説明

発光領域を有する印刷物又は塗工物の真偽判別方法

【課題】 本発明は、発光領域と余白領域を有する印刷物又は塗工物からの残光と、余白部からの反射光を検出することによって、真偽判別を行う方法に関する。
【解決手段】 基材に発光体を付与した発光領域と余白領域を有する印刷物又は塗工物の真偽判別方法であり、単一周波数の方形波を形成する方形波形成工程と、主波長と副波長を有する照射光を、方形波と同一周期で印刷物に断続的に照射する照射工程と、主波長による印刷物の発光画像部の残光と、副波長による印刷物の余白部の反射光を受光し、残光を光電変換して残光の受光量の出力波形と、反射光を光電変換して反射光の受光量の出力波形を出力する検出工程と、検出工程において出力された残光と反射光の出力波形から識別波形を形成する信号処理工程と、識別波形と、あらかじめ記録した真正印刷物の基準波形を比較して真偽判別を行う判別工程から成ることを特徴とする真偽判別方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、諸証券及び郵券等の印刷物に光を照射し、印刷物又は塗工物に使用されている発光体により付与された領域(以下「発光領域」という。)の残光と、基材の反射光を検出することによって、該印刷物の真偽判別を行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光体又はりん光体等の発光体は、特定の波長における励起光の照射により励起され、ある一定の波長の光を放出する特性を持っている。また、りん光体に関しては、励起光の照射が終わった後でも、減衰しながら蛍光体と比較して光を長い時間にわたって放出する残光特性を有し、この残光の減衰率もそれぞれに特有の値を持っている。
【0003】
前述の励起波長と放出する発光波長、発光強度及び残光特性は、それぞれの発光体によって固有の特性であるため、昨今のカラーコピーやパソコン又は印刷機により作製された偽造印刷物の真偽判別を行う一手段として、特定の発光体を印刷又は塗布等の手段を用いて印刷物やカード等の一部又は全面に付与し、当該発光体の特徴から印刷物やカード等の真偽判別を行う装置が知られている。
【0004】
その一例として、印刷物の反射光に関する情報と、りん光物質の残光特性を搬送状態で検知する方法が開示されている。この方法は、搬送の前段の反射光検知部で印刷物の反射光に関する情報を取得し、後段のりん光検知部で、励起光を連続的に照射し、一定距離の搬送後に、検知部でりん光物質の残光特性を検知するといったものである(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、照射した励起光に対して異なる波長の光を発する蛍光体を含有した検知用マークに励起光を照射し、マークから放出される蛍光を検知してマークを検出する光学読取装置において、強度がほぼ一定の励起光を、所定の周期をもって継続させながら照射する光照射手段と、励起光の照射位置から放出される光を入力して電気信号に変換する光電変換手段と、光照射手段による照射期間と90度位相がずれたタイミングで同期をとりながら、光電変換手段からの出力信号の半分を反転増幅する波形整形手段と、その波形整形手段による出力信号から直流成分を選択的に取り出す低域通過型濾波手段を有することを特徴とする光学読取装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−30785号公報
【特許文献2】特許第3860595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、搬送路上に、投光部及び受光部を別々に設置する必要があり、装置が大型化するという問題があった。また、励起光が連続照射光であるため、励起光からの光と外部からの光を除去するために高度な遮光が必要であった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術には、インキ等の残光特性を検知する技術が開示されているが、該技術により基材の反射特性の判別を行うためには、基材の端部を検出するトリガーのためのセンサ、反射光を専用に投受光するための光源及びセンサ並びに蛍光を検出するための光源及びセンサの三つが必要であり、これら全てをそれぞれ最適な検出にするために調整する必要があった。
【0009】
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、遮光手段を設けることなく、単一の励起光源により断続照射を行い、印刷物に使用されている発光インキ等による発光領域の残光の検出と、基材余白部からの反射光の検出の双方による判別を同時に行うことによって、印刷物の真偽判別を行う方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、発光体を含むインキにより印刷された発光領域と発光領域以外の余白領域を有する印刷物の真偽判別を行う方法であって、単一周波数の方形波を形成する方形波形成工程と、主波長と副波長を有する照射光を、方形波と同一周期で印刷物に断続的に照射する照射工程と、主波長による印刷物の発光領域の残光と、副波長による印刷物の余白部の反射光を受光し、残光を光電変換して残光の受光量の出力波形と、反射光を光電変換して反射光の受光量の出力波形を出力する検出工程と、検出工程において出力された残光と反射光の出力波形から識別波形を形成する信号処理工程と、識別波形と、あらかじめ記録した真正印刷物の基準波形を比較して真偽判別を行う判別工程から成ることを特徴とする真偽判別方法である。
【0011】
また、本発明の真偽判別方法における信号処理工程は、検出工程において出力された残光の出力波形と反射光の出力波形に含まれる直流信号を除去し、残光の出力波形と反射光の出力波形の交流信号を増幅する信号増幅工程と、信号増幅工程後の残光の出力波形と反射光の出力波形の交流信号から方形波と同一周期の正弦波以外の信号を除去する除去工程と、除去工程後の残光と反射光の正弦波の信号の半分を、反射光の正弦波の最大振幅の位相と、反射光の正弦波と同一極性に位置する残光の正弦波の最大振幅の位相の間で反転する極性反転工程と、極性反転工程後の残光と反射光の正弦波の信号から高周波成分を除去し、低周波数成分を取り出して識別波形として出力する高周波除去工程から成ることを特徴とする真偽判別方法である。
【0012】
また、本発明の真偽判別方法における信号処理工程は、極性反転工程後に、方形波形成工程からの方形波の位相又は除去工程後の残光又は反射光のいずれか一方の正弦波の位相を調整する位相調整工程を更に含むことを特徴とする真偽判別方法である。
【0013】
また、本発明の真偽判別方法は、主波長の波長領域が紫外線から赤外線の領域にあり、副波長が可視光線から赤外線の領域にあることを特徴とする真偽判別方法である。
【0014】
また、本発明の真偽判別方法に用いる副波長は、波長領域700nmから1000nmの範囲にあることを特徴とする真偽判別方法である。
【0015】
また、本発明の真偽判別方法に用いる単一周波数は、発光体の残光時間をτ(s)とすると、0.25/(2×τ)から50/(2×τ)の範囲として算出できる値であることを特徴とする真偽判別方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の真偽判別方法は、励起光及び反射光を検出するための断続光を同時に単一の光源から照射し、断続光の周波数と同一の発光及び反射光成分を単一のセンサで検出可能であるため、特別な遮光手段を設ける必要がなく、小型の装置により真偽判別を行うことができる。
【0017】
また、本発明の真偽判別方法は、単一光源の照射光による主波長と副波長を使用し、単一のセンサにより発光特性と反射特性を検出しているため、簡易な調整により真偽判別が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明における残光時間の定義図。
【図2】本発明の真正印刷物の一例を示す平面図。
【図3】本発明の真偽判別方法の工程を示すフローチャート。
【図4】各工程の出力波形を示す図。
【図5】本発明に使用するLEDの波長の一例を示す図。
【図6】反転タイミングの一例を示す図。
【図7】真正印刷物の出力波形を示す一例図。
【図8】実施例における真正印刷物A2を示す平面図。
【図9】実施例における真正印刷物A3を示す平面図。
【図10】実施例における評価対象物を示す平面図。
【図11】実施例における評価対象物を示す平面図。
【図12】実施例1で用いるLEDの波長を示す図。
【図13】実施例の反転タイミングを示す図。
【図14】真正印刷物A2の出力波形を示す図。
【図15】評価物C2の識別波形を示す図。
【図16】実施例2で用いるLEDの波長を示す図。
【図17】実施例2における赤外減衰フィルタの特性を示す図。
【図18】真正印刷物A3の出力波形を示す図。
【図19】評価物D2の識別波形を示す図。
【図20】真正印刷物A3の出力波形を示す図。
【図21】評価物D2の識別波形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0020】
(発光体の定義)
本発明における判別対象となる発光体について定義する。本発明の発光体は、設定した励起周波数において、残光が検出可能な蛍りん光体である(参考:岩波理化学第5版に「蛍光とりん光を含めて蛍りん光体という場合もあるが、一般には、両者の発光を含めた意味で発光体という場合が多い」と記述されている。)。したがって、設定した励起周波数において、残光が検出可能であれば、一般的な発光体も含めて定義することができる。本発明において、残光時間の短い発光体を検知する場合には、励起周波数を高く設定し、逆に、残光時間の長い発光体を検知する場合には、励起周波数を低く設定する。この時、設定した周波数領域において、ひずみのない波形が得られる光源及び検出器を選定する。なお、本発明においては、発光体又は発光領域からの光の放射も(発光体にエネルギーを供給している時の光の放出と、エネルギーの供給を絶った後の光の放出の双方を含む。)「残光」として表現する。
【0021】
(残光時間の定義)
本発明における残光時間(蛍光寿命)について定義する。本発明では、図1に示すように、出願人らが実際に測定した手段で定義を行う。本発明でいう残光時間とは、励起光停止時を0sとし、そこから発光が観測されなくなった経過時間として定義する。励起光源は、紫外線励起発光材料には、中心波長375nmのLED光源を使用した。可視光線励起発光材料には、中心波長595nmのLED光源を使用した。残光検知は、シリコンフォトダイオード検出器を使用した。
【0022】
残光時間を測定するときの励起光の点灯時間及び消灯時間は、パルスジェネレータで制御し、点灯時間と消灯時間の比率を点灯時間10%とした。発光体を励起する時間は、残光時間の2倍から5倍の範囲で、発光体の残光時間の長さに応じて適宜選択した。例えば、図1(a)に示すように残光時間が、3msの発光体の場合、励起光の照射時間を10msとした。シリコンフォトダイオード検出器を通して電気信号に変換されたシグナルは、AD変換器により収集した。励起光照射前のシグナルが0Vとなるように調整した後、励起光を照射した。その後、図1(b)に示すように、励起を停止した時間を0sとし、発光体のシグナルが0Vになった時間を残光時間とした。
【0023】
なお、発光体は、残光時間を有する発光体であれば特に限定されず、Sr10(POCl:Eu2+、BaMgAl1017:Eu、CaMgSi:Eu、Y(P,V)O:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、ZnSiO:Mn、(Ba,Sr,Mg)O、aAl:Mn、LaPO:Ce、Tb、(Y,Gd)BO:Eu、YS:Eu、(Sr,Mg)(PO:Sn、3.5MgO、0.5MgF、GeO:Mn、YS:Eu、ZnS:Ag、MgWO、ZnS:Cu、Al、BaMgAl1017:Eu,Mn、SrBaMgAl1017:Eu,Mn等の発光材料を適宜選択して使用することができる。また、その他の発光体としては、有機発光体、蛍光染料等を使用することができる。
【0024】
次に、本発明における真偽判別方法の判別対象について説明する。図2は、前述した発光体を含む発光インキにより印刷された発光領域2を有する真正印刷物A1を示す一例図であり、あらかじめ記録する基準波形を有する。図2に示すように、真正印刷物A1は、基材1上に発光インキにより印刷された少なくとも一つの発光領域2と、印刷されていない余白部3から成る。また、発光領域2は、励起光の照射範囲よりも広いベタ状又は画線状に印刷するか、又は塗工することが望ましく、細画線又は網点の集合した彩文模様等でも良い。なお、基材1は、特に限定されず、公知のコート紙、上質紙又はプラスチック等を使用することができる。
【0025】
次に、本発明の真偽判別方法について詳細に説明する。本発明の真偽判別方法は、図3(a)に示すように、方形波形成工程(T)と、照射工程(T)と、検出工程(T)と、信号処理工程(T)と、判別工程(T)から成る。なお、図3(b)に示すように、信号処理工程(T)は、信号増幅工程(T4a)、除去工程(T4b)と、極性反転工程(T4c)と、位相調整工程(T4e)と、高周波除去工程(T4d)から成る。
【0026】
図4(a)に示すように、方形波形成工程(T)は、デューティの等しい単一周波数の方形波(P)を形成し、照射工程(T)と信号処理工程(T)に対して出力する。本発明における周波数とは、方形波の周期(SEC)の逆数(Hz)として定義できる。本発明でいう「デューティの等しい」とは、方形波における電圧レベル(Highレベル及びLowレベル)の継続時間が等しいことを意味する。なお、本発明においては、一例として、デューティの等しい単一周波数の方形波を使用しているが、方形波は単一周波数であれば特に限定されるものではない。本発明に用いる方形波(P)は、発光体の残光時間に対応したデューティの等しい周波数に設定することが感度やS/Nの改善に効果的である。方形波の周波数を発光体の残光時間に対応させるのは、方形波の継続時間と前述定義で示す残光時間が等しくなるときが、反射光と残光の位相差が大きく、発光体の発光強度が最大となるためである。
【0027】
例えば、発光体の残光時間(τ(s))を1msとした場合には、残光時間に等しい励起光停止時間及び励起光照射時間が得られる周波数(以下「基準周波数」という。)は、{1/(2×τ(s))}として表すことができるため、500Hzとなる。同様に、真偽判別可能な周波数の範囲は、発光体の残光時間を1msとした場合には、125Hz(基準周波数の1/4倍)から、25kHz(基準周波数の50倍)となる。125Hz以下では、反射光と残光の位相差が小さいため、真偽判別には適さない。25KHz以上では、反射光と残光の位相差は発生するが、残光の発光強度が弱くなるため、S/Nが悪くなる。したがって、望ましい周波数は発光体の残光時間をτ(s)とし、この値を基準とすると、0.25/(2×τ)から50/(2×τ)の範囲として算出できる。さらに、検出時の移動速度等を考慮し、上記範囲内で任意の適した値として設定することができる。
【0028】
照射工程(T)は、主波長と副波長を有する照射光を前述した方形波と同一周期により前述印刷物に断続的に照射する。照射光の光源は、判別対象印刷物の発光体を励起する主波長の光量が十分であること及び測定に必要な基材の余白部からの反射光である副波長を判別対象印刷物に照射可能であれば特に限定されず、公知のLEDやLDを使用することができる。なお、本発明における光源の主波長(中心波長)とは、光源から発せられる光を分光した場合に、最も照射強度の高い波長を意味する。また、本発明において副波長とは、光源から発せられる光全体を分光した場合に、最も照射強度の高い波長領域以外から発せられる光を意味する。特に好ましいのは、発光体を励起する波長領域に主波長を有し、発光体の発光領域付近にも副波長成分を有するLEDである。一例として、図5に示すような特性を有するLEDであり、前述定義に基づけば、このLEDの主波長(中心波長)は395nmであり、副波長は750nmである。副波長成分が可視光領域外にあるものは、可視光下で等色として視認される、副波長成分の異なるペアインキの特性を検知するのに有効である。なお、従来の真偽判別方法は、LEDの副波長を未使用又はフィルタにより除去していたが、本発明は、当該副波長を使用することにより基材の真偽判別を行うことを可能としたものである。
【0029】
検出工程(T)は、主波長による印刷物の発光領域の残光と、副波長による印刷物の余白部の反射光を受光し、残光と反射光を光電変換して、残光と反射光の受光量の出力波形を出力する。検出工程(T)に用いられる検出器は、Siフォトダイオード、InGaAsダイオード、フォトマルチプライヤー及びイメージインテンシファイア等を使用することができる。なお、発光体の発光強度が低い場合には、フォトマルチプライヤー又はイメージインテンシファイア等の高感度な光電変換センサを用いる。また、Siフォトダイオードの検出領域よりも波長の長い領域に発光ピークを有する発光体を使用する場合には、InGaAs検出器を使用する。なお、検出器の入射光部の前には、励起光をカットするための光学フィルタを設置しても良い。検出器の前に、発光体の発光領域の光又は発光体の発光領域の光及び励起光の副波長領域の光を選択的に取得する光学フィルタを設置することで、検出に不要な波長の光を除去することができる。
【0030】
一例として、発光領域に照射光を照射した時の出力(以下「発光領域の出力」という。)と、印刷されていない余白部に照射光を照射した時の出力(以下「余白部の出力」という。)の各工程間の出力波形の変化を比較するために、照射する部分だけを変え、取り出した波形を、図4(b)から図4(d)に示した。図4(b)には、検出工程(T)からのそれぞれの出力の比較を示した。余白部に照射光を照射した場合、光源で発生した副波長成分を含む光が余白部で反射し、検出部前段に設置された光学フィルタにより減衰された光の成分が検出され、方形波と、同位相の出力が検出される。発光領域に照射光を照射した場合には、照射光の継続時間中に徐々に発光強度が増加する。照射停止時には、徐々に発光強度が減衰し、前述の残光時間に依存した発光出力が検知される。
【0031】
信号処理工程(T)は、検出工程から出力された出力波形から真偽判別に必要な識別波形を形成し、判別工程(T)に出力する。信号処理工程(T)は、検出工程から出力された出力波形に含まれる直流信号を除去し、出力波形の交流信号を増幅する信号増幅工程(T4a)と、交流信号から方形波形成工程(T)で形成された方形波と同一周期の正弦波以外の信号を除去する除去工程(T4b)と、正弦波の信号の半分の照射光を印刷物の余白部に照射した場合における反射光による正弦波の最大振幅(以下「反射光の最大振幅」という。)の位相と、照射光を発光領域に照射した場合における残光による正弦波の、反射光による正弦波と同一極性に位置する最大振幅(以下「残光の最大振幅」という。)の位相の間で反転する極性反転工程(T4c)と反転後の前述残光と前述反射光の正弦波の信号から高周波成分を除去し、低周波数成分を取り出して、真偽判別対象物の反射特性と残光特性を組み合わせた識別波形として出力する高周波除去工程(T4d)と、前述の極性反転工程(T4c)における反転タイミングの位相を調整するために、方形波形成工程(T)で形成された方形波又は除去工程(T4b)から出力された正弦波のどちらか一方の位相を調整する位相調整工程(T4e)から成る。
【0032】
信号増幅工程(T4a)は、極性反転工程(T4c)において良好な処理を行うために、必要な振幅を得るレベルに信号を増幅する。信号増幅工程(T4a)は、検出工程から出力された出力波形を増幅した後、増幅された出力波形に含まれる直流信号を除去し、出力波形の交流信号を増幅する。信号増幅工程(T4a)は、検出工程(T)の出力を直流増幅するセンサアンプと、センサアンプにより増幅された出力波形から、照射光の変化と比較し、太陽光等の時間変化の小さい光の成分である直流成分を除去するコンデンサと、コンデンサからの信号を交流増幅する交流アンプにより行われる。
【0033】
除去工程(T4b)は、バンドパスフィルタによって、信号増幅工程(T4a)で増幅された信号から、方形波形成工程(T)における周波数と同一周波数の正弦波以外を除去する。したがって、バンドパスフィルタの中心周波数は、方形波形成工程(T)で形成した周波数と同一である。除去工程(T4b)からの交流信号は、図4(c)に示すように、方形波形成工程(T)で発生した信号と同一周波数の正弦波となる。なお、余白部の出力と比較し、発光領域の出力は、方形波形成工程(T)で形成した信号の周波数と発光体の残光時間に依存した位相の遅れた波形となる。図4(c)の余白部の出力に示す矢印(M)は、余白部からの光の最大振幅の位置を示している。同様に、図4(c)の発光領域の出力に示す矢印(M)は、発光領域からの残光の最大振幅の位置を示している。
【0034】
極性反転工程(T4c)においては、除去工程(T4b)からの出力(交流信号)をPhase Sensitive Detector(以下「PSD」という。)によって、方形波形成工程(T)からの方形波の信号レベルがLow(以下、「L」という。)からHigh(以下、「H」という。)及びHからLに変化する時に極性の反転を行い、高周波除去工程(T4d)に出力する。極性を反転することによって、残光と反射光を識別しやすくするためである。極性の反転タイミングは、後述の位相調整工程(T4e)で、反射光の最大振幅の位相と、残光の最大振幅の位相の間になるように調整する。
【0035】
極性の反転タイミングを、反射光の最大振幅の位相と、残光の最大振幅の位相の間になるように調整した場合のPSDからの出力を、図4(d)に示した。余白部の出力と発光領域の出力ともに、図中の反転タイミングと表示された部分で、振幅が反転した波形に変化している。この結果、余白部からの光の最大振幅の位置に対応する矢印(M1)は、負極側に位置している。一方、発光領域の出力に示す、残光の最大振幅の位置に対応する矢印(M)は、正極側に位置している。つまり、極性反転後、余白部からの光の最大振幅と発光領域からの光の最大振幅は、互いに反対側に位置する。
【0036】
すなわち、極性の反転タイミングは、反射光の最大振幅の位相と、反射光の最大振幅の位相と同一極性に位置する残光の最大振幅の位相の間となる。反転タイミングが反射光の最大振幅の位相と、残光の最大振幅の位相の間の領域となった場合には、後述の識別波形において、残光の出力と反射光の出力で、強度の増加に伴い、それぞれの振幅が逆方向に増加するため、残光の特徴と反射光の特徴を良好に分離又は検知できるからである。
【0037】
反転タイミングである反射光の最大振幅と残光の最大振幅の位相は、反射光の最大振幅を基準に、5度から40度の範囲内で遅らせることが好ましい。当該範囲内が、残光を有する発光体の特徴と、反射光の特徴を良好に分離及び検知できるからである。また、反転タイミングが、残光の最大振幅の位相と同一となった場合には、発光体からのシグナルを検知することができない。また、反転タイミングが、反射光の最大振幅の位相となった場合には、反射光からのシグナルが検知できず真偽判別に活用できない。また、反転タイミングが、反射光の最大振幅の位相と、残光の最大振幅の位相の間以外の領域となった場合には、後述する識別波形における、残光の出力と反射光の出力が、同一振幅方法(残光出力+側及び反射光出力+側又は残光出力−側及び反射光出力−側)となるため、例えば、基材と比較して、反射率の高い物質が付着した場合に、誤判別を起すので不適切である。
【0038】
一例として、励起周波数1KHzで、1msの残光を有する発光体を用いた印刷物の反転タイミングについて説明する。図6(a)は、バンドパスフィルタ通過後の余白部の出力と発光領域の出力の波形の比較である。方形波の立ち上がりの位相を0°(基準)とすると、余白部からの反射光の立ち上がりは、受光するフォトダイオード及びバンドパスフィルタの特性により18°位相が遅れている。このため、反射光の最大振幅の位相は、108°となる。一方、発光領域からの残光の立ち上がりは、方形波の立ち上がりの位相を0°(基準)とすると、60°位相が遅れている。よって、残光の最大振幅の位相は、150°である。
【0039】
図6(b)は、極性反転工程後の出力の比較を示し、図中「反転タイミング」と記述される部分で、両者の波形が原点を通過し、波形の反転が行われている。一例として、反転タイミングの位相は、135°であり、同一極性にある反射光の最大振幅の位相である108°と残光の最大振幅の位相である150°の間に存在する。このタイミングで反転した場合に、図6(b)に示されるように、反射光の2つの最大振幅は、原点の負極側に位置する。一方、残光の2つの最大振幅は、原点の正極側に位置する。本例では、反転タイミングの位相を135°としているが、当該タイミングは、反射光の最大振幅と残光の最大振幅の間に存在すれば良く、これに限定されるものではない。
【0040】
なお、方形波の立ち上がりと、余白部における出力の立ち上がりとの位相の遅れは、採用する装置の部品構成により異なるため、本発明においては、反転タイミングを、バンドパスフィルタ通過後の波形の特徴をもって記述する。したがって、本例における反転タイミングである(方形波の立ち上がりを0°(基準)として)135°は、照射光を印刷物の余白部に照射した場合における反射光による正弦波の最大振幅(反射光の最大振幅)から27°(位相差27°)の遅れとして表現することができる。
【0041】
高周波除去工程(T4d)においては、極性反転工程(T4c)からの出力波形をローパスフィルタにより高周波成分を除去することによって、低周波数成分が出力され、判別対象印刷物の反射及び発光特性に応じた識別波形が形成される。なお、ローパスフィルタの遮断周波数は、方形波形成工程(T)で形成した周波数の1/10程度に設定する。遮断周波数が、方形波形成工程(T)で形成した周波数に近くなると、識別波形のS/Nが低下する。遮断周波数が低い場合には、識別波形の空間分解能が低くなるからである。ローパスフィルタでは、極性反転工程(T4c)から出力された波形が、原点を中心とした面積の割合に応じた直流成分として出力される。したがって、図6(b)に記述される反転後の出力をローパスフィルタに通過させた場合には、反射光の反転後の出力は、負極側に、残光の反転後の出力は、正極側の直流値に変換される。例えば、図7に示すように、図2に示す真正印刷物A1のバックグラウンドからの出力(搬送装置で通紙を行っていない状態の時の出力値)を0Vに調整した場合は、真正印刷物A1の発光領域2の余白部3の反射特性の出力が負極側に出力され、発光領域2の残光特性の出力が正極側に出力された識別波形が形成される。
【0042】
ここで、前述の極性反転工程(T4c)における反転タイミングを制御するための一例として、位相調整工程(T4e)について説明する。位相調整工程(T4e)においては、位相器によって、極性反転工程(T4c)の反転タイミングが反射光の最大振幅の位相と、残光の最大振幅の位相の間となるように、方形波形成工程(T)から出力された信号の位相を変化させ、除去工程(T4b)から出力された正弦波との位相を調整する。これは、極性反転工程(T4c)のPSDで、方形波形成工程(T)からの方形波の信号レベルがLからH及びHからLに変化する時に、除去工程(T5a)から出力された正弦波の信号の極性の反転が行われるからである。
【0043】
なお、本例における位相調整は、方形波形成工程(T)からの信号と極性反転工程(T4c)からの信号を観察することで調整を行っているが、基準パターンを形成するための図柄を通紙しながら、前述の識別波形が形成されるように、出力を観察しながら調整を行っても良い。また、位相調整工程(T4e)は、極性反転工程(T4c)で、方形波形成工程(T)からの信号と除去工程(T4b)からの信号の位相を適切な範囲に調整可能であれば良く、方形波形成工程(T)からの信号の位相を変化させるか、又は除去工程(T4b)のからの信号の位相を変化させても良い。
【0044】
判別工程(T)は、信号処理工程(T)で形成した識別波形を、あらかじめ定めた設定値又は基準パターンである基準波形と比較し、基準波形の形状とパターンマッチングさせることで、一致したものを真正と識別する。例えば、あらかじめ設定した基準値を中心として、基準値±誤差として許容範囲を設定し、許容最大値と許容最小値の間に判別対象印刷物から得た識別波形が得られれば、判別対象印刷物は真正であると判別するものである。
【実施例1】
【0045】
以下の実施例においては、本発明における原理、機能及び効果を確認するために、市販装置の組み合わせにより構築したものを例示したものであり、当該装置構成を基板上に構築すれば、非常に小型の装置が構築できる。
【0046】
(真正印刷物)
前述の定義による残光時間3msの紫外線励起赤色発光材料を含むスクリーンインキを作製し、基材1’として無蛍光紙に上記インキを使用して200メッシュの版面により発光領域2’を印刷して、図8に示す真正印刷物A2を作製した。また、基材1’’として無蛍光紙上に、残光時間1.2msの可視励起赤外発光材料を付与したオフセットインキにより発光領域2’’を印刷し、赤外線吸収インキで凹版印刷により赤外線吸収領域4と、赤外線吸収領域4と可視光で等色の赤外線透過インキで凹版印刷により赤外線透過領域5とを印刷し、図9に示す真正印刷物A3を作製した。
【0047】
(評価物)
また、図10(a)に示すように、真正印刷物A2をカラーコピーし、「評価物C1」を作製した。また、図10(b)に示すように、真正印刷物A2の図柄部分に、アルミ箔6を貼り付けた「評価物C2」を作製した。また、図11に示すように、同様な方法により真正印刷物A3をカラーコピーして「評価物D1」と、アルミ箔6を貼り付けた「評価物D2」を作製した。
【0048】
方形波形成工程においては、位相が同一であり、デューティの等しい周波数1KHzの方形波を照射工程と位相調整工程に制御信号発振器から出力した。
【0049】
照射工程に使用したLEDは、図12に示すように、395nm付近の主波長とともに、750nm付近に、副波長を持っていた。照射工程においては、395nm付近の主波長と750nmの副波長を周波数1KHzの断続光として、搬送速度2m/minの真正印刷物A2に照射した。
【0050】
検出工程においては、発光領域の残光と余白部の反射光をシリコンフォトダイオードにより検出し、光量に応じた電圧に変換して信号増幅工程に出力した。シリコンフォトダイオードの前面には、励起光(主波長)を除去するためのフィルタとして、富士フィルム社製SC-46を配置した。
【0051】
信号増幅工程においては、検出工程からの出力をDCアンプ及びマルチファンクションフィルタ内部の交流アンプにより更に増幅し、信号処理工程に出力した。
【0052】
信号処理部工程においては、除去工程を中心周波数1KHzにバンドパスフィルタを設定し、信号増幅工程で増幅された信号から、制御信号発振機で発生した周波数1KHzの信号と同一周波数の正弦波以外を除去して、同一周波数の正弦波の信号を極性反転工程に出力した。極性反転工程においては、ベクトル検波ボードに配置された位相検波器(エヌエフ回路設計ブロック製CD−552R3)内のPSDにより信号の極性反転処理を行い、極性の反転した信号を高周波除去工程に出力した。
【0053】
位相調整工程においては、方形波形成工程から出力された信号を、ベクトル検波ボードの位相器(エヌエフ回路設計ブロック製CD−951V4)に入力し、位相調整後の信号を、前述の極性反転工程に出力した。位相調整には、極性反転工程後の波形を測定できるように、オシロスコープで取り出した信号を使用し、図13に示すように、真正印刷物の余白部を配置したときの最大振幅値を基準とし、反転タイミングの位相差を求めた。識別波形の形成には、真正印刷物の余白部の最大振幅値から、PSDの反転タイミングとの位相差が、余白部の反射光の最大振幅の位相から約20°(位相差20°)の遅れとなるように、ベクトル検波ボード上の位相器で調整した。
【0054】
高周波除去工程においては、前述の位相検波器内のローパスフィルタで遮断周波数を、100Hzに設定して高周波信号を除去した後、DCアンプに通過させ、この波形をオシロスコープで取り出した。この状態で搬送装置のバックグラウンドの出力が0Vとなるように、ローパスフィルタからの出力をDCアンプで調整した。調整終了後に、搬送速度2m/minで真正印刷物A2を通紙した結果、図14に示す識別波形を得た。
【0055】
判別工程においては、該識別波形をAD変換ボード及びPCからなる判別部に入力し、基準波形として記録した。
【0056】
調整後に、搬送速度2m/minで評価物C1及びC2を通紙し、評価物C1では、蛍光領域に相当する出力が得られず「偽」と判別した。評価物C2では、図15のような識別波形を示し、用紙部分よりも反射率の高い領域が、図14の残光の出力と反対方向に検出されているため、評価物C2を偽として判別した。
【実施例2】
【0057】
次に、本発明の真偽判別方法の第二の実施例について説明する。なお、前述した実施例1と同様な構成については説明を省略し、異なる部分のみ説明する。照射工程においては、図16の発光スペクトルを示すLED(東芝セミコンダクタ製TLYH20TP)を使用した。副波長成分を減衰させるために、図17の透過特性を示す赤外減衰フィルタ(クレハ製UCF−02)をLEDに取り付けた。検出部であるシリコンフォトダイオードには、可視光カットフィルタ(富士フィルム社製IR−86)を使用した。
【0058】
実施例1と同様に、真正印刷物A3の余白部を配置したときの最大振幅値とPSDの反転タイミングとの位相差が、余白部の反射光の最大振幅の位相から約30°(位相差30°)の遅れとなるように調整した。
【0059】
調整終了後に、真正印刷物A3を通紙し、図18に示すように、赤外線吸収領域では、余白部に対してプラス側の出力(余白部の反射光が減衰することによる、マイナス側の出力の減衰)が得られ、発光領域では、(搬送装置のバックグラウンドを越える)プラス側の出力の識別波形を得た。
【0060】
判別工程においては、該識別波形をAD変換ボード及びPCからなる判定部に入力し、基準波形として記録した。
【0061】
調整後に、評価物D1及びD2を通紙し、評価物D1では、蛍光領域に相当する出力が得られず「偽」と判別した。評価物D2では、図19のような識別波形を示し、用紙部分よりも反射率の高い領域が、図18の残光の出力と反対方向に検出されているため、評価物D2を「偽」として判別した。
【実施例3】
【0062】
次に、本発明の真偽判別方法の第三の実施例について説明する。なお、前述した実施例1と実施例2と同様な構成については説明を省略し、異なる部分のみ説明する。無蛍光紙に、カーボンブラックを含む黒色トナーで、幅2cm×4cmのベタ画線をプリントした調整用出力物を作製した。装置構成も、制御信号発生部からの信号の発信周波数を、3KHzに変更した以外は、実施例2と同様とした。
【0063】
実施例2と同様に、真正印刷物A3の余白部の最大振幅値とPSDの反転タイミングとの位相差が余白部の反射光の最大振幅の位相から20°(位相差20°)の遅れとなるように調整した。調整後、実施例1及び2と同様に、搬送装置のバックグラウンドの出力が0Vとなるように、ローパスフィルタからの出力をDCアンプで調整した。
【0064】
調整終了後に、外部からの光が入り込む環境下において、搬送速度2m/minで真正印刷物A3を通紙した結果、図20に示す識別波形が得られた。該識別波形をAD変換ボード及びPCからなる判定部に入力し、当該基準波形とした。また、同一条件で調整用出力物を通紙した結果、ベタ画線の領域で、+0.3Vの出力が得られた。これらの結果から、トリガーレベルを−0.3Vとし、残光検出レベルの閾値を、調整用出力物よりも高い+0.6Vとし、赤外吸収インキの検知レベルを−0.4Vから0Vとした。
【0065】
調整終了後に、搬送速度2m/minで評価物D1及びD2を通紙した結果、評価物D1では、蛍光領域に相当する出力が得られず「偽」と判別した。また、評価物D2では、図21のような識別波形を示し、用紙部分よりも反射率の高い領域が、図20の残光の出力と反対方向に検出されているため、評価物D2を「偽」として判別した。
【符号の説明】
【0066】
A1、A2、A3 真正印刷物
1、1’、1’’ 基材
2、2’、2’’ 発光領域
3、3’、3’’ 余白部
4 赤外線吸収領域
5 赤外線透過領域
6 アルミ箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材の一部に発光体を付与した発光画像部と前記画像部が形成されていない余白部を有する印刷物又は塗工物の真偽判別方法であって、
単一周波数の方形波を形成する方形波形成工程と、
前記発光体の励起波長を主波長とし、かつ、前記主波長以外の副波長を有する照射光を、前記方形波と同一周期で前記印刷物に断続的に照射する照射工程と、
前記主波長により励起発光された発光画像部の残光と、前記副波長による前記余白部からの反射光を受光し、前記残光を光電変換して前記残光の受光量の出力波形と、前記反射光を光電変換して前記反射光の受光量の出力波形を出力する検出工程と、
前記検出工程において出力された残光と反射光の出力波形から識別波形を形成する信号処理工程と、
前記識別波形と、あらかじめ記録した真正印刷物の基準波形を比較して真偽判別を行う判別工程から成ることを特徴とする真偽判別方法。
【請求項2】
前記信号処理工程は、前記検出工程において出力された残光の出力波形と反射光の出力波形に含まれる直流信号を除去し、残光の出力波形と反射光の出力波形の交流信号を増幅する信号増幅工程と、
前記信号増幅工程後の残光の出力波形と反射光の出力波形の交流信号から前記方形波と同一周期の正弦波以外の信号を除去する除去工程と、
前記除去工程後の残光の正弦波と反射光の正弦波の信号の半分を、反射光の正弦波の最大振幅の位相と、反射光の正弦波と同一極性に位置する残光の正弦波の最大振幅の位相の間で反転する極性反転工程と、
前記極性反転工程後の信号から高周波成分を除去し、低周波数成分を取り出して識別波形として出力する高周波除去工程から成ることを特徴とする請求項1記載の真偽判別方法。
【請求項3】
前記信号処理工程は、前記極性反転工程後に、前記方形波形成工程からの方形波の位相又は前記除去工程後の正弦波の位相を調整する位相調整工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2記載の真偽判別方法。
【請求項4】
前記主波長の波長領域が、紫外線から赤外線の領域にあり、前記副波長が、可視光線から赤外線の領域にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の真偽判別方法。
【請求項5】
前記副波長の波長領域が、700nmから1000nmの領域にあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の真偽判別方法。
【請求項6】
前記単一周波数は、デューティの等しい周期であり、前記発光体の残光時間をτ(s)とすると、0.25/(2×τ)から50/(2×τ)の範囲として算出できる値であることを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれか一項に記載の真偽判別方法。
【請求項7】
前記発光画像部は、残光特性を有する赤外線発光インキを付与された領域であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の真偽判別方法。
【請求項8】
前記印刷物又は前記塗工物は、赤外線領域における光学特性が互いに異なる二種類以上のインキを付与された二以上の非発光領域を更に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の真偽判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−25022(P2012−25022A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165428(P2010−165428)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】