説明

画像形成装置

【課題】 同一の利用者情報による多重のログインを適切に制御することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 MFPのログイン状態管理部は、同一の利用者IDによる多重のログインである同一情報多重ログインのうち先のログインである同一情報先ログインが記録されている場合に(S121でYES)、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報多重ログインのうち後のログインである同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせが同一情報多重ログインが許可される組み合わせとして多重ログイン設定部によって設定されているとき(S125でYES)、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可する(S122)ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の識別情報である利用者情報によるログインを許可する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる利用者情報による多重のログインを許可する画像形成装置が知られている(特許文献1〜3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−58589号公報
【特許文献2】特開2008−204204号公報
【特許文献3】特開2010−114504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、画像形成装置において同一の利用者情報による多重のログインを許可することによって、画像形成装置の利便性を向上することができる場合があると考えた。しかしながら、従来の画像形成装置として、同一の利用者情報による多重のログインを許可するものは知られていない。
【0005】
そこで、本発明は、同一の利用者情報による多重のログインを適切に制御することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、利用者の識別情報である利用者情報によるログインの依頼を受け付ける依頼受け付け手段と、前記依頼受け付け手段によって受け付けられた前記依頼に基づいて認証を実行する認証手段と、前記認証手段による認証が成功した前記依頼の対象の前記ログインを許可するか否かを決定するログイン手段と、前記ログイン手段によって許可されている前記ログインを記録する許可ログイン記録手段と、同一の前記利用者情報による多重の前記ログインである同一情報多重ログインが許可されるための前記同一情報多重ログインのそれぞれの前記依頼の種類の組み合わせを設定する許可組み合わせ設定手段とを備えており、前記ログイン手段は、前記同一情報多重ログインのうち先の前記ログインである同一情報先ログインが前記許可ログイン記録手段によって記録されている場合に、前記同一情報先ログインの前記依頼の種類と、前記同一情報多重ログインのうち後の前記ログインである同一情報後ログインの前記依頼の種類との組み合わせが前記許可組み合わせ設定手段によって設定されているとき、前記同一情報後ログインを前記同一情報先ログインと多重に許可することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、単に同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可するのではなく、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせが同一情報多重ログインが許可される組み合わせとして予め設定されているときに、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可する。すなわち、本発明の画像形成装置は、同一の利用者情報による多重のログインを適切に制御することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、前記許可組み合わせ設定手段によって設定されている前記組み合わせを利用者からの指示に応じて変更する許可組み合わせ変更手段を備えていても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、同一情報多重ログインが許可されるための同一情報多重ログインのそれぞれの依頼の種類の組み合わせを、利用者からの指示に応じて変更することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記同一情報多重ログインが許可されない場合に前記同一情報先ログインおよび前記同一情報後ログインの何れが優先して許可されるかを示す情報である優先許可情報を設定する優先許可設定手段を備えており、前記ログイン手段は、前記同一情報先ログインが前記許可ログイン記録手段によって記録されていて前記同一情報後ログインを前記同一情報先ログインと多重に許可しない場合に、前記優先許可設定手段によって設定されている前記優先許可情報に従って前記同一情報先ログインおよび前記同一情報後ログインの一方のみを許可しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に、単に同一情報後ログインのログインを禁止するのではなく、予め設定されている優先許可情報に従って同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの一方のみを許可する。すなわち、本発明の画像形成装置は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に、同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの何れが許可されるかを適切に制御することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、前記優先許可設定手段によって設定されている前記優先許可情報を利用者からの指示に応じて変更する優先許可変更手段を備えていても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成装置は、同一情報多重ログインが許可されない場合に同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの何れが優先して許可されるかを、利用者からの指示に応じて変更することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置の前記優先許可設定手段は、前記同一情報先ログインの前記依頼の種類と、前記同一情報後ログインの前記依頼の種類との組み合わせ毎に前記優先許可情報を設定しても良い。
【0015】
この構成により、本発明の画像形成装置は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に同一情報先ログインおよび同一情報後ログインのうち許可される方が常に固定ではなく、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせ毎に異ならせることができる。すなわち、本発明の画像形成装置は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に、同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの何れが許可されるかを更に適切に制御することができる。
【0016】
本発明の画像形成装置用プログラムは、利用者の識別情報である利用者情報によるログインの依頼を受け付ける依頼受け付けステップと、前記依頼受け付けステップによって受け付けられた前記依頼に基づいて認証を実行する認証ステップと、前記認証ステップによる認証が成功した前記依頼の対象の前記ログインを許可するか否かを決定するログインステップと、前記ログインステップによって許可されている前記ログインを記録する許可ログイン記録ステップと、同一の前記利用者情報による多重の前記ログインである同一情報多重ログインが許可されるための前記同一情報多重ログインのそれぞれの前記依頼の種類の組み合わせを設定する許可組み合わせ設定ステップとを画像形成装置に実行させ、前記ログインステップは、前記同一情報多重ログインのうち先の前記ログインである同一情報先ログインが前記許可ログイン記録ステップによって記録されている場合に、前記同一情報先ログインの前記依頼の種類と、前記同一情報多重ログインのうち後の前記ログインである同一情報後ログインの前記依頼の種類との組み合わせが前記許可組み合わせ設定ステップによって設定されているとき、前記同一情報後ログインを前記同一情報先ログインと多重に許可するステップであることを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、単に同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可するのではなく、同一情報先ログインの前記依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせが予め設定されているときに、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可する。すなわち、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、同一の利用者情報による多重のログインを適切に制御することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置は、同一の利用者情報による多重のログインを適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係るネットワークシステムのブロック図である。
【図2】図1に示すMFPのブロック図である。
【図3】図2に示すログイン状態情報の一例を示す図である。
【図4】図3に示すログイン状態情報におけるログインの依頼の種類の例を示す図である。
【図5】図2に示す多重ログイン設定情報の一例を示す図である。
【図6】図2に示す優先許可情報の一例を示す図である。
【図7】図1に示すPCのブロック図である。
【図8】図1に示す携帯端末のブロック図である。
【図9】ログインの依頼が入力された場合の図1に示すMFPのログイン部の動作のフローチャートである。
【図10】ログインの可否が問い合わされた場合の図1に示すMFPのログイン状態管理部の動作のフローチャートである。
【図11】認証が失敗する場合の図1に示すネットワークシステムの動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【図12】認証が成功して同一情報多重ログインが発生しない場合の図1に示すネットワークシステムの動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【図13】認証が成功して許可される同一情報多重ログインが発生した場合の図1に示すネットワークシステムの動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【図14】認証が成功して許可されない同一情報多重ログインが発生し、同一情報後ログインが優先して許可される場合の図1に示すネットワークシステムの動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【図15】認証が成功して許可されない同一情報多重ログインが発生し、同一情報後ログインが優先して許可されない場合の図1に示すネットワークシステムの動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本実施の形態に係るネットワークシステムの構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るネットワークシステム10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、ネットワークシステム10は、画像形成装置であるMFP(Multifunction Peripheral)20と、MFP20の外部の装置であるPC(Personal Computer)30および携帯端末40とを備えている。MFP20、PC30および携帯端末40は、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク11を介して互いに通信可能に接続されている。
【0024】
図2は、MFP20のブロック図である。
【0025】
図2に示すように、MFP20は、MFP20全体を制御する制御部21と、各種のデータを記憶しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶デバイスである記憶部22と、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部23と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部24と、用紙に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター25と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー26と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部27と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部28と、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信技術によって外部の装置と通信を行う通信デバイスである近距離無線通信部29とを備えている。
【0026】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部22に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0027】
記憶部22は、MFP20用のプログラムである画像形成装置用プログラム22aと、MFP20の利用者の識別情報である利用者情報としての利用者ID22bと、MFP20の利用者のログイン用のパスワード22cと、許可されているログインを含むログインの状態を示す情報であるログイン状態情報22dと、同一の利用者ID22bによる多重のログイン(以下「同一情報多重ログイン」という。)が許可されるための同一情報多重ログインのそれぞれの依頼の種類の組み合わせ、および、同一情報多重ログインが許可されない同一情報多重ログインのそれぞれの依頼の種類の組み合わせの設定の情報である多重ログイン設定情報22eと、同一情報多重ログインが許可されない場合に同一情報多重ログインのうち何れが優先して許可されるかを示す情報である優先許可情報22fとを記憶している。なお、利用者ID22bおよびパスワード22cは、MFP20の利用者毎に記憶部22に記憶されている。
【0028】
画像形成装置用プログラム22aは、MFP20の製造段階でMFP20にインストールされていても良いし、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体から、または、ネットワーク11上からMFP20に追加でインストールされても良い。
【0029】
図3は、ログイン状態情報22dの一例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、ログイン状態情報22dは、セッションの識別情報であるセッションIDと、ログインの依頼の利用者IDと、ログインの依頼の種類と、ログインの依頼のアクセスの日時を示すアクセス日時と、ログインが許可された日時を示すログイン日時と、ログアウトの日時を示すログアウト日時と、ログインの結果を示すログイン結果とをセッション毎に記録しているデータベースである。
【0031】
なお、図3において、セッションIDが「001」のセッションは、ログインの依頼の利用者IDが「USER_A」であり、ログインの依頼の種類が「操作部からのコピーの依頼」であり、アクセス日時およびログイン日時が「2010年3月15日12時0分0秒」である。セッションIDが「001」のセッションは、ログイン中のセッションが他に無いことによって、ログインが許可されたセッションである。
【0032】
セッションIDが「002」のセッションは、ログインの依頼の利用者IDが「USER_A」であり、ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」であり、アクセス日時が「2010年3月15日12時1分0秒」である。セッションIDが「002」のセッションは、セッションIDが「001」のセッションとの多重のログインが多重ログイン設定情報22eに基づいて認められず、ログイン中のセッションであるセッションIDが「001」のセッションとの関係でログインが優先許可情報22fに基づいて優先して許可されないことによって、ログインが許可されなかったセッションである。
【0033】
セッションIDが「003」のセッションは、ログインの依頼の利用者IDが「USER_B」であり、ログインの依頼の種類が「ユーティリティーソフトウェアからのMFPの各種の設定の依頼」であり、アクセス日時およびログイン日時が「2010年3月15日12時5分0秒」である。セッションIDが「003」のセッションは、ログイン中のセッションであるセッションIDが「001」のセッションの利用者IDとは異なる利用者IDであることによって、ログインが許可されたセッションである。
【0034】
セッションIDが「004」のセッションは、ログインの依頼の利用者IDが「USER_A」であり、ログインの依頼の種類が「携帯端末からの印刷の依頼」であり、アクセス日時およびログイン日時が「2010年3月15日12時6分0秒」である。セッションIDが「004」のセッションは、ログイン中のセッションであるセッションIDが「001」のセッションとの多重のログインが多重ログイン設定情報22eに基づいて認められ、ログイン中のセッションであるセッションIDが「003」のセッションの利用者IDとは異なる利用者IDであることによって、ログインが許可されたセッションである。
【0035】
セッションIDが「005」のセッションは、ログインの依頼の利用者IDが「USER_B」であり、ログインの依頼の種類が「操作部からのコピーの依頼」であり、アクセス日時およびログイン日時が「2010年3月15日12時10分0秒」である。セッションIDが「005」のセッションは、ログイン中のセッションであるセッションIDが「001」および「004」のセッションの利用者IDとは異なる利用者IDであり、ログイン中のセッションであるセッションIDが「003」のセッションとの多重のログインが多重ログイン設定情報22eに基づいて認められず、セッションIDが「003」のセッションとの関係でログインが優先許可情報22fに基づいて優先して許可されることによって、ログインが許可されたセッションである。なお、セッションIDが「003」のセッションは、セッションIDが「005」のセッションのログインが許可される前にログアウトされている。
【0036】
セッションIDが「006」のセッションは、ログインの依頼の利用者IDが「USER_C」であり、ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」であり、アクセス日時が「2010年3月15日12時11分0秒」である。セッションIDが「006」のセッションは、認証が失敗してログインが許可されなかったセッションである。
【0037】
図4は、ログインの依頼の種類の例を示す図である。
【0038】
ログイン状態情報22dにおけるログインの依頼の種類としては、例えば図4に示すように、操作部23からのコピーの依頼、操作部23からのスキャンの依頼、操作部23からのFAX送信の依頼、操作部23からのMFP20の各種の設定の依頼、PC30などの外部の装置のプリンタードライバーからの印刷の依頼、近距離無線通信技術、Webブラウザーなどの通信技術による携帯端末40からの印刷の依頼、PC30、携帯端末40などの外部の装置のWebブラウザーからのMFP20の各種の設定の依頼、PC30などの外部の装置のユーティリティーソフトウェアからの印刷の依頼、PC30などの外部の装置のユーティリティーソフトウェアからのMFP20の各種の設定の依頼など、各種の依頼の方法がある。図4に列挙した依頼の種類は、あくまで例であるので、他の依頼の種類が含まれていても良い。
【0039】
図5は、多重ログイン設定情報22eの一例を示す図である。
【0040】
図5に示すように、多重ログイン設定情報22eは、各設定の識別情報である設定番号と、ログインを許可するか否かを示すログイン可否と、同一情報多重ログインのうち先のログインである同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報先ログインの利用者IDと同一の利用者IDによる後のログインである同一情報後ログインの依頼の種類とを設定毎に記録している。
【0041】
後述の多重ログイン設定部21dは、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせが複数の設定に重複している場合、設定番号が小さい設定を優先して採用する。例えば、図5において、同一情報先ログインの依頼の種類が「操作部からのコピーの依頼」であり、同一情報後ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」である組み合わせは、設定番号が「1」の設定と、設定番号が「3」の設定とに重複している。したがって、後述の多重ログイン設定部21dは、同一情報先ログインの依頼の種類が「操作部からのコピーの依頼」であり、同一情報後ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」である組み合わせについて、設定番号が「1」の設定と、設定番号が「3」の設定とのうち、設定番号が小さい設定である設定番号が「1」の設定を採用する。
【0042】
なお、後述の多重ログイン設定部21dは、多重ログイン設定情報22eにおいて明示的に記録されていない組み合わせについて、ログインを許可するか否かを設定することができる。
【0043】
図6は、優先許可情報22fの一例を示す図である。
【0044】
図6に示すように、優先許可情報22fは、各設定の識別情報である設定番号と、同一情報先ログインおよび同一情報後ログインのうち何れが優先して許可されるかを示す優先許可と、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類とを設定毎に記録している。
【0045】
後述の優先許可設定部21eは、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせが複数の設定に重複している場合、設定番号が小さい設定を優先して採用する。例えば、図6において、同一情報先ログインの依頼の種類が「操作部からのコピーの依頼」であり、同一情報後ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」である組み合わせは、設定番号が「1」の設定と、設定番号が「3」の設定とに重複している。したがって、後述の優先許可設定部21eは、同一情報先ログインの依頼の種類が「操作部からのコピーの依頼」であり、同一情報後ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」である組み合わせについて、設定番号が「1」の設定と、設定番号が「3」の設定とのうち、設定番号が小さい設定である設定番号が「1」の設定を採用する。
【0046】
なお、後述の優先許可設定部21eは、優先許可情報22fにおいて明示的に記録されていない組み合わせについて、同一情報先ログインおよび同一情報後ログインのうち何れが優先して許可されるかを設定することができる。
【0047】
図2に示すように、制御部21は、記憶部22に記憶されている画像形成装置用プログラム22aを実行することによって、操作部23、ネットワーク通信部28および近距離無線通信部29などのインターフェイスから利用者IDおよびパスワードを受け取るログイン部21a、および、同一情報多重ログインを制御する多重ログイン制御部21bとして機能する。多重ログイン制御部21bは、ログインの状態をログイン状態情報22dによって管理する本発明の許可ログイン記録手段としてのログイン状態管理部21cと、同一情報多重ログインが許可されるために多重ログイン設定情報22eを設定する本発明の許可組み合わせ設定手段としての多重ログイン設定部21dと、同一情報多重ログインが許可されない場合に同一情報多重ログインの何れが優先して許可されるかを優先許可情報22fによって設定する本発明の優先許可設定手段としての優先許可設定部21eとを備えている。
【0048】
ここで、ログイン部21aは、後述するように、利用者IDによるログインの依頼を受け付けるので、本発明の依頼受け付け手段を構成している。また、ログイン部21aは、後述するように、受け付けたログインの依頼に基づいて認証を実行するので、本発明の認証手段を構成している。
【0049】
ログイン状態管理部21cは、後述するように、認証が成功した依頼の対象のログインを許可するか否かを決定するので、本発明のログイン手段を構成している。
【0050】
多重ログイン設定部21dは、MFP20の操作部23、PC30の後述の操作部33または携帯端末40の後述の操作部43などのインターフェイスを介して入力された利用者からの指示に応じて多重ログイン設定情報22eを変更するので、本発明の許可組み合わせ変更手段を構成している。なお、多重ログイン設定情報22eの変更を指示することができる利用者は、管理者など、特別な権限を持った者であっても良い。
【0051】
優先許可設定部21eは、MFP20の操作部23、PC30の後述の操作部33または携帯端末40の後述の操作部43などのインターフェイスを介して入力された利用者からの指示に応じて優先許可情報22fを変更するので、本発明の優先許可変更手段を構成している。なお、優先許可情報22fの変更を指示することができる利用者は、管理者など、特別な権限を持った者であっても良い。
【0052】
図7は、PC30のブロック図である。
【0053】
図7に示すように、PC30は、PC30全体を制御する制御部31と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているHDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである記憶部32と、利用者による種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部33と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部34と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部35とを備えている。
【0054】
制御部31は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMおよび記憶部32に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0055】
図8は、携帯端末40のブロック図である。
【0056】
図8に示すように、携帯端末40は、携帯端末40全体を制御する制御部41と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているフラッシュメモリーなどの記憶デバイスである記憶部42と、利用者による種々の操作が入力されるボタン、タッチパネルなどの入力デバイスである操作部43と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部44と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部45と、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信技術によって外部の装置と通信を行う通信デバイスである近距離無線通信部46とを備えている。
【0057】
制御部41は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMおよび記憶部42に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0058】
次に、ネットワークシステム10の動作について説明する。
【0059】
MFP20は、利用者IDおよびパスワードを含むログインの依頼を受けると、図9に示す処理を開始する。
【0060】
図9は、ログインの依頼が入力された場合のMFP20のログイン部21aの動作のフローチャートである。
【0061】
図9に示すように、ログイン部21aは、入力されたログインの依頼を受け付けて(S101)、S101で受け付けたログインの依頼をログイン状態管理部21cに記録させる(S102)。したがって、ログイン状態管理部21cは、S101で受け付けられたログインの依頼のセッションについて、セッションIDと、S101で受け付けられたログインの依頼の利用者IDと、S101で受け付けられたログインの依頼の種類と、S101で受け付けられたログインの依頼のアクセス日時とをログイン状態情報22dに記録する。
【0062】
次いで、ログイン部21aは、S101で受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードに基づいて認証を実行する(S103)。すなわち、ログイン部21aは、S101で受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードと同じ組み合わせが、記憶部22に記憶されている利用者ID22bおよびパスワード22cの組み合わせに存在する場合、認証が成功したと判断する。一方、ログイン部21aは、S101で受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードと同じ組み合わせが、記憶部22に記憶されている利用者ID22bおよびパスワード22cの組み合わせに存在しない場合、認証が失敗したと判断する。
【0063】
次いで、ログイン部21aは、S103で実行した認証が成功したか否かを判断する(S104)。
【0064】
ログイン部21aは、認証が失敗したことをS104において判断すると、ログインの不許可を利用者に通知した後(S105)、ログインの不許可をログイン状態管理部21cに記録させて(S106)、図9に示す処理を終了する。したがって、ログイン状態管理部21cは、このログインのセッションについて、ログインの結果を不許可としてログイン状態情報22dに記録する。なお、ログイン部21aは、ログインの依頼があったインターフェイスに応じた方法によって、S105においてログインの不許可を利用者に通知する。例えば、ログインの依頼がMFP20の操作部23からあった場合、ログイン部21aは、ログインを許可しない旨をMFP20の表示部24に表示させても良い。また、ログインの依頼がPC30の操作部33からあった場合、ログイン部21aは、ログインを許可しない旨をPC30の表示部34に表示させても良い。また、ログインの依頼が携帯端末40の操作部43からあった場合、ログイン部21aは、ログインを許可しない旨を携帯端末40の表示部44に表示させても良い。
【0065】
ログイン部21aは、認証が成功したことをS104において判断すると、ログインの可否をログイン状態管理部21cに問い合わせる(S107)。
【0066】
図10は、ログインの可否が問い合わされた場合のMFP20のログイン状態管理部21cの動作のフローチャートである。
【0067】
図10に示すように、ログイン状態管理部21cは、同一情報多重ログインが発生したか否かを判断する(S121)。ここで、ログイン状態管理部21cは、S103における認証が成功したログインの利用者IDと同一の利用者IDによって現在ログインされていることが記憶部22のログイン状態情報22dに記録されていない場合、同一情報多重ログインが発生しなかったと判断する。一方、ログイン状態管理部21cは、S103における認証が成功したログインの利用者IDと同一の利用者IDによって現在ログインされていることが記憶部22のログイン状態情報22dに記録されている場合、同一情報多重ログインが発生したと判断する。
【0068】
ログイン状態管理部21cは、同一情報多重ログインが発生しなかったことをS121において判断すると、ログインの許可を決定した後(S122)、ログインの許可をログイン部21aに通知して(S123)、図10に示す処理を終了する。
【0069】
ログイン状態管理部21cは、同一情報多重ログインが発生したことをS121において判断すると、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであるか否かを多重ログイン設定部21dに確認する(S124)。ここで、多重ログイン設定部21dは、同一情報多重ログインのうちS103における認証が成功したログインである同一情報後ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの利用者IDと同一の利用者IDによる先のログインである同一情報先ログインの依頼の種類との組み合わせが同一情報多重ログインを許可する組み合わせであることが多重ログイン設定情報22eに設定されている場合、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであると判断する。一方、多重ログイン設定部21dは、同一情報後ログインの依頼の種類と、同一情報先ログインの依頼の種類との組み合わせが同一情報多重ログインを許可する組み合わせであることが多重ログイン設定情報22eに設定されていない場合、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインではないと判断する。
【0070】
次いで、ログイン状態管理部21cは、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであるか否かをS124における確認の結果に基づいて判断する(S125)。
【0071】
ログイン状態管理部21cは、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであることをS125において判断すると、ログインの許可を決定した後(S122)、ログインの許可をログイン部21aに通知して(S123)、図10に示す処理を終了する。
【0072】
ログイン状態管理部21cは、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインではないことをS125において判断すると、同一情報後ログインおよび同一情報先ログインのうち同一情報後ログインが優先して許可されるか否かを優先許可設定部21eに確認する(S126)。ここで、優先許可設定部21eは、同一情報多重ログインのうちS103における認証が成功したログインである同一情報後ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの利用者IDと同一の利用者IDによる先のログインである同一情報先ログインの依頼の種類との組み合わせと、優先許可情報22fとに基づいて、同一情報後ログインおよび同一情報先ログインのうち同一情報後ログインが優先して許可されるか否かを判断する。
【0073】
次いで、ログイン状態管理部21cは、同一情報後ログインおよび同一情報先ログインのうち同一情報後ログインが優先して許可されるか否かをS126における確認の結果に基づいて判断する(S127)。
【0074】
ログイン状態管理部21cは、同一情報後ログインが優先して許可されることをS127において判断すると、同一情報先ログインのセッションのログアウトと、同一情報後ログインの許可とを決定した後(S128)、同一情報先ログインのセッションのログアウトの指示をログイン部21aに通知して(S129)、図10に示す処理を終了する。
【0075】
ログイン状態管理部21cは、同一情報後ログインが優先して許可されないことをS127において判断すると、同一情報後ログインの不許可を決定した後(S130)、同一情報後ログインの不許可をログイン部21aに通知して(S131)、図10に示す処理を終了する。
【0076】
図9に示すように、ログイン部21aは、S107の処理の後、ログインの不許可がログイン状態管理部21cから通知されたか否かを判断する(S108)。
【0077】
ログイン部21aは、ログインの不許可がログイン状態管理部21cから通知されたことをS108において判断すると、ログインの不許可を利用者に通知した後(S105)、ログインの不許可をログイン状態管理部21cに記録させて(S106)、図9に示す処理を終了する。したがって、ログイン状態管理部21cは、このログインのセッションについて、ログインの結果を不許可としてログイン状態情報22dに記録する。
【0078】
一方、ログイン部21aは、ログインの不許可がログイン状態管理部21cから通知されなかったことをS108において判断すると、同一情報先ログインのセッションのログアウトの指示がログイン状態管理部21cから通知されたか否かを判断する(S109)。
【0079】
ログイン部21aは、同一情報先ログインのセッションのログアウトの指示がログイン状態管理部21cから通知されなかったことをS109において判断すると、ログインの許可がログイン状態管理部21cから通知されたか否かを判断する(S110)。
【0080】
ログイン部21aは、ログインの許可がログイン状態管理部21cから通知されなかったことをS110において判断すると、再びS108の処理に戻る。
【0081】
ログイン部21aは、同一情報先ログインのセッションのログアウトの指示がログイン状態管理部21cから通知されたことをS109において判断すると、同一情報先ログインのセッションを強制的にログアウトして(S111)、同一情報先ログインのセッションのログアウトをログイン状態管理部21cに記録させる(S112)。したがって、ログイン状態管理部21cは、ログアウトしたセッションについて、ログアウト日時をログイン状態情報22dに記録する。
【0082】
ログイン部21aは、ログインの許可がログイン状態管理部21cから通知されたことをS110において判断するか、S112の処理を終了すると、ログインの許可を利用者に通知した後(S113)、ログインの許可をログイン状態管理部21cに記録させて(S114)、図9に示す処理を終了する。したがって、ログイン状態管理部21cは、このログインのセッションについて、ログインの結果を許可としてログイン日時とともにログイン状態情報22dに記録する。なお、ログイン部21aは、ログインの依頼があったインターフェイスに応じた方法によって、S113においてログインの許可を利用者に通知する。
【0083】
なお、ログイン部21aは、ログインを許可した後、例えば利用者からの指示によってこのログインのセッションをログアウトすることができる。ログイン部21aは、ログアウトする場合、ログアウトをログイン状態管理部21cに記録させる。したがって、ログイン状態管理部21cは、ログアウトしたセッションについて、ログアウト日時をログイン状態情報22dに記録する。
【0084】
図11は、認証が失敗する場合のネットワークシステム10の動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【0085】
図11に示すように、利用者がMFP20の操作部23、PC30の操作部33または携帯端末40の操作部43などのインターフェイスを介して図4に示すような何れかの方法によってMFP20へのログインを依頼すると、MFP20のログイン部21aは、S101およびS102(図9参照。)の処理を実行した後、受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードに基づいて認証を実行する(S103)。
【0086】
次いで、ログイン部21aは、認証が失敗したことをS104(図9参照。)において判断して、ログインの不許可をS105(図9参照。)において利用者に通知した後、ログインの不許可をS106(図9参照。)においてログイン状態管理部21cに記録させる。
【0087】
図11に示す流れで処理されるセッションとしては、例えば、図3に示すセッションIDが「006」のセッションがある。
【0088】
図12は、認証が成功して同一情報多重ログインが発生しない場合のネットワークシステム10の動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【0089】
図12に示すように、利用者がインターフェイスを介して図4に示すような何れかの方法によってMFP20へのログインを依頼すると、MFP20のログイン部21aは、S101およびS102(図9参照。)の処理を実行した後、受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードに基づいて認証を実行する(S103)。
【0090】
次いで、ログイン部21aは、認証が成功したことをS104(図9参照。)において判断して、ログインの可否をログイン状態管理部21cに問い合わせる(S107)。
【0091】
次いで、ログイン状態管理部21cは、同一情報多重ログインが発生しなかったことをS121において判断して、ログインの許可をS122(図10参照。)において決定した後、ログインの許可をログイン部21aに通知する(S123)。
【0092】
次いで、ログイン部21aは、ログインの許可が通知されたことをS110(図9参照。)において判断して、ログインの許可をS113(図9参照。)において利用者に通知した後、ログインの許可をS114(図9参照。)においてログイン状態管理部21cに記録させる。
【0093】
図12に示す流れで処理されるセッションとしては、例えば、図3に示すセッションIDが「001」のセッションおよびセッションIDが「003」のセッションがある。
【0094】
図13は、認証が成功して許可される同一情報多重ログインが発生した場合のネットワークシステム10の動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【0095】
図13に示すように、利用者がインターフェイスを介して図4に示すような何れかの方法によってMFP20へのログインを依頼すると、MFP20のログイン部21aは、S101およびS102(図9参照。)の処理を実行した後、受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードに基づいて認証を実行する(S103)。
【0096】
次いで、ログイン部21aは、認証が成功したことをS104(図9参照。)において判断して、ログインの可否をログイン状態管理部21cに問い合わせる(S107)。
【0097】
次いで、ログイン状態管理部21cは、同一情報多重ログインが発生したことをS121において判断して、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであるか否かを多重ログイン設定部21dに確認する(S124)。
【0098】
次いで、ログイン状態管理部21cは、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであることをS125(図10参照。)において判断して、ログインの許可をS122(図10参照。)において決定した後、ログインの許可をログイン部21aに通知する(S123)。
【0099】
次いで、ログイン部21aは、ログインの許可が通知されたことをS110(図9参照。)において判断して、ログインの許可をS113(図9参照。)において利用者に通知した後、ログインの許可をS114(図9参照。)においてログイン状態管理部21cに記録させる。
【0100】
図13に示す流れで処理されるセッションとしては、例えば、図3に示すセッションIDが「001」のセッションのログインが同一情報先ログインである場合の、セッションIDが「004」のセッションがある。つまり、利用者は、操作部23を介してコピーの動作をMFP20に実行させながら、携帯端末40を介して印刷データをMFP20に送信してMFP20に印刷を実行させることができる。したがって、利用者は、コピーの結果物と、印刷の結果物とを纏めて入手することができる。
【0101】
図13に示す流れで処理されるセッションの他の一例として、同一情報先ログインの依頼の種類が「WebブラウザーからのMFPの各種の設定の依頼」である場合の、同一情報後ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」であるセッションがある。このセッションが図13に示す流れで処理されるように多重ログイン設定情報22eが設定された場合、利用者は、PC30のWebブラウザーでMFP20の状態、例えば、他にMFP20を使用中の利用者が存在しないなどの状態を確認しながら、PC30のプリンタードライバーを介して印刷データをMFP20に送信してMFP20に印刷を実行させることができる。
【0102】
図14は、認証が成功して許可されない同一情報多重ログインが発生し、同一情報後ログインが優先して許可される場合のネットワークシステム10の動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【0103】
図14に示すように、利用者がインターフェイスを介して図4に示すような何れかの方法によってMFP20へのログインを依頼すると、MFP20のログイン部21aは、S101およびS102(図9参照。)の処理を実行した後、受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードに基づいて認証を実行する(S103)。
【0104】
次いで、ログイン部21aは、認証が成功したことをS104(図9参照。)において判断して、ログインの可否をログイン状態管理部21cに問い合わせる(S107)。
【0105】
次いで、ログイン状態管理部21cは、同一情報多重ログインが発生したことをS121において判断して、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであるか否かを多重ログイン設定部21dに確認する(S124)。
【0106】
次いで、ログイン状態管理部21cは、発生した同一情報多重ログインが許可されない同一情報多重ログインであることをS125(図10参照。)において判断して、同一情報後ログインおよび同一情報先ログインのうち同一情報後ログインが優先して許可されるか否かを優先許可設定部21eに確認する(S126)。
【0107】
次いで、ログイン状態管理部21cは、同一情報後ログインが優先して許可されることをS127(図10参照。)において判断して、同一情報先ログインのセッションのログアウトと、同一情報後ログインの許可とをS128(図10参照。)において決定した後、同一情報先ログインのセッションのログアウトの指示をログイン部21aに通知する(S129)。
【0108】
次いで、ログイン部21aは、同一情報先ログインのセッションのログアウトの指示が通知したことをS109(図9参照。)において判断し、同一情報先ログインのセッションをS111(図9参照。)において強制的にログアウトして、同一情報先ログインのセッションのログアウトをS112(図9参照。)においてログイン状態管理部21cに記録させる。最後に、ログイン部21aは、ログインの許可をS113(図9参照。)において利用者に通知した後、ログインの許可をS114(図9参照。)においてログイン状態管理部21cに記録させる。
【0109】
図14に示す流れで処理されるセッションとしては、例えば、図3に示すセッションIDが「003」のセッションのログインが同一情報先ログインである場合の、セッションIDが「005」のセッションがある。なお、セッションIDが「005」のセッションが図14に示す流れで処理されるセッションである場合、S111(図9参照。)において強制的にログアウトされる同一情報先ログインのセッションは、セッションIDが「003」のセッションである。
【0110】
図14に示す流れで処理されるセッションの他の一例として、同一情報先ログインの依頼の種類が「操作部からのコピーの依頼」である場合の、同一情報後ログインの依頼の種類が「プリンタードライバーからの印刷の依頼」であるセッションがある。このセッションが図14に示す流れで処理されるように多重ログイン設定情報22eおよび優先許可情報22fが設定された場合、利用者は、操作部23を介してコピーの動作をMFP20に実行させた後、ログアウトの処理をしなくても、MFP20が設置されている場所からPC30が設置されている場所まで移動して、PC30のプリンタードライバーを介して印刷データをMFP20に送信してMFP20に印刷を実行させることができる。
【0111】
図15は、認証が成功して許可されない同一情報多重ログインが発生し、同一情報後ログインが優先して許可されない場合のネットワークシステム10の動作の主な流れを示すシーケンス図である。
【0112】
図15に示すように、利用者がインターフェイスを介して図4に示すような何れかの方法によってMFP20へのログインを依頼すると、MFP20のログイン部21aは、S101およびS102(図9参照。)の処理を実行した後、受け付けたログインの依頼の利用者IDおよびパスワードに基づいて認証を実行する(S103)。
【0113】
次いで、ログイン部21aは、認証が成功したことをS104(図9参照。)において判断して、ログインの可否をログイン状態管理部21cに問い合わせる(S107)。
【0114】
次いで、ログイン状態管理部21cは、同一情報多重ログインが発生したことをS121において判断して、発生した同一情報多重ログインが許可される同一情報多重ログインであるか否かを多重ログイン設定部21dに確認する(S124)。
【0115】
次いで、ログイン状態管理部21cは、発生した同一情報多重ログインが許可されない同一情報多重ログインであることをS125(図10参照。)において判断して、同一情報後ログインおよび同一情報先ログインのうち同一情報後ログインが優先して許可されるか否かを優先許可設定部21eに確認する(S126)。
【0116】
次いで、ログイン状態管理部21cは、同一情報後ログインが優先して許可されないことをS127(図10参照。)において判断して、同一情報後ログインの不許可をS130(図10参照。)において決定した後、同一情報後ログインの不許可をログイン部21aに通知する(S131)。
【0117】
次いで、ログイン部21aは、同一情報後ログインの不許可が通知されたことをS108(図9参照。)において判断し、ログインの不許可をS105(図9参照。)において利用者に通知した後、ログインの不許可をS106(図9参照。)においてログイン状態管理部21cに記録させる。
【0118】
図15に示す流れで処理されるセッションとしては、例えば、図3に示すセッションIDが「001」のセッションのログインが同一情報先ログインである場合の、セッションIDが「002」のセッションがある。利用者が操作部23を介してコピーの動作をMFP20に実行させている最中に、同一の利用者からPC30のプリンタードライバーを介して印刷データがMFP20に送信されてくることは、MFP20およびPC30が物理的に離れている場合には通常生じ得ない。つまり、同一情報後ログインの依頼、すなわち、PC30のプリンタードライバーからの印刷の依頼は、不正な依頼である可能性が高い。したがって、PC30のプリンタードライバーからの印刷の依頼は、許可されない。同様な理由から、操作部23からのコピーの依頼などの操作部23からのログインの依頼が同一情報先ログインの依頼であり、WebブラウザーからのMFP20の各種の設定の依頼、ユーティリティーソフトウェアからの印刷の依頼などのPC30からのログインの依頼が同一情報後ログインの依頼である場合、同一情報後ログインの依頼を許可しないように、多重ログイン設定情報22eおよび優先許可情報22fが設定されても良い。
【0119】
以上に説明したように、MFP20は、単に同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可するのではなく、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせが同一情報多重ログインが許可される組み合わせとして多重ログイン設定情報22eに予め設定されているときに(S125でYES)、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可する(S122)。すなわち、MFP20は、同一の利用者IDによる多重のログインを適切に制御することができる。したがって、MFP20は、同一情報多重ログインによる不正な使用を適切に防止しつつ、利用者の利便性を向上することができる。
【0120】
また、MFP20は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に(S125でNO)、単に同一情報後ログインのログインを禁止するのではなく、予め設定されている優先許可情報22fに従って同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの一方のみを許可する。すなわち、MFP20は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に、同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの何れが許可されるかを適切に制御することができる。
【0121】
また、MFP20は、同一情報多重ログインが許可されるための同一情報多重ログインのそれぞれの依頼の種類の組み合わせを、利用者からの指示に応じて多重ログイン設定部21dによって変更することができる。
【0122】
また、MFP20は、同一情報多重ログインが許可されない場合に同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの何れが優先して許可されるかを、利用者からの指示に応じて優先許可設定部21eによって変更することができる。
【0123】
また、MFP20は、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせ毎に優先許可情報22fを設定するので、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に同一情報先ログインおよび同一情報後ログインのうち許可される方が常に固定ではなく、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせ毎に異ならせることができる。すなわち、MFP20は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に、同一情報先ログインおよび同一情報後ログインの何れが許可されるかを更に適切に制御することができる。
【0124】
なお、MFP20は、同一情報先ログインの依頼の種類と、同一情報後ログインの依頼の種類との組み合わせに関係なく、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に同一情報先ログインおよび同一情報後ログインのうち許可される方が常に固定であっても良い。MFP20は、同一情報後ログインを同一情報先ログインと多重に許可しない場合に同一情報先ログインおよび同一情報後ログインのうち常に固定で許可される方を優先許可情報22fにおいて利用者に設定させるようになっていても良い。
【0125】
本実施の形態に係るネットワークシステムは、1台のMFPを備えているが、2台以上のMFPを備えていても良い。
【0126】
本実施の形態に係るネットワークシステムは、1台のPCを備えているが、2台以上のPCを備えていても良いし、PCを1台も備えていなくても良い。
【0127】
本実施の形態に係るネットワークシステムは、1台の携帯端末を備えているが、2台以上の携帯端末を備えていても良いし、携帯端末を1台も備えていなくても良い。
【0128】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0129】
20 MFP(画像形成装置)
21a ログイン部(依頼受け付け手段、認証手段)
21c ログイン状態管理部(許可ログイン記録手段、ログイン手段)
21d 多重ログイン設定部(許可組み合わせ設定手段、許可組み合わせ変更手段)
21e 優先許可設定部(優先許可設定手段、優先許可変更手段)
22a 画像形成装置用プログラム
22b 利用者ID(利用者情報)
22f 優先許可情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の識別情報である利用者情報によるログインの依頼を受け付ける依頼受け付け手段と、前記依頼受け付け手段によって受け付けられた前記依頼に基づいて認証を実行する認証手段と、前記認証手段による認証が成功した前記依頼の対象の前記ログインを許可するか否かを決定するログイン手段と、前記ログイン手段によって許可されている前記ログインを記録する許可ログイン記録手段と、同一の前記利用者情報による多重の前記ログインである同一情報多重ログインが許可されるための前記同一情報多重ログインのそれぞれの前記依頼の種類の組み合わせを設定する許可組み合わせ設定手段とを備えており、
前記ログイン手段は、前記同一情報多重ログインのうち先の前記ログインである同一情報先ログインが前記許可ログイン記録手段によって記録されている場合に、前記同一情報先ログインの前記依頼の種類と、前記同一情報多重ログインのうち後の前記ログインである同一情報後ログインの前記依頼の種類との組み合わせが前記許可組み合わせ設定手段によって設定されているとき、前記同一情報後ログインを前記同一情報先ログインと多重に許可することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記許可組み合わせ設定手段によって設定されている前記組み合わせを利用者からの指示に応じて変更する許可組み合わせ変更手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記同一情報多重ログインが許可されない場合に前記同一情報先ログインおよび前記同一情報後ログインの何れが優先して許可されるかを示す情報である優先許可情報を設定する優先許可設定手段を備えており、
前記ログイン手段は、前記同一情報先ログインが前記許可ログイン記録手段によって記録されていて前記同一情報後ログインを前記同一情報先ログインと多重に許可しない場合に、前記優先許可設定手段によって設定されている前記優先許可情報に従って前記同一情報先ログインおよび前記同一情報後ログインの一方のみを許可することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記優先許可設定手段によって設定されている前記優先許可情報を利用者からの指示に応じて変更する優先許可変更手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記優先許可設定手段は、前記同一情報先ログインの前記依頼の種類と、前記同一情報後ログインの前記依頼の種類との組み合わせ毎に前記優先許可情報を設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
利用者の識別情報である利用者情報によるログインの依頼を受け付ける依頼受け付けステップと、前記依頼受け付けステップによって受け付けられた前記依頼に基づいて認証を実行する認証ステップと、前記認証ステップによる認証が成功した前記依頼の対象の前記ログインを許可するか否かを決定するログインステップと、前記ログインステップによって許可されている前記ログインを記録する許可ログイン記録ステップと、同一の前記利用者情報による多重の前記ログインである同一情報多重ログインが許可されるための前記同一情報多重ログインのそれぞれの前記依頼の種類の組み合わせを設定する許可組み合わせ設定ステップとを画像形成装置に実行させ、
前記ログインステップは、前記同一情報多重ログインのうち先の前記ログインである同一情報先ログインが前記許可ログイン記録ステップによって記録されている場合に、前記同一情報先ログインの前記依頼の種類と、前記同一情報多重ログインのうち後の前記ログインである同一情報後ログインの前記依頼の種類との組み合わせが前記許可組み合わせ設定ステップによって設定されているとき、前記同一情報後ログインを前記同一情報先ログインと多重に許可するステップであることを特徴とする画像形成装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−29908(P2013−29908A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163943(P2011−163943)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】