説明

睡眠改善剤

【課題】本発明は、睡眠改善剤を提供することを目的とする。
【解決手段】下記式(1)〜(3)のいずれかの化合物又はその塩を有効成分とする睡眠改善剤。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な睡眠改善剤に関し、詳しくは睡眠の質を改善する睡眠改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人生の約3分の1は「眠り」に占められており、眠りの質を改善することは重要である。睡眠は、生活のリズムやストレスとも密接に関係していることがデータで裏付けられている。例えば厚生労働省から発表された「平成12年保険福祉動向調査」によると、ストレスが高くなる程、「朝起きても熟睡感がない」、「なかなか寝付けない」などの問題が起こりやすいことが指摘されている。
【0003】
非特許文献1は、kwansonine Aの化学構造を示しているが、その睡眠改善についての作用は調べられていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yuko OGAWA and Tenji KONISHI, Chem. Pharm. Bull., 57(10), p.1110-1112 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、睡眠改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の睡眠改善剤を提供するものである。
項1. 下記式(1)〜(3)のいずれかの化合物又はその塩を有効成分とする睡眠改善剤。
【0007】
【化1】

【0008】
項2. 式(1)の化合物またはその塩を有効成分とし、覚醒量を短縮し、及び/又はNREM睡眠量を増加させる、項1に記載の睡眠改善剤。
項3. 式(2)の化合物またはその塩を有効成分とし、覚醒量を短縮し、及び/又はREM睡眠量もしくはNREM睡眠量を増加させる、項1に記載の睡眠改善剤。
項4. 式(3)の化合物またはその塩を有効成分とし、覚醒量を延長し、及び/又はNREM睡眠量を減少させる、項1に記載の睡眠改善剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、覚醒時間を短縮し、NREM睡眠時間を延長する(場合によりさらにREM睡眠時間を延長する)睡眠改善剤を提供することができる。
【0010】
また、本発明によれば、覚醒時間を延長し、NREM睡眠時間を短縮する睡眠改善剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】kwansonine A (1) を経口投与したときの覚醒量及びNREM睡眠時間。
【図2】pinnatanine (2) を経口投与したときの覚醒量、REM睡眠時間及びNREM睡眠時間。
【図3】longitubanine A(3) を経口投与したときの覚醒量及びNREM睡眠時間。
【図4】kwansonine B(4) を経口投与したときの覚醒量及びNREM睡眠時間。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において「覚醒量」は覚醒時間の割合を意味し、通常一定時間間隔における累積覚醒量(例えば「分/3時間」、「分/12時間」など)で表される。覚醒量が短縮されると、所定の睡眠時間中に覚醒する時間が短くなり、睡眠時間が足りないヒトより十分な睡眠が得られることになる。
【0013】
本明細書において「REM睡眠量」、「NREM睡眠量」は、レム睡眠時間、ノンレム睡眠時間の割合を意味し、通常一定時間間隔における累積REM睡眠量、または累積NREM睡眠量(例えば「分/3時間」、「分/12時間」など)で表される。「REM睡眠量」、「NREM睡眠量」が増加ないし延長されると、所定の睡眠時間中のレム睡眠時間、ノンレム睡眠時間が長くなり、より十分な睡眠が得られることになる。
【0014】
本明細書において、睡眠改善剤は、睡眠が不足している哺乳動物(例えばヒト)については、睡眠時間(REM睡眠時間、NREM睡眠時間)を延長/増加し、及び/又は、覚醒時間(覚醒量)を短縮/減少するものであり、睡眠が過剰である哺乳動物(例えばヒト)については、睡眠時間(REM睡眠時間、NREM睡眠時間)を短縮/減少し、及び/又は、覚醒時間(覚醒量)を延長/増加するものである。
【0015】
本発明の睡眠改善剤が適用される睡眠障害の例としては、ナルコレプシーに伴う過剰な眠気、閉塞性睡眠時無呼吸/低呼吸症候群、時差ぼけ若しくは時差ぼけに起因する覚醒・睡眠障害、夜勤や交替勤務に伴う覚醒・睡眠障害(概日リズム障害を含む)、過眠症、REM睡眠行動障害、前頭葉性夜間ジストニア(frontalnocturnal dystonia)、レストレスレッグ症候群、不眠症、睡眠随伴症、夜間てんかん発作、夜間運動障害、クライネ・レヴィン症候群、失明患者における睡眠/覚醒障害などが挙げられる。
【0016】
本発明の睡眠改善剤は、他の覚醒促進剤もしくは睡眠剤、睡眠導入剤、不眠症治療薬などと併用することが可能である。
【0017】
本発明の化合物(1)〜(3)は、アキノワスレグサ(Hemorocallis fulva var. sempervirens)から抽出・精製することにより得ることができる。アキノワスレグサの抽出物は、睡眠を促進する化合物(1)、(2)、覚醒を促進する化合物(3)、睡眠にほとんど影響しない化合物(4)などの混合物であり、反対の作用を有する化合物(1)、(2)と化合物(3)は、完全に分離するか、一方を濃縮することにより、より強力な睡眠改善作用を期待できる。或いは、2つの作用物質をバランスよく含む組成物は、睡眠障害がある場合にはその作用を軽減し、睡眠障害がない場合には睡眠に大きな作用を有しない点で望ましい場合がある。
【0018】
本発明の睡眠改善剤の有効成分は、アキノワスレグサなどの植物抽出物またはその部分的もしくは完全な精製により得ることができる。植物抽出物は、産地、気候、栽培時期などにより成分量が大きく変動し得るため、目的に応じて適当な条件を満たす植物抽出物を本発明の睡眠改善剤として使用することができる。
【0019】
本発明の有効成分の化合物(1)〜(3)は、酸付加塩であってもよく、塩基塩であってもよい。酸付加塩を形成する酸としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの鉱酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。塩基塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属塩、エタノールアミン、トリエチルアミン、リジン、アルギニンなどのアミン塩、塩基性アミノ酸塩が挙げられる。
植物からの抽出は、全草を用いてもよく、葉、茎、根、花などの植物の一部を用いてもよい。植物は、粉砕/破砕後に抽出してもよい。
【0020】
必要に応じて本発明の化合物(1)、(2)または(3)は、イオン交換法、膜分画法、ゲル濾過法、電気透析法で脱塩処理や精製処理を行っても良く、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶などによりさらに精製してもよい。
【0021】
本発明の有効成分である化合物は、成人1日当たり0.01〜100mg程度、好ましくは、0.05〜50mg程度、より好ましくは0.1〜10mg程度を摂取すればよい。
【0022】
本発明の有効成分である化合物の摂取時期は、就寝直前或いは就寝前の1時間以内、好ましくは30分以内が良い。有効成分である化合物を摂取すると、20分〜4時間程度で血中濃度のピークを迎え、これにより睡眠を改善することができる。
【0023】
本発明の睡眠改善剤は、公知の製剤化方法、特に経口摂取に適した製剤化技術を使用して製剤化することができる。製剤としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤等を挙げることができる。当該製剤には、有効成分の化合物以外に通常の添加成分を適宜配合することができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】
参考例1
I.化合物1−3の抽出方法
生のアキノワスレグサの葉(2.5 kg)を細かく切り、メタノールを溶媒として室温で一昼夜抽出した。ろ過後、減圧濃縮機を用いてろ液を濃縮し、メタノールエキス(140 g)を得た。得られたメタノールエキスについて、水-メタノールの組成を変えながらDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーを行った。その結果得られた6つのフラクション(Fr. Ia-If)のうち、Fr. Ibについて再びDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーを行い、4つのフラクション(Fr. IIa-IId)に分画した。そのうちFr. IIdは、Diaion HP-20カラムクロマトグラフィーを行い、4つのフラクション(Fr. IIIa-d)に分け、Fr. IIIcをリサイクルHPLCにかけたところ、化合物1を得た。
また、Fr. IeについてDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーを行い、6つのフラクション(Fr. IVa-IVf)に分画した。その後Fr. Vbについて、リサイクルHPLCを行い、化合物2および3を得た。
【0026】
化合物1: kwansonine Aについて得られたデータは以下の通りである。
A white powder; [a]D -2.6o (c = 0.1, H2O); IR (KBr) cm-1: 3400-3200, 1680, 1635, 819; HR-FAB-MS m/z 445.1430 [M+Na]+ (Calcd for C16H26N2O11Na: 445.1434); FAB-MS (positive mode) m/z 423 [M+H]+; 1H-NMR (D2O, 500 MHz) d: 6.26 (1H, br s, H-2´), 6.04 (1H, br s, H-4´), 4.59 (1H, m, H-5´a), 4.49 (1H, d, J = 13.0, H-5´b), 4.22 (1H, dd, J =3.8, 9.1, H-4), 4.10 (1H, br d, J = 14.1, H-6´a), 4.04 (1H, br d, J = 14.1, H-6´b), 3.90 (1H, d, J = 12.4, H-6"a), 3.87 (1H, dd, J = 1.9, 3.4, H-5"), 3.79 (1H, dd, J = 3.8, 6.4, H-2), 3.75 (1H, dd, J = 3.4, 10.0, H-4"), 3.66 (1H, d, J =10.0, H-3"), 3.63 (1H, dd, J =1.9, 12.4, H-6"b), 3.26 (1H, d, J = 12.9, H-1"a), 3.15 (1H, d, J = 12.9, H-1"b), 2.24 (1H, ddd, J = 3.8, 9.1, 15.8, H-3a), 2.17 (1H, ddd, J = 3.8, 6.4, 15.8, H-3b), and 13C-NMR (D2O, 125 MHz): 176.3 (C-5), 172.2 (C-1), 136.2 (C-3´), 126.8 (C-4´), 95.2 (C-2"), 85.2 (C-2´), 74.2 (C-5´), 70.5 (C-3"), 69.6 (C-4), 69.4 (C-4"), 68.9 (C-5"), 64.0 (C-6"), 61.3 (C-2), 56.6 (C-6´), 53.1 (C-1"), 32.4 (C-3) .
【0027】
化合物2: pinnatanineについて得られたデータは以下の通りである。
Colorless needles; mp 186℃; 1H-NMR (D2O, 500 MHz) d: 6.61 (brs, H-1´), 6.51 (1H, dd, J =11.3, 17.8, H-3´), 5.32 (1H, dd, J = 1.1, 17.8, H-4´a), 5.18 (1H, br d, J = 1.1, 11.3, H-4´b), 4.32 (1H, dd, J = 3.0, 9.3, H-4), 4.18 (2H, s, H-5´), 3.79 (1H, dd, J = 3.7, 7.5, H-2), 2.19 (1H, m, H-3a), 2.09 (1H, m, H-3b), and 13C-NMR (D2O, 125 MHz) d: 172.9 (C-5), 172.2 (C-1), 128.6 (C-3´), 122.9 (C-2´), 120.8 (C-1´), 116.1 (C-4´), 95.2 (C-2"), 70.5 (C-3"), 69.4 (C-4"), 68.9 (C-4, 5"), 64.0 (C-6") 61.1 (C-2, 5´), 52.8 (C-1"), 32.5 (C-3) .
【0028】
化合物3: longitubanine Aについて得られたデータは以下の通りである。
Colorless needles; mp 185℃; 1H-NMR (D2O, 500 MHz) d: 1.73 (3H, br s, H-6¢), 2.22 (1H, ddd, J = 2.9, 8.1,12.8 Hz, H-3), 2.33 (1H, ddd, J = 2.9, 6.3, 12.8 Hz, H-3), 3.95 (1H, dd, J = 2.9, 6.3 Hz, H-2), 4.33 (1H, dd, J = 2.9, 8.1 Hz, H-4), 4.55 (1H, ddd, J = 2.0, 5.1, 10.6 Hz, H-5¢), 4.66 (1H, ddd, J = 2.0, 5.1, 10.6 Hz, H-5¢), 5.89 (1H, ddd, J = 2.0, 5.1, 6.5 Hz, H-4¢), 6.21 (1H, m, H-2¢); 13C-NMR (D2O, 125MHz) d: 13.6(C-6¢), 36.6(C-3), 55.7 (C-2), 72.2 (C-4), 77.1 (C-5¢), 90.3 (C-2¢), 127.3 (C-4¢), 135.8 (C-3¢), 176.5 (C-1), 179.3 (C-5).
【0029】
実施例1
II. 単離した化合物1の睡眠改善効果
Kwansonine A(1)の睡眠改善効果:経口投与
【0030】
[実験方法]
(1) 使用動物
C57BL/6マウス(オス、生後10週令、体重25−28 g)を株式会社オリエンタルバイオサービスより購入した。
(2) 飼育方法
マウスは、防音チャンバー内に設置したアクリル製ゲージで個別に管理した。12時間毎の明暗周期(午前8時より明期開始)下でマウス用固定型試料(試料名:ラボMRストック)を与え、試料と水を自由に摂取させた。
(3) 脳波・筋電位測定用電極の処理手術と測定装置への接続
マウスに脳波・筋電位測定用の電極の処理手術(Huang Z. L. et al., J. Neurosci. 2003, 23 (14), 5973-5983., Okada T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 2003, 312 (1), 29-34.)を実施し、回復用チャンバーに10日間おいて回復させた。その後、記録用チャンバーに移して電極に測定用ケーブルを接続し、4日間順応させた。
(4) サンプル投与
Kwansonine A (1)を水に溶解し、投与量10 mg/kgでゾンデ針を用いて経口投与した。投与は20時(暗期の開始時刻)に行い、前日に溶媒(水)を投与したコントロール群に対する投与群の睡眠量を比較した。(n=6)
(5) 脳波・筋電位の記録と解析
脳波および筋電位は増幅(脳波:0.5−30 Hz、筋電位:20−200 Hz)後、サンプリング速度:128 Hzでデジタル化して記録した。解析は脳波記録ソフトウエア‘Sleep Sign’ (キッセイコム社製)を用いて、10秒間のデータを1エポックとし、脳波と筋電位の周波数成分・波形によって、各エポックを覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠のいずれかに自動判定した。得られた判定結果は、最終的に研究者自身が確認し、必要に応じて修正を行った。投与後、12時間にわたる脳波データを解析し、1時間毎の覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠の時間を算出した。また、脳波のパワースペクトルを解析して、シータ波およびデルタ波の強さを解析した。
(6) 統計的評価:有意差検定には、Student’s t-testを用いた。
【0031】
(*p<0.05, vs vehicle group)
【0032】
[結果]
kwansonine Aを経口投与した際と溶媒(水)のみを投与した際の睡眠に対する効果を比較したところ、kwansonine Aは10 mg/kgにおいて、マウスのNREM睡眠時間を有意に延長し、覚醒量/累積覚醒量を有意に増加する効果が認められた。(図1)
【0033】
実施例2
Pinnatanine(2)の睡眠改善効果
【0034】
[実験方法]
(1) 使用動物や飼育方法および脳波・筋電位測定方法については、先と同様の方法を用いた。
(2) サンプル投与:pinnatanine (2)を水に溶解させ、ゾンデ針を用いて投与量10 mg/kgを経口投与した(n=12)。投与は、20時(明期の開始時刻)に行い、前日に溶媒を単独投与したコントロール群に対する投与群の睡眠量を比較した。
【0035】
[結果]
Pinnatanineは、10 mg/kgにおいて、マウスのNREM睡眠およびREM睡眠時間を延長させる効果が認められた。(図2)
【0036】
実施例3
Longitubanine A(3)の睡眠改善効果
【0037】
[実験方法]
(1) 使用動物や飼育方法および脳波・筋電位測定方法については、先と同様の方法を用いた。
(2) サンプル投与:Longitubanine A (3)を水に溶解させ、投与量10 mg/kgでゾンデ針を用いて経口投与した。投与は20時(暗期の開始時刻)に行い、溶媒単独投与したコントロール群に対する投与群の睡眠量を比較した。(n=6)
【0038】
[結果]
Longitubanine A (3) は、10 mg/kgにおいて、マウスのNREM睡眠時間を短縮させ、一方で覚醒時間を延長する傾向が認められた。(図3)
【0039】
比較例1
Kwansonine B(4)の睡眠改善効果
I.化合物4の抽出方法
生のアキノワスレグサの葉(2.5 kg)を細かく切り、メタノールを溶媒として室温で一昼夜抽出した。ろ過後、減圧濃縮機を用いてろ液を濃縮し、メタノールエキス(140 g)を得た。得られたメタノールエキスについて、水-メタノールの組成を変えながらDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーを行った。その結果得られた6つのフラクション(Fr. Ia-If)のうち、Fr. IeについてDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーを行い、6つのフラクション(Fr. IVa-IVf)に分画した。Fr. IVeについてDiaion HP-20カラムクロマトグラフィーを行い、得られた4つのフラクション(Fr. Va-d)のうち、Fr. VcをリサイクルHPLCにかけ、化合物4を得た。
【0040】
化合物4: kwansonine Bについて得られたデータは以下の通りである。
A white powder; IR (KBr) cm-1: 3450-3200, 1690, 1647; UV lmax (H2O) nm (loge): 263 (4.52); HR-FAB-MS m/z 405.1503 [M-H]- (Calcd for C16H25N2O10: 405.1509); FAB-MS (negative mode) m/z 405 [M-H]-; 1H-NMR (D2O, 500 MHz) d: 6.61 (brs, H-1´), 6.51 (1H, dd, J =11.4, 17.7, H-3´), 5.32 (1H, br d, J = 17.7, H-4´a), 5.18 (1H, br d, J = 11.4, H-4´b), 4.35 (1H, dd, J =4.3, 8.5, H-4), 4.17 (2H, s, H-5´), 3.88 (1H, d, J = 13.3, H-6"a), 3.86 (1H, m, H-5"), 3.80 (1H, dd, J = 4.0, 6.0, H-2), 3.74 (1H, dd, J = 2.8, 10.0, H-4"), 3.65 (1H, d, J = 10.0, H-3"), 3.61 (1H, br d, J =13.3, H-6"b), 3.27 (1H, d, J =13.0, H-1"a), 3.13 (1H, d, J = 12.9, H-1"b), 2.22 (2H, m, H-3), and 13C-NMR (D2O, 125 MHz) d: 172.9 (C-5), 172.2 (C-1), 128.6 (C-3´), 122.9 (C-2´), 120.8 (C-1´), 116.1 (C-4´), 95.2 (C-2"), 70.5 (C-3"), 69.4 (C-4"), 68.9 (C-4, 5"), 64.0 (C-6"), 61.1 (C-2, 5´), 52.8 (C-1"), 32.5 (C-3) .
【0041】
【化2】

【0042】
[実験方法]
(1) 使用動物や飼育方法および脳波・筋電位測定方法については、先と同様の方法を用いた。
(2) サンプル投与:kwansonine B (4) を水に溶解させ、ゾンデ針を用いて投与量10 mg/kgを経口投与した。(n=5)投与は20時(暗期の開始時刻)に行い、溶媒単独投与したコントロール群に対する投与群の睡眠量を比較した。
【0043】
[結果]
kwansonine Bは、投与用量10 mg/kgでは、マウスの累積睡眠時間には影響を及ぼさなかった。(図4)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)〜(3)のいずれかの化合物又はその塩を有効成分とする睡眠改善剤。
【化1】

【請求項2】
式(1)の化合物またはその塩を有効成分とし、覚醒量を短縮し、及び/又はNREM睡眠量を増加させる、請求項1に記載の睡眠改善剤。
【請求項3】
式(2)の化合物またはその塩を有効成分とし、覚醒量を短縮し、及び/又はREM睡眠量もしくはNREM睡眠量を増加させる、請求項1に記載の睡眠改善剤。
【請求項4】
式(3)の化合物またはその塩を有効成分とし、覚醒量を延長し、及び/又はNREM睡眠量を減少させる、請求項1に記載の睡眠改善剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−195482(P2011−195482A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62620(P2010−62620)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼発行所 日本薬学会生薬天然物部会 刊行物名 「第3回食品薬学シンポジウム・講演要旨集」 発行日 平成21年10月21日 ▲2▼ホームページのアドレス http://nenkai.pharm.or.jp/130/pc/ipdfview.asp?i=63 掲載日 平成22年2月1日
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)
【出願人】(390000745)財団法人大阪バイオサイエンス研究所 (32)
【出願人】(506001620)株式会社クレイ沖縄 (3)
【Fターム(参考)】