説明

発信制御システム、発信制御方法、及び発信制御プログラム

【課題】不要な個人の居場所情報の公開を行わずに、目的とする端末装置の利用者に一番近い端末を自動で特定して連絡できる発信制御システム、中継装置、発信制御方法、及び発信制御プログラムを提供する。
【解決手段】通信の指示を送信する第1の端末装置Aと、通信可能範囲にある端末装置の位置を検出する位置検出手段11と、第1の端末装置Aから指示の受信する第2の通信手段12、端末装置の位置に基づき指示に適合する近接する装置を判定する装置判定手段13、及び判定した近接する装置に通信を指示する第3の通信手段14を含む中継装置10と、中継装置10からの指示に基づき通信を行う第4の通信手段3とを含む第2の端末装置Bと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の端末装置の発信を制御する発信制御システム、発信制御方法、及び発信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の端末装置が第2の端末装置の居場所情報を取得するために、端末装置が、第2の端末装置の電話番号を用いて位置情報サービスセンタに問い合わせる問合情報送出手段を有する通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。図5に示すように、特許文献1に記載の通信システム100において、位置情報サービスセンタ101は、端末装置の居場所情報を有する端末位置データベース102を格納している。そして、位置情報サービスセンタ101は、端末位置データベース102内の第2の端末装置103の居場所情報を第1の端末装置104へ通知する端末通知手段とを有する。特許文献1は、第1の端末装置104が第2の端末装置103の位置情報を得ることができるように端末装置103の電話番号を位置情報サービスセンタ101に登録している。また、特許文献1は、第2の端末装置103も第1の端末装置104の位置情報を得ることができるように、端末装置104の電話番号を位置情報サービスセンタ101に登録している。これにより、特許文献1は、第1の端末装置104と第2の端末装置103とが、互いの居場所及び距離を知ることができ、予め設定した距離で接近/離散した際に自動的に通知を受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−209640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、位置情報サービスセンタ101が各端末装置103,104の位置情報を取得管理している。しかしながら、特許文献1は、以下に示す課題を有する。第一の課題は、位置情報の管理や表示を行っているものの、その情報を利用した発信操作ができないことである。第二の課題は、発信者が通信したい相手を選ぶ際に居場所情報を参照する必要があるが、この際、無関係の端末の居場所も参照する必要があるために、プライバシーを保護できないことである。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題を解決する発信制御システム、発信制御方法、及び発信制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発信制御システムは、所定の装置に近接する装置との通信の指示を送信する第1の通信手段を含む第1の端末装置と、通信可能範囲にある端末装置の位置を検出する位置検出手段、前記第1の端末装置から前記指示の受信する第2の通信手段、前記端末装置の位置に基づき前記指示に適合する前記近接する装置を判定する装置判定手段、及び前記判定した前記近接する装置に通信を指示する第3の通信手段を含む中継装置と、前記中継装置からの指示に基づき通信を行う第4の通信手段とを含む第2の端末装置と、を含む。
【0007】
本発明に係る発信制御方法は、第1の端末装置の第1の通信手段が所定の装置に近接する装置との通信の指示を送信した場合に、通信可能範囲にある端末装置の位置を検出するとともに第2の通信手段により前記第1の端末装置からの前記指示を受信し、前記端末装置の位置に基づき前記指示に適合する前記近接する装置を判定し、第3の通信手段により前記近接する装置に通信を指示し、第2の端末装置の第4の通信手段が前記指示に基づき第4の通信手段で通信する。
【0008】
本発明に係る発信制御プログラムは、第1の端末装置の第1の通信手段から所定の装置に近接する装置との通信の指示を受け付けるステップと、通信可能範囲にある端末装置の位置を検出するとともに第2の通信手段により前記第1の端末装置からの前記指示を受信し、前記端末装置の位置に基づき前記指示に適合する前記近接する装置を特定し、第3の通信手段により前記近接する装置に通信を指示するステップと、前記特定した第2の端末装置に発信制御を行うステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る発信制御システム、中継装置、発信制御方法、及び発信制御プログラムは、不要な個人の居場所情報の公開を行わずに、目的とする端末装置の利用者に一番近い端末を自動で特定して連絡できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る発信制御システムの基本的なブロック構成図である。
【図2】本発明に係る発信制御システムの具体的な概略図である。
【図3】本発明に係る発信制御システムのタイムチャートである。
【図4】本発明に係る発信制御システムのフローチャートである。
【図5】通信システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態の発信制御システム、発信制御方法、及び発信制御プログラムについて図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明に係る一実施形態の中継装置10を装備する発信制御システム1は、災害時安否確認システムとして適用し、所定の装置に近接する装置との通信の指示を送信する第1の通信手段2を有する第1の端末装置Aを含む。発信制御システム1は、中継装置10に、通信可能範囲にある端末装置の位置を検出する位置検出手段11と、第1の端末装置Aからの指示が受信する第2の通信手段12とを有する。
【0012】
発信制御システム1は、中継装置10に、さらに、端末装置の位置に基づき指示に適合する近接する装置を判定する装置判定手段13と、判定した近接する装置に通信を指示する第3の通信手段14とを有する。そして、中継装置10からの指示に基づき通信を行う第4の通信手段3を有する第2の端末装置Bを含む。
【0013】
中継装置10は、第1の端末装置A、第2の端末装置B、・・・、第nの端末装置N等の通信網内に存在する複数の端末装置の現在位置情報および加入者番号を位置検出手段11内の端末位置データベース15(図2参照)に随時更新して保存している。ここで、発信制御システム1の中継装置10が判定する近接する装置とは、第1の端末装置Aの第1の通信手段2が通信を指示した装置において所定の範囲(図2参照)X内に存在する装置を意味する。中継装置10は、1個であっても複数個であってもよい。
【0014】
次に、図2に示す発信制御システム1の具体的な構成および図3に示すタイムチャートを用いて発信制御システム1の具体的な制御動作について説明する。図2に示すように、第1の端末装置Aは発信元端末であり、この第1の端末装置Aは、第1の通信手段2を用い、中継装置を通じて発信できる。例えば、中継装置10は、第1の端末装置Aの現在位置(東京)と、端末装置Aの加入者番号とを、位置検出手段11内の端末位置データベース15に保存する。同様に、中継装置10は、第2の端末装置Bの現在位置(名古屋)と、端末装置Bの加入者番号とを、位置検出手段11内の端末位置データベース15に保存する。同様に、中継装置10は、第3の端末装置Cの現在位置(名古屋)と、端末装置Cの加入者番号とを、位置検出手段11内の端末位置データベース15に保存する。
【0015】
中継装置10は、発信元端末A、最近隣端末B、目的端末(第3の端末装置)Cの現在位置情報を逐次更新している(時点t1)。時点t2において、発信元端末Aから目的端末Cへの発信要求を認識する。しかし、目的端末は時点t6において不測事態により通信できなくなっているため、中継装置10は、発信元端末Aの目的端末Cへの通信路が不測の事態等により確立できないことを検知する。そのため、中継装置10は、発信元端末Aに通信できない旨を通知する(時点t7)。この通知を受けた発信元端末Aは、近隣発信要求を中継装置10に送る(時点t4)。この要求を受けた中継装置10は、目的端末Cの位置検索およびこの目的端末Cに近接する装置を検索し、目的端末Cが存在する所定の範囲X内に存在する端末装置の中から最近隣端末Bを特定する。
【0016】
そして、中継装置10は、時点t3において、近隣者への発信を示す指標が付いた発呼要求を、特定した最近隣端末Bに送信する。そのため、最近隣端末Bを所有する加入者は、時点t5において、近隣者への発信を示す指標が付いた着信通知に対して着信応答をすることになる。これにより、最近隣端末Bを所有する加入者が着信応答をすることになり、目的端末Cの近況を知ることができる。ここで、最近隣端末Bへの発呼を示す指標として、目的端末Cの近隣という条件だけでなく、緯度経度やランドマークといった位置情報を示すとしてもよい。
【0017】
次に、発信制御システム1の中継装置10が実行する発信制御方法について発信制御プログラムを参照して説明する。図4に示すように、制御動作が起動すると、ステップS101において、発信元端末Aからの発信要求を受け付ける。ステップS102において、発信元端末Aの発信要求は目的端末Cに対してあり、この目的端末Cの位置を検索する。そして、ステップS103において、目的端末Cに近接する装置を検索し、目的端末Cが存在する所定の範囲X内に存在する端末装置の中から他の最近隣端末Bを特定する。次に、ステップS104において、特定した最近隣端末Bに対して発信制御を行う。
【0018】
次に、発信制御システム1、中継装置10、発信制御方法、及び発信制御プログラムの他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態の発信制御システム1は、中継装置10が、近隣者への発信を示す指標が付いた発呼要求が送信することにより、発信先加入者番号の一番近隣に位置する最近隣端末Bを特定する。そして、特定した最近隣端末Bに対してメールを自動的に送信する。そのため、最近隣端末Bを所有する加入者は、近隣者への発信を示す指標が付いた緊急メールが着信することになる。
【0019】
上述したように、発信制御システム1によれば、目的端末Cへの通話を示す指標のついた発呼要求があった場合に、目的端末Cの一番近隣に存在する近隣の最近隣端末Bを特定して通話を接続する。このようにして、目的端末Cの所有者の近隣に居る最近隣端末Bの所有者との連絡を可能とするとともに周辺状況の確認や目的とする被災者への補助を依頼できる。
【0020】
以上、説明したように、発信制御システム1によれば、相手の物理的位置を知るすべがなく、事故や災害などで相手と直接連絡が取れない場合に相手側の安否の確認する方法や物理的な補助を行う手段がないという課題を解決できる。つまり、発信制御システム1によれば、発信先端末に地理的に一番近い端末への発信が可能となることで、事故や災害時の緊急連絡や周辺状況の把握が可能となる。従って、発信制御システム1によれば、不要な個人の居場所情報の公開を行わずに、目的とする端末装置の利用者に一番近い端末を自動で特定して連絡できる。
【0021】
また、発信制御システム1によれば、中継装置10が複数の端末装置A,B,C,D,E,F,N装置の現在位置をデータベースに保存して更新しているために、その時点で一番近隣の好ましい端末装置を探すことができる。
【0022】
そして、発信制御システム1によれば、第1の端末装置Aが通信を指示した装置において所定の範囲X内に存在する装置を検索するために、固定局と比べて逐次移動する端末装置を確実に特定できる。
【0023】
中継装置10によれば、不要な個人の居場所情報の公開を行わずに、目的とする端末装置の利用者に一番近い端末を自動で特定して連絡でき、プライバシーを確実に保護したサービスを実現できる。
【0024】
発信制御方法によれば、不要な個人の居場所情報の公開を行わずに、目的とする端末装置の利用者に一番近い端末を自動で特定して連絡でき、プライバシーを確実に保護したサービスを実現できる。
【0025】
発信制御プログラムによれば、目的端末Cに近接する装置を検索し、目的端末Cが存在する所定の範囲X内に存在する端末装置の中から他の最近隣端末Bを特定し、特定した最近隣端末Bに対して発信制御を行うステップを有する。従って、発信制御プログラムによれば、簡素なプログラムを実現できる。
【0026】
なお、本発明の発信制御システム、中継装置、発信制御方法、及び発信制御プログラムは、前述した一実施形態に限定するものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【0027】
例えば、携帯電話やスマートフォンに限らず、他の装置(例えば、ゲーム機、タブレットPC、ノートPC)にも適用可能できる。また、通信も一般的な携帯電話網に限らず、無線LANなど、接続先の自由度がある通信に適用可能である。
【0028】
以上述べたように、本発明の発信制御システム、中継装置、発信制御方法、及び発信制御プログラムによれば、不要な個人の居場所情報の公開を行わずに、目的とする端末装置の利用者に一番近い端末を自動で特定して連絡できるものである。以上の結果として、プライバシーを確実に保護した新規なサービスを提供でき、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0029】
1 発信制御システム
2 第1の通信手段
3 第4の通信手段
10 中継装置
11 位置検出手段
12 第2の通信手段
13 装置判定手段
14 第3の通信手段
A 第1の端末装置、発信元端末
B 第2の端末装置、最近隣端末
C 第3の端末装置、目的端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装置に近接する装置との通信の指示を送信する第1の通信手段
を有する第1の端末装置と、
通信可能範囲にある端末装置の位置を検出する位置検出手段と、
前記第1の端末装置から前記指示の受信する第2の通信手段と、
前記端末装置の位置に基づき前記指示に適合する前記近接する装置を判定する装置判定手段と、
前記判定した前記近接する装置に通信を指示する第3の通信手段と
を有する中継装置と、
前記中継装置からの指示に基づき通信を行う第4の通信手段
を有する第2の端末装置と
を備える発信制御システム。
【請求項2】
前記中継装置は、複数の前記端末装置の現在位置をデータベースに保存している
請求項1に記載の発信制御システム。
【請求項3】
前記中継装置が判定する前記近接する装置は、前記第1の端末装置の第1の通信手段が通信を指示した装置において所定の範囲内に存在する装置である
請求項1又は2に記載の発信制御システム。
【請求項4】
第1の端末装置の第1の通信手段が所定の装置に近接する装置との通信の指示を送信した場合に、通信可能範囲にある端末装置の位置を検出するとともに第2の通信手段により前記第1の端末装置からの前記指示を受信し、前記端末装置の位置に基づき前記指示に適合する前記近接する装置を判定し、第3の通信手段により前記近接する装置に通信を指示し、第2の端末装置の第4の通信手段が前記指示に基づき第4の通信手段で通信する発信制御方法。
【請求項5】
第1の端末装置の第1の通信手段から所定の装置に近接する装置との通信の指示を受け付けるステップと、通信可能範囲にある端末装置の位置を検出するとともに第2の通信手段により前記第1の端末装置からの前記指示を受信し、前記端末装置の位置に基づき前記指示に適合する前記近接する装置を特定し、第3の通信手段により前記近接する装置に通信を指示するステップと、前記特定した第2の端末装置に発信制御を行うステップとを含む発信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−74352(P2013−74352A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210109(P2011−210109)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】