説明

発光装置

【課題】開口部をシンプルにしてシュリンクの問題を解決する。
【解決手段】駆動トランジスタと、スイッチングトランジスタと、消去用トランジスタと、を画素内に有する3トランジスタ型の発光装置の場合において、スイッチング用TFT5505と消去用TFT5506の2つのTFTを、第1のゲート信号線5502と第2のゲート信号線5503の間に配置する。このように配置することで開口率を上げ、開口部もシンプルな形状にすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子および、薄膜
トランジスタ(以下TFTと表記)を基板上に作り込んで形成された電子表示装置の駆動方
法に関する。特に半導体素子(半導体薄膜を用いた素子)を用いた発光装置に関する。また
発光装置を表示部に用いた電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中では、EL素子とは、一重項励起子からの発光(蛍光)を利用するもの
と、三重項励起子からの発光(燐光)を利用するものの両方を示すものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、自発光型素子として、EL素子を有した発光装置の開発が活発化している。発光
装置は、液晶表示装置と異なり自発光型である。EL素子は一対の電極(陽極と陰極)間に
EL層が挟まれた構造となっている。発光装置の型式としては、パッシブマトリクス型と
アクティブマトリクス型とがあるが、高解像度化に伴う画素数の増加や動画表示のため、
高速な動作が要求されるものに関しては、アクティブマトリクス型が向いている。
【0004】
アクティブマトリクス型有機ELパネルの各画素には電圧を保持するために、保持容量
(Cs)部が設けられている。実際の画素構成例を図12(A)に示す。また、図12(B)は
等価回路を示している。特許文献1で開示されているように、Cs部が大きく、その分有
機ELの発光面積が小さくなってしまう。Cs部の他にも画素を構成するTFT・配線・
コンタクト・隔壁などの形状や数、配置の仕方が発光面積を小さくしてしまう要因となっ
ている。発光面積が小さくなることによって、電流密度が高くなり、有機ELの信頼性が
著しく低下する。
【0005】
また、無理に開口率を稼ごうとして、開口部を複雑な形状にしてしまうと、有機EL発
光部のシュリンクを助長してしまうこともある。ここで、EL発光部のシュリンクとは、
EL層が物理的に収縮する状態ではなく、EL素子の有効面積(EL素子が発光している
部分の面積)が、端部より徐々に縮小していく状態をいう。つまり、開口部の形状が複雑
になると、開口部の面積に対して、端部の長さがより長くなり、したがってシュリンクを
助長することになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−234683号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図20に、アクティブマトリクス型EL表示装置の画素部の構成の例を示す。
点線枠2300で囲まれた部分が画素部であり、その中に複数の画素を有する。
点線枠2310で囲まれた部分が1画素である。
【0008】
ゲート信号線駆動回路から選択信号が入力されるゲート信号線(G1、G2、・・・、
Gy)は、各画素が有するスイッチング用TFT2301のゲート電極に接続されている
。また、各画素が有するスイッチング用TFT2301のソース領域とドレイン領域は、
一方がソース信号線駆動回路から信号が入力されるソース信号線(S1〜Sx)に、他方が
駆動用TFT2302のゲート電極に接続されている。各画素の有する駆動用TFT23
02のソース領域とドレイン領域の一方は電流供給線(V1、V2、・・・、Vx)に、他
方は、各画素が有するEL素子2304の一方の電極に接続されている。また、表示期間
中に、駆動用TFT2302のゲート・ソース間電圧を保持するための容量手段2303
を各画素に設けていても良い。
【0009】
EL素子2304は、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられたEL層とを有する
。EL素子2304の陽極が駆動用TFT2302のソース領域またはドレイン領域と接
続している場合、EL素子2304の陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。逆に、E
L素子2304の陰極が駆動用TFT2302のソース領域またはドレイン領域と接続し
ている場合、EL素子2304の陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0010】
なお、本明細書において、対向電極の電位を対向電位という。なお、対向電極に対向電
位を与える電源を対向電源と呼ぶ。画素電極の電位と対向電極の電位の電位差がEL駆動
電圧であり、このEL駆動電圧が、画素電極と対向電極とに挟まれたEL層に印加される

【0011】
このような発光装置の階調表示方法として、アナログ階調方式と、デジタル階調方式が
挙げられる。デジタル階調方式としては面積階調や時間階調方式がある。
【0012】
アナログ階調方式とデジタル階調方式のそれぞれの場合において、Csを設ける場合の
値について説明する。
【0013】
アナログ階調方式の場合は一般的に、1フレーム期間に1回、各画素にアナログ映像信
号が書き込まれる。各画素へのアナログ映像信号入力はアナログ電圧、あるいはアナログ
電流によって行われる。アナログ電圧の場合は、書き込まれたアナログ電圧がそのまま各
画素の保持容量に蓄えられ、1フレーム期間(フレーム周波数60Hzの場合1フレーム期
間の長さは16.66ms)そのアナログ電圧を保持しなくてはならない。アナログ電流の
場合は書き込まれた電流が各画素内で一旦アナログ電圧に変換される。そのアナログ電圧
を1フレーム期間保持しなくてはならない。
【0014】
また、デジタル階調方式の場合は、前述のように、デジタル映像信号を1フレーム期間
に複数(n)回書き込む必要がある。4ビット階調ならn=4回以上、6ビット階調ならn
=6回以上となる。したがって、1フレーム期間をn個に分割した内、最も長いサブフレ
ームの間保持できなくてはならない。
【0015】
続いて、駆動用TFTとEL素子の関係について説明する。
【0016】
図15(A)に示すように、各画素の電流供給線・対向電源間には駆動用TFT1505
とEL素子1506が直列に接続されている。EL素子1506に流れる電流は、図15
(B)の駆動用TFTのVd−Id曲線とEL素子のV−I曲線の交点が動作点となり、そ
のときの駆動用TFT1505のソース・ドレイン間電圧とEL素子1505の両電極間
の電圧に従って、電流が流れる。
【0017】
駆動用TFT1505のゲート・ソース間電圧(|VGS|)が、ソース・ドレイン間電圧(|
DS|)よりもしきい値電圧分以上大きいと、駆動用TFT1505は線形領域で動作(定
電圧駆動)し、それよりも小さいと、駆動用TFT1505は飽和領域で動作(定電流駆動
)する。
【0018】
駆動用TFT1505を線形領域で動作させる場合、すなわち動作点における駆動用T
FT1505の動作が線形領域に含まれる場合は、駆動用TFT1505の|VDS|がEL
素子1506の両電極間の電圧(|VEL|)に比べて遥かに小さく、駆動用TFT1505の
特性ばらつきが、EL素子1506を流れる電流に殆ど影響しない。しかし、温度変化や
経時変化によってEL素子1506の抵抗が変化してしまうと、電流もその影響を受け変
化してしまう。例えば、図16(A)に示すように、EL素子1506が劣化し、その電圧
−電流特性が1601から1602へと変化すると、動作点もまた、1603から160
4へと変化する。
このとき、駆動用TFT1505が線形領域で動作していると、動作点の移動に伴い、Δ
Dだけ、EL素子1506を流れる電流値が減少することになる。したがって輝度が低
下する。
【0019】
これに対し、駆動用TFT1505を飽和領域で動作させた場合では、図16(B)に示
すように、EL素子の劣化によってEL素子1506の電圧−電流特性が1611から1
612へと変化しても、駆動用TFT1505のドレイン電流(IDS)が一定のため、動作
点が1613から1614に変化しても、EL素子1506には一定の電流が流れる。そ
のため、輝度の変動が駆動用TFT1505を線形領域で動作させたときと比べて少ない

【0020】
駆動用TFTのチャネル長・チャネル幅の設定や、駆動用TFTやEL素子の特性・駆
動電圧によっては動作点を全て飽和領域に持ってくることも出来る。
【0021】
しかし、駆動用TFT1505を飽和領域で動作させた場合では、EL素子1506に
流れる電流値を決めているのはTFTのVGS−IDS特性のみに依存するため、駆動用TF
T1505の特性が各画素でばらつくと、そのままEL素子1506の発光輝度のばらつ
きに反映される。また、保持期間中のVGSの変化も流れる電流に大きく影響する。飽和領
域におけるIDSは、式(1)で表される。
【0022】
【数1】

【0023】
スイッチング用TFT1504のオフリーク電流により、駆動用TFT1505のゲー
ト電極の電荷はソース信号線1501にリークし、それにともなって駆動用TFTの|VG
S|が変化するため、IDSも変化してしまう。よって、スイッチング用TFT1504から
の電荷のリークによる、駆動用TFTのVGS損失を補うための容量が必要となる。これを
保持容量と呼んでいる。保持容量の大きさは、駆動用TFTのVGS−IDS特性と、EL素
子1506の輝度が1階調分変化するのに伴う電流値の変化量ΔIELの関係で決まる。式
(1)からもわかるように、IDSはVGSの2乗に比例するため、|VGS|の変化に対してIDS
は大変敏感である。ΔIELから、駆動用TFT1505に許容されるVGSの変化量ΔVGS
を求める。必要な保持容量の大きさはスイッチング用TFTのオフリーク電流値Ioff
および保持時間から、式(2)(3)を用いて決定する。ここでΔtは微小時間、ΔVGSは、
駆動用TFT1505のゲート・ソース間電圧の増分である。
【0024】
【数2】

【0025】
【数3】

【0026】
1フレーム期間に複数回の書き込み動作を行うデジタル階調方式に比べて、アナログ階
調方式は1フレームに1回しか書き込まれないので、保持時間が長くなり、より大きな保
持容量が必要となる。
【0027】
また、前述の理由から各画素の駆動用TFTのチャネル長は長く保つ必要があり、駆動
用TFTサイズが大きくなることにより開口率が下がってしまう。
【0028】
本発明は、前述の課題を鑑みてなされたものであり、駆動用TFTのばらつきが映像の
画質に影響しにくく、かつ高開口率を実現する発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
課題を解決するために、本発明では以下のような手段を講じた。
【0030】
本発明の発光装置においては、画素部に、大きなCs部を設けず、駆動用TFTのチャ
ネル長・チャネル幅を大きくし、駆動用TFTのゲート電極と、チャネル形成領域との間
の容量(チャネル容量)をCsとして利用する。
【0031】
図18のように、TFT電極はゲート絶縁膜1803を挟んで、ゲート電極1804、
ソース電極1807、ドレイン電極1808で構成されている。そのため各端子間、ゲー
ト電極1804・ソース電極1807・ソース領域1802a間にはゲート・ソース間容
量1811、1812が、ゲート電極1804・ドレイン電極1808・ドレイン領域1
802b間にはゲート・ドレイン間容量1813、1814が本質的に存在する。
【0032】
TFTをONさせるのに必要なゲート・ソース間電圧が、TFTのゲート電極1804
とソース領域1802a間に印加されれば、チャネル形成領域1809内にチャネル18
10が形成されドレイン電流が流れる。この時ゲート電極1804とチャネル間にチャネ
ル容量1815が発生する。
【0033】
ゲート電極1804、ソース電極1807、ドレイン電極1808の電圧条件によって
チャネル領域は変化するため、チャネル容量も変化する。
【0034】
電圧条件によるチャネル領域の変化を、図17を用い説明する。ここにはPチャネル型
TFTを例として用いた。
【0035】
図17の(B)のように、TFTがOFF状態の場合、チャネル形成領域1704にチャ
ネルは形成されないため、チャネル容量は無視出来る。
【0036】
次に、図17(C)のように、TFTを線形領域で動作する場合、ソース・ドレイン間全
面にチャネル1706が形成され、正孔はソースからドレインに向けて直線的に減少する
ように分布する。チャネル形成領域の半導体全表面に正孔が存在するため、充分なチャネ
ル容量が確保出来る。
【0037】
次に、図17(D)のように、TFTを飽和領域で動作する場合、チャネル1706は形
成されるが、ドレイン側の半導体表面には正孔の分布がない状態になる。しかし、ソース
側の半導体表面には正孔が存在するため、ゲート・ソース間に充分な容量が確保出来る。
【0038】
また、画素のレイアウトを行う際に、隔壁の下に配線を配置し、配線の下に駆動用TF
Tを配置することで、駆動用TFTのサイズが大きくなっても開口率を稼ぐことが出来る
。また、3トランジスタ型の場合スイッチング用TFTと消去用TFTを直線状に配置す
ることで開口率を稼ぎ、シンプルな開口部にすることが出来る。ここで直線状とは必ずし
も厳密に一直線でなくともよい。開口率を上げることによりEL素子を同じ輝度にしても
電流密度が下がり、劣化速度が遅くなる。また、シンプルな開口部にすることでEL素子
のシュリンクの影響を受けにくくなる。
【0039】
本発明の構成を以下に記す。
【0040】
本発明の発光装置は、駆動用トランジスタと接続する発光素子と、スイッチング用TF
Tと、消去用TFTとを有する画素を、複数個備えた発光装置であって、 前記駆動用ト
ランジスタのゲート・ソース間電圧を保持するための容量部は、前記駆動用トランジスタ
のゲート電極と半導体層とそれらの間に設けられた絶縁膜によって設けられたことを特徴
としている。
【0041】
本発明の発光装置は、 駆動用トランジスタと接続する発光素子と、スイッチング用T
FTと、消去用TFTとを有する画素を、複数個備えた発光装置であって、 前記駆動用
トランジスタのゲート・ソース間電圧を保持するための容量部は、前記駆動用トランジス
タのゲート電極とソース領域を形成する半導体層、あるいは前記駆動用トランジスタのゲ
ート電極とドレイン領域を形成する半導体層と、前記ゲート電極と前記半導体層との間に
設けられた絶縁膜によって設けられたことを特徴としている。
【0042】
本発明の発光装置は、 発光素子を備えた複数の画素を有し、 前記複数の画素はそれ
ぞれ、ソース信号線と、第1および第2のゲート信号線と、電流供給線と、スイッチング
用トランジスタと、消去用トランジスタと、駆動用トランジスタとを有する発光装置であ
って、 前記駆動用トランジスタのゲート・ソース間電圧を保持するための容量は、前記
駆動用トランジスタのゲート電極とチャネル形成領域との間の容量によって設けられたこ
とを特徴としている。
【0043】
本発明の発光装置は、 発光素子を備えた複数の画素を有し、 前記複数の画素はそれ
ぞれ、ソース信号線と、第1および第2のゲート信号線と、電流供給線と、スイッチング
用トランジスタと、消去用トランジスタと、駆動用トランジスタとを有する発光装置であ
って、 前記駆動用トランジスタのゲート・ソース間電圧を保持するための容量は、前記
駆動用トランジスタのゲート電極とソース領域との間、あるいは前記駆動用トランジスタ
のゲート電極とドレイン領域との間の容量とによって設けられたことを特徴としている。
【0044】
本発明の発光装置は、 駆動用トランジスタと接続する発光素子と、スイッチング用T
FTと、消去用TFTを有する画素を、複数個備えた発光装置であって、 前記ソース信
号線と、前記電流供給線と、前記駆動用トランジスタとはいずれも、前記複数の画素の隣
接する発光エリアを隔てる位置に形成された絶縁膜と重なり合う位置に配置されているこ
とを特徴としている。
【0045】
本発明の発光装置は、 発光素子を備えた複数の画素を有し、 前記複数の画素はそれ
ぞれ、ソース信号線と、第1および第2のゲート信号線と、電流供給線と、スイッチング
用トランジスタと、駆動用トランジスタとを有する発光装置であって、 前記ソース信号
線と、前記電流供給線と、前記駆動用トランジスタとはいずれも、前記複数の画素の隣接
する発光エリアを隔てる位置に形成された絶縁膜と重なり合う位置に配置されていること
を特徴としている。
【0046】
本発明の発光装置において、 前記スイッチング用トランジスタと前記消去用トランジ
スタとは、 前記スイッチング用トランジスタのソース領域におけるある一点とドレイン
領域におけるある一点および、前記消去用トランジスタのソース領域におけるある一点と
ドレイン領域におけるある一点が、いずれも1つの直線上に含まれる位置に配置されてい
ることを特徴としている。
【0047】
本発明の発光装置において、 前記駆動用トランジスタは、前記ソース信号線の一部あ
るいは、前記電流供給線の一部と重なり合う位置に配置されていることを特徴としている

【0048】
本発明の発光装置において、 前記駆動用トランジスタのチャネル領域を形成する半導
体層は、U字状、S字状、渦巻状、あるいはミアンダ状に形成されていることを特徴とし
ている。
【0049】
本発明の発光装置において、 前記駆動用トランジスタのチャネル長がL、チャネル幅
がWであるとき、 L×W>200μm2であることを特徴としている。
【0050】
本発明の発光装置において、 前記駆動用トランジスタのゲート・ソース間電圧がVGS
、ソース・ドレイン間電圧がVDS、しきい値電圧がVthであるとき、 |VDS|<|VGS|−
|Vth|となるように駆動されることを特徴としている。
【0051】
本発明の発光装置において、 前記駆動用トランジスタのゲート・ソース間電圧がVGS
、ソース・ドレイン間電圧がVDS、しきい値電圧がVthであるとき、 |VDS|≧|VGS|−
|Vth|となるように駆動されることを特徴としている。
【0052】
本発明の発光装置において、 前記駆動用トランジスタのゲート・ソース間電圧が、4
V以上14V以下となるように駆動されることを特徴としている。
【0053】
本発明の発光装置において、 前記駆動用トランジスタのチャネル長がL、チャネル幅
がWであるとき、 L>5Wであることを特徴としている。
【0054】
本発明の発光装置において、 前記駆動用のトランジスタのチャネル長がL、チャネル
幅がWであるとき、 R、G、Bの発光色を呈するそれぞれの画素が有する前記駆動用ト
ランジスタにおけるL/Wはそれぞれ異なることを特徴としている。
【発明の効果】
【0055】
本発明のとおり、駆動用TFTのサイズを大きくし、かつチャネル幅Wに対してチャネ
ル長Lを大きくすることによって、飽和領域における電流特性の均一さに優れたTFTを
、それぞれの画素の駆動用TFTとして用いることが出来、かつ駆動用TFTのばらつき
がEL素子の発光輝度に影響しにくくすることが出来る。また、保持容量を、駆動用TF
Tのチャネル容量によってまかない、かつ発光エリア外の隔壁と重なり合う位置に配置す
ることによって、高開口率化が期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図2】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図3】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図4】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図5】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図6】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図7】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図8】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図9】発光装置と周辺回路とがモジュール化されて電子機器に用いられている例を示す図。
【図10】本発明を用いて作製される画素部のレイアウト例を示す図。
【図11】発光装置の概略を示す図。
【図12】従来方法によってレイアウトされた2トランジスタ型画素の例を示す図。
【図13】実測したTFTのチャネル容量を示す図。
【図14】実測したTFTのIDSバラツキを示す図。
【図15】EL素子の動作点を説明する図。
【図16】駆動用TFTの動作範囲が線形領域である場合と飽和領域である場合とにおける、EL素子の劣化と輝度への影響を説明する図。
【図17】TFTの動作時における、チャネル周辺での電荷の振る舞いについて説明する図。
【図18】TFTの各部における容量の要素について説明する図。
【図19】発光装置の上面図および断面図。
【図20】2トランジスタ型画素のマトリクスを示す図。
【図21】本発明が適用可能な電子機器の例を示す図。
【図22】画素部の作製工程を簡略に説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0057】
[実施形態1]
まず図1を用いて説明する。ここでの発光装置は、フルカラー表示をするものとし、そ
れぞれ、赤色を発光する画素(R)の駆動用TFTのソース領域とドレイン領域のうちの一
方は赤色用の電流供給線に接続されていて、緑色を発光する画素(G)の駆動用TFTのソ
ース領域とドレイン領域のうちの一方は緑色用の電流供給線に接続されていて、青色を発
光する画素(B)の駆動用TFTのソース領域とドレイン領域のうちの一方は青色用の電流
供給線に接続されている。RGBそれぞれのEL素子はストライプ状に塗り分けられる。
【0058】
図1では隔壁は発光エリア5007以外の領域を覆っていて、隔壁5020のうち、前
記ストライプと平行な方向に設けられた隔壁が塗り分けマージンとなる。この時、塗り分
けマージン用の隔壁がある場所は発光エリアに用いることができないので、隔壁の下にソ
ース信号線5001と電流供給線5003を配置する。次に、ソース信号線5001と電
流供給線5003の下に駆動用TFT5005を配置する。この時隣り合う画素が有する
ソース信号線や電流供給線の下であっても良い。
【0059】
このような配置としたとき、駆動用TFTのゲート電極は、電流供給線の一部と重なり
合うように配置される。電流供給線は、常に一定電位に固定されているため、駆動用TF
Tのゲート電極と、電流供給線との間の容量を、Csの一部として利用することも出来る

【0060】
駆動用TFT5005は保持容量を兼ね、更に特性バラツキも抑えるために、チャネル
長×チャネル幅が大きくなっている。しかし、駆動用TFT5005を塗り分けマージン
用隔壁の下に配置することでチャネル長×チャネル幅が大きくなっても開口率が低くなる
ことを避けることが出来る。
【0061】
[実施形態2]
次に、画素を構成するTFTが3トランジスタ型の場合は、駆動用TFTを除く、スイ
ッチング用TFTと消去用TFTの2つを直線状に配置することで開口率を稼ぎ、更にシ
ンプルな開口部にすることが出来る。開口部をシンプルに、より長方形に近い形にするこ
とでシュリンクの影響を少なくすることが出来る。
【0062】
[実施形態3]
また、駆動用TFTのチャネル長とチャネル幅を決める際は、なるべくチャネル長×チ
ャネル幅を大きくとることを目標とし、駆動用TFTを飽和領域で動作させる場合はチャ
ネル幅に比べチャネル長を長くし、VGSがしきい値電圧の影響を受けにくい値にする必要
がある。チャネル長を大きくすることで駆動用TFTの飽和領域特性もよりフラットにな
る。この時、VGSを大きくしすぎると消費電力が大きくなる事や、駆動用TFTの耐圧が
問題となるため、|VGS|を4V以上14V以下の間になるようにチャネル長・チャネル幅
を調整すると良い。
【0063】
実施形態1〜3によって、駆動用TFTのサイズを大きくし、かつチャネル幅Wに対し
てチャネル長Lを大きくすることによって、飽和領域における電流特性の均一さに優れた
TFTを、それぞれの画素の駆動用TFTとして用いることが出来、かつ駆動用TFTの
ばらつきがEL素子の発光輝度に影響しにくくすることが出来る。
【0064】
さらに、保持容量を、駆動用TFTのチャネル容量によってまかない、かつ発光エリア
外の隔壁と重なり合う位置に配置することによって、高開口率化が期待出来る。
【0065】
[実施形態4]
EL素子においては、一般的にはR、G、Bそれぞれで発光効率が異なり、したがって
均一な輝度を得るのに必要な電流値も異なる。因って駆動用TFTの電流能力が全て同一
である場合、電流値に差をつけるにはVgsに差をつける必要がある。故にR、G、Bそ
れぞれのEL素子の発光効率の差が大きい場合にはVgsの差が大きくなり電圧設定が困
難になる場合がある。
【0066】
この場合は、R、G、Bそれぞれで、駆動用TFTのチャネル長/チャネル幅を変え、
電流能力を調整すれば良い。またこの際、駆動用TFTチャネル長、チャネル幅を駆動用
TFTが塗り分けマージン用隔壁の領域を出ない範囲で調整することでRGBで開口率が
同一となる。また、RGBそれぞれの、チャネル長×チャネル幅が大きくなるよう調整す
ることで、チャネル容量が十分に確保できる。
【0067】
以下に、本発明の実施例について記載する。
【実施例1】
【0068】
図13に、実測したPチャネル型TFTのゲート・ソース間容量、ゲート・ドレイン容
量の値を示す。VGSは−6Vとし、VDSを16V〜−16Vまで変化させている。VDS
およそ−5Vから、それよりも低くなる領域で、飽和領域となっている。図13(A)と(
B)との和が駆動用TFTの容量となる。
【0069】
図17(C)で説明したように、駆動用TFTを線形領域で駆動させた場合、半導体全表
面にチャネルが形成されるため、充分な容量が確保出来る。
【0070】
駆動用TFTを飽和領域で駆動させた場合は、図17(C)で説明したようにドレイン領
域側にはチャネルが形成されず、図13(b)で見るようにゲート・ドレイン間容量は0に
近い値となる。しかし、ソース領域側にはチャネルが形成されるため、図13(a)で見え
るようにゲート・ソース間容量で充分まかなうことが出来る。したがって、駆動用TFT
を飽和領域で駆動させたい場合は、駆動用TFTにPチャネル型を使うと充分なチャネル
容量が確保出来る。
【0071】
上記説明から、各画素内で大きなCs部を設けず、駆動用TFTのチャネル容量を利用
することで開口率を稼ぐことが出来る。また、チャネル長×チャネル幅が大きくなること
で、駆動用TFTを構成する半導体の結晶性のバラツキが平均化されること等によって、
素子自体のIonバラツキも低減される。
【0072】
また、駆動用TFTを飽和領域で駆動させる場合でも各画素での駆動用TFTのVgs
−Ids特性のバラツキが問題となる。その場合、EL素子に流す電流はそのままでチャ
ネル幅よりもチャネル長を充分大きくすることで、飽和領域の飽和特性も改善される。反
面チャネル長を大きくしたことによって、ELに供給される電流値が減少するので、VGS
を高くすることで、所望の電流をEL素子に供給するようにする。従ってVGSがしきい値
を充分上回る値となることで、VGSがしきい値バラツキの影響を受けにくくなり、IDS
ラツキをより低減することが出来る。チャネル長を長くすることで飽和特性が良いと飽和
領域内ではIDSがほぼ一定になっているため、EL素子の劣化などにより抵抗が変化して
も同じ電流量がEL素子に供給される。
【0073】
図14には、チャネル長×チャネル幅を大きくし、チャネル幅に対してチャネル長を充
分大きくしたTFTの実測したIdsのバラツキを示す。
【0074】
|VGS|を5V、|VDS|を8Vと固定し、チャネル長・チャネル幅の異なる素子について
、それぞれ複数の素子を用いてIDSを測定した。図14で分かるように、IDSのバラツキ
は、チャネル形成領域の面積(チャネル長×チャネル幅)を大きくすることによって抑える
ことが出来る。また、図14の|VGS|5Vと8Vを比較すると、VGSがVthを大きく上回
ると、よりIDSのバラツキを抑えられることが分かる。
【実施例2】
【0075】
ここでは図1を用い、2トランジスタ型の画素の構成・レイアウトについて説明する。
【0076】
図1の画素はソース信号線5001、ゲート信号線5002、電流供給線5003、ス
イッチング用TFT5004、駆動用TFT5005、画素電極5006、発光エリア5
007以外を覆う隔壁で構成されていて、スイッチング用TFT5004のゲート電極は
ゲート信号線5002と接続され、ソース側はソース信号線5001と接続され、ドレイ
ン側は駆動用TFT5005のゲート電極と接続されている。また、駆動用TFT500
5のソース側は電流供給線5003と接続され、ドレイン側は画素電極5006と接続さ
れている。
【0077】
発光エリア5007以外を覆う隔壁のうち、隣接する左右の画素の間に設けられた隔壁
は、RGBを塗り分ける際に必要とされる塗り分けマージンとなる。隣り合って隣接する
左右の画素間に設けられる隔壁の幅は、30μm前後とするのが望ましい。
【0078】
この時、塗り分けマージン用の隔壁は発光エリアとしては用いることができないため、
幅30μmの下にソース信号線5001と電流供給線5003を配置する。次に、ソース
信号線5001と電流供給線5003の下に駆動用TFT5005を配置する。この時隣
り合う画素が有するソース信号線や電流供給線の下であっても良い。
【0079】
また、保持容量は駆動用TFT5005の、半導体層5014とゲート電極5016の
間にあるゲート絶縁膜5015で作られるチャネル容量で兼ねることが出来る。
【0080】
この時保持時間の短いデジタル階調で、保持時間が1ms、駆動用TFTのIoff=
1pAとし、EL素子の発光輝度が1階調変化する時の駆動用TFTのVgsの変化量Δ
Vgsは0.02V程度とする。式(3)より、その時必要な保持容量は50fFとなる。
ゲート絶縁膜5015の厚さを120nmとし、比誘電率を4とすると、チャネル長×チ
ャネル幅=200μm2で約60fFのチャネル容量となる。したがって、充分な容量を
作るため、駆動用TFT5005のチャネル長×チャネル幅は200μm2以上であるこ
とが望ましい。
【0081】
また、駆動用TFT5005のチャネル長×チャネル幅が大きい程、素子自体のバラツ
キも低減されるので、なるべく大きくなることを目標とすると良い。
【0082】
駆動用TFT5005を飽和領域で駆動させる場合は、チャネル幅に比べチャネル長を
大きくし、Vgsがしきい値の影響を受けにくい値にすると良い。この時、チャネル長/
チャネル幅が5以上であることが望ましい。チャネル長を大きくすることで駆動用TFT
の飽和領域特性もよりフラットになる。しかし、VGSを大きくしすぎると消費電力が大き
くなる事や、駆動用TFTの耐圧が問題となるため、|VGS|を4V以上14V以下の間に
なるようにチャネル長とチャネル幅を調整すると良い。
【0083】
駆動用TFT5005のチャネル長を長くするため、半導体層5014のように縦方向
にまっすぐさせると良い。開口率を落とさず、駆動用TFT5005のチャネル長を長く
でき、チャネル幅もある程度大きくすることが出来る。
【0084】
開口率が高いと、EL素子に対する電流密度が低くなり長寿命化に繋がり、開口部もシ
ンプルな形になっているため、シュリンクの影響も受けにくくなる。
【0085】
スイッチング用TFT5004は図ではダブルゲートになっているが、シングルゲート
でも良いし、3本以上のマルチゲートでも良い。
【0086】
図2(A)は図1(A)における半導体層に代えて、パターニング形状の異なる半導体層と
した例である。図2(A)中、α‐α’間の断面を示したものが図2(B)である。駆動用T
FT5105のように半導体層を縦方向に蛇行させても良い。
半導体層をこのような形状とすることで、開口率を落とさず、駆動用TFT5105のチ
ャネル長をより長くすることが出来る。
【0087】
図3(A)は図1(A)における半導体層に代えて、パターニング形状の異なる半導体層と
した例である。図3(A)中、α‐α’間の断面を示したものが図3(B)である。駆動用T
FT5205のように半導体層をU字型にしても良い。半導体層をこのような形状とする
ことで、開口率を落とさず、駆動用TFT5205のチャネル長をより長くし、チャネル
幅もある程度大きくすることが出来る。
【0088】
図4(A)は図1(A)における半導体層に代えて、パターニング形状の異なる半導体層と
した例である。図4(A)中、α‐α’間の断面を示したものが図4(B)である。駆動用T
FT5305のように半導体層をミアンダ形状としても良い。
ここで、ミアンダとは、「meander:曲がりくねって流れる」という意味を有し、ミアン
ダ形状とは、半導体層の形状が曲がりくねっている様子を指す。半導体層をこのような形
状とすることで、開口率を落とさず、駆動用TFT5305のチャネル長をより長くし、
チャネル幅もある程度大きくすることが出来る。
【実施例3】
【0089】
ここでは図5を用い、3トランジスタ型の画素の構成・レイアウトについて説明する。
【0090】
SES駆動をする場合の消去用トランジスタ5506を追加し、ゲート電極に消去用の
信号を入力する第2のゲート信号線5503が接続され、ソース電極と電流供給線550
4が接続され、ドレイン電極とスイッチング用TFT5505のドレイン電極・駆動用T
FT5507のゲート電極が接続されている。
【0091】
3トランジスタ型の場合、スイッチング用TFT5505と消去用TFT5506の2
つのTFTを、第1のゲート信号線5502と第2のゲート信号線5503の間に、横に
並べ直線状に配置する。スイッチング用TFT5505のドレイン領域と消去用TFT5
506のドレイン領域を重ねても良い。この時、スイッチング用TFT5505のソース
領域のある一点とドレイン領域のある一点と消去用TFT5506のソース領域のある一
点とドレイン領域のある一点が1つの直線上に並ぶように配置する。
【0092】
上記のように配置することで開口率を上げ、開口部もシンプルな形状にすることが出来
る。
【0093】
図6(A)は図5(A)における半導体層に代えて、パターニング形状の異なる半導体層と
した例である。図6(A)中、α‐α’間の断面を示したものが図6(B)である。駆動用T
FT5607のように半導体層を縦方向に蛇行させても良い。
半導体層をこのような形状とすることで、開口率を落とさず、駆動用TFT5607のチ
ャネル長をより長くすることが出来る。
【0094】
図7(A)は図5(A)における半導体層に代えて、パターニング形状の異なる半導体層と
した例である。図7(A)中、α‐α’間の断面を示したものが図7(B)である。駆動用T
FT5707のように半導体層をU字型にしても良い。半導体層をこのような形状とする
ことで、開口率を落とさず、駆動用TFT5707のチャネル長をより長くし、チャネル
幅もある程度大きくすることが出来る。
【0095】
図8(A)は図5(A)における半導体層に代えて、パターニング形状の異なる半導体層と
した例である。図8(A)中、α‐α’間の断面を示したものが図8(B)である。駆動用T
FT5807のように半導体層をミアンダ形状にしても良い。
半導体層をこのような形状とすることで、開口率を落とさず、駆動用TFT5807のチ
ャネル長をより長くし、チャネル幅もある程度大きくすることが出来る。
【0096】
図10(A)は図5(A)における半導体層に代えて、パターニング形状の異なる半導
体層とした例である。図10(A)中、α‐α’間の断面を示したものが図10(B)で
ある。駆動TFTの半導体層の大きさを5907のようにし、保持容量が駆動TFTのゲ
ート容量だけでは充分でない場合は保持容量部5910を形成しても良い。保持容量59
10を隔壁5920の下に形成することで、開口率を落とさず、充分な保持容量を得るこ
とができる。
【0097】
さらに、実施例2および本実施例にて示した構成の画素においては、駆動用TFTを飽
和領域で動作させることによって、駆動用TFTのソース・ドレイン間電圧に関係なく、
駆動用TFTのゲート・ソース間電圧のみによって、EL素子に供給する電流値を制御す
ることが出来る。この場合、駆動用TFTは定電流源として機能することが出来るため、
発光装置の画素部周辺に一体形成、もしくは外付けで供給される駆動回路に電流源回路を
追加する必要がないため、装置の省スペース化にも貢献出来る。
【実施例4】
【0098】
図9(A)に示すように、携帯電話等の電子機器の表示部として発光装置が使用される場
合は、モジュール901という形で内蔵される。ここで、モジュール901とは、発光装
置と、発光装置を駆動するための信号処理用LSI、メモリ等を実装した基板とを接続し
た形態を指す。
【0099】
モジュール901をブロック図として、図9(B)に示す。モジュール901は、電源部
911、信号制御部912、FPC913、発光装置914を有する。
電源部911は、外部バッテリーより供給される電源より、ソース信号線駆動回路、ゲー
ト信号線駆動回路、発光素子等に、それぞれ所望の複数の電圧値の電源を生成し、供給す
る。信号制御部912には、映像信号、同期信号が入力され、発光装置901にて処理が
出来るように、各種信号の変換を行う他、ソース信号線駆動回路、ゲート信号線駆動回路
を駆動するためのクロック信号等を生成する。
【0100】
本実施例にて示したモジュール901は、発光装置914と、電源部911および信号
制御部912とは独立して作成されているが、これらを基板上に一体形成して作製しても
良い。
【0101】
続いて、図11に、図9にて示したモジュール901に含まれる発光装置914の詳細
な構成について示す。
【0102】
発光装置は、基板1001上に画素部1003、ソース信号線駆動回路1004、ゲー
ト信号線駆動回路1005、1006、FPC1007等によって構成される。対向基板
1002は、ガラス等の透明材料でも良いし、金属材料でも良い。基板1001と対向基
板1002との間は、充填材等によって密閉され、さらにEL素子の水分による劣化等を
防止するための乾燥剤等が封入される場合もある。
【0103】
図11(B)に、上面図を示す。基板中央部には、画素部1003が配置され、その周辺
部には、ソース信号線駆動回路1004、ゲート信号線駆動回路1005、1006が配
置されている。ソース信号線駆動回路1004の周辺には、電流供給線1011、対向電
極コンタクト1013等が配置されている。EL素子の対向電極は、画素部全面に形成さ
れており、前記対向電極コンタクト1013によってFPC1007を通じ、対向電位が
与えられる。ソース信号線駆動回路1004、ゲート信号線駆動回路1005、1006
を駆動するための信号、および電源の供給は、FPC1007を通じて、外部より行われ
る。
【0104】
また、基板1001と対向基板1002とを貼り合わせるためのシール材1014は、
図11(B)に示すように、ソース信号線駆動回路1004、ゲート信号線駆動回路100
5、1006の一部に重なるように形成されていても良い。このようにすると、発光装置
の狭額縁化が期待出来る。
【実施例5】
【0105】
本実施例では、本発明を用いて発光装置を作製した例について、図19を用いて説明す
る。
【0106】
図19は、TFTが形成された素子基板をシーリング材によって封止することによって
形成された発光装置の上面図であり、図19(B)は、図19(A)のA−A’における断面
図、図19(C)は図19(A)のB−B’における断面図である。
【0107】
基板4001上に設けられた画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第
1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、4004bとを囲むようにして、シール
材4009が設けられている。また画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と
、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、4004bとの上にシーリング材4
008が設けられている。よって画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、
第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、4004bとは、基板4001とシー
ル材4009とシーリング材4008とによって、充填材4210で密封されている。シ
ール材4009は、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動
回路4004a、4004bとの一部と重なり合うように設けられていても良い。
【0108】
また基板4001上に設けられた画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と
、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、4004bとは、複数のTFTを有
している。図19(B)では代表的に、下地膜4010上に形成された、ソース信号線駆動
回路4003に含まれるTFT(但し、ここではNチャネル型TFTとPチャネル型TF
Tを図示する)4201及び画素部4002に含まれるTFT4202を図示した。
【0109】
TFT4201及び4202上には層間絶縁膜(平坦化膜)4301が形成され、その上
にTFT4202のドレインと電気的に接続する画素電極(陽極)4203が形成される。
画素電極4203としては仕事関数の大きい透明導電膜が用いられる。透明導電膜として
は、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化
亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることが出来る。また、前記透明導電膜にガ
リウムを添加したものを用いても良い。
【0110】
そして、画素電極4203の上には絶縁膜4302が形成され、絶縁膜4302は画素
電極4203の上に開口部が形成されている。この開口部において、画素電極4203の
上には有機発光層4204が形成される。有機発光層4204は公知の有機発光材料また
は無機発光材料を用いることが出来る。また、有機発光材料には低分子系(モノマー系)材
料と高分子系(ポリマー系)材料があるがどちらを用いても良い。
【0111】
有機発光層4204の形成方法は公知の蒸着技術もしくは塗布法技術を用いれば良い。
また、有機発光層の構造は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入
層を自由に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。
【0112】
有機発光層4204の上には遮光性を有する導電膜(代表的にはアルミニウム、銅もし
くは銀を主成分とする導電膜またはそれらと他の導電膜との積層膜)からなる陰極420
5が形成される。また、陰極4205と有機発光層4204の界面に存在する水分や酸素
は極力排除しておくことが望ましい。従って、有機発光層4204を窒素または希ガス雰
囲気で形成し、酸素や水分に触れさせないまま陰極4205を形成するといった工夫が必
要である。本実施例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用い
ることで上述のような成膜を可能とする。そして陰極4205は所定の電圧が与えられて
いる。
【0113】
以上のようにして、画素電極(陽極)4203、有機発光層4204及び陰極4205か
らなる発光素子4303が形成される。そして発光素子4303を覆うように、絶縁膜4
302上に保護膜4303が形成されている。保護膜4303は、発光素子4303に酸
素や水分等が入り込むのを防ぐのに効果的である。
【0114】
4005aは電源線に接続された引き回し配線であり、TFT4202の第1の電極に
接続されている。引き回し配線4005aはシール材4009と基板4001との間を通
り、異方導電性フィルム4300を介してFPC4006が有するFPC用配線4301
に電気的に接続される。
【0115】
シーリング材4008としては、ガラス材、金属材(代表的にはステンレス材)、セラミ
ックス材、プラスチック材(プラスチックフィルムも含む)を用いることが出来る。プラス
チック材としては、FRP(Fiberglass‐Reinforced‐Plastics)板、PVF(ポリビニル
フルオライド)フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂
フィルムを用いることが出来る。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやマイラー
フィルムで挟んだ構造のシートを用いることも出来る。
【0116】
但し、発光素子からの光の放射方向がカバー材側に向かう場合にはカバー材は透明でな
ければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまた
はアクリルフィルムのような透明物質を用いる。
【0117】
また、充填材4103としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化
樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、
ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(
エチレンビニルアセテート)を用いることが出来る。
本実施例では充填材として窒素を用いた。
【0118】
また充填材4103を吸湿性物質(好ましくは酸化バリウム)もしくは酸素を吸着しうる
物質にさらしておくために、シーリング材4008の基板4001側の面に凹部4007
を設けて吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207を配置する。そして、吸湿性物
質または酸素を吸着しうる物質4207が飛び散らないように、凹部カバー材4208に
よって吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207は凹部4007に保持されている
。なお凹部カバー材4208は目の細かいメッシュ状になっており、空気や水分は通し、
吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207は通さない構成になっている。吸湿性物
質または酸素を吸着しうる物質4207を設けることで、発光素子4303の劣化を抑制
出来る。
【0119】
図19(C)に示すように、画素電極4203が形成されると同時に、引き回し配線40
05a上に接するように導電性膜4203aが形成される。
【0120】
また、異方導電性フィルム4300は導電性フィラー4300aを有している。基板4
001とFPC4006とを熱圧着することで、基板4001上の導電性膜4203aと
FPC4006上のFPC用配線4301とが、導電性フィラー4300aによって電気
的に接続される。
【実施例6】
【0121】
本実施例においては、実施例2、3にて示した構成の発光装置の作製工程について、図
22を用いて説明する。なお、説明に際しては画素部のみについて説明するが、駆動回路
部においては、作製工程はこの限りではなく、ここでは説明を省略する。
【0122】
まず、図22(A)に示すように、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ
酸ガラス等のガラスからなる基板上に、酸化珪素膜、窒化珪素膜、もしくは酸化窒化珪素
膜でなる下地膜(図示せず)を形成する。その後、非晶質構造を有する半導体膜をレーザ結
晶化法や公知の熱結晶化法を用いて結晶化した結晶質半導体膜を所望の形状にパターニン
グし、島状半導体層2201、2202を得る(図22(A))。
【0123】
続いて、島状半導体層2201、2202を覆うゲート絶縁膜(図示せず)を形成する。
その後、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cu等から選ばれた元素、または前記元素を主成
分とする合金材料もしくは化合物材料を用いて、ゲート電極を形成するための導電膜を形
成する。その後、所望の形状にパターニングし、ゲート電極2203、2204(220
3はゲート信号線を兼ねる)を得る(図22(B))。
【0124】
続いて、基板表面の平坦化を兼ねる絶縁膜(図示せず)を形成し、その上に画素電極22
05を形成する。画素電極2205については、表示面が図の表側にあたる場合には反射
電極とし、表示面が図の裏側にあたる場合には、光透過性のある透明電極とする。前者の
反射電極の材料としては、MgAg等があり、後者の透明導電膜としては、ITO等が代
表的である。画素電極2205もまた、前記材料でなる膜を形成した後、パターニングに
より所望の形状を得る。
【0125】
その後、半導体層2201、2202、ゲート電極2204に達するコンタクトホール
2206を開口し、配線2207〜2209(うち、2207はソース信号線、2208
は電流供給線となる)を形成する。ここで、配線2209と、画素電極2206とは、互
いに重なり合うようにして接点を取っている(図22(C))。
【0126】
続いて、隣接する画素の間に隔壁(図示せず)を形成し、発光エリア2210となる部分
をエッチングにより開口する(図22(D))。その後、開口部分にEL層を形成して完成す
る。
【実施例7】
【0127】
発光素子を用いた発光装置は自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べ、明るい場
所での視認性に優れ、視野角が広い。従って、様々な電子機器の表示部に用いることが出
来る。
【0128】
本発明の発光装置を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル
型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置
(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器
、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、
記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒
体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。特に
、斜め方向から画面を見る機会が多い携帯情報端末は、視野角の広さが重要視されるため
、発光装置を用いることが望ましい。それら電子機器の具体例を図21に示す。
【0129】
図21(A)はELディスプレイであり、筐体3001、支持台3002、表示部300
3、スピーカー部3004、ビデオ入力端子3005等を含む。本発明の発光装置は表示
部3003に用いることが出来る。発光装置は自発光型であるためバックライトが必要な
く、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることが出来る。なお、発光素子表示装置は
、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる

【0130】
図21(B)はデジタルスチルカメラであり、本体3101、表示部3102、受像部3
103、操作キー3104、外部接続ポート3105、シャッター3106等を含む。本
発明の発光装置は表示部3102に用いることが出来る。
【0131】
図21(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体3201、筐体3202、
表示部3203、キーボード3204、外部接続ポート3205、ポインティングマウス
3206等を含む。本発明の発光装置は表示部3203に用いることが出来る。
【0132】
図21(D)はモバイルコンピュータであり、本体3301、表示部3302、スイッチ
3303、操作キー3304、赤外線ポート3305等を含む。本発明の発光装置は表示
部3302に用いることが出来る。
【0133】
図21(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であ
り、本体3401、筐体3402、表示部A3403、表示部B3404、記録媒体(D
VD等)読込部3405、操作キー3406、スピーカー部3407等を含む。表示部A
3403は主として画像情報を表示し、表示部B3404は主として文字情報を表示する
が、本発明の発光装置はこれら表示部A、B3403、3404に用いることが出来る。
なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0134】
図21(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体35
01、表示部3502、アーム部3503を含む。本発明の発光装置は表示部3502に
用いることが出来る。
【0135】
図21(G)はビデオカメラであり、本体3601、表示部3602、筐体3603、外
部接続ポート3604、リモコン受信部3605、受像部3606、バッテリー3607
、音声入力部3608、操作キー3609等を含む。本発明の発光装置は表示部3602
に用いることが出来る。
【0136】
図21(H)は携帯電話であり、本体3701、筐体3702、表示部3703、音声入
力部3704、音声出力部3705、操作キー3706、外部接続ポート3707、アン
テナ3708等を含む。本発明の発光装置は表示部3703に用いることが出来る。なお
、表示部3703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電流を抑え
ることが出来る。
【0137】
なお、将来的に有機発光材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレ
ンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能と
なる。
【0138】
また、上記電子機器はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線
を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増し
てきている。有機発光材料の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい

【0139】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなる
ように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音響再生
装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景
として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0140】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが
可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜6に示したいずれの構成の発光装置
を用いても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用トランジスタと接続する発光素子を有する画素を、複数個備えた発光装置であって、
前記駆動用トランジスタのゲート・ソース間電圧を保持するための容量部は、前記駆動用トランジスタのゲート電極と半導体層と、それらの間に設けられた絶縁膜によって設けられたことを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−80233(P2013−80233A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255260(P2012−255260)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2011−254752(P2011−254752)の分割
【原出願日】平成15年1月16日(2003.1.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】