説明

画像暗号システムにおける鍵同期化

視覚的暗号法に関するシステムが、1組の鍵を用いて画像の系列を暗号化するサーバ(1)と、前記暗号化画像を表示する端末(2)と、前記暗号化画像を前記サーバから前記端末(2)に伝送する伝送媒体(4)と、前記端末に表示される前記暗号化画像を復号化する復号化装置(3)とを有する。連続する画像は、前記組になった鍵から選択される異なった鍵を用いて暗号化される。これら暗号化画像及びフィードバックの仕組みは、前記サーバ及び前記端末が、特定の瞬間において同じ鍵を利用するかを検査するために与えられる。好ましくは、少なくとも2つの暗号化画像が、より大きい画像の一部として同時に与えられ、斯様にして、前記復号装置の使用者にどの鍵が前記画像を正しく復号化するかを示すことを可能にさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号システムにおける鍵同期化に関する。本発明は、特に、画像を暗号化することが可能な暗号化装置における第1鍵セットと画像を復号化することが可能な復号化装置における第2鍵セットとを同期化する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
暗号システムにおいて鍵セットを用い、連続するメッセージがこの鍵セットの異なる鍵を用いて暗号化されることは、よく知られている。異なるメッセージに関して異なる鍵の使用することは、盗聴者がこれらメッセージのいかなるものも復号化するのを一層困難にする。付け加えると、1つの鍵を知っていることは、1つのメッセージが復号化されることを可能にするに過ぎない。
【0003】
当然、鍵セットを同期化すること、すなわち、暗号化装置及び復号化装置の両方が、同じメッセージを暗号化又は復号化するために、この鍵セットの同じ鍵を用いることを保証する必要がある。この同期化が失われる場合、メッセージを正確に復号化することは可能でない。
【0004】
権限のない者によって画像が認識されることを防ぎ又はこの画像の内容が読まれることを防ぐために、画像を暗号化することは更に既知である。例えば、画像を暗号化する1つの技法は、欧州特許出願第0260815号において開示されている。この技法は、視覚的暗号法としても既知であり、各々が個別に認識され得ない2つのパターン、すなわち「分担部分(share)」を用い、これらは、重ねられて認識可能な画像を生成する。この目的のために、元の画像は、2つのランダム化された画像パターンに変換され、このパターンのいずれも、いかなる知覚可能な画像情報を含まない。これらパターンの1つは、透明体(transaparency)に印刷され、鍵として働く。斯様なパターンが重ねられる場合、これらパターンは合成され、このようにして見る者の目において「復号化」される。
【0005】
より多数の個別に暗号化画像が見られるべき場合に煩雑になる透明体を用いて作業するよりも、復号する(復号化)装置を用いることが提案されている。2つの種類の画像復号装置が、透明及び非透明装置として、分類され得る。
【0006】
透明復号装置は、従来技術において用いられる透明シートを本質的に模して、暗号化画像の1つのパターン(「分担部分」)を表示する。復号装置は少なくとも部分的に透明なので、画像のもう一方のパターンは、装置を介して確認され得、2つの画像パターンは、上記のように、見る者の目において組み合わせられる。透明シートの代わりに透明装置を用いることの有利な点は、当該装置が、単一の画像部分よりもむしろ複数の画像部分を表示することが可能であることである。斯様にして、連続画像は、異なる鍵を用いることが可能である。透明復号装置は、有利には、LCD(液晶ディスプレイ)を用い、2つの斯様なディスプレイは、元の画像を再構成するように、暗号化画像を「復号化」するために重ねられる。LCDスクリーンが用いられる透明装置の適切な例は、欧州特許出願第02075527.8号[PHNL020121]において記述される。前記欧州特許出願の装置において、液晶ディスプレイで液晶セルの偏光回転効果が用いられている。このことは、白黒画像に非常に都合の良い暗号化及び復号化を可能にする。欧州特許出願第02078660.4号[PHNL020804]は、カラー画像を復号化されることも可能にする透明復号装置を記述する。
【0007】
非透明復号装置は、暗号化画像を感知し、復号化を実行し、そして、この復号化画像を表示することが可能である。復号化は当該装置自身において実行され、暗号化画像は当該装置によって覆い隠される一方で、ディスプレイは、完全な復号化画像を表示する。斯様な復号化装置の例は、欧州特許出願第02079579.5号[PHNL021058]において記述される。この復号化装置は、画像を復号化する鍵を用い得る。
【0008】
画像復号化装置は、画像を復号化するための、少なくとも1つの鍵を一般的に必要とする。しかし、複数の画像を暗号的に安全な手法で復号化するためには、連続する画像を復号化するのに用いられるいくつかの異なる鍵の鍵セットを用いる必要がある。しかし、鍵セットの使用は、鍵セット同期化の問題を生じさせる。特定の鍵シーケンスが既定される場合でも、暗号化装置及び復号化装置は、異なる瞬間に鍵を誤って変更し得、又は全く変更しないことがあり得、結果として鍵同期化の損失になり得る。その結果、このことは、復号化装置が、暗号化画像を復号化することが出来ないということになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、暗号化装置及び復号化装置の同期化を、簡単であるが効果的な手法で確立する方法及びシステムを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、画像暗号化装置及び画像復号化装置の同期化を確立する方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、暗号化装置における第1鍵セットと復号化装置における第2鍵セットとを同期化する方法を与え、当該方法は、
・前記暗号化装置が、前記第1鍵セットの夫々の鍵を用いて暗号化画像の系列を生成するステップと、
・前記暗号化装置が、前記暗号化画像の系列を表示装置へ伝送するステップと、
・前記表示装置が、前記暗号化画像を表示するステップと、
・前記復号化装置が、前記暗号化画像を第2鍵セットの鍵を用いて復号化すると共に、この復号化画像を表示するステップと、
・前記表示装置が、復号化画像が正しく表示されたかに関する指示を使用者から受信するステップと、
・前記表示装置が、前記指示を前記暗号化装置に渡すステップと、
を有する。
【0012】
したがって、本発明に従い、表示装置は、いくつかの異なる鍵を用いて暗号化された、いくつかの暗号化画像を表示する。復号化装置は、これらの暗号化画像を第2鍵セットのうちの1つの鍵を用いて復号化する(または、厳密に言うと、復号化を試みる)。別個の鍵を用いて暗号化されたいくつかの画像は、1つの鍵を用いて復号化されるので、多くても1つの画像が、正しく復号化され、認識可能な形式に表示される。全ての他の画像は、不正確に(すなわち、正しくない鍵を用いて)復号化され、認識可能にはならない。どの画像が認識可能であり、そして正しく復号化されたかの使用者指示を受信することによって、復号化装置の現在の鍵と一致する鍵を用いて暗号化された画像が確認される。この指示を暗号化装置へ渡すことによって、復号化装置の現在の鍵と一致する特定の鍵が確認され、これら装置の同期化が達成される。
【0013】
画像を暗号化するいくつかの鍵を用いる暗号化装置とこれら画像を復号化する1つの鍵を用いる復号化装置との代わりに、暗号化装置が、1つの画像を暗号化し、復号化装置が、この1つの画像を復号化するのに複数の鍵を用いることを想像され得ることが知られている。しかし、復号化装置において同期目的用の1つの鍵の使用することが、好まれる。
【0014】
復号化装置が、復号化された複数の画像を別々に、すなわち、一度に1つ表示することは可能である。しかし、復号化装置は、少なくとも2つの復号化された画像を同時に表示することが好まれる。いくつかの(例えば、4つまたは6つの)復号化された画像を同時に表示することによって、同期化過程は、加速され、使用者にとっての煩わしさが低減される。同期化過程の更なる加速は、表示装置が、少なくとも2つの暗号化画像を同時に表示する場合に達成される。このことは、少なくとも2つの暗号化画像を実質的に同時に復号化する、適切に構成された復号化装置を可能にする。
【0015】
特に有利な実施例において、暗号化装置は、第3鍵セットの夫々の鍵を用いて暗号化画像の追加系列を生成し、復号化装置は、前記暗号化画像の追加系列を第4鍵セットを用いて復号化し、前記追加系列は、同期化に関しては用いられず、第3鍵セットは、第1鍵セットに関連付けられる。すなわち、同期化に関して用いられる画像及び関連した鍵セットは、他の目的に関して用いられる画像及び関連付けられた鍵セットとは異なる。このことは、攻撃者が獲得し得る同期化に用いられる鍵のいかなる知識も、この攻撃者にいかなる他の画像も復号化することを可能にさせ得ないので、より高いレベルの安全性を与える。
【0016】
同期化に関して用いられる画像は、何の特定の相互関係も有しない別個の画像であり得るが、暗号化画像の系列が、より大きい画像の部分を暗号化することによって生成されることが好まれる。すなわち、画像は、少なくとも2個に、しかし好ましくは4、6、8又は可能であれば12個の部分に分割され、各々の部分は、別々の鍵を用いて暗号化される。結果として、多くても画像の1つの部分は、復号化装置によって正しく表示され得る。斯様にし、より迅速な同期化が、実現される。
【0017】
第1及び第3鍵セットは、連続数字、メモリ・ベクトル又は他の適切な手段によって関連付けられ得る。第2及び第4鍵セットは、同じ手法で関連付けられ得る。第1及び第2鍵セットは、同一のものであり得るが、このことは必要ではなく、第2鍵セットの鍵は、復号化装置に、暗号化装置によって暗号化画像を、第1鍵セットの対応する鍵を用いて復号化するのを可能にさせるべきである。同様に、第3及び第4鍵セットは、同一であり得るが、必ずしも同一ではない。上記から明らかであるように、第1及び第3鍵セットは、同一であり得る。
【0018】
同期化目的に関して用いられる画像は、正しく復号化された画像の容易な認識を可能にするのに、数字、文字又は名前などの識別トークンを示し得る。このトークンは、正しく復号化された画像を識別するのに押され得る表示装置におけるキーを特定し得る。
【0019】
使用者入力を受信する様々な手法が想像し得るが、表示装置が、使用者指示をポインティング装置及び・又はキーボードを介して受信することが好まれる。適切なポインティング装置は、いわゆるマウスであるが、「トラックボール」又は「タッチパッド・マウス」のような他のポインティング装置も用いられ得る。ここで用いられる「キーボード」という用語は、キーパッドのような他のキー配置を含むように意図される。代わりに、タッチスクリーン技術の使用は、有利であり得る。
【0020】
本発明による、同期化に関して用いられる画像は、モノクロ画像又はカラー画像であり得る。視覚的暗号法及び同様な応用例において、様々な技法が、カラー画像を描画するのに用いられ得るが、欧州特許出願第02078660.4号[PHNL020804EPP]に記載の液晶表示技法は、特に適している。
【0021】
本発明は、更に、暗号化装置における第1鍵セットと復号化装置における第2鍵セットとを同期化するシステムを提供し、当該システムは、
【0022】
・前記第1鍵セットの夫々の鍵を用いて暗号化画像の系列を生成すると共に、前記暗号化画像の追加系列を表示装置へ伝送する暗号化装置と、
・前記暗号化画像を表示する表示装置と、
・前記暗号化画像を前記第2鍵セットの鍵を用いて復号化すると共に、この復号化画像を表示する復号化装置と、
を有し、前記復号化装置は、
・復号化画像が正しく表示されたかに関する指示を使用者から受信する入力手段と、
・前記指示を前記暗号化装置に伝送する伝送手段と、
を具備する。この種類のシステムは、迅速で便利な同期化を可能にする。
【0023】
本発明は、添付の図面において示される例証的な実施例を参照にし、以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1における、単に非限定的な例として示されるシステムは、サーバ1、端末2、復号器3及び通信ネットワーク4を有する。サーバ1は、通信ネットワーク4を介して端末2へ伝送される画像を生成及び暗号化する。通信ネットワーク4は、LAN、電話ネットワーク(POTS)、インターネット又は単純なケーブル若しくはワイヤのような専用ネットワークによって構成され得る。サーバ1及び端末2の両方は、専用装置であり得、又は、端末2の場合少なくとも、表示スクリーン21を備える汎用計算機によって構成され得る。復号器3は、以下により詳細に説明される暗号化装置である。サーバ1及び復号器3の両方は、複数の暗号化鍵からなる少なくとも1つの鍵セットを具備する。これらの鍵は、DESのような適切な暗号化過程において用いられる。特定の用いられる暗号化過程は、必須ではない。
【0025】
第1実施例(図示せず)において、復号器3は、画像パターン、すなわち「分担部分」を表示する表示スクリーンを含む透明型の復号化装置である。この画像パターンは、表示装置2に示される暗号化画像(の少なくとも一部)を復号化する鍵として働く。復号器のディスプレイは、見る者に、復号器によって表示される画像パターンと表示装置2のスクリーン21に表示される画像パターンとの両方を見ることを可能にさせるために、透明である。斯様な復号器の例は、上述の欧州特許出願第02075527.8[PHNL020121]において記述される。ここで述べられる画像パターンすなわち「分担部分」は、図3及び4を参照して後に説明される副画像と異なることを特記する。
【0026】
図に示される第2実施例において、復号器3は、表示された画像を感知するセンサ31と、感知された画像に暗号化操作を実行する関連するメモリを備える処理器32と、復号化画像を表示する表示スクリーン(図1において34)を形成する表示要素33とを含む非透明型の復号化装置である。導電体又は光ファイバ34は、センサ31、処理器32及び表示要素33を接続する。1組の暗号化鍵は、処理器メモリに記憶される。したがって、復号器3は、暗号化画像を感知し、画像を復号化し、そして生じる復号化画像を表示することが可能である。端末2は、信頼されていない装置である一方で、復号器3は、信頼された装置であり、好ましくは、この装置の使用者によって持ち運ばれ、使用されない場合、安全な場所に保管される。斯様にして、復号器に記憶される鍵は、損なわれない。
【0027】
図1のシステムにおける鍵セットの同期化は、以下のように達成される。サーバ(暗号化装置)1は、画像の系列を生成し、これら画像をこのサーバの鍵セットの異なる鍵を用いて暗号化する。これらの画像は、通常の画像又は特定の検査画像であり得る。暗号化画像は、この画像を表示する端末(表示装置)2に伝送される。端末2は、鍵を所有していないので、暗号化画像を復号化することは可能でない。表示される暗号化画像(画像パターン)は、何の知覚可能な情報も含まず、ランダム画像(「スノー」)の見た目を有し得る。使用者は、復号器が表示された画像を覆うように、彼女の復号器(図2において3)を位置させる。その後、復号器は、この復号器の鍵セットの鍵を用いることで、適切な鍵画像パターンを生成すること(透明実施例)、又は画像を感知して復号化し、その結果的に生じる復号化画像を表示することのどちらかを行う。
【0028】
サーバ及び復号器の鍵セットは、実質的に同一であり、すなわち、サーバ鍵セットの各々の鍵は、サーバの暗号化過程で用いられる際に画像を生成し、この画像は、復号器の復号化過程で用いられる際に、復号器鍵セットの内の関連する鍵を用いて復号化され得る。大抵の実施例において、サーバの鍵セット及び復号器の鍵セットは、同一であり得るが、このことは、必ずしもそうである必要はない。両方の鍵セットは、夫々の装置において記憶され得るが、好ましくは、当該技術分野において周知である疑似乱数生成器を用いて初期値(「種(seed)」)から生成される。
【0029】
検査画像は、上述のように、個別の鍵を用いて生成されるが、1つの鍵を用いて復号化される。結果として、多くても1つの画像は、正しく復号化され得て、全ての他の画像は、「復号化」の後でも認識され得ない。したがって、正しく復号化された画像は、復号化鍵と関連する、サーバの鍵セットの鍵を用いて暗号化されていたということである。本発明は、この情報をサーバへフィードバックするフィードバックの仕組みを提供する。この目的を果たすために、使用者は、透明復号器の場合、例えば、入力装置(図2において概略的に22と示される)を用いて正しく復号化された画像を指し示すことによって、使用者指示を入力する。斯様な入力装置は、マウス、トラックボール又は同様な装置のような、ポインティング装置であり得る。ポインティング装置の代わりに、キーボード又はキーパッドが、使用者指示を入力するのに用いられ得る。代わりに、タッチスクリーンは、透明復号器の場合に用いられ得る。復号器の種類に関わらず、正しく復号化された画像は、端末のキーボードにおけるキーを特定し得るので、使用者指示を与え得る。
【0030】
その後、端末2は、使用者指示を例えば、モデムのような(図2において概略的に23と示される)伝送装置を介して端末2に結合され得るネットワーク4を通じてサーバ1へ伝送し戻す。サーバ1は、使用者指示を受信すると、復号器3によって用いられた鍵と一致する鍵を選択することが可能になる。斯様にして、サーバ及び復号器の鍵セットは、同期化される。サーバは、サーバが暗号化する全ての画像に関して異なる鍵を選択すると仮定して、サーバは、次の画像が伝送されるべき場合に、既定のシーケンスの次の鍵を選択する。斯様の次の画像は、同期化用に用いられる検査画像とは対照的に、通常の画像であり得る。代わりとしては、検査画像は、通常の画像と全く変わらないものである。
【0031】
使用者は、使用者指示を端末に入力した後で、復号器に次の画像を復号化する既定のシーケンスの次の鍵を選択することを可能にさせる使用者指示も復号器に入力し得る。
【0032】
同期化用に用いられる画像は、様々な手法で用いられ得る。第1実施例において、画像は、連続的に復号化され表示される。第2実施例において、少なくとも画像のいくつかが同時に表示され、一層迅速な同期化になる。この実施例において、少なくともいくつかの画像は、大きい画像の一部である副画像である。このことは、図3において概略的に表され、ここにおいては、暗号化画像(画像パターン)は、これらの対応する鍵KないしKによって特定される。実際の鍵は、表示され得ず、これらの鍵を用いて暗号化画像のみが表示され得ることが理解され得る。更に、画像の数は、8個に制限されず、2、3、4又は20個の検査画像が、同時に表示され得ることを理解され得る。これらの画像は、復号器(図2における3)のディスプレイ34に表示される画像を全体として形成する。同時に表示される検査画像の実際の復号化過程は、同時である必要はない。
【0033】
好まれる実施例において、復号器(図2における3)のディスプレイに示される(全体)画像は、図4に概略的に示されるように、少なくとも2つの区分を有する。第1区分36は、検査画像、すなわち、同期化目的に用いられる画像を表示する役目をする。第2区分37は、通常画像、すなわち、同期化目的に用いられない画像を表示する役目をする。この構成は、鍵同期化が失われる場合に即座の再同期化の実現性を与える。第2区分37における通常画像が認識不可能である(すなわち、正しくない鍵を用いて復号化される)場合、第1区分36に示される検査画像のうちの1つは、なお認識可能であり得、正しい鍵を示し得る。
【0034】
更なる好まれる実施例において、区分36及び37は、異なる関連する鍵セットを有する。すなわち、同期化目的に用いられる鍵セットは、通常画像を復号化するのに用いられる鍵セットに、関連付けられるが、同一でない。検査用鍵セットを知っていることは、通常画像が復号化されることを可能にしないので、この構成は、更なる安全レベルを与える。検査用及び通常鍵セットは、鍵数字、メモリ・ベクトル又は他の仕組みを用いて関連付けられ得る。
【0035】
また本発明は、上述の復号化装置の代わりに、先行技術の透明体を使用しても用いられ得る。この場合、「復号化装置」は、透明体によって構成され、各々の透明体は、(第2)鍵セットの鍵を表す。
【0036】
本発明は、使用者による視覚的精査が、正しい鍵が画像の復号化に用いられたかを素早く決定し得るという見識と、複数の画像に関する使用者のフィードバックが、正しい鍵の選択に関して便利で効率的な仕組みを与えるという見識とに基づく。この発明で用いられる別の有益な見識は、信頼されていない装置(すなわち、表示装置)が全く鍵自体のことの知識を持たないので、この信頼されてない装置が、鍵に関する情報を与えるように用いられ得ることである。
【0037】
本発明は、「視覚的暗号法」のような画像を暗号的に転送するシステムにおいて特に適用可能であり、本発明は、画像以外のデータ項目が暗号的に保護される他の暗号化システムにおいても適用可能である。例えば、本発明は、暗号化されたデータ(ファイル)が計算機の間において転送される計算機システムにおいて適用され、当該計算機のスクリーンは、鍵同期化に関して用いられることが想像し得る。
【0038】
本文書中において用いられるいかなる用語も、本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではないことが特記される。特に、「有する(comprise(s))」及び「有する(comprising)」の単語は、具体的に記載されていないいかなる要素も除外するように意図されていない。単一(回路)要素は、複数(回路)要素と又はこれらの相当物と代用され得る。
【0039】
本発明は、上記の実施例に制限されることがないことと、添付の請求項において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の修正及び追加がなされ得ることとが、当業者によって理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明による暗号化システムを概略的に示す。
【図2】図2は、図1のシステムにおいて用いる復号器を断面図に概略的に示す。
【図3】図3は、本発明による復号器の第1実施例を概略的に示す。
【図4】図4は、本発明による復号器の第2実施例を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化装置における第1鍵セットと復号化装置における第2鍵セットとを同期化する方法であって、当該方法は、
・前記暗号化装置が、前記第1鍵セットの夫々の鍵を用いて暗号化画像の系列を生成するステップと、
・前記暗号化装置が、前記暗号化画像の系列を表示装置に伝送するステップと、
・前記表示装置が、前記暗号化画像を表示するステップと、
・前記復号化装置が、前記暗号化画像を前記第2鍵セットの鍵を用いて復号化し、この復号化画像を表示するステップと、
・前記表示装置が、復号化画像が正しく表示されたかに関する指示を、使用者から受信するステップと、
・前記表示装置が、前記指示を前記暗号化装置へ伝送するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記復号化装置が、少なくとも2つの復号化画像を同時に表示する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表示装置が、少なくとも2つの暗号化画像を同時に表示する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記暗号化画像の系列が、より大きな画像の一部を暗号化することによって生成される、請求項1ないし3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記暗号化装置は、第3鍵セットの夫々の鍵を用いて暗号化画像の追加系列を生成し、前記復号化装置は、前記暗号化画像の追加系列を第4鍵セットを用いて復号化し、前記追加系列は、同期化には用いられず、前記第3鍵セットは、前記第1鍵セットに関連付けられる、請求項1ないし4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記表示装置が、前記指示をポインティング装置及び/又はキーボードを介して受信する、請求項1ないし5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
暗号化装置における第1鍵セットと復号化装置における第2鍵セットとを同期化するシステムであって、当該システムが、
・前記第1鍵セットの夫々の鍵を用いて暗号化画像の系列を生成し、前記暗号化画像の系列を表示装置に伝送する暗号化装置と、
・前記暗号化画像を表示する表示装置と、
・前記暗号化画像を前記第2鍵セットの鍵を用いて復号化し、この復号化画像を表示する復号化装置と、
を有し、前記表示装置が、
・復号化画像が正しく表示されたかに関する指示を、使用者から受信する入力手段と、
・前記指示を前記暗号化装置へ伝送する伝送手段と、
を備える、システム。
【請求項8】
前記復号化装置が、少なくとも2つの復号化画像を同時に表示することを可能とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記表示装置が、少なくとも2つの暗号化画像を同時に表示することを可能とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記暗号化画像の系列が、より大きい画像の一部を暗号化することによって生成される、請求項7ないし10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記暗号化装置は、第3鍵セットの夫々の鍵を用いて暗号化画像の追加系列を生成することを可能とし、前記復号化装置は、前記暗号化画像の追加系列を第4鍵セットを用いて復号化することを可能とし、前記追加系列は、同期化には用いられず、前記第3鍵セットは、前記第1鍵セットに関連付けられる、請求項7ないし9の何れか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記表示装置が、前記指示をポインティング装置及び/又はキーボードを介して受信することを可能とする、請求項7ないし11の何れか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−508602(P2006−508602A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556587(P2004−556587)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004874
【国際公開番号】WO2004/051442
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】