説明

真偽判別可能な印刷物

【課題】
可視光下の観察条件では真偽判別情報が形成されていることを秘匿し、所定の波長の光の下で観察した画像と円偏光フィルタを用いて観察した画像が認識可能であり、複雑な装置を必要とすることなく、簡易的に真偽判別することができる印刷物を提供することを目的とする。
【解決手段】
所定の波長域の光を吸収する基材に、第一の画像及び第二の画像を少なくとも有する印刷画像を形成する。このとき、第一の画像を、所定の波長域における、右回転及び左回転のうちのいずれか一方の円偏光を反射し、かつ、基材と等色の第一のコレステリック液晶で形成し、第二の画像を、第一のコレステリック液晶が反射する前記所定の波長域の円偏光とは逆回転の円偏光を反射し、かつ、基材と等色の第二のコレステリック液晶で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等の貴重印刷物の分野において、可視光の観察条件では不可視で、所定の光の波長域でフィルタを通さずに観察した場合と、フィルタを通して観察した場合で画像が変化する印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のスキャナ、プリンタ、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そのような複製や偽造を防止する偽造防止技術の一つとして、コレステリック液晶を用いた技術がある。
【0003】
コレステリック液晶は、その分子配列に起因する二つの特徴を有している。一つは分子配列中のらせんピッチに応じた構造色を生じ、光を反射する角度を変えることで観察される色相が変化する効果、いわゆるカラーフリップフロップ性に優れるという特徴である。なお、透過で観察した場合には反射色の補色を呈する。もう一つは、分子配列中のらせんの回転方向と同じ回転方向の偏光のみを反射するという特徴である。カラーフリップフロップ性は道具を用いず、裸眼で視認することが可能であり、一方の回転の同じ偏光のみを反射する特徴は、円偏光フィルタを介して観察した場合にのみ確認することが可能である。このように、コレステリック液晶は、二つの異なる効果を同時に利用できることから、偽造防止の分野で従来から広く活用されている。
【0004】
このようなコレステリック液晶材料を用いた印刷物として、例えば、可視光下で右又は左回転の円偏光フィルタを用いて観察したときに、基材に形成された右偏光層又は左偏光層に対する潜像が観察される偽造防止印刷物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
これに対して、可視光下と異なる観察条件で観察した時に得られた画像から真偽判別を行う技術として、赤外光を用いて機械読取する技術がある。このような技術としては、例えば、赤外光領域の分光特性が異なる三種類の黒インキで形成された印刷画像に、三種類の波長の光を照射して、各インキで形成されたパターンを順次読み取り、真偽判別をする印刷物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、特許文献2の技術と同様に、赤外光を用いた機械読取する技術であって、前述した円偏光性を有する透明な液晶材料がランダムパターンで施されたアイテムと、その識別方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の技術は、赤外光、紫外光及び可視光領域の少なくとも一つの波長領域で、液晶材料の円偏光特性(右円偏光と左円偏光)の特性を利用して、読み取られたランダムパターンの差分画像を形成して、あらかじめ登録されたパターンと比較することで認証を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−170649号公報
【特許文献2】特開2007−223285号公報
【特許文献3】特表2010−525343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術は、円偏光フィルタを用いることで容易に真偽判別が可能であるが、目視角度を変えることにより色の変化が起こるという液晶材料の特徴が生じるため、色の変化が生じる部分が液晶材料を用いて形成されていることが偽造者に分かってしまう。その中で、可視光下での円偏光フィルタを用いる判別技術は汎用的に使用されており、液晶材料で形成された部分に、円偏光フィルタを用いて観察することは偽造者が容易に思いつくので、印刷物の構造が知られて偽造されるというセキュリティ上の問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術は、赤外領域における分光特性が異なる三種類の黒インキを使用して印刷画像を形成しているが、印刷画像のみを設ける構成の場合、黒インキで形成された情報が目視でも知られてしまう。これを隠蔽するために、印刷画像の上に隠蔽層を設ける構成又は、印刷画像を毛抜き合わせの構成としているが、このような構成とした場合、セキュリティ印刷物に形成する他のデザインの制約を受けるという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術は、紫外、可視又は赤外の反射画像に加えて、液晶材料の円偏光性を利用して真偽判別を行うことができるが、右円偏光フィルタを用いて得られる画像のランダムパターンと左円偏光フィルタを用いて得られる画像のランダムパターンの差分画像による比較照合であり、認証する装置の構成が複雑である。このような装置を、セキュリティ印刷物の真偽判別を行う場所、例えば、銀行、引換所、検閲所、対応窓口又は金券ショップ等に設ける場合に、コストがかかるという問題がある。このため、機械読取して得られた画像を簡易的な方法で真偽判別することができる技術の開発が望まれる。
【0011】
本発明は、前記課題の解決を目的とするものであり、コレステリック液晶を用いて形成する印刷物であって、可視光下の観察条件では真偽判別情報が形成されていることを秘匿し、所定の波長の光の下(紫外光下又は赤外光下)で観察した画像と円偏光フィルタを用いて観察した画像が認識可能であり、複雑な装置を必要とすることなく、簡易的に真偽判別することができる印刷物を提供するものである。
【0012】
また、本発明の一形態においては、所定の波長の光の下(紫外光下又は赤外光下)において観察した画像が、円偏光フィルタを用いることで全く相関のない、異なる画像へと変化することで、簡易的に真偽判別することができる印刷物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の真偽判別可能な印刷物は、基材の少なくとも一部が、所定の波長域の光を吸収する特性を有し、基材の所定の波長域の光を吸収する領域内に、第一の画像及び第二の画像を少なくとも有する印刷画像を備え、第一の画像は、所定の波長域における、右回転及び左回転のうちのいずれか一方の円偏光を反射し、かつ、基材と等色の第一のコレステリック液晶により形成され、第二の画像は、第一のコレステリック液晶が反射する所定の波長域の円偏光とは逆回転の円偏光を反射し、かつ、基材と等色の第二のコレステリック液晶により形成され、基材を所定の波長域の光の下で観察すると、第一の画像と第二の画像が観察され、円偏光フィルタを用いると、第一の画像又は第二の画像のみが観察されることで真偽判別が可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の真偽判別可能な印刷物は、基材の少なくとも一部が、所定の波長域の光を吸収する特性を有し、基材の所定の波長の光を吸収する領域内に、印刷画像が少なくとも形成され、印刷画像は背景部と情報部を有し、背景部は、第一の要素が規則的に複数配置されて成る潜像部と、第二の要素が規則的に複数配置されて成るカモフラージュ部に区分けされ、情報部は、第一の要素及び第二の要素に重ならないように情報要素が規則的に複数配置されて成り、第一の要素は、所定の波長域における、右回転及び左回転のうちのいずれか一方の円偏光を反射し、かつ、基材と等色の第一のコレステリック液晶により形成され、第二の要素及び情報要素は、第一のコレステリック液晶が反射する所定の波長域の円偏光とは逆回転の円偏光を反射し、かつ、基材と等色の第二のコレステリック液晶により形成され、基材を所定の波長の光の下で観察すると、印刷画像が観察され、第一のコレステリック液晶が反射する円偏光を透過する円偏光フィルタを用いると、潜像部が観察されることで真偽判別が可能であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の真偽判別可能な印刷物は、情報要素、第一の要素及び第二の要素が、画線及び画素の少なくとも一つ、又はその組み合わせから成ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の真偽判別可能な印刷物は、所定の波長域の光が、紫外波長又は赤外波長であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の真偽判別可能な印刷物は、可視光下の観察条件では観察できない画像が、所定の波長の光の下(紫外光下又は赤外光下)の観察条件で観察可能であり、更に、円偏光フィルタを用いることによって、観察した画像が変化することで、複雑な装置を必要とすることなく、簡易的に真偽判別することができる
【0018】
また、本発明の一形態においては、所定の波長の光の下(紫外光下又は赤外光下)において観察した画像が、円偏光フィルタを用いることで全く相関のない、異なる画像へと変化することで、簡易的に真偽判別することができる。この形態の印刷物は、複雑な画素及び/又は画線の配置とコレステリック液晶の円偏光特性を用いなければ、フィルタを用いて観察される画像のチェンジ効果を発現させることは不可能であり、所定の波長の光を反射するコレステリック液晶を入手しただけでは作製が不可能であるので、偽造防止効果に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態における印刷物を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における印刷画像を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における印刷画像を構成する画像を示す図である。
【図4】赤外光下で観察される画像と、円偏光フィルタを通して観察した場合に観察される画像を示す図である。
【図5】本発明の印刷物を観察するために用いる装置を示す概略図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における印刷物を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における印刷画像を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における印刷画像の背景部を示す図である。
【図9】第一のコレステリック液晶で形成する画像と第二のコレステリック液晶で形成する画像を示す図である。
【図10】赤外光下で観察される画像と、円偏光フィルタを通して観察した場合に観察される画像を示す図である。
【図11】画線で構成される情報要素の説明図である。
【図12】画素と画線が配置される方向の説明図である。
【図13】画線と画素で構成される情報要素と背景要素の説明図である。
【図14】本発明の実施例1における印刷物を示す説明図である。
【図15】本発明の実施例2における印刷物を示す図である。
【図16】本発明の実施例2における印刷画像を示す図である。
【図17】本発明の実施例2における印刷画像の背景部を示す図である。
【図18】第一のコレステリック液晶で形成する画像と第二のコレステリック液晶で形成する画像を示す図である。
【図19】可視光下で観察される画像、赤外光下で観察される画像と、円偏光フィルタを通して観察した場合に観察される画像を示す図である。
【図20】本発明の実施例3における印刷物を示す説明図である。
【図21】本発明の実施例3における印刷画像を示す図である。
【図22】本発明の実施例3における印刷画像の背景部を示す図である。
【図23】第一のコレステリック液晶で形成する画像と第二のコレステリック液晶で形成する画像を示す図である。
【図24】可視光下で観察される画像、赤外光下で観察される画像と、円偏光フィルタを通して観察した場合に観察される画像を示す図である。
【図25】本発明の実施例4における印刷物を示す図である。
【図26】可視光下で観察される画像、赤外光下で観察される画像及び円偏光フィルタを通して観察した場合に観察される画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1に本発明の第1の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)を示す。本発明の真偽判別可能な印刷物(1)は、基材(2)の少なくとも一部に、所定の波長域の光を吸収する特性を有する光吸収領域(14)を備える。本発明において、光吸収領域(14)が吸収する所定の波長域の光とは、紫外波長域又は赤外波長域の光である。光吸収領域(14)の中には、基材(2)と等色のコレステリック液晶で形成された第一の画像(3a)と第二の画像(3b)を少なくとも有する印刷画像(3)が形成されて成る。なお、印刷画像(3)とコレステリック液晶の詳細については後述する。
【0022】
図1において、光吸収領域(14)の範囲を斜線で示しているが、本発明の真偽判別可能な印刷物(1)は、基材全体が光吸収領域(14)であってもよい。また、図1において、コレステリック液晶で形成された第一の画像(3a)と第二の画像(3b)をわかりやすいように塗りつぶして、図示しているが、実際は、基材(2)と等色のコレステリック液晶材料で形成されているため、通常の観察条件下(可視光域)では人の目には見えない。
【0023】
基材(2)の材質は、特に限定されるものではないが、上質紙又はコート紙のような紙やフィルム等が挙げられる。このような基材(2)に、赤外波長域の光を吸収する光吸収領域(14)を設けるためには、基材(2)の上に、カーボンブラックインキを塗布してもよいし、基材(2)の作製工程の中で、赤外線吸収剤(例えば、有本化学工業株式会社製 赤外線コントロール剤SDO−C33)を混合した原料を用い、定法の製造工程を経ることで、作製することができる。また、表面サイズ剤やコート紙用のカラーに赤外光吸収剤を処方し、用紙に付与し赤外線吸収性を持たせてもよい。また、基材(2)に、紫外波長域の光を吸収する光吸収領域(14)を設けるためには、市販されている紫外線吸収剤や紫外線安定剤、又は紫外線領域に吸収性を持つ、例えば、紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製 チヌビン328)を混合したインキを塗布してもよいし、上記赤外線吸収剤と同様の処方としてもよい。また、基材(2)の上に、金属箔を積層するか、金属箔自体を基材(2)に用いてもよい。これは、金属箔に入射する光の拡散反射光を観察した場合には、反射光が弱いため、入射した光が吸収されたのと同じように観察されるためである。上質紙のような溶媒吸収性が高く表面平滑性の低い材質の基材を使用する場合は、コレステリック液晶の配向性を向上させるために、コーティング層や通常の着色インキ等の印刷インキによる印刷層を設けるのがよい。本明細書では、以上に説明した構成によって光吸収領域(14)を備えるものを基材(2)として説明する。
【0024】
図2(a)に示す印刷画像(3)は、図2(b)に示す第一の画像(3a)と図2(c)に示す第二の画像(3b)を少なくとも有する。本発明において第一の画像(3a)と第二の画像(3b)は、基材(2)と等色のコレステリック液晶で形成される。本発明において、「基材(2)と等色のコレステリック液晶」とは、コレステリック液晶で形成された画像が、可視光下で観察したときに視認できないための構成であり、そのためには、コレステリック液晶自体が透明であるか、又は、透明なコレステリック液晶に、色材を混ぜることで基材(2)と同じ色に調整された状態のことであり、具体的な構成については、後述する。ここで、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)を形成するコレステリック液晶について説明する。
【0025】
コレステリック液晶とは、一つの平面内では細長い分子が長軸の方向をそろえて配列しており、平面に垂直な方向に進むに従って分子の配列する向きが、らせん状に旋回する構造の液晶であり、らせんピッチに応じた波長の光を選択的に反射する性質と、らせんの回転方向と同じ回転方向の円偏光を選択的に反射するという性質を有している。なお、コレステリック液晶のらせんの回転方向は、右回転と左回転がある。さらに、コレステリック液晶の円偏光を反射する性質に関しては、らせんのピッチを制御することで選択反射光の波長を制御することができ、可視光の波長範囲に留まらず、紫外光又は赤外光領域での制御も可能である。
【0026】
らせんピッチの制御方法としては、ネマチック液晶とカイラル剤の混合物からなるコレステリック液晶(カイラルネマチック液晶)において、ネマチック液晶とカイラル剤混合割合の調整により、コレステリック配向を保てる状態の範囲で任意の波長に制御できる。また、分子内に不斉炭素を持つコレステリック液晶やネマチック液晶とカイラル剤からなるコレステリック液晶(カイラルネマチック液晶)において、コレステリック配向時の温度調整や濃度調整によってもらせんピッチの制御ができる。また、らせんの回転方向の調整方法としては、コレステリック液晶に混合する、所定の掌性があるカイラル剤を適宜選択することで調整できる。
【0027】
以上説明したコレステリック液晶が反射する一定の回転方向を有する円偏光は、回転方向が一致したフィルタを透過する一方、回転方向が一致しない逆回転のフィルタは透過できない特徴を有している。
【0028】
本発明では、所定の波長域の光を反射するコレステリック液晶によって、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が形成される。仮に、基材(2)が赤外波長域の光を吸収する場合には、前述の方法でらせんピッチが調整されることによって、赤外波長域の光を反射するコレステリック液晶で、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が形成される。また、基材(2)が紫外波長域の光を吸収する場合、前述の方法でらせんピッチが調整されることによって、紫外波長域の光を反射するコレステリック液晶によって、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が形成される。このように、らせんピッチが調整されて赤外波長域又は紫外波長域の光を反射するコレステリック液晶は、可視光下では無色透明な状態となっている。なお、基材(2)が吸収する所定の波長域の光と、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)を形成するコレステリック液晶が反射する所定の波長域の光は完全に等しくする必要はなく、基材(2)が吸収する所定の波長域に、コレステリック液晶が反射する所定の波長域が含まれていればよい。
【0029】
さらに、第一の画像(3a)は、右回転及び左回転のうち、いずれか一方のらせんの回転方向を持つコレステリック液晶で形成される。以降、基材が吸収する所定の波長域の光を反射し、右回転及び左回転のうち、いずれか一方の回転方向を持つコレステリック液晶のことを「第一のコレステリック液晶」として説明する。一方、第二の画像(3b)は、第一のコレステリック液晶のらせんの回転方向に対して、逆のらせんの回転方向を持つコレステリック液晶で形成される。以降、基材が吸収する所定の波長域の光を反射し、第一のコレステリック液晶のらせんの回転方向に対して、逆のらせんの回転方向を持つコレステリック液晶のことを「第二のコレステリック液晶」として説明する。本発明において、第一のコレステリック液晶のらせんの回転方向と第二のコレステリック液晶のらせんの回転方向は逆の関係であり、第一のコレステリック液晶と第二のコレステリック液晶によって反射される円偏光の回転方向も逆の関係である。
【0030】
本発明で使用する、第一のコレステリック液晶と第二のコレステリック液晶の選択反射光のピーク波長は、同じでもよいし、異なっていてもよい。ただし、前述のように、基材(2)が吸収する所定の波長域に、第一のコレステリック液晶と第二のコレステリック液晶の反射する波長域が含まれる必要がある。また、選択反射光のピーク波長は、赤外波長域及び紫外波長域内であれば特に制限は無いが、後述する真偽判別に用いる装置の印刷画像(3)の検出感度や、装置のコスト等の問題から赤外波長域は、780〜1000nm、紫外波長域は、200〜400nmとするのが好ましい。
【0031】
第一の画像(3a)は、所定の波長域の光の下で観察したときに認識可能な画像で形成され、例えば、文字、数字、記号、図形、図柄、マーク及び模様のいずれか又はその組み合わせで形成される。本実施の形態では、第一の画像(3a)を図2(b)に示す図柄で形成される例で説明するが、第一の画像(3a)は、前述した画像であれば、図2(b)に示す例に限定されるものではない。また、第一の画像(3a)は、ベタ画像、網点の集合及び画線の集合のいずれか又はその組み合わせで形成してもよい。第二の画像(3b)についてもこれと同様であり、図2(c)に示す例に限定されるものではない。
【0032】
第一の画像(3a)と第二の画像(3b)をコレステリック液晶で形成するに当たっては、ワニスにコレステリック液晶をコレステリック配向状態で固体化して粉砕した顔料タイプのものを分散させて印刷インキとして使用してもよいし、コレステリック液晶を溶媒に溶解させて印刷インキとし、直接印刷して形成してもよい。この場合、無色透明なコレステリック液晶によって、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が形成されるが、可視光下の観察条件のとき、無色透明で画像が観察されないため、基材(2)と等色で形成された場合と同じ結果となる。また、更に、基材(2)と等色になるように顔料又は染料を適宜加えた印刷インキとしてもよい。基材(2)と等色になるように調整された印刷インキを用いた場合もまた、可視光下の観察条件で画像は観察されない結果となる。本発明において、前述したように、印刷によって付与できるような状態にあるコレステリック液晶と、基材上に付与された後に固定化されたもののいずれもコレステリック液晶と称する。印刷方式は特に限定されるものではないが、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、インクジェット印刷等の一定のインキ転移量を得られる印刷方式が適している。
【0033】
本発明の真偽判別可能な印刷物(1)において、印刷画像(3)は、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)に加えて、可視光下で観察される第三の画像(3c)を形成してもよい(図3)。図3において、第三の画像(3c)は、「JAPAN」の文字で形成される例を示しているが、第三の画像(3c)は、数字、記号、図形、図柄、マーク及び模様のいずれか又はその組み合わせで形成されてもよい。ただし、この第三の画像(3c)は、コレステリック液晶で形成される第一の画像(3a)と第二の画像(3b)の観察の妨げにならないように、コレステリック液晶が反射する波長域の光を透過する材料で形成する必要がある。その例として、例えば、CMYの着色インキ、パールインキ等が挙げられる。第三の画像(3c)は、コレステリック液晶が反射する波長域の光を透過する材料で形成され、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)の観察に影響しないため、図3に示すように、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)の上に重なるように形成してもよい。
【0034】
以下に、本発明の真偽判別可能な印刷物(1)の効果について図4を用いて説明する。本発明の真偽判別可能な印刷物(1)では、前述した真偽判別可能な印刷物(1)の構成により、赤外光下又は紫外光下での真偽判別が可能であるが、ここでは例として、第一の画像(3a)を選択反射光のピーク波長850nmである右回転の無色透明なコレステリック液晶で形成し、第二の画像(3b)を選択反射光のピーク波長850nmである左回転の無色透明なコレステリック液晶で形成し、第三の画像(3c)を着色インキで形成した真偽判別可能な印刷物(1)の効果について説明する。可視光下の観察条件では、図4(a)に示すように、第三の画像(3c)である「JAPAN」の文字が観察されるが、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)は無色透明なコレステリック液晶で形成されるため、観察されない。
【0035】
次に、赤外光下の観察条件、例えば、赤外光を含む光源として日光、白熱灯、赤外LED光等の光が真偽判別可能な印刷物(1)に照射されている状態で、赤外光を受光できるセンサを搭載した機器、例えばCCDカメラで真偽判別可能な印刷物(1)を撮像した場合、図4(b)に示すように、第三の画像(3c)は観察されずモニタ上に第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が現れ、それぞれの画像を目視で認識することができる。これは、基材(2)の光吸収領域(14)が赤外光を吸収して、暗く撮像されるのに対し、選択反射光が850nmのコレステリック液晶で形成された第一の画像(3a)と第二の画像(3b)は、赤外光を反射して明るく撮像されるためである。なお、図4(b)では、赤外光下の観察条件で、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が観察される状態を示すために、便宜上、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)を塗りつぶした状態で図示しているが、実際には、前述したように、光吸収領域(14)が暗く、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が明るく観察される。以降の本発明の効果を説明する図においてもこれと同様である。
【0036】
基材(2)に対して、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)のコントラストが取りにくい場合は、780nm以上の赤外光のみを透過するロングパスフィルタを装着して撮像するとより鮮明な画像が観察できる。さらに、鮮明な観察画像を得るには、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)を形成するコレステリック液晶の選択反射光のピーク波長と同じ波長のバンドパスフィルタを装着して撮像すると、より鮮明な画像が観察できる。
【0037】
赤外光下の観察条件において、円偏光フィルタを通して印刷画像(3)を観察すると、印刷画像(3)を構成する第一の画像(3a)と第二の画像(3b)のうち、使用した円偏光フィルタと同じ回転方向の画像のみが観察される。ここでは、第一の画像(3a)を右回転のコレステリック液晶、第二の画像(3b)を左回転のコレステリック液晶で形成した例であるので、右回転の円偏光フィルタを使用した時には、図4(c)に示すように、第一の画像(3a)のみが観察される。一方、左回転の円偏光フィルタを使用した時には、図4(d)に示すように、第二の画像(3b)のみが観察される。
【0038】
真偽判別を行うために用いる装置は、図5に示すように、真偽判別可能な印刷物(1)に所定の光を照射する光源部(15)と、光源部(15)から照射された光の反射光を取得する受光部(16)と、取得した電気信号を可視化するためのモニタ(17)から成る。受光部(16)には、CCDカメラを用いることができる。このような装置の構成によって、取得した反射画像をそのままモニタ(17)により表示し、円偏光フィルタ(22)を用いた時に観察される画像の変化により、真偽判別することができる。
【0039】
真偽判別を行うために用いる装置は、図5に示すように、真偽判別可能な印刷物(1)からの反射光のコントラストを高めるため、受光部(16)の前にロングパスフィルタやバンドバスフィルタ等のフィルタ(21)を置いてもよい。また、増幅装置(18)を通した後、モニタ(17)に映してもよいし、増幅機能のあるセンサを搭載した装置を使用してもよい。
【0040】
このように、第1の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)は、赤外光下の観察条件において、円偏光フィルタを用いない場合に観察できる画像と、円偏光フィルタを用いた場合に観察できる画像とが変化し、それを確認することで真偽判別をすることができる。特許文献2の偽造防止印刷物では、単純に、赤外光を照射したときに観察される画像を確認する又は異なる波長の赤外光を照射して観察される画像を確認することで真偽判別を行っていたが、本発明の真偽判別可能な印刷物では、赤外光の波長を照射したときに現れて観察される画像が、さらに、円偏光フィルタを用いることで画像が変化するため、二重の判別要素を備えることができ、より、偽造防止を図ることができる。また、特許文献3の技術に対しては、赤外光下で観察した画像と赤外光下で円偏光フィルタを用いて観察した画像が観察可能であるので、複雑な装置を必要とすることなく、簡易的に真偽判別することができる
【0041】
前述したように、コレステリック液晶の選択反射光のピーク波長は、任意の波長に調整できることから、850nmである右回転のコレステリック液晶で形成した第一の画像(3a)と850nmである左回転のコレステリック液晶で形成した第二の画像(3b)に加えて、赤外領域の異なる波長、例えば、右回転及び左回転の980nmに選択反射光のピークを有するコレステリック液晶で、別の画像をペアで形成することができる。この構成とすれば、特許文献2と同様に、真偽判別可能な印刷物(1)に照射する赤外光の波長を切換えることで、画像が変化し、円偏光フィルタを用いることで更に画像が変化することから、真偽判別要素が増えるので、より、偽造防止を図ることができる。
【0042】
なお、第一の画像(3a)を形成するコレステリック液晶と第二の画像(3b)を形成するコレステリック液晶の選択反射光のピーク波長を異ならせる場合、例えば、第一の画像(3a)を選択反射光のピーク波長850nmである右回転のコレステリック液晶で形成し、第二の画像(3b)を選択反射光のピーク波長980nmである左回転のコレステリック液晶で形成した場合においても、赤外光を照射することで、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)が現れる。さらに、赤外光下の観察条件において、円偏光フィルタを通して観察すると、第一の画像(3a)と第二の画像(3b)のうち、使用した円偏光フィルタと同じ回転方向の画像のみが観察される。
【0043】
第1の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)の効果については、赤外光下で真偽判別される例のみを説明したが、紫外光下においても、同様な効果が得られる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図6から図10までを用いて説明する。第2の実施の形態は、図6に示すように、基材(2)の少なくとも一部に、所定の波長域の光を吸収する特性を有する光吸収領域(14)を備える。第2の実施の形態においても、光吸収領域(14)が吸収する所定の波長域の光とは、紫外波長域又は赤外波長域の光である。光吸収領域(14)の中には、基材(2)と等色のコレステリック液晶材料で形成された印刷画像(3)が形成されて成る。第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対して、真偽判別可能な印刷物(1)を構成する印刷画像(3)の構成が異なり、基材の構成は同じである。以下、第2の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)について説明するが、第1の実施の形態に対して、同様の機能を果たす部分には、同一の符号を用いて説明し、基材(2)の構成は第1の実施の形態と同じであるため説明を省略する。
【0045】
図7に、第2の実施の形態の印刷画像(3)の構成を示す。図7(a)に示す印刷画像(3)は、図7(b)に示す情報部(4)と図7(c)に示す背景部(6)が組み合わさって構成される。印刷画像(3)は、基材(2)と等色のコレステリック液晶材料で形成されるため、可視光下の観察条件では人の目には見えない。
【0046】
情報部(4)は、高さ(H1)、幅(R1)の、例えば、円形の画素である情報要素(7)がピッチ(P1)で規則的に複数配置されて成り、アルファベットの「NPB」の文字を形成している。第2の実施の形態において、情報部(4)は、アルファベットの「NPB」の文字で形成される例で説明するが、情報部(4)は、他の文字で形成されてもよいし、数字、記号、図形、図柄、マーク及び模様のいずれか又はその組み合わせで形成されてもよい。なお、画素の詳細な説明については、後述する。本発明において、情報要素(7)が画素で形成される場合の「規則的に配置」とは、複数の情報要素(7)がピッチ(P1)で二つの異なる方向にマトリクス状に配置された状態のことである。図7(b)では、情報要素(7)が上下左右方向の二つの方向に特定のピッチで配置された状態を示しているが、二つの異なる方向は、上下左右方向に限定されず、斜め方向であってもよい。
【0047】
一方の背景部(6)は、高さ(H2)、幅(R2)の円形の画素である背景要素(8)が、情報要素(7)のピッチと同じピッチ(P1)で、同じく規則的に複数配置されて成り、一定の階調の背景を形成している。本発明において、背景要素(8)が画素で形成される場合の「規則的に配置」とは、複数の背景要素(8)がピッチ(P1)で2つの異なる方向にマトリクス状に配置された状態のことであり、背景要素(8)を配置する方向は、画素で形成された情報要素(7)をマトリクス状に配置する方向と同じ方向である。
【0048】
図8に、背景部(6)の構成を示す。図8(a)に示す背景部(6)は、図8(b)に示す潜像部(9)と図8(c)に示すカモフラージュ部(10)から成る。前述したように、背景部(6)を構成するのは背景要素であるが、潜像部(9)は、第一のコレステリック液晶で成る背景要素によって形成され、カモフラージュ部(10)は、第二のコレステリック液晶で成る背景要素によって形成される。以降、背景要素(8)のうち、第一のコレステリック液晶で成る背景要素のことを「第一の要素(11)」、第二のコレステリック液晶で成る背景要素のことを「第二の要素(12)」として説明する。
【0049】
潜像部(9)は、図8(b)に示すように、第一の要素(11)が規則的に複数配置されて、アルファベットの「OK」の文字が形成されている。第2の実施の形態において、潜像部(9)は、アルファベットの「OK」の文字で形成される例で説明するが、潜像部(9)は、他の文字で形成されてもよいし、数字、記号、図形、図柄、マーク及び模様のいずれか又はその組み合わせで形成されてもよい。一方のカモフラージュ部(10)は、図8(c)に示すように、第二の要素(12)が規則的に複数配置されて、潜像部(9)を取り囲んでアルファベットの「OK」の文字がネガの状態で形成されている。潜像部(9)とカモフラージュ部(10)はポジとネガを成す一対の画像であり、かつ、等しい面積率で形成される。なお、本発明における面積率とは、基材(2)の一定の面積の中に印刷される要素の面積の割合のことである。この構成によって、潜像部(9)とカモフラージュ部(10)が組み合わさった場合には、潜像部(9)が背景部(6)の一定の階調を有する背景の中に隠蔽される。
【0050】
なお、情報要素(7)及び背景要素(8)は互いに重なり合わない位置に配置される(図7(a)の拡大図)。仮に、第一の要素(11)と第二の要素(12)の一部が重なる場合でも、「NPB」の文字を観察することができるが、重なり合った部分には、画像に不要な濃淡が生まれ、可視光下の観察条件で観察される印刷画像(3)が不明瞭になってしまい、本発明のチェンジングの効果が低くなってしまうことから好ましくない。
【0051】
図9(a)に、第一のコレステリック液晶で形成する画像を示し、図9(b)に、第二のコレステリック液晶で形成する画像を示す。第一のコレステリック液晶と第二のコレステリック液晶の特徴、反射ピーク波長の設定方法、付与方法については、第1の実施の形態と同じである。第一のコレステリック液晶で形成するのは、潜像部(9)のみであり、第二のコレステリック液晶で形成する画像は、情報部(4)とカモフラージュ部(10)を組み合わせた画像である。
【0052】
真偽判別可能な印刷物(1)においては、例えば、図9(a)に示す潜像部(9)の第一の要素(11)を左回転の偏光を反射する性質を有する第一のコレステリック液晶で形成した場合、図9(b)に示す画像の情報要素(7)及び第二の要素(12)を、右回転の偏光のみを反射する性質を有する第二のコレステリック液晶で形成する。逆に、第一の要素(11)を右回転の偏光を反射する性質を有する第一のコレステリック液晶で形成した場合、図9(b)に示す画像の情報要素(7)及び第二の要素(12)を、左回転の偏光のみを反射する性質を有する第二のコレステリック液晶で形成する。
【0053】
前述のように、コレステリック液晶が反射する一定の回転方向を有する円偏光は、回転方向が一致したフィルタを透過する一方、回転方向が一致しない逆回転のフィルタは透過できない特徴を有しているため、コレステリック液晶で形成した画像は、回転が逆のフィルタを介して観察した場合には、画像が観察されないという効果が生じる。本発明では、この効果を利用してチェンジングの効果を得る。
【0054】
以下に本発明の第2の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)の効果について図10を用いて説明する。ここでは、例として、基材(2)が赤外波長域の光を吸収する特性を有し、潜像部(9)を構成する第一の要素(11)を、選択反射光のピーク波長850nmである右回転の無色透明なコレステリック液晶で形成し、情報部(4)を構成する情報要素(7)とカモフラージュ部(10)を構成する第二の要素(12)を、選択反射光のピーク波長850nmである左回転の無色透明なコレステリック液晶で形成した真偽判別可能な印刷物(1)の効果について説明する。可視光下の観察条件、例えば、蛍光灯や太陽光のような光源下において裸眼で観察した場合には、印刷画像(3)は基材(2)と等色のコレステリック液晶で形成されるため、視認できない。
【0055】
次に、赤外光下の観察条件で円偏光フィルタを用いない場合には、図10(a)に示すように、印刷画像(3)の中で濃淡が生じ、「NPB」の文字が濃く観察される。これは、一定の階調を有する背景部(6)に対して、情報要素(7)が重なり合わない位置に配置されることによって、印刷画像(3)の中で面積率の差異による濃淡が生じるためである。
【0056】
赤外光下の観察条件で、右回転の円偏光のみを透過する円偏光フィルタを通して観察した場合、図10(b)に示すように潜像部(9)のみが視認される。これは、第一の要素(11)は右回転の円偏光のみを反射する第一のコレステリック液晶で形成されており、第一の要素(11)から反射した光は、円偏光フィルタを透過して観察者の眼に達することができるからである。一方、情報要素(7)と第二の要素(12)は左回転の円偏光のみを反射する第二のコレステリック液晶で形成されることから、情報要素(7)と第二の要素(12)から反射した光は、円偏光フィルタを透過することができない。よって、情報部(4)及びカモフラージュ部(10)は円偏光フィルタを通した場合には消失する。以上のことから、真偽判別可能な本発明の印刷物(1)を赤外光下の観察条件で円偏光フィルタを通して観察した場合、図10(b)に示すように潜像部(9)のみが視認される。
【0057】
第2の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)の効果については、赤外光下で真偽判別される例のみを説明したが、紫外光下においても、同様な効果が得られる。
【0058】
以上のように、本発明の第2の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)は、赤外光下又は紫外光下の観察条件で円偏光フィルタを用いない場合に観察できる画像と、円偏光フィルタを用いた場合に観察できる画像とが、全く相関のない異なる画像へと変化する、「チェンジング」の効果を得ることができる。このように、円偏光フィルタを用いた場合に画像がチェンジする効果は、特許文献3の技術では行うことができない。これは、特許文献3の技術において、右円偏光の液晶材料で本発明の情報部を形成し、右円偏光の液晶材料で潜像部を形成したとしても、赤外光下又は紫外光下で観察した場合に、はじめから二つの画像が観察されてしまうためである。本発明の第2の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)は画像変化が大きく、万人にとってわかり易いことから真偽判別性に優れる。
【0059】
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態で説明した第三の画像と同様に、コレステリック液晶が反射する波長域の光を透過する材料によって、可視光下で観察される画像を形成してもよい(図示せず)。
【0060】
本実施の形態の説明では、情報要素(7)、第1の要素(11)及び第2の要素(12)を、画素で形成した例で説明しているが、本発明の真偽判別可能な印刷物(1)は、画線及び画素のいずれを用いても形成することができ、画線と画素の組合せを用いて形成することもできる。
【0061】
なお、本明細書でいう画素とは、印刷画像を構成する最小単位である印刷網点自体か、あるいは印刷網点を複数集合させて形成した一塊の画像要素であって、例えば、円、三角形や四角形等を含む多角形、星形等の各種図形、あるいは文字や記号等が含まれ、画素の形状はいかなるものであっても、本発明における画素に含まれるものとする。本発明において、画素の大きさ、すなわち、情報要素の高さ(H1)、幅(R1)及び背景要素の高さ(H2)、幅(R2)の大きさは、特に限定されるものではないが、銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等の貴重印刷物に形成する場合、加工精度及び画像の解像度の問題から、30μm〜5mmの範囲で形成し、前述したように、情報要素(7)と背景要素(8)が重ならないように配置するのがよい。
【0062】
また、本明細書でいう画線とは、印刷画像を形成する最小単位である印刷網点を、所定方向に隙間無く連続して配置することにより形成した画像要素であって、例えば、直線、曲線、波線、点線や破線等の分断線等が含まれ、画線の形状はいかなるものであっても本発明における画線に含まれるものとする。
【0063】
この場合、画線で構成される情報要素(7)が、ピッチ(P1)で規則的に配置されて、情報部(4)が形成される。
【0064】
本発明において、情報要素(7)が画線で形成される場合の「規則的に配置」とは、複数の情報要素(7)が画線の方向と異なる所定の方向にピッチ(P1)で配置された状態のことである。図11(a)では、左右方向の画線で形成された情報要素(7)に対して、上下方向にピッチ(P1)で配置された状態を示しており、図11(b)では、上下方向の画線で形成された情報要素(7)に対して、左右方向にピッチ(P1)で配置された状態を示しており、図11(c)では、左斜めに傾斜した画線で形成された情報要素(7)に対して、右斜め方向にピッチ(P1)で配置された状態を示している。情報要素(7)を配置する所定の方向は、画線の方向と異なる方向であれば、図11に示す方向に限定されるものではない。
【0065】
本説明では、図11(a)に示す上下方向の画線の太さ及び図11(b)に示す左右方向の画線の太さを、「情報要素の画線の幅(W1)」として説明する。情報要素の画線の幅(W1)は、30μm〜5mmの範囲で形成される。
【0066】
背景要素(8)が画線で構成される場合も、情報要素(7)が画線で構成される場合と同様であるので、説明は省略するが、画線で構成される背景要素(8)に対しては、背景要素の画線の幅(W2)として説明する。
【0067】
前述したように、情報要素(7)と背景要素(8)は、重なり合わないように配置されることから、情報要素(7)と背景要素(8)が画線で形成される場合、情報要素(7)と背景要素(8)の画線の方向と、情報要素(7)と背景要素(8)が配置される方向は、同じである。
【0068】
また、情報要素(7)と背景要素(8)のうち、一方が画素で形成され、他方が画線で形成される場合においても、情報要素(7)と背景要素(8)は、重なり合わないように配置されていればよい。例えば、図12(a)に示すように、マトリクス状に配置される情報要素(7)に対して、左右方向の画線で形成された背景要素(8)が上下方向に規則的に配置されてもよいし、図12(b)に示すように、マトリクス状に配置される情報要素(7)に対して、上下方向の画線で形成された背景要素(8)が左右方向に規則的に配置されてもよい。また、マトリクス状に配置される情報要素(7)に対して、斜め方向の画線で形成された背景要素(8)が規則的に配置されてもよい(図示せず)。
【0069】
図11で説明した画線で形成される情報要素(7)と背景要素(8)に対して、目視上、同じ画線として観察される範囲であれば、図13(a)に示すように、情報要素(7)と背景要素(8)の一部を画素で形成してもよい。また、同じ画線として観察される範囲であれば、図13(b)に示すように、複数配置された情報要素(7)と背景要素(8)ごとに、画線、画素又はそれらの複合の構成としてもよい。
【0070】
第2の実施の形態の真偽判別可能な印刷物(1)においても、図5に示したような装置で真偽判別を行うことができる。
【0071】
以下、前述の発明を実施するための形態に従って、具体的に作製した真偽判別可能な印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
実施例1の真偽判別可能な印刷物(1−1)について、図14を用いて説明する。実施例1において基材(2−1)には、一般的な黄色の上質紙を用いた。まず、基材(2−1)に対して、印刷画像(3−1)を形成する前に、あらかじめ赤外吸収性の黒色のインキをUV乾燥型フレキソ印刷方式により印刷し、光吸収領域(14−1)を形成した。この光吸収領域(14−1)は、印刷画像のコレステリック液晶が選択反射しない波長域の光を吸収する働きを有し、印刷画像のコレステリック液晶の反射のコントラストを高める効果を有する。次に、選択反射光のピーク波長を940nmに調整した無色透明の右回転のコレステリック液晶インキにより、光吸収領域(14−1)内に、図14(b)に示す第一の画像(3a−1)をUV乾燥方式のフレキソ印刷方式で形成した。また、図14(c)に示す第二の画像(3b−1)を、選択反射光のピーク波長を940nmに調整した無色透明の左回転のコレステリック液晶インキにより、第一の画像(3a−1)と同様にフレキソ印刷方式で形成し、これを真偽判別可能な印刷物(1−1)とした。
【0073】
以下に実施例1の真偽判別可能な印刷物(1−1)の効果について説明する。可視光下での観察条件では、光吸収領域(14−1)が黒色で視認され、印刷画像(3−1)は見えなかった。次に、白熱灯を当てながら、940nmを中心波長とするバンドパスフィルタを装着したCCDイメージセンサ搭載のビューワで、モニタを通して観察したところ、印刷画像(3−1)が反射画像として観察できた。さらに、同じ観察条件において、右回転の円偏光フィルタを通して真偽判別可能な印刷物(1−1)を観察したところ、第二の画像(3b−1)が消失し、第一の画像(3a−1)のみが視認された。左回転の円偏光フィルタを通して真偽判別可能な印刷物(1−1)を観察したときには、第一の画像(3a−1)が消失し、第二の画像(3b−1)のみが視認された。
【0074】
(実施例2)
実施例2の真偽判別可能な印刷物(1−2)について、図15から図19を用いて説明する。実施例2では、一般的なコート紙(日本製紙製)を基材(2−2)として使用し、印刷画像(3−2)を形成する前に、あらかじめ褐色のインキをUVオフセット印刷方式により印刷し、図15(a)に示す光吸収領域(14−2)を形成した。褐色のインキは、赤外吸収性の着色顔料を20%コンテントでUVオフセットワニスに分散させオフセットインキとしたもので、赤外吸収性の着色顔料の赤外吸収特性は、800〜850nmの間に吸収のピークを持つものである。光吸収領域(14−2)を形成した後、図15(b)に示すように、光吸収領域(14−2)と重なる位置に、光吸収領域(14−2)と略等しい大きさの印刷画像(3−2)を形成した。なお、図15(b)では、光吸収領域(14−2)の範囲を破線で図示している。
【0075】
図16に印刷画像(3−2)の構成を示す。図16(a)に示す印刷画像(3−2)は図16(b)に示す情報部(4−2)と、図16(c)に示す背景部(6−2)から構成した。情報部(4−2)は、直径0.2mmの円形の画素である情報要素(7−2)をピッチ0.4mmでマトリクス状に配置して構成し、アルファベットの「NPB」の文字を形成した。一方の背景部(6−2)は、直径0.3mmの円形の画素である背景要素(8−2)をピッチ0.4mmで、同じくマトリクス状に配置して構成し、一定の階調を形成した。
【0076】
図17に背景部(6−2)の構成を示す。図17(a)に示す背景部(6−2)は、図17(b)に示す潜像部(9−2)と図17(c)に示すカモフラージュ部(10−2)から構成した。潜像部(9−2)は、直径0.3mmの円形の画素である第一の要素(11−2)をピッチ0.4mmでマトリクス状に配置し、アルファベットの「OK」の文字を形成した。一方のカモフラージュ部(10−2)は、直径0.3mmの円形の画素である第二の要素(12−2)をピッチ0.4mmでマトリクス状に配置し、潜像部(9−2)を取り囲むアルファベットの「OK」の文字をネガで形成した。
【0077】
選択反射光のピーク波長が830nmであり、右回転の円偏光を反射する第一のコレステリック液晶で、図18(a)に示す画像を形成し、選択反射光のピーク波長が830nmであり、左回転の円偏光を反射する第二のコレステリック液晶で、図18(b)に示す画像を形成した。第一のコレステリック液晶で形成したのは、潜像部(9−2)のみであり、第二のコレステリック液晶で形成した画像は、情報部(4−2)とカモフラージュ部(10−2)を組み合わせた画像である。それぞれの画像を、第一のコレステリック液晶及び第二のコレステリック液晶を用いてUV乾燥方式のフレキソ印刷によって基材(2−2)上の光吸収領域(14−2)に重ねて形成した。
【0078】
以下に本発明の真偽判別可能な印刷物(1−2)の効果について図19を用いて説明する。可視光下の観察条件では、図19(a)に示すように、光吸収領域(14−2)が、褐色で視認され、印刷画像(3−2)を見ることはできない。次に、赤外光下の観察条件として、白熱灯を当てながら、830nmを中心波長とするバンドパスフィルタを装着したCMOSイメージセンサ搭載のデジタルビデオカメラで、モニタを通して観察したところ、図19(b)に示すように、印刷画像(3−2)の中で濃淡が生じ、「NPB」の文字が明るく視認された。さらに、同じ観察条件において、右回転の円偏光フィルタを通して真偽判別可能な印刷物(1−2)を観察したところ、図19(c)に示すように潜像部(9−2)のみが反射画像として視認された。
【0079】
以上のように、実施例2の真偽判別可能な印刷物は、赤外観察条件下で、フィルタを用いない場合に観察できる画像と、フィルタを用いた場合に観察できる画像とが、全く相関のない異なる画像とする、「チェンジング」の効果を得ることが確認できた。
【0080】
(実施例3)
実施例3の真偽判別可能な印刷物(1−3)について、図20から図24を用いて説明する。実施例3では、一般的なコート紙(日本製紙製)を基材(2−3)として使用し、印刷画像(3−3)を形成する前に、あらかじめ赤外吸収性の黒色のインキをUV乾燥型フレキソ印刷方式により印刷し、図20(a)に示す光吸収領域(14−3)を形成した。光吸収領域(14−3)を形成した後、図20(b)に示すように、光吸収領域(14−3)と重なる位置に、光吸収領域(14−3)と略等しい大きさの印刷画像(3−3)を形成した。なお、図20(b)では、光吸収領域(14−3)の範囲を破線で図示している。
【0081】
図21に印刷画像(3−3)の構成を示す。印刷画像(3−3)は、図21(b)に示す情報部(4−3)と、図21(c)に示す背景部(6−3)から構成した。情報部(4−3)は、幅0.1mmの画線である情報要素(7−3)をピッチ0.4mmでS1方向に連続して配置し、アルファベットの「NPB」の文字を形成した。一方の背景部(6−3)は、幅0.25mmの画線である背景要素(8−3)をピッチ0.4mmでS1方向に連続して配置し、一定の階調を形成した。
【0082】
図22に背景部(6−3)の構成を示す。図22(a)に示す背景部(6−3)は、図22(b)に示す潜像部(9−3)と図22(c)に示すカモフラージュ部(10−3)から構成した。潜像部(9−3)は、幅0.25mmの画線である第一の要素(11−3)をピッチ0.4mmでS1方向に連続して配置し、「五つの星」の図柄を形成した。一方のカモフラージュ部(10−3)は、幅0.25mmの画線である第二の要素(12−3)をピッチ0.4mmでS1方向に連続して配置し、潜像部(9−3)を取り囲む「五つの星」の図柄をネガで形成した。
【0083】
選択反射光のピーク波長が830nmであり、右回転の円偏光を反射する第一のコレステリック液晶で、図23(a)に示す画像を形成し、選択反射光のピーク波長が940nmであり、左回転の円偏光を反射する第二のコレステリック液晶で、図23(b)に示す画像を形成した。第一のコレステリック液晶で形成したのは、潜像部(9−3)のみであり、第二のコレステリック液晶で形成した画像は、情報部(4−3)とカモフラージュ部(10−3)を組み合わせた画像である。それぞれの画像を、第一のコレステリック液晶及び第二のコレステリック液晶を用いてUV乾燥方式のフレキソ印刷によって基材(2−3)上の光吸収領域(14−3)に重ねて形成した。
【0084】
以下に実施例3の真偽判別可能な印刷物(1−3)の効果について図24を用いて説明する。通常の観察条件では、図24(a)に示すように、光吸収領域(14−3)が、黒色で視認され、印刷画像(3−3)を見ることはできない。次に、赤外光下の観察条件として、白熱灯を当てながら、780nm以上のロングパスフィルタを装着したCCDイメージセンサ搭載のビューワで、真偽判別可能な印刷物(1−3)をモニタを通して観察したところ、図24(b)に示すように、印刷画像(3−3)の中で濃淡が生じ、「NPB」の文字が明るく視認された。次に、同じ観察条件において、右回転の円偏光フィルタを通して真偽判別可能な印刷物(1−3)を観察したところ、図24(c)に示すように潜像部(9−3)のみが反射画像として視認された。さらに、中心波長830nmのバンドパスフィルタを装着して真偽判別可能な印刷物(1−3)を観察したところ、円偏光フィルタ有り無しに関わらず、図24(c)に示すように潜像部(9−3)のみが反射画像として視認された。
【0085】
(実施例4)
実施例4の真偽判別可能な印刷物(1−4)は、実施例3に対して、基材の上にコールドスタンプ方式で形成した金属箔を光吸収領域(14−4)とし、光吸収領域(14−4)に形成される印刷画像(3−4)の上に、更に可視画像を設ける例である。印刷画像(3−4)の構成については、実施例3と同じであるため、詳細な説明を省略するが、実施例4では、図20に示す構成の印刷画像の上に、図25に示す可視画像(5−4)を設ける構成とした。
【0086】
可視画像(5−4)は、コレステリック液晶で形成した印刷画像の上に、橙色に調色したUVフレキソインキにより形成した。
【0087】
実施例4の効果について図26を用いて説明する。真偽判別可能な印刷物(1−4)を可視光下の観察条件下で観察した場合、図26(a)に示すように、可視画像(5−4)である桜が目視で観察できた。次に、赤外光下の観察条件として、白熱灯を光源として、780nm以上の光を透過するロングパスフィルタを装着したビデオカメラで真偽判別可能な印刷物(1−4)を観察した場合、図26(b)に示すように、「NPB」の文字を現した印刷画像(3−4)が白く反射して観察された。さらに、同じ観察条件において、真偽判別可能な印刷物(1−4)を右回転の円偏光フィルタを通して同様にビデオカメラで観察した場合、図26(c)に示すように、五つの星を表した潜像部(9−4)のみが白く反射して観察された。
【符号の説明】
【0088】
1、1−1、1−2、1−3、1−4 真偽判別可能な印刷物
2、2−1、2−2、2−3、2−4 基材
3、3−1、3−2、3−3、3−4 印刷画像
3a、3a−1 第一の画像
3b、3b−1 第二の画像
3c 第三の画像
4、4−2、4−3、 情報部
5−4 可視画像
6、6−2、6−3 背景部
7、7−2、7−3 情報要素
8、8−2、8−3 背景要素
9、9−2、9−3、9−4 潜像部
10、10−2、10−3 カモフラージュ部
11、11−2、11−3 第一の要素
12、12−2、12−3 第二の要素
14、14−1、14−2、14−3、14−4 光吸収領域
15 光源
16 受光部
17 モニタ
18 増幅器
19 AD変換器
20 制御部/演算部
21 フィルタ
22 円偏光フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一部が、所定の波長域の光を吸収する特性を有し、前記基材の前記所定の波長域の光を吸収する領域内に、第一の画像及び第二の画像を少なくとも有する印刷画像を備え、前記第一の画像は、前記所定の波長域における、右回転及び左回転のうちのいずれか一方の円偏光を反射し、かつ、前記基材と等色の第一のコレステリック液晶により形成され、前記第二の画像は、前記第一のコレステリック液晶が反射する前記所定の波長域の円偏光とは逆回転の円偏光を反射し、かつ、前記基材と等色の第二のコレステリック液晶により形成され、前記基材を前記所定の波長域の光の下で観察すると、前記第一の画像と前記第二の画像が観察され、円偏光フィルタを用いると、前記第一の画像又は前記第二の画像のみが観察されることで真偽判別が可能であることを特徴とする真偽判別可能な印刷物。
【請求項2】
基材の少なくとも一部が、所定の波長域の光を吸収する特性を有し、前記基材の前記所定の波長の光を吸収する領域内に、印刷画像が少なくとも形成され、前記印刷画像は背景部と情報部を有し、前記背景部は、第一の要素が規則的に複数配置されて成る潜像部と、第二の要素が規則的に複数配置されて成るカモフラージュ部に区分けされ、前記情報部は、前記第一の要素及び前記第二の要素に重ならないように情報要素が規則的に複数配置されて成り、前記第一の要素は、前記所定の波長域における、右回転及び左回転のうちのいずれか一方の円偏光を反射し、かつ、前記基材と等色の第一のコレステリック液晶により形成され、前記第二の要素及び前記情報要素は、前記第一のコレステリック液晶が反射する前記所定の波長域の円偏光とは逆回転の円偏光を反射し、かつ、前記基材と等色の第二のコレステリック液晶により形成され、前記基材を所定の波長の光の下で観察すると、前記印刷画像が観察され、前記第一のコレステリック液晶が反射する円偏光を透過する円偏光フィルタを用いると、前記潜像部が観察されることで真偽判別が可能であることを特徴とする真偽判別可能な印刷物。
【請求項3】
前記情報要素、前記第一の要素及び前記第二の要素が、画線及び画素の少なくとも一つ、又はその組み合わせから成ることを特徴とする請求項2記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項4】
前記所定の波長域の光が、紫外波長又は赤外波長であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の真偽判別可能な印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−18178(P2013−18178A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152755(P2011−152755)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】