説明

皮膚の老化現象抑制のための化粧品用又は皮膚薬用組成物

本発明は、新規ペプチド誘導体及び該ペプチド誘導体を含有する局所適用の化粧品用又は皮膚薬用組成物と、皮膚の老化現象の防止並びに皮膚の瘢痕形成を目的とする同組成物の使用方法に関する。エラスチンのフラグメントであるペプチド誘導体は、化粧品として許容される媒体内で、単独で又は他の有効成分と配合されて使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ペプチド誘導体及び該ペプチド誘導体を含有する局所適用の化粧品用又は皮膚薬用組成物と、皮膚の老化現象の防止並びに皮膚の瘢痕形成を目的とする同組成物の使用方法に関する。エラスチンのフラグメントであるペプチド誘導体は、化粧品として許容される媒体内で、単独で又は他の有効成分と配合されて使用される。
【背景技術】
【0002】
肌は、個人のイメージを構成するうえで高い割合を占める要素である。いつの時代も肌の状態は人々の関心事であった。現代では皮膚生理学分野の研究が進み、外的ストレスや老化を原因とする様々な機能障害に対処する化粧品が提供されている。しかしながら、充分に解明されない問題点が多く残される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例として、しわ・乾燥肌・きめの粗い肌・皮膚の菲薄化・たるみ等に現れる全般的な皮膚老化現象が挙げられる。老化現象の対策が皮膚生理学分野の研究や化粧業界での重要な課題となっている。
【0004】
老化現象の発生は、外的又は内的要素が原因となる。コラーゲンや結合組織を構成する高分子の生成能が低下して、太陽放射が誘導するプロテオリシスが増加すると、皮膚が乾燥し、弾力を失い、菲薄化する。
【0005】
顔部の皮膚の状態を改善するために、これまでに数々の化粧品用組成物が提供されている。例えば保湿効果製品、しわ対策クリーム、肌を沈静し滑らかにするローションなどがある。しかしながらこれらの製品は、副作用や品質の安定性に問題を抱えていたり、期待される効果が、時間の経過とともに失われていく場合がある。このような問題点は、特にビタミンや薬草成分を含む製品に多く見られる。
【0006】
本発明はこのような現象が提起する美容上の問題や関連する技術的な問題の解決を目的とするものである。
【0007】
本発明の目的はまた、特に顔部用スキンケアのための化粧品用又は皮膚薬用組成物を対象とした、化粧品として許容される媒体中に後述の式Iの一般構造を有するペプチド誘導体を、少なくとも一つ含有する新規化粧品用又は皮膚薬用組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の目的はまた、特に老化現象を抑制し皮膚の瘢痕形成を促進するための、スキンケア・頭皮ケア用の、化粧品用又は皮膚薬用組成物の使用法及び製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の目的はまた、しわ等の老化現象を抑制する肌の美容処置方法を提供することにある。より詳しくは、本発明による組成物は、効果的な分量で、関係部位に塗布される。本発明の他の特徴、様相及び長所は、後述される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
既にいくつかのペプチド及びその誘導体の化粧品への使用に関する報告がされている。K.Lintner及びO.Peschard著「Biologically active peptides」,Int.J.Cosm.Sci.22,207‐218,2000がその例である。
【0011】
本発明では、下記の式Iのオリゴペプチド一般構造を有するペプチド誘導体を含有する化粧品用組成物が、これまでに報告されている物質よりも、優れた皮膚老化現象抑制効果を持つことを見出した。
【0012】
本発明は、式Iの構造を有する化合物を対象とする。
式I: R‐(AA)‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐R(配列番号1番、配列番号2番、配列番号3番、配列番号4番)を有する化合物であって、前記式中、(AA)はペプチド鎖、(AA)はアミノ酸又はアミノ酸誘導体であって、「n」は0乃至3の数であって、Rは水素原子(H)又はアルキル鎖又はビオチニル基であって、前記アルキル鎖は炭素数2から22であるとともに直鎖状アルキル鎖、分枝状アルキル鎖、飽和アルキル鎖、不飽和アルキル鎖、ヒドロキシ基を含むアルキル鎖、ヒドロキシ基を含まないアルキル鎖、硫黄を含むアルキル鎖、硫黄を含まないアルキル鎖からなる群より選択されるアルキル鎖であって、RはOR、又はNRであって、Rは水素原子(H)もしくは炭素数1乃至24好ましくは1乃至3又は14乃至18のアルキル鎖であり、R及びRは互いに独立するとともに水素原子(H)又は炭素数1乃至12のアルキル鎖である。この化合物は、R=H、R=OH及びn=0の条件を同時に満たす場合を例外として、
本発明の対象となる新規化合物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明による新規化合物を化粧品用又は皮膚薬用組成物中で使用すると美容効果があり、他の有効成分を併用することで、更に強化される。相乗効果の有無に関わらず、しわの減少、肌の保湿機能の向上、引き締まり、きめの細かい肌となり、あらゆる面で美容効果が期待され、魅力的な肌を取り戻すことができる。現存の化粧品用組成物では、本発明と同等の利点を有するものは見られない。
【0014】
セラミドは皮膚表皮の重要な脂質分子である。またセラミドはスキンケア用品に使用されることで良く知られる化合物類でもある。セラミドは、ペプチド及び/又はペプチド誘導体を併用すると、相乗効果により、ペプチドのみを配合した化粧品用組成物よりも優れたしわ減少効果を発揮することが確認されている。セラミドは通常、乾燥肌やひびわれ肌の処置に使用されている。セラミドが美容上の処置にも効果を発揮することが確認されたことは、特筆すべき結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ペプチドVal‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Glyは、タンパク質エラスチンのフラグメントとして知られている。同タンパク質内で最も頻度の高いシークエンスである。同ペプチドの走化性運動(炎症又は瘢痕部位に線維芽細胞を引き寄せる性質)はすでに報告されている(Senior and al.J.Cell Biol.99,870‐874,1984を参照)。同ペプチドの誘導体化すると脂肪親和性のより高い構造となるため、ペプチド誘導体は、皮膚への浸透力が著しく向上し、同ペプチド誘導体の皮膚生組織への浸透を要する美容効果が発揮される。本発明開発中、同ペプチドのうち、特に次の誘導体:パルミトイル‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐OH(配列番号6番)(又はPal‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐OH、Pal-val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly、Pal‐VGVAPGとも表記される)が、首や顔の肌が張りを取り戻し、皮膚を再生する効果を有し、予想以上の美容効果を有することが発見された。この再生効果により、皮膚の保湿効果も向上する。
【0016】
本発明によるペプチド誘導体の特性は、セラミドとの組み合わせで更に相乗効果を生じる。セラミドは複合脂質類に属し、皮膚表皮の上層部に見られる。(Wertz and al.,J.Invest.Dermatol.84,410‐412,1985を参照。)Wertzの文献中で、特に好ましいとされるセラミドは、セラミド1、3及び4乃至7である。これらセラミドは次の一般式Aを有する。
【0017】
【化1】

【0018】
【化2】

式Aの基礎構造は、式Bの如く改変され、誘導される。セラミドN‐アシル‐D‐エリスロ‐スフィンゴシン(N‐Acyl‐D‐erythro‐sphinegosine)は、哺乳類のグリコ脂質、リン脂質、スフィンゴミエリンの構造要素である。他の好ましいとされるセラミドとして、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチル・エーテル(trihydroxypalmitamidohydroxypropylmyristyl ether)、n‐ステアロイル‐ジヒドロスフィンゴシン(n‐stearoyl‐dihydrosphingosine)及びパルミタミド・ミリスチル・セリナート(palmitamido myristyl serinate)である。本発明に基づくその他の有用なセラミドとしては、前述の構造(式A)のセラミドで、同構造内のアシル基R6(式B内では‐(CH)16CH基として表示)は、炭素数14から22の脂肪酸鎖である。式A内のRは同一でも異なっても良いが、炭素数14から22の脂肪酸鎖である。脂肪鎖は飽和でも不飽和でも、置換体であってもなくても、直鎖状でも分枝状でも良い。尚、炭素数10以下のRを有するセラミドは好ましくない。
【0019】
これらの成分を抽出、合成等の手段により取得して、化粧品に使用するために、多くの研究が行われている。セラミドは皮膚膜を強化して、角質層を介して水分の流量を調整する機能を有する。(例えば、Lintner and al. Int. J. Cosmet. Sci 19、15‐25、1997を参照)。化粧品用又は皮膚薬用組成物にペプチドとセラミドを併用すると、本発明対象のペプチドのアンチエイジングの効果を大幅に向上させ、老化現象を著しく抑制できることが明らかとなった。特にこれら化粧品用組成物はしわ取り・しわ予防に利用できる。つまり、新規のぺプチド及び/又はペプチド誘導体は、セラミドと併用すると、客観的に測定可能なある種の老化現象対策効果を有する。肌の状態を改善するために、生化学プロセスを刺激或いは抑制して、しわ減少効果を向上させるなど、美容効果が増強される。尚セラミドには、ペプチド及び/又はペプチド誘導体の抗老化効果の改善に適切な量が配合される。
【0020】
本発明内容を実施するには、化粧品用又は皮膚薬用組成物に適当な有用な化合物を配合し、顔の関連部位に適量を2週間から最高2ヶ月間塗布する。
【0021】
エラスチンのフラグメントのペプチド及びペプチド誘導体は、従来の化学合成(不均一系又は均一系反応)、又は必須アミノ酸又はその誘導体による酵素反応の化学合成(Kullman and al.,J. Biol. Chem.255,8234,1980)により生成できる。
【0022】
同ペプチドの生化学的有用性及び皮膚浸透力を向上させるためには、カルボキシル基と、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和で、ヒドロキシ基を含む又は含まないアルコールとのエステル化反応によって、Rが炭素数1乃至24、好ましくは炭素数1乃至3又は14乃至18のアルキル鎖である化合物H‐X‐Y‐ORを生成する。もしくはアミンを用いたアミド化反応によって、R及び R が互いに独立し、H又は炭素数1から12、好ましくは炭素数1から3のアルキル鎖である化合物H‐X‐Y‐NRを生成して、同ペプチドの脂肪親和性を高める。
【0023】
従って本発明は、式Iの構造を有する化合物を対象とする。
式I: R‐(AA)‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐R(配列番号1番、配列番号2番、配列番号3番、配列番号4番)を有する化合物であって、前記式中、(AA)はペプチド鎖、(AA)はアミノ酸又はアミノ酸誘導体であって、「n」は0乃至3の数であって、Rは水素原子(H)又はアルキル鎖又はビオチニル基であって、前記アルキル鎖は炭素数2から22であるとともに直鎖状アルキル鎖、分枝状アルキル鎖、飽和アルキル鎖、不飽和アルキル鎖、ヒドロキシ基を含むアルキル鎖、ヒドロキシ基を含まないアルキル鎖、硫黄を含むアルキル鎖、硫黄を含まないアルキル鎖からなる群より選択されるアルキル鎖であって、RはOR、又はNRであって、Rは水素原子(H)もしくは炭素数1乃至24好ましくは1乃至3又は14乃至18のアルキル鎖であり、R及びRは互いに独立するとともに水素原子(H)又は炭素数1乃至12のアルキル鎖である。
本発明の好適な実施方法では、Rはラウロイル鎖(C12)(配列番号7番、配列番号8番)、ミリストイル鎖(C14)(配列番号9番、10番)、ステアロイル鎖(C13)(配列番号11番、12番)、オレオイル鎖(C18:1)(配列番号13番、14番)、アラキドイル鎖(C20)(配列番号15番、16番)、リノレオイル鎖(C18:2)(配列番号17番、18番)からなる群より選択される鎖であるとともに、n=0又は1であって、Rは水素原子(H)又はメチル又はエチルであるかもしくは、RはNRであるとともにR=R =H又はメチルである。
【0024】
本発明によるペプチド誘導体は、アシル誘導体、例えば酢酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オクタノン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、イゾステアリン酸、エライジン酸、2‐エチルヘキサン酸、ココナッツオイルの脂肪酸、パームオイルの脂肪酸、ラノリン脂肪酸等の誘導体の類を含む。アシル基としては、例えば、アセチル基、パルミトイル基、エライドイル基、ミリスチル基、ビオチニル基、オクタノイル基が好ましい。
【0025】
ペプチドとペプチド誘導体は、化学合成により得ることが可能である。また所望のシークエンス又は別のフラグメントの生成を目的として、遺伝子工学によって改変された(又は改変されていない)バクテリア株の培養により生成することも可能である。
【0026】
またペプチドは、所望のシークエンスを構造内に有する動物性又は植物性タンパク質を抽出した後、続いて制御された加水分解で、酵素反応の有無に関わらず、式Iのシークエンス:(AA)‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号1番、配列番号2番、配列番号3番、配列番号4番)でn=0乃至3のペプチドフラグメントを解離して得ることもできる。
【0027】
必須ではないが、本発明を実施するために、関連タンパク質を抽出してから加水分解するか、粗製抽出物を加水分解してからペプチドを精製することも可能である。また、関連ペプチドを抽出せずに、加水分解生成物を使用することも可能である。但し加水分解の酵素反応を遅滞なく停止することや関連ペプチドの含有量を適切な分析手段(放射能のトレース、特定の抗体による蛍光抗体法、沈殿抗体法等)で計測することに注意する。
【0028】
タンパク質及びペプチドの抽出・精製作業に詳しい専門家であれば、廉価で純度の高い製品を得る方法を容易に考案できる。
【0029】
次のペプチドは、6以上のアミノ酸を有するペプチド類似体の非限定選択リストを構成する。エラドイル‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号19番)、パルミトイル‐Ala‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号20番)、アセチル‐Ile‐Ala‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号21番)。好適な組み合わせでは、ペプチドN‐アシル‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号4番)を含有する。特に好適な組み合わせでは、パルミトイル‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号6番)を含有する。
【0030】
前述のエラスチンのペプチドフラグメント又はその誘導体は、本発明による化粧品用組成物に配合されている。エラスチンのペプチドフラグメント又はその誘導体の濃度は0.00001重量%から10重量%で、特に0.0001重量%から1重量%が好ましい。(重量%は、組成物総重量に対する重量濃度である。)また0.001重量%から5重量%の濃度範囲も有用であり、好ましくはおよそ1ppmから500ppmが望ましい。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態では、化粧品用又は皮膚薬用組成物は、式Iのペプチド化合物又はペプチド誘導体と少なくとも一つのセラミドを含有するものとする。
【0032】
本発明によるペプチドとセラミドの配合は、一つ又は複数のセラミド使用時、セラミド総濃度が0.0001重量%から10重量%の範囲、好ましくは0.001重量%から1重量%の範囲にあることが必要とされる。また、ペプチドの濃度がおよそ100から400ppm、セラミドの濃度がおよそ1から8重量%も好ましい。
【0033】
一つのセラミド使用時、同ペプチドのRはパルミトイル基等のアシル基であり、R は水素原子(H)であることが好ましい。
【0034】
本発明は、本発明によるペプチドとあらゆるセラミドとの配合に関する。同セラミドが、本件記載の一又は複数のペプチドもしくはペプチド類似体又はペプチド誘導体に配合されると、しわ対策等の皮膚の老化現象抑制効果を発揮する。特に、N‐アシル‐スフィンゴシンン(N‐acyl‐sphingosine)及びN‐アシル‐ジヒドロスフィンゴシン(N‐acyl‐Dihydrosphingosine、別名N‐アシル‐スフィンガニン(N‐acyl‐sphinganine))、及びその類似体、誘導体を基礎とするセラミドが適量配合されると、効果的である。更にN‐ステアロイル‐スフィンガニン(N‐srearoyl‐sphinganine)の配合がより好ましい。
【0035】
本発明の実施形態では、化粧品用組成物として、ペプチド、パルミトイル‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐GlyOH(配列番号6番)を0.0001重量%乃至0.01重量%の濃度範囲で含有する。またN‐ステアロイル‐ジヒドロスフィンゴシン(N‐stearoyl‐
dihydrosphingosine)のセラミドを0.001重量%乃至10.0重量%の濃度範囲で含有する。また別の有効濃度範囲は、ペプチドが0.001重量%乃至5重量%、セラミドが0.01重量%乃至1.0重量%である。本発明の実施形態において、ヘキサペプチドの量は濃度0.002重量%、セラミド2の量は濃度4重量%である。上記配合はオイルベースで好適に実施される。
【0036】
商品化されているヘキサペプチド含有組成物には「BIOBUSTYL」及び「BIOPEPTIDE EL」があり、フランスSEDERMA社より入手可能である。同商品は10から500ppmのパルミトイル‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号6番)やその他の成分を添加物質として含有する。DERMAXYL(登録商標)は本件公開前に入手可能な製品で、約200重量ppm(0.002重量%)のPal‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号6番)、及び約4重量%のセラミド2をベースオイル内に含有する。セラミド2は「CERAMIDE 2」の名で商品化されている。「CERAMIDE 2」はN‐ステアロイルスフィンガニン(N‐stearoylsphinganine)、別名N‐ステアロイル‐ジヒドロスフィンゴシン(N‐stearoyl‐dihydrosphingosine)100%で構成される。これら組成物は、本発明に基づく組成物を調製する目的で使用される。
【0037】
他のセラミド及び前述の共通のシークエンス(式I)を有する他のペプチド誘導体は、本発明の範囲内で、好適に利用される。
【0038】
本発明の好適な実施形態としては、特に、本発明によるペプチド及びペプチド誘導体と他の美容有効成分(下記参照)との配合がある。
【0039】
本発明によるペプチドを単独で使用する方法、又は一つ又は複数のセラミドと配合して使用する方法は、一時的に又は長期的に目立ったしわを無くすことを目的とするスキンケア用品に、有効である。そのための好ましい組成物は、局所(皮膚、特に顔と手)に適用するしわ対策製品である。本件記載の全てのペプチドは、セラミドを配合してシャンプー、コンディショナー、クリーナー等に利用できる。同ペプチドは、従来のしわ対策製品中に使用して、従来品のしわ対策効果を改良することもできる。同ペプチドは、しわ対策効果の根拠ともなる。前記ペプチドとセラミドとの混合物は、様々な望ましい特性を兼ね備えるため、しわ対策は全く関与しなくとも、シャンプー、コンディショナー、紫外線予防製品、ヘアジェル及びその他の後述の製品に利用することができる。
【0040】
マトリカイン(matrikines)はペプチドのフラグメントである。マトリカインのシークエンスは通常20以下のアミノ酸により構成され、瘢痕形成前に皮膚の創傷を殺菌する際に、マトリクス・プロテアーゼ(matricialle proteolyse)から発生する。
【0041】
エラスターゼによるエラスチン加水分解の際に発生するヘキサペプチドVGVAPGは、マトリカインの一種である。ヘキサペプチドVGVAPGは、皮膚の瘢痕形成時に極めて有用な結合組織を再生させ、細胞増殖のプロセスに対する遡及作用を可能とする。
【0042】
瘢痕形成のプロセスは多種の細胞を必要とする。顆粒球、肥満細胞、内皮細胞、血小板、ケラチノサイト、線維芽細胞及び単球等である。これらの細胞が全て同領域の損傷部にあるとは限らず、細胞の創傷部位へ同時に到達するよう調整される必要がある。細胞へのシグナル伝達メカニズムは走化性と呼ばれる。化学シグナルが標的細胞をその存在を必要とする部位に集める。細胞は走化性分子を識別し、濃度勾配に従って物理的に移動する。同走化性分子にはいくつか種類があり、シトキン、短シークエンスのペプチド、TNF‐α等がある。
【0043】
パルミトイル‐VGVAPG(配列番号6番)はマトリカインが有する性質を備える。その性質は、走化性、細胞増殖及びカルシウム移動、メタロプロテアーゼの調節によるマトリクス再編である。これら性質は、老化現象を抑制する美容効果に応用され、よりきめが細かく、より弾力のある真皮の再生のために利用される。
【0044】
このように、式Iの特定の化合物が走化性を有することが発見された。従って、本発明はまた、皮膚の瘢痕形成、真皮の再生を促進するための、式Iの少なくとも一つの化合物を備える化粧品用又は皮膚薬用化合物(組成物)の使用方法も対象とする。より詳しくは、式Iの走化性を備えた少なくとも一つの化合物の使用方法、又は前記化合物を含有する化粧品用又は皮膚薬用組成物の使用方法を対象とする。また、皮膚の瘢痕形成の促進を目的として使用される化合物は、式IのRがパルミトイル基である式Iの化合物としてもよい。
【0045】
例えば、本発明による配合では、ペプチド誘導体:Pal‐VGVAPG(エラスチンのマトリカイン)(配列番号6番)の効果を、天然成分が多く含まれるセラミドを添加して、高めることができる。添加されるセラミドはセラミド2である。セラミド2は、保湿作用や表皮を結合・再生する作用があり、ケラノサイトを保護する副次的な機能を備える。これらの作用が相互に補完し合い、表皮に効果が現れる。また表皮に現れる効果は、真皮を再編する効果により補完される。真皮を再編する効果は、マトリクス組織再編のための線維芽細胞が、走化性・増殖性によるものである。
【0046】
本発明に基づく組成物には例として以下のようなものが挙げられる。エモリエントローション(又は乳液又はクリーム)、スキンケア又はヘアケア用乳液(又はクリーム)、クレンジングローション(又は乳液)、ファンデーションベース、日焼け止めローション(又は乳液又はクリーム)、セルフタンニングローション(又は乳液又はクリーム)、髭剃りクリーム(又はムース)、アフターシェーブローション、シャンプー、口紅、マスカラ又はマニキュアなどである。
【0047】
これら組成物は、口紅及び唇荒れ予防リップクリームのスティック又はアイメイク化粧品や顔用のファンデーションもしくはチークとしても使用可能である。
【0048】
本発明に基づく組成物が、油中水滴型エマルジョンまたは水中油滴型エマルジョンである時の油相は、抽出又は合成による油脂に少なくとも一種類のオイルを配合した混合物で構成される必要がある。油脂はオイルを配合するので結果的に別の油脂となる。エマルジョンの油相は、エマルジョン総重量の5乃至60%を構成する。
【0049】
同エマルジョンの水相は、好ましくは、エマルジョン総重量の30乃至85%を構成する。乳化剤は、エマルジョン総重量の1乃至20%、好ましくは2乃至12%の範囲内の割合で配合できる。本発明に基づく組成物が油性アルコール又は水性アルコールのオイルローションである場合、紫外線吸収フィルターを含む日焼け止めローションや肌の柔軟化粧水等を構成することができる。オイルローションは他にも、油溶性界面活性剤を含むオイルフォーム、又はバスオイル等を構成することもできる。
【0050】
本発明に基づく組成物に配合可能な主な添加剤は以下の通りである。MPジオール及びポリグリセリンを含む有機溶剤又はヒドログリコール溶剤、抽出又は合成による油脂、イオン性又は非イオン性粘稠剤、柔軟剤、混濁剤、安定剤、軟化剤、シリコン、α又はβヒドロキシ酸、非発泡剤、保湿剤、ビタミン、香料、保存剤、キレート剤、着色料、ゲル化及び増粘ポリマー、界面活性剤及び乳化剤、他の水溶性又は油溶性有効成分、植物エキス、組織抽出物、海洋性抽出物、UVフィルター、抗酸化剤が挙げられる。
【0051】
特に好ましい一価又は多価アルコールは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール及びソルビトールの中から選択される。
【0052】
油脂としては、鉱物油のワセリンオイルが挙げられる。動物油としては鯨油、鮫油、オットセイ油、ニシン油、オヒョウ肝油、タラ油、マグロ油、カメの油、牛足の油、馬足の油、羊足の油、ミンク油、カワウソの油、マーモット油等が挙げられる。植物油としては、アーモンド油、小麦胚芽油、ホホバ油、ゴマ油、ヒマワリ油、パーム油、ウォールナッツオイル、シアバター、ショレア脂、マカダミアナッツオイル、クロスグリ種子油及び類似物が挙げられる。
【0053】
脂肪酸エステルとしては、炭素数12乃至22の飽和酸か不飽和酸のエステル、又はイソプロパノールやグリセロール等の低級アルコールのエステル、又は直鎖状脂肪アルコール、分子状脂肪アルコール、飽和脂肪アルコール、不飽和脂肪アルコールからなる群より選択される炭素数8乃至22の脂肪アルコールのエステル、又は炭素数10乃至22の1、2‐アルカンジオールのエステルが挙げられる。
【0054】
油脂として、ワセリン、パラフィン、ラノリン、水素添加ラノリン、獣脂、アセチル化ラノリン、シリコンオイルも配合可能である。
【0055】
蝋としては、シポールワックス、ラノリンワックス、蜜蝋、カンデリラ蝋、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバ蝋、鯨蝋、カカオ脂、シアバター、シリコンワックス、25°Cでの水素添加粗製脂、スクログリセリド、オレイン酸及びミリスチン酸及びリノレイン酸及びステアリン酸のカルシウム塩及びマグネシウム塩及びアルミニウム塩が挙げられる。
【0056】
脂肪アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、オレイルアルコール、及び、2‐デシルテトラデカノール(2‐decyltetradecanol)又は2‐ヘクシルデカノール(2‐hexyldecanol)等のゲルベアルコールが挙げられる。乳化剤では、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールとして、酸化エチレン分子を2から20モル有するラウリルアルコール及びセチルアルコール及びステアリルアルコール及びオレイルアルコール、グリセロールのアルキルエーテルとして、グリセロール分子を2から20モル有する炭素数12から18のアルコールが挙げられる。粘稠剤として、セルロース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、グアルゴム又はイナゴマメゴム又はキサンタンゴム等の使用も有用である。
【0057】
本発明に基づく組成物には、化粧品や皮膚薬の添加物、特に保湿効果製品、柔軟剤、皮膚疾患治療用製品、紫外線フィルター、殺菌剤、着色料、保存剤、香料及びエアゾール用ガス等も配合可能である。
【0058】
本発明に基づく組成物が分散体の場合、界面活性剤を用いたレシチンの水分散体であるか、又は、カプセル化水相を含む組織化分子層から構成される脂質小球体(spherules lipidiques)の水分散体である。そのための脂質化合物は以下の通りである。長鎖アルコール及び長鎖ジオール、コレステロール等ステロール、リン脂質、硫酸及びリン酸コレステリル、長鎖アミン及び長鎖アミンの4級アンモニウム誘導体、ジヒドロキシアミン、ポリオキシエチレン化脂肪アミン、長鎖アミノアルコールのエステル、同エステルの塩及び4級アンモニウム誘導体、ジセチルリン酸又はそのナトリウム塩等の脂肪アルコールリン酸エステル、セチル硫酸ナトリウム等アルキル硫酸、脂肪酸の塩、又はフランス特許第2315991号、同第1477048号、同第2091516号や国際特許出願WO83/01571号、WO92/08685号に記載されている脂質類が挙げられる。
【0059】
他の脂質として、飽和又は不飽和で分枝状又は直鎖状である炭素数12乃至30の長鎖の親油性部分を含む脂質が使用可能である。例として、オレイル鎖、ラノリル鎖、テトラデシル鎖、ヘキサデシル鎖、イソステアリル鎖、ラウリル鎖又はアルキルフェニル鎖等が挙げられる。同脂質の親水性基はイオン性基・非イオン性基の両方が可能である。非イオン性基として、ポリエチレングリコール誘導体の基があげられる。また、薄層構造を構成する脂質として、フランス特許第1477048号、同第2091516号、同第2465780号、同第2482128号に記載されているようなポリグリセロールエーテルを有利に利用できる。
【0060】
イオン性基として、両性(又はアニオン性又はカチオン性)の化合物誘導体の基を有利に使うことができる。
【0061】
国際特許出願WO83/01571号に記載の小胞形成に使用できる他の脂質は、ラクトシルセラミド、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、トリヘキソシルセラミド等のグリコ脂質、及びフォスファチジルグリセロール、フォスファチジリノシトール等のリン脂質である。
【0062】
本件記載のペプチド及び/又はペプチド誘導体及びセラミドのほかにも、本発明による組成物は、化粧品、パーソナルケア用品、局所(経皮)に適用する薬品に通常使用される活性の添加物質を、一つ又は複数含有してもよい。
【0063】
ペプチド及びペプチド誘導体及びセラミドと配合できる活性物質は、薬理効果、食品効果を有する物質、又は適切な美容効果を有する物質である。活性物質が水溶性である場合は、均質に溶解されるか、小胞内の水相に含有される。化粧品効果及び/又は薬理効果を有する水溶性物質は、皮膚及び毛髪のケア及びトリートメント用製品等である。例えば、保湿剤として、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリトリトール、ピロリドン酸及びその塩等がある。セルフタンニング剤として、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、グリセルアルデヒド、タルタルアルデヒド等のy‐ジアルデヒド等があり、これら化合物は着色料と組み合わされてもよい。更に、水溶性UVフィルター、発汗抑制剤(体臭防止剤、収斂剤、清涼剤、トニック、瘢痕形成剤、角質溶解剤、除毛剤、香水)、ポリサッカリド等の植物組織エキス、水溶性着色料、ふけ防止剤、皮脂分泌抑制剤、過酸化水素等の脱色剤等の酸化剤、チオグリコール酸及びその塩等の還元剤が挙げられる。
【0064】
同様に、ビタミンB1乃至B12、C、D、H、K及びその誘導体、ペプチドホルモン、ステロイドホルモン、スーパーオキシド・ディスムターゼ等の酵素、ワクチン、ヒドロコルチゾン等のステロイド系又は非ステロイド系抗炎症剤、抗生物質、抗細菌剤及び殺菌剤、細胞毒剤又は抗腫瘍剤も挙げられる。
【0065】
活性物質が油溶性である場合は、これらの物質は、エマルジョンの油相内又はリポソ−ム、ミセル、カイロミクロン等の小胞の層内に包含される。油溶性活性物質は、油溶性紫外線フィルター、乾燥肌又は老化肌の改善を目的とする物質、トコフェロール、ビタミンE、F又はA及びそのエステル、レチノイン酸、抗酸化剤、必須脂肪酸、グリシレチン酸、角質溶解剤及びカロテノイド、セラミド及び擬似セラミド、又は、皮膚の天然セラミドと同形のあらゆる複合脂質からなる群より選択される。
【0066】
本発明対象のペプチドは、本発明に従った化粧品組成物に単独に添加するか、予め適当な結合剤と混合したうえ、添加され、溶液、分散体、エマルジョン、ペースト、粉末からなる群より選択される状態で使用可能である。また同ペプチドは、単独で使用されるか或いは、本件で記載された(記載されていない成分でもよい)他の有効成分と併用され、マクロカプセル、ミクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、カイロミクロン、マクロ粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、ミクロスポンジからなる群より選択される担体により伝達される。またこれらペプチドは、粉末状有機ポリマー、タルク、ベントナイト及び他の無機質媒体により吸着される。
【0067】
同ペプチドをあらゆる形状(マクロ粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、マクロカプセル、ミクロカプセル、ナノカプセルに連結(又は混合、吸着)した形状)で、繊維類に付着させることで、繊維類と皮膚の接触面を介して、美容効果が持続的に発揮される。具体的には、タイツ、下着、ハンカチ、ウェットティッシュ等、皮膚に直接接触するデイウェア又はナイトウェアの衣服・下着用の合成繊維、天然繊維、ウール等あらゆる素材に加工処理を施すことができる。
【0068】
本発明の例として、代表的な化粧品組成物をいくつか紹介するが、本発明の権利範囲はこれらに限定されるものではない。
例1ゲル g/100g
カルボマー 0.3
プロピレングリコール 2.0
グリセリン 1.0
白色ワセリン 1.5
シクロメチコン(Cyclomethicone) 6.0
クロダコール(Crodacol C90) 0.5
リュブラジェル(Lubrajel MS) 10
トリエタノルアミン 0.3
Palmitoyl‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐OH(配列番号6番) 0.0005
水、保存剤、香料 対100g適量
【0069】
このゲルの調製は、ペプチドを80°C水に溶かし、その他の構成物を80°Cで混合し、各相を1ずつ加えて30°Cまで冷却した後、リュブラジェル、保存剤及び香料を加える。
【0070】
簡便な調合で得られるこのゲルは、毎日のフェイスケアとして、特に目の回りのむくみを解消するために使用できる。
【0071】
例2クリーム g/100g
ボルポS2(Volpo S2) 2.4
ボルポS20(Volpo S20) 2.6
プロステアリル15(Prostearyl 15) 8.0
蜜蝋 0.5
ステアロキシ・ジメチコン 3.0
プロピレングリコール 3.0
カルボマー 0.25
トリエタノラミン 0.25
セラミド HO3(Ceramide HO3) 0.5
Acetyl‐Ser‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐OH(配列番号22番) 0.001
水、保存剤、香料 対100g適量
【0072】
このエマルジョンは、顔の肌、特に敏感肌部分の保湿、再生、沈静、及びしわ対策のために使われる。このエマルジョンの調製は以下の通りである。セラミドHO3をボルポS2、S20及びプロステアリル15の中に温度85°Cで溶解し、蜜蝋及びステアロキシジメチコンを加える。他の素材を75〜80°Cの温度で水相に混ぜ、二つの相を混合した後、冷却する。そして香料を加える。尚、セラミドHO3はトリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピル・ミリスチル・エーテル(Trihydroxypalmitamidohydroxypropyl Myristyl Ether)であり、Sederma社にて入手可能である。
【0073】
例3しわ対策クリーム g/100g
脱塩水 対100適量
カルボマー 0.10
ソルビン酸カリウム 0.10
トランスクトール(Transcutol) 3.00
(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)
グリセリン Croda 8.00
ボルポ S2「ステアレス 2」 Croda 0.60
クロダホスCES「セテアリルアルコール
(及び)リン酸ジセチル
(及び)セテス‐10リン酸」 Croda 4.00
DC 344「シクロメチコン」 DowCorning 2.00
クロダモルGTCC「カプリル酸/カプリン酸
トリグリセリド」 Croda 10.00
クリル 3「ステアリン酸ソルビタン」 Croda 1.60
パラベン 0.30
水酸化ナトリウム30% 0.35
脱塩水 3.50
DERMAXYL Sederma 2.00
【0074】
上記組成物は次の方法で調整される。油性素材を70〜80°Cで混合し、水性素材も同様に混合し、二つの混合物を混ぜ合わせてエマルジョンを作る。DERMAXYLは、C12‐15 Alkyl benzoate C12‐15 Alkyl benzoate‐Tribehenin‐ Ceramide 2‐PEG‐10 Rapeseed Sterol‐Palmitoyl Oligopeptide (配列番号6番)で、Sederma社にて入手可能である。
【0075】
例4抗老化鎮静クリーム g/100g
脱塩水 対100適量
Ultrez 10「カルボマー」 Noveon 0.20
ソルビン酸カリウム 0.10
ブチレングリコール 2.00
Phenova「フェノキシエタノール(及び)混合パラベン」 Crodarom 0.80
Crill 3「ステアリン酸ソルビタン」 Croda 1.00
Crillet 3「ポリソルビン酸 60」 Croda 2.50
DC 200(ジメチコン) 2.50
Crodamol TN(イソノナン酸イソトリデシル) Croda 5.00
Crodamol GTCC「カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド」
Croda 5.00
Crodamol SS「セチルエステル」 Croda 1.00
Super Hartolan「ラノリンアルコール」 Croda 0.50
Super Sterol Ester 0.30
「脂肪酸(C10‐30)(コレステロール/ラノステロール・エステル)」
Crodacol CS90「セテラリルアルコール」 Croda 3.00
脱塩水 2.50
水酸化ナトリウム 38% 0.25
CALMOSENSINE
「ブチレングリコール(及び)水(及び)ラウレス‐3(及び)
ヒドロキシエチルセルロース(及び)
アセチルジペプチド‐1セチルエステル)」
Sederma 4.00
Palmitoyl‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号6番)
Sederma 0.001
セラミド2
(N‐ステアロイルジヒドロスフィンゴシン) Sederma 0.05
【0076】
このエマルジョンは、前述の例と同様の方法で調製される。(予め加熱、混合した油相を、予め加熱、混合した水相と混合する。エマルジョンを作り、冷却する。)
【0077】
例5抗皮膚萎縮症対策ゲル g/100g
A相
脱塩水 対100適量
B相
ブチレングリコール 5.00
Phenova「フェノキシエタノール(及び)混合パラベン」
Crodarom 0.80
C相
Crill 3 「ステアリン酸ソルビタン」 Croda 1.20
Crillet 3 「ポリソルビン酸 60」 Croda 3.00
DC 200 「ジメチコン」 2.00
Crodamol IPM 「ミリスチン酸イソプロピル」 Croda 5.00
Crodamol W 「ヘプタン酸ステアリル」 Croda 0.30
Crodamol GTCC「カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド」
Croda 5.00
Crodacol CS90「セテアリルアルコール」 Croda 2.00
Ceramide 2(N‐ステアロイルスフィンガニン) Sederma 0.10
D相
Carbopol 980 2% 「カルボマー」 10.00
E相
ソルビン酸カリウム 0.10
F相
脱塩水 2.00
水酸化ナトリウム 0.20
G相
脱塩水 10.0
Pal‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly(配列番号6番)Sederma 0.00015
ESCULOSIDE Sederma 0.5%
【0078】
このゲルは、次の方法で調製できる。B相を均質化してA相に加える。(A+B)相を75°Cまで加熱する。C相とD相を75°Cまで加熱する。C相を(A+B)相に加え、充分に混合する。次にD相を(A+B+C)相に加える。そしてF相とE相を加えた後、G相を温度約35°Cで加える。
【0079】
本発明による効果を以下の方法で実証する。
【0080】
例6肌の引き締め効果評価試験
32〜56歳の女性10人を被験者とし、肌の引き締め効果を評価する試験を行った。試験には次の組成物を使用した。
構成物 重量%
ステアリン酸 3.50
蜜蝋 0.50
セチルアルコール 1.50
パルミチン酸オクチル 1.50
ネオペンタン酸イソステアリル 2.50
PPG‐15 ステアリルエーテル 3.00
シクロメチコン 4.50
ステアロキシジメチコン 2.00
オクタン酸セテアリル 3.00
脱塩水 対100適量
トリエタノラミン 99% 1.00
プロピレングリコール 3.00
Pal‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐OH(SEQ ID NO:6) 0.0004
【0081】
試験方法:「Fermometer」(Courage&Khazaka社)のセンサーは、約500ミリバールの負圧を、連続的に皮膚のある範囲に適用することで、皮膚を吸引することができる。テグメントの変形により光線が偏角を起こし、グラフの形で記録され、同グラフから肌の状態(引き締まり、弾力性、張り等のパラメータ)を求めることができる。
【0082】
本発明対象のペプチド誘導体を含有するクリームを、1ヶ月間毎日2回、前腕に塗布した。もう一方の前腕にはペプチドを含有しないプラシーボクリームを同様に塗布した。
【0083】
これらクリームを1ヶ月適用した後、ペプチド誘導体を含有するクリームを塗布した方の肌の状態は、たるみが減り、張り、引き締まりが増加する変化が観察された。しかしプラシーボクリームを塗布した方には、明らかな変化は見られなかった。
【0084】
例7パルミトイル‐VGVAPG(配列番号6番)の特性に関するインビトロ試験
Pal‐VGVAPG(配列番号6番)を用いて表皮を培養時に、活性化又は不活性化遺伝子の分析を行うための、分子学的アプローチを選択した。遺伝子発現レベルで、細胞活動の一時的イメージを得るとともに、休止中のコントロール細胞との比較することで、外的条件に反応した時の活性と抑制の差を明らかにできる。DNAチップテクノロジーは、400のDNAセンサーの解析を可能とした。この400のDNAセンサーは、皮膚細胞の主要機能を網羅する400のプロテインをコード化できる。培地にペプチドを挿入した後、メッセンジャーRNAの生成率が増加した遺伝子が、ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(Polymerase Chain Reaction、PCR)法により検出された。
【0085】
表皮「Skin‐Ethic」を適当な培地にて予め24時間培養した後、Pal‐VGVAPG(配列番号6番)で4時間処理したサンプルと、未処理のコントロールサンプル(コントロール細胞)を用意した。処理後サンプルの遺伝子の変化を、対コントロールサンプルの割合で表した。その結果表された数値より以下の5つの遺伝子に活性化が起こることが判明した。
【0086】

【0087】
最も活性化された遺伝子は、傷の殺菌細胞(単球及び好中球)の誘引に関与する走化性プロテインの合成を司るGCP2の遺伝子であった。また、5つの特定の遺伝子が活性化した点で、このペプチドの特異性は注目に値する。
【0088】
例8保湿効果及びしわ対策ファンデーション
構成物 重量%
脱塩水 53.36
水酸化カリウム 10% 1.30
ポリソルビン酸 80 0.10
二酸化チタン 6.00
タルク 3.05
黄色酸化鉄 1.80
赤色酸化鉄 1.00
黒色酸化鉄 0.15
プロピレングリコール 6.00
珪酸マグネシウムアルミニウム 1.00
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.12
DiPPG3 アジピン酸ミリスチルエーテル 12.00
ネオペンタン酸イソステアリル 4.00
Crodafos CS 20 4.00
ステアレス‐10 2.00
セチルアルコール 0.50
ステアレス‐2 0.50
セラミド 2 0.10
Pal‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐OH(配列番号6番) 0.0004
保存剤 適量
【0089】
例9しわ対策効果
例8に基づく着色クリームの使用試験を行い、24人(平均年齢54歳)を被験者とした。目のまわりのしわは自己評価アンケート及び皮膚レプリカの技術により評価した。着色クリームは56日間毎日2回、関連部位に塗布された。しわの測定は0日目及び56日目に行われた。結果、この試験によりしわの減少が測定された(表参照)。また、しわの減少は肉眼でも観察することができた。しかしペプチド及びセラミドを含まない着色クリームでは、しわの減少は見られなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I: R‐(AA)‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐Gly‐R(配列番号1番、配列番号2番、配列番号3番、配列番号4番)を有する化合物であって、
前記式中、
(AA)はペプチド鎖、(AA)はアミノ酸又はアミノ酸誘導体であって、
「n」は0乃至3の数であって、
は水素原子(H)又はアルキル鎖又はビオチニル基であって、
前記アルキル鎖は炭素数2から22であるとともに直鎖状アルキル鎖、分枝状アルキル鎖、飽和アルキル鎖、不飽和アルキル鎖、ヒドロキシ基を含むアルキル鎖、ヒドロキシ基を含まないアルキル鎖、硫黄を含むアルキル鎖、硫黄を含まないアルキル鎖からなる群より選択されるアルキル鎖であって、
RはOR、又はNRであって、
は水素原子(H)もしくは炭素数1乃至24好ましくは1乃至3又は14乃至18のアルキル鎖であり、
及びRは互いに独立するとともに水素原子(H)又は炭素数1乃至12のアルキル鎖であって、
但しR=H、R=OH及びn=0の条件を同時に満たす場合を例外とすることを特徴とする化合物。
【請求項2】
前記式中、
がラウロイル鎖(C12)(配列番号7番、配列番号8番)、ミリストイル鎖(C14)(配列番号9番、配列番号10番)、ステアロイル鎖(C13)(配列番号11番、配列番号12番)、オレオイル鎖(C18:1)(配列番号13番、配列番号14番)、アラキドイル鎖(C20)(配列番号15番、配列番号16番)、リノレオイル鎖(C18:2)(配列番号17番、18番)からなる群より選択される鎖であるとともに、
n=0又は1あって、
は水素原子(H)又はメチル又はエチルであるかもしくは、
RはNRであるとともにR=R =H又はメチルであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物及び添加物質を含有する化粧品用又は皮膚薬用の組成物であって、
前記化合物は、請求項1又は2のみ、若しくは請求項1と2の組み合わせによる一つ又は複数の化合物であって、
前記添加物質は化粧品として使用可能な添加物質であることを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の化粧品用又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物中、ぺプチドが化学合成又は酵素反応又は発酵又は植物性プロテインからの抽出からなる群より選択されるいずれかの手段により得られることを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項5】
請求項3又は4いずれかに記載の化粧品用及又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物は、保湿剤、セルフタンニング剤、水溶性UVフィルター、発汗抑制剤、ポリサッカリド等の植物組織エキス、水溶性着色料、ふけ防止剤、皮脂分泌抑制剤、過酸化水素等の脱色剤等の酸化剤、チオグリコール酸及びその塩等の還元剤、ビタミンB1乃至B12、C、D、H、K及びその誘導体、ペプチドホルモン、ステロイドホルモン、スーパーオキシド・ディスムターゼ等の酵素、ワクチン、ヒドロコルチゾン等のステロイド系又は非ステロイド系抗炎症剤、抗生物質、抗細菌剤及び殺菌剤、細胞毒剤又は抗腫瘍剤、油溶性活性成分からなる群より選択される美容有効成分を一つ若しくは複数含有し、
前記保湿剤はグリセリン、ソルビトール、ペンタエリトリトール、ピロリドン酸及びその塩等からなる群から選択され、
前記セルフタンニング剤ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、グリセルアルデヒド、タルタルアルデヒド等のy‐ジアルデヒドからなる群より選択され、これら化合物は着色料を配合してもよく、
前記発汗抑制剤は、体臭防止剤、収斂剤、清涼剤、トニック、瘢痕形成剤、角質溶解剤、除毛剤、香水からなる群より選択され、
前記油溶性活性成分は、油溶性UVフィルター、乾燥肌又は老化肌の改善を目的とする成分、トコフェロール、ビタミンE、F又はA及びそのエステル、レチノイン酸、抗酸化剤、必須脂肪酸、グリシレチン酸、角質溶解剤及びカロテノイド、セラミド及び擬似セラミド、又は皮膚の天然セラミドと同形のあらゆる複合脂質からなる群より選択されることを特徴とする化粧用又は皮膚薬用組成物。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載の化粧品用又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物は、ペプチド又はペプチド誘導体を0.00001重量%乃至10重量%の濃度、好ましくは0.0001重量%乃至1重量%の濃度で含有することを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の化粧品用又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物は、複数のセラミドを0.0001重量%乃至10重量%の濃度、好ましくは0.001重量%乃至1重量%の濃度で含有することを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の化粧品用又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物は、ペプチドPalmitoyl‐Val‐Gly‐Val‐Ala‐Pro‐GlyOH(配列番号6番)を0.0001重量%乃至0.01重量%の濃度で含有するとともに、N-ステアロイル-ジヒドロスフィンゴシン(N‐stearoyl‐dihydrosphingosine)のセラミドを0.001重量%乃至10.0重量%の濃度で含有することを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項9】
請求項3乃至8いずれかに記載の化粧品用又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物中の化合物は、溶液、分散体、エマルジョン、ペースト、粉末からなる群より選択される状態であるとともに、単独で又は予め混合された状態で使用されるかもしくは、
マクロカプセル、ミクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、カイロミクロン、マクロ粒子、ミクロ粒子、ナノ粒子、ミクロスポンジからなる群より選択される担体によって伝達されるかもしくは、
粉末状有機ポリマー、タルク、ベントナイト及び他の無機質媒体により吸着されることを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項10】
請求項3乃至9のいずれかに記載の化粧品用又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物中の化合物は、エモリエントローション(又は乳液又はクリーム)、スキンケア又はヘアケア用乳液(又はクリーム)、クレンジングローション(又は乳液)、ファンデーションベース、日焼け止めローション(又は乳液又はクリーム)、セルフタンニングローション(又は乳液又はクリーム)、髭剃りクリーム(又はムース)、アフターシェーブローション、シャンプー、口紅、マスカラ又はマニキュアからなる群より選択されるあらゆる状態で使用されることを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項11】
請求項3乃至10のいずれかに記載の化粧品用又は皮膚薬用組成物であって、
前記組成物中には、一つ以上好ましくは複数の、化粧品として通常使用される素材が含有され、
前記素材は、化粧品として使用可能な混合物からなる群より選択され、
前記群は、有機溶剤又はヒドログリコール溶剤、抽出又は合成油脂、イオン性又は非イオン性粘稠剤、柔軟剤、混濁剤、安定剤、軟化剤、シリコン、αヒドロキシ酸、非発泡剤、香料、保湿剤、キレート剤、着色料、ゲル化及び増粘ポリマー、界面活性剤及び乳化剤からなることを特徴とする化粧品用又は皮膚薬用組成物。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の化合物もしくは請求項3乃至11いずれかに記載の組成物の使用方法であって、
前記使用方法は、スキンケア及び老化現象対策のための化粧品用組成物を生成することを目的とする、前記化合物又は前記組成物の使用方法。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の化合物もしくは請求項3乃至11いずれかに記載の組成物の使用方法であって、
前記使用方法は、皮膚瘢痕形成を促進することを目的とする、前記化合物又は前記組成物の使用方法。
【請求項14】
式Iを有する一つ以上の化合物の請求項13記載の使用方法であって、
前記使用方法は、前記化合物が走化性の特性を有することを特徴とする使用方法。
【請求項15】
式Iを有する一つ以上の化合物の請求項13又は14記載の使用方法であって、
前記使用方法は、式I中のRがパルミトイル基であることを特徴とする使用方法。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の化合物もしくは請求項3乃至11いずれかに記載の組成物の使用方法であって、
前記使用方法は、スキンケア及び老化現象対策のための皮膚薬用組成物調製を目的とする、前記化合物又は前記組成物の使用方法。

【公表番号】特表2007−536205(P2007−536205A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530344(P2006−530344)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001139
【国際公開番号】WO2004/101609
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505414872)
【Fターム(参考)】