説明

直接圧縮ポリマー錠剤コア

【課題】直接圧縮ポリマー錠剤コアを提供すること。
【解決手段】脂肪族アミンポリマーを少なくとも約95%含有してなる、錠剤コア(tablet core)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接圧縮ポリマー錠剤コアに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
有用な治療活性を有する数多くのポリマー材料は、高脂血症および高リン酸血症などの種々の状態の処置について記載されている。これらのポリマー材料の多くは、消化管において非吸収性のイオン交換樹脂として作用する。このような非吸収性のポリマー材料は標的分子に結合したり、さもなければ封鎖し、胃腸管を経て体からの標的分子の除去を促進する。かかる樹脂の例には、経口投与されるコレステロール低減剤として有用なコレスチポールおよびコレスチラミン、腎不全を患っている患者からリン酸塩を特に取り除くためのリン酸塩バインダーとして有用な、特許文献1および特許文献2に開示された種々の脂肪族アミンポリマー、ならびにコレステロール低減剤として有用な、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6に開示された他の脂肪族アミンポリマーが含まれる。
【0003】
非吸収性ポリマー治療剤(therapeutics)は、投与量が一般的に非常に大きく(グラム量)、前記樹脂は極端に親水性になる傾向があるので、伝統的に多くの処方の難題を提供してきた。治療剤(therapeutic) の経口送達についての最も望ましい処方は、直接的な圧縮化錠剤の処方である。しかしながら、治療剤のすべてが、特に高い投与量が必要であるポリマー性イオン交換治療剤であれば、錠剤の処方に向いているとは限らない。かかる材料は錠剤にすることができる場合でさえ、一般に、錠剤化プロセスに加わる他の材料の有意な添加なしには不可能である。結局、必要な投与量の活性成分があれば、活性成分以外の任意の材料を添加することは望ましくない。理想的には、追加の材料について、錠剤ができるだけ小さくかつ患者に投与しやすいように、錠剤はできるだけ多くの活性成分を含有し、他の成分は少なくするべきである。
【0004】
また、ポリマー材料は錠剤に圧縮されると、該錠剤は患者への投与を容易にするため被覆剤を必要とする。コアのポリマー材料は、非常に吸湿性である傾向があり、したがって口腔内部に接触すると直ぐに膨脹することが発見されている。殆どの被覆剤は水を含有しており、したがって吸湿性錠剤は被覆プロセスで膨脹するため、かかる錠剤を水系被覆剤で被覆することは不可能であると考えられていた。したがって、適切な被覆剤がコアと共に使用されうるように吸湿性材料を含有する錠剤コアを提供することは、錠剤のかたちでポリマー活性成分を提供するための別の重要な難題である。
【0005】
患者に投与される材料の総量を最小限にし、経口投与することが容易で、かつ製造時および保存時にも安定である、ポリマー性イオン交換材料用の、特に治療剤として有用な親水性脂肪族アミンポリマー用の適切な投与形式を提供することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,496,545号
【特許文献2】米国特許第5,667,775号
【特許文献3】米国特許第5,624,963号
【特許文献4】米国特許第5,679,717号
【特許文献5】国際公開第98/29107号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/22721号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、直接圧縮ポリマー錠剤コアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕脂肪族アミンポリマーを少なくとも約95%含有してなる、錠剤コア(tablet core)、
〔2〕脂肪族アミンポリマーが、非置換のポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(エチレンイミン)ならびにN−置換したポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(エチレンイミン)からなる群より選択される、〔1〕記載の錠剤コア、
〔3〕N−置換基が、置換したC1〜C24アルキル基および非置換のC1〜C24アルキル基からなる群より選択される、〔2〕記載の錠剤コア、
〔4〕アルキル置換基である、〔3〕記載の錠剤コア、
〔5〕脂肪族アミンポリマーが架橋されてなる、〔1〕記載の錠剤コア、
〔6〕1つ以上の賦形剤をさらに含有してなる、〔1〕記載の錠剤コア、
〔7〕直鎖状または架橋されたポリ(アリルアミン)またはその薬学上許容されうる塩を少なくとも約95%含有してなる、錠剤コア、
〔8〕ポリ(アリルアミン)が水和されてなる、〔7〕記載の錠剤コア、
〔9〕ポリ(アリルアミン)が水を約3%〜約10%含有してなる、〔8〕記載の錠剤コア、
〔10〕ポリ(アリルアミン)が水を約5%〜約8%含有してなる、〔9〕記載の錠剤コア、
〔11〕ポリアリルアミンが約1%〜約10%架橋されてなる、〔10〕記載の錠剤コア、
〔12〕水和した架橋ポリ(アリルアミン塩酸塩)を少なくとも約95重量%含有してなる、錠剤コア、
〔13〕前記錠剤が水系被覆剤をさらに含有してなる、〔1〕記載の錠剤コア、
〔14〕前記錠剤が水系被覆剤をさらに含有してなる、〔7〕記載の錠剤コア、
〔15〕前記水系被覆剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび可塑剤を含有してなる、〔14〕記載の錠剤コア、
〔16〕前記被覆剤が低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびジアセチル化モノグリセリドを含有してなる、〔15〕記載の錠剤コア、
〔17〕前記ポリマーがポリジアリルアミンである、〔2〕記載の錠剤コア、
〔18〕前記錠剤が水系被覆剤をさらに含有してなる、〔17〕記載の錠剤コア、
〔19〕有効な崩壊量のポリアリルアミンまたはその薬学上許容されうる酸との塩とを含有してなる、圧縮化錠剤、
〔20〕ポリアリルアミンまたはその塩が架橋されてなる、〔19〕記載の圧縮化錠剤、
〔21〕ポリアリルアミンまたはその塩がエピクロロヒドリンで架橋されてなる、〔20〕記載の錠剤
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、直接圧縮ポリマー錠剤コアが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、セベラマー(sevelamer) 塩酸塩圧縮化錠剤コアについての処方と応答を示すデータを含む表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の要約
本発明は、脂肪族アミンポリマーを少なくとも約95重量%含有する錠剤コアを提供する。好ましい実施態様において、脂肪族アミンポリマー樹脂は、架橋ポリアリルアミン樹脂である。脂肪族アミンポリマーは、水和されることが好ましい。水和されたポリマーは、例えば、水を約5重量%以上含有しうる。
【0012】
本発明は、脂肪族アミンポリマー樹脂を少なくとも約95重量%含有する錠剤コアの製造方法も提供する。本方法は、脂肪族アミンポリマーを圧縮して錠剤コアを形成する工程を含む。錠剤コアは、1つ以上の賦形剤をさらに含有しうる。この実施態様において、錠剤コアの製造方法は、(1)所望の水分レベルに脂肪族アミンポリマーを水和または乾燥する工程、(2)脂肪族アミンポリマーと賦形剤とを、前記ポリマーが得られる混合物の少なくとも約95重量%含むような量でブレンドする工程、ならびに(3)混合物を圧縮して錠剤コアを形成する工程を含む。
本発明は、さらに被覆剤が水系被覆剤を含む被覆錠剤に関する。
【0013】
発明の詳細な説明
有効な治療活性を有する多くのポリマー材料は前記されている。特に患者の血清リン酸塩レベルを低減する方法や患者の血清コレステロールレベルを低減する方法に有用な脂肪族アミンポリマーが開示されている。例えば、エピクロロヒドリン架橋化ポリ(アリルアミン塩酸塩)樹脂(米国特許第5,496,545号および5,667,775号明細書)、これはセベラマー塩酸塩またはセベラマーともいい、レナゲル(Renagel) (登録商標)として市販されている、は腎不全を患っているヒトの患者からリン酸塩を除去する際に有効であることが示されている。治療有効量のセベラマー塩酸塩は大きく、典型的には1日あたり4〜6gのオーダーである。結果として、賦形剤材料の量を最小限にする、この樹脂および類似の樹脂の投与形式の開発が望まれている。
【0014】
本発明は、脂肪族アミンポリマーを少なくとも約95重量%含有する錠剤コアを提供する。脂肪族アミンポリマー樹脂は、米国特許第5,496,545号、5,667,775号、5,624,963号、5,703,188号、5,679,717号、5,693,675号、5,607,669号、5,618,530号、5,487,888号、および5,702,696号に記載の任意の脂肪族アミン樹脂であり得、それぞれは、全て参照により本明細書中に取り込まれる。他の適当な脂肪族アミンポリマーは、米国出願番号第08/670,764号、08/959,471号、および08/979,096号に開示され、それぞれは、全て参照により本明細書中に取り込まれる。特に好ましい実施態様において、脂肪族アミンポリマーはポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリ(ジアリルアミン)もしくはポリ(エチレンイミン)またはその薬学上許容されうる酸との塩である。脂肪族アミンポリマーは1つ以上の窒素原子で、アルキル基またはトリアルキルアンモニオアルキル基などの置換されたアルキル基と任意に置換される。脂肪族アミンポリマーは、例えば、多官能性モノマーまたは2つの異なるポリマー鎖由来の2つのアミノ窒素原子を連結する架橋基を介して、任意に架橋されうる。
【0015】
好ましい実施態様において、脂肪族アミンポリマー樹脂は水和される。セベラマー塩酸塩については、特に、圧縮性は樹脂の水和度(水分含量)に強く依存する。好ましくは、樹脂は約5重量%以上の水分含量を有し、より好ましくは水分含量は、約5重量%〜約9重量%であり、最も好ましくは約7重量%である。ポリマー樹脂が水和される実施態様において、水和の水は、樹脂の成分であると考えられると理解されるべきである。したがって、本実施態様において、錠剤コアは、水和の水を含む水和ポリマーを少なくとも約95重量%、好ましくは少なくとも約96重量%、より好ましくは少なくとも約98重量%含有する。
【0016】
前記錠剤は、さらに硬化剤、グライダント(glidant)および滑沢剤などの、当該技術分野に周知の賦形剤を1つ以上含有しうる。適当な賦形剤は、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、スクロース、ステアリン酸カルシウム、グリセリルベヘネート(behenate)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸亜鉛およびステアリルフマル酸ナトリウムが含まれる。賦形剤は、錠剤コアの0〜約5重量%を示しうる。
【0017】
本発明の錠剤コアは、
(1)脂肪族アミンポリマーを所望の水分レベルに水和または乾燥する工程、
(2)脂肪族アミンポリマーを、ポリマーが得られる混合物の少なくとも約95重量%を含有するような量で含まれる任意の賦形剤とをブレンドする工程、および
(3)通常の錠剤化技術を用いて混合物を圧縮する工程
を含む方法によって調製される。
【0018】
本発明は、また、安定で、飲み込むことが可能な被覆錠剤、特に上記のように、脂肪族アミンポリマーを含有する錠剤などの、親水性コアを含む錠剤に関する。一つの実施態様において、被覆剤組成物は、セルロース誘導体および可塑剤を含有する。セルロース誘導体は、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。セルロース誘導体は、水溶液として存在しうる。適切なヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液には、低粘度HPMCおよび/または高粘度HPMCを含有するものが含まれる。さらなる適切なセルロース誘導体には、膜被覆処方に有用なセルロースエーテルが含まれる。可塑剤は、例えば、ジアセチル化モノグリセリドなどのアセチル化モノグリセリドでありうる。被覆剤組成物には、所望の色の錠剤の被覆を提供するように選択された顔料がさらに含まれる。例えば、白色の被覆を作製するため、二酸化チタンなどの白色顔料を選択することができる。
【0019】
一つの実施態様において、本発明の被覆錠剤は、本発明の錠剤コアを、前記のように、溶媒、該溶媒に溶解または懸濁させた少なくとも1つの被覆剤、および任意に、1つ以上の可塑剤を含有する被覆剤溶液と接触させる工程を含む方法によって調製することができる。好ましくは、前記溶媒は、水または水系緩衝液などの水系溶媒、あるいは水性/有機溶媒の混合物である。好ましい被覆剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が含まれる。典型的に、錠剤コアの重量が約4%〜約6%の範囲の量で増加し、錠剤コア上に適切な被覆剤が沈着して被覆錠剤が形成されることを示すまで、錠剤コアを被覆剤溶液と接触させる。
【0020】
1つの好ましい態様において、被覆剤溶液の固体組成物は、以下のものである。
【0021】
【表1】

【0022】
錠剤は、当該技術分野で既知の回転皿コーティング機、またはカラムコーティング機もしくは連続コーティング機等の任意の他の通常のコーティング機器で被覆されうる。
【0023】
驚くべきことに、水性被覆剤分散液は、脂肪族アミンポリマー錠剤等の吸湿性または水膨張性物質を含有してなる錠剤に対する被覆剤溶液として適切であることを見出した。例えば、被覆剤組成物は、被覆プロセスの際に錠剤コアの有意な付随膨張を生じることのない、強く、弾性があり、かつ水分透過性の被覆を提供する。好ましい態様において、被覆剤組成物は、変化する湿度レベルおよび他の既知の安定性試験に対する曝露の際のセベラマー塩酸塩錠剤の膨張および収縮に耐える錠剤の被覆を提供する。さらに、被覆剤組成物を使用して、被覆プロセスの際に錠剤コアによる被覆剤溶液からの水の過剰な取り込みなく他の脂肪族アミンポリマー錠剤を被覆しうる。
【0024】
本発明はまた、錠剤中の崩壊剤としての脂肪族アミンポリマーの使用に関する。一般に、この態様において、脂肪族アミンポリマーは、錠剤中で活性成分ではないが、投与後の錠剤の崩壊速度を高めるために錠剤に添加される。これは、1つまたは複数の活性薬剤のより迅速な放出を可能にする。錠剤は、一般に、脂肪族アミンポリマー、治療剤(薬剤)等の1つまたはそれ以上の活性成分、および任意に1つまたはそれ以上のさらなる賦形剤を含む。
【0025】
脂肪族アミンポリマーは、米国特許第5,496,545号および米国特許第5,667,775号ならびに米国出願番号第08/777,408号および第08/964,498号に開示され、その各教示が参照により本明細書に取り込まれる、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミンまたは任意の脂肪族アミンポリマー等の上記開示された脂肪族アミンポリマーの1つでありうる。1つの態様において、脂肪族アミンポリマーは、架橋ポリアリルアミンまたはその薬学上許容されうる酸との塩である。好ましくは、脂肪族アミンポリマーは、セベラマーまたはセベラマー塩酸塩等のエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミンまたはその薬学上許容されうる酸との塩である。
【0026】
崩壊剤として脂肪族アミンを含む錠剤は、一般に、使用条件下で錠剤の崩壊速度を有効に高めるのに十分量の脂肪族アミンポリマーを含む。例えば、錠剤が経口投与形式であり、錠剤が患者の胃で崩壊することが所望される場合、胃で遭遇する条件下で錠剤の崩壊速度を高めるのに十分量のポリマーを含むであろう。錠剤に含まれるポリマーの適切な量は、既知の方法を用いて当業者により測定されうる。典型的には、ポリマー、1つまたは複数の活性成分および任意のさらなる充填剤または賦形剤を混合することによりあわせ、得られた混合物を圧縮し、通常の方法を用いて錠剤を形成する。このようにして形成された錠剤コアは、次に、例えば、上記のようにして、または当該分野で既知でありかつ錠剤の使用目的に適切な他の方法および他の被覆剤組成物により被覆されうる。
【0027】
1つの態様において、崩壊剤として脂肪族アミンポリマーを含む錠剤は、例えば、ヒト等の患者へのインビボ投与が意図される。好ましくは、錠剤は、経口投与が意図される。この態様において、1つまたは複数の活性成分は治療薬または診断薬である。錠剤はまた、インビトロでの使用、例えば、水泳プール等の水性環境への活性成分の送達が意図されうる。
【0028】
次に、以下の実施例に関連して本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0029】
実施例
実施例1 400mgおよび800mgのセベラマー塩酸塩直接圧縮化錠剤コアの調製および特色付け
錠剤コアの調製
5000.0gのセベラマー塩酸塩、50.0gのコロイド状二酸化ケイ素、NF(エーロジル(Aerosil)200)および50.0gのステアリン酸からなる混合物から、400mgのセベラマー塩酸塩錠剤コアを調製した。セベラマー塩酸塩を水分含量6重量%に水和した。セベラマー塩酸塩およびコロイド状二酸化ケイ素を20番メッシュスクリーンに通過させ、混合物を16クォートPKブレンダーに移し、5分間ブレンドすることにより、混合物を調製した。次に、ステアリン酸を30番メッシュスクリーンを備え付けた振動子に通過させ、16クォートPKブレンダーに移し、セベラマー塩酸塩/コロイド状二酸化ケイ素混合物と5分間ブレンドした。得られた混合物をドラムに注ぎ、重さを計った。次に、0.280インチ×0.620インチのパンチを用いて4トン圧で16ステーションManestyB3B上で最終混合物を圧縮し、434mgの平均重量を有する錠剤コアを得た。得られた錠剤は、6%水和セベラマー塩酸塩425mg(無水セベラマー塩酸塩400mgと同等)、コロイド状二酸化ケイ素4.25mgおよびステアリン酸4.25mgからなった。
【0030】
19.0kgのセベラマー塩酸塩、0.19kgのコロイド状二酸化ケイ素、および0.19kgのステアリン酸から、800mgのセベラマー塩酸塩錠剤コアを調製した。セベラマー塩酸塩は水分含量6重量%を有した。セベラマー塩酸塩およびコロイド状二酸化ケイ素を20番メッシュスクリーンに通過させ、混合物をPKブレンダーに移し、5分間ブレンドすることにより、混合物を調製した。次に、ステアリン酸を30番メッシュスクリーンを備え付けた振動子に通過させ、PKブレンダーに移し、セベラマー塩酸塩/コロイド状二酸化ケイ素混合物と5分間ブレンドした。次に、得られた混合物をドラムに注ぎ、重さを計った。次に、0.3125インチ×0.750インチのパンチを用いて4トン圧で16ステーションManestyB3B上で最終混合物を圧縮し、866mgの平均重量を有する錠剤を得た。得られた錠剤は、6%水和セベラマー塩酸塩850mg(無水セベラマー塩酸塩800mgと同等)、コロイド状二酸化ケイ素8.0mgおよびステアリン酸8.0mgからなっていた。
【0031】
錠剤コアの特色付け
上記のようにして調製した錠剤は、白からオフホワイトであり、楕円形状の圧縮化錠剤であった。重量、厚さ、摩損度、硬度、崩壊時間および密度に関して、各混合物から調製された錠剤の変化を評価した。各測定に、当該分野における標準法を使用した。結果(示さず)は、セベラマー塩酸塩錠剤の硬度、摩損度、厚さおよび崩壊挙動が全て産業標準基準を満たすことを指す。
【0032】
実施例2 セベラマー塩酸塩錠剤コアの被覆剤
実施例1で記載したように調製した圧縮化コア錠剤を、コーティング皿において以下の固体組成物を有してなる水性被覆剤溶液で被覆した。
【0033】
【表2】

【0034】
約4〜6%の重量の増加が達成されるまで、被覆剤溶液を圧縮コアに供した。当該分野で既知の手順および以下の参考文献:調和に関する国際委員会(ICH)ガイダンス「新しい薬物の物質および製品のQ1A−安定性試験」(1997年6月);ICH「新しい薬物の物質および製品の光安定性試験のためのQ1B−ガイドライン」(1996年11月);およびICHガイダンス「新しい投与形式に対するQ1C−安定性試験」(1996年11月、に記載の手順に従って、被覆されたセベラマー塩酸塩錠剤に対する安定性の研究−調節された室温、促進条件、凍結/解凍および感光性−を行なった。結果(示さず)は、被覆化錠剤が全て産業標準基準を満たすことを指す。
【0035】
実施例3 圧縮化錠剤(被覆前)の加工および性能特性に影響を及ぼす因子
1バッチ当たりを基礎として一貫して許容できる圧縮化錠剤を維持するため、どの因子が錠剤の特性および完全性に最も強く影響を与えるか決定するために多数の相関する試験を行なった。数ある中で重量変化、錠剤硬度、摩損度、厚さ、崩壊時間等の研究が当業者に既知であり、米国薬局方(U.S.P.)に記載されている。「硬度」は、錠剤を硬度テスター上に縦に置いた場合、かかる錠剤を破砕するために必要な力の測定(本明細書ではニュートンで測定される)を意味する。「摩損度」は、コーティング皿およびパッケージングの回転作用に耐えるために必要な錠剤の機械強度の測定である。摩損度計(friabiliator)を用いて摩損度を測定する。「厚さ」は、マイクロメータを用いる錠剤の高さの測定である。「崩壊時間」は、37℃の適切な溶液中で錠剤がばらばらに砕けるのに必要な時間であり、分で測定する。
【0036】
適切な硬度(150〜170N硬度範囲)および摩損度(0.8%以下)の達成は、処方の成功に重要である。セベラマー塩酸塩の錠剤のように錠剤を被覆する場合、高い硬度および低い摩損度を錠剤が有することは、特に重要である。
【0037】
図1は、他の変化の中でも(実際の)水分含量、および使用される圧縮力、賦形剤含有量を含む多数の因子により変化するいくつかの異なるセベラマー塩酸塩錠剤コアの処方を記載する表を提供する。図1中のデータは、圧縮化錠剤の加工および性能特性に影響を及ぼす最も重要な因子が、水分含量であることを示す。全ての処方は、組成物の全範囲にわたり重量変化がほとんどない良好な流れを提供した。さらに、崩壊時間は組成物の範囲の全域で5分未満であった。したがって、水分含量および圧縮力は、硬度および摩損度に関して影響を及ぼす範囲を確立する最も適切な因子を提供すると思われる。
【0038】
均等物
本発明をその好ましい態様を参照して詳細に示して説明したが、添付した請求の範囲に規定されるような本発明の意図および範囲から逸脱することなく、当業者は形態および詳細について種々の変更を行なうことができることが理解されるだろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族アミンポリマーを少なくとも約95%含有してなる、錠剤コア(tablet core)。
【請求項2】
脂肪族アミンポリマーが、非置換のポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(エチレンイミン)ならびにN−置換したポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルアミン)、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(エチレンイミン)からなる群より選択される、請求項1記載の錠剤コア。
【請求項3】
N−置換基が、置換したC1〜C24アルキル基および非置換のC1〜C24アルキル基からなる群より選択される、請求項2記載の錠剤コア。
【請求項4】
アルキル置換基である、請求項3記載の錠剤コア。
【請求項5】
脂肪族アミンポリマーが架橋されてなる、請求項1記載の錠剤コア。
【請求項6】
1つ以上の賦形剤をさらに含有してなる、請求項1記載の錠剤コア。
【請求項7】
直鎖状または架橋されたポリ(アリルアミン)またはその薬学上許容されうる塩を少なくとも約95%含有してなる、錠剤コア。
【請求項8】
ポリ(アリルアミン)が水和されてなる、請求項7記載の錠剤コア。
【請求項9】
ポリ(アリルアミン)が水を約3%〜約10%含有してなる、請求項8記載の錠剤コア。
【請求項10】
ポリ(アリルアミン)が水を約5%〜約8%含有してなる、請求項9記載の錠剤コア。
【請求項11】
ポリアリルアミンが約1%〜約10%架橋されてなる、請求項10記載の錠剤コア。
【請求項12】
水和した架橋ポリ(アリルアミン塩酸塩)を少なくとも約95重量%含有してなる、錠剤コア。
【請求項13】
前記錠剤が水系被覆剤をさらに含有してなる、請求項1記載の錠剤コア。
【請求項14】
前記錠剤が水系被覆剤をさらに含有してなる、請求項7記載の錠剤コア。
【請求項15】
前記水系被覆剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび可塑剤を含有してなる、請求項14記載の錠剤コア。
【請求項16】
前記被覆剤が低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびジアセチル化モノグリセリドを含有してなる、請求項15記載の錠剤コア。
【請求項17】
前記ポリマーがポリジアリルアミンである、請求項2記載の錠剤コア。
【請求項18】
前記錠剤が水系被覆剤をさらに含有してなる、請求項17記載の錠剤コア。
【請求項19】
有効な崩壊量のポリアリルアミンまたはその薬学上許容されうる酸との塩とを含有してなる、圧縮化錠剤。
【請求項20】
ポリアリルアミンまたはその塩が架橋されてなる、請求項19記載の圧縮化錠剤。
【請求項21】
ポリアリルアミンまたはその塩がエピクロロヒドリンで架橋されてなる、請求項20記載の錠剤。


【図1】
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【公開番号】特開2012−67132(P2012−67132A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−290234(P2011−290234)
【出願日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【分割の表示】特願2001−531357(P2001−531357)の分割
【原出願日】平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願人】(591042816)ジェンザイム コーポレーション (20)
【Fターム(参考)】