説明

皮膚外用剤

【課題】 花粉症の予防及び症状軽減に効果的な皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 (a)シソエキスと(b)ホエイエキスと(c)ハッカ油と、(d)ティーツリー油を含むことを特徴とする皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤、特に花粉症の予防及び症状軽減に有効な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
花粉症は、少なく見積もっても人口の15%が罹患しているといわれる国民病である。花粉症に処方されている医薬品は、目薬を除くと他のアレルギー疾患と共通の経口抗アレルギー剤であり、最も強くて有効なのはステロイド剤であるが、ステロイド剤には副作用や依存症などの問題点が多い。したがって、健康食品などによって花粉症の予防をしようとする人も増えてきている。
しかしながら、健康食品等でアレルギー性疾患の改善を図るためには、長期にわたり同一物の摂取を続ける必要があり、一般的に嗜好や経済的な問題から挫折することも少なくない。
【0003】
一方、たとえば特許文献1にはストレス緩和の観点から外用剤により改善を図る例が開示され、また特許文献2には広くアレルギー疾患の改善を外用剤により図る例も開示されている。
これら、外用によるアレルギー疾患の改善を図ることは、アトピー性皮膚炎など、外皮性のアレルギー疾患では公知であるが、花粉症のようにアレルゲンが直接的に目、鼻などの粘膜部位で作用して症状が出る疾患について、皮膚外用剤により予防、症状軽減を図る試みは極めて少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−233723
【特許文献2】特開平10−139679
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記課題に鑑みなされたものであり、その目的は花粉症の予防、症状軽減を図ることのできる、入浴剤などの皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究を行った結果、特定の天然成分の組み合わせにより、花粉症に対する予防、症状改善効果が発揮されることを見いだし、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明にかかる皮膚外用剤は、(a)シソエキスと、(b)ホエイエキスと、(c)ハッカ油と、(d)ティーツリー油とを含むことを特徴とする。
【0007】
前記皮膚外用剤として入浴剤を使用することが好適である。
前記入浴剤において、150L浴湯用入浴剤中、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油はそれぞれ純エキスとして0.001〜3.0g含むことが好適である。
局所適用皮膚外用剤においては、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油及び(d)ティーツリー油を、純エキスとしてそれぞれ0.001〜5.0%含むことが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる皮膚外用剤によれば、(a)シソエキスと(b)ホエイエキスと(c)ハッカ油と(d)ティーツリー油とを配合することにより、花粉症の予防、症状軽減に効果的である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の対象とする花粉症は、植物の花粉が鼻や目の粘膜に接触して引き起こされる、発作性・反復性のくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、流涙などの症状に特徴づけられる症候群を言う。したがって、花粉症は花粉の飛散する時期や季節によって起きるので、季節性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性結膜炎の合わさった症候群である。
【0010】
花粉症は、ヒノキ科植物(スギ、ヒノキなど)、ブタクサ、マツ、イネ科植物(カヤ、ムギなど)、ヨモギなど約60種類の植物の花粉がアレルゲンとなって引き起こされるものである。国や地域によって花粉症の原因花粉が異なり、たとえば北海道ではシラカバの花粉症が多く、アメリカはブタクサ、ヨーロッパはイネ科植物、北欧ではシラカバによる花粉症が多い。日本では人口の15%が花粉症を自覚しており、その中の70〜80%がスギ・ヒノキ花粉症である。
【0011】
花粉症は即時型I型アレルギーの代表的なものである。一方、アレルギー性疾患として著名なアトピー性皮膚炎は、I型アレルギーのほかに皮膚症状に関係するIV型アレルギーも関与している。花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、マクロファージにより異物として認識されたのち、リンパ球のひとつであるB型細胞が、花粉アレルゲンに刺激されて、免疫抗体であるIgE(イムノグロブリンのひとつ)を作る。IgEは細胞間情報伝達物質であるインターロイキン4により産生が促進される。IgEと花粉アレルゲンの結合体が肥満細胞に結合することで、肥満細胞からケミカルメディエーター(主にヒスタミン)の遊離が盛んになる。これにより鼻の知覚神経が刺激されてくしゃみや鼻汁が出る。一方、ケミカルメディエーターのロイコトリエンは、目の粘膜を刺激して、目のかゆみは流涙を引き起こす。つまり、花粉症とアトピー性皮膚炎発症はI型アレルギーである点で共通し、IgEの産生を抑制し、ヒスタミンの遊離を抑制することは効果がある。しかしながら、花粉症がアトピー性皮膚炎と相違する点は、アレルゲンの一次作用点が鼻と目であること、インターロイキン−4が関与していることである。
【0012】
花粉症に対して行われている治療は大部分が対症療法であり、唯一の根治治療法としては減感作療法が挙げられる。減感作療法とは、花粉アレルゲンを濃度の低いものから徐々に濃度を高めて患者に注射していき、患者に免疫寛容を誘導するものである。
【0013】
ただし、治療用に標準化されているエキスが杉のみであること、この治療に1〜5年を要するため、治療途中で脱落する人が多いこと、ショック症状が出る場合があることなどの問題点がある。
本発明にかかる皮膚外用剤は、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油を配合することにより、花粉症の予防、諸症状の緩和に優れた効果を発揮する。
【0014】
本発明に使用する(a)シソエキスは、シソ(Perilla frutescens Britton var. acuta Kudo)またはその近縁植物(Labiatae)の葉から常温または加温下に抽出して得られるエキスである。
【0015】
具体的には、シソまたはその近縁植物の葉からエタノールなどの溶媒で抽出し、濾過してエキスを得る。本発明におけるシソエキスは、局所適用皮膚外用剤中、純エキスとして0.001〜5.0%配合することが好ましく、0.005〜2.0%配合することが特に好ましい。皮膚外用剤に配合するシソエキスの含有量が0.001%未満であると、十分な花粉症予防、症状改善効果が得られない。また、皮膚外用剤に配合するシソエキスの含有量が5.0%を超えて含有させても構わないが、本発明の効果の向上がそれほどみられないため好ましくない。なお、抽出溶媒としては、エタノールが最適である。
なお、本発明における純エキスの含有量は、シソ等の抽出物の全エキスから、水分やアルコール等の抽出液など、添加した成分を差し引くことにより求めた。
【0016】
本発明に使用する(b)ホエイエキスは、好ましくは脱脂粉乳及びブドウ糖の混合水溶液を、乳酸桿菌(Lactobacillus bulgaricus)で発酵させた液をろ過して用いる。必要により、ろ液に1,3−ブチレングリコールなどを加えてもよい。
【0017】
なお、市販品としてヨーグルトエキスB(ホエイ分70%、1,3−BG30%;一丸ファルコス社製)として手に入れることができる。本発明におけるホエイエキスは、局所皮膚外用剤中、純エキスとして0.001〜5.0%配合することが好ましく、0.05〜3.0%配合することが特に好ましい。皮膚外用剤に配合するホエイエキスの含有量が0.001%未満であると、十分な花粉症予防、症状改善効果が得られない。また、皮膚外用剤に配合するホエイエキスの含有量が5.0%を超えて含有させても構わないが、本発明の効果の向上がそれほどみられないため好ましくない。なお、シソ、ヨーグルトは健康食品として花粉症に有効との報告もある(厚生労働省調査)。
【0018】
本発明に使用する(c)ハッカ油は、シソ科ハッカ(Mentha arvensis Linne var. piperascens Malinvaud (Labiatae))の地上部を水蒸気蒸留して得た油を冷却し、固形分を除去した精油を用いることが好ましい。近年、ハッカの主成分であるメントールを使った花粉症対策商品(マスクなど)が多く販売されている。本発明におけるハッカ油は、日本薬局方ハッカ油の定量法で定量するとき、メントールとして30質量%以上含むものを、局所適用皮膚外用剤中、0.001〜5.0%配合することが好ましく、0.005〜1.0%配合することが特に好ましい。皮膚外用剤に配合するハッカ油の含有量が0.001%未満であると、十分な花粉症予防、症状改善効果が得られない。また、皮膚外用剤に配合するハッカ油の含有量が5.0%を超えて含有させても構わないが、ハッカ油特有の刺激臭により嗜好が低下する場合があり、また本発明の効果の向上がそれほどみられないため好ましくない。
【0019】
本発明に使用する(d)ティーツリー油は、フトモモ科ティーツリー(英名:Tea Tree 学名:Melaleuca alternifolia)の葉を水蒸気蒸留して得られる天然精油である。ティーツリー油の薬効でよく知られているのは、強い抗菌作用で、アロマテラピーで使われるが、塗布によって感染症などにも臨床的に用いられている。また、免疫機能を調節する作用も知られており[アロマテラピー学雑誌Vol.12.No.1、P36−42(2002)]花粉症に使われる。本発明におけるティーツリー油は、ガスクロマトグラフィーにより定量するとき、テルピネン−4−オール30質量%以上含むものを、局所適用皮膚外用剤中、0.001〜5.0%配合することが好ましく、0.005〜1.0%配合することが特に好ましい。皮膚外用剤に配合するハッカ油の含有量が0.001%未満であると、十分な花粉症予防、症状改善効果が得られない。また、皮膚外用剤に配合するティーツリー油の含有量が5.0%を超えて含有させても構わないが、本発明の効果の向上がそれほどみられないため好ましくない。
【0020】
本発明の皮膚外用剤には、上記必須成分の他に、通常皮膚外用剤に使用されている原料を配合することができる。
本発明の皮膚外用剤は、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油を必須成分とし、必要に応じて任意成分を加え、撹拌機にて均一に攪拌して得るなど、常法により製造することができる。本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、ローション、クリーム、ジェル、ミスト、スプレー、軟膏、パップ剤などの貼付用剤、マスク含浸剤等、どのような剤型でも構わない。
【0021】
また、本発明にかかる皮膚外用剤は、入浴剤として使用することが特に好適である。
すなわち、温湯により揮発成分の揮発を促し、鼻あるいは目など、花粉症の症状が発生しやすい部位に直接働きかけるとともに、有効成分の全身からの吸収を促進することができる。さらに老人、特に認知症を有する患者の場合には、外用剤の患者自身による局所適用が、より困難となることもある。このような場合にも、本発明にかかる皮膚外用剤を入浴剤として使用することにより、広範囲に、かつ患者自身や患者以外の家族、医療関係者による容易な適用が可能となる。さらに、本発明にかかる入浴剤の剤形も特に限定されず、粉体、顆粒、錠剤、液体、乳化状態等とすることができる。
本発明のようにいずれも花粉症に対して有効である揮発成分と水溶性の成分を混合した入浴剤等の皮膚外用剤の例はみない。
【0022】
本発明にかかる皮膚外用剤を入浴剤として使用する場合、150L希釈用入浴剤中(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油を純エキスとしてそれぞれ0.001〜3.0g含むことが好適であり、0.005〜1.0g含むことが特に好適である。入浴剤に配合する各成分の含有量が0.001g未満であると、十分な花粉症予防効果及び症状改善効果が得られない。また、皮膚外用剤に配合する各成分の含有量が3.0gを超えて含有させても構わないが、本発明の効果の向上がそれほどみられないため好ましくない。
【0023】
このようにして得た本発明の皮膚外用剤は、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油の配合により、花粉症予防効果、症状緩和効果を有し、使用感に優れている。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
まず、本発明者らは、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油を含有した組成物について、花粉症予防試験、症状軽減試験を行った。
【0025】
以下の実施例では、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油は、それぞれ、ファルコレックス シソ(一丸ファルコス製 35%エタノール抽出液;シソエキス分約0.2%)、ヨーグルトエキスB(一丸ファルコス製 70%1,3−ブチレングリコール溶液)、薄荷白油(長岡実業製)、ティーツリーオイル(豊玉香料製)を用いた。
【0026】
花粉症予防・症状軽減効果試験
以下のように花粉症予防・症状軽減効果試験を行った。
(1)対象疾患
スギ・ヒノキ花粉症。花粉症の医学的症状として認められている、花粉飛散時の発症、罹患時と非罹患時の比較において「くしゃみ」、「鼻汁」、「鼻づまり」、「目のかゆみ」、「流涙」の諸症状の増加が、罹患時に顕著にみられるかを指標に、これらの症状の総合的な評価からパネラー(患者)を選択する。
【0027】
(2)入浴試験のパネラー
対象疾患の症状に合うものから57名をパネラーとして選択し入浴試験に参加してもらう。57名のうち28名は花粉症の予防効果を検証するための入浴試験に参加してもらう(グループ1)、他の29人は、花粉症罹患後の症状改善効果を検証するための入浴視点に参加してもらった。
【0028】
(3)グループの振り分け
試験地である東京近辺のスギ・ヒノキの飛散は2月中旬に始まり、ほぼ花粉の飛散と同時に花粉症が発症する。したがって、グループ1のパネラーは発症の1か月前、つまり1月の中旬から1ヶ月間入浴試験を行う。グループ2のパネラーは発症確認後、つまり2月下旬から1ヶ月間入浴試験を行う。
【0029】
(4)入浴試験方法
入浴試験方法はグループ1、グループ2共に共通である。
パネラーは一人につき1日一回、一般家庭の浴槽にて入浴する。浴湯の温度は特に制限はしない。入浴時間は約10分間とするが、特に制限はしない。被検試料は瓶入りの30ml水溶液である。入浴試験一回につき一瓶を使う。瓶はよく振ってから、浴湯に入る直前に浴湯に入れ、浴湯をかき混ぜてから入浴する。
【0030】
一家で二人以上パネラーがいる場合には、一人につき一瓶を用いる。身体の洗浄、洗髪、入浴終了時のシャワーは制限しない。入浴試験中は、花粉症治療に用いている医薬品、健康食品などの服用はできる限り避けてもらうが、症状の悪化の兆候が見られたら、ただちに入浴試験を中止して医薬品などの服用を再開する。
【0031】
(5)被検試料
被検試料一瓶中の有効成分濃度は、ホエイエキス(純分70%)4%、シソエキス(純分約0.2%)4%、ハッカ油0.2%、ティーツリー油4%であり、水で30mlにしたものである。ヨーグルトエキスとシソエキスは水溶性であるが、ハッカ油とティーツリー油は水に不溶であるため、実際には瓶中では水相と油相とに分離している。したがって、被検試料を浴湯に入れる際には、瓶をよく振って使用する。
【0032】
(6)被検試料の製造
被検試料の製造は、ヨーグルトエキスとシソエキスとの混合水溶液(溶液A)と、ハッカ油とティーツリー油との混合液(溶液B)を作っておき、溶液Aと溶液Bを混合して所望の被検試料を得る。
【0033】
(7)アンケート
入浴試験終了後に、パネラーにはアンケートの質問事項に答えて提出してもらう。なお、回答なしについては除外した。
グループ1、2共に、入浴投与期間中の入浴剤の効果の程度を聞くアンケートと、入浴投与期間終了一定期間経過後に症状の変化を聞くアンケートの2種類がある。
【0034】
アンケート記載事項は、花粉症症状については「くしゃみ」、「鼻汁」、「鼻づまり」、「目のかゆみ」、「涙」の5項目を、5種の選択肢(改善、やや改善、不変、やや悪化、悪化)から選択してもらい、また入浴剤としての評価については「しっとり感」、「すべすべ感」、「温まり方」、「お湯の感触」の4項目を、5種の選択肢(良好、やや良好、不変、やや悪い、悪い)から選択してもらった(グループ1のみで試験した)。
【0035】
試験結果
グループ1 投与直後 投与終了1ヵ月後 投与終了2か月後
a.くしゃみの回数 23名 21名 22名
減った 26.1% 19.0% 31.8%
やや減った 21.7% 23.8% 22.7%
変わらない 52.2% 52.4% 31.8%
やや増えた 0% 4.8% 13.6%
増えた 0% 0% 0%
b.鼻汁 23名 21名 22名
減った 26.1% 23.8% 31.8%
やや減った 21.7% 33.3% 27.3%
変わらない 52.2% 38.1% 40.9%
やや増えた 0% 4.8% 0%
増えた 0% 0% 0%
c.鼻づまり 23名 21名 22名
改善した 17.4% 23.8% 31.8%
やや改善した 26.1% 33.3% 40.9%
変わらない 56.5% 42.9% 27.3%
やや悪くなった 0% 0% 0%
悪くなった 0% 0% 0%
d.目のかゆみ 23名 21名 22名
改善した 21.7% 19.0% 31.8%
やや改善した 17.4% 33.3% 31.8%
変わらない 60.9% 38.1% 31.8%
やや悪くなった 0% 9.6% 4.6%
悪くなった 0% 0% 0%
e.涙 23名 21名 22名
減った 26.1% 28.6% 36.4%
やや減った 8.7% 23.8% 31.8%
変わらない 65.2% 47.6% 27.3%
やや増えた 0% 0% 4.5%
増えた 0% 0% 0%
f.しっとり感 23名
しっとりする 4.3%
ややしっとりする 43.5%
どちらともいえない 43.5%
ややしっとりしない 4.3%
しっとりしない 4.3%
g.すべすべ感 23名
すべすべする 8.7%
ややすべすべする 26.1%
どちらともいえない 60.9%
ややすべすべしない 0%
すべすべしない 4.3%
h.温まり方 23名
温まる 21.7%
やや温まる 30.4%
変わらない 17.4%
やや温まらない 17.4%
温まらない 13.1%
i.お湯の感触 22名
やわらかい 4.5%
やややわらかい 31.8%
変わらない 54.6%
ややかたい 9.1%
かたい 0%
【0036】
グループ1に関しては、入浴投与期間中にはほとんど花粉は飛散していないが、入浴投与期間が終了してから花粉の本格的飛散が開始する。上記の結果、一般的入浴剤としての評価は必ずしも優れたものとは言えないが、注目すべきは投与終了後にも効果が持続し、投与終了後1ヶ月(花粉飛散のピーク期間)および2か月経過時点でのアンケート結果でも花粉症特有の症状の軽減が認められたことである。
【0037】
特に目の症状の改善が顕著である。この理由として、皮膚吸収された浴湯中の成分が体質を改善する効果に寄与したことが考えられる。(日本農芸化学会2010年度大会「ビフィズス菌G9−1株のアレルギー性鼻炎モデルに対する効果」)
【0038】
グループ2 投与直後 投与終了1ヵ月後
a.くしゃみの回数 23名 22名
減った 39.2% 36.4%
やや減った 30.4% 36.4%
変わらない 30.4% 27.2%
やや増えた 0% 0%
増えた 0% 0%
b.鼻汁 24名 22名
減った 37.5% 40.9%
やや減った 29.2% 22.7%
変わらない 33.3% 36.4%
やや増えた 0% 0%
増えた 0% 0%
c.鼻づまり 24名 22名
改善した 33.3% 40.9%
やや改善した 37.5% 31.8%
変わらない 29.2% 27.3%
やや悪くなった 0% 0%
悪くなった 0% 0%
d.目のかゆみ 23名 22名
改善した 13.0% 13.6%
やや改善した 30.4% 50.0%
変わらない 56.6% 36.4%
やや悪くなった 0% 0%
悪くなった 0% 0%
e.涙 22名 21名
減った 22.7% 23.8%
やや減った 22.7% 28.6%
変わらない 54.6% 47.6%
やや増えた 0% 0%
増えた 0% 0%
【0039】
グループ2は、花粉飛散ピーク期間に投与(入浴)を行ったものであり、投与後のデータが花粉症軽減の効果を示しており、花粉の飛散が少なくなる投与終了1ヶ月後においても効果が持続していた。
【0040】
以上のことから、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油及び(d)ティーツリー油を含む組成物は、花粉飛散前の投与で優れた花粉症予防効果を得られることとともに、花粉飛散時の投与で症状軽減の効果があり、効果の持続性にも優れていることが見いだされた。
【0041】
以下に、本発明にかかる皮膚外用剤の処方例を挙げるが、本発明の技術範囲はこれにより何ら限定されるものではない。得られた皮膚外用剤は、花粉症に効果的で、使用感に優れるものであった。
【0042】
処方例1 入浴剤(粉末タイプ)
炭酸水素ナトリウム 96.35%
薄荷白油 0.10
ティーツリー油 1.00
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)
0.05
シソエキス(ファルコレックス シソ:以下同) 0.50
ホエイエキス(ヨーグルトエキスB:以下同) 0.50
無水ケイ酸 0.70
【0043】
処方例2 入浴剤(バスオイル)
流動パラフィン 83.1
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(5E.O.)
12.0
薄荷白油 0.9
ティーツリーオイル 1.0
シソエキス 1.5
ホエイエキス 1.5
【0044】
処方例3 入浴剤(ミルクタイプ)
配合量(%)
シソエキス 3.00
ホエイエキス 5.00
ハッカ油 0.10
ティーツリー油 0.20
ミネラルオイル 33.00
サフラワー油 4.00
POE(20)セチルエーテル 2.60
パルミチン酸ソルビタン 2.80
テトラオレイン酸ソルベス 0.30
ジプロピレングリコール 4.10
ジグリセリン 6.65
メチルパラベン 0.25
エデト酸二ナトリウム 0.25
ポリエチレングリコール200 0.10
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10
ヒアルロン酸ナトリウム(2) 0.01
サクシニルアテロコラーゲン液 0.01
香料 0.30
純水 残部
【0045】
処方例4 ローション
配合量(%)
シソエキス 1.50
ホエイエキス 2.00
ハッカ油 0.05
ティーツリー油 0.20
アルコール 10.00
POE硬化ヒマシ油 0.50
グリセリン 5.00
ジプロピレングリコール 3.00
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
サクシニルアテロコラーゲン液 0.20
メチルパラベン 0.05
純水 残部
【0046】
処方例5 乳液
配合量(%)
シソエキス 1.50
ホエイエキス 5.00
ハッカ油 0.10
ティーツリー油 0.20
流動パラフィン 6.50
ステアリン酸 1.50
モノステアリン酸グリセリン 1.00
セトステアリルアルコール 0.60
POEソルビタンモノステアレート 0.46
POEソルビタンモノオレエート 1.36
POEセチルエーテル 0.18
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.50
ジメチコン 0.50
ブチルパラベン 0.05
グリセリン 2.00
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
サクシニルアテロコラーゲン液 0.20
純水 残部
【0047】
処方例6 クリーム
配合量(%)
シソエキス 1.80
ホエイエキス 0.60
ハッカ油 0.60
ティーツリー油 0.20
固形パラフィン 11.10
流動パラフィン 10.10
セタノール 5.10
白色ワセリン 5.00
ステアリン酸 3.00
ブチルパラベン 0.05
トリエタノールアミン 1.35
メチルパラベン 0.05
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
サクシニルアテロコラーゲン液 0.20
純水 残部
【0048】
処方例7 ボディソープ
配合量(%)
シソエキス 1.00
ホエイエキス 1.00
ハッカ油 0.10
ティーツリー油 0.20
水酸化カリウム 5.54
ラウリン酸 11.10
ミリスチン酸 4.00
ステアリン酸 4.00
エデト酸二ナトリウム 0.085
メチルパラベン 0.20
塩化ナトリウム 0.70
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 3.10
ラウロリルメチルアラニンナトリウム 1.00
ラウラミドプロピルベタイン 1.00
ラウリル硫酸トリエタノールアミン 4.50
ジステアリン酸グリコール 1.90
グリセリン 1.80
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.50
香料 0.60
水 残部
【0049】
処方例8 軟膏
配合量(%)
シソエキス 3.0
ホエイエキス 3.0
ハッカ油 0.5
ティーツリー油 0.3
白色ワセリン 25.0
ステアリルアルコール 20.0
プロピレングリコール 12.0
POE硬化ヒマシ油 4.2
モノステアリン酸グリセリン 1.0
プロピルパラベン 0.1
メチルパラベン 0.1
純水 残部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シソエキスと、
(b)ホエイエキスと、
(c)ハッカ油と、
(d)ティーツリー油と、
を含むことを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
請求項1に記載の皮膚外用剤からなる入浴剤。
【請求項3】
請求項2に記載の入浴剤において、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油を、150L浴湯用入浴剤中、純エキスとしてそれぞれ0.001〜3.0g含むことを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項4】
請求項1に記載の皮膚外用剤において、(a)シソエキス、(b)ホエイエキス、(c)ハッカ油、(d)ティーツリー油を、外用剤中、純エキスとしてそれぞれ0.001〜5.0質量%含むことを特徴とする局所適用皮膚外用剤。

【公開番号】特開2012−240944(P2012−240944A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111176(P2011−111176)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(595017931)株式会社クロイスターズ (4)
【Fターム(参考)】