説明

発光体ユニット

【課題】 エレクトロルミネッセンス素子を備えた棒状発光体を有して、その生産性を損なうことなく発光体の交換を可能にした発光体ユニットを提供する。
【解決手段】 支持棒20の外周面20s及び挟入部20Bに、その全体を覆う陽極層21を形成して、EL棒13をソケット12に挿入すると、支持棒20の挟入部20Bが一対の挟持板19に挟持されて、挟入部20Bに対応する陽極層21の領域が陽極端子18の頭部に接触し、陽極端子18と陽極層21とが電気的に接続されるようにした。また、ソケットケース14の内周面14sに、全周方向にわたって突出する断面凸曲面状の陰極端子15を形成して、EL棒13をソケット12に挿入すると、陰極層24が陰極端子15の表面を摺動して、陰極層24と陰極端子15とが電気的に接続されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光体ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状の発光体には、ガラス管内に封入された希ガスの放電現象を利用した蛍光灯やネオン管等が知られている。しかし、放電現象を利用した発光体では、管内に封入した希ガスのプラズマ化に高い電圧を要するため、低消費電力化や小型化が困難であるといった問題を有していた。
【0003】
そこで、近年では、発光部にエレクトロルミネッセンス素子(以下単に、EL素子という。)を有して、小型化や低消費電力化を可能にした棒状の発光体(以下単に、「EL棒」という。)が注目されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−265785号公報
【特許文献2】特開2005−108643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、照明装置や表示装置等の電気光学装置では、一般的に、蛍光灯等の発光体を複数有して、各種照明条件や表示画像に応じて、所定の発光体のみを点灯させるようにしている。そのため、各蛍光灯の使用時間が使用環境に応じて変動し、各蛍光灯の不点灯(寿命)を迎えるタイミングが、蛍光灯毎に異なるようになる。そこで、蛍光灯等を利用した電気光学装置では、装置本体に取付ける各蛍光灯を着脱可能にして、蛍光灯毎の交換を可能にし、その利便性の向上を図っている。
【0005】
しかしながら、上記EL棒では、装置本体とEL棒との間の機械的な接続構成が開示されていないため、EL棒毎の交換が困難となって、その利便性を損なう問題があった。こうした問題は、既存のソケットに対応した公知の口金をEL棒側に設けることによって回避可能と考えられる。しかし、EL棒に公知の口金等を設けると、口金や、口金とEL棒との間の配線、さらには配線を形成するための複雑な配線工程等が必要となる。ひいては、EL棒を製造するための部材点数や製造工程の増加を招いて、EL棒の生産性を損なう虞があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、エレクトロルミネッセンス素子を備えた棒状発光体を有して、その生産性を損なうことなく発光体の交換を可能にした発光体ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光体ユニットは、棒状に形成された発光体と、前記発光体を収容するソケットとを備えた発光体ユニットにおいて、前記発光体は、棒状に形成された基材と、前記基材の表面に形成された第1電極層と、前記第1電極層と相対向する第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層の間の発光層とを備え、前記ソケットは、前記基材の一端部を着脱自在に保持して前記一端部の第1電極層と接続する第1電源電極を備えた。
【0008】
本発明の発光体ユニットによれば、第1電源電極が基材の一端部を着脱自在に保持するだけで、第1電源電極と第1電極層を電気的に接続することができる。従って、基材の一端部に口金や配線等を取付けることなく、発光体を交換することができる。すなわち、発光体の部材点数や生産工程数の増加を回避することができ、生産性を損なうこと無く、発
光体の交換を可能にすることができる。
【0009】
この発光体ユニットにおいて、前記ソケットは、前記第1電源電極が前記基材の前記一端部を保持するときに前記第2電極層と接触して、前記基材の前記一端部を前記第1電源電極から取り外すときに前記第2電極層から離間する第2電源電極を備えた。
【0010】
この発光体ユニットによれば、第1電源電極が基材の一端部を保持するだけで、第1電極層及び第2電極層を、それぞれ第1電源電極及び第2電源電極に電気的に接続することができる。そして、基材の一端部を第1電源電極から取り外すだけで、第1電極層及び第2電極層を、それぞれ第1電源電極及び第2電源電極から離間することができる。従って、発光体の交換を、より容易にするができる。
【0011】
この発光体ユニットにおいて、前記ソケットは、前記基材の他端部を着脱自在に保持して前記他端部の前記第2電極層と接続する第2電源電極を備えるようにしてもよい。
この発光体ユニットによれば、第2電源電極が基材の他端部を保持するだけで、第2電極層を第2電源電極に電気的に接続することができる。そして、基材の一端部及び他端部を、それぞれ第1及び第2電源電極から取り外すだけで、第1電極層及び第2電極層を、それぞれ第1電源電極及び第2電源電極から離間することができる。従って、発光体の交換を、より容易にするができる。
【0012】
この発光体ユニットにおいて、前記第1電極層は、前記発光層からの光を透過する光透過性の電極であり、前記第2電極層は、前記発光層からの光を前記第1電極層側に反射する光反射性の電極であってもよい。
【0013】
この発光体ユニットによれば、基材の外表面に第1電極層を有することによって、発光層からの光を、前記基材の軸方向外側にのみ出射させることができる。あるいは、基材の内表面に第1電極層を有することによって、発光層からの光を、前記基材の径方向外側に出射させることができる。従って、軸方向外側あるいは径方向外側への輝度を向上した発光体ユニットに関して、その発光体の交換を容易にすることができる。
【0014】
この発光体ユニットにおいて、前記第1電極層は、前記発光層からの光を反射する光反射性の電極であり、前記第2電極層は、前記発光層からの光を透過する光透過性の電極であってもよい。
【0015】
この発光体ユニットによれば、基材の外表面に第1電極層を有することによって、発光層からの光を、前記基材の径方向外側に出射させることができる。あるいは、基材の内表面に第1電極層を有することによって、発光層からの光を、前記基材の軸方向外側にのみ出射させることができる。従って、軸方向外側あるいは径方向外側への輝度を向上した発光体ユニットに関して、その発光体の交換を容易にすることができる。
【0016】
この発光体ユニットにおいて、前記第1電極層と前記第2電極層との間に、少なくとも正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子障壁層のいずれか1つを含む構成にしてもよい。
【0017】
この発光体ユニットによれば、少なくとも正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子障壁層のいずれか1つを含む発光体の交換を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、発光体ユニットとしての表示装置10には、四角板状の表示パネル
11が備えられて、表示パネル11の一側面(表示面)11aには格子状に配列された複数のソケット12と、各ソケット12に挿着された発光体としての複数のエレクトロルミネッセンス棒(以下単に、「EL棒」という。)13が備えられている。
【0019】
図2に示すように、各ソケット12には、それぞれアルミニウム等の導電性部材で形成された有底筒状のソケットケース14が備えられている。
各ソケットケース14の内周面14sには、その全周方向にわたってソケットケース14の軸心C側に突出する断面凸曲面状の第2電源電極としての陰極端子15が形成されている。陰極端子15は、EL棒13がソケット12に挿入されるときに、その表面がEL棒13の外周面(後述する陰極層24:図3参照)と摺接可能なサイズで形成されている。
【0020】
各ソケットケース14の底部14Bには、ソケットケース14の軸心Cを中心軸とする円形孔14hが形成されて、底部14Bの外側には、外方に延びる接続端子16が一体形成されている。そして、この接続端子16が、図示しない電源装置の共通電極に電気的に接続されて、各ソケットケース14の全体、すなわち前記陰極端子15が共通電位となる。
【0021】
各ソケットケース14の底部14Bには、それぞれ円板状に形成された絶縁板17が嵌合されている。絶縁板17の中心位置には、前記円形孔14hよりも小さい径からなる嵌合孔17hが形成されて、その嵌合孔17hには、有頭ピン状に形成されて第1電源電極を構成する陽極端子18が、ソケットケース14の内側から外側に向かって延びるように嵌合されている。そして、この陽極端子18が、図示しない電源装置の対応する信号電極に電気的に接続されて、表示データに基づくデータ信号が、対応する陽極端子18に供給されるようになっている。
【0022】
ソケットケース14の内側には、前記陽極端子18の頭部と前記絶縁板17との間に挟持されて第1電源電極を構成する一対の挟持板19が、表示面11a側に延びるように取付けられている。
【0023】
図3に示すように、EL棒13は、軸心Cを中心軸とする円柱棒状に形成された基材としての支持棒20を有している。支持棒20は、無アルカリガラス等の透明無機材料、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート等の透明樹脂材料によって形成されている。そして、EL棒13がソケット12に挿入されると、支持棒20の一端部(挟入部)20Bが、前記一対の挟持板19に着脱自在に挟持されて、EL棒13が、ソケット12に保持されるようになっている。
【0024】
その支持棒20の外表面(外周面)20sには、軸心C側から順に、第1電極層としての陽極層21、正孔輸送層22、発光層23、第2電極層としての陰極層24が積層されている。
【0025】
陽極層21は、仕事関数の高い光透過性の導電材料(例えば、ITO(Indium−Tin−Oxide)等)で形成される透明電極であって、支持棒20の外周面20s及び挟入部20Bの全体を覆うように積層されている。陽極層21は、前記光透過性の導電材料を利用した蒸着法やスパッタ法等の気相プロセスによって形成してもよく、あるいは前記光透過性の導電材料を含む液状体に支持棒20を浸漬する液相プロセスを利用し、外周面20s及び挟入部20Bの全体に形成した液状膜を乾燥することによって陽極層21を形成するようにしても良い。そして、EL棒13をソケット12に挿入して、支持棒20の挟入部20Bを前記一対の挟持板19に挟持させると、挟入部20Bに対応する陽極
層21の領域が前記陽極端子18の頭部に接触して、陽極端子18と陽極層21とが電気的に接続されるようになっている。
【0026】
尚、陽極層21は、EL棒13をソケット12に着脱するとき、すなわち挟入部20Bを覆う陽極層21を一対の挟持板19及び陽極端子18に対して摺動させるときに、その陽極層21が、支持棒20から剥離しない程度の膜密度や膜厚によって形成されている。
【0027】
正孔輸送層22は、陽極層21の外周面全体にわたって均一な膜厚で積層された有機層であって、正孔輸送層材料としてのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下単に、「PEDOT」という。)で形成されて、対応する陽極層21からの正孔を発光層23まで輸送するようになっている。
【0028】
正孔輸送層22は、陽極層21を有した支持棒20を、前記「PEDOT」を含む液状体に浸漬して引き出し、前記陽極層21の外周面に堆積した液状膜を乾燥することによって形成されている。尚、正孔輸送層22は、前記「PEDOT」に限らず、以下に示す公知の低分子系又は高分子系の正孔輸送層材料を利用することができ、低分子系の正孔輸送層材料を用いる場合には、公知の蒸着法等の気相プロセスによって正孔輸送層22を形成してもよい。
【0029】
低分子系の正孔輸送層材料としては、ベンジジン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ピラゾリン誘導体、カルバゾール誘導体、ポルフィリン化合物等を利用することができる。高分子系の正孔輸送層材料としては、上記低分子構造を一部に含む(主鎖あるいは側鎖にする)高分子化合物、あるいはポリアニリン、ポリチオフェンビニレン、ポリチオフェン、α−ナフチルフェニルジアミン、「PEDOT」とポリスチレンスルホン酸との混合物(Baytron P、バイエル社商標)、トリフェニルアミンやエチレンジアミン等を分子核とした各種デンドリマー等を利用することができる。
【0030】
発光層23は、正孔輸送層22の外周面全体にわたって均一な膜厚で積層された有機層であって、発光層材料としてのフルオレン−ジチオフェンコポリマー(以下単に、「F8T2」という。)で形成されて、対応する正孔輸送層22からの正孔と、対応する陰極層24からの電子が注入されるように構成されている。
【0031】
発光層23は、正孔輸送層22を有した支持棒20を前記「F8T2」を含む液状体に浸漬して引き出し、正孔輸送層22の外周面に堆積した液状膜を乾燥することによって形成されている。尚、発光層23は、前記「F8T2」に限らず、以下に示す公知の低分子系又は高分子系の発光層材料を利用することができ、低分子系の発光層材料を用いる場合には、公知の蒸着法等の気相プロセスによって発光層23を形成してもよい。
【0032】
低分子系の発光層材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体物、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体等を利用することができる。高分子系の発光層材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、ポリビニレンスチレン誘導体、及びそれらの共重合体、トリフェニルアミンやエチレンジアミン等を分子核とした各種デンドリマー等を利用することができる。
【0033】
陰極層24は、仕事関数の低い導電性材料(例えば、Ag、Cu、Al等の金属元素単体)によって発光層23の外周面を覆うように積層された光反射性電極であって、前記発光層23からの光を支持棒20の径方向内側(軸心C側)に反射するようになっている。この陰極層24は、前記光反射性の導電材料を利用した蒸着法やスパッタ法等の気相プロセスによって形成してもよく、あるいは前記導電材料を含む液状体に支持棒20を浸漬する液相プロセスを利用して、外周面20s及び挟入部20Bの全体を覆う液状膜を乾燥することによって形成するようにしても良い。そして、EL棒13がソケット12に挿入されると、陰極層24が前記陰極端子15に接触して、陰極端子15と陰極層24を電気的に接続するようになっている。
【0034】
尚、陰極層24は、EL棒13をソケット12に着脱するとき、すなわち陰極層24を陰極端子15に対して摺動させるときに、その陰極層24が、支持棒20(発光層23)から剥離しない程度の膜密度や膜厚によって形成されている。
【0035】
そして、所定の表示データ(例えば、表示面11aに文字「E」を表示するための表示データ)に基づくデータ信号が電源装置から各陽極端子18に入力される。すると、各EL棒13の陽極層21と陰極層24との間にデータ信号と共通電位の電位差に対応する電位が印加されて、各EL棒13の発光層23が、それぞれデータ信号に応じた輝度の光L(図4参照)を出射する。各発光層23がデータ信号に応じた光Lを出射すると、発光層23から出射された光Lの殆どは、図4に示すように、光反射性の陰極層24によって軸心C側に反射されて、EL棒13内の内部反射を経て、軸心C方向の表示面11a側に出射される。そして、図1に示すように、発光したEL棒13によって、表示面11a上に文字「E」が表示される。
【0036】
続いて、EL棒13を長期間にわたって使用し、EL棒13の輝度が所定の値以下に低下する、あるいは不点灯になると、EL棒13の表示面11a側を把持して、図5に示すように、挟入部20Bを挟持板19から抜脱する。これによって、陽極層21及び陰極層24を、それぞれ陽極端子18及び陰極端子15から離間させることができ、EL棒13をソケット12から取り外すことができる。
【0037】
そして、新しいEL棒13をソケット12に挿入して、EL棒13の挟入部20Bを一対の挟持板19に挟入すると、EL棒13の陽極層21及び陰極層24が、それぞれ陽極端子18及び陰極端子15に接触して電気的に接続される。これによって、口金や配線等を要することなく、EL棒13を抜差しするだけで、EL棒13を交換することができる。
【0038】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、支持棒20の外周面20s及び挟入部20Bに、その全体を覆う陽極層21を形成した。そして、EL棒13をソケット12に挿入すると、支持棒20の挟入部20Bが一対の挟持板19に挟持されて、挟入部20Bに対応する陽極層21の領域が陽極端子18の頭部に接触し、陽極端子18と陽極層21とが電気的に接続されるようにした。
【0039】
従って、EL棒13をソケット12に挿入し、挟持板19に挟入部20Bを挟持させるだけで、陽極層21と陽極端子18を電気的に接続することができる。その結果、口金や配線等を要することなく、EL棒13を交換可能にすることができる。
【0040】
(2)上記実施形態によれば、各ソケットケース14の内周面14sに、全周方向にわたって突出する断面凸曲面状の陰極端子15を形成した。そして、EL棒13をソケット
12に挿入すると、陰極層24が陰極端子15の表面を摺動して、陰極層24と陰極端子15とが電気的に接続されるようにした。
【0041】
従って、EL棒13をソケット12に挿入するだけで、陰極層24と陰極端子15を、確実に電気的に接続することができる。その結果、陰極層24と陰極端子15を接続するための配線等を要することなく、より簡単な構成でEL棒13の交換を交換可能にすることができる。
【0042】
(3)上記実施形態によれば、支持棒20及び陽極層21を光透過性部材で形成し、陰極層24を光反射性部材で形成した。従って、EL棒13の内部反射によって、発光層23の出射した光Lを軸心C方向の外側に出射することができる。その結果、EL棒13の長さ分だけ、軸心C方向外側に出射する光Lの輝度を向上することができる。
【0043】
(4)上記実施形態によれば、発光層23の陽極層21側に正孔輸送層22を形成するようにした。従って、陽極層21からの正孔の輸送効率を向上することができ、正孔輸送層22を形成した分だけ、発光層23からの光Lの輝度を向上することができる、あるいは発光層23を長寿命化することができる。
【0044】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、支持棒20を絶縁材料で形成し、支持棒20の外周面20sに陽極層21を形成する構成にした。これに限らず、支持棒20を導電部材で形成し、支持棒20の外表面を陽極層21とする構成にしてよい。これによれば、陽極層21を別途形成する必要が無く、EL棒13の構成を、より簡単にすることができる。
・上記実施形態では、陽極端子18と挟持板19を別部材で構成したが、これら陽極端子18と挟持板19を一体形成して、挟持板19に電源装置の信号電極を接続する構成にしてもよい。
・上記実施形態では、陰極端子15を、ソケットケース14の内周面14sに形成する構成にした。これに限らず、例えば、陰極端子15を、挟持板19や陽極端子18の近傍に形成してもよく、EL棒13をソケット12に挿入するときに、陰極端子15と陰極層24とが接触する位置であればよい。
【0045】
あるいは、図6に示すように、EL棒13の他端側(挟入部20Bと相対向する側)に、第2電源電極としての一対の挟持板29を設け、その挟持板29を陰極端子とする構成であってもよい。すなわち、挟持板29を図示しない電源装置の共通電極に電気的に接続し、挟持板29がEL棒13の他端側を挟持することによって、EL棒13の外表面(陰極層24)を共通電位にする構成であってもよい。尚、この際、表示装置10は、EL棒13の径方向に出射される光を利用する構成が好ましい。
・上記実施形態では、支持棒20の外周面20s側から順に、陽極層21、正孔輸送層22、発光層23及び陰極層24を形成する構成にした。これに限らず、例えば、外周面20s側から順に、陰極層24、発光層23、正孔輸送層22及び陽極層21を形成する構成にしてもよい。これによれば、発光層23からの光を支持棒20の径方向外側にのみ出射することができ、その光の輝度を向上することができる。
・上記実施形態では、EL棒13の外表面を陰極層24で構成した。これに限らず、例えば、陰極層24の外表面の殆どを、ガスバリヤ性を有した無機あるいは有機高分子膜からなる封止層で覆う構成にしてもよい。あるいは、陰極層24を2層構造で構成して、外表面をガスバリヤ性の金属箔で覆う構成にしてもよい。これによれば、EL棒13を構成する陽極層21、正孔輸送層22、発光層23及び陰極層24の酸化等による劣化を回避することができる。
・上記実施形態では、支持棒20を円柱棒状に具体化したが、これに限らず、チューブ状であってもよく、断面が楕円形状や矩形状であってもよい。
【0046】
さらには、支持棒20をチューブ状に具体化して、陽極層21、正孔輸送層22、発光層23及び陰極層24を、支持棒20の内表面に形成する構成であってもよい。これによれば、ガスバリヤ性を有した支持棒20利用することによって、上記封止層等を形成することなく、正孔輸送層22や発光層23の酸化等による劣化を回避することができる。
・上記実施形態では、発光層形成材料を有機系高分子あるいは有機系低分子によって構成した。これに限らず、例えば発光層形成材料を、ZnS/CuCl、ZnS/CuBr、ZnCdS/CuBr等の無機分子で構成してもよい。この際、当該発光層形成材料を有機バインダーに分散させて発光層形成液L3を形成する構成が好ましい。尚、有機バインダーには、シアノエチルセルロース、シアノエチルスターチ、シアノエチルプルラン等の多糖類のシアノエチル化物、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルグリセロールプルラン等の多糖類誘導体のシアノエチル化物、シアノエチルポリビニルアルコール等のポリオール類のシアノエチル化物等が挙げられる。
・上記実施形態では、発光層23を一層のみ形成する構成にした。これに限らず、例えば発光層23と電荷発生層からなるユニットを複数積層した、いわゆるマルチフォトン構造であってもよい。
・上記実施形態では、陽極層21に正孔輸送層22を積層する構成にした。これに限らず、例えば正孔輸送層22を省略する構成してもよく、あるいは陽極層21と正孔輸送層22との間に、発光層23への正孔の注入効率を高めるための正孔注入層を形成する構成にしてもよい。
・上記実施形態では、正孔輸送層22に発光層23を積層する構成にした。これに限らず、例えば正孔輸送層22と発光層23との間に、電子の移動を抑制する電子障壁層を形成する構成にしてもよい。
・上記実施形態では、発光層23に陰極層24を積層する構成にした。これに限らず、例えば発光層23と陰極層24との間に、陰極層24から注入された電子を発光層23まで輸送する電子輸送層を形成する構成にしてもよい。あるいは、発光層23と対応する電子輸送層との間に、正孔の移動を抑制する正孔障壁層を形成する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を具体化した表示装置を示す概略斜視図。
【図2】同じく、ソケットを示す概略断面図。
【図3】同じく、EL棒及びソケットを示す概略断面図。
【図4】同じく、EL棒及びソケットを説明する説明図。
【図5】同じく、EL棒及びソケットを説明する説明図。
【図6】変更例における、EL棒及びソケットを示す概略断面図。
【符号の説明】
【0048】
10…発光体ユニットとしての表示装置、12…ソケット、13…発光体としてのEL棒、15…第2電源電極としての陰極端子、18…第1電源電極を構成する陽極端子、19…第1電源電極を構成する挟持板、20…基材としての支持棒、20B…一端部としての挟入部、21…第1電極層としての陽極層、22…正孔輸送層、23…発光層、24…第2電極層としての陰極層、29…第2電源電極としての挟持板、L…光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に形成された発光体と、前記発光体を収容するソケットとを備えた発光体ユニットにおいて、
前記発光体は、棒状に形成された基材と、前記基材の表面に形成された第1電極層と、前記第1電極層と相対向する第2電極層と、前記第1電極層と前記第2電極層の間の発光層とを備え、
前記ソケットは、前記基材の一端部を着脱自在に保持して前記一端部の前記第1電極層と接続する第1電源電極を備えたことを特徴とする発光体ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の発光体ユニットにおいて、
前記ソケットは、前記第1電源電極が前記基材の前記一端部を保持するときに前記第2電極層と接触して、前記基材の前記一端部を前記第1電源電極から取り外すときに前記第2電極層から離間する第2電源電極を備えたことを特徴とする発光体ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の発光体ユニットにおいて、
前記ソケットは、前記基材の他端部を着脱自在に保持して前記他端部の前記第2電極層と接続する第2電源電極を備えたことを特徴とする発光体ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光体ユニットにおいて、
前記第1電極層は、前記発光層からの光を透過する光透過性の電極であり、
前記第2電極層は、前記発光層からの光を前記第1電極層側に反射する光反射性の電極であることを特徴とする発光体ユニット。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光体ユニットにおいて、
前記第1電極層は、前記発光層からの光を反射する光反射性の電極であり、
前記第2電極層は、前記発光層からの光を透過する光透過性の電極であることを特徴とする発光体ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の発光体ユニットにおいて、
前記第1電極層と前記第2電極層との間に、少なくとも正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子障壁層のいずれか1つを含むことを特徴とする発光体ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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