説明

画像形成装置

【課題】媒体を回収しにきたユーザが到着したタイミングで、最後の媒体を排出する。
【解決手段】画像形成装置3は、外部装置2から印刷ジョブが入力された時からの経過した時間を計測する時間計測部23と、印刷ジョブを解析して、当該印刷ジョブを実行したときに実行開始から最後の媒体の排出完了までにかかる印刷時間を推定する印刷時間推定部24と、印刷ジョブに対して与えられた印刷猶予時間から、推定された推定印刷時間を減算して待機時間を算出する待機時間算出部25と、印刷ジョブを実行させる印刷ジョブ発行部26とを備え、印刷ジョブが入力された時から待機時間が経過したときに、その印刷ジョブを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、ユーザのニーズに応じた時間に印刷を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザのスケジュールを管理するスケジュール管理手段を備え、予め登録されたユーザの空き時間(ユーザが印刷物を回収することができる時間)のスケジュールと、すでに決定している印刷実行予定時間とを比較し、ユーザの空き時間に印刷することができる画像形成装置があった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−88641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置は、印刷時間が予め登録されたユーザの空き時間に限定されるため、印刷物がすぐに必要である場合であっても、ユーザは、次の空き時間の時刻になるまで印刷することができなかった。
また、従来の画像形成装置は、ユーザの空き時間のどの時点において印刷が完了するのかをユーザが知ることができないため、ユーザが画像形成装置の設置場所に到着したときに、まだ印刷中で自分の印刷物の印刷が完了するまで待機させられることがある。また、早々にユーザの印刷物が排紙トレイに排出されるときもあり、その後で他人の印刷物が印刷されたことにより、ユーザが画像形成装置に到着したときには、自分の印刷物の上に他人の印刷物が積載された状態であり、画像形成装置の排紙トレイから自分の印刷物(媒体)を探し出す作業を行う必要があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、媒体を回収しにきたユーザが到着したタイミングで、最後の媒体を排出する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、外部装置から入力される印刷ジョブを実行して、媒体に画像を形成して排出する画像形成装置において、前記印刷ジョブが入力された時からの経過した時間を計測する時間計測部と、前記印刷ジョブを解析し、当該印刷ジョブを実行し始めてから、最後の前記媒体が排出されて当該印刷ジョブが完了するまでにかかる印刷時間を推定する印刷時間推定部と、前記印刷ジョブに対して与えられた印刷猶予時間から、前記推定された推定印刷時間を減算して待機時間を算出する待機時間算出部と、前記印刷ジョブを実行させる印刷ジョブ発行部とを備え、前記印刷ジョブが入力された時から前記待機時間が経過したときに、その印刷ジョブを実行する。
【0007】
かかる構成において、画像形成装置は、ユーザが外部装置にて印刷要求をしてから、印刷猶予時間後に最終の媒体を排出することができる。
この印刷猶予時間を、ユーザが外部装置から画像形成装置までの移動などにかかる時間に設定することで、ユーザが画像形成装置に到着したタイミングで印刷物すべてを回収することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷物を回収しにきたユーザが到着したタイミングで、媒体の最後のページを排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置を含む画像形成システムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図3】印刷ジョブを画像処理部に出力するタイミングを示す図である。
【図4】第1〜3の実施形態における印刷時間管理処理動作のフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における受信データ解析処理動作のフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における待機時間推定処理動作のフローチャートである。
【図7】第1〜3の実施形態における時間計測処理動作のフローチャートである。
【図8】第2の実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図9】印刷ジョブを画像処理部に出力するタイミングを示す図である。
【図10】第2の実施形態における回収完了通知処理動作のフローチャートである。
【図11】第2〜3の実施形態における受信データ解析処理動作のフローチャートである。
【図12】第2〜3の実施形態における待機時間推定処理動作のフローチャートである。
【図13】第2の実施形態における印刷完了入力要求処理動作のフローチャートである。
【図14】第3の実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図15】第3の実施形態における回収完了通知処理動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明について概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
《第1の実施形態》
[画像形成システム1の構成]
図1に示すように、画像形成システム1は、外部装置であるクライアント装置2(2a,2b,・・・)と、画像形成装置3と、クライアント装置2と画像形成装置3とを通信可能に接続するネットワーク網NWとを備える。
【0012】
この画像形成システム1は、ユーザ6がクライアント装置2(2a)を操作して、画像形成装置3に印刷指示をした後、ユーザ6が媒体である印刷物を回収しに画像形成装置3に移動する。ユーザ6が画像形成装置3の設置場所に到着したとほぼ同時に、画像形成装置3から印刷物の最後のページ(最終ページ)が排出されるように構成されている。
【0013】
ネットワーク網NWは、例えば、有線LAN(Local Area Network)などを介して、インターネットプロトコル(Internet Protocol)技術を利用して相互接続されるコンピュータネットワークである。また、第1の実施形態では、有線LAN以外にも、無線LAN、ZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワークであってもよい。
【0014】
クライアント装置2は、印刷ジョブを送信する機能を備えるコンピュータであり、決められた場所で通信を行うコンピュータであることが望ましい。例えば、デスクトップパソコン(PC;Personal Computer)である。また、第1の実施形態では、デスクトップPC以外にも、無線LANやBluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワークに接続可能なノートPCや、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)などでもよい。
【0015】
また、クライアント装置2は、印刷ジョブとともに「印刷完了指定時間」を送信して、ユーザ6が印刷指示を入力したときから印刷完了指定時間後に、印刷物の最終ページが画像形成装置3から排出されることを要求する。この印刷完了指定時間は、ユーザ6が設定可能な時間であり、例えば、印刷完了指定時間を「3分」と設定して印刷開始ボタンを押下することで、押下してから3分後に画像形成装置3から最終ページが排出されることを要求する。
ここで、第1の実施形態における印刷猶予時間は、印刷完了指定時間である。
【0016】
第1の実施形態に係る画像形成装置3は、図2に示すように、ネットワーク網NWに接続する通信部11と、画像形成装置3全体を制御する制御部12と、時刻を取得するタイマ部13と、プログラムやデータを記憶する記憶部14と、画像データに画像処理を行う画像処理部15と、画像処理後の画像を用紙などの媒体に形成する画像形成部16とを備える。すなわち、画像形成装置3は、クライアント装置2からの画像処理要求で取得した画像データに画像処理を行い、画像を媒体に形成する。
【0017】
第1の実施形態に係る画像形成装置3は、例えば、電子写真記録方式のプリンタ、複写機、MFP(MultiFunction Printer:複合機)などであるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよい。
【0018】
(通信部11)
通信部11は、ネットワーク網NWと接続する外部接続部(不図示)を制御して、クライアント装置2とデータの送受信を行う構成部である。クライアント装置2からデータを受信した通信部11は、その受信データを制御部12(後記する受信データ解析部21)に出力する。
【0019】
(制御部12)
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成される。各構成部の制御部としての機能は、CPUが後記する記憶部14に格納されるプログラムを展開し、実行することによって実現される。
第1の実施形態において制御部12は、受信データ解析部21と、印刷ジョブ受付部22と、時間計測部23と、印刷時間推定部24と、待機時間算出部25と、印刷ジョブ発行部26とを備える。この制御部12が備える各構成部の詳細は後記する。
【0020】
(記憶部14)
第1の実施形態において記憶部14は、プログラムやデータを記憶する構成部であると共に、「印刷完了指定時間」を記憶する指定時間記憶部141を備える構成部である。この指定時間記憶部141は、データを記憶する構成部である。第1の実施形態において、指定時間記憶部141は、一時的にデータを記憶すればよいため、例えば、RAM(Random Access Memory)でよい。また、データを長期に記憶しておく必要はないが、HD(Hard Disc)や光ディスク等でもよい。
【0021】
(画像処理部15)
画像処理部15は、印刷ジョブを解析して、印刷ジョブに含まれる画像データに画像処理を行う構成部である。制御部12が画像処理部15を備えてもよい。
【0022】
(画像形成部16)
画像形成部16は、現像装置、露光装置、感光ドラム、現像ローラ、転写ローラ、定着部などを備え、CPU(制御部12)に制御されて、用紙などの媒体上に画像を形成(印刷)する構成部である。画像形成部16は、内部に備える駆動部(各種ローラやベルト)を駆動することで、給紙カセットに載置された媒体を搬送する。画像形成部16は、画像処理部15による画像処理後の画像データに基づき露光装置が感光ドラムに静電潜像を形成し、現像ローラから電界の力によってトナーを移動して、静電潜像にトナーを付着させたトナー画像を形成する。感光ドラムに形成されたトナー画像を転写ローラで媒体に転写し、定着器(ヒータ)を用いて媒体上にトナー画像を加熱定着して、画像を形成(印刷)して、排紙トレイに排出する。これにより、ユーザ6は、画像形成装置3から排出された媒体(印刷物)を回収することができる。
【0023】
制御部12が備える各構成部について説明する。
(受信データ解析部21)
受信データ解析部21は、受信データを解析して、そこから得られたデータや情報を他の構成部に提供する構成部である。第1の実施形態において受信データ解析部21は、受信データが印刷ジョブであれば、印刷ジョブを印刷ジョブ受付部22に出力し、さらに印刷ジョブに付与された「印刷完了指定時間」を記憶部14(指定時間記憶部141)に記憶させる。
【0024】
(印刷ジョブ受付部22)
印刷ジョブ受付部22は、受信データ解析部21から印刷ジョブを受け付ける構成部である。この印刷ジョブ受付部22は、印刷ジョブを取得すると、印刷ジョブ受付完了通知を時間計測部23および待機時間算出部25に出力する。また、取得した印刷ジョブを印刷時間推定部24および印刷ジョブ発行部26に出力する。
【0025】
(時間計測部23)
時間計測部23は、印刷ジョブ受付完了通知を取得したとき(つまり、印刷ジョブを受信した受付時刻)からの時間(経過時間)を計測する構成部であり、時間計測部23は、タイマ部13から現在時刻を取得して経過時間を計測する。また、時間計測部23は、印刷ジョブ発行部26からの要求に応じて、そのときの経過時間を出力する。
【0026】
(印刷時間推定部24)
印刷時間推定部24は、印刷ジョブを解析して、その内容から、その印刷ジョブを画像処理部15が実行開始してから、全ての印刷された媒体が排出される(印刷完了)までにかかる時間(推定印刷時間)を推定する構成部である。印刷時間推定部24は、推定印刷時間を待機時間算出部25に出力する。
この推定印刷時間は、例えば、印刷ジョブの情報量や、印刷ジョブに含まれるデータの構成(文書データ、画像データなど)、画像データの画素数、指定された印刷品質、画像処理部15および画像形成部16の処理能力などに基づき算出することができる。
【0027】
例えば、画像処理部15は、描画コマンドを実行して、その描画コマンドにより単位面積の図形が描画されるまでに費やした標準描画時間を予め実験で求めておく。そして、これらの時間を記憶部14に記憶しておく。この実験を画像処理部15が実行可能な描画コマンド全てに対して行い、各描画コマンドの標準描画時間を記憶部14に記憶しておく。
【0028】
印刷時間推定部24は、印刷ジョブを解析して、その印刷ジョブに含まれる描画コマンドを全て抽出し、各描画コマンドの標準描画時間を記憶部14から取得する。
そして、印刷時間推定部24は、印刷ジョブに含まれる描画コマンドが描画しようとする図形のサイズと、単位面積の図形とを比較して面積比率を求め、さらに、その面積比率と標準描画時間とから、その描画コマンドにより描画対象図形が描画されるまでに費やされると推定される時間(推定描画時間)を求める。こうして、印刷時間推定部24は、各描画コマンドの推定描画時間を求めて、各推定描画時間の合計値を、印刷ジョブの推定印刷時間とする。
【0029】
ここで、四角形描画コマンドにより四角形が描画されるのに費やされると推定される時間(推定描画時間)を求める例を示す。
画像処理部15は予め実験で、四角形描画コマンドを実行して、単位面積の四角形を描画させる。このとき、単位面積の四角形の縁を描く時間と、当該四角形の縁の内側を塗り潰すのに費やす時間との合計時間を標準描画時間として記憶部14に記憶しておく。
そして、印刷時間推定部24は、印刷ジョブに含まれる四角形描画コマンドが描画しようとする四角形のサイズと、四角形の単位面積とを比較して面積比率を求め、さらに、その面積比率と、記憶部14に記憶された標準描画時間とから、その四角形描画コマンドの推定描画時間を求める。
【0030】
文字を描画する場合も同様に、画像処理部15は予め実験で、文字ごとに、単位サイズの描画時間と、文字の塗り潰し時間との合計時間(標準描画時間)を求めて、記憶部14に記憶しておく。そして、印刷時間推定部24は、処理時間を推定したい印刷ジョブに含まれる描画コマンドが描画しようとする文字のサイズと、その文字の単位サイズとを比較してサイズ比率を求め、さらに、そのサイズ比率と、記憶部14に記憶された標準描画時間とから、描画コマンドの推定描画時間を求める。
【0031】
(待機時間算出部25)
待機時間算出部25は、取得した情報に基づき、待機時間を出力する構成部である。
この待機時間算出部25は、印刷ジョブ受付部22から印刷ジョブ受付完了通知を取得したときに処理を開始する。まず、待機時間算出部25は、印刷時間推定部24から推定印刷時間を取得し、記憶部14(指定時間記憶部141)に記憶された印刷完了指定時間を取得する。
そして、待機時間算出部25は、推定印刷時間と印刷完了指定時間とを比較する。比較の結果、推定印刷時間≧印刷完了指定時間であれば、待機時間=0として印刷ジョブ発行部26に出力する。一方、推定印刷時間<印刷完了指定時間であれば、印刷完了指定時間から推定印刷時間を減算して得られる時間を待機時間として印刷ジョブ発行部26に出力する。
【0032】
(印刷ジョブ発行部26)
印刷ジョブ発行部26は、所定の条件を満たす時間になった時に、印刷ジョブを画像処理部15に出力する構成部である。
まず、印刷ジョブ発行部26は、印刷ジョブ受付部22から取得した印刷ジョブを一時的に保持する。そして、待機時間算出部25から取得した待機時間が0であれば(待機時間=0)、保持する印刷ジョブをすぐに画像処理部15に出力する。一方、待機時間が0でなければ(待機時間>0)、印刷ジョブ発行部26は、所定のタイミングで時間計測部23から経過時間(印刷ジョブを受信してからの時間)を取得する処理を開始する。この処理において、取得した経過時間が、待機時間以上の時間(経過時間≧待機時間)となった時、印刷ジョブ発行部26は保持する印刷ジョブを画像処理部15に出力する。
【0033】
図3は、第1の実施形態における印刷ジョブ発行部26が印刷ジョブを画像処理部15に出力するタイミングを示す図である。ここで、t0は、画像形成装置3が印刷ジョブを受信した時であり、すなわち、時間計測部23が印刷ジョブ受付完了通知を取得し、経過時間を計測し始めた時である。また、T1は印刷完了指定時間(印刷猶予時間)であり、T3は推定印刷時間である。すなわち、t0からT2時間だけ待機してからt1の時に、印刷ジョブ発行部26が印刷ジョブを画像処理部15に出力することで、画像形成装置3は印刷を開始する。これにより、t1からT3時間後のt2の時に、画像形成装置3から印刷物の最終ページが排出されることとなる。このT2が待機時間算出部25により算出される待機時間である。
【0034】
第1の実施形態に係る画像形成装置3によれば、印刷するごとに「印刷完了指定時間」を設定することができるため、クライアント装置2から画像形成装置3までの移動時間が常に一定でなくてもよい。そのため、クライアント装置2は、設置場所が固定されたデスクトップPCが有線LANで通信ネットワークに接続可能な端末であるが、無線LANやBluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワークを用いて印刷ジョブを送信可能な端末であってもよい。
【0035】
《動作の説明》
画像形成装置3が行う処理動作について説明する。
[印刷時間管理処理]
まず、図4を参照して、画像形成装置3の印刷時間管理処理動作について説明する(適宜、図1ないし図3を参照)。
画像形成装置3が備える通信部11は、ネットワーク網NWを介して受信した受信データを受信データ解析部21に出力する。受信データ解析部21は、受信データを解析し、その受信データが印刷ジョブであれば、印刷時間管理処理を開始する。
【0036】
まず、受信データ解析部21が受信データから印刷ジョブを取得し(ステップS101)、受信データ解析処理を実行する(ステップS102,図5)。後記する受信データ解析処理により、印刷ジョブが印刷時間管理部4に出力され、印刷ジョブ受付部22は、印刷ジョブを取得する(ステップS103)。
【0037】
[受信データ解析処理]
ここで、図5を参照して、画像形成装置3の受信データ解析処理動作について説明する(適宜、図1ないし図3を参照)。
受信データ解析部21は、ステップS101(図4)で取得した印刷ジョブを、印刷ジョブ受付部22に出力する(ステップS201)。
また、受信データ解析部21は、受信データを解析したときに、印刷ジョブに付与された印刷完了指定時間T1を取得し、この印刷完了指定時間T1を指定時間記憶部141に記憶させる(ステップS202)。そして、受信データ解析部21は、受信データ解析処理を終了する。
【0038】
再び図4に戻り、印刷時間管理動作について説明する。
印刷ジョブ受付部22は、ステップS103で印刷ジョブを取得したときに、印刷ジョブ受付完了通知を時間計測部23および待機時間算出部25に出力し(ステップS104)、さらに、印刷ジョブを印刷時間推定部24および印刷ジョブ発行部26に出力する(ステップS105)。
これにより、印刷ジョブ受付完了通知を取得した時間計測部23は、後記する時間計測処理(図7)を実行する。また、印刷ジョブを取得した印刷ジョブ発行部26は、印刷ジョブを一時的に保持する。
印刷ジョブを取得した印刷時間推定部24は、印刷ジョブを解析して、その内容に基づき推定印刷時間T3を算出する(ステップS106)。
印刷ジョブ受付完了通知を取得した待機時間算出部25は、待機時間推定処理を実行する(ステップS107,図6)。
【0039】
[待機時間推定処理動作]
ここで、図6を参照して、画像形成装置3の待機時間推定処理動作について説明する(適宜、図1ないし図3を参照)。
待機時間算出部25は、印刷時間推定部24からステップS106(図4)で算出した推定印刷時間T3を取得し(ステップS301)、さらに待機時間算出部25は、指定時間記憶部141から印刷完了指定時間T1を取得する(ステップS302)。そして、待機時間算出部25は、推定印刷時間T3と印刷完了指定時間T1との時間長を比較する(推定印刷時間<印刷完了指定時間?;ステップS303)。
【0040】
推定印刷時間T3<印刷完了指定時間T1である場合(ステップS303,Yes)、待機時間T2を印刷完了指定時間T1から推定印刷時間T3を減算した時間とする(ステップS304)。
一方、推定印刷時間T3≧印刷完了指定時間T1である場合(ステップS303,No)、待機時間T2を0とする(ステップS305)。
そして、待機時間算出部25は、ステップS304またはステップS305の処理を実行後、印刷ジョブ発行部26に待機時間T2を出力し(ステップS306)、待機時間推定処理を終了する。
【0041】
再び図4に戻り、印刷時間管理動作について説明する。
印刷ジョブ発行部26は待機時間T2を取得し(ステップS108)、その待機時間T2が0より大きいか否かを判定する(待機時間>0?;ステップS109)。
待機時間T2が0である場合(ステップS109,No)、後記するステップS112の処理を実行する。
一方、待機時間T2>0である場合(ステップS109,Yes)、印刷ジョブ発行部26は時間計測部23から経過時間を取得し(ステップS110)、ステップS111の比較処理を行う。
【0042】
ステップS111において、印刷ジョブ発行部26は、ステップS110で取得した経過時間と、ステップS108で取得した待機時間T2とを比較する(経過時間≧待機時間?;ステップS111)。
経過時間<待機時間T2である場合(ステップS111,No)、再びステップS110の処理を実行する。このようにして、印刷タイミングまで待機する。
一方、経過時間≧待機時間T2である場合(ステップS111,Yes)、印刷ジョブ発行部26は印刷ジョブを画像処理部15に出力する(ステップS112)。
【0043】
その後、画像形成装置3は、画像処理部15が印刷ジョブを解析して、印刷ジョブに含まれる画像データに画像処理を行い、画像形成部16は、内部に備える駆動部(各種ローラやベルト)を駆動して、給紙カセットに載置された媒体を搬送し、定着器(ヒータ)を用いて媒体上にトナー画像を加熱定着して、画像を形成(印刷)して、印刷物を排紙トレイに排出する。
【0044】
[時間計測処理]
ここで、図7を参照して、画像形成装置3の時間計測処理動作について説明する(適宜、図1ないし図3を参照)。
まず、時間計測部23は、図4のステップS105にて、印刷ジョブ受付部22が出力した印刷ジョブ受付完了通知を取得する(ステップS401)。これにより、時間計測部23は図7に示す時間計測処理(ステップS400)を開始する。このとき制御部12は、この時間計測処理と、印刷時間管理処理(図4)とを行う。
印刷ジョブ受付部22は、タイマ部13から現在時刻を取得し、その時刻を受付時刻とする(ステップS402)。そして、印刷ジョブ受付部22は、タイマ部13から現在時刻を取得し、受付時刻からの経過時間を算出する(ステップS403)。このステップS403の処理を所定時間間隔で繰り返し行い、最新の経過時間を算出する。
【0045】
《第2の実施形態》
第2の実施形態に係る画像形成装置3Aについて説明する。
画像形成装置3Aは、図8に示すように、第1の実施形態に係る画像形成装置3の制御部12Aに、さらに、回収時間計測部27と、回収完了入力要求メッセージ作成部221と、印刷完了検知部231とを備え、さらに、記憶部14において、指定時間記憶部141の代わりに、回収時間記憶部142を備える。また、画像形成装置3Aは、第1の実施形態に係る画像形成装置3とは一部機能が異なる構成部を備える。これらの構成部には同名称別符号を付し、通信部11A、受信データ解析部21A、時間計測部23A、待機時間算出部25Aとした。詳細な説明は後記する。
その他の構成は同様なので、説明を便宜的に省略する。
【0046】
第2の実施形態におけるクライアント装置2は、印刷ジョブを送信後、ユーザ6に回収完了入力要求を通知する機能と、回収完了通知を画像形成装置3Aに出力する機能とを備える。
クライアント装置2は、印刷ジョブを送信後、クライアント装置2が備える画面表示部(不図示)に回収完了入力要求画面を表示させ、ユーザ6に「回収完了ボタン」の押下を促す。ユーザ6がキーボードやマウスなどの操作部(不図示)を操作して「回収完了ボタン」を押下することによって、クライアント装置2は、回収完了通知を通信データとして画像形成装置3Aに送信する。
【0047】
回収時間計測部27は、印刷ジョブを受信した時から、ユーザ6がクライアント装置2から送信した後記する回収完了通知を受信した時までの時間(回収時間)を回収時間記憶部142に記憶させる構成部である。また、今までの回収時間の平均を算出して平均回収時間を回収時間記憶部142に記憶させる構成部でもある。
この回収時間計測部27は、受信データ解析部21Aから回収完了通知を取得したときに、時間計測部23Aから経過時間を取得し、この経過時間を回収時間として回収時間記憶部142に記憶させる。
【0048】
この回収時間は、印刷ジョブ受付部22からの印刷ジョブ受付完了通知を取得した時(つまり、印刷ジョブを受信した時)から、受信データ解析部21Aからの回収完了通知を取得した時までの時間である。
【0049】
ここで、第2の実施形態における理想的な印刷猶予時間は、回収時間である。この点で第1の実施形態における印刷猶予時間と異なる。この回収時間は、第2の実施形態に係る画像形成装置3Aによれば、クライアント装置2aからの印刷ジョブを受信した時から、ユーザ6が画像形成装置3にて印刷物を回収してクライアント装置2aに戻り、クライアント装置2からの回収完了通知を受信したときまでの時間である。すなわち、第2の実施形態における回収時間は、クライアント装置2の設置場所と画像形成装置3の設置場所との間をユーザ6が往復移動するのに要する時間である。そこで、第2の実施形態における印刷猶予時間は、過去に計測した回収時間の平均値(平均回収時間)とする。
【0050】
回収完了入力要求メッセージ作成部221は、クライアント装置2が備える画像表示装置(不図示)に回収完了ボタンを表示させる回収完了入力要求メッセージを作成する構成部である。この回収完了入力要求メッセージ作成部221は、印刷ジョブを送信したクライアント装置2宛ての回収完了入力要求メッセージを作成し、通信部11Aに出力する。
【0051】
印刷完了検知部231は、例えば赤外線センサを備え、画像形成装置3Aの印刷物の排出口から排出される媒体の通過を検知する。そして、最終ページの媒体が通過したことを検知したときに、回収完了入力要求メッセージ作成部221に検知信号を出力する。
【0052】
第2の実施形態において記憶部14は、回収時間記憶部142を備える。この回収時間記憶部142は、過去のデータを記憶しておく構成部であり、例えば、HD(Hard Disc)や光ディスク等である。回収時間記憶部142は、過去の回収時間と、平均回収時間とを記憶する。
【0053】
通信部11Aは、ネットワーク網NWと接続する外部接続部(不図示)を制御して、クライアント装置2とデータの送受信を行う構成部である。クライアント装置2からデータを受信した通信部11Aは、その受信データを受信データ解析部21Aに出力する。
また、通信部11Aは、回収完了入力要求メッセージ作成部221から取得した、クライアント装置2宛ての回収完了入力要求メッセージを、ネットワーク網NWを介して、クライアント装置2に送信する。
【0054】
受信データ解析部21Aは、受信データを解析して、そこから得られたデータや情報を他の構成部に提供する構成部である。第2の実施形態において受信データ解析部21Aは、受信データが印刷ジョブであれば、印刷ジョブを印刷ジョブ受付部22に出力する。また、受信データが回収完了通知の通信データであれば、回収完了通知を回収時間計測部27に出力する。
【0055】
時間計測部23Aは、タイマ部13から時刻を取得して、印刷ジョブ受付完了通知を取得した時(つまり、印刷ジョブを受信した時)からの時間(経過時間)を計測する。
また、印刷ジョブ発行部26や回収時間計測部27からの要求に応じて、そのときの経過時間を出力する。
【0056】
(待機時間算出部25A)
待機時間算出部25Aは、取得した情報に基づき、発行トリガを出力する構成部である。
この待機時間算出部25Aは、印刷ジョブ受付部22から印刷ジョブ受付完了通知を取得した時に処理を開始する。まず、待機時間算出部25Aは、印刷時間推定部24から推定印刷時間を取得し、記憶部14(回収時間記憶部142)に記憶された平均回収時間を取得する。
そして、待機時間算出部25Aは、推定印刷時間と、平均回収時間を2で除算した「平均回収時間/2」とを比較する。平均回収時間を2で除算することで、クライアント装置2の設置場所と画像形成装置3Aの設置場所との間をユーザ6が片道移動するのに要する時間を算出する。
比較の結果、推定印刷時間≧平均回収時間/2であれば、待機時間=0として印刷ジョブ発行部26に出力する。一方、推定印刷時間<平均回収時間/2であれば、平均回収時間/2から推定印刷時間を減算して得られる時間を待機時間として印刷ジョブ発行部26に出力する。
【0057】
図9は、第2の実施形態における印刷ジョブ発行部26が印刷ジョブを画像処理部15に出力するタイミングを示す図である。ここで、t0は、画像形成装置3が印刷ジョブを受信した時であり、すなわち、時間計測部23Aが印刷ジョブ受付完了通知を取得し、経過時間を計測し始めた時である。t3は、クライアント装置2から回収完了通知を受信した時である。また、T4は平均回収時間(印刷猶予時間)であり、T3は推定印刷時間である。すなわち、t0からT2時間だけ待機してからt1の時に、印刷ジョブ発行部26が印刷ジョブを画像処理部15に出力することで、画像形成装置3は印刷を開始する。これにより、t1からT3時間後のt2の時に、画像形成装置3から印刷物の最終ページが排出されることとなる。このT2が待機時間算出部25により、「平均回収時間T4/2−推定印刷時間T3」で算出される待機時間である。
【0058】
《動作の説明》
画像形成装置3Aが行う処理動作について説明する。
ここで、画像形成装置3Aが行う印刷時間管理処理(図4)および時間計測処理(図7)については、第1の実施形態にかかる画像形成装置3と同様の処理が行われるので、説明を便宜的に省略する。
【0059】
[回収完了通知処理]
ここで、図10を参照して、画像形成装置3Aの回収完了通知処理動作について説明する(適宜、図4および図9を参照)。この回収完了通知処理は、印刷時間管理処理(図4)の実行後に行われる処理である。
画像形成装置3Aにて、排出された印刷物を手に入れたユーザ6は、印刷指示をしたクライアント装置2が設置された場所に戻り、クライアント装置2を操作して画像表示装置(不図示)に表示された回収完了ボタンを押下することで、クライアント装置2は回収完了通知を通信データとして画像形成装置3Aに送信する。これにより、画像形成装置3Aの受信データ解析部21Aは、通信部11Aを介して通信データを取得する。
受信データ解析部21Aは、この回収完了通知の通信データを解析して、回収完了通知を取得し(ステップS2101)、回収時間計測部27に出力する(ステップS2102)。
【0060】
回収時間計測部27は、回収完了通知を取得した時に、時間計測部23Aから経過時間を取得し(ステップS2103)、この経過時間を回収時間として回収時間記憶部142に記憶させる(ステップS2104)。そして、回収時間計測部27は、回収時間記憶部142に記憶された過去の回収時間を抽出する(ステップS2105)。ステップS2104の処理で取得した経過時間(回収時間)と、ステップS2105の処理で抽出した過去の回収時間との平均値(平均回収時間T4)を算出し(ステップS2106)、平均回収時間T4を回収時間記憶部142に上書き記憶させる(ステップS2107)。そして、回収完了通知処理を終了する。
【0061】
[受信データ解析処理]
ここで、図11を参照して、画像形成装置3Aの受信データ解析処理について説明する(適宜、図4を参照)。
受信データ解析部21Aは、ステップS101(図4)で取得した印刷ジョブを、印刷ジョブ受付部22に出力する(ステップS2201)。そして、受信データ解析部21Aは、受信データ解析処理を終了する。
【0062】
[待機時間推定処理]
ここで、図12を参照して、画像形成装置3Aの待機時間推定処理について説明する(適宜、図4および図9を参照)。
待機時間算出部25Aは、印刷時間推定部24からステップS106(図4)で算出した推定印刷時間T3を取得し(ステップS2301)、さらに待機時間算出部25Aは、回収時間記憶部142から平均回収時間T4を取得する(ステップS2302)。そして、待機時間算出部25Aは、推定印刷時間T3と平均回収時間T4/2との時間長を比較する(推定印刷時間<平均回収時間/2?;ステップS2303)。
【0063】
推定印刷時間T3<平均回収時間T4/2である場合(ステップS2303,Yes)、平均回収時間T4/2から推定印刷時間T3を減算した時間を待機時間とする(ステップS2304)。
一方、推定印刷時間T3≧平均回収時間T4/2である場合(ステップS2303,No)、待機時間を0とする(ステップS2305)。
そして、待機時間算出部25Aは、ステップS2304またはステップS2305の処理を実行後、印刷ジョブ発行部26に待機時間T2を出力する(ステップS2306)。
【0064】
[印刷完了入力要求処理]
ここで、図13を参照して、画像形成装置3Aの印刷完了入力要求処理について説明する(適宜、図4および図9を参照)。
印刷完了検知部231は、画像形成装置3Aの印刷物の排出口から、最終ページが排出されたことを検知したとき(ステップS2401)、回収完了入力要求メッセージ作成部221に検知信号を出力する(ステップS2402)。
【0065】
回収完了入力要求メッセージ作成部221は、印刷ジョブ受付部22から印刷ジョブを送信したクライアント装置2を識別する情報を取得し、クライアント装置2が備える画像表示装置(不図示)に回収完了ボタンを表示させる回収完了入力要求メッセージを作成し(ステップS2403)、通信部11Aに出力する。これにより、通信部11Aはクライアント装置2宛に回収完了入力要求メッセージを送信する(ステップS2404)。
【0066】
《第3の実施形態》
第3の実施形態に係る画像形成装置3Bについて説明する。
画像形成装置3Bは、図14に示すように、第1の実施形態に係る画像形成装置3に、さらに、回収時間計測部27と、印刷完了検知部231Aと、操作パネル制御部321と、操作パネル331とを備え、さらに、記憶部14において、指定時間記憶部141の代わりに、回収時間記憶部142を備える。また、画像形成装置3Bは、第1の実施形態に係る画像形成装置3とは一部機能が異なる構成部を備える。これらの構成部には同名称別符号を付し、受信データ解析部21B、時間計測部23A、待機時間算出部25Aとした。詳細な説明は後記する。
ここで、時間計測部23Aと、待機時間算出部25Aと、回収時間計測部27と、回収時間記憶部142とは、第2の実施形態に係る画像形成装置3Aと同様の処理を行うため、説明を便宜的に省略する。
その他の構成は同様なので、説明を便宜的に省略する。
【0067】
印刷完了検知部231Aは、例えば赤外線センサを備え、画像形成装置3Bの印刷物の排出口に設けられ、媒体の通過を検知する。そして、最終ページの媒体が通過したことを検知したときに、第2の実施形態における印刷完了検知部231とは異なり、操作パネル制御部321に検知信号を出力する。
【0068】
操作パネル制御部321は、操作パネル331を制御して、操作パネル331の表示部に画面データを表示させる処理や、操作パネル331に入力された要求に応じた処理を行う構成部である。
第3の実施形態において、操作パネル制御部321は、検知信号を受信したときに、操作パネル331の表示部に「印刷物を回収したら確認ボタンを押下してください」というメッセージと、確認ボタンとを表示させる。この確認ボタンが押下されると、メッセージを消去(非表示)して、回収時間計測部27に回収完了通知を出力する。
【0069】
ここで、第3の実施形態における理想的な印刷猶予時間は、この確認ボタンが押下されるまでの回収時間である。この回収時間は、第3の実施形態に係る画像形成装置3Bによれば、クライアント装置2からの印刷ジョブを受信した時から、印刷物を回収しに来たユーザ6が画像形成装置3にて確認ボタンを押下した時までの時間である。すなわち、第3の実施形態における回収時間は、クライアント装置2の設置場所から画像形成装置3の設置場所までをユーザ6が片道移動するのに要する時間である。そのため、第3の実施形態における印刷猶予時間は、過去に計測した回収時間の平均値(平均回収時間)とする。
【0070】
また、第3の実施形態における印刷ジョブ発行部26が印刷ジョブを画像処理部15に出力するタイミングは、第1の実施形態に係る画像形成装置3における図3に示すタイミングと同様である。ここで、図3のt2は、ユーザ6が操作パネル331に表示された「確認ボタン」が押下した時であり、図3のT1は回収時間であり、平均回収時間(印刷猶予時間)である。
【0071】
操作パネル331は、ユーザ6が視認可能な情報を表示する表示部であり、かつ、ユーザ6からの要求を受け付ける入力部である。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)のような表示機能とタッチパッドのような位置入力機能との双方を兼ね備えたタッチパネルである。
【0072】
受信データ解析部21Bは、受信データを解析して、そこから得られたデータや情報を他の構成部に提供する構成部である。第3の実施形態において受信データ解析部21Bは、受信データが印刷ジョブであれば、印刷ジョブを印刷ジョブ受付部22に出力する。
【0073】
《動作の説明》
画像形成装置3Bが行う処理動作について説明する。
ここで、画像形成装置3Bが行う印刷時間管理処理(図4)、時間計測処理(図7)、受信データ解析処理(図11)、待機時間推定処理(図12)については、第1の実施形態にかかる画像形成装置3、および第2の実施形態に係る画像形成装置3Aと同様の処理が行われるので、説明を便宜的に省略する。
【0074】
[回収完了通知処理]
ここで、図15を参照して、画像形成装置3Bの回収完了通知処理動作について説明する(適宜、図14を参照)。
印刷完了検知部231Aは、最終ページが排出されたことを検知し(ステップS3101)、操作パネル制御部321に検知信号を送信する(ステップS3102)。検知信号を受信した操作パネル制御部321は、操作パネル331を制御して、未回収情報を表示させる(ステップS3103)。
ユーザ6は、操作パネル331に表示された未回収情報を確認して、操作パネル331に表示された確認ボタンを押下する(ステップS3104)。これにより、操作パネル制御部321は、操作パネル331を制御して、未回収情報を非表示にさせる(ステップS3105)。操作パネル制御部321は、ユーザにより確認ボタンが押下されたときに、回収完了通知を回収時間計測部27に出力する(ステップS3106)。
その後のステップS3107からステップS3111の処理は、第2の実施形態における図10のステップS2103からステップS2107の処理と同様であるため、説明を便宜的に省略する。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
たとえば、第3の実施形態において回収完了指示部である操作パネル331は、ユーザ6を特定する情報が記録されたIC(Integrated Circuit)カードなどの記録媒体を読み取るICカード読取機を備えるものであってもよい。これにより、ユーザ6がICカード読取機にICカードを読み取らせることで、回収完了指示が入力される。
このICカードを用いる場合において、クライアント装置2から送信する印刷ジョブに個人情報を含めることで、正確な回収時間を計測することができる。
【0076】
また、第1の実施形態において印刷完了指定時間をクライアント装置2から画像形成装置3に送信しているが、時間ではなく時刻であってもよい。例えば、印刷完了指定時刻が「10:10」でユーザ6により指定される。クライアント装置2は、印刷ジョブとともにこの印刷完了指定時刻を画像形成装置3に送信する。
この場合、画像形成装置3における待機時間算出部25の処理が異なるため、その点を説明する(適宜、図6の待機時間推定処理動作についての説明を参照)。待機時間算出部25は、待機時間を算出する際に、現在時刻(例えば10:00)と、印刷完了指定時刻から推定印刷時間(例えば3分)だけ前の印刷開始予定時刻(10:07)とを比較する(図6のステップS303を参照)。そして、現在時刻から印刷開始予定時刻までの時間を待機時間(7分)とする。ここで、現在時刻が印刷予定時刻である場合、もしくは現在時刻が印刷予定時刻を過ぎていた場合(例えば、現在時刻が10:08)、待機時間を0とする。これにより、第1の実施形態に係る画像形成装置3は、印刷完了指定時刻であっても同様の処理を行うことができる。
【0077】
また、第1〜第3の実施形態において、画像形成装置3,3A,3Bが受信した印刷ジョブの印刷時間(図3および図9におけるt1〜t2)において、他の印刷ジョブがすでに実行待ちである場合、印刷ジョブを送信したクライアント装置2に対して、他の印刷ジョブがあるために待ち時間が発生する旨の情報をクライアント装置2に送信して、クライアント装置2が備える画面表示部(不図示)に警告表示させてもよい。
【0078】
この待ち時間が発生するか否かの判定について、図3および図9を用いて説明する。推定印刷時間T3と、算出した待機時間T2と、印刷ジョブを受信した時刻tとから、印刷ジョブの推定印刷時間T3のスタート時刻t1とエンド時刻t2を取得することができる。このt1〜t2において、他の印刷ジョブの推定印刷時間T3(同様にt1〜t2)と重複するか否かで、待ち時間が発生するか否かを判定する。重複する場合は待ち時間が発生する。
【0079】
また、第2および第3の実施形態において画像形成装置3A(3B)は、印刷完了検知部231(231A)の代わりに、最終ページの印刷物が排紙トレイに排出されたときにトリガを出力する構成部や、これから最終ページの印刷物が排紙トレイに排出されることを出力する構成部を備えてもよい。この出力されるトリガを、画像形成装置3Aの回収完了入力要求メッセージ作成部221や、画像形成装置3Bの操作パネル制御部321が処理を実行するトリガとすればよい。
例えば、画像形成装置3A(3B)は、画像形成部16が最終ページを印刷した時にトリガを出力する構成部や、画像形成部16が給紙カセットから最終ページの媒体を搬送した時にトリガを出力する構成部などであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成システム
2(2a,2b,・・・) クライアント装置
3,3A,3B 画像形成装置
4 印刷時間管理部
6 ユーザ
11,11A 通信部
12 制御部
13 タイマ部
14 記憶部
15 画像処理部
16 画像形成部
21,21A,21B 受信データ解析部
22 印刷ジョブ受付部
23,23A 時間計測部
24 印刷時間推定部
25,25A 待機時間算出部
26 印刷ジョブ発行部
27 回収時間計測部
141 指定時間記憶部
142 回収時間記憶部
221 回収完了入力要求メッセージ作成部
231,231A 印刷完了検出部
321 操作パネル制御部
331 操作パネル
NW ネットワーク網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から入力される印刷ジョブを実行して、媒体に画像を形成して排出する画像形成装置であって、
前記印刷ジョブが入力された時からの経過した時間を計測する時間計測部と、
前記印刷ジョブを解析し、当該印刷ジョブを実行し始めてから、最後の前記媒体が排出されて当該印刷ジョブが完了するまでにかかる印刷時間を推定する印刷時間推定部と、
前記印刷ジョブに対して与えられた印刷猶予時間から、前記推定された推定印刷時間を減算して待機時間を算出する待機時間算出部と、
前記印刷ジョブを実行させる印刷ジョブ発行部とを備え、
前記印刷ジョブが入力された時から前記待機時間が経過したときに、その印刷ジョブを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷猶予時間は、前記印刷ジョブと共に入力されることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
前記排出された媒体がユーザに回収されたことを入力する回収完了指示部を備え、
前記印刷猶予時間は、前記印刷ジョブが入力された時から、その印刷ジョブが実行されて排出された媒体がユーザに回収されるまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブが入力された時から、当該印刷ジョブを入力した外部装置から回収完了指示が入力されるまでの回収時間を計測する回収時間計測部と、
前記回収時間を逐次記憶する回収時間記憶部とを備え、
前記印刷猶予時間は、前記回収時間記憶部に記憶された過去の回収時間の平均時間であることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項5】
前記最後の媒体の排出を検知する印刷完了検知部と、
前記外部装置にて回収完了指示を入力可能にするメッセージを作成する回収完了入力要求メッセージ作成部とを備え、
前記印刷完了検知部が検知したときに、前記回収完了入力要求メッセージ作成部が作成したメッセージを、前記最後の媒体に係る印刷ジョブを入力した外部装置に送信することを特徴とする請求項4に記載された画像形成装置。
【請求項6】
排出された媒体を回収したユーザにより回収完了指示が入力される回収完了指示部と、
前記排出された媒体に係る印刷ジョブが入力された時から、前記回収完了指示が入力されるまでの回収時間を計測する回収時間計測部と、
前記回収時間を逐次記憶する回収時間記憶部とを備え、
前記印刷猶予時間は、前記回収時間記憶部に記憶された過去の回収時間の平均時間であることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項7】
前記回収完了指示部は、ユーザを特定する情報を記録する記録媒体を読み取ることで、前記回収完了指示が入力されることを特徴とする請求項6に記載された画像形成装置。
【請求項8】
前記待機時間算出部は、前記推定印刷時間が前記印刷猶予時間以上であれば、すぐに前記印刷ジョブ発行部に前記印刷ジョブを実行させることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項9】
外部装置から入力される印刷ジョブを実行し、媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記印刷ジョブと共に印刷完了指定時間が入力され、前記印刷ジョブを解析し、当該印刷ジョブを実行し始めてから完了するまでにかかる印刷時間を推定し、前記印刷ジョブを受信したときから、前記印刷完了指定時間から前記印刷時間を減算した時間が経過したときに、前記印刷ジョブを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
外部装置から入力される印刷ジョブを実行することで画像処理を行い媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記印刷ジョブと共に印刷完了指定時刻が入力され、前記印刷ジョブを解析し、当該印刷ジョブを実行し始めてから完了するまでにかかる印刷時間を推定し、前記印刷完了指定時刻より前記印刷時間だけ前の時刻に、前記印刷ジョブを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
外部装置から入力される印刷ジョブを実行して、媒体に画像を形成して排出する画像形成装置であって、
前記印刷ジョブが入力された時から、当該印刷ジョブに対して与えられた印刷猶予時間に達したときに、最後の媒体を排出することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−111914(P2013−111914A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261881(P2011−261881)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】