説明

皮膚貼付用外用ゲル組成物

【課題】支持体を用いないシート状剤を用いても、長時間の高温加温を維持しながらの組成物の化学安定性を維持することができる皮膚貼付用外用ゲル組成物を提供する。
【解決手段】カラギーナン、キサンタンガムと、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天とから成る第1の組成物と、カルボキシル基を1つ以上有する有機酸、水溶性高分子の第2の組成物と、アルコール類である第3の組成物と、精製水とから成り、精製水に第1の組成物と第2の組成物と第3の組成物とを含有させて融点が摂氏60度〜80度で流動液状となり、摂氏60度以下でゲル状を形成する、支持体に積層されないシート状のものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚貼付用外用ゲル組成物に関するものであって、更に、詳細には、不織布のような支持体を用いないシート状の化粧料等として安全で有用性のある皮膚貼付用外用ゲル組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚貼付用外用ゲル組成物で、化粧料、或いは、皮膚外用医薬品であるシート状にして用いる製品は健康な皮膚や患部の保護、保湿、清浄、冷却、加温等の目的で種々のものが開発されている。
【0003】
例えば、先に開示されている、下記A,B両成分を30℃以下で混合し、pHを4〜6とした低温架橋型ゲル基剤および該ゲル基剤が活性成分を含有する又は含有しない低温架橋型ゲル製剤:A:エタノール及び/又はイソプロパノール、ポリアクリル酸及び/又はその塩類並びに難溶性多価金属化合物例えば水酸化アルミナマグネシウムB:ヒドロキシ酸及び水(特許文献1参照)や、N−ビニルアセトアミドとCOOM基(式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩を示す。)を有する重合性単量体を主成分としてなるN−ビニルアセトアミド共重合体(A成分)0.5〜30重量部とA成分のCOOM基と反応し架橋させる架橋剤(B成分)0.01〜20重量部の架橋物であって、かつアルコール類(C成分)35〜95重量部、水(D成分)を5〜60重量部(A成分〜D成分の総和は100重量部とする。)含有してなることを特徴とするアルコール含有ゲル体(特許文献2参照)や、カラギーナンおよび/またはキサンタンガム、並びに単独で融点が80℃以上のゲルを形成し得る増粘多糖類を含有する外用ゲル組成物が、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成したもの(特許文献3参照)や、水と、ゲル形成成分とを少なくとも含む香粧品基剤ないし外用香粧品。該ゲル形成成分として、その水溶液が0℃より高く37℃より低いゾル-ゲル転移温度を有する高分子化合物を用いて、全体として前記ゾル-ゲル転移温度より高い温度で実質的に水不溶性を示し、且つ、該ゾル-ゲル転移温度より低い温度で可逆的に水可溶性を示す基剤ないし香粧品を構成するもの(特許文献4参照)や、天然素材である納豆のぬめり成分(ポリ−γ−グルタミン酸)を基材(不織布、木綿、紙など)に結合させてなる保湿ジェルシート。2〜15%のポリ−γ−グルタミン酸水溶液にジエポキシ化合物を添加し、攪拌した後、この溶液を基材に塗布し、その後乾燥させると同時に架橋反応を行わせることにより保湿ジェルシートを製造する。これに化粧水や清涼剤をしみ込ませ、フェイスマスク、冷却シートなどとして利用する。ジエポキシ化合物としては肌への刺激のないもの、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテルを使用するもの(特許文献5参照)等が開示されている。
【特許文献1】特開平7−39748号公報
【特許文献2】特開平8−243377号公報
【特許文献3】特開2000−87993号公報
【特許文献4】特開平9−227329
【特許文献5】特開2003−113038
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然し乍ら、特許文献1又は特許文献2に記載のものは、合成系高分子を用いているものであり、消費者に与える印象が良くないものであり、特許文献3に記載のものは、融点が80℃以上の高温成形のため、白濁不均一物が発生して引っ張り強度が弱く成ると共に、ビーカースケールでの少試作レベルでの短時間加熱条件下での試作は可能なものの実用強度ゲルの製造は難しいものであり、特許文献4に記載のものでは、残るモノマーの悪臭で皮膚に塗布使用するのは不具合であり、特許文献5に記載のものでは、エチレングリコールジグリシジルエーテルを使用しており、天然素材とは言い難いものである。
【0005】
つまり、不織布、織布、紙等の支持体を用いないシート状剤は肌を保護、ケアーすることから、皮膚安全性が必須であるが、従来、素材そのものが優れたものとは言い難く、また、皮膚安全性が満たされる素材、組成物でも実際の製造工程では、高融点のため耐熱性鋳型、耐熱性容器を使用しなければ生産は困難で、実用性に欠けるものであり、更に、実用の生産における長時間の高温加温を維持しながらの組成物の化学安定性の維持は困難なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、前述の課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、グルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天とから成る第1の組成物と、カルボキシル基を1つ以上有するモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、ペンタカルボン酸から成る有機酸、及び/又は、カルボキシル基を1つ以上有する水溶性高分子の中から、1種又は2種以上から成る第2の組成物と、アルコール類であるエタノール、イソプロパノール、1,2ヘキサンジオール、グリコール類であるグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタングリコール、ヘキシレングリコール、オクタングリコールの中から、1種又は2種以上から成る第3の組成物と、精製水とから成り、精製水に第1の組成物と第2の組成物と第3の組成物とを含有させて融点が摂氏60度〜80度で流動液状となり、摂氏60度以下でゲル状を形成する、不織布のようなシート状の支持体に積層されないシート状のものであり、更に、第1の組成物は全質量に対して0.1〜5.0質量%含有するものであり、更には、第2の組成物は全質量に対して0.001〜0.2質量%含有するものであり、加えて、第3の組成物は全質量に対して1〜35質量%含有するものであり、加えて、第1の組成物の、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、の質量比は85:15〜15:85とし、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、アガロースが70質量%以上の寒天との質量比は5:95〜80:20とし、グルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天と、の質量比は20:80〜60:40とし、ゲル引っ張り強度が250〜10000g/cmと成り、伸長率が105〜1000%と成るものであり、また、単糖類であるキシロース、アラビノース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、フコース、イノシトール、グルコサミン、エリスリトール、二糖類である蔗糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、マルトース、イソマルトース、三糖類であるラフィノース、四糖類であるスタキオースの中から1種又は2種以上から成る第4の組成物を1〜50質量%を含有するものであり、皮膚貼付用外用ゲル組成物は透明或いは不透明の有色、または、有色顆粒を含有するものであり、また、皮膚貼付用外用ゲル組成物は製品形態が化粧品或いは皮膚外用医薬品とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、グルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天とから成る第1の組成物と、カルボキシル基を1つ以上有するモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、ペンタカルボン酸から成る有機酸、及び/又は、カルボキシル基を1つ以上有する水溶性高分子の中から、1種又は2種以上から成る第2の組成物と、アルコール類であるエタノール、イソプロパノール、1,2ヘキサンジオール、グリコール類であるグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタングリコール、ヘキシレングリコール、オクタングリコールの中から、1種又は2種以上から成る第3の組成物と、精製水とから成り、精製水に第1の組成物と第2の組成物と第3の組成物とを含有させたことにより、加熱した状態で融点が摂氏60度〜80度で流動液状となり、冷却した状態で摂氏60度以下でゲル状を形成する、不織布のようなシート状の支持体に積層されないシート状を得られることから、皮膚安全性及び使用性に優れ、且つ、ゲル強度、伸長性、引っ張り強度が高く、実際の製造が連続して容易と成るもので、長時間の高温にて均一なる粘性液状を維持し、鋳型兼容器への流し込みも迅速、速やかで、奇麗なゲル外観を呈するもので、画期的で極めて有用な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、皮膚貼付用外用ゲル組成物に関するものであって、更に、詳細には、不織布のような支持体を用いないシート状の化粧料等として安全で有用性のある皮膚貼付用外用ゲル組成物に関するものであり、請求項1に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天とから成る第1の組成物と、カルボキシル基を1つ以上有するモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、ペンタカルボン酸から成る有機酸、及び/又は、カルボキシル基を1つ以上有する水溶性高分子の中から、1種又は2種以上から成る第2の組成物と、アルコール類であるエタノール、イソプロパノール、1,2ヘキサンジオール、グリコール類であるグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタングリコール、ヘキシレングリコール、オクタングリコールの中から、1種又は2種以上から成る第3の組成物と、精製水とから成り、前記精製水に第1の組成物と第2の組成物と第3の組成物とを含有させて加熱した状態で融点が摂氏60度〜80度で流動液状となり、冷却した状態で摂氏60度以下でゲル状を形成する、不織布のようなシート状の支持体に積層されないシート状であることを特徴とするものである。
【0009】
更に、請求項2に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、請求項1に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物において、前記第1の組成物は全質量に対して0.1〜5.0質量%含有することを特徴とするものである。
【0010】
更には、請求項3に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、請求項1又は請求項2に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物において、前記第2の組成物は全質量に対して0.001〜0.2質量%含有することを特徴とするものである。
【0011】
加えて、請求項4に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、請求項1〜請求項3のいづれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物において、前記第3の組成物は全質量に対して1〜35質量%含有することを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物において、前記第1の組成物の、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、の質量比は85:15〜15:85とし、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、アガロースが70質量%以上の寒天と、の質量比は5:95〜80:20とし、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天と、の質量比は20:80〜60:40とし、ゲル引っ張り強度が250〜10000g/cmと成り、伸長率が105〜1000%と成ることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項6に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物において、単糖類であるキシロース、アラビノース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、フコース、イノシトール、グルコサミン、エリスリトール、二糖類である蔗糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、マルトース、イソマルトース、三糖類であるラフィノース、四糖類であるスタキオースの中から1種又は2種以上から成る第4の組成物を1〜50質量%を含有することを特徴とするものである。
【0014】
更には、請求項7に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物において、前記皮膚貼付用外用ゲル組成物は透明或いは不透明の有色、または、有色顆粒を含有することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項8に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物において、前記皮膚貼付用外用ゲル組成物は製品形態が化粧品或いは皮膚外用医薬品であることを特徴とするものである。
【実施例】
【0016】
即ち、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例1の発明は、第1の組成物と第2の組成物と第3の組成物と精製水とから成るものである。
【0017】
そして、第1の組成物は、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天であり、夫々適宜質量を含有させるものである。
【0018】
次に、第2の組成物は、カルボキシル基を1つ以上有するモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、ペンタカルボン酸から成る有機酸、及び/又は、カルボキシル基を1つ以上有する水溶性高分子であり、これらの中から、1種又は2種以上を適宜質量を含有させるものである。
【0019】
次いで、カルボキシル基を1つ有するモノカルボン酸にはグルコン酸とアミノ酸類があり、アミノ酸類にはアミノカプロン酸、アミノ酪酸、セリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、バリンがあり、ジカルボン酸の有機酸類にはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸があり、トリカルボン酸の有機酸類にはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸があり、キレート類にはHEDTAがあり、テトラカルボン酸のキレート類にはEDTAがあり、ペンタカルボン酸のキレート類にはDTPT(ジエチレントリアミン五酢酸)がある。
【0020】
つまり、第2の組成物を含有させることにより、従来摂氏85度以上の加熱を必要としていた融点を摂氏60〜80度に低下させたもので、鋳型兼容器等の高温による歪み、撓みを防止すると共に、高温による白濁不均一物の発生を防止するものであり、白濁不均一物は極薄シート状の均一な厚みのゲル生成は困難とするものであり、生成されるゲル組成物の引っ張り強度を低下させる要因と成っていたものである。
【0021】
更に、第3の組成物は、アルコール類であるエタノール、イソプロパノール、1,2ヘキサンジオール、グリコール類であるグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタングリコール、ヘキシレングリコール、オクタングリコールであり、これらの中から、1種又は2種以上を適宜質量を含有させるものである。
【0022】
更には、精製水は人工の不純物を含有しない自然水や純水に近い水が好ましいものであり、精製水を調整することにより全質量を100質量%とするものである。
【0023】
更には、精製水は、後述する各表の試験例に記載されている如く、略80質量%を有しており、第1の組成物と第2の組成物と第3の組成物とを含有させて、加熱用容器に導入して加熱するものであるが、融点が摂氏60度〜80度と低温であり、所定温度まで加熱することで流動液状と成り、そして、流動液状で鋳型兼容器に流し込み、自然冷却により摂氏60度以下に成るとゲル状と成るものである。
【0024】
そして、鋳型兼容器を薄い顔面形状にするとシート状に成るものであるが、ゲル強度、伸長性、引っ張り強度が高いため、不織布のようなシート状の支持体を不要とするものである。
【0025】
次に、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例2の発明は、実施例1の発明において、第1の組成物は、全質量に対して0.1〜5.0質量%含有させたものが好適なものである。
【0026】
次いで、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例3の発明は、実施例1〜2の発明において、第2の組成物は、全質量に対して0.001〜0.2質量%含有させたものが好適なものである。
【0027】
更に、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例4の発明は、実施例1〜3の発明において、第3の組成物は、全質量に対して1〜35質量%含有させたものが好適なものである。
【0028】
更には、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例5の発明は、実施例1〜4の発明において、第1の組成物の、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、の質量比を85:15〜15:85とするものであり、更に、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、アガロースが70質量%以上の寒天と、の質量比を5:95〜80:20とすると共に、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天と、の質量比は20:80〜60:40とすることにより、ゲル引っ張り強度が250〜10000g/cmと成り、伸長率が105〜1000%と成るものである。
【0029】
更に、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例6の発明は、実施例1〜5の発明において、単糖類であるキシロース、アラビノース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、フコース、イノシトール、グルコサミン、エリスリトール、二糖類である蔗糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、マルトース、イソマルトース、三糖類であるラフィノース、四糖類であるスタキオースの中から1種又は2種以上から成る第4の組成物を1〜50質量%を含有させるものである。
【0030】
次に、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例7の発明は、実施例1〜6の発明において、皮膚貼付用外用ゲル組成物は、透明或いは不透明の有色、または、有色顆粒を含有するものである。
【0031】
次いで、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の実施例8の発明は、実施例1〜7の発明において、皮膚貼付用外用ゲル組成物は、製品形態が化粧品或いは皮膚外用医薬品とするものである。
【0032】
そして、表1に表す如く、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物の基本処方の質量比は、第1の組成物であるグルコマンナンを0.2質量%と、キサンタンガム0.3質量%と、アガロースが70質量%以上の寒天を0.6質量%と、第2の組成物であるカルボン酸類を0.001〜0.2質量%と、第3の組成物であるグリセリンを10.0質量%と、1.3ブチレングリコールを5.0質量%と、1.2ヘキシジオールを2.0質量%に精製水を加えて100.000質量%としたもので、良好な結果が得られるものである。
【0033】
次いで、表2〜4に表す如く、試験例と従来の質量配合比による比較例では、試験例1では、カラギーナン0.3質量%、キサンタムガム0.2質量%、アガロースが70質量%以上の寒天を0.6質量%、モノカルボン酸であるグルコン酸0.01質量%、グリセリン10.0質量%、1.3ブチレングリコール5.0質量%、1.2ヘキサンジオール2.0質量%、精製水81.89質量%とにより、本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物を製作したものであり、次に、比較例1として、アガロースが70質量%以上の寒天に代えて従来のアガロースが60質量%以下の通常の寒天を用いると共に、グルコン酸を加えなかったものであり、その結果、試験例1では白濁不均一物の発生は無く、比較例1では白濁不均一物の発生が有り、従って、試験例1ではゲル強度、引っ張り強度、伸長率とも大幅に良好な結果が得られたものである。
【0034】
そして、試験例2〜9と比較例2〜9とは、表2〜4に表す通りであるので、詳述は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の皮膚貼付用外用ゲル組成物は、カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天とから成る第1の組成物と、カルボキシル基を1つ以上有するモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、ペンタカルボン酸から成る有機酸、及び/又は、カルボキシル基を1つ以上有する水溶性高分子の中から、1種又は2種以上から成る第2の組成物と、アルコール類であるエタノール、イソプロパノール、1,2ヘキサンジオール、グリコール類であるグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタングリコール、ヘキシレングリコール、オクタングリコールの中から、1種又は2種以上から成る第3の組成物と精製水とから成るもので、特に、第2の組成物を含有させたことにより、白濁不均一物の発生が無くなると共に、融点が低くなり、摂氏60度以下でゲル状を形成し、不織布のようなシート状の支持体に積層されないシート状を得られることから、皮膚安全性及び使用性に優れ、且つ、ゲル強度、伸長性、引っ張り強度が高く、実際の製造が連続して容易にできる皮膚貼付用外用ゲル組成物を提供するものである。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、アガロースが70質量%以上の寒天とから成る第1の組成物と、
カルボキシル基を1つ以上有するモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、ペンタカルボン酸から成る有機酸、及び/又は、カルボキシル基を1つ以上有する水溶性高分子の中から、1種又は2種以上から成る第2の組成物と、
アルコール類であるエタノール、イソプロパノール、1,2ヘキサンジオール、グリコール類であるグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタングリコール、ヘキシレングリコール、オクタングリコールの中から、1種又は2種以上から成る第3の組成物と、
精製水とから成り、
前記精製水に第1の組成物と第2の組成物と第3の組成物とを含有させて加熱した状態で融点が摂氏60度〜80度で流動液状となり、冷却した状態で摂氏60度以下でゲル状を形成する、不織布のようなシート状の支持体に積層されないシート状であることを特徴とする皮膚貼付用外用ゲル組成物。
【請求項2】
前記第1の組成物は全質量に対して0.1〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物。
【請求項3】
前記第2の組成物は全質量に対して0.001〜0.2質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物。
【請求項4】
前記第3の組成物は全質量に対して1〜35質量%含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいづれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物。
【請求項5】
前記第1の組成物の、
カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、
天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、
の質量比は85:15〜15:85とし、
カラギーナン及び/又はキサンタンガムと、
アガロースが70質量%以上の寒天と、
の質量比は5:95〜80:20とし、
天然高分子多糖類であるグルコマンナン及び/又はジェランガム及び/又はタマリンドガムと、
アガロースが70質量%以上の寒天と、
の質量比は20:80〜60:40とし、
ゲル引っ張り強度が250〜10000g/cmと成り、
伸長率が105〜1000%と成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物。
【請求項6】
単糖類であるキシロース、アラビノース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、フコース、イノシトール、グルコサミン、エリスリトール、二糖類である蔗糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、マルトース、イソマルトース、三糖類であるラフィノース、四糖類であるスタキオースの中から1種又は2種以上から成る第4の組成物を1〜50質量%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物。
【請求項7】
前記皮膚貼付用外用ゲル組成物は透明或いは不透明の有色、または、有色顆粒を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物。
【請求項8】
前記皮膚貼付用外用ゲル組成物は製品形態が化粧品或いは皮膚外用医薬品であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の皮膚貼付用外用ゲル組成物。


【公開番号】特開2008−50298(P2008−50298A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227880(P2006−227880)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(503283098)株式会社ネーゼコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】