説明

画像形成装置

【課題】シートがカールしている場合でも、積載性を確保することができると共に、排出空間を有効に活用することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】排出トレイ50の、排出トレイ50に排出されたシートの重心よりもシート排出方向下流に、シートを支持するシート排出方向と交差する方向に伸びた頂部50aを設け、画像読取装置60により、排出トレイ50の頂部50aよりもシート排出方向下流で、排出トレイ50に積載されたシートのシート排出方向下流端よりもシート排出方向上流部分を下方に押圧し、シートのシート排出方向下流部分を、フラグ25によりシートのシート排出方向上流端部を押さえながら排出トレイ50の頂部50aを支点として撓ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体と画像読取装置との間に、画像が形成されたシートを排出するようにした画像形成装置に関し、特に排出されたシートの積載の乱れを防止するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の一例として、ベースとなるFAX、プリンタ等の機能の他、他の機能、例えば複写機能を追加する目的で、画像形成装置本体の上方に画像読取装置を追加配置するようにしたものがある。そして、このような画像読取装置の場合、装置が大型化することから、画像読取装置と画像形成装置本体との間に空間を設け、この空間内にシートを排紙することにより、省スペースを図るようにしたものがある。
【0003】
ここで、このような構成の胴内排紙型の画像形成装置においては、画像形成の際には、まずシートを画像形成部に給送してトナー像をシート上に形成し、この後、定着部によりトナー像をシート上に定着させる。次に、トナー像が定着されたシートを画像読取装置と画像形成装置本体との間の空間に設けられた排紙トレイ上に排出積載するようにしている。
【0004】
ところで、定着部において加熱されたシートは、条件によっては大きく反る、すなわちカールする場合がある。そして、このようにカールした状態で排紙トレイ上に積載されると、シートが排出口を塞いでしまう場合があり、この場合、積載されたシートは、次に排出されたシートにより押し出され、整列性が損なわれたり、排出トレイより落下したりすることがある。
【0005】
なお、シートのカールの大きさや方向は、シートの種類や坪量(単位堆積あたりの重量)、すき目方向、環境温度、シートに画像形成するトナー像のトナー量、定着温度等により異なる。このようなカールとしては、例えばシートのシート搬送方向と平行な両端部が上側に湾曲する凹状カールがある。
【0006】
近年、机の上に載置した状態で使用するディスクトップタイプの画像形成装置の需要が高まっている。ここで、このようなディスクトップタイプの画像形成装置は、高さを抑える必要があるため、画像形成装置本体の高さや、画像読取装置自体の厚みに加えて、排出トレイと画像読取装置との間の排出スペースの上下方向の高さを低くする必要がある。しかし、このように排出スペースの高さを低くしていくと、排出されるシートは、排出時、画像読取装置底面に接触しながら排出されるようになる。そこで、従来は、シートの排出搬送性を確保するため、排出トレイと画像読取装置底面が対向するように構成している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−3649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような従来の画像形成装置において、シートがカールしている場合、排出スペースの高さが低い場合、積載枚数が減少する。特に、凹状にカールしたシートの場合、シートの腰により、図7に示すようにシートSは排出トレイ150の傾斜に沿って順次直線的に排出トレイ上に積載される。
【0009】
そして、このように直線的に排出トレイ上に順次積載されると、やがて排出されるシートの先端が排出トレイ150の上方に位置する画像読取装置60の底面に当接する。この場合、画像読取装置60と排出トレイ150との間には、多数のシ―トが積載可能な排出空間が形成されているにもかかわらず、それ以降に排出される後続シートは、画像読取装置60と排出トレイ150との間で詰まってしまう。この結果、後続シートが排出口28を塞いでしまい、結果として積載されたシートの積載性が低下し、落下してしまうことがあった。このように、従来の画像形成装置においては、シートがカールしている場合、シートの積載性が低下すると共に、排出空間を有効に活用することができないという問題があった。
【0010】
そこで、本願発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートがカールしている場合でも、積載性を確保することができると共に、排出空間を有効に活用することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、画像形成装置本体と前記画像形成装置本体の上方に配置された画像読取装置との間に設けられた排出空間に画像が形成されたシートを順次、排出する画像形成装置において、前記画像形成装置本体の上面に設けられ、凸形状のシート積載面を有し、前記シート積載面は、前記凸形状の頂部よりもシート排出方向上流部が低くなるように傾斜している排出トレイと、前記排出トレイに排出されたシートのシート排出方向上流端部を上方より押さえる上下方向に移動自在なシート押さえ部材と、を備え、前記シート積載面の頂部は、前記排出トレイに排出されたシートの重心よりもシート排出方向下流に配設されてシート排出方向と交差する方向に伸び、前記シート押さえ部材が前記排出トレイに排出されたシートのシート排出方向上流端部を押さえながら、前記画像読取装置との当接によってシートのシート排出方向下流端部を、前記シート積載面の頂部を支点として撓ませることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、画像読取装置と、シート押さえ部材とによってシートを排出トレイの頂部を支点として撓ませてカールを低減することにより、シートがカールしている場合でも、積載性を確保することができると共に、排出空間を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】上記画像形成装置の、凹状にカールしたシートの積載状態を示す図。
【図3】上記画像形成装置の排出空間Pの構成を説明する図。
【図4】上記画像形成装置のシート排出時のシートの挙動を説明する図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の排出空間の構成を説明する図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の排出空間の構成を説明する図。
【図7】従来の画像形成装置におけるカールしたシートの積載状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、100は画像形成装置、101は画像形成装置本体であり、この画像形成装置本体(以下、装置本体という)101の上方には原稿画像を読み取る画像読取装置60が配置されている。なお、この画像形成装置100は、装置本体101に形成された排出空間Pに画像形成されたシートSを排出する胴内排紙型のものである。
【0015】
装置本体101の上部にはレーザスキャナ26が配置され、このレーザスキャナ26の下方には画像形成部100Aが配置されている。なお、この画像形成部100Aは電子写真方式により画像を形成するものであり、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各色トナー像を形成する4個のプロセスカートリッジ3(3Y,3M,3C,3K)が水平方向に配置されている。
【0016】
ここで、各プロセスカートリッジ3は、トナーの色が異なるのみで構成は同一であり、感光体ドラム1(1Y,1M,1C,1K)を備えている。また、各プロセスカートリッジ3は、感光体ドラム1の周囲に、感光体ドラム1に作用するプロセス手段として、感光体ドラム1を帯電する帯電器5、現像器2(2Y,2M,2C,2K)、クリーニング器4が配置されている。なお、帯電器5は帯電ローラであり、クリーニング器4はクリーニングブレードであって転写後に感光体ドラム1に残留するトナーを徐去する。
【0017】
また、プロセスカートリッジ3の下方には、中間転写ベルトユニット30が配置されている。ここで、中間転写ベルトユニット30は、誘電体製で、可撓性を有するエンドレスベルト(中間転写体)である中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31を循環移動させる駆動ローラ32と、テンションローラ33とを有している。この中間転写ベルト31は、各感光体ドラム1に当接しており、また中間転写ベルト31の内側には、4個の一次転写ローラ34が中間転写ベルト31を介して感光体ドラム1と対向して配設されている。そして、この一次転写ローラ34により、後述するように各感光体ドラム1に形成されたトナー像が中間転写ベルト31に重ね合わせて転写されることで中間転写ベルト上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0018】
また、装置本体101の下部には、シートカセット21に収容されたシートSを給送する給送ローラ22a及び給送ローラ22aと当接してシートSを分離する分離ローラ22bを備えたシート給送部20が配置されている。そして、このシート給送部20において、シートカセット21に収容されたシートSが給送ローラ22aにより、トナー画像の形成と同期するように二次転写ローラ23と中間転写ベルト31とのニップ部である二次転写部に給送される。なお、装置本体内の上部には、定着装置40と、排出ローラ対24とが配置されている。また、排出空間Pの底面を構成する装置本体101の上面には排出トレイ50が設けられている。
【0019】
次に、このような構成の画像形成装置100の画像形成動作について説明する。まず、装置本体101に接続された不図示のコンピュータ若しくはLAN等のネットワークから画像情報が送られてくると、或は画像読取装置60から読み取った画像情報が送られてくると、画像情報に応じてレーザスキャナ26はレーザ光27を発光する。そして、このレーザ光27により、帯電器5によって表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラム1の表面を露光する。
【0020】
これにより、感光ドラム表面の露光部分は電荷が除去され、静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、現像器2によってトナーが付着されてトナー像として現像される。なお、第1のカートリッジ3Yは、現像器(現像剤収容部)内にイエローのトナーを収容しており、感光体ドラム1Yにイエロートナー像を形成する。同様に、第2のカートリッジ3Mはマゼンタのトナーを収容しており、感光体ドラム1Mにマゼンタトナー像を形成する。第3のカートリッジ3Cはシアンのトナーを収容しており、感光体ドラム1Cにシアントナー像を形成する。第4のカートリッジ3Kはブラックのトナーを収容しており、感光体ドラム1Kにブラックトナー像を形成する。
【0021】
次に、一次転写ローラ34により所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト31上に感光体ドラム上のトナー像が転写される。なお、各プロセスカートリッジ3による画像形成は、中間転写ベルト上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。この結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト31上に形成される。なお、感光体ドラム1上に僅かに残った転写残トナーはクリーニング器4により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0022】
このような画像形成と同期して、シートカセット21から給送ローラ22a及び分離ローラ22bによってシートSが1枚ずつ二次転写ローラ23と中間転写ベルト31とのニップ部である二次転写部に搬送される。そして、二次転写ローラ23へのバイアス印加によって、中間転写ベルト31上のトナー像がシートSに転写される。さらにトナー像が転写されたシートSは、定着装置40に搬送され、定着装置40によって、加熱、加圧されてトナー像が定着される。
【0023】
この後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ対24によって排出口28から排出トレイ50へ排出される。なお、この排出トレイ50のシート積載面は凸形状を有し、凸形状の頂部よりもシート排出方向上流部が低くなるように傾斜している。これにより、排出されたシートSは、自重により、傾斜した排出トレイ50のシート積載面に沿ってシート排出方向上流に移動し、排出トレイ50のシート排出方向上流端に設けられた当接部50cに当接して停止する。
【0024】
排出口28には、不図示のバネによって時計回りに付勢されている回動自在(移動自在)なシート押さえ部材であるフラグ25が設けられている。そして、このフラグ25によって排出後のシートのシート排出方向上流端部であるシートの後端部を押さえて、シート後端の浮き上がりを抑えることにより、積載されたシートにより排出口28が塞がれるのを防いでいる。ここで、このフラグ25の先端は、シートが排出される前は排出口28よりも下方に位置し、シートが排出される際、シートに押されて上方回動し、シートが排出されると下方回動して積載されたシートの最上位のシートの後端部の浮き上がりを規制する位置に戻る。
【0025】
なお、カールした状態のシートが多数枚、排出トレイ50に排出されてシートが重なった場合、多数枚のシートの浮き上がりを同時に規制しようとしても、フラグ25は浮き上がりを規制できない。このため、本実施の形態においては、フラグ25の、シートが排出される前の下方回動位置を、カールした状態の複数枚(2〜3枚)のシートの後端部の浮き上がりを規制することができる位置に設定している。
【0026】
このように排出トレイ50に排出されたシートSは、取り出し口59から取り出される。また、本実施の形態において、画像読取装置60は、ヒンジ70によって装置本体101に開閉可能に取り付けられている。そして、排出されたシートがはがき等の取り出し口59からの視認が困難な小サイズのシートの場合には、画像読取装置60を上方に回動させ、シートを取り出すようにする。
【0027】
ところで、排出トレイ50はシート排出方向と交差する幅方向に伸びた頂部50aを有しており、この頂部50aは、排出トレイ50に排出積載されたシートを支持する。なお、この頂部50aは、排出された後、当接部50cに当接した時のシートSの重心位置よりも、シート排出方向下流となる位置に形成されている。
【0028】
そして、このような位置に頂部50aを形成することにより、シートSの後端側がシート積載面に向かう頂部50a周りのモーメントが発生し、フラグ25によるシート後端の浮き防止が容易になる。また、このような位置に幅方向に伸びた頂部50aを設けることにより、排出されたシートのシート排出方向下流端部である先端部を、頂部50aを支点(境)として下方に撓ませることができる。これにより、シートが凹状にカールしたシートの場合も、シートの先端部を下方に撓ませることができる。
【0029】
図2は、凹状のカールが大きくないシートの積載状態を示す図である。なお、図2の(a)は、排出トレイ50の頂部50aを支点としてシート先端部を下方に撓ませた状態を示す斜視図、図2の(b)は、その側面図である。そして、図2に示すように、カールが大きくないシートSは、排出トレイ50に排出されると、フラグ25により後端部が押さえられる。これにより、シートSは、自重により頂部50aを境にして撓むようになり、このようにシートSが撓むと、少なくとも頂部近傍部分のカールが抑制される。
【0030】
なお、このようにシートの自重によって撓む効果は、シートを撓ませるモーメントが大きいシート長さの2分の1の位置で、もっとも大きくなる。そこで、本実施の形態においては、シートを支持する頂部50aは、後端の浮きの軽減と、折り曲げ効果によるカール低減の2つを考慮してシート長さ2分の1となる位置よりも下流となる当接部50cから距離L1の位置に設定している。
【0031】
ところで、シートは、カールが小さい場合には自重によって下方に撓みながら積載されるが、カールが大きい場合には、下方へはほとんど撓むことなく積載されてしまう。そこで、本実施の形態においては、カールが大きいシートの場合には、シートを1枚ずつ確実に下方へ撓ませ、カールを低減して積載することができるように、排出トレイ50と、画像読取装置60を構成している。
【0032】
即ち、本実施の形態において、図2に示すように、画像読取装置60は、底面61のシート排出方向下流端である先端61a(以下、底面先端という)が、シート先端位置よりもシート排出方向上流に位置するようなシート排出方向の長さを有している。なお、本実施の形態においては、画像読取装置60のシート排出方向の長さを、少なくとも画像が形成される最大サイズのシートのシート排出方向の長さよりも短くしている。これにより、底面先端61aがシート先端位置よりもシート排出方向上流に位置するようになる。
【0033】
ここで、図3において、排出トレイ50の頂部50aを通り、排出トレイ50の頂部50aよりもシート排出方向上流の、シートSと接する位置50bとを結ぶ直線(接線)を第1直線51と定義する。この第1直線51と平行で、フラグ25が最も下方に位置するときのフラグ先端の高さ位置を通過する直線を第2直線52と定義する。そして、この第2直線52と、画像読取装置60の底面61は、頂部50aよりもシート排出方向下流で、かつ底面先端61aよりもシート排出方向上流で交わっている。
【0034】
次に、このような構成の画像形成装置100における積載時のシートの挙動について用いて説明する。
【0035】
凹状にカールした1枚目のシートが排出されると、シートは図3に示す排出トレイ50に沿って排出され、やがて先端が画像読取装置60の底面61(以下、装置底面という)に当接する。ここで、シートのカール量が多くない場合、すなわちシートの腰がそれほど強くない場合、このように先端が装置底面61に当接すると、シートのカールが低減し、これに伴って腰が弱くなることによりシート先端部が下方に撓む。この後、シート後端が排出ローラ対24を通過すると、シート後端部がフラグ25の先端によって押し下げられると共に、シートは排出トレイ上に積載され、シートのシート排出方向中央部は、排出トレイ50の頂部50aによって支持される。
【0036】
このように、排出される際、シートには、図4の(a)に示すように装置底面61、排出トレイ50の頂部50a及びフラグ25の3点で、シートを排出トレイ50に沿わせる方向である矢印16の方向に力が加わる。そして、このように3点で力が加わると、シートのカールが小さい場合、1枚目のシートS1が頂部50aを境として先端部分を下方に撓ませながら積載される。
【0037】
ここで、先端部分が下方に撓むと、頂部50a付近のカールが解消される。また、このように頂部50a付近でのカールが解消されると、この影響により、シート先端部においてもカール量が低減される。そして、このように頂部50a付近のカールが解消されると共に、シート先端部及び後端部のカール量が低減されることにより、積載性を確保することができると共に、積載量が増加し、排出空間を有効に活用することができる。
【0038】
一方、シートのカールが大きい場合、1枚目のシートS1が排出されると、シートS1は排出トレイ50に沿って排出され、やがて先端が装置底面61に当接し、これによりシートS1は下方に押圧される。ここで、カールが大きいシートS1は、腰が強いため、このように装置底面61により押圧されても下方に撓むことない。しかし、この後、さらにシートが排出されると、シートS1の先端が底面先端61aを通過し、シートの先端よりもシート排出方向上流部分が底面先端61aに当接する。これにより、シート排出方向上流部分が下方に押圧され、シートS1のシート排出方向下流部分が撓むようになる。
【0039】
この後、シート後端が排出ローラ対24を通過すると、シート後端部がフラグ25の先端によって押し下げられると共に、シートS1は排出トレイ上に積載され、シートS1のシート排出方向中央部は、排出トレイ50の頂部50aによって支持される。これにより、シート排出方向下流部分である先端部が撓んだ状態のシートS1は、第1直線51に倣う状態で、かつ頂部50a近傍部分及び底面先端61aとの当接部分でのカールを低減させながら排出トレイ50上に載置される。
【0040】
次に、このような状態で1枚目のシートS1が排出トレイ50上に載置された後、排出口28から後続シートである2枚目のシートS2が排出トレイ50上のシートS1に沿って排出される。そして、2枚目のシートS2が排出される際、2枚目のシートS2の先端の幅方向両端の上端は、途中、図4の(c)に示すように、装置底面61に当接し、下方に押圧される。ここで、このように装置底面61に当接した際、シートS2は、腰が強いため下方に撓むことはないが、カールが低減する。また、2枚目のシートS2により、2枚目のシートS2に接している1枚目のシートS1に、1枚目のシートS1を押し下げる力が加わる。そして、この力は、1枚目のシートS1の頂部50aに支持されている部分に作用し、これにより1枚目のシートS1の頂部50a近傍部分でのカールが、より低減される。
【0041】
この後、2枚目のシートS2の先端部が底面先端61aに当接すると、先端部が押し下げられると共に、2枚目のシートS2により加わる、図4の(d)の矢印16に示す1枚目のシートS1を押し下げる力が大きくなる。また、このとき1枚目のシートS1の先端は装置底面61から離間しているので、シートが装置底面61に当接している場合に比べて、力が加わると撓みやすい。この結果、1枚目のシートS1の頂部50a近傍部分でのカールが、さらに低減されるようになって1枚目のシートS1の腰が弱くなり、1枚目のシートS1が頂部50aを境にして先端部分が下方に撓むようになる。
【0042】
そして、この後、順次シートが排出されると、既述したように、それまでに排出されたシートの頂部50a付近のカールが低減され、カールの低減量は下方に位置するシートほど増加する。また、順次シートが排出されると、シートを撓ませる境となる、頂部50aの上方に位置する支持点50a’、すなわち積載されているシートによる支持点50a’は上方に移動し、図4の(e)の状態となる。
【0043】
ここで、図4の(e)において、第1直線51と平行で、底面先端61aを通る直線を第3直線53と定義する。そして、上方に移動した支持点50a’が第3直線53上まで移動すると、それまではシートが、先端が装置底面61に当接することなく排出される場合もあったが、以後、排出されるシートは、シート先端が、必ず装置底面61に当接するようになる。そして、このようにシート先端が装置底面61に当接すると、この後、シートは、カールを解消しながら装置底面61に沿って移動し、やがて支持点50a’を境にしてシートの先端部分を下方に撓ませながら積載されるようになる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態では、画像読取装置60と、フラグ25とによってシートを排出トレイ50の頂部50aを支点として撓ませることにより、シートのカールを低減させるようにしている。これにより、シートがカールしている場合でも、積載性を確保することができると共に、排出空間Pを有効に活用することができる。この結果、画像読取装置60の設置高さを低くすることができ、積載することが可能な積載枚数を少なくすることなく、画像形成装置本体101の小型化が可能になる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は本実施の形態に係る画像形成装置の排出空間の構成を説明する図である。なお、図5において、既述した図3と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0046】
図5において、62は、装置底面61のシート排出方向下流端部である先端部に形成され、第2直線52よりも画像読取装置側に位置する上方に傾斜した傾斜面である。そして、このような傾斜した底面を構成する傾斜面62を設けることにより、排出空間Pに排出されるシートがカールしていない場合には、シートを装置底面61に当接させることなく排出トレイ上に排出積載することができる。
【0047】
また、この傾斜面62には、突出部材である回動部材63が回動自在に取り付けられており、この回動部材63は、シート幅全域もしくは、シート幅端部を押さえることが可能な幅を有している。また、この回動部材63は、画像読取装置60に一端を固定されたねじりコイルバネ64によって時計回りの方向に付勢されている。
【0048】
そして、この回動部材63は、シートがカールしない条件で使用する場合には、画像読取装置60に回動可能に取り付けられたロック部材65により、破線で示す画像読取装置内に収納された位置に保持される。そして、このようにシートがカールしない場合には、回動部材63を画像読取装置内に収納することにより、取り出し口59の上下方向のスペースを広くすることができ、シートの視認性を向上させることができる。
【0049】
また、シートがカールする条件で使用する場合には、ロック部材65を回動させてロックを解除することで、回動部材63の先端を、第2直線52よりも排出トレイ側の符号63bで示す位置に突出させることができる。そして、このように回動部材63の先端を、第2直線52よりも排出トレイ側の位置63aに移動させることにより、既述した第1の実施の形態と同様に、シートのシート排出方向下流部分を下方に押圧することができる。これにより、カールを低減しながらシートを排出トレイ上に排出積載することができる。
【0050】
このように、本実施の形態においては、装置底面61の先端部に、回動部材63を取り付け、シートがカールしない場合には、回動部材63を画像読取装置内に収納することにより、シートの視認性を向上させることができる。また、シートがカールする条件で使用する場合には、回動部材63を突出させることにより、カールを低減しながらシートを排出トレイ上に排出積載することができる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は本実施の形態に係る画像形成装置の排出空間の構成を説明する図である。なお、図6において、既述した図3と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0052】
図6において、55は排出トレイ50の頂部50a近傍に突出自在に取り付けられた突出部材である回動部材であり、この回動部材55は、シート幅全域もしくはシート幅中央を支持することが可能な幅を有している。また、この回動部材55は、排出トレイ50に一端を固定されたねじりコイルバネ57によって頂部50a近傍から突出可能に付勢されている。
【0053】
そして、シートがカールしない条件で使用する場合には、回動部材55は、排出トレイ50に回動可能に取り付けられたロック部材58により、破線で示す排出トレイ内に収納された位置55aに保持される。そして、このようにシートがカールしない場合には、回動部材55を排出トレイ内に収納することにより、取り出し口59の上下方向のスペースを広くすることができ、シートの視認性を向上させることができる。
【0054】
また、シートがカールする条件で使用する場合には、ロック部材58を回動させ、ロックを解除することで、回動部材55の先端55cを、第2直線52よりも画像読取装置側のシートを支持する位置55bに突出させることができる。ここで、突出した回動部材55の先端55cを通り、排出トレイ50の上流位置50bで接する直線を第4直線56bと定義する。また、この第4直線56bと平行でフラグ25のもっとも下に位置する位置を通過する直線を第5直線57bと定義する。
【0055】
そして、この第5直線57bと、装置底面61は、頂部50aよりもシート排出方向下流で、かつ底面先端61aよりもシート排出方向上流で交わっている。これにより、既述した第1の実施の形態と同様に、カールを低減しながらシートを排出トレイ上に排出積載することができる。
【0056】
このように、本実施の形態においては、排出トレイ50に、回動部材55を取り付け、シートがカールしない場合には、回動部材55を排出トレイ内に収納することにより、シートの視認性を向上させることができる。また、シートがカールする条件で使用する場合には、回動部材55を頂部50aよりも上方に突出させ、シートを支持する頂部を構成することにより、カールを低減しながらシートを排出トレイ上に排出積載することができる。
【符号の説明】
【0057】
25…フラグ、28…排出口、50…排出トレイ、50a…頂部、55…回動部材、60…画像読取装置、61a…画像読取装置の底面の先端、62…傾斜面、63…回動部材、100…画像形成装置、101…画像形成装置本体、P…排出空間、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と前記画像形成装置本体の上方に配置された画像読取装置との間に設けられた排出空間に画像が形成されたシートを順次、排出する画像形成装置において、
前記画像形成装置本体の上面に設けられ、凸形状のシート積載面を有し、前記シート積載面は、前記凸形状の頂部よりもシート排出方向上流部が低くなるように傾斜している排出トレイと、
前記排出トレイに排出されたシートのシート排出方向上流端部を上方より押さえる上下方向に移動自在なシート押さえ部材と、を備え、
前記シート積載面の頂部は、前記排出トレイに排出されたシートの重心よりもシート排出方向下流に配設されてシート排出方向と交差する方向に伸び、前記シート押さえ部材が前記排出トレイに排出されたシートのシート排出方向上流端部を押さえながら、前記画像読取装置との当接によってシートのシート排出方向下流端部を、前記シート積載面の頂部を支点として撓ませることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排出トレイに積載されたシートを、前記画像読取装置との当接により下方に撓まされた後続シートのシート排出方向下流部の押圧により撓ませることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像読取装置のシート排出方向下流端部により、前記排出トレイに積載されたシートのシート排出方向下流部を下方に押圧することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像読取装置の底面のシート排出方向下流端部をシート排出方向で上方に傾斜させると共に、前記上方に傾斜した底面にシート排出方向と交差する方向に伸びた突出部材を排出トレイ側に向かって突出可能に設け、
前記突出部材は、前記排出トレイに積載されたシートのシート排出方向下流端部を下方に押圧する際、突出することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排出トレイに画像読取装置に向かって突出して前記頂部を構成する突出部材を突出可能に設け、
前記突出部材は、前記画像読取装置との当接によって前記排出トレイに積載されたシートのシート排出方向下流部を下方に撓ませる際に、突出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像読取装置のシート排出方向の長さを、画像が形成される最大サイズのシートのシート排出方向の長さよりも短くしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−184199(P2011−184199A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25188(P2011−25188)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】