合(ステップs2、必要)、RIP依頼のタイミングを判定する(ステップs3)。
【0058】
該タイミング判定の詳細を図4のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、再RIPに必要な時間を予測する(ステップs30)。
再RIPに必要な時間は、該画像データーに関し、先にRIPされた際の時間を記憶部18または記憶部20もしくは記憶部12で参照することで予測することができる。
次に、実行中および予約ジョブがあるかを判定する(ステップs31)。実行中および予約ジョブがなければ(ステップs31、NO)、再RIPのタイミングを「すぐにRIP依頼」に決定し(ステップs35)、処理を終了する。実行中または予約ジョブがあれば(ステップs31、YES)、実行中および予約ジョブの印刷に必要な時間を予測する(ステップs32)。制御部では、ジョブの印刷設定や印刷枚数などから印刷な必要な時間を算出することができる。例えば印刷設定などに関連付けた時間を記憶部12に読み出し可能に格納しておき、これを制御部で参照する。さらに印刷枚数を乗ずるなどして印刷に必要な時間を予測することができる。
【0059】
次いで、再RIPが必要と判定された画像データーのRIPに必要な時間aと、印刷中および予約ジョブの印刷に必要な時間bとを比較する(ステップs33)。
上記比較の結果、a>bであれば、タイミングを「すぐにRIP依頼」と決定し(ステップs35)、a≦bであれば印刷指示以降、すなわち「後でRIP依頼」と決定し(ステップs34)、処理を終了する。
【0060】
ステップs3で、すぐにRIP依頼と決定されると、プリントコントローラーにRIPの依頼を行う(ステップs5)。ステップs3で印刷指示以降にRIP依頼と判定すると、ユーザーにプリント釦押下げを受けた(ステップs4)後、プリントコントローラーにRIPの依頼を行う(ステップs5)。
プリントコントローラーでRIPが実行されると、再RIPしたラスタイメージデーターが画像形成装置または画像形成装置内の制御部で受信される(ステップs6)。該データーは印刷設定などとともに、記憶部12(例えばHDD)に予約ジョブまたは待機ジョブとして保存される(ステップs7)。その後、ジョブ実行順になったらプリント出力が開始され(ステップs8)、ジョブを終了する。
【0061】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
1a 画像形成装置
2 プリントコントローラー
3 端末(PC)
10 制御部
11 画像形成部
12 記憶部
13 表示操作部
14 通信部
16 内部パス
17 プリントコントローラー
18 記憶部
19 通信部
20 記憶部
30 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの画像データーに基づいて画像形成を行う画像形成部と、
前記ジョブに関するデーターを保存する記憶部と、
前記ジョブを管理し、前記画像形成を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、ラスタイズによって生成した画像データーを再ラスタライズする必要がある場合、印刷中および印刷待ちの予約ジョブの状態に基づいて、前記再ラスタライズの開始時期を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像に関するコマンドデーターをラスタライズして画像データーを生成するラスタライズ処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記コマンドデーターを保存可能であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像に関するコマンドデーターをラスタライズして画像データーを生成する外部のラスタライズ処理部と通信可能な通信部を備え、
前記制御部は、前記通信部を通して前記ラスタライズ処理部からラスタライズした画像データーを受信可能であり、さらに前記通信部を通して前記ラスタライズ処理部に再ラスタライズに関する指示を送信可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、ラスタライズした前記画像データーに関する印刷設定の変更がされた場合、前記再ラスタライズが必要か否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ラスタライズ処理部に対し、前記再ラスタライズの開始時期に応じた前記再ラスタライズの実行指示を行うことを特徴とする請求項2または4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間が前記再ラスタライズに要する時間未満であると判断した場合、再ラスタライズする画像データーに関するジョブの印刷指示前に前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記再ラスタライズが必要と判断すると、直ちに前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間が前記再ラスタライズに要する時間以上であると判断した場合、再ラスタライズする画像データーに関するジョブの印刷指示時または該印刷指示後に前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記再ラスタライズに要する時間を予測し、再ラスタライズが前記印刷中および予約ジョブの印刷に要する時間までに完了するように前記再ラスタライズの開始時期を決定することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記印刷中および予約ジョブがない場合、前記再ラスタライズが必要と判断された時点で前記再ラスタライズを開始する、決定を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
表示および操作が可能な表示操作部を有し、
前記制御部は、前記表示操作部を通してジョブにおける印刷設定および印刷設定の変更が可能であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、コマンドデーターに基づく各ジョブのラスタライズに要し、かつ記憶された処理時間に基づいて、前記コマンドデーターに対する再ラスタライズに要する時間を予測することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
画像に関するコマンドデーターをラスタライズして画像データーを生成するステップと、
ラスタイズした前記画像データーに関する前記コマンドデーターを再ラスタライズする必要があるかを判定するステップと、
前記ステップで前記再ラスタライズが必要であると判定した場合、印刷中および印刷待ちの予約ジョブの状態に基づいて、前記再ラスタライズの開始時期を決定するステップと、を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−111906(P2013−111906A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261769(P2011−261769)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】