説明

画像形成装置

【課題】大型化することを抑制しながら、低コスト化を図ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
トナー像を担持する4つの感光ドラム14と、4つの感光ドラム14にそれぞれ対向配置され、感光ドラム14に担持されトナー像を用紙Pに転写する転写ローラ23とを備えるプリンタ1において、4つの感光ドラム14のそれぞれの表面において残存する転写残トナーを、転写ローラ23を介して、転写残トナー収容部31に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式が採用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタとして、複数の色のそれぞれに対応して設けられる複数の感光体を備えるカラープリンタが知られている。
【0003】
このようなカラープリンタとして、例えば、特許文献1に参照されるようなカラーレーザプリンタが知られている。上記カラーレーザプリンタは、4つの感光ドラムと、4つの転写ローラと、搬送ベルトとを備える。4つの感光ドラムは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれに対応して設けられる。4つの転写ローラは、4つの感光ドラムのそれぞれに対向される。搬送ベルトは、すべての感光ドラムとすべての転写ローラとの間を順次通過するように用紙を搬送する。
【0004】
このカラーレーザプリンタでは、感光ドラムの表面に担持されたトナー像は、用紙が感光ドラムと転写ローラとの間を通過するときに、転写ローラに印加される転写バイアスによって、用紙に転写される。このとき、感光ドラムの表面には、トナーが残留する場合がある。
【0005】
そこで、このカラーレーザプリンタでは、感光ドラムの表面に残留したトナー、即ち転写残トナーを、感光ドラムに対向される回収部材の表面に静電的に吸着させて取り除いている。
【0006】
回収部材に吸着された転写残トナーは、所定のタイミングで、再度、感光ドラムの表面に吐き出され、その後、搬送ベルトを介して、搬送ベルトに対向されるクリーニングユニットに回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−3377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、上記した特許文献1に記載のカラーレーザプリンタにおいて、低コスト化などを目的に、搬送ベルトを備えずに、感光ドラムおよび転写ローラの駆動によって用紙を搬送することが検討される場合がある。
【0009】
この場合、回収部材に吸着された転写残トナーを、搬送ベルトを介してクリーニングユニットに回収することができない。
【0010】
そのため、転写残トナーを回収するための回収能力を十分に確保するためには、回収部材の代わりに、複数の感光ドラムのそれぞれに対応してクリーニングユニットを設ける必要があり、カラーレーザプリンタが大型化するおそれがある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、大型化することを抑制しながら、低コスト化を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記した目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、現像剤像を担持する複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムにそれぞれ対向配置される転写ローラであって、感光ドラムのそれぞれに担持される現像剤像を被転写部材に転写する転写ローラとを備える。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、複数の感光ドラムのそれぞれの表面において残存する転写残現像剤を、転写ローラを介して回収する回収部を備える。
【0014】
このような構成によれば、感光ドラムの周面に残存する転写残トナーを、転写ローラを介して、回収部に回収することができる。
【0015】
そのため、回収部を複数の感光ドラムのそれぞれに対して設けることなく、転写ローラを利用して、転写残トナーを回収部に回収することができる。
【0016】
その結果、画像形成装置が大型化することを抑制しながら、画像形成装置の低コスト化を図ることができる。
(2)また、本発明の画像形成装置は、転写ローラの周速を調整する第1制御部をさらに備えてもよい。この場合、第1制御部は、現像剤像を被転写部材に転写する転写動作時において、転写ローラの周速を、感光ドラムの周速と同等の第1の周速に調整し、転写残現像剤を回収部に回収するクリーニング動作時において、転写ローラの周速を、第1の周速とは異なる第2の周速に調整してもよい。
【0017】
このような構成によれば、クリーニング動作時に、感光ドラムと転写ローラとの間に周速差を生じさせることができる。
【0018】
これにより、生じた周速差の分、転写ローラを感光ドラムに対して摩擦させることができる。
【0019】
そのため、転写ローラを利用して、感光ドラムの周面から転写残トナーを掻き取ることができる。
(3)また、転写ローラは、第1の回転方向と、第1の回転方向に対して逆方向となる第2の回転方向とに切り替え可能に構成されてもよい。この場合、第1制御部は、転写動作時において、転写ローラを第1の回転方向で回転させ、クリーニング動作時において、転写ローラを第2の回転方向で回転させてもよい。
【0020】
このような構成によれば、クリーニング動作時において、転写ローラを逆転させることができる。
【0021】
そのため、感光ドラムと転写ローラとの接触部分において、感光ドラムと転写ローラとの周速差を大きくすることができる。
【0022】
その結果、感光ドラムの周面から、転写残トナーをより効率よく掻き取ることができる。
(4)また、本発明の画像形成装置は、複数の感光ドラムにそれぞれ対向配置されるクリーニングローラをさらに備えてもよい。この場合、クリーニングローラは、転写残現像剤を一旦保持するとともに、保持した転写残現像剤を感光ドラムに供給してもよい。
【0023】
このような構成によれば、画像形成動作時において、クリーニングローラに転写残トナーを一旦保持し、クリーニング動作時において、クリーニングローラに保持された転写残トナーを感光ドラムに供給することができる。
【0024】
そのため、画像形成動作が実施されていないときに、転写残トナーを回収部へ回収することができ、効率よく、画像形成動作とクリーニング動作とを実施することができる。
(5)また、回収部は、転写残現像剤を収容する収容部材と、転写ローラからの転写残現像剤を、収容部材へ回収する回収ローラとを備えてもよい。
【0025】
このような構成によれば、転写ローラからの転写残トナーを、回収ローラを介して、収容部材へ回収することができる。
【0026】
そのため、転写ローラ上の転写残トナーを回収ローラで除去することができ、転写ローラに転写残トナーが残存することを抑制することができる。
(6)また、本発明の画像形成装置は、転写ローラおよび回収ローラにバイアスを印加するバイアス印加手段と、転写ローラおよび回収ローラに印加されるバイアスを制御する第2制御部とをさらに備えてもよい。
【0027】
このような構成によれば、転写ローラに印加されるバイアスと、回収ローラに印加されるバイアスとの両方を、第2制御部で制御することができる。
【0028】
そのため、転写ローラ上の転写残トナーを、静電気的に回収ローラで除去することができる。
【0029】
その結果、より効率よく、転写ローラから転写残トナーを除去することができる。
(7)また、回収部は、回収ローラから転写残現像剤を掻き取るための掻き取り部材を、さらに備えてもよい。
【0030】
このような構成によれば、回収ローラに保持される転写残トナーを、掻き取り部材で掻き取って、収容部材へ回収することができる。
【0031】
そのため、回収ローラに転写残トナーが残存することを抑制することができ、回収ローラに一旦保持された転写残トナーが、再度、転写ローラへ付着することを防止することができる。
【0032】
その結果、転写残トナーをより確実に回収することができる。
(8)また、回収部は、転写残現像剤を収容する収容部材と、転写ローラから転写残現像剤を掻き取るための掻き取り部材とを備えてもよい。
【0033】
このような構成によれば、転写ローラからの転写残トナーを、掻き取り部材で掻き取ることができる。
【0034】
そのため、転写ローラに転写残トナーが残存することを抑制することができる。
(9)また、収容部材は、すべての転写ローラに対して1つ設けられていてもよい。
【0035】
このような構成によれば、収容部材は、すべての転写ローラに対して1つ設けられている。
【0036】
そのため、複数の感光ドラムのそれぞれに対して個別に収容部材を設ける構成に比べて、部品点数の低減を図ることができるとともに、収容部材を容易にメンテナンスすることができる。
(10)また、収容部材は、転写ローラに対して、感光ドラムの反対側に配置されていてもよい。
【0037】
このような構成によれば、収容部材は、転写ローラに対して感光ドラムの反対側に配置されている。
【0038】
そのため、転写ローラに対して感光ドラム側(すなわち、感光ドラムの近傍)に、収容部材を配置することなく、転写ローラに対して感光ドラムの反対側のスペースを利用して、効率よく、収容部材を配置することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の画像形成装置によれば、大型化することを抑制しながら、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態としてのプリンタ1の中央断面図を示す。
【図2】図2は、図1に示すプリンタ1の電気的構成の要部を示すブロック図である。
【図3】図3は、前記プリンタ1の図1に示す転写ローラ23の駆動を説明するための説明図であって、(a)は、画像形成動作時において、前記転写ローラ23が前記プリンタ1の感光ドラム14の回転に追従するように右側面視時計回りに駆動される状態を示し、(b)は、クリーニング動作時において、前記転写ローラ23が前記感光ドラム14の回転に対抗するように右側面視反時計回りに駆動される状態を示す。
【図4】図4は、第2実施形態における転写残トナー収容部70を説明するための説明図である。
【図5】図5は、第3実施形態における転写残トナー収容部80を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
1.プリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラーレーザプリンタである。プリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
【0042】
なお、以下の説明において、方向に言及するときには、図示方向矢印を基準とする。具体的には、図1における紙面左側を前側とし、その反対側、即ち図1における紙面右側を後側とする。また、プリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する側面視略矩形状のボックス状に形成されている。
(2)給紙部
給紙部3は、本体ケーシング2内の底部に設けられる給紙トレイ6と、給紙トレイ6の前端部上側に設けられる1対のレジストローラ7とを備えている。
【0043】
給紙トレイ6に収容されている被転写部材の一例としての用紙Pは、両レジストローラ7間に向けて1枚ずつ給紙され、所定のタイミングで、画像形成部4に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット8と、4つの色のそれぞれに対応する4つのプロセスユニット9と、転写ユニット10と、定着ユニット11とを備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット8は、本体ケーシング2の上部に配置されている。スキャナユニット8は、実線で示すように、4つの感光ドラム14に向けて、画像データに基づいて、レーザービームをそれぞれ出射し、感光ドラム14を露光する。
(3−2)プロセスユニット
4つのプロセスユニット9は、スキャナユニット8の下側であって転写ユニット10の上側において、互いに前後方向に間隔を隔てて並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラックプロセスユニット9K、イエロープロセスユニット9Y、マゼンタプロセスユニット9Mおよびシアンプロセスユニット9Cが、順次、配置されている。
【0044】
プロセスユニット9は、感光ドラム14と、スコロトロン型帯電器15と、現像ユニット13とを備えている。
【0045】
感光ドラム14は、左右方向に延びる略円筒形状に形成されている。感光ドラム14は、右側面視反時計回りに回転される。
【0046】
スコロトロン型帯電器15は、感光ドラム14の後上側に間隔を隔てて対向配置されている。
【0047】
現像ユニット13は、感光ドラム14の上側に対向配置されている。また、現像ユニット13は、現像ローラ17を備えている。
【0048】
現像ローラ17は、現像ユニット13の下端において、後下側から露出されるように回転可能に支持されており、感光ドラム14に前上側から接触されている。
【0049】
なお、現像ユニット13は、現像ローラ17にトナーを供給する供給ローラ18を備え、各色に対応する現像剤の一例としてのトナーを収容している。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット10は、本体ケーシング2内において、給紙部3の上側、かつ、プロセスユニット9の下側において、前後方向に沿って配置されている。転写ユニット10は、4つの転写ローラ23を備えている。
【0050】
4つの転写ローラ23のそれぞれは、4つの感光ドラム14のそれぞれに対して1つずつ、下側から接触されるように対向配置されている。また、転写ローラ23は、図2に示すように、転写ローラ軸21と、転写ローラ本体22とを備えている。
【0051】
転写ローラ軸21は、金属からなり、左右方向に延びる略円柱形状に形成されている。
【0052】
転写ローラ本体22は、樹脂からなり、左右方向に延びる略円筒形状に形成され、転写ローラ軸21の左右方向両端部を露出するように、転写ローラ軸21を被覆している。
【0053】
転写ローラ23は、後で詳述するが、画像形成動作時には、図3(a)に示すように、感光ドラム14の回転に追従するように右側面視時計回り方向に回転される。転写ローラ23は、クリーニング動作時には、図3(b)に示すように、感光ドラム14の回転に対抗するように右側面視反時計回り方向に回転される。本実施形態における右側面視時計回り方向が、本発明における第1の回転方向の一例である。本実施形態における右側面視反時計回り方向が、本発明における第2の回転方向の一例である。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット11は、図1に示すように、転写ユニット10の後側に配置され、加熱ローラ24と、加熱ローラ24に対向する加圧ローラ25とを備えている。
(4)画像形成動作
現像ユニット13内のトナーは、供給ローラ18と現像ローラ17との間で正極性に摩擦帯電され、一定厚さの薄層として現像ローラ17の表面に担持される。
【0054】
一方、感光ドラム14の表面は、感光ドラム14の回転に伴って、スコロトロン型帯電器15により一様に正帯電された後、図1において破線により示すスキャナユニット8からのレーザービームの高速走査により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム14の表面に形成される。
【0055】
感光ドラム14がさらに回転すると、現像ローラ17の表面に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム14の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム14の静電潜像は可視像化され、感光ドラム14の表面には、反転現像によるトナー像、即ち現像剤像が担持される。
【0056】
そして、給紙部3から給紙された用紙Pは、感光ドラム14の回転、および、転写ローラ23の回転により、前側から後側に向かって、すべての感光ドラム14とすべての転写ローラ23との接触部分を通過するように搬送される。
【0057】
すると、転写ローラ23に印加される転写バイアスにより、感光ドラム14に担持されているトナー像が、用紙Pに転写され、用紙P上にカラー画像が形成される。トナー像が用紙Pに転写され、用紙P上にカラー画像が形成される動作を転写動作という。
【0058】
なお、この転写動作時、感光ドラム14と転写ローラ23との接触部分において、転写ローラ23の周速は、感光ドラム14の周速と同等、より具体的には、感光ドラム14の周速に対して95〜105%の周速に調整されている。
【0059】
そして、転写ユニット10において用紙Pに転写されたカラー画像は、用紙Pが加熱ローラ24と加圧ローラ25との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。本実施形態における転写動作時の転写ローラ23の周速が、本発明における第1の周速の一例である。
【0060】
トナー像が定着した用紙Pは、後上側へUターンするように搬送され、本体ケーシング2の上壁に形成される排紙トレイ27上に排紙される。
2.転写残トナーの回収に関する構成
本体ケーシング2内には、4つのクリーニングローラの一例としてのドラムクリーニングローラ16と、1つの回収部の一例としての転写残トナー収容部31とが設けられている。
(1)ドラムクリーニングローラ
4つのドラムクリーニングローラ16のそれぞれは、4つの感光ドラム14のそれぞれの後側に、1つずつ対向配置されている。また、ドラムクリーニングローラ16は、対応する感光ドラム14に対して後側から接触されている。また、ドラムクリーニングローラ16は、ドラムクリーニングローラ軸41と、ドラムクリーニングローラ本体42とを備えている。なお、ドラムクリーニングローラ16は、ドラムクリーニングローラ軸41を中心として回転可能である。
【0061】
ドラムクリーニングローラ軸41は、金属からなり、左右方向に延びる略円柱形状に形成されている。
【0062】
ドラムクリーニングローラ本体42は、樹脂からなり、左右方向に延びる略円筒形状に形成され、ドラムクリーニングローラ軸41の左右方向両端部を露出するように、ドラムクリーニングローラ軸41を被覆している。
(2)転写残トナー収容部
転写残トナー収容部31は、転写ユニット10の下側、かつ、給紙トレイ6の上側に配置されている。転写残トナー収容部31は、収容部材の一例としての収容筐体32を1つ備えている。つまり、収容筐体32は、すべての転写ローラ23に対して1つ設けられている。
【0063】
収容筐体32は、前後方向に延びる略ボックス形状に形成されている。収容筐体32の上壁には、4つの回収口34が形成されている。また、4つの回収口34のそれぞれには、その内側において、回収ローラ33が1つずつ設けられている。
【0064】
4つの回収口34のそれぞれは、4つの転写ローラ23のそれぞれに1つずつ対向するように、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。回収口34は、転写ローラ本体22の下端部を受け入れ可能な前後方向長さおよび左右方向長さに形成されている。
【0065】
回収ローラ33は、図2に示すように、回収ローラ軸35と、回収ローラ本体36とを備えている。なお、回収ローラ33は、図示しない駆動源により、回収ローラ軸35を中心として、右側面視反時計回りに回転可能である。
【0066】
回収ローラ軸35は、金属からなり、左右方向に沿って延びる略円柱形状に形成されている。回収ローラ軸35の左右方向長さは、転写ローラ軸21の左右方向長さと同等である。
【0067】
回収ローラ本体36は、導電性の樹脂などから、左右方向に延びる略円筒形状に形成され、回収ローラ軸35の左右方向両端部を露出するように、回収ローラ軸35を被覆している。回収ローラ本体36の左右方向長さは、転写ローラ本体22の左右方向長さと同等である。
【0068】
そして、転写残トナー収容部31は、4つの転写ローラ23のそれぞれの下端部が4つの回収口34のそれぞれに受け入れられるように、転写ユニット10の下側に配置されている。また、回収ローラ33は、対応する転写ローラ23に下側から接触されている。
3.プリンタの電気的構成
図2に示すように、プリンタ1は、マイクロコンピュータ51と、第1制御部の一例としての駆動回路52と、モータ53と、第2制御部の一例としてのバイアス回路55と、バイアス印加手段の一例としての電源54とを備えている。
【0069】
マイクロコンピュータ51は、CPUおよびメモリなどにより構成されている。マイクロコンピュータ51は、CPUによるプログラム処理によってソフトウェア的に実現される構成として、転写バイアス制御部59と、回収バイアス制御部60と、ドラムクリーニングバイアス制御部61と、駆動制御部62とを備えている。転写バイアス制御部59は、バイアス回路55の転写バイアス回路56を制御する。回収バイアス制御部60は、バイアス回路55の回収バイアス回路57を制御する。ドラムクリーニングバイアス制御部61は、バイアス回路55のドラムクリーニングバイアス回路58を制御する。駆動制御部62は、駆動回路52を制御する。マイクロコンピュータ51は、駆動回路52およびバイアス回路55に電気的に接続されている。
【0070】
駆動回路52は、モータ53に電気的に接続されている。駆動回路52は、マイクロコンピュータ51の駆動制御部62の制御に基づいて、モータ53の駆動を制御する。
【0071】
モータ53は、正逆回転可能であり、図示しないギヤ列などを介して、転写ローラ23の転写ローラ軸21に駆動力を入力する。すなわち、駆動回路52は、モータ53の駆動を制御することにより、転写ローラ23の周速を制御している。
【0072】
バイアス回路55は、転写ローラ23に印加されるバイアスを制御する転写バイアス回路56と、回収ローラ33に印加されるバイアスを制御する回収バイアス回路57と、ドラムクリーニングローラ16に印加されるバイアスを制御するドラムクリーニングバイアス回路58とを備えている。転写ローラ23に印加されるバイアスを転写バイアスという。回収ローラ33に印加されるバイアスを回収バイアスという。ドラムクリーニングローラ16に印加されるバイアスをドラムクリーニングバイアスという。
【0073】
転写バイアス回路56は、転写ローラ23の転写ローラ軸21に電気的に接続されている。転写バイアス回路56は、マイクロコンピュータ51の転写バイアス制御部59の制御に基づいて、電源54からのバイアスを、所定の転写バイアスに調整して、転写ローラ軸21に印加する。
【0074】
回収バイアス回路57は、回収ローラ33の回収ローラ軸35に電気的に接続されている。回収バイアス回路57は、マイクロコンピュータ51の回収バイアス制御部60の制御に基づいて、電源54からのバイアスを、所定の回収バイアスに調整して、回収ローラ軸35に印加する。
【0075】
ドラムクリーニングバイアス回路58は、ドラムクリーニングローラ16のドラムクリーニングローラ軸41に電気的に接続されている。ドラムクリーニングバイアス回路58は、マイクロコンピュータ51のドラムクリーニングバイアス制御部61の制御に基づいて、電源54からのバイアスを、所定のドラムクリーニングバイアスに調整して、ドラムクリーニングローラ軸41に印加する。
【0076】
電源54は、転写バイアス回路56、回収バイアス回路57、および、ドラムクリーニングバイアス回路58に電気的に接続されている。
4.クリーニング動作
(1)画像形成動作時における感光ドラムのクリーニング
上記した画像形成動作時においては、転写ローラ軸21には、転写バイアス回路56から、例えば、−3kVの転写バイアスが印加される。
【0077】
また、ドラムクリーニングローラ軸41には、ドラムクリーニングバイアス回路58から、例えば、−300Vのドラムクリーニングバイアスが印加される。
【0078】
そして、画像形成動作時においては、上記したように、感光ドラム14と転写ローラ23との対向部分を通過するときに、感光ドラム14に担持されているトナー像が用紙Pに転写される。
【0079】
このとき、感光ドラム14の周面には、用紙Pに転写されなかったトナーが残存する場合がある。
【0080】
感光ドラム14の周面に残存する転写残トナー、即ち転写残現像剤は、感光ドラム14の右側面視反時計回り方向への回転に伴って、ドラムクリーニングローラ16に対向される。すると、転写残トナーは、ドラムクリーニングバイアスによって、ドラムクリーニングローラ16の周面に静電気的に保持される。
(2)ドラムクリーニングローラからの転写残トナーの回収動作
そして、このプリンタ1では、そのウォーミングアップ動作時など、上記した画像形成動作が実施されないときに、ドラムクリーニングローラ16に保持されている転写残トナーを、転写残トナー収容部31へ回収する。ドラムクリーニングローラ16に保持されている転写残トナーを、転写残トナー収容部31へ回収する動作をクリーニング動作という。
【0081】
このとき、ドラムクリーニングローラ軸41には、ドラムクリーニングバイアス回路58から、例えば、−200Vのドラムクリーニングバイアスが印加される。
【0082】
また、転写ローラ軸21には、転写バイアス回路56から、例えば、−3.5kVの転写バイアスが印加される。
【0083】
なお、第1実施形態では、回収ローラ軸35には、回収バイアスが印加されない。
【0084】
また、駆動回路52は、図3(b)に示すように、モータ53を逆転させて、転写ローラ23を右側面視反時計回りに回転させる。つまり、感光ドラム14と転写ローラ23との接触部分において、転写ローラ23の周速は、転写動作時の転写ローラ23の周速を正の値としたときに、負の値となるように切り替えられる。これにより、感光ドラム14と転写ローラ23との接触部分における感光ドラム14と転写ローラ23との周速差は、感光ドラム14の右側面視反時計回りの周速と、転写ローラ23を右側面視反時計回りの周速との総和となる。本実施形態におけるクリーニング動作時の転写ローラ23の周速が、本発明における第2の周速の一例である。
【0085】
すると、クリーニング動作時においては、まず、ドラムクリーニングローラ16に保持されている転写残トナーが、ドラムクリーニングバイアスにより、感光ドラム14の周面に吐き出される。即ち、転写残トナーが、感光ドラム14の周面に供給される。
【0086】
感光ドラム14の周面に吐き出された転写残トナーは、感光ドラム14の右側面視反時計回り方向への回転に伴って、転写ローラ23に対向される。
【0087】
すると、感光ドラム14上の転写残トナーは、転写ローラ23の右側面視反時計回り方向への回転によって物理的に掻き取られるとともに、転写バイアスによって、転写ローラ23の周面に静電気的に保持される。
【0088】
その後、転写ローラ23の周面に保持された転写残トナーは、転写ローラ23の右側面視反時計回り方向への回転に伴って回収ローラ33に対向され、回収ローラ33によって物理的に掻き取られる。掻き取られた転写残トナーは、転写残トナー収容部31の収容筐体32内に落下されて、貯留される。
【0089】
このようにして、ドラムクリーニングローラからの転写残トナーの回収が完了する。
5.作用効果
(1)このプリンタ1によれば、図1および図3(b)に示すように、感光ドラム14の周面に残存する転写残トナーを、転写ローラ23を介して、転写残トナー収容部31に回収することができる。
【0090】
そのため、転写残トナー収容部31を4つの感光ドラム14のそれぞれに対して設けることなく、転写ローラ23を利用して、転写残トナーを転写残トナー収容部31に回収することができる。
【0091】
その結果、プリンタ1が大型化することを抑制しながら、プリンタ1の低コスト化を図ることができる。
(2)また、このプリンタ1によれば、転写ローラ23は、画像形成動作時には、図3(a)に示すように、感光ドラム14の回転に追従するように右側面視時計回り方向に回転される。転写ローラ23は、クリーニング動作時には、図3(b)に示すように、感光ドラム14の回転に対抗するように右側面視反時計回り方向に回転される。
【0092】
そのため、感光ドラム14と転写ローラ23との接触部分において、感光ドラム14と転写ローラ23との間に大きな周速差を生じさせることができる。
【0093】
これにより、生じた周速差の分、転写ローラ23を感光ドラム14に対して摩擦させることができる。
【0094】
その結果、感光ドラム14の周面から、転写残トナーをより効率よく掻き取ることができる。
(3)また、このプリンタ1によれば、画像形成動作時において、ドラムクリーニングローラ16に転写残トナーを一旦保持し、クリーニング動作時において、ドラムクリーニングローラ16に保持された転写残トナーを感光ドラム14に吐き出している。
【0095】
そのため、画像形成動作が実施されていないときに、転写残トナーを転写残トナー収容部31へ回収することができ、効率よく、画像形成動作とクリーニング動作とを実施することができる。
(4)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、転写ローラ23からの転写残トナーを、回収ローラ33を介して、収容筐体32へ回収することができる。
【0096】
そのため、転写ローラ23上の転写残トナーを回収ローラ33で掻き取ることができ、転写ローラ23に転写残トナーが残存することを抑制することができる。
(5)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、収容筐体32は、すべての転写ローラ23に対して1つ設けられている。
【0097】
そのため、4つの感光ドラム14のそれぞれに対して個別に収容筐体32を設ける構成に比べて、部品点数の低減を図ることができるとともに、収容筐体32を容易にメンテナンスすることができる。
(6)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、収容筐体32は、転写ローラ23に対して感光ドラム14の反対側、すなわち、転写ローラ23の下側に配置されている。
【0098】
そのため、転写ローラ23に対して感光ドラム14側、すなわち、感光ドラム14の近傍に、収容筐体32を配置することなく、転写ローラ23の下側のスペースを利用して、効率よく、収容筐体32を配置することができる。
6.第2実施形態
図4を参照して、第2実施形態における転写残トナー収容部70を説明する。なお、第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
上記した第1実施形態では、転写残トナー収容部31には、転写ローラ23から転写残トナーを掻き取る回収ローラ33が設けられている。
【0100】
しかし、転写ローラ23から転写残トナーを除去する構成は、特に限定されない。例えば、第2実施形態では、図4に示すように、回収ローラ33の代わりに、掻き取り部材の一例としての掻き取りブレード71を設ける。
【0101】
掻き取りブレード71は、転写ローラ23の後側に配置されている。掻き取りブレード71は、左右方向に長手の略平板形状に形成されており、その後端部、即ち基端部において収容筐体32に支持される。それとともに、掻き取りブレード71は、その前端部、即ち遊端部において転写ローラ23の周面に接触されている。掻き取りブレード71の左右方向長さは、転写ローラ本体22の左右方向長さと同等である。
【0102】
第2実施形態によれば、転写ローラ23からの転写残トナーを、掻き取りブレード71で掻き取って、収容筐体32へ回収することができる。
【0103】
そのため、転写ローラ23に転写残トナーが残存することを抑制することができる。
【0104】
また、第2実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
7.第3実施形態
図5を参照して、第3実施形態における転写残トナー収容部80を説明する。なお、第3実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
上記した第1実施形態では、回収ローラ33で転写ローラ23から転写残トナーを掻き取って、収容筐体32内に転写残トナーを回収している。
【0106】
しかし、転写ローラ23から転写残トナーを除去する構成は、特に限定されない。例えば、第3実施形態では、図5に示すように、回収ローラ33に加えて、掻き取り部材の一例としての掻き取りブレード71と、スクリュー73と、貯留部74とを備えている。
【0107】
また、第3実施形態では、回収ローラ軸35には、回収バイアス回路57から、例えば、−5kVの回収バイアスが印加される。これにより、転写ローラ23の周面に保持された転写残トナーは、回収ローラ33に対向されたときに回収ローラ33に転移され、回収ローラ33の周面に静電気的に保持される。
【0108】
掻き取りブレード71は、回収ローラ33の後側に配置されている。掻き取りブレード71は、左右方向に長手の略平板形状に形成されており、その後端部、即ち基端部において収容筐体32に支持されるとともに、その前端部、即ち遊端部において回収ローラ33の周面に接触されている。掻き取りブレード71の左右方向長さは、回収ローラ本体36の左右方向長さと同等である。
【0109】
スクリュー73は、収容筐体32の底面に沿うように、前後方向に沿って配置されている。スクリュー73は、回転することにより、収容筐体32内の転写残トナーを前側から後側へ搬送する。
【0110】
貯留部74は、収容筐体32の下側後端部に連続して設けられ、左右方向に延びる略ボックス形状に形成されている。貯留部74内には、スクリュー73によって搬送された転写残トナーが貯留される。
【0111】
第3実施形態によれば、転写ローラ23に印加されるバイアスを、バイアス回路55の転写バイアス回路56において、−3.5kVに制御するとともに、回収ローラ33に印加されるバイアスを、バイアス回路55の回収バイアス回路57において、−5kVに制御している。
【0112】
そのため、転写ローラ23上の転写残トナーを、静電気的に回収ローラ33で除去することができる。
【0113】
その結果、より効率よく、転写ローラ23から転写残トナーを除去することができる。
【0114】
また、第3実施形態によれば、回収ローラ33に保持される転写残トナーを、掻き取りブレード71で掻き取って、収容筐体32へ回収することができる。
【0115】
そのため、回収ローラ33に転写残トナーが残存することを抑制することができ、回収ローラ33に一旦保持された転写残トナーが、再度、転写ローラ23へ付着することを防止することができる。
【0116】
その結果、転写残トナーをより確実に回収することができる。
【0117】
また、第3実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
8.その他の変形例
上記した第1実施形態では、クリーニング動作時において転写ローラ23を逆転させているが、クリーニング動作時に感光ドラム14と転写ローラ23との間に周速差を生じさせる方法は特に限定されず、例えば、クリーニング動作時において、転写ローラ23を逆転させることなく、転写ローラ23の周速を減速させてもよい。
【0118】
この場合、クリーニング動作時における転写ローラ23の周速は、画像形成動作時における転写ローラ23の周速に対して、例えば、0〜50%に調整される。
【0119】
この変形例においても、生じた周速差の分、転写ローラ23を感光ドラム14に対して摩擦させることができる。
【0120】
その結果、感光ドラム14の周面から、転写残トナーをより効率よく掻き取ることができる。
【0121】
また、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0122】
1 プリンタ
14 感光ドラム
16 ドラムクリーニングローラ
23 転写ローラ
31 転写残トナー収容部
32 収容筐体
33 回収ローラ
52 駆動回路
54 電源
55 バイアス回路
70 転写残トナー収容部
71 掻き取りブレード
80 転写残トナー収容部
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムにそれぞれ対向配置される転写ローラであって、前記感光ドラムのそれぞれに担持される現像剤像を被転写部材に転写する転写ローラと、
前記複数の感光ドラムのそれぞれの表面において残存する転写残現像剤を、前記転写ローラを介して回収する回収部と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ローラの周速を調整する第1制御部をさらに備え、
前記第1制御部は、
前記現像剤像を前記被転写部材に転写する転写動作時において、前記転写ローラの周速を、前記感光ドラムの周速と同等の第1の周速に調整し、
前記転写残現像剤を前記回収部に回収するクリーニング動作時において、前記転写ローラの周速を、前記第1の周速とは異なる第2の周速に調整することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ローラは、第1の回転方向と、前記第1の回転方向に対して逆方向となる第2の回転方向とに切り替え可能に構成され、
前記第1制御部は、前記転写動作時において、前記転写ローラを前記第1の回転方向で回転させ、前記クリーニング動作時において、前記転写ローラを前記第2の回転方向で回転させることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の感光ドラムにそれぞれ対向配置されるクリーニングローラをさらに備え、
前記クリーニングローラは、前記転写残現像剤を一旦保持するとともに、保持した前記転写残現像剤を前記感光ドラムに供給することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回収部は、
前記転写残現像剤を収容する収容部材と、
前記転写ローラからの前記転写残現像剤を、前記収容部材へ回収する回収ローラと
を備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ローラおよび前記回収ローラにバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記転写ローラおよび前記回収ローラに印加されるバイアスを制御する第2制御部と
をさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回収部は、前記回収ローラから前記転写残現像剤を掻き取るための掻き取り部材を、さらに備えることを特徴とする、請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回収部は、
前記転写残現像剤を収容する収容部材と、
前記転写ローラから前記転写残現像剤を掻き取るための掻き取り部材と
を備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記収容部材は、すべての前記転写ローラに対して1つ設けられていることを特徴とする、請求項5ないし8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記収容部材は、前記転写ローラに対して、前記感光ドラムの反対側に配置されていることを特徴とする、請求項5ないし9のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113998(P2013−113998A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259445(P2011−259445)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】