説明

発泡ゴム成形体の製造方法

【課題】加硫成形のとき故障を起こさないようにしながら、ゴム成形体の任意の部分を発泡可能にするようにした発泡ゴム成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】化学発泡剤及び比誘電率が10以上、融点が100℃以下、沸点が200℃以上である誘電性化合物を含む未加硫ゴム組成物から未加硫ゴム成形体を成形し、この未加硫ゴム成形体を前記化学発泡剤の分解温度よりも低い温度で加硫成形すると共に、加硫成形の前及び/又は加硫成形の間に、前記未加硫ゴム成形体の少なくとも一部分にマイクロ波を照射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ゴム成形体の製造方法に関し、さらに詳しくは、ゴム成形体の任意の部分を発泡可能にするようにした発泡ゴム成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ゴムで構成された成形体は、比重が小さく軽量であり、断熱性、吸音性、制振性、耐衝撃性が優れ、しかも省資源であるという特長があり、様々な工業用製品或いはその部品に利用されている。発泡ゴム成形体の製造方法として、未加硫ゴム組成物を使用して、未加硫ゴム成形体をグリーン成形し、これを加熱して加硫成形・発泡成形することが知られている。またこの製造方法の改良としては、ゴム成形体中に発泡により形成された気泡を如何に均一の大きさで均等に分散させるかに注力されていた。しかし、発泡ゴム成形体の用途は多岐にわたり、複雑な製品形状のために、外部加熱による均一な加熱が困難な部分があったり、或いは強度保持のため発泡させない方がよい部分があったりする。このような課題に関しては、従来の製造方法では十分に対応することができなかった。
【0003】
一方、特許文献1は、熱可塑性樹脂と水を含有する熱可塑性樹脂組成物にマイクロ波を照射して発泡させるようにした熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提案している。しかし、発泡ゴム成形体を製造するときは、発泡成形と同時に或いはその後に加硫成形を行うため、未加硫ゴム成形体が水を含んでいると早期加硫を起したり、ゴム焼けが起こしたりする加硫故障を起こし易いという問題があった。このため特許文献1に記載の製造方法を、加硫工程が必要な発泡ゴム成形体の製造に適用することはできない。
【0004】
したがって、加硫成形のとき故障が起きないようにしながら、ゴム成形体の任意の部分を発泡可能にするようにした発泡ゴム成形体の製造方法は未だ開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−194620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、加硫成形のとき故障を起こさないようにしながら、ゴム成形体の任意の部分を発泡可能にするようにした発泡ゴム成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の発泡ゴム成形体の製造方法は、化学発泡剤及び比誘電率が10以上、融点が100℃以下、沸点が200℃以上である誘電性化合物を含む未加硫ゴム組成物から未加硫ゴム成形体を成形し、この未加硫ゴム成形体を前記化学発泡剤の分解温度よりも低い温度で加硫成形すると共に、加硫成形の前及び/又は加硫成形の間に、前記未加硫ゴム成形体の少なくとも一部分にマイクロ波を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、比誘電率10以上、融点100℃以下、沸点200℃以上の特性を有する誘電性化合物及び化学発泡剤を含む未加硫ゴム組成物からなる未加硫ゴム成形体を化学発泡剤の分解温度よりも低い温度で加硫成形するときに、加硫成形の前及び/又は加硫成形の間に未加硫ゴム成形体の少なくとも一部分にマイクロ波を照射するようにしたので、マイクロ波が照射された部分の発泡が促進される。このため加硫故障を起こさないようにしながら、ゴム成形体の任意の部分を発泡可能にする。
【0009】
上述した加熱温度は、120℃以上で化学発泡剤の分解温度より低い温度にするとよく、マイクロ波を照射しない部分での発泡を抑制しながら加硫成形することができる。
【0010】
前記未加硫ゴム組成物は、化学発泡剤をゴム成分100重量部に対し0.1〜20重量部含むとよく、化学発泡剤としてはカルボンジアミド系発泡剤又はニトロソ系発泡剤が好ましい。このように化学発泡剤を使用することにより、マイクロ波照射による発泡を容易にすることができる。また未加硫ゴム組成物は、ゴム成分の繰り返し単位が炭化水素だけで構成されたものが好ましく、マイクロ波を照射しない部分での発泡を抑制することができる。
【0011】
本発明の製造方法により製造された発泡ゴム成形体は、マイクロ波を照射した部分の加熱及び発泡が促進されるので、製品形状が複雑で均一な加熱が難しかったり、発泡がしにくかったりする部分の発泡を促進し均質な発泡ゴムを得ることができる。またマイクロ波を照射しない部分は発泡しないため、複数の部材を接合することなく発泡ゴム部分と未発泡ゴム部分を共に有する発泡ゴム成形体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発泡ゴム成形体の製造方法は、先ず化学発泡剤及び誘電性化合物を含む未加硫ゴム組成物を調製する。次にこの未加硫ゴム組成物を使用して賦形することにより未加硫ゴム成形体をグリーン成形する。未加硫ゴム成形体の形状、大きさ、厚さは、発泡ゴム成形体の最終的な形状、大きさ、厚さに応じて適宜、調節するとよい。
【0013】
本発明の製造方法では、未加硫ゴム成形体を化学発泡剤の分解温度よりも低い温度で加硫成形すると共に、加硫成形の前及び/又は加硫成形の間にマイクロ波を照射する。化学発泡剤の分解温度よりも低い温度で加硫成形し、かつマイクロ波を照射することにより誘電性化合物が集中的に加熱されこれに近接する化学発泡剤が分解する。これにより発泡ゴム部分と未発泡ゴム部分とを一体に形成した発泡ゴム成形体を製造することができる。
【0014】
未加硫ゴム成形体を加硫成形するときの温度は、化学発泡剤の分解温度より低い温度、好ましくは120℃以上で化学発泡剤の分解温度より低い温度にする。このような温度範囲で加硫成形することにより、加硫成形を確実にすると共に、マイクロ波照射による化学発泡及び加硫成形の制御が容易になる。
【0015】
マイクロ波を照射する部分は、未加硫ゴム成形体の少なくとも一部分である。未加硫ゴム成形体の全体に照射してもよいし、外部加熱が困難な領域に照射してもよい。また、ゴム成形体の強度を確保するため発泡させない方がよい部分にはマイクロ波を照射させないようにすることができる。
【0016】
マイクロ波の照射は、加硫成形の前及び/又は加硫成形の間に行うものとする。すなわち「加硫成形の前」、「加硫成形の間」のいずれか又は両方でマイクロ波を照射することができる。なお「加硫成形の間」とは、加硫成形の開始から終了までの間のうち任意の時間を選択することを意味する。また、加硫成形の前に予備加硫や予備加熱を行うとき、予備成形及び予備加熱の後にマイクロ波を照射するときも「加硫成形の間」に含まれるものとする。このように加硫成形の完了前にマイクロ波を照射することにより、未加硫ゴム成形体の発泡を確実にすることができる。
【0017】
マイクロ波の周波数は300MHz〜300GHzであり、IMS周波数である933.92MHz,2.45GHz,5.8GHz,24.125GHzから適宜選択するとよい。マイクロ波の出力は、好ましくは200W〜2000W、より好ましくは400W〜1500Wにするとよい。マイクロ波の照射時間は、好ましくは20秒〜10分間、より好ましくは30秒〜5分間にするとよい。マイクロ波の出力及び照射時間は、照射時及び/又は照射後の未加硫ゴム成形体の温度が化学発泡剤の分解温度以上、好ましくは150℃〜220℃、より好ましくは170℃〜210℃になるように調整するとよい。
【0018】
未加硫ゴム組成物のゴム成分としては、ゴム発泡体のベースゴムに通常用いられるゴム成分であるとよく、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンイソプレンゴム、スチレンイソプレンブタジエンゴム、イソプレンブタジエンゴム等を例示することができる。なかでもゴム成分の繰り返し単位が炭化水素だけで構成されているとよく、これらのゴム成分は比誘電率が低くマイクロ波照射による加熱の制御を容易にすることができる。またゴム成分は単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
【0019】
本発明において、未加硫ゴム組成物は、比誘電率が10以上、融点が100℃以下、沸点が200℃以上である誘電性化合物を含む。誘電性化合物の比誘電率は10以上、好ましくは10〜200である。誘電性化合物の比誘電率が10未満であると、マイクロ波照射による未加硫ゴム成形体の加熱及びそれに伴う発泡を促進することができない。誘電性化合物の比誘電率は、大きいほど局所的かつ選択的な加熱が短時間で終了するため好ましい。しかし、比誘電率が200を超えると温度制御が難しく急激に加熱することがあり好ましくない。過剰に加熱した場合、ゴム組成物の劣化や発火の危険性が高くなってしまう。
【0020】
誘電性化合物の融点は100℃以下、好ましくは−50〜50℃である。融点を100℃以下にすることにより、通常のゴム混合の際に液状成分となるので、均一に混ざりやすい。誘電性化合物の融点が100℃より高いと、未加硫ゴム組成物を調製するときに均一に混合し分散性を良好にすることができない。
【0021】
また誘電性化合物の沸点は200℃以上、好ましくは200〜300℃である。誘電性化合物の200℃より低いと、未加硫ゴム組成物を調製するとき混合時の加熱或いは未加硫ゴム成形体をグリーン成形するときの加熱によりに揮発し易くなり未加硫ゴム成形体に残存する量が少なくなりマイクロ波照射による加熱を効率的にすることができない。
【0022】
このような誘電性化合物としては、グリセリン(比誘電率47、融点17.8℃、沸点290℃)、エチレングリコール(比誘電率38、融点−12.6℃、沸点224℃)、ジエチレングリコール(比誘電率35、融点−10℃、沸点241℃)などのヒドロキシル基を有する化合物や、N−メチルアセトアミド(比誘電率191.3、融点27℃、沸点205℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(比誘電率38、融点8.2℃、沸点226℃)などを例示することができる。なかでもグリセリン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましい。
【0023】
誘電性化合物の配合量は、特に制限されるものではないが、ゴム成分100重量部に対し、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部にするとよい。誘電性化合物の配合量が2重量部未満であると、マイクロ波照射による未加硫ゴム成形体の加熱を効率的にすることができない。また誘電性化合物の配合量が15重量部を超えると、未加硫ゴム成形体の加硫成形を阻害することがあるだけでなく、得られた発泡ゴムの強度を低下させてしまう。
【0024】
未加硫ゴム組成物は、化学発泡剤を含むものとする。化学発泡剤としては、例えばカルボンジアミド系発泡剤、ニトロソ系発泡剤、スルホニルヒドラジド系発泡剤、アジド系発泡剤、及びカルボンジアミド系以外のアゾ系発泡剤等を例示することができる。これらの化学発泡剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なかでもカルボンジアミド系発泡剤、ニトロソ系発泡剤が好ましい。
【0025】
カルボンジアミド系発泡剤としてはアゾジカルボンアミド(ADCA)等、ニトロソ系発泡剤としてはN,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等が例示される。スルホニルヒドラジド系発泡剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジド等、アジド系発泡剤としてはカルシウムアジド、4,4′−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等、カルボンジアミド系以外のアゾ系発泡剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AZBN)、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等が例示される。
【0026】
化学発泡剤の分解温度は、好ましくは150℃〜220℃、より好ましくは170℃〜210℃にするとよい。化学発泡剤の分解温度をこのような範囲内にすることにより、化学発泡及び加硫成形の制御が容易になり未発泡の加硫ゴム部分及び発泡ゴム部分を一体に形成した発泡ゴム成形体を安定して製造することができる。本明細書において、化学発泡剤の分解温度は、示差走査熱量測定(DSC)や熱重量測定(TGA)などの熱分析を使用して分解熱や重量減少を測定することにより求められる温度である。
【0027】
化学発泡剤の配合量は、ゴム成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部にするとよい。化学発泡剤の配合量が0.1重量部未満であると、発泡成形が不十分になる。また化学発泡剤の配合量が20重量部を超えると、発泡ゴム成形体の空隙率が過大になり強度や耐摩耗性などの力学特性が不足する。
【0028】
未加硫ゴム組成物は、化学発泡剤と共に、発泡助剤を含むようにするとよい。発泡助剤としては、例えば尿素系発泡助剤、酸化亜鉛等の金属酸化物系発泡助剤等を例示することができる。なかでも尿素系発泡助剤が好ましい。発泡助剤を配合することにより、化学発泡剤が熱分解する温度を低く調節することが可能になる。発泡助剤の配合量は、配合した化学発泡剤に対し、好ましくは0.1〜5当量、より好ましくは0.5〜3当量にするとよい。
【0029】
未加硫ゴム組成物は、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、ゴム補強剤、充填剤、軟化剤(可塑剤)、老化防止剤、加工助剤、発泡助剤、脱泡剤、活性剤、金型離型剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤等のゴム成形体やゴム発泡体に通常用いられる配合剤を添加することができる。これらの配合剤は本発明の目的に反しない限り、通常用いられる配合量を適用することができ、また通常の調製方法で添加、混練又は混合することができる。
【0030】
発泡ゴム成形体の製造方法は、加硫故障を起こさないようにしながら、ゴム成形体の任意の部分を発泡可能にする。得られた発泡ゴム成形体は、マイクロ波を照射した部分の加熱及び発泡が促進されるので、製品形状が複雑で均一な加熱が難しかったり、発泡がしにくかったりする部分の発泡を促進し均質な発泡ゴムを得ることができる。またマイクロ波を照射しない部分は発泡しないため、複数の部材を接合することなく発泡ゴム部分と未発泡ゴム部分を共に有する発泡ゴム成形体を得られその強度を高くすることができる。この発泡ゴム成形体は、空気入りタイヤの構成部材(例えばトレッド部、吸音材等)、ゴムホース、建物用断熱および緩衝材、その他工業用断熱材、梱包または運搬用緩衝材、靴底等に使用することができる。
【0031】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
未加硫ゴム組成物の調製
表1に示す配合からなる7種類の未加硫ゴム組成物(実施例1〜4,比較例1〜3)を、それぞれ硫黄、加硫促進剤、誘電性化合物及び化学発泡剤を除く配合成分を秤量し、1.7L密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、温度150℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。その後このマスターバッチを1.7L密閉式バンバリーミキサーに供し、硫黄、加硫促進剤、誘電性化合物及び化学発泡剤を加え2分間混合し、未加硫ゴム組成物を調製した。
【0033】
未加硫ゴム成形体の作成
得られた7種類の未加硫ゴム組成物(実施例1〜4,比較例1〜3)を、それぞれ加熱ロールを使用して厚さ4mmの未加硫ゴムシートを作成した。
【0034】
ゴム成形体の加硫成形及び発泡成形
得られた7種類の未加硫ゴムシートをギアオーブンに入れ、140℃で10分間予備加硫を行った。その後、電子レンジ(マイクロ波の周波数2.45GHz、出力1.5kW)に入れ3分間マイクロ波を照射した。電子レンジから取り出し直後のゴム成形体の表面温度は、210℃であった。
【0035】
ゴム発泡成形体の評価
得られた7種類の発泡ゴムシートの平均発泡倍率及び加硫故障の有無を以下の方法で評価した。
【0036】
平均発泡倍率
予備加熱前の未加硫ゴムシートの比重及び発泡ゴムシートの比重を、それぞれJIS K−6268に準拠して測定し、未加硫ゴムシートの比重に対する加硫成形したゴムシートの比重の比を算出し平均発泡倍率とした。得られた結果を表1に示す。
【0037】
加硫故障の評価
発泡ゴムシートの加硫故障の有無をJIS K6300−1に準拠して、140℃にてスコーチタイムを測定し、10分以上のものを「OK(加硫故障なし)」、10分未満を「NG(加硫故障あり)」と判定して評価した。得られた結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
なお、表1で使用した原材料の種類を下記に示す。
SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502
カーボンブラック:東海カーボン社製シースト300
酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
硫黄:鶴見化学工業社製金華印微粉硫黄150mesh
加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーM
誘電性化合物1:グリセリン、日油社製グリセリン、比誘電率47、融点17.8℃、沸点290℃
誘電性化合物2:ジエチレングリコール、日油社製ジエチレングリコール、比誘電率35、融点−10℃、沸点244℃
誘電性化合物3:純水、比誘電率80、融点0℃、沸点100℃
化学発泡剤1:カルボンアミド系発泡剤、永和化成工業社製ビニホールAC-K3-TA、分解温度=210℃
化学発泡剤2:ニトロソ系発泡剤、永和化成工業社製セルラーD、分解温度=205℃
【0040】
表1の結果から、実施例1〜4の製造方法で得られた発泡ゴムシートは、平均発泡倍率が高く、加硫故障がないことが確認された。
【0041】
比較例1,2の製造方法で得られたゴムシートは、誘電性化合物、化学発泡剤のいずれかが欠けるためマイクロ波を照射しても発泡が起こらなかった。
【0042】
比較例3の製造方法で得られた発泡ゴムシートは、誘電性化合物として純水を配合したため、予熱中に加硫が進行し、加工できなくなってしまうという加硫故障が発生した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学発泡剤及び比誘電率が10以上、融点が100℃以下、沸点が200℃以上である誘電性化合物を含む未加硫ゴム組成物から未加硫ゴム成形体を成形し、この未加硫ゴム成形体を前記化学発泡剤の分解温度よりも低い温度で加硫成形すると共に、加硫成形の前及び/又は加硫成形の間に、前記未加硫ゴム成形体の少なくとも一部分にマイクロ波を照射することを特徴とする発泡ゴム成形体の製造方法。
【請求項2】
前記加硫成形の温度が、120℃以上かつ前記化学発泡剤の分解温度より低い温度であることを特徴とする請求項1に記載の発泡ゴム成形体の製造方法。
【請求項3】
前記化学発泡剤が、カルボンジアミド系発泡剤又はニトロソ系発泡剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡ゴム成形体の製造方法。
【請求項4】
前記未加硫ゴム組成物が、ゴム成分の繰り返し単位が炭化水素だけで構成されたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の発泡ゴム成形体の製造方法。
【請求項5】
前記未加硫ゴム組成物が、ゴム成分100重量部に対し前記化学発泡剤を0.1〜20重量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡ゴム成形体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの製造方法により製造された発泡ゴム成形体。

【公開番号】特開2011−231271(P2011−231271A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104888(P2010−104888)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】